以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
<全体構成例>
図1は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の一例を示す概略図である。例えば、液体を吐出する装置は、図示するような画像形成装置である。このような画像形成装置では、吐出される液体は、水性又は油性のインク等の記録液である。以下、液体を吐出する装置が画像形成装置110である例で説明する。
被搬送物は、例えば、記録媒体等である。図示する例では、画像形成装置110は、ローラ130等によって搬送される記録媒体の例であるウェブ120に対して、液体を吐出して画像形成を行う。また、ウェブ120は、いわゆる連続用紙印刷媒体等である。すなわち、ウェブ120は、巻き取りが可能なロール状のシート等である。このように、画像形成装置110は、いわゆるプロダクション・プリンタである。以下の説明では、ローラ130が、ウェブ120の張力を調整等し、図示する方向(以下「搬送方向10」という。)にウェブ120が搬送される例で説明する。さらに、図では、搬送方向10に直交する方向を直交方向20とする例である。また、この例では、画像形成装置110は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色のそれぞれのインクを吐出してウェブ120の所定の箇所に画像を形成するインクジェットプリンタである。
図2は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の全体構成例を示す概略図である。図示するように、画像形成装置110は、4色のそれぞれのインクを吐出するため、4つの液体吐出ヘッドユニットを有する。
各液体吐出ヘッドユニットは、搬送方向10に搬送されるウェブ120に対して、各色のそれぞれの液体を吐出する。また、ウェブ120は、2対のニップローラ(nip roller)及びローラ230等で搬送されるとする。以下、この2対のニップローラのうち、各液体吐出ヘッドユニットより上流側に設置されるニップローラを「第1ニップローラNR1」という。一方で、第1ニップローラNR1及び各液体吐出ヘッドユニットより下流側に設置されるニップローラを「第2ニップローラNR2」という。なお、各ニップローラは、図示するように、ウェブ120等の被搬送物を挟んで回転する。このように、各ニップローラ及びローラ230は、ウェブ120等を所定の方向へ搬送する機構等である。
また、ウェブ120の記録媒体は、長尺であるのが望ましい。具体的には、記録媒体の長さは、第1ニップローラNR1と、第2ニップローラNR2との距離より長いのが望ましい。さらに、記録媒体は、ウェブに限られない。すなわち、記録媒体は、折り畳まれて格納されるシート、いわゆる「Z紙」等でもよい。
以下、図示する全体構成例では、各液体吐出ヘッドユニットは、上流側から下流側に向かって、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の順に設置されるとする。すなわち、最も上流側に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「ブラック液体吐出ヘッドユニット210K」という。)をブラック(K)用とする。このブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「シアン液体吐出ヘッドユニット210C」という。)をシアン(C)用とする。さらに、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M」という。)をマゼンタ(M)用とする。続いて、最も下流側に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y」という。)をイエロー(Y)用とする。
各液体吐出ヘッドユニットは、画像データ等に基づいて、ウェブ120の所定の箇所に、各色のインクをそれぞれ吐出する。このインクを吐出する位置(以下「着弾位置」という。)は、液体吐出ヘッドユニットから吐出される液体が記録媒体に着弾する位置にほぼ等しい、すなわち、液体吐出ヘッドユニットの直下等である。この例では、ブラックのインクは、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの着弾位置(以下「ブラック着弾位置PK」という。)に吐出される。同様に、シアンのインクは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの着弾位置(以下「シアン着弾位置PC」という。)に吐出される。さらに、マゼンタのインクは、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの着弾位置(以下「マゼンタ着弾位置PM」という。)に吐出される。また、イエローのインクは、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yの着弾位置(以下「イエロー着弾位置PY」という。)に吐出される。なお、各液体吐出ヘッドユニットがインクを吐出するそれぞれのタイミングは、各液体吐出ヘッドユニットに接続されるコントローラ520が制御する。
また、画像形成装置110は、液体吐出ヘッドユニットごとに、複数のローラがそれぞれ設置されるのが望ましい。具体的には、図示するように、複数のローラは、例えば、各液体吐出ヘッドユニットを挟んで、上流側と、下流側とにそれぞれ設置されるのが望ましい。図示する例では、液体吐出ヘッドユニットごとに、各着弾位置へウェブ120を搬送するのに用いられるローラ(以下「第1ローラ」という。)が、各液体吐出ヘッドユニットより上流側にそれぞれ設置される。また、各着弾位置から下流へウェブ120を搬送するのに用いられるローラ(以下「第2ローラ」という。)が、各液体吐出ヘッドユニットより下流側にそれぞれ設置される。このように、第1ローラ及び第2ローラがそれぞれ設置されると、各着弾位置において、いわゆる「ばたつき」が少なくできる。なお、第1ローラ及び第2ローラは、記録媒体を搬送するのに用いられ、例えば、従動ローラである。また、第1ローラ及び第2ローラは、モータ等により回転駆動されるローラであってもよい。
なお、第1の支持部材の例である第1ローラ及び第2の支持部材の例である第2ローラは、従動ローラ等の回転体でなくてもよい。すなわち、第1ローラ及び第2ローラは、被搬送物を支える支持部材であればよい。例えば、第1の支持部材及び第2の支持部材は、断面円形状のパイプ又はシャフト等でもよい。他にも、第1の支持部材及び第2の支持部材は、被搬送物と接する部位が円弧状となる湾曲板等であってもよい。以下、第1の支持部材及び第2の支持部材が設置される例で説明する。また、以下の説明は、第1の支持部材が第1ローラであり、かつ、第2の支持部材が第2ローラである例で説明する。
具体的には、ウェブ120の所定の箇所に、ブラックのインクを吐出させるため、ブラック着弾位置PKへウェブ120を搬送させるのに用いられるブラック用第1ローラCR1Kが設置される。これに対して、ブラック着弾位置PKから下流側へウェブ120を搬送させるのに用いられるブラック用第2ローラCR2Kが設置される。同様に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して、シアン用第1ローラCR1C及びシアン用第2ローラCR2Cがそれぞれ設置される。さらに、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに対して、マゼンタ用第1ローラCR1M及びマゼンタ用第2ローラCR2Mがそれぞれ設置される。また、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに対して、イエロー用第1ローラCR1Y及びイエロー用第2ローラCR2Yがそれぞれ設置される。
図3は、本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドユニットの外形形状の一例を示す図である。以下、液体吐出ヘッドユニットの外形形状の一例を、図3を用いて説明する。ここで、図3(a)は、本発明の実施形態に係る画像形成装置110の4つの液体吐出ヘッドユニット210K〜210Yの一例を示す概略平面図である。
図3(a)に示すように、液体吐出ヘッドユニットは、本実施形態では、ライン型のヘッドユニットである。すなわち、画像形成装置110は、記録媒体が搬送される搬送方向10において、上流側からブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)に対応する4つの液体吐出ヘッドユニット210K、210C、210M及び210Yを配置する。
例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kは、直交方向に、4つのヘッド210K−1、210K−2、210K−3及び210K−4を千鳥状に配置する。これにより、画像形成装置110は、ウェブ120の画像形成領域(印刷領域)の幅方向(搬送方向と直交する方向である。)の全域に、画像を形成することができる。なお、他の液体吐出ヘッドユニット210C、210M及び210Yの構成は、ブラック(K)の液体吐出ヘッドユニット210Kの構成と同様のため、説明を省略する。
なお、ここでは4つのヘッドで液体吐出ヘッドユニットを構成する例を説明したが、単一のヘッドで液体吐出ヘッドユニットを構成しても良い。
<検出部の例>
液体吐出ヘッドユニットごとに、検出部の例である直交方向における記録媒体の位置を検出するセンサがそれぞれ設置される。このセンサには、レーザ、空気圧、光電、超音波又は赤外線等の光を利用する光学センサ等が用いられる。なお、光学センサは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ又はCMOS(CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等でもよい。すなわち、検出部を構成するセンサは、例えば、記録媒体のエッジを検出できるセンサ等である。したがって、検出部は、例えば、以下のようなハードウェア構成で実現される。
