JP2017164315A - 医療用デバイスの製造方法 - Google Patents

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亮平 小口
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Abstract

【課題】長時間にわたり耐水性に優れ、被覆成分が溶出しにくく、タンパク質が吸着しにくい被覆層を有する医療用デバイスの製造方法の提供。【解決手段】デバイス基材上に、生体親和性基を有する単位を有し、フッ素原子含有率が5〜60質量%であり、かつ下式で表される割合Pが0.1〜9.0%である含フッ素重合体からなる被覆層を形成し、該被覆層に放射線を照射する。好ましくは照射線量0.01〜10000kGyのγ線を照射する。【選択図】なし

Description

本発明は、医療用デバイスの製造方法に関する。
疎水性高分子(ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、シリコーン樹脂、ポリメタクリル酸エステル、含フッ素樹脂等)や、親水性高分子(ポリビニルアルコール、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)、ポリアクリルアミド等)等の合成高分子材料は、医用高分子材料として広く用いられている。例えば、該合成高分子材料を医用高分子材料として用いた細胞培養容器、カテーテル、人工臓器等の医療用デバイスが知られている。
しかし、前記高分子材料には、フィブリノーゲン、免疫グロブリンG(IgG)、インスリン等のタンパク質がデバイス表面に吸着しやすく、該タンパク質がデバイス表面に吸着すると、その部分にさらに細胞(血球、血小板等)が接着しやすくなる。そこで、合成高分子材料を用いた医療用デバイスでは、生体膜類似構造を有する2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの重合体や、ポリオキシエチレングリコールを含む高分子等から形成される被覆層を表面に形成している(非特許文献1参照)。
しかし、前記高分子材料は水溶性であるため、該高分子材料単独で被覆層を形成すると、デバイス使用中に該被覆層から合成高分子材料が溶出する。そこで、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンをブチルメタクリレート等の疎水性単量体と共重合させる(特許文献1)、ヒドロキシ基とリン脂質類似構造を有するプレポリマーとジイソシアネート化合物とを反応させてウレタン結合にて架橋する(特許文献2)、エポキシ基含有単量体を共重合して得られる親水性重合体を、エポキシ基の反応により材料表面に固定化する(特許文献3)等によって耐水性を高めることが提案されている。
しかし、特許文献1のような疎水性単量体と共重合する方法では充分な耐水性を得ることが難しい。また、特許文献2および3のようなジイソシアネート化合物やエポキシ基含有単量体を用いる方法はプロセスが煩雑になる。
これらの課題を解決する方法として、本発明者らは、生体親和性基を有する単位を特定の割合で有する含フッ素重合体からなるタンパク質付着防止剤を提案している(特許文献4参照)。しかし、使用環境によってはさらに耐水性に優れ、構成する高分子材料が溶出しにくい被覆層を有する医療用デバイスが求められていた。
特許第4774989号公報 特開平9−241330号公報 国際公開第2001/007097号 国際公開第2016/002796号
高分子論文集 Vol.35、No.7、pp.423−427、1978
本発明は、長時間にわたり耐水性に優れ、被覆成分が溶出しにくく、タンパク質が吸着しにくい被覆層を有する医療用デバイスの製造方法を提供する。
本発明は、デバイス基材上に、生体親和性基を有する単位を有し、フッ素原子含有率が5〜60質量%であり、かつ下式で表される割合Pが0.1〜9.0%である含フッ素重合体からなる被覆層を形成し、該被覆層に放射線を照射する医療用デバイスの製造方法を提供する。
(割合P)=[(含フッ素重合体の全単位に対する生体親和性基を有する単位の割合(質量%))/(含フッ素重合体のフッ素原子含有率(質量%))]×100
本発明の製造方法によれば、長時間にわたり耐水性に優れ、被覆成分が溶出しにくく、タンパク質が吸着しにくい被覆層を有する医療用デバイスを提供できる。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「含フッ素重合体」とは、分子中にフッ素原子を有する高分子化合物を意味する。
重合体の「ガラス転移温度(Tg)」とは、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したゴム状態からガラス状態へ変化する温度を意味する。
「単位」とは、重合体中に存在して重合体を構成する、単量体に由来する部分を意味する。炭素−炭素不飽和二重結合を有する単量体の付加重合により生じる、該単量体に由来する単位は、該不飽和二重結合が開裂して生じた2価の単位である。また、ある単位の構造を重合体形成後に化学的に変換したものも単位という。なお、以下、場合により、個々の単量体に由来する単位をその単量体名に「単位」を付した名称で呼ぶ。
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
「生体親和性基」とは、タンパク質が重合体に吸着および細胞が重合体に接着して動かなくなることを抑制する性質を有する基を意味する。
「セグメント」とは、2以上の単位が連なって形成された分子鎖を意味する。
本明細書においては、式(1)で表される基を基(1)と記す。他の式で表される基も同様に記す。
本発明の医療用デバイスの製造方法においては、生体親和性基を有する単位を有し、フッ素原子含有率が5〜60質量%であり、かつ下式で示される割合Pが0.1〜9.0%である含フッ素重合体からなる被覆層を形成する。
(割合P)=[(含フッ素重合体の全単位に対する生体親和性基を有する単位の割合(質量%))/(含フッ素重合体のフッ素原子含有率(質量%))]×100
(生体親和性基)
生体親和性基としては、タンパク質の吸着防止効果が高い被覆層を形成しやすい点から、下記の基(1)、基(2)および基(3)からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。生体親和性基としては、タンパク質の吸着防止効果が得られやすい点から、基(1)のみ、または、基(2)および基(3)のいずれか一方もしくは両方が好ましく、基(1)、基(2)または基(3)のいずれか1つが特に好ましい。
Figure 2017164315
ただし、前記式中、nは1〜10の整数であり、mは基(1)が含フッ素重合体において側鎖に含まれる場合は1〜100の整数であり、主鎖に含まれる場合は5〜300であり、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、aは1〜5の整数であり、bは1〜5の整数であり、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、Xは下記の基(3−1)または下記の基(3−2)であり、cは1〜20の整数であり、dは1〜5の整数である。
Figure 2017164315
基(1):
基(1)は、血液中等で運動性が高く、被覆層の表面に吸着しようとするタンパク質が吸着しにくい。基(1)は、含フッ素重合体の主鎖に含まれていてもよく、側鎖に含まれていてもよい。
基(1)におけるnは、タンパク質が吸着しにくい点から、1〜6の整数が好ましく、1〜4の整数が特に好ましい。
基(1)は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。タンパク質の吸着抑制効果がより高い点から、基(1)は直鎖状であることが好ましい。
基(1)におけるmは、基(1)が含フッ素重合体の側鎖に含まれる場合、耐水性に優れる点から、1〜40が好ましく、1〜20が特に好ましい。
基(1)におけるmは、基(1)が含フッ素重合体の主鎖に含まれる場合、耐水性に優れる点から、5〜300が好ましく、10〜200が特に好ましい。
