JP6965788B2 - 剥離シート用硬化性樹脂組成物、これを用いた工程基材、および基材を保護する方法 - Google Patents

剥離シート用硬化性樹脂組成物、これを用いた工程基材、および基材を保護する方法 Download PDF

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Description

本発明は、硬化により、密着性および柔軟性に優れた剥離シートを得ることができる剥離シート用硬化性樹脂組成物に関する。また本発明は、剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる剥離シートを有する工程基材に関する。さらに本発明は、剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる剥離シートを保護層として、基材を保護する方法に関する。
従来より、電子材料など精密部品等の製造工程において基材の表面を保護するために剥離性シートが使用されている(例えば特許文献1)。しかしながら、これらの多くは基材に合わせて剥離シートを切断する必要があり、使用されないで廃棄される部分も生じていた。また、加熱処理後に剥離すると残渣が基材に残る場合があった。
また特許文献2には、耐熱性を向上させ、液状で使用することにより必要な箇所だけに印刷し、保護することができ、廃棄物を減らせる手法が提案されている。しかしながら、この手法ではマスキングしたまま基材をメッキ加工する場合、洗浄液に樹脂が溶解し、容易に剥離できなくなる問題点があった。
また特許文献3には、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含むコート剤をポリカーボネート基材表面へ塗工することで透明ですべり性付与する手法が提案されているが、この手法は、基材作製後に表面へ塗工する必要があり、基材に混ぜ込んで作製すると白濁してしまうなどの問題点があった。
特開2001−247832号公報 特開2001−270971号公報 特開2016−160324号公報
本発明は、基材へ比較的薄く塗工することが容易で、得られた硬化膜が耐熱性、印刷性、マスキング性、滑り性、透明性、および各種基材に対する剥離性に優れた材料を提供することを目的とする。また本発明は、基材から剥離した後、残留溶媒や可塑剤等による残渣が基材に残らない剥離シートが得られる材料を提供することを目的とする。
また本発明は、かかる材料を硬化して得られる、マスキング性、柔軟性、滑り性、透明性、および剥離性に優れた剥離シートを有する工程基材を提供することを目的とする。
さらに本発明の目的は、かかる剥離シートを保護層として、基材を保護する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを、特定構造のチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体と、特定の多官能(メタ)アクリレートとの特定比率の混合物に対して、特定量組合せて、剥離シート用硬化性樹脂組成物として用いることにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の〔1〕〜〔6〕である。
〔1〕(A)下記(式1)で表されるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体と、
(B)重量平均分子量が200〜50000である多官能(メタ)アクリレートと、
(C)ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン
を含有し、(A)成分と(B)成分との質量比((A)/(B))が0.05〜30であり、(A)成分と(B)成分との合計質量100質量部に対して、(C)成分の質量が0.01〜5質量部である剥離シート用硬化性樹脂組成物。
Figure 0006965788
(式1)
(式中のaは1〜5の整数であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜5の整数であり、aとbとcの和は3〜4、又は、6である。dは0〜1の整数であり、Rは、メチレン基、エチレン基またはイソプロピレン基である。Rは、下記(式2)または下記(式3)で表される2価の官能基である。Rは、メチル基またはエチル基である。Rは、炭素数が1〜12の炭化水素基である。Rは炭素原子、下記式(4)で表される3価の官能基、及び、下記(式5)で表される6価の官能基から選ばれる何れかである。)
Figure 0006965788
(Rは水素原子またはメチル基である。)
Figure 0006965788
(Rは水素原子またはメチル基である。)
Figure 0006965788
Figure 0006965788
〔2〕(A)成分と(B)成分との合計質量100質量部に対し、さらに(D)光重合開始剤0.01〜10質量部を含有する、前記の〔1〕に記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物。
〔3〕(A)成分と(B)成分との合計質量100質量部に対し、さらに(E)重量平均分子量が80〜700であるアミン化合物0.01〜50質量部を含有する、前記の〔1〕または〔2〕に記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物。
〔4〕前記の〔1〕から〔3〕のいずれか一つに記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる剥離シート。
〔5〕基材に、前記の〔1〕から〔3〕のいずれか一つに記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布して硬化させて得られる剥離シートが積層されてなる工程基材。
〔6〕基材に、前記の〔1〕から〔3〕のいずれか一つに記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布して硬化させて得られる剥離シートを保護層として設けることにより、基材を保護する方法。
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、所望の厚さに容易に塗工することができ、剥離時は、残渣なく容易に剥がすことができる。さらに、同組成物を硬化して得られた硬化膜は、マスキング性および剥離性にも優れているため、基材に積層して工程基材として用いることができ、滑り性にも優れるため重ねて保管した際に上下の基材とブロッキングを防ぐことができる。また、剥離シート自身を基材として用いることも可能であり、透明性が必要な用途へも適用することができる。本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる剥離シートを保護層として用いることにより、基材を保護する方法を提供することができる。
