JP2017155757A - ジャーナル軸受および回転機械 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1には、複数の軸受パッドによってロータ軸を支持するジャーナル軸受が記載されている。具体的には、特許文献1のジャーナル軸受は、キャリアリングと、キャリアリングに支持される上流側軸受パッド及び下流側軸受パッドと、各軸受パッドとロータ軸との間に潤滑油を供給する複数の給油ノズルと、を備えている。複数の給油ノズルは、上流側軸受パッドよりも上流側に配置された第1の給油ノズル(最上流ノズル)と、上流側軸受パッドの両端部に配置された第2及び第3の給油ノズルと、下流側軸受パッドの上流側端部に配置された第4の給油ノズルと、を含む。また、下半部キャリアリングの両端面にはサイドプレートが配置されており、給油ノズルから供給された潤滑油の軸受外部への漏出を抑制するようになっている。
しかしながら、本発明者らの知見によれば、複数の軸受パッド間における負荷能力の適正なバランスを維持できないために、軸受性能が低下したり、異常振動が発生したりすることが起こり得る。例えば、上流側軸受パッドにおける油膜圧力が不足して上流側領域での十分な負荷能力を確保できず、ロータ軸が浮上する際に上流側へ寄ってしまうと、このことが異常振動の発生原因になり得る。
キャリアリングと、
前記キャリアリングの下半領域の内周側に設けられ、ロータ軸を下方から支持するように構成された複数の軸受パッドと、
前記ロータ軸の軸方向における前記複数の軸受パッドの両側に設けられた一対のサイドプレートと、
前記複数の軸受パッドに対して潤滑油を供給するための少なくとも一つの給油ユニットと、
を備え、
各々の前記サイドプレートの内周面と前記ロータ軸の外周面との間に前記一対のサイドプレートによって囲まれた軸受内部空間と外部とを連通させるための隙間が設けられ、
前記少なくとも一つの給油ユニットのうち、前記複数の軸受パッドのうち最下流側に位置する最下流パッドの下流側に設けられた第1給油ユニットは、前記最下流パッドの後縁端面のうち、前記最下流パッドのパッド面と前記後縁端面との交線によって形成される前記最下流パッドの角部よりも下方の領域に向けて前記潤滑油を供給するように構成される。
すなわち、各々のサイドプレートの内周面とロータ軸の外周面との間に、一対のサイドプレートによって囲まれた軸受内部空間と軸受外部とを連通させるための隙間を有するジャーナル軸受では、最下流パッドから最上流パッドに至る領域で該隙間から吸い込まれた空気が潤滑油に混入し得る。このため、最上流パッドにキャリーオーバされる潤滑油には多くの空気が含まれ、実質の潤滑油の油量が少ないと考えられる。したがって、最上流パッドの上流側直前の給油ユニットと、最下流パッドの上流側直前の給油ユニットとの吐出油量が同じであっても、最下流パッドに比べて最上流パッドでは潤滑油不足となりやすい。また、潤滑油は非圧縮性流体であるのに対して、潤滑油に含まれる空気は圧縮性流体であるため、最上流パッド(特に前縁近傍)において潤滑油に含まれる気泡が押しつぶされ、最上流パッドの前縁端面側において動圧が生じにくくなる。
これにより、最上流パッドの負荷能力が低下し、複数の軸受パッド間における負荷能力の適正なバランスが維持できなくなる。そのため、回転数の上昇に伴いロータ軸の軸心軌跡が鉛直線上から逸れてしまい、異常振動が発生したり、軸受性能が低下したりする可能性が高くなる。
なお、上記(1)の構成のように、第1給油ユニットが最下流パッドよりも下流側に設けられている場合、第1給油ユニットから最下流パッドの後縁側に供給された潤滑油は、キャリーオーバ油として最上流パッド側へ搬送されやすい。
そこで、上記(1)のジャーナル軸受では、少なくとも一つの給油ユニットのうち、最下流パッドの下流側に設けられた第1給油ユニットは、最下流パッドの後縁端面のうち角部(最下流パッドのパッド面と後縁端面との交線によって形成される最下流パッドの角部)よりも下方の領域に向けて潤滑油を供給するように構成されている。
これにより、第1給油ユニットから給油された潤滑油は、最下流パッドの角部よりも下方に衝突して下方に落下し、キャリーオーバ油としてロータ軸に連れまわって下流側へ搬送されることを抑制できる。
したがって、複数の軸受パッド間における負荷能力のバランスを適正に保つことができ、ジャーナル軸受における異常振動の発生防止および軸受性能の向上が図れる。
前記少なくとも一つの給油ユニットのうち、各々の前記軸受パッドの上流側に設けられる第2給油ユニットは、各々の前記軸受パッドの前縁と前記ロータ軸の外周面との間の隙間に向けて前記潤滑油を供給するように構成される。
前記キャリアリングの上半領域に設けられ、前記ロータ軸の外周面のうち上側領域を覆うように設けられたガイドメタルをさらに備え、
前記第1給油ユニットは、前記最下流パッドの下流側、且つ、前記ガイドメタルの上流側に位置する。
前記第1給油ユニットは、
前記最下流パッドの前記後縁端面のうち前記角部よりも下方の領域に向けて上流側に前記潤滑油を噴射するための少なくとも一つの第1噴射孔と、
