JP2017163650A - 嵌合構造及び被嵌合部材の製造方法 - Google Patents

嵌合構造及び被嵌合部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低コスト化や製造効率の向上を図った上で、磁気特性に優れた嵌合構造及び被嵌合部材の製造方法を提供する。
【解決手段】磁性を有するプレート22が軸方向に積層されるとともに、径方向の外側を向く嵌合面を有するステータコア11と、ステータコア11が嵌合されるとともに、ステータコア11の嵌合面に径方向で対向する被嵌合面を有するホルダ12と、を有し、ホルダ12の被嵌合面には、径方向の外側に向けて膨出するとともに、ステータコア11の嵌合面に接触する凸部55が形成され、凸部55は、径方向におけるホルダ12を間に挟んでステータコア11とは反対側に曲率中心Cを有する円弧状に形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、嵌合構造及び被嵌合部材の製造方法に関するものである。
車両駆動や回生発電等に用いられる回転電機のステータは、筒状のステータコアと、ステータコアが圧入されたホルダと、を有している。ステータコアは、磁性を有するプレート(電磁鋼板)がステータコアの軸方向に積層されて構成されている。
ところで、上述したステータにおいて、ステータコアの外周面と、ホルダの内周面と、の接触面積が大きいと、圧入後にステータコアに作用する残留応力を軽減することが難しい。その結果、回転電機の磁気特性(鉄損)に影響が及ぶおそれがある。
そこで、例えば下記特許文献1では、ホルダの内周面に、ステータコアの外周面に接触する凸部を形成する構成が開示されている。
この構成によれば、凸部の塑性変形を伴った状態で、ステータコアがホルダ内に圧入されるので、ステータコアをホルダ内に強固に固定できる。また、ステータコアの外周面と、ホルダの凸部と、の接触部分のみで荷重を受けているので、圧入後の残留応力が軽減され易くなり、磁気特性への影響を抑えることができる。
国際公開第2012/157384号
ここで、上述した特許文献1の構成において、凸部は比較的先鋭な形状(頂角が例えば60°)に形成されている。この場合、圧入時にステータコアから凸部に作用する衝突力(凸部の表面において、ステータコアとの接触部分に法線方向に作用する入力成分のうち、圧入方向に沿う成分)が大きい。そのため、上述した衝突力によって凸部が破損するおそれがある。仮に凸部が破損すると、凸部の欠片がバリとなって回転電機内に滞留することになる。
また、上述した特許文献1の構成において、凸部は、例えば凸部の表面形状に倣った加工面を有する加工チップにより切削することで形成される。
しかしながら、凸部を先鋭な形状に形成する場合には、加工チップの摩耗が激しく、チップ寿命が短い。そのため、製造コストの増加や、製造効率の低下に繋がるおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低コスト化や製造効率の向上を図った上で、磁気特性に優れた嵌合構造及び被嵌合部材の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、磁性を有するプレート(例えば、実施形態におけるプレート22)が第1方向に積層されるとともに、前記第1方向に交差する第2方向を向く嵌合面を有する嵌合部材(例えば、実施形態におけるステータコア11)と、前記嵌合部材が嵌合されるとともに、前記嵌合面に前記第2方向で対向する被嵌合面を有する被嵌合部材(例えば、実施形態におけるホルダ12)と、を有し、前記被嵌合面には、前記第2方向のうち前記嵌合部材側に向けて膨出するとともに、前記嵌合面に接触する凸部(例えば、実施形態における凸部55)が形成され、前記凸部は、前記第2方向における前記被嵌合部材を間に挟んで前記嵌合部材とは反対側に曲率中心を有する円弧状に形成されている。
請求項2に記載した発明では、前記凸部は、前記第1方向に複数形成され、前記第1方向で隣り合う前記凸部間を接続する接続部(例えば、実施形態における接続部56)は、前記第2方向のうち前記嵌合部材とは反対側に窪む円弧状に形成されている。
請求項3に記載した発明では、前記被嵌合部材のうち、前記被嵌合面よりも前記第1方向における一方側に位置する部分には、前記第1方向における一方側から他方側に向かうに従い前記第2方向で前記嵌合面に接近する方向に延びる誘い込み部(例えば、実施形態における誘い込み部53a)が形成されている。
