JP2017177301A - 研磨パッド - Google Patents

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正孝 高木
Masataka Takagi
正孝 高木
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Abstract

【課題】スクラッチの発生を防止できる研磨パッドを提供する。【解決手段】研磨層および基材120を有する研磨パッド100において、該研磨層は、樹脂シート110より構成されており、該研磨層におけるヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が、該樹脂シート110の全量(100質量%)に対して、0.1〜5.0質量%、好ましくは0.5〜3.0質量%であり、より好ましくは0.5〜2.0質量%であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、研磨パッドに関する。
従来、半導体ウェハ、磁気ディスク基板、光学ガラス等の精密部品(特に半導体ウェハ)を研磨するに際して、発泡ウレタンを研磨層とする研磨パッドを用いた化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)が行われている。
CMPで使用される研磨液による研磨パッド(ウレタン)において、必要に応じて研磨パッドに腐食防止剤を使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。より具体的には、特許文献1では、研磨液成分に対する腐食防止剤として用いられるベンゾトリアゾール及びその誘導体やリン化合物等を研磨層に含有させることで、研磨面内におけるディッシングやエロージョンを抑制できることが記載されている。
特開2005−317808号公報
特許文献1に記載のベンゾトリアゾール及びその誘導体やリン化合物等の腐食防止剤は、半導体ウェハを研磨する際、半導体ウェハ表面の銅配線を保護し、酸化を防止するために配合されている。そのため、半導体ウェハ表面に供給されやすい、すなわち、研磨層から溶出しやすい腐食防止剤が使用される。このような腐食防止剤は、研磨層(マトリックス樹脂)の腐食(酸化劣化)を防止する効果が少ない、すなわち、研磨層が酸化劣化し摩耗しやすい。また、当該腐食防止剤が研磨層から溶出した上で、研磨層のマトリックス樹脂由来の屑やその他の研磨屑などと共に析出、凝集を起こし、研磨傷(以下、単に「スクラッチ」ともいう。)を生じやすくなる。さらに、近年では、研磨効率を高めるため、研磨パッドと被研磨物との間の摩擦力(研磨圧や研磨回転速度等)を高めたり、研磨液に酸化力の高い酸化剤を配合させたりする等、より過酷な研磨条件でCMPを行う傾向にある。そのような研磨条件では、スクラッチ発生の問題はより顕在化する傾向にある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、スクラッチの発生を防止できる研磨パッドを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の酸化防止剤を特定量用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]
樹脂とヒンダードフェノール系酸化防止剤0.1〜5.0質量%と、を含有する研磨層を有する、研磨パッド。
[2]
前記研磨層が、0.1〜2.0質量%のリン系酸化防止剤をさらに含有する、[1]に記載の研磨パッド。
[3]
前記リン系酸化防止剤の分子量が500以上である、[2]に記載の研磨パッド。
[4]
前記リン系酸化防止剤の下記式により算出される残存率Yが、50%以上である、[2]又は[3]に記載の研磨パッド:
残存率Y(%)=(60℃、75%RHで10時間熱処理した後のリン系酸化防止剤の質量/前記熱処理前のリン系酸化防止剤の質量)×100。
[5]
前記リン系酸化防止剤が、ヒンダード構造を有する、[2]〜[4]のいずれかに記載の研磨パッド。
[6]
前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の分子量が500以上である、[1]〜[5]のいずれかに記載の研磨パッド。
[7]
前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の下記式により算出される残存率Xが、99%以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の研磨パッド:
残存率X(%)=(150℃で2時間熱処理した後のヒンダードフェノール系酸化防止剤の質量/前記熱処理前のヒンダードフェノール系酸化防止剤の質量)×100。
本発明によれば、スクラッチの発生を防止できる研磨パッドを提供することが可能となる。
本実施形態に係る研磨パッドの一例を模式的に示す断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態のみに限定されない。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。さらに、本明細書における「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味する。
本実施形態の研磨パッドは、樹脂とヒンダードフェノール系酸化防止剤0.1〜5.0質量%とを含有する研磨層を有する。このように構成されているため、本実施形態の研磨パッドは、スクラッチの発生を防止できる。
図1は、本実施形態の研磨パッドの一例を模式的に示す断面図である。本実施形態の研磨パッド100は、研磨層となる樹脂シート110と、基材120と、樹脂シート110と基材120とを接着するための接着層(図示せず)と、研磨パッドと研磨装置の定盤とを貼付するための粘着層(図示せず)と、未貼付時の粘着層を保護する離型紙130とを備え、離型紙130、粘着層、基材120、接着層及び樹脂シート110の順に積層されている。
樹脂シート110は、弾性を示すものであり、基材120側とは反対側に研磨面Sを有する。樹脂シート110は、マトリックス樹脂112と、そのマトリックス樹脂112中に分散する複数の樹脂製の中空微粒子114とを備える。さらに、中空微粒子114は、外殻114aを有し、その外殻114a内には気泡114bが形成されている。
樹脂シート110は、その樹脂シート110の全量(100質量%)に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.1〜2.0質量%含有する以外は、従来の研磨パッドの研磨層に用いられるものであってもよい。マトリックス樹脂112としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリノルボルネン樹脂及びトランス−ポリイソプレン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中では、入手及び加工の容易性、及び、本実施形態の目的を一層有効且つ確実に奏する観点から、ポリウレタン樹脂が好ましく、マトリックス樹脂112がポリウレタン樹脂を50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことが更に好ましく、95質量%以上含むことが特に好ましい。
ポリウレタン樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中では、本実施形態の目的をより有効且つ確実に奏する観点から、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
ポリウレタン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、以下に限定されないが、例えば、SMP((株)SMPテクノロジーズ社製商品名)、及びディアプレックス(三菱重工業(株)社製商品名)が挙げられる。
