JP2015021105A - 多孔性フィルム - Google Patents

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莉沙 ▲浜▼▲崎▼
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Gohei Yamamura
剛平 山村
末岡 雅則
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雅則 末岡
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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、透湿性、耐熱性に優れた、主にポリ乳酸系樹脂からなる多孔性フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】ポリ乳酸系樹脂(A)を含む多孔性フィルムであって、空孔率が1〜80%であり、示差走査型熱量計にて20℃/minの速度で昇温した際に、190〜250℃の温度領域に少なくともひとつの融解ピークを有し、190〜250℃の温度領域の融解ピークの吸熱量の合計をΔHmsc(J/g)としたとき、3≦ΔHmsc≦20を満たすことを特徴とする多孔性フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、透湿性、耐熱性に優れた、主にポリ乳酸系樹脂からなる多孔性フィルムに関する。
近年、環境意識の高まりのもと、プラスチック製品の廃棄による土壌汚染問題、また、焼却による二酸化炭素増大に起因する地球温暖化問題が注目されている。前者への対策として、種々の生分解樹脂、後者への対策として、焼却しても大気中に新たな二酸化炭素の負荷を与えないバイオマス(植物由来原料)からなる樹脂がさかんに研究、開発されている。その両者を満足し、かつ、コスト面でも比較的有利なポリ乳酸が注目されている。ポリ乳酸により、ポリエチレンなどのポリオレフィンに代表される汎用樹脂を置き換えるために各種の試みがなされている。
多孔性フィルムの分野では、例えば、特許文献1には、ポリ乳酸系樹脂、充填剤からなるシートを延伸してなる、空孔率1〜80%の多孔性シートが開示されている。
WO2012/023465号パンフレット
前述の特許文献1に記載の技術では、一定の透湿性向上の効果はあるものの、耐熱性に関しては十分ではなく、その解決方法の詳しい記載はされていない。多孔性フィルムは不織布などの部材と熱によるホットメルト接着が施される例が多く、フィルムの加工性向上のため、耐熱性の改良は重要な課題となっている。
つまり、これまでに透湿性に優れたポリ乳酸系フィルムの検討がなされてきたが、さらに耐熱性を具備するフィルムの発明は、未だに達成されていなかった。
そこで本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、透湿性、耐熱性に優れた、主にポリ乳酸系樹脂からなる多孔性フィルムを提供せんとするものである。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下によって前記課題を解決することを見出し、本発明に至ったものである。
1)ポリ乳酸系樹脂(A)を含む多孔性フィルムであって、
空孔率が1〜80%であり、
示差走査型熱量計にて20℃/minの速度で昇温した際に、190〜250℃の温度領域に少なくともひとつの融解ピークを有し、190〜250℃の温度領域の融解ピークの吸熱量の合計をΔHmsc(J/g)としたとき、次の条件を満たす多孔性フィルム、
3≦ΔHmsc≦20
2)ポリ乳酸系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)を含む、1)に記載の多孔性フィルム。
3)ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量部に対して、充填剤(C)を1〜400質量部含む、1)または2)に記載の多孔性フィルム。
4)熱可塑性樹脂(B)が、ポリエーテルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体、ポリエステルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体、ポリ乳酸以外の脂肪族ポリエステル系樹脂、および脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂である、1)〜3)のいずれかに記載の多孔性フィルム。
本発明によれば、透湿性、耐熱性に優れた、主にポリ乳酸系樹脂からなる多孔性フィルムが提供される。本発明の多孔性フィルムは、マルチフィルムや薫蒸シート等の農林業用材料、ベッドシーツ、枕カバー、衛生ナプキン、紙おむつといった用途で使用される透湿防水フィルム等の衛生材料、細胞培養用シート等の医療材料、雨天用衣類、手袋等の衣料用材料、ゴミ袋や堆肥袋、あるいは野菜や果物等の食品用袋、各種工業製品の袋等の包装材料、各種セパレーター等の工業材料等に好ましく用いることができる。
