JP2017155771A - 密封装置及び密封構造 - Google Patents

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Yusuke Yoshida
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Abstract

【課題】流体圧力が低い状態においても封止機能を発揮させることができ、かつ、応答性に優れる密封装置及び密封構造を提供する。
【解決手段】密封装置100は、樹脂製の第1シールリング110及び第2シールリング120と、ハウジング300の軸孔の内周面310に密着するゴム状弾性体製の弾性リング130と、を備え、第1シールリング110は、その外周面側に、第2シールリング120に向かって縮径するように傾斜した第1傾斜面111を備え、第2シールリング120は、その外周面側に、第1シールリング110に向かって縮径するように傾斜した第2傾斜面121を備え、弾性リング130は、第1傾斜面111と、第2傾斜面121とに密着し、環状溝210内において低圧側Lに配置される第1シールリング110は、環状溝210の側壁面211に摺動自在に接触する。
【選択図】図3

Description

本発明は、軸とハウジングの軸孔との間の環状隙間を封止する密封装置及び密封構造に関する。
自動車用の自動変速機(AT)や無段変速機(CVT)においては、油圧を保持させるために、相対的に回転する軸とハウジングとの間の環状隙間を封止するシールリングが設けられている。図6及び7を参照して、従来例に係るシールリングについて説明する。図6及び図7は従来例に係るシールリングの模式的断面図であって、図6は油圧を保持していない状態を示し、図7は、図中右側(高圧側H)の領域内の油圧を保持している状態を示している。従来例に係るシールリング500は、軸200の外周面側に設けられた環状溝210に装着される。そして、シールリング500は、環状溝210の側壁面211に摺動自在に接触することで、軸200とハウジング300の軸孔との間の環状隙間を封止する。
上記のような用途で用いられるシールリング500においては、熱膨張により拡径する。そのため、シールリング500の外周面の周長はハウジング300の軸孔の内周面310の周長よりも短く構成されており、締め代を持たないように構成されている。そして、自動車のエンジンが稼働して油圧が高くなっている状態においては、図7に示されるように、図中右側(高圧側H)から作用する油圧(図中の矢印参照)が、シールリング500を図中左側(低圧側L)方向へ押圧すると共に、シールリング500を拡径させる。これにより、シールリング500は、軸孔の内周面310と環状溝210の側壁面211に対して密着するため、高圧側Hの領域内の油圧が保持される。これに対して、エンジンの停止により油圧がかからない状態においては、シールリング500は、図6に示されるように、軸孔の内周面310や側壁面211から離れた状態となる。
しかしながら、上記のように構成されたシールリング500の場合、油圧がかからない状態では封止機能を発揮しにくい。そのため、ATやCVTのように油圧ポンプによって圧送される油によって変速制御が行われる変速機においては、油圧ポンプが停止した無負荷状態(例えば、アイドリングストップ時)では、シールリング500がシールしていた油がシールされずにオイルパンに戻って、シールリング500の近傍の油が少なくなってしまうことがある。したがって、この状態からエンジンを始動(再始動)させると、シールリング500の潤滑状態が低いまま作動が開始されることがある。この場合には、応答性や作動性が低下するおそれがあるため、改善の余地がある。
特開2007−170629号公報 特開昭53−60447号公報
本発明の目的は、流体圧力が低い状態においても封止機能を発揮させることができ、かつ、応答性に優れる密封装置及び密封構造を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、本発明の密封装置は、
軸の外周面側に設けられた環状溝に装着され、相対的に回転する前記軸とハウジングとの間の環状隙間を封止して、流体圧力が変化するように構成されたシール対象領域の流体圧力を保持する密封装置において、
軸方向に隣り合って配置された樹脂製の第1及び第2シールリングと、
前記ハウジングにおける前記軸が挿通される軸孔の内周面に密着するゴム状弾性体製の弾性リングと、
を備え、
前記第1シールリングは、その外周面側に、前記第2シールリングに向かって縮径するように傾斜した第1傾斜面を備え、