以下に、本発明について詳しく説明する。なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの双方を含む総称を意味し、「(メタ)アクリロキシ基」とは、アクリロキシ基とメタクリロキシ基の双方を含む総称を意味する。また、本発明において数値範囲を示す「○○〜××」とは、別途記載が無い限り、その下限値(「○○」)や上限値(「××」)を含む概念である。すなわち、正確には「○○以上××以下」を意味する。
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、下記(A)、(B)および(C)成分を必須成分とし、任意に(D)および(E)成分の少なくとも一方をさらに含有する硬化性樹脂組成物である。
<チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体((A)成分)>
(A)成分であるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体とは、下記(式1)で表される化合物であり、(メタ)アクリレートから誘導されるチオエーテル基を含有する化合物である。
Figure 0006965788
(式1)
(式中のaは1〜5の整数であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜5の整数であり、aとbとcの和は3〜4、又は、6である。dは0〜1の整数であり、Rは、メチレン基、エチレン基またはイソプロピレン基である。Rは、下記(式2)または下記(式3)で表される2価の官能基である。Rは、メチル基またはエチル基である。Rは、炭素数が1〜12の炭化水素基である。Rは炭素原子、下記式(4)で表される3価の官能基、及び、下記(式5)で表される6価の官能基から選ばれる何れかである。)
Figure 0006965788
(Rは水素原子またはメチル基である。)
Figure 0006965788
(Rは水素原子またはメチル基である。)
Figure 0006965788
Figure 0006965788
上記(式1)中のRである炭素数が1〜12の炭化水素基としては、直鎖のアルキル基、側鎖を持つアルキル基、環状のアルキル基が挙げられる。
上記(式1)中のRが炭素原子である場合、aは1〜3、bは0、cは1〜3、dは0の整数が好ましい。
上記(式1)中のRが(式4)で表される基である場合、aは1〜2、bは0または1、cは1〜2、dは1の整数が好ましい。
上記(式1)中のRが(式5)で表される基である場合、aは1〜5、bは0〜2、cは1〜5、dは0の整数が好ましい。
<多官能(メタ)アクリレート((B)成分)>
(B)成分である多官能(メタ)アクリレートは、重量平均分子量が200〜50000で末端に(メタ)アクリロキシ基を有している化合物であり、その好ましい例として下記一般式(式5)で表される化合物が挙げられる。また、(B)成分である多官能(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を混合使用することもできる。
Figure 0006965788
式中のeは、好ましくは2〜10である。
は炭素数2〜300の炭化水素基、エーテル酸素(−O−)およびヒドロキシル基(−OH)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数2〜300の炭化水素基、またはイソシアヌレート環若しくはイソシアヌレート環と炭化水素基のみからなる基であり、好ましくは炭素数2〜20の炭化水素基、エーテル酸素(−O−)およびヒドロキシル基(−OH)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい炭素数2〜250の炭化水素基である。
さらにRは、より好ましくは、次式で表される水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂縮合物残基(n=8〜18、重量平均分子量=2200〜7000)
Figure 0006965788
、1,3−フェニレン基、ペンタエリスリチル基、およびメタクリル酸グリシジルのメタクリル酸開環付加物とメタクリル酸シクロヘキシルとの共重合体からアクリロイル基を除した残基が挙げられる。
はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、水素原子の場合、チオールとの反応性に優れるため、樹脂組成物は硬化性に優れる。一方、Rがメチル基の場合、チオールとの反応性が劣るため、樹脂組成物は貯蔵安定性の観点で優れる。
また、(B)多官能(メタ)アクリレートとしては、ポリマータイプのものも好適に用いることができる。ポリマータイプの多官能(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する(メタ)アクリレート単独あるいは共重合体に、(メタ)アクリル酸のようにエポキシ基と反応する基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリマー、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート単独あるいは共重合体に、2−メチルプロペン酸2−イソシアナトエチルのように水酸基と反応する基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリマー、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート単独あるいは共重合体に、グリシジル(メタ)アクリレートのようにカルボキシル基と反応する基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリマー等が挙げられる。
(B)多官能(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、200〜50000、好ましくは220〜40000、より好ましくは240〜30000である。(B)多官能(メタ)アクリレートの重量平均分子量が200より小さくても密着性に関しては問題ないが、揮発性が高くなり臭気が強くなる傾向があるため好ましくない。一方、重量平均分子量が50000より大きいと、他の成分に対する溶解性が低くなる可能性があるため好ましくない。