前記ガイドメタルに向けて下流側に前記潤滑油を噴射するための第2噴射孔と、
を含む。
一方、第1給油ユニットは、ガイドメタルに向けて下流側に前記潤滑油を噴射するための第2噴射孔をさらに含んでいる。この第2噴射孔からの潤滑油によって、ガイドメタルとロータ軸とが接触する際にこれらの間の潤滑性を保つことができる。
上記(1)乃至(4)の何れか一に記載のジャーナル軸受と、
前記ジャーナル軸受によって支持されるロータ軸と、
を備える。
図1は、一実施形態に係るジャーナル軸受10の軸方向に沿った断面図である。図2は、図1のA−A線断面図である。図3は、図1のB−B線矢視図である。
以下、図示されるジャーナル軸受10について例示的に説明するが、本実施形態に係るジャーナル軸受10はこの構成に限定されるものではない。例えば、他の実施形態においては、キャリアリング11の下半領域に3個以上の軸受パッドが取り付けられた構成であってもよい。その場合においても、複数の軸受パッドのうち最上流側に位置する軸受パッドを最上流パッドと言い、最下流側に位置する軸受パッドを最下流パッドと言う。
キャリアリング11は、不図示の軸受ケーシングに支持されており、上半部キャリアリング12及び下半部キャリアリング13を含む。上半部キャリアリング12及び下半部キャリアリング13は、それぞれ、軸方向に直交する断面が半円弧状となるような内周面及び外周面を有している。なお、図示される例では、キャリアリング11が上半部キャリアリング12及び下半部キャリアリング13に分割された構成を示しているが、キャリアリング11は一体構造であってもよいし、3以上に分割された構成であってもよい。また、図示されない他の構成のキャリアリング11においても、中心軸線Oを通る水平面より上方側の領域を上方領域と言い、下方側の領域を下方領域と言う。
これらのサイドプレート17,18によって、後述する給油ユニット25〜29から供給される潤滑油の外部への漏出を適度に抑制するようになっている。
このように、上半部キャリアリング12の内周側にガイドメタル20,21が設けられることで、ガイドメタル20,21によってロータ軸2の跳ね上がりを押さえ込むことができ、ロータ軸2の跳ね上がりによる部品の破損等を防止できる。なお、キャリアリング11が、上半部キャリアリング12及び下半部キャリアリング13に分割された構造ではなく一体構造である場合、あるいは3以上に分割された構造である場合、ガイドメタル20,21は、キャリアリング11の上半領域に設けられていればよい。
図2に示す例では、ロータ軸2が図中矢印Sに示すように時計回りに回転する場合、ロータ軸2の回転方向Sにおいて上流側から給油ユニット25〜28(後述する第2給油ユニット)、給油ユニット29(後述する第1給油ユニット)を含む計5本の給油ユニットが設けられている。
具体的には、給油ユニット25,26は、最上流パッド30よりも上流側に、周方向に並んで配置されている。給油ユニット27,28は、最上流パッド30と、該最上流パッド30よりも下流側に位置する最下流パッド32との間に、周方向に並んで配置されている。給油ユニット29は、最下流パッド32よりも下流側に配置されている。
最上流パッド30は、周方向において隣り合うように配置された複数の軸受パッド30,32の列のうち、ロータ軸2の回転方向Sの最上流側に位置する。
最下流パッド32は、周方向において隣り合うように配置された複数の軸受パッド30,32の列のうち、ロータ軸2の回転方向Sの最下流側に位置する。
このように、下半部キャリアリング13に最上流パッド30および最下流パッド32が設けられているので、最上流パッド30および最下流パッド32によってロータ軸2を適切に支持できる。
幾つかの実施形態に係るジャーナル軸受10は、図1に例示するように、各々のサイドプレート17,18の内周面とロータ軸2の外周面との間に一対のサイドプレート17,18によって囲まれた軸受内部空間と外部とを連通させるための隙間(サイドプレート隙間)42が設けられている。
また、このジャーナル軸受10において、図4に例示するように、少なくとも一つの給油ユニット25〜29のうち、最下流パッド32の下流側に設けられた第1給油ユニット29は、最下流パッド32の後縁端面32bのうち、最下流パッド32のパッド面と後縁端面32bとの交線によって形成される最下流パッド32の角部32cよりも下方の領域Dに向けて潤滑油を供給するように構成される。
なお、最下流パッド32の後縁端面32bは、通常、角部32cから下方に向けて傾斜した面となっている。
