以下に、本願発明を具体化した実施形態を、普通型コンバインに適用した図面(図1〜図15)に基づいて説明する。まず、図1〜図6を参照しながら、普通型コンバインの概略構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
図1〜図6に示す如く、実施形態における普通型コンバインは、走行部としてのゴムクローラ製の左右一対の履帯2にて支持された走行機体1を備える。走行機体1の前部には、稲(または麦)等の未刈り穀稈を刈取りながら取込む刈取部3が単動式の昇降用油圧シリンダ4にて昇降調節可能に装着されている。
走行機体1の前部上面には、刈取部3から供給された刈取穀稈を脱穀処理するための脱穀部9を搭載する。脱穀部9の内部には、後述する穀稈脱粒ロータとしての扱胴21を配置する。走行機体1の後部右側には、オペレータが歩行移動しながら操縦する運転操作部5を搭載する。コンバイン各部の動力源としてのエンジン7を、走行機体1の中央部に配置する。走行機体1の後部左側(運転操作部5の左側方)には、脱穀部9から穀粒を取出す籾受部6を配置する。籾受部6に向けて脱穀部9内の穀粒を穀粒排出コンベヤ8にて搬出するように構成している。前低後高姿勢の穀粒排出コンベヤ8の送り終端部に、脱穀物の選別を行う穀粒選別部としての風路形成ダクト体10を備えている。
刈取部3は、脱穀部9前部の扱口供給部に連通したフィーダハウス11と、フィーダハウス11の前端に連設された横長バケット状の穀物ヘッダー12を備えている。穀物ヘッダー12内に掻込みオーガ13(プラットホームオーガ)を回転可能に軸支する。掻込みオーガ13の前部上方にタインバー付き掻込みリール14を配置する。穀物ヘッダー12の前部にバリカン状刈刃15を配置する。穀物ヘッダー12前部の左右両側に左右の分草体16を突設する。また、フィーダハウス11に供給コンベヤ17を内設する。なお、フィーダハウス11の下面部と走行機体1の前端部とが昇降用油圧シリンダ4を介して連結され、後述する刈取入力軸18(フィーダハウスコンベヤ軸)を昇降支点として、刈取部3が昇降用油圧シリンダ4にて昇降動する。
上記の構成により、左右の分草体16間の未刈り穀稈の穂先側が掻込みリール14にて掻込まれ、未刈り穀稈が刈刃15にて刈取られ、掻込みオーガ13の回転駆動によって、穀物ヘッダー12の左右幅の中央部寄りのフィーダハウス11入口付近に刈取穀稈が集められる。穀物ヘッダー12の刈取穀稈の全量は、フィーダハウス11内の供給コンベヤ17によって搬送され、脱穀部9左側部に設けられた扱口供給板9aから扱室22内部に投入されるように構成している。
また、図4〜図6に示す如く、脱穀部9の扱室22内に扱胴21を回転可能に設ける。走行機体1の左右方向に延長させた扱胴軸20に扱胴21を軸支する。扱胴21の下方側には、穀粒を漏下させる受網24を張設する。加えて、供給コンベヤ17の穀稈送り終端側に連通させる扱口供給板9aが、扱室22の左側下部に形成される一方、扱室22の右側下部に排塵口23が形成されている。即ち、走行機体1の前部に横置き姿勢の扱胴21を左右向きに搭載すると共に、脱穀部9の左側端部にフィーダハウス11を配置して、前後方向に長尺なフィーダハウス11と左右横置き姿勢の脱穀部9における刈取穀稈の移動方向を直交方向に変更するように構成している。
上記の構成により、供給コンベヤ17によって扱口供給板9aから投入された刈取穀稈は、扱胴21の回転によって走行機体1の左側から右側に向けて搬送されながら、扱胴21と受網24との間などにて混練されて脱穀される。受網24の網目よりも小さい穀粒等の脱穀物は受網24から漏下する。受網24から漏下しない藁屑等は、扱胴21の搬送作用によって、扱室22右側下部の排塵口23から右側履帯2の上面側を介して圃場の既刈り面に排出されるように構成している。
また、図4〜図6に示す如く、脱穀物の選別を行う穀粒選別部として、前低後高姿勢の穀粒排出コンベヤ8後端側の送り終端部に配置された風路形成ダクト体10と、風路形成ダクト体10に選別風を導入して吸排塵する吸引ファン装置34を備える。受網24の下方に穀粒取出コンベヤ36を横架させるものであり、扱胴21にて脱穀されて受網24から漏下した脱穀物は、穀粒取出コンベヤ36と穀粒排出コンベヤ8を介して風路形成ダクト体10内部に搬入されると共に、風路形成ダクト体10内部に搬入された脱穀物は、吸引ファン装置34の風選別作用により、重い穀粒と、軽い藁屑等に選別されるように構成している。
一方、脱穀部9の左側部において、脱穀部9と籾受部6の間に前低後高姿勢に穀粒排出コンベヤ8を延設させる。穀粒取出コンベヤ36左側端部の送り終端側に、穀粒排出コンベヤ8前端部の送り始端側を連結させる。脱穀部9の端面V字形状の穀粒取出底部に穀粒取出コンベヤ36を内設させる。受網24から穀粒取出コンベヤ36に漏下した穀粒は、穀粒取出コンベヤ36左側端部から穀粒排出コンベヤ8前端部に移送され、穀粒排出コンベヤ8後端側の風路形成ダクト体10から籾受部6に移送され、籾受部6の籾袋37に収集されるように構成している。
即ち、籾受部6には、走行機体1左側後端部に台支持フレーム38aを介して連結させる籾受台38と、走行機体1左側後端部に支柱フレーム体39を介して取付ける籾受アーム体39aを設ける。また、支柱フレーム体39の上端側に風路形成ダクト体10を支持させ、風路形成ダクト体10の穀粒出口に充填ホッパー19を設けるものであり、籾受アーム体39aに籾袋37を吊下げ、充填ホッパー19に籾袋37の開口部を装着し、充填ホッパー19から排出される穀粒が籾袋37内部に充填される。
一方、図4〜6に示す如く、運転操作部5には、操縦コラム41を配置する。操縦コラム41には、走行機体1の進路を変更する左右のサイドクラッチレバー43,44と、走行機体1の移動速度を切換える走行変速レバー45と、刈取部3または脱穀部9を駆動または停止操作する作業クラッチレバー46と、刈取部3を昇降操作する刈取昇降レバー47と、駐車ブレーキレバー48を配置する。また、操縦コラム41の後面側に歩行用ハンドル49を後方に向けて突設させ、歩行用ハンドル49の左側握り部にアクセルレバー40を取付ける。操縦コラム41上面側に、左右サイドクラッチレバー43,44と、刈取昇降レバー47と、走行変速レバー45を、右側から順に左右方向に並列配置し、機体内側方の走行変速レバー45の操作位置を他のレバー43,44,46,47の操作位置よりも高く形成し、略一定速度で圃場を移動する収穫作業中に操作頻度が低くなる走行変速レバー45を機体内側方に支持し、同じく収穫作業中に操作頻度が高いサイドクラッチレバー43,44と刈取昇降レバー47を機体外側方に支持するように構成している。
なお、図7、図8に示す如く、操縦コラム41の後方には、オペレータが座乗する運転座席42を着脱可能に配置する。走行機体1の右側後端部に運転席ブラケット体111を設け、運転席ブラケット体111に運転席フレーム112の前端部を着脱可能にボルト締結する。また、上部機体フレーム1bの右側後端から後方に向けて運転席フレーム112の後端側を略水平に延設し、運転席フレーム112の後端部に運転座席42を取付け、運転席フレーム112を介して運転操作部5後方に運転座席42を配置し、運転座席42に座乗したオペレータが、運転操作部5の各レバー43,44,45,46,47,48等を操作可能に構成している。