ポリノルボルネン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、以下に限定されないが、例えば、ノーソレックス(日本ゼオン(株)社製商品名)が挙げられる。トランス−ポリイソプレン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、以下に限定されないが、例えば、クラレTPI(クラレ(株)社製商品名)が挙げられる。スチレン−ブタジエン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、以下に限定されないが、例えば、アスマー(旭化成(株)社製商品名)が挙げられる。
以下、樹脂シート110については、マトリックス樹脂112としてポリウレタン樹脂を採用する場合について説明する。樹脂シート110は、研磨加工時に被研磨物の被研磨面(加工面)に研磨液を介して当接する研磨面Sを有している。樹脂シート110は、例えば、イソシアネート基含有化合物と、活性水素化合物と、外殻を有する中空状である中空微粒子とを混合した混合液から形成されたポリウレタン樹脂成形体にスライス処理やバフ等の表面研削処理を施すことで形成される。
マトリックス樹脂112のガラス転移温度は、研磨加工時に研磨面Sが被研磨物の被研磨面(加工面)と擦れ合うことによって生ずる摩擦熱により、マトリックス樹脂が適度に軟化するという観点、樹脂シート110の加工容易性の観点、並びに、ドレス処理を施す場合に、研磨面Sに予め形成された開孔がドレス処理により塞がれることを防ぐ観点から、−30〜90℃であると好ましく、研磨層の過度の軟化抑制による被研磨物の研磨平坦性向上という観点から30〜75℃であるとより好ましい。ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置により測定される。
また、マトリックス樹脂112の融点は、ガラス転移温度よりもある程度高い方が、その研磨パッドを用いた研磨加工時及びドレス処理時に研磨面Sの温度が高くなり過ぎても、開孔が閉塞したり、研磨面Sが過剰に軟化したりすることを防ぐことができる。かかる観点から、マトリックス樹脂112の融点は、150℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。融点は、示差走査熱量測定装置により測定される。
中空微粒子114としては、市販のものを入手してもよく、常法により合成することにより得られたものであってもよい。中空微粒子114の外殻114aの材質としては、優れた可撓性を有する観点から、合成樹脂が好ましく、より具体的には、以下に限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエーテルアクリライト、マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル及び有機シリコーン系樹脂、並びにそれらの樹脂を構成する単量体を2種以上組み合わせた共重合体が挙げられる。また、市販品の中空微粒子としては、以下に限定されないが、例えば、エクスパンセルシリーズ(アクゾ・ノーベル社製商品名)、マツモトマイクロスフェア(松本油脂(株)社製商品名)などが挙げられる。これらの中では、中空微粒子中の気泡114bのみを選択的に形成できる観点から、可撓性に優れたものが好ましく、具体的には、(メタ)アクリロニトリル及び塩化ビニリデンの共重合体、及びメタクリル酸メチルが好ましく、可撓性に更に優れる観点から、(メタ)アクリロニトリル及び塩化ビニリデンの共重合体がより好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
樹脂シート110における中空微粒子114の形状は特に限定されず、例えば、球状及び略球状であってもよく、あるいは、それらが樹脂シート110の厚み方向に偏平になった形状であってもよい。
樹脂シート110における中空微粒子114の平均粒径は、特に限定されない。一方、中空微粒子114内の気泡114bの平均径は20〜200μmであると好ましく、25〜80μmであるとより好ましい。中空微粒子114としては、気泡114bの平均径が上記範囲になるような平均粒径を有するものが好ましい。気泡114の平均径が上記下限値以上であることにより、研磨液中の砥粒や研磨屑の詰りによる研磨効率(研磨レート)の低下を抑えるという効果をより有効かつ確実に奏することができ、上記上限値以下であることにより、高度に平坦化するという効果をより有効かつ確実に奏することができる。中空微粒子114内の気泡114bの平均径は、断面を走査型電子顕微鏡で拡大観察することにより測定される。また、中空微粒子114内の気泡114bの形状が球形でない場合は、中空微粒子114内の気泡114bの長径と短径との平均をその気泡114bの径とする。
樹脂シート110は、その研磨面Sに開孔114cを有してもよい。この開孔114cは、中空微粒子114の気泡114bが露出したものであり、樹脂シート110のスライス処理又は表面研削処理により形成される。したがって、開孔114cの大きさは中空微粒子114の気泡114bの大きさに依存し、例えば、平均開孔径で10〜120μmである。
本実施形態における研磨層は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有する。本実施形態におけるヒンダードフェノール系酸化防止剤は、研磨層の酸化劣化を防止する役割を担い、研磨層(マトリックス樹脂)の腐食(酸化劣化)を抑制できるので、研磨屑の凝集を促す成分の研磨層からの溶出を抑制することができる。また、当該酸化防止剤を含有することで、研磨層の樹脂伸びによる目詰まりやドレス性の向上ができ、研磨レートの低減も抑制される傾向にある。
本実施形態において、酸化劣化防止の観点及びヒンダードフェノール系酸化防止剤の溶出に起因するスクラッチの発生を防止する観点から、研磨層におけるヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量は、樹脂シート110の全量(100質量%)に対して0.1〜5.0質量%であり、好ましくは0.5〜3.0質量%であり、より好ましくは0.5〜2.0質量%である。上記含有量は、ソックスレー抽出法、マイクロウエーブ法、溶媒溶解ポリマー再沈法などで樹脂シートに含まれる各成分を抽出し、電界脱離質量分析法等によって各成分を同定した後、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーを用いて確認することができる。
本実施形態におけるヒンダードフェノール系酸化防止剤は、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。その具体例としては、以下に限定されないが、IRGANOX 1010(BASF社製製品名)、IRGANOX 1010 FF(BASF社製製品名)、アデカスタブAO−60(ADEKA社製製品名)、SUMILIZER BP−101(住友化学社製製品名)、トミノクスTT(吉富製薬社製製品名)等として市販されているテトラキス〔メチレン−3(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒロドキシフェニル)プロピオネート〕メタン(融点110〜130℃、分子量1178);SUMILIZER GA−80(住友化学社製製品名)、アデカスタブAO−80(ADEKA社製製品名)等として市販されている3,9−ビス[2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(融点110〜120℃、分子量741);SUMILIZER GS(住友化学社製製品名)等として市販されているアクリル酸2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニル;IRGANOX 1035(BASF社製製品名)、IRGANOX 1035 FF(BASF社製製品名)等として市販されている2,2’−チオジエチルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](融点>63℃、分子量643);IRGANOX 1076(BASF社製製品名)、IRGANOX 1076 FD(BASF社製製品名)、IRGANOX 