JP2004174965A - ラミネートフィルムおよびラミネート印画物 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易なラミネートプロセスにより、剥離不良による「ひれ」などの無い、外観の良い高品位のラミネート加工を安定して生産性良く施すためのラミネートフィルムを供給する。
【解決手段】耐熱性基材上に表面保護層と接着層を積層してなるラミネートフィルムにおいて、表面保護層を構成する樹脂中に10ミクロン以下の微粒子が含有される。
【選択図】 図1
【解決手段】耐熱性基材上に表面保護層と接着層を積層してなるラミネートフィルムにおいて、表面保護層を構成する樹脂中に10ミクロン以下の微粒子が含有される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被記録媒体に画像形成した印画物の画像面を転写膜層で覆う(ラミネートする)ためのラミネートフィルム、またこれを用いた印画物のラミネート処理方法及びラミネート加工が施された画像面を有する印画物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット法による記録装置の適用範囲の拡大や高性能化とともに、画像形成に用いる被記録媒体としてはこれまで種々の構成のものが考案されている。例えば、基材上にシリカやアルミナ等の無機多孔質粒子と水溶性樹脂等のバインダを主体としたインク受容層を設けた構成の被記録媒体を用いてインクジェット記録法によりインク受容層へ画像を形成する方法が知られている。かかる構成とすることでインク吸収性やインクの色材への定着を高めることができ高画質の画像を得ることができる。
【0003】
一方、インクジェット記録法を適用して銀塩によるカラー写真や各種印刷法における多色印刷に匹敵する画質及び耐候性を有する画像を形成できれば、画像形成単価を大幅に低減できる可能性がある。
【0004】
銀塩写真や多色印刷に匹敵する多色画像をインクジェット法で形成することを目的とする技術としては、基材上にシリカ等の白色の多孔質微粒子を含むインク受容層を設けた構成を有する被記録媒体を用い、インクジェット記録による画像形成後にインク受容層表面に透明フィルム層をラミネートし、画像濃度の向上や画像表面を平滑化し光沢度を上げることで画像品位を高める方法が知られている。
【0005】
画像面へのラミネートに用いる装置としては、特開平6−91767号公報の提案がある。この公報には、画像が形成された枚葉シートを装置内に送り、連続状の転写膜層付ラミネートフィルムにより枚葉シートをラミネートし、その後ラミネートフィルム基材を剥離することで枚葉シート上にのみラミネート加工を施すことができる。枚葉シートからの剥離は、ラミネートフィルムより枚葉シートのほうが強い「こし」を有していることが利用されており、ラミネート後の枚葉シートの搬送方向に対してラミネートフィルムの搬送方向を鋭角に変化されることで、枚葉シートがラミネートフィルムに追随することができずに先端部分から剥離し、さらに搬送が進むことで枚葉シートが支持体から完全に剥離する構成になっている。このラミネート装置では、枚葉シートを分離する際に切断工程が無く装置の簡略化が可能なことや、切断による不要な切断片などの廃棄物が無いこと、さらに枚葉シートを連続してラミネート加工することができるのためラミネートフィルムの利用効率が高いなどの利点がある。
【0006】
しかし、ラミネートフィルムの転写膜層とフィルム基材との密着性や、転写膜層の膜強度の関係から剥離は良好に行われず、枚葉シートの周辺部分のラミネート加工に不具合が残ってしまう場合が多い。すなわち、枚葉シートの先端部分や後端部分のラミネート未加工部が発生する問題(図2)や、枚葉シートの淵に沿って「ひれ」状に転写膜層が残ってしまう問題(図3)があった。
【0007】
上記の不具合を改善する装置構成として特開平2001−121609号公報の提案がある。この公報では、特に枚葉シートの後端部分の「ひれ」発生を改善するために後端カーター機構を設けた構成になっている。枚葉シートの後端部分が通過する際に位置可変ローラがラミネートフィルム基材側から押し込まれ、この際、枚葉シートの「こし」があるためにラミネートフィルム基材の湾曲に追随することができず後端部分が剥離するという機構が設けられている。この構成により特に後端部分の不具合は改善されるが、ここでも枚葉シートの「こし」を利用した剥離システムになっているため、前記したラミネート未加工部の発生や、「ひれ」の発生があった。
【0008】
上記のラミネート未加工部の発生や、「ひれ」の発生はラミネート加工印画物の外観を悪くし商品価値を低下させてしまう。これらの不具合を解消し、淵部の状態が揃ったラミネート加工印画物を安定して作製するためには、さらに後工程として印画物の周辺を切断する追加工程が必要であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、前記の枚葉シートの「こし」を利用した剥離機構による簡略で、且つラミネートフィルムの利用効率の高いラミネート装置を用いた場合においても、後工程による切断機構を必要としない安定した剥離性を有する転写膜層付ラミネートフィルムを供給することである。
【0010】
また、本発明による転写膜層付ラミネートフィルムを用いてラミネート加工した印画物の画像品位は未加工時と比較して、画像濃度、画像光沢度の面で大きく向上し、耐光性、耐水性、耐摩擦性など画像堅牢性においても大きな改善がなされるものである。
【0011】
さらに、高温あるいは低温、高湿度などの過酷な保存状態においても印画物の表面にラミネートした表面保護層に「ひび割れ」や「クラック」、「白化」などの不具合がないラミネート加工印画物を得ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるラミネート用フィルムは、耐熱性基材と、該耐熱性基材上に剥離可能な転写膜層が設けられ、印画物の画像面上に加熱圧着によって転写膜層を転写するラミネートフィルムにおいて、前記転写膜層が、前記画像面の表面保護層となる第1層と、該第1層上に設けられ前記画像面への接着層となる第2層とを有し且つ、第1層が10ミクロン以下の微粒子を含有する樹脂層からなることを特徴とするラミネートフィルムである。
【0013】
また、本発明にかかるラミネート処理された印画物は、画像面に前記転写膜層がラミネートされており、画像面上に接着した該第2層である接着層の上に該第1層である表面保護層が積層された構成において、該表面保護層に10ミクロン以下の微粒子を含有する樹脂層からなるものである。
【0014】
本発明にかかるラミネートフィルムにおける第1層としては、10ミクロン以下の微粒子の含有量が重量換算で3重量部以上、40重量部以下の範囲であることがこのましい。
【0015】
前記の本発明における微粒子としては、無機酸化物微粒子、有機系の合成ポリマー微粒子が挙げられる。無機酸化物微粒子としてはシリカ、アルミナ、また有機系の合成ポリマー微粒子としてはアクリル系微粒子、シリコーン系微粒子が本発明の好ましい形態として挙げられる。
【0016】
また第1層を構成する樹脂成分の内、分子量5万以上且つガラス転移温度70℃以上のポリマー成分が、微粒子を除いた全重量固形分に対して80重量部以上からなるものである。
【0017】
さらに、前記第1層或いは第2層を構成する樹脂に紫外線吸収性化合物を成分とする高分子材料が含有されていることを好ましい形態とするのものである。
本発明にかかるラミネートフィルムは、インクジェット画像記録方式によって画像形成された被記録媒体に対してラミネート加工を施すことに好適である。