mが2以上の場合、基(1)の(C2nO)は1種であってもよく、2種以上であってもよい。また、2種以上の場合、その並び方はランダム、ブロック、交互のいずれであってもよい。nが3以上の場合、直鎖構造であってもよく、分岐構造であってもよい。
含フッ素重合体が基(1)を有する場合、含フッ素重合体が有する基(1)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
基(2):
基(2)は、血液中のリン脂質に対して強い親和性を持つ一方、血漿タンパク質に対する相互作用力は弱い。そのため、基(2)を有する含フッ素重合体を用いることで、例えば、血液中では被覆層上にリン脂質が優先して吸着し、該リン脂質が自己組織化して吸着層が形成されると考えられる。その結果、表面が血管内皮表面に類似した構造となるために、フィブリノーゲン等のタンパク質の吸着が抑制される。
基(2)は、含フッ素重合体の側鎖に含まれることが好ましい。
基(2)におけるR〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、原料の入手容易性の点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
基(2)におけるaは、1〜5の整数であり、原料の入手容易性の点から、2〜5の整数が好ましく、2が特に好ましい。
基(2)におけるbは1〜5の整数であり、タンパク質が吸着しにくい点から、1〜4の整数が好ましく、2が特に好ましい。
含フッ素重合体が基(2)を有する場合、含フッ素重合体が有する基(2)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
基(3):
基(3)を有する含フッ素重合体を用いることで、基(2)を有する含フッ素重合体を用いる場合と同様の理由からタンパク質の吸着が抑制される。
基(3)は、含フッ素重合体の側鎖に含まれることが好ましい。
基(3)におけるRおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、タンパク質が吸着しにくい点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
基(3)におけるcは、1〜20の整数であり、含フッ素重合体が柔軟性に優れる点から、1〜15の整数が好ましく、1〜10の整数がより好ましく、2が特に好ましい。
基(3)におけるdは、1〜5の整数であり、タンパク質が吸着しにくい点から、1〜4の整数が好ましく、1が特に好ましい。
含フッ素重合体が基(3)を有する場合、含フッ素重合体が有する基(3)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
また、含フッ素重合体が基(3)を有する場合、タンパク質が吸着しにくい点から、含フッ素重合体は、Xが基(3−1)である基(3)を有するか、またはXが基(3−2)である基(3)を有するかのいずれかであることが好ましい。
(含フッ素重合体の物性)
本発明における割合Pは、0.1〜9.0%である。割合Pが前記下限値以上であれば、タンパク質が吸着しにくい優れた被覆層を形成できる。割合Pが前記上限値以下であれば、耐水性に優れた被覆層を形成でき、血液中等に含フッ素重合体が溶出しにくくなる。割合Pは、0.1〜7.0%が好ましい。
なお、割合Pは、実施例に記載の方法で測定できる。また、含フッ素重合体(A)の製造に使用する単量体、および開始剤の仕込み量から算出することもできる。
フッ素原子含有率は、5〜60質量%である。該フッ素原子含有率は5〜55質量%が好ましく、5〜50質量%が特に好ましい。フッ素原子含有率が前記下限値以上であれば、耐水性に優れ、前記上限値以下であればタンパク質が吸着しにくい。
フッ素原子含有率(質量%)は、下式で求められる。
(フッ素原子含有率)=[19×N/M]×100
:含フッ素重合体を構成する単位の種類毎に、単位のフッ素原子数と、全単位に対する当該単位のモル比率とを乗じた値の総和。
:含フッ素重合体を構成する単位の種類毎に、単位を構成する全ての原子の原子量の合計と、全単位に対する当該単位のモル比率とを乗じた値の総和。
具体例として、テトラフルオロエチレン(TFE)単位50モル%とエチレン(E)単位50モル%とを有する含フッ素重合体のフッ素原子含有率について以下に説明する。
該含フッ素重合体の場合、TFE単位のフッ素原子数(4個)と、全単位に対するTFE単位のモル比率(0.5)とを乗じた値は2であり、E単位のフッ素原子数(0個)と、全単位に対するE単位のモル比率(0.5)とを乗じた値は0であるため、Nは2となる。また、TFE単位を構成する全ての原子の原子量の合計(100)と、全単位に対するTFE単位のモル比率(0.5)とを乗じた値は50であり、E単位を構成する全ての原子の原子量の合計(28)と、全単位に対するE単位のモル比率(0.5)とを乗じた値は14であるため、Mは64となる。したがって、該含フッ素重合体のフッ素原子含有率は59.4質量%となる。
なお、フッ素原子含有率は、実施例に記載の方法で測定できる。また、含フッ素重合体(A)の製造に使用する単量体、および開始剤の仕込み量から算出することもできる。
含フッ素重合体の数平均分子量(Mn)は、2,000〜1,000,000が好ましく、2,000〜800,000が特に好ましい。含フッ素重合体の数平均分子量が前記下限値以上であれば、耐久性に優れる。含フッ素重合体の数平均分子量が前記上限値以下であれば、加工性に優れる。
含フッ素重合体の質量平均分子量(Mw)は、2,000〜2,000,000が好ましく、2,000〜1,000,000が特に好ましい。含フッ素重合体の質量平均分子量が前記下限値以上であれば、耐久性に優れる。含フッ素重合体の質量平均分子量が前記上限値以下であれば、加工性に優れる。
含フッ素重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1〜10が好ましく、1.1〜5が特に好ましい。含フッ素重合体の分子量分布が前記範囲内であれば、耐水性に優れ、かつタンパク質が吸着しにくい。
含フッ素重合体は市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、以下のものが挙げられる。
3M社製、ノベック シリーズ:
FC−4430(ノニオン性、ペルフルオロブタンスルホン酸基含有、表面張力:21mN/m)、
FC−4432(ノニオン性、ペルフルオロブタンスルホン酸基含有、表面張力:21mN/m)等。
AGCセイミケミカル社製、サーフロン シリーズ:
S−241(ノニオン性、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基含有、表面張力:16.2mN/m)、
S−242(ノニオン性、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基含有エチレンオキシド付加物、表面張力:22.9mN/m)、
S−243(ノニオン性、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基含有エチレンオキシド付加物、表面張力:23.2mN/m)、
S−420(ノニオン性、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基含有エチレンオキシド付加物、表面張力:23.1mN/m)、
S−611(ノニオン性、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基含有重合物、表面張力:18.4mN/m)、
S−651(ノニオン性、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基含有重合物、表面張力:23.0mN/m)、
S−650(ノニオン性、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基含有重合物)等。
DIC社製、メガファック シリーズ:
F−444(ノニオン性、ペルフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、表面張力:16.8mN/m)等。
旭硝子社製、アサヒガード シリーズ:
E100等。
(好ましい含フッ素重合体)
