JP2017154660A - 乗物用シートのアームレスト装置 - Google Patents

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敬 柳川
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Abstract

【課題】シートバックに回転可能に配設されたアームレスト装置において、軽量簡潔な構造で乗物急制動時のアームレスト飛び出しの防止と操作時の節度感向上を可能とする。
【解決手段】軸ピン31aを中心にシートバック20に対してアームレスト30が格納位置と使用位置との間で回転可能に配設される。シートバック20に緩衝ピン21cが設けられ、アームレスト30に軸ピン31aと緩衝ピン21cの間で圧縮変形されて軸ピン31aに対する緩衝ピン21cの回転に摺動抵抗を与える緩衝ばね31eが設けられる。緩衝ばね31eは、基部31e1と、基部31e1に一端が固定されて基部31e1の径方向外周に略弧状に配設された弧状部31e2と、を有する。弧状部31e2の径方向外周面に緩衝ピン21cが格納位置と使用位置との間で当接して摺動し、急制動時にはアームレスト30の軸ピン31aに対する回転を止め、手動操作時には回転速度を緩和する。
【選択図】図3

Description

本発明は、乗物用シートのアームレスト装置に関する。
リアシートのシートバックに回転可能に配設された乗物用シートのアームレスト装置が知られている。かかるアームレスト装置においては、乗物の急制動時にシートバックからアームレストが回転して飛び出すのを防止するとともに、通常時にシートバックからアームレストを出し入れする際には適度な抵抗を与えて急激な動きが生じないようにする必要がある。特許文献1に記載の技術においては、シートバックに対するアームレストの回転軸にダンパを配設することにより上記要請に応えている。
特開2002−67767号公報
上述のアームレスト装置においては、ダンパが大きく高価であって乗物用シートの軽量化、低コスト化が図りづらいという問題があった。
このような問題に鑑み本発明の課題は、乗物用シートのシートバックにアームレストが回転可能に配設されたアームレスト装置において、軽量簡潔な構造で乗物急制動時のアームレスト飛び出しの防止と操作時の節度感向上を可能とするアームレスト装置を提供することにある。
本発明の第1発明は、乗物用シートのアームレスト装置であって、シートバックとアームレストとの間に設けられた回転軸を中心に前記シートバックに対して前記アームレストが前記シートバックに形成された収納部に配置された格納位置と前倒しした使用位置との間で回転可能に配設され、前記シートバック又は前記アームレストのいずれか一方から前記アームレスト又は前記シートバックのいずれか他方に向かって前記回転軸と平行に突出して延びた突出部と、前記シートバック又は前記アームレストの前記突出部が設けられていない側に設けられ前記アームレストが前記格納位置と前記使用位置との間にある場合に前記回転軸と前記突出部の間で圧縮変形されて前記回転軸に対する前記突出部の回転に摺動抵抗を与える緩衝部材と、を有し、該緩衝部材は、前記回転軸に固着された基部と、該基部に一端部が固定されて前記回転軸及び/又は前記基部に対して空間部を形成して前記回転軸及び/又は前記基部の径方向外周に略弧状に配設された弧状部と、を有し、該弧状部の径方向外周面に前記突出部が前記格納位置と前記使用位置との間で当接して摺動し、摺動時の摺動抵抗によって、乗物の急制動時には前記アームレストの前記回転軸に対する回転を止め、手動操作時には回転速度を緩和するように構成されていることを特徴とする。
第1発明によれば、回転軸とシートバック又はアームレストのいずれか一方に設けられた突出部との間に、アームレスト又はシートバックのいずれか他方に設けられた緩衝部材を配置するという軽量簡潔な構造で、乗物の急制動時のアームレスト飛び出しの防止とアームレスト手動操作時の節度感向上を可能とすることができる。具体的には、緩衝部材は回転軸に対して片持ちで固定された弧状部の径方向への変形によってアームレストの回転に対して摺動抵抗を与えるものである。緩衝部材は、乗物の急制動時には、緩衝部材が圧縮変形されたときに発生する摺動抵抗により回転軸に対する突出部の回転を止め、手動操作時には、緩衝部材が圧縮変形されたときに発生する摺動抵抗により回転軸に対する突出部の回転に抵抗を与えて回転速度を緩和する。緩衝部材は、弧状部が基部に対し片持ちで固定されているので、格納位置と使用位置との間で突出部に対し当接した状態で摺動し連続して摺動抵抗を与えられる。
