JP2004197890A - ティルティングパッド軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐荷重性を向上できるティルティングパッド軸受装置を提供する。
【解決手段】複数の軸受パッド7a〜7dの隣り合う軸受パッド間に、回転軸5に向かう方向で、上流側方向に向けて第1の吐出口29から潤滑油を吐出する第1の潤滑油吐出手段23、29と、回転軸に向けて第2の吐出口33から潤滑油を吐出する第2の潤滑油吐出手段27、33と、下流側の軸受パッドに対して供給口31から潤滑油を供給する給油手段25、31とを備え、第1の吐出口29は、隣り合う軸受パッドの対向する縁部に沿う方向に連続的または断続的に延在して最上流側に位置し、供給口31は、隣り合う軸受パッドの対向する縁部に沿う方向に連続的または断続的に延在して第1の吐出口29よりも回転軸の回転方向に対して下流側に位置し、第2の吐出口33は、隣り合う軸受パッドの対向する縁部に沿う方向に連続的または断続的に延在し、第1の吐出口29と、給油口31との間に位置する構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の軸受パッド7a〜7dの隣り合う軸受パッド間に、回転軸5に向かう方向で、上流側方向に向けて第1の吐出口29から潤滑油を吐出する第1の潤滑油吐出手段23、29と、回転軸に向けて第2の吐出口33から潤滑油を吐出する第2の潤滑油吐出手段27、33と、下流側の軸受パッドに対して供給口31から潤滑油を供給する給油手段25、31とを備え、第1の吐出口29は、隣り合う軸受パッドの対向する縁部に沿う方向に連続的または断続的に延在して最上流側に位置し、供給口31は、隣り合う軸受パッドの対向する縁部に沿う方向に連続的または断続的に延在して第1の吐出口29よりも回転軸の回転方向に対して下流側に位置し、第2の吐出口33は、隣り合う軸受パッドの対向する縁部に沿う方向に連続的または断続的に延在し、第1の吐出口29と、給油口31との間に位置する構成とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸を支持する複数の軸受パッドを有するティルティングパッド軸受装置に係り、特に、直接潤滑方式のティルティングパッド軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ティルティングパッド軸受装置は、回転軸を支持する複数の軸受パッドを有しており、回転軸と摺動面する軸受パッドの摺動面に潤滑油を注入して潤滑するものである。このようなティルティングパッド軸受装置は、潤滑油の給油方式によって2種類に分けられる。一つは、ティルティングパッド軸受装置の軸受箱の中に潤滑油を供給して満たし、軸受パッドの軸受面を潤滑油で浸漬すると共に、摺動に使用された潤滑油を排出することにより、軸受面に潤滑油を浸漬循環させるようにした油浴方式(Flooded Lubrication)のティルティングパッド軸受装置である。もう一つは、軸受パッドの摺動面に潤滑油膜を形成して、この潤滑油膜により摺動面を潤滑する直接潤滑方式(Directed Lubrication)のティルティングパッド軸受装置である。油浴方式のティルティングパッド軸受装置が、一般的に広く用いられているが、直接潤滑方式のティルティングパッド軸受装置も、供給油量低減、損失低減などの点で有利なため、最近、適用が拡大してきている。
【0003】
ところで、例えば火力プラントなどの多スパンで回転軸の固有振動数が比較的低い大形の回転体の回転軸を支持する場合などでは、自励振動を抑制できる軸受装置を用いる必要がある。また、例えば分散電源用のマイクロタービンでも、数万rpmといった高速回転で運転されることにより、オイルホイップなどの自励振動が発生し易い。オイルホイップは、軸受荷重が減少し、回転軸の偏心量が低下することにより回転軸−軸受系の安定性が損なわれることにより発生するものである。このような自励振動を抑制できる軸受装置として、連成振動を無視できる程度に小さくできるティルティングパッド軸受装置を用いることが考えられている。
【0004】
しかし、ティルティングパッド軸受装置は、前述のように火力プラントのような大形の回転機械などの回転軸に適用したり、火力プラントなどの大形の回転体の回転軸を支持する場合に限らず、設備や機器類の小型化のために軸受けを小型化する場合や、回転軸の回転が高速化する場合など軸受けにかかる荷重が相対的に増大する場合などに適用すると、軸受パッドの焼き付きが生じてしまう場合があり、耐荷重性が他の軸受装置に比べて低い。このため、軸受パッドの焼き付きの発生を抑制し、ティルティングパッド軸受装置の耐荷重性を向上することが望まれている。
【0005】
これに対し、油浴方式よりも軸受パッドの焼き付きを起こし難い直接潤滑方式のティルティングパッド軸受装置において、軸受パッド内に、この軸受パッドの回転軸の回転方向に対して上流側の縁部に設けた供給口に潤滑油を導く流路を形成して軸受パッドの摺動面と回転軸の外周面の間に潤滑油を供給すると共に、供給口を設けた軸受パッドの縁部に回転軸の回転方向に対して上流側の軸受パッドから排出されてくる潤滑油の下流側のパッドへの侵入を抑制するための部材を設ける構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
さらに、軸受パッドへの給油と軸受パッドの冷却を行うための油路を軸受パッド内に設ける構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、隣り合う軸受パッド間に回転軸の回転方向に対して下流側の軸受パッドの摺動面と回転軸外面との間に向けて潤滑油を供給する給油パイプを設置する構成が提案されている(例えば、特許文献3参照)。さらに、軸受パッドの回転軸の回転方向に対して上流側の部分に給油ポケットを設け、さらに軸受パッドの摺動面に給油ポケットに連通する開口を設けることで、軸受ハウジングに設けた給油スリーブから軸受パッドに潤滑油を供給する構成が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭58−180814号公報(第2頁、第3図)
【特許文献2】
実開昭58−106616号公報(第2−3頁、第2−4図)
【特許文献3】
特開平5−26230号公報(第2−3頁、第1−3図)
【特許文献4】
特開平11−125241号公報(第4−5頁、第3図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、例えば火力プラントのような多スパンロータの回転軸−軸受系の回転機械などのように、アライメント調整により軸受荷重が変化する場合や部分負荷運転により荷重が変動する場合、ティルティングパッド軸受装置では、荷重の増大に連れて軸受メタル温度、つまり軸受パッドの温度が上昇する。また、分散電源対応のマイクロタービンなどにおいても、部分負荷運転のために回転数を下げて運転されることにより、油膜厚さが減少し、軸受パッドの温度が上昇する場合がある。
【0009】
軸受パッドの温度が上昇すると、回転軸の回転方向に対して上流側に位置する軸受パッドからの排出されてくる潤滑油つまり排油の温度が上昇し、上流側に位置する軸受パッドからの、より高温に加熱された排油が下流側の軸受パッド側に流入してしまう。このため、従来のティルティングパッド軸受装置ように、軸受パッドを加熱されていない新たに供給した潤滑油で冷却しようとしても、上流側に位置する軸受パッドからのより高温の排油が下流側の軸受パッド側に流入することにより、軸受パッドの温度上昇を抑えることは難しく、軸受パッドの焼き付きが生じ易くなる場合があるため、耐荷重性を向上できない。
【0010】
また、従来のティルティングパッド軸受装置において、上流側の軸受パッドから排出されてくる潤滑油の下流側のパッドへの侵入を抑制するための部材を設けることが提案されているが、このような部材を設けた場合、回転軸とこのような部材との接触や摩耗などの問題が生じ、また、使用に連れて、上流側に位置する軸受パッドからの加熱された高温の排油が下流側の軸受パッド側へ流入するのを抑制する効果が低くくなるなど、耐荷重性を向上できない場合がある。
【0011】
本発明の課題は、ティルティングパッド軸受装置の耐荷重性を向上することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のティルティングパッド軸受装置は、複数の軸受パッドの隣り合う軸受パッド間に、回転軸に向かう方向に吐出口から潤滑油を吐出する潤滑油吐出手段と、回転軸の回転方向に対して下流側の軸受パッドに対して供給口から潤滑油を供給する給油手段とを備え、潤滑油吐出手段の吐出口は、隣り合う軸受パッドの対向する縁部に沿う方向に連続的または断続的に延在し、給油手段の給油口は、隣り合う軸受パッドの対向する縁部に沿う方向に連続的または断続的に延在し、潤滑油吐出孔部の吐出口よりも回転軸の回転方向に対して下流側に位置する構成とすることにより上記課題を解決する。
【0013】
