JP2019014789A - コーティング剤、コーティング剤の製造方法及びコーティング膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリイミド基材表面を保護することを目的とした高硬度で耐熱水性を有したコーティング膜をポリイミド基材の前処理を何らすることなく形成できるコーティング剤を提供すること。
【解決手段】プライマー成分として側鎖にグリシドキシアルキル基と(メタ)アクリル基を含有したポリシロキサンを含有した3官能以上の(メタ)アクリルモノマーからなる(メタ)アクリル樹脂層を形成することによって未処理ポリイミド基材上に高硬度で耐熱水性を有したコーティング膜を形成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド基材表面にコーティング膜を形成できるコーティング剤、コーティング剤の製造方法及びコーティング膜の製造方法に関する。
ポリイミドは、耐熱性、耐溶剤性、電気特性などに優れた樹脂であり、特にエレクトロニクス分野において、半導体素子の表面保護用被膜や絶縁膜、液晶ディスプレイ基板の配向膜、フレキシブルプリント基板の基板材料等広く用いられている。しかし、有機高分子樹脂であるため柔らかく傷つきやすいので、その表面をコーティング膜などにより保護する必要がある。そのコーティング膜には密着・接着性、耐水性などに優れ、高硬度であることが求められている。
また、ポリイミド上にコーティング膜を形成させるにあたって、ポリイミドは他の部材との接着性に劣るため、他の部材との界面で剥がれが生じやすいという問題がある。
そこで、従来からポリイミド表面を化学的に処理し、他の部材との接着性を向上させる方法が検討されている。例えば、ポリイミドを水酸化ナトリウム水溶液、エチレンジアミン水溶液などのアルカリ水溶液と接触させることより、イミド結合を加水分解してカルボキシル基と酸アミド結合を生成させ、エポキシ樹脂などとの反応性を高める方法、イミド結合を加水分解した後、さらにシランカップリング剤で処理する方法、ポリイミドを高温のヒドロキシルアミン溶液で処理する方法、ポリイミドをアミン溶液で処理する方法、ポリイミドをエタノールアミンと、N−メチルピロリドンまたはジメチルホルムアミドとの混合液で処理する方法などが提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
一方、ポリイミド上に形成されるコーティング膜に関しては、ポリイミドの前駆体組成物、もしくはポリイミド前駆体にある種の添加剤を加えたコーティング剤組成物などが提案されているが、表面硬度を高められるものではない(例えば、特許文献4)。
特開平4−231474 特開平7−273466 特開平11−49880 特開2013−256642
本発明の目的は、ポリイミド表面を何ら改質することなく、ポリイミド表面に強固に接着でき、高硬度で耐水性を有するコーティング膜を形成することができるコーティング剤、コーティング剤の製造方法及びコーティング膜の製造方法を提供することにある。
本発明のコーティング剤は、グリシドキシ基と(メタ)アクリル基を有するポリシロキサンと、3官能以上の(メタ)アクリルモノマーからなる(メタ)アクリル樹脂形成成分と、前記(メタ)アクリル樹脂形成成分を硬化する光ラジカル重合開始剤とを含むコーティング剤とを含むことを特徴とする。
本発明のコーティング剤の製造方法は、グリシドキシプロピルトリアルコキシシランとメタクリルプロピルトリアルコキシシランの混合物を酸触媒を用いて加水分解縮合反応によりポリシロキサンを得る工程と、前記ポリシロキサンのグリシドキシ基の反応を促進する反応促進剤を加える工程と、前記ポリシロキサンのシラノール基間及びシラノール基とアルコキシシリル基間のシロキサン結合形成を促進する硬化促進剤を加える工程と、3官能以上の(メタ)アクリルモノマーからなる(メタ)アクリル樹脂形成成分を硬化する光ラジカル重合開始剤を加える工程と、を含むことを特徴とする。
本発明のコーティング膜の製造方法は、前記コーティング剤をポリイミド基材表面に膜状に配する工程と、前記コーティング剤の有機溶媒を除去する工程と、前記コーティング剤を光照射により光硬化する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明のコーティング剤は、ポリイミド基材の表面を何ら改質することなく、ポリイミドとの接着性が良好で耐熱水性を有した高硬度のコーティング膜を提供することができる。
