JP2017173336A - センサー基板、検出装置及び電子機器 - Google Patents

センサー基板、検出装置及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】増強電場を形成する部位である金属粒子層とは分離して、標的分子を吸着する吸着層を電場の強い位置に設けることで、検出感度を向上させることができるセンサー基板、検出装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】検出装置は、流体試料中に含まれる標的分子1が吸着される複数の金属ナノ構造18を基板表面10Aに有するセンサー基板10と、センサー基板に光を照射する光源と、標的分子から出射される光を検出する光検出器と、金属ナノ構造に吸着された標的分子を脱離させる脱離部20と、を有する。複数の金属ナノ構造の各々は、基板上に形成される吸着層18Aと、吸着層上に形成される金属粒子層18Bとを有する。吸着層に吸着される標的分子を脱離させるのに必要な第1の脱離活性化エネルギーが、金属粒子層に吸着される標的分子を脱離させるのに必要な第2の脱離活性化エネルギーよりも大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、センサー基板、検出装置及び電子機器等に関する。
近年、低濃度の標的分子を検出する高感度分光技術の1つとして、表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)特に局在表面プラズモン共鳴(LSPR:Localized Surface Plasmon Resonance)を利用した表面増強ラマン散乱(SERS:Surface Enhanced Raman Scattering)分光が注目されている。SERSとは、ナノメートルスケールの凸凹構造に含まれる金属粒子間に増強電場が形成され、その増強電場によりラマン散乱光が例えば102〜1014倍増強される現象である。レーザーなどの単一波長の励起光を標的分子に照射する。励起光の波長から標的分子の分子振動エネルギー分だけ僅かにずれた散乱波長(ラマン散乱光)を分光検出し指紋スペクトルを得る。その指紋スペクトルからごく微量の標的分子を同定することが可能となる。
金属ナノ構造による増強電場でラマン散乱光が増強されるが、標的分子がナノ金属構造をただ通りすぎるだけでは、増強されたラマン散乱光は十分に放射されない。SERS信号として検出されるためには、標的分子が金属ナノ構造の表面で吸着されることが必要となることが分かってきた。
一方、金属ナノ構造に一旦吸着された標的分子を金属ナノ構造から脱離させるには、例えば特許文献1のように解離剤を供給することが知られている。従って、金属粒子層の表面に十分な吸着力で標的分子が吸着されたとしても、次のフレッシュな標的分子を吸着させて検出する前に、過去に吸着された標的分子を脱離させることが可能となっている。
特開2011―107069号公報
金属の中でプラズモン共鳴の効果が大きいとされる金属は、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)などが報告されている。しかし、全ての標的分子がこれらの金属と吸着性に優れている訳ではない。特に、反応性が低く安定な分子は、金属に対して化学吸着されず、物理吸着では十分な吸着が得られない。
本発明の幾つかの態様は、増強電場を形成する部位である金属粒子層とは分離して、標的分子を吸着する吸着層を電場の強い位置に設けることで、検出感度を向上させることができるセンサー基板、検出装置及び電子機器を提供することを目的とする。
(1)本発明の一態様は、
流体試料中に含まれる標的分子を吸着する複数の金属ナノ構造を基板表面に備えたセンサー基板と、
前記センサー基板に光を照射する光源と、
前記標的分子から出射される光を検出する光検出器と、
前記金属ナノ構造に吸着された前記標的分子を脱離させる脱離部と、を有し、
前記複数の金属ナノ構造の各々は、
前記センサー基板上に形成される吸着層と、
前記吸着層上に形成される金属粒子層と、を有し、
前記吸着層に吸着された前記標的分子を脱離させるのに必要な第1の脱離活性化エネルギーが、前記金属粒子層に吸着された前記標的分子を脱離させるのに必要な第2の脱離活性化エネルギーよりも大きい検出装置に関する。