本発明は、前記課題、つまり透湿性、耐熱性に優れた、主にポリ乳酸系樹脂からなる多孔性フィルムについて鋭意検討した結果、フィルムの空孔率を一定範囲内に納め、さらにフィルムを構成する樹脂の融解ピークの温度、吸熱量を特定条件とすることにより、かかる課題の解決に初めて成功したものである。すなわち本発明は、ポリ乳酸系樹脂(A)を含む多孔性フィルムであって、空孔率が1〜80%であり、示差走査型熱量計にて20℃/minの速度で昇温した際に、190〜250℃の温度領域に少なくともひとつの融解ピークを有し、190〜250℃の温度領域の融解ピークの吸熱量の合計をΔHmsc(J/g)としたとき、次の条件を満たす多孔性フィルム、である。
3≦ΔHmsc≦20
以下、本発明の多孔性フィルムについて説明する。
(ポリ乳酸系樹脂(A))
本発明の多孔性フィルムは、ポリ乳酸系樹脂(A)を含むことが重要である。本発明におけるポリ乳酸系樹脂(A)とは、L−乳酸ユニットおよびD−乳酸ユニットから選ばれる単量体ユニットを主たる構成成分とする重合体である。ここで主たる構成成分とは、重合体の構成単位中において乳酸ユニットの質量割合が最大であることを意味する。乳酸ユニットの質量割合は、好ましくは重合体100質量%中において、70質量%〜100質量%である。
ポリ乳酸系樹脂(A)としては、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸、ポリL−乳酸とポリD−乳酸のブロック共重合体などが好ましく用いられる。
本発明でいうポリL−乳酸とは、重合体中の全乳酸ユニット100mol%中において、L−乳酸ユニットの含有割合が50mol%を超え100mol%以下のものをいう。一方、本発明でいうポリD−乳酸とは、重合体中の全乳酸ユニット100mol%中において、D−乳酸ユニットの含有割合が50mol%を超え100mol%以下のものをいう。
本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂(A)は、乳酸ユニット以外の他の単量体ユニットを共重合してもよい。他の単量体としては、エチレングリコールなどのグリコール化合物;コハク酸などのジカルボン酸;ヒドロキシ酪酸などのヒドロキシカルボン酸;カプロラクトンなどのラクトン類を挙げることができる。
ポリL−乳酸は、D−乳酸ユニットの含有割合によって、樹脂自体の結晶性が変化する。つまり、ポリL−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が多くなれば、ポリL−乳酸の結晶性は低くなり非晶に近づく。逆にポリL−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合が少なくなれば、ポリL−乳酸の結晶性は高くなっていく。同様に、ポリD−乳酸は、L−乳酸ユニットの含有割合によって、樹脂自体の結晶性が変化する。つまり、ポリD−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合が多くなれば、ポリD−乳酸の結晶性は低くなり非晶に近づく。逆にポリD−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合が少なくなれば、ポリD−乳酸の結晶性は高くなっていく。
本発明の多孔性フィルムに用いるポリ乳酸系樹脂(A)としては、ポリL−乳酸とポリD−乳酸を混合することが好ましい。これにより形成されうるステレオコンプレックス結晶は、ポリL−乳酸もしくはポリD−乳酸のみからできる結晶(α結晶)よりも、結晶形成速度が速い点、粗大結晶ではなく微細結晶が形成される点、融解温度が高い点で好ましい。結晶形成速度が速いことで、フィルムを延伸して多孔化する際に、空孔生成の起点となる結晶が十分に成長するため、透湿性向上の観点で好ましい。粗大結晶ではなく微細結晶を形成することで、フィルムの延伸性が良好となる点で好ましい。融解温度が高いことで、フィルムの耐熱性が良好となる点で好ましい。
ポリL−乳酸とポリD−乳酸を混合してステレオコンプレックス結晶を形成させる際は、ポリL−乳酸中のL−乳酸ユニットの含有割合、あるいは、ポリD−乳酸中のD−乳酸ユニットの含有割合は、ステレオコンプレックス結晶を効率的に形成させる観点から全乳酸ユニット100mol%中において95〜100mol%が好ましく、98〜100mol%がより好ましく、99〜100mol%がさらに好ましい。また、ポリL−乳酸とポリD−乳酸を混合比、又は、ポリD−乳酸とポリL−乳酸の混合比は、透湿性と耐熱性を両立させる観点から、95:5〜65:35が好ましく、87.5:12.5〜70:30がより好ましく、80:20〜75:25がさらに好ましい。さらに、ポリL−乳酸とポリD−乳酸の質量平均分子量の比、又は、ポリD−乳酸とポリL−乳酸の質量平均分子量の比は、ステレオコンプレックス結晶を効率的に形成させる観点から、99:1〜70:30であることが好ましく、98:2〜75:25であることがより好ましく、97:3〜80:20であることがさらに好ましい。
同様の観点から、本発明の多孔性フィルムに用いるポリ乳酸系樹脂(A)としては、ポリL−乳酸とポリD−乳酸のブロック共重合体を用いることも好ましい。この場合、ブロック共重合体が主に分子内でステレオコンプレックス結晶を形成する。効率的なステレオコンプレックス結晶形成のためには、ブロック共重合体の質量平均分子量Xおよびセグメント1単位の最大質量平均分子量Yについて、Y<X/2を満たすようなセグメント長であることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂(A)全体における該ブロック共重合体の含有量は、透湿性と耐熱性を両立させる観点から、ポリ乳酸系樹脂(A)全体の合計100質量%中において、10〜70質量%であることが好ましく、25〜60質量%であることがより好ましく、40〜50質量%であることがさらに好ましい。
