JP2017170270A - アルカリ水生成装置およびアルカリ水生成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水道設備とは切り離された持ち運び可能な静水式のアルカリ水生成装置およびアルカリ水生成方法を提供する。【解決手段】実施形態によれば、アルカリ水生成装置は、水を静水状態で貯溜する貯水容器12と、貯水容器内に配置される電極ユニット16と、を備えている。電極ユニットは、貯水容器内の水から分離した陽極室24と貯水容器内に開放した陰極室26とを有する筐体20と、筐体内に設けられ陽極室と陰極室との間を仕切る正負両イオンを透過可能な隔膜22と、陽極室に設けられ隔膜に対向する陽極28aと、陰極室に設けられ隔膜に隙間を置いて対向する陰極28bと、を備えている。陰極と隔膜との間隔は、陽極と隔膜との間隔と同等以上に形成されている。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、静水式のアルカリ水生成装置およびこれを用いたアルカリ水生成方法に関する。
胃腸症状改善や還元力による酸化抑制の効果を有する水としてアルカリイオン水が知られている。アルカリイオン水はpH9〜10の還元性の水である。このようなアルカリイオン水は、隔膜を介して対向した陽極室と陰極室にそれぞれ陽極と陰極を配置し、陽極室と陰極室に水道水(カルシウム塩などを添加する場合もある)を流水しながら電解することで水道水中のイオン電流により水を電解して陰極室側にアルカリ性で水素を含有した水として生成されるものである。アルカリ成分としては水道水中のカルシウムなどのカチオンと結合した水酸イオンであり、還元力としては溶存水素による酸化還元電位によっている。
また、pH10を超えるアルカリ水は洗浄力があることが知られている。洗浄アルカリ水としては、上述したような電解により炭酸塩などの電解質を電解することで陰極室側にアルカリ水を生成するものがある。アルカリ水の洗浄力は水酸基濃度に依存し、pH11を超える濃度で洗浄力が上昇する。しかし、高濃度のアルカリ水は強アルカリとして劇物指定されるため、通常はpH11.5〜13.5程度のアルカリ水を生成する。
また、pH10を超えるアルカリ水は洗浄力があることが知られている。洗浄アルカリ水としては、上述したような電解により炭酸塩などの電解質を電解することで陰極室側にアルカリ水を生成するものがある。アルカリ水の洗浄力は水酸基濃度に依存し、pH11を超える濃度で洗浄力が上昇する。しかし、高濃度のアルカリ水は強アルカリとして劇物指定されるため、通常はpH11.5〜13.5程度のアルカリ水を生成する。
アルカリイオン水は飲用であることから適正pH範囲(9〜10)が決められている。従来のアルカリイオン整水器では、水道水中のイオン成分(少ない場合はカルシウム塩などを添加)で水電解のイオン電流を得るため、常に流水した状態でアルカリイオン水を生成している。このため、アルカリイオン整水器を水道設備に接続しなければならず、設置に手間が掛かり、また、整水器を持ち運ぶことが困難となっている。
洗浄アルカリ水も適正pH範囲(11.5〜13.5)が決められている。従来の洗浄アルカリ水生成装置では、電極近傍に生成物が滞留しないように常に流水した状態で生成しているため、上記と同様に、生成装置を水道設備に接続することが必要となる。
この発明の実施形態の課題は、水道設備とは切り離された持ち運び可能な静水式のアルカリ水生成装置およびアルカリ水生成方法を提供することにある。
実施形態によれば、アルカリ水生成装置は、水を静水状態で貯溜するための貯水容器と、前記貯水容器内に配置される電極ユニットと、を備えている。前記電極ユニットは、前記貯水容器内の水から分離した陽極室と前記貯水容器内に開放する陰極室とを有する筐体と、前記筐体に設けられ前記陽極室と陰極室との間を仕切る正負両イオンを透過可能な隔膜と、前記陽極室内に設けられ前記隔膜に対向する陽極と、前記陰極室内に設けられ前記隔膜に隙間を置いて対向する陰極と、を備え、前記陰極と隔膜との間隔は、前記陽極と隔膜との間隔と同等以上に形成されている。