本発明の一態様によれば、光源からの光がセンサー基板に入射されると、局在表面プラズモン共鳴(LSPR)により、金属ナノ構造の隣り合う2つの金属粒子層間に増強電場が形成される。この増強電場は、金属粒子層の表面に近いほど強く、かつ基板表面側に近いほど強い。金属ナノ構造は、基板上に形成される吸着層と、その上に形成される金属粒子層を含む。吸着層は、増強電場が強い位置、つまり、金属粒子層と基板表面との間に配置される。こうすることで、増強電場が強い位置に標的分子が入り込む空間が吸着層により確保される。しかも、金属粒子層が標的分子を吸着する吸着力よりも強い吸着力を有する吸着層を選択することができる。換言すれば、吸着層に吸着される標的分子を脱離させるのに必要な第1の脱離活性化エネルギーが、金属粒子層に吸着される標的分子を脱離させるのに必要な第2の脱離活性化エネルギーよりも大きい。つまり、吸着層に吸着された標的分子は脱離し難く、吸着層が標的分子を吸着する吸着力が高い。それにより、検出感度が向上する。また、電場形成と吸着層を兼ねていた金属粒子層の材料に拘泥されず、吸着層の選択の幅が広がる。金属粒子層に一旦吸着された標的分子は、脱離部からセンサー基板に第1の脱離活性化エネルギー以上のエネルギーを付与することで、金属粒子層から脱離させることができる。
(2)本発明の一態様では、前記脱離部は、前記第1の脱離活性化エネルギー以上のエネルギーを有する熱または光を前記センサー基板に供給することができる。脱離部は、センサー基板を加熱するか、あるいはセンサー基板に光を照射することで、金属粒子層から標的分子を脱離させることができる。
(3)本発明の一態様では、前記センサー基板は、基材と、前記基材上に形成された金属ミラー層と、前記金属ミラー層上に形成された誘電体層と、を有し、前記複数の金属ナノ構造は前記誘電体層上に形成され、前記脱離部は、前記金属ミラー層に通電することができる。複数の金属ナノ構造の金属粒子層が密に並んだ層は、実効的には薄い金属層として作用し、誘電体層を挟んで対向する金属ミラー層とで一対のミラーを形成して、一種の共振構造をつくる。この共振構造に入射した光は、一対のミラー間で反射を繰り返し、多数の反射波の間で干渉が起こる。一対のミラーの反射率と誘電体層の厚さにより、金属粒子層に作用する電場の強さを調整できる。脱離部は、その金属ミラーをヒーター体として兼用している。
(4)本発明の一態様では、前記標的分子はアセトンであり、前記金属粒子層は銀であり、前記吸着層は、白金、銅、金、二酸化チタンのいずれかとすることができる。白金、銅、金、二酸化チタンのいずれかで形成される吸着層に吸着されるアセトンを脱離させるのに必要な第1の脱離活性化エネルギー(81.7〜83.8kJ/mol)は、銀に吸着されるアセトンを脱離させるのに必要な第2の脱離活性化エネルギー(77.5kJ/mol)よりも大きい。
(5)本発明の他の態様は、
流体試料と接触されるセンサー基板において、
前記流体試料中に含まれる標的分子が吸着される複数の金属ナノ構造を基板表面に有し、
前記複数の金属ナノ構造の各々は、
前記基板上に形成される吸着層と、
前記吸着層上に形成される金属粒子層と、を有し、
前記吸着層に吸着される前記標的分子を脱離させるのに必要な第1の脱離活性化エネルギーが、前記金属粒子層に吸着される前記標的分子を脱離させるのに必要な第2の脱離活性化エネルギーよりも大きいセンサー基板に関する。
本発明の他の態様によれば、上述した(1)の検出装置に用いられる検出感度の高いセンサー基板を提供できる。
(6)本発明のさらに他の態様は、
上述した(1)〜(4)に記載の検出装置と、
前記検出装置からの検出情報に基づいて健康医療情報を演算する演算部と、
健康医療情報を記憶する記憶部と、
前記健康医療情報を表示する表示部と、を備えた電子機器に関する。この電子機器は、医療診断や飲食物の検査等に有益である。
図1(A)は本発明の一実施形態に係るセンサー基板を示す図であり、図1(B)は図1(A)の部分拡大図である。 従来のセンサー基板を示す図である。 図3(A)〜図3(D)は、表面増強ラマン光の検出原理の説明図である。 SERS信号強度の金属表面からの距離依存性を示す図である。 吸着及び脱離と脱離活性化エネルギーとの関係を示す図である。 脱離活性化エネルギーEd値を測定する水晶センサーを示す図である。 水晶センサーの測定系ブロック図である。 水晶センサーによる脱離活性化エネルギーEd値の測定例を示す図である。 各種の飽和蒸気気体を曝露して取得されるSERS信号と、各種の飽和蒸気気体の吸着量を測定した結果を示す図である。 飽和蒸気気体に曝露した時の値を1として、大気曝露に切り替えた後の脱離残量の比率を示す図である。 各種気体に対する各種材質の脱離活性化エネルギーを示す図である。 図12(A)〜図12(G)はセンサー基板の製造方法を示す図である。 図13(A)〜図13(C)は、物質検出装置を示す図である。 物質検出装置のブロック図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.センサー基板
図1(A)(B)に、本発明の一実施形態に係るセンサー基板10を示す。センサー基板10は、基板表面10Aに複数の金属ナノ構造18を有する。複数の金属ナノ構造18の各々は、基板表面10Aに形成される吸着層18Aと、吸着層18A上に形成される金属粒子層(金属層)18Bと、を有する。センサー基板10は、基材12と、基材12上に形成される金属ミラー層14と、誘電体層16とを含むことができる。なお、センサー基板10の構造についてはこれに限定されず、例えば金属ミラー層10は必須ではない。本実施形態では、センサー基板10を加熱する脱離部20を設けることができる。脱離部20は、金属ミラー層14を発熱抵抗体として兼用している。金属ミラー層14には配線22が接続され、配線22途中には電源24とスイッチ26が設けられる。
