JP2017178534A - 調速機及びエレベーター - Google Patents

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Yuji Sakai
悠至 酒井
中山 徹也
Tetsuya Nakayama
徹也 中山
薫 平野
Kaoru Hirano
薫 平野
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Abstract

【課題】保守点検作業を容易に行うことができる調速機及びエレベーターを提供する。【解決手段】調速機10は、支軸11を有するフレーム2と、綱車3と、振り子4、5と、係合部材43を有する作動機構7と、ロープ規制機構8と、保持機構9と、を備えている。また、保持機構9は、フレーム2に回動可能に支持された保持部材51を有している。そして、保持部材9は、係合部材43が通常待機位置から保守点検位置に移動した際に、係合部材51に押圧されて回動し、その後係合部材51を保守点検位置で保持する。【選択図】図2

Description

本発明は、乗りかごの昇降速度を常時監視する調速機及び、この調速機を備えたエレベーターに関するものである。
従来、エレベーターは、乗りかごと、釣合錘と、乗りかごと釣合錘とを連結するロープと、このロープが巻回される巻上機とを備えている。また、エレベーターには、乗りかごの昇降速度を常時監視して、所定の速度以上の速度に達した乗りかごを非常停止させるための調速機が備えられている。
具体的には、調速機は、乗りかごの昇降速度が定格速度を超えて第1過速度(通常は定格速度の1.3倍)に達すると、乗りかごを駆動する巻上機の電源及びこの巻上機を制御する制御装置の電源をそれぞれ遮断する。また、調速機は、乗りかごの下降速度が第1過速度を超えて第2過速度(通常は定格速度の1.4倍)に達すると、乗りかごに設けられた非常停止装置を動作させて、乗りかごを機械的に非常停止させる。
また、エレベーターの保守点検時では、調速機のフライウエイトを示す振り子に設けた振り子爪と、作動機構の係合部材を意図的に係合させて、非常止め装置を動作させる点検が行われ、エレベーターの安全機能が確認される。例えば、特許文献1には、ガバナウエイトの外周位置に、通常は待機位置に保持され保守点検時に作動体側に移動する作動片が設けられた技術が記載されている。また、この特許文献1では、保守点検時に作動片を介してガバナウエイトの爪部と作動体とを係合させるように構成し、綱車を回転自在に支持する支軸に、作動片が移動された時、この移動時の位置を保持させる保治具を備えた技術が記載されている。
特開2009−113939号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、保治具の引っ掛かり部に作動片を引っ掛けるためには、作動片が設けられた保守用腕を、作動片と引っ掛かり部が干渉しない位置まで一度回転させてから、作動片を移動させる必要があった。そのため、特許文献1に記載された技術では、作動片を保治具に保持させる作業が困難であるため、保守点検作業が大変煩雑なものとなる、という問題を有していた。
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、保守点検作業を容易に行うことができる調速機及びエレベーターを提供することにある。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の調速機は、支軸を有するフレームと、綱車と、振り子と、作動機構と、ロープ規制機構と、保持機構と、を備えている。綱車は、支軸に回転可能に支持され、乗りかごに接続された調速機ロープが巻き掛けられている。振り子は、綱車に固定された回転支持体に回動可能に取り付けられ、綱車が回転した場合に作用する遠心力により回動する。作動機構は、振り子と係合する係合部材を有し、支軸に回動可能に支持されている。ロープ規制機構は、作動機構に連結され、作動機構の回動により動作して調速機ロープを制動する。保持機構は、係合部材を保持する。
係合部材は、遠心力による回動する前の振り子と係合しない通常待機位置と、遠心力による回動する前の振り子と係合する保守点検位置に移動可能に構成されている。
また、保持機構は、フレームに回動可能に支持された保持部材を有している。そして、保持部材は、係合部材が通常待機位置から保守点検位置に移動した際に、係合部材に押圧されて回動し、その後係合部材を保守点検位置で保持する。
また、本発明のエレベーターは、昇降路を昇降する乗りかごと、調速機ロープと、非常止め装置と、調速機と、を備えている。調速機ロープは、乗りかごに接続され、乗りかごと一緒に移動する。非常止め装置は、乗りかごの昇降動作を停止させる。調速機は、乗りかごの昇降速度が定格速度よりも速い過速度に達した場合に、非常止め装置を動作させて乗りかごを停止させる。また、調速機としては、上述した調速機が用いられる。
本発明の調速機及びエレベーターによれば、保守点検作業を容易に行うことができる。
実施の形態例にかかるエレベーターを示す概略構成図である。 実施の形態例にかかる調速機を示す正面図である。 図2に示すM−M線に沿う断面図である。 図3に示すN−N線に沿う断面図である。 図3に示すL−L線に沿う断面図である。 実施の形態例にかかる通常運転時の調速機の状態を示す説明図である。 実施の形態例にかかる作動機構のスライド部材を移動させた状態を示す説明図である。 実施の形態例にかかる作動機構のスライド部材を保守点検位置まで移動させた状態を示す説明図である。 図8に示す状態から綱車を回転させた状態を示す説明図である。 実施の形態例にかかる保守点検時の調速機の状態を示す説明図である。 実施の形態例にかかる綱車を逆回転させた状態を示す説明図である。 実施の形態例にかかる作動機構が通常待機位置に復帰する状態を示す説明図である。
以下、実施の形態例にかかる調速機及びエレベーターについて、図1〜図12を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
1.エレベーター及び調速機の構成
1−1.エレベーターの構成
まず、本発明の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかるエレベーターの構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本例のエレベーターの構成例を示す概略構成図である。