前記第2シールリングは、その外周面側に、前記第1シールリングに向かって縮径するように傾斜した第2傾斜面を備え、
前記弾性リングは、前記第1傾斜面と、前記第2傾斜面とに密着し、
前記第1及び第2シールリングのうちの、前記環状溝内において低圧側に配置される一方は、前記環状溝の低圧側の側壁面に摺動自在に接触することを特徴とする。
また、本発明の密封構造は、
外周面側に環状溝を備える軸と、
前記軸が挿通される軸孔を備えるハウジングと、
前記環状溝に装着され、相対的に回転する前記軸とハウジングとの間の環状隙間を封止して、流体圧力が変化するように構成されたシール対象領域の流体圧力を保持する密封装置と、
を備える密封構造において、
前記密封装置は、
軸方向に隣り合って配置された樹脂製の第1及び第2シールリングと、
前記ハウジングにおける前記軸が挿通される軸孔の内周面に密着するゴム状弾性体製の弾性リングと、
を備え、
前記第1シールリングは、その外周面側に、前記第2シールリングに向かって縮径するように傾斜した第1傾斜面を備え、
前記第2シールリングは、その外周面側に、前記第1シールリングに向かって縮径するように傾斜した第2傾斜面を備え、
前記弾性リングは、前記第1傾斜面と、前記第2傾斜面とに密着し、
前記第1及び第2シールリングのうちの、前記環状溝内において低圧側に配置される一方は、前記環状溝の低圧側の側壁面に摺動自在に接触することを特徴とする。
なお、本発明において、「高圧側」とは、密封装置の両側に差圧が生じた際に高圧となる側を意味し、「低圧側」とは、密封装置の両側に差圧が生じた際に低圧となる側を意味する。
本発明によれば、ハウジングの軸孔の内周面に密着する弾性リングが、第1シールリングの第1傾斜面と、第2シールリングの第2傾斜面とに密着する。これにより、密封装置に流体圧力が作用してない(密封装置の両側に差圧が生じていない)、または、密封装置に流体圧力がほとんど作用していない(密封装置の両側に差圧がほとんど生じていない)状態においても、少なくとも両シールリングと軸孔の内周面との間の環状隙間(両シールリングの径方向外側の環状隙間)は封止される。したがって、シール対象領域の流体圧力が高まりだした直後から流体圧力を保持させることができる。
また、本発明に係る密封装置は、2つのシールリングから構成されているため、流体圧
力が低い状態(エンジン停止時等)では、弾性リングは、その弾性的な反発力によって、両シールリングの間隔を広げるようにして拡張することができる。弾性リングがこのようにして拡張したときには、外周方向への反発力(緊迫力)が低くなる。ゆえに、この状態から流体圧力が高くなったときには、弾性リングに軸孔の内周面から作用する摩擦力が相対的に低くなるため、弾性リングは、軸孔の内周面に密着しながら、速やかに低圧側に移動することができる。これにより、低圧側に配置されているシールリングも、環状溝の低圧側の側壁面に速やかに接触することができる。したがって、本発明に係る密封装置によれば、低圧側に配置されているシールリングが環状溝の低圧側の側壁面から離間していたとしても、シール対象領域の流体圧力が高まり出したときには、シールリングが当該側壁面に速やかに接触することができるため、従来のシールリングに比して応答性に優れている。
なお、本発明に係る密封装置によって奏される作用効果は、本発明に係る密封構造によっても同様に奏される。
以上説明したように、本発明に係る密封装置及び密封構造は、流体圧力が低い状態においても封止機能を発揮させることができ、更に、応答性に優れている。
実施例に係る密封装置の模式的断面図である。 実施例に係る密封装置が備えるシールリングの平面図である。 実施例に係る密封構造の模式的断面図である。 実施例に係る密封構造の模式的断面図である。 実施例に係る密封構造の模式的断面図である。 従来例に係るシールリングの模式的断面図である。 従来例に係るシールリングの模式的断面図である。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、本実施例に係る密封装置及び密封構造は、自動車用のATやCVTなどの変速機において、油圧を保持させるために、相対的に回転する軸とハウジングとの間の環状隙間を封止する用途に用いられるものである。また、以下の説明において、「高圧側」とは、密封装置の両側に差圧が生じた際に高圧となる側を意味し、「低圧側」とは、密封装置の両側に差圧が生じた際に低圧となる側を意味する。
(実施例)
