JP2017170560A - ロボットのワーク移送方法及びワーク移送装置 - Google Patents

ロボットのワーク移送方法及びワーク移送装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のワーク移送方法では、移送時間が長くなり、ワークの姿勢が不定であるばら積みの場合には適用することができなかった。【解決手段】ばら積みされたワークWをロボットRのハンドHで把持して所定位置に移送するに際し、ワークの平面画像データと距離データとに基づいてハンドHで把持可能なワークWを選出し、ワークWの平面上の位置及び距離に基づいてハンドHによりワークWを把持し、把持状態に異常があるか否かを判定し、把持状態に異常があると判定した場合に、ハンドHによるワークWの上昇、上昇に伴うワークWの解放、及びワークWの再把持の各動作を連続的に行って空中でワークWを持ち替えるワーク移送方法とし、ばら積みされたワークWの姿勢にとらわれず、安定的に把持して移送可能にすると共に、設備費の節減や移送時間の短縮化を実現する。【選択図】図3

Description

本発明は、ロボットを用いて、複数のワークの中から1つのワークを取り上げて所定位置に移送する際に用いられるロボットのワーク移送方法及びワーク移送装置に関するものである。
従来、ロボットを用いてワークを移送する方法及び装置としては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に記載の装置は、水平なX軸方向に沿って配置した固定レールと、水平なY軸方向に沿って配置され且つ固定レール上を走行するレール枠と、レール枠上を走行する昇降ハンド装置とを備えている。昇降ハンド装置は、2組の把持爪を有するハンドを備え、このハンドを垂直なZ軸方向及びZ軸回りに駆動する。
上記装置は、パレットに複数のワークを整列させて載置し、そのパレット上の1つのワークをハンドで把持した後、ハンドをX,Y,Zの3軸方向に適宜移動させて、ワークをベルトコンベアに移送する。ここで、パレットの各ワークは、カムシャフトであって、治具により互いに平行に位置決めしてあり、逆向きに配置されたものも含まれている。
そこで、上記装置を用いた方法では、ハンドでワークを把持した際に、2組の把持爪の閉じ量や把持爪にかかる圧力等を検知し、その検知量に基づいてワークの向きを判定するようにしている。そして、上記方法では、ワークの向きが逆向きであると判定した場合には、各把持爪を一旦解放し、ハンドを180度回転させてワークを再び把持した後、ワークをベルトコンベアに移送する。これにより、ベルトコンベアに移送されたワークは、いずれも同じ向きになる。
特開昭60−228090号公報
しかしながら、上記したような従来の装置及び方法では、ワークを把持した状態で同ワークの向きを判定し、逆向きである場合には、把持の解放、ハンドの回転及び再把持を行っている。このため、従来の装置及び方法では、ワークを把持し直す分だけ移送時間が長くなり、しかも、ワークが位置決めしてある場合には有効であるが、ワークの姿勢が不定であるばら積みの場合には適用することがきわめて困難である。
つまり、ワークがばら積みである場合には、ワークの姿勢が不定であるほか、ワーク数の減少に伴って各ワークの位置、姿勢及び高さの状況が徐々に変化するので、ワークの状況を三次元的に検出するための手段が不可欠であり、これにより設備費が高価になるという問題点がある。なお、ワークを三次元的に測定する装置は、例えば3Dビジョン装置等があるが、非常に高価であることも周知である。
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたもので、ばら積みされたワークの姿勢にとらわれず、安定的に把持して移送することができるうえに、設備費の節減や移送時間の短縮化を実現することができるロボットのワーク移送方法及びワーク移送装置を提供することを目的としている。
本発明に係わるロボットのワーク移送方法は、ハンドを有する多軸制御型のロボットを用い、ばら積みされたワークの中から1つのワークをハンドで把持して所定位置に移送するに際に用いるものである。このワーク移送方法は、ばら積みされたワークの平面の画像データとワークの高さを示す距離データとに基づいてハンドで把持可能なワークを選出する工程と、選出したワークの平面上の位置及び距離に基づいてハンドを移動させて前記ワークを把持する工程とを備えている。