図1に示すように、本例のエレベーター1は、建物構造物内に形成された昇降路110内を昇降動作する。エレベーター1は、人や荷物を載せる乗りかご120と、主ロープ130と、釣合錘140と、巻上機100と、調速機10と、を備えている。また、エレベーター1は、非常止め装置190と、かご用ガイドレール201と、錘用ガイドレール202とを備えている。
乗りかご120は、昇降路110内に配置されている。乗りかご120には、スライダ121が設けられている。スライダ121は、昇降路110内に上下方向に沿って設置されたかご用ガイドレール201に摺動可能に係合する。そして、乗りかご120は、かご用ガイドレール201に沿って昇降路110内を昇降方向に昇降する。また、乗りかご120の上端部には、主ロープ130が接続されている。
主ロープ130の一端は、乗りかご120に接続され、主ロープ130の他端は、釣合錘140の上部に接続されている。釣合錘140には、錘用スライダ141が設けられている。錘用スライダ141は、昇降路110内に上下方向に沿って設置された錘用ガイドレール202に摺動可能に係合する。そして、釣合錘140は、錘用ガイドレール202に沿って昇降路110内を乗りかご120とは反対向きに昇降する。
主ロープ130は、巻上機100に巻き掛けられている。巻上機100は、昇降路110の上部に設けた不図示の機械室に設置されている。巻上機100の近傍には、主ロープ130が装架される反らせ車150が設けられている。また、巻上機100の近傍には、調速機10が設置されている。
調速機10は、かご用ガイドレール201の上下方向の上部に設けた載置台160に載置されている。調速機10の後述する綱車3には、調速機ロープ181が巻き掛けられている。調速機ロープ181は、その軸方向の両端が連結された、いわゆる無端状に形成されている。調速機ロープ181には、接続部材182が設けられている。この接続部材182には、非常止め装置190の連結部材191が接続されている。
また、昇降路110の昇降方向の下部には、張り車183が設置されている。張り車183は、昇降路110の昇降方向の下部に設置された張り車用錘161により下方向に張力を与えられている。また、張り車183は、昇降方向において調速機10の綱車3と対向している。そして、調速機ロープ181は、張り車183に巻き掛けられている。調速機ロープ181は、乗りかご120の昇降動作に合わせて、調速機10の綱車3と張り車183の間を循環移動する。そのため、調速機ロープ181の循環速度と、乗りかご120の昇降速度は、互いに連動している。そして、調速機10は、調速機ロープ181の循環速度から乗りかご120の昇降速度を検出する。
非常止め装置190は、乗りかご120に設けられている。非常止め装置190は、連結部材191により駆動する。非常止め装置190は、駆動するとかご用ガイドレール201を把持し、乗りかご120の昇降動作を停止させる。
調速機10は、乗りかご120の昇降速度が定格速度を超えて第1過速度(通常は定格速度の1.3倍)に達すると、不図示の制御部に信号を出力する。そして、制御部は、乗りかご120を昇降させる巻上機100の電源及び巻上機100を制御する制御装置の電源をそれぞれ遮断する。
また、調速機10は、乗りかご120の昇降速度が第1過速度を超えて第2過速度(通常は定格速度の1.4倍)に達すると、連結部材191を介して非常止め装置190を動作させる。これにより、乗りかご120の昇降動作が機械的に停止する。
1−2.調速機の構成
次に、図2から図6を参照して調速機について説明する。
図2は、調速機を示す正面図、図3は図2に示すM−M線断面図である。図4は図3に示すN−N線断面図、図5は図3に示すL−L線断面図である。また、図6は通常運転時の状態を示す説明図である。なお、図2では、後述するフレーム2の正面部22の一部を切り欠いて示す。
図2に示すように、調速機10は、フレーム2と、綱車3と、第1振り子4と、第2振り子5と、回転支持体6と、作動機構7と、ロープ規制機構8と、保持機構9と、支軸11と、第1平衡ばね16と、第2平衡ばね17とを有している。
図2及び図3に示すように、フレーム2は、載置面部21と、正面部22と、背面部23とを有している。載置面部21は、載置台160(図1参照)に固定されている。載置面部21における一端部からは正面部22が略垂直に連続している。また、載置面部21における他端部からは背面部23が略垂直に連続している。そして、正面部22と背面部23は、互いに対向している。また、正面部22には、開口部2aが形成されている。
正面部22と背面部23の上端部には、支軸11が固定されている。支軸11は、正面部22に形成した開口部2aよりも上下方向の上側に固定される。支軸11には、綱車3が回転可能に支持されている。綱車3の外周面には、溝部3aが設けられている。溝部3aは、綱車3の外周面から半径方向の内側に向けて凹んだ凹部である。この溝部3aには、調速機ロープ181が巻き掛けられている。
上述したように調速機ロープ181は、乗りかご120(図1参照)に接続されている。そして、調速機ロープ181は、乗りかご120と一緒に移動して綱車3を回転させる。本例の調速機10では、乗りかご120が降下すると、綱車3が支軸11を中心としたR1方向へ回転する。また、乗りかご120が上昇すると、綱車3が支軸11を中心としたR2方向へ回転する。
図2及び図4に示すように、綱車3には、回転支持体6が固定されている。回転支持体6は、円形の平板状に形成されている。回転支持体6は、綱車3の同心円上に配置されている。そして、回転支持体6は、綱車3と一体に回転する。
回転支持体6には、ばね固定部材12が固定されている。ばね固定部材12は、支軸11を間に挟んで第1固定部12aと、第2固定部12bとを有している。第1固定部12aには、第1平衡ばね16の一端が固定されている。また、第2固定部12bには、第2平衡ばね17の一端が固定されている。
また、回転支持体6には、第1振り子軸14と第2振り子軸15が固定されている。第1振り子軸14と第2振り子軸15は、支軸11を間に挟んだ状態で互いに対向する位置に配置されている。
