<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明の内視鏡装置が、工業用の内視鏡装置である場合について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における内視鏡装置の概略構成の一例を示したブロック図である。図1には、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の構成において、特に、内視鏡装置が撮影する被検物内の被写体の画像に対する処理に関わる構成要素を示している。図1において、内視鏡装置1は、細長い挿入部2と、本体部3とを備えている。挿入部2は、撮像素子を備えた先端部4と、先端部4を被検物内に導くコードである軟性部5とを含んで構成される。
内視鏡装置1では、先端部4内に備えた撮像素子が撮像して得た撮像信号を、軟性部5を介して本体部3に伝送する。なお、内視鏡装置1では、軟性部5によって導かれて被検物内に挿入されるときの先端部4の動きや方向、さらには、先端部4内に備えた撮像素子による被写体の撮像動作などの制御が、軟性部5を介して本体部3から操作(制御)される。内視鏡装置1では、先端部4から伝送された撮像信号を本体部3で処理して生成した映像(画像)を表示する。また、内視鏡装置1では、本体部3が生成した映像(画像)を記録する。なお、内視鏡装置1において被検物内の撮影を行わない場合、挿入部2は、例えば、本体部3に取り付けられた不図示のドラム部に巻かれて内視鏡装置1に収納される。
先端部4は、撮像素子としてのイメージセンサ42と、イメージセンサ42の撮像面に被写体からの反射光を集光させて被写体の光学像を結像させるレンズ41と、水晶発振器43と、VCSELドライバー回路44と、VCSEL発光素子45とを備えている。軟性部5は、電源信号線51と、I2C(Inter−Integrated Circuit)シリアル信号伝送路52と、光信号伝送路53とを備えている。本体部3は、バッテリー31と、電源出力部32と、マルチメディアプロセッサー33と、イメージセンサ設定制御部34と、受光素子35と、アンプ回路36と、高速差動信号入力部37と、AE処理部38と、ノイズリダクション処理部39と、画像メモリ310と、記録部311と、表示部312と、ビットエラーレート(Bit Error Rate:BER)検知処理部320とを備えている。なお、高速差動信号とは、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)形式などの、小信号、高速、長距離の通信動作に適するように規格化された差動伝送方式の信号を指している。また、マルチメディアプロセッサー33は、System on Chip(SoC)と呼ばれる場合もある。
ここで、内視鏡装置1に備えたそれぞれの構成要素について詳細に説明する。まず、先端部4に備えたそれぞれの構成要素について詳細に説明する。
水晶発振器43は、イメージセンサ42が動作する際に必要な予め定めた周波数の動作クロック信号を発振し、発振した動作クロック信号をイメージセンサ42に供給する。
なお、内視鏡装置1においては、先端部4に備えたイメージセンサ42が出力した高速差動信号には、クロック信号が重畳されて本体部3に伝送される。そして、内視鏡装置1においては、本体部3が、先端部4から伝送された高速差動信号に重畳されたクロック信号を抽出し、先端部4と本体部3とで同期をとりながら動作する。このため、内視鏡装置1では、高い周波数の動作クロック信号を本体部3から先端部4に伝送しない構成にしている。従って、内視鏡装置1では、従来の内視鏡装置において備えていた波形整形回路や動作クロック信号の波形を劣化させないための太い同軸伝送線を軟性部5に備える必要がなくなり、先端部4を小型化することができる。
イメージセンサ42は、水晶発振器43が発振する動作クロック信号に基づいて動作するCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサである。イメージセンサ42は、画素アレイ部421と、電源入力部422と、イメージセンサ設定入出力部423と、撮像信号生成部424と、高速差動信号出力部425と、セレクタ426と、PRBS(Pseudo Random Bit Sequence:擬似ランダムビットシーケンス)生成部427とを備えている。
電源入力部422は、軟性部5に備えた電源信号線51を介して本体部3から供給された電源を、イメージセンサ42内のそれぞれの構成要素が必要とする電圧に変換し、変換したそれぞれの電圧の電源をそれぞれの構成要素に供給する。
画素アレイ部421には、イメージセンサ42の撮像面に、レンズ41を透過して入射した被検物内の被写体の反射光をアナログの電気信号に変換して出力する光電変換素子(画素)が2次元の行列状に複数配置されている。それぞれの画素は、イメージセンサ設定入出力部423からの制御に応じて被写体の反射光を露光し、被写体の反射光の強度に応じたアナログの電気信号を蓄積する。そして、それぞれの画素は、撮像信号生成部424からの制御(それぞれの画素の読み出し)に応じて、蓄積したアナログの電気信号を、画素信号として撮像信号生成部424に順次出力する。
撮像信号生成部424は、イメージセンサ設定入出力部423からの制御に応じて、画素アレイ部421に配置されたそれぞれの画素から画素信号を読み出し、読み出したそれぞれの画素信号に対して予め定めた処理を施したデジタルの撮像信号(例えば、RAW信号)を生成する。より具体的には、撮像信号生成部424は、画素信号に対して、例えば、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling:CDS)の処理、AGCの処理(振幅調整の処理)、アナログデジタル変換の処理などの処理を施して、被検物内の被写体の反射光の強度に応じた画素信号に対応した撮像信号を生成する。撮像信号生成部424は、生成した撮像信号(デジタル信号)をセレクタ426に出力する。なお、撮像信号は、パラレルのデジタルデータである。
PRBS生成部427は、イメージセンサ設定入出力部423からの制御に応じて、デジタルデータの信号伝送路の状態を検証するために用いられる、再現性のある疑似的なランダムのビットパターンのデジタルデータ(以下、「擬似ランダムパターン」という)を生成する。PRBS生成部427は、生成した擬似ランダムパターン(デジタル信号)をセレクタ426に出力する。なお、擬似ランダムパターンは、パラレルのデジタルデータである。
ここで、擬似ランダムパターンは、ランダムな値(“0”または“1”の値)のパターンのデジタルデータでありながら、予め定めたまとまったデータサイズで同じパターンのデータ列が周期的に繰り返されるパターンデータである。擬似ランダムパターンは、任意のタイミングで切り取った所定のビット数のデータ列を解析することによって、以降に伝送されてくるデータ列のパターンを予測することができるという性質をもっている。このため、予測したデータ列と、実際に伝送されてきた擬似ランダムパターンのデータ列とを比較することによって、伝送されてきたデジタルデータに含まれるそれぞれのビットのデータの正誤を判定することができる。そして、この判定結果から、信号伝送路(図1に示した内視鏡装置1の構成では、光信号伝送路53)に進入したノイズの影響によるデータ伝送のデータ誤り率を検知することができる。言い換えれば、信号伝送路に進入したノイズ成分の量を検知(推定)することができる。つまり、データ誤り率を、信号伝送路に進入したノイズ成分の量を表す値として扱うことができる。
なお、内視鏡装置1においては、少なくとも、PRBS生成部427と、本体部3に備えた後述するビットエラーレート検知処理部320との構成によって、光信号によって伝送するデジタルデータにおけるデータ誤り率を検知するデータ誤り率検知手段を構成する。
セレクタ426と、イメージセンサ設定入出力部423からの制御に応じて、撮像信号生成部424から出力された撮像信号(デジタル信号)、またはPRBS生成部427から出力された擬似ランダムパターン(デジタル信号)のいずれか一方のデジタル信号を選択する。セレクタ426は、選択したデジタル信号を、高速差動信号出力部425に出力する。なお、セレクタ426が選択したデジタル信号は、パラレルのデジタルデータである。
イメージセンサ設定入出力部423は、軟性部5に備えたI2Cシリアル信号伝送路52を介して、本体部3との間でI2Cバスによるシリアル通信(以下、「I2Cシリアル通信」という)を行う。I2Cシリアル通信は、2本の信号線から構成される伝送路(I2Cシリアル信号伝送路52)によって行われる。イメージセンサ設定入出力部423には、本体部3から、イメージセンサ42の動作や機能の起動に関する様々な設定が、I2Cシリアル通信によって送信されてくる。イメージセンサ設定入出力部423は、I2Cシリアル通信によって本体部3から入力されたイメージセンサ42の動作や機能の起動に関する設定を、対応するそれぞれの構成要素に出力する。
例えば、イメージセンサ設定入出力部423には、本体部3から、イメージセンサ42が被写体の撮像を行う際の電子シャッターや露光時間、撮像間隔(いわゆる、フレームレート)など、被写体の撮像に関する様々な設定が、I2Cシリアル通信によって送信されてくる。イメージセンサ設定入出力部423は、I2Cシリアル信号伝送路52を介して本体部3から送信された撮像に関する様々な設定を受信すると、受信した撮像に関するそれぞれの設定に基づいて、画素アレイ部421の動作を制御する。これにより、画素アレイ部421は、イメージセンサ設定入出力部423から出力された撮像に関するそれぞれの設定に応じた撮像を行う。そして、画素アレイ部421は、撮像信号生成部424からのそれぞれの画素信号の読み出し制御に応じて、それぞれの画素が出力した画素信号を撮像信号生成部424に順次出力する。
また、例えば、イメージセンサ設定入出力部423には、本体部3から、撮像信号生成部424が行う相関二重サンプリングの処理やアナログデジタル変換の処理における設定値、AGC処理におけるゲイン値など、イメージセンサ42が被写体を撮像したそれぞれの画素信号に対して行う処理に関する様々な設定が、I2Cシリアル通信によって送信されてくる。イメージセンサ設定入出力部423は、I2Cシリアル信号伝送路52を介して本体部3から送信された処理に関する様々な設定を受信すると、受信した処理に関するそれぞれの設定の情報を撮像信号生成部424に出力すると共に、撮像信号生成部424の動作を制御する。これにより、撮像信号生成部424は、画素アレイ部421から順次出力された(読み出した)それぞれの画素信号に対してイメージセンサ設定入出力部423から出力された処理に関するそれぞれの設定に応じた処理を行った撮像信号(デジタル信号)を生成し、生成した撮像信号をセレクタ426に順次出力する。
また、例えば、イメージセンサ設定入出力部423には、本体部3から、PRBS生成部427による擬似ランダムパターンの生成の指示など、信号伝送路の状態の検証に関する様々な設定が、I2Cシリアル通信によって送信されてくる。イメージセンサ設定入出力部423は、I2Cシリアル信号伝送路52を介して本体部3から送信された検証に関する様々な設定を受信すると、受信した検証に関するそれぞれの設定に基づいて、PRBS生成部427やセレクタ426の動作を制御する。これにより、PRBS生成部427およびセレクタ426のそれぞれは、イメージセンサ設定入出力部423から出力された検証に関する様々な設定に応じた動作を行う。より具体的には、PRBS生成部427が擬似ランダムパターンを生成してセレクタ426に出力し、セレクタ426が、選択するデジタル信号を、内視鏡装置1における通常の動作である被検物内の画像の撮影動作において選択する撮像信号から、内視鏡装置1における信号伝送路の検証動作において選択する擬似ランダムパターンに切り替える。
なお、イメージセンサ設定入出力部423におけるI2Cシリアル通信の通信方法は、既存のI2Cバスによるシリアル通信と同様であるため、詳細な説明は省略する。
高速差動信号出力部425は、セレクタ426から出力されたパラレルのデジタル信号を、高速差動信号の規格を使用したシリアル通信(以下、「高速差動信号シリアル通信」という)の形式のシリアルのデジタル信号(シリアル信号)に変換する。高速差動信号出力部425は、高速差動信号シリアル通信の形式に変換したシリアル信号を、イメージセンサ42の出力信号としてVCSELドライバー回路44に出力する。つまり、イメージセンサ42は、撮像した被検物内の被写体の画像に対応する撮像信号、または再現性のある擬似ランダムパターンのいずれか一方を、高速差動信号シリアル通信によって出力するCMOSイメージセンサである。
ここで、高速差動信号シリアル通信は、小信号、高速、長距離の信号伝送に適するように規格化された差動伝送方式の通信である。高速差動信号シリアル通信も、2本の信号線によって行われる。なお、内視鏡装置1では、高速差動信号シリアル通信のシリアル信号に、撮像信号生成部424から出力された撮像信号に対応する同期信号を重畳して本体部3に送信する。ここで、高速差動信号シリアル通信のシリアル信号に重畳する撮像信号に対応した同期信号は、撮像信号生成部424が画素アレイ部421に配置されたそれぞれの画素から画素信号を読み出す際の水平同期信号や垂直同期信号である。また、上述したように、内視鏡装置1では、本体部3に送信する高速差動信号シリアル通信のシリアル信号にクロック信号が重畳されている。ここで、高速差動信号シリアル通信のシリアル信号に重畳するクロック信号は、撮像信号生成部424から出力された撮像信号に対応するクロック信号や、PRBS生成部427から出力された擬似ランダムパターンに対応するクロック信号である。この高速差動信号シリアル通信のシリアル信号に重畳する撮像信号および擬似ランダムパターンに対応したクロック信号は、撮像信号および擬似ランダムパターンにおけるデジタルデータのそれぞれのビットのタイミングを表す信号であり、それぞれのビットのデータの立ち上がりや立ち下がりの間隔として埋め込まれている。このため、撮像信号生成部424は、画素アレイ部421に配置されたそれぞれの画素から画素信号を読み出す際の同期信号やクロック信号を、高速差動信号出力部425にも出力する。また、PRBS生成部427は、擬似ランダムパターンを生成する際のクロック信号を、高速差動信号出力部425にも出力する。そして、高速差動信号出力部425は、セレクタ426から出力されたパラレルのデジタル信号を高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号に変換する際に、撮像信号生成部424から出力された同期信号をデータの一部として重畳し(埋め込み)、撮像信号生成部424から出力されたクロック信号またはPRBS生成部427から出力されたクロック信号を重畳する(埋め込む)。なお、本体部3では、例えば、PLL(Phase Locked Loop)処理によってクロック信号を生成するクロック・データ・リカバリ(Clock data recovery:CDR)回路が、高速差動信号シリアル通信のシリアル信号のそれぞれのビットのデータの立ち上がりや立ち下がりの間隔を常時監視(モニター)することによって、送信されたシリアル信号に重畳されているクロック信号を生成する。つまり、本体部3において、送信されてきた高速差動信号シリアル通信のシリアル信号に重畳された、撮像信号生成部424から出力された撮像信号に対応するクロック信号や、PRBS生成部427から出力された擬似ランダムパターンに対応するクロック信号を生成(再生)する。なお、高速差動信号出力部425が出力するシリアル信号の構成、つまり、高速差動信号シリアル通信の通信方法は、既存の高速差動信号の規格を使用したシリアル通信と同様であるため、詳細な説明は省略する。