以下に、図面を参照しながら、種々の実施形態について説明する。なお、実施形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
(実施形態)
図1は、実施形態に係るアルカリ水生成装置を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態において、アルカリ水生成装置10は、例えば、1Lのアルカリ水を生成する静水式あるいはバッチ式のアルカリ水生成装置として構成されている。アルカリ水生成装置10は、水道水等の液体を静水状態に貯溜する貯水容器(水槽)12と、貯水容器12の上端開口に脱着自在に装着され、この上端開口を閉塞した蓋体14と、蓋体14に支持され貯水容器12内に配置される電極ユニット16と、この電極ユニット16の電極に電解電力を供給する駆動部18と、を備えている。駆動部18は、図示しない直流電源等に接続される。
図1は、実施形態に係るアルカリ水生成装置を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態において、アルカリ水生成装置10は、例えば、1Lのアルカリ水を生成する静水式あるいはバッチ式のアルカリ水生成装置として構成されている。アルカリ水生成装置10は、水道水等の液体を静水状態に貯溜する貯水容器(水槽)12と、貯水容器12の上端開口に脱着自在に装着され、この上端開口を閉塞した蓋体14と、蓋体14に支持され貯水容器12内に配置される電極ユニット16と、この電極ユニット16の電極に電解電力を供給する駆動部18と、を備えている。駆動部18は、図示しない直流電源等に接続される。
貯水容器12は、例えば、ホウケイ酸ガラスや塩化ビニールやポリプレンやポリエチレンなどの耐アルカリ性に優れたガラスや樹脂により形成され、円錐台状に形成されている。蓋体14は、例えば、塩化ビニールやポリプレンやポリエチレンなどの耐アルカリ性に優れた樹脂により形成され、扁平な円形状に形成されている。この蓋体14は、貯水容器12の上部開口12aに脱着自在に装着される。
図1に示すように、電極ユニット16は、筐体20を備え、この筐体20は、例えば、塩化ビニールやポリプレンやポリエチレンなどの耐酸性、耐アルカリ性に優れた合成樹脂により矩形箱状に形成されている。筐体20の一側面は、外部に開口している。筐体20内に隔膜22が設けられ、この隔膜22により、筐体20内の空間を陽極室24と陰極室26とに仕切っている。隔膜22は、正負両イオン(アニオン、カチオン)を透過可能な隔膜、例えば、多孔質隔膜を用いている。
陽極室24は、筐体20および隔膜22によって、周囲の空間から分離され、すなわち、貯水容器12内に収容される水から分離されている。陽極室24の容量は、貯水容器12の容量よりも小さく、例えば、貯水容器12の容量の1/5〜1/200に設定している。一方、陰極室26は、筐体20の側面開口を通して外部に開放している、すなわち、貯水容器12内に連通している。
筐体20は、その上端壁から上方に延出した注入管23を一体に備えている。注入管23は、陽極室24に連通している。注入管23は、蓋体14を貫通して上方に延出している。この注入管23を通して、陽極室24に水道水あるいは電解液を注入および導入することができる。
電極ユニット16は、陽極室24に設けられた板状の陽極28aと、陰極室26に設けられた板状の陰極28bと、を更に備えている。陽極28aは、隔膜22の一方の表面と対向して設けられている。この際、陽極28aは、隔膜22に接触して、あるいは、僅かなギャップ(間隔)Aを置いて、対向配置されている。陽極28aの接続端子29aは、蓋体14を貫通して上方に延出している。また、陽極28aの下端は、筐体20の底壁から離間して位置している。
陰極28bは、隔膜22の他方の表面と隙間(間隔、ギャップB)を置いて対向配置されている。陰極28bの接続端子29bは、蓋体14を貫通して上方に延出している。また、陰極28bの下端は、筐体20の底壁から離間して位置している。これにより、陰極28bの下端と筐体20の底壁との間に取入れ口30が形成され、この取入れ口30を通して、貯水容器12内の水を陰極28bと隔膜22との間の空間に取込むことができる。