含フッ素重合体としては、耐水性に優れ、被覆成分が溶出しにくく、タンパク質が吸着しにくい被覆層を簡便に形成できる点から、後述の含フッ素重合体(A1)〜(A3)が好ましい。含フッ素重合体(A1)および(A2)は生体親和性基を側鎖のみに有する含フッ素重合体であり、含フッ素重合体(A3)は生体親和性基を、少なくとも主鎖に有する含フッ素重合体である。
≪含フッ素重合体(A1)≫
含フッ素重合体(A1)は、下記の単量体(m1)に由来する単位(以下、単位(m1)とも記す。)と、単量体(m2)に由来する単位(以下、単位(m2)とも記す。)および単量体(m3)に由来する単位(以下、単位(m3)とも記す。)からなる群から選ばれる少なくとも1種と、を有する含フッ素重合体である。
単量体(m1):下式(m1)で表される単量体、
単量体(m2):下式(m2)で表される単量体、
単量体(m3):下式(m3)で表される単量体。
Figure 2017164315
ただし、前記式中、Rは水素原子、塩素原子またはメチル基であり、eは0〜3の整数であり、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、Rf1は炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基であり、Rは水素原子、塩素原子またはメチル基であり、Qは−C(=O)−O−または−C(=O)−NH−であり、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、aは1〜5の整数であり、bは1〜5の整数であり、R10は水素原子、塩素原子またはメチル基であり、Qは−C(=O)−O−または−C(=O)−NH−であり、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、Xは基(3−1)または基(3−2)であり、cは1〜20の整数であり、dは1〜5の整数である。
単量体(m1):
式(m1)中、Rは、重合しやすい点から、水素原子またはメチル基が好ましい。
eは、含フッ素重合体(A1)の柔軟性に優れる点から、1〜3の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
およびRは、耐水性に優れる点から、フッ素原子が好ましい。
f1のペルフルオロアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。Rf1としては、原料が入手容易な点から、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基が特に好ましい。
単量体(m1)の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
CH=C(CH)COO(CH(CFCF
CH=CHCOO(CH(CFCF
CH=C(CH)COOCHCF
CH=CHCOOCHCF
CH=CRCOO(CHCFCFCF
CH=CRCOO(CHCFCF(CF
CH=CRCOOCH(CF
CH=CRCOOC(CF等。
単量体(m1)としては、耐水性に優れる点から、CH=C(CH)COO(CH(CFCF、CH=CHCOO(CH(CFCF、またはCH=CCHCOOCHCFが特に好ましい。
単位(m1)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
単量体(m2):
単量体(m2)は、基(2)を有する単量体である。
式(m2)中、Rは、重合しやすい点から、水素原子またはメチル基が好ましい。
は−C(=O)−O−または−C(=O)−NH−であり、タンパク質が吸着しにくい点から、−C(=O)−O−が好ましい。
〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、タンパク質が吸着しにくい点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
aは、1〜5の整数であり、含フッ素重合体(A1)の柔軟性に優れる点から、1〜4の整数が好ましく、2が特に好ましい。
bは1〜5の整数であり、タンパク質が吸着しにくい点から、1〜4の整数が好ましく、2が特に好ましい。
単量体(m2)の具体例としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等が挙げられる。
含フッ素重合体(A1)が単位(m2)を有する場合、単位(m2)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
単量体(m3):
単量体(m3)は、基(3)を有する単量体である。
式(m3)中、R10は、重合しやすい点から、水素原子またはメチル基が好ましい。
は、−C(=O)−O−または−C(=O)−NH−であり、含フッ素重合体(A1)のタンパク質が吸着しにくい点から、−C(=O)−O−が好ましい。
およびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、原料が入手容易な点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
は、基(3−1)または基(3−2)が好ましい。
cは、1〜20の整数であり、原料が入手容易な点から、1〜15の整数が好ましく、1〜10の整数がより好ましく、2が特に好ましい。
dは、1〜5の整数であり、タンパク質が吸着しにくい点から、1〜4の整数が好ましく、1が特に好ましい。
単量体(m3)の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、
N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、
N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−プロピルスルホキシベタイン、
N−メタクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−プロピルスルホキシベタイン等。
単量体(m3)としては、タンパク質が吸着しにくい点から、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、またはN−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインが好ましい。
含フッ素重合体(A1)が単位(m3)を有する場合、単位(m3)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
含フッ素重合体(A1)においては、タンパク質が吸着しにくい点から、生体親和性基を有する単位として、単位(m2)または単位(m3)のいずれか1つを有していることが特に好ましい。
なお、含フッ素重合体(A1)は、単位(m1)、単位(m2)および単位(m3)をすべて有していてもよい。
含フッ素重合体(A1)は、単位(m1)と、単位(m2)および単位(m3)から選ばれる1種以上とに加えて、単位(m1)、単位(m2)および単位(m3)以外の他の単量体に由来する単位を有していてもよい。
他の単量体としては、耐水性に優れる点から、下記の単量体(m7)が好ましい。
単量体(m7):下式(m7)で表される単量体。
Figure 2017164315
ただし、R19は水素原子、塩素原子またはメチル基であり、Qは−C−または−C(=O)O−(CHρ−(ただし、ρは1〜100の整数である。)であり、R19およびR20は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基である。ηは1〜3の整数であり、η+θは3である。)
式(m7)中、R19は、重合しやすい点から、水素原子またはメチル基が好ましい。
は、入手容易性の点から、−C(=O)O−(CH−が好ましい。
20およびR21は、入手容易性の点から、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基が特に好ましい。
ηは、基板密着性の点から、2または3が好ましい。
単量体(m7)の具体例としては、例えば、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