なお、以下の説明においては、説明を容易にするため、高速差動信号出力部425が、シリアル信号に同期信号を重畳する(埋め込む)のと同様に、撮像信号生成部424またはPRBS生成部427が出力するクロック信号を、データの一部としてシリアル信号に重畳する(埋め込む)ものとして説明する。つまり、それぞれのクロック信号は、上述したように、実際には、シリアル信号が表すそれぞれのビットのデータの立ち上がりや立ち下がりの間隔として重畳されるが、以下の説明においては、それぞれのクロック信号を、シリアル信号が表すデータの一部として重畳する(埋め込む)ものとして説明する。
なお、高速差動信号出力部425がシリアル信号に重畳する(埋め込む)クロック信号や同期信号は、撮像信号生成部424またはPRBS生成部427が出力するクロック信号や同期信号に限定されるものではない。例えば、イメージセンサ42を、不図示の同期信号発生部を備える構成にして、この不図示の同期信号発生部が、水晶発振器43が発振する動作クロック信号に基づいて、撮像信号生成部424やPRBS生成部427が動作するためのクロック信号や、撮像信号生成部424が画素アレイ部421に配置されたそれぞれの画素から画素信号を読み出すタイミングを表す同期信号(水平同期信号や垂直同期信号)を生成してもよい。この場合、不図示の同期信号発生部は、生成したクロック信号や同期信号を高速差動信号出力部425に出力し、高速差動信号出力部425が、不図示の同期信号発生部が生成したクロック信号や同期信号を、高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号に重畳する(埋め込む)。
VCSELドライバー回路44は、高速差動信号出力部425から出力された高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号を表すドライブ信号を生成し、生成したドライブ信号をVCSEL発光素子45に出力する。なお、上述したように、高速差動信号シリアル通信は、2本の信号線によって行われる差動伝送方式の通信である。つまり、高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号は、D+信号およびD−信号の2つの差動式の信号によって構成されている。従って、VCSELドライバー回路44は、高速差動信号出力部425から出力された2つの差動式の信号(D+信号およびD−信号)の差分に相当する出力レベル(電流値)のドライブ信号を生成してVCSEL発光素子45に出力する。
VCSEL発光素子45は、VCSELドライバー回路44から出力された電気信号であるドライブ信号によって駆動され、電気信号を光信号に変換する電気−光変換部である。より具体的には、VCSEL発光素子45は、VCSELドライバー回路44から出力されたドライブ信号の出力レベル(電流値)に応じた(略比例した)光出力のレーザー光を発光する垂直共振器面発光レーザー(VCSEL)の発光素子である。VCSEL発光素子45は、発光したレーザー光を光信号伝送路53に出射する。
内視鏡装置1では、VCSELドライバー回路44およびVCSEL発光素子45の構成によって、撮像信号にクロック信号および同期信号(水平同期信号や垂直同期信号)が重畳された高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号が光信号に変換されて、本体部3に伝送(送信)される。また、内視鏡装置1では、VCSELドライバー回路44およびVCSEL発光素子45の構成によって、擬似ランダムパターンにクロック信号が重畳された高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号が光信号に変換されて、本体部3に伝送(送信)される。そして、内視鏡装置1では、本体部3が、擬似ランダムパターンに重畳されたクロック信号に同期して、擬似ランダムパターンに含まれるそれぞれのビットのデータの正誤を判定することによって、光信号によって伝送(以下、「光伝送」という)するデジタルデータにおけるデータ誤り率(ビットエラーレート)を検知する。このビットエラーレートから、光信号伝送路53に進入した外来ノイズ成分の量を検知(推定)することができる。ここで、ビットエラーレートは、伝送されたデジタルデータの総ビット数と、伝送されたデジタルデータにおいて誤りがあるデータの総ビット数との比を示した値であり、伝送されたデジタルデータに含まれる誤りがあるデータのビット数の割合を示した値である。そして、内視鏡装置1では、本体部3が、擬似ランダムパターンから検知したビットエラーレートに基づいてノイズ抑制処理を行う際のノイズ抑制の強さを決定し、決定したノイズ抑制の強さで、それぞれの撮像信号に対してノイズ抑制処理を行う。その後、内視鏡装置1では、本体部3が、撮像信号に重畳されたクロック信号およびそれぞれの同期信号に同期して、つまり、イメージセンサ42が撮像信号を出力したクロック信号および水平同期信号や垂直同期信号のタイミングに同期して、ノイズ抑制処理を行ったそれぞれの撮像信号に対する種々の処理を行う。
続いて、本体部3に備えたそれぞれの構成要素について詳細に説明する。
バッテリー31は、本体部3に備えたそれぞれの構成要素や、先端部4に備えたそれぞれの構成要素を駆動するための電力を供給する、例えば、リチウムイオン二次電池などの充電式の電池である。
電源出力部32は、バッテリー31が出力した電力を、軟性部5に備えた電源信号線51を介して先端部4に備えたそれぞれの構成要素に供給する。図1には、電源出力部32が、先端部4内のイメージセンサ42に備えた電源入力部422に、電源信号線51を介して電力を供給している状態を示している。
マルチメディアプロセッサー33は、内視鏡装置1における全体の制御を行う制御部である。マルチメディアプロセッサー33は、先端部4に備えたイメージセンサ42の動作や機能の起動に関する様々な設定を、イメージセンサ設定制御部34を介して行う。例えば、マルチメディアプロセッサー33は、予め定めた動作やタイミングのときに信号伝送路の状態を検証する。このとき、マルチメディアプロセッサー33は、信号伝送路の検証に関する様々な設定をイメージセンサ設定制御部34に出力して、内視鏡装置1における信号伝送路の検証動作を開始し、ビットエラーレート検知処理部320およびノイズリダクション処理部39の起動や動作を制御する。
なお、信号伝送路の状態の検証は、予め定めた動作やタイミングのときに行うのみではなく、例えば、内視鏡装置1の使用者が不図示の操作部やリモコン端末などの専用の操作装置を操作することによって信号伝送路の状態の検証を指示することもできる。なお、内視鏡装置1の使用者が信号伝送路の状態の検証を指示する場合の一例としては、例えば、内視鏡装置1を校正する際に指示されることが考えられる。この場合も、マルチメディアプロセッサー33は、指示された信号伝送路の検証に関する様々な設定をイメージセンサ設定制御部34に出力すると共に、信号伝送路の検証動作を行うために、本体部3に備えた対応する構成要素の動作や機能の起動を制御する。
また、マルチメディアプロセッサー33は、上述した信号伝送路の検証動作の制御以外にも、先端部4に備えたイメージセンサ42の動作や機能の起動に関する様々な設定の出力を、イメージセンサ設定制御部34を介して行う。このときも、マルチメディアプロセッサー33は、本体部3に備えた対応する構成要素の動作や機能の起動の制御を行う。
また、マルチメディアプロセッサー33は、先端部4内のイメージセンサ42に備えた画素アレイ部421が撮像し、光信号伝送路53を介して本体部3に伝送(送信)されたそれぞれの撮像信号(例えば、RAW信号)に対して予め定められた種々の画像処理を施し、撮像した被検物内の被写体の画像を生成する画像処理部でもある。例えば、マルチメディアプロセッサー33は、イメージセンサ42から伝送(送信)されたそれぞれの撮像信号に対して記録用の画像処理を施して記録用の画像(静止画像や動画像)を生成し、生成した記録用の画像を記録部311に記録させる。また、例えば、マルチメディアプロセッサー33は、イメージセンサ42から伝送(送信)されたそれぞれの撮像信号に対して表示用の画像処理を施して表示用の画像(静止画像や動画像)を生成し、生成した表示用の画像を表示部312に出力して表示させる。なお、内視鏡装置1では、マルチメディアプロセッサー33が記録用の画像を生成、または表示用の画像を生成する際に用いるそれぞれの撮像信号は、後述するノイズリダクション処理部39によってノイズ抑制処理が行われた後の撮像信号である。また、マルチメディアプロセッサー33は、記録部311に記録されている記録用の画像(静止画像や動画像)を読み出して表示部312に出力して表示させる画像処理も行う。
記録部311は、内視鏡装置1によって撮像した被検物内の被写体の画像のデータを記録する。なお、図1において記録部311は、本体部3に内蔵される構成要素として示しているが、記録部311は、例えば、SDメモリカード(SD Memory Card)やコンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash(登録商標):CF)など、本体部3に着脱可能な構成の記録媒体であってもよい。
表示部312は、内視鏡装置1によって撮像した被検物内の被写体の画像を表示する。表示部312は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などの表示装置で構成される。なお、図1において表示部312は、本体部3に搭載される構成要素として示しているが、表示部312は、本体部3に接続される外部の表示装置、つまり、本体部3に脱着可能な構成の表示装置であってもよい。
イメージセンサ設定制御部34は、マルチメディアプロセッサー33から入力された先端部4に備えたイメージセンサ42の動作や機能の起動に関する様々な設定を、軟性部5に備えたI2Cシリアル信号伝送路52を介したI2Cシリアル通信によって、先端部4内のイメージセンサ42に備えたイメージセンサ設定入出力部423に送信する。より具体的には、イメージセンサ設定制御部34は、マルチメディアプロセッサー33から入力された、被写体の撮像に関する様々な設定、被写体を撮像したそれぞれの画素信号に対して行う処理に関する様々な設定、信号伝送路の状態の検証に関する様々な設定を、I2Cシリアル通信によってイメージセンサ設定入出力部423に送信する。これにより、先端部4に備えたイメージセンサ42は、イメージセンサ設定入出力部423に送信された動作や機能の起動に関する様々な設定に応じた撮像動作を行う。
受光素子35は、光信号伝送路53の本体部3側の端に配置され、先端部4内のVCSEL発光素子45が発光して光信号伝送路53を介して伝送された光信号を受光し、受光した光信号を光電変換した電気信号を出力するフォトダイオードなどの光電変換部である。受光素子35は、受光した光信号に応じた電気信号を、アンプ回路36に出力する。
アンプ回路36は、受光素子35から出力された電気信号を増幅する増幅(アンプ)回路である。そして、アンプ回路36は、増幅した電気信号が表す、つまり、受光素子35が受光した光信号が表す高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号を、高速差動信号入力部37に出力する。
高速差動信号入力部37は、アンプ回路36から出力された高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号から、先端部4内のイメージセンサ42に備えた高速差動信号出力部425がシリアル信号に重畳した(埋め込んだ)クロック信号や同期信号を分離する。つまり、高速差動信号入力部37は、イメージセンサ42に備えた撮像信号生成部424が出力した撮像信号に対応するクロック信号および同期信号(水平同期信号や垂直同期信号)や、イメージセンサ42に備えたPRBS生成部427が出力した擬似ランダムパターンに対応するクロック信号を分離する。そして、高速差動信号入力部37は、分離したクロック信号および同期信号を、本体部3に備えた、対応するそれぞれの構成要素に出力する。
また、高速差動信号入力部37は、クロック信号や同期信号を分離した高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号を、先端部4内のイメージセンサ42に備えたセレクタ426が出力したパラレルのデジタル信号に変換する。つまり、高速差動信号入力部37は、イメージセンサ42に備えた撮像信号生成部424が出力した撮像信号(デジタル信号)、またはイメージセンサ42に備えたPRBS生成部427が出力した擬似ランダムパターン(デジタル信号)のいずれか一方のデジタル信号に変換する。そして、高速差動信号入力部37は、変換した撮像信号(パラレルのデジタルデータ)をAE処理部38に出力し、変換した擬似ランダムパターン(パラレルのデジタルデータ)をビットエラーレート検知処理部320に出力する。
AE処理部38は、高速差動信号入力部37から出力された撮像信号に基づいて、被検物内の被写体の画像の明るさを判定し、判定した画像の明るさに応じて、先端部4に備えたイメージセンサ42が撮像する画像の明るさを自動的に調整する自動露出機能部である。より具体的には、AE処理部38は、高速差動信号入力部37から入力された撮像信号から判定した画像の明るさに基づいて、イメージセンサ42に備えた画素アレイ部421が被写体の撮像を行う際の電子シャッターや露光時間などの設定値を決定する。また、AE処理部38は、高速差動信号入力部37から入力された撮像信号から判定した画像の明るさに基づいて、画像の明るさを調整するために、イメージセンサ42に備えた撮像信号生成部424が画素アレイ部421から読み出したそれぞれの画素の画素信号に対して行うAGC処理におけるゲイン値などの設定値を決定する。つまり、AE処理部38は、内視鏡装置1における被写体の撮像、被写体を撮像したそれぞれの画素信号に対して行う処理に関する様々な設定値を決定する。
なお、AE処理部38が行う自動露出機能(AE機能)の処理には、上述した電子シャッターや露光時間などの設定値、AGC処理におけるゲイン値などの設定値を決定する以外にも種々の処理がある。しかし、AE処理部38が行うAE機能の処理は、既存の自動露出機能の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
AE処理部38は、決定したそれぞれの設定値を、イメージセンサ設定制御部34に出力する。そして、イメージセンサ設定制御部34に出力されたそれぞれの設定値は、マルチメディアプロセッサー33による制御に応じて、先端部4内のイメージセンサ42に備えたイメージセンサ設定入出力部423に送信される。これにより、イメージセンサ42は、イメージセンサ設定入出力部423に送信されたそれぞれの設定値に応じた動作を行う。より具体的には、イメージセンサ42は、AE処理部38によって決定された、電子シャッターや露光時間などの設定値に応じた被写体の撮像動作を行う。また、イメージセンサ42は、AE処理部38によって決定された、AGC処理のゲイン値などの設定値に応じた被写体を撮像したそれぞれの画素信号に対する処理を行う。
また、AE処理部38は、AGC処理におけるゲイン値を、ノイズリダクション処理部39に出力する。ノイズリダクション処理部39に出力されたAGC処理のゲイン値は、後述するノイズリダクション処理部39がノイズ抑制処理を行う際に用いられる。
なお、AE処理部38は、それぞれの設定値を決定する処理を行う際に、画像メモリ310を利用する。より具体的には、AE処理部38は、処理を実行するために用いるデータ、つまり、高速差動信号入力部37から入力された撮像信号や、処理の途中で生成したデータなどを、画像メモリ310との間でやり取りしながら、それぞれの設定値を決定する処理を行う。また、AE処理部38は、高速差動信号入力部37から入力された撮像信号をそのまま、ノイズリダクション処理部39に出力(転送)する。このとき、AE処理部38は、撮像信号を画像メモリ310から読み出してノイズリダクション処理部39に出力する構成であってもよいが、撮像信号の画像メモリ310への格納(書き込み)が終了したときに、このことをノイズリダクション処理部39に通知して、画像メモリ310に格納した撮像信号をノイズリダクション処理部39に読み出させる構成であってもよい。