図4は、本発明の一実施形態に係る検出部を実現するハードウェア構成例を示すブロック図である。例えば、検出部は、図示するような検出装置50、制御装置52、記憶装置53及び演算装置54等のハードウェアによって実現される。
まず、検出装置50は、例えば、以下のような装置である。
図5は、本発明の一実施形態に係る検出装置の一例を示す外観図である。
図示する検出装置によって検出を行う場合は、ウェブ等の被搬送物に対して光源から光を当てると形成されるスペックルパターンを撮像する構成である。具体的には、検出装置は、まず、半導体レーザ光源(LD)及びコリメート光学系(CL)等の光学系を有する。また、検出装置は、例えば、スペックルパターン等が写る画像を撮像するためのCMOSイメージセンサと、CMOSイメージセンサにスペックルパターンを集光結像するためのテレセントリック撮像光学系(OL)とを有する構成である。
図示する構成の例では、CMOSイメージセンサが、例えば、時刻T1と、時刻T2との各々において、複数回、スペックルパターンが写る画像がそれぞれ撮像される。そして、時刻T1で撮像される画像と、時刻T2で撮像される画像とに基づいて、FPGA(Field−Programmable Gate Array)回路等の演算装置が、相互相関演算等の処理を行う。次に、相関演算等によって算出される相関ピーク位置の移動に基づいて、検出装置等は、時刻T1から時刻T2までに、被搬送物が移動した移動量等を出力する。なお、図示する例は、検出装置のサイズは、幅W×奥行きD×高さHは、15×60×32[mm]とする例である。なお、相関演算の詳細は、後述する。
なお、CMOSイメージセンサは、撮像部を実現するハードウェアの一例であり、FPGA回路は、演算装置の一例である。
図4に戻り、制御装置52は、検出装置50等を制御する。具体的には、制御装置52は、例えば、トリガ信号を検出装置50に対して出力して、CMOSイメージセンサがシャッタを切るタイミングを制御する。また、制御装置52は、検出装置50から、2次元画像を取得できるように制御する。そして、制御装置52は、検出装置50が撮像し、生成される2次元画像を記憶装置53等に送る。
記憶装置53は、いわゆるメモリ等である。なお、制御装置52等から、送られる2次元画像を分割して、異なる記憶領域に記憶できる構成であるのが望ましい。
演算装置54は、マイクロコンピュータ等である。すなわち、演算装置54は、記憶装置53に記憶される画像のデータ等を用いて各種処理を実現するための演算を行う。
制御装置52及び演算装置54は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又は電子回路等である。なお、制御装置52、記憶装置53及び演算装置54は、異なる装置でなくともよい。例えば、制御装置52及び演算装置54は、1つのCPU等であってもよい。
<検出部の機能構成例>
図6は、本発明の一実施形態に係る検出部の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図示するように、検出部は、例えば、撮像部110F1、撮像制御部110F2、記憶部110F3及び速度演算部110F4等で構成される。
以下、撮像部110F1によって2回撮像が行われる、すなわち、2つの画像が生成される場合を例に説明する。また、以下の説明では、1回目のウェブ120撮像が行われる位置を「A位置」という。そして、「A位置」で撮像されたパターンが、ウェブ120が搬送され、「B位置」に移動したタイミングで、2回目のウェブ120撮像が行われるとする。
撮像部110F1は、図示するように、搬送方向10に搬送されるウェブ120等の被搬送物を撮像する。なお、撮像部110F1は、例えば、検出装置50等(図4)によって実現される。
撮像制御部110F2は、画像取得部110F21及びシャッタ制御部110F22を有する。なお、撮像制御部110F2は、例えば、制御装置52等(図4)によって実現される。
画像取得部110F21は、撮像部110F1によって撮像される画像を取得する。
シャッタ制御部110F22は、撮像部110F1が撮像するタイミングを制御する。
記憶部110F3は、第1記憶領域110F31、第2記憶領域110F32及び画像分割部110F33を有する。なお、記憶部110F3は、例えば、記憶装置53等(図4)によって実現される。
画像分割部110F33は、撮像部110F1によって撮像される画像を「A位置」を示す画像と、「B位置」を示す画像とに分割する。次に、分割されたそれぞれの画像は、第1記憶領域110F31及び第2記憶領域110F32に記憶される。
速度演算部110F4は、第1記憶領域110F31及び第2記憶領域110F32に記憶されるそれぞれの画像に基づいて、ウェブ120が有するパターンの位置、ウェブ120が搬送される移動速度及びウェブ120が搬送される移動量等を求めることができる。例えば、速度演算部110F4は、シャッタ制御部110F22に、シャッタを切るタイミングを示す時差Δt等のデータを出力する。すなわち、速度演算部110F4は、「A位置」を示す画像と、「B位置」を示す画像とが時差Δtとなるタイミングでそれぞれ撮像されるように、トリガ信号をシャッタ制御部110F22に出力する。そして、速度演算部110F4は、算出される移動速度となるように、ウェブ120を搬送させるモータ等を制御してもよい。なお、速度演算部110F4は、例えば、演算装置54等(図4)によって実現される。
ウェブ120は、表面又は内部に散乱性を有する部材である。そのため、ウェブ120にレーザ光が照射されると、反射光が拡散反射する。この拡散反射によって、ウェブ120には、パターンが形成される。すなわち、パターンは、例えば、「スペックル」と呼ばれる斑点、いわゆるスペックルパターンである。そのため、ウェブ120を撮像すると、スペックルパターンを示す画像が得られる。この画像からスペックルパターンのある位置がわかるため、検出部は、ウェブ120の所定の位置がどこにあるかが検出できる。なお、このスペックルパターンは、ウェブ120の表面又は内部に形成される凹凸形状によって、照射されるレーザ光が干渉するため、生成される。
また、光源は、レーザ光を用いる装置に限られない。例えば、光源は、LED(Light Emitting Diode)又は有機EL(Electro−Luminescence)等でもよい。そして、光源の種類によって、パターンは、スペックルパターンでなくともよい。以下、パターンがスペックルパターンである例で説明する。
したがって、ウェブ120が搬送されると、ウェブ120が有するスペックルパターンも、ウェブ120と一緒に搬送される。そのため、同一のスペックルパターンを異なる時間でそれぞれ検出すると、移動量が求められる。すなわち、同一のスペックルパターンを検出してパターンの移動量が求まると、速度演算部110F4は、ウェブ120の移動量を求めることができる。さらに、このようにして求まる移動量を単位時間あたりに換算すると、速度演算部110F4は、ウェブ120が搬送される移動速度を求めることができる。
以上のように、例えば、図示する「A位置」及び「B位置」のように、それぞれの位置でウェブ120が複数回撮像される。そして、撮像されるそれぞれの画像には、同一のスペックルパターンが写る。それぞれの画像に写るスペックルパターンを利用して、ウェブの位置、移動量及び移動速度等が計算される。このようにして、スペックルパターンに基づいて、画像形成装置は、精度良く、直交方向において、ウェブ120の位置等を示す検出結果を求めることができる。
なお、検出部は、搬送方向の位置等を検出してもよい。すなわち、検出部は、搬送方向及び直交方向のそれぞれの位置を検出するのに兼用されてもよい。このように兼用されると、それぞれの方向について検出装置を行う装置を設置するコストが少なくできる。また、装置の数が少なくできるので、省スペースとすることもできる。
図2に戻り、以下の説明では、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kに対して設置される検出装置等の装置を「ブラック用センサSENK」という。同様に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して設置される検出装置等の装置を「シアン用センサSENC」という。さらに、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに対して設置される検出装置等の装置を「マゼンタ用センサSENM」という。さらにまた、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに対して設置される検出装置等の装置を「イエロー用センサSENY」という。また、以下の説明では、ブラック用センサSENK、シアン用センサSENC、マゼンタ用センサSENM及びイエロー用センサSENYを総じて、単に「センサ」という場合がある。
また、以下の説明において、「センサが設置される位置」は、検出等が行われる位置を指す。したがって、「センサが設置される位置」に、検出装置等の装置がすべて設置される必要はなく、ケーブル等で接続され、センサ以外の装置は、他の位置に設置されてもよい。なお、図2に図示するブラック用センサSENK、シアン用センサSENC、マゼンタ用センサSENM及びイエロー用センサSENYは、センサが設置される位置の例を示す。
このように、センサが設置される位置は、各着弾位置に近い位置であるのが望ましい。各着弾位置に対して近い位置にセンサが設置されると、各着弾位置と、センサとの距離が短くなる。そして、各着弾位置と、センサとの距離が短くなると、検出における誤差が少なくできる。そのため、画像形成装置は、センサによって、直交方向において、記録媒体の位置を精度良く検出できる。
