JP2017156178A - 牛白血病ウイルス感染動物の特定方法および医薬品組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な牛白血病ウイルス感染動物の特定方法等を提供する。
【解決手段】被験動物から採取された生物学的試料中に、WPPPQGRRRFGARAMVTYDCのアミノ酸配列の少なくとも一部を認識する抗体が存在するか否かを検出する工程と、当該抗体が存在する場合には被験動物が牛白血病ウイルスに感染していると判定する工程とを含む、牛白血病ウイルス感染動物の特定方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、牛白血病ウイルス感染動物の特定方法、および牛白血病ウイルスワクチン組成物等の医薬品組成物等に関するものである。
牛白血病ウイルス(BLV)は、悪性Bリンパ腫である地方病性牛白血病(EBL)を引き起こすレトロウイルスである。BLV感染牛は、長い潜伏期間(5〜10年)の後に、その約5%が白血病を発症して死に至る。有効な予防法および根治療法はなく、国内外で感染率および発症率が増加しており、畜産界への打撃が懸念されている。現在の対処法は、隔離または淘汰によって、拡大を防ぐことである。そのため、ワクチン組成物等の医薬品組成物による予防法および治療法の確立が急がれる。
非特許文献1には、Envタンパク質であるgp51のアミノ酸配列の64〜73番目のペプチドをウサギに免疫して得られた抗血清が、BLVにより誘導されるシンシチウムの形成を阻害すること等が記載されている。また、非特許文献2には、gp51の61〜70番目のアミノ酸配列をCD4エピトープとして同定したことが記載されている。
ところで、近年、家畜にワクチン接種を行なった場合、ワクチンによる抗体上昇が起こるため、自然感染動物と識別できないことが問題視されている。そのため、例えば鳥へのワクチン接種の実施は、政府管理の下、DIVA(Differntiating infected from vaccinated animals(ワクチン接種を受けた動物と感染動物の区別))システムを導入した上で行なうことが国際機関によって勧告されている(例えば、特許文献1)。
特許第4084403号公報(2008年2月22日公開)
I. Callebaut et al., Journal of Virology, Sept. 1993, p. 5321-5327. M. H. Gatei et al., Journal of Virology, Apr. 1993, p. 1796-1802.
BLV感染動物の効率的な特定ならびにワクチン組成物等の医薬品組成物による予防法および治療法を確立するためには、さらなるエピトープの探索が必要となる。また、BLV自然感染動物とBLV医薬品組成物接種動物とを識別することも必要となる。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、新規なBLV感染動物の特定方法、BLVワクチン組成物等の医薬品組成物、および当該医薬品組成物接種動物の中からBLV感染動物を識別する方法等を実現することにある。
前記の課題を解決するために、本発明は以下の発明を包含する。
(1)動物における牛白血病ウイルスの有無を検出する方法であって、前記動物から採取された生物学的試料中に、配列番号1に示すアミノ酸配列(WPPPQGRRRFGARAMVTYDC)の少なくとも一部を認識する抗体が存在するか否かを検出する検出工程を含む、検出方法。
(2)被験動物から採取された生物学的試料中に、配列番号1に示すアミノ酸配列の少なくとも一部を認識する抗体が存在するか否かを検出する検出工程と、前記抗体が存在する場合には前記被験動物が牛白血病ウイルスに感染いると判定する判定工程とを含む、牛白血病ウイルス感染動物の特定方法。
(3)前記判定工程では、さらに、前記抗体が存在しない場合には前記被験動物が牛白血病ウイルスに感染していないと判定する、前記(2)に記載の特定方法。
(4)前記配列番号1に示すアミノ酸配列の少なくとも一部を認識する抗体は、配列番号2に示すアミノ酸配列(GRRRFGARAMVTY)の少なくとも一部を認識する抗体である、前記(1)〜(3)の何れかに記載の方法。
(5)動物における牛白血病ウイルスの有無を検出するためのキットであって、配列番号1に示すアミノ酸配列(WPPPQGRRRFGARAMVTYDC)の少なくとも一部を含む、ペプチド、タンパク質、およびウイルス粒子のうちの少なくとも1つを抗原として備える、検出キット。
(6)牛白血病ウイルス感染動物に共通のB細胞エピトープの少なくとも1つのアミノ酸に変異を有する、変異体ペプチド、変異体タンパク質、変異体ウイルス粒子、およびこれらをコードする核酸のうちの少なくとも1つを含む、医薬品組成物。
(7)前記共通のB細胞エピトープは、配列番号1に示すアミノ酸配列に含まれる1つまたは複数のエピトープである、前記(6)に記載の医薬品組成物。
(8)前記変異を有するエピトープは、配列番号1に示すアミノ酸配列の7、9、10、16および18番目のアミノ酸の少なくとも1つに変異を有するアミノ酸配列を含む、前記(6)または(7)に記載の医薬品組成物。
(9)牛白血病ウイルスワクチン組成物である、前記(6)〜(8)の何れかに記載の医薬品組成物。
(10)前記(6)〜(9)の何れかに記載の医薬品組成物が接種された動物の中から牛白血病ウイルス感染動物を識別する方法であって、前記(6)〜(9)の何れかに記載の医薬品組成物が接種された被験動物から採取された生物学的試料中に、前記共通のB細胞エピトープを認識する抗体が存在するか否かを検出する検出工程と、前記抗体が存在する場合には前記被験動物が牛白血病ウイルスに感染いると判定工程とを含む、識別方法。
(11)前記(10)に記載の識別方法に使用される検出用抗体であって、牛白血病ウイルス感染動物に共通のB細胞エピトープを認識する抗体である、検出用抗体。
本発明は、新規なBLV感染動物の特定方法、BLVワクチン組成物等の医薬品組成物、および当該医薬品組成物接種動物の中からBLV感染動物を識別する方法等を提供することができるという効果を奏する。
実施例においてBLV−Env(gp51)に基づき作製したペプチドのアミノ酸配列を示す図である。 実施例においてBLV−Gag(p15、p24、およびp12)に基づき作製したペプチドのアミノ酸配列を示す図である。 実施例におけるgp51のペプチドマイクロアレイの結果を示す図である。 実施例におけるp15のペプチドマイクロアレイの結果を示す図である。 実施例におけるp24のペプチドマイクロアレイの結果を示す図である。 実施例におけるp12のペプチドマイクロアレイの結果を示す図である。 実施例におけるgp51p57のシングルアラニン置換のELISAの結果を示す図である。 実施例におけるgp51タンパク質の発現の評価、シンシチウムの形成の評価、および保存性の解析を示す図である。 実施例における23CLN細胞のpBLV−IF−R9A産生の結果を示す図である。