金属ナノ構造18は入射光の波長よりも小さいナノオーダーであり、平面視でのサイズが例えば1〜500nmである。金属粒子層18Bとしては、例えば金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)もしくはこれらの合金或いは複合体が用いられる。本実施形態では、図2に示す従来のセンサー基板のように、金属ナノ構造が金属粒子層18Bのみで形成されるものと異なり、吸着層18Aと金属粒子層18Bとを有する。
ここで、図2に示す従来のセンサー基板を用いたラマン散乱光の検出原理を図3(A)〜図3(D)も参照して説明する。図3(A)に示すように、標的分子1を含む流体試料と接触されるセンサー基板に入射光(振動数ν)が照射される。一般に、入射光の多くは、レイリー散乱光として散乱され、レイリー散乱光の振動数ν又は波長は入射光に対して変化しない。入射光の一部は、ラマン散乱光として散乱され、ラマン散乱光の振動数(ν−ν’及びν+ν’)又は波長は、標的分子1の振動数ν’(分子振動)が反映される。つまり、ラマン散乱光は、検査対象の標的分子1を反映した光である。入射光の一部は、標的分子1を振動させてエネルギーを失うが、標的分子1の振動エネルギーがラマン散乱光の振動エネルギー又は光エネルギーに付加されることもある。このような振動数のシフト(ν’)をラマンシフトと呼ぶ。
図3(B)に、標的分子に固有の指紋スペクトルとして、アセトアルデヒドの例を示す。この指紋スペクトルによって、検出した物質がアセトアルデヒドであると特定することが可能である。しかしながら、ラマン散乱光は非常に微弱であり、微量にしか存在しない物質を検出することは困難であった。
図3(D)に示すように、入射光が入射された領域では、隣り合う金属粒子層18B間のギャップに、増強電場19が形成される。特に、図3(C)に示すように、入射光の波長λよりも小さな金属粒子層18Bに対して入射光を照射する場合、入射光の電場は、金属粒子層18Bの表面に存在する自由電子に作用し、共鳴を引き起こす。これにより、自由電子による電気双極子が金属粒子層18B内に励起され、入射光の電場よりも強い増強電場19が形成される。これは、局在表面プラズモン共鳴(LSPR:Localized Surface Plasmon Resonance)とも呼ばれる。この現象は、入射光の波長よりも小さな1〜500nmの平面サイズを有する金属粒子層18Bに特有の現象である。
なお、本実施形態のセンサー基板10は、図1(A)(B)に示すように、基材12と、基材12上に形成される金属ミラー層14と、金属ミラー層14上に形成される誘電体層16とを有することができる。この構造によれば、複数の金属ナノ構造18の金属粒子層18Bが密に並んだ層は、実効的には薄い金属層として作用し、誘電体層16を挟んで対向する金属ミラー層14とで一対のミラーを形成して、一種の共振構造をつくる。この共振構造に入射した光は、一対のミラー間で反射を繰り返し、多数の反射波の間で干渉が起こる。一対のミラーの反射率と誘電体層16の厚さにより、金属粒子層18Bに作用する増強電場19の強さを調整できる。金属ミラー層14としては、例えば金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)もしくはこれらの合金或いは複合体等が用いられる。誘電体層16の屈折率n、膜厚d、入射波長λ、自然数mとすると、誘電体層16の厚さdは、近似的にd≒λm/(2n)とすることができる。誘電体層16は、SiO2、TiO2またはAl23等にて形成できる。一例として、誘電体層16であるTiO2の屈折率n=2.3、入射波長を632nmとすると、例えばm=1として上式を満足する誘電体層16の厚さdはd=140nmである。
しかし、全ての標的分子1がこれらの金属粒子層18Bと吸着性に優れている訳ではない。特に、反応性が低く安定な分子は、金属に対して化学吸着されず、物理吸着では十分な吸着が得られない。
そこで本実施形態では、増強電場19を形成する部位である金属粒子層18Bとは分離して、標的分子1を吸着する吸着層18Aを増強電場19の強い位置に設けている。増強電場19は、金属粒子層18Bの表面に近いほど強く、かつ基板表面10A側に近いほど強い。増強電場19は、金属粒子層18Bの表面に近いほど強いことは、実験により取得された図4から明らかである。