請求項4に記載した発明では、磁性を有するプレートが第1方向に積層されるとともに、前記第1方向に交差する第2方向を向く嵌合面を有する嵌合部材が嵌合される被嵌合部材の製造方法であって、プレス加工により前記被嵌合部材の外形を形成する外形形成工程と、前記被嵌合部材のうち前記嵌合面に前記第2方向で対向する被嵌合面に、前記第2方向のうち前記嵌合部材に向けて膨出するとともに、前記嵌合面に接触する凸部を形成する凸部形成工程と、前記被嵌合部材のうち、前記被嵌合面よりも前記第1方向における一方側に位置する部分に、前記第1方向における一方側から他方側に向かうに従い前記第2方向で前記嵌合面に接近する方向に延びる誘い込み部を形成する誘い込み部形成工程と、を有している。
請求項1に記載した発明によれば、被嵌合部材の被嵌合面と嵌合部材の嵌合面との全体が接触した状態で圧入される場合に比べて、被嵌合部材の被嵌合面のうち、嵌合部材の被嵌合面との接触面積を低減できる。これにより、嵌合部材の嵌合面と被嵌合部材の被嵌合面との間に作用する面圧を増加し、被嵌合部材内に嵌合部材を強固に保持できる。
また、被嵌合部材の被嵌合面のうち、嵌合部材の嵌合面との接触面積を低減できるので、嵌合後の残留応力が軽減され易くなり、磁気特性への影響を抑えることができる。
特に、凸部が、第2方向における被嵌合部材を間に挟んで嵌合部材とは反対側に曲率中心を有する円弧状に形成されているため、凸部の表面が緩やかに湾曲することになる。この場合、嵌合部材を被嵌合部材に第1方向で圧入等する際に、凸部に作用する衝突力(凸部の表面のうち、嵌合部材との接触部分に法線方向に作用する入力成分のうち、第1方向に沿う成分)を低減できる。これにより、嵌合時における凸部の破損等を抑制でき、凸部の破片がバリとなって回転電機内に滞留するのを抑制できる。また、凸部への衝突力を低減できるので、嵌合時における設備の振動を抑制でき、組付性を向上させることができる。
また、凸部の表面を緩やかに形成することで、凸部を形成する際の加工チップの摩耗を軽減できる。そのため、加工チップの長寿命化を実現し、低コスト化や製造効率の向上を図ることができる。
請求項2に記載した発明によれば、第1方向で隣り合う凸部間を接続する接続部が、第2方向のうち嵌合部材とは反対側に窪む円弧状に形成されているため、加工チップの摩耗をさらに軽減できる。
請求項3に記載した発明によれば、被嵌合部材の被嵌合面に対して軸方向の一方端部に、第1方向における一方側から他方側に向かうに従い第2方向で嵌合面に接近する方向に延びる誘い込み部が形成されているため、第1方向における一方側から嵌合部材を被嵌合部材に嵌合する場合に、嵌合部材を被嵌合面にスムーズに案内することができる。
請求項4に記載した発明によれば、外形形成工程とは別工程で誘い込み部を形成することで、プレス加工による外形形成工程での加工ばらつきを低減できる。そのため、誘い込み部の第1方向位置を全周に亘って同等の位置に設定できる。これにより、嵌合時において、誘い込み部の全周に亘って嵌合部材を接触させることができるので、初期荷重を低減できる。その結果、バリの発生や嵌合部材の変形等を抑制し、組付性の更なる向上を図ることができる。
第1実施形態に係るステータの分解斜視図である。 第1実施形態に係るステータの部分平面図である。 図1のIII−III線に相当する断面図である。 図3のIV部に相当する断面図である。 図3のV部に相当する拡大断面図である。 ホルダ形成工程を説明するための工程図であって、図5に相当する断面図である。 圧入工程を説明するための説明図(ステータコア及びホルダの断面図)である。 圧入工程を説明するための説明図(ステータコア及びホルダの拡大断面図)である。 ステータコアとホルダとの間の締め代(mm)に対する外バリ量(mg)の関係を示すグラフである。 従来の圧入工程を説明するための説明図である。
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、ステータ1の分解斜視図である。
図1に示すように、本実施形態のステータ(嵌合構造)1は、電気自動車やハイブリッド車両等の車両駆動や回生発電に用いられる回転電機に搭載される。回転電機は、ステータ1の内側に図示しないロータが回転可能に配置されて構成されている。ロータは減速機構等を介して車両の車軸に動力伝達可能に連結されている。
