JP2017155124A - コーティング剤、コーティング剤の製造方法及びコーティング膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】グリシドキシアルキル基を含有したポリシルセスキオキサンにイミダゾール化合物を添加したコーティング剤であり、そのコーティング膜とポリイミド表面との熱水剥離耐性を高めた。
【選択図】なし
Description
また、ポリイミド上にコーティング膜を形成させるにあたって、ポリイミドは他の部材との接着性に劣るため、他の部材との界面で剥がれが生じやすいという問題がある。
ポリイミドは、その前駆体を高温処理することによりイミド化を行い製造されるが、多くの場合、そのイミド化率は100%ではないことが知られている。したがって、ポリイミド表面にはカルボキシル基と酸アミド結合が残存している。本実施形態のコーティング剤は、そのカルボキシル基と酸アミド結合に反応することが期待される側鎖にグリシドキシ基を含んだシロキサンに反応促進剤や硬化促進剤を添加したものであり、そのコーティング膜はポリイミドに強固に接着し、耐熱水性の高い高硬度な膜である。
本実施形態に係るコーティング剤の第一の成分であるポリシロキサンは、アルキルもしくはアリールトリアルコキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシランとを共加水分解縮合することによって得られる。なお、上記アルキルもしくはアリールトリアルコキシシランとグリシドキシアルキルトリアルコキシシラン以外のシランカップリング剤は通常使用しなくてもよいが、本実施形態のコーティング剤およびそれから得られるコーティング膜の特性に悪影響を及ぼさない量であれば、共加水分解縮合の際に併用しても構わない。
上記原料アルコキシシランの加水分解縮合反応に用いられる水の量は、原料アルコキシシランが有するアルコキシシリル基のモル量の半分〜同量とすることが好ましい。
上記酸触媒の使用量としては、原料アルコキシシランが有するアルコキシシリル基の加水分解反応に対して触媒作用を発現する量以上であればよい。具体的には、上記原料アルコキシシランの質量に対して、0.1ppm〜10%であることが好ましい。
本実施形態に係るコーティング剤の第二の成分として、グリシドキシ基同士の縮合反応に加えて、ポリイミド表面のカルボキシル基とグリシドキシ基間の付加反応、酸アミド結合へのグリシドキシ基の挿入反応の促進が期待される化合物として、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2−エチルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−メチルイミダゾール−4−カルボン酸、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−エチル−4−チオカルバモイルイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。
本実施形態に係るコーティング剤の第三の成分である硬化促進剤は、コーティング膜の硬化を促進するために用いられる。シラノール基間もしくはシラノール基とメトキシシリル基間の縮合反応促進が期待される化合物としては、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ビス(アセトキシジブチルスズ)オキサイド及びビス(ラウロキシジブチルスズ)オキサイドなどが挙げられる。
本実施形態に係るコーティング剤は、先のポリシロキサンと反応促進剤及び硬化促進剤を含んでいる。反応促進剤と硬化促進剤の含有量は、ポリシロキサンの固形分に対して、それぞれ0.1以上10%以下であることが好ましい。0.1%未満であると、反応促進と硬化促進の度合いが不十分となり、期待されるコーティング膜の物性が得られないおそれがある。また、10%を超えても、それに見合うだけのさらなる効果が期待できない。
本実施形態に係るコーティング剤の製造方法は、メチルトリメトキシシランもしくはフェニルトリメトキシシランとグリシドキシプロピルトリメトキシシランを、酸触媒として無機酸またはルイス酸を用いて共加水分解縮合反応によりポリシロキサンを得る工程、および、前記工程で得られたポリシロキサンに反応促進剤及び硬化促進剤を加える工程を含む。詳細については、すでに説明した内容がそれぞれ適用される。
この製造方法によって得られたコーティング剤は、グリシドキシ基が残存しており、ポリイミド表面との優れた接着性及び硬化性を有することが期待できる。
コーティング膜の形成は、室温で30分放置して溶媒を除去した上記コーティング剤をポリイミド上に乾燥膜厚0.5〜10μmになるように塗装を行い、150℃で6時間加熱することで加熱硬化反応を行い、硬化膜を形成する。
塗装には、スピンコーター、スリットコーター、スプレー、ディップコーター、バーコーター等が使用される。
