JP2017160215A - アフィニティクロマトグラフィーのための、洗浄溶液および方法 - Google Patents

アフィニティクロマトグラフィーのための、洗浄溶液および方法 Download PDF

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Abstract

【課題】非緩衝塩の存在なしで不純物を除去し、同時に、溶出液中の生成物濃度を増加させ、回収した生成物の高い収率百分率を維持するのに効果的である、アフィニティクロマトグラフィー(AC)のための洗浄方法の提供。【解決手段】pHが8.0より高いアルギニン又はアルギニン誘導体を含む洗浄溶液でプロテインAカラムを洗浄する、カラムの洗浄方法。目的の蛋白質を含む混合物をACマトリックスへ添加し、8.0より高いpHのアルギニン又はアルギニン誘導体を含む洗浄溶液を用いて、ACマトリックスを洗浄し、ACマトリックスから目的の蛋白質を溶出することを含む、非緩衝塩無しで洗浄を行う方法。【選択図】なし

Description

発明の背景
アフィニティクロマトグラフィーの間に、宿主細胞タンパク質(HCP)ならびに高分
子量種(HMW)および低分子量種(LMW)等の生成物関連不純物を含む不純物を効率
的に除去することは、タンパク質の下流処理中の重要な因子である。第一の精製工程(「
捕捉工程」)の後のタンパク質の純度は、特に、精製された生成物を生成するために必要
な後続の工程の種類および数に影響を与える。捕捉工程もまた、生成物を濃縮し、その後
の精製工程における、比例してより小さく、コストがより低くなるコストのカラムの使用
を可能にするため、重要である。したがって、第一のクロマトグラフィー工程の間に、不
純物の除去を最適化することが重要である。抗体精製の場合において、この第一の工程は
、典型的には、プロテインAまたは誘導体に対する親和性に基づいている。
低pH条件(例えば、pH3〜4の間)は、アフィニティカラムから、結合した標的タ
ンパク質を溶出するために必要であるが、潜在的に凝集を誘導するという欠点を有する。
歴史的に、pH5〜5.5の間等のストリンジェンシーのより低い条件が、同時に標的−
プロテインA相互作用を維持しながら、カラムから非特異的に結合した不純物を洗浄する
ために使用されている。しかしながら、特に高添加密度で作業する場合、これらの条件下
では、標的タンパク質が部分的に溶出されるため、回収率が低下することが多い。
アミノ酸アルギニンは、ある種の沈殿タンパク質を可溶化し(M、Tsumoto K、Nitta S
、Adschiri T、Ejima D、Arakawa T、および Kumagai I、Biochem. Biophys. Res. Commu
n. 328、189-197(2005);Umetsu M、Tsumoto K、Hara M、Ashish K、Goda S、Adschiri T
、Kumagai I、J Biol Chem. 2003 Mar 14;278(11):8979-87)、凝集体の形成を減少させ
(Arakawa T、Tsumoto K、Biochem Biophys Res Commun. 2003 Apr 25;304(1):148-52)お
よびArakawa T、Biophys. Chem. 127 (2007)、pp. 1-8 (Review))、表面へのタンパク質
の非特異的な吸着を減少させる(Ejima D、J Chromato A、05 およびSchneider CP、J. P
hys. Chem. B 113 (2009)、pp.2050-2058)ことが示されている。更に、塩酸グアニジウ
ムとは対照的に、アルギニンは、タンパク質をアンフォールディングしないことが示され
ていない(Arakawa T、Biochem. Biophys. Res. Commun. 304 (2003)、 pp. 148-152およ
び Nakakido M、Biophys. Chem. 137 (2008)、pp. 105-109)。
したがって、アルギニンは、アフィニティクロマトグラフィーカラムおよび他の種類の
精製カラムから、タンパク質を溶出するために使用されている。例えば、Arakawa
らは、pH4.1〜5.0の0.5〜2.0Mのアルギニンを含有する溶出緩衝液を用い
て、プロテインAカラムから抗体を溶出する方法を記載している(Arakawaら(2004) Prot
ein Expression and Purification 36:244-248; Tsumoto,K.ら(2004) Biotechnol. Prog.
20:1301-1308; 米国特許出願公開第20050176109号)。更に、Ejimaら
による米国特許第7,501,495号は、塩酸アルギニンを含有する展開液により、ゲ
ル濾過カラムからタンパク質を溶出する方法を記載している。Ghoseらは、溶出液と
してアルギニン勾配を用いて、誘導化されていないシリカから目的のタンパク質を溶出す
る方法を記載している(Ghose,S.ら(2004) Biotech. Bioeng. 87:413-423)。Coff
manらによる米国特許出願公開第20030050450号は、Fc含有分子とプロテ
インAとの複合体から、Fc含有分子を解離する方法を記載しており、ここでは、Fc/
プロテインA複合体を疎水性相互作用カラム(HIC)にかけ、アルギニン含有緩衝液を
用いてカラムを洗浄する。
Barronらは、pH5.0〜7.5のリン酸/酢酸塩緩衝液中に0.5から2.0
Mアルギニン(最適には、1Mアルギニン、pH5.0の0.1Mリン酸/酢酸塩緩衝液
)を含有するプロテインAクロマトグラフィーのための中間の洗浄溶液を記載している。
このアルギニン洗浄工程は、HCP汚染物質を除去することが報告されている。著者らは
また、pH5.0〜7.5で0.5〜2.0Mの塩化ナトリウムを含有する中間の洗浄溶
液を試験し、NaCl洗浄がHCPの有意な低下を示さないことを報告した(Barronら「
Improving Purity on Protein A Affinity Media Through Use of an Arginine Intermed
iate Wash Step」、 http://www.priorartdatabase.com/IPCOM/000127319)。更に、Ba
rronらは、実験に用いた条件下で、洗浄緩衝液のpHを低下させることは、有益な効
果を有することを報告した。
精製プロセスを強化し、生成物回収率を上昇させるための改良された技術に対して、長
年にわたるニーズが存在する。本開示は、このニーズに対応し、かつ、付加的な利益を提
供する。
発明の概要
本発明は、アフィニティクロマトグラフィーのための効率的かつロバストな洗浄溶液、
および、この溶液を用いる洗浄方法を提供する。この洗浄溶液は、溶出工程の前の洗浄工
程において適用され、その使用によって、マトリックスへ適用される出発物質から低分子
量種(LMW)、高分子量種(HMW)および宿主細胞タンパク質(HCP)を効果的に
除去する一方、アフィニティマトリックスから溶出した目的のタンパク質の高収率をもた
らす。この洗浄溶液は、非緩衝塩が存在せず、高いpH、即ち8.0より高いpHでアル
ギニンが存在することを特徴とする。高いpHでのアルギニン(またはアルギニン誘導体
)の組合せは、より低いpHのアルギニン含有洗浄溶液より、顕著に多くの不純物を除去
し、目的の回収されたタンパク質の高濃度と相関する、より鋭い溶出ピークをもたらす。
したがって、一実施形態において、本発明は、目的のタンパク質が結合するアフィニテ
ィクロマトグラフィー(AC)マトリックスを用いて、目的の精製されたタンパク質(例
えば、抗体、抗体断片、またはタンパク質)を生成する方法を提供し、その方法は、非緩
衝塩が存在することなく、8.0より高いpHのアルギニンまたはアルギニン誘導体を含
む洗浄溶液を用いて、ACマトリックスを洗浄することを含む。好ましい実施形態におい
て、洗浄溶液のpHは、少なくとも8.1、より好ましくは少なくとも8.5、更により
好ましくは少なくとも8.9または9.0である。一実施形態において、洗浄溶液のpH
は約8.5〜9.5である。別の実施形態において、洗浄溶液のpHは、約8.9〜9.