[ステータ]
ステータ1は、筒状のステータコア(嵌合部材)11と、ステータコア11が圧入されたホルダ(被嵌合部材)12と、を備えている。なお、以下の説明では、ステータコア11の軸線Oに沿う方向を単に軸方向(第1方向)といい、軸線Oに直交する方向を径方向(第2方向)といい、軸線O周りの方向を周方向という場合がある。
ステータコア11は、筒状のバックヨーク部13と、バックヨーク部13から径方向の内側に突設されたティース部14と、を有している。
上述したステータコア11は、複数の分割コア21が周方向に配列されることで形成されている。分割コア21は、プレス加工等により打ち抜かれた磁性を有するプレート22(図4参照)が軸方向に積層されて構成されている。本実施形態において、各プレート22は、それぞれ同形同大に形成されている。
図2は、ステータ1の部分平面図である。
図1、図2に示すように、分割コア21は、軸方向から見た平面視でT字状に形成されている。具体的に、各分割コア21は、バックヨーク片24と、バックヨーク片24から径方向の内側に突設された上述したティース部14と、を有している。なお、各分割コア21は、それぞれ同等の構成により形成されている。
バックヨーク片24は、ステータコア11におけるバックヨーク部13のうち、周方向の一部を構成している。バックヨーク片24の外周面(径方向の外側を向く面)は、軸方向から見た平面視で、ホルダ12の内面形状に倣う円弧状に形成されている。
周方向で隣り合う分割コア21同士は、バックヨーク片24における周方向で対向する端面同士を突き合わせた状態で配列されている。なお、図2に示すように、バックヨーク片24には、軸方向で隣り合うプレート22同士を連結するためのカシメ部33が形成されている。カシメ部33の形状や位置、数等は、適宜変更が可能である。但し、カシメ部33は、分割コア21のうち、磁束の通過量の少ない部分(磁気回路影響が少ない部分)に形成することが好ましい。また、軸方向で隣り合うプレート22同士の連結方法は、適宜変更が可能であり、例えば接着剤等を用いて連結しても構わない。
ティース部14は、各分割コア21毎に一つずつ設けられている。ティース部14は、バックヨーク片24の内周面(径方向の内側を向く面)のうち、周方向の中央部から径方向の内側に向けて突設されている。図1に示すように、ティース部14には、図示しないインシュレータを介してコイル25が装着される。なお、一の分割コア21に対して複数のティース部14を設けても構わない。
図3は、図1のIII−III線に相当する断面図である。
図3に示すように、ホルダ12は、ステータコア11と同軸上に配置された筒部41と、筒部41の外周面に形成されたフランジ部42と、を備えている。
筒部41は、ステータコア11を径方向の外側から取り囲んでいる。筒部41は、軸方向の一方側に位置するものほど大径に形成された多段筒状に形成されている。具体的に、筒部41は、軸方向の一方側に位置する大径筒部51と、軸方向の他方側に位置する小径筒部52と、大径筒部51及び小径筒部52間を接続する接続筒部53と、を有している。
大径筒部51は、内径がステータコア11の最大外径部よりも大きくなっている。
接続筒部53は、軸方向の他方側に向かうに従い漸次内径が縮小している。接続筒部53は、ステータコア11をホルダ12内に大径筒部51側から圧入する過程で、ステータコア11を径方向の内側に案内する。
小径筒部52は、ステータコア11を外嵌している。ステータコア11は、外周面(嵌合面)の一部が小径筒部52の内周面(被嵌合面)に接触した状態で、小径筒部52内に圧入されている。なお、小径筒部52の詳細な説明は、後述する。
図1に示すように、フランジ部42は、筒部41(大径筒部51)における軸方向の一方端縁から径方向の外側に張り出している。フランジ部42における周方向の一部には、フランジ部42を軸方向に貫通する貫通孔43が形成されている。貫通孔43内には、ホルダ12を図示しないステータハウジングに固定するための締結部材が挿通される。
図4は、図3のIV部に相当する断面図である。