ビットエラーレート検知処理部320は、高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンに基づいて、光信号伝送路53によって伝送された擬似ランダムパターンの光信号に含まれるそれぞれのビットのデータの正誤を判定する。そして、ビットエラーレート検知処理部320は、判定した擬似ランダムパターンのデータの正誤の結果に基づいて、光信号伝送路53に進入した外来ノイズの影響によって発生する撮像信号の光伝送におけるビットエラーレートを検知する。なお、ビットエラーレート検知処理部320の構成に関する詳細な説明は、後述する。
ビットエラーレート検知処理部320は、検知したビットエラーレートの情報を、ノイズリダクション処理部39に出力する。ノイズリダクション処理部39に出力されたビットエラーレートの情報は、後述するノイズリダクション処理部39がノイズ抑制処理を行う際に用いられる。
また、ビットエラーレート検知処理部320は、ビットエラーレートの情報を、イメージセンサ設定制御部34に出力する。そして、イメージセンサ設定制御部34に出力されたビットエラーレートの情報は、マルチメディアプロセッサー33による制御に応じて、先端部4内のイメージセンサ42に備えたイメージセンサ設定入出力部423に送信される。これにより、イメージセンサ42は、イメージセンサ設定入出力部423に送信されたビットエラーレートの情報に基づいて、例えば、不図示のVCSEL出力レベル制御回路が、VCSELドライバー回路44が生成して出力する高速差動信号出力部425から出力された高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号を表すドライブ信号の出力レベル(電流値)を制御する。VCSELドライバー回路44が生成して出力するドライブ信号の出力レベルを制御することによって、VCSEL発光素子45が発光して光信号伝送路53に出射するレーザー光の光量を制御することができる。例えば、不図示のVCSEL出力レベル制御回路が、ビットエラーレートの情報に基づいてドライブ信号の出力レベル(電流値)が高くするように制御することによって、VCSEL発光素子45が発光するレーザー光の光量を高くすることができ、光伝送におけるビットエラーレートが低くなるようにすることができる。
ノイズリダクション処理部39は、ノイズ抑制処理を行う際のノイズ抑制の強さを、AE処理部38から入力されたAGC処理のゲイン値と、ビットエラーレート検知処理部320から入力されたビットエラーレートの情報とに基づいて決定する。そして、ノイズリダクション処理部39は、AE処理部38から出力(転送)された撮像信号、つまり、高速差動信号入力部37から出力された撮像信号に対して、決定したノイズ抑制の強さでのノイズ抑制処理を行う。より具体的には、ノイズリダクション処理部39は、AGC処理のゲイン値とビットエラーレートとのそれぞれの大きさの組み合わせによって予め定めたテーブル情報に基づいて、ノイズ抑制の強さを決定する。ここで、ノイズリダクション処理部39が決定するノイズ抑制の強さは、ノイズ抑制処理において合成する画像の枚数である。そして、ノイズリダクション処理部39は、既存のノイズ抑制処理と同様に、AE処理部38から出力(転送)された撮像信号に基づいた複数フレームの画像を合成することによって、被検物内の被写体の画像に含まれるノイズ成分をキャンセルするノイズ抑制処理を行う。このとき、ノイズリダクション処理部39は、決定した画像の枚数(フレーム数)の撮像信号に基づいた画像を合成することによって、ノイズ抑制処理を行う。なお、ノイズリダクション処理部39が行うノイズ抑制処理は、複数フレームの画像を合成することによって被検物内の被写体の画像に含まれるノイズ成分をキャンセルする既存のノイズ抑制処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
ノイズリダクション処理部39は、ノイズ抑制処理をした後の撮像信号を、マルチメディアプロセッサー33に出力する。
なお、ノイズリダクション処理部39は、ノイズ抑制処理を行う際に、画像メモリ310を利用する。より具体的には、ノイズリダクション処理部39は、処理を実行するために用いるデータ、つまり、AE処理部38から出力(転送)された撮像信号や、処理の途中で生成したデータなどを、画像メモリ310との間でやり取りしながら、決定した画像の枚数(フレーム数)の撮像信号に基づいた画像を合成する処理を行う。なお、AE処理部38が、撮像信号の画像メモリ310への格納(書き込み)が終了したことを通知することによって、高速差動信号入力部37から入力された撮像信号を出力(転送)する構成である場合、ノイズリダクション処理部39は、AE処理部38から撮像信号の画像メモリ310への格納(書き込み)が終了したことを表す通知が出力された後に、画像メモリ310に格納された撮像信号を読み出してからノイズ抑制処理を行う。
画像メモリ310は、AE処理部38およびノイズリダクション処理部39が、撮像信号や処理の途中で生成したデータなどを一時的に格納するメモリである。画像メモリ310は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの書き換え可能な揮発性メモリで構成される。なお、図1に示した内視鏡装置1の構成では、画像メモリ310を、AE処理部38とノイズリダクション処理部39とが利用する構成を示しているが、画像メモリ310は、本体部3に備えた他の構成要素からも利用される構成であってもよい。
なお、図1においては、イメージセンサ設定制御部34と、高速差動信号入力部37と、AE処理部38と、ノイズリダクション処理部39と、ビットエラーレート検知処理部320とのそれぞれを、マルチメディアプロセッサー33と異なる本体部3の構成要素とした構成を示した。しかし、本体部3に備えるイメージセンサ設定制御部34と、高速差動信号入力部37と、AE処理部38と、ノイズリダクション処理部39と、ビットエラーレート検知処理部320とのそれぞれは、マルチメディアプロセッサー33に搭載される機能、つまり、マルチメディアプロセッサー33に備えた構成要素であってもよい。また、図1においては、内視鏡装置1におけるノイズ抑制処理に関連する構成要素として、AE処理部38およびノイズリダクション処理部39を備えた構成の本体部3を示した。しかし、内視鏡装置1において撮像した被検物内の被写体の画像に対応する撮像信号に対して処理を行う構成要素は、図1に示したAE処理部38およびノイズリダクション処理部39の他にも、被写体の画像の画質を向上させる処理や、被写体の画像に基づいて計測を行う構成要素など、種々の構成要素がある。これらの構成要素も、マルチメディアプロセッサー33に搭載される機能(マルチメディアプロセッサー33に備えた構成要素)であってもよい。
続いて、軟性部5に備えた信号線および伝送路のそれぞれの構成要素について詳細に説明する。
電源信号線51は、単線の電線(電源ケーブル)で構成する。この単線の電源ケーブルの構成で、電源信号線51は、本体部3に備えた電源出力部32が出力する電源を、先端部4内のイメージセンサ42に備えた電源入力部422に供給する。
I2Cシリアル信号伝送路52は、I2Cシリアル信号のそれぞれに対応した2本の単線をより合わせた1組のツイストペアケーブルで構成する。この単線のツイストペアケーブルの構成で、I2Cシリアル信号伝送路52は、本体部3に備えたマルチメディアプロセッサー33と先端部4内のイメージセンサ42に備えたイメージセンサ設定入出力部423との間でのI2Cシリアル通信を実現する。なお、I2Cシリアル信号伝送路52は、それぞれのI2Cシリアル信号に対応した単線への外来ノイズの進入を防ぐ、つまり、ノイズ耐性を向上させるために、2本の単線のそれぞれをシールド線(同軸線)にすることも考えられる。
光信号伝送路53は、光ファイバーなどの光信号ケーブルで構成する。この光信号ケーブルの構成で、光信号伝送路53は、先端部4内のVCSEL発光素子45が発光したレーザー光の本体部3に備えた受光素子35への光伝送を実現する。つまり、先端部4内のイメージセンサ42に備えた高速差動信号出力部425から出力され、VCSELドライバー回路44およびVCSEL発光素子45によって光信号に変換された高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号の本体部3への伝送(送信)を実現する。なお、内視鏡装置1では、近年のイメージセンサにおける画素の数の増加(高解像度化)や読み出しレートの高速化(高フレームレート化)、さらには、撮像信号を高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号に変換することによってギガヘルツオーダーの広帯域となる撮像信号の本体部3への伝送を、光信号ケーブルで構成する光信号伝送路53で行うことによって可能としている。例えば、撮像信号生成部424が出力する撮像信号が8ビットの諧調をもったデジタル信号(パラレルの8ビットのデジタルデータ)である場合、高速差動信号出力部425が出力する高速差動信号シリアル通信の形式の撮像信号(シリアル信号)は、撮像信号生成部424がそれぞれの撮像信号を出力する周期の8倍の周期で変化する信号となる。この場合であっても、光信号ケーブルで構成された光信号伝送路53では、撮像信号の本体部3への伝送を可能としている。また、内視鏡装置1では、長いものでは、例えば、数十メートルとなるような長距離の軟性部5も、光信号ケーブルで構成する光信号伝送路53によって実現可能としている。
このような信号線および伝送路のそれぞれの構成によって、挿入部2を構成する軟性部5内に備える信号ケーブルの数を少なくすることができ、軟性部5の径を細くすることができる。より具体的には、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、単線の電源ケーブルで構成した電源信号線51と、単線のツイストペアケーブルで構成したI2Cシリアル信号伝送路52と、光信号ケーブルで構成した光信号伝送路53との4本の信号ケーブルを軟性部5に備えればよいため、軟性部5の径を細くすることができる。これにより、軟性部5は、被検物内への先端部4の挿入性を向上することができる。このことにより、内視鏡装置1は、より多くの被検物を検査対象とする、つまり、検査対象の幅を広げることができる。
このような構成によって内視鏡装置1では、撮像信号および擬似ランダムパターンを高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号に変換して伝送する。そして、内視鏡装置1では、擬似ランダムパターンを利用してビットエラーレートを検知し、検知したビットエラーレートを、撮像信号の光伝送の際に光信号伝送路53に進入した外来ノイズの影響によって発生するビットエラーや伝送エラーであるとする。そして、内視鏡装置1では、検知したビットエラーレートに基づいてノイズ抑制処理を行う際のノイズ抑制の強さを決定して、撮像信号に対してノイズ抑制処理を行う。これにより、内視鏡装置1では、撮像信号および擬似ランダムパターンのタイミングの先端部4と本体部3との間での同期化や、先端部4または本体部3内に検証用の膨大なパターンデータを記憶しておく構成にすることなく、イメージセンサ42が撮像した画像の明るさに起因するノイズ成分の量と、光信号伝送路53に進入する外来ノイズ成分の量とのそれぞれのノイズ成分の量を含めて考慮した適切なノイズ抑制処理を行うことができる。つまり、内視鏡装置1では、ノイズ抑制の強さを必要以上に強くすることなくノイズ抑制処理を行うことができる。
なお、図1に示した内視鏡装置1では、PRBS生成部427が、イメージセンサ42に備えられている構成を示した。しかし、PRBS生成部427は、必ずしもイメージセンサ42の内部に備えられている必要はなく、イメージセンサ42の外部に備えられる構成であってもよい。この場合、PRBS生成部427と共に、セレクタ426および高速差動信号出力部425も、イメージセンサ42の外部に備えられる構成要素となる。そして、イメージセンサ42は、撮像信号生成部424が生成した撮像信号(デジタル信号)を出力信号として出力する構成となる。
次に、ビットエラーレート検知処理部320の構成について詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1に備えたビットエラーレート検知処理部320の概略構成の一例を示したブロック図である。ビットエラーレート検知処理部320は、処理タイミング生成部321と、PRBS初期値セット部322と、PRBS参照データ生成部323と、PRBS比較部324と、誤りビットカウント部325と、総ビットカウント部326と、ビットエラーレート計算部327とを備えている。
処理タイミング生成部321は、マルチメディアプロセッサー33から出力された起動の指示に応じて、高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンに基づいてビットエラーレートを検知する処理を開始することを表す処理タイミング信号を生成する。処理タイミング生成部321は、生成した処理タイミング信号を、ビットエラーレート検知処理部320に備えたそれぞれの構成要素に出力する。
ここで、処理タイミング生成部321が生成する処理タイミング信号には、高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンに対応するクロック信号が含まれている。従って、ビットエラーレート検知処理部320に備えたそれぞれの構成要素は、擬似ランダムパターンに対応するクロック信号に同期して、ビットエラーレートを検知する処理を行う。また、処理タイミング信号には、クロック信号の他にも、高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターン(PRBSデータ)を取り込んでビットエラーレートを検知する処理を行う期間を表す処理期間信号などが含まれている。ビットエラーレート検知処理部320に備えたそれぞれの構成要素は、処理期間信号の最初のタイミングで、まず、初期化が行われる。
PRBS初期値セット部322は、処理タイミング生成部321から出力された処理タイミング信号に応じて、高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンとの比較を行うために生成する擬似ランダムパターンの初期値を、PRBS参照データ生成部323に設定する。より具体的には、PRBS初期値セット部322は、処理タイミング生成部321から出力された処理期間信号の最初のタイミングでの初期化が解除されると、高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンから、予め定めたデータサイズ(ビット数)のデータ列を取り込み、ここで取り込んだデータ列のパターンを、生成する擬似ランダムパターンの初期値とする。そして、PRBS初期値セット部322は、初期値としたデータ列のパターンを、PRBS参照データ生成部323に設定(出力)する。
PRBS参照データ生成部323は、PRBS初期値セット部322によって設定された擬似ランダムパターンの初期値に基づいて、先端部4内のイメージセンサ42に備えたPRBS生成部427が生成した擬似ランダムパターンと同じパターンのデータ列によって構成される擬似ランダムパターンを生成する。PRBS参照データ生成部323は、処理タイミング生成部321から出力された処理タイミング信号(クロック信号)に同期して、生成した擬似ランダムパターンを、参照データとしてPRBS比較部324に出力する。