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記弧状部は、前記基部に固着された一端部とは異なる他端部が、前記弧状部が前記突出部の押圧によって変形されたとき前記回転軸及び/又は前記基部に当接するように形成されていることを特徴とする。
第2発明によれば、緩衝部材の弧状部が突出部の押圧によって基部に対して大きな曲げ変形が加えられたとき、他端部が回転軸及び/又は基部に当接して両持ち状態となる。これによって、乗物の急制動時に大きな摺動抵抗を与えてアームレストの飛び出しを抑えることができるとともに、アームレストが使用位置に近づくにつれて回転軸に対する突出部の回転に印加される摺動抵抗が漸減することが避けられ摺動抵抗のコントロールを容易とすることができる。
本発明の第3発明は、上記第2発明において、前記弧状部の他端部が前記基部に当接する部分において、前記基部には前記弧状部の他端部に向かって突出した突起部が設けられ、前記弧状部の他端部には前記突起部に係合する凹部が設けられていることを特徴とする。
第3発明によれば、弧状部はその一端部と他端部が基部に対してズレを抑制して支持され摺動抵抗を効率よく与えてアームレストの飛び出しを抑えることができる。
本発明の第4発明は、上記第1発明から上記第3発明のいずれかにおいて、前記基部は前記回転軸に対して嵌合可能な内筒部を有する筒状であることを特徴とする。
第4発明によれば、回転軸に対する基部の固定が容易にできる。
本発明の第5発明は、上記第1発明から上記第4発明のいずれかにおいて、前記緩衝部材は樹脂製であることを特徴とする。
第5発明によれば、緩衝部材の製造が容易になるとともに軽量化が達成できる。
本発明の第6発明は、上記第1発明から上記第5発明のいずれかにおいて、前記シートバックはリアシートのシートバックであり、前記収納部は収納凹部であって、前記回転軸は前記収納凹部内に架け渡し状に配設されており、前記突出部及び前記緩衝部材は前記回転軸が支持される前記収納凹部のいずれかの側のみに配設されていることを特徴とする。
第6発明によれば、リアシートのシートバックに形成された収納凹部に架け渡し状に配設された回転軸の一方の支持部のみに突出部及び緩衝部材が配設されている。これによって、軽量簡潔な構造で、乗物の急制動時のリアシートのシートバックに配設されたアームレスト飛び出しの防止とアームレスト手動操作時の節度感向上を可能とすることができる。
本発明の一実施形態のアームレスト装置を備えた自動車用リアシートを斜め前方から見た斜視図である。 図1のII−II線で切断して示す断面図である。 図2のIII方向から見た側面図である。アームレストが格納位置にあるときの状態を示す図である。 図3において、乗物の急制動時にアームレストの回転軸に対する回転が止められたときの状態を示す図である。 図3において、アームレストが格納位置から使用位置に向かって自重によって回転していくときの状態を示す図である。 図3において、アームレストが格納位置から使用位置に向かって自重によって回転していくときの使用位置に至る直前の状態を示す図である。 図3において、アームレストが使用位置にあるときの状態を示す図である。 図3のVIII−VIII線で切断して示す断面図である。
図1〜図8は、本発明の一実施形態を示す。この実施形態は、自動車用リアシートに本発明を適用した例を示す。各図中、矢印により自動車用リアシートを自動車に取付けたときの各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。本実施形態の自動車用リアシート1はベンチタイプのシートであって、着座部となるシートクッション10と、背凭れとなるシートバック20と、シートバック20に取付けられたアームレスト30と、を備えている。ここで、自動車用リアシート1が、特許請求の範囲の「乗物用シート」に相当する。