図4には、金属粒子層18Bからの距離とSERS検出信号強度の関係を示してある。図4のデータを計測するために、ガラス基板12上に金属ミラー膜(Au)14を厚さ100nmにて形成し、その上に誘電体膜(SiO2)16を厚さ230nmにて形成し、金属ナノ構造としてAgアイランド18Bを形成した。Agアイランド18Bは、真空蒸着機において膜厚計による膜厚で10nm相当のAgを成膜すると、まずAgの核となる部分が離散的に形成され、そこへAgが更に蒸着されると、核となっている部分にAg原子が付着して多数の不規則な島状構造を形成する。1つの島構造は、大きさが数10nm〜70nm位の大きさで、高さが20nm〜30nm位であり、島状構造間の間隙は一定ではなく5nm〜数10nm程度となっている。図4の測定データを得る実験のために、Agアイランド18B上に吸着金属の例としてCuを薄く蒸着する。その時の、膜厚計による厚さを、図4の横軸の通り、0nm、0.2nm、0.5nm、1.0nm、1.5nm、2.0nm、3.0nm、4.0nmと条件を振って試料を作成した。その後標的分子1としてラマン活性なアデニンを純水に溶解して希釈し100ppbに調整する。その溶液をマイクロシリンジで5μL採取して、実験基板に滴下し、80〜100℃に加熱して、水を蒸発させる。この試料基板に、波長633nmの直線偏光のレーザー光(出力2mW)を照射して、実験基板から増強及び散乱されたラマン散乱光をレンズで集光した。さらに、633nmの入射光をカットする光学フィルターでレイリー散乱光を除去し、ラマン散乱光を分光器へ導入して分光し、受光素子で電気的信号に変換してラマンスペクトルを得る。このスペクトルからアデニンに特徴的なピークを選択し、その時の信号強度をプロットしたものが図4である。蒸着したCuの厚さが厚くなるほど急激にSERS信号強度が低下している。SERS信号強度は増強電場Eの4乗(E4)に比例することが知られている。即ち、標的分子1を吸着する吸着層18Aは増強電場19の強い部分は極めて近くに配置することが重要であることが、この実験から分かった。
本実施形態では、吸着層18Aは、増強電場19が強い位置、つまり、金属粒子層18Bと基板表面10Aとの間に配置される。それにより、吸着層18Aに吸着される標的分子1が増強電場19のうち最も強い位置に存在する確率が高くなる。標的分子1の大きさと吸着層18Aの厚さを適切に選んでやることによって、最も強い増強電場19の近傍に標的分子1が存在する確率が高くなり、結果として強いSERS(表面増強ラマン散乱)信号強度が強くなる。図2に示す従来のセンサー基板でも、金属粒子層18Bが基板表面10Bと接する金属粒子層18Bの付け根部分で増強電場19は最大となる。しかし、金属粒子層18Bの付け根部分に標的分子1は吸着され難い。
参考文献“Molecular theory of gases and liquids”, Joseph O. Hirschfelder, Charles F. Curtiss, R.Byron Bird. John Wiley & Sons, Inc. (1954)によれば、分子の大きさは、アセトン分子0.467nm、エタノール分子0.431nm、イソプロピルアルコール分子0.464nmである。吸着層18Aは夫々の分子の大きさの1倍〜10倍の厚さ、より好ましくは分子の大きさの5倍以下の厚さにすれば、増強電場19が強い範囲に標的分子1の存在確率が高くなることになる。
2.脱離活性化エネルギー
吸着層18Aと金属粒子層18Bとに分けることにより、金属粒子層18Bが標的分子1を吸着する吸着力よりも強い吸着力を有する吸着層18Aを選択することができる。ここで、吸着力について考察する。図5のように分子が金属表面に近づくとエネルギーの障壁があり、それを超えるとエネルギーの低い状態(吸着)へ入って安定化することができる。ただし、脱離活性化エネルギーEdが小さいと、室温程度の熱エネルギーでEdを乗り越えることができ、気体分子は脱離してしまうことになる。つまり、吸着力は脱離活性化エネルギーEdで定義することができる。本実施形態では、吸着層18Aに吸着される標的分子1を脱離させるのに必要な第1の脱離活性化エネルギーが、金属粒子層18Bに吸着される標的分子1を脱離させるのに必要な第2の脱離活性化エネルギーよりも大きい。
図6に、吸着層18Aの標的分子1に対する脱離活性化エネルギーを測定するための厚み振動型の水晶センサー30の例を示す。水晶センサー30は、2つの電極34(図6では一方のみ図示)が厚み振動型の水晶板32に接続されている。水晶センサー30の周波数変化ΔF(Hz)は、元の周波数をF0(Hz)、質量変化をΔm(kg)、電極面積をA(m2)、水晶の比重をρ(=2,648kg/m3)、水晶のせん断応力をμ(=2.947×1010 kg・m・sec)とすると、
ΔF=−2×F0 2×Δm/{A×(μ×ρ)1/2} 式1
で表される。実験で使用した水晶センサー30は、周波数F0=9MHz、電極径Φ5mmの水晶センサー30で、1Hz当り約1.07ngの感度になる。
図7には、水晶センサー30の測定系が示されている。水晶センサー30に発振回路40、電源回路42を接続し、発振回路42での周波数をカウンタ回路44でカウントし、その結果をコンピュータ46に取り込む。基本の発振周波数は約9MHzであるから、式1により周波数変化量ΔFが質量変化量Δmに換算できる。