1076 DWJ(BASF社製製品名)、アデカスタブAO−50(ADEKA社製製品名)、SUMILIZER BP−76(住友化学社製製品名)、トミノックスSS(吉富製薬社製製品名)等として市販されているn−オクラデシル−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(融点51〜54℃、分子量531);IRGANOX 1098(BASF社製製品名)等として市販されているN,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド](融点151〜161℃、分子量637);IRGANOX 1135(BASF社製製品名)等として市販されている3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル)プロピオン酸オクチル(融点<10℃、分子量390);IRGANOX 1330(BASF社製製品名)、アデカスタブAO330(ADEKA社製製品名)等として市販されている2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)メシチレン(融点243〜245℃、分子量775);IRGANOX 1726(BASF社製製品名)等として市販されている2,4−ビス(ドデシルチオメチル)−6−メチルフェノール(融点28℃、分子量525);IRGANOX 1425 WL(BASF社製製品名)等として市販されているカルシウムビス[3,5−ジ(tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル(エトキシ)ホスフィナート](融点90〜300℃、分子量695);IRGANOX 1520 L(BASF社製製品名)等として市販されている2,4−ビス(オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール(融点14℃、分子量425);IRGANOX 245(BASF社製製品名)、IRGANOX 245 FF(BASF社製製品名)等として市販されているビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)](融点76〜79℃、分子量587);IRGANOX 259(BASF社製製品名)等として市販されている1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](融点104〜108℃、分子量639);IRGANOX 3114(BASF社製製品名)等として市販されているトリス(3,5−ジt−ブチル−4−ヒロドキシベンジル)イソシアネート(融点220〜226℃、分子量784);IRGANOX 5057(BASF社製製品名)等として市販されているビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]アミン;IRGANOX 565(BASF社製製品名)等として市販されている4−[[4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]アミノ]−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール(融点91〜96℃、分子量589);IRGAMOD 295(BASF社製製品名)等として市販されている3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸 ジエチル(融点116〜121℃、分子量356);IRGANOX 3790(BASF社製製品名)、CYANOX 1790(Cytec Industries Inc.製製品名)等として市販されている1,3,5−トリス[[4−(1,1−ジメチルエチル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル]メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(融点159〜162℃、分子量699)が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態におけるヒンダードフェノール系酸化防止剤の分子量は、研磨液への溶出を抑制する観点から、500以上であることが好ましく、より好ましくは650以上である。ここで、分子量は電界脱離質量分析法等により測定することができる。分子量が500以上であるヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、以下に限定されないが、CYANOX1790、SUMILIZER GA−80、アデカスタブ AO−80、IRGANOX245、IRGANOX1010、IRGANOX3114等が挙げられ、より良好な研磨レートを得る観点から、これらの中でもCYANOX1790、SUMILIZER GA−80、アデカスタブ AO−80、IRGANOX1010が好ましい。一方、本実施形態におけるヒンダードフェノール系酸化防止剤の分子量は、分散性の観点から、2000以下であることが好ましく、より好ましくは1500以下である。また、乾式成形(注型)においては、分散性及びブリードによる溶出を低減させるため融点が90℃以上180℃以下のヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。融点が90℃以上である場合、研磨中にヒンダードフェノール系酸化防止剤がブリードして研磨パッドから溶出・脱落することを効果的に防止でき、結果として目詰まり等の発生を防止できる傾向にある。融点が180℃以下である場合、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の分散性が良好となる傾向にあり、樹脂シートの製造時にマトリックス樹脂とヒンダードフェノール系酸化防止剤との混合がより均一となる傾向にある。また、湿式成膜法においても融点が90℃以上180℃以下のものが好ましい。融点が90℃以上である場合、研磨中にヒンダードフェノール系酸化防止剤がブリードして研磨パッドから溶出・脱落することを効果的に防止でき、結果として被研磨物への付着や研磨パッドへの目詰まり等の発生を防止できる傾向にある。融点が180℃以下である場合、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の分散性が良好となる傾向にあり、スクラッチの発生を効果的に防止できる傾向にある。
本実施形態において、熱分解による分解物の溶出を抑える観点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の下記式により算出される残存率Xは、95%以上であることが好ましく、より好ましくは99%以上である。
残存率X(%)=(150℃で2時間熱処理した後のヒンダードフェノール系酸化防止剤の質量/当該熱処理前のヒンダードフェノール系酸化防止剤の質量)×100
なお、上記残存率Xは、具体的には、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。残存率Xが95%以上であるヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、以下に限定されないが、SUMILIZER GA−80、アデカスタブ AO−80、アデカスタブ AO−60、IRGANOX245、IRGANOX1010、IRGANOX3114等が挙げられ、より良好な研磨レートを得る観点から、これらの中でもSUMILIZER GA−80、アデカスタブ AO−80、IRGANOX1010が好ましい。