第1振り子4は、回転支持体6に固定された第1振り子軸14に回動可能に支持されている。また、第2振り子5は、回転支持体6に固定された第2振り子軸15に回動可能に支持されている。第1振り子4及び第2振り子5は、略円弧状に形成されている。第1振り子軸14は、第1振り子4の重心からずれた位置を貫通している。同様に、第2振り子軸15は、第2振り子5の重心からずれた位置を貫通している。
第1振り子4は、第1振り子軸14を境にした一端部4aと、他端部4bとを有している。そして、一端部4aは、他端部4bよりも重く設定されている。第2振り子5は、第2振り子軸15を境にした一端部5aと、他端部5bとを有している。そして、一端部5aは、他端部5bよりも重く設定されている。
綱車3と一緒に回転支持体6が回転すると、遠心力により第1振り子4が第1振り子軸14を中心に回動し、同様に、遠心力により第2振り子5が第2振り子軸15を中心に回動する。そして、第1振り子4及び第2振り子5の一端部4a、5aは、支軸11から離れる方向(半径方向の外側)に変位し、第1振り子4及び第2振り子5の他端部4b、5bは、支軸11に接近する方向(半径方向の内側)に変位する。
第1振り子4の他端部4bには、第1平衡ばね16が固定されている。第1平衡ばね16の一端部は、上述したようにばね固定部材12の第1固定部12aに固定され、第1平衡ばね16の他端部は、第1振り子4の他端部4bに固定される。第1平衡ばね16は、第1振り子4の他端部4bが支軸11に接近する方向へ変位することに対して抵抗力を生じさせる。すなわち、第1振り子4に作用する遠心力が第1平衡ばね16の抵抗力を越えた場合に、第1平衡ばね16が弾性変形(圧縮)し、第1振り子4が第1振り子軸14を中心に回動する。
また、第2振り子5の他端部5bには、第2平衡ばね17が固定されている。第2平衡ばね17の一端部は、上述したようにばね固定部材12の第2固定部12bに固定され、第2平衡ばね17の他端部は、第2振り子5の他端部5bに固定される。第2平衡ばね17は、第2振り子5の他端部5bが支軸11に接近する方向へ変位することに対して抵抗力を生じさせる。すなわち、第2振り子5に作用する遠心力が第2平衡ばね17の抵抗力を越えた場合に、第2平衡ばね17が弾性変形(圧縮)し、第2振り子5が第2振り子軸15を中心に回動する。
第1平衡ばね16及び第2平衡ばね17のばね定数は、同じ値に設定されている。また、図4に示すように、第1振り子4及び第2振り子5が回動する前の状態における、第1振り子4の他端部4bと第1固定部12aの間隔と、第2振り子5の他端部5bと第2固定部12bの間隔は、同じ長さに設定されている。そのため、第1振り子4と第2振り子5は、遠心力が作用した場合の変位量(回転量)が同じになる。
なお、本例の調速機10では、振り子付勢部材の一例として第1平衡ばね16と第2平衡ばね17の2つの圧縮コイルばねを設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1振り子4と第2振り子5を連結棹により連結することで、遠心力が作用した場合の変位量が同じになるようにした場合、平衡ばねを1つだけ設け、第1振り子4及び第2振り子5のうちいずれか一方に平衡ばねを固定するようにしてもよい。
第1振り子4の一端部4aには、第1振り子爪18が設けられている。第1振り子爪18は、一端部4aにおける半径方向の外側において綱車3が支軸11を中心に回転するR1方向(図2参照)の端部から突出している。また、第2振り子5の一端部5aには、第2振り子爪19が設けられている。第2振り子爪19は、一端部5aにおける半径方向の外側において綱車3が支軸11を中心に回転するR1方向(図2参照)の端部から突出する。遠心力により第1振り子4及び第2振り子5が回動して、一端部4a、5aが支軸11から離れる方向に変位すると、第1振り子爪18と第2振り子爪19のうちどちらか一方が、作動機構7の後述する係合部材43の係合片43bに係合する。
図5に示すように、作動機構7は、アーム部材41と、スライド部材42と、係合部材43と、当接ピン45を有している。アーム部材41は、略矩形をなす板状に形成されている。アーム部材41は、不図示の軸受け孔を介して支軸11に回転可能に支持されている。
アーム部材41は、摺動部41aと、第1当接部41bと、第2当接部41cと、接続部41dとを有している。また、アーム部材41には、厚み方向に貫通する軸受け孔41eが設けられている(図3参照)。軸受け孔41eは、アーム部材41の長手方向の中心からずれた位置に形成されている。軸受け孔41eには、支軸11が貫通する。これにより、アーム部材41は、軸受け孔41eを介して支軸11に回転可能に支持される。
摺動部41a、第1当接部41b及び第2当接部41cは、軸受け孔41eよりもアーム部材41の長手方向の一側に形成されている。そして、摺動部41a、第1当接部41b及び第2当接部41cは、アーム部材41を支軸11に取り付けた際に、通常運転時では、支軸11よりも上下方向の下側に配置される。
摺動部41aは、アーム部材41の長手方向に沿って所定の長さで形成されている。摺動部41aは、スライド部材42及び係合部材43を摺動可能に支持する。摺動部41aにおける長手方向の一端部には、第1当接部41bが設けられている。また、摺動部41aにおける長手方向の他端部には、第2当接部41cが設けられている。
第1当接部41b及び第2当接部41cにおける幅方向(短手方向)の長さは、摺動部41aの幅方向の長さよりも長く設定されている。第1当接部41b及び第2当接部41cには、摺動部41aを摺動するスライド部材42が当接する。また、アーム部材41を支軸11に取り付け際、第1当接部41bは、摺動部41aの上下方向の下側に位置し、第2当接部41cは、摺動部41aの上下方向の上側に位置する。すなわち、第1当接部41bは、摺動部41a及び第2当接部41cよりも支軸11から離れた位置(半径方向の外側)に配置される。そして、第2当接部41cは、摺動部41a及び第1当接部41bよりも支軸11に接近した位置(半径方向の内側)に配置される。
接続部41dは、軸受け孔41eよりもアーム部材41の長手方向の他側に形成されている。そして、接続部41dは、アーム部材41を支軸11に取り付けた際に、支軸11よりも上下方向の上側に配置される。接続部41dには、接続軸25が固定されている。接続軸25は、接続部41dの一面から突出している。接続軸25は、ロープ規制機構8の後述する接続レバー31を回転可能に支持する。
