JP2017172203A - 型枠間隔保持用コーン、型枠取外し工法及び型枠組立工法 - Google Patents

型枠間隔保持用コーン、型枠取外し工法及び型枠組立工法 Download PDF

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Abstract

【課題】型枠パネルの剥がし作業と型枠間隔保持用コーンの取外し作業に手間がかかると共に、型枠の組立にも手間がかかるという課題があった。
【解決手段】
円錐台形状の本体部10と、雌ねじ部13と、雄ねじ軸体20とを備えたピーコーン1において、雌ねじ部は、セパレータ軸体端部400に螺合され、雄ねじ軸体は、型枠締結具雌ねじ部302に螺合されると共に、共回り手段22,23を有し、前記共回り手段は、型枠締結具300を雄ねじ軸体から螺脱方向に軸動させて、コンクリート固化後に型枠を取り外す際に、型枠締結具300と型枠間隔保持用コーン1とを共回り状態とさせ、型枠締結具300を軸動させることにより、セパレータ軸体端部400からピーコーン1が螺脱され、型枠締結具300とピーコーン1と型枠パネル200とが一体のまま、固化したコンクリート面から取り外されるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、型枠パネルに流し込んだコンクリートが固化してから、型枠パネルと型枠間隔保持用コーンとを、固化したコンクリートから容易に取り外すことができる型枠間隔保持用コーン、及び型枠取外し工法及び型枠組立工法に関する。
型枠パネルは、型枠合板の周囲に桟木が釘止めされて構成される。型枠パネルには、コンクリートの流し込みによって、型枠パネルの内面から外方に向けて大きな圧力が加わる。コンクリートの流し込みにより押されて、型枠パネルの位置が変わらないように、型枠パネルは型枠合板に貫通されたセパレータ軸体により連結されて組み立てられる。
従来は、型枠パネルを組み立てる際には、セパレータ軸体の両端部のねじ部に、型枠間隔保持用コーンの内方の雌ねじ部が螺合されて、セパレータ軸体と2つの型枠間隔保持用コーンとが一体とされ、型枠間隔保持用コーンの外方のねじ軸体が、対向された型枠合板の貫通孔に貫通される。そして、前記ねじ軸体に型枠締結具が螺合されて、型枠パネルの周囲の桟木に接するように配設された鋼管が、楔体を介して型枠締結具を締め付けるようにして型枠パネルが組み立てられていた。
コンクリートが流し込まれる空間が狭く、作業員が中に入れない場合には、型枠パネルに貫通された小さな貫通孔に、型枠パネルの外方から手さぐりで、前記ねじ軸体を挿通させる必要があり、挿通作業は困難な作業であった。また、ねじ軸体に型枠締結具を螺合させる作業も、相当な回数の回動操作を必要とし、手間がかかる作業であった。
一方、コンクリートが流し込まれ、コンクリートが固化した後の型枠パネルの取外しは、楔体が外され、型枠パネルを締め付けていた鋼管が外され、型枠間隔保持用コーンのねじ軸体から型枠締結具が螺脱され、固化したコンクリートから型枠パネルが剥がされ、その後に各々の型枠間隔保持用コーンが取り外されていた。
しかし、コンクリートの付着力により、型枠合板が固化したコンクリートに付着した状態となっているため、型枠パネルの端部にバールの尖端部を挿し込んで、固化したコンクリートから剥がすようにして、型枠パネルを取外す必要があり、型枠パネルの取外し作業は、危険であると共に手間がかかる作業であった。また、型枠間隔保持用コーンの外方側の拡径側の凹部に、セメントペーストが侵入して固化した場合には、型枠間隔保持用コーンを取り外すことは大変困難となり、手間がかかるだけでなく、固化したコンクリートの中から間隔保持用コーンを取り出すことが非常に困難な場合もあった。
上記のように、コンクリートを流し込む型枠パネルの組立・取外し作業は、組み立てる際にも、取り外す際にも手間がかかる作業であった。そこで、型枠パネルの組み立て作業を、効率的に行うことを目的として、型枠間隔保持用コーンと型枠締結具との装着にあたって、型枠締結具を固定させるための相当な回数の回動操作が省略できる型枠締結具の技術が、特許文献1に開示されている。
特許文献1に記載の技術は、セパレートコーンから延び、型枠合板から外方に突出された連結ピン4には、軸方向に形成された長孔4dを備えさせ、連結ピン4が挿入される連結ピン挿入筒5には、前記長孔4dと位置ずれされるように、軸方向に長孔5dを備えさせている。そして、軸の側方から長孔4d,5dを貫通させるくさび6が、2つの長孔4d,5dの位置をずらせるように押し込まれる。
くさび6の押し込みにより、長孔4d,5dの位置がずれて、連結ピン4を有する型枠間隔保持用コーンと、連結ピン挿入筒5を有する型枠締結具とが強固に締結されるとしている。これにより、従来、型枠間隔保持用コーンの雄ねじ部に、型枠締結具を固定させるために必要とされていた相当な回数の回動操作が省略でき、型枠締結具を装着させる作業が効率的になるとされている。
しかし、この特許文献1に記載の技術によれば、前記回動操作が省略でき、型枠組立作業が効率化される反面、コンクリートを密実に流し込むために型枠に振動を加えると、くさび6が浮き上がって外れる可能性があるという課題があった。更に、くさび6が外れた場合には、型枠間隔保持用コーンと型枠締結具が螺合されていないため、型枠パネルが膨らんだ状態となり、更には型枠パネルが崩壊してしまう可能性があるという課題があった。
一方、特許文献1の技術を適用した型枠パネルを、固化したコンクリートから取り外す際には、くさび6を抜き、連結ピン挿入筒5を外し、型枠1をコンクリート面から剥がし、連結ピン4とともに型枠間隔保持用コーンを取り外す、という工程で型枠取外し作業が行われる。そうすると、型枠1の剥がし作業と、型枠間隔保持用コーンの取外し作業にあたっては、従来同様に手間がかかるという課題があった。
実開昭62‐96437号公報
そこで、本願の発明者は、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとの間に型枠合板を挟んだままで、型枠間隔保持用コーンをセパレータのねじ軸体から螺脱させることにより、型枠パネルと型枠間隔保持用コーンを一体に取外して、型枠パネルの剥がし作業と型枠間隔保持用コーンの取外し作業に手間がかかるという課題を解決させる型枠間隔保持用コーンの技術を提供することを課題とした。
更に、新たにコンクリートを流し込む型枠パネルを、取外した型枠間隔保持用コーンと型枠パネルと型枠締結具とを、一体としたままで組み立てることにより、構築物の型枠組立作業を容易かつ効率的に行うことができる型枠組立工法を提供することを課題とした。
本発明の第1の発明は、外方に拡径される円錐台形状の本体部と、雌ねじ部と、雄ねじ軸体とを備えた型枠間隔保持用コーンにおいて、前記雌ねじ部は、本体部の縮径側に備えられ、セパレータ軸体端部に螺合され、前記雄ねじ軸体は、本体部の拡径側に備えられ、型枠締結具雌ねじ部に螺合されると共に、共回り手段を有し、前記共回り手段は、前記型枠締結具を前記雄ねじ軸体から螺脱方向に軸動させて、コンクリートが固化した後に型枠を取り外す際に、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを共回り状態とさせ、型枠締結具を軸動させることにより、セパレータ軸体端部から型枠間隔保持用コーンが螺脱され、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンと型枠パネルとが一体のまま、固化したコンクリート面から取り外されることを特徴としている。
共回り手段は、型枠間隔保持用コーンに型枠締結具を取り付ける際には共回り状態とされず、型枠パネルを取り外す際に共回り状態とされる。共回り手段は、型枠間隔保持用コーンに一体に備えられていてもよく、型枠締結具が螺合されて型枠が組み立てられてから、例えば細軸体、割ピン、ナット等が型枠間隔保持用コーンに取り付けられて共回り手段とされてもよい。
型枠締結具の形態は限定されず、例えば、型枠間隔保持用コーンの雄ねじ軸体の軸方向に竿体として延びてもよく、雄ねじ軸体の軸方向の両側に二股に分かれて、ねじ軸体を挟むように延びてもよい。
型枠間隔保持用コーンは、型枠合板に接する外方側が拡径側、コンクリートに接する内方側が縮径側とされている。そうすると、型枠間隔保持用コーンが、固まったコンクリートの中のセパレータ軸体端部から僅かでも螺脱されれば、型枠間隔保持用コーンとコンクリートとの間に隙間があいて摩擦がなくなる。そして、型枠締結具と型枠パネルと型枠間隔保持用コーンとが一体となった状態で容易に螺脱される。