本発明の実施形態に係るコーティング剤は、高硬度で高い耐水性を有する(メタ)アクリル樹脂の形成成分である多官能(メタ)アクリルモノマーにポリイミド基材と高い接着性を有し、かつ、(メタ)アクリル樹脂成分とも反応性を有するポリシロキサンをプライマー成分として添加したものである。特に、そのプライマー成分は、グリシドキシ基を分子中に含んだシランカップリング剤と(メタ)アクリル基を分子中に含んだシランカップリング剤からなるポリシロキサンを含有されている。
また、コーティング剤の製造方法は、グリシドキシプロピルトリアルコキシシランと(メタ)アクリルプロピルトリアルコキシシランを含むシランカップリング剤混合物を酸触媒を用いて(共)加水分解縮合反応によりポリシロキサンを得る工程と多官能(メタ)アクリルモノマーを添加する工程と前記工程で得られたポリシロキサンのグリシドキシ基のポリイミド基材表面との反応を促進する反応促進剤及び前記ポリシロキサンのシラノール基間及びシラノール基とアルコキシシリル基間のシロキサン結合形成を促進する硬化促進剤及び多官能(メタ)アクリルモノマーの重合反応に必須な光ラジカル重合開始剤を加える工程とを含む。
また、コーティング膜の製造方法は、前記コーティング剤の有機溶媒を除去し、基材上に膜状に配した後に、光硬化反応を行って硬化膜を形成する。
本発明に係るコーティング剤、コーティング剤の製造方法及びコーティング膜の製造方法の実施の形態を詳細に説明する。
ポリイミドは、その前駆体を高温処理することによりイミド化を行い製造されるが、多くの場合、そのイミド化率は100%ではないことが知られている。したがって、ポリイミド表面にはカルボキシル基と酸アミド結合が残存する。本実施形態のコーティング剤のプライマー成分は、そのカルボキシル基と酸アミド結合に反応することが期待される側鎖にグリシドキシ基を含んだポリシロキサンとその反応促進剤や硬化促進剤を添加したものであり、そのコーティング膜はポリイミドに強固に接着できる膜である。
また、そのコーティング剤のプライマー成分は、(メタ)アクリル樹脂の形成成分である多官能(メタ)アクリルモノマーと反応すると期待される側鎖に(メタ)アクリル基を含んだシロキサンとその反応促進剤や硬化促進剤を添加含有させてあるので、光重合開始剤により光硬化形成される(メタ)アクリル樹脂と強固に融合接着した、高耐熱水性の高硬度な膜を形成することができる。
((メタ)アクリル樹脂形成成分)
本実施形態に係るコーティング剤の(メタ)アクリル樹脂形成成分として、高硬度、耐水性を具備することを目的として3官能以上の(メタ)アクリルモノマーを用いる。3官能以上の(メタ)アクリルモノマーは、分子中に(メタ)アクリル基を3つ以上有する化合物である。好ましい(メタ)アクリル基数は、3〜10である。その代表例としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ又はポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ又はポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアネート、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ又はポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ又はポリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ又はポリエトキシヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ又はポリプロポキシヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ又はポリヘキサノリドヘキサ(メタ)アクリレート等があげられる。特に、光ラジカル重合反応に伴う体積収縮の程度、材料入手性および反応性の点からペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製、EBECRYL40)が好ましい。
また、本実施形態に係るコーティング剤の(メタ)アクリル樹脂形成成分として、3官能以上の(メタ)アクリルモノマー以外の種々のエチレン性不飽和化合物を混合使用してもよい。エチレン性不飽和化合物の代表例としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらエチレン性不飽和化合物は、必要に応じて1種又は2種以上の化合物を任意の割合で混合使用することができる。エチレン性不飽和化合物の使用量は、(メタ)アクリル樹脂形成成分中、0〜40重量%が好ましく、0〜30重量%が特に好ましい。これらエチレン性不飽和化合物は、容易に市場より入手できる。
(ポリシロキサン)