また、図7、図8に示す如く、運転座席42に座乗するオペレータの足元と右の履帯2後端部の間に配置する足元ガード体114を備える。運転席ブラケット体111の下面側から下方に向けてガード体支持フレーム115を延設し、ガード体支持フレーム115に足元ガード体114を固着し、オペレータの足元が右の履帯2に接触するのを足元ガード体114にて阻止するように構成している。加えて、運転席フレーム112の前後中間部から下方に向けて足載せフレーム112aを延設し、足載せフレーム112aの下端部に足載せ台113を固着し、運転座席42に座乗したオペレータの足を足載せ台113に載せるように構成している。
さらに、図7〜図10に示す如く、走行機体1の下面側に左右の前支脚体32及び後支脚体33を下向きに突設させ、走行機体1下面側に左右の各支脚体32,33を介して左右のトラックフレーム50を配置している。トラックフレーム50には、履帯2にエンジン7の動力を伝える駆動スプロケット51と、履帯2のテンションを維持するテンション機構53を介して支持するテンションローラ52と、履帯2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ54を設けている。前記テンションローラ52によって履帯2の前側を支持させ、駆動スプロケット51によって履帯2の後側を支持させ、トラックローラ54によって履帯2の接地側を水平姿勢に支持させ、履帯2の非接地側を前低後高姿勢に支持させるように構成している。
次に、図7〜図14を参照してコンバインの駆動構造を説明する。図11、図12に示す如く、走行油圧ポンプ30及び走行油圧モータ31が内蔵された走行変速用の油圧無段変速機64をミッションケース63に設ける。走行機体1の中央上面にエンジン7を搭載し、エンジン7後方の走行機体1後部にミッションケース63を配置する。また、エンジン7から左側方に突出させたエンジン出力軸65上の走行駆動プーリ69と、ミッションケース63から左側方に突出させた変速入力軸66上の変速入力プーリ70を、前側走行出力ベルト67aと後側走行出力ベルト67bを介して連結する。
また、テンションローラ形の走行クラッチ68にて前側走行出力ベルト67aを緊張させ、エンジン7からミッションケース63に動力を伝達して、左右の履帯2を駆動するように構成している。なお、図8、図14に示す如く、変速入力プーリ70左側の機外側面に入力プーリファン70aを固着し、入力プーリファン70aにて油圧無段変速機64を空冷するように構成している。
加えて、図10、図13、図14に示す如く、走行機体1上に中間フレーム131を後傾姿勢に立設させ、中間フレーム131の上端側に中間軸132を介して左側中間プーリ133と右側中間プーリ134を一体的に回動可能に軸支し、走行駆動プーリ69と左側中間プーリ133の間に走行クラッチ68を介して前側走行出力ベルト67aを掛け回すと共に、右側中間プーリ134と変速入力プーリ70の間に後側走行出力ベルト67bを掛け回している。エンジン7後側のミッションケース63を機体前後中心線に対して機体右側寄りに配置し、走行駆動プーリ69の取付け位置に対して変速入力プーリ70の取付け位置を走行機体1の中央寄りに形成する。
後側走行出力ベルト67b後端側の変速入力プーリ70に支持された入力プーリファン70aは、前側走行出力ベルト67aの後側方に配置される。エンジン7の後方で左右履帯2の間に、ミッションケース63上部に油圧無段変速機64を一体的に上載固定でき、重量部品であるエンジン7とミッションケース63を機体左右幅中央部(機体前後中心線付近)に支持して、機体の左右方向の重量バランスを良好に形成している。
図7〜図11、図13、図14に示す如く、前記刈取部3と扱胴21を駆動するためのカウンタ軸72を備える。左側軸受体71aと右側軸受体71bを介して走行機体1(上部機体フレーム1b)上面側にカウンタ軸72を回転自在に設ける。エンジン7から左側方に突出させた出力軸65上の脱穀駆動プーリ57と、カウンタ軸72左側端部のカウンタ軸プーリ58を、脱穀駆動ベルト59を介して連結する。テンションローラ形の作業クラッチ60にて脱穀駆動ベルト59を緊張させ、エンジン7からカウンタ軸72に動力を伝達させる。
また、カウンタ軸72右側端部にカウンタ軸スプロケット73を軸支する。カウンタ軸スプロケット73と、扱胴軸20右側端部の扱胴軸入力スプロケット74を、脱穀駆動チェン75にて連結し、カウンタ軸72を介して扱胴21を駆動するように構成している。また、扱胴軸20右側端部に穀粒送出スプロケット76を軸支する。穀粒送出スプロケット76と、穀粒取出コンベヤ36右側端部の送出入力スプロケット77を、送出駆動チェン78にて連結し、カウンタ軸72を介して穀粒取出コンベヤ36を駆動するように構成している。
加えて、穀粒取出コンベヤ36左側端部に穀粒排出スプロケット79を介して穀粒排出コンベヤ8の送り始端側を連結する。穀粒排出コンベヤ8は、無端帯状の穀粒排出チェン8aと、穀粒排出チェン8aに等間隔に配置する複数の穀粒排出板体8bを有する。穀粒排出スプロケット79に穀粒排出チェン8aを掛け回し、穀粒取出コンベヤ36と穀粒排出コンベヤ8を連動して駆動し、穀粒取出コンベヤ36左側端部に取出された穀粒を、複数の穀粒排出板体8bにて風路形成ダクト体10に向けて搬送するように構成している。
一方、カウンタ軸72左側端部のファン駆動プーリ82と、吸引ファン装置34のファン軸34a上の送風ファンプーリ83を、ファン駆動ベルト84にて連結し、扱胴21と吸引ファン装置34の吸排塵ファン34bを連動して駆動するように構成している。操縦コラム41の左側部に配置した作業クラッチレバー46の作業クラッチ60入り操作にて、脱穀部9の各部(扱胴21、各コンベヤ8,36、吸排塵ファン34b)を定速回転数にて駆動している。
次いで、図1〜図3、図7、図8、図11を参照して刈取部3の駆動構造を説明する。扱胴軸20左側端部に設ける扱胴軸出力スプロケット85と、刈取部3の昇降支点である刈取入力軸18左側端部に設ける刈取入力スプロケット86を、刈取入力チェン87にて連結する。刈取部3全体を昇降動可能に支持する刈取入力軸18を介して、扱胴21と供給コンベヤ17を連動して駆動する。また、刈取部3の穀物ヘッダー12左側部の後面側に一対のヘッダー駆動軸受体141を介してヘッダー駆動軸91を設ける。ヘッダー駆動軸91の右側端部に、ヘッダー駆動スプロケット88,89及びヘッダー駆動チェン90を介して刈取入力軸18の左側端部を連結している。
また、穀物ヘッダー12に掻込みオーガ13を軸支する掻込み軸93を備えている。掻込み軸93の左側端部に、掻込み駆動チェン92及び掻込み駆動スプロケット94,95を介してヘッダー駆動軸91の左側端部を連結する。刈取入力軸18とヘッダー駆動軸91を介して掻込みオーガ13を駆動する。