型枠間隔保持用コーンの拡径側には雄ねじ軸体が形成され、前記雄ねじ軸体が型枠締結具の雌ねじ部に螺合されているため、型枠パネルに振動が加えられても型枠締結具と型枠パネルとが弛むことがない。雄ねじ軸体と雌ねじ部が共回りされない状態では、雄ねじ軸体に対して雌ねじ部が軸動自在で締め込み容易であり、共回り状態では、雄ねじ軸体と雌ねじ部が同期してのみ軸動される。これにより、共回り状態では、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとが一体に軸動され、型枠締結具を軸動させることにより、型枠間隔保持用コーンが固化したコンクリートの中のセパレータ軸体端部から螺脱される。
型枠パネルに整列した状態に並んだ型枠間隔保持用コーンを、型枠パネルが破損しない反りの範囲となるように、型枠パネルの端部から順に、固まったコンクリートから離間させて、全ての型枠間隔保持用コーンがセパレータ軸体端部から螺脱されて取り外される。型枠パネルが反りにくい場合には、型枠パネルの端部から順に型枠間隔保持用コーンを僅かずつ離間させ、これを繰り返して、全ての型枠間隔保持用コーンを螺脱させればよい。
本発明の第1の発明によれば、固まったコンクリートから型枠パネルを、バールの尖端部を使って剥がすようにして取り外さなくてもよく、また固まったコンクリートの中に埋まった型枠間隔保持用コーンを一体ずつ取り外さなくてもよいため、型枠取外し作業が極めて容易かつ安全になるという有利な効果を奏する。
本発明の第2の発明は、第1の発明の型枠間隔保持用コーンであって、前記共回り手段が、型枠締結具を前記雄ねじ軸体から螺脱方向に軸動させて、型枠締結具を型枠合板から離間させてから、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを共回り状態とさせることを特徴としている。
型枠締結具が螺脱方向に軸動されて型枠合板から離間されると、型枠合板と型枠締結具との間に隙間があく。そうすると、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを共回りさせて、セパレータ軸体端部から型枠間隔保持用コーンを螺脱させる際に、型枠合板と型枠締結具との間に摩擦力が生じない。第2の発明によれば、型枠間隔保持用コーンを螺脱させる際に大きな力を必要とせず、作業員の人力だけでも型枠間隔保持用コーンをセパレータ軸体端部から螺脱させることが容易である。
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明の型枠間隔保持用コーンであって、前記共回り手段として、前記雄ねじ軸体に貫通された貫通孔を含み、前記貫通孔が、前記雄ねじ軸体に、軸方向に交差する方向に貫通されていることを特徴としている。
型枠間隔保持用コーンの外方側に延びる雄ねじ軸体に、軸方向に交差する方向に貫通された貫通孔が、共回り手段を構成する。貫通孔には、例えば、「R」文字の形状をした脱落防止機能を備えた割ピンや、細釘等が挿し込まれる。細釘が挿し込まれる場合には、型枠締結具が螺脱方向に軸動されることにより、貫通孔壁に細釘が押圧され挟みこまれた状態となり脱落しないようになる。第3の発明によれば、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを、容易に共回り状態とすることができる。
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明の型枠間隔保持用コーンであって、前記共回り手段として、前記雄ねじ軸体に凹部を含み、前記凹部が、前記雄ねじ軸体に、軸方向に交差する方向に穿孔されていることを特徴としている。
凹部は、雄ねじ軸体の側面の一方のみに備えられていてもよく、両面に備えられていてもよい。凹部に、雄ねじ軸体の側面から突出されるように、嵌合軸体が挿し込まれて、共回り手段とされればよい。凹部の内壁に雌ねじ部が形成されていてもよい。雌ねじ部が形成される場合には、凹部の中に、雄ねじ軸体の表面から突出しないように、雄ねじを雌ねじ部に螺合させるようにすればよい。
前記雄ねじが締め込まれて、雄ねじ軸体の側面から突出されていない状態で、型枠締結具が締め込まれる。また、前記雄ねじが弛められて、雄ねじ軸体の側面から突出された状態で、共回り手段として作用するようにされればよい。これとは別に、前記雌ねじ部に、別体の雄ねじ体が、前記雄ねじ軸体の側面から突出される状態に挿し込まれて、共回り手段として作用するようにされてもよい。第4の発明によれば、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを、容易に共回り状態とすることができる。
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明の型枠間隔保持用コーンであって、前記共回り手段として、段状雄ねじ部を含み、前記段状雄ねじ部は、前記雄ねじ軸体の外方のねじ部の太さが、型枠締結具が螺合される内方のねじ部の太さよりも細いことを特徴としている。
外方の細いねじ部には、内方のねじ部に型枠締結具が螺合されてから、ナットが螺合される。型枠締結具を螺脱方向に軸動させて弛めると、型枠締結具が前記ナットに当接して、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとが共回り状態とされる。第5の発明によれば、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを、容易に共回り状態とすることができる。
本発明の第6の発明は、第1から第5の発明の型枠間隔保持用コーンであって、前記共回り手段として、前記雄ねじ軸体の両面に平行に切除された切除部を含み、前記切除部が、前記雄ねじ軸体に、軸方向に交差する方向に切除されていることを特徴としている。
切除部が雄ねじ軸体に備えられる位置は、雄ねじ軸体の基端に近い位置であっても、先方に近い位置であってもよく限定されない。雄ねじ軸体の切除部と、前記切除部を両側から挟みこむ部材とが共回り手段を構成する。前記部材が切除部に挟まれた状態で、前記部材が雄ねじ軸体と共回りされ、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとが共回りされ、型枠締結具を螺脱方向に軸動させると、型枠間隔保持用コーンがセパレータ軸体端部から螺脱される。第6の発明によれば、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを、容易に共回り状態とすることができる。
本発明の第7の発明は、コンクリートが固化した後に型枠パネルを取り外す型枠取外し工法であって、型枠間隔保持用コーンの雄ねじ軸体に螺合された型枠締結具と、型枠間隔保持用コーンとを共回り状態とさせてから、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを一体に軸動させて、型枠間隔保持用コーンをセパレータ軸体端部から螺脱させて、型枠間隔保持用コーンと型枠パネルと型枠締結具とを固まったコンクリートから離間させる工程を含むことを特徴としている。
本発明の第7の発明の型枠取外し工法は、型枠締結具と、型枠パネルと、型枠間隔保持用コーンとを一体にした状態で、コンクリート面から取り外すようにさせる。型枠合板には、縦方向、横方向とも所定の間隔に、型枠間隔保持用コーンが取り付けられている。型枠パネルの端部に近いものから、順に、型枠間隔保持用コーンをセパレータ軸体端部から取り外すようにする。そうすると、型枠合板と桟木が一体となった型枠パネルが反りやすく、型枠パネルが破損されにくい。
型枠パネルの中央部に近い型枠間隔保持用コーンを、固まったコンクリートから離間させる場合、又は型枠間隔保持用コーンの配設間隔が小さく、型枠パネルが反りにくい場合には、各々の型枠間隔保持用コーンを少しずつ、セパレータ軸体端部から弛めるようにしていけばよい。そうすると、型枠パネルが大きく反ることはなく、型枠パネルを破損させる怖れがなく、取外しに大きな力が必要とならない。
型枠パネルが破損されない反りの範囲で、型枠間隔保持用コーンがセパレータ軸体端部から弛められ、型枠間隔保持用コーンの周囲のコンクリートと型枠との付着がなくなった状態で、型枠パネルが固まったコンクリート面から離間される。これにより、型枠間隔保持用コーンと型枠パネルと型枠締結具とを一体としたまま、作業員の人力による力で型枠パネルを容易かつ安全に取り外すことができる。
取り外された型枠パネルは、型枠間隔保持用コーンと型枠締結具と一体のまま、コンクリートを流し込む型枠パネルとして使用されてもよい。一体のまま使用すると、型枠間隔保持用コーンの雄ねじ軸体に型枠締結具を螺合させる相当な回数の回動操作が省略でき、型枠パネルの組立が容易かつ効率的になる。また、型枠パネルと、型枠間隔保持用コーンと、型枠締結具とが分離されてから、コンクリートを流し込む型枠パネルが組み立てられてもよいことは勿論のことである。