なお、高速差動信号入力部37から出力される擬似ランダムパターン、つまり、先端部4内のイメージセンサ42に備えたPRBS生成部427が生成する擬似ランダムパターンは、上述したように、同じパターンのデータ列が周期的に繰り返されるパターンデータである。従って、PRBS参照データ生成部323は、PRBS初期値セット部322が、高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンから任意のタイミングで取り込んだ(切り取った)データ列を初期値として設定した場合でも、設定された初期値に基づいて、PRBS生成部427が生成した擬似ランダムパターンと同じパターンのデータ列によって構成される擬似ランダムパターンを生成する、つまり、再現することができる。
PRBS比較部324は、高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンと、PRBS参照データ生成部323から出力された参照データ、つまり、再現された擬似ランダムパターンとを比較する。より具体的には、PRBS比較部324は、処理タイミング生成部321から出力された処理タイミング信号(クロック信号)に同期して、高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンと、PRBS参照データ生成部323から出力された参照データとを、ビット毎に比較する。PRBS比較部324は、比較した結果、つまり、それぞれのビットのデータの正誤を判定した結果を、誤りビットカウント部325に出力する。
なお、PRBS比較部324は、処理タイミング生成部321から出力された処理期間信号の最初のタイミングでの初期化が解除された後のタイミングから、高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンと、PRBS参照データ生成部323から出力された参照データとの比較を開始する。つまり、PRBS比較部324は、PRBS初期値セット部322が高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンを取り込んで(切り取って)初期値としたデータ列の最初のビットのタイミングから、高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンと、PRBS参照データ生成部323から出力された参照データとの比較を開始する。そして、PRBS比較部324は、処理タイミング生成部321から出力された処理期間信号が、ビットエラーレートを検知する処理を行う期間であることを表している間、高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンと、PRBS参照データ生成部323から出力された参照データとのビット毎の比較を行って、それぞれのビットのデータの正誤を判定した結果を、誤りビットカウント部325に出力する。
誤りビットカウント部325は、PRBS比較部324から出力されたビットのデータの正誤を判定した結果に基づいて、データが誤っていると判定されたビット(以下、「誤りビット」という)を計数(カウント)する。誤りビットカウント部325は、カウントした誤りビットの数(誤りビット数)を表す情報を、ビットエラーレート計算部327に出力する。
なお、誤りビットカウント部325は、PRBS比較部324がそれぞれのビットのデータの正誤を判定している期間の間、誤りビット数をカウントし、PRBS比較部324がそれぞれのビットのデータの正誤を判定している期間が終了した後に、カウントした誤りビット数を表す情報を、ビットエラーレート計算部327に出力する。このため、PRBS比較部324を、それぞれのビットのデータの正誤を判定している期間を表す比較期間信号を誤りビットカウント部325に出力する構成にしてもよい。そして、誤りビットカウント部325を、PRBS比較部324から出力された比較期間信号がそれぞれのビットのデータの正誤を判定している期間であることを表している期間の間、誤りビット数をカウントし、比較期間信号がそれぞれのビットのデータの正誤を判定していない期間であることを表したときに、カウントした誤りビット数を表す情報をビットエラーレート計算部327に出力する構成にしてもよい。
総ビットカウント部326は、高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンに含まれるビットの数(総ビット数)を計数(カウント)する。総ビットカウント部326は、カウントした総ビット数を表す情報を、ビットエラーレート計算部327に出力する。
なお、総ビットカウント部326は、誤りビットカウント部325が誤りビット数をカウントしている期間と同じ期間中の総ビット数をカウントし、誤りビットカウント部325が誤りビット数のカウントを終了したときに、カウントした総ビット数を表す情報を、ビットエラーレート計算部327に出力する。このため、PRBS比較部324が、それぞれのビットのデータの正誤を判定している期間を表す比較期間信号を出力する構成であり、誤りビットカウント部325が、PRBS比較部324から出力された比較期間信号に基づいて誤りビット数をカウントする構成である場合には、総ビットカウント部326も、誤りビットカウント部325と同様のタイミングで動作する構成にしてもよい。より具体的には、総ビットカウント部326を、PRBS比較部324から出力された比較期間信号がそれぞれのビットのデータの正誤を判定している期間であることを表している期間の間、総ビット数をカウントし、比較期間信号がそれぞれのビットのデータの正誤を判定していない期間であることを表したときに、カウントした総ビット数を表す情報をビットエラーレート計算部327に出力する構成にしてもよい。
ビットエラーレート計算部327は、誤りビットカウント部325から出力された誤りビット数を表す情報と、総ビットカウント部326から出力された総ビット数を表す情報とに基づいて、ビットエラーレートを算出する。例えば、誤りビット数を「Eb」、総ビット数を「Tb」とし、ビットエラーレートを「Rb」とした場合、ビットエラーレート計算部327は、ビットエラーレートRbを、下式(1)によって算出する。
Rb = (Eb/Tb)×100 ・・・(1)
ビットエラーレート計算部327は、算出したビットエラーレートを、検知したビットエラーレートの情報として、ビットエラーレート検知処理部320の外部に接続されたノイズリダクション処理部39およびイメージセンサ設定制御部34に出力する。
このような構成によってビットエラーレート検知処理部320では、擬似ランダムパターンからビットエラーレートを算出(検知)する。言い換えれば、ビットエラーレート検知処理部320は、撮像信号の光伝送の際に光信号伝送路53に進入した外来ノイズの影響によって撮像信号に発生するビットエラーや伝送エラーを検知し、光信号伝送路53に進入した外来ノイズ成分の量を検知(推定)する。これにより、内視鏡装置1では、ビットエラーレート検知処理部320が検知したビットエラーレートに基づいてノイズ抑制処理を行う際のノイズ抑制の強さを決定し、決定したノイズ抑制の強さで、撮像信号に対してノイズ抑制処理を行うことができる。
次に、内視鏡装置1におけるノイズ抑制処理の概念について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1におけるノイズ抑制処理の概念を説明する図である。図3(a)には、内視鏡装置1において行うノイズ抑制処理に関連する構成要素と、発生するノイズとの関係を模式的に示している。また、図3(b)には、AGC処理のゲイン値とビットエラーレートとのそれぞれの大きさの組み合わせ(関係)によって決定するノイズ抑制の強さを行列で表したテーブル情報(以下、「ノイズ抑制強度マトリックス」という)の一例を示している。
図3(a)に示したように、内視鏡装置1を構成する先端部4に備えたイメージセンサ42によって被検物内の被写体を撮像し、撮像して得た撮像信号を本体部3に伝送する場合、撮像信号は、イメージセンサ42が撮像した画像の明るさに起因するノイズNBと、軟性部5に備えた光信号伝送路53によって伝送されているときに進入した外来ノイズNEとのそれぞれのノイズの影響を受けている。内視鏡装置1では、ノイズリダクション処理部39が、ノイズNBによる撮像信号への影響、つまり、ノイズNBの量を、従来のノイズ抑制処理と同様に、イメージセンサ42によって被検物内の被写体を撮像するときのAGC処理のゲイン値に基づいて判定する。また、内視鏡装置1では、ノイズリダクション処理部39が、外来ノイズNEによる撮像信号への影響、つまり、外来ノイズNEの量を、ビットエラーレート検知処理部320が検知した擬似ランダムパターンの光伝送におけるビットエラーレートに基づいて検知(推定)する。そして、ノイズリダクション処理部39は、AGC処理のゲイン値に基づいて判定したノイズNBの量と、ビットエラーレートに基づいて検知(推定)した外来ノイズNEの量とのそれぞれの組み合わせによって予め定めたノイズ抑制強度マトリックス(図3(b)参照)に基づいてノイズ抑制の強さを決定し、決定したノイズ抑制の強さで、撮像信号に対してノイズ抑制処理を行う。
図3(a)には、ノイズリダクション処理部39に備えたノイズリダクション強度決定部391が、AGC処理のゲイン値(AGC)とビットエラーレート(BER)とのそれぞれの大きさから、ノイズ抑制強度マトリックスに基づいて、ノイズ抑制の強さを決定する構成を示している。このとき、ノイズリダクション強度決定部391が利用するノイズ抑制強度マトリックスの構成は、例えば、図3(b)に示したノイズ抑制強度マトリックスの一例のような構成である。図3(b)には、AGC処理のゲイン値(AGC)の大きさを列方向とし、ビットエラーレート(BER)の大きさを行方向とし、数値が大きいほどノイズ抑制の強さ(ノイズ抑制強度)が強いことを表すノイズ抑制強度マトリックスの一例を示している。
AGC処理のゲイン値は、AE処理部38が高速差動信号入力部37から入力された撮像信号から判定した画像の明るさに基づいて決定した値、つまり、画像の明るさを表す値であり、AGC処理のゲイン値が大きいほど、画像の明るさが暗く、画像に含まれるノイズ成分の量が多くなっていることを表している。また、ビットエラーレートは、ビットエラーレート検知処理部320が高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンに基づいて、撮像信号を光伝送する際に光信号伝送路53に進入した外来ノイズの影響によるビットエラーや伝送エラーを表すデータ誤り率であり、ビットエラーレートが大きいほど、光信号伝送路53に進入する外来ノイズ成分の量が多くなっていることを表している。つまり、AGC処理のゲイン値およびビットエラーレートのそれぞれは、値が大きいほどノイズ成分の量が多いことを表している。このため、ノイズ抑制強度マトリックスは、図3(b)に示したように、AGC処理のゲイン値が小さいほどノイズ抑制強度が弱く、AGC処理のゲイン値が大きいほどノイズ抑制強度が強くなるように、予め定める。また、ノイズ抑制強度マトリックスは、図3(b)に示したように、ビットエラーレート(BER)が小さいほどノイズ抑制強度が弱く、ビットエラーレート(BER)が大きいほどノイズ抑制強度が強くなるように、予め定める。
なお、図3(a)においては、ノイズリダクション強度決定部391が、イメージセンサ42におけるAGC処理のゲイン値(AGC)と、ビットエラーレート検知処理部320が検知したビットエラーレート(BER)とのそれぞれの大きさから、ノイズ抑制強度マトリックスに基づいてノイズ抑制強度を決定する構成の概念を示した。しかし、イメージセンサ42におけるAGC処理のゲイン値(AGC)は、本体部3に備えたAE処理部38が決定し、イメージセンサ設定制御部34が送信することによってイメージセンサ42の動作を制御するための設定値である。つまり、AGC処理のゲイン値(AGC)は、元々本体部3内に存在する設定値である。従って、実際には、ノイズリダクション強度決定部391は、イメージセンサ42から取得したAGC処理のゲイン値(AGC)ではなく、AE処理部38が出力したAGC処理のゲイン値(AGC)の大きさからノイズ抑制強度を決定する構成である。
なお、図3(b)には、AGC処理のゲイン値とビットエラーレートとのそれぞれの大きさの組み合わせ(関係)によって決定するノイズ抑制強度が、線形に変化する構成の行列で表されたテーブル情報(ノイズ抑制強度マトリックス)の一例を示した。しかし、ノイズ抑制強度は、図3(b)に示したノイズ抑制強度マトリックスのように、線形に変化する構成に限定されるものではない。例えば、AGC処理のゲイン値とビットエラーレートとのそれぞれに対して重み付けを設定し、設定した重み付けに応じてノイズ抑制強度が変わる構成のノイズ抑制強度マトリックスとしてもよい。また、例えば、AGC処理のゲイン値とビットエラーレートとの大きさの関係が非線形の関係になってノイズ抑制強度が変化する構成のノイズ抑制強度マトリックスとしてもよい。このような構成のノイズ抑制強度マトリックスに基づいてノイズ抑制の強さを決定することによって、内視鏡装置1では、イメージセンサ42が撮像した画像の明るさに起因するノイズ成分の量と、光信号伝送路53に進入する外来ノイズ成分の量とのそれぞれ別々に考慮した適切なノイズ抑制処理を行うことができる。
また、図3(a)には、ノイズリダクション処理部39に備えたノイズリダクション演算部392が、ノイズリダクション強度決定部391によって決定されたノイズ抑制の強さで、撮像信号に対するノイズ抑制処理の演算を行う構成を示している。例えば、図3(b)に示したノイズ抑制強度マトリックスにおけるノイズ抑制の強さを表す数値が、撮像信号に基づいたそれぞれのフレームの画像を合成する枚数を表していると考えた場合、ノイズリダクション演算部392は、図3(b)に示したノイズ抑制強度マトリックスに基づいてノイズリダクション強度決定部391が決定した枚数(フレーム数)の撮像信号に基づいた画像を合成することによって、ノイズ抑制処理を行う。なお、ノイズリダクション演算部392が行うノイズ抑制処理は、複数フレームの画像を合成することによって被検物内の被写体の画像に含まれるノイズ成分をキャンセルする既存のノイズ抑制処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
<第1のノイズ抑制強度決定タイミング>
次に、内視鏡装置1においてノイズ抑制処理を行うノイズ抑制強度を決定するタイミングについて説明する。図4は、本発明の第1の実施形態における内視鏡装置1を起動する手順の一例を示したフローチャートである。図4には、内視鏡装置1を起動する処理手順に含まれる、ノイズ抑制処理を行うためのノイズ抑制強度を決定するタイミングを示している。内視鏡装置も含め、一般的な撮像装置では、撮像装置の使用者が被写体の撮影を行うために撮像装置を起動すると、イメージセンサを含めた撮像装置の構成要素に対して初期設定を行う起動処理を実行する。このとき、表示装置と搭載した撮像装置や、表示装置が接続された撮像装置では、使用者からの起動の指示に応じて撮影を行うための準備(起動処理)をしているということを示すため、表示装置に起動画面を表示する構成が、一般的に採用されている。内視鏡装置1でも、起動処理において、表示部312に起動画面を表示する。そして、内視鏡装置1では、内視鏡装置1に備えたそれぞれの構成要素に対して初期設定を行う起動処理の一部として(起動処理の期間中に)、ノイズ抑制強度を設定する処理を行う。なお、図4の説明においては、ノイズ抑制強度を設定する処理と共に行われる、内視鏡装置1におけるノイズ抑制処理に関係しないそれぞれの構成要素に対する起動処理の手順についての説明は省略し、起動処理の一部として行われるノイズ抑制処理を行うためにノイズ抑制強度を決定して設定する処理の手順についてのみを説明する。