図4に示すように、小径筒部52の内周面には、径方向の内側に向けて膨出する凸部55が形成されている。凸部55は、周方向から見た側面視で、径方向の内側に向けて凸の円弧状に形成されている。凸部55は、全体が一様な曲率半径で形成されている。この場合、凸部55の曲率中心Cは、ホルダ12に対して径方向の外側に設定されている。したがって、凸部55の表面は、全体に亘って緩やかに湾曲している。また、凸部55は、小径筒部52の内周面において、周方向の全体に亘って連続的に形成されている。なお、凸部55は、表面の全体が緩やかに湾曲していれば、曲率半径の異なる複数の円弧が連なっていても構わない。
上述した凸部55は、小径筒部52の内周面のうち、少なくともステータコア11と径方向で対向する部分に軸方向に複数形成されている。軸方向で隣り合う凸部55同士の接続部56は、ホルダ12に対して径方向の内側に曲率中心を有し、径方向の内側に向けて窪む円弧状に形成されている。これにより、軸方向で隣り合う凸部55同士が滑らかに連なっている。なお、接続部56の曲率半径は、凸部55の曲率半径よりも小さくなっている。また、周方向から見た側面視における接続部56の形状は適宜変更が可能である。例えば、接続部56は、軸方向で隣り合う凸部55同士を、直線状に接続しても構わない。
ここで、凸部55の数(ピッチ)は、ステータコア11と小径筒部52との間の締め代が最大のときに、小径筒部52の内周面とステータコア11の外周面との間に作用する最大面圧によって、ステータコア11(プレート22)の外周面が降伏しない(塑性変形しない)範囲で設定されている。
また、凸部55における径方向の高さ(接続部56における径方向の外端と、凸部55における径方向の内端と、の間の径方向寸法)は、ステータコア11の公差や、ステータコア11及びホルダ12間の締め代等の積算値よりも大きくなっている。したがって、本実施形態の小径筒部52は、最小内径部(凸部55における径方向の内端)がステータコア11の最大外径部よりも小さく、最大内径部(接続部56における径方向の外端)がステータコア11の最大外径部よりも大きくなっている。そのため、ステータコア11は、小径筒部52の内周面のうち、接続部56以外の何れかの部分に接触した状態で、小径筒部52内に圧入されている。なお、ステータコア11の公差とは、輪郭度や各プレート22のカシメ部33のばらつき等を考慮して設定される。
図5は、図3のV部に相当する拡大断面図である。
図5に示すように、上述した凸部55のうち、軸方向の一方端部に位置する凸部55aは、小径筒部52と上述した接続筒部53との境界部分を跨るように形成されている。この場合、凸部55aのうち、上述した境界部分に対して接続筒部53側に位置する部分は、接続筒部53の誘い込み部53aを構成している。本実施形態において、誘い込み部53aは、接続筒部53の内周面のうち、軸方向の他方端部に形成されている。但し、接続筒部53における軸方向の全体に亘って誘い込み部53aを形成しても構わない。また、誘い込み部53aと凸部55aとの曲率半径をそれぞれ異ならせても構わない。
[ステータの製造方法]
次に、上述したステータ1の製造方法について説明する。
本実施形態のステータ1の製造方法は、ステータコア形成工程と、ホルダ形成工程と、圧入工程と、を主に有している。
ステータコア形成工程では、複数の分割コア21を周方向に配列し、筒状のステータコア11とする。このとき、周方向で隣り合う分割コア21同士は、バックヨーク片24における周方向で対向する端面同士を突き合わせた状態で配列する。
図6は、ホルダ形成工程を説明するための工程図であって、図5に相当する断面図である。
図6に示すように、ホルダ形成工程は、外形形成工程と、内周面加工工程と、を有している。
外形形成工程では、ホルダ12の母材に対してプレス加工を施し、ホルダ12の外形(筒部41及びフランジ部42)を成形する(図6中の実線部分)。
続いて、筒部41の内周面に誘い込み部53a、凸部55及び接続部56を形成する内周面加工工程(凸部形成工程及び誘い込み部形成工程)を行う。内周面加工工程では、凸部55及び接続部56の表面形状に倣った加工面80aを有する加工チップ80を用い、筒部41の内周面(プレス面)に対して切削加工を行う。この際、接続筒部53における小径筒部52との境界部分を跨ぐように、加工チップ80を押し当てることで、凸部55aに連なる誘い込み部53aが凸部55及び接続部56と同一工程で形成される。なお、凸部55と誘い込み部53aとを別工程で形成しても構わない。
以上により、ホルダ形成工程が終了する。