【0018】
また、多孔質無機粒子を含有する部分に画像形成されている被記録媒体において、ラミネート加工を施すと特に好適である。
【0019】
さらに、前記の多孔質無機粒子が非晶質シリカである被記録媒体において、ラミネート加工を施すと特に好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるラミネートフィルムの一例の構成を図4に示す。耐熱性基材上に、該耐熱性基材側から順に少なくとも表面保護層と接着層とを設けた構成を有するラミネートフィルムである。
【0021】
耐熱性基材は、ラミネート加工の際に転写膜層となる表面保護層と接着層がその形状を保持するのに必要な機械的強度と、画像面への良好な転写および剥離操作が可能である材料を用いる好ましい。このような材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリエーテルスルフォン(PES)フィルムなどを挙げることができる。耐熱性基材の厚さは上記の機能が得られるように設定されれば良いため特に限定されるものではないが、5〜50ミクロンの範囲から適宜選択することができる。また、耐熱性基材の転写膜層が積層される面は、積層性や剥離、転写性などを改善する上で各種の処理が施されてもよい。さらに、耐熱性基材の転写膜層が形成される反対面もラミネートフィルムに埃や塵などが付着しずらくするために帯電防止処理、またはブロッキングを防止するために離型処理等が施されても良い。
【0022】
表面保護層としては、印画面の表面平滑性を向上させ高光沢度が得られること、さらに過酷な保存環境下においても光沢度の低下や、白化などの膜の変質、さらにクラックの発生などが少ない点から、分子量およびガラス点移転の高い樹脂を主成分として用いることが良い。分子量としては、重量平均分子量で5万以上、ガラス転移点としては70℃以上であることが好ましい。また、高湿度の環境下に置かれた際に樹脂が水分を吸収し膨潤することによる画質の劣化の点から、非水系の樹脂を用いることが特に好ましい形態である。したがって、表面保護層水溶性の樹脂やエマルジョン樹脂を用いることは望ましくない。上記の特性を踏まえた表面保護層用樹脂の主成分としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、シリコーン樹脂などのガラス転移点の高い樹脂を用いることができる。また、耐水性、耐溶剤性、耐磨耗性などを特に高めるために熱硬化性、あるいは紫外線硬化性、電子線硬化性の樹脂を用いても良い。また、インクジェット画像記録法による画像形成では染料を用いている場合が多く耐紫外線劣化性が十分でない。このような場合は、紫外線吸収性を有する化合物を上記の樹脂中に含有させることで耐紫外線劣化耐を向上させることができる。紫外線吸収性の化合物を樹脂中に含有させる方法としては、ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収化合物を用いるとよい。これら紫外線吸収性化合物を上記の樹脂に添加して用いる方法や、上記の樹脂成分と共重合させて用いる方法などがある。また上記の樹脂に添加して用いる場合は、高分子量タイプの紫外線吸収化合物を用いることが持続性の面から好ましい。
【0023】
上記のように表面保護層としては、耐候性、耐磨耗性などの点から分子量およびガラス転移点の高い先に挙げた種類の樹脂を用いることが不可欠であるが、一方これらの樹脂は膜強度が高くラミネート加工時の剥離性が良好でない。樹脂の分子量を下げることで膜強度を弱め剥離性を上げることは可能であるが、クラックの発生や耐磨耗性の低下などの点で問題である。
【0024】
すなわち前記に挙げた表面保護膜としての特性を落とさずに、ラミネート時の剥離性を向上させることが重要である。本発明においては、ラミネート加工による剥離を良好に行うために、表面保護層を構成する樹脂中に微粒子を含有させることで、表面保護層としての特性を下げることなくラミネート加工時の剥離が良好に行われるラミネートフィルムを得ることが可能となる。ラミネート後の枚葉シートとラミネートフィルムの搬送方向を鋭角に変化させ、枚葉シートの「こし」を利用し転写膜層をラミネートフィルム基材から引きちぎる剥離方法において、表面保護層を構成する樹脂に含有された微粒子はラミネートフィルムの搬送方向を鋭角に変化させた際の表面保護層への亀裂のきっかけを作り剥離が良好に行われるものである。また、分子量が大きく膜強度が強い表面保護層を構成する樹脂に対しても微粒子の含有は剥離に対して非常に有効に働くため、分子量が小さく膜強度が低い表面保護層を構成する樹脂を用いた場合に発生する前記の耐候性の低下、耐磨耗性の低下などの無いラミネート加工印画物を得ることができる。
【0025】
本発明において表面保護層に含有されうる微粒子としては、無機系微粒子、有機系の合成ポリマー微粒子などが挙げられる。無機系微粒子には、例えばシリカ微粒子、アルミナ微粒子、あるいはその他の無機系顔料微粒子等がある。有機系の合成ポリマー微粒子としては、アクリレート系微粒子、メタクリレート系微粒子、スチレン系微粒子、メラミン系微粒子、ベンゾグアネミン系微粒子、シリコーン系微粒子、フッ素系微粒子等を用いることが可能である。また、有機系の合成ポリマー微粒子を用いる場合は、耐有機溶剤性の高い微粒子を用いることが好ましい。これは、表面保護層を形成する樹脂としては、前記のように非水系の樹脂を用いる方が耐水性などの点で望ましく、その際にトルエンなどの有機溶剤に溶解させた形態で用いられる場合が多く、微粒子の耐有機溶剤性が悪い場合、有機溶剤に溶解または膨潤してしまい微粒子としての効果がなくなってしまうためである。
【0026】
これら無機系微粒子および有機系微粒子の平均粒径としては、10ミクロン以下あることが好ましい。これは、微粒子の粒径がこれより大きくなると、樹脂中に均一に分散させることが困難となり剥離性に対してばらつきが生じる点や、ラミネート加工後の印画物の表面に微粒子が目視により確認され外観を損ねる点などの不具合が生じるためである。以上の点から、粒度分布の広がりが小さい5ミクロン以下の微粒子を用いることがさらに好ましい。また、含有重量としては、表面保護層を構成するすべての材料成分に対して3重量部以上、40重量部以下であることである。3重量部以下の含有量ではラミネート加工時の剥離性の向上に対して効果は少なく、40重量部以上の含有では表面保護層の膜強度が低下し耐磨耗性が低くなることや、透過率が大きく低下しラミネート加工印画物の画像外観を損ねるなどの不具合が生じるため好ましくない。以上の点からさらに好ましい形態としては10重両部以上30重両部以下の範囲である。
【0027】
また、表面保護層の膜厚は、例えば0.5〜15ミクロンとすることができる。
【0028】
上記のように、表面保護層の形成は、例えばアクリル系ポリマーと有機系微粒子を適当な溶剤により攪拌、混合して微粒子が分散した塗工液を調整し、この塗工液を耐熱性基材上に所定の膜厚が得られるように塗工および乾燥することで行うことができる。塗工方法としては、例えばロールコーティング法、グラビアコーティング法、ロードバーコーティング法、スロットダイコーティング法などの種々の塗工方法により行うことができる。尚、塗工に際して、塗工液には必要に応じて分散剤、表面張力調整剤、消泡剤等を添加しても良い。
【0029】
