JP2017172308A - 一体型基礎及び一体型基礎工法 - Google Patents

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【課題】脚部が載置される滑り板を捨てコンクリートの上に置くことで、容易にアンカーボルトの位置調整ができる一体型基礎及び一体型基礎工法を提供する。【解決手段】捨てコンクリートの上に載置される滑り板と、その広い面を立設させた板状部材から構成される柱用型枠と、前記柱用型枠の外側面に設けられかつ前記滑り板に載置される脚部と、前記柱用型枠の内側面に接合される支持材と、前記支持材に支持される鉄筋及びアンカーボルトとを備える一体型基礎を、アンカーボルトの位置調整が終わった後に、滑り板と脚部とを接合して固定する。【選択図】図1

Description

本発明は、施工現場での鉄筋工事及び型枠工事を不要とする一体型基礎及び一体型基礎工法に関する。
従来、重量鉄骨等を柱に用いる建築物の基礎工事では、捨てコンクリート等の上にアンカーボルトを設置した後、アンカーボルトの周囲に鉄筋や型枠を配置していた。しかし、この様な工法では、鉄筋や型枠を配置する作業においてアンカーボルトの位置が狂うおそれがあるため、鉄筋や型枠の配置作業の後に再度アンカーボルトの位置の確認が必要であった。また、コンクリートを打設して硬化した後に型枠を取除く作業も必要であった。このため、建築に要する工期が長くなるとともに費用もかさんでいた。
そこで、例えば、特開2004−245035号公報に、工場で組み立てた地中梁施工枠を現場に設置し、該地中梁施工枠内にコンクリートを打設する技術が開示されている。
特開2004−245035号公報
しかし、特許文献1に開示されている地中梁施工枠では、捨てコンクリート(路盤)の上に地中梁施工枠を載置させたときに、地中梁施工枠を容易に動かすことができず、アンカーボルトを所定の位置に合わせる位置調整に手間がかかるという課題があった。
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、脚部が載置される滑り板を路盤の上に置くことで、容易にアンカーボルトの位置調整ができる一体型基礎及び一体型基礎工法を提供することを目的とする。
本発明の一体型基礎は、
路盤の上に載置される滑り板と、
捨て型枠である柱用型枠と、
前記柱用型枠に設けられかつ前記滑り板に載置される脚部と、
前記柱用型枠の内側に接合される支持材と、
前記支持材に支持される鉄筋及びアンカーボルトと、
を備えることを特徴とする。
本発明の一体型基礎によれば、路盤の上に載置される滑り板と、滑り板に載置される脚部とを備えるため、一体型基礎をクレーン等で吊り上げることなく、滑り板の上で脚部を滑らせて移動させることができる。これにより、一体型基礎を設置場所に置いた後のアンカーボルトの位置調整を容易に行なうことができる。なお、ここでの路盤とは、地業工事を施した後の表面を意図し、施工場所の地盤の状況により土が露出している場合、石や砂利等が敷いてある場合、捨てコンクリートが打設してある場合等がある。
本発明の一体型基礎の好ましい例は、
前記脚部が、
前記柱用型枠に設けられるとともに雌ネジを備える脚ベースと、
前記雌ネジに螺合され前記滑り板に載置されるボルトと、
を備えることを特徴とする。
本発明の一体型基礎の好ましい例によれば、脚部が雌ネジと雌ネジに螺合されるボルトとを備えるため、ボルトを回動させることによってアンカーボルトの高さ及び傾き調整を行なうことができる。
本発明の一体型基礎の好ましい例は、
前記柱用型枠が防錆処理されており、前記柱用型枠と前記支持材との接合場所から前記柱用型枠の端部までの距離が、前記支持材に対するコンクリートのかぶり厚さを満足する距離であること、又は前記支持材が防錆処理されていることを特徴とする。
本発明の一体型基礎の好ましい例によれば、柱用型枠が防錆処理されており、柱用型枠に接合される支持材が、支持材に対するコンクリートのかぶり厚さを満足している、又は支持材自体も防錆処理されているため、施工後に支持材が腐食するおそれが少なく、耐久性に優れた一体型基礎とすることができる。なお、ここでのコンクリートとは、一体型基礎を設置後、一体型基礎の中に打設されたコンクリートを意図する。
本発明の一体型基礎の好ましい例は、
前記柱用型枠が、下部フレームと、前記下部フレームの上方に設けられかつ前記下部フレームと比較して軽量部材からなる枠部とで構成され、前記脚部が前記下部フレームに設けられていることを特徴とする。
本発明の一体型基礎の好ましい例によれば、柱用型枠が、下部フレームと前記下部フレームと比較して軽量部材からなる枠部とで構成され、一体型基礎の重量を支える脚部が下部フレームに設けられているため、下部フレームのみに強度に優れた材料を使用すればよく、一体型基礎全体の軽量化とコストダウンを図ることができる。
