JP2017159568A - ワイピング装置、ワイピング装置の制御方法および液滴吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノズル面に付着した異物を短時間で効率良く除去することができるワイピング装置等を提供する。【解決手段】液滴吐出ヘッド13のノズル面13aを払拭するワイパー53と、ワイパー53を、ノズル面13aと平行な払拭方向および逆払拭方向に移動させる払拭移動機構42と、液滴吐出ヘッド13を、ワイパー53に押圧する押圧位置とワイパー53から離間させる退避位置との間で移動させる押圧移動機構44と、払拭移動機構42および押圧移動機構44を制御する制御部と、を備え、制御部は、液滴吐出ヘッド13を押圧位置に移動させた状態で、ワイパー53を逆払拭方向に移動させてワイパー53を前傾姿勢とした後、払拭方向に移動させて払拭動作を実施する。【選択図】図2
Description
本発明は、液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭するワイピング装置、ワイピング装置の制御方法および液滴吐出装置に関する。
従来、この種のワイピング装置として、UVインクをインクジェット方式で吐出する印刷ヘッドに対し、メンテナンスを実行するメンテナンスユニットが知られている(特許文献1参照)。
このメンテナンスユニットは、印刷ヘッドのノズル形成面を払拭するワイパー、ノズル形成面をキャッピングするキャップおよびこれらを支持する支持部材を有する移動体と、移動体をワイピング方向に移動させるワイパー駆動機構と、洗浄液を印刷ヘッドに向かって噴射する洗浄液供給管およびこれに接続された洗浄液供給切換部と、筐体と、を備えている。また、メンテナンスユニットは、印刷ヘッドを洗浄位置と退避位置との間で移動されるヘッド駆動機構と、ヘッド駆動機構、ワイパー移動機構および洗浄液供給切換部を制御する制御部と、を備えている。
制御部は、ワイパーを、ワイパー駆動機構によって払拭の起点に移動させると共にヘッド駆動機構によって印刷ヘッドを洗浄位置に移動させる。ここで、洗浄液供給管から洗浄液を印刷ヘッドの側面に向かって噴射させる。印刷ヘッドの側面に付着した洗浄液はノズル面の角部に流下する。次に、ワイパーを起点から終点まで移動させ、ワイパーにより洗浄液を塗り広げながらノズル形成面を払拭する。この往動動作では、ワイパーは移動方向と反対側に湾曲する。ワイパーが終点に達したら、ワイパーの湾曲状態を解消するために、印刷ヘッドをいったん退避位置に移動させてから洗浄位置に戻す。続いて、終点から起点までの復動動作に移行し、往動動作と同様にノズル形成面を払拭する。この復動動作においても、ワイパーは移動方向と反対側に湾曲することになる。このようにして、1回の払拭動作が行われ、これを5回繰り返してから加圧クリーニングに移行する。
このメンテナンスユニットは、印刷ヘッドのノズル形成面を払拭するワイパー、ノズル形成面をキャッピングするキャップおよびこれらを支持する支持部材を有する移動体と、移動体をワイピング方向に移動させるワイパー駆動機構と、洗浄液を印刷ヘッドに向かって噴射する洗浄液供給管およびこれに接続された洗浄液供給切換部と、筐体と、を備えている。また、メンテナンスユニットは、印刷ヘッドを洗浄位置と退避位置との間で移動されるヘッド駆動機構と、ヘッド駆動機構、ワイパー移動機構および洗浄液供給切換部を制御する制御部と、を備えている。
制御部は、ワイパーを、ワイパー駆動機構によって払拭の起点に移動させると共にヘッド駆動機構によって印刷ヘッドを洗浄位置に移動させる。ここで、洗浄液供給管から洗浄液を印刷ヘッドの側面に向かって噴射させる。印刷ヘッドの側面に付着した洗浄液はノズル面の角部に流下する。次に、ワイパーを起点から終点まで移動させ、ワイパーにより洗浄液を塗り広げながらノズル形成面を払拭する。この往動動作では、ワイパーは移動方向と反対側に湾曲する。ワイパーが終点に達したら、ワイパーの湾曲状態を解消するために、印刷ヘッドをいったん退避位置に移動させてから洗浄位置に戻す。続いて、終点から起点までの復動動作に移行し、往動動作と同様にノズル形成面を払拭する。この復動動作においても、ワイパーは移動方向と反対側に湾曲することになる。このようにして、1回の払拭動作が行われ、これを5回繰り返してから加圧クリーニングに移行する。
このような、従来のメンテナンスユニットでは、ノズル形成面の払拭に際し、ワイパーが移動方向と反対側に湾曲させるようにしている。すなわち、ワイパーは、ノズル形成面を撫ぜるように払拭動作する。このため、ノズル形成面には、主としてワイパーの撓みによる曲げ力が作用することになり、ノズル形成面への押当て力が弱く、ノズル形成面に付着した異物を効率良く除去することができなかった。特に、異物が硬化したUVインクである場合、ノズル面への付着力が強く(こびり付く)、これを除去するのに複数回の払拭動作を要し、ワイピング(メンテナンス)に時間がかかる問題があった。
本発明は、ノズル面に付着した異物を短時間で効率良く除去することができるワイピング装置、ワイピング装置の制御方法および液滴吐出装置を提供することを課題としている。
本発明のワイピング装置は、液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭するワイパーと、液滴吐出ヘッドに対しワイパーを、ノズル面と平行な払拭方向および逆払拭方向に相対的に移動させる払拭移動機構と、液滴吐出ヘッドをワイパーに押圧する押圧位置とワイパーから離間させる退避位置との間で、ワイパーに対し液滴吐出ヘッドを相対的に移動させる押圧移動機構と、払拭移動機構および押圧移動機構を制御する制御部と、を備え、ワイパーは、払拭動作に際し、払拭方向に前傾となる前傾姿勢および払拭方向に後傾となる後傾姿勢を維持可能に構成され、制御部は、液滴吐出ヘッドを押圧位置に移動させた状態で、ワイパーを逆払拭方向に移動させてワイパーを前傾姿勢とした後、払拭方向に移動させて払拭動作を実施することを特徴とする。
