JP2017177400A - 被転写シートへの保護層または転写層の転写方法 - Google Patents

被転写シートへの保護層または転写層の転写方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 カードの側縁に印刷されたコードパターンの耐久性を向上する為、コードパターン上に保護層または転写層を形成する方法を提供する。【解決手段】 ヒートローラー2とプラテンローラー3との間に、保護層転写シート20と被転写シート5を挟持し、前記ヒートローラー2を加熱しながら回転させて、前記保護層転写シート20の保護層を前記被転写シート5に転写する方法であって、前記被転写シート5の一の端面Bに、不可視光線吸収材料含有インキによるコードパターンが形成されており、前記被転写シート5の端面Bに前記保護層を転写する際に被転写シート5の搬送を一時停止し、前記被転写シート5の一の端面Bに、前記保護層を転写する。【選択図】 図7

Description

本発明は、カードゲーム等で使用されるカードの側縁に、特定の装置により読み取ることのできる不可視光線吸収材料含有層(コードパターン)が印刷されたカードに関わり、そのカードのコードパターン上へ保護層または転写層を転写する方法に関わるものである。
ICカードや、カードゲーム等で使用されるカードの中には、赤外線等の不可視光線を吸収するインキを用いてカード固有のコードパターンが記録されたものがあり、このコードパターンを特定の装置によって読み取ることが知られている(特許文献1参照)。
また最近では、ゲームセンター等の遊戯施設において、カードの側縁に特定のコードパターンを有するカードを専用機で読み取ることによって、そのカードで特定されたキャラクターなどがゲーム装置のモニターに現れ、対戦することなどが行なわれている。(特許文献2参照)
しかし上記のコードパターンが印刷されたカードは、取扱い上でカード側縁のコードパターンが摩耗し、そのコードパターンが正常に読み取れなくなるなどの不具合となる場合がある。
特開2004−155081号公報 特開2002−143367号公報
本発明はこのような状況においてなされたものであり、カードの側縁に印刷されたコードパターンの耐久性を向上する為、コードパターン上に保護層または転写層を形成する方法を提供することを目的とする。
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、ヒートローラーとプラテンローラーとの間に、第1の基材上に保護層を有する熱転写シートと被転写シートを挟持し、前記ヒートローラーを加熱しながら回転させて、前記熱転写シートの保護層を前記被転写シートに転写する方法であって、前記被転写シートの一の端面に不可視光線吸収材料含有インキによるコードパターンが形成されており、前記被転写シートの端面に前記保護層を転写する際に被転写シートの搬送を一時停止し、前記被転写シートの一の端面に、前記保護層を転写することを特徴とするものである。
これにより、被転写シートの一の端面に印刷された不可視光線吸収材料含有インキによるコードパターンは、耐摩耗性などの耐久性が向上する。これによって、摩耗によりコードパターンが読み取り不能となることを抑制できる。
また本発明は、第2の基材上に不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層を有する熱転写シートを準備し、
第3の基材上に転写層を有する中間転写記録媒体と、前記熱転写シートとを重ね合わせ、前記不可視光線吸収材料含有層を前記転写層に転写してコードパターンが形成された転写層を有する中間転写記録媒体を準備し、
ヒートローラーとプラテンローラーとの間に、前記中間転写記録媒体と被転写シートを挟持し、前記ヒートローラーを加熱しながら回転させて、前記コードパターンが形成された転写層を被転写シートに転写する方法であって、
前記被転写シートの端面に転写層を転写する際に前記被転写シートの搬送を一時停止し、
前記被転写シートの一の端面に、前記コードパターンを有する転写層を転写することを特徴とするものである。
これにより、被転写シートの一の端面に転写層で被覆された不可視光線吸収材料含有層を形成でき、耐久性が高いコードパターンを有するカード等を効率よく作製できる。
前記熱転写シートは、第2の基材上に少なくとも1色以上の色材層と、不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層とを面順次に繰り返し設けたものであり、
前記中間転写記録媒体と前記熱転写シートとを重ね合わせ、
前記転写層に、前記色材層を転写した画像と、前記不可視光線吸収材料含有層を転写したコードパターンとを、形成することを特徴とするものである。
これにより、被転写シート上に色材層による熱転写画像が転写層で被覆されて形成でき、かつ被転写シートの一の端面に、転写層で被覆された不可視光線吸収材料含有層を形成でき、耐久性が高いコードパターンを有するカード等を効率よく作製できる。
前記熱転写シートの不可視光線吸収材料含有層のパネル長さは、1色単位の前記色材層のパネル長さよりも、大きいことが好ましい。
これにより、被転写シートにおける熱転写シートの色材層による熱転写画像と、不可視光線吸収材料含有層の転写される位置が、変動することなく、決められた位置に安定して合わせることができる。また、上記の転写方法の加熱による不可視光線吸収材料含有層の転写の際、中間転写記録媒体に熱ダメージによる歪みのための不可視光線吸収材料含有層の転写ムラを抑えることができ、被転写シートの一の端面に、不可視光線吸収材料含有層を安定して正確に転写でき、つまり被転写シートの一の端面にコードパターンを安定して正確に形成できる。
前記ヒートローラーの回転の一時停止は、前記被転写シートの一端から1mm以上10mm以下の位置から、前記ヒートローラーの回転速度を5%以上50%以下に減速させて停止することが好ましい。これにより、ヒートローラーの回転をスムーズに一時停止させることができる。さらに被転写シート上の保護層または転写層の転写のムラを防止することができる。