図2は、電極(陰極28b、陽極28a)を示す斜視図である。図1および図2に示すように、各電極、例えば、陰極28bは、細長い矩形板状に形成されている。陰極28bの鉛直方向の上端部に、矩形状の開口31が形成されている。この開口31は、筐体20の上端壁近傍で、陰極28bと隔膜22との間の空間を貯水容器12内に連通し、生成されたアルカリ水を貯水容器12内に流出するための流出口を構成している。図1に矢印で示したように、陰極28bの隔膜22側で電解により生じた水素ガスは、陰極室26を浮上するとともに生成された水酸化ナトリウムや溶存した水素を含む水を押し上げて対流を引き起こす。これらアルカリ水は水素ガス浮力により開口31から貯水容器12に排出されるとともに、新たな水が取り入れ口30から引き込まれる。
図3は、変形例に係る電極(陰極28b、陽極28a)を示している。図3に示すように、陰極28bおよび陽極28aは、全面に亘って多数の透孔を有するパンチングメタルで構成してもよい。このように陰極28b全域に透孔あるいは開口を施しても、陰極室26に発生する水素ガス浮力により上述した対流が引き起こされ、陰極28bの上方の透孔からアルカリ水や水素ガスが排出され、同時に陰極28bの下方から新たな水が引き込まれる。すなわち、開口あるいは透孔は電極の上下部に限るものではなく、上下部を含む形態であれば電極の全域に開口あるいは透孔があってもよく、少なくとも上下に離間した2つ以上の開口あるいは透孔があればよい。
図1に示すように、筐体20の上端壁において、陰極28bと隔膜22との間の空間に対向する領域に、1つ、あるいは複数の透孔(排出孔)34が形成されている。この透孔34は、陰極28bと隔膜22との間の空間の延長方向上端部に連通している。これにより、透孔34は、上記空間内に生じる気泡を排出するための排出孔として機能することができる。
図1に示すように、陽極28aおよび陰極28bの接続端子29a、29bは、それぞれ配線を介して、駆動部18の電源17に接続されている。
以上のように構成されたアルカリ水生成装置10によりアルカリ水を生成する場合、まず、貯水容器12に水道水を満たし静水状態にするとともに、電極ユニット16および蓋体14を貯水容器12に装着し、電極ユニット16を水道水内に浸漬する。これにより、貯水容器12内の水道水が陰極室26内に流入し、陰極室26を水道水で満たす。貯水容器12内の水道水は、静水状態となり、電極ユニット16の陽極室24および陰極室26よりも高い位置に水面を形成する。更に、注入管23を通して、陽極室24に水道水を導入および充填する。
この状態で、駆動部18から陽極28aに正電圧を、陰極28bに負電圧を印加し、所定電荷量だけ電解するように駆動する。これにより、陰極室26内でアルカリ水が生成され、生成したアルカリ水を順次、貯水容器12内の水道水に対流拡散する。これにより、貯水容器12の水から飲用アルカリイオン水を生成するものである。
ここで、本実施形態において、陽極28aと隔膜22との間隔(ギャップA)は0〜2mm、陰極28bと隔膜22との間隔(ギャップB)は1〜3mmとし、かつ陽極28aと隔膜22との間のギャップAよりも陰極28bと隔膜22との間のギャップBが大きくなるように構成している。これにより、静水状態の水でも適度に水を対流させ、水中のイオン成分を使いまわすことで、適正な電力でイオン電流を持続させて、飲用に適したpHのアルカリイオン水を生成することができる。以下に、生成作用について詳細に説明する。
アルカリイオン水を電解生成する場合、水に所定量の電流を流す必要がある。水のイオン積はわずかであるので(純水では絶縁物)、電流は水道水に含まれる水以外の電離したイオン成分が担うことになる。一般的な水道水の導電率は100〜500μS/cm程度である。また、水道水のイオン成分は、カチオンとしてはカルシウムやナトリウムなどのミネラルイオン、アニオンとしては塩素イオンや炭酸イオンであり、濃度としては10〜100mg/kg程度である。電解時には、イオン成分が陽極28aおよび陰極28bに流れて電荷を運ぶとともに、陰極28bでは水が分解されて水酸イオンと水素ガスが発生する。水酸イオンは、カルシウムなどアルカリ成分である水酸化物を形成するとともに、水素ガスが水中に溶存して酸化還元電位を低下させる。