この構成によれば、ワイパーが払拭方向に前傾となる前傾姿勢を維持した状態で、払拭動作が実施される。すなわち、ワイパーが、払拭方向と同方向に湾曲した状態で払拭動作が実施される。このため、ノズル面には主としてワイパーの圧縮力が作用することになり、ノズル面に付着した異物を掻き取るように払拭動作させることができる。したがって、ノズル面に付着した(こびり付いた)異物を効率良く除去することができ、短時間で払拭動作を終了することができる。
この場合、制御部は、ワイパーを往復動させることにより、一回の払拭動作を実施し、ワイパーの前傾姿勢での往動の後、ワイパーを、そのまま後傾姿勢となるように復動させることが好ましい。
この構成によれば、ワイパーを前傾姿勢として往動では、異物を掻き取るように払拭動作するため異物を効果的に除去することができるが、ノズル内にエアー等が侵入しやすくなる。一方、ワイパーを後傾姿勢とした復動では、ワイパーがノズル面を撫ぜるように移動するため、いったんノズル内に侵入したエアー等を引き戻すように作用させることができる。したがって、ノズル面を効率良く且つ適切にワイピングすることができる。また、往動から復動に移行するときに、液滴吐出ヘッドをいったん退避位置に移動させる必要がなく、この点でも払拭動作を短時間で行うことができる。
また、ワイパーは、板状に形成されると共に、液滴吐出ヘッドにより押圧される先端が、ノズル面に平行な平坦面に形成されていることが好ましい。
この構成によれば、液滴吐出ヘッドをワイパーに押圧しておいて、ワイパーを逆払拭方向或いは払拭方向にわずかに移動させるだけで、ワイパーを前傾姿勢或いは後傾姿勢とすることができ、ワイパーの払拭姿勢を自在にコントロールすることができる。また、前傾姿勢および後傾姿勢において、ワイパーの先端角部をノズル面に突き当てることができ、安定した払拭動作を実施することができる。しかも、ワイパーを特殊な形状とする必要がなく、ワイパーを安価に形成することができる。
さらに、ノズル面に洗浄液を供給する洗浄液供給部を、備え、制御部は、洗浄液供給部を制御し、払拭動作に先だって洗浄液をノズル面に供給することが好ましい。
この構成によれば、洗浄液を巻き込みながらノズル面を払拭することができ、ノズル面に付着した異物を、短時間で効率良く除去することができる。
一方、液滴吐出ヘッドから吐出される機能液を加圧して、液滴吐出ヘッドを駆動することなく機能液を加圧吐出させる機能液加圧部を、備え、制御部は、機能液加圧部を制御し、一連の払拭動作が完了した後、機能液を加圧吐出させ、更に加圧吐出の後、ワイパーを払拭方向に移動させて、後傾姿勢による払拭動作を実施することが好ましい。
この構成によれば、液滴吐出ヘッドにおける機能液の強制的な加圧吐出により、前工程の払拭動作でノズルに侵入したエアー等を、完全に排出することができる。また、続く後傾姿勢の払拭動作で、ノズルのメニスカスに影響を与えることなく、ノズル面に付着した機能液を払拭することができる。したがって、液滴吐出ヘッドを適切にメンテナンスすることができる。
本発明のワイピング装置の制御方法は、払拭動作に際し、払拭方向に前傾となる前傾姿勢および払拭方向に後傾となる後傾姿勢を維持可能に構成されワイパーを用いて、液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭するワイピング装置の制御方法であって、液滴吐出ヘッドによりワイパーを相対的に押圧した状態で、液滴吐出ヘッドに対しワイパーを払拭方向と逆の逆払拭方向に相対的に移動させてワイパーを前傾姿勢とした後、ワイパーを払拭方向に相対的に移動させて、払拭動作を実施することを特徴とする。
この構成によれば、ワイパーが、払拭方向に前傾となる前傾姿勢を維持した状態で払拭動作が実施される。すなわち、ワイパーが払拭方向と同方向に湾曲した状態で、払拭動作が実施される。このため、ノズル面には主としてワイパーの圧縮力が作用することになり、ノズル面に付着した異物を掻き取るように払拭動作させることができる。したがって、ノズル面に付着した異物を効率良く除去することができ、短時間で払拭動作を終了することができる。
この場合、液滴吐出ヘッドに対しワイパーを相対的に往復動させることにより、一回の払拭動作を実施し、ワイパーの前傾姿勢での往動の後、ワイパーを、そのまま後傾姿勢となるように復動させることが好ましい。
この構成によれば、ワイパーを前傾姿勢として往動では、異物を掻き取るように払拭動作するため異物を効果的に除去することができるが、ノズル内にエアー等が侵入しやすくなる。一方、ワイパーを後傾姿勢とした復動では、ワイパーがノズル面を撫ぜるように移動するため、いったんノズル内に侵入したエアー等を引き戻すように作用させることができる。したがって、ノズル面を効率良く且つ適切にワイピングすることができる。また、往動から復動に移行するときに、液滴吐出ヘッドをいったん退避位置に移動させる必要がなく、この点でも払拭動作を短時間で行うことができる。
本発明の液滴吐出装置は、上記したワイピング装置と、液滴吐出ヘッドを有する印刷部と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、液滴吐出ヘッドのノズル面に付着した異物を、短時間で効率良く除去することができ、全体としてメンテナンスに要する時間を短縮することができる。したがって、液滴吐出装置を効率良く稼働することができ、生産性を向上させることができる。