また、前記ヒートローラーの回転の一時停止時間が、0.5秒以上、10秒以下であることが好ましい。これにより、処理される被転写シートの一の端面への保護層または転写層の転写が安定して行なわれる。
また、前記被転写シートの一の端面で保護層または転写層の転写を開始する時のヒートローラーの表面温度を、直前の転写時の表面温度よりも、10℃以上30℃以下の範囲で高い設定とすることが好ましい。これにより、前記被転写シートの一端の断面に保護層または転写層を安定して転写することができる。
また、前記被転写シートの一端で前記ヒートローラーの回転が一時停止された直後から、前記被転写シートはガイド板に沿って排出されるもので、前記ガイド板は、前記被転写シートの前記ヒートローラーとプラテンローラーとの加圧が開始される時の前記被転写シートの移動方向から下方に5°以上60°以下で傾斜させて設置されていることが好ましい。
これにより、前記被転写シートの一の端面で、保護層または転写層を安定して転写することができる。
本発明によれば、側縁に特定の不可視光線吸収材料含有インキ(コードパターン)が形成された被転写シート(カードなど)において、そのコードパターンの耐摩耗性などの耐久性を向上させることができた。
また、熱転写による画像及び不可視光線吸収材料含有層によるコードパターンが形成されたカード等の印画物を効率良く、作製できた。
色材層を転写する印画ユニットと、被転写シートの一の端面に、熱転写シートの保護層を転写する本発明の方法を適用した保護層転写ユニットを有するプリントシステムを示した概略図である。 本発明の被転写シートの一の端面に、熱転写シートの保護層を転写する方法で適用可能な被転写シートの一例を示す概略図である。 本発明の被転写シートの一の端面に、熱転写シートの保護層を転写する方法で形成された印画物の一例を示す概略図である。 本発明の被転写シートの一の端面に、中間転写記録媒体の転写層を転写する方法の例を説明する概略図である。 本発明の被転写シートへ転写層を転写する方法で、使用できる、少なくとも1色以上の色材層と、不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層とを面順次に繰り返し設けた熱転写シートの例を示す平面図である。 熱転写シートの色材層のパネルと、被転写シートの大きさの関係を説明する概略図である。 本発明の被転写シートの一の端面に、保護層または転写層を転写する方法を説明する概略図である。 本発明の被転写シートの一の端面に、保護層を転写する方法の変形例を説明する概略図である。
次に、発明の実施の形態について、詳述する。
(第1の実施形態)
被転写シートの一の端面に、コードパターンが形成された被転写シートの一の端面に、保護層を転写する方法の実施形態である。図1〜3を参照して、以下に説明する。
図1は色材層を転写する印画ユニット10と、被転写シートの一の端面に、第1の基材上に保護層を有する熱転写シートの保護層を転写する保護層転写ユニット1を有するプリントシステムである。色材層を有する熱転写シート7と被転写シート5を挟持するように、サーマルヘッド8とプラテンローラー9とで圧接する。その際、熱転写シート7の背面側からサーマルヘッド8により、加熱することで、被転写シート5の受像面に熱転写シート7から色材層が転写され、画像が形成される。例えば、熱転写シートは基材上にイエロー、マゼンタ、シアンの各色の色材層を面順次に繰り返し設けたものを使用して、被転写シート上に、フルカラーの熱転写の画像を形成することができる。
被転写シートの一の端面Bには、不可視光線吸収材料含有インキによるコードパターンが予め形成されている。図1では、サーマルヘッド8とプラテンローラー9による印画ユニット10において、被転写シート5の上に熱転写の画像が形成される。その後に画像形成済みの被転写シート5はコンベヤー等の搬送手段16により矢印の方向に搬送され、ヒートローラー2とプラテンローラー3によって、熱転写シート20から保護層を熱転写する。熱転写シート20は、図示していないが、第1の基材上に保護層を有する構成である。したがって、熱転写シート20は保護層転写シートといえる。
図2は、本発明の被転写シートの一の端面に熱転写シートの保護層を転写する方法で適用可能な被転写シートの一例を示す概略図である。カードに代表される被転写シート5は、一の端面Bに不可視光線吸収材料インキにより印刷されたコードパターン12を有する。図示してはいないが、被転写シートの表面F、裏面Gには適宜、画像、テキスト等の印刷を施しておくことができる。
図2に関連し、被転写シートの表面等に、予め画像等を印刷しておき、さらに被転写シートの一の端面に、不可視光線吸収材料インキによるコードパターンを印刷しておき、その被転写シートを図1に示した保護層転写ユニット1を用いて、被転写シートの表面、端面等に保護層を転写して、画像、コードパターン等を被覆することができる。
図3は、本発明によって被転写シート5の一の端面Bに保護層転写シートの保護層が転写された印画物14の一例を示す概略図である。被転写シート5の受像面は、熱転写シートから色材層が転写された画像11を有する。また被転写シート5の一の端面Bには、不可視光線吸収材料含有インキによるコードパターン12が形成されている。そして、その被転写シート5の受像面に有する熱転写による画像11を覆うように、保護層13が被転写シート5の受像面の全面に転写されて形成されている。さらに、被転写シート5の一の端面Bに有するコードパターン12を覆うように、保護層13が被転写シート5の一の端面Bの全面に転写されている。このように熱転写による画像11及びコードパターン12を保護層13が被覆することで、画像11及びコードパターン12の耐摩耗性などの耐久性を高めた印画物14が得られる。
なお図3で示した印画物は、コードパターン12及び熱転写による画像11が保護層13で被覆されたものであるが、これに限らず、熱転写による画像がなく、保護層13で被覆されたコードパターン12のみを有する印画物14であってもよい。
(第2の実施形態)
被転写シートの一の端面に、コードパターンが形成された転写層を転写する方法の実施形態である。図4〜6を参照して、以下に説明する。