0である。
別の実施形態において、その方法は、更に、(a)目的のタンパク質を含む混合物をA
Cマトリックス上へ添加する(load)こと、(b)8.0より高いpHのアルギニン
またはアルギニン誘導体を含む洗浄溶液を用いて、ACマトリックスを洗浄すること、お
よび、(c)ACマトリックスから目的のタンパク質を溶出することを含み、洗浄は、非
緩衝塩の存在なしで行われる。
特定の実施形態において、ACマトリックスはプロテインAカラムである。様々な他の
実施形態において、ACマトリックスは、プロテインGカラム、プロテインA/Gカラム
、プロテインLカラム、固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー(IMAC)
カラム、カルモジュリン樹脂カラム、MEP HyperCel(商標)カラム、マルト
ース結合タンパク質(MBP)に結合するカラム、グルタチオン−S−トランスフェラー
ゼ(GST)に結合するカラム、Strep−TagIIに結合するカラム、および色素
−アフィニティカラムから成る群から選択される。他の実施形態において、ACマトリッ
クスは、CaptureSelect IgG−CH1、CaptureSelect
IgG−Fc(Hu)、CaptureSelect LC−kappa(Hu)、Ca
ptureSelect LC−lambda(Hu)、CaptureSelect
IgG4(Hu)、CaptureSelect IgG1(Hu)、CaptureS
elect IgG3(Hu)、CaptureSelect IgMおよびCaptu
reSelect IgAから成る群から選択される樹脂を含む。他の実施形態において
、ACマトリックスは、IgSelect、KappaSelect、LamdaFab
Select、およびCapto Lから成る群から選択される樹脂を含む。
適切な目的のタンパク質は、抗体(および、Fc融合タンパク質等のFc領域を含む他
のタンパク質)および抗体断片を含むがそれらに限定されず、本明細書に記載のアフィニ
ティマトリックスに結合する他のタンパク質も、本発明の方法に従う精製に適している。
別の態様において、本発明は、プロテインAカラムを使用した、精製された抗体、抗体
断片、またはFc領域を含むタンパク質(例えば、Fc融合タンパク質)を生成する方法
を提供し、その方法は、(a)抗体、抗体断片、またはタンパク質を含む混合物を、プロ
テインAカラム上へ添加すること、(b)(i)8.0より高いpH(例えば、約8.5
〜9.5または約8.9〜9.0)のアルギニンまたはアルギニン誘導体を含む洗浄溶液
を用いて、プロテインAカラムを洗浄すること、および(c)プロテインAカラムから、
抗体、抗体断片、またはタンパク質を溶出することを含み、洗浄は、非緩衝塩の存在なし
で行われる。
更に別の態様において、その方法は、目的のタンパク質(例えば、抗体、抗体断片、ま
たは、Fc領域を含むタンパク質(例えば、Fc融合タンパク質))をプロテインAカラ
ムに添加および/またはプロテインAカラムから溶出する前に、プロテインAカラムを任
意選択で平衡化することを含む。例えば、本発明は、精製した抗体、抗体断片、またはF
c領域を含むタンパク質(例えば、Fc融合タンパク質)を、プロテインAカラムを使用
して生成する方法を提供し、その方法は、(a)プロテインAカラムを平衡化すること(
例えば、平衡緩衝液を使用して、pHを調整し、任意の残留保存緩衝液を除去することに
より)、(b)抗体、抗体断片、またはタンパク質を含む混合物をプロテインAカラム上
に添加すること、(c)プロテインAカラムを、(i)8.0より高いpH(例えば、約
8.5〜9.5または約8.9〜9.0)のアルギニンまたはアルギニン誘導体を含む洗
浄溶液を用いて洗浄すること、および(d)プロテインAカラムから抗体、抗体断片、ま
たはタンパク質を溶出することを含み、洗浄は、非緩衝塩の存在なしで行われる。この方
法は、抗体、抗体断片、またはタンパク質を溶出する前に、プロテインAカラムを平衡化
する工程を更に含むことができる。
特定の実施形態において、洗浄溶液は、アルギニンまたはアルギニン−HClを、好ま
しくは、約0.1〜0.5Mの範囲の濃度で含む。別の特定の実施形態において、アルギ
ニンまたはアルギニン−HClは、0.25Mまたは約0.25Mの濃度で存在する。更
に他の特定の実施形態において、洗浄溶液は、アセチルアルギニン、N−α−ブチロイル
−アルギニン、アグマチン、アルギン酸およびN−α−ピバロイルアルギニンから成る群
から選択される誘導体等のアルギニン誘導体を含む。
本発明の方法は、高分子量および低分子量(それぞれ、HMWおよびLMW)種ならび
に宿主細胞タンパク質(HCP)を含む様々な不純物の除去に効果的である。特定の実施
形態において、洗浄溶液は更に、1つまたは複数の緩衝塩(例えば、酢酸ナトリウム、リ
ン酸ナトリウムまたはトリス)を含む。
詳細な説明
本発明は、プロテインAクロマトグラフィー等のアフィニティクロマトグラフィーのた
めの改良された洗浄溶液を提供し、これを、不純物を除去するために、目的のタンパク質
の溶出の前に、カラムに適用する。改良された洗浄溶液は、非緩衝塩の存在なしで、8.