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るワイピング装置、ワイピング装置の制御方法および液滴吐出装置について説明する。この液滴吐出装置は、記録媒体をロール・ツー・ロール方式で送ると共に、送られてゆく記録媒体にインクジェット方式の液滴吐出ヘッドにより紫外線硬化インク(以下、「UVインク」と言う。)を吐出して印刷を行うもの(印刷装置)である。また、ワイピング装置は、液滴吐出ヘッドをメンテナンスする液滴吐出装置のメンテナンスユニットに包含され、メンテナンスユニットにおけるワイピング機能奏する部分である。
[液滴吐出装置]
図1は、液滴吐出装置の構造を模式的に表した構造図である。同図に示すように、液滴吐出装置10は、記録媒体Pをロール・ツー・ロールで送る媒体送り部11と、複数の液滴吐出ヘッド13を有し、送られてゆく記録媒体PにUVインクを吐出して印刷を行うインク吐出部12と、インク吐出により記録媒体Pに付着したUVインクを紫外線照射により硬化させる紫外線照射部14と、を備えている。また、液滴吐出装置10は、複数の液滴吐出ヘッド13に対しメンテナンスを行うメンテナンス部15と、これに構成装置を覆う安全カバー16と、これら構成装置を統括制御する制御部17と、を備えている。なお、記録媒体Pの材質は、特に限定されるものではなく、紙系、フィルム系等の様々なものが用いられる。
図1は、液滴吐出装置の構造を模式的に表した構造図である。同図に示すように、液滴吐出装置10は、記録媒体Pをロール・ツー・ロールで送る媒体送り部11と、複数の液滴吐出ヘッド13を有し、送られてゆく記録媒体PにUVインクを吐出して印刷を行うインク吐出部12と、インク吐出により記録媒体Pに付着したUVインクを紫外線照射により硬化させる紫外線照射部14と、を備えている。また、液滴吐出装置10は、複数の液滴吐出ヘッド13に対しメンテナンスを行うメンテナンス部15と、これに構成装置を覆う安全カバー16と、これら構成装置を統括制御する制御部17と、を備えている。なお、記録媒体Pの材質は、特に限定されるものではなく、紙系、フィルム系等の様々なものが用いられる。
媒体送り部11は、主体を為す回転ドラム21と、ロール状の記録媒体Pを回転ドラム21に向かって繰り出す繰出しユニット22と、回転ドラム21から送られてくる印刷済みの記録媒体Pをロール状に巻き取る巻取りユニット23と、を有している。また、媒体送り部11は、繰出しユニット22と回転ドラム21との間に位置して、上流側中間ローラー24、給紙ローラー25および送込みローラー26を有している。同様に、媒体送り部11は、回転ドラム21と巻取りユニット23との間に位置して、送出しローラー27、排紙ローラー28および下流側中間ローラー29を有している。
回転ドラム21は、自由回転可能に構成され、給紙ローラー25と排紙ローラー28とにより送られてゆく記録媒体Pの摩擦力により回転する。回転ドラム21の軸部31には、エンコーダー(図示省略)が設けられている。繰出しユニット22は、記録媒体Pが巻回された繰出しリール33を有し、給紙ローラー25による記録媒体Pの送りに合わせてモーター駆動で回転し、記録媒体Pを繰り出す。上流側中間ローラー24は、自由回転ローラーであり、繰出しユニット22から繰り出された記録媒体Pを給紙ローラー25に向かって経路変更する。
給紙ローラー25は、モーター駆動のニップローラーで構成され、回転ドラム21のエンコーダーの検出結果に基づいて、回転ドラム21が所定の回転速度(周速)となるように、記録媒体Pを送る。送込みローラー26は、自由回転ローラーであり、給紙ローラー25から送られてくる記録媒体Pが回転ドラム21に巻き付くように経路変更する。送出しローラー27は、自由回転ローラーであり、回転ドラム21から送られてくる記録媒体Pを排紙ローラー28に向かって経路変更する。
排紙ローラー28は、モーター駆動のニップローラーで構成され、回転ドラム21に巻き付いた記録媒体Pに所定のバックテンションを付与しつつ、記録媒体Pを送る。下流側中間ローラー29は、自由回転ローラーであり、排紙ローラー28から送られてくる記録媒体Pを、巻取りユニット23に向かって経路変更する。巻取りユニット23は、記録媒体Pを巻取る巻取りリール35を有し、排紙ローラー28から送られてくる記録媒体Pの送りに合わせてモーター駆動で回転し、記録媒体Pを巻き取る。
記録媒体Pは、回転ドラム21の回転に伴って、回転ドラム21の外周面に沿って送られる。一方、回転ドラム21の上側外周面には、所定のギャップを存してインク吐出部12(複数の液滴吐出ヘッド13)が対峙しており、送られてゆく記録媒体PにUVインクを吐出する(印刷)。すなわち、回転ドラム21は、記録媒体Pを支持してその送り経路の一部を構成すると共に、記録媒体Pを挟んでインク吐出部12に対峙するプラテンとして機能している。
インク吐出部12は、回転ドラム21の外周面に沿って並んだ6個の液滴吐出ヘッド13を有している。6個の液滴吐出ヘッド13は、6色のUVインクに対応しており、記録媒体Pの送り方向(以下、単に「送り方向」という。)上流側から、ホワイト、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、クリアー(透明)の順で配設されている。イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのUVインクは、カラー画像の形成に、ホワイトのUVインクは、透明な記録媒体P等における下地色として用いられる。また、クリアーのUVインクは、カラー画像に重ねて印刷され、光沢感やマッド感等を生じさせる。