第7の発明で使用される型枠間隔保持用コーンは、第1から第4の発明の型枠間隔保持用コーンに限定されない。周知の型枠間隔保持用コーンの雄ねじ軸体に、型枠締結具の螺脱を規制する弛み止めナット等の弛み止め手段を装着させて、型枠締結具と、型枠間隔保持用コーンとを共回り状態とさせてもよいことは勿論のことである。
本発明の第8の発明の型枠組立工法は、コンクリートを流し込む型枠パネルを組み立てる型枠組立工法であって、第7の発明の型枠取外し工法によって取り外され、型枠パネルの内方側から型枠間隔保持用コーンと、型枠パネルと、型枠締結具とが一体とされたままの型枠パネルが、コンクリートを流し込む型枠パネルの一面として組み立てられることを特徴としている。
従来は、縦方向一列ずつの型枠に、所定の間隔でセパレータ軸体が固定されて、順に、一つの面をなすように、一方の面の型枠パネルが一体に組み立てられる。そして、対向する面の型枠パネルには、他方のセパレータ軸体を挿通させるようにして、縦方向一列ずつの型枠パネルが、順に組み立てられていた。すなわち、他の場所と同一の形状をなすように、構築物の型枠パネルが組み立てられる場合でも、縦方向一列ずつの型枠パネルが、各構成部材を組み立てるようにして、各々の面の型枠パネルが組み立てられていた。
本発明の第8の発明によれば、第7の発明の型枠取外し工法によって取り外され、型枠間隔保持用コーンと、型枠パネルと、型枠締結具とが一体とされたままの状態で、コンクリートを流し込む型枠パネルの一面が組み立てられる。これにより、型枠組立の手間が大幅に低減され、型枠組立作業が容易になると共に型枠組立工期も短縮することができる。
・本発明の第1の発明によれば、固まったコンクリートから型枠パネルを、バールの尖端部を使って剥がすようにして取り外さなくてもよく、また固まったコンクリートの中に埋まった型枠間隔保持用コーンを一体ずつ取り外さなくてもよいため、型枠取外し作業が極めて容易かつ安全になるという有利な効果を奏する。
・本発明の第2の発明によれば、型枠間隔保持用コーンを螺脱させる際に大きな力を必要とせず、作業員の人力だけでも型枠間隔保持用コーンをセパレータ軸体端部から螺脱させることが容易である。
・本発明の第3から第6の発明によれば、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを、容易に共回り状態とすることができる。
・本発明の第7の発明によれば、型枠間隔保持用コーンと型枠パネルと型枠締結具とを一体としたまま、作業員の人力による力で型枠パネルを容易かつ安全に取り外すことができる。
・本発明の第8の発明によれば、型枠組立の手間が大幅に低減され、型枠組立作業が容易になると共に型枠組立工期も短縮することができる。
ピーコーン1の説明図(実施例1)。 型枠取外し工程の説明図(実施例1)。 型枠取外し工法の説明図(実施例1)。 型枠組立工法の説明図(実施例1)。 ピーコーン2の説明図(実施例2)。 ピーコーン3の説明図(実施例3)。 ピーコーン4の説明図(実施例4)。 型枠取外し工程の説明図(実施例4)。
実施例1では、図1を参照して型枠間隔保持用コーン(以下「ピーコーン」という。)の構成を説明し、図2を参照して型枠取外し工程を説明し、図3と図4を参照して型枠取外し工法と型枠組立工法を説明する。図1(A)図はピーコーン1の斜視図を示し、図1(B)図はピーコーン1の構成を説明する一部切欠断面図であり、図1(C)図はピーコーン1の側面図を示している。図2は固まったコンクリート100から一本のピーコーン1と型枠パネル200と型枠締結具300とを螺脱させる工程を示す一部切欠断面図である。図3(A)図は複数の型枠締結具300が取り付けられた型枠パネル200を固まったコンクリート100から取り外す工法を示している。図3(B)図と図4は、図3(A)図で示した取外した型枠パネル200を使った型枠組立工法を示している。
ピーコーン1は、本体部10の形状は円錐台形状とされ、型枠合板201に接する側の外方が拡径とされ、コンクリートに接される側の内方が縮径され、拡径側には凹部11が備えられている(図1(A)図、図1(B)図参照)。拡径側の軸線上には雄ねじ軸体20が備えられている。凹部11には、六角形状とされた雄ねじ軸体の基部12が備えられている。型枠締結具300は、雄ねじ軸体の軸方向の両側に二股301に分かれた状態とされている。雄ねじ軸体20の先方には、ねじ部21が備えられ、型枠締結具の二股基部に備えられたナット部302に螺合される(図2参照)。ねじ部21の先方にはピーコーン1と型枠締結具とを共回りさせる共回り手段をなす貫通孔22が、雄ねじ軸体20の軸体に交差する方向に貫通されている。
貫通孔22には、型枠締結具を締め付ける際には、貫通孔から側方に突出されたものがないため、型枠締結具300は、ピーコーン1に従来工法の場合と同様に螺合されて取り付けられる。そして、ピーコーン1に型枠締結具300が取り付けられた後に、略「R」文字の形状をした割りピン23が嵌め込まれる(図1(A)図参照)。貫通孔22は、締め付けられたナット部302の表面よりも僅かに離間した位置、例えば数mm離間した位置に貫通されている。ナット部302の表面から僅かに離間した距離に貫通孔22が備えられているため、割りピン23が挿し込みやすい。
ここで図2を参照して、型枠取外し工法を説明する。図2(A)図は型枠締結具300が弛められていない状態、図2(B)図は型枠締結具300が螺脱方向に軸動され、前記ナット部302の表面が割りピン23に接した状態、図2(C)図は型枠締結具300とピーコーン1とが共回りして、セパレータ軸体端部400に螺合されていた縮径側の雌ねじ部13(図1(B)参照)が螺脱して、ピーコーン1と型枠締結具300が型枠合板201を挟んで取り外された状態を示している。
型枠パネル200を取り外すには、まず楔体310と鋼管320を型枠締結具300から外し、型枠締結具300を軸動可能な状態とする。そして、ピーコーン1に割りピン23が挿し込まれたままの状態で、型枠締結具300を螺脱方向に軸動させると、型枠締結具300が型枠合板201から離間されてから、前記ナット部302の表面が割りピン23に接する状態となる。ナット部302の表面が割りピン23に接すると、ナット部302は雄ねじ軸体20に対して軸動できない状態となり、ナット部302と雄ねじ軸体20とが共回りする状態とされる(図2(B)図参照)。
型枠締結具300とピーコーン1とを共回り状態とさせたまま、型枠締結具300を螺脱方向に軸動させると、ピーコーンの雌ねじ部13(図1(B)参照)は、セパレータ軸体端部400に対して螺脱方向に軸動されて、ピーコーン1はセパレータ軸体端部400から螺脱される(図2(C)図参照)。
図3(A)図には、固まったコンクリート100から、ピーコーン1と型枠パネル200と型枠締結具300を取り外す状態を示している。まず、中段の楔体311と鋼管315、及び下段の楔体312と鋼管316は外さないで、上段の楔体313と鋼管314を取外して、上段のピーコーン330を型枠締結具340と共回り状態とさせる。そして、上段のピーコーン330と型枠パネル200と上段の型枠締結具340とを一体の状態としたまま、セパレータ軸体端部400から螺脱させ、固まったコンクリート100から型枠パネル200を反らせるようにして離間させるようにする。ピーコーン330をセパレータ軸体端部400から螺脱させてから、型枠締結具340に鋼管314と楔体313を復帰させる。この作業を全ての上段の型枠締結具340について行いながら、水平方向に並んだ型枠パネル200が連結された状態を維持するようにする(図4参照)。
次に、中段の楔体311と中段の鋼管315を取外して、上段のピーコーン330の取外しと同様にして、中段のピーコーン331をセパレータ軸体端部から螺脱させ、固まったコンクリート100から型枠パネル200を離間させるようにする。そして、中段のピーコーン331も、セパレータ軸体端部から螺脱させてから、型枠締結具341に鋼管315と楔体311を復帰させる。下段についても、同様にして、ピーコーン332をセパレータ軸体端部から螺脱させ、型枠締結具342に鋼管316と楔体312を復帰させ、水平方向に並んだ型枠パネル200が連結された状態を維持するようにする(図4参照)。
そうすると、型枠パネル200は図3(B)図に示したように、ピーコーン1と型枠締結具320が型枠合板201を挟み、型枠締結具300には楔体310を介して鋼管320が締め付けられ、水平方向に並んだ複数の型枠パネル200が一体にされた状態で取り外される(図4参照)。そして、鋼管320により締め付けられて、水平方向に並んだ複数の型枠パネル200が一体にされた状態で、型枠パネルが組み立てられたまま、揚重機で吊り上げられて移動されて、別の場所でコンクリートを流し込む型枠パネルとして組み立てられる(図4参照)。