本実施形態に係るコーティング剤のプライマー成分の一種であるグリシドキシ基含有ポリシロキサンは、グリシドキシアルキルトリアルコキシシランを加水分解縮合することにより、また、グリシジル基とメタクリル基の両基を含有するポリシロキサンは、グリシドキシアルキルトリアルコキシシランとメタクリルアルキルトリアルコキシシランの混合物を共加水分解することにより得られる。なお、上記グリシドキシアルキルトリアルコキシシランとメタクリルアルキルトリアルコキシシラン以外のシランカップリング剤は通常使用しなくてもよいが、本実施形態のコーティング剤およびそれから得られるコーティング膜の特性に悪影響を及ぼさない量であれば、共加水分解縮合の際に併用しても構わない。
上記原料のグリシドキシアルキルトリアルコキシシランは、コーティング膜のポリイミド表面への接着性を高める目的で用いられる。グリシドキシアルキルトリアルコキシシランとしては、グリシドキシエチルトリメトキシシラン、グリシドキシエチルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、反応性および材料入手性の点から、グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
上記原料の(メタ)アクリルアルキルトリアルコキシシランは、(メタ)アクリル樹脂成分である多官能(メタ)アクリルモノマーと反応し、均一な膜を形成する目的で用いられる。(メタ)アクリルアルキルトリアルコキシシランとしては、アクリルプロピルトリメトキシシラン、アクリルプロピルトリエトキシシラン、メタクリルプロピルトリメトキシシラン、メタクリルプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、反応性および材料入手性の点から、メタクリルプロピルトリメトキシシランが好ましい。
上記グリシドキシアルキルトリアルコキシシラン、及び、グリシドキシアルキルトリアルコキシシランと(メタ)アクリルアルキルトリアルコキシシランの混合物からなる2種類のポリシロキサンは、原料アルコキシシランを有機溶媒に溶解し、水および触媒を加え、加水分解縮合反応により製造することができる。
上記有機溶媒としては、上記原料アルコキシシラン、水およびその加水分解縮合体を溶解することができる溶媒を用いることが好ましい。上記有機溶媒として、アルコール、ケトン等が挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプルピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられ得る。また、上記有機溶媒でない有機溶媒を併用して、溶解性を制御することができる。上記有機溶媒でない有機溶媒としては、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン等が挙げられる。なお、上記有機溶媒の量は、原料アルコキシシランの質量に対して、0.5〜5倍の量であることが好ましい。
上記原料アルコキシシランの加水分解縮合反応に用いられる水の量は、原料アルコキシシランが有するアルコキシシリル基のモル量の半分〜同量とすることが好ましい。
上記原料アルコキシシランの加水分解縮合反応には、酸触媒が用いられる。酸触媒は、触媒作用が適度であるので、生成したポリヒドロキシシロキサンの縮合が適切な度合いで進行するためである。酸触媒としては、アルコキシシリル基の加水分解反応に対して触媒作用を有するプロトン酸類やルイス酸類であれば、任意の適切なものを使用することができる。具体的には、プロトン酸として、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸や酢酸、乳酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が、ルイス酸として、例えば、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等の金属アルコキシドまたはキレート化合物等が挙げられる。
上記(共)加水分解縮合反応において、グリシドキシ基を残存させるために、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸を用いることが好ましい。
上記酸触媒の使用量としては、原料アルコキシシランが有するアルコキシシリル基の加水分解反応に対して触媒作用を発現する量以上であればよい。具体的には、上記原料アルコキシシランの質量に対して、0.1ppm〜10%であることが好ましい。
上記原料アルコキシシランの加水分解縮合反応の温度は、室温〜約100℃の範囲で行うことが好ましい。室温で加水分解反応を先に進めた後に加温して、縮合反応を進めたり、最初から加熱して加水分解反応と縮合反応とを同時に進めたりすることが可能である。また、必要に応じて反応を進みにくくするため、加水分解反応および縮合反応で生じたアルコールや水を系外に除去することも可能である。