また、(B)多官能(メタ)アクリレートの(メタ)アクリレート当量は80〜6000g/mol、好ましくは80〜4500g/mol、より好ましくは85〜3000g/molとする。(メタ)アクリレート当量が80g/molより小さいと、単位体積あたりの(メタ)アクリロキシ基が過剰になって(A)チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体のチオール基と未反応の(メタ)アクリロキシ基が多量に残存することで、硬化性樹脂組成物からなる硬化膜の靭性が低下するおそれがある。一方、(メタ)アクリレート当量が6000g/molより大きくなると、(メタ)アクリロキシ基濃度が著しく低いことから(A)チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体のチオール基との反応効率が低下することで、硬化性樹脂組成物からなる硬化膜の靭性が低下するおそれがある。
<ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン((C)成分)>
(C)成分は、下記(式6)で表される構造を繰り返し単位とするポリジメチルシロキサン構造を主鎖をとし、下記(式7)で表される構造の少なくとも1種を繰り返し単位とするポリエーテル構造を側鎖及び/又は末端に有する化合物である。
Figure 0006965788
(R10は水素原子またはメチル基である。)
なお、ポリエーテル構造を「側鎖」に有するとは、ポリジメチルシロキサン構造の一部のメチル基がポリエーテル構造を含んだ基に置換されていることを意味し、ポリエーテル構造を「末端」に有するとは、ポリジメチルシロキサン構造の末端がポリエーテル構造を含んだ基に置換されていることを意味する。
ポリジメチルシロキサン構造とポリエーテル構造は、下記(式8)で表されるアルキレン基を介して結合していることが挙げられる。
Figure 0006965788
ポリジメチルシロキサン構造の末端基としては、メチル基または−OSi(CHが挙げられる。
ポリエーテル構造の末端基としては、水素原子またはメチル基が挙げられる。
ポリエーテル構造の重合度としては、1〜10が挙げられる。
メチル基がポリエーテル構造を含んだ基に置換されているジメチルシロキサン単位の割合は、通常1〜99%である。
(C)成分は、ポリエーテル基を有しているため、チオエーテル基を有している(A)成分と組み合わせることで相溶性が良くなることから配合液にした際、配合液全体に分散しやすく透明性に優れる。一方で、ポリエーテル基を有していないシリコーン、例えばフェニル基を有するメチルフェニルシリコーンなどは、疎水性が高すぎることから(A)成分との相溶性が悪く、白濁してしまうことから適していない。また、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、(A)チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体と(B)多官能(メタ)アクリレートとの合計質量((A)+(B))100質量部に対し、(C)ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが0.01〜5質量部、好ましくは0.03〜4質量部、さらに好ましくは、0.05〜3質量部となるよう配合する。((A)+(B))100質量部に対して(C)成分の配合量が0.01質量部未満では、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの効果が弱く剥離性が劣るおそれがあり、5質量部を超えると樹脂に対して過剰となり塗膜強度が落ちるおそれや、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが塗膜表面にブリードアウトするおそれがある。
<光重合開始剤((D)成分)>
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、(A)〜(B)成分に加えて、さらに(D)光重合開始剤を含有させることができる。(D)成分は、(A)成分と(B)成分との合計質量100質量部に対し、0.01〜10質量部配合する。
(D)成分である光重合開始剤は、チオール基と(メタ)アクリロキシ基との反応を促進するために添加され、硬化性組成物の硬化に必要な光照射を少なくすることができる。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤等があげられる。光ラジカル重合開始剤は、反応時間を短縮する際に用いることが好ましく、光カチオン重合開始剤は、硬化収縮を小さくする際に用いることが好ましく、光アニオン重合開始剤は、電子回路等の分野で用いることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、および2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、シクロプロピルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート、2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、およびトリ−p−トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等が挙げられる。
光アニオン重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン o−ベンゾイルオキシム、ニフェジピン、2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン、2−ニトロフェニルメチル4−メタクリロイルオキシピペリジン-1-カルボキシラート、1,2−ジイソプロピル−3−〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオナート、および1,2−ジシクロヘキシル−4,4,5,5−テトラメチルビグアニジウム n-ブチルトリフェニルボラート等が挙げられる。
<アミン化合物((E)成分)>
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、(A)〜(C)成分、または、(A)〜(D)成分に加えて、さらに(E)重量平均分子量が80〜700であるアミン化合物を含有させることができる。当該(E)成分は、(A)成分と(B)成分との合計質量100質量部に対し、0.01〜50質量部配合する。
