JP6582774B2 - 剥離シート用硬化性樹脂組成物、これを用いた工程基材、及び基材を保護する方法 - Google Patents
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Description
(式中のaは1〜2の整数であり、bは1〜2の整数であり、a+b=3である。R1は下記式2で表される3価の基であり、R2は下記式3または下記式4で表される2価の基である。R3は炭素数が1〜12の炭化水素基である。)
(式中のR4は−CH2−、−CH2CH2−、または−CH2CH(CH3)−である。)
(R5は水素原子またはメチル基である。)
(R5は水素原子またはメチル基である。)
(A)成分であるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体とは、下記式1で表される化合物である。
(式中のaは1〜2の整数であり、bは1〜2の整数であり、a+b=3である。R1は下記式2で表される3価の基であり、R2は下記式3または下記式4で表される2価の基である。R3は炭素数が1〜12の炭化水素基である。)
(式中のR4は−CH2−、−CH2CH2−、または−CH2CH(CH3)−である。)
(R5は水素原子またはメチル基である。)
(R5は水素原子またはメチル基である。)
(B)成分である多官能(メタ)アクリレートは末端に(メタ)アクリロキシ基を有しており、その好ましい例として下記一般式(5)で表される化合物が挙げられる。なお、(B)成分である多官能(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を混合使用することもできる。
(式中のcは2〜30の整数であり、R6は炭素数2〜200の炭化水素基、炭素数2〜300のエーテル酸素(−O−)と炭化水素基のみからなる基、またはイソシアヌレート環若しくはイソシアヌレート環と炭化水素基のみからなる基であり、R7は水素原子またはメチル基である。)
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、前記(A)〜(B)成分に加えて、さらに(C)光重合開始剤を含有させることができる。当該(C)成分は、前記(A)成分と前記(B)成分との合計質量100質量部に対し、0.01〜10質量部配合する。
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、前記(A)〜(B)成分、または、(A)〜(C)成分に加えて、さらに(D)重量平均分子量が90〜700であるアミン化合物を含有させることができる。当該(D)成分は、前記(A)成分と前記(B)成分との合計質量100質量部に対し、0.01〜50質量部配合する。
(R9はシアノ基、炭素数1〜10の炭化水素基、2,3−ジアミノトリアジンで置換された炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、又は水素原子であり、R8、R10、及びR11は炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、又は水素原子であり、R8〜R11が結合して環を形成している場合には炭素数2〜8の炭化水素基である。)
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、(A)チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体と(B)多官能(メタ)アクリレートとの質量比((A)/(B))が0.05〜30となるように配合する。ここで、「(A)/(B)」とは、(A)チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体の質量を(B)多官能(メタ)アクリレートの質量で除した値である。(A)/(B)が0.05未満の場合は剥離時に裂けや割れが発生し易くなり、(A)/(B)が30を超える場合は硬化膜を得にくくなる。最適な(A)/(B)の値は、硬化性樹脂組成物に求められる特性や、(A)チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体や(B)多官能(メタ)アクリレートの種類によって異なる。硬化性樹脂組成物を硬化した後の特性は、厳密には硬化性樹脂組成物単位重量中の(チオール基数)/((メタ)アクリロキシ基数)(以下、チオール/エン比と称す)の値に影響を受ける。例えば、チオール/エン比が0.5〜1.5の範囲にあれば、密な架橋を形成し易く、且つ強靭な硬化物になり易い。一方、チオール/エン比が0.1以上0.5未満、あるいは1.5を超え2.0以下であれば、柔軟で粘着質な硬化物を得ることができる。
本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、基材上に塗工し、硬化させることで、硬化膜を形成することができる。本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、(A)チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体のチオエーテル基に起因して基材に対して密着性を発揮する。したがって、基材としては、チオエーテル基と化学的な結合を形成する(化学的な親和力の高い)基材、例えば、遷移金属あるいはその合金や珪素化合物、リン化合物、硫黄化合物、又はホウ素化合物等の無機基材、不飽和結合(芳香環を含む)を有する有機物、水酸基やカルボキシル基を有する有機物、又はプラズマやUVオゾン処理された有機物等の有機基材への密着性向上効果に優れる。具体的には、無機基材としては、ガラス、シリコン、各種金属などが挙げられる。有機基材として、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、トリアセテートセルロース(TAC)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド、ABS樹脂、ポリビニルアルコール、塩化ビニル系樹脂、ポリアセタールなどが好ましく挙げられる。また、本発明の剥離シート用硬化性樹脂組成物は、(A)チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体が特定の炭化水素基を有することで、硬化膜が柔軟性に優れる。そのため、フレキシブルな基材のコーティングに特に好適に使用することができる。