各着弾位置に近い位置は、具体的には、各第1ローラ及び各第2ローラの間である。すなわち、図示する例では、ブラック用センサSENKが設置される位置は、図示するように、ブラック用ローラ間INTK1であるのが望ましい。同様に、シアン用センサSENCが設置される位置は、図示するように、シアン用ローラ間INTC1であるのが望ましい。さらに、マゼンタ用センサSENMが設置される位置は、図示するように、マゼンタ用ローラ間INTM1であるのが望ましい。さらにまた、イエロー用センサSENYが設置される位置は、図示するように、イエロー用ローラ間INTY1であるのが望ましい。
このように、各ローラ間に、センサが設置されると、センサは、各着弾位置に近い位置で記録媒体の位置等を検出できる。ローラ間は、移動速度が比較的安定している場合が多い。そのため、画像形成装置は、直交方向において、記録媒体の位置を精度良く検出できる。
さらに、センサが設置される位置は、各ローラ間において、着弾位置より第1ローラに近い位置であるのが望ましい。すなわち、センサが設置される位置は、各着弾位置より上流側であるのが望ましい。
具体的には、ブラック用センサSENKが設置される位置は、ブラック着弾位置PKから上流側に向かってブラック用第1ローラCR1Kが設置される位置までの間(以下「ブラック用上流区間INTK2」という。)であるのが望ましい。同様に、シアン用センサSENCが設置される位置は、シアン着弾位置PCから上流側に向かってシアン用第1ローラCR1Cが設置される位置までの間(以下「シアン用上流区間INTC2」という。)であるのが望ましい。さらに、マゼンタ用センサSENMが設置される位置は、マゼンタ着弾位置PMから上流側に向かってマゼンタ用第1ローラCR1Mが設置される位置までの間(以下「マゼンタ用上流区間INTM2」という。)であるのが望ましい。さらにまた、イエロー用センサSENYが設置される位置は、イエロー着弾位置PYから上流側に向かってイエロー用第1ローラCR1Yが設置される位置までの間(以下「イエロー用上流区間INTY2」という。)であるのが望ましい。
ブラック用上流区間INTK2、シアン用上流区間INTC2、マゼンタ用上流区間INTM2及びイエロー用上流区間INTY2にセンサが設置されると、画像形成装置は、直交方向において、記録媒体の位置を精度良く検出できる。
このような位置にセンサが設置されると、センサが各着弾位置より上流側に設置される。そのため、画像形成装置は、まず、上流側でセンサによって直交方向において、記録媒体の位置を精度良く検出でき、各液体吐出ヘッドユニットが吐出するタイミングを計算できる。すなわち、この計算が行われる間等に、ウェブ120が下流側へ搬送されると、計算されたタイミングで各液体吐出ヘッドユニットは、インクを吐出できる。
なお、各液体吐出ヘッドユニットの直下をセンサが設置される位置とすると、制御動作分の遅れ等によって、色ズレが生じてしまう場合がある。したがって、センサが設置される位置は、各着弾位置より上流側であると、画像形成装置は、色ズレを少なくし、画質を向上できる。また、各着弾位置付近等を、センサ等を設置する位置とするのは、制約される場合がある。そのため、センサが設置される位置は、各着弾位置より各第1ローラに近い位置であるのが望ましい。
また、センサの位置は、例えば、各液体吐出ヘッドユニットのそれぞれの直下等でもよい。以下の説明では、センサが各液体吐出ヘッドユニットの直下にある例を図示して説明する。この例のように、センサが直下にあると、直下における正確な移動量が、センサによって検出できる。したがって、制御動作等が速く行えるのであれば、センサは、各液体吐出ヘッドユニットの直下により近い位置にあるのが望ましい。一方で、センサは、各液体吐出ヘッドユニットの直下になくてもよく、直下にない場合であっても、同様の計算が行われる。
また、誤差が許容できるのであれば、センサの位置は、各液体吐出ヘッドユニットのそれぞれの直下又は各第1ローラ及び各第2ローラの間であって、各液体吐出ヘッドユニットの直下より下流となる位置等でもよい。
図7は、直交方向において記録媒体の位置が変動する例を示す図である。以下、図7(A)に示すようにウェブ120が搬送方向10に搬送される例で説明する。この例で示すように、ウェブ120は、ローラ等によって搬送される。このように、ウェブ120が搬送されると、ウェブ120は、例えば、図7(B)に示すように、直交方向において位置が変動する場合がある。すなわち、ウェブ120は、図7(B)に示すように、「蛇行」する場合がある。
なお、図示する例は、ローラが斜めに配置されてしまった場合である。図では、「斜め」となっている状態を分かりやすく記載しており、ローラの傾き等は、図示する例より少ない場合等でもよい。
直交方向におけるウェブ120の位置の変動、すなわち、「蛇行」は、例えば、搬送に係るローラの偏心、ミスアライメント又はブレードによるウェブ120の切断等によって発生する。また、ウェブ120が直交方向に対して幅が狭い場合等には、ローラの熱膨張等が、直交方向におけるウェブ120の位置の変動に対して影響する場合もある。
例えば、ローラの偏心又はブレードの切断等によって、振動が発生すると、ウェブ120は、図示するように、「蛇行」する場合がある。他にも、ブレードによる切断が一様にならず、ウェブ120の物理的特性、すなわち、ウェブ120が切断された後の形状等によって、ウェブ120は、図示するように、「蛇行」する場合がある。
図8は、色ずれが起こる原因の一例を示す図である。図7で説明するように、直交方向において記録媒体の位置が変動、すなわち、「蛇行」が起こると、図8に示す原因等によって、色ずれが起きやすい。
具体的には、複数の色を用いて記録媒体に画像を形成する場合、すなわち、カラー画像が形成される場合には、図示するように、画像形成装置は、各液体吐出ヘッドユニットが吐出する各色のインクを重ねて、いわゆるカラープレーンによるカラー画像をウェブ120上に形成する。
これに対して、図7で説明するような位置の変動がある。例えば、参照線320を基準に、「蛇行」が起きる場合がある。この場合において、各液体吐出ヘッドユニットが同一の位置に対してインクをそれぞれ吐出すると、液体吐出ヘッドユニットの間で「蛇行」によって、直交方向において、ウェブ120の位置が変動するため、色ずれ330が起きる場合がある。すなわち、色ずれ330は、各液体吐出ヘッドユニットが吐出するインクによって形成される線等が、直交方向において位置がずれるため起こる。このように、色ずれ330が起きると、ウェブ120に形成される画像の画質が劣化することがある。
<制御部の例>
制御部の例であるコントローラ520(図2)は、例えば、以下に説明する構成である。
図9は、本発明の一実施形態に係る制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、コントローラ520は、情報処理装置等である上位装置71と、プリンタ装置72とを有する。図示する例では、コントローラ520は、上位装置71から入力される画像データ及び制御データに基づいて、プリンタ装置72に、記録媒体に対して画像を画像形成させる。
上位装置71は、例えば、PC(Personal Computer)等である。また、プリンタ装置72は、プリンタコントローラ72C及びプリンタエンジン72Eを有する。
プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eの動作を制御する。まず、プリンタコントローラ72Cは、制御線70LCを介して、上位装置71と制御データを送受信する。さらに、プリンタコントローラ72Cは、制御線72LCを介して、プリンタエンジン72Eと制御データを送受信する。このような制御データの送受信によって、制御データが示す各種印刷条件等がプリンタコントローラ72Cに入力されると、プリンタコントローラ72Cは、レジスタ等によって、印刷条件等を記憶する。次に、プリンタコントローラ72Cは、制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eを制御し、印刷ジョブデータ、すなわち、制御データに従って画像形成を行う。
プリンタコントローラ72Cは、CPU72Cp、印刷制御装置72Cc及び記憶装置72Cmを有する。なお、CPU72Cp及び印刷制御装置72Ccは、バス72Cbによって接続され、相互に通信を行う。また、バス72Cbは、通信I/F(interface)等を介して、制御線70LCに接続される。
CPU72Cpは、制御プログラム等によって、プリンタ装置72全体の動作を制御させる。すなわち、CPU72Cpは、演算装置及び制御装置である。
印刷制御装置72Ccは、上位装置71から送信される制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eと、コマンド又はステータス等を示すデータを送受信する。これにより、印刷制御装置72Ccは、プリンタエンジン72Eを制御する。また、記憶部110F3は、例えば、記憶装置72Cm等によって実現される。さらに、速度演算部110F4は、例えば、CPU72Cp等によって実現される。なお、記憶部110F3及び速度演算部110F4は、他の演算装置及び記憶装置で実現されてもよい。
プリンタエンジン72Eには、データ線70LD−C、70LD−M、70LD−Y及び70LD−K、すなわち、複数のデータ線が接続される。そして、プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線を介して、上位装置71から画像データを受信する。次に、プリンタエンジン72Eは、プリンタコントローラ72Cによる制御に基づいて、各色の画像形成を行う。
プリンタエンジン72Eは、データ管理装置72EC、72EM、72EY及び72EK、すなわち、複数のデータ管理装置を有する。また、プリンタエンジン72Eは、画像出力装置72Ei及び搬送制御装置72Ecを有する。
図10は、本発明の一実施形態に係る制御部が有するデータ管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、複数のデータ管理装置は、同一の構成である。以下、各データ管理装置が同一の構成である例で説明し、データ管理装置72ECを例に説明する。したがって、重複する説明は、省略する。