このような構成とすれば、回転軸の回転方向に対して上流側に位置する潤滑油吐出手段の吐出口から吐出される潤滑油により、回転軸の回転方向に対して上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された潤滑油つまり排油が下流側の軸受パッド側に流れるのを抑制する。さらに、潤滑油吐出手段の吐出口よりも下流側に位置する給油手段の給油口から下流側の軸受パッドに新たな潤滑油が給油され、この新たに供給された潤滑油により下流側の軸受パッドが冷却される。したがって、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油による下流側の軸受パッドの温度上昇が抑制され、かつ下流側の軸受パッドが冷却されるため、軸受パッドの焼き付きが生じ難くなり、耐荷重性を向上できる。
【0014】
また、潤滑油吐出手段は、回転軸に向かう方向で、回転軸の回転方向に対して上流側方向に向けて第1の吐出口から潤滑油を吐出する第1の潤滑油吐出手段と、回転軸に向けて第2の吐出口から潤滑油を吐出する第2の潤滑油吐出手段とからなり、第1の潤滑油吐出手段の第1の吐出口は、回転軸の回転方向に対して最上流側に位置し、第2の潤滑油吐出手段の第2の吐出口は、第1の潤滑油吐出手段の第1の吐出口と、給油手段の給油口との間に位置する構成とする。
【0015】
このような構成とすれば、第1の潤滑油吐出手段の第1の吐出口から吐出される潤滑油によって流れを抑制できず、上流側の軸受パッドから加熱された排油の一部が下流側の軸受パッド側に流れた場合でも、第2の潤滑油吐出手段の第2の吐出口から吐出される潤滑油によって、上流側の軸受パッドからの加熱された排油が下流側の軸受パッド側に流れるのを抑制することができる。したがって、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油による下流側の軸受パッドの温度上昇をより確実に抑制でき、耐荷重性をより向上できる。
【0016】
さらに、第2の潤滑油吐出手段には、隣り合う軸受パッドの対向する縁部に沿う方向に延在する溝が形成されており、この溝の底面に第2の吐出口が形成されている構成とする。これにより、第2の潤滑油吐出手段の第2の吐出口から吐出される潤滑油によって排除された上流側の軸受パッドからの加熱された排油が溝内に流れ込み、排油が溝内を通流して排出される。このため、加熱された排油が排除され易くなり、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油が下流側の軸受パッド側に流れるのをより確実に抑制することができる。したがって、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油による下流側の軸受パッドの温度上昇を一層確実に抑制でき、耐荷重性を一層向上できる。
【0017】
また、潤滑油吐出手段または第1の潤滑油吐出手段と、給油手段とが、同一の形状で、隣り合う軸受パッド間の中心を通って回転軸に向かう線に対して対称に形成されている構成とする。これにより、回転軸の回転方向に応じて、潤滑油吐出手段または第1の潤滑油吐出手段が給油手段に、給油手段が潤滑油吐出手段または第1の潤滑油吐出手段になるため、可逆回転する回転軸を有する回転機械にも適用することができる。
【0018】
さらに、潤滑油吐出手段、または第1の潤滑油吐出手段及び前記第2の潤滑油吐出手段と、給油手段とが、隣り合う軸受パッド間に位置する1つのノズルに設けられている構成とすれば、軸受装置の構成を簡素化できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用してなるティルティングパッド軸受装置の一実施形態について図1乃至図3を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなるティルティングパッド軸受装置の概略構成を示す回転軸の径方向での断面図である。図2は、図1のII−II線から見た回転軸の延在方向での断面図である。図3は、本発明を適用してなるティルティングパッド軸受装置の動作をノズルが設けられた部分を拡大して示す回転軸の径方向での断面図である。なお、本実施形態では、ロード・ビトゥイーン・パッド(Load Between Pad)タイプのティルティングパッドジャーナル軸受装置を例として説明するが、本発明は、他のティルティングパッド軸受装置、例えばロード・オン・パッド(Load OnPad)タイプのティルティングパッドジャーナル軸受装置やティルティングパッドスラスト軸受装置などにも適用できる。
【0020】
本実施形態のティルティングパッド軸受装置1は、図1に示すように、円筒形状で、円筒を接合部3で半割にした構造となっており、2つの半割状の軸受ケース1a、1bで構成されている。軸受ケース1aには、支持する回転軸5に対応する円弧状に形成された2つの軸受パッド7a、7bが、軸受ケース1aの内面に所定の間隔で突設された先端部が半球状の2つのピボット9に取り付けられ、支持されている。軸受ケース1bにも、軸受ケース1aと同様に、回転軸5の荷重を支持し、この支持する回転軸5に対応する円弧状に形成された2つの軸受パッド7c、7dが、軸受ケース1bの内面に所定の間隔で突設された先端部が半球状の2つのピボット9に取り付けられ、支持されている。このような軸受ケース1a、1bを、接合部3を当接させ、図示していないボルトで締結することで、ティルティングパッドジャーナル軸受装置1となる。
【0021】
軸受ケース1a、1bが締結されたとき、軸受ケース1a、1bの内面に4つのピボット9が等間隔で突設された状態となる。軸受パッド7a、7b、7c、7dの外側面の中央部には、各々、ピボット9の先端部が嵌合する球面座11となるピボット9の先端部の形状に対応する形状の凹部が形成されている。各ピボット9の先端部に、各々、軸受パッド7a、7b、7c、7dの球面座11が嵌合されることで、各ピボット9に、各々、軸受パッド7a、7b、7c、7dが、軸受ケース1a、1bの内面と軸受パッド7a、7b、7c、7dの外側面との間に隙間を有した状態で、ピボット9の先端部を支点として揺動可能に取り付けられる。これにより、軸受パッド7a、7b、7c、7dが等間隔で回転軸5を囲む状態に配設され、さらに、軸受パッド7a、7b、7c、7dが揺動して傾斜可能な構造となっている。また、軸受パッド7a、7b、7c、7dの内側面、つまり回転軸5と摺動する摺動面には、ポリエーテルエーテルケトンつまりPEEKなどのエンジニアリングプラスチックや、ホワイトメタルなどの金属材料などといった耐熱性や摺動性を有する材料からなる軸受材12がライニングされている。
【0022】
等間隔で配設された軸受パッド7a、7b、7c、7dの隣り合う軸受パッド間、つまり軸受パッド7aと軸受パッド7bの対向する縁部間、軸受パッド7bと軸受パッド7cの対向する縁部間、軸受パッド7cと軸受パッド7dの対向する縁部間、そして軸受パッド7dと軸受パッド7aの対向するする縁部間には、所定の隙間が設けられている。これらの4つの隙間に対応する軸受ケース1a、1bの内面部分には、各々、ノズル13a、13b、13c、13dが突設されており、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部が、各々、軸受パッド7aと軸受パッド7bの対向する縁部間、軸受パッド7bと軸受パッド7cの対向する縁部間、軸受パッド7cと軸受パッド7dの対向する縁部間、そして軸受パッド7dと軸受パッド7aの対向する縁部間の隙間に挿入された状態となっている。
【0023】
ノズル13a、13b、13c、13d内の潤滑油の流路14には、各々、軸受ケース1a、1bの各ノズル13a、13b、13c、13dの突設位置に対応する位置に形成され、軸受ケース1a、1bの外側から内側に向けて貫通している給油孔15a、15b、15c、15dが連通している。給油孔15a、15b、15c、15dは、図1及び図2に示すように、ティルティングパッド軸受装置1の外周面つまり軸受ケース1a、1bの外周面に、この外周面の中央部に沿って環状に形成された給油溝16に連通している。
【0024】
ノズル13a、13b、13c、13dは、図2に示すように、各々、軸受パッド7aと軸受パッド7bの対向する縁部、軸受パッド7bと軸受パッド7cの対向する縁部、軸受パッド7cと軸受パッド7dの対向する縁部、そして軸受パッド7dと軸受パッド7aの対向する縁部に沿って延在している。ノズル13a、13b、13c、13dの先端部には、図1及び図2に示すように、回転軸5の延在方向に沿って延在し、回転軸5に対向する先端面17と、回転軸5の延在方向に沿って延在し、先端面17に向かうに連れてノズル13a、13b、13c、13dの幅が漸次狭くなる対向する2つのテーパー面19、21とが形成されている。したがって、ノズル13a、13b、13c、13dは、図1に示すように、回転軸の径方向の断面で見たとき、軸受パッド7aと軸受パッド7bの対向する縁部間、軸受パッド7bと軸受パッド7cの対向する縁部間、軸受パッド7cと軸受パッド7dの対向する縁部間、そして軸受パッド7dと軸受パッド7aの対向する縁部間に位置する先端部が先端面17に向かうに連れて漸次細くなる形状となっている。
【0025】