(E)成分であるアミン化合物は、チオール基と(メタ)アクリロキシ基との反応を促進(触媒)するために添加される。具体的には、(E)成分を含有することによって、チオール基と(メタ)アクリロキシ基とを低温で反応させることができるため、(A)成分と(B)成分とを含む硬化性樹脂組成物を低温硬化することが可能となる。(E)成分であるアミン化合物としては、重量平均分子量が90〜700、好ましくは100〜690、より好ましくは110〜680の、単官能アミンや複数個のアミノ基とを有するポリアミンが挙げられる。アミン化合物の重量平均分子量が90未満では、アミンの揮発性が高くなり、臭気やボイドの原因となる。アミン化合物の重量平均分子量が700を超えると、耐水性が低下し易くなる。
単官能アミンとしては、1級アミン、2級アミン、または3級アミンが挙げられる。ポリアミンとしては、1級アミン、2級アミン、3級アミン、複合アミンが挙げられる。複合アミンとは、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基のうち2種以上を有するアミンのことである。このような複合アミンとしては、イミダゾリン化合物、イミダゾール化合物、N置換ピペラジン化合物、およびN,N−ジメチル尿素誘導体等が挙げられる。なお、アミン化合物は、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を混合使用することもできる。
また、アミン化合物は、触媒活性を調整するために予め有機酸との塩を形成していてもよい。アミン化合物と予め反応させる有機酸としては、炭素数1〜20でカルボキシル基を分子中に1〜5個有するステアリン酸や2−エチルヘキサン酸等の脂肪族カルボン酸、炭素数1〜20でカルボキシル基を分子中に1〜10個有するピロメリット酸、トリメリット酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸、またはイソシアヌル酸が挙げられる。
アミン化合物の中でも、塩基性が高いイミダゾール化合物が最も低温における硬化に適している。また、フェノール樹脂等でコーティングしたイミダゾール化合物も用いることができる。
当該イミダゾール化合物は、下記(式10)で表される化合物である。
Figure 0006965788
(R12はシアノ基、炭素数1〜10の炭化水素基、2,3−ジアミノトリアジンで置換された炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または水素原子であり、R11、R13、およびR14は炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または水素原子であり、R11〜R14が結合して環を形成している場合には炭素数2〜8の炭化水素基である。)
具体的には、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4'−メチルイミダゾリル−(1')]−エチル−s−トリアジン、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、および2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールが挙げられる。
<組成比(配合バランス)>
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、(A)チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体と(B)多官能(メタ)アクリレートとの質量比((A)/(B))が0.05〜30となるように配合する。ここで、「(A)/(B)」とは、(A)チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体の質量を(B)多官能(メタ)アクリレートの質量で除した値である。(A)/(B)が0.05未満の場合は剥離時に裂けや割れが発生し易くなり、(A)/(B)が30を超える場合は硬化膜を得にくくなる。最適な(A)/(B)の値は、硬化性樹脂組成物に求められる特性や、(A)チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体や(B)多官能(メタ)アクリレートの種類によって異なる。硬化性樹脂組成物を硬化した後の特性は、厳密には硬化性樹脂組成物単位重量中の(チオール基数)/((メタ)アクリロキシ基数)(以下、チオール/エン比と称す)の値に影響を受ける。例えば、チオール/エン比が0.5〜1.5の範囲にあれば、密な架橋を形成し易く、且つ強靭な硬化物になり易い。一方、チオール/エン比が0.1以上0.5未満、あるいは1.5を超え2.0以下であれば、柔軟で粘着質な硬化物を得ることができる。
また、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、(A)チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体と(B)多官能(メタ)アクリレートとの合計質量((A)+(B))100質量部に対し、(D)光重合開始剤を配合する場合には0.01〜10質量部、好ましくは0.3〜5質量部となるように配合する。
また、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物に対して(E)アミン化合物も配合する場合は、(A)チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体と(B)多官能(メタ)アクリレートとの合計重量((A)+(B))100質量部に対し、(E)アミン化合物が0.01〜50質量部、好ましくは0.01〜45質量部となるように配合する。
<剥離シート(硬化膜)の形成>