図1及び図2に示すように、シートクッション10は、骨格を成すクッションフレーム11と、クッション材であるクッションパッド12と、表皮材であるクッションカバー13と、を備えている。シートバック20は、骨格を成すバックフレーム21と、クッション材であるバックパッド22と、表皮材であるバックカバー23と、を備えている。シートバック20の左右方向中央部には、アームレスト30を不使用時に収納する収納凹部24が設けられている。アームレスト30は、収納凹部24内に収納された状態においてその下部が収納凹部24の下部に対して左右方向に延びる回動軸Pを中心に、実線で示す収納状態と二点鎖線で示す使用状態との間で回転可能に支持されている。アームレスト30は、収納状態において格納位置にあり、使用状態において使用位置にある。ここで、収納凹部24が、特許請求の範囲の「収納部」に相当する。
図2に示すように、バックフレーム21を覆って配置されたバックパッド22の上からバックカバー23が被せつけられている。バックパッド22は、ウレタン発泡成形体でありバックフレーム21を覆って配置されたときに収納凹部24を形成する凹みを有する。バックカバー23は、ファブリック等の表皮と、ウレタン発泡スラブ製のラミパッドと、不織布等の裏基布と、をこの順で積層してラミネートした面状部材をバックパッド22の表面形状に沿うように複数のパーツに裁断して縫製により一体化したものである。収納凹部24においてもバックパッド22の凹みに沿ってバックカバー23が配設されて収納凹部24の内面を覆っている。
図2に示すように、アームレスト30は、後部が開放された箱状の鉄板のプレス成形品であるフレーム31を覆って配置されたウレタン発泡体製のパッド32の上からカバー33が被せつけられた構造をしている。パッド32とカバー33は、その材質、構成とも、それぞれバックパッド22とバックカバー23と実質的に同じものである。アームレスト30の後側には蓋部材が取付けられて使用状態にしたときに、その上に乗員が腕を置けるようになっているが、その構成は公知のものなので細部については説明を省略する。
図2に示すように、フレーム31の下部一側である下部右側には、軸ピン31aが回動軸Pと同軸に取付けられている。軸ピン31aは、鉄製で図2、図3及び図8に示すように、半径の異なる円柱を同軸的に積み重ねた形状をしており、左側(フレーム31側)から第1小径部31a1、大径部31a2、第2小径部31a3を備えている。第1小径部31a1と第2小径部31a3は、同径で左右方向の長さは第2小径部31a3の方が長く第1小径部31a1の5倍程度の長さである。大径部31a2は左右方向の長さが、第2小径部31a3と同程度で、半径は第1小径部31a1及び第2小径部31a3より75%程度大きく設定されている。大径部31a2の第2小径部31a3に隣接する部分には、互いに平行となる平面取り部31a21が回動軸Pに対して対称に設けられている。平面取り部31a21の軸方向の長さは、後述する緩衝ばね31eの左右方向長さとほぼ等しく形成されている。そして、図3に示すように、軸ピン31aは、アームレスト30が格納位置にあるとき、平面取り部31a21に垂直な直線がバックフレーム21に対して30度程度後方に向けて傾くような位置でフレーム31に対して固定されている。第2小径部31a3の左右方向中央のやや左寄り(大径部31a2寄り)には、抜け止めの機能を果たすEリング31a4を挿入して固定するための切り欠き部31a31が設けられている。フレーム31の下部右側には、軸ピン孔31bが回動軸Pと同軸に設けられその中に軸ピン31aの第1小径部31a1が挿入されて大径部31a2の左側側面部が軸ピン孔31b周縁のフレーム31右側面に当接した状態で溶接により固定されている。ここで、軸ピン31aが、特許請求の範囲の「回転軸」に相当する。
図2に示すように、フレーム31の下部他側である下部左側には、軸ピン31cの先端の小径部31c3が取付けられる回動軸Pと同軸の軸ピン孔31dが設けられている。軸ピン31cは、鉄製で、半径の異なる円柱を同軸的に積み重ねた形状をしており、左側(バックフレーム21側)から大径部31c1、中径部31c2、小径部31c3を備えている。小径部31c3の中径部31c2側には抜け止めの機能を果たす抜け止め部材31c4を挿入して固定するための切り欠き部31c31が設けられている。バックフレーム21に対して軸ピン31cを用いてフレーム31を取付ける構造については後述する。