ノズル13a、13b、13c、13dの先端面17には、軸受パッド7aと軸受パッド7bの対向する縁部、軸受パッド7bと軸受パッド7cの対向する縁部、軸受パッド7cと軸受パッド7dの対向する縁部、そして軸受パッド7dと軸受パッド7aの対向する縁部に沿って延在する溝22が形成されている。溝22は、ノズル13a、13b、13c、13dの両側の側面まで形成されており、溝22に流入した潤滑油を、ノズル13a、13b、13c、13dの両側の側面から回転軸5の延在方向に排出する。
【0026】
本実施形態では、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部には、図1に示すように、各々、内部の潤滑油の流路14からテーパー面19にかけて、回転軸5の延在方向に沿って断続的に複数の楕円状の貫通孔23が、内部の潤滑油の流路14からテーパー面21にかけて、回転軸5の延在方向に沿って断続的に複数の楕円状の貫通孔25が形成されている。また、内部の潤滑油の流路14から先端面17に形成された溝22の底面にかけて、回転軸5の延在方向に沿って連続的に延在するスリット状の貫通孔27が形成されている。
【0027】
すなわち、ノズル13bを例とすると、ノズル13bの先端部には、各々、内部の潤滑油の流路14からテーパー面19にかけて、軸受パッド7dの軸受パッド7a側の縁部の延在方向に沿って断続的に複数の楕円状の貫通孔23が、内部の潤滑油の流路14からテーパー面21にかけて、軸受パッド7aの軸受パッド7d側の縁部の延在方向に沿って断続的に複数の楕円状の貫通孔25が、そして内部の潤滑油の流路14から先端面17に形成された溝22の底面にかけて、軸受パッド7a及び軸受パッド7dの対向する縁部の延在方向に沿って連続的に延在するスリット状の貫通孔27が形成されている。これにより、ノズル13bの先端部の外側には、図2に示すように、テーパー面19に断続的に連なる複数の楕円状の開口29が、テーパー面21に断続的に連なる複数の楕円状の開口31が、そして先端面17に形成された溝22の底面に連続的に延在するスリット状の開口33が形成されている。
【0028】
回転軸5が、図1において時計方向、つまり軸受パッド7a、7b、7c、7dの順となる方向に回転するとき、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部のテーパー面19に設けられた開口29が、回転軸5の回転方向に対して最上流側に位置して回転軸5に向かう方向で、上流側に向けて斜めに潤滑油を吐出する第1の吐出口となる。そして、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部の開口29や、この開口29に連続する貫通孔23が形成された部分が第1の潤滑油吐出手段となる。
【0029】
さらに、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部のテーパー面21に設けられた開口31が、各々、回転軸5の回転方向に対して下流側の軸受パッド7b、7c、7d、7aに潤滑油を供給する給油口となる。そして、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部の開口31や、この開口31に連続する貫通孔25が形成された部分が給油手段となる。また、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部の溝22の底面に設けられた開口33が、第1の吐出口と給油口の間に位置し、回転軸5に向けて潤滑油を吐出する第2の吐出口となる。そして、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部の開口33や、この開口33に連続する貫通孔27が形成された部分が第2の潤滑油吐出手段となる。
【0030】
一方、回転軸5が、図1において反時計方向、つまり軸受パッド7d、7c、7b、7aの順となる方向に回転するときは、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部のテーパー面21に設けられた開口31が、回転軸5の回転方向に対して最上流側に位置して回転軸5に向かう方向に潤滑油を吐出する第1の吐出口となる。そして、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部の溝22と開口33や、この開口33に連続する貫通孔27が形成された部分が第2の潤滑油吐出手段となる。また、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部のテーパー面19の開口29が、各々、回転軸5の回転方向に対して下流側の軸受パッド7a、7b、7c、7dに潤滑油を供給する給油口となる。そして、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部の開口29や、この開口29に連続する貫通孔23が形成された部分が給油手段となる。
【0031】
また、本実施形態では、図2に示すように、軸受ケース1a、1bの回転軸5が挿通される両端面部に、回転軸5の径よりも大きな径の穴が形成された円盤状のシール部材35が、各々、設けられている。これにより、潤滑油が軸受ケース1a、1b内に保持されると共に、余分な潤滑油は、シール部材29と回転軸5の外周面との隙間から軸受ケース1a、1b外に排出される。シール部材35は、軸受パッド7a、7b、7c、7dの下流側となる縁部より、油膜圧力により潤滑油が高速で噴出するため、この噴出した潤滑油つまり排油がティルティングパッド軸受装置1の外部に漏洩することを防止するためのものである。このため、シール部材35以外に、排油の外部への漏洩を防止する構成となっている場合には、シール部材35は設ける必要がない。
【0032】
なお、潤滑油は、図示していない給油装置より、まず、ティルティングパッド装置1の給油溝17に供給された後、給油孔15a、15b、15c、15dを介してノズル13a、13b、13c、13dに供給され、ノズル13a、13b、13c、13dの開口29、33、31から吐出される。
【0033】
このような構成のティルティングパッド軸受装置1の動作と本発明の特徴部について説明する。ノズル13cを例とし、回転軸5が時計回りに回転する場合について説明すると、図3に示すように、回転軸5の回転方向に対して上流側の軸受パッド7cより排出される加熱された潤滑油、つまり加熱された排油は、ノズル13cの流路14から貫通孔23を介してテーパー面19に形成された最上流側の開口29から吐出する潤滑油により、上流側の軸受パッド7cの下流側の軸受パッド7dに対向する縁部において上流側の軸受パッド7cの摺動面から背面側へ流れて排除される。したがって、上流側の軸受パッド7cで加熱された排油の下流側の軸受パッド7dに向かう流れが抑制される。
【0034】
しかし、回転軸5の外周面に接する排油は、回転軸5の外周面に引っ張られて下流側の軸受パッド7dに向けて流れるため、下流側の軸受パッド7dに向かう流れを完全には除去できず、下流側の軸受パッド7dの温度が上流の軸受パッド7cからの排油の熱で上昇してしまう場合がある。そこで、ノズル13cの流路14から貫通孔27を介して先端面17の溝22の底面に形成された、開口29よりも上流側に位置する開口33から回転軸5に向けて吐出する潤滑油の噴流により、回転軸5の外周面に引っ張られ下流側の軸受パッド7dに向けて流れる排油を除去する。開口33から吐出する潤滑油により除去された排油は、ノズル13c先端面17に設けられた溝22を通り、ティルティングパッド軸受装置1の両端部側に排出される。さらに、ノズル13cの流路14から貫通孔25を介してテーパー面21に形成された、最下流側に位置する開口31から吐出する潤滑油が、下流側の軸受パッド7dと回転軸5の外周面との隙間に供給され、潤滑と共に下流側の軸受パッド7dを冷却する。
【0035】
これにより、下流側の軸受パッド7dには、上流側の軸受パッド7cからの排油が流入し難く、ノズル13cの流路14から貫通孔25を介してテーパー面21に形成された開口31から加熱されていない潤滑油が供給されるので、下流側の軸受パッド7dの温度が上昇し難い。また、ノズル13cの開口33から回転軸5に向けて吐出する加熱されていない潤滑油の噴流により、回転軸5も冷却される。
【0036】
ここで、従来のティルティングパッド軸受装置の一例を示すと、図4に示すように、軸受ケース1a、1bの軸受パッド7a、7b、7c、7d間に対応する位置に設けられ、軸受ケース1a、1bの給油溝17から内側に貫通する給油孔37a、37b、37c、37dより潤滑油を直接軸受ケース1a、1b内に供給するものがある。本例では軸受ケース1a、1bに設けた給油孔37a、37b、37c、37dより給油する構造であるが、給油孔37a、37b、37c、37dに連通する図示していない給油パイプを設け、給油パイプの開口を軸受パッド7a、7b、7c、7dの回転軸5の回転方向に対して上流側の摺動面近傍に設けて軸受パッド7a、7b、7c、7dに潤滑油を供給する構成もある。
【0037】