(反応促進剤)
本実施形態に係るコーティング剤では反応促進剤を添加する。プライマー成分のシロキサン中のグリシドキシ基同士の縮合反応に加えて、ポリイミド表面のカルボキシル基とグリシドキシ基間の付加反応、酸アミド結合へのグリシドキシ基の挿入反応の促進を目的として、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2−エチルイミダゾール−4−ジチオカルボン酸、2−メチルイミダゾール−4−カルボン酸、1−(2−アミノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−エチル−4−チオカルバモイルイミダゾール等のイミダゾール類が添加される。
(硬化促進剤)
本実施形態に係るコーティング剤では、硬化促進剤を添加する。プライマー成分のシロキサンの硬化を促進するため、具体的には、プライマー成分のシラノール基間もしくはシラノール基とメトキシシリル基間の縮合反応促進が期待される化合物として、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ビス(アセトキシジブチルスズ)オキサイド及びビス(ラウロキシジブチルスズ)オキサイドなどが挙げられる。
(光ラジカル重合開始剤)
本実施形態に係るコーティング剤では、(メタ)アクリル樹脂形成成分の硬化を目的に光ラジカル重合開始剤を添加する。光ラジカル重合開始剤としては、公知のどのような光ラジカル重合開始剤であっても良いが配合後の貯蔵安定性の良い事が要求される。この様な光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4’−フェノキシ−2,2−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4’−ドデシル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンなどのプロピオフェノン類、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等があげられる。特に好ましいものとしては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(チバ・ガイギー(株)製、イルガキュアー651)や1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー(株)製、イルガキュアー184)があげられる。これら、光ラジカル重合開始剤は、一種でも、二種以上任意の割合で混合使用してもかまわない。また、その使用量は、通常、組成物の0.1〜10重量%であり、好ましくは1〜5重量%である。
(コーティング剤)
本実施形態に係るコーティング剤での(メタ)アクリル樹脂形成成分とプライマー成分の割合は、質量基準で1:9〜9:1の範囲であることが好ましい。プライマー成分の割合が少なすぎるとポリイミドとの接着性が不十分となるおそれがある。また、アクリル樹脂形成成分の割合が少なすぎるとコーティング膜の硬度及び耐熱水性が不十分となるおそれがある。
(コーティング剤の製造方法)
本実施形態に係るコーティング剤の製造方法は、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、もしくは、グリシドキシプロピルトリメトキシシランとメタクリルプロピルトリメトキシシランの混合物を酸触媒として無機酸またはルイス酸を用いて加水分解縮合反応によりポリシロキサンを得る工程と、前記工程で得られたポリシロキサンにグリシドキシ基の反応を促進する反応促進剤及び、前記ポリシロキサンのシラノール基間及びシラノール基とアルコキシシリル基間のシロキサン結合形成を促進する硬化促進剤を加える工程と、3官能以上の(メタ)アクリルモノマーとその光ラジカル重合開始剤を加える工程からなる。詳細については、すでに説明した内容がそれぞれ適用される
この製造方法によって得られたプライマー成分では、グリシドキシ基が残存しており、ポリイミド表面との優れた接着性を有したプライマー層を形成することが期待できる。
(コーティング膜の形成)
コーティング膜の形成は、イソプロピルアルコールなどの溶剤で表面を洗浄したポリイミドフィルムにコーティング剤を乾燥膜厚で0.1〜10μmになるように塗装し、室温で30分放置して塗装を安定化させ、120℃で10分間加熱して溶媒を除去し、放冷後、窒素雰囲気下、水銀キセノンランプで光照射(1J/cm2)することにより硬化させる。さらに、熱硬化操作として、150℃で6時間加熱しても良い。