表面保護層上に設けられる接着層は、熱可塑性樹脂を主成分として構成することができ、画像面に加圧圧着されることで溶融し、表面保護層を画像面上に密着性よく形成できる材料が用いられる。このような熱可塑性樹脂のガラス点移転は、0℃以上、80℃以下であることが好ましい。80℃以上のガラス転移点を有する熱可塑性樹脂を主成分として用いた場合、加圧圧着時の溶融が十分でなく表面保護層を密着性良く画像面上に形成することが難しい。また、0℃以下の場合は画像面上への接着は良好に行われるが、ラミネートフィルム保存時にラミネートフィルム耐熱性基材反対面との融着、すなわちブロッキングが発生しやすくなるため好ましくない。上記に示した熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリエチレン樹脂系、ポリプロピレン樹脂系などが挙げられる。また、表面保護層の場合と同様に、印画物の耐紫外線劣化性を向上する目的で、紫外線吸収性の化合物を樹脂中に含有させても良い。前記と同様に紫外線吸収性の化合物を添加して用いる方法や共重合して用いる方法などが適宜用いられる。なお、接着層の膜厚は、画像面の凹凸の程度によって異なるが2〜30ミクロンに適宜設定することができる。
【0030】
これら接着層の形成においても、表面保護層形成と同様に例えばロールコーティング法、グラビアコーティング法、ロードバーコーティング法、スロットダイコーティング法などの種々の塗工方法により行うことができる。また、塗工に際して、塗工液には必要に応じて分散剤、表面張力調整剤、消泡剤、耐ブロッキング防止剤等を添加しても良い。
【0031】
本発明のラミネートフィルムにおける転写膜層の層構成は、少なくとも前記の表面保護層と接着層を耐熱性基材上に積層して構成されるものであるが、必要に応じて上記の2層の密着性向上等を目的として中間層を設けても良い。
【0032】
以上説明した構成のラミネートフィルムを用いて、画像面へラミネート加工を施し転写膜層を形成することができる。ここで画像形成には種々の被記録媒体および種々の記録方法を用いることができるが、本発明において被記録媒体および記録方法としては、基材上にインク受容層、特に多孔質無機粒子を主成分としたインク受容層付き被記録媒体に対してインクジェット記録法を用いて画像を形成された場合が好ましい形態である。このような被記録媒体のインク受容層の形成に用い得る多孔質無機粒子としては、シリカ、アルミナ、炭酸マグネシウム、シリカアルミナ混晶、シリカマグネシウム混晶等を用いることができる。また、インク受容層を形成する際には、必要に応じて結着材を用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、アクリル等の水溶性高分子またはエマルジョンなどが利用できる。多孔質無機粒子と結着材との配合比は、例えば多孔質無機粒子100重量部に対して結着材を10 〜200 重量部、好ましくは25〜100重量部の範囲から選択することができる。更に、インク受容層には、分散剤、蛍光染料、pH調製剤、潤滑剤、界面活性剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。インク受容層の層厚は例えば30〜60μmの範囲から選択するのが好適である。
【0033】
一方、インクジェット記録における記録方式は、静電吸引方式、圧電素子を用いる方式、発熱素子を用いる方式等その記録方式は特に限定されない。インクジェット記録に用いるインクとしては、水性媒体に、染料や顔料等の色材を含有させたものなど、インクジェット記録方式に適用できるものであればよい。カラー記録を行う場合は、常法に従って、シアン、マゼンタ、及びイエロー、更には必要に応じてブラックを用いた減色混合によりフルカラー画像を形成することができる。
【0034】
本発明のラミネートフィルムを用いた画像形成後のインク受容層上への転写膜の形成は例えば次のようにして行うことができる。まず、被記録媒体のインク受容層に画像情報に応じてインクジェット記録法により画像を形成したところで、画像面の上方からラミネートフィルムを重ね合わせ、この重ね合わせた部分を一対の対向するローラ間に通す等の方法によって加熱下に加圧することで、ラミネートフィルムの転写膜層をインク受容層に圧着する。更に、ラミネートフィルムの一部を構成している耐熱性基材を剥離して、ラミネート加工が施された印画物(プリント)を得ることができる。
【0035】
このような保護層の形成工程を行う装置の一例を図1に示す。図1の装置は、ロールに巻取られた状態である被記録媒体のインク受容層側の面に対してインクジェット記録を行うインクジェット記録部と、インクジェット記録された画像面に対してラミネート加工を施すラミネート処理部とを有する。
【0036】
インクジェット記録部はインクジェット記録ヘッドを有し、被記録媒体のインク受容層に対して画像情報に応じてインクを付与し、画像を形成する。画像形成後、カッターにより画像は適当な大きさの枚葉シートに裁断される。次に、枚葉シートのインク受容層側に対してラミネートフィルムの転写膜層側から張り合わされ、一対のローラ間を通り、必要に応じた加熱下で加圧される。この処理によってラミネートフィルムの接着層が、インク受容層に圧融着される。ローラ対通過後に枚葉シートに張り合わされたラミネートフィルムは、剥離部9で鋭角に進行方向を変化され枚葉シートは「こし」があるために追随できず、先端から剥離してインク受容層上に転写膜層を有する印画物(プリント)が得られる。ローラ対における加圧力や加熱温度は用いるラミネートフィルムの種類に応じて設定することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下実施例等により本発明を更に詳細に説明する。
【0038】
(被記録媒体の作製)
シリカ(水澤化学工業株式会社;商品名:ミズカシルP−50)1重量部に対してバインダ樹脂エマルジョン高松油脂株式会社;商品名;NS120−XK)0.7重量部を合せて固形分含量20 重量%となるように添加、分散させて塗工液を調製した。この塗工液を基材としての坪量186g/m2の上質紙に、乾燥後の膜厚が30μmになるようにスロットダイコーターで塗工し、乾燥させて被記録媒体を得た。
【0039】
(実施例1)
透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(、厚さ38ミクロン)を耐熱性シート状基材として、この基材上に下記の組成の塗工液を用いて乾燥後の塗布膜厚5ミクロンとなるようにグラビアコート法によってコーティングして表面保護層を形成した。
組成
アクリルポリマー : 9重量部
(三菱レイヨン(株)製 商品名:ダイヤナールBR−82
分子量15万、ガラス転移温度95℃)
紫外線吸収性ポリマー : 3重量部
(大塚化学(株)製 商品名:PUVA−30M、分子量5万)
シリコーン微粒子 : 3重量部
(GE東芝シリコーン(株) 商品名:トスパール120、平均粒子径2ミクロン)
トルエン :45重量部
メチルエチルケトン :40重量部
次に、表面保護層の上にアクリル系エマルジョン溶液(日信化学工業株式会社:ビニブラン2706、ガラス転移点温度:21℃)を乾燥膜厚15μmとなるようにグラビアコート法により接着層を積層塗工しラミネートフィルムを得た。
【0040】
次に、前記による被記録媒体のインク受容層に対して、インクジェットプリンター(キヤノン株式会社製:BJF8500)を用いて、1インチ四方内にインク液滴体積8.5plのインク滴を720000発打ち込むインク量を100%として、ブラック100%、シアン、マゼンタ、イエローをそれぞれ50%ずつ打ち込んで黒色を形成した。
【0041】