図8に、水晶センサー30による脱離活性化エネルギーEd値の測定例を示す。吸着気体の脱離速度v(t)は、Polanyi-Wigner式より、以下の通り示される。
ここで、v(t)は脱離速度、θ(t)は被覆率、Cは気体吸着量、νnは頻度因子、nは反応次数、Edは脱離活性化エネルギー、Rは気体定数、Tは絶対温度である。
空サイトを1つ使って吸着する分子の場合はn=1なので、θ0を初期被覆率とすると、被覆率は以下の通りとなる。
よって脱離残量σ(t)は、脱離速度v(t)を積分することで以下のように示される。
脱離活性化エネルギーEdは、脱離残量(吸着量)の時間的変化を観測することで知ることができる。
図9は、金属粒子層としてAgナノ構造を石英ガラス基板上に形成し、その基板に各種の飽和蒸気気体を曝露した結果を示す。検出結果は、633nmのレーザー光を照射した時のSERS信号強度である。水は例外として、大気曝露にして残留した量が多いもの(図5の右領域の気体)は、SERS信号が検出されている。図9ではさらに、図6に示す厚み振動型の水晶振動子(QCM)に同様に各種の飽和蒸気気体を曝露し、水晶振動子の周波数変化から吸着量を測定した結果も示している(図5の左領域の気体)。図9では、1分間の飽和蒸気気体曝露で吸着した量と、飽和蒸気気体曝露から大気曝露に1分間切り替えて残留した脱離残量をそれぞれ棒グラフで示している。
これらを分かり易くするため、図10に飽和蒸気気体に曝露した時の値を1として、大気曝露に切り替えて残留した量を比率で表してある。SERS信号が検出されなかった気体は殆ど水晶振動子表面(Au)に吸着しも直ぐに脱離してしまい、SERS信号が検出された気体は水晶振動子表面(Au)にある程度吸着していると考えられる。
水晶センサー表面への気体分子のエネルギーを考えてみると、図5に示したように気体分子が金属表面に近づくとエネルギーの障壁があり、それを超えるとエネルギーの低い状態(吸着)へ入って安定化することができるが、脱離活性化エネルギーEdが小さいと、室温程度の熱エネルギーでEdを乗り越えることができ、気体分子は脱離してしまうことになる。
図11には吸着層として金属(Ag、Cr、Pt、Cu、Au)を形成した場合とTiO2を形成した場合の脱離活性化エネルギーEd値の例を示している。図6に示す水晶センサー30の電極(Au)34上に吸着層(Ag、Cr、Pt、Cu、TiO2)を形成し、脱離残量(吸着量)の時間的変化から脱離活性化エネルギーEd値を求めた。例えば、増強電場を形成するのに適しているAgで金属ナノ構造を形成し、吸着層としてCr、Pt、Cu、Au、TiO2、を夫々形成した場合について考える。そうすると、Ag単体よりも吸着層として形成した金属やTiO2の脱離活性化エネルギーEd値が大きければ、良いと考えられる。標的分子がアセトンの例では、Agより脱離活性化エネルギーEd値が大きいのは、Pt、Cu、Au、TiO2となる。つまり、標的分子をアセトンとする場合には、金属粒子層18Bは銀(Ag)であり、吸着層18Aは、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、二酸化チタン(TiO2)のいずれかとすることができる。図11に示すように白金、銅、金、二酸化チタンのいずれかで形成される吸着層18Aに吸着されるアセトンを脱離させるのに必要な第1の脱離活性化エネルギー(81.7〜83.8kJ/mol)は、銀(Ag)で形成された金属粒子層18Bに吸着されるアセトンを脱離させるのに必要な第2の脱離活性化エネルギー(77.5kJ/mol)よりも大きい。
3.脱離部
脱離部20は、吸着層18Aに吸着された標的分子1を脱離させる。脱離部20は、吸着層18Aから標的分子1を脱離させるのに必要な第1の脱離活性化エネルギー以上の脱離エネルギーをセンサー基板10に供給する。脱離部20は熱または光によりセンサー基板10に脱離エネルギーを供給することができる。
本実施形態の脱離部20は、吸着層18Aに吸着された標的分子1を検出した後に、次の検出に備え標的分子1を脱離させる。あるいは、脱離部20は検出に先駆けて標的分子1を脱離させる。そのため、金属ミラー層14を加熱抵抗体として兼用させてある。図1(A)のスイッチ26をオンすることで、金属ミラー層14の両接続部に電源24からの電流を、配線22を介して流すことで、金属ミラー層14にジュール熱が発生する。吸着層18Aに吸着された標的分子1が金属ミラー層14により加熱されることで、図6に示すような脱離活性化エネルギーEdを超えて脱離が容易となる。
4.センサー基板の製造方法
図12(A)〜図12(G)には、センサー基板10の製造方法の例を示す。図12(A)に示す基材12を石英基板とするが、他の基材でも同様に形成することが可能であり、石英に限定するものではない。先ず、清浄な石英基板12に対して、図12(B)に示すように平坦な金属ミラー層14を形成する。この例では、真空蒸着法又はスパッタ法で金(Au)の金属ミラー層14を形成する例を示している。Au膜の厚さとしておよそ数10nm〜数100nmが望ましい。金属の種類としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)などが適している。