〔1.牛白血病ウイルスの有無を検出する方法〕
本発明に係る検出方法は、動物における牛白血病ウイルスの有無を検出する方法であって、当該動物から採取された生物学的試料中に、配列番号1に示すアミノ酸配列(WPPPQGRRRFGARAMVTYDC)の少なくとも一部を認識する抗体が存在するか否かを検出する検出工程を含む。
配列番号1に示すアミノ酸配列は、牛白血病ウイルスを構成する外被タンパク質であるEnv領域由来のgp51のアミノ酸配列(配列番号4)に基づき設計されたアミノ酸配列である。詳細には、配列番号1は配列番号4の58〜78番目のアミノ酸である。本発明者らは、後述の実施例のとおり、配列番号1に示すアミノ酸配列がBLV感染動物に共通するB細胞エピトープを含んでいることを見出している。
被験動物としては、ヒトおよび非ヒト動物が挙げられる。非ヒト動物は、特に限定されないが、例えば、ウシ(Bos taurus)、コブウシ(Bos indicus)、スイギュウ(Bubalus bubalis)、ヒツジ、ヤギ、ブタ、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、およびサル等の哺乳動物が挙げられる。ウシとしては、乳用種、肉用種、乳肉兼用種、役用種、および役肉兼用種等が挙げられる。具体的には、例えば、黒毛和種、日本短角種等の和牛、ホルスタイン、ジャージー、および各国の在来種等の品種が挙げられるが、これらに限定されない。被験動物は、好ましくはウシ、コブウシおよびスイギュウであり、より好ましくはウシおよびスイギュウであり、さらに好ましくはウシである。被験動物は、生きている動物であってもよいし、死亡した動物であってもよい。
生物学的試料としては、特に限定されないが、例えば、血液、尿、唾液、乳汁、および鼻汁等の体液に由来する試料が挙げられる。好ましくは、血液に由来する。血液に由来する試料としては、例えば、全血液、血清および血漿等が挙げられる。生物学的試料は、中でも、全血液、血清および血漿が好ましく、血清および血漿がより好ましい。本発明に係る牛白血病ウイルス感染動物の特定方法の一実施形態は、被験動物から生物学的試料を採取する工程を含み得る。また、本発明に係る牛白血病ウイルス感染動物の特定方法の一実施形態は、被験動物から採取された生物学的試料を前処理する工程を含み得る。生物学的試料の前処理としては、例えば、採取された全血液を精製して血清を得ること、および採取された全血液を精製して血漿を得ること等が挙げられる。
本明細書において「配列番号1に示すアミノ酸配列の少なくとも一部を認識する抗体」とは、配列番号1に示すアミノ酸配列の少なくとも一部と結合可能な抗体、好ましくは配列番号1に示すアミノ酸配列の少なくとも一部と特異的に結合可能な抗体を指し、一例では、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるペプチドの少なくとも一部と結合可能な抗体である。別の一例では、配列番号1に示すアミノ酸配列を含むペプチドまたはタンパク質に結合可能な抗体であって、当該ペプチドまたはタンパク質中の配列番号1に示すアミノ酸配列の少なくとも一部と結合可能な抗体である。一実施形態において当該抗体は、配列番号1に示すアミノ酸配列の7、9、10、16および18番目のアミノ酸のうちの少なくとも1つと結合可能な抗体である。より好ましい実施形態において当該抗体は、配列番号2に示すアミノ酸配列(PPQGRRRFGARAMVT)の少なくとも一部を認識する抗体である。さらに好ましい実施形態において当該抗体は、配列番号3に示すアミノ酸配列(GRRRFGARAMVTY)の少なくとも一部を認識する抗体である。この抗体のさらなる一例は、配列番号2または配列番号3に示すアミノ酸配列からなるペプチドの少なくとも一部と結合可能な抗体である。さらなる別の一例では、配列番号2または配列番号3に示すアミノ酸配列を含むタンパク質に結合可能な抗体であって、このタンパク質中の配列番号2または配列番号3に示すアミノ酸配列の少なくとも一部と結合可能な抗体である。
検出工程における検出原理は、特に限定されず、例えば、抗原抗体反応等に基づく検出法が挙げられる。検出工程は、抗原抗体反応に基づくことが好ましく、配列番号1に示すアミノ酸配列(以下「標的配列」という)の少なくとも一部を含むペプチド、タンパク質、またはウイルス粒子等を抗原として用いる(以下「検出用抗原」という)抗原抗体反応に基づくことがより好ましい。
標的配列の少なくとも一部を含むペプチドは、特に長さは限定されないが、例えば、3以上のアミノ酸長であることが好ましく、6以上のアミノ酸長であることがより好ましく、13以上のアミノ酸長であることがさらに好ましく、15以上のアミノ酸長であることがさらに好ましい。長さの上限についても特に限定されないが、ペプチドの長さは、例えば、50以下のアミノ酸長であることが好ましく、40以下のアミノ酸長であることがより好ましく、30以下のアミノ酸長であることがさらに好ましい。標的配列の少なくとも一部を含むペプチドにおいて、当該標的配列の少なくとも一部以外の部分のアミノ酸配列は特に限定されない。標的配列の少なくとも一部を含むペプチドは、例えば、配列番号4に示すgp51の任意のフラグメントと同一のアミノ酸配列であってもよいし、配列番号4と10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、または98%以上のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドの任意のフラグメントと同一のアミノ酸配列であってもよい。また、検出用のプレートまたはカラム等に固定するためのアミノ酸配列がさらに付加されていてもよい。
標的配列の少なくとも一部を含むタンパク質は、特に、標的配列の少なくとも一部を含む三次構造または四次構造を形成しているポリペプチドが意図される。標的配列の少なくとも一部を含むタンパク質において、当該標的配列の少なくとも一部以外の部分のアミノ酸配列は特に限定されない。標的配列の少なくとも一部を含むタンパク質は、例えば、配列番号4に示すgp51の全長と同一のアミノ酸配列であってもよいし、配列番号4と10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、または98%以上のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドからなるタンパク質であってもよい。また、検出用のプレートまたはカラム等に固定するためのアミノ酸配列がさらに付加されていてもよい。また、他のタンパク質と複合体を形成していてもよい。