インク打ち込み後、ラミネートフィルムと被記録媒体におけるインク受容層側が接するようにこれらを重ね合せて、回転する一対のローラ間(ロール直径63mm、線圧7N/cm、温度150℃)に通し、加熱加圧処理を行いインク受容層上に、転写膜層を形成するとともに、ラミネートフィルム耐熱性基材を剥離して、ラミネート加工が施された印画物を得た。
【0042】
(実施例2)
下記の組成の塗工液を用いて表面保護層を形成した以外は(実施例1)と同様にしてラミネートフィルムを作製し、前記の被記録媒体に対して(実施例1)と同様にして画像形成およびラミネート加工を施した。ここで微粒子としては、無機系微粒子であるコロイダルシリカ(日産化学工業(株) 商品名:MEK−ST、平均粒子径0.01〜0.02ミクロン)を用いた。
組成
アクリルポリマー : 9重量部
(三菱レイヨン(株)製 商品名:ダイヤナールBR−82
分子量15万、ガラス転移温度95℃ )
紫外線吸収性ポリマー : 3重量部
(大塚化学(株)製 商品名:PUVA−30M、分子量5万)
コロイダルシリカ : 10重量部
(日産化学工業(株) 商品名:MEK−ST
平均粒子径0.01〜0.02ミクロン)
トルエン :45重量部
メチルエチルケトン :33重量部
(実施例3)
微粒子として、有機系の合成ポリマー微粒子であるアクリル微粒子(総研化学(株) 商品名:MX−150、平均粒子径1.5ミクロン)を用いた以外は実施例1と全く同様にして表面保護層を形成し、さらに実施例1と同様にして接着層を形成しラミネートフィルムを作製した。前記の被記録媒体に対して(実施例1)と同様にして画像形成およびラミネート加工を施した。
【0043】
(比較例1)
シリコーン微粒子として、平均粒子径12ミクロン(GE東芝シリコーン(株) 商品名:トスパール3120)のものを用いた以外は実施例1と全く同様にして表面保護層を形成し、さらに実施例1と同様にして接着層を形成しラミネートフィルムを作製した。前記の被記録媒体に対して(実施例1)と同様にして画像形成およびラミネート加工を施した。
【0044】
(比較例2)
下記の組成の塗工液を用いて表面保護層を形成した以外は(実施例1)と同様にしてラミネートフィルムを作製し、前記の被記録媒体に対して(実施例1)と同様にして画像形成およびラミネート加工を施した。
組成
アクリルポリマー :11.85重量部
( 三菱レイヨン(株)製 商品名:ダイヤナールBR−85
分子量28万、ガラス転移温度105℃)
紫外線吸収性ポリマー : 3重量部
(大塚化学(株)製 商品名:PUVA−30M、分子量5万)
シリコーン微粒子 : 0.15重量部
(GE東芝シリコーン(株) 商品名:トスパール120、平均粒子径2ミクロン)
トルエン :45重量部
メチルエチルケトン :40重量部
(比較例3)
下記の組成の塗工液を用いて表面保護層を形成した以外は(実施例1)と同様にしてラミネートフィルムを作製し、前記の被記録媒体に対して(実施例1)と同様にして画像形成およびラミネート加工を施した。
組成
アクリルポリマー : 4.5重量部
(三菱レイヨン(株)製 商品名:ダイヤナールBR−85
分子量28万、ガラス転移温度105℃)
紫外線吸収性ポリマー : 3重量部
(大塚化学(株)製 商品名:PUVA−30M、分子量5万)
シリコーン微粒子 : 7.5重量部
(GE東芝シリコーン(株) 商品名:トスパール120、平均粒子径2ミクロン)
トルエン :45重量部
メチルエチルケトン :40重量部
(比較例4)
下記の組成の塗工液を用いて表面保護層を形成した以外は(実施例1)と同様にしてラミネートフィルムを作製し、前記の被記録媒体に対して(実施例1)と同様にして画像形成およびラミネート加工を施した。
組成
アクリルポリマー :10重量部
(三菱レイヨン(株)製 商品名:ダイヤナールBR−87
分子量2.5万、ガラス転移温度105℃)
紫外線吸収性ポリマー : 5重量部
(大塚化学(株)製 商品名:PUVA−30M、分子量5万)
トルエン :45重量部
メチルエチルケトン :40重量部
(ラミネート加工処理済み印画物の評価)
前記における実施例および比較例によるラミネート加工時の剥離状況について観察した。またラミネート処理が施された印画物に対して、以下の評価を行った。その結果を表1に示す。
(剥離状況)
○:剥離可能
△:剥離はできたが、剥離時に大きな音が発生
×:剥離せず
(ヒレ発生の発生)
○:ヒレが完全に発生しないか、発生した場合でもごく僅か(2mm以下)
△:ヒレの大きさが2mm〜10mmの範囲
×:ヒレの大きさが10mm以上
(ラミネート未処理部)
○:未処理部の幅が0.5mm以下
△:未処理部の幅が0.5mm〜2mmの範囲
×:未処理部の幅が2mm以上
(画像濃度)
ラミネート直後の黒印字物部の光学濃度を、反射濃度計Mcbeth SERIES1200(マクベス社製)で測定した。
【0045】
○:ブラックの濃度2以上
×:ブラックの濃度2未満
(画像光沢度)
グロスメーターVG2000(日本電色工業株式会社製)を用い、ラミネート直後の光沢度を、角度設定20度で測定した。光沢度は反射率(反射光強度/入射光強度)でしめした。
【0046】
○:50%以上
△:30〜50%
×:30%未満
(高温下、高湿度下における外観変化の有無)
温度60℃−湿度50%の環境での24時間保存した場合と、温度30℃−湿度80%の環境で1週間保存した場合のクラックの発生等による外観の変化について目視により観察した。
【0047】
○:外観に変化無
×:クラックなど外観に変化有り
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、かかるラミネートフィルムを用いて画像面上に接着層および表面保護層からなる転写膜層が形成されることで、印画物の画像濃度や画像光沢が大きく向上し高品位な画像が得られることや、印画物の耐候性や耐磨耗性大きく向上するとともに、ラミネート加工処理時の剥離が良好に行われるため、簡易なラミネートプロセスにより、剥離不良による「ひれ」などの無い、外観の良い高品位のラミネート加工を安定して生産性良く施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用し得る画像形成装置の一例の腰部の模式的図。
【図2】ラミネート加工処理時に発生する「ラミネート未処理部」の模式図。
【図3】ラミネート加工処理時に発生する「ひれ」の模式図。
【図4】本発明におけるラミネートフィルムの層構成の模式図。
【符号の説明】
1a 耐熱性基材
1b 表面保護層となる第1の層1b(表面保護層)
1c 接着層となる第2の層1c(接着層)
2a 基材
2b インク受容層
1、2 被記録媒体
3 インクジェット記録部
4 ラミネート処理部4
5 インクジェット記録ヘッド
6 カッター
7 一対の加熱ローラ
8 巻き取り装置8
9 剥離部
10 ラミネート処理加工後の被記録媒体
11 ラミネート加工の未処理部
12 ラミネート加工剥離時に発生した「ヒレ」
【発明の属する技術分野】
本発明は、被記録媒体に画像形成した印画物の画像面を転写膜層で覆う(ラミネートする)ためのラミネートフィルム、またこれを用いた印画物のラミネート処理方法及びラミネート加工が施された画像面を有する印画物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット法による記録装置の適用範囲の拡大や高性能化とともに、画像形成に用いる被記録媒体としてはこれまで種々の構成のものが考案されている。例えば、基材上にシリカやアルミナ等の無機多孔質粒子と水溶性樹脂等のバインダを主体としたインク受容層を設けた構成の被記録媒体を用いてインクジェット記録法によりインク受容層へ画像を形成する方法が知られている。かかる構成とすることでインク吸収性やインクの色材への定着を高めることができ高画質の画像を得ることができる。