データ管理装置72ECは、ロジック回路72EClと、記憶装置72ECmとを有する。図示するように、ロジック回路72EClは、データ線70LD−Cを介して上位装置71と接続される。また、ロジック回路72EClは、制御線72LCを介して印刷制御装置72Ccと接続される。なお、ロジック回路72EClは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はPLD(Programmable Logic Device)等で実現される。
ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72C(図9)から入力される制御信号に基づいて、上位装置71から入力される画像データを記憶装置72ECmに記憶する。
また、ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、記憶装置72ECmからシアン用画像データIcを読み出す。次に、ロジック回路72EClは、読み出されたシアン用画像データIcを画像出力装置72Eiに送る。
なお、記憶装置72ECmは、3頁程度の画像データを記憶できる容量を有するのが望ましい。3頁程度の画像データが記憶できると、記憶装置72ECmは、上位装置71から入力される画像データ、画像形成中の画像データ及び次に画像形成するための画像データを記憶できる。
図11は、本発明の一実施形態に係る制御部が有する画像出力装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図示するように、画像出力装置72Eiは、出力制御装置72Eicと、各色の液体吐出ヘッドユニットであるブラック液体吐出ヘッドユニット210K、シアン液体吐出ヘッドユニット210C、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M及びイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yとを有する。
出力制御装置72Eicは、各色の画像データを各色の液体吐出ヘッドユニットにそれぞれ出力する。すなわち、出力制御装置72Eicは、入力される画像データに基づいて、各色の液体吐出ヘッドユニットを制御する。
出力制御装置72Eicは、複数の液体吐出ヘッドユニットを同時又は個別に制御する。すなわち、出力制御装置72Eicは、タイミングの入力を受けて、各液体吐出ヘッドユニットに液体を吐出させるタイミングを変える制御等を行う。なお、出力制御装置72Eicは、プリンタコントローラ72C(図9)から入力される制御信号に基づいて、いずれかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。さらに、出力制御装置72Eicは、ユーザによる操作等に基づいて、いずれかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。
なお、図9に示すプリンタ装置72は、上位装置71から画像データを入力する経路と、制御データに基づく上位装置71及びプリンタ装置72の間での送受信に用いられる経路とをそれぞれ異なる経路とする例である。
また、プリンタ装置72は、例えば、ブラック1色で画像形成を行う構成とされてもよい。ブラック1色で画像形成を行う場合において、画像形成を行う速度を速くするため、例えば、1つのデータ管理装置と、4つのブラック液体吐出ヘッドユニットとを有する構成等でもよい。このようにすると、複数のブラック液体吐出ヘッドユニットによって、それぞれブラック用のインクが吐出される。そのため、1つのブラック液体吐出ヘッドユニットとする構成と比較して、速い画像形成を行うことができる。
搬送制御装置72Ec(図9)は、ウェブ120を搬送させるモータ、機構及びドライバ装置等である。例えば、搬送制御装置72Ecは、各ローラ等に接続されるモータ等を制御し、ウェブ120を搬送させる。
<全体処理例>
図12は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による全体処理の一例を示すフローチャートである。例えば、あらかじめウェブ120(図1)に形成される画像を示す画像データが画像形成装置110に入力されるとする。次に、画像形成装置110は、画像データに基づいて、図12に示す全体処理を行い、ウェブ120に画像データが示す画像を形成する。
なお、図12は、1つの液体吐出ヘッドユニットに対する処理を示す。すなわち、図12は、例えば、図2に示す例では、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kに係る処理である。また、他の色の液体吐出ヘッドユニットに対しては、例えば、図12に示す処理が並列又は前後して別途行われる。
ステップS01では、画像形成装置は、直交方向において記録媒体の位置を検出する。すなわち、ステップS01では、画像形成装置は、センサによって、直交方向におけるウェブ120の位置を検出する。
ステップS02では、画像形成装置は、液体吐出ヘッドユニットをウェブの搬送方向と直交方向に移動させる。また、ステップS02は、ステップS01による検出結果に基づいて行われる。さらに、ステップS02は、ステップS01による検出結果が示すウェブ120の位置の変動を補償するように、液体吐出ヘッドユニットを移動させる。例えば、ステップS01で検出された位置の変動分、ステップS02では、画像形成装置は、液体吐出ヘッドユニットを移動させて、ウェブ120の位置の変動を補償する。
図13は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置が有する液体吐出ヘッドユニットを移動させるためのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、画像形成装置は、センサの他に、時間ずらし装置81、演算装置82、LPF(low pass filter)83及びアクチュエータコントローラ84を有する。
時間ずらし装置81は、センサの検出結果を記憶し、1周期前の記録媒体の位置を示すデータを記憶する。すなわち、時間ずらし装置81は、記憶装置である。
演算装置82は、センサが検出する現在の記録媒体の位置と、時間ずらし装置81が記憶する1周期前の記録媒体の位置とを減算し、記録媒体の位置の変動を算出する。すなわち、演算装置82は、いわゆる蛇行量を算出する。すなわち、演算装置82は、CPU又は電子回路等である。
LPF83は、演算装置82が算出する蛇行量に対してフィルタ処理を行う。これによって、LPF83は、蛇行量の急激な変化を減らす。「蛇行」の周波数は、記録媒体の速度等によってある程度、範囲が定まる。したがって、LPF83は、あらかじめ定まる「蛇行」の周波数より、高周波の値、すなわち、急激な変化を示す値を減衰させる。急激な変化は、ノイズ又は誤検出である場合が多い。そのため、LPF83によって蛇行量の急減な変化を減らすと、画像形成装置は、アクチュエータの誤動作を少なくできる。
アクチュエータコントローラ84は、液体吐出ヘッドユニットを移動させるアクチュエータを制御する。例えば、アクチュエータコントローラ84が制御する対象は、以下のような移動機構である。
図14は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置が有する液体吐出ヘッドユニットを移動させるための移動機構の一例を示すブロック図である。例えば、アクチュエータコントローラ84(図13)は、図示する構成においてアクチュエータコントローラCTLであって、図示するような移動機構を制御する。以下、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させる構成を例に説明する。
まず、図示する例では、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させるリニアアクチュエータ等のアクチュエータACTが、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに設置される。そして、アクチュエータACTには、アクチュエータACTを制御するアクチュエータコントローラCTLが接続される。
アクチュエータACTは、例えば、リニアアクチュエータ又はモータである。また、アクチュエータACTは、制御回路、電源回路及び機構部品等を有してもよい。
アクチュエータコントローラCTLは、例えば、ドライバ回路等である。そして、アクチュエータコントローラCTLは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを位置制御する。
アクチュエータコントローラCTLには、図12に示すステップS01による検出結果が入力される。そして、アクチュエータコントローラCTLは、検出結果が示すウェブ120の位置の変動を補償するように、アクチュエータACTによって、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させる(図12に示すステップS02)。
図示する例では、検出結果は、例えば、変動Δを示す。したがって、この例では、アクチュエータコントローラCTLは、変動Δを補償するように、直交方向20へ、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させる。
なお、図2で示すコントローラ520のハードウェアと、図13及び図14に示す各装置とは、一体であってもよいし、別々であってもよい。
図15は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による記録媒体の位置の変動を算出する方法の一例を示すタイミングチャートである。図示するように、画像形成装置は、1周期前の記録媒体の位置と、現在の記録媒体の位置とを減算して、記録媒体の位置の変動を算出する。
以下、検出周期が「0」回である場合を例に説明する。この例では、図示するように、画像形成装置は、1周期前の記録媒体の位置を示す値である「X(−1)」と、現在の記録媒体の位置を示す値である「X(0)」とを減算して、記録媒体の位置の変動を「X(0)−X(−1)」によって算出する。