このような従来のティルティングパッド軸受装置では、上流側の軸受パッドより排出される加熱された高温の潤滑油が排除されず、下流側の軸受パッドへ流入するため、下流側の軸受パッドには、給油孔より供給される加熱されていない新たな潤滑油と上流側パッドよりの加熱された排油とが混合された潤滑油が供給されることになり、下流側の軸受パッドの入口での潤滑油温度が高くなってしまい軸受メタル温度の上昇、つまり軸受パッドの温度上昇を招き、焼き付きを起こし易い。
【0038】
これに対して、本実施形態のティルティングパッド軸受装置1では、回転軸5が時計回りに回転するときのノズル13cを例とすると、第1の潤滑油吐出手段の第1の吐出口となる開口29から吐出する潤滑油により、上流側の軸受パッド7cの下流側の軸受パッド7dに対向する縁部において上流側の軸受パッド7cの摺動面から背面側へ流れて排除される。このため、上流側の軸受パッド7cで加熱された排油の下流側の軸受パッド7dに向かう流れが抑制される。そして、ノズル13cの給油手段の給油口となる開口31から、潤滑油が下流側の軸受パッド7dと回転軸5の外周面との隙間に供給され、潤滑と共に下流側の軸受パッド7dを冷却する。したがって、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油による下流側の軸受パッドの温度上昇が抑制され、かつ下流側の軸受パッドが冷却されるため、軸受パッドの焼き付きが生じ難くなり、耐荷重性を向上できる。
【0039】
さらに、第1の吐出口となる開口29と給油口となる開口31との間に位置し、ノズル13cに設けられた第2の潤滑油吐出手段の第2の吐出口となる開口33から回転軸5に向けて吐出する潤滑油の噴流により、第1の吐出口から吐出した潤滑油で抑制できなかった上流側の軸受パッド7cからの下流側の軸受パッド7dに向けて流れる排油の流れを抑制することができる。したがって、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油による下流側の軸受パッドの温度上昇をより確実に抑制でき、耐荷重性をより向上できる。加えて、開口33から回転軸5に向けて吐出する潤滑油により、回転軸5を冷却することによっても、焼き付きが起こるのを抑制することができる。
【0040】
さらに、ノズル13cの先端面17には、隣り合う軸受パッド7c、7dの対向する縁部に沿う方向に延在する溝22が形成されている。このため、開口33から回転軸5に向けて吐出する潤滑油によって排除された上流側の軸受パッド7cからの加熱された排油が溝22内に流れ込み、排油が溝22内を通流して排出される。したがって、加熱された排油が排除され易くなり、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油が下流側の軸受パッド側に流れるのをより確実に抑制することができる。すなわち、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油による下流側の軸受パッドの温度上昇を一層確実に抑制でき、耐荷重性を一層向上できる。
【0041】
加えて、本実施形態では、ノズル13cの先端部の貫通孔23と開口29、そして貫通孔25と開口31が、同一の形状で、隣り合う軸受パッド7c、7d間の中心を通って回転軸5の中心に向かう線に対して対称に形成されている。このため、回転軸5の回転方向に応じて、ノズル13cの先端部の貫通孔23と開口29、そして貫通孔25と開口31が、第1の潤滑油吐出手段にも、給油手段にもなるため、可逆回転する回転軸を有する回転機械に適用できる。
【0042】
さらに、本実施形態では、各ノズル13a、13b、13c、13dが、第1の潤滑油吐出手段、第2の潤滑油吐出手段、そして給油手段の役割を果たすため、軸受装置の構成を簡素化できる。ただし、構成は複雑になるが、第1の潤滑油吐出手段、第2の潤滑油吐出手段、そして給油手段に対して、各々専用のノズルを設けた構成にすることもできる。このとき、第1の潤滑油吐出手段、第2の潤滑油吐出手段、そして給油手段となる各ノズルからの潤滑油の吐出速度は、変えることができる。例えば、給油手段となるノズルは、潤滑油の供給ができればよいため、第1の潤滑油吐出手段、第2の潤滑油吐出手段に比べて潤滑油の吐出速度を遅くできる。
【0043】
さらに、給油孔15a、15b、15c、15dの径の設定により、各軸受パッド7a、7b、7c、7dに独立して給油量を調整でき、各軸受パッド7a、7b、7c、7dの幅方向に最適な給油量配分にすることで、各軸受パッド7a、7b、7c、7dの上流側での入口油温の分布を最適な状態とし、軸受パッドの最高温度を低くすることができる。加えて、各軸受パッド7a、7b、7c、7dに供給された潤滑油は、各ノズル13a、13b、13c、13dで摺動面に供給されるので、軸受パッドの温度を効果的に低下させることができ、余剰な潤滑油の供給を低減し、給油量を低減することができる。
【0044】
さらに、各ノズル13a、13b、13c、13dから吐出された潤滑油の各軸受パッド7a、7b、7c、7dと回転軸5の外周面との間への引き込み作用が有効に作用するようになり、摺動面への潤滑油の流入がし易くなる。加えて、摺動面への潤滑油の流入がし易くなることにより、摺動面の潤滑油不足が起こり難い。加えて、各軸受パッド7a、7b、7c、7dに、どのような条件においても、加熱された排油の流入が抑制され、冷却された潤滑油が供給されることにより、比較的高荷重や高速回転といった軸受パッドの温度が上昇し易い条件においても軸受の焼損を抑制できる。
【0045】
また、本実施形態では、第2の潤滑油吐出手段となる貫通孔27、開口33、溝22などを有する構成を示した。しかし、第1の潤滑油吐出口部から吐出される潤滑油で、上流側の軸受パッドからの加熱された排油の下流側の軸受パッドへの流れを抑制することで、下流側の軸受けパッドの温度上昇を抑制できれば、第2の潤滑油吐出手段となる貫通孔27、開口33、溝22などを有していない構成にすることもできる。さらに、第2の潤滑油吐出手段を有している場合に、上流側の軸受パッドからの加熱された排油の排出を溝22がなくても行える場合には、溝22を設けていない構成にすることもできる。
【0046】
また、本実施形態では、テーパー面19に断続的に連なる複数の楕円状の開口29が、テーパー面21に断続的に連なる複数の楕円状の開口31が、そして先端面17に形成された溝22の底面に連続的に延在するスリット状の開口33が形成されている。しかし、各開口は、必要とされる潤滑油の吐出速度が得られればよく、その形状は適宜選択できる。例えば、図5に示すように、テーパー面19、21には、各々、隣り合う軸受パッド7c、7dの対向する縁部に沿って連続的に延在するスリット状の開口39、41を、そして先端面17に形成された溝22の底面には、断続的に連なる複数の楕円状の開口43が形成された構成にすることもできる。加えて、楕円に限らず、円形や方形の開口を断続的に形成することもできる。
【0047】
断続的な開口と連続的なスリット状の開口との違いは、例えば円形の断続的な開口では狭い領域から比較的高流速で潤滑油が吐出するのに対し、連続するスリット状の開口では断続的な開口に比べれば遅い流速となる。一方、流量はスリット状の開口の方が多くなる。したがって、吐出する潤滑油が、上流側の軸受パッドからの排油の排除を主な目的とする場合には連続するスリット状の開口とすることが好ましく、回転軸5に付着した排油の除去を主目的とする場合には断続的な開口とすることが好ましい。いずれの開口においても、上流側の軸受パッドより排出される排油の除去は達成できる。
【0048】
また、本実施形態では、4つの軸受パッドを有する構成を示したが、軸受パッドの数は4つ以外の数でも適宜選択できる。
【0049】
また、本発明は、本実施形態の構成のティルティングパッド軸受装置に限らず、様々な構成のティルティングパッド軸受装置に適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、ティルティングパッド軸受装置の耐荷重性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなるティルティングパッド軸受装置の一実施形態の概略構成を示す回転軸の径方向での断面図である。
【図2】図1のII−II線から見た回転軸の延在方向での断面図である。
【図3】本発明を適用してなるティルティングパッド軸受装置の一実施形態の動作をノズルが設けられた部分を拡大して示す回転軸の径方向での断面図である。
【図4】従来のティルティングパッド軸受装置の一例の概略構成を示す回転軸の径方向での断面図である。
【図5】本発明を適用してなるティルティングパッド軸受装置の別の実施形態の概略構成をノズルが設けられた部分を拡大して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ティルティングパッド軸受
5 回転軸
7a、7b、7c、7d 軸受パッド
13a、13b、13c、13d ノズル
15a、15b、15c、15d 給油孔
17 先端面
19、21 テーパー面
22 溝
23、25、27 貫通孔
29、31、33 開口