また、上記のワーク移送方法は、ワークの把持状態に異常があるか否かを判定する工程を備えている。そして、ワーク移送方法は、ワークの把持状態に異常があると判定した場合に、ハンドによるワークの上昇、上昇に伴うワークの解放、及びワークの再把持の各動作を連続的に行って空中でワークを持ち替える工程とを備えたことを特徴としている。
本発明に係わるロボットのワーク移送装置は、上記のワーク移送方法に用いるものである。このワーク移送装置は、ばら積みされたワークの平面の画像データを取得するための撮像部と、基準位置からワークまでの高さ方向の距離データを測定するための測距部と、ハンドによるワークの把持状態を検出する把持検出部とを備えている。そして、上記のワーク移送装置は、撮像部、測距部及び把持検出部からの入力に基づいてハンド及びロボットに指令を出力する主制御部とを備えたことを特徴としており、主制御部が、ワーク移送方法の各工程を実行するための演算機能を有している。
本発明に係わるロボットのワーク移送方法では、ばら積みされたワークの平面の画像データと、ワークの高さを示す距離データとに基づいてハンドで把持可能なワークを選出するので、例えば、1台のCCDカメラやレーザ距離計等の比較的安価な機器類を用いて画像データ及び距離データを取得することが可能である。
また、上記のワーク移送方法では、選出したワークを把持した後、その把持状態に異常があると判定した場合には、空中でワークの瞬時に持ち替えることができる。これにより、上記のワーク移送方法によれば、ばら積みされたワークの姿勢にとらわれず、安定的に把持して移送することができるうえに、設備費の節減や移送時間の短縮化を実現することができる。
本発明に係わるロボットのワーク移送装置では、撮像部により、ばら積みされたワークの平面の画像データを取得すると共に、測距部により、ワークの高さを示す距離データを取得する。また、制御部により、画像データ及び距離データに基づいてハンドで把持可能なワークを選出する。このため、撮像部及び測距部には、例えば、1台のCCDカメラやレーザ距離計等の比較的安価な機器類を用いることができる。
また、上記のワーク移送装置では、主制御部により、撮像部、測距部及び把持検出部からの入力に基づいてハンド及びロボットに指令を出力する。すなわち、ワークの把持状態に異常があると判定した場合には、空中でワークを瞬時に持ち替えることができる。これにより、上記のワーク移送装置によれば、ばら積みされたワークの姿勢にとらわれず、安定的に把持して移送することができるうえに、設備費の節減や移送時間の短縮化を実現することができる。
ロボットのワーク移送装置の第1実施形態を示す説明図(A)、及びばら積みしたワークを示す平面図(B)である。 ロボットのハンドを説明する拡大図付きの正面図である。 ロボットのワーク移送方法の第1実施形態を説明するフローチャートである。 ワークを把持する過程を順次示す各々正面図(A)〜(C)である。 ワークの持ち替え動作を順次示す各々正面図(A)〜(C)である。 持ち替え動作の詳細を示す説明図である。 ロボットのワーク移送装置の第2実施形態を示す説明図である。 第2実施形態における持ち替え動作を順次説明する各々正面図(A)〜(C)である。
〈第1実施形態〉
図1に示すロボットのワーク移送装置は、ハンドHを有する多軸制御型のロボットRを備え、パレットPにばら積みされたワークWの中から1つのワークWを選出し、そのワークWをハンドHで把持して所定位置に移送するものである。
この実施形態では、ワークWとして円柱形状の部品を例示している。ワークWの移送先は、例えば、同ワークWの整列配置が要求されるコンベアやパレット類、他の作業ロボットに対するセット位置、若しくは同ワークWを構成部品とする構造体への組付け位置など様々である。
ロボットRは、概略として、基台1、旋回台2、第1〜第3のアームA1〜A3、回転座3、及びハンドHを備えている。旋回台2は、基台1に、垂直な第1軸J1を介して連結してある。
第1アームA1は、旋回台2に、水平な第2軸J2を介して基端部が連結してあり、先端部に、水平な第3軸J3を介して第2アームA2の基端部が連結してある。第2アームA2は、先端部に、水平な第4軸J4を介して第3アームA3の基端部が連結してある。第3アームA3は、先端部に、水平な第5軸J5を介して回転座3が連結してある。回転座3は、第5軸J5に直交する第6軸J6を中心に回転可能であり、ハンドHが連結してある。上記のロボットRは、6軸制御によりハンドHの姿勢を自在に変更し得る。