各液滴吐出ヘッド13は、ノズルピッチを相互に半ピッチ位置ずれさせた2本のノズル列37(図2参照)を有しており、2本のノズル列37は、記録媒体Pの送り方向に直交する方向(紙幅方向)、すなわち、図1における紙面の奥行方向に延在している。回転ドラム21により一定の速度で送られてゆく記録媒体Pに対し、複数の液滴吐出ヘッド13が選択的に駆動(インク吐出)することにより、カラー画像が印刷される。
紫外線照射部14は、6個の液滴吐出ヘッド13に対応して6個の照射ユニット39を有している。各照射ユニット39は、対応する液滴吐出ヘッド13の送り方向下流側に配設され、6個の液滴吐出ヘッド13と6個の照射ユニット39とは、送り方向に交互に配設されている。6個の照射ユニット39のうち、イエロー、シアン、マゼンタの液滴吐出ヘッド13に対応する3個の照射ユニット39は、UVインクを仮硬化させる仮硬化用のものである。
一方、6個の照射ユニット39のうち、ホワイト、ブラック、クリアーの液滴吐出ヘッド13に対応する3個の照射ユニット39は、UVインクを本硬化させる本硬化用のものである。仮硬化用の照射ユニット39は、記録媒体Pに着弾したUVインクの濡れ広がりが所望の状態となるようにUVインクを仮硬化させる。本硬化用の照射ユニット39は、記録媒体Pに着弾したUVインクを完全に硬化させる。
メンテナンス部15は、6個の液滴吐出ヘッド13に対応して6台のメンテナンスユニット40を有している。各メンテナンスユニット40は、対応する液滴吐出ヘッド13に対し、図1における紙面の奥側に配設されている。印刷モードからメンテナンスモードに切り替わると、各液滴吐出ヘッド13は、対応するメンテナンスユニット40の位置に移動する。そして、各メンテナンスユニット40は、液滴吐出ヘッド13に対し、いわゆるクリーニング、ワイピングおよびキャッピング等のメンテナンスを実施する。
[メンテナンスユニット]
以下、図2ないし図4を参照して、メンテナンスユニットおよびその機能について説明するが、ここでは、液滴吐出ヘッド13が下向き姿勢で臨むメンテナンスユニット40を例に説明を進める。また、この説明には、X・Y・Zの直交座標系を用いるものとする。すなわち、液滴吐出ヘッド13のノズル列37の列方向をX軸方向(図2における紙面の左右方向)、ノズル面13aの面内においてX軸方向に直交する方向をY軸方向(図2における紙面の前後方向)、そしてX軸方向およびY軸方向に直交する方向をZ軸方向(図2における紙面の上下方向)とする。また、移動の方向等が特定される場合には、それぞれ「+」および「−」の符号を付して方向を特定する(図2参照)。
以下、図2ないし図4を参照して、メンテナンスユニットおよびその機能について説明するが、ここでは、液滴吐出ヘッド13が下向き姿勢で臨むメンテナンスユニット40を例に説明を進める。また、この説明には、X・Y・Zの直交座標系を用いるものとする。すなわち、液滴吐出ヘッド13のノズル列37の列方向をX軸方向(図2における紙面の左右方向)、ノズル面13aの面内においてX軸方向に直交する方向をY軸方向(図2における紙面の前後方向)、そしてX軸方向およびY軸方向に直交する方向をZ軸方向(図2における紙面の上下方向)とする。また、移動の方向等が特定される場合には、それぞれ「+」および「−」の符号を付して方向を特定する(図2参照)。
図2に示すように、各メンテナンスユニット40は、液滴吐出ヘッド13に対し、ワイピングおよびキャッピングを行う本体ユニット41と、本体ユニット41を液滴吐出ヘッド13のノズル列37に直交する方向(X軸方向)に移動させる本体移動機構42(払拭移動機構)と、液滴吐出ヘッド13を、回転ドラム21に臨む印刷位置と本体ユニット41に臨むメンテナンス位置との間でY軸方向に移動させるヘッド移動機構43と、ヘッド移動機構43に組み込まれ、液滴吐出ヘッド13をZ軸方向に昇降させるヘッド昇降機構44(押圧移動機構)と、を備えている。
また、メンテナンスユニット40は、液滴吐出ヘッド13に供給するUVインクを加圧するインク加圧機構(機能液加圧部)46と、ワイピングに際し、液滴吐出ヘッド13に洗浄液を供給する洗浄液吐出部(洗浄液供給部)47と、本体ユニット41を収容する筐体48と、を備えている。そして、これら構成装置は、上記の制御部17により制御される。なお、請求項に言う「ワイピング装置」は、本体ユニット41、本体移動機構42、ヘッド昇降機構44および洗浄液吐出部47等により、構成されている。
本体ユニット41は、液滴吐出ヘッド13のノズル列37に直交する方向(X軸方向)に移動自在に構成されたユニットベース51と、ユニットベース51に設けられた一対のヘッドキャップ52と、ユニットベース51の端部に立設されたワイパー53と、を有している。なお、ワイパー53の詳細については、後述する。
本体移動機構42は、上記のメンテナンスモードに移行したときに、本体ユニット41を筐体48から引き出して、後述するワイピング開始位置に移動させる。また、本体移動機構42は、ワイパー53により液滴吐出ヘッド13のノズル面13aを払拭(ワイピング)する際に、本体ユニット41をX軸方向に往復動させる。さらに、本体移動機構42は、ヘッドキャップ52を液滴吐出ヘッド13の直下に移動させる。
図示では省略したが、本体移動機構42は、例えばリードネジ機構とこれを駆動するモーターとで構成されている。そして、リードネジ機構の雌ネジ部材が本体ユニット41に連結されている。なお、本実施形態では、本体移動機構42により、液滴吐出ヘッド13に対し本体ユニット41を移動させる構成としたが、これに加えて或いはこれに代えて、液滴吐出ヘッド13を移動させる構成とすることも可能である。