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸を支持する複数の軸受パッドを有するティルティングパッド軸受装置に係り、特に、直接潤滑方式のティルティングパッド軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ティルティングパッド軸受装置は、回転軸を支持する複数の軸受パッドを有しており、回転軸と摺動面する軸受パッドの摺動面に潤滑油を注入して潤滑するものである。このようなティルティングパッド軸受装置は、潤滑油の給油方式によって2種類に分けられる。一つは、ティルティングパッド軸受装置の軸受箱の中に潤滑油を供給して満たし、軸受パッドの軸受面を潤滑油で浸漬すると共に、摺動に使用された潤滑油を排出することにより、軸受面に潤滑油を浸漬循環させるようにした油浴方式(Flooded Lubrication)のティルティングパッド軸受装置である。もう一つは、軸受パッドの摺動面に潤滑油膜を形成して、この潤滑油膜により摺動面を潤滑する直接潤滑方式(Directed Lubrication)のティルティングパッド軸受装置である。油浴方式のティルティングパッド軸受装置が、一般的に広く用いられているが、直接潤滑方式のティルティングパッド軸受装置も、供給油量低減、損失低減などの点で有利なため、最近、適用が拡大してきている。
【0003】
ところで、例えば火力プラントなどの多スパンで回転軸の固有振動数が比較的低い大形の回転体の回転軸を支持する場合などでは、自励振動を抑制できる軸受装置を用いる必要がある。また、例えば分散電源用のマイクロタービンでも、数万rpmといった高速回転で運転されることにより、オイルホイップなどの自励振動が発生し易い。オイルホイップは、軸受荷重が減少し、回転軸の偏心量が低下することにより回転軸−軸受系の安定性が損なわれることにより発生するものである。このような自励振動を抑制できる軸受装置として、連成振動を無視できる程度に小さくできるティルティングパッド軸受装置を用いることが考えられている。
【0004】
しかし、ティルティングパッド軸受装置は、前述のように火力プラントのような大形の回転機械などの回転軸に適用したり、火力プラントなどの大形の回転体の回転軸を支持する場合に限らず、設備や機器類の小型化のために軸受けを小型化する場合や、回転軸の回転が高速化する場合など軸受けにかかる荷重が相対的に増大する場合などに適用すると、軸受パッドの焼き付きが生じてしまう場合があり、耐荷重性が他の軸受装置に比べて低い。このため、軸受パッドの焼き付きの発生を抑制し、ティルティングパッド軸受装置の耐荷重性を向上することが望まれている。
【0005】
これに対し、油浴方式よりも軸受パッドの焼き付きを起こし難い直接潤滑方式のティルティングパッド軸受装置において、軸受パッド内に、この軸受パッドの回転軸の回転方向に対して上流側の縁部に設けた供給口に潤滑油を導く流路を形成して軸受パッドの摺動面と回転軸の外周面の間に潤滑油を供給すると共に、供給口を設けた軸受パッドの縁部に回転軸の回転方向に対して上流側の軸受パッドから排出されてくる潤滑油の下流側のパッドへの侵入を抑制するための部材を設ける構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
さらに、軸受パッドへの給油と軸受パッドの冷却を行うための油路を軸受パッド内に設ける構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、隣り合う軸受パッド間に回転軸の回転方向に対して下流側の軸受パッドの摺動面と回転軸外面との間に向けて潤滑油を供給する給油パイプを設置する構成が提案されている(例えば、特許文献3参照)。さらに、軸受パッドの回転軸の回転方向に対して上流側の部分に給油ポケットを設け、さらに軸受パッドの摺動面に給油ポケットに連通する開口を設けることで、軸受ハウジングに設けた給油スリーブから軸受パッドに潤滑油を供給する構成が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭58−180814号公報(第2頁、第3図)
【特許文献2】
実開昭58−106616号公報(第2−3頁、第2−4図)
【特許文献3】
特開平5−26230号公報(第2−3頁、第1−3図)
【特許文献4】
特開平11−125241号公報(第4−5頁、第3図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、例えば火力プラントのような多スパンロータの回転軸−軸受系の回転機械などのように、アライメント調整により軸受荷重が変化する場合や部分負荷運転により荷重が変動する場合、ティルティングパッド軸受装置では、荷重の増大に連れて軸受メタル温度、つまり軸受パッドの温度が上昇する。また、分散電源対応のマイクロタービンなどにおいても、部分負荷運転のために回転数を下げて運転されることにより、油膜厚さが減少し、軸受パッドの温度が上昇する場合がある。
【0009】
軸受パッドの温度が上昇すると、回転軸の回転方向に対して上流側に位置する軸受パッドからの排出されてくる潤滑油つまり排油の温度が上昇し、上流側に位置する軸受パッドからの、より高温に加熱された排油が下流側の軸受パッド側に流入してしまう。このため、従来のティルティングパッド軸受装置ように、軸受パッドを加熱されていない新たに供給した潤滑油で冷却しようとしても、上流側に位置する軸受パッドからのより高温の排油が下流側の軸受パッド側に流入することにより、軸受パッドの温度上昇を抑えることは難しく、軸受パッドの焼き付きが生じ易くなる場合があるため、耐荷重性を向上できない。
【0010】
また、従来のティルティングパッド軸受装置において、上流側の軸受パッドから排出されてくる潤滑油の下流側のパッドへの侵入を抑制するための部材を設けることが提案されているが、このような部材を設けた場合、回転軸とこのような部材との接触や摩耗などの問題が生じ、また、使用に連れて、上流側に位置する軸受パッドからの加熱された高温の排油が下流側の軸受パッド側へ流入するのを抑制する効果が低くくなるなど、耐荷重性を向上できない場合がある。
【0011】
本発明の課題は、ティルティングパッド軸受装置の耐荷重性を向上することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のティルティングパッド軸受装置は、複数の軸受パッドの隣り合う軸受パッド間に、回転軸に向かう方向に吐出口から潤滑油を吐出する潤滑油吐出手段と、回転軸の回転方向に対して下流側の軸受パッドに対して供給口から潤滑油を供給する給油手段とを備え、潤滑油吐出手段の吐出口は、隣り合う軸受パッドの対向する縁部に沿う方向に連続的または断続的に延在し、給油手段の給油口は、隣り合う軸受パッドの対向する縁部に沿う方向に連続的または断続的に延在し、潤滑油吐出孔部の吐出口よりも回転軸の回転方向に対して下流側に位置する構成とすることにより上記課題を解決する。
【0013】
このような構成とすれば、回転軸の回転方向に対して上流側に位置する潤滑油吐出手段の吐出口から吐出される潤滑油により、回転軸の回転方向に対して上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された潤滑油つまり排油が下流側の軸受パッド側に流れるのを抑制する。さらに、潤滑油吐出手段の吐出口よりも下流側に位置する給油手段の給油口から下流側の軸受パッドに新たな潤滑油が給油され、この新たに供給された潤滑油により下流側の軸受パッドが冷却される。したがって、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油による下流側の軸受パッドの温度上昇が抑制され、かつ下流側の軸受パッドが冷却されるため、軸受パッドの焼き付きが生じ難くなり、耐荷重性を向上できる。
【0014】
また、潤滑油吐出手段は、回転軸に向かう方向で、回転軸の回転方向に対して上流側方向に向けて第1の吐出口から潤滑油を吐出する第1の潤滑油吐出手段と、回転軸に向けて第2の吐出口から潤滑油を吐出する第2の潤滑油吐出手段とからなり、第1の潤滑油吐出手段の第1の吐出口は、回転軸の回転方向に対して最上流側に位置し、第2の潤滑油吐出手段の第2の吐出口は、第1の潤滑油吐出手段の第1の吐出口と、給油手段の給油口との間に位置する構成とする。
【0015】
このような構成とすれば、第1の潤滑油吐出手段の第1の吐出口から吐出される潤滑油によって流れを抑制できず、上流側の軸受パッドから加熱された排油の一部が下流側の軸受パッド側に流れた場合でも、第2の潤滑油吐出手段の第2の吐出口から吐出される潤滑油によって、上流側の軸受パッドからの加熱された排油が下流側の軸受パッド側に流れるのを抑制することができる。したがって、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油による下流側の軸受パッドの温度上昇をより確実に抑制でき、耐荷重性をより向上できる。
【0016】