また、ワーク移送装置は、開閉可能な一対の把持爪11,11を有し、ばら積みされたワークWの平面の画像データを取得するための撮像部12と、後記する基準位置からワークWまでの高さ方向の距離データを測定するための測距部13とを備えている。さらに、ワーク移送装置は、ハンドHによるワークWの把持状態を検出するための把持検出部14と、撮像部12、測距部13及び把持検出部14からの入力に基づいてハンドH及びロボットRに指令を出力する主制御部15とを備えている。
ハンドHは、撮像部12及び測距部13のうちの少なくとも一方を備えた構成にすることができ、この実施形態では、撮像部12及び測距部13の両方を一体的に備えたものとしている。また、ハンドHは、上記把持爪11,11のほか、把持爪11,11を開閉動作させる開閉駆動部16と、把持爪11,11をハンド先端側にして開閉駆動部16を進退動作させる進退駆動部17とを備えている。
一対の把持爪11,11は、図2にも示すように、先端側の相対向する位置に、把持したワークWと係合する三角形状のくぼみ11A,11Aを有している。撮像部12は、例えば、軽量小型のCCDカメラであり、撮像方向を下向きにした状態にして、ブラケット18を介して進退駆動部17に装着してある。測距部13は、例えば、レーザ距離計であり、測定方向を下向きにした状態にして、同じくブラケット18を介して進退駆動部17に装着してある。この際、撮像部12及び測距部13は、図1中に点線で示すように、撮像方向及び測定方向がハンドHの中心線上(真下)に向くように装着してある。
開閉駆動部16は、NC電動チャックであって、例えば、二条の渦巻き溝を有するカムと、各渦巻き溝に係合する一対の摺動子と、カムを回転駆動するサーボモータを備えており、各摺動子に把持爪11,11が連結してある。これにより、開閉駆動部16は、サーボモータでカムを正逆回転させることで、各渦巻き溝に係合している両摺動子の間隔を増減し、これと同時に把持爪11,11を開閉動作させる。
また、この実施形態では、開閉駆動部16に、ハンドHによるワークWの把持状態を検出するための把持検出部14を備えている。この把持検出部14は、直接的には、サーボモータの回転角度や、一対の出力ピン又は把持爪11.11の位置を検出する。
つまり、ハンドHでワークWを把持した際、ワークWが把持爪11,11のくぼみ11A,11Aに係合した正常な把持状態と、ワークWがくぼみ11A,11Aに係合していない異常な把持状態とでは、一対の把持爪11,11の間隔が異なる。そこで、把持検出部14により、サーボモータの回転角度や、出力ピン又は把持爪11.11の位置を検出して、両把持爪11,11の間隔を算出すれば、その間隔に基づいて把持状態を判定することができる。
進退駆動部17は、単動型のエアシリンダであって、シリンダロッド17Aをハンド先端側にした状態で前記回転座3に連結してあり、シリンダロッド17Aに、開閉駆動部16が連結してある。また、進退駆動部17は、開閉駆動部16の直進性を高めるために、一対のガイドロッド17B,17Bを備えており、このガイドロッド17B,17Bに、開閉駆動部16をハンド先端方向に押し戻すスプリング19,19が介装してある。
これにより、進退駆動部17は、図示しない供給源から空気を供給することで、シリンダロッド17Aを収縮方向(ハンド基端方向)に駆動しつつスプリング19を圧縮し、供給した空気を大気に解放することで、スプリング19の反発力により、開閉駆動部16及び把持爪11をハンド先端側へ押し戻す。
主制御部15は、コンピュータであって、ロボットRの各軸J1〜J6回りの動作を制御すると共に、撮像部12、測距部13及び把持検出部14からの入力に基づいて、ハンドHにおける開閉駆動部16や進退駆動部17に指令を出力するものである。また、主制御部15は、後述するワーク移送方法の各工程を実行するための演算機能を有する。
上記の主制御部15は、以下の機能(a)〜(e)を有している。
(a)ばら積みされたワークWの平面の画像データとワークWの高さを示す距離データとに基づいてハンドHで把持可能なワークWを選出する機能。
(b)選出したワークWの平面上の位置及び距離に基づいてハンドHを移動させて前記ワークWの把持を実行させる機能。
(c)ワークWの把持状態に異常があるか否かを判定する機能。