メチルトリメトキシシラン47.7部、フェニルトリメトキシシラン69.4部、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン79.8部をイソプロピルアルコールとメチルイソブチルケトンとの2:1(質量比)混合物154部に溶解した。ここに、系内のアルコキシシリル基のモル数と同じモル数となる水56.7部と酸触媒として塩酸1部とを添加して、40℃で2時間攪拌し、さらに80℃で3時間攪拌を行った後、濃縮してポリシロキサンを得た。
実施例1において、メチルトリメトキシシランの量を143.1部に、水の量を94.5部に、および、塩酸の量を2部にそれぞれ変更すること以外は同様にして、ポリシロキサンを得た。
実施例1において、フェニルトリメトキシシランの量を208.2部に、水の量を94.5部に、および、塩酸の量を2部にそれぞれ変更すること以外は同様にして、ポリシロキサンを得た。
実施例1で得られたポリシロキサン100部をテトラヒドロフランとメチルイソブチルケトンとの1:4(質量比)混合物50部に加えて溶解後、反応促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(EMI)2部を添加したが、硬化促進剤としてジブチルスズジラウレート(DBDL)を添加しない比較用コーティング剤を得た。
実施例1で得られたポリシルセスキオキサン100部をテトラヒドロフランとメチルイソブチルケトンとの1:4(質量比)混合物50部に加えて溶解後、反応促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(EMI)を添加せず、硬化促進剤ジブチルスズジラウレート(DBDL)4部を添加した比較用コーティング剤を得た。
メチルトリメトキシシラン47.7部、フェニルトリメトキシシラン69.4部をイソプロピルアルコールとメチルイソブチルケトンとの2:1(質量比)混合物92部に溶解した。ここに、系内のアルコキシシリル基のモル数と同じモル数となる水37.8部と酸触媒として塩酸0.7部とを添加して、40℃で2時間攪拌し、さらに80℃で3時間攪拌を行った後、濃縮してポリシロキサンを得た。
実施例1、2、3で得られたコーティング剤および比較例1、2、3で得られた比較用のコーティング剤をバーコーターを用いて、イソプロピルアルコールで表面を洗浄したポリイミドフィルムの片面に硬化後のコーティング膜厚が5μm以下になるよう塗布、150℃で6時間加熱し、透明なコーティング膜をそれぞれ得た。
得られたコーティング膜の下記の項目について評価を行った。結果を表1と2に示す。
JIS K 5600−5−4に準じて、斜め45度の角度に固定した鉛筆に真上から750gの荷重をかけ引っかき試験を行った。鉛筆硬度が2H以上の場合を合格とする。
JIS K 5600−5−6に準じて、調製した試験片にカッターにより1mm間隔の縦横6本ずつの切れ目を入れ、その上にセロハンテープを貼付してはがし、25個のます目のうち、残存したます目の数をカウントした(碁盤目試験、残ったます目数/全てのます目数(25))。下記の耐熱水性試験前において、全てのます目が残る場合を合格とする。
試験片を電導度が1.0μs/cmのイオン交換水(90℃)に48時間浸漬し、試験後の密着性を測定した。試験後の碁盤目試験において、密着性の保持率が100%の場合を合格とする。
Claims (3)
- グリシドキシアルキル基を含有したポリシロキサンと、
前記ポリシロキサンのグリシドキシ基の反応を促進する反応促進剤と、
前記ポリシロキサンのシラノール基間及びシラノール基とアルコキシシリル基間のシロキサン結合形成を促進する硬化促進剤と、からなるコーティング剤。 - メチルトリメトキシシランもしくはフェニルトリメトキシシランとグリシドキシプロピルトリメトキシシランを、酸触媒として無機酸またはルイス酸を用いて共加水分解縮合反応によりポリシロキサンを得る工程と、
前記工程で得られたポリシロキサンに、前記ポリシロキサンのグリシドキシ基の反応を促進する反応促進剤及び、前記ポリシロキサンのシラノール基間及びシラノール基とアルコキシシリル基間のシロキサン結合形成を促進する硬化促進剤を加える工程と、を含むコーティング剤の製造方法。 - 請求項1に記載のコーティング剤の有機溶媒を除去し、基材上に膜状に配した後に、加熱硬化反応を行って硬化膜を形成することを特徴とするコーティング膜の形成方法。
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JP2010036577A (ja) * | 2008-07-10 | 2010-02-18 | Dow Corning Toray Co Ltd | ガスバリアー性硬化オルガノポリシロキサン樹脂フィルム及びその製造方法 |
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2016
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