さらに、第2の潤滑油吐出手段には、隣り合う軸受パッドの対向する縁部に沿う方向に延在する溝が形成されており、この溝の底面に第2の吐出口が形成されている構成とする。これにより、第2の潤滑油吐出手段の第2の吐出口から吐出される潤滑油によって排除された上流側の軸受パッドからの加熱された排油が溝内に流れ込み、排油が溝内を通流して排出される。このため、加熱された排油が排除され易くなり、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油が下流側の軸受パッド側に流れるのをより確実に抑制することができる。したがって、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油による下流側の軸受パッドの温度上昇を一層確実に抑制でき、耐荷重性を一層向上できる。
【0017】
また、潤滑油吐出手段または第1の潤滑油吐出手段と、給油手段とが、同一の形状で、隣り合う軸受パッド間の中心を通って回転軸に向かう線に対して対称に形成されている構成とする。これにより、回転軸の回転方向に応じて、潤滑油吐出手段または第1の潤滑油吐出手段が給油手段に、給油手段が潤滑油吐出手段または第1の潤滑油吐出手段になるため、可逆回転する回転軸を有する回転機械にも適用することができる。
【0018】
さらに、潤滑油吐出手段、または第1の潤滑油吐出手段及び前記第2の潤滑油吐出手段と、給油手段とが、隣り合う軸受パッド間に位置する1つのノズルに設けられている構成とすれば、軸受装置の構成を簡素化できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用してなるティルティングパッド軸受装置の一実施形態について図1乃至図3を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなるティルティングパッド軸受装置の概略構成を示す回転軸の径方向での断面図である。図2は、図1のII−II線から見た回転軸の延在方向での断面図である。図3は、本発明を適用してなるティルティングパッド軸受装置の動作をノズルが設けられた部分を拡大して示す回転軸の径方向での断面図である。なお、本実施形態では、ロード・ビトゥイーン・パッド(Load Between Pad)タイプのティルティングパッドジャーナル軸受装置を例として説明するが、本発明は、他のティルティングパッド軸受装置、例えばロード・オン・パッド(Load OnPad)タイプのティルティングパッドジャーナル軸受装置やティルティングパッドスラスト軸受装置などにも適用できる。
【0020】
本実施形態のティルティングパッド軸受装置1は、図1に示すように、円筒形状で、円筒を接合部3で半割にした構造となっており、2つの半割状の軸受ケース1a、1bで構成されている。軸受ケース1aには、支持する回転軸5に対応する円弧状に形成された2つの軸受パッド7a、7bが、軸受ケース1aの内面に所定の間隔で突設された先端部が半球状の2つのピボット9に取り付けられ、支持されている。軸受ケース1bにも、軸受ケース1aと同様に、回転軸5の荷重を支持し、この支持する回転軸5に対応する円弧状に形成された2つの軸受パッド7c、7dが、軸受ケース1bの内面に所定の間隔で突設された先端部が半球状の2つのピボット9に取り付けられ、支持されている。このような軸受ケース1a、1bを、接合部3を当接させ、図示していないボルトで締結することで、ティルティングパッドジャーナル軸受装置1となる。
【0021】
軸受ケース1a、1bが締結されたとき、軸受ケース1a、1bの内面に4つのピボット9が等間隔で突設された状態となる。軸受パッド7a、7b、7c、7dの外側面の中央部には、各々、ピボット9の先端部が嵌合する球面座11となるピボット9の先端部の形状に対応する形状の凹部が形成されている。各ピボット9の先端部に、各々、軸受パッド7a、7b、7c、7dの球面座11が嵌合されることで、各ピボット9に、各々、軸受パッド7a、7b、7c、7dが、軸受ケース1a、1bの内面と軸受パッド7a、7b、7c、7dの外側面との間に隙間を有した状態で、ピボット9の先端部を支点として揺動可能に取り付けられる。これにより、軸受パッド7a、7b、7c、7dが等間隔で回転軸5を囲む状態に配設され、さらに、軸受パッド7a、7b、7c、7dが揺動して傾斜可能な構造となっている。また、軸受パッド7a、7b、7c、7dの内側面、つまり回転軸5と摺動する摺動面には、ポリエーテルエーテルケトンつまりPEEKなどのエンジニアリングプラスチックや、ホワイトメタルなどの金属材料などといった耐熱性や摺動性を有する材料からなる軸受材12がライニングされている。
【0022】
等間隔で配設された軸受パッド7a、7b、7c、7dの隣り合う軸受パッド間、つまり軸受パッド7aと軸受パッド7bの対向する縁部間、軸受パッド7bと軸受パッド7cの対向する縁部間、軸受パッド7cと軸受パッド7dの対向する縁部間、そして軸受パッド7dと軸受パッド7aの対向するする縁部間には、所定の隙間が設けられている。これらの4つの隙間に対応する軸受ケース1a、1bの内面部分には、各々、ノズル13a、13b、13c、13dが突設されており、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部が、各々、軸受パッド7aと軸受パッド7bの対向する縁部間、軸受パッド7bと軸受パッド7cの対向する縁部間、軸受パッド7cと軸受パッド7dの対向する縁部間、そして軸受パッド7dと軸受パッド7aの対向する縁部間の隙間に挿入された状態となっている。
【0023】
ノズル13a、13b、13c、13d内の潤滑油の流路14には、各々、軸受ケース1a、1bの各ノズル13a、13b、13c、13dの突設位置に対応する位置に形成され、軸受ケース1a、1bの外側から内側に向けて貫通している給油孔15a、15b、15c、15dが連通している。給油孔15a、15b、15c、15dは、図1及び図2に示すように、ティルティングパッド軸受装置1の外周面つまり軸受ケース1a、1bの外周面に、この外周面の中央部に沿って環状に形成された給油溝16に連通している。
【0024】
ノズル13a、13b、13c、13dは、図2に示すように、各々、軸受パッド7aと軸受パッド7bの対向する縁部、軸受パッド7bと軸受パッド7cの対向する縁部、軸受パッド7cと軸受パッド7dの対向する縁部、そして軸受パッド7dと軸受パッド7aの対向する縁部に沿って延在している。ノズル13a、13b、13c、13dの先端部には、図1及び図2に示すように、回転軸5の延在方向に沿って延在し、回転軸5に対向する先端面17と、回転軸5の延在方向に沿って延在し、先端面17に向かうに連れてノズル13a、13b、13c、13dの幅が漸次狭くなる対向する2つのテーパー面19、21とが形成されている。したがって、ノズル13a、13b、13c、13dは、図1に示すように、回転軸の径方向の断面で見たとき、軸受パッド7aと軸受パッド7bの対向する縁部間、軸受パッド7bと軸受パッド7cの対向する縁部間、軸受パッド7cと軸受パッド7dの対向する縁部間、そして軸受パッド7dと軸受パッド7aの対向する縁部間に位置する先端部が先端面17に向かうに連れて漸次細くなる形状となっている。
【0025】
ノズル13a、13b、13c、13dの先端面17には、軸受パッド7aと軸受パッド7bの対向する縁部、軸受パッド7bと軸受パッド7cの対向する縁部、軸受パッド7cと軸受パッド7dの対向する縁部、そして軸受パッド7dと軸受パッド7aの対向する縁部に沿って延在する溝22が形成されている。溝22は、ノズル13a、13b、13c、13dの両側の側面まで形成されており、溝22に流入した潤滑油を、ノズル13a、13b、13c、13dの両側の側面から回転軸5の延在方向に排出する。
【0026】
本実施形態では、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部には、図1に示すように、各々、内部の潤滑油の流路14からテーパー面19にかけて、回転軸5の延在方向に沿って断続的に複数の楕円状の貫通孔23が、内部の潤滑油の流路14からテーパー面21にかけて、回転軸5の延在方向に沿って断続的に複数の楕円状の貫通孔25が形成されている。また、内部の潤滑油の流路14から先端面17に形成された溝22の底面にかけて、回転軸5の延在方向に沿って連続的に延在するスリット状の貫通孔27が形成されている。
【0027】
すなわち、ノズル13bを例とすると、ノズル13bの先端部には、各々、内部の潤滑油の流路14からテーパー面19にかけて、軸受パッド7dの軸受パッド7a側の縁部の延在方向に沿って断続的に複数の楕円状の貫通孔23が、内部の潤滑油の流路14からテーパー面21にかけて、軸受パッド7aの軸受パッド7d側の縁部の延在方向に沿って断続的に複数の楕円状の貫通孔25が、そして内部の潤滑油の流路14から先端面17に形成された溝22の底面にかけて、軸受パッド7a及び軸受パッド7dの対向する縁部の延在方向に沿って連続的に延在するスリット状の貫通孔27が形成されている。これにより、ノズル13bの先端部の外側には、図2に示すように、テーパー面19に断続的に連なる複数の楕円状の開口29が、テーパー面21に断続的に連なる複数の楕円状の開口31が、そして先端面17に形成された溝22の底面に連続的に延在するスリット状の開口33が形成されている。
【0028】