(d)ワークWの把持状態に異常があると判定した場合に、ハンドHによるワークWの上昇、上昇に伴うワークWの解放、及びワークWの再把持の各動作を連続的に行って空中でワークWの持ち替えを実行させる機能。
(e)空中でワークWを持ち替える際に、ハンドHの下降動作に伴ってワークWの再把持を実行させる機能。
次に、上記構成を備えたワーク移送装置の動作とともにワーク移送方法を説明する。
すなわち、ワークWの移送方法は、ばら積みされたワークWの平面の画像データとワークWの高さを示す距離データとに基づいてハンドHで把持可能なワークWを選出する工程(図3中のS2,S3)を備えている。
また、ワークWの移送方法は、選出したワークWの平面上の位置及び距離に基づいてハンドHを移動させて前記ワークWを把持する工程(図3中のS4)と、ワークWの把持状態に異常があるか否かを判定する工程(図3中のS5)とを備えている。
さらに、ワークWの移送方法は、ワークWの把持状態に異常があると判定した場合に、ハンドHによるワークWの上昇、上昇に伴うワークWの解放、及びワークWの再把持の各動作を連続的に行って空中でワークWを持ち替える工程(図3中のS6)を備えている。
より詳しく説明すると、ワークWの移送方法は、図3に示すように、ステップS1において移送を開始すると、ステップS2において、撮像部12により、パレットPにばら積みで収容したワークWを撮像し、また、測距部13により、ワークWまでの高さ方向の距離を測定する。このとき、ロボットRは、パレットPの上側にハンドHが待機する三次元上の原点位置にあり、このハンドHに撮像部12及び測距部13が設けてあるので、ロボットRの原点位置が撮像部12及び測距部13の基準位置になる。
ワーク移送装置における主制御部15には、ワークWの基準パターンが予め記憶されている。この基準パターンは、ハンドHにより円柱形状のワークWの円周部を把持することから、ワークWの側面形状を示すパターンである。主制御部15は、撮像部12からの信号を平面の画像データとして入力し、画像データ内の各ワークWの中から基準パターンにマッチングするワークWを、把持可能なワークWとして選出する。また、主制御部15は、測距部13による測定信号をワークWの高さを示す距離データとして入力し、選出したワークWの重心までの距離を算出する。
そして、ワーク移送方法は、ステップS3において、選出したワークWの座標を算出する。すなわち、主制御部15は、基準パターン、撮像部12の画像データ及び基準位置に基づいて、選出したワークWの平面上の向き(姿勢)と、平面上のX軸方向及びY軸方向の位置を算出する。また、主制御部15は、測距部13の距離データ及び基準位置に基づいて、選出したワークWの高さ方向であるZ軸方向の位置を算出する。このようにして、主制御部15は、選択したワークWの三次元座標(X,Y,Z)を算出する。
その後、ワーク移送方法は、ステップS4において、選出したワークWの三次元座標に基づいて、ハンドHを移動させて前記ワークWを把持する。このとき、ワーク移送装置は、主制御部15により、図4(A)に示すように、選出したワークWの三次元座標に基づいて、そのワークWの両側にハンドHの一対の把持爪11,11が入り込むように、ロボットRの各軸J1〜J6回りの動作を制御する。
そして、ワーク移送装置は、図4(B)及び(C)に示すように、開閉駆動部16により一対の把持爪11,11を閉じてワークWを把持し、これを取り上げる(Picking)。このとき、一対の把持爪11,11は、くぼみ11Aの下側の部分でもワークWを把持することが可能であるが、図4(C)に示すように、双方のくぼみ11A,11AにワークWを係合させて確実に把持する。この状態が正常な把持状態である。
次に、ワーク移送方法は、ステップS5において、ワークWの把持状態に異常があるか否かを判定する。このとき、一対の把持爪11,11は、ワークWがくぼみ11Aに係合した正常な把持状態に対して、ワークWがくぼみ11A,11Aに係合していない異常な把持状態では、双方の間隔が大きくなる。そこで、ワーク移送装置では、主制御部15に把持検出部14からの検出値を入力し、その検出値が所定範囲である場合には正常であると判定し、検出値が所定範囲を外れた場合には異常であると判定する。