図1〜図5を参照して、本発明の実施例に係る密封装置及び密封構造について説明する。図1は、実施例に係る密封装置100の模式的断面図(密封装置100の中心軸を含む平面による断面)である。図1では、密封装置100を構成する2つのシールリング110,120及び弾性リング130の寸法関係が分かり易くなるように、これらは外力がかかっていない状態における断面が示されている。また、図1では、密封装置100が装着される軸200及びハウジング300は、両シールリング110,120や弾性リング130との寸法関係が分かり易くなるように点線で示されている。したがって、図面上では、弾性リング130が、両シールリング110,120やハウジング300に重なった状態で示されている。図2は、実施例に係る密封装置100が備えるシールリング110,120の平面図であって、傾斜面が設けられた側から見た図である。なお、詳細は後述するが、本実施例では第1シールリング110及び第2シールリング120は同一の形状を
している。図3〜5は、実施例に係る密封構造の模式的断面図(軸200の中心軸を含む平面による断面)である。なお、図1、3〜5に示されるシールリングの断面は、図1中のAA断面に相当する。また、図3は、図中右側の高圧側Hから流体圧力が作用している状態を示している。また、図4は、高圧側Hから作用していた流体圧力が低下して一定時間が経過したときの状態を示している。また、図5は、図4に示される状態から更に流体圧力が低下して、流体圧力が作用していない(ほとんど作用していない)ときの状態を示している。なお、弾性リング130は、説明のために端面のみを示している。
<密封装置の構成>
本発明の実施例に係る密封装置100の構成について説明する。密封装置100は、軸200の外周面側に設けられた環状溝210に装着され、相対的に回転する軸200とハウジング300(ハウジング300における軸200が挿通される軸孔の内周面310)との間の環状隙間を封止する。これにより、密封装置100は、流体圧力(本実施例では油圧)が変化するように構成されたシール対象領域の流体圧力を保持する。ここで、本実施例においては、図3中の右側の領域の流体圧力が変化するように構成されている。つまり、本実施例においては、図3中右側の領域がシール対象領域であり、密封装置100はこの領域内の流体圧力を保持する役割を担っている。なお、自動車のエンジンが停止した状態においては、環状隙間内は流体で満たされているものの、シール対象領域の流体圧力は低くなっており、エンジンがかかるとシール対象領域の流体圧力は高くなる。
密封装置100は、樹脂製の第1シールリング110と第2シールリング120、及び、ゴムなどの弾性体製の弾性リング130とを備えている。第1シールリング110及び第2シールリング120は、何れも無端状の環状部材であって、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの樹脂から構成される。また、図1に示されるように、第1シールリング110は、その外周面側に、一方の側面に向かって縮径するように傾斜した第1傾斜面111を備えている。同様に、第2シールリング120も、その外周面側に、一方の側面に向かって縮径するように傾斜した第2傾斜面121を備えている。なお、密封装置100においては、第1シールリング110と第2シールリング120は同一の部品である。そして、密封装置100が軸200の環状溝210内に装着されるときには、2つのシールリング110,120は、それぞれの傾斜面111,121が隣り合うようにして配置される。つまり、密封装置100が環状溝210内に配置されたときには、第1シールリング110の第1傾斜面111は、第2シールリング120に向かって縮径するように傾斜した傾斜面となる。また、第2シールリング120の第2傾斜面121は、第1シールリング110に向かって縮径するように傾斜した傾斜面となる。なお、本実施例では、両傾斜面111,121は、共にテーパ面で構成されているが、傾斜面の形状はこれに限られず、図1に示される断面上で曲線となる傾斜面であってもよい。
なお、第1シールリング110は、第1傾斜面111が設けられた形状で成形されてもよいし、断面が矩形の環状部材の外周面側に切削加工等によって第1傾斜面111を形成することによって成形してもよい。このように、第1シールリング110の製造方法は特に限定されない。第2シールリング120についても同様である。
弾性リング130は、断面が円形のOリングである。弾性リング130の線径や外径は、密封装置100がハウジング300内に装着されたときに、圧縮された状態で、ハウジング300の軸孔の内周面310に密着すると共に、第1シールリング110の第1傾斜面111と、第2シールリング120の第2傾斜面121とにも密着するような寸法で設定されている。なお、本発明における弾性リングは、Oリングに限らず、本発明が意図する作用効果が奏される限りにおいて、断面が矩形の角リング等、各種の弾性体製リングを用いることが可能である。