メンテナンスモード以外の状態で、本体ユニット41は筐体48に収容されている。筐体48は、ベース壁48a、側壁48bおよび天壁48cから成り、収容した本体ユニット41を紫外線から遮蔽し、これに付着したUVインクの硬化を抑制する。天壁48cに対しベース壁48aは、本体移動機構42側まで長く延在しており、図示しないが、ベース壁48a上には、本体ユニット41をX軸方向に移動自在とするスライドレール等が設けられている。
ヘッド移動機構43は、印刷モードからメンテナンスモードに移行したときに、液滴吐出ヘッド13を、印刷位置からメンテナンス位置にY軸方向に移動させる。図示では省略したが、ヘッド移動機構43は、例えばベルト駆動機構やリードネジ機構とこれを駆動するモーターとで構成されている。
ヘッド昇降機構44は、例えばキャリッジ(図示省略)を介して液滴吐出ヘッド13を昇降可能に支持している。すなわち、ヘッド昇降機構44は、上記のメンテナンス位置をメンテナンスのホーム位置(退避位置)として、液滴吐出ヘッド13を、ホーム位置、ワイパー53を押圧する払拭位置(押圧位置)、後述する加圧クリーニングの際にヘッドキャップ52に近接するクリーニング位置およびヘッドキャップ52にノズル面13aを接触させるキャッピング位置、との間でZ軸方向に昇降させる。
図示では省略したが、ヘッド昇降機構44は、例えばリードネジ機構とこれを駆動するモーターとで構成されている。そして、リードネジ機構の雌ネジ部材が液滴吐出ヘッド13(キャリッジ)に連結されている。なお、本実施形態では、ヘッド昇降機構44、本体ユニット41に対し液滴吐出ヘッド13を昇降させる構成としたが、これに加えて或いはこれに代えて、本体ユニット41を昇降させる構成とすることも可能である。
インク加圧機構46は、後述する加圧クリーニングの際に、液滴吐出ヘッド13に供給するUVインクを加圧して、液滴吐出ヘッド13のノズル13bからUVインクを勢い良く吐出させる。この場合、インク加圧機構46は、例えば液滴吐出ヘッド13に連なるインク供給チューブ55に、三方弁56を介して接続されている。もっとも、インク供給チューブ55に上流に接続されたインクタンク(図示省略)を加圧するものであってもよい。
洗浄液吐出部47は、洗浄液ヘッド61と、洗浄液ヘッド61に洗浄液を送液(供給)洗浄液送液部62と、洗浄液ヘッド61と洗浄液送液部62とを接続する洗浄液流路63と、洗浄液流路63に介設した洗浄液バルブ64と、を有している。洗浄液バルブ64は、制御部17に接続されており、制御部17が洗浄液バルブ64を開放することで、洗浄液ヘッド61から液滴吐出ヘッド13に向かって洗浄液が吐出される。詳細は後述するが、この洗浄液の吐出は、洗浄液を液滴吐出ヘッド13の下部側面に付着させるものであり、ワイパー53による払拭動作に先行して行われる。
洗浄液ヘッド61は、例えばステンレスのパイプで構成されており、延在方向の複数の吐出孔61aを有している。この場合、パイプ状の洗浄液ヘッド61は、マニホールド的な機能を持たせるべく、洗浄液流路63に比して十分に太径に形成されている。また、洗浄液ヘッド61は、液滴吐出ヘッド13の長手方向(Y軸方向)の長さに対応する長さを有しており、払拭位置に移動した液滴吐出ヘッド13の側面近傍に、且つ液滴吐出ヘッド13に沿うように配設されている。
ここで、図3を参照して、ワイパー53について詳細に説明する。ワイパー53は、ゴム等で断面矩形の板状に形成され、液滴吐出ヘッド13の長手方向(Y軸方向)の長さに対応する長さを有している。また、ワイパー53は、ユニットベース51の端部に垂直に立設され、その先端は、液滴吐出ヘッド13のノズル面13aに平行となるように平坦(平坦面53a)に形成されている。すなわち、ワイパー53の先端部は、断面方向において、平坦面53aとこれに直角に交わる2つの角部53b,53bを有している。そして、各角部53bは、可能な限り小さなR形状(0.1mmR以下)としている。
ワイパー53による払拭動作に先行して、ワイパー53に液滴吐出ヘッド13のノズル面13aが押し付けられるが、このとき、ワイパー53は鉛直姿勢のまま圧縮力を受ける。この状態で、例えばワイパー53を+X軸方向に移動させると、ワイパー53は、移動と逆方向とする−X軸方向に撓む。同様に、ワイパー53を−X軸方向に移動させると、ワイパー53は、+X軸方向に撓む。
以下の説明では、このワイパー53の撓みとその払拭方向とを加味し、払拭方向に撓んだ場合のワイパー53の姿勢を「前傾姿勢」、払拭方向と逆方向に撓んだ場合のワイパー53の姿勢を「後傾姿勢」と称呼する。例えばワイパー53を+X軸方向に払拭移動させる場合、+X軸方向が払拭方向であり、この払拭方向に対し前かがみとなるワイパー53の払拭姿勢が「前傾姿勢」であり、逆に、払拭方向に対しのけ反るワイパー53の払拭姿勢が「後傾姿勢」である。
例えば、図3において、+X軸方向が払拭方向であるとすると、液滴吐出ヘッド13に接触したワイパー53を、単純に+X軸方向に移動させれば、ワイパー53は後傾姿勢となって払拭動作することになる。一方、液滴吐出ヘッド13に接触したワイパー53を、−X軸方向にわずかに移動させれば、ワイパー53は前傾姿勢となり、続いて+X軸方向に移動させれば、ワイパー53は前傾姿勢のまま払拭動作することになる。
この場合、本実施形態のワイパー53は、適度な「腰」(剛性)を有しており、払拭動作において、後傾姿勢は元より前傾姿勢においても、その姿勢を維持するようになっている。特に、前傾姿勢のワイパー53によるワイピングでは、ワイパー53に圧縮力が作用するため、ワイパー53の角部53bは液滴吐出ヘッド13のノズル面13aに強く当たり、ノズル面13aに付着した(こびり付いた)異物を掻きとるように作用する。