図4は本発明の被転写シートへ転写層を転写する方法の例を説明する概略図である。少なくとも1色以上の色材層と、不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層とを面順次に繰り返し設けた構成の熱転写シート7から、前記色材層を中間転写記録媒体4の転写層に転写し、画像を形成し、さらに前記不可視光線吸収材料含有層を中間転写記録媒体4の転写層に転写し、コードパターンを形成する。さらに、その色材層と不可視光線吸収材料含有層が転写された転写層を、被転写シート5に転写する形態である。上記の熱転写シート7は図示していないが、第2の基材上に少なくとも1色以上の色材層と、不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層とを面順次に繰り返し設けたものである。また、上記の中間転写記録媒体4は、図示していないが第3の基材上に転写層を有するものである。
このように、第2の基材上に不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層を有する熱転写シートを準備し、第3の基材上に転写層を有する中間転写記録媒体と、前記熱転写シートとを重ね合わせ、前記不可視光線吸収材料含有層を前記転写層に転写してコードパターンが形成された転写層を有する中間転写記録媒体を準備する。
図4で示した被転写シートへ転写層を転写する方法は、中間転写記録媒体4の転写層への色材層と不可視光線吸収材料含有層を転写後に、連続してインラインで、色材層と不可視光線吸収材料含有層が転写された転写層を被転写シートに転写する形態で示した。これに限らず、熱転写シートの色材層と不可視光線吸収材料含有層を中間転写記録媒体が転写された転写層を予め用意しておき、その後に色材層と不可視光線吸収材料含有層が転写された転写層を、被転写シートに転写することもできる。つまり、この場合は、図4の印画ユニット10と転写層転写ユニット1とが、オフラインになる形態である。
上記の説明では、図4の印画ユニット10で使用する熱転写シート7は、少なくとも1色以上の色材層と、不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層とを面順次に繰り返し設けた構成の熱転写シートとしたが、これに限らずに、熱転写シートは、基材上に不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層を有し、色材層を有しないものであってもよい。
図4では、熱転写シート7と中間転写記録媒体4とを挟持するように、サーマルヘッド8とプラテンローラー9とで圧接する。その際、熱転写シート7の背面側からサーマルヘッド8により、加熱することで、中間転写記録媒体4の転写層に熱転写シート7から色材層が転写され、画像が形成される。図4では、サーマルヘッド8とプラテンローラー9による印画ユニット10が示されている。
次に、上記の画像形成後に、その画像形成された転写層上に、その画像形成部と重ならない位置に不可視光線吸収材料含有層を転写する。その不可視光線吸収材料含有層の転写層における転写位置は、後で被転写シートに転写層を転写した時に、被転写シートの一の端面にその不可視光線吸収材料含有層が位置するように調整しておく。
上記の色材層と不可視光線吸収材料含有層が転写層上に転写された中間転写記録媒体4は、ヒートローラー2とプラテンローラー3による転写層転写ユニット1に向かって、搬送される。
そして、ヒートローラー2とプラテンローラー3との間に、その中間転写記録媒体4と被転写シート5を挟持し、前記ヒートローラー2を加熱しながら回転させ、中間転写記録媒体4の色材層及び不可視光線吸収材料含有層が転写された転写層を前記被転写シート5に転写する。その転写層における色材層が転写されて形成された画像11は、被転写シート5上に位置するように、その画像11とともに転写層13が転写される。その画像11は転写層13に覆われることになる。(図4の左下に示した拡大図参照)
その転写層を被転写シート5に転写する時は、前記被転写シート5の一端で、前記ヒートローラー2の回転を一時停止し、被転写シート5の一の端面Bに、前記中間転写記録媒体4の転写層が転写される。但し、その被転写シート5の一の端面Bには、不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層が転写されたコードパターン12が位置するように、転写層13が転写される。詳しくは、そのコードパターン12は転写された転写層13に覆われているので、耐摩耗性などの耐久性が高まり、そのコードパターンを正常に読み取ることができる印画物14となる。(図4の左下に示した拡大図参照)
得られた印画物14は、被転写シート5上に色材層による熱転写された画像11が転写層13で被覆されて形成でき、かつ被転写シート5の一の端面Bに、転写層13で被覆された不可視光線吸収材料含有層が転写されたコードパターン12を形成できる。図4に示したような画像形成などができる印画ユニット10と転写層転写ユニット1をインラインで連結することで、オフラインと比べると、より効率良く、要望するICカードや、カードゲームに代表されるカード等の印画物を作製できる。
被転写シートへ転写層を転写する方法では、第2の基材上に少なくとも1色以上の色材層と、不可視光線吸収材料含有インキで形成した不可視光線吸収材料含有層とを面順次に繰り返し設けた熱転写シートを使用することができる。その場合、図5に示すように、不可視光線吸収材料含有層(ST)のパネル長さQは、1色単位の色材層(Y、M、C)のパネル長さPよりも大きいように設定することが好ましい。
上記の不可視光線吸収材料含有層(ST)のパネル長さQは、1色単位の色材層(Y、M、C)のパネル長さPよりも大きいことが好ましい。これによって、画像11と不可視光線吸収材料含有層とを、被転写シートの所定の位置に正確かつ安定的に形成することができる。
なお図5で示した熱転写シート7は、印画ユニットで色材層を転写する際、矢印の方向に搬送されていく。色材層のパネル長さP及び不可視光線吸収材料含有層(ST)のパネル長さQは、両方とも熱転写シートの搬送方向と平行な長手方向である。