本発明の剥離シートは、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる。より具体的には、基材上に本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗工し、硬化させることで、硬化膜すなわち剥離シートを形成させる。本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、(A)チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体のチオエーテル基に起因して基材に対して密着性を発揮する。したがって、基材としては、チオエーテル基と化学的な結合を形成する(化学的な親和力の高い)基材、例えば、遷移金属あるいはその合金や珪素化合物、リン化合物、硫黄化合物、またはホウ素化合物等の無機基材、不飽和結合(芳香環を含む)を有する有機物、水酸基やカルボキシル基を有する有機物、またはプラズマやUVオゾン処理された有機物等の有機基材への密着性向上効果に優れる。具体的には、無機基材としては、ガラス、シリコン、各種金属などが挙げられる。有機基材として、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、トリアセテートセルロース(TAC)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニル系樹脂、ポリアセタールなどが好ましく挙げられる。また、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、(A)チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体が特定の炭化水素基を有することで、硬化膜が柔軟性に優れる。そのため、フレキシブルな基材のコーティングに特に好適に使用することができる。
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、例えば、光を照射することにより硬化させることができる。照射する光としては、UV(紫外線)やEB(電子線)などの活性エネルギー線等が挙げられる。また、硬化性樹脂組成物が(D)成分を含む場合は、通常2500mJ/cm程度必要となる光照射量を100mJ/cm程度まで少なくすることが可能となる。また、硬化性樹脂組成物が(E)成分を含む場合には、80℃程度の低温での加熱のみによって硬化が可能となる。更に、硬化性樹脂組成物が、(D)成分と(E)成分を含む場合には、光の照射による硬化工程と、加熱による硬化工程との二段階の工程を経て硬化させることもできる。
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、反応系を均一にし、塗工を容易にするために有機溶媒で希釈して使用してもよい。そのような有機溶媒としては、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤およびエーテルエステル系溶剤、ケトン系溶剤、リン酸エステル系溶剤が挙げられる。これらの有機溶媒は硬化性樹脂組成物100質量部に対して、10000質量部未満の配合量に抑えることが好ましいが、基本的に溶剤は硬化膜になる時点では揮発しているため、硬化膜の物性に大きな影響は与えない。
また、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、粘度を調整する目的でシリカ粉末等の粘度調整剤を配合してもよい。これらの粘度調整剤は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、300質量部未満の配合量に抑えることが好ましい。粘度調整剤の配合量が300質量部を超えると、硬化膜が得られない可能性がある。
また、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、通常の塗料や接着剤に用いられるような各種添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、塗工面を平滑にするための界面活性剤、可使用時間を長くするためのアルミニウム塩等が挙げられる。これらの添加剤は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、80質量部未満の配合量に抑えることが好ましい。これらの添加剤の配合量が80質量部を超えると、反応が進行するのに多くの積算光量が必要となる可能性がある。
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、硬化して剥離シートとして用いることができる。本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、例えばガラス、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ITO(酸化インジウムスズ)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、Siウエハー、金属全般(ステンレス鋼、銅、アルミニウム等)、アクリル樹脂、およびエポキシ樹脂等の基材に塗布、硬化して剥離シートとし、必要に応じて剥離することができる。
本発明の工程基材は、基材に、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布、硬化して得られる剥離シートが積層されてなる。基材としては、上述の基材を用いることができる。
本発明の工程基材は、製品製造工程における、いわば中間工程品であり、例えばタッチパネル製造時に、基材であるタッチパネルに、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布、硬化して得られる剥離シートを設けた積層体をいう。タッチパネル製造においては、剥離シートは、基材であるタッチパネルを割れ、傷、埃や汚れなどから保護する。あるいは、基材を印刷やメッキ加工する際は、剥離シートは、基材の非印刷部分や非メッキ部分をマスキングするために用いることができる。
本発明の工程基材は、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる、マスキング性、柔軟性、および剥離性に優れた剥離シートを有するため、種々の基材を用いて構成することが可能である。
本発明の基材を保護する方法は、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布、硬化して得られる剥離シートを保護層として設けることにより、基材を保護する方法である。
基材としては、上述の基材を用いることができる。剥離シート用硬化性樹脂組成物としては、上述した本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物を用いることができる。剥離シート用硬化性樹脂組成物の塗布、硬化は、上述のような条件により行うことができる。