そして、上記ステップS5において、ワークWの把持状態に異常がないと判定した場合(No)には、ステップS7に移行して、ワークWを所定位置に移動させて位置決めし、ステップS8において、図示しない検知手段により、ワークWの表裏又は方向に異常があるか否かを検知する。このステップS8において異常ではないと判定した場合(No)には、ステップS10に移行してワークWを所定位置にセットし、ステップS11において移送を終了する。また、ステップS8において、異常であると判定した場合には、ステップS9においてワークWの向きを変更した後、ステップS10を経て移送を終了(S11)する。
ここで、上記のワーク移送方法では、先のステップS5において、ワークWの把持状態に異常があると判定した場合(Yes)には、ステップS6において、ワークWの持ち替えを行う。すなわち、ワーク移送装置は、図5(A)に示すように、ハンドHでワークWを把持した際、ワークWが把持爪11,11のくぼみ11A,11Aに係合していない場合には、把持爪11,11の間隔が正常時の間隔よりも大きくなるので、把持検出部14の検出値に基づいて、主制御部15が把持状態に異常があると判定する。
そこで、ワーク移送方法では、図5(B)及び(C)に示すように、ハンドHによるワークWの上昇、上昇に伴うワークWの解放、及びワークWの再把持の各動作を連続的に行って空中でワークWを持ち替えを行う。すなわち、図5(C)に示すように、ワークWが把持爪11,11のくぼみ11A,11Aと係合するように持ち替えを行う。
このとき、ワーク移送装置では、ハンドHにおいて、進退駆動部(単動型エアシリンダ)17の後退動作により、開閉駆動部16、把持爪11及びワークWを瞬時に上昇させる。より具体的には、ワーク移送装置は、図6に示すように、垂直方向において、把持爪11の先端からくぼみ11Aの中心に至る長さをhとし、くぼみ11Aの半分の長さをaとして、これらの和である上昇量(h+a)だけ進退駆動部17を後退させる。これによりワークWを上昇させる。この進退駆動部17の後退動作は、図6中の下側に動作タイミングを示すように、初期時点T0から後退限の時点T2に至るきわめて短い時間(T0〜T2)で瞬時に行われる。
また、ワーク移送装置では、ハンドHによるワークWの上昇中において、前記後退限の時点T2に至る前の中間時点T1で、開閉駆動部16により把持爪11によるワークWの把持を解放する。続いて、後退限の時点T2で、開閉駆動部16による把持爪11の閉動作を開始する。この間、ワークWは、図6中の上側に高さを示すように、中間時点T1から後退限の時点T2に至る間で、空中に浮遊した状態になり、その後、把持爪11の閉動作の完了時点T3で、把持爪11のくぼみ11Aに係合した状態に再び把持される。
ここで、この実施形態における進退駆動部17は、開閉駆動部16をハンド先端方向に押し戻すスプリング19を備えた単動型エアシリンダである。そこで、ワーク移送装置は、前記後退限の時点T2後において、把持爪11の閉動作の完了時点T3に至る前に、進退駆動部16に供給した空気を解放する。これにより、ワーク移送装置は、スプリング19の反発力で進退駆動部16を前記上昇量の半分(h+a/2)だけ前進(下降)させながら、ワークWを再び把持する。すなわち、このワーク移送装置は、いわゆる後追い動作を行いつつワークWを再把持するようにしている。
再把持されたワークWは、図6中の上側に高さの変化を示すように、進退駆動部16の前進限の時点T4で、初期時点T0と同じ高さに戻る。上記の初期時点T0から前進限の時点T4に至る時間(T0〜T4)は、例えば、0.5秒よりも短い時間である。つまり、ワークWの持ち替え動作は瞬時に行われる。なお、図6中の高さの変化に示した下り勾配の点線は、ワークWが脱落した場合の軌跡である。
また、ワーク移送方法及びワーク移送装置では、上記の持ち替え動作を行うと、ワークWが把持爪11のくぼみ11Aに係合し、一対の把持爪11,11の間隔が小さくなるので、その状態を把持検出部14により検出し得る。万一、ワークWが脱落した場合には、把持爪11が閉状態になり、その状態を把持検出部14により検出し得るので、移送動作を中止してロボットRを原点位置に戻すことができる。上記の持ち替え動作(S6)の完了後には、先述のステップS7〜S10を経て移送終了(S11)となる。
上記のワーク移送方法及びワーク移送装置は、ワークWを選出する際、平面上のX及びY方向については、把持爪11,11を開いて把持できる範囲であり、且つ、高さのZ方向については、把持爪11のくぼみ11A及びその下側の範囲であれば、ワークWを把持することが可能である。このため、上記のワーク移送方法及びワーク移送装置では、CCDカメラ(撮像部12)やレーザ距離計(測距部13)等の比較的安価な機器類を用いてワークWを選出・把持することが充分に可能であり、高精度のビジョン装置や測定器は不要である。