標的配列の少なくとも一部を含むウイルス粒子は、標的配列の少なくとも一部を含むペプチドまたはタンパク質を保持するウイルス粒子が意図される。標的配列の少なくとも一部を含むウイルス粒子は、天然のウイルス粒子そのものであってもよいし、加熱もしくは薬剤等による不活化処理、または、細胞継代もしくは動物継代等の馴化操作または遺伝子操作等による弱毒化処理が施されたウイルス粒子であってもよい。また、ウイルス粒子は、ウイルスゲノムを含まないいわゆるウイルス様粒子(Virus-Like Particle;VLP)であってもよい。また、上述した標的配列の少なくとも一部を含むペプチドまたはタンパク質を発現するように改変されたウイルス粒子であってもよい。標的配列の少なくとも一部を含むウイルス粒子において、ウイルス粒子表面に標的配列が露出していることが望ましい。
抗原抗体反応に基づく場合、例えば、検出用抗原を、プレート、膜、カラム、ビーズ、または金コロイド等に固定するか、特定の領域(例えば、ウェル内)に配置し、被験動物から採取された生物学的試料を検出用抗原に接触させ、生物学的試料中の抗体と検出用抗原とを反応させて検出する。検出方法は、光学的方法、化学的方法、および物理的方法等の何れであってもよい。
好ましい抗原抗体反応としては、ELISA法、ウェスタンブロット法、免疫沈降法、免疫凝集法、ラジオイムノアッセイ法、イムノクロマトグラフィー法、蛍光抗体法、磁気ビーズ法、ペプチドアレイ法、蛍光ビーズ法、および金コロイド法等が挙げられる。
検出用抗原に対する抗体(検出用抗原特異的抗体)を使用した競合ELISA法を用いてもよい。競合ELISA法では、プレート等に付着させた検出用抗原と生物学的試料とを接触させ、次いで検出用抗原特異的抗体を添加する方法であり、もし、生物学的試料中に標的配列の少なくとも一部を認識する抗体(以下「検出対象抗体」という)が存在していれば、検出用抗原は検出対象抗体によってカバーされ、後から添加した検出用抗原特異的抗体は検出用抗原に結合することができない。そのため、例えば、検出用抗原特異的抗体を標識しておけば、生物学的試料中に検出対象抗体が存在するか否かを検出することができる。
「検出用抗原に対する抗体(検出用抗原特異的抗体)」は、免疫グロブリンのすべてのクラスおよびサブクラス、ならびに抗体の機能的断片が包含される。当該抗体はポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の何れの天然型抗体も含む概念であり、その他に、遺伝子組換え技術を用いて製造される抗体、ならびに当該抗体の機能的断片を含む。抗体の機能的断片とは、前述の抗体の一部分の領域を有し、かつ抗原結合能を有しているもの(結合性断片と同義)を指す。天然型抗体は、特に限定はされないが、ヒト、マウス、ラット、サル、ヤギ、ウサギ、ラクダ、ラマ、ウシおよびニワトリ等を含む、あらゆる生物種に由来し得る。遺伝子組換え技術を用いて製造される抗体としては、特に限定はされないが、天然型抗体を遺伝子改変して得られるヒト化抗体および霊長類化抗体等のキメラ抗体、合成抗体、組換え抗体、変異導入抗体およびグラフト結合抗体(例えば、他のタンパク質および放射性標識等がコンジュゲートまたは融合している抗体)が挙げられ、既に遺伝子組換え技術を用いて製造された抗体に対して、上述のように天然型抗体を遺伝子改変する場合と同様の改変を施した抗体も含まれる。また、抗体の機能的断片としては、具体的には例えばF(ab’)、Fab’、Fab、Fv(variable fragment of antibody)、sFv、dsFv(disulphide stabilized Fv)およびdAb(single domain antibody)等が挙げられる。
上述の抗体の検出は、検出可能なシグナルを誘引できるレポーター分子で標識した二次抗体と複合体を形成させることによって行い得る。あるいは、上述の抗体がレポーター分子で予め標識されていてもよい。レポーター分子は、例えば、酵素、発蛍光団含有分子、または放射性核種含有分子である。このようなレポーター分子は、様々なものが公知であり、適宜選択すればよい。
レポーター分子として酵素を用いる場合、酵素としては、例えば、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼ等を用いることができる。これら酵素と抗体との結合は、マレイミド化合物等の架橋剤を用いる公知の方法によって行うことができる。基質としては、使用する酵素の種類に応じて公知の物質を用いることができる。例えば酵素としてペルオキシダーゼを使用する場合には、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジシン等を用いることができる。また、酵素としてアルカリホスファターゼを用いる場合には、パラニトルフェノール等を用いることができる。放射性核種としては、125IまたはH等を用いることができる。蛍光色素としては、フルオロレッセンスイソチオシアネート(FITC)またはテトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)等を用いることができる。
また、検出用抗原特異的抗体の代わりにペプチドプローブを用いることもできる。
検出対象抗体を含むことが分かっている試料および検出対象抗体を含まないことが分かっている試料のうちの少なくとも一方を、コントロールとして利用してもよい。
〔2.牛白血病ウイルス感染動物の特定方法〕
本発明に係る牛白血病ウイルス感染動物の特定方法は、被験動物から採取された生物学的試料中に、配列番号1に示すアミノ酸配列(WPPPQGRRRFGARAMVTYDC)の少なくとも一部を認識する抗体が存在するか否かを検出する検出工程と、当該抗体が存在する場合には当該被験動物が牛白血病ウイルスに感染していると判定する判定工程とを含む。
本発明に係る特定方法における検出工程の説明は、〔1.牛白血病ウイルスの有無を検出する方法〕における検出工程の説明と同様である。また、本発明に係る特定方法の一実施形態は、被験動物から生物学的試料を採取する工程を含み得る。また、本発明に係る特定方法の一実施形態は、被験動物から採取された生物学的試料を前処理する工程を含み得る。
判定工程では、検出工程の結果に基づき、検出対象抗体が存在する場合には被験動物が牛白血病ウイルスに感染していると判定する。判定工程では、さらに、検出対象抗体が存在しない場合には被験動物が牛白血病ウイルスに感染していないと判定してもよい。
判定後、被検動物が非ヒト動物である場合、牛白血病ウイルスに感染していると判定された動物に対し、隔離または淘汰等の措置をとることができる。
〔3.牛白血病ウイルスの有無を検出するための検出キット〕
本発明はまた、動物における牛白血病ウイルスの有無を検出するためのキットであって、配列番号1に示すアミノ酸配列(WPPPQGRRRFGARAMVTYDC)の少なくとも一部を含む、ペプチド、タンパク質、およびウイルス粒子のうちの少なくとも1つを抗原として備える、検出キットを提供する。これらの抗原は、より好ましくは配列番号2に示すアミノ酸配列の少なくとも一部を含み、さらに好ましくは配列番号3に示すアミノ酸配列の少なくとも一部を含む。