<密封装置、軸及びハウジングの寸法関係>
特に、図1を参照して、外力が作用していない状態における密封装置100と軸200とハウジング300との寸法関係について説明する。第1シールリング110の内径は、環状溝210における溝底面212の外径よりも大きい。また、第1シールリング110の外径は、ハウジング300の軸孔の内周面310の内径よりも小さい。したがって、第1シールリング110の内周面は、環状溝210の溝底面212には接触しない。また、第1シールリング110の外周面は、ハウジング300の軸孔の内周面310に接触しない。第2シールリング120の寸法についても同様である。そして、第1シールリング110の幅(軸線方向の幅)と第2シールリング120の幅の和は、環状溝210の溝幅よりも小さい。したがって、密封装置100は、環状溝210内において、軸線方向に移動可能である。
そして、密封装置100においては、弾性リング130が、第1シールリング110の第1傾斜面111と第2シールリング120の第2傾斜面121と密着するように、その内径や両傾斜面111,121の傾斜角度が設定されている。具体的には、弾性リング130の無負荷状態における内径が、第1傾斜面111における弾性リング130との環状の接触部分の外径よりも小さくなるように、各寸法が設定される。第2傾斜面121における弾性リング130との環状の接触部分の外径についても同様である。また、弾性リング130の外径は、ハウジング300の軸孔の内周面310の内径よりも大きい。したがって、弾性リング130は、ハウジング300の軸孔内に配置された際には、第1傾斜面111と、第2傾斜面121と、軸孔の内周面310とのそれぞれに対して圧縮された状態で密着する。
なお、密封装置100においては、図3に示されるような流体圧力の作用時において、弾性リング130、第1シールリング110の外周面113、及び、第2シールリング120の外周面123に作用する軸孔の内周面310に対する摺動抵抗よりも、第1シールリング110における環状溝210の低圧側Lの側壁面211に対する摺動抵抗の方が小さくなるように設計されている。具体的には、使用環境における流体圧力、各種部材の材質やシール対象流体の特性等に基づいて、各部材の寸法が設計されている。ここで、弾性リング130における軸孔の内周面310に対する押圧力は、弾性リング130自体の弾性反発力と、密封装置100の内周面側にかかる流体圧力に影響される。また、環状溝210の側壁面211に対して作用する、第1シールリング110の低圧側Lの側面114の押圧力は、密封装置100に対する高圧側Hからの流体圧力に影響される。これらの押圧力や各部材同士の摩擦係数等に応じて、上記のような摺動抵抗の関係となるように、両シールリング110,120や弾性リング130の寸法が設定される。
<密封装置の使用時のメカニズム>
特に、図3を参照して、密封装置100の使用時のメカニズムについて説明する。なお、図3においては、エンジンがかかり、密封装置100を介して、左側の領域に比べて右側の領域の流体圧力の方が高くなった状態を示している。
図3に示されるように、エンジンの稼働によって差圧が生じている状態においては、高圧側Hから作用する流体圧力によって、密封装置100が低圧側Lへ移動させられると共に、両シールリング110,120が径方向内側から作用する流体圧力によって拡径される。詳細には、高圧側Hから作用する流体圧力によって押圧された第2シールリング120が、環状溝210内において低圧側Lに配置された第1シールリング110を低圧側L方向へ押圧する。これにより、第1シールリング110における低圧側Lの側面114が環状溝210の側壁面211に対して密着するため、側面114と側壁面211との間が封止される。更に、両シールリング110,120のそれぞれの外周面113,123が
ハウジング300の軸孔の内周面310に対して密着すると共に、弾性リング130が、拡径された両シールリング110,120によって更に圧縮された状態で、第1傾斜面111、第2傾斜面121、及び、軸孔の内周面310に対して密着する。したがって、両シールリング110,120のそれぞれの外周面113,123とハウジング300の軸孔の内周面310との間、また、両シールリング110,120のそれぞれの傾斜面111,121と弾性リング130との間、そして、弾性リング130と軸孔の内周面310との間が何れも封止される。なお、密封装置100と軸孔の内周面310との間の環状隙間は、少なくとも弾性リング130によって封止されるため、両シールリング110,120のそれぞれの外周面113,123と、軸孔の内周面310とは接触していなくてもよい。