さらに、図1〜図3に示す如く、穀物ヘッダー12上面にリール支持フレーム151基端部を固着する。また、掻込みリール14を軸支するリール軸96を備え、左右のリール支持フレーム151先端部にリール軸96の左右端部を回動可能に軸支する。穀物ヘッダー12の上面側に左右のリール支持フレーム151を介して掻込みリール14を支持している。なお、穀物ヘッダー12の左右側面に左右のリール支持フレーム151の中間部を支持するリール支持アーム155を備える。
さらに、穀物ヘッダー12の右側面部にリール駆動軸153を設け、リール駆動軸153にリール駆動スプロケット98とリール駆動プーリ161を遊転軸支すると共に、リール駆動スプロケット98とリール駆動プーリ161を一体的に固着している。掻込み軸93の右側端部に設けたリール入力スプロケット99とリール駆動スプロケット98にリール駆動チェン97を掛け回す。リール軸96の右側端部に設けたリール従動プーリ163とリール駆動プーリ161にリール駆動ベルト164を掛け回す。
加えて、リール駆動テンションアーム165先端部にリール駆動テンションプーリ166を回動可能に軸支させる。リール駆動チェン97とリール駆動ベルト164を介して、ヘッダー駆動軸91にリール軸96を連動連結している。なお、リール駆動軸153にリール駆動テンションアーム165基端部を支持させ、リール駆動ベルト164にリール駆動テンションプーリ166をリール駆動テンションバネ力にて弾圧させ、リール駆動テンションプーリ166にてリール駆動ベルト164を緊張支持している。なお、刈取部3左側のチェンカバー体169に掻込み駆動チェン92を内設すると共に、刈取部3右側のベルトカバー体170にリール駆動ベルト164を内設する。
さらに、掻込み軸93の右側端部には、刈刃駆動クランク機構100を介して刈刃15が連結されている。作業クラッチレバー46の作業クラッチ60入り操作にて、刈取部3の各部(供給コンベヤ17と、掻込みオーガ13と、掻込みリール14と、刈刃15)が駆動されて、圃場の未刈り穀稈の穂先側を連続的に刈取るように構成している。なお、刈取部3右側の刈刃駆動カバー体171に刈刃駆動クランク機構100を内設する。
次に、図12を参照してコンバインの油圧回路構造を説明する。図12に示す如く、走行変速用の油圧無段変速機64の走行油圧ポンプ30及び走行油圧モータ31を閉ループ油圧回路211にて接続すると共に、閉ループ油圧回路211に作動油を供給するチャージポンプ212を設ける。また、昇降バルブ213を有する昇降油圧回路216を備え、刈取昇降レバー47操作にて昇降バルブ213を切換えると共に、昇降用油圧シリンダ4を上昇動させる作業ポンプ215を設ける。変速入力軸66を介してチャージポンプ212と作業ポンプ215を走行油圧ポンプ30と連動して駆動するように構成している。
上記の構成により、作動油タンク55の作動油が、チャージポンプ212と作業ポンプ215にて、油圧無段変速機64または昇降油圧回路216に圧送されるものであり、走行油圧ポンプ30にて走行油圧モータ31を作動させて無段変速出力する一方、作業ポンプ215にて昇降用油圧シリンダ4を上昇動させ、刈取部3を昇降動させるように構成している。加えて、油圧無段変速機64または昇降油圧回路216からオイルクーラー217を介して作動油タンク55に作動油が戻るように構成している。オイルクーラー217は、中間軸132に設けた冷却クーラーファン218にて空冷し、作動油タンク55の作動油を所定温度以下に維持するように構成している。
次いで、図7〜図10、図13、図14を参照して、走行機体1の構造を説明する。下部機体フレーム1aと上部機体フレーム1bと支柱フレーム1cにて走行機体1を上下多段の櫓構造に構成している。前支脚体32と後支脚体33を介して下部機体フレーム1aの下面側に左右のトラックフレーム50を固着し、左右のトラックフレーム50を介して左右の履帯2を装設させる。また、上部機体フレーム1b上面の搭載部にエンジン7下面を連結し、上部機体フレーム1bにエンジン7を搭載するものであり、エンジン7は、運転操作部5と籾受部6間の走行機体1中央部に配置される。
即ち、走行機体1の左右幅中央部にエンジン7が配置されると共に、エンジン7を中心に、エンジン7右側方の上部機体フレーム1b後部(走行機体1の後方右側)に運転操作部5が配置され、エンジン7左側方の上部機体フレーム1b後部(走行機体1の後方左側)に籾受部6が配置されるものであり、エンジン7が搭載された上部機体フレーム1bの右側上面にバッテリ56を配置し、エンジン7の始動電源などにバッテリ56を利用するように構成している。
一方、上部機体フレーム1b前端側よりも前方に下部機体フレーム1a前端側を延設し、下部機体フレーム1aの前端側上面に脱穀部9底部を載置する。脱穀部9後方側の上部機体フレーム1b上面にエンジン7を設置し、脱穀部9上面高さとエンジン7上面高さを一致させて略同一高さに形成するものであり、エンジン7の設置面(上部機体フレーム1b上面)よりも脱穀部9の設置面(下部機体フレーム1a上面)を低く形成する。脱穀部9左側前部の低い位置に扱口供給板9aを配置し、走行機体1の低い位置に脱穀部9の扱口9b(刈取穀稈入口)を構成している。
また、下部機体フレーム1aの前端部に昇降用油圧シリンダ4を取付けると共に、上部機体フレーム1b前端部(脱穀部9後面)と下部機体フレーム1aの間に作動油タンク55を配置し、昇降用油圧シリンダ4などの作動油を作動油タンク55に貯蔵するように構成している。
他方、左右のトラックフレーム50後端に下部機体フレーム1aの後端を左右の後支脚体33にて連結し、左右の後支脚体33の上端側を下部機体フレーム1aの後方上方に向けて延設させ、左右の後支脚体33の上端側にミッションケース63両側の左右車軸ケース63aを着脱可能に支持すると共に、下部機体フレーム1aの後端側よりも後方に上部機体フレーム1bの後端側を延設し、上部機体フレーム1bの後端側に上部連結体62を介してミッションケース63の上端側を着脱可能に支持するものであり、後支脚体33の上端側と上部機体フレーム1bの後端側にミッションケース63を後傾姿勢に配置している。
ミッションケース63下端側の左右車軸ケース63aに左右駆動スプロケット51を介して左右履帯2の後端部を張設させている。即ち、後支脚体33の上端側に左右車軸ケース63aを介して駆動スプロケット51を支持し、トラックフレーム50前端部のテンションローラ52と後支脚体33上端側の駆動スプロケット51の間に履帯2の非接地側を張設し、履帯2の非接地側を前下がりに傾斜させた前低後高姿勢に支持している。
一方、上部機体フレーム1bの右側後端部と左側の車軸ケース63aに両端側をボルト締結させるミッション保護フレーム116を備え、ミッションケース63の後側をミッション保護フレーム116にて囲むと共に、ミッション保護フレーム116にミッション保護カバー117を取付け、ミッションケース63上部の油圧無段変速機64の上方側及び後方側をミッション保護カバー117にて覆うように構成している。