本発明に係る検出キットは、〔1.牛白血病ウイルスの有無を検出する方法〕に記載の検出方法、および〔2.牛白血病ウイルス感染動物の特定方法〕に記載の検出工程に好適に使用することができる。
抗原として備えられるペプチド、タンパク質、およびウイルス粒子(検出用抗原)の説明は、〔1.牛白血病ウイルスの有無を検出する方法〕における説明と同様である。
検出用抗原は、基材に結合されていてもよい。基材としては、例えば、プレート、膜、カラム、ビーズ、および金コロイド等が挙げられる。基材には、蛍光タンパク質またはタグタンパク質等が固定化されていてもよい。基材は、マイクロウェルプレート(例えば、96ウェル)であることが好ましい。多数の試料を並行して処理することができるからである。
本発明に係る検出キットは、さらに、必要に応じて、基材、検出用抗原特異的抗体、ペプチドプローブ、各種試薬(二次抗体、レポーター分子、およびバッファー等)、器具(ピペット等)、検出キットの使用説明書、コントロール用の試料、等のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。これらの具体的な説明は、〔1.牛白血病ウイルスの有無を検出する方法〕に記載されている。なお、検出キットの使用説明書には、例えば、〔1.牛白血病ウイルスの有無を検出する方法〕で説明した検出方法、または〔2.牛白血病ウイルス感染動物の特定方法〕で説明した検出工程に関する具体的手順等が記載されている。
〔4.医薬品組成物〕
本発明に係る医薬品組成物は、牛白血病ウイルス感染動物に共通のB細胞エピトープの少なくとも1つのアミノ酸に変異を有する、変異体ペプチド、変異体タンパク質、変異体ウイルス粒子、およびこれらをコードする核酸のうちの少なくとも1つを含む。
「牛白血病ウイルス感染動物に共通」とは、牛白血病ウイルス感染動物の一定の分類集団の中で実質的に共通していることを指し、例えば、少なくとも同一の種(species)の同一の品種(breed)の感染動物間で実質的に共通している、あるいは少なくとも同一の種の感染動物間で実質的に共通している、あるいは少なくとも同一の属(genus)の感染動物間で実質的に共通している、あるいは少なくとも同一の科(family)の感染動物間で実質的に共通している、あるいは少なくとも同一の目(order)の感染動物間で実質的に共通している場合等が挙げられる。「実質的に共通している」とは、感染動物の一定の分類集団において、70%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上の感染動物で抗原抗体反応が検出されることを指す。感染動物は、特に限定されず、例えば、〔1.牛白血病ウイルスの有無を検出する方法〕で被験動物として例示したものが挙げられる。より具体的な一例では、種としてはウシ(Bos taurus)、コブウシ(Bos indicus)およびスイギュウ(Bubalus bubalis)等が挙げられ、属としてはBos属およびBubalus属等が挙げられ、科としてはウシ科(Bovidae)等が挙げられ、属としては偶蹄目(Artiodactyla)等が挙げられる。また、ウシの具体的な品種としては、例えば、黒毛和種、日本短角種等の和牛、ホルスタイン、ジャージー、および各国の在来種等の品種が挙げられるが、これらに限定されない。
「B細胞エピトープ」とは、野生型の牛白血病ウイルスタンパク質またはそのフラグメントにおいて、牛白血病ウイルス感染動物のB細胞により産生される抗体が結合する領域(結合部位を含む連続したアミノ酸領域)または部位(実際に結合する1つまたは複数の特定のアミノ酸)を指す。野生型のアミノ酸配列は、1つに限定されず、天然に見出される全てのアミノ酸配列が包含される。本発明において、野生型のアミノ酸配列は、天然に見出される全てのアミノ酸配列のうち最も多く見出されるアミノ酸配列であることが好ましい。
牛白血病ウイルス感染動物に共通のB細胞エピトープは、特に限定されないが、例えば、配列番号1に示すアミノ酸配列(WPPPQGRRRFGARAMVTYDC)に含まれる1つまたは複数のエピトープが挙げられ、また配列番号1に示すアミノ酸配列全体がエピトープであり得る。より好ましくは、共通のB細胞エピトープは、配列番号2に示すアミノ酸配列(PPQGRRRFGARAMVT)に含まれる1つまたは複数のエピトープであり、また配列番号2に示すアミノ酸配列全体がエピトープであり得る。さらに好ましくは、共通のB細胞エピトープは、配列番号3に示すアミノ酸配列(GRRRFGARAMVTY)に含まれる1つまたは複数のエピトープであり、また配列番号3に示すアミノ酸配列全体がエピトープであり得る。
アミノ酸の変異としては、アミノ酸の置換、挿入および欠失が挙げられる。アミノ酸の置換の場合、置換後のアミノ酸の種類は、野生型におけるアミノ酸と別の種類のアミノ酸であれば特に限定されないが、野生型におけるアミノ酸と性質(例えば、酸性/中性/塩基性、または親水性/疎水性等)または大きさが異なるアミノ酸であることが好ましい。野生型におけるアミノ酸と性質または大きさが異なるアミノ酸である場合、医薬品組成物が接種された動物では、野生型におけるアミノ酸を有する牛白血病ウイルスへの自然感染動物において産生される抗体とは認識性が異なる抗体が産生され得るため、医薬品組成物が接種された動物の中から牛白血病ウイルス感染動物(自然感染動物)を容易に識別することが可能となる。また、牛白血病ウイルスにおいて、B細胞エピトープの野生型のアミノ酸にバリエーションがある場合、バリエーションが見出されていないアミノ酸に変異していることが好ましい。一実施形態において、置換後のアミノ酸はアラニンである。
変異しているアミノ酸の個数は特に限定されないが、例えば、1〜5個であることが好ましく、1〜3個であることがより好ましく、1個であることがさらに好ましい場合がある。
アミノ酸変異の位置は、特に限定されないが、野生型において抗体が結合する位置であることが好ましい。医薬品組成物が接種された動物の中から牛白血病ウイルス感染動物をより容易に識別することが可能となるからである。配列番号1に示すアミノ酸配列では、例えば、1番目(W)、6番目(G)、7番目(R)、9番目(R)、10番目(F)、15番目(M)、16番目(V)、17番目(T)、および18番目(Y)のアミノ酸の少なくとも1つに変異を有することが好ましく、7番目(R)、9番目(R)、10番目(F)、16番目(V)、および18番目(Y)のアミノ酸の少なくとも1つに変異を有することがより好ましく、7番目(R)および9番目(R)のアミノ酸の少なくとも1つに変異を有することがさらに好ましく、9番目(R)に変異を有することが特に好ましい。配列番号2および配列番号3においても、上記アミノ酸に対応する箇所に変異を有することが好ましい。