単量体(m7)としては、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、または3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
含フッ素重合体(A1)が単量体(m7)に由来する単位(m7)を有する場合、単位(m7)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
また、単量体(m7)以外の他の単量体としては、例えば、含フッ素重合体(A1)における他の単量体で挙げた化合物が挙げられる。
単量体(m7)以外の他の単量体としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルペピリジン、N,N−ジメチルアミノオキシドエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノオキシドエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートの3,5−ジメチルピラゾール付加体、3−イソシアネートプロピル(メタ)アクリレート、4−イソシアネートブチル(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレングリコールモノグリシジルエーテル(メタ)アクリレート等を用いてもよい。
含フッ素重合体(A1)の全単位に対する単位(m1)の割合は、5〜95モル%が好ましく、10〜90モル%が特に好ましい。単位(m1)の割合が前記下限値以上であれば、耐水性に優れる。単位(m1)の割合が前記上限値以下であれば、タンパク質が吸着しにくい。
含フッ素重合体(A1)の全単位に対する生体親和性基を有する単位の割合は、5〜95モル%が好ましく、10〜90モル%が特に好ましい。前記単位の割合が前記下限値以上であれば、タンパク質が吸着しにくい。前記単位の割合が前記上限値以下であれば、耐水性に優れる。
含フッ素重合体(A1)の全単位に対する単位(m2)と単位(m3)との合計の割合は、5〜95モル%が好ましく、10〜90モル%が特に好ましい。単位(m2)と単位(m3)との合計の割合が前記下限値以上であれば、タンパク質が吸着しにくい。単位(m2)と単位(m3)との合計の割合が前記上限値以下であれば、耐水性に優れる。
含フッ素重合体(A1)が単位(m7)を有する場合、含フッ素重合体(A1)の全単位に対する単位(m7)の割合は、0.1〜10モル%が好ましく、0.5〜10モル%が特に好ましい。単位(m7)の割合が前記下限値以上であれば、耐水性に優れる。単位(m7)の割合が前記上限値以下であれば、タンパク質が吸着しにくい。
含フッ素重合体(A1)は、公知の方法を用いて、重合溶媒中で単量体の重合反応を行うことにより得られる。
重合溶媒としては、特に限定されず、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、アルコール類(メタノール、2−プロピルアルコール等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、グリコールエーテル類(エチレングリコール、プロピレングリコール、またはジプロピレングリコールのエチルエーテルまたはメチルエーテル等)およびその誘導体、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類(パークロロエチレン、トリクロロ−1,1,1−エタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロプロパン等)、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ブチロアセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。
含フッ素重合体(A1)を得る重合反応における反応液中のすべての単量体の合計濃度は、5〜60質量%が好ましく、10〜40質量%が特に好ましい。
含フッ素重合体(A1)を得る重合反応においては、重合開始剤を用いることが好ましい。重合開始剤としては、過酸化物(ベンジルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、スクシニルパーオキシド、tert−ブチルパーピバレート等)、アゾ化合物等が挙げられる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2、4−ジメチルバレロニトリル)、1、1’−アゾビス(2シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、1、1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ジメチルアゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が好ましく、2,2’−アゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2イル)プロパン]、または4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)が特に好ましい。
重合開始剤の使用量は、単量体の合計量100質量部に対して0.1〜1.5質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。
含フッ素重合体(A1)の重合度(分子量)を調節するために、重合反応において連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、重合溶媒中の単量体の濃度の合計を高められる効果もある。
連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン(tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタン等)、アミノエタンチオール、メルカプトエタノール、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸、3,3’−ジチオ−ジプロピオン酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸n−ブチル、チオグリコール酸メトキシブチル、チオグリコール酸エチル、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、四塩化炭素等が挙げられる。
連鎖移動剤の使用量は、単量体の合計量100質量部に対して0〜2質量部が好ましく、0.1〜1.5質量部がより好ましい。
重合反応における反応温度は、室温から反応液の沸点までの範囲が好ましい。重合開始剤を効率良く使う観点からは、重合開始剤の半減期温度以上が好ましく、30〜90℃がより好ましく、40〜80℃がより好ましい。
≪含フッ素重合体(A2)≫
含フッ素重合体(A2)は、下記の単量体(m1)に由来する単位(m1)と単量体(m4)に由来する単位(以下、単位(m4)とも記す。)とを有する含フッ素重合体である。
単量体(m1):前記式(m1)で表される単量体、
単量体(m4):下式(m4)で表される単量体。
Figure 2017164315
ただし、式中、R11は水素原子、塩素原子またはメチル基であり、Qは−COO−または−COO(CH−NHCOO−(ただし、hは1〜4の整数である。)であり、R12は水素原子または−(CH−R13(ただし、R13は炭素数1〜8のアルコキシ基、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基またはシアノ基であり、iは1〜25の整数である。)であり、fは1〜10の整数であり、gは1〜100の整数である。
単量体(m1):
単量体(m1)の好ましい範囲や例示は、含フッ素重合体(A1)で説明したものと同様である。
単位(m1)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
単量体(m4):
単量体(m4)は、基(1)を有する単量体である。
式(m4)中、R11は、重合しやすい点から、水素原子またはメチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
は、−COO−が好ましい。
