JP2012217285A - 回転電機のロータおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンドプレート10は、曲げ加工によって形成される弾接部18によってロータコア8を軸方向に押圧し、ロータコア8の軸方向の開きを押さえる。このため、ロータコア8の軸方向の開きを押さえる構造を切削加工によらず提供可能となる。また、コア押圧による応力集中を中間屈曲部18bによって吸収緩和できるため、弾接部18より反ステータ側の根元側片17には、コア押圧による応力集中の影響が及びにくくなる。つまり、ロータ3への衝撃や振動による荷重を集中して受けやすい場所である反ステータ側部に、コア押圧による応力集中が生じることがない。
【選択図】図1
Description
例えば、インナーロータ型のロータでは、高速回転時に、特にロータコアの外周端部(ステータに対向する側の端部)で軸方向の開きが生じる虞がある。
そして、図8のようなエンドプレート101では、ロータコア102の外周端部での軸方向の開きを押さえるためにエンドプレート101がたわむことで生じる応力集中(以下、コア押圧による応力集中と呼ぶ)も、エンドプレート101の内径側端部103に生じる。
このため、エンドプレート101の耐久性や耐衝撃性が低下する虞がある。
請求項1に記載の回転電機のロータは、ステータコイルを有するステータに対向する周面を有するとともに、電磁鋼板が積層されてなるロータコアと、ロータコアの軸方向の両端面に対向して配置されてロータコアを挟むエンドプレートとを備える。
つまり、ロータコアの軸方向の開きを押さえる構造を切削加工によらず提供可能となる。
従って、衝撃荷重を受ける場所とコア押圧による応力集中の生じる場所とを異ならせることができる。
請求項2に記載の回転電機のロータによれば、中間屈曲部は、エンドプレートの径方向断面において、ロータコアの軸方向端面から軸方向外側に離間して突出する離間部を有するように曲げられている。
請求項3に記載の回転電機のロータによれば、根元側片は、少なくとも一部がロータコアの軸方向端面に当接している。
請求項4に記載の回転電機のロータによれば、中間屈曲部は、径方向における断面が円弧状となるように屈曲している。
これによれば、円弧の曲率によって先端側片がロータコアを押圧する力を設定することができる。
請求項5に記載の回転電機のロータによれば、中間屈曲部は、軸方向に貫通する孔を有している。
これによれば、中間屈曲部の剛性を低くすることができるため、中間屈曲部がより変形しやすくなり、中間屈曲部での応力集中を吸収緩和する効果が高まる。
請求項6に記載の回転電機のロータは、ロータコアに固定されて、ロータコアとともに回転する回転体を備える。
なお、回転体は、インナーロータの場合には、例えばロータコアに貫通するシャフトであり、アウターロータの場合には、例えばロータコアの外周に固定されるドラムである。
そして、エンドプレートは軸方向に突出する筒状のボス部を一体的に有し、ボス部が回転体と径方向において嵌合することによって、エンドプレートと回転体とが固定される。これによって、エンドプレートがロータコアに固定される。
エンドプレートとロータコアとの固定方法としては、エンドプレートをリベットによりロータコアに固定することでなされる場合もあるが、本手段ではエンドプレートに一体的に設けられたボス部を回転体に固定することでなされる。
請求項7に記載の回転電機のロータによれば、エンドプレートは、中間屈曲部よりも反ステータ側の少なくとも一部がロータコアに当接した状態でボス部が回転体に巻締めされることによって、回転体に固定されている。
なお、巻締めとは、ボス部の周面が径方向において回転体の周面に対向配置された状態で、ボス部の回転体に対向していない側の周面を、周方向に連続して回転体の周面側に押圧して塑性変形させることによって、回転体にかしめ固定する固定方法である。
巻締めによる嵌合は、例えば、周方向の所定箇所をポンチによってかしめる場合と比べて嵌合強度が高い。