(A−1:チオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体)
(B−1、Mw:5000)
(B−2、Mw:246)
グリシジルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートの共重合体に下記D−3を触媒としメタクリル酸を当モル付加したポリマー(50wt%メチルイソブチルケトン溶液をヘキサンで再沈した白色固体)。
(B−5、Mw:45000)
グリシジルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレートの共重合体に下記D−3を触媒としメタクリル酸を当モル付加したポリマー(50wt%メチルイソブチルケトン溶液をヘキサンで再沈した白色固体)。
(C−1、Mw:204)
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(C−2、Mw:348)
2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド
(C−3、Mw:407)
2−(9−オキソキサンテン−2−イル)プロピオン酸1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン
(D−1、Mw:110)
N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン
(D−3、Mw:680)
剥離シート用硬化性樹脂組成物の各サンプルを10cm×10cmの各種基材にダイコーターで150μmの厚みに塗布し、表1〜表4に示す硬化条件でUV照射を行い、剥離シートを有する評価用試験片1を得た。使用した基材は、ガラス(コーニング社製、イーグルXG)、PETフィルム(東レ(株)製、ルミラーU46−100)、ポリイミド(PI)フィルム(東レ・デュポン(株)製、カプトン100H)、ITOガラス(ソーダガラスにラインアンドスペースで長さ20mm×幅50μm 100Ω/□でパターンが形成されているもの)である。UV照射には、ヘレウス・ノーブルライト・フュージョン・ユーブイ(株)製UVランプシステム「ライトハンマー6」を用い、ランプバルブは、Hバルブを使用した。
評価用試験片1を作製後、テープを剥離シートの端部に貼り剥離シートを剥離した後、基材の外観と剥離性を目視で確認して、以下の通り評価した。
○ :剥離(残渣なし)
×A:剥離時に裂けや割れが発生
×B:硬化不良
評価用試験片1のガラス基材品を100℃で30分加熱し、テープを剥離シートの端部に貼り剥離した後、基材の外観と剥離性を目視で確認して、以下の通り評価した。
○ :剥離(残渣なし)
×A:剥離時に裂けや割れが発生
×B:硬化不良
剥離シート用硬化性樹脂組成物の各サンプルを10cm×10cmのガラス(コーニング社製、イーグルXG)にスクリーン印刷機を用いてラインアンドスペース=100μm/100μmで印刷した後、表1〜表4に示す硬化条件でUV照射を行い、剥離シートを有する評価用試験片2を得た。スクリーン印刷機はマイクロ・テック(株)製、MT−320TVを用いた。
評価用試験片2の剥離シートのライン間の距離を、光学顕微鏡を用いて測定して、以下の通り評価した。
○:スペースの幅が100〜80μm
×:スペースの幅が80μm未満
10cm×10cm銅板の半分に剥離シート用硬化性樹脂組成物の各サンプルを厚さ200μmで塗工し、表1〜表4に示す硬化条件でUV照射を行い、剥離シートを有する評価用試験片3を得た。
評価用試験片3を60℃の硫酸水溶液(0.5N)に1時間浸漬後、銀メッキを1分間施した。次に、水道水で銀メッキを洗浄した後、剥離性を目視で確認して、以下の通り評価した。
○ :剥離(残渣なし)
×A:剥離時に裂けや割れが発生
×B:硬化不良
剥離シート用硬化性樹脂組成物の各サンプルを10cm×10cmのガラス(コーニング社製、イーグルXG)にダイコーターで200μmの厚みに塗布し、表1〜表4に示す硬化条件でUV照射を行い、剥離シートを有する評価用試験片4を得た。
評価用試験片4の剥離シートに対して300gの荷重をかけてカッターナイフを用いて切り込みを入れ、剥離シートを剥離した後、基材の外観を目視で確認して、以下の通り評価した。
○:傷なし
×:傷あり
Claims (6)
- (A)下記式(1)であるチオエーテル含有(メタ)アクリレート誘導体と、
(B)重量平均分子量が200〜50000である多官能(メタ)アクリレートと、を含有し、
前記(A)成分と前記(B)成分との質量比((A)/(B))が0.05〜30である剥離シート用硬化性樹脂組成物。
(式中のaは1〜2の整数であり、bは1〜2の整数であり、a+b=3である。R1は下記式2で表される3価の基であり、R2は下記式3または下記式4で表される2価の基である。R3は炭素数が1〜12の炭化水素基である。)
(式中のR4は−CH2−、−CH2CH2−、または−CH2CH(CH3)−である。)
(R5は水素原子またはメチル基である。)
(R5は水素原子またはメチル基である。) - (C)光重合開始剤を、前記(A)成分と前記(B)成分との合計質量100質量部に対し、0.01〜10質量部配合してなる、請求項1に記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物。
- (D)重量平均分子量が90〜700であるアミン化合物を、前記(A)成分と前記(B)成分との合計質量100質量部に対して0.01〜50質量部配合してなる、請求項1または請求項2に記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物。
- 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる剥離シート。
- 基材に、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布、硬化して得られる剥離シートが積層されてなる工程基材。
- 基材に、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の剥離シート用硬化性樹脂組成物を塗布、硬化して得られる剥離シートを保護層として設けることにより、基材を保護する方法。
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