図4は、メンテナンスにおける制御系のブロック図であり、制御部17には、本体移動機構42、ヘッド移動機構43、ヘッド昇降機構44およびインク加圧機構46が接続されている。また、制御部17には、洗浄液吐出部47および液滴吐出ヘッド13が接続されている。上述のように、制御部17は、本体移動機構42を制御し、本体ユニット41をX軸方向に移動させる。同様に、制御部17は、ヘッド移動機構43を駆動し、液滴吐出ヘッド13をY軸方向に移動させると共に、ヘッド昇降機構44を駆動し、液滴吐出ヘッド13をZ軸方向に移動させる。また、制御部17は、後述する加圧クリーニングの際にインク加圧機構46を駆動し、ワイピングの際には、洗浄液吐出部47(洗浄液バルブ64)を開閉し、後述するフラッシングの際には、液滴吐出ヘッド13を吐出駆動する。
[メンテナンス動作]
ここで、図5A〜図5Hおよび図6A〜図6Fの動作説明図を参照しながら、上記の制御部17によるメンテナンス動作について説明する。
メンテナンス動作は、ワイピング動作(図5A〜図5H参照)とクリーニング動作(図6A〜図6F参照)とに大別され、この順で実施される。また、クリーニング動作は、加圧クリーニングと仕上げワイピングとフラッシングとに細分化され、この順で行われる。なお、液滴吐出装置10の稼働停止時には、キャッピンクが行われる。
ここで、図5A〜図5Hおよび図6A〜図6Fの動作説明図を参照しながら、上記の制御部17によるメンテナンス動作について説明する。
メンテナンス動作は、ワイピング動作(図5A〜図5H参照)とクリーニング動作(図6A〜図6F参照)とに大別され、この順で実施される。また、クリーニング動作は、加圧クリーニングと仕上げワイピングとフラッシングとに細分化され、この順で行われる。なお、液滴吐出装置10の稼働停止時には、キャッピンクが行われる。
[ワイピング動作]
液滴吐出装置10がメンテナンスモードに移行すると、制御部17は、ヘッド移動機構43を駆動し、液滴吐出ヘッド13を印刷位置からメンテナンス位置に移動させる(図5A参照)。続いて、制御部17は、本体移動機構42を駆動し、本体ユニット41(ワイパー53)をワイピングの開始位置に移動させる(図5B参照)。ここで、制御部17は、ヘッド昇降機構44を駆動し、液滴吐出ヘッド13を払拭位置に移動させる。液滴吐出ヘッド13が払拭位置に移動したタイミングで、制御部17は、上記の洗浄液バルブ64を開放し、洗浄液ヘッド61を介して液滴吐出ヘッド13に洗浄液を付着させる(図5C参照)。
液滴吐出装置10がメンテナンスモードに移行すると、制御部17は、ヘッド移動機構43を駆動し、液滴吐出ヘッド13を印刷位置からメンテナンス位置に移動させる(図5A参照)。続いて、制御部17は、本体移動機構42を駆動し、本体ユニット41(ワイパー53)をワイピングの開始位置に移動させる(図5B参照)。ここで、制御部17は、ヘッド昇降機構44を駆動し、液滴吐出ヘッド13を払拭位置に移動させる。液滴吐出ヘッド13が払拭位置に移動したタイミングで、制御部17は、上記の洗浄液バルブ64を開放し、洗浄液ヘッド61を介して液滴吐出ヘッド13に洗浄液を付着させる(図5C参照)。
液滴吐出ヘッド13に付着した洗浄液は、ノズル面13aの端に向かって液だれし、ワイパー53に接触する。一方、液滴吐出ヘッド13が払拭位置に移動すると、ワイパー53は、液滴吐出ヘッド13のノズル面13aによって押圧された状態となる。この状態で、制御部17は、本体移動機構42を駆動し、本体ユニット41を−X軸方向、すなわち払拭方向と逆方向にわずかに移動させる。これにより、ワイパー53は、払拭方向(+X軸方向)に対し前傾姿勢となる(図5D参照)。また、ワイパー53が前傾姿勢となることで、ワイパー53はその角部53bがノズル面13aに接触する。この状態で、洗浄液は、ワイパー53とノズル面13aとの間の毛細管現象で、ノズル面13aに対し濡れ広がる。
ここで、制御部17は、本体ユニット41を+X軸方向(払拭方向)に移動(往動)させ、ワイパー53によるノズル面13aの払拭動作を実施する。この払拭動作では、ワイパー53は前傾姿勢を維持し、その角部53bでノズル面13aに付着した異物を掻きとるように移動する(図5E参照)。
本体ユニット41がワイピングの終了位置に移動したら、制御部17は、ヘッド昇降機構44を駆動し、液滴吐出ヘッド13を、いったんワイパー53から離間するように上昇させた後、再度払拭位置に下降させる(図5F参照)。液滴吐出ヘッド13がワイパー53から離間すると、ワイパー53は垂直姿勢に戻る。ここで、払拭方向が、+X軸方向から−X軸方向に移行することとなる。液滴吐出ヘッド13が再度払拭位置に下降すると、ワイパー53は液滴吐出ヘッド13により押圧された状態となる。
続いて、制御部17は、本体ユニット41を+X軸方向、すなわち払拭方向と逆方向にわずかに移動させる。これにより、ワイパー53は、払拭方向(−X軸方向)に対し前傾姿勢となる(図5G参照)。つぎに、制御部17は、本体ユニット41を−X軸方向(払拭方向)に移動(復動)させ、前傾姿勢のワイパー53によるノズル面13aの払拭動作を実施する。この場合も、ワイパー53は前傾姿勢を維持し、その角部53bでノズル面13aに付着した異物や洗浄液を掻きとるように移動する(図5H参照)。
このようにして、ノズル面13aに対する1往復のワイピング動作が行われるが、この時点で、ノズル面13aの異物除去が適切に行われれば、液滴吐出ヘッド13を上昇させた後、次のクリーニング動作に移行する。もちろん、必要に応じて、ワイパー53を複数回往復動させてもよい。かかる場合には、洗浄液吐出部47による洗浄液の吐出は、ワイパー53が1往復するごとに実施することとなる。また、ワイピング動作は、1回の或いは複数回の往動動作のみであってもよい。
[クリーニング動作]