12は、水素原子が好ましい。
gが2以上の場合、複数存在する(C2fO)の種類が同じであっても異なっていてもよい。異なる場合には、その並び方はランダム、ブロック、交互(例えば(CHCHO−CHCHCHCHO)等)のいずれであってもよい。fが3以上の場合には、直鎖構造でも分岐構造でもよい。(C2fO)としては(CHO)、(CHCHO)、(CHCHCHO)、(CH(CH)CHO)、(CHCHCHCHO)等が挙げられる。
fは、タンパク質が吸着しにくい点から、1〜6の整数が好ましく、1〜4の整数が特に好ましい。
gは、排除体積効果が高く、タンパク質が吸着しにくい点から、1〜50の整数が好ましく、1〜30の整数がより好ましく、1〜20の整数が特に好ましい。
iは、含フッ素重合体(A2)の柔軟性に優れる点から、1〜4の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
13は、タンパク質が吸着しにくい点から、アルコキシ基が好ましい。
単量体(m4)としては、下式(m41)で表される単量体(m41)が好ましい。
Figure 2017164315
単量体(m4)の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
CH=CH−COO−(CO)−H、
CH=CH−COO−(CO)−H、
CH=CH−COO−(CO)−H、
CH=CH−COO−(CO)−CH
CH=C(CH)−COO−(CO)−H、
CH=C(CH)−COO−(CO)−H、
CH=C(CH)−COO−(CO)−H、
CH=C(CH)−COO−(CO)−CH
CH=CH−COO−(CHO)−(CO)g1−CH−OH、
CH=CH−COO−(CO)g2−(CO)g3−H、
CH=C(CH)−COO−(CO)g2−(CO)g3−H、
CH=CH−COO−(CO)g2−(CO)g3−CH
CH=C(CH)−COO−(CO)g2−(CO)g3−CH等。
上式において、g1は1〜20の整数であり、g2およびg3は、それぞれ独立に、1〜50の整数である。
単量体(m4)としては、タンパク質が吸着しにくい点から、以下の化合物が好ましい。
CH=CH−COO−(CO)−H、
CH=CH−COO−(CO)−H、
CH=CH−COO−(CO)−H、
CH=C(CH)−COO−(CO)−CH
CH=CH−COO−(CHO)−(CO)g1−CH−OH、
CH=C(CH)−COO−(CO)g2−(CO)g3−H。
含フッ素重合体(A2)は、単量体(m1)および単量体(m4)以外の他の単量体に由来する単位を有していてもよい。
他の単量体としては、耐水性に優れる点から、下式(m5)で表される単量体(m5)が好ましい。
CH=CR14−COO−Q−R15 ・・・(m5)
ただし、R14は水素原子、塩素原子またはメチル基であり、R15は炭素数1〜8のアルコキシ基、水素原子、ヒドロキシ基またはシアノ基であり、Qは単結合、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数1〜12のポリフルオロアルキレン基または−CF−(OCFCF−OCF−(ただし、yは1〜6の整数である。)である。
式(m5)中、R14は、重合しやすい点から、水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
のアルキレン基およびポリフルオロアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。Qは、含フッ素重合体(A2)の柔軟性に優れる点から、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、メチレン基、イソブチレン基が特に好ましい。
15は耐水性に優れる点から、水素原子が好ましい。
単量体(m5)の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
CH=CH−COO−(CH−H、
CH=CH−COO−(CH−H、
CH=CH−COO−(CH−H、
CH=CH−COO−(CH16−H、
CH=CH−COO−CHCH(C)CHCHCHCH等。
単量体(m5)としては、CH=CH−COO−(CH−H、CH=CH−COO(CH−H、またはCH=CH−COO−(CH16−Hが好ましく、CH=CH−COO−(CH−H、またはCH=CH−COO−(CH16−Hが特に好ましい。
含フッ素重合体(A2)は、耐水性に優れる点から、単量体(m7)に由来する単位(m7)を有することも好ましい。単量体(m7)の好ましい態様は、含フッ素重合体(A1)の場合と同じである。
また、単量体(m5)および単量体(m7)以外の他の単量体としては、例えば、含フッ素重合体(A1)において単量体(m7)以外の他の単量体として挙げた化合物と同じ化合物が挙げられる。
含フッ素重合体(A2)が単位(m5)を有する場合、単位(m5)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
含フッ素重合体(A2)が単位(m1)および単位(m4)に加えて単位(m5)を有する場合、CH=CHCOO(CH(CFCF単位と、CH=CH−COO−(CHO)−(CO)g1−CH−OH(g1=1〜20)単位と、CH=CH−COO−(CH16−H単位とを有する含フッ素重合体が特に好ましい。
含フッ素重合体(A2)の全単位に対する単位(m1)の割合は、5〜95モル%が好ましく、10〜90モル%が特に好ましい。単位(m1)の割合が前記下限値以上であれば、耐水性に優れる。単位(m1)の割合が前記上限値以下であれば、タンパク質が吸着しにくい。
含フッ素重合体(A2)の全単位に対する単位(m4)の割合は、5〜95モル%が好ましく、10〜90モル%が特に好ましい。単位(m4)の割合が前記下限値以上であれば、タンパク質が吸着しにくい。単位(m4)の割合が前記上限値以下であれば、耐水性に優れる。
含フッ素重合体(A2)が単位(m5)を有する場合、単位(m1)と単位(m4)との合計に対する単位(m5)の割合は、5〜95モル%が好ましく、10〜90モル%が特に好ましい。単位(m5)の割合が前記下限値以上であれば、耐水性に優れる。単位(m5)の割合が前記上限値以下であれば、タンパク質が吸着しにくい。
含フッ素重合体(A2)が単位(m7)を有する場合、含フッ素重合体(A2)の全単位に対する単位(m7)の割合は、0.1〜10モル%が好ましく、0.5〜10モル%が特に好ましい。単位(m7)の割合が前記下限値以上であれば、耐水性に優れる。単位(m7)の割合が前記上限値以下であれば、タンパク質が吸着しにくい。
含フッ素重合体(A2)は、単量体(m1)、(m4)、(m5)および(m7)を用いる以外は、含フッ素重合体(A1)と同様の方法で製造できる。
≪含フッ素重合体(A3)≫
含フッ素重合体(A3)は、下式(m6)で表される単量体(m6)に由来する単位(以下、単位(m6)とも記す。)を含むセグメント(I)と、下式(6)で表される構造(以下、構造(6)と記す。)を有する高分子アゾ開始剤に由来する分子鎖を含むセグメント(II)と、を有するブロック共重合体である。構造(6)の分子鎖は、生体親和性基である基(1)を有する単位で形成されている。このように、含フッ素重合体(A3)は、基(1)を主鎖に有する。
Figure 2017164315
ただし、前記式中、R16は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはハロゲン原子であり、重合しやすい点から、水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子が特に好ましく、Qは単結合または2価の連結基であり、R17は炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6のポリフルオロアルキル基であり、αは5〜300の整数であり、βは1〜20の整数である。
セグメント(I):
セグメント(I)は、単位(m6)を含む分子鎖からなるセグメントである。
式(m6)中、R16は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはハロゲン原子であり、原料の入手容易な点から、水素原子またはメチル基が好ましい。