また、上記のパネル長さQとパネル長さPとの差(R)は、2mm以上10mm以下が好ましい。その差(R)が2mm未満であると、不可視光線吸収材料含有層を被転写シートの一の端面に転写する際、その不可視光線吸収材料含有層を安定して正確に転写することが難しくなる。一方でその差(R)が10mmよりも大きいと、使用されない無駄な部分が多くなるので好ましくない。
図5に関連して、図6に熱転写シートの色材層のパネルと、被転写シートの大きさの関係を説明する概略図を示した。
図6には、図5に示したような熱転写シートの一つの色材層、例えばイエロー色材層のパネルと、被転写シート5との大きさを説明するもので、両者の大きさを比較した。色材層のパネルの長手方向でのパネル長さPに対して、被転写シートの長手方向の長さWは小さく、図ではPとWの差は、約2Xである。図6で示したものは一例であり、これに限らず、パネル長さPと長さWが同等の長さであってもよい。
以下、図7、8で、ヒートローラーの回転の一時停止に関連する好ましい条件を説明する。但し、この条件は上記の第1の実施形態及び第2の実施形態のいずれの保護層または転写層の転写方法にも適用できる。
図7は本発明の被転写シートへの保護層または転写層の転写方法を説明する概略図であり、図7(1)から図7(2)、図7(3)の順に保護層または転写層の被転写シートへの転写が進行しているプロセスを示している。なお、図7は図1で示したようなプリントシステムの保護層転写ユニット1を拡大して示した概略図である。また、図4で示したような転写層転写ユニット1を拡大して示した概略図でもある。
以下、保護層の転写を例として説明するが、中間転写記録媒体の転写層の転写であってもよい。
図7(1)における保護層転写ユニット1では、ヒートローラー2とプラテンローラー3との間に、熱転写シート(保護層転写シート)20と被転写シート5を挟持し、前記ヒートローラー2を加熱しながら矢印の方向に回転させて、前記保護層転写シート20の保護層(図のAで示した面に設けられている)を前記被転写シート5に転写し始めている。図示してはいないが、被転写シート上には予め任意の印刷方式で文字、画像などが形成されていて、上記の保護層を転写してその文字、画像などを覆うことにより、耐摩耗性などの耐久性を付与することができる。
図7(1)に示す状態から保護層転写シート20と被転写シート5とが搬送されて、図7(2)に示すような位置になる。この図7(2)に示すような状態で、ヒートローラー2の回転速度を減速し始める。この図7(2)に示す被転写シート5は、その一端(D)から1mm以上10mm以下の位置、すなわち間隔(L)をおいた位置にある。つまり、1mm≦間隔(L)≦10mmである。この間隔(L)が1mm未満であると、被転写シートの一端で、ヒートローラーの回転を一時停止することが困難になる。また一方で、その間隔(L)が10mmよりも大きくなると、被転写シート上で、一端付近の転写される転写層にムラが生じやすく好ましくない。
図7(2)に示す状態から保護層転写シート20と被転写シート5とが搬送されて、図7(3)に示すような位置になる。すなわち被転写シート5の一端(D)で、前記ヒートローラー2の回転が一時停止し、前記被転写シート5の一の端面Bに、前記保護層転写シート20の保護層が転写される。但し、その被転写シート5の一の端面Bには、不可視光線吸収材料含有インキによるコードパターンが予め形成されているので、そのコードパターンは転写された保護層に覆われて、耐摩耗性などの耐久性が高まる。これによって、摩耗によりコードパターンが読み取り不能となることを抑制できる。
上記のヒートローラーの回転の一時停止は、前記被転写シートの一端(D)から1mm以上10mm以下の位置から、前記ヒートローラーの回転速度を5%以上50%以下に減速させて停止することが好ましい。その減速の回転速度が5%未満であると、そのヒートローラーを減速させて、被転写シートの一端でヒートローラーの回転を一時停止させることが困難になる。また一方で、その減速の回転速度が50%を超えると、被転写シート上の一端付近に転写される保護層にムラが生じやすく好ましくない。
上記のヒートローラーの回転の一時停止時間は、0.5秒以上10秒以下であることが好ましい。これにより、処理される被転写シートの一の端面への保護層転写シートの保護層の転写が安定して行なわれる。そのヒートローラー回転の一時停止時間が0.5秒未満であると、被転写シートの一の端面への保護層転写シートの保護層の転写にムラが生じやすく好ましくない。また一方で、そのヒートローラー回転の一時停止時間が10秒より大きくなると、保護層転写シートのヒートローラーによる熱ダメージが大きくなり、シワなど保護層転写シートに歪みが生じやすく、好ましくない。
また上記の被転写シートの一の端面Bで、保護層転写シートの保護層を転写開始する時のヒートローラーの表面温度を、直前の転写時の表面温度よりも10℃以上30℃以下の範囲で高い設定とすることが好ましい。これにより、被転写シートの端面に保護層を安定して転写することができる。上記の被転写シートの一の端面Bの保護層転写シートの保護層転写開始時のヒートローラーの表面温度が直前の転写時の表面温度よりも10℃未満高い場合、被転写シートの一の端面Bで保護層転写シートの保護層の転写にムラが生じやすく好ましくない。また一方で、その被転写シートの一の端面Bの保護層転写シートの保護層転写開始時のヒートローラーの表面温度が、直前の転写時の表面温度よりも30℃よりも高い場合、保護層転写シートのヒートローラーによる熱ダメージが大きくなり、シワなど保護層転写シートに歪みが生じやすくなり好ましくない。
図8は本発明の被転写シートへ保護層を転写する方法の変形例を説明する概略図である。図8で示した保護層転写ユニット1は、ヒートローラー2とプラテンローラー3との間に、保護層転写シート20と被転写シート5を挟持し、前記ヒートローラー2を加熱しながら矢印の方向に回転し、前記保護層転写シート20の保護層を前記被転写シート5に転写するものである。そのヒートローラー2が加熱しながら回転し、保護層転写シート20と被転写シート5とが搬送されて、被転写シート5の一端でヒートローラー2の回転が一時停止し、被転写シート5の一の端面Bに保護層転写シート20の保護層(図のAで示した面に設けられている)が転写される。その被転写シート5の一端でヒートローラー2の回転が一時停止された直後から、前記被転写シート5がガイド板6に沿って排出される。ガイド板6は、被転写シート5のヒートローラー2とプラテンローラー3との加圧が開始される時の前記被転写シート5の移動方向(点線で示すSの方向)から下方に、α°傾斜させて設置されている。α°は5°以上60°以下の範囲であることが好ましい。これにより、被転写シートの一の端面で保護層を安定して転写することができる。