回転軸5が、図1において時計方向、つまり軸受パッド7a、7b、7c、7dの順となる方向に回転するとき、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部のテーパー面19に設けられた開口29が、回転軸5の回転方向に対して最上流側に位置して回転軸5に向かう方向で、上流側に向けて斜めに潤滑油を吐出する第1の吐出口となる。そして、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部の開口29や、この開口29に連続する貫通孔23が形成された部分が第1の潤滑油吐出手段となる。
【0029】
さらに、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部のテーパー面21に設けられた開口31が、各々、回転軸5の回転方向に対して下流側の軸受パッド7b、7c、7d、7aに潤滑油を供給する給油口となる。そして、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部の開口31や、この開口31に連続する貫通孔25が形成された部分が給油手段となる。また、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部の溝22の底面に設けられた開口33が、第1の吐出口と給油口の間に位置し、回転軸5に向けて潤滑油を吐出する第2の吐出口となる。そして、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部の開口33や、この開口33に連続する貫通孔27が形成された部分が第2の潤滑油吐出手段となる。
【0030】
一方、回転軸5が、図1において反時計方向、つまり軸受パッド7d、7c、7b、7aの順となる方向に回転するときは、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部のテーパー面21に設けられた開口31が、回転軸5の回転方向に対して最上流側に位置して回転軸5に向かう方向に潤滑油を吐出する第1の吐出口となる。そして、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部の溝22と開口33や、この開口33に連続する貫通孔27が形成された部分が第2の潤滑油吐出手段となる。また、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部のテーパー面19の開口29が、各々、回転軸5の回転方向に対して下流側の軸受パッド7a、7b、7c、7dに潤滑油を供給する給油口となる。そして、ノズル13a、13b、13c、13dの先端部の開口29や、この開口29に連続する貫通孔23が形成された部分が給油手段となる。
【0031】
また、本実施形態では、図2に示すように、軸受ケース1a、1bの回転軸5が挿通される両端面部に、回転軸5の径よりも大きな径の穴が形成された円盤状のシール部材35が、各々、設けられている。これにより、潤滑油が軸受ケース1a、1b内に保持されると共に、余分な潤滑油は、シール部材29と回転軸5の外周面との隙間から軸受ケース1a、1b外に排出される。シール部材35は、軸受パッド7a、7b、7c、7dの下流側となる縁部より、油膜圧力により潤滑油が高速で噴出するため、この噴出した潤滑油つまり排油がティルティングパッド軸受装置1の外部に漏洩することを防止するためのものである。このため、シール部材35以外に、排油の外部への漏洩を防止する構成となっている場合には、シール部材35は設ける必要がない。
【0032】
なお、潤滑油は、図示していない給油装置より、まず、ティルティングパッド装置1の給油溝17に供給された後、給油孔15a、15b、15c、15dを介してノズル13a、13b、13c、13dに供給され、ノズル13a、13b、13c、13dの開口29、33、31から吐出される。
【0033】
このような構成のティルティングパッド軸受装置1の動作と本発明の特徴部について説明する。ノズル13cを例とし、回転軸5が時計回りに回転する場合について説明すると、図3に示すように、回転軸5の回転方向に対して上流側の軸受パッド7cより排出される加熱された潤滑油、つまり加熱された排油は、ノズル13cの流路14から貫通孔23を介してテーパー面19に形成された最上流側の開口29から吐出する潤滑油により、上流側の軸受パッド7cの下流側の軸受パッド7dに対向する縁部において上流側の軸受パッド7cの摺動面から背面側へ流れて排除される。したがって、上流側の軸受パッド7cで加熱された排油の下流側の軸受パッド7dに向かう流れが抑制される。
【0034】
しかし、回転軸5の外周面に接する排油は、回転軸5の外周面に引っ張られて下流側の軸受パッド7dに向けて流れるため、下流側の軸受パッド7dに向かう流れを完全には除去できず、下流側の軸受パッド7dの温度が上流の軸受パッド7cからの排油の熱で上昇してしまう場合がある。そこで、ノズル13cの流路14から貫通孔27を介して先端面17の溝22の底面に形成された、開口29よりも上流側に位置する開口33から回転軸5に向けて吐出する潤滑油の噴流により、回転軸5の外周面に引っ張られ下流側の軸受パッド7dに向けて流れる排油を除去する。開口33から吐出する潤滑油により除去された排油は、ノズル13c先端面17に設けられた溝22を通り、ティルティングパッド軸受装置1の両端部側に排出される。さらに、ノズル13cの流路14から貫通孔25を介してテーパー面21に形成された、最下流側に位置する開口31から吐出する潤滑油が、下流側の軸受パッド7dと回転軸5の外周面との隙間に供給され、潤滑と共に下流側の軸受パッド7dを冷却する。
【0035】
これにより、下流側の軸受パッド7dには、上流側の軸受パッド7cからの排油が流入し難く、ノズル13cの流路14から貫通孔25を介してテーパー面21に形成された開口31から加熱されていない潤滑油が供給されるので、下流側の軸受パッド7dの温度が上昇し難い。また、ノズル13cの開口33から回転軸5に向けて吐出する加熱されていない潤滑油の噴流により、回転軸5も冷却される。
【0036】
ここで、従来のティルティングパッド軸受装置の一例を示すと、図4に示すように、軸受ケース1a、1bの軸受パッド7a、7b、7c、7d間に対応する位置に設けられ、軸受ケース1a、1bの給油溝17から内側に貫通する給油孔37a、37b、37c、37dより潤滑油を直接軸受ケース1a、1b内に供給するものがある。本例では軸受ケース1a、1bに設けた給油孔37a、37b、37c、37dより給油する構造であるが、給油孔37a、37b、37c、37dに連通する図示していない給油パイプを設け、給油パイプの開口を軸受パッド7a、7b、7c、7dの回転軸5の回転方向に対して上流側の摺動面近傍に設けて軸受パッド7a、7b、7c、7dに潤滑油を供給する構成もある。
【0037】
このような従来のティルティングパッド軸受装置では、上流側の軸受パッドより排出される加熱された高温の潤滑油が排除されず、下流側の軸受パッドへ流入するため、下流側の軸受パッドには、給油孔より供給される加熱されていない新たな潤滑油と上流側パッドよりの加熱された排油とが混合された潤滑油が供給されることになり、下流側の軸受パッドの入口での潤滑油温度が高くなってしまい軸受メタル温度の上昇、つまり軸受パッドの温度上昇を招き、焼き付きを起こし易い。
【0038】
これに対して、本実施形態のティルティングパッド軸受装置1では、回転軸5が時計回りに回転するときのノズル13cを例とすると、第1の潤滑油吐出手段の第1の吐出口となる開口29から吐出する潤滑油により、上流側の軸受パッド7cの下流側の軸受パッド7dに対向する縁部において上流側の軸受パッド7cの摺動面から背面側へ流れて排除される。このため、上流側の軸受パッド7cで加熱された排油の下流側の軸受パッド7dに向かう流れが抑制される。そして、ノズル13cの給油手段の給油口となる開口31から、潤滑油が下流側の軸受パッド7dと回転軸5の外周面との隙間に供給され、潤滑と共に下流側の軸受パッド7dを冷却する。したがって、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油による下流側の軸受パッドの温度上昇が抑制され、かつ下流側の軸受パッドが冷却されるため、軸受パッドの焼き付きが生じ難くなり、耐荷重性を向上できる。
【0039】
さらに、第1の吐出口となる開口29と給油口となる開口31との間に位置し、ノズル13cに設けられた第2の潤滑油吐出手段の第2の吐出口となる開口33から回転軸5に向けて吐出する潤滑油の噴流により、第1の吐出口から吐出した潤滑油で抑制できなかった上流側の軸受パッド7cからの下流側の軸受パッド7dに向けて流れる排油の流れを抑制することができる。したがって、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油による下流側の軸受パッドの温度上昇をより確実に抑制でき、耐荷重性をより向上できる。加えて、開口33から回転軸5に向けて吐出する潤滑油により、回転軸5を冷却することによっても、焼き付きが起こるのを抑制することができる。
【0040】