しかしながら、静水状態では水の流れが無いために幾つかの不具合を生じる。
まず、イオン成分の総量が限定されているため、電解電流を維持するために繰り返しイオン成分を電流の担い手として使いまわす必要がある。本実施形態のアルカリ水生成装置10では、貯水容器12の水を1Lとしているが、一般的な水道水では1Lに含まれるイオン成分は電荷量にして10C(クーロン)程度しかない。一方、1Lの水を十分な還元力(酸化還元電位−0.2V以下)を持つアルカリイオン水にするためには、少なくとも100C以上の電荷量を与える必要がある。このため、隔膜22としてはカチオンとアニオンの両方に透過性を有する多孔質膜を用いて、隔膜22を逆拡散させることで再度イオン電流としてこれらイオン成分を再利用できるようにしている。また、貯水容器の水が流水しないため、水に含まれるイオン成分量が制限されていて使いまわしているため、過剰に電荷量を投入しても最終的には水に含まれるイオン成分量に応じたアルカリ水となり、強アルカリ性にはならない。一般的な水道水であればpH9〜9.5の範囲でpHは飽和する。このため、投入電荷量を過剰気味(300〜500C程度)とすることで、地域毎に異なるイオン成分量の水であっても安定してアルカリイオン水のpHを9〜9.5とすることができ、溶存水素により酸化還元電位も安定して還元電位とすることができる。
まず、イオン成分の総量が限定されているため、電解電流を維持するために繰り返しイオン成分を電流の担い手として使いまわす必要がある。本実施形態のアルカリ水生成装置10では、貯水容器12の水を1Lとしているが、一般的な水道水では1Lに含まれるイオン成分は電荷量にして10C(クーロン)程度しかない。一方、1Lの水を十分な還元力(酸化還元電位−0.2V以下)を持つアルカリイオン水にするためには、少なくとも100C以上の電荷量を与える必要がある。このため、隔膜22としてはカチオンとアニオンの両方に透過性を有する多孔質膜を用いて、隔膜22を逆拡散させることで再度イオン電流としてこれらイオン成分を再利用できるようにしている。また、貯水容器の水が流水しないため、水に含まれるイオン成分量が制限されていて使いまわしているため、過剰に電荷量を投入しても最終的には水に含まれるイオン成分量に応じたアルカリ水となり、強アルカリ性にはならない。一般的な水道水であればpH9〜9.5の範囲でpHは飽和する。このため、投入電荷量を過剰気味(300〜500C程度)とすることで、地域毎に異なるイオン成分量の水であっても安定してアルカリイオン水のpHを9〜9.5とすることができ、溶存水素により酸化還元電位も安定して還元電位とすることができる。
このような繰り返し水中のイオン成分を使いまわす必要がある静水式では、隔膜22と陰極28bを密着させてしまうと、イオン循環の動きを妨げてしまうため、電流が流れなくなる。また、強制的に大きな電圧を電極に印加すると、水自体を分解して酸素ガスと水素ガスを出すだけとなってしまう。このため、陰極28bと隔膜22との間に、1〜3mmほどの間隔(ギャップB)を設けている。このギャップBは陰極室26に対流を引き起こすためにも必須であり、対流により静水状態でありながらアルカリ水を貯水容器12に拡散させることができる。また、ギャップBが大き過ぎるとイオン循環の問題はなくなるが、陰極28bと陽極28aとのイオン輸送抵抗が大きくなっていくため、電圧が上昇してしまう。このため、ギャップBは大きくても3mm程度とすることが望ましい。