本実施形態において、より長時間にわたりスクラッチが抑制され、かつ、より安定した研磨レートを実現する観点から、リン系酸化防止剤をさらに用いることが好ましい。研磨の際の摩擦力の負荷が高まると、摩擦熱によって研磨面が高温化する傾向にあるが、リン系酸化防止剤を用いることにより、このような高温下でも効果的に酸化劣化を防止できる。また、リン系酸化防止剤は、上述したヒンダードフェノール系酸化防止剤から発生するラジカルを捕捉する役割を担う。したがって、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用することにより、長時間安定して研磨レートを維持できる傾向にあり、スクラッチの発生がより効果的に抑制される傾向にある。研磨パッド100における研磨層(樹脂シート110)の研磨面Sには、通常、研磨液を保持する開孔114cが形成されているが、単に研磨層全体の耐熱性が改善されたとしても、研磨面Sにおける被研磨物との接点に働くズリ応力によって、開孔114c付近の樹脂が伸びて開孔114cを塞いでしまう現象が生じうる。一方、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用すると、このような現象が発生し難く、結果として、ドレス性低下、研磨液の循環性低下、スクラッチ発生、及び研磨レート低下を効果的に防止できる傾向にある。
上述した観点から、研磨層におけるリン系酸化防止剤の含有量は、樹脂シート110の全量(100質量%)に対して0.1〜2.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2.0質量%であり、さらに好ましくは0.5〜1.0質量%である。上記含有量は、ソックスレー抽出法、マイクロウエーブ法、溶媒溶解ポリマー再沈法などで樹脂シートに含まれる各成分を抽出し、電界脱離質量分析法等によって各成分を同定した後、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーを用いて確認することができる。
本実施形態におけるリン系酸化防止剤は、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。その具体例としては、以下に限定されないが、アデカスタブ2112(ADEKA社製製品名)、IRGAFOS 168(BASF社製製品名)、JPー650(城北化学社製製品名)等として市販されているトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(融点146〜152℃、分子量583);IRGANOX B 225又はIRGAFOS 168(BASF社製製品名)とIRGANOX 1010(BASF社製製品名)とを1:1でブレンドした混合物;IRGANOX B 215又はIRGAFOS 168(BASF社製製品名)とIRGANOX 1010(BASF社製製品名)とを2:1でブレンドした混合物;IRGANOX B 220又はIRGAFOS 168(BASF社製製品名)とIRGANOX 1010(BASF社製製品名)とを3:1でブレンドした混合物;IRGAFOS 38(BASF社製製品名)等として市販されているビス(2,4−ジーtert−ブチルー6−メチルフェニル)エチルホスファイト(融点89〜92、分子量514);IRGASTAB PUR 68(BASF社製製品名)等として市販されている混合物;IRGAFOS 12(BASF社製製品名)等として市販されている2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエテル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2,]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタナミン;SUMILIZER GP(住友化学社製製品名)等として市販されている6−tert−ブチル−4−[3−[(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ]プロピル]−2−メチルフェノール(融点≧115°C、分子量661);アデカスタブHP−10I(ADEKA社製製品名)等として市販されている2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス(融点146〜152℃、分子量583);JPH−3800(城北化学社製製品名)等として市販されている水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイトポリマーが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態におけるリン系酸化防止剤の分子量は、研磨液への溶出を抑制する観点から、500以上であることが好ましく、より好ましくは550以上である。ここで、分子量は電界脱離質量分析法等により測定することができる。分子量が500以上であるリン系酸化防止剤の具体例としては、以下に限定されないが、IRGAFOS168、アデカスタブ2112、IRGAFOS38、IRGAFOS12、SUMILIZER GP、アデカスタブHP−101、JPH3800等が挙げられる。一方、本実施形態におけるリン系酸化防止剤の分子量は、分散性の観点から、2000以下であることが好ましく、より好ましくは1500以下である。
本実施形態において、熱分解による分解物の溶出を抑える観点から、リン系酸化防止剤の下記式により算出される残存率Yは、50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上である。
残存率Y(%)=(60℃、75%RHで10時間熱処理した後のリン系酸化防止剤の質量/前記熱処理前のリン系酸化防止剤の質量)×100
なお、上記残存率Yは、具体的には、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。残存率Yが50%以上であるリン系酸化防止剤の具体例としては、以下に限定されないが、IRGAFOS168、アデカスタブ2112、IRGAFOS38、IRGAFOS12、SUMILIZER GP、アデカスタブHP−101等が挙げられる。また、乾式成形(注型)においては、分散性及びブリードによる溶出を低減させるため融点が90℃以上180℃以下のものが好ましい。融点が90℃以上である場合、研磨中にリン系酸化防止剤がブリードして研磨パッドから溶出・脱落することを効果的に防止でき、結果として目詰まり等の発生を効果的に防止できる傾向にある。融点が180℃以下である場合はリン系酸化防止剤の分散が良好となる傾向にあり、樹脂シートの製造時にマトリックス樹脂とリン系酸化防止剤との混合がより均一となる傾向にある。
本実施形態におけるリン系酸化防止剤は、ヒンダード構造を有することが好ましい。ここでいうヒンダード構造とは、t−ブチル基による立体障害の効果が得られる構造を意味する。一般に、リン系酸化防止剤は加水分解をしやすく、その結果として、使用時の変性、蒸散、臭気発生、変色、ブリード、接触する金属の腐食等が生じるおそれがある。ヒンダード構造を有するリン系酸化防止剤を用いることで耐加水分解性が向上するため、このような不都合を効果的に防止できる傾向にある。ヒンダード構造を有するリン系酸化防止剤の具体例としては、以下に限定されないが、Irgafos12、Sumilizer GP、アデカスタブHP−101等が挙げられる。
本実施形態における研磨層は、より高い酸化防止効果を得る観点から、他の添加剤として、光安定剤や紫外線吸収剤をさらに含んでもよい。光安定剤としては、以下に限定されないが、例えば、LA−62、Tinuvin622LDが挙げられる。また、紫外線吸収剤としては、以下に限定されないが、例えば、Tinuvin234が挙げられる。上記他の添加剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
研磨層のショアD硬度が10〜60°であると好ましく、20〜55°であるとより好ましい。ショアD硬度が上記下限値以上であることにより、研磨加工時に研磨層の沈み込みが抑制され、ワークの一層高度な平坦化が可能となり、上記上限値以下であることにより、ワークでのスクラッチの発生を更に抑制することができる。ショアD硬度は、JIS−K−6253(2012)に準拠して測定される。