また、上記のワーク移送方法及びワーク移送装置では、選出したワークWを把持した後、その把持状態に異常があると判定した場合には、空中でワークWを瞬時に持ち替えることができる。このワークWの持ち替え動作は、パレットPからワークWを取り上げた直後に瞬時に行うことができる。したがって、上記のワーク移送方法及びワーク移送装置では、ロボットRの動作をほとんど停滞させることなく、ワークWを移送することができる。
このようにして、上記のワーク移送方法及びワーク移送装置によれば、ばら積みされたワークWの姿勢にとらわれず、安定的に把持して移送することができるうえに、設備費の節減や移送時間の短縮化を実現することができる。
さらに、上記のワーク移送方法では、ハンドHの把持爪11がワークWと係合するくぼみ11Aを有し、両把持爪11,11の間隔に基づいてワークWの把持状態に異常があるか否かを判定する。これにより、上記のワーク移送方法では、比較的簡単に異常判定を行うことができると共に、ワークWを落下させることなく確実に把持又は再把持を行うことができる。
さらに、上記のワーク移送方法では、空中でワークWを持ち替える工程において、ハンドHの下降動作に伴ってワークWの再把持を行う動作、すなわち後追い動作を行うので、ワークWの再把持をより一層確実に行うことができ、移送時間のさらなる短縮化などに貢献することができる。
さらに、上記のワーク移送装置では、ハンドHが、撮像部12及び測距部13のうちの少なくとも一方を備えており、とくに実施形態では撮像部12及び測距部13の両方をハンドHに装着している。これにより、ワーク移送装置では、ロボットRの原点位置が撮像部12及び測距部13の基準位置になるので、装置構造や制御系の簡略化を実現することができる。
さらに、上記のワーク移送装置では、一対の把持爪11,11、開閉駆動部16及び進退駆動部17を備えたハンドHを採用したことにより、装置構造がコンパクトになると共に、ハンドHだけでワークWの持ち替え動作を瞬時に行うことができる。
さらに、上記のワーク移送装置では、進退駆動部12として、開閉駆動部16をハンド先端方向に押し戻すスプリング19を備えた単動型シリンダを用いている。これにより、ワーク移送装置では、ワークWの持ち替えを行う際に、ハンドHの下降動作に伴うワークWの再把持、すなわち後追い動作をハンドHだけで行うことができ、装置構造の簡略化などにも貢献し得る。
〈第2実施形態〉
図7及び図8は、本発明に係わるロボットのワーク移送方法及びワーク移送装置の第2実施形態を説明する図である。なお、第2実施形態において、先の第1実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図7に示すワーク移送装置は、カメラによる把持検出部24を備えている。また、ワーク移送装置は、ハンドHの一対の把持爪11,11が、相対向する位置にワークWと係合するくぼみ11A,11Aを有し、少なくとも一方の把持爪11が、くぼみ11Aの上側にワーク当接用のストッパ30を備えている。
上記のワーク移送装置は、把持検出部24により、ハンドHの把持爪11で把持したワークWを撮像し、主制御部15において、把持検出部24の画像データと、正常に把持されているワークWの姿勢データとを比較して、ワークWの把持状態に異常があるか否かを判定する。このような異常判定は、主制御部15において、ワークWを選出する画像認識機能を利用して行うことも可能である。
また、上記のワーク移送装置は、ハンドHでワークWを把持した際、図8(A)に示すように、把持爪11のくぼみ11AにワークWが係合していない場合には、先の実施形態と同様に、一対の把持爪11,11の間隔に基づいて把持状態に異常があると判定し、ワークWの持ち替え動作を行う。
すなわち、上記のワーク移送装置は、先の実施形態と同様に、図8(B)に示すように、ハンドHによるによるワークWの上昇、及び上昇に伴うワークWの解放を行い、図8(C)に示すように、ワークWの把持を行う。このとき、上記のワーク移送装置は、ワークWの解放を行うと、上昇したワークWがストッパ30に当接してそれ以上の上昇を阻止し、その直後、ワークWを再把持する。したがって、ハンドHの下降動作に伴うワークWの再把持、すなわち後追い動作を行わずにワークWを確実に把持することが可能になる。