なお、この例では、1周期前の記録媒体の位置は、センサによって「−1」回の際に検出され、時間ずらし装置81(図13)にデータが記憶される。次に、画像形成装置は、センサが検出する「X(0)」と、時間ずらし装置81が記憶するデータが示す「X(−1)」とを減算して記録媒体の位置の変動を算出する。
このように、液体吐出ヘッドユニットの移動を行い、ウェブに対して、液体が吐出されると、画像等が、記録媒体に形成される。
図16は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置が用いるテストパターンの一例を示す図である。まず、図示するように、画像形成装置は、1色目の例であるブラックで、搬送方向10に直線が形成されるように、テスト印刷を行う。このテスト印刷の結果から、エッジからの距離Lkが求まる。このようにして、直交方向において、手動又は装置によって、エッジからの距離Lkが調整されると、1色目、すなわち、基準となるブラックのインクが吐出される位置が決定される。なお、ブラックのインクが吐出される位置の決定方法は、この方法に限定されない。
図17は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による全体処理の処理結果例を示す図である。例えば、図17(A)に示すように、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの順に、画像形成が行われるとする。また、図17(B)は、図17(A)を上面から見た図、いわゆる平面図である。
以下、ローラ230に偏心がある例で説明する。具体的には、図17(C)に示すように、偏心ECがあるとする。このように、偏心ECがあると、ウェブ120を搬送する際に、ローラ230には、揺れOSが発生する。そして、揺れOSが発生すると、ウェブ120の位置POSが変動する。すなわち、揺れOSによって、「蛇行」等が生じる。
ブラックに対する色ずれが少なくなるようにするには、画像形成装置は、例えば、図15に示すように、センサが検出する現在の記録媒体の位置と、1周期前の記録媒体の位置とを減算し、記録媒体の位置の変動を算出する。具体的には、以下の説明では、まず、ブラック用センサSENKが検出するウェブ120の位置と、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの下でのウェブ120の位置との差を「Pk」とする。同様に、シアン用センサSENCが検出するウェブ120の位置と、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの下でのウェブ120の位置との差を「Pc」とする。さらに、マゼンタ用センサSENMが検出するウェブ120の位置と、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの下でのウェブ120の位置との差を「Pm」とする。さらにまた、イエロー用センサSENYが検出するウェブ120の位置と、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yの下でのウェブ120の位置との差を「Py」とする。
続いて、各液体吐出ヘッドユニットによって液体が着弾する位置と、ウェブ120端部、すなわち、ウェブ120が有するエッジからの距離を色ごとに、「Lk3」、「Lc3」、「Lm3」及び「Ly3」とする。このような場合には、センサによって、ウェブ120の位置が検出されるため、「Pk=0」、「Pc=0」、「Pm=0」及び「Py=0」となる。この関係より、下記(1)式のような関係が示せる。
Lc3=Lk3−Pc=Lk3
Lm3=Lk3
Ly3=Lk3−Py=Lk3 (1)
よって、上記(1)式より、「Lk3=Lm3=Lc3=Ly3」となる。このようにして、画像形成装置は、ウェブ120の位置変動を各液体吐出ヘッドユニットを移動させることで、直交方向において、吐出される液体の着弾位置の精度をより向上できる。また、画像形成を行う場合には、各色の液体が精度良く着弾するため、色ずれが少なくでき、形成される画像の画質を向上させることができる。
センサが設置される位置は、着弾位置から搬送ローラの周長dを整数倍した位置である。以下、センサが設置される位置について、ブラック用センサSENKを例に説明する。例えば、ブラック用センサSENKは、「d×0」とすると、着弾位置に近い位置に設置される。また、「d×1」とすると、ブラック用センサSENKは、着弾位置から搬送ローラの周長dを1倍した距離(以下「第1距離d1」という。)に設置される。図示するように、「d×1」の場合には、ブラック用センサSENKは、着弾位置から第1距離d1離れた位置に設置される。
同様に、「d×2」とすると、ブラック用センサSENKは、着弾位置から搬送ローラの周長dを2倍した距離(以下「第2距離d2」という。)に設置される。図示するように、「d×2」の場合には、ブラック用センサSENKは、着弾位置から第2距離d2離れた位置に設置される。なお、整数倍は、3倍以上でもよい。
なお、第1距離d1及び第2距離d2等の距離には、センサの取り付け誤差、着弾位置の誤差又はこの両方等が更に加算されてもよい。また、他の色についても、同様にセンサが設置されてもよい。
図18は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置におけるセンサが設置される位置の一例を示す図である。以下、ブラックを例に説明する。この例では、ブラック用センサSENKは、ブラック用第1ローラCR1K及びブラック用第2ローラCR2Kの間であって、ブラック着弾位置PKよりブラック用第1ローラCR1Kに近い位置に設置されるのが望ましい。なお、ブラック用第1ローラCR1Kに近づける距離は、制御動作に必要な時間等に基づいて定める。例えば、ブラック用第1ローラCR1Kに近づける距離は、「20mm」とする。この場合には、ブラック用センサSENKが設置される位置は、ブラック着弾位置PKより「20mm」上流側とする例である。
このように、センサが設置される位置が、着弾位置に近いと、検出誤差E1が小さくなる。さらに、検出誤差E1が小さいと、画像形成装置は、各色の液体を精度良く着弾させることができる。そのため、画像形成を行う場合には、画像形成装置は、各色の液体が精度良く着弾するため、色ずれが少なくでき、形成される画像の画質を向上させることができる。
また、このような構成にすると、例えば、各液体吐出ヘッドユニット間の距離をローラの周長d(図17)の整数倍にしなければならない等の制約がないため、液体吐出ヘッドユニットを設置する位置を自由にできる。すなわち、画像形成装置は、各液体吐出ヘッドユニット間の距離がローラの周長dの非整数倍であっても、各色の液体を精度良く着弾させることができる。
<比較例>
図19は、第1比較例におけるハードウェア構成の一例を示す図である。図示する第1比較例は、各液体吐出ヘッドユニットが液体を吐出させる位置に達する前に、ウェブ120の位置を検出する。例えば、この比較例では、センサが設置される位置は、液体吐出ヘッドユニットの直下から上流に「200mm」となる位置である。この場合における検出結果に基づいて、第1比較例に係る画像形成装置は、液体吐出ヘッドユニットを動かして、記録媒体の位置変動を補償する。
図20は、第1比較例に係る液体を吐出する装置による全体処理の処理結果例を示す図である。この比較例では、各液体吐出ヘッドユニット間の距離がローラの周長dの整数倍となるように、液体吐出ヘッドユニットが設置される。この場合には、各センサが検出するウェブの位置と、液体吐出ヘッドユニットの直下におけるウェブの位置との差は、「0」となる。したがって、この比較例では、各色のインクのウェブに対する液体の着弾位置をウェブ端部からの距離「Lk1」、「Lc1」、「Lm1」及び「Ly1」とすると、「Lk1=Lc1=Lm1=Ly1」となる。このようにして、位置ずれを補正する。
図21は、第2比較例に係る液体を吐出する装置による全体処理の処理結果例を示す図である。なお、第2比較例は、第1比較例と同様のハードウェア構成とする。第1比較例と比較すると、第2比較例は、ブラック及びシアンの液体吐出ヘッドユニット間の距離及びマゼンタ及びイエローの液体吐出ヘッドユニット間の距離がそれぞれ「1.75d」である点が異なる。すなわち、第2比較例は、ブラック及びシアンの液体吐出ヘッドユニット間の距離及びマゼンタ及びイエローの液体吐出ヘッドユニット間の距離がそれぞれローラの周長dの非整数倍となる例である。
この第2比較例において、図17と同様に、ブラック用センサSENKが検出するウェブの位置と、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの下でのウェブの位置との差を「Pk」とする。同様に、シアン用センサSENCが検出するウェブの位置と、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの下でのウェブの位置との差を「Pc」とする。さらに、マゼンタ用センサSENMが検出するウェブの位置と、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの下でのウェブ120の位置との差を「Pm」とする。さらにまた、イエロー用センサSENYが検出するウェブの位置と、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yの下でのウェブ120の位置との差を「Py」とする。また、第2比較例では、各色のインクのウェブに対する液体の着弾位置をウェブ端部からの距離「Lk2」、「Lc2」、「Lm2」及び「Ly2」とすると、下記(2)式のような関係が示せる。
Lc2=Lk2−Pc
Lm2=Lk2
Ly2=Lk2−Py (2)
よって、「Lk2=Lm2≠Lc2=Ly2」となる。このように、液体吐出ヘッドユニット間の距離がローラの周長dの非整数倍であると、この比較例では、シアン液体吐出ヘッドユニット210C及びマゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの直下でのウェブの位置が「Pc」及び「Py」分ずれるため、異なる。そのため、ウェブの位置変動が補償されず、色ずれ等が発生しやすい。