実施例2では、図5を参照してピーコーン2の構成を説明する。図5(A)図はピーコーン2の斜視図を示し、図5(B)図はピーコーン2の構成を説明する一部切欠断面図であり、図5(C)図はピーコーン2の外方からの側面図を示している。実施例1のピーコーン1と同一の構成の部分は、図に同一の符号を付して説明を省略している。
ピーコーン2の拡径側の軸線上には雄ねじ軸体20が備えられている。雄ねじ軸体の先方のねじ部21には、ピーコーン2と型枠締結具とを共回りさせる共回り手段をなす凹部24が、雄ねじ軸体の軸体に交差する方向に穿孔されている。凹部24の内部には、雄ねじ軸体20の軸体に交差する方向に、細径雌ねじ部が備えられている。
細径雌ねじ部を有する凹部24には、細径ねじ軸体25が螺合されている。細径ねじ軸体25の長さは、凹部24の深さよりも短く、細径ねじ軸体25を締め込んだ状態では、細径ねじ軸体25の頂部は、雄ねじ軸体のねじ部から突出されず、雄ねじ軸体20の端部から型枠締結具300が締め込み可能な状態とされる。ピーコーン2に型枠締結具300が締め込まれ、細径ねじ軸体25が弛められて、雄ねじ軸体のねじ部21から突出された状態(図5(B)図、図5(C)図参照)では、型枠締結具300が有するナット部302(図2参照)は細径ねじ軸体25に当接し、細径ねじ軸体25から外方に弛められない状態とされ、凹部24と細径ねじ軸体25とが共回り手段とされる。
ピーコーン2と型枠パネル200と型枠締結具300とを一体としたまま型枠パネルを取り外す型枠取外し工法、及び型枠組立工法は、実施例1の場合と同様であるのでここでは説明を省略している。実施例3、及び実施例4のピーコーンについても同様に、型枠取外し工法、及び型枠組立工法の説明を省略している。
実施例3では、図6を参照してピーコーン3の構成を説明する。図6(A)図はピーコーン3の斜視図を示し、図6(B)図はピーコーン3の構成を説明する一部切欠断面図であり、図6(C)図はピーコーン3の外方からの側面図を示している。
実施例1のピーコーン1と同一の構成の部分は、図に同一の符号を付して説明を省略している。ピーコーン3の拡径側の軸線上には雄ねじ軸体20が備えられている。雄ねじ軸体の先方のねじ部は、ピーコーン3と型枠締結具とを共回りさせる共回り手段をなす段状雄ねじ部26とされている。
段状雄ねじ部26は、前記雄ねじ軸体20の外方のねじ部の太さが、型枠締結具が螺合される内方部の太さよりも細いねじ部27とされている。この細いねじ部27にナット28が締め込まれて、ピーコーン3と型枠締結具300とが共回りされる状態とされる。ナット28が締め込まれていない状態が、雄ねじ軸体の端部から型枠締結具300を締め込み可能な状態とされる。ピーコーン3に型枠締結具300が締め込まれ、ナット28が締め込まれた状態では(図6(B)図、図6(C)図参照)では、型枠締結具300はナット28から外方に弛められない状態とされ、細いねじ部27とナット28とが共回り手段とされる。
実施例4では、図7と図8を参照して型枠間隔保持用コーン4の構成を説明する。図7(A)図はピーコーン4の斜視図を示し、図7(B)図は図7(A)図A−A位置の断面端面図を示している。図7(C)図はピーコーン4と共回り手段をなす嵌合部材の斜視図を示している。図7(D)図は、ピーコーン4の雄ねじ軸体に型枠締結具500(図8参照)の竿体502が螺合され、共回りされる状態の要部斜視図を示している。図8(A)図はピーコーン4と型枠パネル200と型枠締結具500とが一体に締め付けられている状態の一部切欠断面図を示し、図8(B)図は型枠締結具500を螺脱方向に軸動させて嵌合部材50を嵌め合わせる前の状態の一部切欠断面図を示している。
ピーコーン4の雄ねじ軸体20の両側面には、軸方向に交差する方向に平行をなす切削部40が形成されている(図7(B)図参照)。ピーコーン4には、雌ねじ部の軸方向に竿体502が延びると共に、端部につば部501が備えられた型枠締結具500が螺合される(図7(D)図、図8(A)図参照)。ピーコーン4の雄ねじ軸体20に型枠締結具500が螺合された状態では、雄ねじ軸体の側面に形成された切削部40は、型枠締結具の竿体502の中に格納された状態とされている(図8(A)図参照)。
嵌合部材50は、内部に空洞部51を有し、下方が開放された略矩形形状をなし、向かい合う側面2面に下方が開放されたスリットが設けられている(図7(C)図参照)。一方のスリット52は、両面の切削部40の距離αに適合した第1の幅とされ、他方のスリット53は前記竿体502の外径βに適合した第2の幅とされ、前記空洞部51は型枠締結具のつば部501が格納可能な大きさの空間とされている。
まず、ピーコーン4の雄ねじ軸体20に対して型枠締結具500の端部に装着され、外れ止め部503に当接されるナット504を螺脱方向に軸動させ、前記切削部40が型枠締結具の竿体502から外部に現れた状態とし、嵌合部材50が嵌め合わせ可能な被嵌合側の状態とされる(図7(D)図、図8(B)図参照)。そして、切削部40の切削面に沿った方向に嵌合部材50の第1の幅を有するスリット52の開方部の位置が合わせられ、型枠締結具のつば部501を空洞部51に格納しながら、第2の幅を有するスリット53に竿部を嵌めるようにして、第1の幅を有するスリット52に切削部40を挟むように適合させて、嵌合部材50が嵌めこまれる(図8(B)図破線参照)。
更に、ナット504を螺脱方向に軸動させると、嵌合部材50の第2のスリットの内壁54に前記つば部501が接した状態となり、型枠締結具500とピーコーン4とは共回り状態とされる。型枠締結具500とピーコーン4とは共回り状態とされてからは、他の実施例と同様にして、ピーコーン4がセパレータ軸体端部400から螺脱される。他の実施例と同様に、実施例4においても、ピーコーン4と型枠パネル200と型枠締結具500が一体とされた状態で型枠パネルが取外され、また一体の状態で型枠パネルが組立可能とされる。
(その他)
・上記の実施例では、市販されている型枠締結具を使った共回り手段を説明したが、新たな形状の型枠締結具と本発明のピーコーンとが共回り手段とされてもよいことは勿論のことである。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,2,3,4…ピーコーン、
100…固まったコンクリート、200…型枠パネル、201…型枠合板、
300…型枠締結具、301…二股、302…ナット部、
10…本体部、11…凹部、13…雌ねじ部、
20…雄ねじ軸体、21…ねじ部、22…貫通孔、23…割りピン、24…凹部、
25…細径ねじ軸体、26…段状雄ねじ部、27…ねじ部、28…ナット、40…切削部、
50…嵌合部材、51…空洞部、52…スリット、53…スリット、54…内壁、
310,311,312,313…楔体、
314,315,315,320…鋼管、
330,331,332…ピーコーン、
340,341,342…型枠締結具、
400…セパレータ軸体端部、
500…型枠締結具、501…つば部、502…竿体、503…外れ止め部、504…ナット
本発明は、型枠パネルに流し込んだコンクリートが固化してから、型枠パネルと型枠間隔保持用コーンとを、固化したコンクリートから容易に取り外すことができる型枠間隔保持用コーン、及び型枠取外し工法及び型枠組立工法に関する。
型枠パネルは、型枠合板の周囲に桟木が釘止めされて構成される。型枠パネルには、コンクリートの流し込みによって、型枠パネルの内面から外方に向けて大きな圧力が加わる。コンクリートの流し込みにより押されて、型枠パネルの位置が変わらないように、型枠パネルは型枠合板に貫通されたセパレータ軸体により連結されて組み立てられる。
従来は、型枠パネルを組み立てる際には、セパレータ軸体の両端部のねじ部に、型枠間隔保持用コーンの内方の雌ねじ部が螺合されて、セパレータ軸体と2つの型枠間隔保持用コーンとが一体とされ、型枠間隔保持用コーンの外方のねじ軸体が、対向された型枠合板の貫通孔に貫通される。そして、前記ねじ軸体に型枠締結具が螺合されて、型枠パネルの周囲の桟木に接するように配設された鋼管が、楔体を介して型枠締結具を締め付けるようにして型枠パネルが組み立てられていた。
コンクリートが流し込まれる空間が狭く、作業員が中に入れない場合には、型枠パネルに貫通された小さな貫通孔に、型枠パネルの外方から手さぐりで、前記ねじ軸体を挿通させる必要があり、挿通作業は困難な作業であった。また、ねじ軸体に型枠締結具を螺合させる作業も、相当な回数の回動操作を必要とし、手間がかかる作業であった。
一方、コンクリートが流し込まれ、コンクリートが固化した後の型枠パネルの取外しは、楔体が外され、型枠パネルを締め付けていた鋼管が外され、型枠間隔保持用コーンのねじ軸体から型枠締結具が螺脱され、固化したコンクリートから型枠パネルが剥がされ、その後に各々の型枠間隔保持用コーンが取り外されていた。