0より高いpH(例えば、8.1より高いpH、好ましくは8.5より高いpH、例えば
、約8.5〜9.5または約8.9〜9.0の間)でアルギニンまたはアルギニン誘導体
を含む。典型的に、洗浄溶液は水溶液である。
高いpHでのアルギニンまたはアルギニン誘導体のこの独自の組合せは、回収率に影響
を与えることなく、一般的に使用される手順より顕著に多くの不純物を除去する。更に、
この洗浄条件は、溶出液中の目的のタンパク質の高い濃度に相関する、鋭い溶出ピークを
もたらし、これは、追加の下流の精製プロセスの性能を向上させるのに有利である。
宿主細胞タンパク質(HCP)ならびに高分子量(HMW)種および低分子量(LMW
)種等の生成物関連不純物を含む不純物を効率的に除去することは、目的のタンパク質の
下流処理中の重要な因子である。アフィニティクロマトグラフィーは、多くの場合、目的
のタンパク質(例えば、抗体)の多段階精製プロセスの第一段階として使用され、アフィ
ニティクロマトグラフィー後の目的のタンパク質の純度は、特に、その後の精製工程の種
類および数に影響を与える。アフィニティクロマトグラフィーの別の重要な役割は、生成
物を濃縮することであり、これによって、その後の精製工程における、比例的に、より小
さくより低コストのカラムおよびリザーバー(バッグまたはスチールタンク)の使用が可
能になる。したがって、高い中間濃度を維持しながら、収率を損なうことなく、アフィニ
ティクロマトグラフィー工程の間の不純物除去を最適化することが、特に重要である。
マトリックスに応じて、典型的にはpH3〜4の間の低いpH条件は、アフィニティマ
トリックスから目的の結合したタンパク質を溶出するための要件であり、潜在的に凝集を
誘導するという欠点を有する。歴史的に、pH5〜5.5等のストリンジェンシーのより
低い条件が、目的のタンパク質とアフィニティマトリックスとの間の相互作用を維持しな
がら、カラムから非特異的に結合された不純物を洗浄するために使用されてきた。しかし
ながら、特に高添加密度で作業する場合に、これらの条件では、目的のタンパク質が部分
的に溶出するために、目的のタンパク質の回収率が低下することが多い。したがって、好
ましい実施形態において、本発明により提供される洗浄溶液は、8.0より高いpH(例
えば、好ましくは、8.1より高いpH、より好ましくは8.5より高いpH、例えば、
約8.5〜9.5または約8.9〜9.0の間)で、有利に行われ、これは、不純物の除
去を可能にしながら、アフィニティマトリックスへの目的のタンパク質の結合を維持する
典型的に、アルギニン洗浄は、非緩衝塩を含む。しかしながら、本発明の一利点は、本
発明で用いる洗浄工程が、非緩衝塩の存在を必要としないことである。本明細書で使用す
る、用語「非緩衝塩」は、酸または塩基を加える際に、適用する条件(例えば、高いpH
等)下で、実質的に、洗浄溶液のpHを保持するのに寄与しない種類および濃度である塩
を指す。非緩衝塩としては、イオン性塩、ClまたはBrを含む塩を含むハロゲン塩、特
に、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)またはマグネシウム(M
g)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)を含む、アルカリ金属またはアルカリ土
類金属(即ち、NaCl、KCl、CaClおよびMgCl)を含むハロゲン塩が挙
げられる。特定の実施形態において、洗浄は、NaClの存在なしで行われる。
用語「非緩衝塩」は、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムおよびトリス等の緩衝塩を含
まない(これらの塩は、適用された条件下での洗浄溶液(単数または複数)のpHの保持
に、実質的に寄与する)。したがって、そのような緩衝塩は、本発明の洗浄溶液に含まれ
得る。
共通の採取物または細胞抽出物中に存在する不純物の大きな生物物理学的多様性は、ク
ロマトグラフィー媒体および/または目的の結合したタンパク質の固相との相互作用の非
常に多様なモードをもたらす。多かれ少なかれ不純物を強く係留するのは、水素結合、静
電相互作用、疎水性およびファンデルワールス力またはこれらの種類の相互作用の組合せ
等の、2つの分子間の、非共有結合分子間相互作用の結果であり得る。したがって、いく
つかの異なるメカニズムの組合せ(即ち、8.0より高いpHと組み合わせた、アルギニ
ンまたはアルギニン誘導体)は、伝統的な技法より、不純物を除去するのにより効果的で
あることが見出された。
洗浄溶液中でアルギニンを用いる文脈において、アルギニンはある種の沈殿タンパク質
を可溶化し(Umetsu, M.ら(2005) Biochem. Biophys. Res. Commun. 328:189-197; Tsumo
to, K.ら(2003) Biochem. Biophys. Res. Commun. 312:1383-1386)、凝集体の形成を減
少させ(Arakawa,T.ら(2003) Biochem. Biophys. Res. Commun. 304:148-152)、表面へ
のタンパク質の非特異的吸着を減少させる(Ejima, D.ら (2005) J. Chromatogr. A. 109
4:49-55)能力を有することが報告されている。メカニズムにより限定されることを意図
するものではないが、タンパク質凝集の減少は、アルギニンと相互作用する、タンパク質
上の疎水性パッチのマスキングに由来し得る。この相互作用は、アルギニン上のグアニジ
ウム基とタンパク質上のトリプトファン基との間で生じ得るか、またはアルギニンのクラ
スタリングにより、疎水性パッチの形成を介して生じ得るか、またはそのような効果の組
合せであり得る。
本明細書で使用する、句「高いpH」は、8.0より高いpHを指し、これは、従来の
洗浄方法に用いられる、低いまたは中性のpH(例えば、約5.0〜7.0のpH)での
アルギニンまたはアルギニン誘導体を含む洗浄と比較すると、不純物の有意な減少をもた
らす。例えば、一実施形態において、「高いpH」の洗浄は、低いまたは、7.0の中性
pHのアルギニン含有洗浄溶液と比較して、少なくとも約2〜3倍のHCPの減少率、お
よび/または、少なくとも約3〜4倍のLMWレベルの減少率、および/または、少なく
とも約30〜50%以上の全体的な凝集の減少をもたらす。
特定の実施形態において、洗浄溶液の「高い」pHは、少なくとも約8.1、好ましく
は少なくとも約8.5、より好ましくは約8.5〜9.5または約8.9〜9.0である
。洗浄の例示的な「高い」pH条件は、例えば、8.1または約8.1、8.2または約
8.2、8.3または約8.3、8.4または約8.4、8.5または約8.5、8.6
または約8.6、8.7または約8.7、8.8または約8.8、8.9または約8.9
、9.0または約9.0、9.1または約9.1、9.2または約9.2、9.3または
約9.3、9.4または約9.4、9.5または約9.5、10.0または約10.0、
10.1または約10.1、10.2または約10.2、10.3または約10.3、1
0.4または約10.4、および10.5または約10.5のpH値を含む。洗浄溶液は
また、pHを調整および/または維持するための1つまたは複数の緩衝剤(即ち、緩衝塩
)を含有し得る。洗浄溶液(単数または複数)中に含むことができる典型的な緩衝剤の非
限定的な例は、トリス(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン)、ビス−トリス、ビ
ス−トリスプロパン、ヒスチジン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ギ酸塩
、酢酸塩、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、リン酸塩、HEPES
(4−2−ヒドロキシエチル−1−ピペラジンエタンスルホン酸)、クエン酸塩、MOP
S(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸)、TAPS(3−{[トリス(ヒドロ
キシメチル)メチル]アミノ}プロパンスルホン酸)、ビシン(N,N−ビス(2−ヒド
ロキシエチル)グリシン)、トリシン(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン
)、TES(2−{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}エタンスルホン酸)
、PIPES(ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)、カコジル酸塩(
ジメチルアルシン酸)およびSSC(塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム)を含む。
本発明の精製方法は、高分子量および低分子量(それぞれ、HMWおよびLMW)種な
らびに宿主細胞タンパク質(HCP)を含む、様々な不純物を除去するのに効果的である
。実施例において詳細に説明するように、その方法は、目的のタンパク質の高い収率百分
率および目的のタンパク質の高濃度を達成しながら、洗浄溶出液中のHMW種、LMW種
およびHCPを減すのに効果的である。例えば、様々な実施形態において、本明細書に記
載の方法は、97%より高い、より好ましくは98%より高い、最も好ましくは99%よ
り高い、目的のタンパク質の収率百分率をもたらす。
他の実施形態において、本発明の方法は、少なくとも約2倍の減少率、より好ましくは
少なくとも約3倍の減少率、より好ましくは少なくとも約4倍の減少率、より好ましくは
少なくとも約5倍の減少率、更により好ましくは少なくとも約6倍の減少率である、溶出
液中のHMWまたはLMW汚染物質の減少百分率をもたらす。更に他の実施形態において
、その方法は、少なくとも約1.1、または少なくとも約1.2、または少なくとも約1
.3、または少なくとも約1.4、または少なくとも約1.5、または少なくとも約1.