このようにして、ワイピングが完了したら、制御部17は、ヘッド昇降機構44を駆動し、液滴吐出ヘッド13をクリーニング位置に移動させると共に、本体移動機構42を駆動し、ヘッドキャップ52を液滴吐出ヘッド13のノズル列37の直下に臨ませる(図6A参照)。ここで、制御部17は、インク加圧機構46を駆動(UVインクを加圧)し、液滴吐出ヘッド13の全てのノズル13bからUVインクを勢い良く吐出させる(図6B参照)。これにより、ワイピングの際にノズル13bに侵入した気泡や洗浄液が排除される。なお、この加圧クリーニングでは、液滴吐出ヘッド13は駆動しない。
このようにして、ワイピングが完了したら、制御部17は、ヘッド昇降機構44を駆動し、液滴吐出ヘッド13をクリーニング位置に移動させると共に、本体移動機構42を駆動し、ヘッドキャップ52を液滴吐出ヘッド13のノズル列37の直下に臨ませる(図6A参照)。ここで、制御部17は、インク加圧機構46を駆動(UVインクを加圧)し、液滴吐出ヘッド13の全てのノズル13bからUVインクを勢い良く吐出させる(図6B参照)。これにより、ワイピングの際にノズル13bに侵入した気泡や洗浄液が排除される。なお、この加圧クリーニングでは、液滴吐出ヘッド13は駆動しない。
このようにして、加圧クリーニングが完了したら、上記のワイピングの要領でワイパー53による仕上げワイピングを実施する(図6Cおよび図6D参照)。但し、仕上げワイピングでは、ワイパー53が後傾姿勢で払拭動作するようにする。すなわち、制御部17は、本体ユニット41を、往動開始直前および復動開始直前において、払拭方向と逆方向にわずかに移動させる動作は、行わない。また、洗浄液の吐出は行わない。
仕上げワイピングでは、ワイパー53を1往復させ、加圧クリーニングによってノズル面13aに付着したUVインクを払拭する。次に、制御部17は、ヘッドキャップ52を液滴吐出ヘッド13のノズル列37の直下に位置させた状態で、液滴吐出ヘッド13を駆動し、フラッシング(捨て吐出)を実施する(図6E参照)。これにより、液滴吐出ヘッド13のノズル13bに適切なメニスカスが形成される。最後に、制御部17は、液滴吐出ヘッド13および本体ユニット41を初期位置に戻し、一連のメンテナンス動作を完了する(図6F参照)。
以上のように、本実施形態によれば、液滴吐出ヘッド13のノズル面13aに対し、ワイパー53が払拭方向に前傾となる前傾姿勢を維持した状態で、ワイピング動作(払拭動作)が実施される。このため、ノズル面13aには主としてワイパー53の圧縮力が作用することになり、前傾姿勢のワイパー53の角部53bが、ノズル面13aに付着した異物を掻き取ることになる。したがって、ノズル面13aにこびり付いた異物をも、効率良く除去することができる。また、異物を効率良く除去することができため、短時間でワイピング動作を終了することができる。
また、加圧クリーニングにより、液滴吐出ヘッド13のノズル13b内に侵入した気泡や洗浄液を、効率良く排除することができる。特に、加圧クリーニングでは、吸引クリーニングと異なり、液滴吐出ヘッド13内が負圧になることがなく、気泡や洗浄液を適切に排除することができるだけでなく、時間をおかずに仕上げワイピングおよびフラッシングに移行することができる。したがって、クリーニング動作においても、時間の短縮を図ることができる。
[ワイピング動作の変形例]
次に、図7A〜図7Dを参照して、変形例にかかるワイピング動作について説明する。
このワイピング動作では、ワイパー53を、前傾姿勢で+X軸方向(払拭方向)に往動させところまでは、上記のワイピング動作と同一である(図5A〜図5E参照)。変形例のワイピング動作では、この往動を終了した状態から、液滴吐出ヘッド13を上昇させることなく、そのまま復動の払拭動作に移行する(図7A参照)。すなわち、制御部17は、往動を停止した直後に、今度はワイパー53(本体ユニット41)を−X軸方向(払拭方向)に移動(復動)させる。この復動の払拭動作では、ワイパー53はその絶対姿勢を変えないが、払拭方向が逆方向となるため、ワイパー53は相対的に後傾姿勢となる。
次に、図7A〜図7Dを参照して、変形例にかかるワイピング動作について説明する。
このワイピング動作では、ワイパー53を、前傾姿勢で+X軸方向(払拭方向)に往動させところまでは、上記のワイピング動作と同一である(図5A〜図5E参照)。変形例のワイピング動作では、この往動を終了した状態から、液滴吐出ヘッド13を上昇させることなく、そのまま復動の払拭動作に移行する(図7A参照)。すなわち、制御部17は、往動を停止した直後に、今度はワイパー53(本体ユニット41)を−X軸方向(払拭方向)に移動(復動)させる。この復動の払拭動作では、ワイパー53はその絶対姿勢を変えないが、払拭方向が逆方向となるため、ワイパー53は相対的に後傾姿勢となる。
このように、変形例のワイピング動作では、往動の払拭動作においてワイパー53を前傾姿勢とし(図5Dおよび図5E参照)、復動の払拭動作においてワイパー53を後傾姿勢として(図5Gに代えて図7A、および図5Hに代えて図7B)、1往復のワイピング動作が行われる。なお、この変形例のワイピング動作においても、ノズル面13aに対するワイピング動作は、1往復或いは複数往復とすることが好ましい。
以上のように、変形例のワイピング動作によれば、ワイパー53を、前傾姿勢として往動の払拭動作を行い、後傾姿勢として復動の払拭動作を行う。このため、往動の払拭動作では、主としてノズル面13aに付着した異物の除去が行われ、復動の払拭動作では、ノズル面13aに付着した洗浄液の除去が行われる。すなわち、ワイパー53の往動では、ノズル面13aにこびり付いた異物を掻きとるように払拭動作が行われ、ワイパー53の復動では、ノズル面13aに濡れ広がった洗浄液を拭き取るように、且つノズル13b内に侵入したエアー等を引き出すように払拭動作が行われる。