次に、図12(C)に示すように金属ミラー層14の上に誘電体層16を形成する。誘電体としては、SiO2、Al23、TiO2などが適しており、その厚さは、およそ20nm〜300nmが望ましい。
次に、図12(D)に示すように、誘電体層16の上にレジスト17をスピンコートなどの装置で塗布し乾燥させる。所望のパターンを作るために、レーザー干渉露光又は電子ビーム露光などでレジスト17を露光する。本実施形態では、干渉露光の光源として連続発振のYVO4レーザー(波長266nm、最大出力200mW)を用いた。ポジ型レジストを使用し、レジスト膜厚は0.3〜1.0μmとした。レジスト17の露光パターンは、一方のパターンを格子状とし、他方のパターンも格子状として、両者の交差する角度によって色々なパターンが形成することができ、レーザーの波長の半分の大きさまで小さくすることが可能である。又、比較的大きな基板12を一括して露光できるため、生産性の高い露光方法である。両者の干渉縞の潜像をレジストに形成し、レジストを現像して、図12(D)に示すように所望のパターン17Aを形成する。
その後、図12(F)に示すように、レジストパターン17Aの上から、吸着層18Aを形成し、金属層18Bを形成する。次にレジストパターン17Aをアセトンなどの溶剤で除去することで、図12(G)に示すように、レジストパターン17A上に形成した吸着層18A及び金属層18Bもいっしょに除去される。リフトオフと言われるプロセスである。
吸着層18Aとしては、例えば金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)もしくはこれらの合金或いは複合体、又はTiO2、WO3などの非金属材料を用いることができる。金属層18Bとしては、増強電場19を形成するためのAg(銀)、金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)などが適している。
5.検出装置及び電子機器
検出装置または電子機器100として、生体ガスに含まれるアセトン濃度を検出し、検出したアセトン濃度と相関がある体脂肪の燃焼量を検出する物質検出装置を例に挙げて説明する。物質検出装置100は、図13(A)〜図13(C)に示すように、検出試料採取部110と検出部130と表示部230とが、ケース120と風防ガラス121によって構成される空間内に格納されている。検出試料採取部110は、人の皮膚に接触する側(ケース120の裏面側)に配置され、検出部130はケース120の内部に、表示部230は被験者が視認可能な位置(ケース120の表面側)に配置されている。
検出試料採取部110は、人の皮膚と密着する透過膜としての第1透過膜111と、第1透過膜111とは空間113を有して配置される第2透過膜112とを有している。人の皮膚に密着する第1透過膜111は、汗などの水分が検出部130内に直接入らないように、水に対して撥水性を有し、且つ皮膚から発生する生体ガス(なお、生体ガスを皮膚ガスと表すことがある)を透過することが可能な膜によって形成されている。第1透過膜111は、生体ガスを検出部130内に取込む際に、後述するセンサー部131に生体ガスに含まれる水分等が付着することを防止するために設けられている。
第2透過膜112は、第1透過膜111と同様な機能を有しており、第1透過膜111との二重構造にすることにより、第1透過膜111の上記機能をさらに強化するために設けられている。従って、透過膜を二重構造にすることは必要条件ではなく、物質検出装置100の身体への装着部位の発汗量等に応じて選択することができる。
第1透過膜111と第2透過膜112とは、ケース20の人体側に取付けられ、装着ベルト220によって第1透過膜111が皮膚に密着するように取り付けられる。なお、図13(A)〜図13(C)に示す物質検出装置100は、手首部に装着する場合の構成を例示している。
検出部130の構成について説明する。図13(A)(B)に示すように、検出部130は、センサー室114と検出室115とに分けられている。センサー室114は、腕から放散された生体ガスが収容される空間であって、内部にセンサー部131が配置されている。センサー部131は、ラマン散乱光を増強する光学デバイス110を含む。
検出室115には、検出する分子を励起する光源200と、光源200から照射される光をセンサー部131に集光する第1レンズ群と、センサーチップ132から散乱される増強されたラマン散乱光(増強ラマン散乱光という)を集光する第2レンズ群と、を備えている。