6、または少なくとも約1.7、または少なくとも約1.8、または少なくとも約1.9
、または少なくとも約2.0、または少なくとも約2.1、または少なくとも約2.2、
または少なくとも約2.3、または少なくとも約2.4、または少なくとも約2.5、ま
たは少なくとも約2.6、または少なくとも約2.7、または少なくとも約2.8、また
は少なくとも約2.9、または少なくとも約3.0の、溶出液中のHCPの対数減少値(
LRV)をもたらす。
メカニズムによって限定されることを意図するものではないが、高いpHは部分的にH
CPおよびHMWを変性させる可能性があり、一方、単量体の抗体を含む安定したタンパ
ク質は、これらの条件では影響されない。汚染物質タンパク質の変性は、構造のわずかな
変化として現れる可能性があり、これは、非特異的結合を弱めるのに十分であり得る。し
たがって、洗浄溶液の高いpHは、目的の結合タンパク質とのそれらの相互作用またはア
フィニティマトリックスの固体支持を不安定化させることにより、不純物の除去を増加さ
せるために有益であり得る。
したがって、一態様において、本発明は、目的のタンパク質が結合する、アフィニティ
クロマトグラフィー(AC)マトリックスを用いて、精製したタンパク質(例えば、抗体
、抗体断片、またはFc領域を含むタンパク質(例えば、Fc融合タンパク質))を生成
する方法を提供し、その方法は、ACマトリックスからの目的のタンパク質の溶出の前に
、非緩衝塩の存在なしに、8.0より高いpH(例えば、好ましくは8.1より高いpH
、より好ましくは8.5より高いpH、例えば、約8.5〜9.5または約8.9〜9.
0の間)で、アルギニンまたはアルギニン誘導体を含む洗浄溶液を用いて、ACマトリッ
クスを洗浄することを含む。ACマトリックスは、目的のタンパク質の添加前および/ま
たは目的のタンパク質の溶出前に、任意選択で平衡化することができる。
本明細書で使用する、用語「アフィニティクロマトグラフィーマトリックス」または「
ACマトリックス」は、レセプターとリガンド、酵素と基質とのまたは、抗原と抗体との
間のような、目的のタンパク質とACマトリックスとの間の非常に特異的な結合相互作用
に基づいて、生化学的混合物の分離を可能にする、典型的にゲルまたは樹脂である、固相
媒体を指すことを意図している。したがって、固相媒体は、緩衝液条件に応じて、目的の
タンパク質が可逆的に結合できる標的を含む。ACマトリックスを含むことができる固定
化または固相媒体の非限定的な例として、アガロースビーズ(市販のSepharose
マトリックス等)等のゲルマトリックスおよび多孔質ガラスビーズ(市販のProSep
マトリックス等)等のガラスマトリックスが挙げられる。
ACマトリックスへの目的のタンパク質の結合は、典型的に、カラムクロマトグラフィ
ーにより達成される。すなわち、ACマトリックスをカラムへと形成し、目的のタンパク
質を含有する生化学的混合物をカラムを通して流し、その後、洗浄溶液をカラムを通して
流すことによりカラムを洗浄し、その後、溶出緩衝液をカラムを通して流すことにより、
カラムから目的のタンパク質を溶出する。
あるいは、ACマトリックスへの目的のタンパク質の結合は、バッチ処理によって達成
することができ、目的のタンパク質を含有する生化学的混合物を容器中でACマトリック
スと共にインキュベートして、ACマトリックスに目的のタンパク質を結合させ、固相媒
体を容器から取り出し(例えば、遠心分離または真空ポンプを用いた濾過により)、固相
媒体を洗浄して、不純物を除去し、再び回収し(例えば、遠心分離または真空ポンプを用
いた濾過により)、目的のタンパク質を固相媒体から溶出する。
更に別の実施形態において、バッチ処理およびカラムクロマトグラフィーの組合せを使
用することができる。例えば、ACマトリックスへの目的のタンパク質の初期の結合を、
バッチ処理により達成することができ、次に、固相媒体をカラム中へ充填し、その後、カ
ラムを洗浄し、目的のタンパク質をカラムから溶出することができる。
特定の固相マトリックスの性質、特に、固相へ結合される標的の結合特性により、固相
マトリックスを用いて精製することができるタンパク質(単数または複数)の種類(単数
または複数)が決定される。例えば、本発明の好ましい実施形態において、ACマトリッ
クスはプロテインAカラムであり、これは、固相へ結合した標的として、特定の免疫グロ
ブリンのFc領域内のCH2およびCH3ドメインと特異的に結合する、細菌の細胞壁タ
ンパク質であるプロテインAを含む。プロテインAの結合特性は、当該技術分野において
良く確立されている。
したがって、本発明の好ましい実施形態において、(精製される)目的のタンパク質は
抗体、抗体断片、またはFc領域を含むタンパク質(例えば、Fc融合タンパク質)であ
る。更に、プロテインAクロマトグラフィーを用いて精製することができる追加のタンパ
ク質は、Fc含有タンパク質(例えば、Fc融合タンパク質)を含む。特異的にプロテイ
ンAマトリックスへ結合することができる限り、任意のタンパク質を本発明の方法に従っ
て精製することができる。様々なプロテインA樹脂が当該技術分野で周知であり、本発明
における使用に適している。市販のプロテインA樹脂の非限定的な例は、MabSele
ct、MabSelect Xtra、MabSelect Sure、rProtei
n A Sepharose FF、rmpProtein A Sepharose
FF、Protein A Sepharose CL−4BおよびnProtein
A Sepharose 4 FF(全てGE Healthcareから市販されてい
る);ProSep A、ProSep−vA High Capacity、ProS
ep−vA UltraおよびProSep−Va Ultra Plus(全てMil
liporeから市販されている);Poros AおよびMabcapture A(
両方ともにPorosから市販されている);IPA−300、IPA−400およびI
PA−500(全てRepliGen Corp.から市販されている);Affige
l protein AおよびAffiprep protein A(両方ともにBi
o−Radから市販されている);Protein A Ceramic Hyper
D F(Pall Corporationから市販されている);Ultralink
Immobilized protein AおよびAgarose protein
A(両方ともにPIERCEから市販されている);ならびにProtein A C
ellthru 300およびProtein A Ultraflow(両方ともにS
terogen Bioseparationsから市販されている)を含む。
別の実施形態において、樹脂は、CaptureSelect IgG−CH1(ヒト
IgGおよび全てのFab断片の精製に適している)、CaptureSelect I
gG−Fc(Hu)(ヒトIgGに特異的であり、4つの全てのサブクラスを認識する)
、CaptureSelect LC−kappa(Hu)(生成物を含有する全てのヒ
トκIg軽鎖の精製に適している(以前は、CaptureSelect Fab ka
ppaとして知られていた))、CaptureSelect LC−lambda(H
u)(生成物を含有する全てのヒトλIg軽鎖の精製に適している(以前はCaptur