本発明の多孔性フィルムに用いるポリ乳酸系樹脂(A)全体の質量平均分子量は、実用的な機械特性を満足させるため、5万〜50万であることが好ましく、8万〜40万であることがより好ましく、10万〜30万であることがさらに好ましい。
本発明の多孔性フィルムに含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量は、ポリ乳酸系樹脂(A)と後述する熱可塑性樹脂(B)の合計100質量%中において、10〜95質量%であることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量%中において、ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量を10質量以上とすることで、耐熱性が良好となる。ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が95質量%以下とすることで、透湿性が良好となる。ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量は、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量%中において、20〜90質量%であることがより好ましく、30〜85質量%であることがさらに好ましく、40〜80質量%であることが特に好ましい。
また、本発明の多孔性フィルム全体に対するポリ乳酸系樹脂(A)の含有量は、5〜80質量%であることが好ましく、15〜70質量%であることがより好ましく、25〜60質量%であることがさらに好ましく、35〜50質量%であることが特に好ましい。
(結晶性ポリ乳酸系樹脂と非晶性ポリ乳酸系樹脂の混合)
本発明の多孔性フィルムに含有されるポリ乳酸系樹脂(A)は、結晶性ポリ乳酸系樹脂と非晶性ポリ乳酸系樹脂の混合物であることが好ましい。混合物とすることにより、結晶性および、非晶性、それぞれのポリ乳酸系樹脂の利点を両立できるからである。
なお、結晶性ポリ乳酸系樹脂とは、該ポリ乳酸系樹脂を加熱下で十分に結晶化させた後に、適当な温度範囲で示差走査熱量計(DSC)にて測定を行った場合、ポリ乳酸成分に由来する融点が観測されるポリ乳酸系樹脂のことをいう。一方で非晶性ポリ乳酸系樹脂とは、同様の測定を行った際に、明確な融点を示さないポリ乳酸系樹脂のことをいう。
結晶性ポリ乳酸系樹脂の含有は、フィルムの耐熱性および耐ブロッキング性向上に好適である。また、後述する熱可塑性樹脂(B)として前述のブロック共重合体可塑剤を用いる場合、結晶性ポリ乳酸系樹脂はブロック共重合体可塑剤が有するポリ乳酸セグメントと共晶を形成することで、耐ブリードアウト性に大きな効果を発揮する。
一方、非晶性ポリ乳酸系樹脂の含有は、フィルムの柔軟性および耐ブリードアウト性の向上に好適である。これは、フィルムに非晶性ポリ乳酸系樹脂が含有されることにより非晶部分が提供され、そこに可塑剤が分散しやすくなることが影響している。
結晶性ポリ乳酸系樹脂と非晶性ポリ乳酸系樹脂の混合物を用いる場合、結晶性ポリ乳酸系樹脂と非晶性ポリ乳酸系樹脂の合計を100質量%としたとき、結晶性ポリ乳酸系樹脂の含有量は5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることがさらに好ましい。
(融解ピークの温度領域)
本発明の多孔性フィルムは、示差走査型熱量計にて20℃/minの速度で昇温した際に、190〜250℃の温度領域に少なくともひとつの融解ピークを有することが重要である。通常、ポリL−乳酸もしくはポリD−乳酸のみからできる結晶(α結晶)の融解ピークは、おおよそ140〜180℃付近に現れるが、前述のポリ乳酸のステレオコンプレックス結晶とすることで、融解ピークが高温側にシフトする。
190〜250℃の温度領域に融解ピークを有さず、190℃未満に融解ピークを有するか、全温度領域にわたって融解ピークを有さない場合、耐熱性が不足する。一方、ポリ乳酸のステレオコンプレックス結晶としても融解ピークは通常250℃以下であるが、他の樹脂を混合することなどにより、190〜250℃の温度領域に融解ピークを有さず、250℃以上に融解ピークを有する場合、多孔性フィルム製造時の延伸性が悪化し、結果として透湿性が不足したり、製造時にフィルムが破れたりする。
該温度領域に融解ピークを有するための方法は、特に限定されないが、ポリ乳酸のステレオコンプレックス結晶をフィルム中で形成させる方法が挙げられる。
(融解ピークの吸熱量)
また、本発明の多孔性フィルムは、190〜250℃の温度領域の融解ピークの吸熱量の合計をΔHmsc(J/g)としたとき、次の条件を満たすことが重要である。
3≦ΔHmsc≦20
ΔHmscは多孔性フィルムにおける190〜250℃に融解ピークを有する結晶量の指標となる。ΔHmscが3J/g未満の場合、耐熱性が不足する。また、ΔHmscが20J/gを超える場合、多孔性フィルム製造時の延伸性が悪化し、結果として透湿性が不足したり、製造時にフィルムが破れたりする。