本発明の基材を保護する方法は、例えば、基材であるタッチパネルに、剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布、硬化して、タッチパネルを割れ、傷、埃や汚れなどから保護する。あるいは、本発明の基材を保護する方法は、基材を印刷やメッキ加工する際には、基材の非印刷部分や非メッキ部分に剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布、硬化して、基材を印刷やメッキから保護する。
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。本実施例および比較例で用いた各成分は、次のとおりである。なお、Mwは重量平均分子量を示す。
[チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体の合成1]
温度計、攪拌機、滴下ポンプを備えた3つ口フラスコに、下記表に従いチオール成分を仕込み、60℃に昇温後、(メタ)アクリレート成分を1時間かけて滴下した。滴下終了後さらに60℃で2時間攪拌をして反応させて、(A)成分であるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体A−1〜A−5をそれぞれ合成した。
Figure 0006965788
<(A)成分>
(A−1:チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体)
Figure 0006965788
(A−2:チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体)
Figure 0006965788
(A−3:チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体)
Figure 0006965788
(A−4:チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体)
Figure 0006965788
(A−5:チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体)
Figure 0006965788
[チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体の合成2]
温度計、攪拌機、滴下ポンプを備えた3つ口フラスコに、下記表に従いチオール成分を仕込み、60℃に昇温後、(メタ)アクリレート成分を1時間かけて滴下した。滴下終了後さらに60℃で2時間攪拌をして反応させて、(A)成分であるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体A−6〜A−9をそれぞれ合成した。
Figure 0006965788
<(A)成分>
(A−6:チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体)
Figure 0006965788
(A−7:チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体)
Figure 0006965788
(A−8:チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体)
Figure 0006965788
(A−9:チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体)
Figure 0006965788
[チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体の合成3]
温度計、攪拌機、滴下ポンプを備えた3つ口フラスコに、下記表に従いチオール成分を仕込み、60℃に昇温後、(メタ)アクリレート成分を1時間かけて滴下した。滴下終了後さらに60℃で2時間攪拌をして反応させて、(A)成分であるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体A−10〜A−13をそれぞれ合成した。
Figure 0006965788
<(A)成分>
(A−10:チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体)
Figure 0006965788
(A−11:チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体)
Figure 0006965788
(A−12:チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体)
Figure 0006965788
(A−13:チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体)
Figure 0006965788
<(A’)成分:(式1)で表されるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体以外の化合物>
(A’−1:チオエーテル含有アルコキシシラン誘導体)
Figure 0006965788
(A’−2:チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体)
Figure 0006965788
<(B)成分:多官能(メタ)アクリレート>
(B−1、Mw:5000)
Figure 0006965788
(B−2、Mw:246)
Figure 0006965788
(B−3、Mw:352)
Figure 0006965788
(B−4、Mw:22000)
グリシジルメタクリレート(GMA)とシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)の共重合体に下記D−3を触媒としメタクリル酸(MA)を当モル付加したポリマー(50wt%メチルイソブチルケトン溶液をヘキサンで再沈した白色固体)。CHMA/GMAMA=4/1(モル比)。
(B−5、Mw:45000)
グリシジルメタクリレート(GMA)とシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)の共重合体に下記D−3を触媒としメタクリル酸(MA)を当モル付加したポリマー(50wt%メチルイソブチルケトン溶液をヘキサンで再沈した白色固体)。CHMA/GMAMA=1/1(モル比)。
<(C)成分:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン>
(C−1)BYK−307(ビックケミージャパン(株)製)
比重(20℃):1.03