【0003】
一方、インクジェット記録法を適用して銀塩によるカラー写真や各種印刷法における多色印刷に匹敵する画質及び耐候性を有する画像を形成できれば、画像形成単価を大幅に低減できる可能性がある。
【0004】
銀塩写真や多色印刷に匹敵する多色画像をインクジェット法で形成することを目的とする技術としては、基材上にシリカ等の白色の多孔質微粒子を含むインク受容層を設けた構成を有する被記録媒体を用い、インクジェット記録による画像形成後にインク受容層表面に透明フィルム層をラミネートし、画像濃度の向上や画像表面を平滑化し光沢度を上げることで画像品位を高める方法が知られている。
【0005】
画像面へのラミネートに用いる装置としては、特開平6−91767号公報の提案がある。この公報には、画像が形成された枚葉シートを装置内に送り、連続状の転写膜層付ラミネートフィルムにより枚葉シートをラミネートし、その後ラミネートフィルム基材を剥離することで枚葉シート上にのみラミネート加工を施すことができる。枚葉シートからの剥離は、ラミネートフィルムより枚葉シートのほうが強い「こし」を有していることが利用されており、ラミネート後の枚葉シートの搬送方向に対してラミネートフィルムの搬送方向を鋭角に変化されることで、枚葉シートがラミネートフィルムに追随することができずに先端部分から剥離し、さらに搬送が進むことで枚葉シートが支持体から完全に剥離する構成になっている。このラミネート装置では、枚葉シートを分離する際に切断工程が無く装置の簡略化が可能なことや、切断による不要な切断片などの廃棄物が無いこと、さらに枚葉シートを連続してラミネート加工することができるのためラミネートフィルムの利用効率が高いなどの利点がある。
【0006】
しかし、ラミネートフィルムの転写膜層とフィルム基材との密着性や、転写膜層の膜強度の関係から剥離は良好に行われず、枚葉シートの周辺部分のラミネート加工に不具合が残ってしまう場合が多い。すなわち、枚葉シートの先端部分や後端部分のラミネート未加工部が発生する問題(図2)や、枚葉シートの淵に沿って「ひれ」状に転写膜層が残ってしまう問題(図3)があった。
【0007】
上記の不具合を改善する装置構成として特開平2001−121609号公報の提案がある。この公報では、特に枚葉シートの後端部分の「ひれ」発生を改善するために後端カーター機構を設けた構成になっている。枚葉シートの後端部分が通過する際に位置可変ローラがラミネートフィルム基材側から押し込まれ、この際、枚葉シートの「こし」があるためにラミネートフィルム基材の湾曲に追随することができず後端部分が剥離するという機構が設けられている。この構成により特に後端部分の不具合は改善されるが、ここでも枚葉シートの「こし」を利用した剥離システムになっているため、前記したラミネート未加工部の発生や、「ひれ」の発生があった。
【0008】
上記のラミネート未加工部の発生や、「ひれ」の発生はラミネート加工印画物の外観を悪くし商品価値を低下させてしまう。これらの不具合を解消し、淵部の状態が揃ったラミネート加工印画物を安定して作製するためには、さらに後工程として印画物の周辺を切断する追加工程が必要であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、前記の枚葉シートの「こし」を利用した剥離機構による簡略で、且つラミネートフィルムの利用効率の高いラミネート装置を用いた場合においても、後工程による切断機構を必要としない安定した剥離性を有する転写膜層付ラミネートフィルムを供給することである。
【0010】
また、本発明による転写膜層付ラミネートフィルムを用いてラミネート加工した印画物の画像品位は未加工時と比較して、画像濃度、画像光沢度の面で大きく向上し、耐光性、耐水性、耐摩擦性など画像堅牢性においても大きな改善がなされるものである。
【0011】
さらに、高温あるいは低温、高湿度などの過酷な保存状態においても印画物の表面にラミネートした表面保護層に「ひび割れ」や「クラック」、「白化」などの不具合がないラミネート加工印画物を得ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるラミネート用フィルムは、耐熱性基材と、該耐熱性基材上に剥離可能な転写膜層が設けられ、印画物の画像面上に加熱圧着によって転写膜層を転写するラミネートフィルムにおいて、前記転写膜層が、前記画像面の表面保護層となる第1層と、該第1層上に設けられ前記画像面への接着層となる第2層とを有し且つ、第1層が10ミクロン以下の微粒子を含有する樹脂層からなることを特徴とするラミネートフィルムである。
【0013】
また、本発明にかかるラミネート処理された印画物は、画像面に前記転写膜層がラミネートされており、画像面上に接着した該第2層である接着層の上に該第1層である表面保護層が積層された構成において、該表面保護層に10ミクロン以下の微粒子を含有する樹脂層からなるものである。
【0014】
本発明にかかるラミネートフィルムにおける第1層としては、10ミクロン以下の微粒子の含有量が重量換算で3重量部以上、40重量部以下の範囲であることがこのましい。
【0015】
前記の本発明における微粒子としては、無機酸化物微粒子、有機系の合成ポリマー微粒子が挙げられる。無機酸化物微粒子としてはシリカ、アルミナ、また有機系の合成ポリマー微粒子としてはアクリル系微粒子、シリコーン系微粒子が本発明の好ましい形態として挙げられる。
【0016】
また第1層を構成する樹脂成分の内、分子量5万以上且つガラス転移温度70℃以上のポリマー成分が、微粒子を除いた全重量固形分に対して80重量部以上からなるものである。
【0017】
さらに、前記第1層或いは第2層を構成する樹脂に紫外線吸収性化合物を成分とする高分子材料が含有されていることを好ましい形態とするのものである。
本発明にかかるラミネートフィルムは、インクジェット画像記録方式によって画像形成された被記録媒体に対してラミネート加工を施すことに好適である。
【0018】
また、多孔質無機粒子を含有する部分に画像形成されている被記録媒体において、ラミネート加工を施すと特に好適である。
【0019】
さらに、前記の多孔質無機粒子が非晶質シリカである被記録媒体において、ラミネート加工を施すと特に好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるラミネートフィルムの一例の構成を図4に示す。耐熱性基材上に、該耐熱性基材側から順に少なくとも表面保護層と接着層とを設けた構成を有するラミネートフィルムである。
【0021】
耐熱性基材は、ラミネート加工の際に転写膜層となる表面保護層と接着層がその形状を保持するのに必要な機械的強度と、画像面への良好な転写および剥離操作が可能である材料を用いる好ましい。このような材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム、ポリエーテルスルフォン(PES)フィルムなどを挙げることができる。耐熱性基材の厚さは上記の機能が得られるように設定されれば良いため特に限定されるものではないが、5〜50ミクロンの範囲から適宜選択することができる。また、耐熱性基材の転写膜層が積層される面は、積層性や剥離、転写性などを改善する上で各種の処理が施されてもよい。さらに、耐熱性基材の転写膜層が形成される反対面もラミネートフィルムに埃や塵などが付着しずらくするために帯電防止処理、またはブロッキングを防止するために離型処理等が施されても良い。
【0022】