一方、陽極28aでは、小容量の陽極室24に貯水容器12の全てのアニオンが集約するためアニオン濃度が上昇するため、イオン循環に対して必要な間隔(陽極28aと隔膜22の間隔:ギャップA)が小さくてよい。さらには、陽極28aにおける反応では水分解による酸素生成とともに水中の塩素イオンによる塩素ガス生成が起こる。塩素ガスは瞬時に水と反応して次亜塩素酸と塩酸を生じるためにガスを出さない。陽極28aでのガス生成自体が少ないため、ガス浮力による対流撹拌はあまり期待できない。このため、陽極28aは隔膜22に接するように組み立ててもわずかな隙間より高濃度のアニオンが循環し得るため、ギャップAは0〜2mm程度でよい。
静水式のアルカリ水生成装置では、陰極室として作用する貯水容器12の容量(実施形態では1L)を、陽極室24の容量(実施形態では20mL)より大きくする。この場合、イオン濃度の関係から、大きい容量の領域に設けられる電極のギャップを小さい容量の領域に設けられる電極のギャップよりも大きくとることが望ましい。また、陽極28aの表面に設けられる触媒は、酸素ガス生成より塩素ガス生成の過電圧が低く、塩素ガス生成を優先するような触媒、例えば、イリジウム触媒が望ましい。
静水式のアルカリ水生成装置では、陰極室として作用する貯水容器12の容量(実施形態では1L)を、陽極室24の容量(実施形態では20mL)より大きくする。この場合、イオン濃度の関係から、大きい容量の領域に設けられる電極のギャップを小さい容量の領域に設けられる電極のギャップよりも大きくとることが望ましい。また、陽極28aの表面に設けられる触媒は、酸素ガス生成より塩素ガス生成の過電圧が低く、塩素ガス生成を優先するような触媒、例えば、イリジウム触媒が望ましい。
流水式の生成装置では、電極の周囲に生成された物質は流水により移動させているが、静水した状態では流水による物質の移動が期待できない。このため、陰極28bでは、隔膜22との間に最低1mmのギャップBを設けることで、陰極28bの隔膜22側で生じた水素ガスが浮力で陰極28bと隔膜22との間の空間を浮上して対流を起こす構造としている。ギャップBが小さいと、陰極28bの表面に水素ガスが滞留してしまい、陰極28b表面の液接触面積が低下し、電解が阻害される。本実施形態においては、陰極28bと隔膜22との間のギャップBを1〜3mmに設定することにより、静水状態でも、水素ガスの浮力により陰極28bと隔膜22との間の水を対流させることができる。この浮力対流により、陰極28bの下部の取入れ口30から貯水容器12の水を給水し、上部の開口31から水素ガスとともにアルカリ生成物を貯水容器12内に適時排出できるようにしている。更に、水素ガスの一部は、筐体20の透孔34を通して筐体20の外部、すなわち、貯水容器12内に排出される。これにより、陰極28bの上部に水素ガスの気泡が滞留することを防止できる。
一方、陽極28aと隔膜22との間にも同様にギャップAを設けることが望ましいが、陽極室24は貯水容器12に内装されるため、貯水容器12に対して数10分の1の小さい容量としており、数10倍にイオン濃度が濃縮されるため、陰極28b側ほど致命的な問題ではない。また、ギャップAが大きくなると、イオン拡散抵抗が大きくなって電解に必要な電圧が増大する。このため、陰極室26(貯水容器12内の空間を含む)が陽極室24より大きい容量を有する静水式のアルカリ水生成装置においては、陰極28b側のギャップBは1〜3mm、陽極28a側のギャップAは0〜2mmとし、更に、陰極28b側のギャップBを陽極28a側のギャップAよりも大きくとることが望ましい。
図4は、電極ユニット16の陽極28aと隔膜22とのギャップAおよび陰極28bと隔膜22とのギャップBを種々変えた場合の各々について、印加電圧の時間変動を測定した結果を示している。この場合、貯水容器12の容量を1L、陽極室24の容量を20mLとし、400μS/cmの水道水を用いて、0.5Aで20分(投入電荷量は600C)電解したときの電圧時間変動を示したものである。図4において、電圧が30Vでフラットになっているデータが示されているが、これは電圧値が上限(30V)に達するほど抵抗が高くなった状態であり、電流が0.5Aに到達していないことを示している。
図5および図6は、図4に示した測定結果の要点となるケースを抜粋して示している。図5は、陽極28aと隔膜22との間のギャップAが0mmのケース、および陰極28bと隔膜22とのギャップBが0mmのケースを示している。