図2及び図8に示すように、シートバック20の収納凹部24の下部一側である下部右側に対応するバックフレーム21には、軸ピン孔21aが回動軸Pと同軸に設けられている。軸ピン孔21aには、樹脂製で鍔付き円筒状のブッシュ31a5の外筒部が左側から(アームレスト30側から)嵌め込まれて固定される。ブッシュ31a5の内筒部に軸ピン31aの第2小径部31a3が挿入されて大径部31a2の右側側面部が、軸ピン孔21a周縁のバックフレーム21の左側面に対してブッシュ31a5の鍔部を介して当接した状態でEリング31a4が切り欠き部31a31に挿入されて抜け止め組付けされる。
バックフレーム21の軸ピン孔21aの下方には緩衝ピン21cを固定するための固定孔21bが設けられている。緩衝ピン21cは、鉄製で図2及び図8に示すように、半径の異なる円柱を同軸的に積み重ねた形状をしており、右側(バックフレーム21側)から小径部21c1、大径部21c2を備えている。小径部21c1は軸ピン31aの第1小径部31a1及び第2小径部31a3と同径で、左右方向の長さは第1小径部31a1よりやや長い。大径部21c2は軸ピン31aの大径部31a2よりやや小径で、左右方向の長さは大径部31a2のほぼ半分程度である。回動軸Pと固定孔21bの軸線との間隔は軸ピン31aの大径部31a2の半径の3倍程度とされている。バックフレーム21の固定孔21bに緩衝ピン21cの小径部21c1が、左側から(アームレスト30側から)挿入されて大径部21c2の右側側面部が固定孔21b周縁のバックフレーム21左側面に当接した状態で溶接により固定されている。この状態で、軸ピン31aの大径部31a2表面と緩衝ピン21cの大径部21c2表面とは対向して配置されその最短距離は軸ピン31aの大径部31a2の半径よりやや大きいものとされる。ここで、緩衝ピン21cが、特許請求の範囲の「突出部」に相当する。
図2、図3及び図8に示すように、軸ピン31aの大径部31a2と緩衝ピン21cの大径部21c2との間には、ポリアセタール樹脂製の緩衝ばね31eが配設されている。緩衝ばね31eは、略円筒状の基部31e1と、基部31e1に対して一端部が固定されるとともに基部31e1との間に空間部31e3を形成して略弧状に配設された弧状部31e2と、を有する。基部31e1は、基本形状として、外筒部31e11の直径が軸ピン31aの大径部31a2の直径より大きく、内筒部31e12の直径が軸ピン31aの大径部31a2の直径とほぼ等しく、高さが軸ピン31aの大径部31a2の1/2程度の円筒に形成されている。基部31e1の内筒部31e12には、軸ピン31aの大径部31a2の平面取り部31a21が設けられた部分に嵌合すべく、互いに平行となる肉盛平面部31e121が設けられている。基部31e1の外筒部31e11には、内筒部31e12に肉盛平面部31e121が設けられていない部分に、弧状部31e2の一端部が固定される弧状部固定部31e111と、径方向に突出した突起部31e112と、が設けられている。図3に示すように、アームレスト30が格納位置にあるとき、軸ピン31aの下側に弧状部固定部31e111が、軸ピン31aの上側に突起部31e112が、配置されるような位置で軸ピン31aに対し基部31e1が取付けられる。肉盛平面部31e121には、平面に垂直な方向に延びる貫通孔31e15が設けられている。貫通孔31e15は、必要に応じて軸ピン31aの平面取り部31a21に設けられた同軸の貫通孔にピンを通してより強固に回り止めを行うためのものであるが本実施形態においてはこれを利用していない。外筒部31e11の貫通孔31e15が設けられた部分の一方には、平面部31e113が設けられている。平面部31e113は、回り止めのピンが配設されたとき、ピン頭部の座となる部分である。ここで、緩衝ばね31eが、特許請求の範囲の「緩衝部材」に相当する。