ΔHmscを該範囲とするための方法は、特に限定されないが、例えば、ポリL−酸とポリD−乳酸を混合してステレオコンプレックス結晶を形成させる際に、ポリL−乳酸とポリD−乳酸の混合比を前記した好ましい範囲とすることや、ポリL−乳酸とポリD−乳酸のブロック共重合体を用いてステレオコンプレックス結晶を形成させる際に、ポリ乳酸系樹脂(A)全体における該ブロック共重合体の含有量を前記した好ましい範囲とすることが挙げられる。さらに、フィルム製造時に、キャスト温度、延伸倍率、熱処理温度、時間を後述する好ましい範囲とする方法が挙げられる。ΔHmscは、5≦ΔHmsc≦19であることが好ましく、10≦ΔHmsc≦18であることがより好ましい。
(熱可塑性樹脂(B))
本発明の多孔性フィルムは、透湿性や柔軟性を向上させるために、ポリ乳酸系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)を含むことが好ましい。該熱可塑性樹脂(B)としては、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体、熱可塑性澱粉、各種樹脂系の可塑剤などが使用できる。
ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステル系樹脂、ポリ(エチレンサクシネート・テレフタレート)、ポリ(ブチレンサクシネート・テレフタレート)、ポリ(ブチレンアジペート・テレフタレート)などの脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート・アジペート)、などの脂肪族ポリエステル系樹脂が使用できる。これらの中でも、透湿性を向上させる観点、生分解性を維持する観点から、脂肪族ポリエステル系樹脂または脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。
樹脂系の可塑剤としては、ポリエーテルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体、ポリエステルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体、を用いることが好ましい。
ここで、ポリエステルセグメントとは、ポリ乳酸以外のポリエステルからなるセグメントを意味する。以下、ポリエーテルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体、および、ポリエステルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体を、総称して「ブロック共重合体可塑剤」と記す。これらブロック共重合体可塑剤について以下に説明する。
ブロック共重合体可塑剤がポリエーテルセグメントを有する場合は、ポリエーテルセグメントとしてポリアルキレンエーテルからなるセグメントを有することがより好ましい。具体的には、ポリエーテルセグメントとして、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合体などからなるセグメントが挙げられる。特にポリエチレングリコールからなるセグメントは、ポリ乳酸系樹脂(A)との親和性が高いために改質効率に優れ、特に少量の可塑剤の添加で所望の柔軟性を付与できるため好ましい。
ブロック共重合体可塑剤がポリエステルセグメントを有する場合は、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリカプロラクトン、あるいはエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオールなどの脂肪族ジオールと、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸よりなるポリエステルなどが、ポリエステルセグメントとして好適に用いられる。
本発明の多孔性フィルムに含まれる熱可塑性樹脂(B)の含有量は、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量%中において、5〜90質量%であることが好ましい。含有量が5質量%以上であることで透湿性が良好となり、含有量が90質量%以下であることで耐熱性が良好となる。熱可塑性樹脂(B)の含有量は、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量%中において、10〜80質量%であることがより好ましく、15〜70質量%であることがさらに好ましく、20〜60質量%であることが特に好ましい。
(熱可塑性樹脂(B)の組み合わせ)
本発明の多孔性フィルムには、前述の熱可塑性樹脂(B)の1種のみを含んでもよいし、2種以上を組み合わせて含んでもよい。組み合わせる樹脂には特に制限はなく、熱可塑性樹脂(B)として前述したポリ乳酸系樹脂以外の熱可塑性樹脂群から選ばれた樹脂をそれぞれ組み合わせることができる。その中でも、透湿性を向上させる観点から、樹脂系の可塑剤と、樹脂系の可塑剤以外の熱可塑性樹脂との組み合わせが好ましい。
樹脂系の可塑剤の中では、前述したブロック共重合体可塑剤、つまり、ポリエーテルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体や、ポリエステルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体が好ましい。