研磨層の密度は、研磨パッドの永久歪みを抑制する観点、ワークとの接触面積の増大による作用点の圧力低下を抑制する観点、及び研磨液の保持性を高める観点から、0.4〜0.95であると好ましく、0.5〜0.9であるとより好ましい。密度は、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して測定される。具体的には、厚さの測定で用いたのと同様の試料片の質量を自動天秤で測定後、下記式により密度を算出し、3枚の試料片の相加平均を求める。
密度(g/cm3)=質量(g)/(10(cm)×10(cm)×試料片の厚さ(cm))
密度は、例えば、後述の好ましい製造方法において、中空微粒子の混合比率を上げるなど、気泡の割合を高くすることにより、低くなる傾向にある。
本実施形態の研磨層の厚さは、特に限定されないが、ワークとの平坦な接触面を十分に確保する観点、平坦性を確保する観点及び研磨液を貯留する観点から、0.5〜3.0mmであると好ましく、1.0〜2.5mmであるとより好ましい。厚さは、日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して測定される。具体的には、研磨パッドを10cm×10cm角に切り抜いて得た試料片3枚を用意し、各試料片毎に、厚さ測定器の所定位置にセットした後、480g/cm2の荷重をかけた加圧面を試料片の表面に載せ、5秒経過後に厚さを測定する。1枚の試料片につき、5箇所の厚さを測定し相加平均を算出し、さらに3枚の試料片の相加平均を求める。
[研磨パッドの製造方法]
本実施形態の研磨パッドの製造方法は、上述した本実施形態の研磨パッドの構成が得られる方法である限り、特に限定されるものではない。以下、本実施形態の研磨パッドの好適な製造方法を例示する。
本実施形態の研磨パッド100の製造方法は、樹脂シート形成工程を有するものである。その樹脂シート形成工程は、マトリックス樹脂112がポリウレタン樹脂の場合、イソシアネート基含有化合物と、活性水素化合物と、中空微粒子とをそれぞれ準備する原料準備工程と、イソシアネート基含有化合物と、活性水素化合物と、中空微粒子とを混合した混合液を調製する混合工程と、混合液を型枠に注入する注型工程と、型枠内でポリウレタン成形体を形成する硬化成型工程と、ポリウレタン成形体にスライス処理及び/又は表面研削処理を施して樹脂シート110を得る成形体処理工程とを有してもよい。
さらに、本実施形態の研磨パッド100の製造方法は、接着層を介して樹脂シート110を基材120と貼り合わせる樹脂シートラミネート工程を、樹脂シート形成工程の後に有してもよい。あるいは、本実施形態の研磨パッド100の製造方法は、樹脂シート形成工程を経た後に、得られた樹脂シート110を接着層を介して基材120と貼り合わせる樹脂シートラミネート工程を有してもよい。
(原料準備工程)
原料準備工程においては、ポリウレタン樹脂の原料であるイソシアネート基含有化合物及び活性水素化合物、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及び任意に用いられるリン系酸化防止剤、並びに、中空微粒子をそれぞれ準備する。なお、ヒンダードフェノール系酸化剤及びリン系酸化剤の種類等はすでに述べたので、ここではその説明を省略する。
イソシアネート基含有化合物としては、分子内に2つ以上の水酸基を有するポリオール化合物と、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物とを反応させることで生成したイソシアネート末端ウレタンプレポリマ(以下、単に、「プレポリマ」と略記する。)が好ましい。ポリオール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させる際に、イソシアネート基のモル量を水酸基のモル量よりも大きくすることで、プレポリマを得ることができる。また、プレポリマは、粘度が高すぎると、流動性が低下し混合時に略均一に混合することが難しくなる。一方で、温度を上昇させて粘度を低くするとポットライフが短くなり(プレポリマの硬化反応が速くなり)、却って混合斑が生じて中空微粒子114の分散状態にバラツキが生じる。また、中空微粒子114に発泡成分が含まれる場合、温度上昇により発泡成分が発泡してしまい、気泡114bの大きさや分散状態にバラツキが生じることもある。反対に粘度が低すぎると、混合液中で中空微粒子114が移動してしまい、得られるポリウレタン成形体に略均等、略均一に中空微粒子114を分散させることが難しくなる。このため、プレポリマは、温度50〜80℃における粘度を500〜4000mPa・sの範囲に設定することが好ましい。粘度をこの範囲に設定するには、例えば、プレポリマの分子量(重合度)を制御すればよい。プレポリマは、50〜80℃程度の温度で加熱され流動可能な状態になる。
プレポリマの生成に用いられるジイソシアネート化合物としては、以下に限定されないが、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソフォロンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、p−フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン−1,4−ジイソチオシアネート及びエチリジンジイソチオシアネートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
一方、プレポリマの生成に用いられるポリオール化合物としては、ジオール化合物及びトリオール化合物等の水酸基を複数有する化合物であればよく、以下に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール及びヘキサンジオール等の低分子量のポリオール化合物、並びに、ジエチレングリコールのようなポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリオキシプロピレングリコール、ビスフェノールAとプロピレンオキサイドとの反応物等のポリエーテルポリオール化合物、エチレングリコールとアジピン酸との反応物、ブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物及びポリカプロラクトンポリオール化合物等の高分子量のポリオール化合物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
活性水素化合物としては、プレポリマの末端イソシアネート基と反応する活性水素基を有していればよく、以下に限定されないが、例えば、ポリアミン化合物及びポリオール化合物が挙げられる。活性水素化合物は、プレポリマのイソシアネート基と反応することでハードセグメント(高融点で剛直性を付与するウレタン結合部又はウレア結合部)を形成する。ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、MOCAと略記する。)及びMOCAと同様の構造を有するポリアミン化合物が挙げられる。また、ポリアミン化合物が水酸基を有していてもよく、そのような化合物として、以下に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン及びジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンが挙げられる。
一方、ポリオール化合物としては、ジオール化合物及びトリオール化合物等の水酸基を複数有する化合物であればよく、以下に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール及びヘキサンジオール等の低分子量のポリオール化合物、並びに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)ハイドロキノン、ビスフェノールAとエチレンオキサイドとの反応物、ビスフェノールAとプロピレンオキサイドとの反応物等のポリエーテルポリオール化合物、エチレングリコールとアジピン酸との反応物及びブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール化合物、ポリカーボネートポリオール化合物及びポリカプロラクトンポリオール化合物等の高分子量のポリオール化合物が挙げられる。活性水素化合物としては、ポリアミン化合物及びポリオール化合物の少なくとも一方を用いればよく、ポリアミン化合物及びポリオール化合物の2種以上を併用してもよい。