図5および図6は、図4に示した測定結果の要点となるケースを抜粋して示している。図5は、陽極28aと隔膜22との間のギャップAが0mmのケース、および陰極28bと隔膜22とのギャップBが0mmのケースを示している。
図2および図5から、陰極28bと隔膜22との間のギャップBが0mmの場合、電圧が大きすぎて水道水に所定電流を流すことができず、アルカリイオン水を生成できないことが解る。これは、ギャップBが0mmであるため、イオン電流として使われたイオンが循環するための拡散やこれを支援する水素ガス浮力による対流が起こり難く、イオンが枯渇して電解電流が確保できないためである。このことから、陰極28bと隔膜22との間にギャップBを設けることにより、静水状態の限られた容量の水道水であっても、イオン電流として移動したイオンを再度逆側に拡散させてイオン電流として再利用するとともに、水素ガスの浮力で対流させ、水素ガスを排出して新鮮な水を循環させることができる。
図4および図6に示すように、ギャップBが2mm以上であると、電解初期から対流が始まり電圧は低くなる。ギャップBが1mmの場合、対流が生じるまでに時間を要し、4分程度経過すると、対流の支援によりイオン循環が良好になり電圧が低く安定する。ギャップBが大きくなると、対流は電解初期から良好となり初期から電圧は安定するが、陰極28bと陽極28aの間隔が開くことでイオン拡散抵抗が上昇して電圧自体が高くなる。このため、陰極28bと隔膜22との間のギャップBは1〜3mmが好ましい。
一方、図4ないし図6に示すように、陽極28aと隔膜22との間のギャップAは零であっても問題はなく、ギャップAが大きいとイオン拡散抵抗のため電圧が上昇する。これは、陽極室24の容積が20mLと貯水容器12の容積1Lに対して極めて小さく、水中のアニオンが陽極室24に高濃度に集中するためである。すなわち、アニオンが集中することにより、陽極28aでは水電解による酸素生成よりも、塩素イオン電解による次亜塩素酸生成が優先される。塩素イオン電解で生じた塩素ガスは、瞬時に水と反応して次亜塩素酸と塩酸になるためガスを生じない。このように、陽極室24ではアニオンを高濃度に集約するとともに塩素電解で生成ガス自体が少ないため、陽極28aと隔膜22との間のギャップAはゼロにしても支障はなくなる。ギャップAの実用上の最適範囲としては0〜2mmであり、また、陽極室の容量は、貯水容器12の容量の1/5〜1/200が好ましい。更に、図5および図6から、貯水容器12に電極ユニット16を内装するような、すなわち陽極室24の容量が貯水容器12の容量より小さい場合では、陽極28aと隔膜22との間のギャップAよりも陰極28bと隔膜22との間のギャップBが大きいことが好ましいといえる。
以上のように構成された静水式のアルカリ水生成装置によれば、静水状態の水でも飽和濃度近くまで水素を溶存させたpH9〜9.5のアルカリイオン水を生成することができる。また、アルカリ生成装置は、水道設備に接続する必要がなく、容易に持ち運びすることが可能となる。
なお、上述した実施形態では、電極ユニット16を貯水容器12に挿入する形態としたが、これに限らず、電極ユニット16は貯水容器12の内部に据え付けた構成としてもよい。
なお、上述した実施形態では、電極ユニット16を貯水容器12に挿入する形態としたが、これに限らず、電極ユニット16は貯水容器12の内部に据え付けた構成としてもよい。
また、図1に示した静水式のアルカリ水生成装置10を用いて洗浄アルカリ水を生成することができる。すなわち、水道水の代わりに、電解液を陽極室24に充填し、この電解液を電解することにより、洗浄アルカリ水を生成することができる。電解液としては、ナトリウムなどアルカリ金属類を含有し、塩素を含まない物質、例えば、ナトリウム含有であれば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、燐酸ナトリウムなどの少なくとも1つを用いることができる。このような電解液を電解すると、陽極室24で塩素ガスを生じることなく、貯水容器12に洗浄効果のあるpH11.5〜13.5のアルカリ水が得られる。