第1レンズ群は、光源200から射出される光を平行光に変換するレンズ142と、この平行光をセンサー部131に向かって反射するハーフミラー143と、ハーフミラー143で反射された光をセンサー部131に集光するレンズ141とから構成されている。第2レンズ群は、レンズ141及びハーフミラー143を介してセンサー部131で増強されたラマン光を集光するレンズ144と、集光されたラマン光を平行光に変換するレンズ145とから構成されている。
さらに、検出室115には、集光された散乱光からレイリー散乱光を除去する光学フィルター150と、増強ラマン散乱光をスペクトルに分光する分光器160と、分光されたスペクトルを電気信号に変換する受光素子(光検出器)170と、分光されたスペクトルを生体ガスから検出した物質に特有の指紋スペクトルの情報として電気信号に変換する信号処理制御回路部180と、電力供給部190と、を備えている。指紋スペクトルは信号処理制御回路部180に予め内蔵されている。
電力供給部190としては、1次電池、2次電池などが利用できる。1次電池の場合には、規定の電圧以下になったことを、CPU181がROMに格納されている情報と得られた1次電池の電圧情報とを比較して規定以下であれば、表示部230に電池交換の指示を表示する2次電池の場合には、規定の電圧以下になったことを、CPU181がROMに格納されている情報と得られた2次電池の電圧情報を比較して規定以下であれば、表示部230に充電指示を表示する。被験者は、その表示を見て、接続部(図示せず)に充電器を接続して規定の電圧になるまで、充電をすることで繰返し使用することができる。
また、本実施形態の物質検出装置100は、センサー室114内に採取した生体ガスを外部に排出する採取試料排出手段210を有している。採取試料排出手段210は、一方の端部がセンサー室114に連通し、他方の端部が排出口211aに連通する弾性を有する排出チューブ212と、複数の回転ローラー213と、を有している。採取試料排出手段210は、回転ローラー213でセンサー室114側から排出口211a側に向かって排出チューブ212を押圧していくことでセンサー室114内の気体を外部へ排出することができるいわゆるチューブポンプである。
チューブポンプは、手動で回転させる構造であってもモーターで駆動する構造であってもよい。なお、採取試料排出手段としてはチューブポンプ以外の気体排出手段を適宜選択して用いることが可能である。また、生体ガスをセンサー室114から排出する排出口は、生体ガスを素早く排出させるために複数個所に設ける構造にすればなお好ましい。また、生体ガスをセンサー室114から排出する排出口は、生体ガスを素早く排出させるために複数個所に設ける構造にすればなお好ましい。
次に、図13(C)を参照して、表示部230の表示内容について説明する。表示部230は、液晶表示素子などの電気光学表示素子を用いている。主たる表示内容としては図13(C)に示すように、現在時刻、測定開始からの経過時間、脂肪燃焼量として1分当たりの燃焼量や積算値、これらの変化を表すグラフ表示などが上げられる。また、脂肪燃焼量の測定の後、センサー室114内の気体を排除する必要があり(つまり、センサーチップ132のリフレッシュ)、そのことを操作者に知らしめる表示も含まれる。例えば、「リフレッシュ」が表示されている場合には、採取試料排出操作を実行する。
次に、制御系を含めた物質検出装置100の構成と作用について図14を参照して説明する。図14は、本実施形態に係る物質検出装置100の主要構成を示すブロック図である。物質検出装置100は、制御系の全体を制御する信号処理制御回路部180を有し、信号処理制御回路部180は、CPU(Central Processing Unit)181と、RAM(Random Access Memory)182と、ROM(Read Only Memory)183と、を含む。
前述したセンサー室114の内部には、センサーチップと、センサーチップの有無検出とコードを読み取るためのセンサー検出器(図示せず)を備えており、センサー検出回路を経由してその情報がCPU181に送られる。その情報が入力された状態は、検出開始可能な状態であるため、CPU181から表示部230へ操作可能であることを入力し、表示部230で表示する。
操作部122から検出開始の信号をCPU181が受けると、光源駆動回路184から光源作動の信号を出力して、光源200を作動させる。光源200には、温度センサーや光量センサーが内蔵されており、光源200が安定状態であることを確認できる。光源200が安定した時に生体ガスをセンサー室114内に採取する。なお、生体ガス採取には、図示しない吸引ポンプを用いてもよい。
光源200は、単一波長で直線偏光の安定な光を射出するレーザー光源であって、CPU181からの信号により光源駆動回路184により駆動され、光を射出する。この光は、レンズ142、ハーフミラー143、レンズ141を経由してセンサーチップ132に照射され、レイリー光と増強電場によって増強されたラマン散乱光(SERS:表面増強ラマン散乱)がレンズ141、ハーフミラー143、レンズ144、レンズ145、光学フィルター150、分光器160を経由して受光素子170へ入ってくる。分光器160は、分光器駆動回路185で制御される。また、受光素子170は受光回路186によって制御される。