(C−2)BYK−330(ビックケミージャパン(株)製)
比重(20℃):0.98
(C−3)BYK−378(ビックケミージャパン(株)製)
比重(20℃):1.02、屈折率(20℃):1.440
(C−4)KF−353(信越化学工業(株)製)
(側鎖型(側鎖にポリエーテル構造を有するポリジメチルシロキサン)、粘度(25℃):430mm/s、比重(25℃):1.04、屈折率(25℃):1.438、HLB:10)
(C−5)KF−6020(信越化学工業(株)製)
(側鎖型(側鎖にポリエーテル構造を有するポリジメチルシロキサン)、粘度(25℃):180mm/s、比重(25℃):1.00、屈折率(25℃):1.417、HLB:4)
<(C’)成分:メチルフェニルシリコーン>
(C’−6)SH−710(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)
(C’−7)SH−556(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)
<(D)成分:光重合開始剤>
(D−1、Mw:204)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(D−2、Mw:348)
2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド
(D−3、Mw:407)
2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン
<(E)成分:アミン化合物>
(E−1、Mw:110)
Figure 0006965788
(E−2、Mw:102)
N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン
(E−3、Mw:680)
Figure 0006965788
(n1、n2、n3は1〜5の整数であり、平均が3.5である混合物)
表4〜表15に示す配合比で(A)〜(E)成分をそれぞれ混合し、スパチュラで均一になるまで撹拌し、実施例および比較例の剥離シート用硬化性樹脂組成物のサンプルを得た。得られた実施例および比較例の各硬化性樹脂組成物のサンプルに対して以下の剥離性、耐熱性、印刷性、マスキング性、滑り性、透明性の評価を行った。その結果を表4〜表15に示す。
[剥離性および耐熱性評価用試験片1の作製]
剥離シート用硬化性樹脂組成物の各サンプルを10cm×10cmの各種基材にダイコーターで150μmの厚みに塗布し、表4〜表15に示す硬化条件でUV照射を行い、剥離シートを有する評価用試験片1を得た。使用した基材は、ガラス(コーニング社製、イーグルXG)、PETフィルム(東レ(株)製、ルミラーU46−100)、ポリイミド(PI)フィルム(東レ・デュポン(株)製、カプトン100H)、ITOガラス(ソーダガラスにラインアンドスペースで長さ20mm×幅50μm 100Ω/□でパターンが形成されているもの)である。UV照射には、ヘレウス・ノーブルライト・フュージョン・ユーブイ(株)製UVランプシステム「ライトハンマー6」を用い、ランプバルブは、Hバルブを使用した。
[剥離性]
評価用試験片1を作製後、テープを剥離シートの端部に貼り剥離シートを剥離した後、基材の外観と剥離性を目視で確認して、以下の通り評価した。
○ :剥離(残渣なし)
×A:剥離時に裂けや割れが発生
×B:硬化不良
×C:硬化膜表面へブリードアウトテープが貼りつかない
[耐熱性]
評価用試験片1のガラス基材品を100℃で30分加熱し、テープを剥離シートの端部に貼り剥離した後、基材の外観と剥離性を目視で確認して、以下の通り評価した。
○ :剥離(残渣なし)
×A:剥離時に裂けや割れが発生
×B:硬化不良
×C:硬化膜表面へブリードアウトしテープが貼りつかない
[印刷性評価用試験片2の作製]
剥離シート用硬化性樹脂組成物の各サンプルを10cm×10cmのガラス(コーニング社製、イーグルXG)にスクリーン印刷機を用いてラインアンドスペース=100μm/100μmで印刷した後、表4〜表15に示す硬化条件でUV照射を行い、剥離シートを有する評価用試験片2を得た。スクリーン印刷機はマイクロ・テック(株)製、MT−320TVを用いた。
[印刷性]
評価用試験片2の剥離シートのライン間の距離を、光学顕微鏡を用いて測定して、以下の通り評価した。
○:スペースの幅が100〜80μm
×:スペースの幅が80μm未満
[マスキング性評価用試験片3の作製]
10cm×10cm銅板の半分に剥離シート用硬化性樹脂組成物の各サンプルを厚さ200μmで塗工し、表4〜表15に示す硬化条件でUV照射を行い、剥離シートを有する評価用試験片3を得た。
[マスキング性]
評価用試験片3を60℃の硫酸水溶液(0.5N)に1時間浸漬後、銀メッキを1分間施した。次に、水道水で銀メッキを洗浄した後、剥離性を目視で確認して、以下の通り評価した。
○ :剥離(残渣なし)
×A:剥離時に裂けや割れが発生
×B:硬化不良
×C:硬化膜表面へブリードアウトしテープが貼りつかない
[耐傷性評価用試験片4の作製]
剥離シート用硬化性樹脂組成物の各サンプルを10cm×10cmのガラス(コーニング社製、イーグルXG)にダイコーターで100μmの厚みに塗布し、表4〜表15に示す硬化条件でUV照射を行い、剥離シートを有する評価用試験片4を得た。
[滑り性]
評価用試験片4の剥離シートに対してPETフィルムを重ね合わせ25℃で1kgの力でラミネートした後、PETフィルムを手で引いて、剥離シートとPETフィルムの状態を目視で確認し、以下の通り評価した。
○:PETフィルムのみ引ける
×:PETフィルムに剥離シートが付いてくる
[透明性]
評価用試験片4の剥離シートをヘーズメーター(スガ試験機(株)製、HZ−V3)を用いて測定し、以下の通り評価した。
○:ヘーズ値5%未満
×:ヘーズ値5%以上
Figure 0006965788
Figure 0006965788
Figure 0006965788
Figure 0006965788
上記各試験の結果、各実施例の組成物は優れた剥離性、耐熱性、印刷性、マスキング性、滑り性および透明性を有していた。一方、比較例1−1は、(A)成分と(B)成分との質量比((A)/(B))が本発明の規定範囲の下限を下回るため、剥離性、耐熱性、マスキング性が得られなかった。また、(C)成分を含有していないことから滑り性も得られなかった。比較例1−2は(A)成分と(B)成分との質量比((A)/(B))が本発明の規定範囲の下限を上回るため、剥離性、耐熱性、マスキング性が得られなかった。また、(C)成分を含有していないことから滑り性も得られなかった。比較例1−3は(C)成分が少なすぎるため、滑り性が劣っていた。比較例1−4は(C)成分が多すぎるため、塗膜表面にブリードアウトし剥離性、耐熱性、マスキング性、滑り性が得られなかった。