スライド部材42は、水平方向で切断した形状が略コの字状に形成されている。スライド部材42は、長方形状に形成された主面部42aと、屈曲部42b(図3参照)とを有している。屈曲部42bは、主面部42aの長手方向の両端部から略垂直に屈曲している。主面部42aは、アーム部材41における摺動部41aの一面と対向する。また、屈曲部42bは、摺動部41aの幅方向の両端部と対向する。そして、屈曲部42bは、アーム部材41の第1当接部41b又は第2当接部41cに当接する。スライド部材42は、主面部42aを摺動部41aの一面と対向させた状態で、固定ボルト47を介して係合部材43に固定される。
係合部材43は、支持片43aと、係合片43bとを有している。支持片43aは、矩形をなす平板状に形成されている。図3に示すように、支持片43aは、アーム部材41における摺動部41aの他面と対向した状態で、固定ボルト47を介してスライド部材42に固定される。すなわち、スライド部材42と支持片43aは、アーム部材41の摺動部41aを間に挟んだ状態で対向する。そして、スライド部材42及び係合部材43は、摺動部41aに摺動可能に支持される。
支持片43aの短手方向の一端部には、係合片43bが略垂直に連続している。図3に示すように、係合片43bは、係合部材43をアーム部材41に取り付けた際に、支持片43aの上下方向の下端部から綱車3側に向けて突出する。
また、図5に示すように、通常運転時では、スライド部材42及び係合部材43は、摺動部41aの上下方向の下端部、すなわち支軸11から離れた箇所に位置している。以下、このときのスライド部材42及び係合部材43の位置を通常待機位置という。そして、図4に示すように、第1振り子4及び第2振り子5が回動していない状態では、係合片43bは、第1振り子爪18及び第2振り子爪19よりも支軸11から離れた箇所に位置し、第1振り子爪18及び第2振り子爪19と係合しない。また、第1振り子4及び第2振り子5が回動した場合、係合片43bは、第1振り子爪18と第2振り子爪19のうちどちらか一方と係合する。
さらに、保守点検時では、スライド部材42及び係合部材43は、摺動部41aを摺動し、摺動部41aの上下方向の上端部、すなわち支軸11に接近した箇所に配置される。以下、このときのスライド部材42及び係合部材43の位置を保守点検位置という。このとき、係合片43bは、第1振り子4及び第2振り子5が回動していない状態の第1振り子爪18及び第2振り子爪19と係合可能な位置に配置される。
当接ピン45は、スライド部材42の主面部42aに固定されている。図3に示すように、当接ピン45は、主面部42aの一面から支軸11と離れる方向に向けて突出する。また、スライド部材42をアーム部材41に取り付けた際、当接ピン45は、フレーム2における正面部22の開口部2a内に配置される。そして、当接ピン45は、開口部2aからフレーム2の外側に向けて突出する。この当接ピン45は、保持機構9の保持部材51及び戻り規制部材52に当接する。
図2に示すように、ロープ規制機構8は、接続レバー31と、ばね軸32と、把持腕33と、付勢ばね34と、制動シュー35とを有している。接続レバー31は、棒状に形成されている。接続レバー31における軸方向の一端部は、アーム部材41の接続部41dに固定された接続軸25に回転可能に支持されている。
ばね軸32は、接続レバー31の他方の端部に摺動可能に挿入されている。ばね軸32における接続レバー31と反対側の端部には、ばね受け部32aが設けられている。そして、ばね軸32は、把持腕33と、付勢ばね34を貫通している。
把持腕33は、ばね軸32が貫通する軸貫通部33aと、この軸貫通部33aに連続する被支持部33bとを有している。軸貫通部33aは、接続レバー31と付勢ばね34との間に配置されている。被支持部33bは、フレーム2の正面部22に固定された支持ピン36に回動可能に支持されている。
付勢ばね34は、例えば、圧縮コイルばねである。付勢ばね34は、ばね受け部32aと把持腕33の間に介在されている。把持腕33の軸貫通部33aを接続レバー31側へ付勢している。すなわち、付勢ばね34の一端は、ばね受け部32aに当接しており、付勢ばね34の他端は、把持腕33の軸貫通部33aに当接している。
なお、本例では、把持腕33の軸貫通部33aを接続レバー31側へ付勢する付勢部材として、圧縮コイルばねを適用したが、付勢部材としては、圧縮コイルばねに限定されるものではなく、圧縮コイルばね以外のばねであってもよい。または、付勢部材としては、ゴムなどの他の弾性部材を適用してもよい。
制動シュー35は、把持腕33の被支持部33bに設けた支持軸33cに回動可能に支持されている。制動シュー35は、綱車3に巻き掛けられた調速機ロープ181に対向している。この制動シュー35は、作動機構7に応じてロープ規制機構8が動作した場合に、調速機ロープ181に押し付けられる。
図2及び図6に示すように、保持機構9は、フレーム2の正面部22における背面部23と対向する対向面と反対側の正面に配置されている。保持機構9は、正面部22に形成した開口部2aの近傍に設けられている。保持機構9は、保持部材51と、戻り規制部材52と、第1回動軸53と、第2回動軸54と、第1固定板55と、第2固定板56と、保持側ストッパ57と、規制側ストッパ58とを有している。
第1固定板55は、正面部22の開口部2aの外縁部における綱車3が支軸11を中心に回転するR1方向(図2参照)の上流側の端部に、固定ねじ61を介して固定されている。また、第1固定板55には、保持側ストッパ57が固定されている。保持側ストッパ57は、固定ねじ61よりも上下方向の下方に固定されている。保持側ストッパ57は、第1固定板55から水平方向に略垂直に突出している。保持側ストッパ57として、例えば、第1固定板55を固定する固定ねじ61を適用してもよい。
また、第1固定板55における固定ねじ61と保持側ストッパ57における上下方向の略中間部には、第1回動軸53が固定されている。第1回動軸53は、第1固定板55から水平方向に略垂直に突出している。第1回動軸53は、保持部材51を回動可能に支持する。
保持部材51は、略L字状に形成されている。保持部材51は、保持片51aと、ストッパ片51bとを有している。保持片51aとストッパ片51bは、略垂直に連続している。