本発明の一体型基礎の好ましい例は、
前記支持材の少なくとも一部が鉄筋であることを特徴とする。
本発明の一体型基礎の好ましい例によれば、支持材の少なくとも一部が鉄筋であるため、一体型基礎の設計の自由度を向上させることができる。
本発明の一体型基礎の好ましい例は、
複数組の前記柱用型枠を、捨て型枠である梁用型枠で連結したことを特徴とする。
本発明の一体型基礎の好ましい例によれば、複数組の柱用型枠を、梁用型枠で連結しているため、複数の柱用基礎と梁用基礎とを一体とすることができ、さらなる工期の短縮と工費の削減を図ることができる。なお、組の柱用型枠とは、柱用型枠及びその内外部に設けられた滑り板、脚部、支持材、鉄筋、アンカーボルト等を備え、後にそこに柱を立設できる一式のものを意図する。
本発明の一体型基礎工法は、
上述の一体型基礎を用いる一体型基礎工法であって、
前記滑り板の上に前記脚部を載置させ、位置調整を行なった後に前記滑り板と前記脚部とを接合することを特徴とする。
本発明の一体型基礎工法によれば、上述の一体型基礎の作用効果を有するとともに、アンカーボルトの位置調整を行なった後に滑り板と前記脚部とを接合するため、位置調整後に一体型基礎及びアンカーボルトが動いてしまうことを防止できる。
以上、説明したように、本発明の一体型基礎及び一体型基礎工法によれば、脚部が載置される滑り板を路盤の上に載置させることで容易にアンカーボルトの位置調整ができ、建築現場での工期の短縮と工費の削減を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る一体型基礎の正面図である。 図1に示す一体型基礎の平面図である。 図2のA−A線断面図である。 梁用型枠を備える一体型基礎の正面図である。
以下、本発明の一体型基礎及び一体型基礎工法の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る一体型基礎10の正面図、図2は図1に示す一体型基礎10の平面図、図3は図2のA−A線断面のうち一部を省略した図である。また、図4は梁用型枠24を備える一体型基礎11の正面図である。
先ず、本実施形態の一体型基礎10の構成について説明する。図1〜図3に示すように、本実施形態の一体型基礎10は、柱用型枠20と、支持材30と、鉄筋40と、アンカーボルト50と、脚部60と、滑り板65とを備える。
柱用型枠20は、一体型基礎10の内部にコンクリートが打設されたときに、コンクリートの形状を保持するためのもので、その広い面を立設させた板状部材等から構成され、下部フレーム21と枠部22と上部枠23とを備える。そして、コンクリートが硬化した後は、柱用型枠20は捨て型枠として埋設又は設置されたままとされる。なお、一体型基礎10を施工現場に配置する際に、位置調整をし易くするために柱用型枠20に予め基準線等を描いておくことが好ましい。
下部フレーム21は、柱用型枠20の最下部に設けられるもので、脚部60とともに一体型基礎10全体の重量を支えるため、例えば厚さ5〜20mm程度の比較的厚く強度に優れた金属の帯板が用いられる。また、下部フレーム21には、エポキシ樹脂塗料等の公知の防錆用塗料が塗装され、防錆処理がなされている。なお、下部フレーム21には本実施形態に用いられている帯板のみならず、例えばH形鋼、溝形鋼等の形鋼も採用することができる。
枠部22は、下部フレーム21の上方に設けられる、下部フレーム21より薄板の軽量部材からなるもので、例えば断面波状に形成されたキーストンプレートや、エキスパンドメタル等が用いられる。また、枠部22に薄板を使用することでその強度が不足する場合には、適宜、形鋼等の補強材を設けることもできる。なお、本実施形態では、枠部22に防錆処理されたキーストンプレートを採用している。
上部枠23は、枠部22のさらに上に設けられアンカーボルト50の周囲を囲うもので、上記の下部フレーム21及び枠部22と比較して水平方向の面積が小さく構成されている。上部枠23も枠部22同様軽量部材で構成され、本実施形態では防錆処理されたエキスパンドメタルを採用している。また、上部枠23は、図示しないブラケット等で枠部22、支持材30等に固定される。なお、本実施形態の一体型基礎10は、正面視で略凸字状をなしているが、一体型基礎の他の形態として上部枠23を設けず、正面視略矩形状としてもよい。