そして、図3に示される状態から、エンジンが停止したときには、図4に示されるように、高圧側Hから作用する流体圧力が低下することによって、両シールリング110,120が拡径された状態から収縮する。ただし、両シールリング110,120とハウジング300の軸孔の内周面310との間の環状隙間は、弾性リング130によって封止されている。更に、第1シールリング110は、第1傾斜面111に作用する弾性リング130の反発力によって、図4中の左下方向(低圧側方向かつ径方向内側方向)に押圧されるため、環状溝210の側壁面211と第1シールリング110の側面114との間が封止された状態が維持され得る。
なお、図4に示されるエンジンが停止した状態から更に停止状態が継続すると、流体圧力が更に低下するため、密封装置100が高圧側Hに移動することによって、図5に示されるように、第1シールリング110の側面114が環状溝210の側壁面211から離間するときがある。ただし、このような状態においても、少なくとも両シールリング110,120とハウジング300の軸孔の内周面310との間の環状隙間は、弾性リング130によって封止されている。つまり、エンジン停止後において、密封装置100を介して左右の領域の差圧がなくなって(または、差圧がほとんどなくなって)、無負荷の状態となった場合であっても、弾性リング130と軸孔の内周面310との間は封止されている。なお、図5に示される状態においても環状隙間内は流体で満たされているため、2つのシールリング110,120と弾性リング130とが互いに接触した状態は概ね保たれる。
<本実施例に係る密封装置の優れた点>
密封装置100によれば、ハウジング300の軸孔の内周面310に密着する弾性リング130が、第1シールリング110の第1傾斜面111と、第2シールリング120の第2傾斜面121とに密着する。これにより、密封装置100に流体圧力が作用してない(密封装置100の両側に差圧が生じていない)、または、密封装置100に流体圧力がほとんど作用していない(密封装置100の両側に差圧がほとんど生じていない)状態においても、少なくとも両シールリング110,120と軸孔の内周面310との間の環状隙間は弾性リング130によって封止される。したがって、シール対象領域の流体圧力が高まりだした直後から流体圧力を保持させることができる。
ここで、一般的には、樹脂製のシールリングの場合、流体の漏れを抑制する機能はあまり発揮されない。しかしながら、本実施例においては、弾性体製の弾性リング130が設けられることにより、ある程度流体の漏れを抑制する機能が発揮される。そのため、エンジンが停止することでポンプ等による加圧作用が停止した後も、しばらくの間は差圧が生じた状態を維持させることが可能となる。特に、第1シールシング110の側面114が、流体圧力によって環状溝210の低圧側Lの側壁面211に接触している状態から、流体圧力が徐々に低下する状況では、流体圧力によって圧縮されていた弾性リング130の反発力(復元力)によって、側面114が側壁面211に接触した状態が一定期間保たれ
る。したがって、当該一定期間は、流体圧力が低い状態にあっても、軸200とハウジング300との間の環状隙間が封止される。したがって、アイドリングストップ機能を有するエンジンにおいて、エンジンの停止状態がそれほど長くない場合には、差圧が生じた状態を維持できるので、エンジンを再始動させた際に、その直後から好適に流体圧力を保持させることができる。
また、密封装置100は、2つのシールリング110,120から構成されているため、流体圧力がほとんど作用していないような低い状態では、弾性リング130が、その弾性的な反発力によって、両シールリング110,120の間隔を広げるようにして拡張することができる。弾性リング130がこのようにして拡張したときには、外周方向への反発力(緊迫力)が低くなる。ゆえに、この状態から流体圧力が高くなったときには、弾性リング130に軸孔の内周面310から作用する摩擦力が相対的に低くなるため、弾性リング130は、軸孔の内周面310に密着しながら、速やかに低圧側Lに移動することができる。これにより、第1シールリング110も、環状溝210の低圧側Lの側壁面211に速やかに接触することができる。したがって、密封装置100によれば、エンジン停止から比較的長い時間が経過して、流体圧力がほとんど作用しなくなる(差圧がゼロになる)ことによって、第1シールリング110の側面114が環状溝210の側壁面211から離間していたとしても、シール対象領域の流体圧力が高まり出したときには、側面114が側壁面211に速やかに接触することができる。したがって、密封装置100は、従来のシールリングに比して応答性に優れている。