塗装には、スピンコーター、スリットコーター、スプレーコーター、ディップコーター、バーコーター等が使用される。
これにより、前処理として化学的及び物理的操作を何ら実施することなく、ポリイミドとの接着性が良好で耐熱水性を有した高硬度のコーティング膜を得ることができる。
(実施例)
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、特に明記しない限り、実施例における部および%は質量基準である。
(ポリシロキサンの調製)
製造例1・・・グリシドキシプロピルトリメトキシシランのポリシロキサンの調製
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン35.45部をイソプロピルアルコールとトルエンとの1:2(質量比)混合物135部に溶解した。ここに、水8.1部と酸触媒として塩酸0.15部とを添加して、40℃で2時間攪拌し、さらに80℃で3時間攪拌を行った後、濃縮してポリシロキサンを得た。このポリシロキサンをポリシロキサンGと略す。
得られたポリシロキサンG20部にメチルイソブチルケトン20部を加えて50wt%溶液とした。
製造例2・・・グリシドキシプロピルトリメトキシシランとメタクリルプロピルトリメトキシシランの1:1モル比のポリシロキサンの調製
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン17.73部とメタクリルプロピルトリメトキシシラン18.63部の混合物にイソプロピルアルコールとトルエンとの1:2(質量比)混合物135部に溶解した。ここに、水8.1部と酸触媒として塩酸0.15部とを添加して、40℃で2時間攪拌し、さらに80℃で3時間攪拌を行った後、濃縮してポリシロキサンを得た。このポリシロキサンをポリシロキサンG・MA(11)と略す。
得られたポリシロキサンG・MA(11)20部にメチルイソブチルケトン20部を加えて50wt%溶液とした。
製造例3・・・メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランとグリシドキシプロピルトリメトキシシランの1:1:1モル比のポリシロキサンの調製
メチルトリメトキシシラン47.7部、フェニルトリメトキシシラン69.4部、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン79.8部をイソプロピルアルコールとメチルイソブチルケトンとの2:1(質量比)混合物154部に溶解した。ここに、系内のアルコキシシリル基のモル数と同じモル数となる水56.7部と酸触媒として塩酸1部とを添加して、40℃で2時間攪拌し、さらに80℃で3時間攪拌を行った後、濃縮してポリシロキサンを得た。このポリシロキサンをポリシロキサンM・P・G(111)と略す。
得られたポリシロキサンM・P・G(111)20部をテトラヒドロフランとメチルイソブチルケトンとの1:4(質量比)混合物20部に加えて溶解し、50wt%溶液とした。
製造例4・・・メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランの1:1モル比のポリシロキサンの調製
メチルトリメトキシシラン47.7部、フェニルトリメトキシシラン69.4部をイソプロピルアルコールとメチルイソブチルケトンとの2:1(質量比)混合物92部に溶解した。ここに、系内のアルコキシシリル基のモル数と同じモル数となる水37.8部と酸触媒として塩酸0.7部とを添加して、40℃で2時間攪拌し、さらに80℃で3時間攪拌を行った後、濃縮してポリシロキサンを得た。このポリシロキサンをポリシロキサンM・P(11)と略す。
得られたポリシロキサンM・P(11)100部をテトラヒドロフランとメチルイソブチルケトンとの1:4(質量比)混合物100部に加えて溶解し、50wt%溶液とした。
(コーティング剤の調製)
(コーティング剤A)
3官能以上の(メタ)アクリルモノマーであるペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製、EBECRYL40)2部と製造例1で調製した50wt%ポリシロキサンG2部、製造例2で調製した50wt%ポリシロキサンG・MA(11)2部、メチルイソブチルケトン394部を混合して1wt%溶液を調製した。この溶液に、光ラジカル重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(チバ・ガイギー(株)製、イルガキュアー651)0.12部、反応促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.12部、硬化促進剤としてジブチルスズジアセテート0.06部とジブチルスズジラウレート0.06部を加え、コーティング剤Aを製造した。