樹脂系の可塑剤以外の熱可塑性樹脂の中では、脂肪族ポリエステル系樹脂や脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂が好ましい。
つまり熱可塑性樹脂(B)としては、ポリエーテルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体およびポリエステルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂(樹脂系の可塑剤)と、脂肪族ポリエステル系樹脂および脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂より選ばれる少なくとも1つの樹脂(樹脂系の可塑剤以外の熱可塑性樹脂)との組みあわせからなることが好ましい。
熱可塑性樹脂(B)が、樹脂系の可塑剤と、樹脂系の可塑剤以外の熱可塑性樹脂との組み合わせである場合、その配合質量比は、(樹脂系の可塑剤/樹脂系の可塑剤以外の熱可塑性樹脂)=(5/95)〜(95/5)であることが好ましく、(10/90)〜(80/20)であることがより好ましく、(20/80)〜(60/40)であることがさらに好ましい。
(充填剤(C))
本発明の多孔性フィルムは、充填剤(C)を含むことが好ましい。充填剤とは、諸性質を改善するために基材として加えられる物質、あるいは増量、増容、製品のコスト低減などを目的として添加する不活性物質をいう。充填剤(C)としては、無機充填剤および/または有機充填剤が使用できる。
無機充填剤の例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;酸化亜鉛、酸化ケイ素(シリカ)、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、アルミナなどの金属酸化物;水酸化アルミニウム等の水酸化物;珪酸塩鉱物、ヒドロキシアパタイト、マイカ、タルク、カオリン、クレー、モンモリロナイト、ゼオライト等の複合酸化物;リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等のリン酸塩;塩化リチウム、フッ化リチウム等の金属塩などを使用することができる。
有機充填剤の例としては、シュウ酸カルシウム等のシュウ酸塩;テレフタル酸カルシウム、テレフタル酸バリウム、テレフタル酸亜鉛、テレフタル酸マンガン、テレフタル酸マグネシウム等のテレフタル酸塩;ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸等のビニル系モノマーの単独または共重合体からなる微粒子;ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂などの有機微粒子;木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末;籾殻、木材チップ、おから、古紙粉砕材、衣料粉砕材等のチップ状のもの;綿繊維、麻繊維、竹繊維、木材繊維、ケナフ繊維、ジュート繊維、バナナ繊維、ココナツ繊維等の植物繊維;絹、羊毛、アンゴラ、カシミヤ、ラクダ等の動物繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維等の合成繊維などを使用することができる。
これらの充填剤のなかでも、フィルムの透湿性向上や強度、伸度といった機械特性の維持、および低コスト化の観点から、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、マイカ、タルク、カオリン、クレー、モンモリロナイト、ゼオライトが好ましい。
充填剤の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜10μmが好ましい。平均粒径が0.01μm以上であることで、充填剤をフィルム中に高充填することが可能となり、その結果、フィルムの多孔化および透湿性向上のポテンシャルが高いフィルムとなる。平均粒径が10μm以下であることで、フィルムの延伸性が良好となり、その結果、フィルムの多孔化および透湿性向上のポテンシャルが高いフィルムとなる。平均粒径は、より好ましくは0.1〜8μm、さらに好ましくは0.5〜5μm、最も好ましくは1〜3μmである。なお、ここでいう平均粒径とは、レーザー回折散乱式の方法で測定される累積分布50%平均粒子径とする。
充填剤は、必要に応じて、表面処理することができる。表面処理を行うための表面処理剤としては、リン酸エステル系化合物、脂肪酸、界面活性剤、油脂、ワックス、カルボン酸系カップリング剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、高分子系表面処理剤などを使用することができる。表面処理することにより、マトリックス樹脂との親和性が向上し、充填剤の凝集抑制および分散性向上に効果があり、樹脂組成物中に均一に分散させることができるようになる。その結果、良好な透湿度を発現するための延伸などの加工性に優れたフィルムを得ることが可能となる。
また、充填剤(C)の樹脂組成物中での分散性を向上させるため、さらに分散剤を添加することが好ましい。