請求項8に記載の回転電機のロータによれば、ボス部は、根元側片の反ステータ側端から軸方向に突出して設けられ、根元側片とボス部との間に根元側片をロータコアの軸方向端面へと押し付ける方向に付勢力を発生させるよう屈曲した根元屈曲部を有する。
これによれば、根元側片によってもロータコアを軸方向へ押圧することができる。
請求項9に記載の回転電機のロータによれば、根元屈曲部は、径方向における断面が円弧状となるように屈曲している。
これによれば、円弧の曲率によって根元側片がロータコアを押圧する力を設定することができる。
請求項10に記載の回転電機のロータの製造方法によれば、中間屈曲部よりも反ステータ側の少なくとも一部をロータコアに当接させ、この当接状態を維持する工程と、当接状態でボス部を回転体に巻締めすることによりエンドプレートを回転体に固定する巻締め工程とを有する。
実施例1の回転電機1を、図1〜図3を用いて説明する。
実施例1の回転電機1は、電動機又は発電機としての機能を有するモータジェネレータであって、回転磁界を発生可能なステータ2、ステータ2の内周側に配されて回転するロータ3とを備える。
なお、本実施例では、円筒上のステータ2の内周にロータ3が配置されるインナーロータ型である(図1参照)。
エンドプレート10は、非磁性材料によって円板状に形成されており、中央にシャフト11が貫通する孔14が設けられている。
以下、図1、図2を参照しながら、エンドプレート10の構成を詳しく説明する。なお、図2に示すエンドプレート10はロータコア8に取り付ける前の無負荷状態のものである。
また、径方向において、ロータ3がステータ2と対向する側をステータ側として説明する。なお、本実施例はインナーロータ型であるため、ステータ側がロータ3の外径側であり、反ステータ側がロータ3の内径側である。
根元側片17は、ボス部16と一体であり、ボス部16の根元からステータ側に延びて設けられている。すなわち、ボス部16は、根元側片17の反ステータ側端から軸方向に突出して設けられている。
また、中間屈曲部18bは、軸方向外側に向かって断面円弧状に膨らむように曲げられることで形成されている。すなわち、ステータ側に向かって、ロータコア8の軸方向端面8aから軸方向外側に浮き上がるように曲げられた後に、円弧を描きながら軸方向内側に向かうように曲げられ、その後、軸方向外側に向かうように曲げ返され、先端側片18aへと繋がっている。円弧状に膨らんだ部分は、軸方向内側の面がロータコア8の軸方向端面8aから離間する部分(離間部18c)となる。
本実施例では、ボス部16をロータコア8に固定されたシャフト11に固定することで、エンドプレート10とロータコア8との固定がなされる。
以下、その方法を図3(a)を用いて具体的に説明する。
これにより、エンドプレート10の軸方向の動き(軸方向外側への浮き上がり)が規制される。
このとき、ボス部16の内周面をシャフト11の外周面に当接している(図3(a)参照)。
すなわち、ボス部16の外周面を、ローラRによって内径側へ押圧しながら、ロータ3を回転させる。シャフト11の外周面には凹部11aが設けられており、ボス部16の外周面を周方向に連続してシャフト11側に押圧することで、ボス部16が凹部11aに入り込むように塑性変形し、ボス部16はシャフト11にかしめ固定される。
この結果、エンドプレート10とロータコア8とが固定される。
本実施例のエンドプレート10は、反ステータ側から順に、ボス部16と、ボス部16のステータ側に延びる根元側片17と、根元側片17のステータ側に設けられてロータコア8の軸方向端面8aに弾接する弾接部18とを有している。
そして、弾接部18には、先端側片18aをロータコア8の軸方向端面8aへと押し付ける方向に付勢力を発生させる中間屈曲部18bが形成されている。
これにより、中間屈曲部18bの弾性によって先端側片18aがロータコア8の軸方向端面8aに弾接し、ロータコア8の軸方向の開きを押えることができる。
つまり、ロータコア8の軸方向の開きを押さえる構造を切削加工によらず提供可能となる。