eSelect Fab lambdaとして知られていた))、CaptureSel
ect IgG4(Hu)(他のサブクラスまたは種に全くクロス結合せずにヒトIgG
4について非常に特異的である)、CaptureSelect IgG1(Hu)(他
のサブクラスまたは種に全くクロス結合せずにヒトIgG1について非常に特異的である
)、CaptureSelect IgG3(Hu)(他のサブクラスまたは種に全くク
ロス結合せずにヒトIgG3について非常に特異的である)、CaptureSelec
t IgM(ヒト、マウス、ラットIgMについて適したIgM樹脂)、または、Cap
tureSelect IgA(ヒトIgA、IgA−ダイマーおよび分泌型IgA(s
IgA)の精製に適している)であり、全てBACから市販されている。別の実施形態に
おいて、樹脂は、IgSelect(ヒトIgGの精製のためのアフィニティ媒体)、K
appaSelect(Fab(κ)断片の精製のためのアフィニティ媒体)、Lamd
aFabSelect(λFab断片の精製のためのアフィニティ媒体)、またはCap
to L(抗体および抗体断片を捕捉するための樹脂)であり、全てGE Health
care Life Sciencesから市販されている。
本発明に用いることができる更なるアフィニティクロマトグラフィーシステムは、例え
ば、プロテインG、プロテインA/GおよびプロテインLカラムを含み、これらのそれぞ
れはまた、当該技術分野で確立された結合特性を有する免疫グロブリン結合細菌性タンパ
ク質である。したがって、プロテインGマトリックス、プロテインA/Gマトリックスま
たはプロテインLマトリックスであるACマトリックスを、抗体、抗体断片、またはFc
領域を含むタンパク質(例えば、Fc融合タンパク質)を精製するために、使用すること
ができる。
ACマトリックスの他の非限定的な例、およびそれらのACマトリックスが精製するの
に効果的なタンパク質の種類は、以下を含む:固定化金属イオンアフィニティクロマトグ
ラフィー(IMAC)カラム(ヒスチジンタグ付きタンパク質等の、金属イオンについて
の親和性を有するタンパク質の精製のため)、カルモジュリン樹脂カラム(カルモジュリ
ン結合ペプチド(CBP)でタグ付けされたタンパク質の精製のため)、MEP Hyp
erCel(商標)カラム(選択的に免疫グロブリンに結合するセルロースマトリックス
)、マルトース結合タンパク質(MBP)に結合するカラム(MBPでタグ付けされたタ
ンパク質に選択的に結合する、Dextrin Sepharose(商標)樹脂等)、
グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)に結合するカラム(GSTでタグ付け
されたタンパク質に選択的に結合するGlutathione Sepharose(商
標)樹脂等)およびStrep−TagIIに結合するカラム(Strep−TagII
でタグ付けされたタンパク質に選択的に結合する、Strep−Tactin(商標)S
epharose樹脂等)。更に、固相に固定された抗体へ特異的に結合する目的の抗原
を精製するために、固相に固定された標的の抗体を含む、免疫親和性マトリックスを使用
することができる。
対象の発明は、特にプロテインAクロマトグラフィーを用いる抗体の精製について本明
細書において記載しているが、任意のタンパク質(融合タンパク質を含む)が選択的に特
定のACマトリックスへ結合することが当分野で知られている限りにおいては、タンパク
質は、本明細書に記載の洗浄方法を用いて、容易に精製される。
本明細書で使用する用語「抗体」は、完全な抗体および任意の抗原結合断片(即ち、「
抗原結合断片」(「抗原結合部分」としても知られている))またはその単鎖を含む。完
全な抗体は、ジスルフィド結合により相互に接続された、少なくとも2つの重(H)鎖お
よび2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書に
おいてVと略す)および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイ
ン、C1、C2およびC3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書に
おいてVと略す)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメイ
ンCから構成される。VおよびV領域は、更に、相補性決定領域(CDR)と呼ば
れる、超可変領域へ細分することができ、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保
存されている領域が散在している。各VおよびVは、FR1、CDR1、FR2、C
DR2、FR3、CDR3、FR4の順序で、アミノ末端からカルボキシ末端まで配置さ
れた、3つのCDRおよび4つのFRから構成されている。重鎖および軽鎖の様々な領域
は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(
例えば、エフェクター細胞)および古典的な補体系の第一成分(Clq)を含む宿主組織
または因子への、免疫グロブリンの結合を媒介することができる。用語「抗体」はまた、
低分子化抗体(minibody)、ビス−scFv、二重特異性抗体、三重特異性抗体
(triabody)、四重特異性抗体(tetrabody)および化学的に共役であ
るFab’多量体を包含する。
本明細書で使用する用語「抗体断片」(「抗原結合断片」または「抗原結合部分」とも
呼ばれる)は、特異的に抗原に結合する能力を保持する抗体の1つまたは複数の断片を指
す。抗体の抗原結合機能は、完全長の抗体の断片により行うことができることが示されて
いる。抗体の、用語「抗原結合断片」内に包含される結合断片の例は、(i)Fab断片
、V、V、CおよびC1ドメインから成る一価断片、(ii)F(ab’)
片、本質的にヒンジ領域の一部を含むFabである二価断片(FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY (
Paul編、3.sup.rd ed. 1993)を参照)、(iv)VおよびC1ドメインから成るFd
断片、(v)抗体の単一アームのVおよびVドメインから成るFv断片、(vi)V
ドメインから成る、dAb断片(Wardら(1989) Nature 341:544-546)(vii)単離
された相補性決定領域(CDR)、および(viii)単一の可変ドメインおよび2つの
定常ドメインを含む重鎖可変領域である、ナノボディ(単一ドメイン抗体(sdAb)と
しても知られている)を含む。単一ドメイン抗体は、VH断片(ラクダ科動物で見つけ
られた重鎖抗体から設計された単一ドメイン抗体、および、軟骨性魚類のVNAR断片(
重鎖抗体から得られた単一ドメイン抗体(IgNAR「免疫グロブリン新しい抗原受容体
」))を含む。
更に、Fv断片の2つのドメイン、VおよびVは、別々の遺伝子によってコードさ
れているが、それらが一価分子を形成するためにVおよびV領域がペアになる単一タ
ンパク質鎖として作られることを可能にする、合成リンカーによって組換え法を用いて、
それらを連結することができる(単鎖Fv(scFv)として知られている;Birdら (19