表面保護層としては、印画面の表面平滑性を向上させ高光沢度が得られること、さらに過酷な保存環境下においても光沢度の低下や、白化などの膜の変質、さらにクラックの発生などが少ない点から、分子量およびガラス点移転の高い樹脂を主成分として用いることが良い。分子量としては、重量平均分子量で5万以上、ガラス転移点としては70℃以上であることが好ましい。また、高湿度の環境下に置かれた際に樹脂が水分を吸収し膨潤することによる画質の劣化の点から、非水系の樹脂を用いることが特に好ましい形態である。したがって、表面保護層水溶性の樹脂やエマルジョン樹脂を用いることは望ましくない。上記の特性を踏まえた表面保護層用樹脂の主成分としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、シリコーン樹脂などのガラス転移点の高い樹脂を用いることができる。また、耐水性、耐溶剤性、耐磨耗性などを特に高めるために熱硬化性、あるいは紫外線硬化性、電子線硬化性の樹脂を用いても良い。また、インクジェット画像記録法による画像形成では染料を用いている場合が多く耐紫外線劣化性が十分でない。このような場合は、紫外線吸収性を有する化合物を上記の樹脂中に含有させることで耐紫外線劣化耐を向上させることができる。紫外線吸収性の化合物を樹脂中に含有させる方法としては、ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収化合物を用いるとよい。これら紫外線吸収性化合物を上記の樹脂に添加して用いる方法や、上記の樹脂成分と共重合させて用いる方法などがある。また上記の樹脂に添加して用いる場合は、高分子量タイプの紫外線吸収化合物を用いることが持続性の面から好ましい。
【0023】
上記のように表面保護層としては、耐候性、耐磨耗性などの点から分子量およびガラス転移点の高い先に挙げた種類の樹脂を用いることが不可欠であるが、一方これらの樹脂は膜強度が高くラミネート加工時の剥離性が良好でない。樹脂の分子量を下げることで膜強度を弱め剥離性を上げることは可能であるが、クラックの発生や耐磨耗性の低下などの点で問題である。
【0024】
すなわち前記に挙げた表面保護膜としての特性を落とさずに、ラミネート時の剥離性を向上させることが重要である。本発明においては、ラミネート加工による剥離を良好に行うために、表面保護層を構成する樹脂中に微粒子を含有させることで、表面保護層としての特性を下げることなくラミネート加工時の剥離が良好に行われるラミネートフィルムを得ることが可能となる。ラミネート後の枚葉シートとラミネートフィルムの搬送方向を鋭角に変化させ、枚葉シートの「こし」を利用し転写膜層をラミネートフィルム基材から引きちぎる剥離方法において、表面保護層を構成する樹脂に含有された微粒子はラミネートフィルムの搬送方向を鋭角に変化させた際の表面保護層への亀裂のきっかけを作り剥離が良好に行われるものである。また、分子量が大きく膜強度が強い表面保護層を構成する樹脂に対しても微粒子の含有は剥離に対して非常に有効に働くため、分子量が小さく膜強度が低い表面保護層を構成する樹脂を用いた場合に発生する前記の耐候性の低下、耐磨耗性の低下などの無いラミネート加工印画物を得ることができる。
【0025】
本発明において表面保護層に含有されうる微粒子としては、無機系微粒子、有機系の合成ポリマー微粒子などが挙げられる。無機系微粒子には、例えばシリカ微粒子、アルミナ微粒子、あるいはその他の無機系顔料微粒子等がある。有機系の合成ポリマー微粒子としては、アクリレート系微粒子、メタクリレート系微粒子、スチレン系微粒子、メラミン系微粒子、ベンゾグアネミン系微粒子、シリコーン系微粒子、フッ素系微粒子等を用いることが可能である。また、有機系の合成ポリマー微粒子を用いる場合は、耐有機溶剤性の高い微粒子を用いることが好ましい。これは、表面保護層を形成する樹脂としては、前記のように非水系の樹脂を用いる方が耐水性などの点で望ましく、その際にトルエンなどの有機溶剤に溶解させた形態で用いられる場合が多く、微粒子の耐有機溶剤性が悪い場合、有機溶剤に溶解または膨潤してしまい微粒子としての効果がなくなってしまうためである。
【0026】
これら無機系微粒子および有機系微粒子の平均粒径としては、10ミクロン以下あることが好ましい。これは、微粒子の粒径がこれより大きくなると、樹脂中に均一に分散させることが困難となり剥離性に対してばらつきが生じる点や、ラミネート加工後の印画物の表面に微粒子が目視により確認され外観を損ねる点などの不具合が生じるためである。以上の点から、粒度分布の広がりが小さい5ミクロン以下の微粒子を用いることがさらに好ましい。また、含有重量としては、表面保護層を構成するすべての材料成分に対して3重量部以上、40重量部以下であることである。3重量部以下の含有量ではラミネート加工時の剥離性の向上に対して効果は少なく、40重量部以上の含有では表面保護層の膜強度が低下し耐磨耗性が低くなることや、透過率が大きく低下しラミネート加工印画物の画像外観を損ねるなどの不具合が生じるため好ましくない。以上の点からさらに好ましい形態としては10重両部以上30重両部以下の範囲である。
【0027】
また、表面保護層の膜厚は、例えば0.5〜15ミクロンとすることができる。
【0028】
上記のように、表面保護層の形成は、例えばアクリル系ポリマーと有機系微粒子を適当な溶剤により攪拌、混合して微粒子が分散した塗工液を調整し、この塗工液を耐熱性基材上に所定の膜厚が得られるように塗工および乾燥することで行うことができる。塗工方法としては、例えばロールコーティング法、グラビアコーティング法、ロードバーコーティング法、スロットダイコーティング法などの種々の塗工方法により行うことができる。尚、塗工に際して、塗工液には必要に応じて分散剤、表面張力調整剤、消泡剤等を添加しても良い。
【0029】
表面保護層上に設けられる接着層は、熱可塑性樹脂を主成分として構成することができ、画像面に加圧圧着されることで溶融し、表面保護層を画像面上に密着性よく形成できる材料が用いられる。このような熱可塑性樹脂のガラス点移転は、0℃以上、80℃以下であることが好ましい。80℃以上のガラス転移点を有する熱可塑性樹脂を主成分として用いた場合、加圧圧着時の溶融が十分でなく表面保護層を密着性良く画像面上に形成することが難しい。また、0℃以下の場合は画像面上への接着は良好に行われるが、ラミネートフィルム保存時にラミネートフィルム耐熱性基材反対面との融着、すなわちブロッキングが発生しやすくなるため好ましくない。上記に示した熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂系、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリエチレン樹脂系、ポリプロピレン樹脂系などが挙げられる。また、表面保護層の場合と同様に、印画物の耐紫外線劣化性を向上する目的で、紫外線吸収性の化合物を樹脂中に含有させても良い。前記と同様に紫外線吸収性の化合物を添加して用いる方法や共重合して用いる方法などが適宜用いられる。なお、接着層の膜厚は、画像面の凹凸の程度によって異なるが2〜30ミクロンに適宜設定することができる。
【0030】
これら接着層の形成においても、表面保護層形成と同様に例えばロールコーティング法、グラビアコーティング法、ロードバーコーティング法、スロットダイコーティング法などの種々の塗工方法により行うことができる。また、塗工に際して、塗工液には必要に応じて分散剤、表面張力調整剤、消泡剤、耐ブロッキング防止剤等を添加しても良い。
【0031】