変異を有するエピトープは、配列番号1に示すアミノ酸配列(WPPPQGRRRFGARAMVTYDC)の7、9、10、16および18番目のアミノ酸の少なくとも1つに変異を有するアミノ酸配列を含むことが好ましく、配列番号1に示すアミノ酸配列の7および9番目のアミノ酸の少なくとも1つに変異を有するアミノ酸配列を含むことがより好ましく、配列番号1に示すアミノ酸配列の9番目のアミノ酸に変異を有するアミノ酸配列を含むことがさらに好ましい。また、変異を有するエピトープとして好ましい一例として、配列番号1に示すアミノ酸配列の上述のアミノ酸の少なくとも1つに変異を有するアミノ酸配列からなるものが挙げられ、より好ましい一例として、配列番号5〜9に示すアミノ酸配列を含むものまたは配列番号5〜9に示すアミノ酸配列からなるものが挙げられる。変異を有するエピトープとして特に好ましい一例は、配列番号6に示すアミノ酸配列である。
上述のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加は、公知の方法で行うことができる。公知の方法としては、例えば、Kunkel法等の部位特異的な変異導入法を利用して所望の変異を遺伝子に導入した後、変異体ペプチドまたはタンパク質を生合成する方法が挙げられる。あるいは、上述のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加をした配列を、ペプチド合成法によって合成することが挙げられる。
「変異体ペプチド」とは、野生型の牛白血病ウイルスにおける対応するペプチド(例えば、タンパク質のフラグメント)のアミノ酸に変異を有するペプチドを指し、牛白血病ウイルス感染動物に共通のB細胞エピトープに少なくとも1つのアミノ酸に変異を有する。なお、変異体ペプチドは、B細胞エピトープ以外のアミノ酸にも変異を有していてもよい。変異体ペプチドは、特に長さは限定されない。B細胞エピトープが配列番号1に示すアミノ酸配列に含まれるエピトープである場合、ペプチドの長さは、例えば、3以上のアミノ酸長であることが好ましく、6以上のアミノ酸長であることがより好ましく、13以上のアミノ酸長であることがさらに好ましく、15以上のアミノ酸長であることがさらに好ましい。長さの上限についても特に限定されないが、変異体ペプチドの長さは、例えば、50以下のアミノ酸長であることが好ましく、40以下のアミノ酸長であることがより好ましく、30以下のアミノ酸長であることがさらに好ましい。
「変異体タンパク質」とは、野生型の牛白血病ウイルスにおける対応するタンパク質のアミノ酸に変異を有するタンパク質を指し、牛白血病ウイルス感染動物に共通のB細胞エピトープに少なくとも1つのアミノ酸に変異を有する。「変異体タンパク質」は、特に、三次構造または四次構造を形成しているポリペプチドが意図される。変異体タンパク質は、例えば、配列番号4に示す野生型gp51の全長において共通B細胞エピトープに変異を有するものであってもよいし、配列番号4と10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、または98%以上のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドからなるタンパク質において共通B細胞エピトープに変異を有するものであってもよい。また、変異体タンパク質は、精製用のアミノ酸配列が付加されていてもよい。また、変異体タンパク質は、他のタンパク質と複合体を形成していてもよい。
「変異体ウイルス粒子」は、上述の変異体ペプチドまたは変異体タンパク質を保持する、または上述の変異体ペプチドまたは変異体タンパク質をコードする遺伝子を保持するウイルス粒子が意図される。変異体ウイルス粒子は、加熱もしくは薬剤等による不活化処理、または、細胞継代もしくは動物継代等の馴化操作または遺伝子操作等による弱毒化処理が施されたウイルス粒子であってもよい。また、変異体ウイルス粒子は、ウイルスゲノムを含まないいわゆるウイルス様粒子(Virus-Like Particle;VLP)であってもよい。変異体ウイルス粒子において、ウイルス粒子表面に共通B細胞エピトープが露出していることが望ましい場合がある。また、医薬品組成物が変異体ウイルス粒子を含む場合であって、野生型タンパク質をコードする遺伝子が、変異体タンパク質をコードする遺伝子に置き変えられている場合には、接種される動物における変異体タンパク質の発現を完全には喪失しない、または変異体タンパク質の機能を完全には喪失しない変異であることが好ましい。
「これらをコードする核酸」とは、変異体ペプチド、変異体タンパク質、または変異体ウイルス粒子をコードする核酸(以下「変異体核酸」という)である。変異体核酸はDNAであってもよいし、RNAであってもよい。牛白血病ウイルスの核酸配列は公知である(例えば、GenBankアクセッション番号:EF600696)ため、当業者はコドン表等を参照すれば容易に変異体核酸の配列を設計することができる。なお、gp51全長のアミノ酸をコードする核酸配列の一例は、配列番号10に示すとおりであるが、これに限定されない。変異体ウイルス粒子をコードする核酸は、例えば、野生型の牛白血病ウイルスの感染性分子クローンに、遺伝子操作(例えば、site-direct mutagenesis)等によって変異を導入した核酸が挙げられる。
医薬品組成物は、当該医薬品組成物に含まれる「変異体ペプチド、変異体タンパク質、変異体ウイルス粒子、およびこれらをコードする核酸のうちの少なくとも1つ」に対応する野生型のペプチド、タンパク質、ウイルス粒子、およびこれらをコードする核酸を含まないことが望ましい。
医薬品組成物は、これらの他に、薬学的に許容される担体、潤滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧調整用の塩類、緩衝剤、着色剤、抗酸化剤、粘度調整剤、賦活剤、またはナノ粒子等を含んでいてもよい。薬学的に許容される担体としては、例えば、水、各種塩溶液、アルコール、植物油、およびミネラルオイル等が挙げられるが、これらに限定されない。
医薬品組成物における変異体ペプチド、変異体タンパク質、変異体ウイルス粒子、およびこれらをコードする核酸の含有量は特に限定されず、適宜、設定すればよい。
医薬品組成物の形態も特に限定されず、例えば、注射剤、液剤、懸濁剤、乳剤、散剤、顆粒剤、およびカプセル剤等が挙げられる。医薬品組成物の投与形態も特に限定されず、経口投与であってもよいし、非経口投与(皮下投与、経鼻投与、腹腔内投与、皮膜投与、筋肉内投与、または静脈内投与等)であってもよい。本発明に係る医薬品組成物の一例は、牛白血病ウイルスワクチン組成物である。本発明に係る医薬品組成物の別の一例は、変異抗原含有組成物である。本発明に係る医薬品組成物のさらに別の一例は、変異B細胞エピトープ含有組成物である。
本発明に係る医薬品組成物は、牛白血病の予防または治療に好適に使用され得る。そのため、本発明はまた、本発明に係る医薬品組成物を対象動物に接種または投与する工程を含む、牛白血病の予防または治療方法を提供する。本発明はまた、本発明に係る牛白血病ウイルスワクチン組成物を対象動物に接種する工程を含む、牛白血病の予防方法を提供する。