は、合成の容易さ、含フッ素重合体(A3)の物性の点から、以下の基が挙げられる。
−O−、−S−、−NH−、−SO−、−PO−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−、−N(O)=N−、−OCO−、−COO−、−COS−、−CONH−、−COCH−、−CHCH−、−CH−、−CHNH−、−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−CO−、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基、アルケニレン基、アルキレンオキシ基、2価の4〜7員環の置換基、2価の6員環の芳香族炭化水素基、2価の4〜6員環の脂環式炭化水素基、2価の5または6員環の複素環基、これらの縮合環、2価の連結基の組み合わせから構成される基等。
2価の連結基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、水酸基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、シアノ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトシキ基、オクチルオキシ基、メトキシエトキシ基等)、アリーロキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等)、ホスホニル基(ジエチルホスホニル基等)、アミド基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、カルバモイル基(N,N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2−カルボキシエチル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニル基、トルイル基等)、複素環基(ピリジル基、イミダゾリル基、フラニル基等)、アルケニル基(ビニル基、1−プロペニル基等)、アルコシアシルオキシ基(アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アルコシキカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、重合性基(ビニル基、アクリロイル基、メタクロイル基、スリリル基、桂皮酸残基等)などが挙げられる。
としては、単結合、−O−、−(CHCHO)γ−(ただし、γは1〜10の整数である。)、−COO−、6員環芳香族炭化水素基、直鎖状または分岐状のアルキレン基、水素原子の一部が水酸基に置換された直鎖状または分岐状のアルキレン基、これら2価の連結基の組み合わせから構成される基等が好ましく、単結合、炭素数1〜5のアルキレン基、または−COOY−が特に好ましい。Yとしては、−(CHδ−、−(CHδ−CH(OH)−(CHε−、−(CHδ−NR18−SO−等が挙げられ、−(CHδ−が特に好ましい。ただし、δは1〜5の整数であり、εは1〜5の整数であり、R18は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
が−(CHCHO)γ−である場合、含フッ素重合体(A3)は主鎖と側鎖の両方に生体親和性基を有する。
17は炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6のポリフルオロアルキル基である。耐水性に優れる点から、R17は炭素数3〜6のポリフルオロアルキル基が好ましく、炭素数4または6のポリフルオロアルキル基が特に好ましい。R17は直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、R17のポリフルオロアルキル基は、耐水性に優れる点から、ペルフルオロアルキル基であることが好ましい。
単量体(m6)の具体例としては、例えば、以下の化合物が挙げられる。
CH=CH−COO(CH(CFCF
CH=CH−COO(CH(CFCF
CH=C(CH)COO(CH(CFCF
CH=C(CH)COO(CH(CFCF
CH=CHCOO(CH(CFCF
CH=CHCOO(CH(CFCF
CH=CHCOOCHCH(OH)CH(CFCF
CH=CHCOOCHCH(OH)CH(CFCF
CH=C(CH)COO(CH(CFCF
CH=C(CH)COO(CH(CFCF
CH=C(CH)COOCHCH(OH)CH(CFCF
CH=C(CH)COOCHCH(OH)CH(CFCF
CH=CHC(CFCF
CH=CHC(CFCF
CH=CHCOOCHCHN(CH)SO(CFCF
CH=CHCOOCHCHN(CH)SO(CFCF
CH=C(CH)COOCHCHN(CH)SO(CFCF
CH=C(CH)COOCHCHN(CH)SO(CFCF
CH=CHCOOCHCHN(C)SO(CFCF
CH=CHCOOCHCHN(C)SO(CFCF
CH=C(CH)COOCHCHN(C)SO(CFCF
CH=C(CH)COOCHCHN(C)SO(CFCF
CH=CHCOO(CHN(CHCHCH)SO(CFCF
CH=CHCOO(CHN(CHCHCH)SO(CFCF
CH=C(CH)COO(CHN(CHCHCH)SO(CFCF
CH=C(CH)COO(CHN(CHCHCH)SO(CFCF
CH=CHCONHCH
CH=CHCONHCH11
CH=CHCONHCH13
CH=CHCONHCHCHOCOC
CH=CHCONHCHCHOCOC11
CH=CHCONHCHCHOCOC13
CH=CHCOOCH(CF
CH=C(CH)COOCH(CF等。
含フッ素重合体(A3)の全単位に対する、単位(m6)の割合は、1〜99モル%が好ましく、1〜90モル%が特に好ましい。単位(m6)の割合が前記下限値以上であれば、耐水性に優れる。単位(m6)の割合が前記上限値以下であれば、タンパク質が吸着しにくい。
セグメント(I)(100質量%)中の単位(m6)の割合は、5〜100質量%が好ましく、10〜100質量%が特に好ましい。前記単位(m6)の割合が前記範囲の下限値以上であれば、セグメント(I)を構成する単量体の重合が容易になる。
セグメント(II):
セグメント(II)は、構造(6)を有する高分子アゾ開始剤に由来する分子鎖からなるセグメントである。
式(6)のαは、5〜300の整数であり、タンパク質が吸着しにくい点から、10〜200の整数が好ましく、20〜100の整数が特に好ましい。
βは、1〜20の整数であり、重合しやすい点から、2〜20の整数が好ましく、5〜15の整数が特に好ましい。
構造(6)を有する高分子アゾ開始剤としては、例えば、和光純薬工業社製のVPEシリーズ(VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601)等が挙げられる。
含フッ素重合体(A3)の全単位に対する、構造(6)の分子鎖における各単位の合計割合は、1〜50モル%が好ましく、1〜40モル%が特に好ましい。前記単位の割合が前記下限値以上であれば、タンパク質が吸着しにくい。前記割合が前記上限値以下であれば、耐水性に優れる。
含フッ素重合体(A3)は、単量体(m6)と、構造(6)を有する高分子アゾ開始剤とを用いる以外は、含フッ素重合体(A1)と同様の方法で製造できる。含フッ素重合体(A3)を得る際の重合反応には、重合開始剤として、構造(6)を有する高分子アゾ開始剤に加えて、含フッ素重合体(A1)の場合に挙げた重合開始剤を併用してもよい。
本発明では、含フッ素重合体として、含フッ素重合体(A1)〜(A3)のうちのいずれか1つのみを使用してもよく、含フッ素重合体(A1)〜(A3)からなる群から選ばれる2つ以上を併用してもよい。
(被覆層の形成)
本発明における被覆層は、含フッ素重合体と溶媒とを含有する塗布液を、デバイス基材上に塗布し、溶媒を除去することにより形成できる。塗布液は、レベリング剤、架橋剤等を含有していてもよい。塗布液が架橋剤を含まない場合は、被覆層は含フッ素重合体のみからなる層となり、塗布液が架橋剤を含む場合は、被覆層は含フッ素重合体と架橋剤とから形成される層となる。
被覆層は、光学特性を損なわず、細胞非接着の性能を発現させる観点から、0.001μm〜100μmが好ましく、0.01μm〜10μmがより好ましい。