充填剤(C)の含有量は、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量部に対して、1〜400質量部であることが好ましい。充填剤(C)の含有量が、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量部に対して、1質量部以上の場合、透湿性の向上に効果があり、400質量部以下の場合、フィルムの引張強度および引張伸度を維持でき、また、フィルムを製造する際の溶融加工性、延伸性なども維持できる。充填剤(C)の含有量は、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量部に対して、20〜300質量部であることがより好ましく、30〜200質量部であることがさらに好ましく、40〜150質量部であることがさらにより好ましく、50〜100質量部であることが特に好ましい。
(空孔率)
本発明の多孔性フィルムは、空孔率が1〜80%であることが重要である。空孔率が1%未満であると、透湿性が不足し、空孔率が80%を超えると、フィルムの引張強度、引張伸度が不足する。空孔率は、好ましくは10〜80%、より好ましくは20〜75%、さらに好ましくは45〜70%、特に好ましくは50〜70%である。
空孔率を1〜80%とするための達成手段は特に限定されないが、例えば、ステレオコンプレックス結晶を形成しうるポリ乳酸系樹脂(A)を含有する組成物を用いて、そのフィルム製造時に延伸倍率を後述する好ましい範囲とする方法が挙げられる。また、前述したように、熱可塑性樹脂(B)を好ましい種類、量、組み合わせで配合すること、また、充填剤(C)を好ましい種類、量で配合することで、より効率的に該空孔率範囲を達成できる。
(厚み)
本発明の多孔性フィルムは、フィルム厚みが5〜200μmであることが好ましい。フィルム厚みを5μm以上とすることで、フィルムとした際のコシが強くなり、取り扱い性に優れ、また、ロール巻姿や巻出し性が良好となる。フィルム厚みを200μm以下とすることで柔軟性および透湿性に優れるものとなり、また、特にインフレーション製膜法においては、自重によりバブルが不安定化しない。フィルム厚みは、7〜150μmがより好ましく、10〜100μmがさらに好ましく、12〜50μmがさらにより好ましい。
(添加剤)
本発明の多孔性フィルムを構成する組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で前述した以外の添加剤を含有してもよい。例えば、公知の可塑剤、酸化防止剤、結晶核剤、有機滑剤、末端封鎖剤、鎖連結剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、抗菌剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、抗酸化剤、イオン交換剤、粘着性付与剤、消泡剤、着色顔料、染料などが使用できる。
(多孔性フィルムの製造方法)
以下に多孔性フィルムの具体的な製造方法について説明するがこれに限定されるものではない。
本発明の多孔性フィルムを構成する組成物、つまり、ポリ乳酸系樹脂(A)および必要に応じ、熱可塑性樹脂(B)、充填剤(C)などのその他成分をベント孔付き2軸押出機にて溶融押出して、リップ間隔0.5〜3mmのスリット状の口金から吐出し、20〜80℃、好ましくは45〜60℃の表面温度に設定した金属製冷却キャスティングドラム上に、直径0.5mmのワイヤー状電極を用いて静電印加して密着させ、無配向キャストフィルムを得る。
こうして得られた無配向フィルムを、加熱ロール上で搬送することによって縦延伸を行う温度まで昇温する。昇温には赤外線ヒーターなど補助的な加熱手段を併用しても良い。延伸温度の好ましい範囲は50〜90℃であり、より好ましくは55〜85℃、さらに好ましくは60〜80℃である。このようにして昇温した無配向フィルムを、加熱ロール間の周速差を用いてフィルム長手方向に1段、もしくは2段以上の多段で延伸を行う。合計の延伸倍率は1.5〜5倍が好ましく、より好ましくは2〜4倍である。
このように一軸延伸したフィルムをいったん冷却した後、フィルムの両端部をクリップで把持してテンターに導き、幅方向の延伸を行う。延伸温度は55〜95℃が好ましく、より好ましくは60〜90℃、さらに好ましくは65〜85℃である。延伸倍率は1.5〜5倍が好ましく、より好ましくは2〜4倍である。
延伸は縦、あるいは横のみの一軸延伸でも構わないし、縦・横の二軸延伸でも構わない。また、必要に応じて、再縦延伸および/または再横延伸を行ってもよい。次に、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱固定する。好ましい熱処理温度は95〜180℃であり、より好ましくは125〜175℃、さらに好ましくは155〜170℃である。熱処理温度を175℃以下とすることで、フィルム破れを抑制することが出来る。熱処理時間は0.2〜30秒の範囲で行うことが好ましく、より好ましくは1〜10秒、さらに好ましくは2〜5秒である。弛緩率は、幅方向の熱収縮率を低下させる観点から1〜10%であることが好ましく、より好ましくは3〜5%である。熱固定処理を行う前にいったんフィルムを冷却することがさらに好ましい。さらに、フィルムを室温まで、必要に応じ長手および幅方向に弛緩処理を施しながら、フィルムを冷やして巻き取り、目的とする多孔性フィルムを得ることができる。