原料準備工程において準備される中空微粒子(以下、「原料中空微粒子」という。)は、最終的に樹脂シート110に含まれる中空微粒子114になるものである。原料中空微粒子は、中空微粒子114の外殻114aと同じ材料の外殻を有する中空状のものであって、その中空部分に発泡成分を有する未膨張中空微粒子であってもよく、膨張処理を施した既膨張中空微粒子であってもよく、それらの混合物であってもよい。未膨張中空微粒子は、中空部分に、ポリウレタン成形体の形成時に熱膨張して気泡114bを形成する発泡成分を有する。発泡成分の含有割合は特に限定されないが、例えば、未膨張中空微粒子の外殻を100質量部とすると、5〜50質量部の割合で中空部分に保持されている。発泡成分の含有割合が上記下限値以上であることにより、樹脂シート110内で気泡114bをより良好に形成することができ、上記上限値以下であることにより、気泡114bの大きさがばらつくのをより抑制することができる。
発泡成分としては、好ましくは80℃〜190℃で熱膨張する成分が用いられる。例えば、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、及び石油エーテルからなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。熱膨張温度が80℃以上であると、ポリウレタン成形体の形成時に早期の膨張がより抑制され、気泡114bの分散状態をより均等かつ均一にすることができ、190℃以下であると、ポリウレタン成形体の形成時に更に良好に膨張して、気泡114bをより容易に形成することができる。
なお、中空微粒子の他に水溶性物質からなる水溶性微粒子を分散配合させてもよい。この方法によると、研磨時の研磨液中に水溶性物質が溶解して除かれ、気泡114bと同様の空隙を形成する。ここで用いられる水溶性物質としては、以下に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルキチン、デキストリン及びシクロデキストリン等の水溶性多糖類並びにその誘導体、キトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ショ糖及びブドウ糖等のオリゴ糖や単糖類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、酢酸カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム及びリン酸カリウム等のアルカリ成分又は中性塩、脂肪族アミン塩及び脂肪族アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩及びリン酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤、エーテル型、エーテルエステル型及びエステル型等の非イオン系界面活性剤、アミノ酸、タンパク質、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルスルホン酸、並びに、ポリ(メタ)アクリル酸が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの水溶性物質は、研磨液に溶解するため、溶解した後に凝集を起こさない成分を適宜選択することが好ましい。このような観点から、中空微粒子のみを用いるのが好ましい。
(混合工程、注型工程、硬化成型工程)
混合工程では、準備工程で準備したイソシアネート基含有化合物と活性水素化合物とヒンダードフェノール系酸化防止剤及び任意に用いられるリン系酸化防止剤と原料中空微粒子とを予めイソシアネート含有化合物または活性水素化合物に略均一に混合及び分散させておくと原料中空微粒子の混合液中での分散状態を均一化するため好ましい。また、注型工程では、混合工程で調製された混合液を型枠に注入する。さらに、硬化成型工程では、型枠内で混合液中のイソシアネート基含有化合物と活性水素化合物とを反応及び硬化させて、ブロック状のポリウレタン成形体を成型する。このとき、イソシアネート基含有化合物が活性水素化合物との反応(高分子化又は架橋)により硬化する。通常、型枠の上部が開放されているため、大気圧下で反応(高分子化・架橋)による硬化が進行し、マトリックス樹脂112を有するポリウレタン成形体が成型される。また、原料中空微粒子が未膨張中空微粒子である場合、この反応により生じた反応熱により、未膨張中空微粒子の中空部分に存在した発泡成分がガスを発生し膨張することにより、中空微粒子114が形成される。一方、原料中空微粒子が既膨張中空微粒子である場合、既に膨張処理を施されているため、既膨張中空微粒子はそのまま中空微粒子114であるか、あるいは、その中の気泡が僅かに膨張して中空微粒子114となる。原料中空微粒子が、混合液中に略均等かつ略均一に分散されているため、原料中空微粒子の周囲で架橋硬化が進行する。これにより、ポリウレタン成形体において、マトリックス樹脂112の中に、中空微粒子114及びその中に存在する気泡114bが、略均等かつ略均一に形成される。
混合液中のイソシアネート基含有化合物の含有割合は、特に限定されないが、本実施形態による効果をより有効かつ確実に奏する観点から、モル比(当量比)として、活性水素化合物に対して0.8〜1.2であると好ましく、0.9〜1.1であるとより好ましい。
これら混合工程、注型工程及び硬化成型工程は、ポリウレタン発泡体を成型するための従来知られている装置を用いて、連続的に行われてもよい。
(成形体処理工程)
成形体処理工程では、硬化成型工程を経て得られたポリウレタン成形体にスライス処理、及び/又は、バフ処理等の表面研削処理を施して樹脂シートを得る。スライス処理では、一般的なスライス機を用いることができる。スライス処理では、例えば、直方体形状のポリウレタン成形体を、その一面側で保持し、その一面に対向する面側から順に所定厚さにスライスする。スライスする厚さは、例えば、0.8〜2.5mmの範囲に設定される。樹脂シートの厚さ精度を向上させるために、ポリウレタン成形体又はスライス処理後のポリウレタン成形体にバフ処理等の表面研削処理を施してもよい。バフ処理では、一般的なバフ機を用いることができる。スライス処理及び/又は表面研削処理により、樹脂シートの表面には開孔が形成されてもよい。
(樹脂シートラミネート工程)
樹脂シートラミネート工程においては、上記樹脂シート110を、接着層を介して基材120と貼り合わせ、更に粘着層を介して離型層130と貼り合わせる。貼り合わせる方法は従来知られている方法であってもよい。こうして、研磨パッド用シートが得られる。
本実施形態の研磨パッド100の製造方法において、上述のようにして得られた研磨パッド用シートを、そのまま研磨パッドとして用いてもよく、更に、所望の平面形状を有するように裁断したものを研磨パッドとして用いてもよい。また、研磨パッドを用いて研磨加工を施す前に、その研磨パッドに汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行ってもよい。
得られた研磨パッドは、その表面が研磨面となるが、その研磨パッドを用いてワークを研磨する場合、予め、研磨パッドの研磨面とは反対側の面に、研磨機の研磨定盤に研磨パッドを貼着するための両面テープ(粘着層及び剥離紙を備えるもの)を貼り合わせてもよい。
[研磨方法]
本実施形態の研磨方法は、本実施形態の研磨パッドを用いて研磨を行う限り特に限定されるものではないが、化合物半導体ウェハを、研磨液に接触させながら本実施形態の研磨パッドにより研磨する工程を有するものとすることができる。その具体的な一例を説明する。まず、片面研磨機の保持定盤にワークを保持させる。次いで、保持定盤と対向するように配置された研磨定盤に研磨パッドを装着する。研磨定盤に研磨パッドを装着する際、両面テープから剥離紙を剥離して粘着層を露出させた後、露出した粘着層を研磨定盤に接触させ押圧する。そして、ワークと研磨パッドとの間に研磨液を供給すると共に、ワークを研磨パッドの方に所定の研磨圧にて押圧しながら研磨定盤ないし保持定盤を回転させることで、ワークを化学機械研磨により研磨する。この際、本実施形態の研磨パッドを用いることにより、スクラッチの発生が抑制される。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能であり、例えば下記のような態様であってもよい。なお、下記の各態様において、特に説明する内容以外の部分は、上記本実施形態と同様であってもよい。