光学フィルター150ではレイリー光を遮断し、SERS光だけが分光器160へ入る。分光器160として、ファブリペロー共振を利用した波長可変エタロンを採用する場合には、透過する光の帯域(λ1〜λ2)と半値幅とが設定されており、λ1から始まって半値幅ずつ順次透過する波長を変化させて、λ2まで繰返し受光素子170でその半値幅の光信号の強度を電気信号へ変換する。そうすることで、検出されたSERS光のスペクトルが得られる。
こうして得られた被検出物質(ここではアセトン)のSERS光のスペクトルは、信号処理制御回路部180のROM183に格納されている指紋スペクトルと照合して、標的物質を特定し、アセトンの濃度を検出する。そして、演算部としても機能する信号処理制御回路部180はアセトン濃度から脂肪燃焼量(健康医療情報)を算出し、記憶部であるRAM182に記憶する。この算出結果を被験者に知らせるため、CPU181から表示部230へ結果情報が表示される。結果情報の一例を図13(C)に示す。
測定時間を計測する時計機能は、周知の時計機能回路187によって、予めセットした時刻から現在時刻と、脂肪燃焼開始の信号を受けて、脂肪燃焼測定開始時刻と終了時刻を表示する。また、1分間当たりの脂肪燃焼量、脂肪燃焼測定開始からの積算量などを表示するための時計機能を有している。
本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。またセンサー基板10、検出装置または電子機器100等の構成及び動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。また、本発明は表面増強ラマン分光のほか、表面増強赤外吸収分光センサー等にも適用できる。
10 センサー基板、12 基材、14 金属ミラー層、16 誘電体層、18 金属ナノ構造、18A 吸着層、18B 金属粒子層(金属層)、19 増強電場、20 脱離部、100 検出装置(電子機器)、170 光検出器、180 演算部、182 記憶部、200 光源、230 表示部。

Claims (6)

  1. 流体試料中に含まれる標的分子を吸着する複数の金属ナノ構造を備えたセンサー基板と、
    前記センサー基板に光を照射する光源と、
    前記標的分子から出射される光を検出する光検出器と、
    前記金属ナノ構造に吸着された前記標的分子を脱離させる脱離部と、を有し、
    前記複数の金属ナノ構造の各々は、
    前記センサー基板上に形成される吸着層と、
    前記吸着層上に形成される金属粒子層と、を有し、
    前記吸着層に吸着された前記標的分子を脱離させるのに必要な第1の脱離活性化エネルギーが、前記金属粒子層に吸着された前記標的分子を脱離させるのに必要な第2の脱離活性化エネルギーよりも大きいことを特徴とする検出装置。
  2. 請求項1において、
    前記脱離部は、前記第1の脱離活性化エネルギー以上のエネルギーを有する熱または光を前記センサー基板に供給することを特徴とする検出装置。
  3. 請求項2において、
    前記センサー基板は、基材と、前記基材上に形成された金属ミラー層と、前記金属ミラー層上に形成された誘電体層と、を有し、前記複数の金属ナノ構造は前記誘電体層上に形成され、
    前記脱離部は、前記金属ミラー層に通電することを特徴とする検出装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項において、
    前記標的分子はアセトンであり、
    前記金属粒子層は銀であり、
    前記吸着層は、白金、銅、金、二酸化チタンのいずれかであることを特徴とする検出装置。
  5. 流体試料と接触されるセンサー基板において、
    前記試料流体中に含まれる標的分子が吸着される複数の金属ナノ構造を基板表面に有し、
    前記複数の金属ナノ構造の各々は、
    前記基板上に形成される吸着層と、
    前記吸着層上に形成される金属粒子層と、を有し、
    前記吸着層に吸着される前記標的分子を脱離させるのに必要な第1の脱離活性化エネルギーが、前記金属粒子層に吸着される前記標的分子を脱離させるのに必要な第2の脱離活性化エネルギーよりも大きいことを特徴とするセンサー基板。
  6. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検出装置と、
    前記検出装置からの検出情報に基づいて健康医療情報を演算する演算部と、
    健康医療情報を記憶する記憶部と、
    前記健康医療情報を表示する表示部と、を備えたことを特徴とする電子機器。
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