内視鏡装置1の使用者が不図示の電源ボタンなどの専用の操作装置を操作して内視鏡装置1を起動すると、マルチメディアプロセッサー33は、まず、ステップS10において、内視鏡装置1に備えたそれぞれの構成要素を起動する。そして、マルチメディアプロセッサー33は、内視鏡装置1を起動する処理を実行していることを表す起動画面の画像を表示部312に出力する。これにより、表示部312は、マルチメディアプロセッサー33から出力された起動画面の画像を表示する。
続いて、マルチメディアプロセッサー33は、ステップS20において、イメージセンサ42を起動して初期設定するための設定値を、イメージセンサ設定制御部34に出力する。これにより、イメージセンサ設定制御部34は、マルチメディアプロセッサー33から入力されたイメージセンサ42の起動および初期設定の設定値を、I2Cシリアル信号伝送路52を介したI2Cシリアル通信によって、イメージセンサ42に備えたイメージセンサ設定入出力部423に送信する。イメージセンサ設定入出力部423は、イメージセンサ設定制御部34から送信されてきた起動の設定値に応じてイメージセンサ42に備えたそれぞれの構成要素を起動し、同じくイメージセンサ設定制御部34から送信されてきた初期設定の設定値に応じて、起動したそれぞれの構成要素を初期設定する。
続いて、マルチメディアプロセッサー33は、ステップS30において、イメージセンサ42が起動すると、光信号伝送路53の状態の検証を指示するための設定値を、イメージセンサ設定制御部34に出力する。これにより、イメージセンサ設定制御部34は、マルチメディアプロセッサー33から入力された光信号伝送路53の状態を検証するためのそれぞれの設定値を、I2Cシリアル信号伝送路52を介したI2Cシリアル通信によって、イメージセンサ42に備えたイメージセンサ設定入出力部423に送信する。イメージセンサ設定入出力部423は、イメージセンサ設定制御部34から送信されてきた光信号伝送路53の状態を検証するためのそれぞれの設定値に基づいて、光信号伝送路53の検証動作を実行する。
より具体的には、イメージセンサ設定入出力部423は、セレクタ426が選択するデジタル信号を、PRBS生成部427から出力された擬似ランダムパターンに切り替える。また、イメージセンサ設定入出力部423は、PRBS生成部427を、擬似ランダムパターンを生成してセレクタ426に出力するように制御する。これにより、PRBS生成部427が生成した擬似ランダムパターンが、高速差動信号出力部425によって高速差動信号シリアル通信のシリアル信号に変換され、さらにVCSELドライバー回路44およびVCSEL発光素子45によって光信号に変換され、光信号伝送路53を介して本体部3に伝送される。そして、受光素子35が光信号伝送路53を介して伝送された光信号を受光し、アンプ回路36および高速差動信号入力部37が高速差動信号シリアル通信のシリアル信号をPRBS生成部427が生成した擬似ランダムパターン(パラレルのデジタルデータ)に変換してビットエラーレート検知処理部320に出力する。
また、マルチメディアプロセッサー33は、ステップS30において、ビットエラーレート検知処理部320に、擬似ランダムパターンに基づいたビットエラーレートの検知処理の開始を指示する。これにより、ビットエラーレート検知処理部320は、高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンに基づいてビットエラーレートの検知処理を開始する。そして、ビットエラーレート検知処理部320は、高速差動信号入力部37から出力された擬似ランダムパターンに基づいて算出したビットエラーレートの情報を、ノイズリダクション処理部39およびイメージセンサ設定制御部34に出力する。
続いて、マルチメディアプロセッサー33は、ステップS40において、ノイズリダクション処理部39に、ビットエラーレート検知処理部320から出力されたビットエラーレートの情報に基づいたノイズ抑制強度の設定を指示する。これにより、ノイズリダクション処理部39は、ノイズ抑制強度マトリックス(図3(b)参照)に基づいてノイズ抑制強度を決定して設定し、設定したノイズ抑制強度でノイズ抑制処理が行える状態になる。
なお、内視鏡装置1の起動処理では、イメージセンサ42は、被検物内の被写体の撮像を行っていない。従って、内視鏡装置1の起動処理では、AE処理部38は、画像の明るさの判定を行っておらず、AGC処理におけるゲイン値は決定されていない状態である。このため、ノイズリダクション処理部39は、AGC処理におけるゲイン値が、例えば、初期値であるものとしてノイズ抑制強度を決定し、決定したノイズ抑制強度を設定する。
このような処理手順によって、内視鏡装置1では、起動処理において表示部312に起動画面を表示している期間、つまり、光伝送によって撮像信号の伝送を行っていないタイミングで、ノイズ抑制強度を決定して設定する処理を行う。これにより、内視鏡装置1では、起動した後の通常の動作である被検物内の画像の撮影動作の初期段階から、それぞれの撮像信号に対してノイズ抑制処理を行うことができる。
続いて、マルチメディアプロセッサー33は、ステップS50において、イメージセンサ42に、内視鏡装置1における通常の撮影動作である被検物内の画像の撮像動作を開始させるための設定値を、イメージセンサ設定制御部34に出力する。これにより、イメージセンサ設定制御部34は、マルチメディアプロセッサー33から入力されたイメージセンサ42に通常の撮影動作をさせるためのそれぞれの設定値を、I2Cシリアル信号伝送路52を介したI2Cシリアル通信によって、イメージセンサ42に備えたイメージセンサ設定入出力部423に送信する。イメージセンサ設定入出力部423は、イメージセンサ設定制御部34から送信されてきた通常の撮影動作に関するそれぞれの設定値に基づいた被検物内の画像の撮像動作を実行する。
より具体的には、イメージセンサ設定入出力部423は、セレクタ426が選択するデジタル信号を、PRBS生成部427から出力された擬似ランダムパターンから、撮像信号生成部424から出力された撮像信号に切り替える。また、イメージセンサ設定入出力部423は、PRBS生成部427を、擬似ランダムパターンの生成を停止するように制御する。これにより、撮像信号生成部424から出力された撮像信号が、高速差動信号出力部425によって高速差動信号シリアル通信のシリアル信号に変換され、さらにVCSELドライバー回路44およびVCSEL発光素子45によって光信号に変換され、光信号伝送路53を介して本体部3に伝送される。そして、受光素子35が光信号伝送路53を介して伝送された光信号を受光し、アンプ回路36および高速差動信号入力部37が高速差動信号シリアル通信のシリアル信号を撮像信号生成部424から出力された撮像信号(パラレルのデジタルデータ)に変換してAE処理部38に出力する。
また、マルチメディアプロセッサー33は、ステップS50において、AE処理部38に、高速差動信号入力部37から出力された撮像信号に基づいた被検物内の被写体の画像の明るさ判定の処理の開始を指示する。また、ノイズリダクション処理部39に、設定したノイズ抑制強度でのノイズ抑制処理の開始を指示する。これにより、ノイズリダクション処理部39は、AE処理部38から出力(転送)された撮像信号、つまり、高速差動信号入力部37から今回出力された撮像信号に対して、設定したノイズ抑制強度でノイズ抑制処理をした後の撮像信号を、マルチメディアプロセッサー33に出力する。
続いて、マルチメディアプロセッサー33は、ステップS60において、ノイズリダクション処理部39から出力されたノイズ抑制処理をした後の撮像信号に対して予め定められた種々の画像処理を施して、イメージセンサ42が今回撮像した被検物内の被写体の画像を生成する。より具体的には、イメージセンサ42から今回伝送(送信)された撮像信号に対して表示用の画像処理を施して表示用の画像を生成し、生成した表示用の画像を表示部312に出力する。これにより、表示部312は、マルチメディアプロセッサー33から出力された表示用の画像、つまり、イメージセンサ42が今回撮像した被検物内の被写体の画像を表示する。これにより、内視鏡装置1の使用者は、イメージセンサ42が今回撮像した被検物内の被写体の画像を確認することができる。
以降、マルチメディアプロセッサー33は、ノイズリダクション処理部39から出力されたノイズ抑制処理をした後の撮像信号に対して予め定められた種々の画像処理を順次施して、イメージセンサ42が撮像した被検物内の被写体の画像の表示部312への表示や、記録部311への記録を行う。
なお、マルチメディアプロセッサー33は、ステップS50において、ノイズリダクション処理部39に、AE処理部38から入力されたAGC処理のゲイン値に基づいたノイズ抑制強度の更新を指示する。これにより、ノイズリダクション処理部39は、AE処理部38から以降に出力(転送)された撮像信号に対して、更新したノイズ抑制強度でノイズ抑制処理をした後の撮像信号を、マルチメディアプロセッサー33に出力する。これにより、内視鏡装置1では、マルチメディアプロセッサー33は、イメージセンサ42が撮像した画像の明るさに起因するノイズ成分の量と、光信号伝送路53に進入する外来ノイズ成分の量とのそれぞれ別々に考慮した適切なノイズ抑制処理を行った撮像信号に基づいた被検物内の被写体の画像の表示部312への表示や、記録部311への記録を行うことができる。
このように、内視鏡装置1における第1のノイズ抑制強度決定タイミングでは、それぞれの構成要素に対して初期設定を行う起動処理を実行しているタイミングでビットエラーレートの検知処理を行い、ノイズ抑制強度を設定する処理を行う。つまり、内視鏡装置1における第1のノイズ抑制強度決定タイミングでは、光伝送によって撮像信号の伝送を行っていない内視鏡装置1における起動処理の一部として、ノイズ抑制強度を決定して設定する処理を行う。これにより、内視鏡装置1では、通常の撮影動作において光伝送する撮像信号に影響を及ぼすことなくビットエラーレートを検知し、通常の撮影動作の初期段階から、光信号伝送路53に進入する外来ノイズに適したノイズ抑制強度でノイズ抑制処理を行うことができる。
なお、内視鏡装置1では、起動した後、つまり、起動処理を完了した後に、被検物内の被写体を撮像する通常の撮影動作を行っているときにも、光信号伝送路53に進入する外来ノイズが変化することも考えられる。つまり、通常の撮影動作の途中でも、光信号伝送路53に進入する外来ノイズの変化によって、撮像信号の光伝送におけるビットエラーレートが変化することも考えられる。このため、内視鏡装置1では、通常の撮影動作の途中でも、ビットエラーレート検知処理部320がビットエラーレートを検知し、ビットエラーレートの情報を更新することができる構成であることが望ましい。内視鏡装置1では、光信号伝送路53を介して撮像信号を光伝送していない期間中であれば、いかなるタイミングにおいても、撮像信号の光伝送におけるビットエラーレートを検知することができる。
<第2のノイズ抑制強度決定タイミング>
次に、内視鏡装置1において、通常の撮影動作の途中にビットエラーレートを検知し、ノイズ抑制処理を行うノイズ抑制強度を決定するタイミングについて説明する。図5は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1における撮像動作のタイミングを模式的に示した図である。図5には、先端部4内のイメージセンサ42において被検物内の被写体の1枚(フレーム)の画像を撮像する画素アレイ部421の動作と、イメージセンサ42における垂直同期信号との関係を模式的に示している。
内視鏡装置1では、先端部4に備えたイメージセンサ42が、それぞれのフレーム期間において撮像した1枚の画像に対応する撮像信号を本体部3に順次伝送して、表示用の画像(動画像)を表示部312に順次表示させる。それぞれのフレーム期間では、それぞれの画素が被写体の反射光を露光する動作と、それぞれの画素から画素信号を読み出す動作とを、画素アレイ部421において2次元の行列状に配置されたそれぞれの画素の行ごとに順次行って、1枚の画像を撮像する。例えば、図5に示したように、画素アレイ部421における最下部の画素行から、最上部の画素行に向かって順次、画素の露光動作と画素信号の読み出し動作とを行うことによって、1枚の画像を撮像する。なお、図5に示した画素信号の読み出し動作の期間は、撮像信号生成部424が、それぞれの画素から画素信号を読み出して、予め定めた処理を施した後の撮像信号を光伝送によって本体部3に伝送する期間でもある。ここで、それぞれのフレーム期間には、図5に示したように、1枚の画像の撮像が終了したとき(図5においては、最上部の画素行における画素信号の読み出し動作が終了したとき)から、次の画像の撮像の開始、つまり、次のフレーム期間の開始まで(図5においては、最下部の画素行における画素の露光動作を開始するまで)の間に、予め定めたブランキング期間、いわゆる、垂直ブランキング期間が含まれている。この垂直ブランキング期間は、図5に示したように、垂直同期信号によって表される。
内視鏡装置1では、垂直ブランキング期間中に、先端部4から本体部3に擬似ランダムパターンを伝送することによって、通常の撮影動作の途中にビットエラーレートを検知する。より具体的には、マルチメディアプロセッサー33が、高速差動信号入力部37が分離した垂直同期信号に基づいて垂直ブランキング期間を判定し、垂直ブランキング期間になったときに、光信号伝送路53の検証動作を開始することを表す指示とその設定値とを、イメージセンサ設定制御部34に出力する。これにより、イメージセンサ設定制御部34からイメージセンサ設定入出力部423に、マルチメディアプロセッサー33から検証動作の指示と設定値とがイメージセンサ42に備えたイメージセンサ設定入出力部423に送信され、PRBS生成部427が生成した擬似ランダムパターンが変換された高速差動信号シリアル通信のシリアル信号が、光信号伝送路53を介して本体部3に伝送される。そして、ビットエラーレート検知処理部320が、伝送された擬似ランダムパターンに基づいてビットエラーレートを検知し、ノイズリダクション処理部39が、ビットエラーレート検知処理部320が検知したビットエラーレートの情報に基づいてノイズ抑制強度を決定して設定(更新)する。これにより、ノイズリダクション処理部39は、次のフレーム期間において撮像した画像から、更新したノイズ抑制強度でノイズ抑制処理が行える状態になる。
なお、通常の撮影動作の途中にビットエラーレートを検知する場合のそれぞれの構成要素の動作は、図4に示した内視鏡装置1の起動処理におけるステップS30およびステップS40におけるそれぞれの構成要素の動作と同様に考えることができる。従って、通常の撮影動作の途中にビットエラーレートを検知する場合におけるそれぞれの構成要素の動作に関する詳細な説明は省略する。
なお、マルチメディアプロセッサー33は、垂直ブランキング期間が終了する前に、光信号伝送路53の検証動作を終了することを表す指示を、それぞれの構成要素に出力する。これは、垂直ブランキング期間が終了するまでに、それぞれの構成要素の動作を、通常の撮影動作における撮像信号を光伝送する動作に戻すためである。
このように、内視鏡装置1における第2のノイズ抑制強度決定タイミングでは、光伝送によって撮像信号の伝送を行っていない垂直ブランキング期間中に擬似ランダムパターンを伝送することによって、内視鏡装置1における通常の撮影動作の途中において、ビットエラーレートを検知する。つまり、内視鏡装置1における第2のノイズ抑制強度決定タイミングでは、内視鏡装置1が通常の撮影動作において光伝送する撮像信号に影響を及ぼすことなく、ビットエラーレートを逐次検知する。これにより、内視鏡装置1では、通常の撮影動作を行っているときに変化することが考えられる光信号伝送路53に進入する外来ノイズに適したノイズ抑制強度で、伝送されてきたそれぞれの撮像信号に対してノイズ抑制処理を行うことができる。つまり、内視鏡装置1では、逐次変化する外来ノイズに追従したノイズ抑制強度でノイズ抑制処理を行うことができる。