保持片51aにおけるストッパ片51bと反対側の端部、すなわち先端部には、先端部に近づくにつれてその厚みが連続して小さくなるテーパーが形成されている。なお、保持片51aの先端部は、テーパーを形成するものに限定されるものではなく、保持片51aの先端部を略半球状に形成してもよい。また、保持部材51における保持片51aとストッパ片51bの中間部が第1回動軸53に回動可能に支持されている。
通常運転時には、保持部材51は、自重により保持片51aが支軸11から離れる方向に回転し、ストッパ片51bが保持側ストッパ57に当接する。そのため、保持部材51は、保持側ストッパ57により、保持片51aがスライド部材42及び係合部材43の保守点検位置から通常待機位置に向かう方向への回動が規制されている。保持片51aは、水平方向と略平行に保持されている。そして、保持片51aは、作動機構7の当接ピン45よりも上下方向の上側に位置している。
なお、本例では、保持部材51を保持片51aとストッパ片51bが略垂直に連続する略L字状に形成した例を説明したが、これに限定されるものではない。保持部材51としては、通常運転時に、保持片51aが水平方向と略平行に保持される形状であればよい。そのため、保持部材として、例えば、棒状又は平板状の保持片で構成し、保持片の基端部を第1軸に回動可能に支持させてもよい。そして、保持片の上下方向の下側にこの保持片と当接する保持側ストッパを設けてもよい。
第2固定板56は、開口部2aの外縁部における上下方向の上側において、支軸11の上下方向の下側に固定ねじ61を介して正面部22に固定されている。第2固定板56には、規制側ストッパ58が固定されている。規制側ストッパ58は、固定ねじ61よりも第2固定板56の一側、具体的には固定ねじ61よりも綱車3が支軸11を中心に回転するR1方向(図2参照)の上流側に固定されている。規制側ストッパ58は、第2固定板56から水平方向に略垂直に突出している。規制側ストッパ58として、例えば、第2固定板56を固定する固定ねじ61を適用してもよい。
また、第2固定板56における固定ねじ61と規制側ストッパ58における略中間部には、第2回動軸54が固定されている。第2回動軸54は、第2固定板56から水平方向に略垂直に突出している。第2回動軸54は、戻り規制部材52を回動可能に支持する。
戻り規制部材52は、略L字状に形成されている。戻り規制部材52は、規制片52aと、ストッパ片52bとを有している。規制片52aとストッパ片52bは、略垂直に連続している。
規制片52aにおける第2回動軸54からの長さT1は、第2回動軸54と第1固定板55に取り付けられ、水平方向と略平行に保持された保持部材51の保持片51aの上下方向の間隔S1と等しくなるように設定されている。なお、規制片52aの長さT1は、第2回動軸54と保持片51aの上下方向における間隔S1と等しくするものに限定されるものでない。例えば、規制片52aの長さT1を、第2回動軸54と保持片51aの上下方向における間隔S1よりも短くしてもよい。この場合、規制片52aの長さT1と第2回動軸54と保持片51aの上下方向における間隔S1の差が、当接ピン45の外径よりも短く設定される。
規制片52aの長さ及び重量は、ストッパ片52bの長さ及び重量と同じに設定されている。また、規制片52aにおけるストッパ片51bと反対側の端部、すなわち先端部には、先端部に近づくにつれてその厚みが連続して小さくなるテーパーが形成されている。なお、規制片52aの先端部は、テーパーを形成するものに限定されるものではなく、規制片52aの先端部を略半球状に形成してもよい。
戻り規制部材52における規制片52aとストッパ片52bの中間部が第2回動軸54に回転可能に支持されている。規制片52aの長さ及び重量と、ストッパ片52bの長さ及び重量が同じに設定されているため、通常運転時には、規制片52a及びストッパ片52bは、水平方向の釣り合いが取れた状態で、上下方向の下方を向く。このとき、規制片52aとストッパ片52bの中間部は、上下方向においてスライド部材42に設けた当接ピン45と対向する。
また、本例では、保持機構9を正面部22の正面側に配置した例を説明したが、これに限定されるものではなく、保持機構9を正面部22における背面部23と対向する対向面に配置してもよい。この場合、当接ピン45を開口部2aから突出させなくてもよい。
また、保持部材51、戻り規制部材52、保持側ストッパ57及び規制側ストッパ58を、第1固定板55及び第2固定板56を介さずに、フレーム2の主面部22に直接固定してもよい。
2.調速機の動作
2−1.通常運転時の調速機の動作
次に、上述した構成を有する調速機10の動作について説明する。まず、通常運転時の調速機10の動作について説明する。
図2に示すように、通常運転時のエレベーター1において、調速機10のアーム部材41の摺動部41a、第1当接部41b及び第2当接部41cは、支軸11の上下方向の下側に配置される。また、スライド部材42及び係合部材43は、アーム部材41の摺動部41aに摺動可能に支持されて、通常待機位置に配置される。したがって、係合部材43の係合片43bは、第1振り子爪18及び第2振り子爪19よりも支軸11から離れた位置(半径方向の外側)に配置される。
乗りかご120(図1参照)が下降すると、調速機ロープ181は、乗りかご120と一緒に移動して綱車3をR1方向へ回転させる。これにより、第1振り子4及び第2振り子5に遠心力が作用する。その遠心力が第1平衡ばね16及び第2平衡ばね17の抵抗力を越えると、第1振り子4は、第1振り子軸14を中心に回動し、第2振り子5は、第2振り子軸15を中心に回動する。
乗りかご120の下降速度が第1過速度(例えば、定格速度の1.3倍)に達すると、綱車3の外周部と対向して設置された不図示の検出スイッチが作動する。または、第1振り子4及び第2振り子5の一端部4a、5aの回転方向の外側に不図示の検出スイッチを設けてもよい。そして、第1振り子4及び第2振り子5の一端部4a、5aが不図示の検出スイッチに接触する。そして、調速機10は、検出信号を不図示の制御部に出力する。これにより、制御部は、巻上機100(図1参照)の電源及び巻上機100を制御する制御装置の電源をそれぞれ遮断する。
また、乗りかご120の下降速度が第2過速度(例えば、定格速度の1.4倍)に達すると、第1振り子4が第1振り子軸14を中心にさらに回動し、第2振り子5が第2振り子軸15を中心にさらに回動する。そして、第1振り子4に設けた第1振り子爪18又は第2振り子5に設けた第2振り子爪19が、係合部材43の係合片43bに係合する。これにより、アーム部材41が第1振り子4及び第2振り子5と共に、支軸11を中心にR1方向へ回動する。アーム部材41が回動すると、接続レバー31がR1方向へ移動して、把持腕33が支持ピン36を中心にR1方向へ回動する。