本発明のラミネートフィルムにおける転写膜層の層構成は、少なくとも前記の表面保護層と接着層を耐熱性基材上に積層して構成されるものであるが、必要に応じて上記の2層の密着性向上等を目的として中間層を設けても良い。
【0032】
以上説明した構成のラミネートフィルムを用いて、画像面へラミネート加工を施し転写膜層を形成することができる。ここで画像形成には種々の被記録媒体および種々の記録方法を用いることができるが、本発明において被記録媒体および記録方法としては、基材上にインク受容層、特に多孔質無機粒子を主成分としたインク受容層付き被記録媒体に対してインクジェット記録法を用いて画像を形成された場合が好ましい形態である。このような被記録媒体のインク受容層の形成に用い得る多孔質無機粒子としては、シリカ、アルミナ、炭酸マグネシウム、シリカアルミナ混晶、シリカマグネシウム混晶等を用いることができる。また、インク受容層を形成する際には、必要に応じて結着材を用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、アクリル等の水溶性高分子またはエマルジョンなどが利用できる。多孔質無機粒子と結着材との配合比は、例えば多孔質無機粒子100重量部に対して結着材を10 〜200 重量部、好ましくは25〜100重量部の範囲から選択することができる。更に、インク受容層には、分散剤、蛍光染料、pH調製剤、潤滑剤、界面活性剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。インク受容層の層厚は例えば30〜60μmの範囲から選択するのが好適である。
【0033】
一方、インクジェット記録における記録方式は、静電吸引方式、圧電素子を用いる方式、発熱素子を用いる方式等その記録方式は特に限定されない。インクジェット記録に用いるインクとしては、水性媒体に、染料や顔料等の色材を含有させたものなど、インクジェット記録方式に適用できるものであればよい。カラー記録を行う場合は、常法に従って、シアン、マゼンタ、及びイエロー、更には必要に応じてブラックを用いた減色混合によりフルカラー画像を形成することができる。
【0034】
本発明のラミネートフィルムを用いた画像形成後のインク受容層上への転写膜の形成は例えば次のようにして行うことができる。まず、被記録媒体のインク受容層に画像情報に応じてインクジェット記録法により画像を形成したところで、画像面の上方からラミネートフィルムを重ね合わせ、この重ね合わせた部分を一対の対向するローラ間に通す等の方法によって加熱下に加圧することで、ラミネートフィルムの転写膜層をインク受容層に圧着する。更に、ラミネートフィルムの一部を構成している耐熱性基材を剥離して、ラミネート加工が施された印画物(プリント)を得ることができる。
【0035】
このような保護層の形成工程を行う装置の一例を図1に示す。図1の装置は、ロールに巻取られた状態である被記録媒体のインク受容層側の面に対してインクジェット記録を行うインクジェット記録部と、インクジェット記録された画像面に対してラミネート加工を施すラミネート処理部とを有する。
【0036】
インクジェット記録部はインクジェット記録ヘッドを有し、被記録媒体のインク受容層に対して画像情報に応じてインクを付与し、画像を形成する。画像形成後、カッターにより画像は適当な大きさの枚葉シートに裁断される。次に、枚葉シートのインク受容層側に対してラミネートフィルムの転写膜層側から張り合わされ、一対のローラ間を通り、必要に応じた加熱下で加圧される。この処理によってラミネートフィルムの接着層が、インク受容層に圧融着される。ローラ対通過後に枚葉シートに張り合わされたラミネートフィルムは、剥離部9で鋭角に進行方向を変化され枚葉シートは「こし」があるために追随できず、先端から剥離してインク受容層上に転写膜層を有する印画物(プリント)が得られる。ローラ対における加圧力や加熱温度は用いるラミネートフィルムの種類に応じて設定することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下実施例等により本発明を更に詳細に説明する。
【0038】
(被記録媒体の作製)
シリカ(水澤化学工業株式会社;商品名:ミズカシルP−50)1重量部に対してバインダ樹脂エマルジョン高松油脂株式会社;商品名;NS120−XK)0.7重量部を合せて固形分含量20 重量%となるように添加、分散させて塗工液を調製した。この塗工液を基材としての坪量186g/m2の上質紙に、乾燥後の膜厚が30μmになるようにスロットダイコーターで塗工し、乾燥させて被記録媒体を得た。
【0039】
(実施例1)
透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(、厚さ38ミクロン)を耐熱性シート状基材として、この基材上に下記の組成の塗工液を用いて乾燥後の塗布膜厚5ミクロンとなるようにグラビアコート法によってコーティングして表面保護層を形成した。
組成
アクリルポリマー : 9重量部
(三菱レイヨン(株)製 商品名:ダイヤナールBR−82
分子量15万、ガラス転移温度95℃)
紫外線吸収性ポリマー : 3重量部
(大塚化学(株)製 商品名:PUVA−30M、分子量5万)
シリコーン微粒子 : 3重量部
(GE東芝シリコーン(株) 商品名:トスパール120、平均粒子径2ミクロン)
トルエン :45重量部
メチルエチルケトン :40重量部
次に、表面保護層の上にアクリル系エマルジョン溶液(日信化学工業株式会社:ビニブラン2706、ガラス転移点温度:21℃)を乾燥膜厚15μmとなるようにグラビアコート法により接着層を積層塗工しラミネートフィルムを得た。
【0040】
次に、前記による被記録媒体のインク受容層に対して、インクジェットプリンター(キヤノン株式会社製:BJF8500)を用いて、1インチ四方内にインク液滴体積8.5plのインク滴を720000発打ち込むインク量を100%として、ブラック100%、シアン、マゼンタ、イエローをそれぞれ50%ずつ打ち込んで黒色を形成した。
【0041】
インク打ち込み後、ラミネートフィルムと被記録媒体におけるインク受容層側が接するようにこれらを重ね合せて、回転する一対のローラ間(ロール直径63mm、線圧7N/cm、温度150℃)に通し、加熱加圧処理を行いインク受容層上に、転写膜層を形成するとともに、ラミネートフィルム耐熱性基材を剥離して、ラミネート加工が施された印画物を得た。
【0042】
(実施例2)
下記の組成の塗工液を用いて表面保護層を形成した以外は(実施例1)と同様にしてラミネートフィルムを作製し、前記の被記録媒体に対して(実施例1)と同様にして画像形成およびラミネート加工を施した。ここで微粒子としては、無機系微粒子であるコロイダルシリカ(日産化学工業(株) 商品名:MEK−ST、平均粒子径0.01〜0.02ミクロン)を用いた。
組成
アクリルポリマー : 9重量部
(三菱レイヨン(株)製 商品名:ダイヤナールBR−82
分子量15万、ガラス転移温度95℃ )
紫外線吸収性ポリマー : 3重量部
(大塚化学(株)製 商品名:PUVA−30M、分子量5万)
コロイダルシリカ : 10重量部
(日産化学工業(株) 商品名:MEK−ST
平均粒子径0.01〜0.02ミクロン)
トルエン :45重量部
メチルエチルケトン :33重量部
(実施例3)
微粒子として、有機系の合成ポリマー微粒子であるアクリル微粒子(総研化学(株) 商品名:MX−150、平均粒子径1.5ミクロン)を用いた以外は実施例1と全く同様にして表面保護層を形成し、さらに実施例1と同様にして接着層を形成しラミネートフィルムを作製した。前記の被記録媒体に対して(実施例1)と同様にして画像形成およびラミネート加工を施した。
【0043】