図2、図3及び図8に示すように、緩衝ばね31eの弧状部31e2は、基部31e1に固定される厚肉の固着部31e21と、固着部31e21に一端部が連結されてほぼ一定の薄肉で基部31e1との間に空間部31e3を形成して基部31e1と同一の中心軸で略円弧状に延びるばね部31e22と、を有する。弧状部31e2の左右方向長さは、基部31e1の高さと等しく形成されている。固着部31e21の中心部には左右方向に貫通する空洞部31e211が設けられている。この空洞部31e211は、緩衝ばね31eの成形時に厚肉の固着部31e21に引けが生じないようにするためのものである。ばね部31e22は、回動軸Pを中心とする円の径方向の肉厚がほぼ一定であり、その基本形状が、一端が固着部31e21の基部31e1と反対側の端部に連結され他端が基部31e1から離隔して回動軸Pを中心とした半円弧状に形成されている。詳しくは、固着部31e21に固定された一端から図3において時計回りに、第1小径部31e221、第1凸部31e222、第2小径部31e223、第2凸部31e224、第3小径部31e225が形成されている。第1小径部31e221、第2小径部31e223、第3小径部31e225の外径は回動軸Pを中心とした小円C1と重なるように形成され、第1凸部31e222及び第2凸部31e224の頂部は回動軸Pを中心とした大円C2と重なるように形成されている。
図2に示すように、シートバック20の収納凹部24の下部他側である下部左側に対応するバックフレーム21には、軸ピン孔21dが回動軸Pと同軸に設けられている。軸ピン孔21dには、樹脂製で鍔付き円筒状のブッシュ31c5の外筒部が左側から(アームレスト30の反対側から)嵌め込まれて固定される。ブッシュ31c5の内筒部に軸ピン31cの中径部31c2が挿入されて大径部31c1の右側側面部が軸ピン孔21d周縁のバックフレーム21の左側面に対してブッシュ31c5の鍔部を介して当接した状態とされている。この状態で、軸ピン31cの小径部31c3は、フレーム31の下部左側に設けられた軸ピン孔31dに通されて中径部31c2の右側側面部が軸ピン孔31d周縁のフレーム31の左側面に対して当接した状態で切り欠き部31c31に抜け止め部材31c4が挿入されて抜け止め組付けされる。
アームレスト30のシートバック20への組付けは次のように行われる。図2、図3及び図8に示すように、アームレスト30を格納位置にしてアームレスト30のフレーム31に取付けられた軸ピン31aの大径部31a2に緩衝ばね31eを取付けた状態で、第2小径部31a3をブッシュ31a5を介してバックフレーム21の軸ピン孔21aに挿入してEリング31a4で抜け止めする。このとき、緩衝ばね31eが軸ピン31aの大径部31a2と緩衝ピン21cの大径部21c2との間に配置される。次に、アームレスト30のフレーム31に設けられた軸ピン孔31dとバックフレーム21の軸ピン孔21dの軸線を一致させて軸ピン孔21dに左側からブッシュ31c5を介して軸ピン31cを挿入して軸ピン31cの小径部31c3を軸ピン孔31dに通して抜け止め部材31c4で抜け止めする。
図3〜図7に基づいて、アームレスト30のシートバック20に対する傾き位置と弧状部31e2の形状との対応関係と作用効果について説明する。図3に示すように、アームレスト30の格納位置において軸ピン31aに緩衝ばね31eを取付けたとき、緩衝ピン21cの大径部21c2は第1小径部31e221の第1凸部31e222の斜面に当接する位置に配置される。このとき、緩衝ばね31eの弧状部31e2はほとんど弾性変形していない。アームレスト30の前方に向けての回転(図3において反時計回りの回転)は、大径部21c2が第1凸部31e222を径方向内側へ押圧して弧状部31e2を変形させる力が必要であるため摺動抵抗を受けるが、その反対方向への回転は緩衝ばね31eからの摺動抵抗は受けない。したがって、アームレスト30が格納位置にあるとき、アームレスト30は、その後部がシートバック20に当接することにより後方への回転が止められ、その上部及び両側部が収納凹部24内でシートバック20に対して圧接するとともに上記の緩衝ばね31eによる摺動抵抗と相俟って前方への回転が止められている。なお、アームレスト30は格納位置にあるとき後方に傾いた状態にあること及び上記の緩衝ばね31eによる摺動抵抗があることによって、アームレスト30とシートバック20の収納凹部24とはわずかな圧接状態であってもかまわないし、圧接していなくてもよい。