図7は、圧入工程を説明するための説明図(ステータコア11及びホルダ12の断面図)である。
図7に示すように、圧入工程では、まずステータコア形成工程で形成されたステータコア11をステージ71上にセットする。この状態で、ホルダ形成工程で形成されたホルダ12内にステータコア11を圧入する。具体的には、ホルダ12のフランジ部42をステータコア11に軸方向で対向させた状態で、ホルダ12及びステータコア11を軸方向に接近移動させる。すると、ステータコア11は、ホルダ12の大径筒部51側から筒部41内に進入する。その後、ステータコア11は、ホルダ12の誘い込み部53aに案内されながら、小径筒部52内に進入する。この際、ステータコア11は、小径筒部52の内周面のうち、接続部56以外の部分に摺接しながら、小径筒部52内に圧入されていく。
以上により、ステータ1が完成する。
図8は、圧入工程を説明するための説明図(ステータコア11及びホルダ12の拡大断面図)である。
図8に示すように、上述した圧入工程において、ステータコア11とホルダ12とが軸方向に接近移動する際、小径筒部52の内周面には、凸部55の表面の法線方向に向けて圧入荷重Fがステータコア11から作用する。上述した圧入荷重Fの分力のうち、軸方向(圧入方向)に沿う成分は、凸部55への衝突力F1(せん断力)として作用する。一方、圧入荷重の分力のうち、径方向に沿う成分は、ホルダ12を押し広げる力F2として作用する。
ここで、本実施形態では、小径筒部52の内周面に、径方向の内側に膨出するとともに、ステータコア11の外周面に接触する凸部55が形成された構成とした。
この構成によれば、ホルダ12の内周面とステータコア11の外周面との全体が接触した状態で圧入される場合に比べて、ホルダ12の内周面のうち、ステータコア11の外周面との接触面積を低減できる。これにより、ステータコア11の外周面とホルダ12の内周面との間に作用する面圧を増加し、ホルダ12内にステータコア11を強固に保持できる。
また、ホルダ12の内周面のうち、ステータコア11の外周面との接触面積を低減できるので、圧入後の残留応力が軽減され易くなり、磁気特性への影響を抑えることができる。
特に、本実施形態では、凸部55の曲率中心をホルダ12に対して径方向の外側に設定する構成とした。
この構成によれば、凸部55の表面が緩やかに湾曲することになるため、上述した圧入荷重Fの分力のうち凸部55への衝突力F1を低減できる。これにより、圧入時における凸部55の破損等を抑制でき、凸部55の破片がバリとなって回転電機内に滞留するのを抑制できる。また、凸部55への衝突力を低減できるので、圧入時における設備の振動を抑制でき、組付性を向上させることができる。
また、凸部55の表面を緩やかに形成することで、凸部55を形成する際の加工チップの摩耗を軽減できる。そのため、加工チップの長寿命化を実現し、低コスト化や製造効率の向上を図ることができる。
本実施形態では、軸方向で隣り合う凸部55間を接続する接続部56が径方向の内側に向けて窪む円弧状に形成されているため、加工チップの摩耗をさらに軽減できる。
本実施形態では、ホルダ12(筒部41)における軸方向の一方端部に他方側に向かうに従い内径が漸次縮小する誘い込み部53aが形成されているため、圧入工程において、ステータコア11を小径筒部52内にスムーズに案内することができる。
しかも、本実施形態では、内周面加工工程において誘い込み部53aを形成することで、プレス加工等による外形形成工程での加工ばらつきを低減できる。そのため、誘い込み部53aの軸方向位置を全周に亘って同等の位置に設定できる。これにより、圧入時において、誘い込み部53aの全周に亘ってステータコア11を接触させることができるので、初期荷重を低減できる。その結果、バリの発生やステータコア11の変形等を抑制し、組付性の更なる向上を図ることができる。
ここで、本願発明者は、ステータコア11とホルダ12との間の締め代(mm)に対する外バリ量(mg)を測定する試験を行った。外バリ量とは、圧入工程時において、凸部55の破損等によって発生するバリの量である。また、本試験では、本実施形態で説明した凸部55を実施例とし、図10に示す凸部155を比較例として用いた。すなわち、図10に示す凸部155は、径方向の内側に向けて凸の頂部155aと、頂部155aに対して軸方向の両側に連なり、径方向の外側に向かうに従い軸方向の外側に延びる一対の傾斜部155bと、を有している。そして、凸部155のうち、各傾斜部155bのなす角度は、例えば60°程度に形成されている。なお、図10において、凸部155以外の部分の構成は、本実施形態と同様の構成とする。