支持材30は、下部フレーム21及び枠部22の内側面に溶接又はボルト止め等の方法で接合される部材で、本実施形態では水平方向に渡された主支持材31と副支持材32とを備える。主支持材31は、一方の面の下部フレーム21及び枠部22から、対向する側の面の下部フレーム21及び枠部22に渡されるL形鋼であり、下部フレーム21に2本、枠部22に2本の合計4本が設けられる。また、下部フレーム21に設けられた主支持材31の接合場所から下部フレーム21の下端までの距離d1は、主支持材31に対するコンクリートのかぶり厚さを満足する距離以上とされている。同様に、枠部22に設けられた主支持材31の接合場所から枠部22の上端までの距離d2は、主支持材31に対するコンクリートのかぶり厚さを満足する距離以上とされている。
副支持材32は、上記の2本ずつの主支持材31に渡されるL形鋼であり、下側の主支持材31の間に4本、上側の主支持材31の間に4本の合計8本が設けられる。主支持材31と副支持材32とは溶接等の公知の方法で接合される。また、本実施形態では、副支持材32は、主支持材31とその上下方向の位置が揃えられているため、副支持材32もコンクリートのかぶり厚さを満足している。なお、本実施形態では支持材30にL形鋼を採用しているが、これに限られず様々な形鋼、棒材等が採用できる。また、形鋼の代わりに鉄筋を採用することもできる。さらに、支持材30がコンクリートのかぶり厚さを満足することができない場合、代わりに支持材30に防錆処理を施すこともできる。
鉄筋40は、柱用型枠20の内側に設けられており、下部フレーム21及び枠部22の内側に主に水平方向に設けられるベース筋41と、下部フレーム21及び枠部22の略中央から垂直方向に立ち上がり、上部枠23の内部まで延びている主筋42とを備える。ベース筋41は、その一部が下部フレーム21と枠部22に溶接又はボルト止め等の方法によって接合され、ベース筋41そのものも支持材30としての役割を果たす。なお、この場合も下部フレーム21とベース筋41との接合場所から下部フレーム21の下端までの距離d3は、ベース筋41に対するコンクリートのかぶり厚さを満足する距離である。主筋42は、その全てが主支持材31及び副支持材32の傍に設けられており、これらの主支持材31及び副支持材32に番線又はU字ボルト等の部材(図示せず)で固定される。また、これらの鉄筋40には必要に応じて、はかま筋等も設けられる。
アンカーボルト50は、一体型基礎10の設置施工後に立設される柱を固定するためのもので、主筋42の内側かつ副支持材32の傍に設けられ、副支持材32に番線又はU字ボルト等の部材(図示せず)で固定される。
脚部60は、下部フレーム21の外側面の四隅近傍に設けられ、滑り板65の上に載置されることでその上で移動可能とされるとともに、高さ調整機能を有するもので、脚ベース61とボルト64とを備える。脚ベース61は、水平板62と補強リブ63とを備え、これらが溶接等の方法で下部フレーム21の外側面に接合されている。また水平板62は、その略中央に雌ネジを備える。ボルト64は、前記雌ネジに回動自在に螺合されるもので、回動されることによってボルト64の先端と水平板62との相対的な距離が変化し、一体型基礎10及びアンカーボルト50の高さと傾きを調整可能とする。なお、本実施形態では、脚部60は下部フレーム21の外側面に設けられているが、路盤の幅が狭いようなときは、下部フレーム21の内側面や下端面に設けることもできる。
滑り板65は、地業工事によって設けられた路盤の上、すなわち土の表面、砕石等の表面、又は捨てコンクリート等の上に載置される金属製の板であり、その上に脚部60のボルト64が載置される。滑り板65の厚さは、脚部60が載置されたときにその重みで撓まない厚さであればよく、面積は、アンカーボルト50の位置の調整分だけ脚部60が移動する距離を満たし、かつ一体型基礎10の重量によって路盤に沈まない面積があればよい。
また、図4に示すように、上述の一体型基礎10、すなわち柱用型枠20に支持材30、鉄筋40、アンカーボルト50、脚部60、滑り板65等を組み合わせたものを複数組連結させた連続型の一体型基礎11とすることもできる。本実施形態では、複数組の一体型基礎10の上部枠23を連結して一体の梁用型枠24として、その内部に鉄筋及び補強の形鋼を設けている。そして、この連続型の一体型基礎11を設置して施工した後は、梁用型枠24も捨て型枠として利用され、当該部分は地中梁を構成することとなる。なお、本実施形態では上部枠23を連結しているが、例えば、枠部22又は下部フレーム21を梁用型枠で連結させてもよい。また、連続型の一体型基礎11は、梁用型枠24も防錆処理されていることが好ましい。
次に、以上説明した本実施形態の一体型基礎10の構成要素を踏まえて、該一体型基礎10を用いた一体型基礎工法を説明する。