把持腕33がR1方向へ回動すると、制動シュー35が、綱車3に巻き掛けられた調速機ロープ181に押し付けられる。そのため、制動シュー35が、調速機ロープ181に張力を加え、調速機ロープ181の移動を規制する。その結果、調速機ロープ181に連結部材191を介して連結された非常止め装置190を(図1参照)作動させて、乗りかご120の下降を機械的に非常停止させる。
2−2.保守点検時の調速機の動作
次に、保守点検時の調速機10の動作について図6から図12を参照して説明する。
図7は、スライド部材42及び係合部材43を通常待機位置から移動させた状態を示す説明図、図8は、スライド部材42及び係合部材43を保守点検位置に移動させた状態を示す説明図である。図9は、綱車3をR1方向へ回転させた状態を示す説明図、図10は、保守点検時の状態を示す説明図である。図11は、綱車3をR2方向へ回転させた状態を示す説明図、図12は、スライド部材42及び係合部材43が通常待機位置に復帰する状態を示す説明図である。
本例の保守点検作業では、非常止め装置190が正常に作動するかを確認する。
図6に示すように、調速機10のアーム部材41の摺動部41a、第1当接部41b及び第2当接部41cは、支軸11の上下方向の下側に配置されている。また、スライド部材42及び係合部材43は、アーム部材41の摺動部41aに摺動可能に支持されて、通常待機位置に配置されている。
まず、図7に示すように、作業者は、スライド部材42を摺動部41aに沿って上下方向の上方へ、すなわち支軸11に接近する方向へ移動させる。なお、スライド部材42を移動させる作業は、例えば、スライド部材42に設けた不図示のワイヤを引っ張ることで行ってもよく、あるいは作業者の手によって直接スライド部材42を上方へ移動させてもよい。または、スライド部材42を上下方向に移動させるモーターを設け、このモーターを駆動させることで、スライド部材42を移動させてもよい。
そして、スライド部材42に固定された係合部材43も、スライド部材42と一緒に上下方向に上方へ移動する。ここで、スライド部材42に固定した当接ピン45の上下方向の上側には、保持部材51の保持片51aが配置されている。そのため、当接ピン45が保持片51aに当接し、保持部材51は、当接ピン45によって第1回動軸53を中心にR3方向に回動する。そのため、保持片51aは、水平方向と略平行な状態から先端部が上下方向の上方に向くように、跳ね上げられる。
図8に示すように、スライド部材42がアーム部材41の第2当接部41cまで当接するまで移動させると、当接ピン45が保持片51aの先端部を乗り越える。ここで、保持片51aの先端部には、テーパーが形成されている。そのため、当接ピン45が保持片51aの先端部をスムーズに乗り越えることができ、保守点検作業を容易に行うことができる。
当接ピン45が保持片51aの先端部を乗り越えると、保持部材51は、その自重により第1回動軸53を中心に、図7に示すR3方向と逆方向に回動する。そして、ストッパ片51bが保持側ストッパ57に当接することで、保持部材51の回動動作が停止する。このとき、保持部材51の保持片51aは、図6に示す通常運転時の状態と同様に、水平方向と略平行に保持される。
なお、本例では、保持部材51がその自重によって、図7に示す状態から図6に示す通常運転時の状態に戻る例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、保持部材51と第1回動軸53に、保持部材51をR3方向とは逆方向に付勢する、例えばねじりコイルばねからなる復帰用付勢部材を設けてもよい。これにより、図7に示す状態から図6に示す通常状態に、保持部材51をスムーズに戻すことができる。
また、保持部材51が通常運転時の状態に戻ることで、当接ピン45は、保持片51aにおける上下方向の上側の一面に載置される。また、上述したように、ストッパ片51bが保持側ストッパ57に当接することで、保持部材51は、保持片51aの先端部が上下方向の下方を向く方向、すなわち保守点検位置から通常待機位置に向かう方向への回動が規制されている。そのため、スライド部材42及び係合部材43は、作業者がスライド部材42に設けたワイヤや、スライド部材42から手を放しても、保持部材51によって保守点検位置に保持される。これにより、スライド部材42及び係合部材43を通常待機位置から保守点検位置まで容易に移動させることができる。
次に、乗りかご120(図1参照)を下降させる。これにより、綱車3、第1振り子4及び第2振り子5が支軸11を中心にR1方向に回転する。そして、図9に示すように、第1振り子爪18又は第2振り子爪19(本例では、第1振り子爪18)が、係合部材43の係合片43bに係合する。さらに、作業者の意図に反してスライド部材42及び係合部材43が通常待機位置に戻ることがないため、係合部材43の係合片43bと第1振り子爪18又は第2振り子爪19を容易に係合させることができ、保守点検作業の効率を向上させることができる。
その後、さらに乗りかご120が下降して綱車3、第1振り子4及び第2振り子5が回転すると、アーム部材41は、係合部材43を介して第1振り子4に押圧されて、支軸11を中心にR1方向に回動する。アーム部材41がR1方向に回動すると、当接ピン45は、戻り規制部材52の規制片52aに当接する。そのため、戻り規制部材52は、規制片52aを介して当接ピン45に押圧されて、第2回動軸54を中心にR4方向に回動する。
また、図10に示すように、アーム部材41がR1方向にさらに回動すると、乗りかご120の下降速度が第2過速度に達した場合と同様に、接続レバー31(図2参照)がR1方向へ移動して、把持腕33(図2参照)が支持ピン36を中心にR1方向へ回動する。把持腕33がR1方向へ回動すると、制動シュー35が、綱車3に巻き掛けられた調速機ロープ181に押し付けられて、調速機ロープ181に張力を加えると共に移動を規制する。その結果、調速機ロープ181に連結部材191を介して連結された非常止め装置190(図1参照)を作動させて、乗りかご120の下降を機械的に非常停止させる。