88) Science 242:423-426; およびHustonら(1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879
-5883を参照)。そのような単鎖抗体はまた、抗体の、用語「抗原結合断片」内に包含さ
れることが意図されている。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来技術を用いて得ら
れ、断片は、完全な抗体である場合と同様の方法で、有用性についてスクリーニングされ
る。別のポリペプチドまたは分子に融合した、抗原結合ドメインまたは同等のものを含む
キメラ分子(または融合分子)もまた、本発明に包含される。
本発明の洗浄溶液は、アルギニンまたはアルギニン誘導体を含む。本発明で使用するこ
とができるアルギニンは、天然アミノ酸アルギニン(例えば、L−アルギニン)、D−ア
ルギニンまたはアルギニン誘導体であり得る。本明細書で使用する用語「アルギニン誘導
体」は、DまたはL−形態のいずれかであるアミノ酸アルギニンから、双性イオン性、両
性イオン性、または双極特性のアルギニン(例えば、樹脂骨格、プロテインAリガンドま
たは結合した標的タンパク質に結合した不純物間の、非特異的な相互作用を壊し得る)の
いずれかを保持する、化学的または物理的プロセスにより誘導された分子を指す。
アルギニン誘導体の非限定的な例は、アセチルアルギニンおよびN−α−ブチロイルア
ルギニン等のアシル化アルギニン、アグマチン、アルギン酸およびN−α−ピバロイルア
ルギニンを含む。アルギニンまたはアルギニン誘導体を、酸付加塩の形態で使用すること
ができる。酸付加塩を形成することができる酸の例は、塩酸等を含む。他の誘導体は、3
−グアニジノプロピオン酸、4−グアニジノ酪酸、L−2−アミノ−3−グアニジノプロ
ピオン酸塩酸塩、L−2−アミノ−3−グアニジノプロピオン酸塩酸塩、Nωニトロ−L
−アルギニンベンジルエステルp−トルエンスルホン酸塩およびホモアルギニンを含むが
それらに限定されない。
洗浄溶液中のアルギニンまたはアルギニン誘導体の濃度は、典型的に、0.05から0
.85Mの間(これは、20℃の水中におけるアルギニンの溶解度の上限である)(例え
ば、0.05M、0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M
、0.4M、0.45M、0.5M、0.55M、0.6M、0.65M、0.7M、0
.75M、0.8Mまたは0.85M)であり、最も好ましくは0.1から0.5Mの間
(例えば、0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M、0.
4M、0.45Mまたは0.5M)である。様々な実施形態において、アルギニンまたは
アルギニン誘導体の濃度は、例えば、0.05M、0.1M、0.2M、0.25M、0
.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7Mもしくは0.8M、または0.1Mか
ら0.5Mの間であり得る。特定の実施形態において、洗浄溶液中のアルギニンまたはア
ルギニン誘導体の濃度は、0.25M以上である。特定の実施形態において、アルギニン
は、0.1Mもしくは約0.1M、0.25Mもしくは約0.25M、または0.5Mも
しくは約0.5Mの濃度で存在する。
本発明は、本明細書において、アフィニティクロマトグラフィーの間の洗浄工程につい
て記載されているが、アフィニティクロマトグラフィーマトリックスから目的のタンパク
質の精製を達成するために、洗浄工程の前および後の両方で、追加の工程が行われること
が、当業者に容易に理解されるであろう。例えば、洗浄および/または溶出工程の前に、
本発明の方法は、アフィニティクロマトグラフィーマトリックスを平衡化する平衡化工程
、および/または、目的のタンパク質を含有する生化学的混合物(例えば、細胞採取物)
を、ACマトリックスへ適用する、添加または捕捉工程を含むことができる。
適切な平衡化緩衝液は、一般的に、沈殿を防止するために、添加液(約7.0+/−0
.5)と一致するように、ほぼ中性のpHを有する。通常、塩(NaCl)を含む必要は
ないが、緩衝するのに十分高い濃度(>約20mM)で、緩衝物質(このpH範囲につい
てのリン酸塩)を有する必要がある。平衡化緩衝のための適切な条件は、ACマトリック
スおよび精製される目的のタンパク質の性質によって異なり、当業者は、当該技術分野で
よく確立されている方法および情報を用いて、そのような条件を容易に決定することがで
きる。プロテインAカラムを用いた、抗体の精製のための平衡化緩衝液の非限定的な例を
、実施例に示す。
更に、本発明の方法は、上述の洗浄工程の後に、マトリックスから目的のタンパク質を
溶出するために、溶出緩衝液をアフィニティクロマトグラフィーマトリックスへ適用する
、溶出工程を含むことができる。溶出緩衝液についての適切な条件は、ACマトリックス
の性質および精製される目的のタンパク質により変化し、当業者は、当該技術分野でよく
確立されている方法および情報を用いて、そのような条件を容易に決定することができる
。典型的に、ACマトリックスからの目的のタンパク質の溶出は、酸性pHで行われる。
プロテインAカラムを用いた抗体の精製のための溶出緩衝液の非限定的な例を、実施例に
示す。
別の態様において、本発明は、抗体または他のFc含有タンパク質のプロテインA精製
の間に、抗体含有混合物から不純物を除去するための方法を提供する。したがって、本発
明は、プロテインAカラムを用いた、精製された抗体、抗体断片、またはFc領域を含む
タンパク質を生成する方法を提供し、この方法は、
(a)抗体、抗体断片またはタンパク質を含む混合物を、プロテインAカラム上に添加
することと、
(b)8.0より高いpH(例えば、8.1より高いpH、好ましくは8.5より高い
pH、より好ましくは約8.5〜9.5または約8.9〜9.0の間)のアルギニンまた
はアルギニン誘導体を含む洗浄溶液を用いて、プロテインAカラムを洗浄することと、
(c)プロテインAカラムから、抗体、抗体断片、またはタンパク質を溶出することと
を含み、洗浄は、非緩衝塩の存在なしで行われる。必要に応じて、その方法は、プロテイ
ンAカラムから抗体、または抗体断片を溶出する前に、平衡化緩衝液を用いて、プロテイ
ンAカラムを洗浄することを更に含む。必要に応じて、その方法は、目的のタンパク質を
添加する前および/または目的のタンパク質を溶出する前に、プロテインAカラムを平衡
化することを更に含む。
アルギニン(およびアルギニン誘導体)の好ましい濃度および濃度範囲は、上述の通り
である。例えば、一実施形態において、アルギニンは、約0.25Mの濃度で、または0
.25Mの濃度で存在する。別の実施形態において、アルギニンは、0.1〜0.5Mの
範囲の濃度で存在する。好ましいpHおよびpH範囲はまた、上述の通りである。例えば
、pHは、8.0より高いpH(例えば、好ましくは、8.1より高いpH、より好まし
くは8.5より高いpH、例えば、約8.5〜9.5または約8.9〜9.0の間)であ
る。
本発明は、更に、以下の実施例によって例示され、これは更に限定すると解釈されるべ
きではない。特に、実施例は、本発明の好ましい実施形態に関する。本出願を通して引用