例えば、樹脂シートに気泡が形成されなくてもよい。また、樹脂シートに形成される気泡は、中空微粒子114内に形成される気泡114bに代えて、あるいは、中空微粒子114内に形成される気泡114bに加えて、外殻114aに包囲されていない状態に形成される気泡であってもよい。そのような気泡は、従来知られている方法により形成されてもよい。例えば、非反応性の気体、及び/又は、化学反応により発生する気体により形成される。非反応性の気体としては、例えば、空気、窒素、酸素、二酸化炭素、並びに、ヘリウム及びアルゴン等の希ガスが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。一方、化学反応により発生する気体により、樹脂シート内に気泡を形成する場合、その方法は特に限定されず、従来公知のものであってもよい。例えば、上記混合液に含まれるイソシアネート基含有化合物と、更に添加した水との反応により二酸化炭素を発生させ、その二酸化炭素により気泡を形成することができる。イソシアネート基含有化合物と水との反応を所望のタイミングで起こす観点から、水は、イソシアネート基含有化合物とは別に準備されることが好ましく、例えば、活性水素化合物と共に予め混合して得られる分散液の状態で準備されてもよい。そのような活性水素化合物は、ポリオール化合物であると好ましく、例えば、ジオール化合物及びトリオール化合物等の化合物であってもよく、例えば、エチレングリコール及びブチレングリコール等の低分子量のポリオール化合物、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等の高分子量のポリオール化合物のいずれであってもよい。水としては、特に制限はないが、不純物等の混入を回避するため、蒸留水であることが好ましい。
なお、中空微粒子を配合させる以外の方法により気泡114bを形成する場合、気泡同士が連通した構造となりやすいため、研磨の際、研磨液が気泡同士の連通によって、研磨層内部、更には接着層まで到達しやすくなり、マトリックス樹脂および接着層成分の劣化や溶出を招きやすくなるので、なるべく気泡同士が連通しないような条件にて独立気泡を形成させることが好ましい。このような観点から、中空微粒子を配合させる気泡形成法を用いることが好ましい。
また、本発明の更に別の実施形態において、例えば、樹脂シート中に気泡を形成する中空微粒子114の外殻114aの材質として、合成樹脂に代えて無機塩(例えば、酸化ケイ素)であってもよい。このような外殻114aは可撓性を有しないか、有したとしても、合成樹脂を材質として採用したものと比較して、低い可撓性を有するものである。
さらに、上記研磨パッド100の製造方法は、樹脂シート形成工程が、イソシアネート基含有化合物と活性水素化合物とを有機溶媒中で反応させたポリウレタン樹脂溶液と、原料中空微粒子とをそれぞれ準備する原料準備工程と、ポリウレタン樹脂溶液に原料中空微粒子を混合及び分散させた混合液を調製する混合工程と、混合液を略平坦な表面を有する基材にシート状に塗布(展延)する塗布工程と、有機溶媒を脱溶媒させてポリウレタン成形体を形成する脱溶媒工程と、ポリウレタン成形体にスライス処理及び/又は表面研削処理を施して樹脂シートを得る成形体処理工程とを有してもよい。この樹脂シート形成工程は、有機溶媒を水中で脱溶媒するいわゆる湿式成型によるものであり、従来公知の方法を採用してもよい。
原料準備工程においては、イソシアネート基含有化合物と、活性水素化合物と、それらの反応生成物であるポリウレタン樹脂を溶解可能な有機溶媒とを混合し、イソシアネート基含有化合物と活性水素化合物とを反応させることでポリウレタン樹脂溶液を調製する。有機溶媒は、特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」と略記する。)であってもよい。あるいは、例えば、ポリエステル系、ポリエーテル系又はポリカーボネート系等のポリウレタン樹脂をDMFに溶解させるようにして、ポリウレタン樹脂溶液を調製してもよい。
また、混合工程では、ポリウレタン樹脂溶液と原料中空微粒子とを混合及び攪拌し、原料中空微粒子を略均等な分散状態となるように分散させて混合液を調製する。混合液の調製には、一般的な攪拌装置を用いることができる。
塗布工程では、混合液を表面が略平坦な帯状のシート基材に連続的に塗布する。すなわち、混合工程で調製した混合液を、常温下で塗布装置によりシート基材に略均等かつ略均一に塗布する。塗布装置は、特に限定されず、例えば、ナイフコータであってもよい。シート基材としては、例えば、可撓性フィルム、不織布及び織布が挙げられる。これらのうち、不織布又は織布を用いる場合は、ポリウレタン樹脂溶液の塗布時にシート基材内部へのポリウレタン樹脂溶液の浸透を抑制するため、予め水又はDMF水溶液(DMFと水との混合液)等に浸漬する前処理(目止め)を行ってもよい。一方、シート基材としてPET製等の可撓性フィルムを用いる場合は、液体の浸透性を有していないため、前処理が不要となる。以下、シート基材としてPET製フィルムを採用した場合について説明する。
脱溶媒工程では、混合液が塗布されたシート基材を熱風乾燥機中を通過させることで、有機溶媒であるDMFを除去する。DMFを混合液から脱溶媒することにより、シート状のポリウレタン成形体が形成される。得られたポリウレタン成形体の内部には原料中空微粒子が分散する。原料中空微粒子が未膨張中空微粒子の場合、そのポリウレタン成形体を、熱風乾燥機等を用いて加熱することにより、未膨張中空微粒子の中空部分に存在する発泡成分がガスを発生して膨張し、気泡114bを有する中空微粒子114が形成される。
成形体処理工程では、ポリウレタン成形体をシート基材から剥離し、ポリウレタン成形体の表面(シート基材と接触しない面)側から、上記本実施形態と同様にしてスライス処理及び/又は表面研削処理を施す。ただし、この実施形態では、通常、連続的に製造されたポリウレタン成形体が帯状のため、裏面に圧接ローラを圧接しながら、連続的にスライス処理及び/又は表面研削処理が施される。
また、別の実施形態において、原料中空微粒子を予め有機溶媒中に分散させた状態で、混合液に混合してもよい。これにより、原料中空微粒子の分散性、すなわち中空微粒子114の樹脂シート110における分散性を更に高めることも可能である。また、混合工程での混合液の調製は、大気圧であっても、密閉した容器において加圧条件下で混合液を調製してもよい。同様に、注型工程及び硬化成型工程においても、大気圧であっても、密閉した容器において加圧条件下で各工程を行ってもよい。
また、別の実施形態において、研磨加工時のスラリの供給や研磨屑の排出を考慮して、研磨パッド100の研磨面Sに溝加工やエンボス加工を施してもよい。溝の研磨面Sにおける平面形状(パターン)としては、例えば、放射状、格子状及び螺旋状が挙げられる。また、溝の断面形状としては、例えば、矩形状、U字状、V字状及び半円状が挙げられる。さらに、溝のピッチ、幅及び深さは、研磨屑の排出やスラリの移動が可能であればよく、特に制限されるものではない。なお、開孔の大きさが平均開孔径で10〜150μmであると、研磨パッドに溝加工を施しても、開孔と溝との重なりに起因する突起状の角が形成され難いため、その角により被研磨物が損傷を受けることを抑制することができる。
また、別の実施形態において、樹脂シート110と接着層との間にクッション材を介在させるようにしてもよい。また、研磨機の研磨定盤に研磨パッド100を装着するときに、クッション材を介して装着してもよい。
以下、実施例によって本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
[使用原料]