さらに、ノズル13cの先端面17には、隣り合う軸受パッド7c、7dの対向する縁部に沿う方向に延在する溝22が形成されている。このため、開口33から回転軸5に向けて吐出する潤滑油によって排除された上流側の軸受パッド7cからの加熱された排油が溝22内に流れ込み、排油が溝22内を通流して排出される。したがって、加熱された排油が排除され易くなり、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油が下流側の軸受パッド側に流れるのをより確実に抑制することができる。すなわち、上流側の軸受パッドから排出されてくる加熱された排油による下流側の軸受パッドの温度上昇を一層確実に抑制でき、耐荷重性を一層向上できる。
【0041】
加えて、本実施形態では、ノズル13cの先端部の貫通孔23と開口29、そして貫通孔25と開口31が、同一の形状で、隣り合う軸受パッド7c、7d間の中心を通って回転軸5の中心に向かう線に対して対称に形成されている。このため、回転軸5の回転方向に応じて、ノズル13cの先端部の貫通孔23と開口29、そして貫通孔25と開口31が、第1の潤滑油吐出手段にも、給油手段にもなるため、可逆回転する回転軸を有する回転機械に適用できる。
【0042】
さらに、本実施形態では、各ノズル13a、13b、13c、13dが、第1の潤滑油吐出手段、第2の潤滑油吐出手段、そして給油手段の役割を果たすため、軸受装置の構成を簡素化できる。ただし、構成は複雑になるが、第1の潤滑油吐出手段、第2の潤滑油吐出手段、そして給油手段に対して、各々専用のノズルを設けた構成にすることもできる。このとき、第1の潤滑油吐出手段、第2の潤滑油吐出手段、そして給油手段となる各ノズルからの潤滑油の吐出速度は、変えることができる。例えば、給油手段となるノズルは、潤滑油の供給ができればよいため、第1の潤滑油吐出手段、第2の潤滑油吐出手段に比べて潤滑油の吐出速度を遅くできる。
【0043】
さらに、給油孔15a、15b、15c、15dの径の設定により、各軸受パッド7a、7b、7c、7dに独立して給油量を調整でき、各軸受パッド7a、7b、7c、7dの幅方向に最適な給油量配分にすることで、各軸受パッド7a、7b、7c、7dの上流側での入口油温の分布を最適な状態とし、軸受パッドの最高温度を低くすることができる。加えて、各軸受パッド7a、7b、7c、7dに供給された潤滑油は、各ノズル13a、13b、13c、13dで摺動面に供給されるので、軸受パッドの温度を効果的に低下させることができ、余剰な潤滑油の供給を低減し、給油量を低減することができる。
【0044】
さらに、各ノズル13a、13b、13c、13dから吐出された潤滑油の各軸受パッド7a、7b、7c、7dと回転軸5の外周面との間への引き込み作用が有効に作用するようになり、摺動面への潤滑油の流入がし易くなる。加えて、摺動面への潤滑油の流入がし易くなることにより、摺動面の潤滑油不足が起こり難い。加えて、各軸受パッド7a、7b、7c、7dに、どのような条件においても、加熱された排油の流入が抑制され、冷却された潤滑油が供給されることにより、比較的高荷重や高速回転といった軸受パッドの温度が上昇し易い条件においても軸受の焼損を抑制できる。
【0045】
また、本実施形態では、第2の潤滑油吐出手段となる貫通孔27、開口33、溝22などを有する構成を示した。しかし、第1の潤滑油吐出口部から吐出される潤滑油で、上流側の軸受パッドからの加熱された排油の下流側の軸受パッドへの流れを抑制することで、下流側の軸受けパッドの温度上昇を抑制できれば、第2の潤滑油吐出手段となる貫通孔27、開口33、溝22などを有していない構成にすることもできる。さらに、第2の潤滑油吐出手段を有している場合に、上流側の軸受パッドからの加熱された排油の排出を溝22がなくても行える場合には、溝22を設けていない構成にすることもできる。
【0046】
また、本実施形態では、テーパー面19に断続的に連なる複数の楕円状の開口29が、テーパー面21に断続的に連なる複数の楕円状の開口31が、そして先端面17に形成された溝22の底面に連続的に延在するスリット状の開口33が形成されている。しかし、各開口は、必要とされる潤滑油の吐出速度が得られればよく、その形状は適宜選択できる。例えば、図5に示すように、テーパー面19、21には、各々、隣り合う軸受パッド7c、7dの対向する縁部に沿って連続的に延在するスリット状の開口39、41を、そして先端面17に形成された溝22の底面には、断続的に連なる複数の楕円状の開口43が形成された構成にすることもできる。加えて、楕円に限らず、円形や方形の開口を断続的に形成することもできる。
【0047】
断続的な開口と連続的なスリット状の開口との違いは、例えば円形の断続的な開口では狭い領域から比較的高流速で潤滑油が吐出するのに対し、連続するスリット状の開口では断続的な開口に比べれば遅い流速となる。一方、流量はスリット状の開口の方が多くなる。したがって、吐出する潤滑油が、上流側の軸受パッドからの排油の排除を主な目的とする場合には連続するスリット状の開口とすることが好ましく、回転軸5に付着した排油の除去を主目的とする場合には断続的な開口とすることが好ましい。いずれの開口においても、上流側の軸受パッドより排出される排油の除去は達成できる。
【0048】
また、本実施形態では、4つの軸受パッドを有する構成を示したが、軸受パッドの数は4つ以外の数でも適宜選択できる。
【0049】
また、本発明は、本実施形態の構成のティルティングパッド軸受装置に限らず、様々な構成のティルティングパッド軸受装置に適用することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、ティルティングパッド軸受装置の耐荷重性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなるティルティングパッド軸受装置の一実施形態の概略構成を示す回転軸の径方向での断面図である。
【図2】図1のII−II線から見た回転軸の延在方向での断面図である。
【図3】本発明を適用してなるティルティングパッド軸受装置の一実施形態の動作をノズルが設けられた部分を拡大して示す回転軸の径方向での断面図である。
【図4】従来のティルティングパッド軸受装置の一例の概略構成を示す回転軸の径方向での断面図である。
【図5】本発明を適用してなるティルティングパッド軸受装置の別の実施形態の概略構成をノズルが設けられた部分を拡大して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ティルティングパッド軸受
5 回転軸
7a、7b、7c、7d 軸受パッド
13a、13b、13c、13d ノズル
15a、15b、15c、15d 給油孔
17 先端面
19、21 テーパー面
22 溝
23、25、27 貫通孔
29、31、33 開口
Claims (5)
- 複数の軸受パッドの隣り合う軸受パッド間に、回転軸に向かう方向に吐出口から潤滑油を吐出する潤滑油吐出手段と、前記回転軸の回転方向に対して下流側の前記軸受パッドに対して供給口から潤滑油を供給する給油手段とを備え、前記潤滑油吐出手段の吐出口は、前記隣り合う軸受パッドの対向する縁部に沿う方向に連続的または断続的に延在し、前記給油手段の供給口は、前記隣り合う軸受パッドの対向する縁部に沿う方向に連続的または断続的に延在し、前記潤滑油吐出孔部の吐出口よりも前記回転軸の回転方向に対して下流側に位置することを特徴とするティルティングパッド軸受装置。
- 前記潤滑油吐出手段は、前記回転軸に向かう方向で、前記回転軸の回転方向に対して上流側方向に向けて第1の吐出口から潤滑油を吐出する第1の潤滑油吐出手段と、前記回転軸に向けて第2の吐出口から潤滑油を吐出する第2の潤滑油吐出手段とからなり、前記第1の潤滑油吐出手段の第1の吐出口は、前記回転軸の回転方向に対して最上流側に位置し、前記第2の潤滑油吐出手段の第2の吐出口は、前記第1の潤滑油吐出手段の第1の吐出口と、前記給油手段の給油口との間に位置することを特徴とする請求項1に記載のティルティングパッド軸受装置。
- 前記第2の潤滑油吐出手段には、前記隣り合う軸受パッドの対向する縁部に沿う方向に延在する溝が形成されており、該溝の底面に前記第2の吐出口が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のティルティングパッド軸受装置。
- 前記潤滑油吐出手段または前記第1の潤滑油吐出手段と、前記給油手段とが、同一の形状で、前記隣り合う軸受パッド間の中心を通って前記回転軸に向かう線に対して対称に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のティルティングパッド軸受装置。
- 前記潤滑油吐出手段または前記第1の潤滑油吐出手段及び前記第2の潤滑油吐出手段と、前記給油手段とが、前記隣り合う軸受パッド間に位置する1つのノズルに設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のティルティングパッド軸受装置。
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