〔5.医薬品組成物が接種された動物の中から牛白血病ウイルス感染動物を識別する方法〕
本発明に係る識別方法は、上述の本発明に係る医薬品組成物が接種された動物の中から牛白血病ウイルス感染動物を識別する方法であって、当該医薬品組成物が接種された被験動物から採取された生物学的試料中に、前記共通のB細胞エピトープを認識する抗体が存在するか否かを検出する検出工程と、当該抗体が存在する場合には当該被験動物が牛白血病ウイルスに感染していると判定する判定工程とを含む。
被験動物および生物学的試料の説明は、〔1.牛白血病ウイルスの有無を検出する方法〕における説明と同様である。
本明細書において「共通のB細胞エピトープを認識する抗体」とは、共通のB細胞エピトープと結合可能な抗体、好ましくは共通のB細胞エピトープと特異的に結合可能な抗体を指す。
検出工程の説明は、〔1.牛白血病ウイルスの有無を検出する方法〕における検出工程と同様である。ただし、本発明に係る識別方法において、「検出用抗原」は、共通のB細胞エピトープを含むペプチド、タンパク質、またはウイルス粒子等であることが好ましく、「配列番号1に示すアミノ酸配列を含むペプチド、タンパク質、またはウイルス粒子等」はより好ましい一例である。
本発明に係る識別方法の検出工程は、検出用抗原に対する抗体(好ましくはモノクローナル抗体)を使用した競合ELISA法であることが好ましい。競合ELISA法の基本的な原理の一例および具体的な説明については、〔1.牛白血病ウイルスの有無を検出する方法〕に記載のとおりである。本発明に係る医薬品組成物は、共通のB細胞エピトープの少なくとも1つのアミノ酸に変異を有する、変異体ペプチド、変異体タンパク質、変異体ウイルス粒子、およびこれらをコードする核酸のうちの少なくとも1つを含んでいるため、自然感染した場合に産生される抗体(野生型に対する抗体)とは認識するアミノ酸が異なっている抗体(変異体に対する抗体)を産生させる。医薬品組成物が接種された動物のうち牛白血病ウイルスに感染していない動物では、変異体に対する抗体のみを体内に有する。そのため、プレート等に付着させた検出用抗原と生物学的試料とを接触させ、次いで検出用抗原特異的抗体を添加した場合、共通のB細胞エピトープを含む検出用抗原と変異体に対する抗体とは結合せず、検出用抗原特異的抗体が検出用抗原と結合する。一方、医薬品組成物が接種された動物のうち牛白血病ウイルスに感染している動物では、変異体に対する抗体だけでなく、野生型に対する抗体も体内に有する。そのため、プレート等に付着させた検出用抗原と生物学的試料とを接触させ、次いで検出用抗原特異的抗体を添加した場合、共通のB細胞エピトープを含む検出用抗原と野生型に対する抗体が結合し、検出用抗原特異的抗体は検出用抗原と結合することができない。そのため、例えば、検出用抗原特異的抗体を標識しておけば、生物学的試料中に共通のB細胞エピトープを認識する抗体が存在するか否かを検出するができる。このような反応性の違いを利用することにより、好適に競合ELISA法を採用することができる。
検出対象抗体を含むことが分かっている試料および検出対象抗体を含まないことが分かっている試料のうちの少なくとも一方を、コントロールとして利用してもよい。
判定工程では、検出工程の結果に基づき、検出対象抗体が存在する場合には被験動物が牛白血病ウイルスに感染していると判定する。判定工程では、さらに、検出対象抗体が存在しない場合には被験動物が牛白血病ウイルスに感染していないと判定してもよい。
判定後、被検動物が非ヒト動物である場合、牛白血病ウイルスに感染していると判定された動物に対し、隔離または淘汰等の措置をとることができる。
また、本発明に係る識別方法の一実施形態は、被験動物から生物学的試料を採取する工程を含み得る。また、本発明に係る識別方法の一実施形態は、被験動物から採取された生物学的試料を前処理する工程を含み得る。
〔6.検出用抗体〕
本発明に係る検出用抗体は、本発明に係る識別方法に使用される検出用抗体であって、牛白血病ウイルス感染動物に共通のB細胞エピトープを認識する抗体である。当該抗体はレポーター分子で標識されていることが好ましい。
「牛白血病ウイルス感染動物に共通のB細胞エピトープを認識する抗体」の説明は、〔1.牛白血病ウイルスの有無を検出する方法〕における「検出用抗原に対する抗体」の説明と同様である。当該抗体は、医薬品組成物に含まれる変異体ペプチド、変異体タンパク質、および/または変異体ウイルス粒子と結合しない抗体であることが好ましい。
なお、本発明に係る検出用抗体のうち、共通のB細胞エピトープが配列番号1に示すアミノ酸配列に含まれる1つまたは複数のエピトープである場合、本発明に係る特定方法および本発明に係る検出方法においても使用することができ、また、本発明に係る検出キットの構成要素となり得る。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
〔ペプチドマイクロアレイを用いた共通BLVエピトープの探索〕
BLVのEnv領域のタンパク質(gp51)およびBLVのGag領域のタンパク質(p15、p24、およびp12)上のエピトープを網羅的に探索するために、これらタンパク質のアミノ酸配列に由来する15アミノ酸からなる候補ペプチドを合計156種類合成した(図1、図2)。これらは4アミノ酸ずつずらして作製されたペプチドである。これらをスライドガラスに固定化したペプチドマイクロアレイ(JPT Peptide Technologies社製)を作製した。候補ペプチド1種類につき3ヶ所に固定した。なお、gp51、p15、p24、およびp12の全長のアミノ酸配列はそれぞれ、配列番号4、11〜13に示すとおりである。
実験には、BLV感染感受性の異なる4頭の黒毛和種牛を用意した。BLV感染感受性に関するウシMHC(BoLA)クラスII DRB3遺伝子の遺伝子型を、BoLA−DRB3 PCR−SBT法(文献:Takeshima SN et al., Tissue Antigens 2011.参照)を用いてタイピングした。感受性牛1および感受性牛2はBoLA−DRB3のアリルがDRB31601/1601の感受性牛であり、非感受性牛1はBoLA−DRB3のアリルがDRB31501/2703中立牛であり、非感受性牛2はBoLA−DRB3のアリルがDRB31501/0503の中立牛である。
まず、これら4頭のウシ個体からBLV感染前に採血し、血清サンプル(BLV陰性血清)を得た。続いて、これら4頭の牛個体にBLVを感染させ、BLV−ELISAによる抗体価の上昇、およびBLV−CoCoMo−qPCRによるプロウイルス量の上昇を確認した後採血し、血清サンプル(BLV陽性血清)を得た。