ここで、陽極28aと隔膜22との間のギャップAは1〜2.5mm、陰極28bと隔膜22との間のギャップBは1〜2.5mmとし、かつギャップAよりギャップBが大きくなるように電極ユニット16を構成している。陽極28a側のギャップAを最低1mm以上としたのは、塩素成分を含まない電解液を用いると、陽極28a側に酸素ガスが多く生じることを考慮してのものである。なお、塩素成分を含む電解液を使う場合は、ギャップAをゼロとしてもよい。
上記のような電解液を用いる場合でも、貯水容器12内に静水状態で収容されている水を適度に対流させ、電解液中のイオン成分を使いまわすことで、適正な電力でイオン電流を持続させることができる。電流は、電解液、例えば、純水を溶媒とした炭酸水素ナトリウム水溶液、に含まれる電離したイオン成分が担い、カチオンとしてはナトリウムイオン、アニオンとしては重炭酸イオンや炭酸イオンである。電解時には、イオン成分が陽極28aおよび陰極28bに流れて電荷を運ぶとともに、陰極28bでは水が分解されて水酸イオンと水素ガスが発生し、水酸イオンはナトリウムと水酸化物を形成するとともに、水素ガスが水中に溶存して酸化還元電位を低下させる。
電解液中に十分なイオン成分が存在しているため、投入電荷量を1200C程度とすることで安定してpH11.4〜12.0のアルカリ水を生成することができる。また、強アルカリ水を生成する場合は多量の電荷量を投入するため、陽極28a上に多量の酸素ガスが発生する。静水した状態では、陽極28a周囲の酸素ガスも滞留しやすく、陽極表面の液接触面積を低下させて電解を阻害する。このため、本実施形態においては、陽極28aと隔膜22との間のギャップAを1〜2.5mmに設定することにより、酸素ガスの浮力により静水状態でも適時、酸素ガスを排出できるようにしている。また、この酸素ガスの浮力により、陽極28aと隔膜22との間のギャップA内の水を対流させ、電解電流として活用できるようにしている。
図7は、ギャップAとギャップBの様々な組み合わせにより、炭酸水素ナトリウムを1Aで20分間、電解したとき(投入電荷量: 1200C)の生成水のpHを測定した実験結果を示している。これらの実験結果から、陽極28aと隔膜22との間のギャップAおよび陰極28bと隔膜22との間のギャップBが共に0mmの場合、あるいは、ギャップA>ギャップBの場合、生成水のpHは11.5が上限となる。
一方、ギャップA≦ギャップBの場合では、pH12.0に達する条件もあり、より強アルカリ性の洗浄液が得られる。ただし、ギャップA、Bにはそれぞれ最適な範囲があり、陽極28aと隔膜22との間のギャップAは、1≦A≦2.5mm、陰極28bと隔膜22との間のギャップBは、1≦B≦2.5mmが好ましい。このように、ギャップA≦ギャップB(ただし、1≦A≦3mmおよび1≦B≦3mm)の条件のとき、より強アルカリ性(pH11.7〜12.0)の洗浄液を生成することができる。なお、最適なギャップ値は、AおよびBがともに2.5mmの場合で、pH12.0の高い洗浄力を有するアルカリ洗浄水を作製することが可能である。
本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、貯水容器は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の容器、水槽、その他、水を貯められるものであれば適用することができる。電極ユニットの筐体、および電極は、矩形状に限定されることなく、他の種々の形状を選択可能である。
例えば、貯水容器は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の容器、水槽、その他、水を貯められるものであれば適用することができる。電極ユニットの筐体、および電極は、矩形状に限定されることなく、他の種々の形状を選択可能である。
10…電解水生成装置、12…貯水容器、14…蓋体、16…電極ユニット、
18…駆動部、20…筐体、22…隔膜、23…注入管、24…陽極室、
26…陰極室、28a…陽極、28b…陰極