α°が5°未満であると、ガイド板を傾斜させる条件が不十分であり、被転写シートの一の端面で保護層を安定して転写することが困難になりやすい。また一方でα°が60°より大きいと、被転写シートの一の端面で、保護層を安定して転写することが困難になりやすく、またヒートローラー2とプラテンローラー3との加圧が終了後、被転写シートが落下しやすくなり好ましくない。
上記の本発明の被転写シートへの保護層または転写層の転写方法の実施形態で説明した方法で使用する媒体について、以下に説明する。
まず、第1の基材上に保護層を有する熱転写シート(保護層転写シート)について説明する。
(第1の基材)
第1の基材としては、保護層等を、被転写シートへ転写する際の熱エネルギー(例えば、ヒートロールの熱)に耐え得る耐熱性を有し、保護層等を支持できる機械的強度や耐溶剤性を有しているものであれば、特に制限なく使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。
第1の基材は、厚みが2.5μm以上、50μm以下のものが使用することができる。また第1の基材には、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、帯電防止層付与等の易接着処理を行ってもよい。
(保護層)
本発明で適用される保護層転写シートは、第1の基材上に保護層が形成されたものであり、一の端面にコードパターンが形成された被転写シートに熱転写することができる。上記の目的を満たすものであれば、保護層は1層からなるものであっても複数の層からなるものであっても良い。転写層が複数の層からなる場合、保護層は例えば、剥離層、接着層などの層を含むものであっても良い。また第1の基材と転写層との間に、転写層の熱転写性を調節する離型層が形成されたものであっても良い。
また、本発明で使用する離型層、剥離層、接着層としては、従来から知られた保護層転写シートの離型層、剥離層、接着層を用いることができる。
次に、第2の基材上に不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層を有する熱転写シートについて説明する。上記熱転写シートの第2の基材としては、上記の第1の基材として使用できるものを用いることができる。
(不可視光線吸収材料含有層)
不可視光線吸収材料含有層は、下記の不可視光線吸収材料含有インキで説明する不可視光線吸収材料とバインダー樹脂を同様に用いて形成することができる。但し、熱転写シートの第2の基材に、必要に応じて、加熱により剥離性を有する剥離層を介して、不可視光線吸収材料含有層、また必要に応じて、その不可視光線吸収材料含有層の上に、ヒートシール性を有する接着層を設けることができる。
不可視光線吸収材料含有層は、上述の材料の中から選択された単独または複数の材料および必要に応じて各種添加剤等を加え、水または有機溶剤等の適当な溶剤に溶解または分散させて塗工液を調製し、これを上記で説明した第2の基材等の上に、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により、塗布、乾燥して形成することができる。
(不可視光線吸収材料含有インキ)
不可視光線吸収材料含有インキは、必須の成分として不可視光線吸収材料を含有し、バインダー樹脂を含むものである。本願明細書で言う不可視光線吸収性材料とは、可視光を吸収せず或いは殆ど吸収せず、赤外光や紫外光等を吸収する或いは赤外光や紫外光等によって励起される材料を意味する。
不可視光線吸収材料含有インキの赤外線吸収材料含有インキは、赤外線吸収材料とバインダー樹脂で構成することができる。赤外線吸収材料としては、例えば、ジイモニウム系化合物、アミニウム系化合物、フタロシアニン系化合物、ジチオール系有機金属錯体、シアニン系化合物、アゾ系化合物、ポリメチン系化合物、キノン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、オキソール系化合物やカーボンブラック等が挙げられ、赤外線吸収材料含有インキは、上記のような赤外線吸収材料を1種または2種以上含んでいてもよい。
なお、本明細書において、赤外線とは極大吸収波長(λmax)領域が、750nm以上2000nm以下であるものをいう。
赤外線吸収材料含有インキにおけるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂およびポリウレタン系樹脂等の公知の樹脂を挙げることができる。
赤外線吸収材料含有インキにおけるバインダー樹脂の含有量は、20質量%以上99.9質量%以下であることが好ましく、60質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
赤外線吸収材料含有インキは、赤外線を用いた光学的読取装置を使用することにより、本発明における被転写シート(カード)固有の情報を読み取ることができるコードパターンを、被転写シートの一の端面に形成している。
不可視光線吸収材料含有インキの紫外線吸収材料含有インキは、紫外線吸収材料とバインダー樹脂で構成することができる。紫外線吸収材料としては、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物等の有機系紫外線吸収材料や、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等の無機系紫外線吸収材料等を挙げることができる。紫外線吸収材料含有インキは、紫外線吸収材料の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
また、不可視光線吸収材料含有インキは、赤外線吸収材料と、紫外線吸収性材料の双方を含有していてもよい。