ペプチドマイクロアレイに血清を添加後、BLV由来ペプチドと結合したウシ抗体をAlexa Fluor 647と結合したヤギ抗ウシIgG抗体で標識した。これをマイクロアレイリーダー(GenePix 4000B,Molecular Devices社製)で検出し、それぞれのスポットの強度を目視で5段階評価(0〜4)した(図3〜6)。同一個体について、BLV接種前と接種後とを比較することによって、BLV特異的に反応の得られた候補ペプチドを選択した。その結果、4頭のウシで共通してBLV感染後に反応が上昇した候補ペプチドはgp51No16(PPQGRRRFGARAMVT;配列番号2)のみであった(図3)。一方、p15、p24、およびp12由来の候補ペプチドではBLV感染牛特異的に反応するものは見出されなかった(図4〜6)。
〔エピトープを用いたペプチドELISA法の確立〕
ペプチドマイクロアレイは多検体のエピトープの探索には適さないため、4頭のBLV感染牛で特異的に反応したgp51No16ペプチドを用いたペプチドELISAの開発を試みた。ペプチドをELISAプレートに固相化するため、キャリアタンパク質を利用するペプチドELISA法を選択した。キャリアタンパク質mcKLH(Mariculture Keyhole Limpet Hemocyanin)をSulfo−SMCCにマレイミド化し、96ウェル平底マイクロプレート(住友ベークライト株式会社製)に固相化した。このマレイミド化KLHのマレイミド基がフリーのスルフヒドリルを含むシステイン(Cys)と反応し、安定なチオエーテル結合を形成する。この反応を利用し、gp51No16ペプチドのアミノ酸配列を含むBLV由来の20アミノ酸からなるペプチドgp51p57(WPPPQGRRRFGARAMVTYDC;配列番号1)のC末端側のCysを利用して、mcKLHと結合したペプチドELISA法の構築を試みた。
プレートに固定するキャリアタンパク質mcKLHの濃度検討を行い、0.5μg/wellに決定した。次に、血清の希釈倍数の検討を行い、陽性血清の吸光度の値が1を超える、500倍希釈を選択した。続いて、二次抗体の希釈倍数の検討行ったところ、吸光度の値が1前後を示す、625倍希釈を選択した。
一方、抗原ペプチドの添加なしでも高い吸光度の値が出ていることから、非特異的反応を検出していることが判明したため、血清中に予めKLHおよびmcKLHで混ぜ、37℃で30分間培養し非特異的な抗体を除去する、吸収法による血清中の非特異的な抗体の除去の検討を行った。血清中に混ぜるKLHおよびmcKLHの濃度の検討を行った。血清に添加するKLHの濃度の増加に伴って、陰性血清と陽性血清とのバックグラウンド吸光度の差がなくなっていくことが明らかであった。最終的に、陰性血清と陽性血清がほぼ同じ値を示した、200μg/mLを吸収に用いるKLHの濃度とした。続いて、吸収に用いるmcKLHの濃度を検討した。mcKLHなしと比較して明らかな吸収効果が得られたため、mcKLHは2μg/wellで使用することとした。さらに、バックグランドを低減させるため、ウマ血清またはブタ血清を用いたブロッキングステップを検討し、5%ウマ血清でブロッキングし、さらにサンプルに10%ウマ血清を添加することとした。
〔917検体のBLV感染牛を用いた共通B細胞エピトープの同定結果〕
共通B細胞エピトープの同定を試みるために、上記で同定したgp51No16を含むgp51p57(配列番号1)を合成して、異なるBoLA−DRB3アリルを有する大量の検体サンプル(917検体)を用いて反応性を調べた。その結果、gp51p57は25種類のBoLA−DRB3アリルを有する647頭のBLV自然感染牛由来の血清サンプルの中の590サンプル(91.2%)、および23種類のBoLA−DRB3アリルを有する270頭のBLV陰性牛由来の血清サンプルの中の33サンプル(12.2%)に対して陽性反応を示した。以上の結果から、gp51p57は共通B細胞エピトープを含んでいることが示唆された。
〔共通抗体結合部位の同定結果〕
共通のB細胞エピトープを含んでいるgp51p57における抗体結合部位の同定を行った。そのために、gp51p57のアミノ酸配列の1つのアミノ酸をアラニンに置換したペプチドを合成して(図7左)、上述した4頭のBLV実験感染牛由来の血清(図7中央)および71頭のBLV自然感染牛由来の血清(図7右)を用いて、ELISA実験を行った。野生型配列のgp51p57をポジティブコントロールとし、ペプチド無添加をネガティブコントロールとした。刺激指数(SI)を以下の式を用いて算出した:SI=(野生型gp51p57または変異gp51p57のOD450)/(ペプチド無添加のOD450)。SI値がペプチド無添加の場合と同じかそれより低い場合に、反応性が低下していると判定した。4頭のBLV実験感染牛および71頭BLV自然感染牛由来の血清サンプルを用いた実験において、gp51p57は全ての血清サンプルに反応したが、一方、シングルアラニン置換ペプチドR7A、R9A、F10A、V16A、およびY18Aは、調べた血清サンプルに対して反応を示さなかった。以上の結果から、共通B細胞エピトープgp51p57の中に、5つの抗体結合に寄与するアミノ酸:R(7)、R(9)、F(10)、V(16)、Y(18)が同定された。
〔gp51タンパク質の発現およびシンシチウムの形成の評価〕
同定された抗体結合部位をDIVA配列の候補として利用するには、gp51タンパク質の発現およびシンシチウムの形成に影響がないことを確認する必要がある。そのため、同定された抗体結合部位のアミノ酸をアラニンに置換した変異体BLV感染性分子クローンpBLV−IFを構築した。具体的には、BLV感染性分子クローンpBLV−IFのenv遺伝子を含む領域をpBluescript SK−II(−)ベクターにクローニングした。これを鋳型とし、PrimeSTAR GXL(タカラバイオ社製)を用いたsite−direct mutagenesisによって、シングルアラニン置換を導入した。このシングルアラニン置換が導入されたenv遺伝子断片を、制限酵素サイトHindIIIおよびBmgBIを利用して、pBLV−IFに挿入した。
これらの変異体pBLV−IFを23CLN細胞にトランスフェクションして、ウェスタンブロット法でgp51タンパク質の発現を調べた(図8のa)。野生型pBLV−IFを23CLN細胞にトランスフェクションした場合は、ポジティブコントロールとして使用したFLK−BLV(BLV感染ヒツジ胎児腎臓細胞)と同じ分子量のgp51タンパク質を検出した。一方、コントロールベクターpSK−IIをトランスフェクションした場合は、BLV Envは検出されなかった。続いて、5つの変異体pBLV−IFそれぞれについて、トランスフェクションした細胞において、FLK−BLVで確認されたgp51タンパク質のバンドと同じ位置にバンドが検出された。この結果から、同定されたそれぞれ5つ抗体結合部に寄与するアミノ酸はgp51タンパク質の発現に影響がないことが明らかとなった。