つまり、ロータ3への衝撃や振動による荷重(以下、衝撃荷重と呼ぶ)を集中して受けやすい場所である反ステータ側部に、コア押圧による応力集中が生じることがない。
従って、衝撃荷重を受ける場所とコア押圧による応力集中の生じる場所とを異ならせることができる。
これによれば、円弧の曲率によって先端側片18aがロータコア8を押圧する力を設定することができる。
また、巻締めによる嵌合は、例えば、周方向の所定箇所をポンチによってかしめる場合と比べて嵌合強度が高い。
実施例2の回転電機1を、実施例1とは異なる点を中心に図4(a)を用いて説明する。図4(a)に示すエンドプレート10はロータコア8に取り付ける前の無負荷状態のものである。
なお、軸方向に垂直な方向(ロータコア8の面方向)に対する根元側片17の傾斜角θ1は、先端側片18aの傾斜角θ2よりも小さい。
実施例3の回転電機1を、実施例1とは異なる点を中心に図4(b)を用いて説明する。図4(b)に示すエンドプレート10はロータコア8に取り付けた状態のものである。
本実施例では、中間屈曲部18bがなだらかに屈曲しており、先端側片18aのステータ側端部のみがロータコア8の軸方向端面8aに当接している。そして、先端側片18aは、ステータ側端部以外が中間屈曲部18bから連続してロータコア8の軸方向端面8aから浮いている。
これによっても、実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
実施例4の回転電機1を、実施例1とは異なる点を中心に図5を用いて説明する。図5に示すエンドプレート10はロータコア8に取り付けた状態のものである。
本実施例では、中間屈曲部18bは、軸方向に貫通する孔23を有している。
すなわち、中間屈曲部18bに、中間屈曲部18bの頂点を通る線Bに中心を有する円形の孔23が軸方向に開けられている。孔23は周方向に複数箇所、例えば等間隔に開けられている。
これによれば、中間屈曲部18bの剛性を低くすることができるため、中間屈曲部18bがより変形しやすくなり、中間屈曲部18bでの応力集中を吸収緩和する効果が高まる。
実施例5の回転電機1を、実施例1とは異なる点を中心に図6を用いて説明する。
実施例1の回転電機1はインナーロータ型であったが、本実施例の回転電機1はアウターロータ型である。
このため、本実施例では、ステータ側がロータ3の内径側であり、反ステータ側がロータ3の外径側である。
そして、ロータコア8の外周には円筒状のドラム25(回転体)が固定されており、ドラム25はロータコア8とともに回転する。
そして、ボス部16は、根元側片17の反ステータ側端から軸方向外側に突出する円筒状に設けられている。
そして、ボス部16の外周面にドラム25の内周面が当接しており、ボス部16の内周面をドラム25側に押圧する巻締めによりボス部16がドラム25に固定されている。
本発明の実施態様は、実施例に限定されず種々の変形例を考えることができる。
例えば、実施例1〜5では、回転電機1はモータジェネレータであったが、発電機もしくは電動機であってもよい。
また、ロータ3は、永久磁石型に限らず、例えば、リラクタンス型でもよい。
また、中間屈曲部18bは離間部18cを形成する部分が断面円弧状に膨らむように曲げられていたが、これに限らず、角を有して曲げられていてもよい。
2 ステータ
3 ロータ
8 ロータコア
8a ロータコアの軸方向端面
10 エンドプレート
11 シャフト(回転体)
16 ボス部
17 根元側片
18 弾接部
18a 先端側片
18b 中間屈曲部
18c 離間部
19 根元屈曲部
23 孔
25 ドラム(回転体)
Claims (10)
- ステータコイルを有するステータに対向する周面を有するとともに、電磁鋼板が積層されてなるロータコアと、
前記ロータコアの軸方向の両端面に対向して配置されて前記ロータコアを挟むエンドプレートとを備える回転電機のロータであって、
径方向において、前記ステータと対向する側をステータ側とすると、
少なくとも一方の前記エンドプレートは、