実施例及び比較例で用いるウレタン系プレポリマ(PP)の原料、硬化剤、添加剤としては、下記のものを用いた。これらをまとめて表1に示す。なお、特段の指定のない限り、「部」とは「質量部」を意味するものとする。
(ウレタン系PP)
ウレタン系PPとして、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)400質量部、数平均分子量約1000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG1000)519質量部、及び、ジエチレングリコール(DEG)81質量部を反応させて、イソシアネート含有量がNCO当量として490の末端にイソシアネート基を有するウレタン系PPを調製した。このウレタン系PPを40℃に加熱し減圧下で脱泡して研磨パッドの製造に用いた。
(硬化剤)
MOCA:4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)(DIC社製、商品名「パンデックスE」)
(添加剤)
Expancel 461DE20d70:原料中空微粒子、日本フィライト社製
アデカスタブAO−80:ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ADEKA社製
CYANOX 1790:ヒンダードフェノール系酸化防止剤、Cytec Industries Inc.製
IRGANOX 1135:ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASF社製
SUMILIZER GP:リン系酸化防止剤、住友化学社製
JPH−3800:リン系酸化防止剤、城北化学社製
IRGAFOS 168:リン系酸化防止剤、BASF社製
[実施例1〜11、比較例1〜3]
上記のように得られたウレタン系PPと表1に示すその他の材料を、表1に示す割合で十分に混合して混合液を得た。得られた混合液を、内部空間が直方体であり、上部が開放されている型枠(サイズ:890mm×890mm×120mm)に注型(注入)して硬化させた。形成されたポリウレタン成形体を型枠から抜き出し、厚さ1.35mm±0.05mmになるようスライス処理を施して、樹脂シートを得た。得られた樹脂シートに1.0mmの不織布基材を両面テープで貼り合せた後、定盤に装着するための両面テープをさらに貼り付けて研磨パッドを得た。
[物性評価]
上述のようにして得られた各実施例及び比較例の研磨シートについて、下記のとおりに物性を測定し、品質を評価した。それらの結果を表1〜2に示す。
(厚さ)
日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、次のとおりに研磨層の厚さを測定した。まず、研磨パッドを10cm×10cm角に切り抜いて得た試料片3枚を用意し、各試料片毎に、厚さ測定器の所定位置にセットした。その後、480g/cm2の荷重をかけた加圧面を試料片の表面に載せ、5秒経過後に厚さを測定した。その際、1枚の試料片につき、5箇所の厚さを測定し、相加平均を算出し、さらに3枚の試料片の相加平均を求めて研磨層の厚さとした。
(密度)
日本工業規格(JIS K 6505)に準拠して、次のとおりに研磨層の密度を測定した。すなわち、厚さの測定で用いたものと同様の試料片を用意し、その質量を自動天秤で測定後、下記式により密度を算出し、3枚の試料片の相加平均を求めて研磨層の密度とした。
密度(g/cm3)=質量(g)/(10(cm)×10(cm)×試料片の厚さ(cm))
(ショアD硬度の測定)
D型硬度計(テクロック社製)を用いて、JIS−K−6253(2012)に準拠して、樹脂シートのショアD硬度を測定した。なお、試料は、比較例及び実施例に記載の樹脂シート(厚さ約1.3mm)を4枚重ねとし、少なくとも総厚さ4.5mm以上になるように設定した。
<研磨試験>
各実施例及び比較例の研磨パッドについて、以下に示すとおりに研磨加工を行い、研磨レート安定性、スクラッチ発生を評価した。
まず、各例で得られた研磨パッドを研磨機((株)荏原製作所社製、型番「F−REX300」)の定盤に貼り付け、200mL/minで超純水を供給しながら研磨パッドの研磨面をドレス加工した(加圧30N、時間:30min、回転数54rpm、定盤回転数80rpm)。その際、ダイヤモンドドレッサーとして、3M社製「ダイヤモンドドレッサーA−188」を使用した。次いで、下記に示す研磨条件にて研磨を行った。
(研磨条件)
研磨液:Cabot社製 品番:SS−25・2倍希釈(SS25原液:純水=1:1の混合液を使用)
研磨液流量:200mL/min(研磨液温度20℃)
研磨ヘッド:(株)荏原製作所社製、型番「GII」
研磨パッド径:740mmφ
トップリング回転数:71rpm
定盤回転数:70rpm
研磨時間:60秒/バッチ
研磨圧:220hPa
被研磨物:12インチφシリコンウェハ上にテトラエトキシシランをCVDで絶縁膜1μmの厚さになるように形成した基板
(研磨レート安定性)
研磨レートは、1分間あたりの研磨量を厚さ(Å)で表したものであり、研磨加工前後の基板の絶縁膜について各々17箇所の厚み測定結果から平均値を求めた。なお、厚み測定は、光学式膜厚膜質測定器(KLAテンコール社製、ASET−F5x)のDBSモードにて測定した。
被研磨物を繰り返し研磨した際、10バッチ目に対する100バッチ目の研磨レートの低下率を次の基準で評価した。
◎:低下率3%未満
○:低下率3%以上〜5%未満
△:低下率5%以上〜10%未満
×:低下率10%超
(スクラッチ発生の有無)
(研磨傷の発生個数)
研磨傷の発生個数は、25枚の基板を研磨し、研磨加工後の20枚目及び25枚目の基板について、光学式膜厚膜質測定器(KLAテンコール社製、ASET−F5x)のDBSモードにて測定し、基板表面における研磨傷の発生個数(20枚目及び25枚目の基板の合計)を求めた。得られた研磨傷発生個数から、以下の基準に基づいて評価した。
◎:研磨傷発生個数250(個)未満
○:研磨傷発生個数280未満〜250以上
△:研磨傷発生個数300未満〜280以上
×:研磨傷発生個数300以上
本発明の研磨パッドは、半導体ウェハ、磁気ディスク基板、光学ガラス等の精密部品(特に半導体ウェハ)の研磨に、特に産業上の利用可能性がある。
100…研磨パッド、110…樹脂シート、112…マトリックス樹脂、114…中空微粒子、114a…外殻、114b…気泡、114c…開孔、S…研磨面。

Claims (7)

  1. 樹脂とヒンダードフェノール系酸化防止剤0.1〜5.0質量%と、を含有する研磨層を有する、研磨パッド。
  2. 前記研磨層が、0.1〜2.0質量%のリン系酸化防止剤をさらに含有する、請求項1に記載の研磨パッド。
  3. 前記リン系酸化防止剤の分子量が500以上である、請求項2に記載の研磨パッド。
  4. 前記リン系酸化防止剤の下記式により算出される残存率Yが、50%以上である、請求項2又は3に記載の研磨パッド:
    残存率Y(%)=(60℃、75%RHで10時間熱処理した後のリン系酸化防止剤の質量/前記熱処理前のリン系酸化防止剤の質量)×100。
  5. 前記リン系酸化防止剤が、ヒンダード構造を有する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の研磨パッド。
  6. 前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の分子量が500以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨パッド。
  7. 前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の下記式により算出される残存率Xが、99%以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の研磨パッド:
    残存率X(%)=(150℃で2時間熱処理した後のヒンダードフェノール系酸化防止剤の質量/前記熱処理前のヒンダードフェノール系酸化防止剤の質量)×100。
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