図9は、ステータコア11とホルダ12との間の締め代(mm)に対する外バリ量(mg)の関係を示すグラフである。
図9に示すように、実施例では、実施例及び比較例で同等の締め代に設定した場合に、比較例に比べて外バリ量を低減できていることが分かる。これは、図10に示すように、比較例の凸部155は、比較的先鋭な形状に形成されているため、圧入荷重Fの分力のうち凸部155への衝突力F1が大きく、凸部155が破損し易い。
一方、図8に示すように、実施例の凸部55は、表面が緩やかに湾曲しているため、凸部55への衝突力F1が小さい。その結果、凸部55の破損等を抑制できたものと考えられる。
また、図9に示すように、比較例では、締め代を増加することで、外バリ量が多くなっている。
これに対して、実施例では、上述したように凸部55の破損等を抑制できることから、締め代を増加することによる外バリ量の大きな変化は見られなかった。
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、嵌合部材と被嵌合部材との嵌合構造として、ステータコア11とホルダ12との嵌合構造を例にして説明したが、これに限られない。例えば、ロータと回転軸との嵌合構造に本発明を適用しても構わない。
上述した実施形態では、ステータコア11を圧入によってホルダ12内に嵌合する構成について説明したが、これに限らず、焼嵌め等によって嵌合しても構わない。
上述した実施形態では、凸部55が全周に亘って形成された場合について説明したが、これに限らず、周方向に断続的に形成したり、螺旋状に形成したりしても構わない。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
1…ステータ(嵌合構造)
11…ステータコア(嵌合部材)
12…ホルダ(被嵌合部材)
53a…誘い込み部
55…凸部
56…接続部

Claims (4)

  1. 磁性を有するプレートが第1方向に積層されるとともに、前記第1方向に交差する第2方向を向く嵌合面を有する嵌合部材と、
    前記嵌合部材が嵌合されるとともに、前記嵌合面に前記第2方向で対向する被嵌合面を有する被嵌合部材と、を有し、
    前記被嵌合面には、前記第2方向のうち前記嵌合部材側に向けて膨出するとともに、前記嵌合面に接触する凸部が形成され、
    前記凸部は、前記第2方向における前記被嵌合部材を間に挟んで前記嵌合部材とは反対側に曲率中心を有する円弧状に形成されていることを特徴とする嵌合構造。
  2. 前記凸部は、前記第1方向に複数形成され、
    前記第1方向で隣り合う前記凸部間を接続する接続部は、前記第2方向のうち前記嵌合部材とは反対側に窪む円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の嵌合構造。
  3. 前記被嵌合部材のうち、前記被嵌合面よりも前記第1方向における一方側に位置する部分には、前記第1方向における一方側から他方側に向かうに従い前記第2方向で前記嵌合面に接近する方向に延びる誘い込み部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の嵌合構造。
  4. 磁性を有するプレートが第1方向に積層されるとともに、前記第1方向に交差する第2方向を向く嵌合面を有する嵌合部材が嵌合される被嵌合部材の製造方法であって、
    プレス加工により前記被嵌合部材の外形を形成する外形形成工程と、
    前記被嵌合部材のうち前記嵌合面に前記第2方向で対向する被嵌合面に、前記第2方向のうち前記嵌合部材に向けて膨出するとともに、前記嵌合面に接触する凸部を形成する凸部形成工程と、
    前記被嵌合部材のうち、前記被嵌合面よりも前記第1方向における一方側に位置する部分に、前記第1方向における一方側から他方側に向かうに従い前記第2方向で前記嵌合面に接近する方向に延びる誘い込み部を形成する誘い込み部形成工程と、を有していることを特徴とする被嵌合部材の製造方法。
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