したがって、ノズル面13aを効率良く且つ適切にワイピングすることができる。また、往動から復動に移行するときに、液滴吐出ヘッド13をいったん退避位置に移動させる必要がなく、ワイピング動作を短時間で行うことができる。
10…液滴吐出装置、13…液滴吐出ヘッド、13a…ノズル面、13b…ノズル、15…メンテナンス部、17…制御部、40…メンテナンスユニット、41…本体ユニット、42…本体移動機構、43…ヘッド移動機構、44…ヘッド昇降機構、46…インク加圧機構、47…洗浄液吐出部、53…ワイパー、53a…平坦面、53b…角部、61…洗浄液ヘッド、61a…吐出孔、62…洗浄液送液部、63…洗浄液流路、64…洗浄液バルブ。
Claims (8)
- 液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭するワイパーと、
前記液滴吐出ヘッドに対し前記ワイパーを、前記ノズル面と平行な払拭方向および逆払拭方向に相対的に移動させる払拭移動機構と、
前記液滴吐出ヘッドを前記ワイパーに押圧する押圧位置と前記ワイパーから離間させる退避位置との間で、前記ワイパーに対し前記液滴吐出ヘッドを相対的に移動させる押圧移動機構と、
前記払拭移動機構および前記押圧移動機構を制御する制御部と、を備え、
前記ワイパーは、払拭動作に際し、前記払拭方向に前傾となる前傾姿勢および前記払拭方向に後傾となる後傾姿勢を維持可能に構成され、
前記制御部は、前記液滴吐出ヘッドを前記押圧位置に移動させた状態で、前記ワイパーを逆払拭方向に移動させて前記ワイパーを前傾姿勢とした後、前記払拭方向に移動させて前記払拭動作を実施することを特徴とするワイピング装置。 - 前記制御部は、前記ワイパーを往復動させることにより、一回の前記払拭動作を実施し、
前記ワイパーの前記前傾姿勢での往動の後、前記ワイパーを、そのまま前記後傾姿勢となるように復動させることを特徴とする請求項1に記載のワイピング装置。 - 前記ワイパーは、板状に形成されると共に、
前記液滴吐出ヘッドにより押圧される先端が、前記ノズル面に平行な平坦面に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のワイピング装置。 - 前記ノズル面に洗浄液を供給する洗浄液供給部を、備え、
前記制御部は、前記洗浄液供給部を制御し、前記払拭動作に先だって前記洗浄液を前記ノズル面に供給することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のワイピング装置。 - 前記液滴吐出ヘッドから吐出される機能液を加圧して、前記液滴吐出ヘッドを駆動することなく機能液を加圧吐出させる機能液加圧部を、備え、
前記制御部は、機能液加圧部を制御し、
一連の前記払拭動作が完了した後、前記機能液を前記加圧吐出させ、更に前記加圧吐出の後、前記ワイパーを前記払拭方向に移動させて、前記後傾姿勢による前記払拭動作を実施することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のワイピング装置。 - 払拭動作に際し、払拭方向に前傾となる前傾姿勢および払拭方向に後傾となる後傾姿勢を維持可能に構成されワイパーを用いて、液滴吐出ヘッドのノズル面を払拭するワイピング装置の制御方法であって、
前記液滴吐出ヘッドにより前記ワイパーを相対的に押圧した状態で、前記液滴吐出ヘッドに対し前記ワイパーを前記払拭方向と逆の逆払拭方向に相対的に移動させて前記ワイパーを前傾姿勢とした後、前記ワイパーを前記払拭方向に相対的に移動させて、前記払拭動作を実施することを特徴とするワイピング装置の制御方法。 - 前記液滴吐出ヘッドに対し前記ワイパーを相対的に往復動させることにより、一回の前記払拭動作を実施し、
前記ワイパーの前記前傾姿勢での往動の後、前記ワイパーを、そのまま前記後傾姿勢となるように復動させることを特徴とする請求項6に記載のワイピング装置の制御方法。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載のワイピング装置と、
前記液滴吐出ヘッドを有する印刷部と、を備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016046658A JP2017159568A (ja) | 2016-03-10 | 2016-03-10 | ワイピング装置、ワイピング装置の制御方法および液滴吐出装置 |
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JP2018111238A (ja) * | 2017-01-11 | 2018-07-19 | 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 | ヘッドクリーニング機構およびそれを備えたインクジェット記録装置 |
JP2018114666A (ja) * | 2017-01-18 | 2018-07-26 | 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 | ヘッドクリーニング機構およびそれを備えたインクジェット記録装置 |
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WO2023276998A1 (ja) * | 2021-06-29 | 2023-01-05 | ローランドディー.ジー.株式会社 | プリンタ |
-
2016
- 2016-03-10 JP JP2016046658A patent/JP2017159568A/ja active Pending
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