比較例1−5および1−6は(C)成分が、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンでないことから白濁し透明性が劣っていた。比較例1−7はチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体ではなく、チオエーテル含有アルコキシシラン誘導体であることから剥離性、耐熱性、マスキング性が得られなかった。比較例1−8はチオエーテル含有(メタ)アクリレートにチオール基が存在しないことから硬化膜が得られず剥離性、耐熱性、マスキング性が得られなかった。また、(C)成分を含有していないことから滑り性も得られなかった。比較例1−9および1−10は光照射量が少なすぎたことから剥離性、耐熱性、マスキング性が得られなかった。また、(C)成分を含有していないことから滑り性も得られなかった。
Figure 0006965788
Figure 0006965788
Figure 0006965788
Figure 0006965788
上記各試験の結果、各実施例の組成物は優れた剥離性、耐熱性、印刷性、マスキング性、滑り性および透明性を有していた。一方、比較例2−1は、(A)成分と(B)成分との質量比((A)/(B))が本発明の規定範囲の下限を下回るため、剥離性、耐熱性、マスキング性が得られなかった。また、(C)成分を含有していないことから滑り性も得られなかった。比較例2−2は(A)成分と(B)成分との質量比((A)/(B))が本発明の規定範囲の下限を上回るため、剥離性、耐熱性、マスキング性が得られなかった。また、(C)成分を含有していないことから滑り性も得られなかった。比較例2−3は(C)成分が少なすぎるため、滑り性が劣っていた。比較例2−4は(C)成分が多すぎるため、塗膜表面にブリードアウトし剥離性、耐熱性、マスキング性、滑り性が得られなかった。
比較例2−5および2−6は(C)成分が、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンでないことから白濁し透明性が劣っていた。
Figure 0006965788
Figure 0006965788
Figure 0006965788
Figure 0006965788
上記各試験の結果、各実施例の組成物は優れた剥離性、耐熱性、印刷性、マスキング性、滑り性および透明性を有していた。一方、比較例3−1は、(A)成分と(B)成分との質量比((A)/(B))が本発明の規定範囲の下限を下回るため、剥離性、耐熱性、マスキング性が得られなかった。また、(C)成分を含有していないことから滑り性も得られなかった。比較例3−2は(A)成分と(B)成分との質量比((A)/(B))が本発明の規定範囲の下限を上回るため、剥離性、耐熱性、マスキング性が得られなかった。また、(C)成分を含有していないことから滑り性も得られなかった。比較例3−3は(C)成分が少なすぎるため、滑り性が劣っていた。比較例3−4は(C)成分が多すぎるため、塗膜表面にブリードアウトし剥離性、耐熱性、マスキング性、滑り性が得られなかった。
比較例3−5および3−6は(C)成分が、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンでないことから白濁し透明性が劣っていた。
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、例えばタッチパネルを割れ、傷、埃や汚れなどから保護する保護層として、また印刷における非印刷部分やメッキにおける非メッキ部分の保護層として利用することができる。

Claims (6)

  1. (A)下記(式1)で表されるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体と、
    (B)重量平均分子量が200〜50000である多官能(メタ)アクリレートと、
    (C)ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン
    を含有し、(A)成分と(B)成分との質量比((A)/(B))が0.05〜30であり、(A)成分と(B)成分との合計質量100質量部に対して、(C)成分の質量が0.01〜5質量部である剥離シート用硬化性樹脂組成物。
    Figure 0006965788
    (式1)
    (式中のaは1〜5の整数であり、bは0〜2の整数であり、cは1〜5の整数であり、aとbとcの和は3〜4、又は、6である。dは0〜1の整数であり、Rは、メチレン基、エチレン基またはイソプロピレン基である。Rは、下記(式2)または下記(式3)で表される2価の官能基である。Rは、メチル基またはエチル基である。Rは、炭素数が1〜12の炭化水素基である。Rは炭素原子、下記式(4)で表される3価の官能基、及び、下記(式5)で表される6価の官能基から選ばれる何れかである。)
    Figure 0006965788
    (Rは水素原子またはメチル基である。)
    Figure 0006965788
    (Rは水素原子またはメチル基である。)
    Figure 0006965788
    Figure 0006965788
  2. (A)成分と(B)成分との合計質量100質量部に対し、さらに(D)光重合開始剤0.01〜10質量部を含有する、請求項1に記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物。
  3. (A)成分と(B)成分との合計質量100質量部に対し、さらに(E)重量平均分子量が80〜700であるアミン化合物0.01〜50質量部を含有する、請求項1または請求項2に記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる剥離シート。
  5. 基材に、請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布して硬化させて得られる剥離シートが積層されてなる工程基材。
  6. 基材に、請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布して硬化させて得られる剥離シートを保護層として設けることにより、基材を保護する方法。
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