図3に示すアームレスト30の格納位置で、自動車が急制動を行うとアームレスト30が慣性力により回動軸Pを中心にシートバック20に対して、図4において反時計回りに回転して前方に飛び出そうとする。このとき、アームレスト30の回転とともに緩衝ばね31eも第1凸部31e222の第1小径部31e221側斜面が緩衝ピン21cの大径部21c2に摺接しながら回転する。そして、緩衝ばね31eの弧状部31e2の弾性変形に伴う摺動抵抗により緩衝ピン21cの大径部21c2が第1凸部31e222の頂部に当接する直前でアームレスト30の回転が止められる。この状態を示すのが図4であり、弧状部31e2は、固着部31e21に固定された一端に対して径方向内側に曲げ変形されて第3小径部31e225の内径部に形成された凹部31e226が基部31e1の突起部31e112に当接して基部31e1に両持ちで支えられた状態となっている。また、この状態で第1凸部31e222の頂部は小円C1とほぼ重なる位置になっている。こののち、急制動に伴う慣性力が解除されると緩衝ばね31eの弧状部31e2が弾性力によって図3の格納位置の状態に戻ろうとするので緩衝ばね31eは第1凸部31e222の第1小径部31e221側斜面を緩衝ピン21cの大径部21c2に摺接させながら急制動時と逆方向に回転する。これによって、自動車の急制動時にアームレスト30の飛び出しの防止が図れる。なお、この逆方向の回転は必ずしも必要ではなく図4に示す状態でアームレスト30の回転が止められればよい。このような摺動抵抗を与えられるように緩衝ばね31eの弧状部31e2の第1凸部31e222は形成されている。なお、凹部31e226が基部31e1の突起部31e112に当接するまでの間、弧状部31e2は片持ち状態で変形するので、緩衝ピン21cの大径部21c2に当接を維持した状態で摺動し連続して摺動抵抗が与えられる。
次に、格納位置にあるアームレスト30を手で引き出して回転させ使用位置に配置する操作について説明する。図3に示す格納位置にあるアームレスト30を引き出して回動軸Pを中心にシートバック20に対して回転させるとアームレスト30の回転とともに緩衝ばね31eも軸ピン31aの大径部31a2とともに、弧状部31e2が緩衝ピン21cの大径部21c2表面に対し摺接しながら回転する。第1凸部31e222の第1小径部31e221側斜面を緩衝ピン21cの大径部21c2表面に摺接させて緩衝ばね31eを圧縮変形させながらアームレスト30を回転させていくと摺動抵抗を増しながら第1凸部31e222の頂部が緩衝ピン21cの大径部21c2を乗り越え摺動抵抗が低下する。ここからさらにアームレスト30を回転させていくとアームレスト30の自重により前方向(図4において反時計回り方向)に回転するモーメントを増加させながら自動で回転していく。そして、第2小径部31e223が緩衝ピン21cの大径部21c2を通過して第2凸部31e224の第3小径部31e225側斜面に摺接して回転している状況を示すのが図5である。このとき、緩衝ピン21cの大径部21c2が第2凸部31e224を径方向内側へ押圧して弧状部31e2を変形させる力が必要であるため摺動抵抗を与えながら回転していくので回転速度が大きくなりすぎることがない。そして、図6に示すように、アームレスト30が使用位置に来る直前で、第2凸部31e224の頂部が緩衝ピン21cの大径部21c2を通過する。このとき、弧状部31e2は、固着部31e21に固定された一端に対して径方向内側に曲げ変形されて第3小径部31e225の内径部に形成された凹部31e226が基部31e1の突起部31e112に当接して基部31e1に両持ちで支えられた状態となっている。また、この状態で第2凸部31e224の頂部は小円C1とほぼ重なる位置になっている。凹部31e226が基部31e1の突起部31e112に当接するまでの間、弧状部31e2は片持ち状態で変形するので、緩衝ピン21cの大径部21c2に当接を維持した状態で摺動し連続して摺動抵抗が与えられる。そして、さらにアームレスト30が回転すると図7に示すように、第2凸部31e224の第3小径部31e225側斜面が緩衝ピン21cの大径部21c2表面に当接するとともにアームレスト30の前面がシートクッション10上面に当接して回転が止められアームレスト30は使用位置に配置される。これによって、アームレスト30が使用位置に来たとき、アームレスト30は抑制された回転速度でシートクッション10に当接し、不快なバウンド等を引き起こすことがない。また、アームレスト30が使用位置にあるとき、自動車の振動等でアームレスト30が格納位置方向に回転しようとしても第2凸部31e224の第3小径部31e225側斜面が緩衝ピン21cの大径部21c2表面に当接して摺動抵抗が与えられるので回転が止められ使用位置に維持される。