なお、第2のノイズ抑制強度決定タイミングでは、それぞれのフレーム期間に含まれる垂直ブランキング期間中に擬似ランダムパターンを伝送することによって、ビットエラーレートを検知する動作について説明した。ところで、ビットエラーレートは、ある程度の時間をかけて検知する方が、検知に用いる擬似ランダムパターンの母数が増えることになるため、より精度を向上させることができると考えられる。このため、第2のノイズ抑制強度決定タイミングでは、ビットエラーレートの精度を向上させるために擬似ランダムパターンの母数を増やすには、複数フレーム分の時間を要すると考えられる。そこで、より短い時間で擬似ランダムパターンの母数を増やしてビットエラーレートの精度を向上させる方法として、予め定めた複数フレームごとに、1つのフレーム期間の全ての時間を、擬似ランダムパターンを伝送する時間として使用する、つまり、予め定めた複数フレーム間隔ごとに、擬似ランダムパターンのみを伝送する期間を設ける方法を採用してもよい。この方法によれば、第2のノイズ抑制強度決定タイミングにおいて複数フレーム分の時間を要していた多くの擬似ランダムパターンの伝送を、1つのフレーム期間で終了させることもできる。ただし、この方法は、擬似ランダムパターンのみを伝送するフレーム期間において、被検物内の被写体を撮像した画像の撮像信号を光伝送することができない。しかし、擬似ランダムパターンのみを伝送するフレーム期間に対応する表示用の画像として、例えば、マルチメディアプロセッサー33が、直前の1つのフレーム期間に対応する表示用の画像や、以前の複数のフレーム期間のそれぞれに対応する複数の表示用の画像に基づいて生成した表示用の補間画像を表示部312に表示させたりすることによって、内視鏡装置1の使用者に違和感を与えることはなくなる。むしろ、予め定めた複数フレーム間隔ごとに擬似ランダムパターンのみを伝送する期間を設ける方法によってより短い時間で擬似ランダムパターンの母数を増やしてビットエラーレートの精度を向上させた状態でノイズ抑制強度を決定し、伝送されてきた他のフレーム期間の撮像信号に対して適切なノイズ抑制処理を行うことができることの方が、より有効であると考えられる。
第1の実施形態によれば、被検物内に挿入される先端部(先端部4)に具備した撮像素子(イメージセンサ42)が撮影した被写体の画像に応じた撮像信号を含むデジタル信号を、撮像信号に対して画像処理を施す画像処理部(マルチメディアプロセッサー33)を具備した本体部(本体部3)に、先端部4を被検物内に導く軟性部(軟性部5)に具備した信号伝送路(光信号伝送路53)によって伝送する内視鏡装置(内視鏡装置1)であって、光信号伝送路53によって伝送されたデジタル信号に基づいて、このデジタル信号を伝送する際のデータ誤り率(ビットエラーレート)を検知するデータ誤り率検知手段と、ビットエラーレートに基づいてノイズ抑制処理を施す際のノイズ抑制強度を決定し、決定したノイズ抑制強度で、画像処理を施す前の撮像信号に対してノイズ抑制処理を施すノイズ抑制処理部(ノイズリダクション処理部39)と、を備える内視鏡装置(内視鏡装置1)が構成される。
また、第1の実施形態によれば、データ誤り率検知手段は、先端部4に具備され、擬似ランダムパターンを生成する擬似ランダムパターン生成部(PRBS生成部427)と、本体部3に具備され、デジタル信号に含めて伝送された擬似ランダムパターンにおけるそれぞれのビットのデータの正誤を判定した結果に基づいて、ビットエラーレートを検知するデータ誤り率検知処理部(ビットエラーレート検知処理部320)と、によって構成される内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、PRBS生成部427は、イメージセンサ42に備えられる内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、デジタル信号は、撮像信号が含まれていない期間に、擬似ランダムパターンが含まれている内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、ビットエラーレート検知処理部320は、内視鏡装置1を起動する起動処理の期間中に伝送されたデジタル信号に含まれる擬似ランダムパターンに基づいてビットエラーレートを検知する内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、ビットエラーレート検知処理部320は、イメージセンサ42が撮影した被写体の第1の画像(1枚の画像)に応じた撮像信号を伝送する期間と、第1の画像の後にイメージセンサ42が撮影した被写体の第2の画像(次の画像)に応じた撮像信号を伝送する期間との間のブランキング期間(垂直ブランキング期間)中に伝送されたデジタル信号に含まれる擬似ランダムパターンに基づいてビットエラーレートを検知する内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、ノイズリダクション処理部39は、画像の明るさを表す情報と、ビットエラーレートとに基づいてノイズ抑制強度を決定するノイズ抑制強度決定部(ノイズリダクション強度決定部391)と、ノイズリダクション強度決定部391が決定したノイズ抑制強度で、撮像信号に対するノイズ抑制処理を施すノイズ抑制演算部(ノイズリダクション演算部392)と、を備える内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、画像の明るさを表す情報は、画像の明るさを調整するために用いる設定値(AGC処理のゲイン値)であり、ノイズリダクション強度決定部391は、AGC処理のゲイン値の大きさと、ビットエラーレートの大きさとの組み合わせによって予め定めたテーブル情報(例えば、ノイズ抑制強度マトリックス)に基づいてノイズ抑制強度を決定する内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、光信号伝送路53は、光信号を伝送する光信号伝送路であり、デジタル信号は、光信号に変換されて、光信号伝送路53によって伝送(光伝送)され、ビットエラーレート検知処理部320およびノイズリダクション処理部39は、光信号に応じた電気信号に変換されたデジタル信号に対してそれぞれの処理を行う内視鏡装置1が構成される。
上記に述べたように、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、先端部4に、擬似ランダムパターンを生成し、撮像信号の伝送を行っていない期間に生成した擬似ランダムパターンを伝送するPRBS生成部427を備え、本体部3に、擬似ランダムパターンに基づいて光信号伝送路53に進入した外来ノイズの影響によって発生するビットエラーレートを検知するビットエラーレート検知処理部320を備える。また、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、本体部3に、撮像した画像の明るさに起因するノイズ成分の量を表すAGC処理のゲイン値と、ビットエラーレート検知処理部320が検知したビットエラーレートとに基づいてノイズ抑制の強さを決定し、決定したノイズ抑制の強さでノイズ抑制処理を行うノイズリダクション処理部39を備える。これにより、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、通常の撮影動作を行っているときにイメージセンサ42が撮像した画像の明るさに起因するノイズ成分の量と、撮像信号を光伝送しているときに光信号伝送路53に進入した外来ノイズ成分の量とのそれぞれのノイズ成分の量を含めて考慮して決定した適切なノイズ抑制の強さで、光伝送されてきた撮像信号に対して適切なノイズ抑制処理を行うことができる。
なお、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、撮像信号の伝送を行っていない期間に伝送した擬似ランダムパターンを利用して、光信号伝送路53に進入した外来ノイズの影響によって発生するビットエラーレートを検知し、検知したビットエラーレートを含めてノイズ抑制の強さを決定する構成を示した。しかし、光信号伝送路53に進入した外来ノイズの影響によって発生するビットエラーレートを検知する構成は、擬似ランダムパターンを利用する構成に限定されるものではない。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置について説明する。なお、第2の実施形態の内視鏡装置も、工業用の内視鏡装置である場合について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態における内視鏡装置の概略構成の一例を示したブロック図である。図6において、内視鏡装置10は、細長い挿入部2と、本体部3とを備えている。挿入部2は、撮像素子を備えた先端部4と、先端部4を被検物内に導くコードである軟性部5とを含んで構成される。
図6に示した内視鏡装置10は、図1に示した第1の実施形態の内視鏡装置1における擬似ランダムパターンを利用した方法とは異なる方法でビットエラーレートを検知する構成の内視鏡装置である。このため、第2の実施形態における内視鏡装置10では、第1の実施形態の内視鏡装置1の先端部4に備えたイメージセンサ42が、イメージセンサ142に代わっている。これに伴って、第2の実施形態における内視鏡装置10では、第1の実施形態の内視鏡装置1において本体部3に備えていた高速差動信号入力部37が高速差動信号入力部337に代わり、ビットエラーレート検知処理部320が10b/8b変換部330に代わっている。
なお、第2の実施形態における内視鏡装置10に備えたその他の構成要素は、第1の実施形態の内視鏡装置1に備えた構成要素と同じ構成要素である。従って、以下の説明においては、第2の実施形態における内視鏡装置10の構成要素において、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様の構成要素には、同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。そして、以下の説明においては、第1の実施形態の内視鏡装置1と異なる構成要素および異なる動作や処理についてのみを説明する。
内視鏡装置10でも、先端部4内に備えたイメージセンサ142が撮像して得た撮像信号を、軟性部5を介して本体部3に伝送し、先端部4から伝送された撮像信号を本体部3に備えたマルチメディアプロセッサー33で処理して生成した映像(画像)を表示する。また、内視鏡装置10でも、本体部3に備えたマルチメディアプロセッサー33が生成した映像(画像)を記録する。
先端部4は、撮像素子としてのイメージセンサ142と、レンズ41と、水晶発振器43と、VCSELドライバー回路44と、VCSEL発光素子45とを備えている。本体部3は、バッテリー31と、電源出力部32と、マルチメディアプロセッサー33と、イメージセンサ設定制御部34と、受光素子35と、アンプ回路36と、高速差動信号入力部337と、10b/8b変換部330と、AE処理部38と、ノイズリダクション処理部39と、画像メモリ310と、記録部311と、表示部312とを備えている。
ここで、内視鏡装置10に備えたそれぞれの構成要素について詳細に説明する。まず、先端部4に備えたそれぞれの構成要素において、第1の実施形態の内視鏡装置1の先端部4に備えたそれぞれの構成要素と異なる構成要素および異なる動作や処理について詳細に説明する。
イメージセンサ142は、第1の実施形態の内視鏡装置1の先端部4に備えたイメージセンサ42と同様に、水晶発振器43が発振するクロック信号に基づいて動作するCMOSイメージセンサである。イメージセンサ142は、画素アレイ部421と、電源入力部422と、イメージセンサ設定入出力部423と、撮像信号生成部424と、高速差動信号出力部1425と、8b/10b変換部1428とを備えている。イメージセンサ142では、第1の実施形態の内視鏡装置1の先端部4内のイメージセンサ42に備えたセレクタ426およびPRBS生成部427が8b/10b変換部1428に代わり、高速差動信号出力部425が高速差動信号出力部1425に代わっている。なお、イメージセンサ142に備えたその他の構成要素は、第1の実施形態の内視鏡装置1の先端部4に備えたイメージセンサ42に備えた構成要素と同じ構成要素である。
撮像信号生成部424は、イメージセンサ設定入出力部423からの制御に応じて、画素アレイ部421に配置されたそれぞれの画素から画素信号を読み出し、読み出したそれぞれの画素信号に対して予め定めた処理を施したデジタルの撮像信号(例えば、RAW信号)を8b/10b変換部1428に出力する。なお、撮像信号は、パラレルのデジタルデータである。
8b/10b変換部1428は、撮像信号生成部424から出力された撮像信号(パラレルのデジタルデータ)をシンボルコードに変換(デコード)する。このとき、8b/10b変換部1428は、撮像信号生成部424から出力された撮像信号をシンボルコードに変換する際に、一般的に、「8b/10b」といわれる変換処理(以下、「8b/10b変換処理」という)の技術を利用して、8ビット(=1バイト)ごとに、2ビットのデータを付加した10ビットのシンボルコードに変換する。8b/10b変換部1428は、8b/10b変換処理によって変換した10ビットのシンボルコードを、高速差動信号出力部1425に出力する。
ここで、8b/10b変換処理とは、伝送するデータに対応したクロック信号を重畳してデータ伝送を行うことを目的としたデータ変換処理の技術であり、変換したシンボルコードにおいて同じ状態(値)を表すビットのデータが、連続して予め定めたビット数以上とならないように、予め定めた変換テーブルを用いてデータ変換する技術である。このデータ変換に利用する変換テーブルには、+コードと−コードとの2種類のコードが用意されているため、変換された10ビットのシンボルコードのそれぞれにも、+コードと−コードとの2種類のコードが存在する。なお、変換したシンボルコードを伝送する際には、+コードと−コードとを順次切り替えながら伝送する、一般的に、「ランニングディスパリティ機能」といわれるデータ伝送の機能が適用される。このランニングディスパリティ機能によるデータ伝送は、それぞれのシンボルコードを受信したときに、直前で受信したシンボルコードと今回受信したシンボルコードを比較することによって、今回受信したシンボルコードのいずれかのビットのデータに誤り(エラー)が発生しているか否かを検知することができるという性質をもっている。つまり、ランニングディスパリティ機能の性質を利用することによって、シンボルコードの処理におけるワード単位で、データ伝送のデータ誤り率を検知することができる。言い換えれば、信号伝送路に進入したノイズ成分の量を検知(推定)することができる。つまり、データ誤り率を、信号伝送路に進入したノイズ成分の量を表す値として扱うことができる。そこで、8b/10b変換部1428は、ランニングディスパリティ機能を適用してデータ伝送を行うのと同様にして変換した10ビットのシンボルコードを、高速差動信号出力部1425に出力する。
なお、内視鏡装置10においては、少なくとも、8b/10b変換部1428と、本体部3に備えた後述する10b/8b変換部330との構成によって、光信号によって伝送するデジタルデータにおけるデータ誤り率を検知するデータ誤り率検知手段を構成する。