走行機体1前部の上部機体フレーム1bの上方にカウンタ軸72を水平姿勢に架設している。また、上部機体フレーム1bの左側上面に側板支持フレーム145とエンジン側板体146を立設させ、側板支持フレーム145とエンジン側板体146を連結固定し、側板支持フレーム145に脱穀テンションアーム147基端側を取付け、前方に延設した脱穀テンションアーム147先端側に作業クラッチ60を配置し、作業クラッチ60を介して脱穀駆動ベルト59を張設し、エンジン7の出力軸65にカウンタ軸72を連結させている。
支柱フレーム体39に吸引ファン装置34のファンケース29を固着し、エンジン側板体146左側の機外側面に吸引ファン装置34を配置し、エンジン7の左側方にエンジン側板体146を介して吸引ファン装置34を配設している。エンジン側板体146を介して吸引ファン装置34にエンジン7周辺の暖気を吸込むように構成している。
また、走行クラッチ68が支持された走行テンションアーム149を中間フレーム131に支持させると共に、脱穀駆動ベルト59と、前側走行出力ベルト67aと、後側走行出力ベルト67bと、ファン駆動ベルト84が配置されたエンジン7の左側にベルトカバー体183を張設させている。前記各ベルト59,67a,67b,84の上面側に沿ってベルトカバー体183の上面壁部を前後方向に延設させている。
側板支持フレーム145の前側にエンジン側板体146を立設すると共に、エンジン7の左側で前後方向に延設させる脱穀駆動ベルト59と、前側走行出力ベルト67aと、後側走行出力ベルト67bと、ファン駆動ベルト84のそれぞれの上面側と左側面側が、エンジン側板体146とベルトカバー体183の左側壁部及び上面壁部にて閉塞され、エンジン側板体146とベルトカバー体183にて覆われた前記各ベルト59,67a,67b,84設置空間の外気が冷却クーラーファン218を介してオイルクーラー217に供給されるように構成している。
上記の構成により、エンジン側板体146とベルトカバー体183の下面側開口部(上部機体フレーム1b設置部またはエンジン7載置部の付近)における藁屑が比較的少ない場所から、エンジン側板体146とベルトカバー体183にて覆われた空間内部に外気が吸込まれ、その空間内部の外気を冷却クーラーファン218にてオイルクーラー217に供給できる。したがって、藁屑などの粉塵が比較的少ない空気を冷却風としてオイルクーラー217に供給できる。
さらに、図4〜図6などに示す如く、左側履帯2の後部に籾受台38を配置させ、充填ホッパー19の籾投入口19aを籾受台38上方に配置し、籾投入口19aに籾袋37を装着し、籾袋37に籾を充填するように構成している。籾が充填された籾袋37を圃場に落下させ、籾投入口19aに空の籾袋37を順次装着して、穀粒排出コンベヤ8から風路形成ダクト体10を介して連続的に搬出される籾(穀粒)を、複数の籾袋37に充填できる。
次いで、図4〜図7、図13、図15などに示す如く、扱胴21は、同一円周上に配置する4本の丸パイプ製の胴フレーム21aと、胴フレーム21aに等間隔に外向き姿勢に立設させる多数本のV字形状の扱歯21bと、排塵口23に対向する胴フレーム21a右側端部の外周面に立設させる排塵羽根板体21cを有する。扱胴21の円板形状の左右側板体21dの外周に各胴フレーム21aの両端部を固着すると共に、扱歯21bのV字形状の両端部を胴フレーム21aに溶接固定している。
また、走行機体1の前部上面側に左右向きに平行に架設させる断面端面が逆V字形状(∧形)の前部フレーム体121と断面端面がL形の後部フレーム体122を備える。下部機体フレーム1a(走行機体1)の前端部に断面端面が逆V字形状(∧形)の前部フレーム体121を溶接固定すると共に、上部機体フレーム1b前端部が一体的に連結された支柱フレーム1c(走行機体1)の上端部に断面端面がL字形状の後部フレーム体122を溶接固定する。
下部機体フレーム1a前端部に左右の脱穀取付け台128の下端側を溶接固定し、左右の脱穀取付け台128の上端部に前部フレーム体121下面を溶接固定すると共に、左の脱穀取付け台128に昇降用油圧シリンダ4を取付けている。支柱フレーム1cよりも脱穀取付け台128を短尺に形成し、前部フレーム体121の支持高さよりも後部フレーム体122の支持高さを高く形成している。
断面端面が逆V字形状(∧形)の前部フレーム体121に、断面端面が逆V字形状(∧形)の前部横桟枠体123を上方から着脱可能に合体させ、前部フレーム体121に前部横桟枠体123を着脱可能にボルト125締結すると共に、断面端面がL字形状の後部フレーム体122に、断面端面がL字形状の後部横桟枠体124を上方から着脱可能に合体させ、後部フレーム体122に後部横桟枠体124をボルト126締結する。
断面端面が逆V字形状の前部フレーム体121に前記脱穀部9の逆V字形状底面部(前部横桟枠体123)を固定すると共に、断面端面がL字形状の後部フレーム体122に前記脱穀部9後部のL字形状後部(後部横桟枠体124)を固定し、前部フレーム体121と後部フレーム体122に脱穀部9底面側を上方から着脱可能に合体させるものであり、脱穀部9底部の穀粒取出樋25に穀粒取出コンベヤ36を配設し、穀粒取出樋25の外側面に前部横桟枠体123を介して前部フレーム体121を接合させて支持している。
次いで、図12、図16〜図19を参照して、作動油タンク55、ミッションケース63、オイルクーラー217が配置された油圧回路構造を説明する。図16〜図19に示す如く、支柱フレーム体39の機内側面にケースブラケット体411を介してクーラーケース体412を固着し、オイルクーラー217と冷却クーラーファン218をクーラーケース体412に内設している。籾受部6の籾受支柱としての支柱フレーム体39にオイルクーラー217を取付け、支柱フレーム体39を介してエンジン7の後側方に、オイルクーラー217と冷却クーラーファン218を配置し、オイルクーラー217の支持部材を特別に設置することなく、支柱フレーム体39を利用してオイルクーラー217を高剛性に支持可能に構成している。
加えて、エンジン7と油圧無段変速機64間の伝達径路に中間軸132を設け、油圧無段変速機64の作動油を冷却するオイルクーラー217と冷却クーラーファン218を中間軸132の近傍に設置している。走行機体1の左右向きに中間軸を延設させ、中間軸132の左側端部(機外側端部)に冷却クーラーファン218を取付け、中間軸132の取付け位置を上下または左右方向に選定し、オイルクーラー217または冷却クーラーファン218に対応させて各取付け位置を決定可能に構成している。
一方、走行機体1(上部機体フレーム1b)の左右幅中央部にミッションブラケット体413を介してミッションケース63前面を固着し、走行機体1後部にミッションケース63を配置する。中間軸132の機外側端部に冷却クーラーファン218を設け、冷却クーラーファン218の機外側方にオイルクーラー217を配置し、ミッションケース63上部左側の油圧無段変速機64にオイルクーラー217を近接させて支持するように構成している。また、左右方向に向けた横置き姿勢に脱穀部9を走行機体1上面に搭載し、脱穀部9後方にエンジン7と籾受部6を配置し、エンジン7後側方の左右後部に籾受部6と操縦コラム41を並設すると共に、ミッションケース63上部に油圧無段変速機64とバルブブロック体214を並設し、ミッションケース63上部右側のバルブブロック体214に昇降バルブ213などを内設する。ミッションケース63を挟んで操縦コラム41と反対側に冷却クーラーファン218を配置し、油圧無段変速機64とオイルクーラー217と冷却クーラーファン218が配備された高走行性能の走行部駆動構造を構成する。