すなわち、各々のサイドプレート17,18の内周面とロータ軸2の外周面との間に、一対のサイドプレート17,18によって囲まれた軸受内部空間と軸受外部とを連通させるための隙間42(図1及び図3参照)を有するジャーナル軸受10では、最下流パッド32から最上流パッド30に至る領域で該隙間42から吸い込まれた空気が潤滑油に混入し得る。このため、最上流パッド30にキャリーオーバされる潤滑油には多くの空気が含まれ、実質の潤滑油の油量が少ないと考えられる。したがって、最上流パッド30の上流側直前の給油ユニット25,26と、最下流パッド32の上流側直前の給油ユニット27,28との吐出油量が同じであっても、最下流パッド32に比べて最上流パッド30では潤滑油不足となりやすい。また、潤滑油は非圧縮性流体であるのに対して、潤滑油に含まれる空気は圧縮性流体であるため、最上流パッド30(特に前縁近傍)において潤滑油に含まれる気泡が押しつぶされ、最上流パッド30の前縁端面30a側において動圧が生じにくくなる。
これにより、最上流パッド30の負荷能力が低下し、複数の軸受パッド30,32間における負荷能力の適正なバランスが維持できなくなる。そのため、回転数の上昇に伴いロータ軸2の軸心軌跡が鉛直線上から逸れてしまい、異常振動が発生したり、軸受性能が低下したりする可能性が高くなる。
なお、上記実施形態のように、第1給油ユニット29が、最下流パッド32よりも下流側に設けられている場合、第1給油ユニット29から最下流パッド32の後縁端面32b側に供給された潤滑油は、キャリーオーバ油として最上流パッド30側へ搬送されやすい。
そこで、上記実施形態に係るジャーナル軸受10では、少なくとも一つの給油ユニット25〜29のうち、最下流パッド32の下流側に設けられた第1給油ユニット29は、最下流パッド32の後縁端面32bのうち角部32cよりも下方の領域Dに向けて潤滑油を供給するように構成されている。
したがって、複数の軸受パッド30,32間における負荷能力のバランスを適正に保つことができ、ジャーナル軸受10における異常振動の発生防止および軸受性能の向上が図れる。
一方、第1給油ユニット29は、ガイドメタル20,21に向けて下流側に潤滑油を噴射するための第2噴射孔29bをさらに含んでいる。この第2噴射孔29bからの潤滑油によって、ガイドメタル20,21とロータ軸2とが接触する際にこれらの間の潤滑性を保つことができる。
この回転機械1によれば、異常振動が発生しにくく且つ優れた軸受性能を有するジャーナル軸受10を備えているので、信頼性の高い回転機械1を提供することができる。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
2 ロータ軸
10 ジャーナル軸受
11 キャリアリング
12 上半部キャリアリング
13 下半部キャリアリング
17,18 サイドプレート
20,21 ガイドメタル
25〜28 第2給油ユニット
29 第1給油ユニット
29a 第1噴射孔
29b 第2噴射孔
30 最上流パッド
32 最下流パッド
32a 前縁端面
32b 後縁端面
32c 角部
42 隙間
Claims (5)
- キャリアリングと、
前記キャリアリングの下半領域の内周側に設けられ、ロータ軸を下方から支持するように構成された複数の軸受パッドと、
前記ロータ軸の軸方向における前記複数の軸受パッドの両側に設けられた一対のサイドプレートと、
前記複数の軸受パッドに対して潤滑油を供給するための少なくとも一つの給油ユニットと、
を備え、
各々の前記サイドプレートの内周面と前記ロータ軸の外周面との間に前記一対のサイドプレートによって囲まれた軸受内部空間と外部とを連通させるための隙間が設けられ、
前記少なくとも一つの給油ユニットのうち、前記複数の軸受パッドのうち最下流側に位置する最下流パッドの下流側に設けられた第1給油ユニットは、前記最下流パッドの後縁端面のうち、前記最下流パッドのパッド面と前記後縁端面との交線によって形成される前記最下流パッドの角部よりも下方の領域に向けて前記潤滑油を供給するように構成されたことを特徴とするジャーナル軸受。 - 前記少なくとも一つの給油ユニットのうち、各々の前記軸受パッドの上流側に設けられる第2給油ユニットは、各々の前記軸受パッドの前縁と前記ロータ軸の外周面との間の隙間に向けて前記潤滑油を供給するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のジャーナル軸受。
- 前記キャリアリングの上半領域に設けられ、前記ロータ軸の外周面のうち上側領域を覆うように設けられたガイドメタルをさらに備え、
前記第1給油ユニットは、前記最下流パッドの下流側、且つ、前記ガイドメタルの上流側に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載のジャーナル軸受。 - 前記第1給油ユニットは、
前記最下流パッドの前記後縁端面のうち前記角部よりも下方の領域に向けて上流側に前記潤滑油を噴射するための少なくとも一つの第1噴射孔と、
前記ガイドメタルに向けて下流側に前記潤滑油を噴射するための第2噴射孔と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載のジャーナル軸受。 - 請求項1乃至4の何れか一項に記載のジャーナル軸受と、
前記ジャーナル軸受によって支持されるロータ軸と、
を備えることを特徴とする回転機械。
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