本発明では、特に、ステレオコンプレックス結晶を形成しうるポリ乳酸系樹脂(A)を用い、上記した好ましい条件でキャスト、延伸、熱処理を施すことでフィルムに耐熱性を付与できることを見出した。さらに、該フィルムは、ステレオコンプレックス結晶を有さないフィルムに比較し、透湿性が向上することを見出した。これは、延伸前の予熱による熱結晶化で一部形成したステレオコンプレックス結晶が起点となり延伸時に空孔が形成されること、延伸時の配向結晶化によりステレオコンプレックス結晶が成長すること、熱処理時にステレオコンプレックス結晶がさらに成長することが起因している、と考えられる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何
ら制限を受けるものではない。
[測定及び評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
(1)融解ピークの吸熱量(ΔHmsc)(J/g)
セイコーインスツル社製示差走査熱量計RDC220を用い、フィルム試料5mgをアルミニウム製受皿にセットし、25℃から昇温速度20℃/minで250℃まで昇温した。その昇温時に観測される融解ピークをもとに、融解ピーク温度、吸熱量を、JIS K 7121(1987)に準じて求めた。なお、ΔHmscは、190℃〜250℃の温度領域の融解ピークの吸熱量を合計することで求めた。
(2)空孔率(%)
フィルムを30mm×40mmの大きさに切取り試料とした。電子比重計(ミラージュ貿易(株)製SD−120L)を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて比重の測定を行った。測定を3回行い、平均値をそのフィルムの比重ρとした。
次に、測定したフィルムを280℃、5MPaで熱プレスを行い、その後、25℃の水で急冷して、空孔を完全に消去したシートを作成した。このシートの比重を上記した方法で同様に測定し、平均値を樹脂の比重(d)とした。フィルムの比重と樹脂の比重から、以下の式により空孔率を算出した。
空孔率(%)=〔(d−ρ)/d〕×100
(3)透湿性
25℃、90%RHに設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法に従って透湿度(g/(m・day))を測定した、
その透湿度の値を用いて、以下の基準にて評価した。
◎:1500g/(m・day)以上
○:1000g/(m・day)以上1500g/(m・day)未満
△:300g/(m・day)以上1000g/(m・day)未満
×:300g/(m・day)未満。
(4)耐熱性
フィルムを、ヒートシーラー(TP−701S HEAT SEAL TESTERインパルスシーラー)を用いて2秒間、5kgf/m2の条件で熱圧着を行った後の形状を目視にて観察し、しわや縮みの有無を確認した。ヒートシーラーの設定温度を10℃刻みで変更し、しわや縮みが認められなかった最も高い温度を耐熱温度(℃)とた。その耐熱温度の値を用いて、以下の基準にて評価した。
◎:120℃以上
○:100℃以上120未満
△:80℃以上100℃未満
×:80℃未満。
[ポリ乳酸系樹脂(A)]
(A1)
L−ラクチド50部を撹拌装置のついた反応容器中で、窒素雰囲気下、120℃で均一に溶解させた後、温度を150℃にし、オクチル酸錫0.05部を加え、30分間重合反応させることにより、L−乳酸単位からなるポリ乳酸(A1a)を得た。
次に、D−ラクチド50部を撹拌装置のついた反応容器中で、窒素雰囲気下、120℃で均一に溶解させた後、温度を150℃にし、オクチル酸錫0.05部を加え、30分間重合反応させることにより、D−乳酸単位からなるポリ乳酸(A1b)を得た。
A1a:25部、A1b:25部およびオクチル酸錫:0.05部をベント付き二軸押出機にて、減圧下、220℃で溶融混練し、ストランドカッターでペレタイズすることにより、A1aとA1bの混合物からなるペレットを得た。このペレットを真空乾燥機に入れ、13.3Pa、140℃で20時間、180℃で30時間反応させて、ポリ乳酸系樹脂A1を得た。質量平均分子量は160,000であった。
なお、上記の質量平均分子量は 日本Warters(株)製、Warters2690を用い、ポリメチルメタクリレートを標準とし、カラム温度40℃、クロロホルム溶媒を用いて測定した。
(A2)
ポリ乳酸樹脂、質量平均分子量=20,000、D体含有量=98.5%
(A3)
ポリ乳酸樹脂、質量平均分子量=200,000、D体含有量=1.4%
(A4)
ポリ乳酸樹脂、質量平均分子量=200,000、D体含有量=12.0%
[熱可塑性樹脂(B)]
(B1)
ポリブチレンアジペート・テレフタレート樹脂(BASF社製、商品名“エコフレックス”FBX7011)
(B2)
数平均分子量8,000のポリエチレングリコール62質量部とL−ラクチド38質量部とオクチル酸スズ0.05質量部を混合し、撹拌装置付きの反応容器中で、窒素雰囲気下160℃で3時間重合することで、数平均分子量8,000のポリエチレングリコールの両末端に数平均分子量2,500のポリ乳酸セグメントを有するブロック共重合体可塑剤B2を得た。
[充填剤(C)]
(C1)
炭酸カルシウム(三共製粉、商品名“トップフローH200”、平均粒子径2.1μm)
[多孔性フィルムの作成]
(実施例1)