なお、本明細書において、紫外線とは極大吸収波長(λmax)領域が、280nm以上400nm以下であるものをいう。
紫外線吸収材料含有インキは、上記の紫外線吸収材料と、バインダー樹脂で構成することができ、そのバインダー樹脂は上記の赤外線吸収材料含有インキで説明したバインダー樹脂を同様に使用することができる。また、紫外線吸収材料インキにおけるバインダー樹脂の含有量は、20質量%以上99.9質量%以下であることが好ましく、60質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
紫外線吸収材料含有インキは、紫外線を用いた光学的読取装置を使用することにより、本発明における被転写シート(カード)固有の情報を読み取ることができるコードパターンを、被転写シートの一の端面に形成している。
また、第2の基材上に少なくとも1色以上の色材層と、不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層とを面順次に繰り返し設けた熱転写シートについて、説明する。
第2の基材及び不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層は、上記の通りであり、以下に色材層の説明をする。
(色材層)
本発明では、第2の基材上に、少なくとも1色以上の色材層と、不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層とを面順次に繰り返し設けた構成の熱転写シートを用いることができるが、その色材層は従来から知られたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、さらに必要に応じてブラック等の着色された昇華染料を含有する染料層、あるいは上記の各種着色された顔料などの着色剤を含有する熱溶融性インキによる色材層を使用することができる。
また、第3の基材上に転写層を有する中間転写記録媒体について説明する。
(中間転写記録媒体)
本発明で適用される中間転写記録媒体は、第3の基材上に転写層が形成されたものであり、上記の熱転写シートの不可視光線吸収材料含有層を転写してコードパターンを形成し、その後にコードパターン形成済みの転写層を被転写シートに熱転写することができる。上記の目的を満たすものであれば、転写層は1層からなるものであっても複数の層からなるものであっても良い。転写層が複数の層からなる場合、転写層は例えば、剥離層、中間層、受容層、接着層などの層を含むものであっても良い。また第3の基材と転写層との間に、転写層の熱転写性を調節する離型層が形成されたものであっても良い。不可視光線吸収材料含有層に加え、熱転写シートの色材層を用いて中間転写記録媒体に画像を形成する時は、中間転写記録媒体の最表面は受容層であることが好ましい。
本発明で使用する中間転写記録媒体の第3の基材としては、上記の熱転写シートの第1及び第2の基材として使用できるものを同様に用いることができる。また、本発明で使用する中間転写記録媒体の転写層、離型層、剥離層、中間層、受容層、接着層としては、従来から知られた中間転写記録媒体の転写層、離型層、剥離層、中間層、受容層、接着層を用いることができる。
(背面層)
本発明で使用することができる熱転写シート(保護層転写シート)及び中間転写記録媒体は、上記で説明した基材の色材層や転写層の有する側と反対側に、背面層を設けることができる。この背面層は、熱転写する際の基材の裏面側からサーマルヘッド等によって加熱される際に、熱融着、スティッキングやシワ等の悪影響を防止するための層である。この背面層は従来から知られた背面層を適用することができる。
(被転写シート)
本発明の保護層または転写層の転写方法で用いられる被転写シート5は、従来公知のいずれの被転写シートでも使用することができる。例えば、天燃パルプ紙、コート紙、トレーシングペーパー、加熱転写時の熱で変形しないプラスチックフィルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布等いずれのものでもよい。
(実施例1)
以下に示す中間転写記録媒体1を用意した。
(中間転写記録媒体1の作製)
基材(第3の基材)として、厚さ5.0μmの易接着層付きのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この基材の易接着層側に、以下に示す塗工液を用いて、剥離層、保護層をそれぞれ乾燥時1.0g/m2の厚さとなるように、順次積層するように塗工した
(剥離層用塗工液)
・アクリル樹脂 20部
(ダイヤナールBR−87 三菱レイヨン(株))
・トルエン 40部
・メチルエチルケトン 40部
(保護層用塗工液)
・ポリエステル樹脂 24部
(東洋紡績(株)、バイロン700)
・紫外線吸収剤 6部
・トルエン 35部
・メチルエチルケトン 35部
ポリ塩化ビニル製カード(PVCカード)(大日本印刷(株))を被転写シートとして使用し、その被転写シートの一の端面に、以下に示す赤外線吸収材料含有インキを用いて、スクリーン印刷により、コードパターンを形成した。
(赤外線吸収材料含有インキ)
・アクリル樹脂 6.7部
(ダイヤナールBR−87 三菱レイヨン(株))
・ジイモニウム塩 0.3部
(日本カーリット(株)、CIR−RL)
・酸化チタン 2.9部
(TCA―888 堺化学工業(株))
・トルエン 20部
・メチルエチルケトン 20部
上記のコードパターンの印刷された被転写シートの表面に、以下に示す熱転写シート1を用いて、下記テストプリンターを用いて、熱転写によりカラーのテストパターンの画像を形成した。
(熱転写シート1の作製)
基材として、厚さ5.0μmの易接着層付きのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この基材の易接着層側に下記のイエロー色材層用塗工液、マゼンタ色材層用塗工液、シアン色材層塗工液を、それぞれ乾燥時0.5g/m2の厚さとなるように、イエロー色材層、マゼンタ色材層、シアン色材層を面順次に繰り返し塗工した。
(イエロー色材層用塗工液)
・ソルベントイエロー93 5部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 4部