高速差動信号出力部1425は、8b/10b変換部1428から出力された10ビットのシンボルコードを、高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号に変換する。このとき、高速差動信号出力部1425も、第1の実施形態の内視鏡装置1の先端部4内のイメージセンサ42に備えた高速差動信号出力部425と同様に、撮像信号生成部424から出力された撮像信号に対応するクロック信号および同期信号(水平同期信号や垂直同期信号)を重畳する(埋め込む)。高速差動信号出力部425は、高速差動信号シリアル通信の形式に変換したシリアル信号を、イメージセンサ142の出力信号としてVCSELドライバー回路44に出力する。つまり、イメージセンサ142は、撮像した被検物内の被写体の画像に対応する撮像信号を10ビットのシンボルコードに変換して、高速差動信号シリアル通信によって出力するCMOSイメージセンサである。
続いて、本体部3に備えたそれぞれの構成要素において、第1の実施形態の内視鏡装置1の本体部3に備えたそれぞれの構成要素と異なる構成要素および異なる動作や処理について詳細に説明する。
高速差動信号入力部337は、第1の実施形態の内視鏡装置1の本体部3に備えた高速差動信号入力部37と同様に、アンプ回路36から出力された高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号から、先端部4内のイメージセンサ142に備えた高速差動信号出力部1425がシリアル信号に重畳した(埋め込んだ)クロック信号や同期信号を分離する。つまり、高速差動信号入力部337は、イメージセンサ142に備えた撮像信号生成部424が出力した撮像信号に対応するクロック信号および同期信号(水平同期信号や垂直同期信号)を分離する。そして、高速差動信号入力部337は、第1の実施形態の高速差動信号入力部37と同様に、分離したクロック信号および同期信号(水平同期信号や垂直同期信号)を、本体部3に備えた、対応するそれぞれの構成要素に出力する。
また、高速差動信号入力部337は、クロック信号や同期信号を分離した高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号を、先端部4内のイメージセンサ142に備えた8b/10b変換部1428が出力した10ビットのシンボルコードに変換する。そして、高速差動信号入力部337は、変換した10ビットのシンボルコードを10b/8b変換部330に出力する。
10b/8b変換部330は、高速差動信号入力部337から出力された10ビットのシンボルコードをパラレルのデジタルデータに変換(エンコード)する。つまり、10b/8b変換部330は、先端部4内のイメージセンサ142に備えた8b/10b変換部1428が10ビットのシンボルコードに変換した、撮像信号生成部424が出力した撮像信号(パラレルのデジタルデータ)を復元する。このとき、10b/8b変換部330は、高速差動信号入力部337から出力された10ビットのシンボルコードを、先端部4内のイメージセンサ142に備えた8b/10b変換部1428と逆の変換処理(以下、「10b/8b変換処理」という)によって、付加された2ビットのデータを削除した8ビット(=1バイト)ごとのパラレルのデジタルデータに変換する。10b/8b変換部330は、10b/8b変換処理によって変換したパラレルのデジタルデータを、先端部4内のイメージセンサ142に備えた撮像信号生成部424が出力した撮像信号(デジタル信号)の形式と同じ形式にしてAE処理部38に出力する。
また、10b/8b変換部330は、高速差動信号入力部337から出力された10ビットのシンボルコードを8ビット(=1バイト)ごとのパラレルのデジタルデータを変換する際に、ランニングディスパリティ機能によって、シンボルコードのいずれかのビットのデータに誤り(エラー)が発生しているか否か、つまり、シンボルコードに含まれるデータの正誤を判定する。そして、10b/8b変換部330は、判定したデータの正誤の結果に基づいて、光信号伝送路53に進入した外来ノイズの影響によって発生する撮像信号の光伝送におけるデータ誤り率を検知する。なお、10b/8b変換部330が検知するデータ誤り率は、上述したように、第1の実施形態の内視鏡装置1の本体部3に備えたビットエラーレート検知処理部320が検知するビットエラーレートとは異なり、シンボルコードの処理におけるワード単位でのデータ誤り率である。以下の説明においては、10b/8b変換部330が検知するデータ誤り率を、「ワードエラーレート」という。なお、10b/8b変換部330の構成に関する詳細な説明は、後述する。
10b/8b変換部330は、検知したワードエラーレートの情報を、ノイズリダクション処理部39に出力する。ノイズリダクション処理部39に出力されたワードエラーレートの情報は、第1の実施形態の内視鏡装置1の本体部3に備えたビットエラーレート検知処理部320が検知するビットエラーレートの情報と同様に、ノイズリダクション処理部39がノイズ抑制処理を行う際に用いられる。
また、10b/8b変換部330は、ワードエラーレートの情報を、イメージセンサ設定制御部34にも出力する。これにより、イメージセンサ設定制御部34に出力されたワードエラーレートの情報は、第1の実施形態の内視鏡装置1の本体部3に備えたビットエラーレート検知処理部320が検知するビットエラーレートの情報と同様に、マルチメディアプロセッサー33による制御に応じて、先端部4内のイメージセンサ142に備えたイメージセンサ設定入出力部423に送信される。そして、先端部4内のイメージセンサ142に備えたイメージセンサ設定入出力部423に送信されたワードエラーレートの情報は、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、イメージセンサ142によって、例えば、VCSELドライバー回路44が生成して出力するドライブ信号の出力レベル(電流値)の制御、つまり、VCSEL発光素子45が発光して光信号伝送路53に出射するレーザー光の光量の制御などに利用される。
ノイズリダクション処理部39は、ノイズ抑制処理を行う際のノイズ抑制の強さを、AE処理部38から入力されたAGC処理のゲイン値と、10b/8b変換部330から入力されたワードエラーレートの情報とのそれぞれの大きさの組み合わせによって予め定めたノイズ抑制強度マトリックスに基づいて決定する。そして、ノイズリダクション処理部39は、AE処理部38から出力(転送)された撮像信号、つまり、10b/8b変換部330から出力された撮像信号に対して、決定したノイズ抑制の強さでのノイズ抑制処理を行う。ノイズリダクション処理部39は、ノイズ抑制処理をした後の撮像信号を、マルチメディアプロセッサー33に出力する。
このような構成によって内視鏡装置10では、撮像信号を10ビットのシンボルコードに変換し、さらに高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号に変換して伝送する。そして、内視鏡装置10では、10ビットのシンボルコードを撮像信号に変換する際のランニングディスパリティ機能によって、シンボルコードの処理におけるワード単位でのデータ誤り率であるワードエラーレートを検知し、検知したワードエラーレートを、撮像信号の光伝送の際に光信号伝送路53に進入した外来ノイズの影響によって発生する伝送エラーであるとする。そして、内視鏡装置10では、検知したワードエラーレートに基づいてノイズ抑制処理を行う際のノイズ抑制の強さを決定して、撮像信号に対してノイズ抑制処理を行う。これにより、内視鏡装置10でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、撮像信号のタイミングの先端部4と本体部3との間での同期化や、先端部4または本体部3内に検証用の膨大なパターンデータを記憶しておく構成にすることなく、イメージセンサ142が撮像した画像の明るさに起因するノイズ成分の量と、光信号伝送路53に進入する外来ノイズ成分の量とのそれぞれのノイズを含めて考慮した適切なノイズ抑制処理を行うことができる。つまり、内視鏡装置10でも、ノイズ抑制の強さを必要以上に強くすることなくノイズ抑制処理を行うことができる。
なお、図6に示した内視鏡装置10では、8b/10b変換部1428が、イメージセンサ142に備えられている構成を示した。しかし、8b/10b変換部1428は、必ずしもイメージセンサ142の内部に備えられている必要はなく、イメージセンサ142の外部に備えられる構成であってもよい。この場合、8b/10b変換部1428と共に、高速差動信号出力部1425も、イメージセンサ142の外部に備えられる構成要素となる。そして、イメージセンサ142は、撮像信号生成部424が生成した撮像信号(デジタル信号)を出力信号として出力する構成となる。
次に、10b/8b変換部330の構成について詳細に説明する。図7は、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置10に備えた10b/8b変換部330の概略構成の一例を示したブロック図である。10b/8b変換部330は、処理タイミング生成部331と、10b/8bエンコード部332と、総ワードカウント部333と、ワードエラーレート計算部334とを備えている。
処理タイミング生成部331は、マルチメディアプロセッサー33から出力された起動の指示に応じて、高速差動信号入力部337から出力された10ビットのシンボルコードに基づいてワードエラーレートを検知する処理を開始することを表す処理タイミング信号を生成する。処理タイミング生成部331は、生成した処理タイミング信号を、10b/8b変換部330に備えたそれぞれの構成要素に出力する。10b/8b変換部330に備えたそれぞれの構成要素は、処理タイミング信号の最初のタイミングで、まず、初期化が行われる。
10b/8bエンコード部332は、処理タイミング生成部331から出力された処理タイミング信号に応じて、高速差動信号入力部337から出力されたシンボルコードをエンコードしてパラレルのデジタルデータに変換する。より具体的には、10b/8bエンコード部332は、処理タイミング生成部331から出力された処理タイミング信号の最初のタイミングでの初期化が解除されると、先端部4内のイメージセンサ142に備えた8b/10b変換部1428と逆の予め定めた変換テーブルを用いて、10ビットのシンボルコードに付加された2ビットのデータを削除し、8ビット(=1バイト)ごとのパラレルのデジタルデータに変換する。10b/8bエンコード部332は、変換した8ビット(=1バイト)ごとのパラレルのデジタルデータ(以下、「バイトデータ」という)を、総ワードカウント部333に出力する。また、10b/8bエンコード部332は、変換したバイトデータを、先端部4内のイメージセンサ142に備えた撮像信号生成部424が出力した撮像信号(デジタル信号)の形式と同じ形式にして、10b/8b変換部330の外部に接続されたAE処理部38に出力する。
また、10b/8bエンコード部332は、予め定めた変換テーブルを用いてバイトデータに変換する際に、10ビットのシンボルコードに適用されたランニングディスパリティ機能おける+コードと−コードとの2種類のコードへの切り替えを取り消す(キャンセルする)と共に、10ビットのシンボルコードのいずれかのビットのデータにおける誤り(エラー)を検知する。そして、10b/8bエンコード部332は、10ビットのシンボルコードのいずれかのビットのデータに誤り(エラー)を検知した場合、エラーを含むシンボルコードであること表す検知信号(以下、「パリティエラー信号」という)を、ワードエラーレート計算部334に出力する。
なお、10ビットのシンボルコードには、上述したように、クロック信号が重畳されている。従って、10b/8bエンコード部332は、10ビットのシンボルコードから抽出したクロック信号のタイミングで、10ビットのシンボルコードをバイトデータに変換する処理を行う。また、10b/8bエンコード部332は、抽出したクロック信号を、10b/8b変換部330に備えたそれぞれの構成要素に出力する。これにより、10b/8b変換部330に備えたそれぞれの構成要素は、10ビットのシンボルコードに重畳されたクロック信号に同期して動作する。
なお、10b/8bエンコード部332は、処理タイミング生成部331から出力された処理タイミング信号の最初のタイミングでの初期化が解除された後のタイミングから、エラーを含むシンボルコードを計数(カウント)し、カウントしたシンボルコードの数(エラーワード数)を表す情報を、パリティエラー信号としてワードエラーレート計算部334に出力してもよい。この場合、10b/8bエンコード部332は、予め定めた時間の間隔ごとのエラーワード数を表す情報を、パリティエラー信号としてワードエラーレート計算部334に出力してもよい。以下の説明においては、10b/8bエンコード部332が、予め定めた時間の間隔ごとにカウントしたエラーワード数を表す情報を、パリティエラー信号としてワードエラーレート計算部334に出力する構成であるものとして説明する。
総ワードカウント部333は、10b/8bエンコード部332から出力されたバイトデータの数を、総ワード数として計数(カウント)する。総ワードカウント部333は、カウントした総ワード数を表す情報を、ワードエラーレート計算部334に出力する。
なお、総ワードカウント部333は、10b/8bエンコード部332が、エラーワード数をカウントしている予め定めた時間の間隔と同じ時間の間隔ごとに総ワード数をカウントし、10b/8bエンコード部332と同じ時間の間隔ごとに、カウントした総ワード数を表す情報を、ワードエラーレート計算部334に出力する。このため、10b/8bエンコード部332は、カウントする予め定めた時間の間隔を表すカウント期間信号を、総ワードカウント部333およびワードエラーレート計算部334に出力する構成であることが望ましい。
ワードエラーレート計算部334は、10b/8bエンコード部332から出力されたエラーワード数を表す情報と、総ワードカウント部333から出力された総ワード数を表す情報とに基づいて、予め定めた時間の間隔ごとに、ワードエラーレートを算出する。例えば、エラーワード数を「Ew」、総ワード数を「Tw」とし、ワードエラーレートを「Rw」とした場合、ワードエラーレート計算部334は、ワードエラーレートRwを、下式(2)によって算出する。
Rw = (Ew/Tw)×100 ・・・(2)
ワードエラーレート計算部334は、算出したワードエラーレートを、検知したワードエラーレートの情報として、10b/8b変換部330の外部に接続されたノイズリダクション処理部39およびイメージセンサ設定制御部34に出力する。
このような構成によって10b/8b変換部330では、高速差動信号入力部337から出力された10ビットのシンボルコードを、先端部4内のイメージセンサ142に備えた撮像信号生成部424が出力した撮像信号(デジタル信号)の形式と同じ形式にしてAE処理部38に出力すると共に、10ビットのシンボルコードの処理におけるワード単位でワードエラーレートを算出(検知)する。言い換えれば、10b/8b変換部330も、単位は異なるものの、第1の実施形態の内視鏡装置1の本体部3に備えたビットエラーレート検知処理部320と同様に、撮像信号の光伝送の際に光信号伝送路53に進入した外来ノイズの影響によって撮像信号に発生する伝送エラーを検知し、光信号伝送路53に進入した外来ノイズ成分の量を検知(推定)する。これにより、内視鏡装置10でも、10b/8b変換部330が検知したワードエラーレートに基づいてノイズ抑制処理を行う際のノイズ抑制の強さを決定し、決定したノイズ抑制の強さで、撮像信号に対してノイズ抑制処理を行うことができる。
なお、内視鏡装置10におけるノイズ抑制処理の概念は、第1の実施形態の内視鏡装置1におけるノイズ抑制処理の概念と同様である。従って、内視鏡装置10におけるノイズ抑制処理の概念に関する詳細な説明は省略する。