溶媒としては、非含フッ素溶媒、含フッ素溶媒などが挙げられ、非含フッ素溶媒としては、アルコール系溶媒、含ハロゲン系溶媒等が挙げられる。例えば、エタノール、メタノール、アセトン、クロロホルム、アサヒクリンAK225(旭硝子社製)、AC6000(旭硝子社製)等が挙げられる。溶媒としては、デバイス基材を溶解しない種類を選択することが好ましい。デバイス基材の材質としてポリスチレンを使用する場合は、エタノール、メタノール、アサヒクリンAK225(旭硝子社製)、AC6000(旭硝子社製)が好ましい。
前記塗布液中の含フッ素重合体の濃度は、0.0001〜10質量%が好ましく、0.0005〜5質量%が特に好ましい。含フッ素重合体の濃度が前記範囲であれば、均一に塗布することができ、均一な被覆層を形成できる。
デバイスを長期間使用する場合には、架橋剤を含有する塗布液を用いることが好ましい。これによりタンパク質が吸着しにくい状態が持続しやすくなる。例えば、含フッ素重合体が水酸基を有する場合は、水酸基と反応する架橋剤を添加することで、優れた耐久性を有する被覆層を形成できる。
水酸基と反応する架橋剤としては、多官能イソシアネート化合物が挙げられ、具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、HDI系ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。HDI系ポリイソシアネートには、2液型用としてビウレットタイプ、イソシアヌレートタイプ、アダクトタイプ、2官能型等が挙げられ、硬化開始温度に閾値があるブロック型も挙げられる。HDI系ポリイソシアネートは、市販品を使用することができ、デュラネート(旭化成社製)等が挙げられる。
使用する多官能イソシアネート化合物は、反応温度、デバイスの材質によって適宜選択できる。例えば、デバイスの材質としてポリスチレンを使用する場合、アサヒクリンAK225(旭硝子社製)、AC6000(旭硝子社製)等に溶解でき、かつポリスチレンの熱変形温度である80℃以下でも硬化反応が進行する、ビウレットタイプ、イソシアヌレートタイプが好ましい。
被覆層を形成する含フッ素重合体の架橋度合いは、含フッ素重合体中の水酸基量、架橋剤の量、反応率によって決まり、本発明の効果を損なわない範囲で適宜調節できる。
架橋剤の使用量は、含フッ素重合体の100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜1質量部が特に好ましい。架橋剤の使用量が前記範囲内であれば、タンパク質を吸着しにくく、耐久性に優れた被覆層を形成しやすい。
(放射線照射による架橋)
本発明においては、前記含フッ素重合体からなる被覆層に放射線を照射する。これにより含フッ素重合体において分解と架橋が起こり、当該含フッ素重合体の分子量を大きくできる。放射線としては、X線やγ線を使用できるが、同時に滅菌できる点からγ線を用いるのが好ましい。γ線としては、例えば、Co−60γ線が挙げられる。
γ線の照射線量は、架橋は進行させるが、分子は崩壊させないという観点から0.01〜10000kGyとするのが好ましく、特には5〜1000kGyとするのが好ましい。
γ線の照射温度は、設備負荷の観点から20〜100℃とすることが好ましい。γ線を照射する雰囲気は、空気中、不活性ガス中、真空中のいずれでもよい。また、必要に応じ、放射線架橋助剤を併用してもよい。
(医療用デバイス)
本発明における医療用デバイスとは、治療、診断、解剖学または生物学的な検査等の医療用として用いられるデバイスであり、人体等の生体内に挿入あるいは接触させる、または生体から取り出した媒体(血液等)と接触する如何なるデバイスも含むものである。
例えば、医薬品、医薬部外品、医療用器具等が挙げられ、具体的には、細胞培養容器、細胞培養シート、細胞捕捉フィルター、バイアル、プラスチックコートバイアル、シリンジ、プラスチックコートシリンジ、アンプル、プラスチックコートアンプル、カートリッジ、ボトル、プラスチックコートボトル、パウチ、ポンプ、噴霧器、栓、プランジャー、キャップ、蓋、針、ステント、カテーテル、インプラント、コンタクトレンズ、マイクロ流路チップ、ドラッグデリバリーシステム材、人工血管、人工臓器、血液透析膜、ガードワイヤー、血液フィルター、血液保存パック、内視鏡、バイオチップ、糖鎖合成機器、成形補助材、包装材等が挙げられる。なかでも、細胞培養容器が好ましい。
デバイス基材を形成する材料としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン等の樹脂、ガラス等が挙げられる。なかでも、本発明は、デバイス基材を形成する材料がガラスである場合に特に有効である。
[共重合組成]
得られた含フッ素重合体の20mgをクロロホルムに溶かし、H−NMRにより共重合組成を求めた。
[フッ素原子含有率]
フッ素原子含有率は、H−NMR、イオンクロマト、および元素分析により測定した。
[ガラス転移温度(Tg)]
含フッ素重合体のガラス転移温度は、DSC(TAインスツメント社製)で10℃/分の速度で、−30℃〜200℃まで昇降温させて測定した。降温時の2サイクル目のゴム状態からガラス状態へ変化する温度をガラス転移温度とした。
[分子量]
含フッ素重合体の数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)および分子量分布(質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするGPC装置(HLC8220、東ソー社製)を用いて測定した。
[割合P]
割合Pは下式により算出した。含フッ素重合体の全単位に対する生体親和性基を有する単位の割合(質量%)は、H−NMR(JEOL社 AL300)、イオンクロマト(Dionex DX500)、および元素分析(パーキンエルマー社 2400・CHSN)により測定した。
(割合P)=[(含フッ素重合体の全単位に対する生体親和性基を有する単位の割合(質量%))/(フッ素原子含有率(質量%))]×100
[原料]
含フッ素重合体の製造に用いた原料の略号を以下に示す。
(単量体)
C6FMA:CH=C(CH)COO(CH(CFCF
C6FA:CH=CHCOO(CH(CFCF
MPC:2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン。
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(CH=CHCOOCHCH(C)CHCHCHCH)。
PEG9A:ポリエチレングリコールモノアクリレート(EO数平均9)(CH=CHCOO(CO)H)。
OMA:オクチルメタクリレート(CH=C(CH)COO(CHH)。
PEG4.5A:ポリエチレングリコールモノアクリレート(EO数平均4.5)(CH=CHCOO(CO)4.5H)。
PEPEGA:CH=CHCOO(CO)10(CO)20(CO)10H。
(重合開始剤)
AIBN:2,2’−アゾイソブチロニトリル、
V-601: ジメチル2,2’−アゾ(2-メチルプロピオネート)。
(重合溶媒)
EtOH:エタノール、
m−XHF:メタキシレンヘキサフルオリド。
[含フッ素重合体の製造例]
(製造例1)
MPCの0.886g(3.0mmol)とC6FMAの3.025g(7.0mmol)とを300mLの3つ口フラスコに秤取し、重合開始剤としてAIBNの0.391gと、重合溶媒としてエタノール(EtOH)の15.6gを加えた。C6FMAとMPCとの仕込みモル比をC6FMA/MPC=70/30、反応液中の単量体の合計濃度を20質量%、開始剤濃度を1質量%とした。
フラスコ内を充分にアルゴン置換した後に密封し、16時間75℃に加温することにより重合反応を行った。反応液を氷冷した後、ジエチルエーテルに滴下することにより、重合体を沈殿させた。得られた重合体を充分にジエチルエーテルで洗浄した後、減圧乾燥して、白色粉末状の含フッ素重合体(A−1)を得た。
得られた含フッ素重合体(A−1)の共重合組成を、H−NMRにて測定したところ、C6FMA単位/MPC単位=44/56(モル比)であった。
(製造例2)