(KS−5 積水化学工業(株))
・トルエン 50部
・メチルエチルケトン 50部
(マゼンタ色材層用塗工液)
・ディスパースレッド60 3部
・ディスパースバイオレット26 3部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 5部
(KS−5 積水化学工業(株))
・トルエン 50部
・メチルエチルケトン 50部
(シアン色材層用塗工液)
・ソルベントブルー63 3部
・ディスパースブルー354 2.5部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 5部
(KS−5 積水化学工業(株))
・トルエン 50部
・メチルエチルケトン 50部
また、基材の易接着層とは反対側の面に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥時1.0g/m2の厚さとなるように塗工し背面層を形成することで、熱転写シート1を作製した。
(背面層用塗工液)
・ポリビニルブチラール樹脂 1.8部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株))
・ポリイソシアネート 5.5部
(バーノック D750 大日本インキ化学工業(株))
・リン酸エステル系界面活性剤 1.6部
(プライサーフA208N 第一工業製薬(株))
・タルク 0.35部
(ミクロエースP−3 日本タルク工業(株))
・トルエン 18.5部
・メチルエチルケトン 18.5部
(テストプリンター)
サーマルヘッド:KEE−57−12GAN2−STA(京セラ(株))
発熱体平均抵抗値:3303(Ω)
主走査方向印字密度:300dpi
副走査方向印字密度:300dpi
印画電圧:18(V)
1ライン周期:1.5(msec.(ミリ秒))
印字開始温度:35(℃)
パルスDuty比:85%
印加パルス(階調制御方法);1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を85%に固定し、ライン周期当たりのパルス数を0から255個を15分割した。これにより、15段階に異なるエネルギーを与えて、階調パターンの印画を行った。
上記のコードパターンが印刷され、さらに熱転写の画像が形成された被転写シートに対し、上記で用意した中間転写記録媒体1を用いて、カード用ラミネーター(SIP社)を用い、ヒートローラーの表面温度を180℃で、搬送速度12.7mm/sec(2sec/inch)の条件にて、保護層を転写した。ヒートローラーの回転の一時停止は、前記被転写シートの一端から5mmの位置から、回転速度を15%以下に減速させ、被転写シートのコードパターンが印刷された端面で、被転写シートの搬送を停止させた。
上記の条件にて、実施例1による方法で、コードパターンと熱転写による画像の両方を保護層で覆う印画物1を形成した。
(実施例2)
以下に示す中間転写記録媒体2を用意した。
(中間転写記録媒体2の作製)
基材として厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、該基材上に、下記組成の剥離層用塗工液を乾燥状態で1.0g/m2の塗工量となるように塗工し、剥離層を形成した。次いで、剥離層上に下記組成の保護層用塗工液を乾燥状態で2.0g/m2の塗工量となるように塗工し、保護層を形成した。更に該保護層の上に下記組成の受容層用塗工液を、乾燥状態で1.5g/m2の塗工量となるように塗工し、受容層を形成して、基材上に、剥離層、保護層、受容層がこの順で積層された転写層が設けられた中間転写記録媒体2を得た。
(剥離層用塗工液)
・アクリル樹脂 29部
(ダイヤナール BR−87 三菱レイヨン(株))
・ポリエステル樹脂 1部
(バイロン200 東洋紡(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 70部
(保護層用塗工液)
・ポリエステル樹脂 30部
(バイロン200 東洋紡(株))
・メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 70部
(受容層用塗工液)
・塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 20部
(ソルバインCNL 日信化学工業(株))
・シリコーンオイル 1部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン 79部
上記の中間転写記録媒体2の受容層に、熱転写により色材層及び不可視光線吸収材料含有層を転写するための熱転写シート2を以下の条件にて用意した。
(熱転写シート2の作製)
基材として、厚さ5.0μmの易接着層付きのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この基材の易接着層側に、実施例1で使用した赤外線吸収材料含有インキを用いて、グラビア印刷により、乾燥時1.0g/m2の厚さになるように、不可視光線吸収材料含有層を設け、また実施例1で使用した熱転写シート1で用いたイエロー色材層用塗工液、マゼンタ色材層用塗工液、シアン色材層塗工液を、それぞれ乾燥時0.5g/m2の厚さとなるように、イエロー色材層、マゼンタ色材層、シアン色材層、不可視光線吸収材料含有層を面順次に繰り返し形成されるように、基材上に塗工し、熱転写シート2を作製した。
上記の中間転写記録媒体2の受容層上に、上記の熱転写シート2を用いて、上記実施例1で使用したテストプリンターを用い、同様に色材層による熱転写の画像を形成し、さらに、同じテストプリンターで、不可視光線吸収材料含有層を転写して、コードパターンを作製した。
上記の中間転写記録媒体2の受容層上に、熱転写の画像及びコードパターンが形成された中間転写記録媒体2と、ポリ塩化ビニル製カード(PVCカード)(大日本印刷(株))である被転写シートとを重ねて、カード用ラミネーター(SIP社)を用い、ヒートローラーの表面温度を180℃で、搬送速度12.7mm/sec(2sec/inch)の条件にて、上記の受容層を含めた転写層を被転写シート上に転写した。但し、被転写シートの一の端面で、ヒートローラーの回転を2秒間停止させた。