ポリ乳酸系樹脂(A1)25質量部、ポリ乳酸樹脂(A4)35質量部、ポリブチレンアジペート・テレフタレート樹脂(B1)20質量部、ブロック共重合体可塑剤(B2)20質量部、充填剤(C1)70質量部の混合物をシリンダー温度220℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、均質化した後にペレット化して組成物を得た。
この組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度60℃で12時間真空乾燥した。
この組成物のペレットをシリンダー温度220℃の単軸押出機に供給し、Tダイ口金温度200℃でフィルム状に押し出し、50℃のドラム上にキャストして無配向フィルムを作製した。この無配向フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、温度70℃で3倍延伸した。この一軸配向フィルムをいったん冷却ロール上で冷却した後、両端をクリップで把持してテンター内に導き、幅方向に温度70℃で3倍延伸した。続いて定長下、温度155℃で5秒間熱処理後、幅方向に5%の弛緩処理を施し、厚さ20μmの多孔性フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
(実施例2〜7、比較例3)
フィルムの組成と製造条件を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。なお、実施例5は縦横ともに3倍延伸不可であっため、2.5倍延伸品の物性を示した。
(比較例1)
フィルムの組成を表1のように変更し、実施例1と同様の製造条件で延伸を試みたものの、延伸不可であった。従って、厚さ20μmの無延伸フィルムを表1に記載の条件で熱処理したものの物性を表1に示した。
(比較例2)
ポリ乳酸樹脂(A3)15質量部、ポリ乳酸樹脂(A4)45質量部、ポリブチレンアジペート・テレフタレート樹脂(B1)20質量部、ブロック共重合体可塑剤(B2)20質量部および充填剤(C1)70質量部の混合物をシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付き2軸押出機に供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、均質化した後にペレット化して組成物を得た。この組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度60℃で12時間真空乾燥した。
乾燥されたペレットをシリンダー温度190℃の単軸押出機に供給し、Tダイ口金温度190℃でフィルム状に押し出し、20℃に冷却したドラム上にキャストして無配向フィルムを作製した。この無配向フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、温度70℃で3倍延伸した。この一軸配向フィルムをいったん冷却ロール上で冷却した後、両端をクリップで把持してテンター内に導き、幅方向に温度70℃で3倍延伸した。続いて定長下、温度120℃で10秒間熱処理後、幅方向に5%の弛緩処理を施し、厚さ20μmの多孔性フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示した。
Figure 2015021105
表中、樹脂(A)と樹脂(B)の「質量%」とは、樹脂(A)と樹脂(B)の合計100質量%における値(質量%)であり、充填剤(C)の「質量部」とは、樹脂(A)+樹脂(B)=100質量部とした際の値(質量部)である。
本発明の多孔性フィルムは、柔軟性、透湿性、かつ耐熱性に優れた、主にポリ乳酸系樹脂からなる多孔性フィルムであり、マルチフィルムや薫蒸シート等の農林業用材料、ベッドシーツ、枕カバー、衛生ナプキン、紙おむつといった用途で使用される透湿防水フィルム等の衛生材料、細胞培養用シート等の医療材料、雨天用衣類、手袋等の衣料用材料、ゴミ袋や堆肥袋、あるいは野菜や果物等の食品用袋、各種工業製品の袋等の包装材料、各種セパレーター等の工業材料等に使用できる。

Claims (4)

  1. ポリ乳酸系樹脂(A)を含む多孔性フィルムであって、
    空孔率が1〜80%であり、
    示差走査型熱量計にて20℃/minの速度で昇温した際に、190〜250℃の温度領域に少なくともひとつの融解ピークを有し、190〜250℃の温度領域の融解ピークの吸熱量の合計をΔHmsc(J/g)としたとき、次の条件を満たす多孔性フィルム。
    3≦ΔHmsc≦20
  2. ポリ乳酸系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)を含む、請求項1に記載の多孔性フィルム。
  3. ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計100質量部に対して、充填剤(C)を1〜400質量部含む、請求項1または2に記載の多孔性フィルム。
  4. 熱可塑性樹脂(B)が、ポリエーテルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体、ポリエステルセグメントとポリ乳酸セグメントとを有するブロック共重合体、ポリ乳酸以外の脂肪族ポリエステル系樹脂、および脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性フィルム。
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