100mLの耐圧ガラス瓶に、2−EHAの40g、PEG9Aの40g、V−601(油溶性アゾ重合開始剤、和光純薬社製)の0.66g、およびm−キシレンヘキサフルオリド(セントラル硝子社製、以下、「m−XHF」と記す。)の49.8gを仕込み、密閉させた後、70℃で16時間加熱した。この反応液に、C6FAの20g、m−XHFの40g、およびV−601の0.48gを仕込み、密閉させた後、70℃で16時間加熱し、含フッ素重合体(A−2)を得た。含フッ素重合体(A−2)の共重合組成を測定した結果、PEG9A単位とC6FA単位と2−EHA単位とを、モル比24:14:62(質量比40:20:40)で有する含フッ素重合体であることを確認した。
(製造例3)
100mL耐圧ガラス瓶に、OMAの15g、PEG4.5Aの35g、V−601の0.41g、およびm−XHFの31.3gを仕込み、密閉させた後、70℃で16時間加熱した。この反応液に、C6FMAの50g、m−XHFの100g、およびV−601の1.2gを仕込み、密閉させた後、70℃で16時間加熱し、含フッ素重合体(A−3)を得た。
含フッ素重合体(A−3)の共重合組成を測定した結果、PEG4.5A単位とC6FMA単位とOMA単位とを、モル比40:36:24(質量比35:50:15)で有する含フッ素重合体であることを確認した。
(製造例4)
100mL耐圧ガラス瓶に、PEPEGAの80g、V−601の0.66g、およびm−XHFの49.8gを仕込み、密閉させた後、70℃で16時間加熱した。この反応液に、C6FAの20g、m−XHFの40g、およびV−601の0.48gを仕込み、密閉させた後、70℃で16時間加熱し、含フッ素重合体(A−4)を得た。含フッ素重合体(A−4)の共重合組成を測定した結果、PEPEGA単位とC6FA単位とを、モル比44:56(質量比80:20)で有する含フッ素重合体であることを確認した。
以上の製造例で得られた含フッ素重合体の組成等を表1に示す。
Figure 2017164315
[細胞培養容器の製造例1]
製造例1〜4で得た含フッ素重合体を、各々その濃度が0.05質量%となるようにエタノールに溶解させ、塗布液を調製した。該塗布液を24ウェルのマイクロプレートに2.2mL分注し、3日間放置して溶媒を揮発させ、ウェル表面に被覆層を形成した。
次いで、前記被覆層を形成した35mmφのマイクロプレートに、コバルト60第1照射施設(ラジエ工業)にてγ線を照射した。そして、γ線を照射したマイクロプレートに37℃の水を5ml加え、膜の凝集破壊までにかかった時間を測定した。以下の基準で判断した。
評価基準:
○(良好):水を入れてから凝集破壊を生じるまでの時間が24時間以上
△(可):水を入れてから凝集破壊を生じるまでの時間が1時間以上24時間未満
×(不良):水を入れてから凝集破壊を生じるまでの時間が1時間未満
評価結果を表2に示す。
Figure 2017164315
本発明は、細胞培養容器等、細胞非接着の機能を必要とする医療用デバイスの製造方法に利用できる。

Claims (8)

  1. デバイス基材上に、生体親和性基を有する単位を有し、フッ素原子含有率が5〜60質量%であり、かつ下式で表される割合Pが0.1〜9.0%である含フッ素重合体からなる被覆層を形成し、該被覆層に放射線を照射する医療用デバイスの製造方法。
    (割合P)=[(含フッ素重合体の全単位に対する生体親和性基を有する単位の割合(質量%))/(含フッ素重合体のフッ素原子含有率(質量%))]×100
  2. 放射線がγ線である請求項1に記載の医療用デバイスの製造方法。
  3. γ線の照射線量が0.01〜10000kGyである請求項2に記載の医療用デバイスの製造方法。
  4. 前記生体親和性基が、下式(1)で表される基、下式(2)で表される基および下式(3)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療用デバイスの製造方法。
    Figure 2017164315
    (前記式中、nは1〜10の整数であり、mは前記式(1)で表される基が含フッ素重合体において側鎖に含まれる場合は1〜100の整数であり、主鎖に含まれる場合は5〜300であり、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、aは1〜5の整数であり、bは1〜5の整数であり、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、Xは下式(3−1)で表される基または下式(3−2)で表される基であり、cは1〜20の整数であり、dは1〜5の整数である。)
    Figure 2017164315
  5. 前記含フッ素重合体が、下式(m1)で表される単量体に由来する単位(m1)と、下式(m2)で表される単量体に由来する単位(m2)および下式(m3)で表される単量体に由来する単位(m3)からなる群から選ばれる少なくとも1種と、を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療用デバイスの製造方法。
    Figure 2017164315
    (前記式中、Rは水素原子、塩素原子またはメチル基であり、eは0〜3の整数であり、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、Rf1は炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基であり、Rは水素原子、塩素原子またはメチル基であり、Qは−C(=O)−O−または−C(=O)−NH−であり、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、aは1〜5の整数であり、bは1〜5の整数であり、R10は水素原子、塩素原子またはメチル基であり、Qは−C(=O)−O−または−C(=O)−NH−であり、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基であり、Xは下式(3−1)で表される基または下式(3−2)で表される基であり、cは1〜20の整数であり、dは1〜5の整数である。)
    Figure 2017164315
  6. 前記含フッ素重合体が、下式(m1)で表される単量体に由来する単位(m1)と、下式(m4)で表される単量体に由来する単位(m4)と、を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療用デバイスの製造方法。
    Figure 2017164315
    (前記式中、Rは水素原子、塩素原子またはメチル基であり、eは0〜3の整数であり、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、Rf1は炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基であり、R11は水素原子、塩素原子またはメチル基であり、Qは−COO−または−COO(CH−NHCOO−(ただし、hは1〜4の整数である。)であり、R12は水素原子または−(CH−R13(ただし、R13は炭素数1〜8のアルコキシ基、水素原子、フッ素原子、トリフルオロメチル基またはシアノ基であり、iは1〜25の整数である。)であり、fは1〜10の整数であり、gは1〜100の整数である。)
  7. 前記含フッ素重合体が、下式(m6)で表される単量体に由来する単位(m6)を含むセグメント(I)と、下式(6)で表される構造を有する高分子アゾ開始剤に由来する分子鎖を含むセグメント(II)とを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療用デバイスの製造方法。
    Figure 2017164315
    (前記式中、R16は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはハロゲン原子であり、Q5は単結合または2価の連結基であり、R17は炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有していてもよい炭素数1〜6のポリフルオロアルキル基であり、αは5〜300の整数であり、βは1〜20の整数である。)
  8. 医療用デバイスが細胞培養容器である請求項1〜7のいずれか一項に記載の医療用デバイスの製造方法。
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