上記の条件にて、実施例2による方法で被転写シートの一の端面に、コードパターンが位置し、また被転写シートの表面に熱転写による画像が形成され、かつそのコードパターンと、熱転写による画像の両方を保護層を含めた転写層で覆う形態の印画物2を形成した。
(実施例3)
上記の実施例2による方法で、カード用ラミネーター(SIP社)でヒートローラーとプラテンローラーとの加圧直後に排出される際に使用するガイド板を、そのヒートローラーとプラテンローラーとの加圧が開始される時の被転写シートの移動方向から、15°の角度で傾斜、下降させて設置しておいた。それ以外は、実施例2と同様の方法にして、被転写シートの一の端面に、コードパターンが位置し、また被転写シートの表面に熱転写による画像が形成され、かつそのコードパターンと熱転写による画像の両方を保護層を含めた転写層で覆う形態の印画物3を形成した。
上記の実施例1〜3で示された方法により形成された各印画物に対して、コードパターンが形成された端面をサンドペーパーで50回擦ったあと、コードパターンの読取り評価をした。印画物1、2、3は全てコードパターンを読取ることができた。但し、この読取り評価は、赤外線を用いた光学的読取装置を用いて、コードパターンが読取り可能かを調べた。
このように、実施例1〜3で示された方法で形成された印画物は、コードパターンの耐摩耗性などの耐久性を有し、そのコードパターンを正常に読み取ることができた。
さらに、実施例1〜3で示された方法により、熱転写による画像及び不可視光線吸収材料含有インキ(層)によるコードパターンが形成されたカード等の印画物を効率良く、作製できた。但し、実施例2、3による方法では、不可視光線吸収材料含有層によるコードパターンを熱転写により形成できたので、そのコードパターンをオンデマンドで変化させることができ、より効果的な印画物を形成できた。
また、実施例3の方法は実施例2の方法と比べ、被転写シートの一の端面で、不可視光線吸収材料含有層によるコードパターンが形成された転写層を、より安定して転写することができた。
1 保護層転写ユニット(転写層転写ユニット)
2 ヒートローラー
3 プラテンローラー
4 中間転写記録媒体
5 被転写シート
6 ガイド板
7 熱転写シート
8 サーマルヘッド
9 プラテンローラー
10 印画ユニット
11 画像
12 コードパターン
13 保護層(転写層)
14 印画物
15 色材層
16 搬送手段
20 熱転写シート(保護層転写シート)

Claims (8)

  1. ヒートローラーとプラテンローラーとの間に、第1の基材上に保護層を有する熱転写シートと被転写シートを挟持し、前記ヒートローラーを加熱しながら回転させて、前記熱転写シートの保護層を前記被転写シートに転写する方法であって、
    前記被転写シートの一の端面に、不可視光線吸収材料含有インキによるコードパターンが形成されており、
    前記被転写シートの端面に前記保護層を転写する際に被転写シートの搬送を一時停止し、
    前記被転写シートの一の端面に、前記保護層を転写することを特徴とする被転写シートへの保護層の転写方法。
  2. 第2の基材上に不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層を有する熱転写シートを準備し、
    第3の基材上に転写層を有する中間転写記録媒体と、前記熱転写シートとを重ね合わせ、前記不可視光線吸収材料含有層を前記転写層に転写してコードパターンが形成された転写層を有する中間転写記録媒体を準備し、
    ヒートローラーとプラテンローラーとの間に、前記中間転写記録媒体と被転写シートを挟持し、前記ヒートローラーを加熱しながら回転させて、前記コードパターンが形成された転写層を被転写シートに転写する方法であって、
    前記被転写シートの端面に転写層を転写する際に前記被転写シートの搬送を一時停止し、
    前記被転写シートの一の端面に、前記コードパターンを有する転写層を転写することを特徴とする被転写シートへの転写層の転写方法。
  3. 前記熱転写シートは、第2の基材上に少なくとも1色以上の色材層と、不可視光線吸収材料を含む不可視光線吸収材料含有層とを面順次に繰り返し設けたものであり、
    前記中間転写記録媒体と前記熱転写シートとを重ね合わせ、
    前記転写層に、前記色材層を転写した画像と、前記不可視光線吸収材料含有層を転写したコードパターンとを、形成することを特徴とする請求項2に記載する被転写シートへの転写層の転写方法。
  4. 前記熱転写シートの不可視光線吸収材料含有層のパネル長さは、1色単位の前記色材層のパネル長さよりも、大きいことを特徴とする請求項3に記載する被転写シートへの転写層の転写方法。
  5. 前記ヒートローラーの回転の一時停止は、前記被転写シートの一端から1mm以上10mm以下の位置から、前記ヒートローラーの回転速度を5%以上50%以下に減速させて停止することを特徴とする請求項1または2に記載する被転写シートへの保護層または転写層の転写方法。
  6. 前記ヒートローラーの回転の一時停止時間が、0.5秒以上、10秒以下であることを特徴とする請求項1または2に記載する被転写シートへの保護層または転写層の転写方法。
  7. 前記被転写シートの一の端面で、前記熱転写シートの保護層、または中間転写記録媒体の転写層を転写開始する時のヒートローラーの表面温度を、直前の転写時の表面温度よりも、10℃以上30℃以下の範囲で高い設定とすることを特徴とする請求項1または2に記載する被転写シートへの保護層または転写層の転写方法。
  8. 前記被転写シートの一端で、前記ヒートローラーの回転が一時停止された直後から、前記被転写シートはガイド板に沿って排出されるもので、
    前記ガイド板は、前記被転写シートの前記ヒートローラーとプラテンローラーとの加圧が開始される時の前記被転写シートの移動方向から下方に5°以上60°以下で傾斜させて設置されていることを特徴とする請求項1または2に記載する被転写シートへの保護層または転写層の転写方法。
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