制動シュー35による調速機ロープ181への押し付けが完了した位置で、当接ピン45は、規制片52aの先端部を乗り越える。なお、規制片52aの長さT1(図6参照)は、制動シュー35による調速機ロープ181への押し付けが完了した際に、当接ピン45がその先端部を乗り越えることが可能な長さに設定されている。そして、戻り規制部材52は、その自重により第2回動軸54を中心に、図9に示すR4方向と逆方向に回動し、通常運転時の状態の位置に戻る。
ここで、規制片52aの長さ及び重量と、ストッパ片52bの長さ及び重量が同じに設定されているため、規制片52aとストッパ片52bとの水平方向の釣り合いが取れた状態である、戻り規制部材52を自動的に通常運転時の状態の位置に戻すことができる。
非常止め装置190の作動を確認した後、作業者は、乗りかご120を上昇させる。これにより、綱車3、第1振り子4及び第2振り子5がR2方向へ回転する。そのため、図11に示すように、第1振り子爪18と、係合部材43の係合片43bとの係合が解除される。そして、第1振り子4による係合部材43を介してのアーム部材41の押圧が解除される。アーム部材41は、自重により、R2方向へ回動し、通常運転時の状態である初期位置に復帰する。
アーム部材41がR2方向へ回動することで、当接ピン45は、戻り規制部材52の規制片52aに当接する。そして、戻り規制部材52は、規制片52aを介して当接ピン45に押圧されて、第2回動軸54を中心に、図9に示すR4方向と逆方向に回動する。また、アーム部材41がR2方向へ回動することで、スライド部材42及び係合部材43は、摺動部41aに沿って上下方向の下方へ摺動する。
戻り規制部材52がR4方向と逆方向に回動すると、戻り規制部材52のストッパ片52bが、規制側ストッパ58に当接する。これにより、戻り規制部材52におけるR4方向と逆方向への回動が停止し、戻り規制部材52がさらにR4方向と逆方向への回動することが規制される。このとき、ストッパ片52bが水平方向と略平行となり、規制片52aが上下方向と略平行となった状態で、戻り規制部材52の位置が保持される。
また、上述したように、規制片52aにおける第2回動軸54からの長さT1は、第2回動軸54と保持片51aの上下方向における間隔S1と等しく設定されている。そのため、保持部材51の保持片51aの上下方向の上側におけるR2方向からの空間、すなわち当接ピン45が保守点検位置に移動する通路が、規制片52aによって塞がれる。これにより、アーム部材41がR2方向へ回動しても、当接ピン45における保持片51aの上下方向の上側の空間への移動が規制される。そのため、スライド部材42及び係合部材43が、保守点検位置へ戻ることを防ぐことができる。
そして、図12に示すように、スライド部材42及び係合部材43は、その自重により摺動部41aに沿って上下方向の下方へ摺動する。また、当接ピン45は、保持部材51の保持片51aよりも上下方向の下方へ移動する。そして、スライド部材42及び係合部材43は、図6に示す通常待機位置に復帰する。さらに、戻り規制部材52は、規制片52aと当接ピン45の当接が解除されると、その自重により第2回動軸54を中心に自動的に回動し、通常運転時の状態の位置に戻る。これにより、本例の調速機10を用いた保守点検作業が完了する。
本例の調速機10によれば、綱車3をR2方向へ回動させることで、スライド部材42及び係合部材43を自動的に保守点検位置から通常待機位置に戻すことができる。これにより、保守点検が終了した後に、スライド部材42及び係合部材43の位置を通常待機位置に作業者が戻す作業を省略することができ、保守点検作業を簡略化することができる。
また、戻り規制部材52を設けたことで、スライド部材42及び係合部材43が通常待機位置に戻る際に、スライド部材42及び係合部材43が保守点検位置に移動することを防ぐことができる。その結果、保守点検が終了した後に、スライド部材42及び係合部材43を確実に、通常待機位置に戻すことができる。
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
なお、上述した実施の形態例は、スライド部材42及び係合部材43が自重によって摺動部41aを摺動し、通常待機位置に戻る例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、スライド部材42及び係合部材43を上下方向の下方、すなわちアーム部材41の第1当接部41bに向けて付勢する戻り用付勢部材を設けてもよい。これにより、スライド部材42及び係合部材43を確実に通常待機位置に戻すことができる。なお、スライド部材42及び係合部材43を保守点検位置まで移動させる場合は、戻り用付勢部材の付勢力に抗してスライド部材42及び係合部材43を移動させる。
また、通常運転時及び保守点検時とも、第1振り子爪18又は第2振り子爪19に係合部材43の係合片43bを係合させた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、通常運転時に第1振り子爪18又は第2振り子爪19と係合する通常時係合片と、保守点検時に第1振り子爪18又は第2振り子爪19と係合する保守点検時係合片の2つの係合片を設けてもよい。この場合、通常時係合片は、アーム部材に固定し、保守点検時係合片のみスライド部材と共に移動可能に構成することが好ましい。
これにより、通常時係合片と保守点検時係合片を別々に設けることで、一体に設けた例に比べてそれぞれの製品寿命を延ばすことができる。さらに、通常時係合片は、アーム部材に固定し、移動しないため、通常運転時に振り子爪を係合する際に、通常時係合片ががたつくことを防ぐことができ、エレベーターの安全性をより高めることができる。
本例の調速機10のように、通常時係合片と保守点検時係合片を係合片43bとして一体に構成することで、部品点数を削減することができ、調速機10の組み立て作業及び構造を簡略化することができる。
また、振り子爪を、振り子に遠心力が作用した際に支軸から離れる方向に変位する一端部に設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、振り子爪を、遠心力が作用した際に、支軸に接近する方向に変位する他端部に設けてもよい。この場合、振り子爪と係合する係合部材は、通常待機位置では振り子爪よりも支軸に接近する方向に配置され、保守点検位置では支軸から離れる方向に移動する。そして、通常運転時では、作動機構における係合部材及びスライド部材を、支軸よりも上下方向の上方に配置し、接続部を、支軸よりも上下方向の下方に配置することが好ましい。