(比較例1)
シリコーン微粒子として、平均粒子径12ミクロン(GE東芝シリコーン(株) 商品名:トスパール3120)のものを用いた以外は実施例1と全く同様にして表面保護層を形成し、さらに実施例1と同様にして接着層を形成しラミネートフィルムを作製した。前記の被記録媒体に対して(実施例1)と同様にして画像形成およびラミネート加工を施した。
【0044】
(比較例2)
下記の組成の塗工液を用いて表面保護層を形成した以外は(実施例1)と同様にしてラミネートフィルムを作製し、前記の被記録媒体に対して(実施例1)と同様にして画像形成およびラミネート加工を施した。
組成
アクリルポリマー :11.85重量部
( 三菱レイヨン(株)製 商品名:ダイヤナールBR−85
分子量28万、ガラス転移温度105℃)
紫外線吸収性ポリマー : 3重量部
(大塚化学(株)製 商品名:PUVA−30M、分子量5万)
シリコーン微粒子 : 0.15重量部
(GE東芝シリコーン(株) 商品名:トスパール120、平均粒子径2ミクロン)
トルエン :45重量部
メチルエチルケトン :40重量部
(比較例3)
下記の組成の塗工液を用いて表面保護層を形成した以外は(実施例1)と同様にしてラミネートフィルムを作製し、前記の被記録媒体に対して(実施例1)と同様にして画像形成およびラミネート加工を施した。
組成
アクリルポリマー : 4.5重量部
(三菱レイヨン(株)製 商品名:ダイヤナールBR−85
分子量28万、ガラス転移温度105℃)
紫外線吸収性ポリマー : 3重量部
(大塚化学(株)製 商品名:PUVA−30M、分子量5万)
シリコーン微粒子 : 7.5重量部
(GE東芝シリコーン(株) 商品名:トスパール120、平均粒子径2ミクロン)
トルエン :45重量部
メチルエチルケトン :40重量部
(比較例4)
下記の組成の塗工液を用いて表面保護層を形成した以外は(実施例1)と同様にしてラミネートフィルムを作製し、前記の被記録媒体に対して(実施例1)と同様にして画像形成およびラミネート加工を施した。
組成
アクリルポリマー :10重量部
(三菱レイヨン(株)製 商品名:ダイヤナールBR−87
分子量2.5万、ガラス転移温度105℃)
紫外線吸収性ポリマー : 5重量部
(大塚化学(株)製 商品名:PUVA−30M、分子量5万)
トルエン :45重量部
メチルエチルケトン :40重量部
(ラミネート加工処理済み印画物の評価)
前記における実施例および比較例によるラミネート加工時の剥離状況について観察した。またラミネート処理が施された印画物に対して、以下の評価を行った。その結果を表1に示す。
(剥離状況)
○:剥離可能
△:剥離はできたが、剥離時に大きな音が発生
×:剥離せず
(ヒレ発生の発生)
○:ヒレが完全に発生しないか、発生した場合でもごく僅か(2mm以下)
△:ヒレの大きさが2mm〜10mmの範囲
×:ヒレの大きさが10mm以上
(ラミネート未処理部)
○:未処理部の幅が0.5mm以下
△:未処理部の幅が0.5mm〜2mmの範囲
×:未処理部の幅が2mm以上
(画像濃度)
ラミネート直後の黒印字物部の光学濃度を、反射濃度計Mcbeth SERIES1200(マクベス社製)で測定した。
【0045】
○:ブラックの濃度2以上
×:ブラックの濃度2未満
(画像光沢度)
グロスメーターVG2000(日本電色工業株式会社製)を用い、ラミネート直後の光沢度を、角度設定20度で測定した。光沢度は反射率(反射光強度/入射光強度)でしめした。
【0046】
○:50%以上
△:30〜50%
×:30%未満
(高温下、高湿度下における外観変化の有無)
温度60℃−湿度50%の環境での24時間保存した場合と、温度30℃−湿度80%の環境で1週間保存した場合のクラックの発生等による外観の変化について目視により観察した。
【0047】
○:外観に変化無
×:クラックなど外観に変化有り
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、かかるラミネートフィルムを用いて画像面上に接着層および表面保護層からなる転写膜層が形成されることで、印画物の画像濃度や画像光沢が大きく向上し高品位な画像が得られることや、印画物の耐候性や耐磨耗性大きく向上するとともに、ラミネート加工処理時の剥離が良好に行われるため、簡易なラミネートプロセスにより、剥離不良による「ひれ」などの無い、外観の良い高品位のラミネート加工を安定して生産性良く施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用し得る画像形成装置の一例の腰部の模式的図。
【図2】ラミネート加工処理時に発生する「ラミネート未処理部」の模式図。
【図3】ラミネート加工処理時に発生する「ひれ」の模式図。
【図4】本発明におけるラミネートフィルムの層構成の模式図。
【符号の説明】
1a 耐熱性基材
1b 表面保護層となる第1の層1b(表面保護層)
1c 接着層となる第2の層1c(接着層)
2a 基材
2b インク受容層
1、2 被記録媒体
3 インクジェット記録部
4 ラミネート処理部4
5 インクジェット記録ヘッド
6 カッター
7 一対の加熱ローラ
8 巻き取り装置8
9 剥離部
10 ラミネート処理加工後の被記録媒体
11 ラミネート加工の未処理部
12 ラミネート加工剥離時に発生した「ヒレ」
Claims (11)
- 耐熱性基材と、該耐熱性基材上に剥離可能な転写膜層が設けられ、印画物の画像面上に加熱圧着によって転写膜層を転写するラミネートフィルムにおいて、
前記転写膜層が、前記画像面の表面保護層となる第1層と、該第1層上に設けられ前記画像面への接着層となる第2層とを有し
且つ、第1層が10ミクロン以下の微粒子を含有する樹脂層からなることを特徴とするラミネートフィルム、及び前記ラミネートフィルムによりラミネート加工したラミネート印画物。 - 前記第1層の微粒子の含有量が重量換算で3重量部以上、40重量部以下の範囲であることを特徴とするラミネートフィルムおよびラミネート印画物。
- 前記第1層の微粒子が無機酸化物微粒子であることを特徴とするラミネートフィルムおよびラミネート印画物。
- 請求項3記載の無機酸化物微粒子がシリカ、アルミナであることを特徴とするラミネートフィルムおよびラミネート印画物。
- 前記第1層の微粒子が有機系の合成ポリマー微粒子であることを特徴とするラミネートフィルムおよびラミネート印画物。
- 請求項5記載の有機系の合成ポリマー微粒子が、アクリル系微粒子、シリコーン系微粒子であることを特徴とするラミネートフィルムおよびラミネート印画物。
- 前記第1層を構成する樹脂成分の内、分子量5万以上且つガラス転移温度70℃以上のポリマー成分が、微粒子を除いた全重量固形分に対して80重量部以上であることを特徴とするラミネートフィルムおよびラミネート印画物。
- 前記第1層或いは第2層を構成する樹脂に紫外線吸収性化合物を成分とする高分子材料が含有されていることを特徴とするラミネートフィルムおよびラミネート印画物。
- 請求項1記載の印画物が、インクジェット画像記録方式によって画像形成された被記録媒体であることを特徴とする、請求項1〜8記載のラミネートフィルムおよびラミネート印画物。
- 請求項1記載の印画物の印画面が、多孔質無機粒子を含む部分に形成されていることを特徴とする、請求項1〜8記載のラミネートフィルムおよびラミネート印画物。
- 請求項10記載の多孔質無機粒子が非晶質シリカであることを特徴とする、請求項1〜8記載のラミネートフィルムおよびラミネート印画物。
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