しかし、コンクリートの付着力により、型枠合板が固化したコンクリートに付着した状態となっているため、型枠パネルの端部にバールの尖端部を挿し込んで、固化したコンクリートから剥がすようにして、型枠パネルを取外す必要があり、型枠パネルの取外し作業は、危険であると共に手間がかかる作業であった。また、型枠間隔保持用コーンの外方側の拡径側の凹部に、セメントペーストが侵入して固化した場合には、型枠間隔保持用コーンを取り外すことは大変困難となり、手間がかかるだけでなく、固化したコンクリートの中から間隔保持用コーンを取り出すことが非常に困難な場合もあった。
上記のように、コンクリートを流し込む型枠パネルの組立・取外し作業は、組み立てる際にも、取り外す際にも手間がかかる作業であった。そこで、型枠パネルの組み立て作業を、効率的に行うことを目的として、型枠間隔保持用コーンと型枠締結具との装着にあたって、型枠締結具を固定させるための相当な回数の回動操作が省略できる型枠締結具の技術が、特許文献1に開示されている。
特許文献1に記載の技術は、セパレートコーンから延び、型枠合板から外方に突出された連結ピン4には、軸方向に形成された長孔4dを備えさせ、連結ピン4が挿入される連結ピン挿入筒5には、前記長孔4dと位置ずれされるように、軸方向に長孔5dを備えさせている。そして、軸の側方から長孔4d,5dを貫通させるくさび6が、2つの長孔4d,5dの位置をずらせるように押し込まれる。
くさび6の押し込みにより、長孔4d,5dの位置がずれて、連結ピン4を有する型枠間隔保持用コーンと、連結ピン挿入筒5を有する型枠締結具とが強固に締結されるとしている。これにより、従来、型枠間隔保持用コーンの雄ねじ部に、型枠締結具を固定させるために必要とされていた相当な回数の回動操作が省略でき、型枠締結具を装着させる作業が効率的になるとされている。
しかし、この特許文献1に記載の技術によれば、前記回動操作が省略でき、型枠組立作業が効率化される反面、コンクリートを密実に流し込むために型枠に振動を加えると、くさび6が浮き上がって外れる可能性があるという課題があった。更に、くさび6が外れた場合には、型枠間隔保持用コーンと型枠締結具が螺合されていないため、型枠パネルが膨らんだ状態となり、更には型枠パネルが崩壊してしまう可能性があるという課題があった。
一方、特許文献1の技術を適用した型枠パネルを、固化したコンクリートから取り外す際には、くさび6を抜き、連結ピン挿入筒5を外し、型枠1をコンクリート面から剥がし、連結ピン4とともに型枠間隔保持用コーンを取り外す、という工程で型枠取外し作業が行われる。そうすると、型枠1の剥がし作業と、型枠間隔保持用コーンの取外し作業にあたっては、従来同様に手間がかかるという課題があった。
実開昭62‐96437号公報
そこで、本願の発明者は、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとの間に型枠合板を挟んだままで、型枠間隔保持用コーンをセパレータのねじ軸体から螺脱させることにより、型枠パネルと型枠間隔保持用コーンを一体に取外して、型枠パネルの剥がし作業と型枠間隔保持用コーンの取外し作業に手間がかかるという課題を解決させる型枠間隔保持用コーンの技術を提供することを課題とした。
更に、新たにコンクリートを流し込む型枠パネルを、取外した型枠間隔保持用コーンと型枠パネルと型枠締結具とを、一体としたままで組み立てることにより、構築物の型枠組立作業を容易かつ効率的に行うことができる型枠組立工法を提供することを課題とした。
本発明の第1の発明は、外方に拡径される円錐台形状の本体部と、雌ねじ部と、雄ねじ軸体とを備えた型枠間隔保持用コーンにおいて、前記雌ねじ部は、前記本体部の縮径側に備えられ、セパレータ軸体端部に螺合され、前記雄ねじ軸体は、前記本体部の拡径側に備えられ、型枠締結具雌ねじ部に螺合されると共に、共回り手段を有し、前記共回り手段は、前記型枠締結具を前記雄ねじ軸体から螺脱方向に軸動させて、コンクリート固化後に型枠パネルを取り外す際に、前記型枠締結具と前記型枠間隔保持用コーンとが一体に軸動される共回り状態とさせ、前記共回り状態とされた前記型枠締結具を軸動させることにより、前記セパレータ軸体端部から前記型枠間隔保持用コーンが螺脱され、前記型枠締結具と前記型枠間隔保持用コーンと前記型枠パネルとが一体のまま、固化したコンクリート面から取り外されることを特徴としている。
共回り手段は、型枠間隔保持用コーンに型枠締結具を取り付ける際には共回り状態とされず、型枠パネルを取り外す際に共回り状態とされる。共回り手段は、型枠間隔保持用コーンに一体に備えられていてもよく、型枠締結具が螺合されて型枠が組み立てられてから、例えば細軸体、割ピン、ナット等が型枠間隔保持用コーンに取り付けられて共回り手段とされてもよい。
型枠締結具の形態は限定されず、例えば、型枠間隔保持用コーンの雄ねじ軸体の軸方向に竿体として延びてもよく、雄ねじ軸体の軸方向の両側に二股に分かれて、ねじ軸体を挟むように延びてもよい。
型枠間隔保持用コーンは、型枠合板に接する外方側が拡径側、コンクリートに接する内方側が縮径側とされている。そうすると、型枠間隔保持用コーンが、固まったコンクリートの中のセパレータ軸体端部から僅かでも螺脱されれば、型枠間隔保持用コーンとコンクリートとの間に隙間があいて摩擦がなくなる。そして、型枠締結具と型枠パネルと型枠間隔保持用コーンとが一体となった状態で容易に螺脱される。
型枠間隔保持用コーンの拡径側には雄ねじ軸体が形成され、前記雄ねじ軸体が型枠締結具の雌ねじ部に螺合されているため、型枠パネルに振動が加えられても型枠締結具と型枠パネルとが弛むことがない。雄ねじ軸体と雌ねじ部が共回りされない状態では、雄ねじ軸体に対して雌ねじ部が軸動自在で締め込み容易であり、共回り状態では、雄ねじ軸体と雌ねじ部が同期してのみ軸動される。これにより、共回り状態では、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとが一体に軸動され、型枠締結具を軸動させることにより、型枠間隔保持用コーンが固化したコンクリートの中のセパレータ軸体端部から螺脱される。
型枠パネルに整列した状態に並んだ型枠間隔保持用コーンを、型枠パネルが破損しない反りの範囲となるように、型枠パネルの端部から順に、固まったコンクリートから離間させて、全ての型枠間隔保持用コーンがセパレータ軸体端部から螺脱されて取り外される。型枠パネルが反りにくい場合には、型枠パネルの端部から順に型枠間隔保持用コーンを僅かずつ離間させ、これを繰り返して、全ての型枠間隔保持用コーンを螺脱させればよい。
本発明の第1の発明によれば、固まったコンクリートから型枠パネルを、バールの尖端部を使って剥がすようにして取り外さなくてもよく、また固まったコンクリートの中に埋まった型枠間隔保持用コーンを一体ずつ取り外さなくてもよいため、型枠取外し作業が極めて容易かつ安全になるという有利な効果を奏する。
本発明の第2の発明は、第1の発明の型枠間隔保持用コーンであって、前記共回り手段が、前記型枠締結具を前記雄ねじ軸体から螺脱方向に軸動させて、前記型枠締結具を型枠合板から離間させてから、前記型枠締結具と前記型枠間隔保持用コーンとを前記共回り状態とさせることを特徴としている。
型枠締結具が螺脱方向に軸動されて型枠合板から離間されると、型枠合板と型枠締結具との間に隙間があく。そうすると、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを共回りさせて、セパレータ軸体端部から型枠間隔保持用コーンを螺脱させる際に、型枠合板と型枠締結具との間に摩擦力が生じない。第2の発明によれば、型枠間隔保持用コーンを螺脱させる際に大きな力を必要とせず、作業員の人力だけでも型枠間隔保持用コーンをセパレータ軸体端部から螺脱させることが容易である。
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明の型枠間隔保持用コーンであって、前記共回り手段として、共回り部材が貫通される貫通孔を含み、前記貫通孔が、前記雄ねじ軸体に、軸方向に交差する方向に貫通され、前記貫通孔に貫通された前記共回り部材と前記型枠締結具とが一体となって、前記型枠締結具と前記型枠間隔保持用コーンとを前記共回り状態とさせることを特徴としている。
型枠間隔保持用コーンの外方側に延びる雄ねじ軸体に、軸方向に交差する方向に貫通された貫通孔が、共回り手段を構成する。貫通孔には、例えば、「R」文字の形状をした脱落防止機能を備えた割ピンや、細釘等が挿し込まれる。細釘が挿し込まれる場合には、型枠締結具が螺脱方向に軸動されることにより、貫通孔壁に細釘が押圧され挟みこまれた状態となり脱落しないようになる。第3の発明によれば、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを、容易に共回り状態とすることができる。