また、密封装置100においては、流体圧力の作用時において、弾性リング130、第1シールリング110の外周面113、及び、第2シールリング120の外周面123に作用する軸孔の内周面310に対する摺動抵抗よりも、第1シールリング110における環状溝210の低圧側Lの側壁面211に対する摺動抵抗の方が小さくなるように設計されている。したがって、第1シールリング110の側面114を、環状溝210の側壁面211との間で回転摺動させる一方で、弾性リング130と軸孔の内周面310との間では摺動させないようにすることができる。また、第1シールリング110と弾性リング130が供回りしてしまうことも抑制される。これにより、弾性リング130の摩耗が抑制される。
また、本実施例では、両シールリング110,120は、無端状の環状部材により構成されているので、シール対象領域の流体の漏れをより確実に抑制することができる。
(その他)
上記実施例においては、第1シールリング110及び第2シールリング120が無端状の環状部材により構成される場合を示した。無端状のシールリングは、シール対象流体の漏れの抑制という観点では優れている。ただし、無端状のシールリングは、環状溝210への取り付け作業に手間がかかる場合がある。したがって、両シールリング110,120の何れについても、周方向の1箇所に合口部を設ける構成を採用することができる。合口部については、ストレートカットやバイアスカットやステップカットなどの各種の公知技術を採用することができる。ただし、熱膨張収縮によってシールリングの周長が変化しても安定したシール性能を維持させることが可能な特殊ステップカットを採用するのが望ましい。
100:密封装置
110:第1シールリング
111:第1傾斜面
113:外周面
114:側面
120:第2シールリング
121:第2傾斜面
123:外周面
130:弾性リング
200:軸
210:環状溝
211:側壁面
212:溝底面
300:ハウジング
310:内周面
500:シールリング

Claims (2)

  1. 軸の外周面側に設けられた環状溝に装着され、相対的に回転する前記軸とハウジングとの間の環状隙間を封止して、流体圧力が変化するように構成されたシール対象領域の流体圧力を保持する密封装置において、
    軸方向に隣り合って配置された樹脂製の第1及び第2シールリングと、
    前記ハウジングにおける前記軸が挿通される軸孔の内周面に密着するゴム状弾性体製の弾性リングと、
    を備え、
    前記第1シールリングは、その外周面側に、前記第2シールリングに向かって縮径するように傾斜した第1傾斜面を備え、
    前記第2シールリングは、その外周面側に、前記第1シールリングに向かって縮径するように傾斜した第2傾斜面を備え、
    前記弾性リングは、前記第1傾斜面と、前記第2傾斜面とに密着し、
    前記第1及び第2シールリングのうちの、前記環状溝内において低圧側に配置される一方は、前記環状溝の低圧側の側壁面に摺動自在に接触することを特徴とする密封装置。
  2. 外周面側に環状溝を備える軸と、
    前記軸が挿通される軸孔を備えるハウジングと、
    前記環状溝に装着され、相対的に回転する前記軸とハウジングとの間の環状隙間を封止して、流体圧力が変化するように構成されたシール対象領域の流体圧力を保持する密封装置と、
    を備える密封構造において、
    前記密封装置は、
    軸方向に隣り合って配置された樹脂製の第1及び第2シールリングと、
    前記ハウジングにおける前記軸が挿通される軸孔の内周面に密着するゴム状弾性体製の弾性リングと、
    を備え、
    前記第1シールリングは、その外周面側に、前記第2シールリングに向かって縮径するように傾斜した第1傾斜面を備え、
    前記第2シールリングは、その外周面側に、前記第1シールリングに向かって縮径するように傾斜した第2傾斜面を備え、
    前記弾性リングは、前記第1傾斜面と、前記第2傾斜面とに密着し、
    前記第1及び第2シールリングのうちの、前記環状溝内において低圧側に配置される一方は、前記環状溝の低圧側の側壁面に摺動自在に接触することを特徴とする密封構造。
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