図22は、比較例に係る液体を吐出する装置におけるセンサが設置される位置の一例を示す図である。図示するように、比較例では、センサが着弾位置より、遠い位置に設置される場合である。そのため、比較例における検出誤差E2は、大きくなる場合が多い。
<相関演算例>
図23は、本発明の一実施形態に係る相関演算方法の一例を示す構成図である。例えば、検出部は、図示するような構成によって、相関演算を行うと、センサの位置におけるウェブの相対位置、移動量、移動速度又はこれらの組み合わせ等を演算することができる。
具体的には、検出部は、図示するように、第1の2次元フーリエ変換部FT1、第2の2次元フーリエ変換部FT2、相関画像データ生成部DMK、ピーク位置探索部SR、演算部CAL及び変換結果記憶部MEMを有する構成である。
第1の2次元フーリエ変換部FT1は、第1画像データD1を変換する。具体的には、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bを有する構成である。
直交方向用のフーリエ変換部FT1aは、直交方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT1bは、直交方向用のフーリエ変換部FT1aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。このようにして変換された変換結果を、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
同様に、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、第2画像データD2を変換する。具体的には、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、直交方向用のフーリエ変換部FT2a、搬送方向用のフーリエ変換部FT2b及び複素共役部FT2cを有する構成である。
直交方向用のフーリエ変換部FT2aは、直交方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT2bは、直交方向用のフーリエ変換部FT2aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。
次に、複素共役部FT2cは、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bによる変換結果の複素共役を計算する。そして、複素共役部FT2cが計算した複素共役を、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
続いて、相関画像データ生成部DMKは、第1の2次元フーリエ変換部FT1から出力される第1画像データD1の変換結果と、第2の2次元フーリエ変換部FT2から出力される第2画像データD2の変換結果とに基づいて、相関画像データを生成する。
相関画像データ生成部DMKは、積算部DMKa及び2次元逆フーリエ変換部DMKbを有する構成である。
積算部DMKaは、第1画像データD1の変換結果と、第2画像データD2の変換結果とを積算する。そして、積算部DMKaは、積算結果を2次元逆フーリエ変換部DMKbに出力する。
2次元逆フーリエ変換部DMKbは、積算部DMKaによる積算結果を2次元逆フーリエ変換する。このように、2次元逆フーリエ変換が行われると、相関画像データが生成される。そして、2次元逆フーリエ変換部DMKbは、相関画像データをピーク位置探索部SRに出力する。
ピーク位置探索部SRは、生成された相関画像データにおいて、最も急峻となる(すなわち、立ち上がりが急になる。)ピーク輝度(ピーク値)があるピーク位置を探索する。まず、相関画像データには、光の強さ、すなわち、輝度の大きさを示す値が入力される。また、輝度は、マトリクス状に入力される。
なお、相関画像データでは、輝度は、エリアセンサの画素ピッチ間隔、すなわち、画素サイズ間隔で並ぶ。そのため、ピーク位置の探索は、いわゆるサブピクセル処理を行ってから、探索が行われるのが望ましい。このように、サブピクセル処理が行われると、ピーク位置が精度良く探索できる。そのため、検出部は、位置、移動量及び移動速度等を精度良く出力できる。
例えば、ピーク位置探索部SRによる探索は、以下のように行われる。
図24は、本発明の一実施形態に係る相関演算におけるピーク位置の探索方法の一例を示す図である。図では、横軸は、相関画像データが示す画像における搬送方向の位置を示す。一方で、縦軸は、相関画像データが示す画像の輝度を示す。
以下、相関画像データが示す輝度のうち、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3の3つのデータを例に説明する。つまり、この例では、ピーク位置探索部SR(図23)は、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3を繋ぐ曲線kにおけるピーク位置Pを探索する。
まず、ピーク位置探索部SRは、相関画像データが示す画像の輝度の各差分を計算する。そして、ピーク位置探索部SRは、計算した差分のうち、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせを抽出する。次に、ピーク位置探索部SRは、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせに隣接する組み合わせを抽出する。このようにすると、図示する、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3のように、ピーク位置探索部SRは、3つのデータを抽出できる。そして、抽出される3つのデータを繋いで曲線kを算出すると、ピーク位置探索部SRは、ピーク位置Pを探索できる。このようにすると、ピーク位置探索部SRは、サブピクセル処理等の演算量を少なくし、より高速にピーク位置Pを探索できる。なお、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせの位置が、最も急峻な位置となる。また、サブピクセル処理は、上記の処理以外の処理でもよい。
以上のように、ピーク位置探索部SRがピーク位置を探索すると、例えば、以下のような演算結果が得られる。
図25は、本発明の一実施形態に係る相関演算の演算結果例を示す図である。図は、相互相関関数の相関強度分布を示す。なお、図では、X軸及びY軸は、画素の通し番号を示す。図示する「相関ピーク」のようなピーク位置が、ピーク位置探索部SR(図23)によって探索される。
図23に戻り、演算部CALは、ウェブの相対位置、移動量又は移動速度等を演算する。例えば、演算部CALは、相関画像データの中心位置と、ピーク位置探索部SRによって探索されるピーク位置との差を計算すると、相対位置及び移動量を演算することができる。
また、演算部CALは、例えば、移動量を時間で除算して、移動速度を計算できる。
以上のようにして、検出部は、相関演算によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出できる。なお、相対位置、移動量又は移動速度等の検出方法は、これに限定されない。例えば、検出部は、以下のように、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。
まず、検出部は、第1画像データ及び第2画像データのそれぞれの輝度を2値化する。すなわち、検出部は、輝度があらかじめ設定される閾値以下であれば、「0」とし、一方で、輝度が閾値より大きい値であると、「1」とする。このように2値化された第1画像データ及び第2画像データを比較して、検出部は、相対位置を検出してもよい。
また、検出部は、これ以外の検出方法によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。例えば、検出部は、いわゆるパターンマッチング処理等によって、各画像データに写るそれぞれのパターンから相対位置を検出してもよい。
<機能構成例>
図26は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図示するように、画像形成装置110は、複数の液体吐出ヘッドユニットと、液体吐出ヘッドユニットごとに検出部110F10をそれぞれ備える。また、画像形成装置110は、移動部110F20とを備える。
検出部110F10は、図示するように、液体吐出ヘッドユニットごとにそれぞれ備えられる。具体的には、図2に示す例では、検出部110F10は、図示するように4つとなる。また、検出部110F10は、ウェブ120の直交方向における記録媒体の位置を検出する。なお、検出部110F10は、例えば、図4等に示すハードウェア構成等によって実現される。
実施形態は、図示するように、第1ローラ及び第2ローラが備えられるのが望ましい。望ましい実施形態では、第1ローラは、図示するように、液体吐出ヘッドユニットごとにそれぞれ備えられる。具体的には、図2に示す例では、第1ローラは、液体吐出ヘッドユニットと同じ数である4つとなる。また、第1ローラは、記録媒体の所定の箇所に対して液体吐出ヘッドユニットが液体を吐出できる着弾位置へ記録媒体を搬送させるのに用いられるローラである。すなわち、第1ローラは、各着弾位置より上流側に設置されるローラである。なお、第1ローラは、例えば、ブラックの場合には、ブラック用第1ローラCR1K(図2)等である。
望ましい実施形態では、同様に、第2ローラは、図示するように、液体吐出ヘッドユニットごとにそれぞれ備えられる。具体的には、図2に示す例では、第2ローラは、液体吐出ヘッドユニットと同じ数である4つとなる。また、第2ローラは、着弾位置から他の位置へ記録媒体を搬送させるのに用いられるローラである。すなわち、第2ローラは、各着弾位置より下流側に設置されるローラである。なお、第2ローラは、例えば、ブラックの場合には、ブラック用第2ローラCR2K(図2)等である。