本発明の第4の発明は、第1又は第2の発明の型枠間隔保持用コーンであって、前記共回り手段として、共回り部材が挿し込まれる凹部を含み、前記凹部が、前記雄ねじ軸体に、軸方向に交差する方向に備えられ、前記凹部に挿し込まれた前記共回り部材と前記型枠締結具とが一体となって、前記型枠締結具と前記型枠間隔保持用コーンとを前記共回り状態とさせることを特徴としている。
凹部は、雄ねじ軸体の側面の一方のみに備えられていてもよく、両面に備えられていてもよい。凹部に、雄ねじ軸体の側面から突出されるように、嵌合軸体が挿し込まれて、共回り手段とされればよい。凹部の内壁に雌ねじ部が形成されていてもよい。雌ねじ部が形成される場合には、凹部の中に、雄ねじ軸体の表面から突出しないように、雄ねじを雌ねじ部に螺合させるようにすればよい。
前記雄ねじが締め込まれて、雄ねじ軸体の側面から突出されていない状態で、型枠締結具が締め込まれる。また、前記雄ねじが弛められて、雄ねじ軸体の側面から突出された状態で、共回り手段として作用するようにされればよい。これとは別に、前記雌ねじ部に、別体の雄ねじ体が、前記雄ねじ軸体の側面から突出される状態に挿し込まれて、共回り手段として作用するようにされてもよい。第4の発明によれば、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを、容易に共回り状態とすることができる。
本発明の第5の発明は、第1又は第2の発明の型枠間隔保持用コーンであって、前記共回り手段として、共回り部材が螺合される段状雄ねじ部を含み、前記段状雄ねじ部は、前記雄ねじ軸体の外方のねじ部の太さが、型枠締結具が螺合される内方のねじ部の太さよりも細く、前記外方のねじ部に螺合された前記共回り部材と前記型枠締結具とが一体となって、前記型枠締結具と前記型枠間隔保持用コーンとを前記共回り状態とさせることを特徴としている。
外方の細いねじ部には、内方のねじ部に型枠締結具が螺合されてから、ナットが螺合される。型枠締結具を螺脱方向に軸動させて弛めると、型枠締結具が前記ナットに当接して、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとが共回り状態とされる。第5の発明によれば、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを、容易に共回り状態とすることができる。
本発明の第6の発明は、第1又は第2の発明の型枠間隔保持用コーンであって、前記共回り手段として、共回り部材に挟まれる切削部を含み、前記切削部は、前記雄ねじ軸体の両面に、軸方向に交差する方向に平行に切削されており、前記共回り部材が前記切削部を挟むと共に前記共回り部材と前記型枠締結具とを一体とさせ、前記型枠締結具と前記型枠間隔保持用コーンとを前記共回り状態とさせることを特徴としている。
切除部が雄ねじ軸体に備えられる位置は、雄ねじ軸体の基端に近い位置であっても、先方に近い位置であってもよく限定されない。雄ねじ軸体の切除部と、前記切除部を両側から挟みこむ部材とが共回り手段を構成する。前記部材が切除部に挟まれた状態で、前記部材が雄ねじ軸体と共回りされ、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとが共回りされ、型枠締結具を螺脱方向に軸動させると、型枠間隔保持用コーンがセパレータ軸体端部から螺脱される。第6の発明によれば、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを、容易に共回り状態とすることができる。
本発明の第7の発明は、コンクリートが固化した後に型枠パネルを取り外す型枠取外し工法であって、型枠間隔保持用コーンの雄ねじ軸体に螺合された型枠締結具と、前記型枠間隔保持用コーンとが一体に軸動される共回り状態とさせてから、前記型枠締結具を前記型枠間隔保持用コーンと共回りさせ、前記型枠間隔保持用コーンをセパレータ軸体端部から螺脱させて、前記型枠間隔保持用コーンと、前記型枠パネルと、前記型枠締結具とを一体とさせたままで、固まったコンクリートから離間させる工程を含むことを特徴としている。
本発明の第7の発明の型枠取外し工法は、型枠締結具と、型枠パネルと、型枠間隔保持用コーンとを一体にした状態で、コンクリート面から取り外すようにさせる。型枠合板には、縦方向、横方向とも所定の間隔に、型枠間隔保持用コーンが取り付けられている。型枠パネルの端部に近いものから、順に、型枠間隔保持用コーンをセパレータ軸体端部から取り外すようにする。そうすると、型枠合板と桟木が一体となった型枠パネルが反りやすく、型枠パネルが破損されにくい。
型枠パネルの中央部に近い型枠間隔保持用コーンを、固まったコンクリートから離間させる場合、又は型枠間隔保持用コーンの配設間隔が小さく、型枠パネルが反りにくい場合には、各々の型枠間隔保持用コーンを少しずつ、セパレータ軸体端部から弛めるようにしていけばよい。そうすると、型枠パネルが大きく反ることはなく、型枠パネルを破損させる怖れがなく、取外しに大きな力が必要とならない。
型枠パネルが破損されない反りの範囲で、型枠間隔保持用コーンがセパレータ軸体端部から弛められ、型枠間隔保持用コーンの周囲のコンクリートと型枠との付着がなくなった状態で、型枠パネルが固まったコンクリート面から離間される。これにより、型枠間隔保持用コーンと型枠パネルと型枠締結具とを一体としたまま、作業員の人力による力で型枠パネルを容易かつ安全に取り外すことができる。
取り外された型枠パネルは、型枠間隔保持用コーンと型枠締結具と一体のまま、コンクリートを流し込む型枠パネルとして使用されてもよい。一体のまま使用すると、型枠間隔保持用コーンの雄ねじ軸体に型枠締結具を螺合させる相当な回数の回動操作が省略でき、型枠パネルの組立が容易かつ効率的になる。また、型枠パネルと、型枠間隔保持用コーンと、型枠締結具とが分離されてから、コンクリートを流し込む型枠パネルが組み立てられてもよいことは勿論のことである。
第7の発明で使用される型枠間隔保持用コーンは、第1から第4の発明の型枠間隔保持用コーンに限定されない。周知の型枠間隔保持用コーンの雄ねじ軸体に、型枠締結具の螺脱を規制する弛み止めナット等の弛み止め手段を装着させて、型枠締結具と、型枠間隔保持用コーンとを共回り状態とさせてもよいことは勿論のことである。
本発明の第8の発明の型枠組立工法は、コンクリートを流し込む型枠パネルを組み立てる型枠組立工法であって、第7の発明の型枠取外し工法によって取り外され、前記型枠パネルの内方側から前記型枠間隔保持用コーンと、前記型枠パネルと、前記型枠締結具とが一体とされたままの前記型枠パネルが、前記コンクリートを流し込む型枠パネルの一面として組み立てられることを特徴としている。
従来は、縦方向一列ずつの型枠に、所定の間隔でセパレータ軸体が固定されて、順に、一つの面をなすように、一方の面の型枠パネルが一体に組み立てられる。そして、対向する面の型枠パネルには、他方のセパレータ軸体を挿通させるようにして、縦方向一列ずつの型枠パネルが、順に組み立てられていた。すなわち、他の場所と同一の形状をなすように、構築物の型枠パネルが組み立てられる場合でも、縦方向一列ずつの型枠パネルが、各構成部材を組み立てるようにして、各々の面の型枠パネルが組み立てられていた。
本発明の第8の発明によれば、第7の発明の型枠取外し工法によって取り外され、型枠間隔保持用コーンと、型枠パネルと、型枠締結具とが一体とされたままの状態で、コンクリートを流し込む型枠パネルの一面が組み立てられる。これにより、型枠組立の手間が大幅に低減され、型枠組立作業が容易になると共に型枠組立工期も短縮することができる。
・本発明の第1の発明によれば、固まったコンクリートから型枠パネルを、バールの尖端部を使って剥がすようにして取り外さなくてもよく、また固まったコンクリートの中に埋まった型枠間隔保持用コーンを一体ずつ取り外さなくてもよいため、型枠取外し作業が極めて容易かつ安全になるという有利な効果を奏する。
・本発明の第2の発明によれば、型枠間隔保持用コーンを螺脱させる際に大きな力を必要とせず、作業員の人力だけでも型枠間隔保持用コーンをセパレータ軸体端部から螺脱させることが容易である。
・本発明の第3から第6の発明によれば、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを、容易に共回り状態とすることができる。
・本発明の第7の発明によれば、型枠間隔保持用コーンと型枠パネルと型枠締結具とを一体としたまま、作業員の人力による力で型枠パネルを容易かつ安全に取り外すことができる。
・本発明の第8の発明によれば、型枠組立の手間が大幅に低減され、型枠組立作業が容易になると共に型枠組立工期も短縮することができる。