先ず、路盤の上の、所定の位置に滑り板65を載置させる。次に、クレーン等で吊り上げた一体型基礎10を、その脚部60のボルト64が滑り板65の上に載置されるように配置する。次に、水平方向の位置調整として、下部フレーム21の下端と路盤との間、又は脚部60と滑り板65との間にバール等を差し込みこじることで、滑り板65の上で脚部60を滑らせて移動させ、柱用型枠20に描いた基準線と、路盤に張られた水糸又は打たれた墨とを合わせる。次に、脚部60のボルト64を回動させて、アンカーボルト50の傾きと高さを調整する。さらに、必要に応じてアンカーボルト50の位置を再確認して、再度バール等で水平方向の位置調整をする。次に、位置調整が終われば、脚部60のボルト64と滑り板65とを溶接、接着、又はコンクリートで巻く等して接合する。そして、接合され固定された一体型基礎10にコンクリートを打設して、土を埋め戻せばよい。
以上、説明したように、本実施形態の一体型基礎及び一体型基礎工法によれば、滑り板の上に脚部のボルトを載置させるという構成から、アンカーボルトの位置調整を容易に行なうことができる。また、現場での鉄筋工事や型枠工事が不要のため、地業工事において根切り面積を少なくすることができる。また、一体型基礎の設置後に速やかにコンクリートを打設することができるとともに、コンクリートの打設後に比較的短期間で土を埋め戻すことができる。これらにより、工期の短縮と工費の削減を図ることができる。
また、柱用型枠が防錆処理されており、柱用型枠に接合された支持材もコンクリートのかぶり厚さを満足しているため、例えば、柱用型枠と支持材との接合に溶接等の作業性に優れた方法を採用しながら、耐久性に優れた一体型基礎とすることができる。また、柱用型枠を下部フレームと枠部とで板厚を変えているため、強度と軽量化という相反する性能を両立させることができる。
また、梁用型枠を用いた連続型の一体型基礎とすることで、さらに工期の短縮を図ることができる。
なお、上述の一体型基礎及び一体型基礎工法は本発明の例示であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲においてその構成等を適宜変更することができる。
10,11・・一体型基礎、
20・・柱用型枠、21・・下部フレーム、22・・枠部、23・・上部枠、24・・梁用型枠、
30・・支持材、31・・主支持材、32・・副支持材、
40・・鉄筋、41・・ベース筋、42・・主筋、
50・・アンカーボルト、
60・・脚部、61・・脚ベース、62・・水平板、63・・補強リブ、64・・ボルト、65・・滑り板、
d1,d2,d3・・距離

Claims (7)

  1. 路盤の上に載置される滑り板と、
    捨て型枠である柱用型枠と、
    前記柱用型枠に設けられかつ前記滑り板に載置される脚部と、
    前記柱用型枠の内側に接合される支持材と、
    前記支持材に支持される鉄筋及びアンカーボルトと、
    を備えることを特徴とする一体型基礎。
  2. 前記脚部が、
    前記柱用型枠に設けられるとともに雌ネジを備える脚ベースと、
    前記雌ネジに螺合され前記滑り板に載置されるボルトと、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の一体型基礎。
  3. 前記柱用型枠が防錆処理されており、前記柱用型枠と前記支持材との接合場所から前記柱用型枠の端部までの距離が、前記支持材に対するコンクリートのかぶり厚さを満足する距離であること、又は前記支持材が防錆処理されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の一体型基礎。
  4. 前記柱用型枠が、下部フレームと、前記下部フレームの上方に設けられかつ前記下部フレームと比較して軽量部材からなる枠部とで構成され、前記脚部が前記下部フレームに設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の一体型基礎。
  5. 前記支持材の少なくとも一部が鉄筋であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の一体型基礎。
  6. 複数組の前記柱用型枠を、捨て型枠である梁用型枠で連結したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の一体型基礎。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の一体型基礎を用いる一体型基礎工法であって、
    前記滑り板の上に前記脚部を載置させ、位置調整を行なった後に前記滑り板と前記脚部とを接合することを特徴とする一体型基礎工法。
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