また、図16〜図19に示す如く、下部機体フレーム1aにタンク取付け台421を一体的に固定し、タンク取付け台421にタンクブラケット体422を介して作動油タンク55下部を固着すると共に、上部機体フレーム1bに起立ブラケット体423を介して作動油タンク55上部を固着している。下部機体フレーム1aと上部機体フレーム1bに作動油タンク55を締結固定するものであり、走行機体1を上下多段構造に形成する下部機体フレーム1aと上部機体フレーム1bの間に、ミッションケース63上部の油圧無段変速機64に作動油を供給するための作動油タンク55を取付け、作動油タンク55の大きさを制限することなく、エンジン7よりも低い位置で冷却効率が良好な場所に作動油タンク55を設置している。
即ち、左右方向に向けた横置き姿勢に脱穀部9を走行機体1上面に搭載し、脱穀部9後方にエンジン7と籾受部6を配置し、上部機体フレーム1bの上面にエンジン7を搭載すると共に、上部機体フレーム1b前端側よりも前方に下部機体フレーム1a前端側を延設し、下部機体フレーム1aの前端側上面に前部フレーム体121を介して脱穀部9を載置させ、脱穀部9後側とエンジン7前側間の下方に作動油タンク55を配置させ、横置き姿勢の脱穀部9後方にエンジン7を近接させてコンパクトにコンバイン機体を構成し、脱穀部9とエンジン7間の下方に大容量の作動油タンク55を支持させている。
図16〜図19に示す如く、作動油タンク55の上面に注油キャップ424を設け、作動油タンク55の前面下部にドレンキャップ425を設ける。脱穀部9とエンジン7間に作動油タンク55のメンテナンス作業スペースを確保して、脱穀部9とエンジン7間から注油キャップ424またはドレンキャップ425の開閉操作などを実行するように構成したものであり、作動油タンク55の着脱作業または作動油タンク55への作動油の補充作業または作動油タンク55内の作動油の交換作業などを簡略化可能に構成している。
図12、図16〜図19に示す如く、作動油タンク55内部にオイルフィルタ431,432などを内蔵する。また、ミッションケース63上部の油圧無段変速機64またはバルブブロック体214またはオイルクーラー217と、走行機体1前部の作動油タンク55を油圧接続する供給油圧配管433,434及び戻り油圧配管435,436,437を、下部機体フレーム1aと上部機体フレーム1bの間に延設している。下部機体フレーム1aと上部機体フレーム1bにて各油圧配管433〜437の上下側を囲み、作動油タンク55にて各油圧配管433〜436の前側を囲み、各油圧配管433〜437を保護するように構成している。
図12に示す如く、作動油タンク55内部のオイルフィルタ431に供給油圧配管433を介してチャージポンプ212を接続させ、作動油タンク55内部のオイルフィルタ432に供給油圧配管434を介して作業ポンプ215を接続させている。油圧無段変速機64に作動油タンク55を戻り油圧配管435にて接続させると共に、バルブブロック体214にオイルクーラー217を戻り油圧配管436にて接続させ、オイルクーラー217に作動油タンク55を戻り油圧配管437にて接続させている。
上記の構成により、作動油タンク55内部の作動油がオイルクーラー217に循環移動して冷却される一方、脱穀部9とエンジン7間に作動油タンク55のメンテナンス作業スペースを確保して、各油圧配管433〜437の接続作業を実行可能に構成すると共に、オイルフィルタ431,432の交換などのメンテナンスなども容易に実行可能に構成している。また、バルブブロック体214に昇降油圧配管438を介して昇降用油圧シリンダ4を接続させ、昇降バルブ213の切換操作にて昇降用油圧シリンダ4を作動させるように構成している。
図1、図7〜図12、図16〜図19に示す如く、刈刃15を有する刈取部3と、扱胴21を有する脱穀部9と、走行部としての履帯2及びエンジン7を設ける走行機体1と、複数の操作レバー43〜48を配置する操縦コラム41を備え、履帯2を駆動するためのミッションケース63に油圧無段変速機64を設けるコンバインにおいて、油圧無段変速機64の作動油を冷却するオイルクーラー217と冷却クーラーファン218を備える構造であって、エンジン7と油圧無段変速機64間の伝達径路に中間軸132を設け、走行機体1の左右向きに中間軸132を延設させ、中間軸132に冷却クーラーファン218を取付けている。したがって、中間軸132の取付け位置を上下または左右方向に容易に選定できるから、オイルクーラー217に対応させて冷却クーラーファン218の取付け
位置を簡単に決定でき、小型軽量構造のコンバインに搭載する小出力のエンジン7に適した履帯2駆動構造を容易に構成できる。例えば、左右方向に向けた横置き姿勢に脱穀部9を走行機体1上面に搭載し、脱穀部9後方にエンジン7と籾受部6を配置すると共に、走行機体1の後部にうち、エンジン7後側方の左右後部に籾受部6と操縦コラム41を並設して、小型軽量構造のコンバインを構成できる。
図7〜図12、図16〜図19に示す如く、油圧無段変速機64にエンジン7の動力を伝達するためのプーリ133,134とベルト67a,67bを備える構造であって、プーリ133,134が軸支される中間軸132の機外側端部に冷却クーラーファン218を設け、冷却クーラーファン218の機外側方にオイルクーラー217を配置している。したがって、ミッションケース63上部の油圧無段変速機64にオイルクーラー217を近接させてコンパクトに支持できると共に、エンジン7後方の塵が少ない空気を冷却風としてオイルクーラー217に供給できる。
図7〜図12、図16〜図19に示す如く、エンジン7後方の走行機体1にミッションケース63を配置させ、エンジン7とミッションケース63の油圧無段変速機64間の伝達径路に中間軸132を設け、走行機体1の左右向きに中間軸132を延設させ、中間軸132に冷却クーラーファン218を取付けると共に、ミッションケース63を挟んで操縦コラム41と反対側に冷却クーラーファン218を配置している。したがって、油圧無段変速機64とオイルクーラー217と冷却クーラーファン218を備えて、高走行性能の走行部(履帯2)駆動構造を容易に構成できるものでありながら、小型軽量構造のコンバインを容易に構成できる。左右方向に向けた横置き姿勢に脱穀部9を走行機体1上面に搭載し、脱穀部9後方にエンジン7と籾受部6を配置できると共に、エンジン7後側方の左右後部に籾受部6と操縦コラム41を並設できる。