移動部110F20は、検出部110F10による検出結果に基づいて、液体吐出ヘッドユニットを移動させる。なお、移動部110F20は、例えば、図14に示すハードウェア構成等によって実現される。
さらに、画像形成装置110は、搬送ローラを備える。例えば、搬送ローラは、図示するように、ローラ230等である。図示するように、搬送ローラは、記録媒体を搬送方向に搬送するローラである。
図示するように、例えば、ブラック用の検出部110F10は、ブラック着弾位置PKから、搬送ローラの周長dの整数(以下、整数を「N=0,1,2,3・・・」とする。)倍離れた位置に設置される。すなわち、ブラック用の検出部110F10は、ブラック着弾位置PKから「周長d×N」離れた位置において検出を行う。
なお、検出部110F10は、各着弾位置から「周長d×N」離れた位置であれば、各着弾位置より下流に設置されてもよい。
例えば、プリントヘッド間の距離が周長dの非整数倍である等の理由により、色ずれが起きやすくなる場合がある。一方で、プリントヘッド間の距離が非整数倍、すなわち、プリントヘッド間の距離は整数倍の距離ごとに設置するとの制約条件がないと、プリントヘッドを設置する設計は、自由度が上がり、設計が容易にできる。そして、本発明に係る実施形態のように、センサが設置される位置が、周長dの整数倍であると、このようなズレを補正することができ、吐出される液体の着弾位置の精度をより向上できる。そのため、画像形成装置110は、色ずれを補正できる。
このように、各検出部110F10による検出結果に基づいて、移動部110F20が各液体吐出ヘッドユニットをそれぞれ移動させると、画像形成装置110は、直交方向において、吐出される液体の着弾位置の精度をより向上できる。
また、望ましくは、検出部110F10が検出を行う位置、すなわち、センサが設置される位置等は、ブラック用ローラ間INTK1等のように、ブラック着弾位置PK等の着弾位置に近い位置が良い。すなわち、ブラック用ローラ間INTK1等で検出が行われると、画像形成装置110は、直交方向における記録媒体の位置等を精度良く検出できる。
さらに、望ましくは、検出部110F10が検出を行う位置、すなわち、センサが設置される位置等は、ブラック用上流区間INTK2等のように、各ローラ間のうち、着弾位置より上流側の位置がより良い。すなわち、ブラック用上流区間INTK2等で検出が行われると、画像形成装置110は、直交方向における記録媒体の位置等を精度良く検出できる。
また、画像形成装置110は、図示するように、計測部110F30を備える構成であるのが望ましい。
図示するように、計測部110F30があると、画像形成装置110は、より確実に記録媒体の位置等を検出できる。例えば、ローラ230の回転軸等に、エンコーダ等の計測装置が設置されるとする。そして、計測部110F30は、エンコーダ等によって、記録媒体の移動量を計測する。このように、計測部110F30によって計測された計測結果が更に入力されると、画像形成装置110は、搬送方向における記録媒体の位置等をより確実に検出できる。
<まとめ>
本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、液体吐出ヘッドユニットごとに、液体吐出ヘッドユニットに近い位置で直交方向における記録媒体等の被搬送物の位置を検出する。次に、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、検出結果に基づいて、液体吐出ヘッドユニットを移動させる。そのため、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、図20及び図21に示す第1比較例及び第2比較例等と比較して、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、直交方向において、液体の着弾位置に発生するズレを精度良く補償できる。
また、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置が有するセンサを設置する位置は、周長dの整数倍の位置である。そのため、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、ズレを補正することができる。
また、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、第1比較例のように、各液体吐出ヘッドユニットをローラの周長を整数倍した位置に配置する必要が少ないため、各液体吐出ヘッドユニットを設置する制約を少なくできる。また、第1比較例及び第2比較例では、1色目、すなわち、この例では、ブラックにおいて、アクチュエータがないと、調整ができない。これに対して、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、1色目であっても、直交方向において、吐出される液体の着弾位置の精度をより向上できる。
また、液体を吐出して記録媒体に画像を形成する場合には、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、吐出される各色の液体の着弾位置が精度良くなると、色ずれが少なくなり、形成される画像の画質を向上させることができる。
<変形例>
図4に示す検出装置50は、例えば、以下のようなハードウェアで実現されてもよい。
図27は、本発明の一実施形態に係る検出部を実現するハードウェア構成の第1変形例を示す概略図である。以下の説明では、上記に説明した装置と同様の装置には同一の符号を付し、説明を省略する。
上記に説明したハードウェア構成と比較すると、検出装置が、光学系を複数有する構成である点が異なる。すなわち、上記に説明したハードウェア構成は、いわゆる「単眼」であるのに対して、第1変形例のハードウェア構成は、「複眼」である。
検出対象の例であるウェブ120には、第1光源51A及び第2光源51Bからレーザ光等がそれぞれ照射される。なお、第1光源51Aが光を照射する位置を「A位置」とし、同様に、第2光源51Bが光を照射する位置を「B位置」とする。
第1光源51A及び第2光源51Bは、レーザ光を発光する発光素子と、発光素子から発光されるレーザ光を略平行光にするコリメートレンズとを有する。また、第1光源51A及び第2光源51Bは、ウェブ120の表面に対して斜め方向からレーザ光を照射させる位置に設置される。
検出装置50は、エリアセンサ11と、「A位置」に対向する位置に第1撮像レンズ12Aと、「B位置」に対向する位置に第2撮像レンズ12Bとを有する。
エリアセンサ11は、例えば、シリコン基板111上に、撮像素子112を形成する構成のセンサである。なお、撮像素子112上は、2次元画像をそれぞれ取得できる「A領域11A」と、「B領域11B」とがあるとする。また、エリアセンサ11は、例えば、CCDセンサ、CMOSセンサ又はフォトダイオードアレイ等である。そして、エリアセンサ11は、筐体13に収容される。さらに、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bは、第1レンズ鏡筒13A及び第2レンズ鏡筒13Bにそれぞれ保持される。
この例では、図示するように、第1撮像レンズ12Aの光軸は、「A領域11A」の中心と一致する。同様に、第2撮像レンズ12Bの光軸は、「B領域11B」の中心と一致する。そして、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bは、「A領域11A」と、「B領域11B」とに、それぞれ光を結像させ、2次元画像を生成する。
他にも、検出装置50は、以下に説明する構成等でもよい。
図28は、本発明の一実施形態に係る検出部を実現するハードウェア構成の第2変形例を示す概略図である。以下、図27と異なる点、すなわち、検出装置50のハードウェア構成を抜粋して図示する。図27に示す構成と比較すると、検出装置50の構成は、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bが一体となり、レンズ12Cとなる点が異なる。一方で、エリアセンサ11等は、例えば、図27に示す構成と同様である。
また、この例では、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bのそれぞれの像が干渉して結像しないように、アパーチャ121等が用いられるのが望ましい。このように、アパーチャ121等が用いられると、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bのそれぞれの像を結像する領域がそれぞれ制限できる。そのため、それぞれの結像が干渉するのを少なくでき、検出装置50は、「A位置」及び「B位置」におけるそれぞれの位置の画像を生成することができる。
図29は、本発明の一実施形態に係る検出部を実現するハードウェア構成の第3変形例を示す概略図である。図28に示す構成と比較すると、図29(A)に示す検出装置50の構成は、エリアセンサ11が第2エリアセンサ11'である点が異なる。一方で、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12B等の構成は、例えば、図28と同様である。
第2エリアセンサ11'は、例えば、図29(B)に示す構成等である。具体的には、図29(B)に図示するように、ウェハaには、複数の撮像素子bが形成される。次に、図29(B)に図示するような撮像素子がウェハaからそれぞれ切り出される。この切り出される複数の撮像素子である第1撮像素子112A及び第2撮像素子112Bがそれぞれシリコン基板111上に形成される。これに対して、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bは、第1撮像素子112A及び第2撮像素子112Bの間隔に合わせて、位置が定められる。