また、これら抗体結合部に相当するアミノ酸がEnvの機能であるシンシチウム形成能に関与するか否かを調べるために、変異体pBLV−IFを293T細胞にトランスフェクションして、36時間培養後にシンシチウムを観察した。図8のbに示すように、変異体pBLV−IFをトランスフェクションした細胞では、野生型pBLV−IFをトランスフェクションした細胞と同じようにシンシチウムを形成した。以上の結果から、全ての同定された抗体結合部位はgp51タンパク質の発現およびシンシチウムの形成に影響がないことが明らかとなった。
〔共通B細胞エピトープの保存性の解析〕
DIVA配列として利用するには高い保存性が必要である。そのため、GenBankのデータベースからダウンロードした517種類のBLV配列を解析した(図8のc)。同定された抗体結合部に相当するアミノ酸R(7)およびF(10)には変異が見つからなかったことから、非常の高い保存性を有することが示された。
〔α−DIVAモノクローナル抗体の作製〕
DIVAのモノクローナル抗体の作製過程において、ウサギの抗血清の中に、シングルアラニン置換ペプチドR9Aに対して反応性が低下したものが存在したことから、R9Aが医薬品組成物(例えばワクチン組成物)に組み込むDIVA変異配列の候補の一つと考えられた。
〔23CLN細胞におけるpBLV−IF−R9A産生〕
23CLN細胞(ブタ由来細胞;理研登録番号RCB0179)を、5%FBSおよび1x Penicillin−Streptomycin−Glutamine(ThermoFisher Scientific社製)を添加したD−MEM培地で培養した。トランスフェクション用に1×10個の23CLN細胞を10cmφのdish20枚に播種し、1日間培養した。
トランスフェクションは、上記dish1枚に対して、pBLV−IF R9A 12μgをOpti−MEM 600μLに懸濁し、FugeneHD 48μLを添加後に室温で15分間静置し、上記細胞に加えることによって行った。
トランスフェクション3日後に培養上清を回収し、遠心(3000rpm、10分間、4℃)によって細胞デブリを沈降除去した。さらにこの上清に対して、超遠心分離(ローター:SW28 beckman、28000rpm、2時間、4℃)を行って、ウイルス粒子を沈降させた。上清を除去後、PBS(−)に懸濁し、BCAアッセイを用いてタンパク質量を定量した。
得られたタンパク質25μgを12.5%アクリルアミドゲルにロードし、SDS−PAGEを行ってタンパク質を分離した後、PVDF膜にブロットした。5%スキムミルクを用いて30分間室温でブロッキングを行った。次いで抗BLV p24および抗BLV gp51モノクローナル抗体(一次抗体)と1時間室温で反応させた。さらにHRP標識抗マウスIgG抗体(二次抗体)と30分間室温で反応させた。その後、検出剤supersignal west picoと5分間室温で反応させた後、化学発光を検出した。
また、同様の条件でSDS−PAGEを行った後、泳動後のゲルに対してCBB染色を行った。
ウェスタンブロットにおいてBLV抗原であるp24およびgp51のバンドが検出されたことから、R9A変異を含むgp51抗原がpBLV−IFウイルス粒子に取り込まれ、培養上清に放出されていることが確認された。
本発明は、牛白血病ウイルスに感染した動物を特定すること、および牛白血病ウイルスを予防すること等が必要な畜産分野において特に好適に利用することができる。

Claims (11)

  1. 動物における牛白血病ウイルスの有無を検出する方法であって、
    前記動物から採取された生物学的試料中に、配列番号1に示すアミノ酸配列(WPPPQGRRRFGARAMVTYDC)の少なくとも一部を認識する抗体が存在するか否かを検出する検出工程を含む、検出方法。
  2. 被験動物から採取された生物学的試料中に、配列番号1に示すアミノ酸配列(WPPPQGRRRFGARAMVTYDC)の少なくとも一部を認識する抗体が存在するか否かを検出する検出工程と、
    前記抗体が存在する場合には前記被験動物が牛白血病ウイルスに感染していると判定する判定工程とを含む、牛白血病ウイルス感染動物の特定方法。
  3. 前記判定工程では、さらに、前記抗体が存在しない場合には前記被験動物が牛白血病ウイルスに感染していないと判定する、請求項2に記載の特定方法。
  4. 前記配列番号1に示すアミノ酸配列の少なくとも一部を認識する抗体は、配列番号3に示すアミノ酸配列(GRRRFGARAMVTY)の少なくとも一部を認識する抗体である、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 動物における牛白血病ウイルスの有無を検出するためのキットであって、
    配列番号1に示すアミノ酸配列(WPPPQGRRRFGARAMVTYDC)の少なくとも一部を含む、ペプチド、タンパク質、およびウイルス粒子のうちの少なくとも1つを抗原として備える、検出キット。
  6. 牛白血病ウイルス感染動物に共通のB細胞エピトープの少なくとも1つのアミノ酸に変異を有する、変異体ペプチド、変異体タンパク質、変異体ウイルス粒子、およびこれらをコードする核酸のうちの少なくとも1つを含む、医薬品組成物。
  7. 前記共通のB細胞エピトープは、配列番号1に示すアミノ酸配列(WPPPQGRRRFGARAMVTYDC)に含まれる1つまたは複数のエピトープである、請求項6に記載の医薬品組成物。
  8. 前記変異を有するエピトープは、配列番号1に示すアミノ酸配列(WPPPQGRRRFGARAMVTYDC)の7、9、10、16および18番目のアミノ酸の少なくとも1つに変異を有するアミノ酸配列を含む、請求項6または7に記載の医薬品組成物。
  9. 牛白血病ウイルスワクチン組成物である、請求項6〜8の何れか一項に記載の医薬品組成物。
  10. 請求項6〜9の何れか一項に記載の医薬品組成物が接種された動物の中から牛白血病ウイルス感染動物を識別する方法であって、
    請求項6〜9の何れか一項に記載の医薬品組成物が接種された被験動物から採取された生物学的試料中に、前記共通のB細胞エピトープを認識する抗体が存在するか否かを検出する検出工程と、
    前記抗体が存在する場合には前記被験動物が牛白血病ウイルスに感染していると判定する判定工程とを含む、識別方法。
  11. 請求項10に記載の識別方法に使用される検出用抗体であって、
    牛白血病ウイルス感染動物に共通のB細胞エピトープを認識する抗体である、検出用抗体。
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JPS63264600A (ja) * 1987-03-20 1988-11-01 ローヌ メリユ ウシ白血病ウイルスに対する感染防御抗体を誘導するペプチド分画と、この分画を得る方法と、この分画の遺伝暗号配列と、この分画から製造されるワクチン
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