された全ての参考文献、特許および公開特許出願の内容は、その全体が参照により本明細
書に明白に組み込まれる。
実施例1:高いpHのみでは、生成物の純度を向上させない
本実施例において、アフィニティクロマトグラフィーの間の抗体含有溶液からの不純物
の除去に対するpH単独の影響を評価する。具体的には、2つの洗浄溶液を比較する:1
つは、pH7.0で1MのNaClを含有し、1つはpH9.0で1MのNaClを含有
する。
0.2から3.0g/Lの間のモノクローナル抗体#1を含有する、清澄化した哺乳動
物細胞培養上清を、デプス濾過(depth filtration)により採取し、以
下の表1に記載された条件に従って、ALCカラム、特にプロテインAカラム(GE H
ealthcare)を用いて精製する。
表1:実施例1についてのプロテインAカラムのための操作条件
Figure 2017160215
平衡化したカラムに清澄化採取物を添加し、最初に、以下の表2に記載するように、W
1−N7(pH7.0で1M NaCl)またはW2−N9(pH9.0で1M NaC
l)のいずれかを用いて洗浄する。
表2:試験した洗浄溶液のリスト
Figure 2017160215
次に、カラムを表1に記載した平衡化緩衝液(即ち、20mMのNaHPO/Na
HPO、pH7.0)で洗浄し、次に、低いpHで溶出する。溶出液を、分析ALCに
よりその抗体濃度について分析し、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により
HMW/LMWについて分析し、同じ細胞系で実施した酵素結合免疫吸着アッセイにより
HCP含有量について分析する。
表2に示した2つの異なる洗浄溶液を用いたモノクローナル抗体#1のプロテインA精
製についての収率百分率を以下の表3に示す。
表3:低いpHおよび高いpHのALC性能への影響の比較
Figure 2017160215
表3に示すように、pHを中性(pH7.0)から塩基性(pH9.0)まで変えるこ
とは、収率、溶出液プール濃度、HMWもしくはLMW種レベルまたはHCP濃度に対す
る影響は有していない。したがって、これらの結果は、高いpHのみでは、生成物の純度
の向上をもたらさないことを実証している。しかしながら、以下の実施例で実証したよう
に、アルギニンと組み合わせた高いpHは、生成物の純度に有意な効果を有している。
実施例2:アルギニン(高いpHと組み合わせて)は、極めて重要な添加剤である
この実施例において、アフィニティクロマトグラフィーの間に、どの洗浄およびpHが
、抗体含有溶液から不純物を除去するのに最も効果的であるかを決定するために、様々な
洗浄能力を比較する。具体的には、4つの洗浄溶液を比較する:1つは、pH7.0で1
MのNaClを含有、1つはpH7.0で250mMのアルギニンを含有、1つはpH8
.9で250mMのアルギニンを含有、1つはpH8.9で500mMのトリスを含有す
る。トリスは、トリス単独で不純物の除去に影響を有するかどうかを判断するために含め
る。
0.2から2.5g/Lの間のモノクローナル抗体#3を含有する、清澄化した哺乳動
物細胞培養上清を、デプス濾過により採取し、以下の表4に記載された条件に従って、A
LCカラム、特にプロテインAカラム(GE Healthcare)を用いて精製する
表4:実施例2についてのプロテインAカラムのための操作条件
Figure 2017160215
平衡化したカラムに清澄化した採取物を添加し、最初に、以下の表5に記載するように
、W1−N7、W3−Arg7、W4−Arg9またはW5−T9のいずれかを用いて洗
浄する。
表5:試験した洗浄溶液のリスト
Figure 2017160215
カラムを次に、表4に記載した平衡化緩衝液(即ち、20mMのNaHPO/Na
HPO、pH7.0)で洗浄し、次に、低いpHで溶出する。溶出液を、分析ALCに
よりその抗体濃度について分析し、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により
HMW/LMWについて分析し、同じ細胞系で実施した酵素結合免疫吸着アッセイにより
HCP含有量について分析する。
表5に示された4つの異なる洗浄溶液を用いた、モノクローナル抗体#3のプロテイン
A精製についての収率百分率を、以下の表6に示す。
表6:異なるpH値でのアルギニンベース緩衝液、およびトリスベースの緩衝液に対する
、NaCl含有ALC洗浄緩衝液の比較
Figure 2017160215
表6に示すように、アルギニンベースの緩衝液は、高塩ベースの洗浄より、HMW、L
MWおよびHCPを除去するのに、より効率的であることが明らかである。更に、この効
果は、高pH条件で増幅される。具体的には、8.9の高いpHでアルギニン含有洗浄緩
衝液(W4−Arg9)を使用すると、7.0のpHでのアルギニン含有洗浄緩衝液(W
3−Arg7)と比較して、非緩衝塩の存在なしに、HCPの3倍の減少率、LMWレベ
ルの4倍の減少率、および2.3%から1.5%までの凝集レベルの減少をもたらす。同
等の収率にもかかわらず、より高いpHはまた、プール濃度を増加させる。
トリスは、アリギニン含有緩衝液のpHを調整するために使用され、8.9のpHを達
成するために約300mMに近いトリスが必要とされるため、高いpHで500mMのト
リスを含有する洗浄(即ち、W5−T9)を含める。しかしながら、表6に示すように、
W5−T9は、HMWまたはLMWの除去には影響しない。実際に、HCPレベルは、W
5−T9については、NaCl含有洗浄についてより更に高い。この洗浄は、トリスにつ
いての最良の場合の条件で行われる(例えば、他の緩衝液で使用される最高濃度に比べて
、トリスの濃度は約2倍であり、洗浄時間も2倍であることを意味する)ことを考えると
、その結果は、トリス単独では洗浄効果を有さないことを示唆している。更に、高いpH
のみでは、所望の不純物除去をもたらさないことは明らかである。
実施例3:高いpHと組み合わせたアルギニン洗浄は、有意に不純物を減少する
本実施例において、3つのモノクローナル抗体の純度への3つの異なる洗浄緩衝液条件
の影響を評価する。具体的には、3つの洗浄溶液を比較する:(1)低いpH(W6−A
ce5)、(2)高い塩(W1−N7)、(3)および高いpHでのアルギニン(W7−
Arg9)。
3つのモノクローナル抗体(#1、#2、および#4)を、デプス濾過により採取し、
以下の表7に記載された条件に従って、ALCカラム、特にプロテインAカラム(GE
Healthcare)を用いて精製した。
表7:実施例4についてのプロテインAカラムのための操作条件
Figure 2017160215
平衡化したカラムに、清澄化した採取物を添加し、最初に、以下の表8に記載するよう
に洗浄する。
表8:試験した洗浄溶液のリスト
Figure 2017160215
カラムを次に、表7に記載した平衡化緩衝液(即ち、20mMのNaHPO/Na
HPO、pH7.0)で洗浄し、次に、低いpHで溶出する。溶出液を、分析ALCに
よりその抗体濃度について分析し、分析サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により
HMW/LMWについて分析し、同じ細胞系で実施した酵素結合免疫吸着アッセイにより
HCP含有量について分析する。