同様に表1に示した組成のコーティング剤B、C、D、をそれぞれ調製した。
Figure 2019014789
(実施例1)
コーティング剤Aをバーコーターで、イソプロピルアルコールで表面を洗浄したポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、ユーピレックス50S)の片面に硬化後のコーティング膜厚が0.1μmになるように塗布、室温で30分放置して塗装を安定化させ、120℃で10分間加熱して溶媒を除去し、放冷後、窒素雰囲気下、水銀キセノンランプで光照射(1J/cm2)することにより硬化させた。
このポリイミドフィルム上に得られた透明硬化膜をコーティング膜Aとする。
(実施例2)
実施例1で得られた膜試料Aをさらに150℃で6時間加熱した。
このポリイミドフィルム上に得られた透明硬化膜をコーティング膜aとする。
(実施例3)
実施例1において、コーティング剤Aをコーティング剤Bに変更すること以外は同様にして、コーティング膜Bを得た。
(実施例4)
実施例1において、コーティング剤Aをコーティング剤Cに変更すること以外は同様にして、コーティング膜Cを得た。
(比較例1)
実施例1において、コーティング剤Aをコーティング剤Dに変更すること以外は同様にして、コーティング膜Dを得た。
得られたコーティング膜A、a,B、C、Dを室温大気下で10日間養生した試料に対し、下記の項目について評価を行った。結果を表2に示す。
(鉛筆硬度)
JIS K 5600−5−4に準じて、斜め45度の角度に固定した鉛筆に真上から750gの荷重をかけ引っかき試験を行った。鉛筆硬度が3H以上の場合を合格とする。
(密着性)JIS K 5600−5−6に準じて、調製した試験片にカッターにより1mm間隔の縦横6本ずつの切れ目を入れ、その上にセロハンテープを貼付してはがし、25個のます目のうち、残存したます目の数をカウントした(碁盤目試験、残ったます目数/全てのます目数(25))。下記の耐熱水性試験前において、全てのます目が残る場合を合格とする。
(耐熱水性)試験片を電導度が1.0μs/cmのイオン交換水(90℃)に240時間浸漬し、試験後の密着性を測定した。試験後の碁盤目試験において、密着性の保持率が100%の場合を合格とする。
Figure 2019014789
表2に示すように、本発明の実施例1、2、3、4及び比較例1のコーティング膜A、a、B、C、Dは、いずれも5Hの鉛筆硬度を有していた。また、ポリイミドフィルム基材との密着性に関しては、90℃熱水浸漬試験前の碁盤目試験の結果では、コーティング剤成分としてグリシドキシ基を含んでいないコーティイング剤Dの場合、密着性が悪く不合格であった。一方、コーティング剤成分としてグリシドキシ基を含んでいるコーティング剤A〜Cの場合、密着性は良好で合格であった。
また、実施例1〜4のコーティング剤成分としてグリシドキシ基を含んでいるコーティング剤A〜Cの場合、密着性は良好で、90℃耐熱水浸漬試験前後の碁盤目試験の結果では保持率100%で合格であった。
本発明のコーティング剤は、ポリイミド表面へのハードコーティング膜及び水や湿気に関わる半導体素子やフレキシブルプリント基板等の広い分野で好適に用いられ、特に、ポリイミド表面の化学的もしくは物理的な改質を必須としていた保護膜形成工程や接着剤塗工工程等において、何ら表面改質を実施せずとも目的の機能膜や接着剤層を形成できる点で有用である。

Claims (3)

  1. グリシドキシ基と(メタ)アクリル基を有するポリシロキサンと、3官能以上の(メタ)アクリルモノマーからなる(メタ)アクリル樹脂形成成分と、前記(メタ)アクリル樹脂形成成分を硬化する光ラジカル重合開始剤とを含むコーティング剤。
  2. グリシドキシプロピルトリアルコキシシランとメタクリルプロピルトリアルコキシシランの混合物を酸触媒を用いて加水分解縮合反応によりポリシロキサンを得る工程と、
    前記ポリシロキサンのグリシドキシ基の反応を促進する反応促進剤を加える工程と、
    前記ポリシロキサンのシラノール基間及びシラノール基とアルコキシシリル基間のシロキサン結合形成を促進する硬化促進剤を加える工程と、
    3官能以上の(メタ)アクリルモノマーからなる(メタ)アクリル樹脂形成成分を硬化する光ラジカル重合開始剤を加える工程と、を含むコーティング剤の製造方法。
  3. 請求項1記載のコーティング剤をポリイミド基材表面に膜状に配する工程と、
    前記コーティング剤の有機溶媒を除去する工程と、
    前記コーティング剤を光照射により光硬化する工程と、を含むコーティング膜の製造方法。
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