図7〜図12、図16〜図19に示す如く、左右方向に向けた横置き姿勢に脱穀部9を走行機体1上面に搭載し、脱穀部9後方にエンジン7と籾受部6を配置すると共に、走行機体1の後部にうち、エンジン7後側方の左右後部に籾受部6と操縦コラム41を並設する構造であって、籾受部6の籾受支柱としての支柱フレーム体39にオイルクーラー217を取付け、支柱フレーム体39を介してエンジン7の後側方に、オイルクーラー217と冷却クーラーファン218を配置している。したがって、オイルクーラー217の支持部材を特別に設置することなく、支柱フレーム体39を利用してオイルクーラー217を高剛性に支持でき、オイルクーラー217取付け部品数を削減して、低コストに構成できる。
次いで、図20〜図21は、図12、図16〜図19に示す油圧回路構造の変形例を示している。図12、図16〜図19に示す油圧回路構造では、バルブブロック体214の戻り油圧配管436を介して、作動油タンク55内部の作動油がオイルクーラー217に循環移動して冷却されるように構成している。これに対して、図20に示す油圧回路構造は、油圧無段変速機64の戻り油圧配管435を介して、作動油タンク55内部の作動油がオイルクーラー217に循環移動して冷却されるように構成している。また、図21に示す油圧回路構造は、油圧無段変速機64の戻り油圧配管435と、バルブブロック体214の戻り油圧配管436の両方を介して、作動油タンク55内部の作動油がオイルクーラー217に循環移動して冷却されるように構成している。
図1〜図12、図16〜図19に示す如く、刈刃15を有する刈取部3と、扱胴21を有する脱穀部9と、走行部としての履帯2及びエンジン7を設ける走行機体1と、履帯2を駆動するミッションケース63及び油圧無段変速機64を備え、刈取部3から脱穀部9に穀稈を供給するコンバインにおいて、走行機体1を上下多段構造に形成する下部機体フレーム1aと上部機体フレーム1bの間に、ミッションケース63上部の油圧無段変速機64に作動油を供給するための作動油タンク55を取付けている。したがって、作動油タンク55の大きさを制限することなく、エンジン7よりも低い位置で冷却効率が良好な作動油タンク55設置場所を容易に確保できる。小型軽量構造のコンバインに搭載する小出力のエンジン7に適した走行部(履帯2)駆動構造を容易に構成できる。例えば、左右方向に向けた横置き姿勢に脱穀部9を走行機体1上面に搭載し、脱穀部9後方にエンジン7と籾受部6を配置すると共に、走行機体1の後部にうち、エンジン7後側方の左右後部に籾受部6と操縦コラム41を並設して、小型軽量構造のコンバインを構成できる。
図4〜図12、図16〜図19に示す如く、左右方向に向けた横置き姿勢に脱穀部9を走行機体1上面に搭載し、脱穀部9後方にエンジン7と籾受部6を配置する構造であって、上部機体フレーム1bの上面にエンジン7を搭載すると共に、上部機体フレーム1b前端側よりも前方に下部機体フレーム1a前端側を延設し、下部機体フレーム1aの前端側上面に脱穀部9を載置させ、脱穀部9後側とエンジン7前側間の下方に作動油タンク55を配置させている。したがって、横置き姿勢の脱穀部9後方にエンジン7を近接させてコンパクトに機体を構成しても、脱穀部9とエンジン7間の下方に、大きな容量の前記作動油タンク55を簡単に支持できる。
図4〜図12、図16〜図19に示す如く、走行機体1後部にミッションケース63と籾受部6と操縦コラム41を並設する構造であって、ミッションケース63上部の油圧無段変速機64と、走行機体1前部の作動油タンク55を油圧接続する油圧配管433〜437を、下部機体フレーム1aと上部機体フレーム1bの間に延設している。したがって、下部機体フレーム1aと上部機体フレーム1bにて油圧配管433〜437の上下側を囲み、作動油タンク55にて油圧配管433〜437の前側を囲み、油圧配管433〜437を容易に保護できる。エンジン7よりも低い位置(上部機体フレーム1b下面側)に作動油タンク55と油圧配管433〜437の設置スペースを確保でき、エンジン7前方の作動油タンク55と、エンジン7後方の油圧無段変速機64を接続させる油圧配管433〜437構造を簡略化でき、油圧配管433〜437の組付け作業性などを向上できる。
図4〜図12、図16〜図19に示す如く、左右方向に向けた横置き姿勢に脱穀部9を走行機体1上面に搭載し、脱穀部9後方に作動油タンク55を配置し、下部機体フレーム1aと上部機体フレーム1bに作動油タンク55を締結固定すると共に、作動油タンク55内部にオイルフィルタ431,432などを内蔵し、作動油タンク55の上面に注油キャップ424を設け、作動油タンク55の前面下部にドレンキャップ425を設けている。したがって、脱穀部9後部とエンジン7前部間に、作動油タンク55に関連した作業空間を容易に確保できる。例えば、注油キャップ424またはドレンキャップ425の開閉操作などを簡単に実行できる。作動油タンク55の着脱作業または油圧配管433〜437の接続作業または作動油タンク55への作動油の補充作業などを簡略化でき、オイルフィルタ431,432の交換などのメンテナンスなども容易に実行できる。
図4〜図12、図16〜図19に示す如く、走行機体1後部にミッションケース63を配置すると共に、左右方向に向けた横置き姿勢に脱穀部9を走行機体1上面に搭載し、脱穀部9後方にエンジン7と籾受部6を配置し、エンジン7後側方の左右後部に籾受部6と操縦コラム41を並設する構造であって、エンジン7と油圧無段変速機64間の伝達径路に中間軸132を設け、油圧無段変速機64の作動油を冷却するオイルクーラー217と冷却クーラーファン218を前記中間軸132の近傍に設置している。したがって、油圧無段変速機64とオイルクーラー217と冷却クーラーファン218を備えて、高走行性能の走行部(履帯2)駆動構造を容易に構成できるものでありながら、小型軽量構造のコンバインを容易に構成できる。
次いで、図22〜図28は、図7〜図14に示す走行駆動構造の変形例を示している。図22〜図28に示す如く、エンジン7と油圧無段変速機64間の伝達径路に逆転ケース441を設け、中間フレーム131を介して走行機体1に逆転ケース441を立設させる。走行機体1の左右向きに延設させる中間軸としての逆転入力軸132aと逆転出力軸132bを逆転ケース441に設ける。逆転入力軸132aと逆転出力軸132bは逆転ギヤ群442を介して連動させている。機外側方に突出させる逆転出力軸132bの左側端部に冷却クーラーファン218を取付け、オイルクーラー217に循環移動させる作動油を冷却クーラーファン218にて冷却するように構成している。
また、エンジン7とミッションケース63間の伝達径路を前側走行出力ベルト67aと後側走行出力ベルト67bにて形成し、前後方向に延設させる前側走行出力ベルト67aに対して、前後方向に延設させる後側走行出力ベルト67bを機体中央寄りに偏移させると共に、前側走行出力ベルト67aの後端部を支持させる左側中間プーリ133と、後側走行出力ベルト67bの前端部を支持させる右側中間プーリ134を、走行機体1に立設させる逆転ケース441に配置する。逆転ケース441の取付け位置の調節などにより、各中間プーリ133,134の取付け位置を上下または左右方向に選定可能に構成している。