ピーコーン1の説明図(実施例1)。 型枠取外し工程の説明図(実施例1)。 型枠取外し工法の説明図(実施例1)。 型枠組立工法の説明図(実施例1)。 ピーコーン2の説明図(実施例2)。 ピーコーン3の説明図(実施例3)。 ピーコーン4の説明図(実施例4)。 型枠取外し工程の説明図(実施例4)。
実施例1では、図1を参照して型枠間隔保持用コーン(以下「ピーコーン」という。)の構成を説明し、図2を参照して型枠取外し工程を説明し、図3と図4を参照して型枠取外し工法と型枠組立工法を説明する。図1(A)図はピーコーン1の斜視図を示し、図1(B)図はピーコーン1の構成を説明する一部切欠断面図であり、図1(C)図はピーコーン1の側面図を示している。図2は固まったコンクリート100から一本のピーコーン1と型枠パネル200と型枠締結具300とを螺脱させる工程を示す一部切欠断面図である。図3(A)図は複数の型枠締結具300が取り付けられた型枠パネル200を固まったコンクリート100から取り外す工法を示している。図3(B)図と図4は、図3(A)図で示した取外した型枠パネル200を使った型枠組立工法を示している。
ピーコーン1は、本体部10の形状は円錐台形状とされ、型枠合板201に接する側の外方が拡径とされ、コンクリートに接される側の内方が縮径され、拡径側には凹部11が備えられている(図1(A)図、図1(B)図参照)。拡径側の軸線上には雄ねじ軸体20が備えられている。凹部11には、六角形状とされた雄ねじ軸体の基部12が備えられている。型枠締結具300は、雄ねじ軸体の軸方向の両側に二股301に分かれた状態とされている。雄ねじ軸体20の先方には、ねじ部21が備えられ、型枠締結具の二股基部に備えられたナット部302に螺合される(図2参照)。ねじ部21の先方にはピーコーン1と型枠締結具とを共回りさせる共回り手段をなす貫通孔22が、雄ねじ軸体20の軸体に交差する方向に貫通されている。
貫通孔22には、型枠締結具を締め付ける際には、貫通孔から側方に突出されたものがないため、型枠締結具300は、ピーコーン1に従来工法の場合と同様に螺合されて取り付けられる。そして、ピーコーン1に型枠締結具300が取り付けられた後に、略「R」文字の形状をした割りピン23が嵌め込まれる(図1(A)図参照)。貫通孔22は、締め付けられたナット部302の表面よりも僅かに離間した位置、例えば数mm離間した位置に貫通されている。ナット部302の表面から僅かに離間した距離に貫通孔22が備えられているため、割りピン23が挿し込みやすい。
ここで図2を参照して、型枠取外し工法を説明する。図2(A)図は型枠締結具300が弛められていない状態、図2(B)図は型枠締結具300が螺脱方向に軸動され、前記ナット部302の表面が割りピン23に接した状態、図2(C)図は型枠締結具300とピーコーン1とが共回りして、セパレータ軸体端部400に螺合されていた縮径側の雌ねじ部13(図1(B)参照)が螺脱して、ピーコーン1と型枠締結具300が型枠合板201を挟んで取り外された状態を示している。
型枠パネル200を取り外すには、まず楔体310と鋼管320を型枠締結具300から外し、型枠締結具300を軸動可能な状態とする。そして、ピーコーン1に割りピン23が挿し込まれたままの状態で、型枠締結具300を螺脱方向に軸動させると、型枠締結具300が型枠合板201から離間されてから、前記ナット部302の表面が割りピン23に接する状態となる。ナット部302の表面が割りピン23に接すると、ナット部302は雄ねじ軸体20に対して軸動できない状態となり、ナット部302と雄ねじ軸体20とが共回りする状態とされる(図2(B)図参照)。
型枠締結具300とピーコーン1とを共回り状態とさせたまま、型枠締結具300を螺脱方向に軸動させると、ピーコーンの雌ねじ部13(図1(B)参照)は、セパレータ軸体端部400に対して螺脱方向に軸動されて、ピーコーン1はセパレータ軸体端部400から螺脱される(図2(C)図参照)。
図3(A)図には、固まったコンクリート100から、ピーコーン1と型枠パネル200と型枠締結具300を取り外す状態を示している。まず、中段の楔体311と鋼管315、及び下段の楔体312と鋼管316は外さないで、上段の楔体313と鋼管314を取外して、上段のピーコーン330を型枠締結具340と共回り状態とさせる。そして、上段のピーコーン330と型枠パネル200と上段の型枠締結具340とを一体の状態としたまま、セパレータ軸体端部400から螺脱させ、固まったコンクリート100から型枠パネル200を反らせるようにして離間させるようにする。ピーコーン330をセパレータ軸体端部400から螺脱させてから、型枠締結具340に鋼管314と楔体313を復帰させる。この作業を全ての上段の型枠締結具340について行いながら、水平方向に並んだ型枠パネル200が連結された状態を維持するようにする(図4参照)。
次に、中段の楔体311と中段の鋼管315を取外して、上段のピーコーン330の取外しと同様にして、中段のピーコーン331をセパレータ軸体端部から螺脱させ、固まったコンクリート100から型枠パネル200を離間させるようにする。そして、中段のピーコーン331も、セパレータ軸体端部から螺脱させてから、型枠締結具341に鋼管315と楔体311を復帰させる。下段についても、同様にして、ピーコーン332をセパレータ軸体端部から螺脱させ、型枠締結具342に鋼管316と楔体312を復帰させ、水平方向に並んだ型枠パネル200が連結された状態を維持するようにする(図4参照)。
そうすると、型枠パネル200は図3(B)図に示したように、ピーコーン1と型枠締結具320が型枠合板201を挟み、型枠締結具300には楔体310を介して鋼管320が締め付けられ、水平方向に並んだ複数の型枠パネル200が一体にされた状態で取り外される(図4参照)。そして、鋼管320により締め付けられて、水平方向に並んだ複数の型枠パネル200が一体にされた状態で、型枠パネルが組み立てられたまま、揚重機で吊り上げられて移動されて、別の場所でコンクリートを流し込む型枠パネルとして組み立てられる(図4参照)。
実施例2では、図5を参照してピーコーン2の構成を説明する。図5(A)図はピーコーン2の斜視図を示し、図5(B)図はピーコーン2の構成を説明する一部切欠断面図であり、図5(C)図はピーコーン2の外方からの側面図を示している。実施例1のピーコーン1と同一の構成の部分は、図に同一の符号を付して説明を省略している。
ピーコーン2の拡径側の軸線上には雄ねじ軸体20が備えられている。雄ねじ軸体の先方のねじ部21には、ピーコーン2と型枠締結具とを共回りさせる共回り手段をなす凹部24が、雄ねじ軸体の軸体に交差する方向に穿孔されている。凹部24の内部には、雄ねじ軸体20の軸体に交差する方向に、細径雌ねじ部が備えられている。
細径雌ねじ部を有する凹部24には、細径ねじ軸体25が螺合されている。細径ねじ軸体25の長さは、凹部24の深さよりも短く、細径ねじ軸体25を締め込んだ状態では、細径ねじ軸体25の頂部は、雄ねじ軸体のねじ部から突出されず、雄ねじ軸体20の端部から型枠締結具300が締め込み可能な状態とされる。ピーコーン2に型枠締結具300が締め込まれ、細径ねじ軸体25が弛められて、雄ねじ軸体のねじ部21から突出された状態(図5(B)図、図5(C)図参照)では、型枠締結具300が有するナット部302(図2参照)は細径ねじ軸体25に当接し、細径ねじ軸体25から外方に弛められない状態とされ、凹部24と細径ねじ軸体25とが共回り手段とされる。
ピーコーン2と型枠パネル200と型枠締結具300とを一体としたまま型枠パネルを取り外す型枠取外し工法、及び型枠組立工法は、実施例1の場合と同様であるのでここでは説明を省略している。実施例3、及び実施例4のピーコーンについても同様に、型枠取外し工法、及び型枠組立工法の説明を省略している。
実施例3では、図6を参照してピーコーン3の構成を説明する。図6(A)図はピーコーン3の斜視図を示し、図6(B)図はピーコーン3の構成を説明する一部切欠断面図であり、図6(C)図はピーコーン3の外方からの側面図を示している。
実施例1のピーコーン1と同一の構成の部分は、図に同一の符号を付して説明を省略している。ピーコーン3の拡径側の軸線上には雄ねじ軸体20が備えられている。雄ねじ軸体の先方のねじ部は、ピーコーン3と型枠締結具とを共回りさせる共回り手段をなす段状雄ねじ部26とされている。
段状雄ねじ部26は、前記雄ねじ軸体20の外方のねじ部の太さが、型枠締結具が螺合される内方部の太さよりも細いねじ部27とされている。この細いねじ部27にナット28が締め込まれて、ピーコーン3と型枠締結具300とが共回りされる状態とされる。ナット28が締め込まれていない状態が、雄ねじ軸体の端部から型枠締結具300を締め込み可能な状態とされる。ピーコーン3に型枠締結具300が締め込まれ、ナット28が締め込まれた状態では(図6(B)図、図6(C)図参照)では、型枠締結具300はナット28から外方に弛められない状態とされ、細いねじ部27とナット28とが共回り手段とされる。