さらに、係合部材43がアーム部材41の摺動部41aに沿って移動する例を説明したが、これに限定されるものではない。作動機構としては、アーム部材に係合片を固定し、アーム部材全体が、通常待機位置から保守点検位置まで移動するように構成してもよい。この場合、ロープ規制機構8の接続レバーとアーム部材との間に、リンク機構を設けることが好ましい。
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
1…エレベーター、 2…フレーム、 2a…開口部、 3…綱車、 4…第1振り子、 5…第2振り子、 6…回転支持体、 7…作動機構、 8…ロープ規制機構、 9…保持機構、 10…調速機、 11…支軸、 12…ばね固定部材、 14…第1振り子軸、 15…第2振り子軸、16…第1平衡ばね、 17…第2平衡ばね、 18…第1振り子爪、 19…第2振り子爪、 25…接続軸、 31…接続レバー、 32…ばね軸、 33…把持腕、 35…制動シュー、 36…支持ピン、 41…アーム部材、 41a…摺動部、 41b…第1当接部、 41c…第2当接部、 41d…接続部、 41e…軸受け孔、 42…スライド部材、 43…係合部材、 43a…支持片、 43b…係合片、 45…当接ピン、 51…保持部材、 51a…保持片、 51b…ストッパ片、 52…戻り規制部材、 52a…規制片、 52b…ストッパ片、 53…第1回動軸、 54…第2回動軸、 55…第1固定板、 56…第2固定板、 57…保持側ストッパ、 58…規制側ストッパ、 100…巻上機、 110…昇降路、 120…乗りかご、 130…主ロープ、 140…釣合錘、 150…反らせ車、 160…載置台、 161…張り車用錘、 181…調速機ロープ、 182…接続部材、 183…張り車、 190…非常止め装置、 191…連結部材、 S1…間隔、T1…長さ

Claims (6)

  1. 支軸を有するフレームと、
    前記支軸に回転可能に支持され、乗りかごに接続された調速機ロープが巻き掛けられた綱車と、
    前記綱車に固定された回転支持体に回動可能に取り付けられ、前記綱車が回転した場合に作用する遠心力により回動する振り子と、
    前記振り子と係合する係合部材を有し、前記支軸に回動可能に支持された作動機構と、
    前記作動機構に連結され、前記作動機構の回動により動作して前記調速機ロープを制動するロープ規制機構と、
    前記係合部材を保持する保持機構と、を備え、
    前記係合部材は、前記遠心力による回動する前の前記振り子と係合しない通常待機位置と、前記遠心力による回動する前の前記振り子と係合する保守点検位置に移動可能に構成され、
    前記保持機構は、
    前記フレームに回動可能に支持された保持部材を有し、
    前記保持部材は、前記係合部材が前記通常待機位置から前記保守点検位置に移動した際に、前記係合部材に押圧されて回動し、その後前記係合部材を前記保守点検位置で保持する
    調速機。
  2. 前記作動機構は、
    前記係合部材を移動可能に支持し、前記ロープ規制機構に連結されたアーム部材と、
    前記係合部材が移動した際に、前記保持部材に当接し前記保持部材を回動させる当接ピンと、を有する
    請求項1に記載の調速機。
  3. 前記保持機構は、
    前記係合部材を前記保守点検位置で保持する前記保持部材に当接し、前記保持部材における前記係合部材の前記保守点検位置から前記通常待機位置に向かう方向への回動を規制する保持側ストッパを有する
    請求項1に記載の調速機。
  4. 前記保持機構は、
    前記フレームに回動可能に支持された戻り規制部材と、
    前記戻り規制部材の回動範囲を規制する規制側ストッパと、を有し、
    前記戻り規制部材は、
    前記係合部材が前記保守点検位置において前記振り子と係合し、かつ前記作動機構が前記振り子と共に回動し、前記当接ピンに押圧された回動する規制片と、
    前記規制側ストッパに当接するストッパ片と、を有し、
    作動機構が前記振り子と共に回動し、再び初期位置に戻る際に、前記規制片は、前記係合部材における前記保持部材に保持される前記保守点検位置までの通路を塞ぐ
    請求項2に記載の調速機。
  5. 前記係合部材は、前記遠心力により回動した前記振り子に係合する
    請求項1から4のいずれか1項に記載の調速機。
  6. 昇降路を昇降する乗りかごと、
    前記乗りかごに接続され、前記乗りかごと一緒に移動する調速機ロープと、
    前記乗りかごの昇降動作を停止させる非常止め装置と、
    前記乗りかごの昇降速度が定格速度よりも速い過速度に達した場合に、前記非常止め装置を動作させて前記乗りかごを停止させる調速機と、を備え、
    前記調速機は、
    支軸を有するフレームと、
    前記支軸に回転可能に支持され、前記調速機ロープが巻き掛けられた綱車と、
    前記綱車に固定された回転支持体に回動可能に取り付けられ、前記綱車が回転した場合に作用する遠心力により回動する振り子と、
    前記振り子と係合する係合部材を有し、前記支軸に回動可能に支持された作動機構と、
    前記作動機構に連結され、前記作動機構の回動により動作して前記調速機ロープを制動するロープ規制機構と、
    前記係合部材を保持する保持機構と、を備え、
    前記係合部材は、前記遠心力による回動する前の前記振り子と係合しない通常待機位置と、前記遠心力による回動する前の前記振り子と係合する保守点検位置に移動可能に構成され、
    前記保持機構は、
    前記フレームに回動可能に支持された保持部材を有し、
    前記保持部材は、前記係合部材が前記通常待機位置から前記保守点検位置に移動した際に、前記係合部材に押圧されて回動し、その後前記係合部材を前記保守点検位置で保持する
    エレベーター。
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CN108750860A (zh) * 2018-08-03 2018-11-06 南通中力重科机械工程有限公司 离心装置和限速器
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