図22〜図28に示す如く、エンジン7と油圧無段変速機64間の伝達径路に逆転ケース441を設け、走行機体1に逆転ケース441を立設させると共に、走行機体1の左右向きに延設させる中間軸としての逆転入力軸132aと逆転出力軸132bを逆転ケース441に設け、逆転出力軸132bに冷却クーラーファン218を取付けたものであるから、油圧無段変速機64の仕様に応じて逆転ケース441を設置するだけで、エンジン7またはミッションケース63などを共用でき、仕様の異なる油圧無段変速機64を容易に搭載できる。希望する走行性能に適した走行部(履帯2)駆動構造を容易に構成できる。
図22〜図28に示す如く、エンジン7とミッションケース63間の伝達径路を前側走行出力ベルト67aと後側走行出力ベルト67bにて形成し、前後方向に延設させる前側走行出力ベルト67aに対して、前後方向に延設させる後側走行出力ベルト67bを機体中央寄りに偏移させると共に、前側走行出力ベルト67aの後端部を支持させる左側中間プーリ133と、後側走行出力ベルト67bの前端部を支持させる右側中間プーリ134を、走行機体1に立設させる逆転ケース441に配置したものであるから、各中間プーリ133,134の取付け位置を上下または左右方向に容易に選定できる。例えば、走行機体1の高い中央位置にエンジン7を配置できる一方、走行機体1の低い右寄り位置にミッションケース63を配置でき、エンジン7及びミッションケース63設置部の前後幅または左右幅をコンパクトに構成できる。即ち、コンバイン各部の駆動構造を簡略化して、コンバイン全体の小型化を簡単に達成でき、穀稈の刈取幅を確保しながら機体全体をコンパクトに構成可能な軽量構造の小型コンバインを低コストに構成できる。
次いで、図29〜図35は、図16〜図19に示す作動油タンクの構成及び支持の変形例を示している。図29〜図35において、上記実施形態と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付されている。図29〜図35に示す如く、上部機体フレーム1b前端部(脱穀部9後面)と下部機体フレーム1aの間に作動油タンク555が配置されている。下部機体フレーム1aにタンク取付け台421が一体的に固定され、タンク取付け台421に下部タンクブラケット体556を介して作動油タンク555下部が固定されている。
下部機体フレーム1a前寄り部位と上部機体フレーム1b前端部を連結する左右一対の支柱フレーム(縦機体フレーム)1c,1cの中途部同士を連結する上部タンク取付台557が設けられている。上部タンク取付台557は端面断面が略C字形である。上部タンク取付台557の両端部は、下部機体フレーム1aと上部機体フレーム1bの間の上部機体フレーム1b寄りの位置で、左右一対の支柱フレーム1c,1cの互いに対向する側面に連結されている。上部タンク取付台557に上部タンクブラケット体558を介して作動油タンク555前面上部が固定されている。
作動油タンク555は、下部機体フレーム1aと支柱フレーム1cに締結固定され、走行機体1を上下多段構造に形成する下部機体フレーム1aと上部機体フレーム1bと支柱フレーム1cの間に取り付けられている。作動油タンク555の上面に注油キャップ424が設けられ、作動油タンク555の下面中央部にドレンキャップ425が設けられている。この実施形態の作動油タンク555は、図16〜図19等を参照して説明した作動油タンク55と同様の位置に配置されている。したがって、この実施形態は、作動油タンク555の配置に関して、上記実施形態における作動油タンク55の配置に関する作用及び効果と同様の作用及び効果が得られる。
図32〜図35に示すように、作動油タンク555には、油圧無段変速機64に油圧接続される第1作動油供給口559と、刈取部3を昇降動させる昇降用油圧シリンダ4に油圧接続される第2作動油供給口560が作動油タンク555の前後側面に振り分けて配置されている。図12、図20及び図21も参照して説明すると、第1作動油供給口559は、供給油圧配管433を介して油圧無段変速機64のチャージポンプ212に油圧接続される。第2作動油供給口560は、供給油圧配管434、作業ポンプ215、昇降バルブ213及び昇降油圧配管438を介して、昇降用油圧シリンダ4に油圧接続される。なお、この実施形態における油圧回路構成は、図20に示された構成と同様であるが、図12又は図21と同様の構成に変更可能であることは言うまでもない。
作動油タンク555よりも後方側に配置される油圧無段変速機64に油圧接続される第1作動油供給口559は作動油タンク555の後側面に配置されている。また、作動油タンク555よりも前方側に配置される昇降用油圧シリンダ4に油圧接続される第2作動油供給口560は作動油タンク555の前側面に配置されている。つまり、作動油タンク555の側面のうち、第1作動油供給口559は油圧接続対象である油圧無段変速機64に対向する後側面に設けられ、第2作動油供給口560は油圧接続対象である昇降用油圧シリンダ4に対向する前側面に設けられている。このように、作動油供給口559,560の配置は、供給油圧配管433,434を作動油供給口559,560のいずれに接続するかを識別しやすい構成になっており、作動油供給口559,560への供給油圧配管433,434の誤った接続を防止できる。
図29〜図35に示すように、作動油タンク555には、一対のオイルフィルタユニット561,562が作動油タンク555の前後側面に振り分けて装着されている。オイルフィルタユニット561,562は、作動油供給口559又は560が配置され且つ作動油タンク555の側面に着脱自在に取り付けられるフランジ部材563と、作動油タンク555内に配置されるオイルフィルタ431又は432を備えている。この実施形態では、オイルフィルタユニット561,562は、互いに同じ構成を有し、作動油供給口559又は560が配置されるフランジ部材563にオイルフィルタ431又は432がフィルタ固定部材564,565,566及びバネ部材567によって固定される構成を有する。
フランジ部材563は中央部に貫通孔を有する略円盤形状を有し、その貫通孔に作動油供給口559又は560が固着されている。作動油供給口559,560はフランジ部材563の一表面に突設配置されている。フィルタ固定部材564,565は、断面端面が略C字形であり、フランジ部材563の作動油供給口559又は560の配置面とは反対側の面に一端が固着されて突設配置されている。フィルタ固定部材564,565は、互いに凹部が向き合うようにフランジ部材563中央部を挟んで上下方向に対向配置されている。オイルフィルタユニット561,562において、略円筒形のオイルフィルタ431,432は両フィルタ固定部材564,565の間に配置される。
フィルタ固定部材566は、断面端面が凸形であり、内面凹部をフランジ部材563側に向けて、フィルタ固定部材564,565の先端部に2本のフィルタ固定用ボルト568により固定される。フィルタ固定部材566とオイルフィルタ431,432の間に圧縮コイルバネからなるバネ部材567が配置されている。オイルフィルタ431,432はバネ部材567の復元力によってフランジ部材563に押し付けられている。