上記の把持検出部としては、例えば、把持爪11のくぼみ11Aに係合したワークWを非接触式に検出するものであっても良く、この場合、ワークWを検出できない場合には、把持異常である判定することができる。また、ワーク当接用のストッパは、上昇して当接したワークWが回転しないように、ワークWの軸線方向に所定の長さを有しているものや、軸線方向の複数箇所に当接するものがより望ましい。
なお、本発明に係わるロボットのワーク移送方法及びワーク移送装置は、その詳細な構成が上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成を適宜変更することが可能である。ワークWは、円柱形状の部品に限らず、例えばリング状や直方体状などの形状であっても良い。把持爪は、ワークの形状に応じて形態を変更することもあり得る。
また、本発明に係わるロボットのワーク移送方法及びワーク移送装置は、撮像部の画角等によっては、パレット内を複数に分割し、撮像部及び測距部を移動させてワークの画像データや距離データを取得するようにしても良い。また、測距部としては、例えばレーザ距離計を用いる場合、レーザを走査する機能を有するものでも良い。
H ハンド
R ロボット
W ワーク
11 把持爪
11A くぼみ
12 撮像部
13 測距部
14,24 把持検出部
15 主制御部
16 開閉駆動部
17 進退駆動部
30 ストッパ

Claims (8)

  1. ハンドを有する多軸制御型のロボットを用い、ばら積みされたワークの中から1つのワークをハンドで把持して所定位置に移送するに際し、
    ばら積みされたワークの平面の画像データとワークの高さを示す距離データとに基づいてハンドで把持可能なワークを選出する工程と、
    選出したワークの平面上の位置及び距離に基づいてハンドを移動させて前記ワークを把持する工程と、
    ワークの把持状態に異常があるか否かを判定する工程と、
    ワークの把持状態に異常があると判定した場合に、ハンドによるワークの上昇、上昇に伴うワークの解放、及びワークの再把持の各動作を連続的に行って空中でワークを持ち替える工程とを備えたことを特徴とするロボットのワーク移送方法。
  2. ハンドが、開閉可能な一対の把持爪を有すると共に、両把持爪が、相対向する位置にワークと係合するくぼみを有し、
    ワークの把持状態に異常があるか否かを判定する工程では、両把持爪の間隔に基づいて判定を行うことを特徴とする請求項1に記載のロボットのワーク移送方法。
  3. 空中でワークを持ち替える工程において、ハンドの下降動作に伴ってワークの再把持を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のロボットのワーク移送方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のロボットのワーク移送方法に用いるワーク移送装置であって、
    ばら積みされたワークの平面の画像データを取得するための撮像部と、
    基準位置からワークまでの高さ方向の距離データを測定するための測距部と、
    ハンドによるワークの把持状態を検出するための把持検出部と、
    撮像部、測距部及び把持検出部からの入力に基づいてハンド及びロボットに指令を出力する主制御部とを備えたことを特徴とするロボットのワーク移送装置。
  5. ハンドが、撮像部及び測距部のうちの少なくとも一方を備えていることを特徴とする請求項4に記載のロボットのワーク移送装置。
  6. ハンドが、開閉可能な一対の把持爪と、把持爪を開閉動作させる開閉駆動部と、把持爪をハンド先端側にして開閉駆動部を進退動作させる進退駆動部とを備えていることを特徴とする請求項4又は5に記載のロボットのワーク移送装置。
  7. 進退駆動部が、開閉駆動部をハンド先端方向に押し戻すスプリングを備えた単動型シリンダであることを特徴とする請求項6に記載のロボットのワーク移送装置。
  8. ハンドの一対の把持爪が、相対向する位置にワークと係合するくぼみを有し、少なくとも一方の把持爪が、くぼみの上側にワーク当接用のストッパを備えていることを特徴とする請求項6又は7に記載のロボットのワーク移送装置。
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