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
1.上記実施形態においては、緩衝ピン21cをバックフレーム21に取付け緩衝ばね31eをアームレスト30のフレーム31に取付けたが、これに限らず、緩衝ピン21cをアームレスト30のフレーム31に取付け緩衝ばね31eをバックフレーム21に取付けてもよい。
2.上記実施形態においては、緩衝ばね31eとしてのポリアセタール樹脂製のものを採用したが、これに限らずポリアミド樹脂製やポリプロピレン樹脂製等の他の樹脂製であってもよいし、これらの樹脂中に金属製のばねがインサート成形されているものでもよい。さらに、金属製のばねであってもかまわない。
3.上記実施形態においては、自動車用リアシート1のシートバック20に設けられた収納凹部24内にアームレスト30を配設したが、これに限らず、フロントシートの側部等に片持ち状態の回転軸でアームレストを取付けてもよい。
4.上記実施形態においては、本発明を自動車のシートに適用したが、飛行機、船、電車等の乗物に搭載のシートに適用しても良い。
1 自動車用リアシート(乗物用シート)
20 シートバック
21c 緩衝ピン(突出部)
24 収納凹部(収納部)
30 アームレスト
31a 軸ピン(回転軸)
31e 緩衝ばね(緩衝部材)
31e1 基部
31e12 内筒部
31e2 弧状部
31e3 空間部
31e112 突起部
31e226 凹部
P 回動軸


Claims (6)

  1. 乗物用シートのアームレスト装置であって、
    シートバックとアームレストとの間に設けられた回転軸を中心に前記シートバックに対して前記アームレストが前記シートバックに形成された収納部に配置された格納位置と前倒しした使用位置との間で回転可能に配設され、
    前記シートバック又は前記アームレストのいずれか一方から前記アームレスト又は前記シートバックのいずれか他方に向かって前記回転軸と平行に突出して延びた突出部と、前記シートバック又は前記アームレストの前記突出部が設けられていない側に設けられ前記アームレストが前記格納位置と前記使用位置との間にある場合に前記回転軸と前記突出部の間で圧縮変形されて前記回転軸に対する前記突出部の回転に摺動抵抗を与える緩衝部材と、を有し、
    該緩衝部材は、前記回転軸に固着された基部と、該基部に一端部が固定されて前記回転軸及び/又は前記基部に対して空間部を形成して前記回転軸及び/又は前記基部の径方向外周に略弧状に配設された弧状部と、を有し、
    該弧状部の径方向外周面に前記突出部が前記格納位置と前記使用位置との間で当接して摺動し、摺動時の摺動抵抗によって、乗物の急制動時には前記アームレストの前記回転軸に対する回転を止め、手動操作時には回転速度を緩和するように構成されている乗物用シートのアームレスト装置。
  2. 請求項1において、前記弧状部は、前記基部に固着された一端部とは異なる他端部が、前記弧状部が前記突出部の押圧によって変形されたとき前記回転軸及び/又は前記基部に当接するように形成されている乗物用シートのアームレスト装置。
  3. 請求項2において、前記弧状部の他端部が前記基部に当接する部分において、前記基部には前記弧状部の他端部に向かって突出した突起部が設けられ、前記弧状部の他端部には前記突起部に係合する凹部が設けられている乗物用シートのアームレスト装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記基部は前記回転軸に対して嵌合可能な内筒部を有する筒状である乗物用シートのアームレスト装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記緩衝部材は樹脂製である乗物用シートのアームレスト装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記シートバックはリアシートのシートバックであり、前記収納部は収納凹部であって、前記回転軸は前記収納凹部内に架け渡し状に配設されており、前記突出部及び前記緩衝部材は前記回転軸が支持される前記収納凹部のいずれかの側のみに配設されている乗物用シートのアームレスト装置。
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