オイルフィルタユニット561,562は、それぞれ3本のオイルフィルタユニット固定用ボルト569により、作動油タンク555の後側面又は前側面に着脱可能に装着される。オイルフィルタ431,432の交換の際には、作動油タンク555からオイルフィルタユニット561,562を取り外す作業が行われる。この実施形態では、図29に示すように、両オイルフィルタユニット561,562は、走行部を構成する履帯2よりも高い位置で作動油タンク555に着脱可能に装着されている。したがって、作業者は、走行機体1の側方から履帯2の上方を介してオイルフィルタユニット561,562にアクセスできるなど、オイルフィルタユニット561,562の着脱作業を走行機体1の側方から容易に行うことができ、メンテナンス性が向上する。
図32〜図35に示すように、オイルフィルタユニット561は作動油タンク555の後側面の下部右寄り部位に取り付けられる。また、オイルフィルタユニット562は作動油タンク555の前側面の下部左寄り部位に取り付けられる。作動油タンク555内において、オイルフィルタユニット561,562は、端面凸形の両フィルタ固定部材566,566の段差部566a,566a(図33参照)が互いに嵌り合うように配置され、前後方向及び左右方向で一部重複して作動油タンク555底部近傍に並設されている。また、オイルフィルタユニット561,562の両フランジ部材563,563は、前後方向で一部重複して配置されている。このように、作動油タンク555にオイルフィルタユニット561,562がコンパクトに配置されており、作動油タンク555内に同じ高さ位置で2つのオイルフィルタ431,432が配置される構成でありながら作動油タンク555をコンパクトに構成できる。
また、図29〜図35に示すように、作動油タンク555の後側面の上部寄り部位には、作動油戻り口570,571が同じ高さ位置で左右に並設されている。作動油戻り口570には戻り油圧配管437の一端が接続され、作動油戻り口570は戻り油圧配管437、オイルクーラー217及び戻り油圧配管435を介して油圧無段変速機64に油圧接続される。作動油戻り口571には戻り油圧配管436の一端が接続され、作動油戻り口571は戻り油圧配管436を介してバルブブロック体214に油圧接続される。
図32〜図35に示すように、作動油タンク555内部には、作動油跳ね上がり防止板572,573及び作動油拡散板574が配置されている。作動油跳ね上がり防止板572は、作動油タンク555の後側面内壁から前側面へ向けて突設されている。作動油跳ね上がり防止板573及び作動油拡散板574は作動油タンク555の前側面内壁から後側面へ向けて突設されている。作動油跳ね上がり防止板572,573は同じ高さ位置に配置され、作動油戻り口570,571よりも高い高さ位置に配置されている。作動油拡散板574は作動油戻り口570,571よりも低い高さ位置に配置されている。また、作動油タンク555の後側面の上部寄り部位には、作動油跳ね上がり防止板572,573よりも高い高さ位置に、作動油タンク555内の油面を確認するための油面確認用キャップ575が配置されている。
作動油跳ね上がり防止板572は断面端面がL字形の部材により形成され、作動油跳ね上がり防止板573及び作動油拡散板574は断面端面が略U字形の1つの部材により形成されている。作動油跳ね上がり防止板572,573は、作動油戻り口570,571から作動油タンク555内に戻される作動油が作動油タンク555で作動油タンク555の上面側へ跳ね上がるのを防止する。また、作動油拡散板574は、作動油戻り口570,571から作動油タンク555内に戻される作動油を左右方向へ拡散させる機能を有する。
図29〜図31に示すように、供給油圧配管433,434及び戻り油圧配管436,437は、下部機体フレーム1aと上部機体フレーム1bと支柱フレーム1cの間に延設されている。下部機体フレーム1a、上部機体フレーム1b及び支柱フレーム1cにて各油圧配管433,434,436,437の上下左右を囲み、これらの油圧配管を保護するように構成している。なお、供給油圧配管434は、後方側から作動油タンク555の上方を通って作動油タンク555前側面の第2作動油供給口560に接続されているが、支柱フレーム1cよりも低い高さ位置を通っているので、支柱フレーム1cやエンジン7、脱穀部9等(図1〜図6等参照)により保護されている。
この実施形態は、図29〜図33に示すように、作動油タンク555が、下部機体フレーム1aと、下部機体フレーム1aと上部機体フレーム1bを連結する支柱フレーム1c(縦機体フレーム)に支持されているようにしたものであるから、走行機体1を構成する下部機体フレーム1a及び支柱フレーム1cに作動油タンク555を強固に支持可能であると共に、下部機体フレーム1a、上部機体フレーム1b及び支柱フレーム1cで囲まれた空間に作動油タンク555を配置でき、作動油タンク555の脱落や異物衝突による損傷を防止して安全性を向上できる。
また、この実施形態は、油圧無段変速機64に油圧接続される第1作動油供給口559と、刈取部3を昇降動させる昇降用油圧シリンダ4に油圧接続される第2作動油供給口560が、作動油タンク555の前後側面に振り分けて配置されているようにしたものであるから、油圧無段変速機64に接続される供給油圧配管433と昇降用油圧シリンダ4に接続される供給油圧配管434を作動油タンク555の前後側面に振り分けて作動油タンク555に接続でき、作動油タンク555の前後から2本の供給油圧配管433,434のうちいずれかにアクセスできるので、供給油圧配管433,434の取付け作業や取外し作業などのメンテナンス性が向上する。
また、この実施形態は、作動油供給口559又は560が配置され且つ作動油タンク555の側面に着脱自在に取り付けられるフランジ部材563と、作動油タンク555内に配置されるオイルフィルタ431又は432を備えた一対のオイルフィルタユニット561,562が、作動油タンク555の前後側面に振り分けて装着されるようにしたものであるから、作動油タンク555の前後から2つのオイルフィルタユニット561,562のうちいずれかにアクセスできるので、オイルフィルタユニット561,562の取付け及び取外し作業などのメンテナンス性が向上する。さらに、一対のオイルフィルタユニット561,562は作動油タンク555内において前後方向及び左右方向で一部重複して並設されているので、両オイルフィルタユニット561,562を同じ高さ位置に配置できるものでありながら、平面視で両オイルフィルタユニット561,562の配置領域を小さくでき、ひいては作動油タンク555をコンパクトにできる。また、両オイルフィルタユニット561,562は、走行部を構成する履帯2よりも高い位置で作動油タンク555に装着されているので、オイルフィルタユニット561,562の着脱作業を走行機体1の側方から容易に行うことができ、メンテナンス性が向上する。