表9は、抗体収率、溶出液プール濃度、HCPレベルおよびHMWレベルにより評価し
た、異なるALC洗浄緩衝液条件の、溶出液中の3つのモノクローナル抗体の純度への影
響をまとめる。
表9:3つのモノクローナル抗体(#1、#2、および#4)についての、低いpH(W6-Ace5)、高
い塩(W1-N7)または高いpHでのアルギニン(W7-Arg9)を用いた洗浄後の、ALC性能の比較の
まとめ
Figure 2017160215
表9において上で示すように、低いpHでの洗浄(W6−Ace5)は、84.5%か
ら94.8%の間(平均:90.7%)の収率をもたらし、高い塩での洗浄(W1−N7
)は、98.7%の平均収率(97.6%から100%の間)をもたらす。高いpHでの
アルギニンを用いた洗浄(W7−Arg9)は、平均収率97.2%(94.1%から9
8.8%の間)で、3つの洗浄の中で最高の収率をもたらす。
溶出液濃度は、異なる抗体を用いたALCの間に適用された異なる洗浄緩衝液を比較し
た場合、明確な傾向を示していない。全体的には、同等の範囲が見出され、どちらの洗浄
も一貫して、最低または最高の濃度をもたらしていない。
不純物除去に関して、一般的な順序は、3つの洗浄緩衝液の間で確立することができる
。最低のHCP減少は、低いpH洗浄(W6−Ace5)を用いて、次に、高い塩洗浄(
W1−N7)を用いて、一貫して得られる。最高の不純物除去は、高いpH9.0でのア
ルギニンを用いた洗浄(W7−Arg9)により得られる。具体的には、除去の対数オー
ダーの観点から、1.3ログの平均値は、低いpHの洗浄(W6−Ace5)を用いた洗
浄の後に得られ、1.6ログは高塩洗浄(W1−N7)を用いて洗浄した後に得られ、1
.9ログの最高除去は、高いpH9.0でのアルギニン洗浄(W7−Arg9)を用いて
洗浄した後に達成される。
HMWレベルについて、これらのレベルは、3つの異なるモノクローナル抗体について
不均一であり、HMWの除去は、モノクローナル抗体依存である。全体的に、低pH洗浄
(W6−Ace5)は、HMWレベルの減少において、最も有効でない洗浄溶液である。
比較的良い結果が、高塩洗浄(W1−N7)により得られる。しかしながら、ALC溶出
液の最低HMW値は、一貫してアルギニンを用いた高pH9.0洗浄(W7−Arg9)
について見出される。2つのモノクローナル抗体は、それぞれ、高pH9.0洗浄(W7
−Arg9)と比較して、低pH洗浄(W6−Ace5)から、HMWの3.1倍または
3.9倍の減少率に応答するのに対し、モノクローナル抗体#2のみは、限界の減少を示
す。
要約すると、この実施例は、アルギニンと高いpHの新しい組合せが、収率、プール濃
度、HCPプール含有量およびHMWプールレベルにより測定されるように、標準的な洗
浄緩衝液と比較して、顕著に抗体純度および濃度を改善することを示している。アルギニ
ンと高いpHの特定の組合せを用いた洗浄は、同時に生成物の損失を最小限に抑えながら
、高い生成物純度および高い溶出液濃度をもたらす。更に、HCPおよびHMWレベルの
低下は、後続の下流の処理工程の負担を軽減し、品質および収益性の観点から、全体的な
プロセスのパフォーマンスを向上させる。更に、HCPまたはHMW種等の任意の汚染物
質が、更に生成物凝集の核としての役割を果たし得るため、捕捉工程中のそれらの減少は
、不純物に関連する凝集のプロセスを遅くする。

Claims (16)

  1. 目的のタンパク質が結合するアフィニティクロマトグラフィー(AC)マトリックスを
    使用して、精製した目的のタンパク質を生成する方法であって、8.0より高いpHのア
    ルギニンまたはアルギニン誘導体を含む洗浄溶液を用いて、ACマトリックスを洗浄する
    ことを含み、洗浄を非緩衝塩の存在なしで行う、方法。
  2. a)目的のタンパク質を含む混合物をACマトリックスへ添加することと、
    b)8.0より高いpHのアルギニンまたはアルギニン誘導体を含む洗浄溶液を用いて
    、ACマトリックスを洗浄することと、
    c)ACマトリックスから目的のタンパク質を溶出することと
    を含み、洗浄を非緩衝塩の存在なしで行う、請求項1に記載の方法。
  3. 目的のタンパク質が、抗体、抗体断片、またはFc融合タンパク質である、請求項1ま
    たは2に記載の方法。
  4. ACマトリックスがプロテインAカラムである、請求項3に記載の方法。
  5. プロテインAカラムを用いて、精製した抗体、抗体断片、またはFc融合タンパク質を
    生成する方法であって、
    a.抗体、抗体断片、またはFc融合タンパク質を含む混合物をプロテインAカラム
    上に添加することと、
    b.8.0より高いpHのアルギニンまたはアルギニン誘導体を含む洗浄溶液を用い
    て、プロテインAカラムを洗浄することと、
    c.プロテインAカラムから、抗体、抗体断片、またはFc融合タンパク質を溶出す
    ることと
    を含み、洗浄を非緩衝塩の存在なしで行う、方法。
  6. プロテインAカラムに抗体、抗体断片、またはFc融合タンパク質を添加する前、およ
    び/または、プロテインAカラムから抗体、抗体断片、またはFc融合タンパク質を溶出
    する前に、平衡緩衝液を用いて、プロテインAカラムを平衡化することを更に含む、請求
    項5に記載の方法。
  7. pHが8.5より高い、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. pHが約8.5〜9.5である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  9. pHが約8.9〜9.0である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  10. pHが9.0または約9.0である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  11. アルギニン誘導体が、アセチルアルギニン、アグマチン、アルギン酸、N−α−ブチロ
    イル−L−アルギミン、およびN−α−ピバロイルアルギミンから成る群から選択される
    、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. アルギニンが、0.1〜0.5Mの範囲の濃度で存在する、請求項1から6のいずれか
    一項に記載の方法。
  13. アルギニンが、または約0.25Mの濃度で存在する、請求項12に記載の方法。
  14. 洗浄溶液が、アルギニン−HClを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方
    法。
  15. 洗浄溶液が、高分子量(HMW)種、宿主細胞タンパク質(HCP)、および低分子量
    (LMW)種から成る群から選択される不純物を除去する、請求項1から14のいずれか
    一項に記載の方法。
  16. 洗浄溶液が、1つまたは複数の緩衝塩を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載
    の方法。
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