実施例4では、図7と図8を参照して型枠間隔保持用コーン4の構成を説明する。図7(A)図はピーコーン4の斜視図を示し、図7(B)図は図7(A)図A−A位置の断面端面図を示している。図7(C)図はピーコーン4と共回り手段をなす嵌合部材の斜視図を示している。図7(D)図は、ピーコーン4の雄ねじ軸体に型枠締結具500(図8参照)の竿体502が螺合され、共回りされる状態の要部斜視図を示している。図8(A)図はピーコーン4と型枠パネル200と型枠締結具500とが一体に締め付けられている状態の一部切欠断面図を示し、図8(B)図は型枠締結具500を螺脱方向に軸動させて嵌合部材50を嵌め合わせる前の状態の一部切欠断面図を示している。
ピーコーン4の雄ねじ軸体20の両側面には、軸方向に交差する方向に平行をなす切削部40が形成されている(図7(B)図参照)。ピーコーン4には、雌ねじ部の軸方向に竿体502が延びると共に、端部につば部501が備えられた型枠締結具500が螺合される(図7(D)図、図8(A)図参照)。ピーコーン4の雄ねじ軸体20に型枠締結具500が螺合された状態では、雄ねじ軸体の側面に形成された切削部40は、型枠締結具の竿体502の中に格納された状態とされている(図8(A)図参照)。
嵌合部材50は、内部に空洞部51を有し、下方が開放された略矩形形状をなし、向かい合う側面2面に下方が開放されたスリットが設けられている(図7(C)図参照)。一方のスリット52は、両面の切削部40の距離αに適合した第1の幅とされ、他方のスリット53は前記竿体502の外径βに適合した第2の幅とされ、前記空洞部51は型枠締結具のつば部501が格納可能な大きさの空間とされている。
まず、ピーコーン4の雄ねじ軸体20に対して、型枠締結具500の端部に装着されたナット504を、外れ止め部503に接するまで螺脱方向に軸動させ、ナット504と竿体502とが一体に軸動される状態とさせる。前記切削部40が型枠締結具の竿体502から外部に現れるまで、更にナット504を軸動させ、嵌合部材50が嵌め合わせ可能な被嵌合側の状態とさせる(図7(D)図、図8(B)図参照)。そして、切削部40の切削面に沿って、嵌合部材50の第1の幅を有するスリット52の開放部が合わせられ、型枠締結具のつば部501を空洞部51に格納しながら、第2の幅を有するスリット53に竿部を嵌めるようにして、第1の幅を有するスリット52で切削部40を挟むように適合させて、嵌合部材50を嵌める。この状態で嵌合部材50はピーコーン4と一体に軸動される状態となっている(図8(B)図破線参照)。
前記の状態で、ナット504を螺脱方向に軸動させると、空洞部51の内方側の面とつば部501の外方側の面との遊びがなくなるまで、竿体502がピーコーン4の雄ねじ軸体20に対して軸動し、嵌合部材50の第2のスリットの内壁54に前記つば部501が接して、型枠締結具500と嵌合部材50とが一体の状態となる。嵌合部材50とピーコン4とが一体にされ、単独で嵌合部材50だけが軸動されない状態となっているため、更にナット504を軸動させると、嵌合部材50を介して型枠締結具500とピーコーン4とが一体化された状態で、ピーコーン4とセパレータ軸体端部400との螺合が弛み、型枠締結具500とピーコーン4とは共回り状態とされる。型枠締結具500とピーコーン4とが共回り状態とされてからは、他の実施例と同様にして、ピーコーン4がセパレータ軸体端部400から螺脱される。他の実施例と同様に、実施例4においても、ピーコーン4と型枠パネル200と型枠締結具500が一体とされた状態で型枠パネルが取外され、また一体の状態で型枠パネルが組立可能とされる。
(その他)
・上記の実施例では、市販されている型枠締結具を使った共回り手段を説明したが、新たな形状の型枠締結具と本発明のピーコーンとが共回り手段とされてもよいことは勿論のことである。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,2,3,4…ピーコーン、
100…固まったコンクリート、200…型枠パネル、201…型枠合板、
300…型枠締結具、301…二股、302…ナット部、
10…本体部、11…凹部、13…雌ねじ部、
20…雄ねじ軸体、21…ねじ部、22…貫通孔、23…割りピン、24…凹部、
25…細径ねじ軸体、26…段状雄ねじ部、27…ねじ部、28…ナット、40…切削部、
50…嵌合部材、51…空洞部、52…スリット、53…スリット、54…内壁、
310,311,312,313…楔体、
314,315,315,320…鋼管、
330,331,332…ピーコーン、
340,341,342…型枠締結具、
400…セパレータ軸体端部、
500…型枠締結具、501…つば部、502…竿体、503…外れ止め部、504…ナット

Claims (8)

  1. 外方に拡径される円錐台形状の本体部と、雌ねじ部と、雄ねじ軸体とを備えた型枠間隔保持用コーンにおいて、
    前記雌ねじ部は、本体部の縮径側に備えられ、セパレータ軸体端部に螺合され、前記雄ねじ軸体は、本体部の拡径側に備えられ、型枠締結具雌ねじ部に螺合されると共に、共回り手段を有し、
    前記共回り手段は、前記型枠締結具を前記雄ねじ軸体から螺脱方向に軸動させて、コンクリート固化後に型枠を取り外す際に、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを共回り状態とさせ、
    型枠締結具を軸動させることにより、セパレータ軸体端部から型枠間隔保持用コーンが螺脱され、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンと型枠パネルとが一体のまま、固化したコンクリート面から取り外される、
    ことを特徴とする型枠間隔保持用コーン。
  2. 前記共回り手段が、型枠締結具を前記雄ねじ軸体から螺脱方向に軸動させて、型枠締結具を型枠合板から離間させてから、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを共回り状態とさせる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の型枠間隔保持用コーン。
  3. 前記共回り手段として、前記雄ねじ軸体に貫通された貫通孔を含み、前記貫通孔が、前記雄ねじ軸体に、軸方向に交差する方向に貫通されている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の型枠間隔保持用コーン。
  4. 前記共回り手段として、前記雄ねじ軸体に凹部を含み、前記凹部が、前記雄ねじ軸体に、軸方向に交差する方向に備えられている、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の型枠間隔保持用コーン。
  5. 前記共回り手段として、段状雄ねじ部を含み、前記段状雄ねじ部は、前記雄ねじ軸体の外方のねじ部の太さが、型枠締結具が螺合される内方のねじ部の太さよりも細い、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の型枠間隔保持用コーン。
  6. 前記共回り手段として、前記雄ねじ軸体の両面に平行に切除された切除部を含み、前記切除部が、前記雄ねじ軸体に、軸方向に交差する方向に切除されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の型枠間隔保持用コーン。
  7. コンクリートが固化した後に型枠パネルを取り外す型枠取外し工法であって、
    型枠間隔保持用コーンの雄ねじ軸体に螺合された型枠締結具と、型枠間隔保持用コーンとを共回り状態とさせてから、型枠締結具と型枠間隔保持用コーンとを一体に軸動させて、型枠間隔保持用コーンをセパレータ軸体端部から螺脱させて、
    型枠間隔保持用コーンと型枠パネルと型枠締結具とを固まったコンクリートから離間させる工程を含む、
    ことを特徴とする型枠取外し工法。
  8. コンクリートを流し込む型枠パネルを組み立てる型枠組立工法であって、
    請求項7に記載の型枠取外し工法によって取り外され、型枠パネルの内方側から型枠間隔保持用コーンと、型枠パネルと、型枠締結具とが一体とされたままの型枠パネルが、
    コンクリートを流し込む型枠パネルの一面として組み立てられる、
    ことを特徴とする型枠組立工法。
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