また、内視鏡装置10においては、ワードエラーレートを検知するために利用するデータは、光信号伝送路53を介して先端部4から本体部3に光伝送する撮像信号に組み込まれたデータである。このため、内視鏡装置10では、常時、ワードエラーレートを検知することができる。つまり、内視鏡装置10においては、ワードエラーレートを検知するために利用するデータを、第1の実施形態の内視鏡装置1において利用する擬似ランダムパターンのように、光信号伝送路53を介して撮像信号を光伝送していない期間中に伝送する必要がない。このため、内視鏡装置10では、第1の実施形態の内視鏡装置1におけるノイズ抑制強度決定タイミングのように、特別なノイズ抑制強度決定タイミングはない。従って、内視鏡装置10におけるノイズ抑制強度決定タイミングに関する詳細な説明は省略する。
第2の実施形態によれば、被検物内に挿入される先端部(先端部4)に具備した撮像素子(イメージセンサ142)が撮影した被写体の画像に応じた撮像信号を含むデジタル信号を、撮像信号に対して画像処理を施す画像処理部(マルチメディアプロセッサー33)を具備した本体部(本体部3)に、先端部4を被検物内に導く軟性部(軟性部5)に具備した信号伝送路(光信号伝送路53)によって伝送する内視鏡装置(内視鏡装置10)であって、光信号伝送路53によって伝送されたデジタル信号に基づいて、このデジタル信号を伝送する際のデータ誤り率(ワードエラーレート)を検知するデータ誤り率検知手段と、ワードエラーレートに基づいてノイズ抑制処理を施す際のノイズ抑制強度を決定し、決定したノイズ抑制強度で、画像処理を施す前の撮像信号に対してノイズ抑制処理を施すノイズ抑制処理部(ノイズリダクション処理部39)と、を備える内視鏡装置(内視鏡装置10)が構成される。
また、第2の実施形態によれば、データ誤り率検知手段は、先端部4に具備され、撮像信号を、ランニングディスパリティ機能が適用されたシンボルコード(例えば、10ビットのシンボルコード)に変換するシンボルコード変換部(8b/10b変換部1428)と、本体部3に具備され、デジタル信号に含まれる撮像信号として伝送されたシンボルコードを、撮像信号に復元すると共に、シンボルコードに適用されたランニングディスパリティ機能を利用してシンボルコードのデータの誤りを検知した結果に基づいて、データ誤り率を検知するデータ誤り率検知処理部(10b/8b変換部330)と、によって構成される内視鏡装置10が構成される。
また、第2の実施形態によれば、8b/10b変換部1428は、イメージセンサ142に備えられる内視鏡装置10が構成される。
上記に述べたように、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置10では、先端部4に、撮像信号をシンボルコードに変換する8b/10b変換部1428を備え、本体部3に、シンボルコードから撮像信号に変換すると共に、シンボルコードに基づいて光信号伝送路53に進入した外来ノイズの影響によって発生するワードエラーレートを検知する10b/8b変換部330を備える。また、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置10では、本体部3に、撮像した画像の明るさに起因するノイズの量を表すAGC処理のゲイン値と、10b/8b変換部330が検知したワードエラーレートとに基づいてノイズ抑制の強さを決定し、決定したノイズ抑制の強さでノイズ抑制処理を行うノイズリダクション処理部39を備える。これにより、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置10でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、通常の撮影動作を行っているときにイメージセンサ142が撮像した画像の明るさに起因するノイズ成分の量と、撮像信号を光伝送しているときに光信号伝送路53に進入した外来ノイズ成分の量とのそれぞれのノイズ成分の量を含めて考慮して決定した適切なノイズ抑制の強さで、光伝送されてきた撮像信号に対して適切なノイズ抑制処理を行うことができる。
しかも、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置10では、常時、光信号伝送路53に進入した外来ノイズの影響によって発生するワードエラーレートを検知する、つまり、光信号伝送路53に進入する外来ノイズの変化に伴うワードエラーレートの変化を、常に監視することができる。これにより、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置10では、通常の撮影動作を行っているときに逐次変化することが考えられる光信号伝送路53に進入する外来ノイズに適した(追従した)ノイズ抑制の強さで、光伝送されてきたそれぞれの撮像信号に対してノイズ抑制処理を行うことができる。
なお、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置10では、撮像信号を8ビット(=1バイト)ごとに10ビットのシンボルコードに変換する構成を示した。しかし、撮像信号をシンボルコードに変換するデジタルデータの単位は、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置10において説明したデジタルデータの単位に限定されるものではない。
また、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置10では、ワードエラーレートを検知するために利用するデータの構成が、撮像信号をシンボルコードに変換したデータの構成である場合について説明した。しかし、ワードエラーレートを検知するために利用することができるデータの構成としては、その他にも様々なデータの構成の技術があると考えられる。そして、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置10における、伝送するデータに基づいてデータ誤り率を算出(検知)する考え方は、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置10において説明したデータの構成とは異なる様々なデータの構成の技術にも、同様に適用することができる。
なお、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置10では、パラレルのデジタルデータである撮像信号をシンボルコードに変換して伝送する構成を示した。このパラレルのデジタルデータをシンボルコードに変換して伝送するデータ伝送の方法は、一般的なデータ伝送の方法として広く採用されている方法である。従って、従来の内視鏡装置においても、撮像信号のデータを伝送するデータ伝送の方法としてすでに採用されていることも考えられる。つまり、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置10において先端部4内のイメージセンサ142に備えた8b/10b変換部1428と同様の構成要素が、従来の内視鏡装置においてもすでに搭載されていることも考えられる。この場合、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置10における、伝送するデータに基づいてデータ誤り率を算出(検知)する考え方を適用する際に、先端部に別途8b/10b変換部1428と同様の構成要素を搭載する必要はなく、すでに搭載されている構成要素を利用することができる。そして、先端部の回路規模が増大する、つまり、先端部の大きさが大きくなることなく、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置10と同様の効果を得ることができる内視鏡装置を実現することができる。この先端部の大きさが大きくならないということは、内視鏡装置においては、非常に有利なことである。
上記に述べたように、本発明を実施するための形態によれば、内視鏡装置に、光信号によって伝送するデジタルデータにおけるデータ誤り率を検知するデータ誤り率検知手段(第1の実施形態においては、PRBS生成部427およびビットエラーレート検知処理部320、また、第2の実施形態においては、8b/10b変換部1428および10b/8b変換部330)を備える。これにより、本発明を実施するための形態では、データ誤り率検知手段によって検知した誤り率に基づいて、光信号伝送路に進入した外来ノイズ成分の量を検知(推定)する。また、本発明を実施するための形態では、ノイズ抑制処理を行うノイズリダクション処理部を備える。そして、本発明を実施するための形態では、ノイズリダクション処理部が、内視鏡装置に備えた撮像素子が撮像した画像の明るさを表す情報と、データ誤り率検知手段が検知したデータ誤り率とのそれぞれの組み合わせから、ノイズ抑制処理を行う際のノイズ抑制の強さを決定し、決定したノイズ抑制の強さで、内視鏡装置に備えた撮像素子が撮像した画像に対してノイズ抑制処理を行う。これにより、本発明を実施するための形態では、撮像素子が撮像した画像の明るさに起因するノイズ成分の量と、光信号伝送路に進入する外来ノイズ成分の量とのそれぞれのノイズ成分の量を含めて考慮した適切なノイズ抑制の強さを決定することができ、ノイズ抑制の強さを必要以上に強くすることなく、内視鏡装置に備えた撮像素子が撮像した画像に対してノイズ抑制処理を行うことができる。このことにより、本発明を実施するための形態では、内視鏡装置において被検物内の被写体を撮影して表示や記録する画像の画質を、適切な画質にすることができる。
なお、各実施形態においては、撮像信号を高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号に変換し、高速差動信号シリアル通信のシリアル信号を光信号に変換して伝送する構成の内視鏡装置について説明した。しかし、光信号に変換して伝送する撮像信号の形式は、各実施形態において示した高速差動信号シリアル通信の形式のシリアル信号に限定されるものではない。例えば、撮像信号を他のシリアル通信の形式のシリアル信号に変換してから光信号にさらに変換して伝送する構成であってもよい。また、撮像信号をシリアル信号にせず、つまり、撮像信号生成部(第1の実施形態および第2の実施形態においては、撮像信号生成部424)が出力した撮像信号(デジタル信号)のまま光信号に変換して伝送する構成であってもよい。
また、各実施形態においては、撮像信号を光信号に変換して伝送する構成の内視鏡装置について説明した。しかし、本発明の考え方を適用することができる内視鏡装置の構成は、各実施形態において示した光伝送によって撮像信号を伝送する構成の内視鏡装置に限定されるものではない。例えば、撮像信号を電気信号のまま伝送する構成の内視鏡装置であっても同様に本発明の考え方を適用することができ、本発明と同様の効果を得ることができる。
なお、第1の実施形態においては、擬似ランダムパターンを利用してデータ誤り率(ビットエラーレート)を検知する構成の内視鏡装置1を示し、第2の実施形態においては、8b/10bといわれる変換処理の技術に含まれるランニングディスパリティ機能を利用してデータ誤り率(ワードエラーレート)を検知する構成の内視鏡装置10を示した。これらの各実施形態において示したデータ誤り率を検知する方法は、内視鏡装置において排他的に適用される方法でない。従って、各実施形態において示したデータ誤り率を検知する方法を同時に適用した内視鏡装置を構成してもよい。より具体的には、光信号伝送路53による光伝送におけるビットエラーレートを検知するPRBS生成部427、セレクタ426、およびビットエラーレート検知処理部320と、光信号伝送路53による光伝送におけるワードエラーレートを検知する8b/10b変換部1428および10b/8b変換部330との構成を同時に備えた構成の内視鏡装置を構成してもよい。
なお、各実施形態においては、データ誤り率を検知する方法として、擬似ランダムパターンを利用する方法を第1の実施形態に示し、ランニングディスパリティ機能を利用する方法を第2の実施形態において示した。しかし、データ誤り率を検知する方法は、各実施形態において示した方法に限定されるものではない。例えば、一般的な信号伝送において採用されている誤り訂正符号(Error−Correcting Code:ECC)を利用する方法であってもよい。通常、信号伝送においては、送信部内に、符号誤り訂正を行うためのECCをデータに付加するデータ変換部が設けられており、受信部では、付加されたECCによって誤り訂正することができなかったデータ(ワード)を検出することができる。このことを利用し、内視鏡装置を構成する本体部において、誤り訂正することができなかったデータ(ワード)を検出した頻度を、データ誤り率(ワードエラーレート)として検知することができる。なお、例えば、第2の実施形態に示した内視鏡装置10においてECCによるデータ誤り率(ワードエラーレート)の検知を行う場合の構成としては、先端部4に備えたイメージセンサ142内の8b/10b変換部1428の前段に、ECCを付加する符号化を行うデータ変換部を設け、本体部3に備えた10b/8b変換部330の後段に、付加されたECCに基づいて誤り訂正の復号化を行うデータ処理部を設ける構成が考えられる。
また、各実施形態においては、決定したノイズ抑制の強さで行うノイズ抑制処理が、複数フレームの画像を合成することによってノイズ成分をキャンセルするノイズ抑制処理である場合について説明した。つまり、合成するフレーム画像の枚数を変えることによってノイズ抑制の強度を調整するノイズ抑制処理である場合について説明した。このノイズ抑制処理では、ノイズ抑制強度を強くしたい場合に合成するフレーム画像の枚数を多くし、ノイズ抑制強度を弱くしたい場合に合成するフレーム画像の枚数を少なくする。しかし、ノイズ抑制処理の方法は、各実施形態において示した方法に限定されるものではない。例えば、画像に含まれるある画素の値を、周辺に隣接する画素の値に基づいて補正するなど、画像における同一平面内の情報に基づいてフィルター処理を行うノイズ抑制処理であってもよい。このノイズ抑制処理の場合、周辺画素に基づいて計算される補正量をどの程度の割合(ウェイト)で置き換えるかによってノイズ抑制の強度を調整する。このノイズ抑制処理では、ウェイトが大きいほどノイズ抑制強度が強くなる。また、例えば、複数のフレームの画像における同一の座標に位置する画素の値を比較し、前後のフレームの画素の値と比較して明らかに変化が大きい場合に、この画素をノイズの画素であると判定して、前後のフレームの画素の値、もしくは、前後のフレームの画素の値から計算される値(補間値)に置き換えるノイズ抑制処理であってもよい。このノイズ抑制処理の場合、ノイズとして判断する変化量の閾値が低いほど、また、補間値に置き換える割合(ウェイト)が大きいほど、ノイズ抑制強度が強くなる。また、動きのある被写体を撮像した場合に、複数のフレーム画像を用いて平均化などのノイズ抑制処理を行なうと、動きのある被写体のエッジが滲んだ状態になることがある。そのため、被写体の動き量を検知し、その検知した結果に応じてノイズ抑制量を自動的に切り替える処理がある。ノイズ抑制量を自動的に切り替える処理では、動き量が大きいときにノイズ抑制量を小さくする。そして、ノイズ抑制量を自動的に切り替える処理において被写体の動き量を検知する際の動き量判定閾値を調整することによって、ノイズ抑制強度を調整することができる。このように、ノイズを抑制する処理の方法には多数の方法があり、また、そのときのノイズ抑制強度を調整するパラメータも多数ある。本発明において示したノイズ量の検知結果に基づいてノイズ抑制強度を調整する方法は、いかなるノイズ抑制処理に対しても、同様の効果を得ることができる。
なお、各実施形態においては、本発明の内視鏡装置が、工業用の内視鏡装置である場合について説明した。しかし、各実施形態の構成や考え方は、工業用の内視鏡装置への適用に限定されるものではなく、例えば、医療用の内視鏡装置にも同様に適用することもできる。これにより、医療用の内視鏡装置においても、各実施形態において説明した工業用の内視鏡装置と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。