前記ロータコアのステータ側部において少なくとも一部が前記ロータコアの軸方向端面に当接する先端側片と、前記先端側片の反ステータ側において前記エンドプレートを屈曲させることによって形成されるとともに前記先端側片を前記ロータコアの軸方向端面へと押し付ける方向に付勢力を発生させるよう屈曲した中間屈曲部とを有する弾接部、
および、前記弾接部の反ステータ側に設けられる根元側片を具備することを特徴とする回転電機のロータ。 - 請求項1に記載の回転電機のロータにおいて、
前記中間屈曲部は、前記エンドプレートの径方向断面において、前記ロータコアの軸方向端面から軸方向外側に離間して突出する離間部を有するように曲げられていることを特徴とする回転電機のロータ。 - 請求項1または2に記載の回転電機のロータにおいて、
前記根元側片は、少なくとも一部が前記ロータコアの軸方向端面に当接していることを特徴とする回転電機のロータ。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の回転電機のロータにおいて、
前記中間屈曲部は、径方向における断面が円弧状となるように屈曲していることを特徴とする回転電機のロータ。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の回転電機のロータにおいて、
前記中間屈曲部は、軸方向に貫通する孔を有していることを特徴とする回転電機のロータ。 - 請求項1〜5のいずれか1つに記載の回転電機のロータにおいて、
前記ロータコアに固定されて、前記ロータコアとともに回転する回転体を備え、
前記エンドプレートは、軸方向に突出する筒状のボス部を一体的に有し、
前記ボス部が前記回転体と径方向において嵌合することによって、前記エンドプレートと前記回転体とが固定されることを特徴とする回転電機のロータ。 - 請求項6に記載の回転電機のロータにおいて、
前記エンドプレートは、
前記中間屈曲部よりも反ステータ側の少なくとも一部が前記ロータコアに当接した状態で前記ボス部が前記回転体に巻締めされることによって、前記回転体に固定されていることを特徴とする回転電機のロータ。 - 請求項6または7に記載の回転電機のロータにおいて、
前記ボス部は、前記根元側片の反ステータ側端から軸方向に突出して設けられ、
前記根元側片と前記ボス部との間に前記根元側片を前記ロータコアの軸方向端面へと押し付ける方向に付勢力を発生させるよう屈曲した根元屈曲部を有することを特徴とする回転電機のロータ。 - 請求項8に記載の回転電機のロータにおいて、
前記根元屈曲部は、径方向における断面が円弧状となるように屈曲していることを特徴とする回転電機のロータ。 - ステータコイルを有するステータに対向する周面を有するとともに、電磁鋼板が積層されてなるロータコアと、
前記ロータコアの軸方向の両端面に設けられて前記ロータコアを挟むエンドプレートと、
前記ロータコアに固定されて、前記ロータコアとともに回転する回転体とを備え、
径方向において、前記ステータと対向する側をステータ側とすると、
少なくとも1つの前記エンドプレートは、
前記ロータコアのステータ側において前記ロータコアの軸方向端面を軸方向内側に当接する先端側片と、前記先端側片の反ステータ側の前記エンドプレートを屈曲させることによって形成されるとともに前記先端側片を前記ロータコアの軸方向端面へ押し付ける方向に付勢力を発生させる屈曲部とを有する弾接部、
前記弾接部の反ステータ側に設けられる根元側片、
および、前記根元側片から軸方向に突出するように設けられる筒状のボス部を具備する回転電機のロータの製造方法であって、
前記中間屈曲部よりも反ステータ側の少なくとも一部を前記ロータコアに当接させ、この当接状態を維持する工程と、
前記当接状態で前記ボス部を前記回転体に巻締めすることにより前記エンドプレートを前記回転体に固定する巻締め工程とを有することを特徴とする回転電機のロータの製造方法。
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