撮像素子は、撮像用に製造されることが多い。そのため、撮像素子のX方向及びY方向の比、すなわち、縦横比は、正方、「4:3」又は「16:9」等のように、画像フォーマットに合わせる比である場合が多い。本実施形態では、一定の間隔に離れる2点以上における画像が撮像される。具体的には、2次元における一方向であるX方向、すなわち、搬送方向10(図2)に一定の間隔に離れる点ごとに、画像が撮像される。これに対して、撮像素子は、画像フォーマットに合わせる縦横比である。そのため、X方向において、一定の間隔に離れる2点について撮像する場合には、Y方向に係る撮像素子が使用されない場合がある。また、画素密度を上げる場合等には、X方向及びY方向のいずれの方向において画素密度の高い撮像素子を用いるため、コストアップ等になる場合がある。
そこで、図29に示すような構成とすると、シリコン基板111上には、一定の間隔に離れる第1撮像素子112A及び第2撮像素子112Bが、形成できる。そのため、Y方向に係る撮像素子が使用されない撮像素子が少なくできる。したがって、撮像素子の無駄が少なくできる。また、第1撮像素子112A及び第2撮像素子112Bは、精度の良い半導体プロセスで形成されるため、第1撮像素子112A及び第2撮像素子112Bの間隔が、精度良くできる。
図30は、本発明の一実施形態に係る検出部に用いられる複数の撮像レンズの一例を示す概略図である。図示するようなレンズアレイが検出部を実現するのに用いられてもよい。
図示するレンズアレイは、2つ以上のレンズが集積される構成である。具体的には、図示するレンズアレイは、縦及び横方向に、3行3列であり、計9つの撮像レンズA1乃至C3を有する例である。このようなレンズアレイが用いられると、9点を示す画像が撮像できる。この場合には、9点の撮像領域を有するエリアセンサが用いられる。
このようにすると、例えば、2つの撮像領域に対する演算は、同時に実行、すなわち、並列で実行されやすい。次に、それぞれの演算結果が平均される又はエラー除去が行われると、1つの演算結果を用いる場合等と比較して、検出装置は、精度良く計算したり、計算の安定性を向上させたりすることができる。また、速度が変動するアプリケーションソフトに基づいて演算が実行される場合がある。この場合であっても、相関演算が行える領域が広がるため、確度の高い速度演算結果が得られやすくなる。
図31は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の変形例を示す概略図である。図2と比較すると、図示する構成では、第1の支持部材及び第2の支持部材の配置が異なる。図示するように、第1の支持部材及び第2の支持部材は、例えば、第1部材RL1、第2部材RL2、第3部材RL3、第4部材RL4及び第5部材RL5によって実現されてもよい。すなわち、各液体吐出ヘッドユニットの上流側に設けられる第2の支持部材と、各液体吐出ヘッドユニットの下流側に設けられる第1の支持部材とは、兼用されてもよい。なお、第1の支持部材及び第2の支持部材は、ローラで兼ねられてもよく、湾曲板で兼ねられてもよい。
図32は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による被搬送物の変動量を算出する方法の変形例を示すタイミングチャートである。変動量は、図示するような方法で算出されてもよい。図示するように、画像形成装置は、複数の検出結果に基づいて、変動量を算出する。具体的には、第1検出結果S1及び第2検出結果S2に基づいて、制御装置CTRLは、変動量を示す算出結果を出力する。まず、第1検出結果S1及び第2検出結果S2は、複数のセンサのうち、何れか2つのセンサから、出力されるセンサデータがそれぞれ示す検出結果である。
変動量は、液体吐出ヘッドユニットごとに算出される。以下、シアン液体吐出ヘッドユニット210C(図2)用の変動量を算出する例で説明する。この例では、変動量は、例えば、シアン用センサSENC(図2)による検出結果と、シアン用センサSENCより1つ上流側に設置されるブラック用センサSENK(図2)による検出結果とに基づいて算出される。図17では、第1検出結果S1は、ブラック用センサSENKによる検出結果である。一方で、第2検出結果S2は、シアン用センサSENCによる検出結果である。
ブラック用センサSENKと、シアン用センサSENCとの間隔、すなわち、センサ間の距離が、「L2」であるとする。また、速度検出回路SCRによって検出される移動速度が、「V」であるとする。さらに、ブラック用センサSENKの位置からシアン用センサSENCの位置まで被搬送物が搬送されるのにかかる移動時間が「T2」であるとする。この場合には、移動時間は、「T2=L2/V」と算出される。
また、センサによるサンプリング間隔を「A」とする。さらに、ブラック用センサSENKと、シアン用センサSENCとの間でのサンプリング回数を「n」とする。この場合には、サンプリング回数は、「n=T2/A」と算出される。
図示する算出結果、すなわち、変動量を「ΔX」とする。例えば、図示するように、検出周期が「0」である場合には、変動量は、移動時間「T2」前の第1検出結果S1と、検出周期「0」の第2検出結果S2とを比較して算出される。具体的には、変動量は、「ΔX=X2(0)−X1(n)」と算出される。そして、センサの位置が着弾位置よりも第1ローラに近い位置である場合には、画像形成装置は、センサの位置まで用紙が移動した場合の記録媒体の位置の変動を計算してアクチュエータを駆動させる。
次に、画像形成装置は、変動量「ΔX」を補償するように、アクチュエータを制御し、シアン液体吐出ヘッドユニット210C(図14)を直交方向において、移動させる。このようにすると、被搬送物の位置が変動しても、画像形成装置は、被搬送物に対して、画像を精度良く画像形成することができる。また、図示するように、2つの検出結果、すなわち、2つのセンサによる検出結果に基づいて、変動量を算出すると、各センサの位置情報を積算せずに、変動量が算出できる。そのため、このようにすると、各センサによる検出誤差の累積が少なくできる。
なお、変動量の算出は、他の液体吐出ヘッドユニットにおいて同様に行われてもよい。例えば、シアン液体吐出ヘッドユニット210C(図2)用の変動量は、ブラック用センサSENK(図2)による第1検出結果S1と、シアン用センサSENC(図2)による第2検出結果S2とによって算出される。同様に、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M(図2)用の変動量は、シアン用センサSENCによる第1検出結果S1と、マゼンタ用センサSENMによる第2検出結果S2とによって算出される。さらに、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y(図2)用の変動量は、マゼンタ用センサSENMによる第1検出結果S1と、イエロー用センサSENYによる第2検出結果S2とによって算出される。さらに、ブラック用にセンサが更に設けられ、ブラック用センサSENK(図2)による第2検出結果S2によって、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K(図2)用の変動量が算出されてもよい。
また、第1検出結果S1に用いられる検出結果は、移動させる液体吐出ヘッドユニットより1つ上流側に設置されるセンサによって検出される検出結果に限られない。すなわち、第1検出結果S1は、移動させる液体吐出ヘッドユニットより上流側に設置されるセンサによって検出される検出結果であればよい。例えば、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y用の変動量は、第1検出結果S1に、第2センサSEN2、ブラック用センサSENK又はシアン用センサSENCの何れかによる検出結果が用いられて算出されてもよい。
一方で、第2検出結果S2は、移動させる液体吐出ヘッドユニットに最も近い位置に設置されるセンサによる検出結果であるのが望ましい。
また、変動量は、3つ以上の検出結果によって算出されてもよい。
このように、複数の検出結果から算出される変動量に基づいて、液体吐出ヘッドユニットの移動を行い、ウェブに対して、液体が吐出されると、画像等が、記録媒体に形成される。
なお、本発明に係る液体を吐出する装置は、1以上の装置を有する液体を吐出するシステムによって実現されてもよい。例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kとシアン液体吐出ヘッドユニット210Cが同じ筐体の装置であり、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mとイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yが同じ筐体の装置であり、この両者を有する液体を吐出するシステムによって実現されても良い。
また、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムでは、液体は、インクに限られず、他の種類の記録液又は定着処理液等でもよい。すなわち、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムは、インク以外の種類の液体を吐出する装置に適用されてもよい。
したがって、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムは、画像を形成するに限られない。例えば、形成される物体は、三次元造形物等でもよい。
さらに被搬送物は、用紙等の記録媒体に限られない。被搬送物は、液体が付着可能な材質であればよい。例えば、液体が付着可能な材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス又はこれらの組み合わせ等の液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、本発明に係る実施形態では、画像形成装置、情報処理装置又はこれらの組み合わせ等のコンピュータに液体を吐出させる方法のうち、一部又は全部を実行させるためのプログラムによって実現されてもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。