18…駆動部、20…筐体、22…隔膜、23…注入管、24…陽極室、
26…陰極室、28a…陽極、28b…陰極
Claims (14)
- 水を静水状態で貯溜する貯水容器と、前記貯水容器内に配置される電極ユニットと、を備え、
前記電極ユニットは、前記貯水容器内の水から分離した陽極室と前記貯水容器内に開放した陰極室とを有する筐体と、前記筐体内に設けられ前記陽極室と陰極室との間を仕切る正負両イオンを透過可能な隔膜と、前記陽極室内に設けられ前記隔膜に対向する陽極と、前記陰極室内に設けられ前記隔膜に隙間を置いて対向する陰極と、を備え、
前記陰極と隔膜との間隔は、前記陽極と隔膜との間隔と同等以上であるアルカリ水生成装置。 - 前記陰極と隔膜との間隔は、前記陽極と隔膜との間隔よりも大きい請求項1に記載のアルカリ水生成装置。
- 前記陰極と前記隔膜との間隔が1〜3mmである請求項2に記載のアルカリ水生成装置。
- 前記陽極と前記隔膜との間隔が0〜2mmである請求項2又は3に記載のアルカリ水生成装置。
- 前記陽極室の容量は、前記貯水容器の容量の1/5〜1/200である請求項1から4のいずれか1項に記載のアルカリ水生成装置。
- 前記筐体は、鉛直方向の上端部に形成され前記陰極と前記隔膜との間の空間に連通した気泡排出用の透孔を備えている請求項1から5のいずれか1項に記載のアルカリ水生成装置。
- 前記陰極は、前記陰極室の鉛直方向の上端部に設けられた開口を有している請求項1から6のいずれか1項に記載のアルカリ水生成装置。
- 前記陰極は、前記陰極のほぼ全面に亘って設けられた複数の透孔を有している請求項1から6のいずれか1項に記載のアルカリ水生成装置。
- 前記筐体は、前記陽極室に水あるいは電解液を導入するための注入管を備えている請求項1から8いずれか1項に記載のアルカリ水生成装置。
- 前記陽極は、酸素ガス生成より塩素ガス生成の過電圧が小さい触媒を含んでいる請求項1から9のいずれか1項に記載の静水式アルカリ水生成装置。
- 前記筐体は、前記陽極室に電解液を導入するための注入管を備え、
前記陰極と前記隔膜との間隔が1〜3mm、前記陽極と前記隔膜との間隔が1〜3mmである請求項1に記載のアルカリ水生成装置。 - (生成方法)
請求項1から10のいずれか1項に記載のアルカリ水生成装置を用いてアルカリ水を生成するアルカリ水生成方法であって、
前記貯水容器内に配置された前記電極ユニットの陽極室に水道水を充填し、
前記貯水容器に水道水を給水し、前記電極ユニットの陰極室を水道水で満たすとともに前記貯水容器内で前記陰極室および陽極室よりも高い位置に水面を形成し、
前記陽極および陰極に通電して前記水道水を電解し、前記陰極室内および前記貯水容器内の水道水から、還元性でpH9〜10のアルカリ水を生成するアルカリ水生成方法。 - (生成方法)
請求項1又は11に記載のアルカリ水生成装置を用いてアルカリ水を生成するアルカリ水生成方法であって、
前記貯水容器内に配置された前記電極ユニットの陽極室に電解液を充填し、
前記貯水容器に水道水を給水し、前記電極ユニットの陰極室を水道水で満たすとともに前記貯水容器内で前記陰極室および陽極室よりも高い位置に水面を形成し、
前記陽極および陰極に通電して前記水道水および電解液を電解し、前記陰極室内および前記貯水容器内の水道水から、pH11.5〜13.5のアルカリ水を生成するアルカリ水生成方法。 - 前記電解液は、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、燐酸ナトリウムから選ばれた少なくとも1つを含み、塩素を含まないアルカリ化合物の水溶液を用いる請求項13に記載のアルカリ水生成方法。
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JP2016055675A JP2017170270A (ja) | 2016-03-18 | 2016-03-18 | アルカリ水生成装置およびアルカリ水生成方法 |
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