以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[第1の実施形態]
まず、図1および図2を参照するに、本発明の例示的な第1の実施形態に従うレンタル・スペース管理システム(以下、単に「システム」という。)10は、地理的に異なる複数のレンタル・スペース20(図1には、それらレンタル・スペース20のうちの代表的なレンタル・スペース20のみが図示されている)を管理するためのシステムである。
このシステム10は、私的資産(個人所有、私的団体所有など)である部屋や場所などのスペースを、その休止期間中に、そのオーナに代わって、一時的にユーザにレンタルする種類のビジネスを提供する。すなわち、このシステム10は、一時的に休止している個人資産の財産的活用を目的として個人レベルで運営されるレンタル・ビジネスを代行するためのシステムなのである。
図1には、レンタル・スペース20の一例が斜視図で示されている。この例においては、レンタル・スペース20が、あるオーナが所有する個人宅22と同じ敷地24に設置されている屋根付きの車庫26(または倉庫)内のスペースである。今回のレンタル・スペース20は、道路28に隣接している。
このレンタル・スペース20は、無人式であり、そのレンタル・スペース20を利用するユーザが自身の車両でそのレンタル・スペース20に入庫する際にも出庫する際にも、その行動を監視する人間は常駐していない。
今回の車庫26は、オーナの意思により、レンタル・スペースとしてレンタルされることが許可されている状態と禁止されている状態とに切り換わる。それら2つの状態の違いは、その車庫26に発信機30が設置されている状態と設置されていない状態との違いとして顕在化される。
よって、ユーザは、今回の車庫26がレンタル・スペースとして任意のユーザに貸出し可能であるという事実を、その車庫26の近傍に設置されている後述の発信機30をユーザが認識する(例えば、目視するか、その発信機30から信号をユーザの携帯端末90が無線で受信するか)ことによって知ることができる。
換言すれば、オーナが発信機30を車庫26に設置すれば、その車庫26がレンタル・スペース26に切り換わり、逆に、オーナが発信機30を車庫26から撤去すれば、その車庫26がレンタル・スペースではなくなるのである。
よって、オーナは、自身の個人資産を利用したレンタル・サービスを開始したい場合には、その車庫26に固有のレンタル・スペースIDを反映する識別信号を発信するように事前に調整された発信機30をその車庫26に設置すればよい。
発信機30は比較的安価であるため、それをオーナが購入するとしても、経済的負担は少ない。また、オーナは、発信機30を購入することなく、単に管理センタ40から借りることも可能であり、この場合には、オーナの経済的負担は皆無である。
よって、オーナは、自身の有閑資産を利用したレンタル・サービスを開始するために、高価な設備を新たに購入してそれを既存の個人資産に設置することも、既存の個人資産を改修することも不要なのであり、オーナは、レンタル・サービスを簡単にかつ気軽に開始することも終了することも可能である。
発信機30は、持ち運びが簡単であり、オーナ単独で運搬可能なサイズおよび重量を有するとともに、車庫26への設置方式は、単に地面に置くという方式でよい。よって、オーナは、発信機30を車庫26に設置するという作業も車庫26から撤去するという作業も、物理的にも心理的にも過大な負担を受けることなく簡単に行うことができる。
なお、「車両」なる用語の定義について付言するに、「車両」なる用語は、自動車のみならず、自転車、自動二輪車等、あらゆる種類の移動体を包含する用語として解釈すべきである。
レンタル・スペース20の管理方式として、各レンタル・スペース20ごとに、そのレンタル・スペース20に設置された設備のみを用いて自立的に(個別的にないしは自己完結的に)管理される自立管理方式と、複数のレンタル・スペース20が遠隔的にある管理サーバと通信することによってそれらレンタル・スペース20を集中的に管理する集中管理方式とが存在する。本実施形態に従うシステム10は、後者の集中管理方式を採用する。
具体的には、図1および図2に示すように、このシステム10は、複数のレンタル・スペース20にそれぞれ設置される複数の発信機(レンタル・スペース側ユニットの一例)30と、複数のレンタル・スペース20を集中的に管理する管理センタ40に設置される管理サーバ(センタ側ユニットの一例)50とを備えている。
本実施形態においては、レンタル・スペース20ごとに、1台の発信機30が、対応するレンタル・スペース20において、固有のレンタル・スペースIDを識別し得る局地的識別信号を発信するように構成される。1つのレンタル・スペースIDは、1つのレンタル・スペース20にとっても、1台の発信機30にとっても固有である。もちろん、1つのレンタル・スペースIDが特定されれば、それに対応する1つのレンタル・スペース20が特定される。
図2および図3に示すように、このシステム10においては、ユーザが、自身の携帯端末90を用いて、ユーザが現在滞在している1つのレンタル・スペース20に設置されている発信機30から前述の局地的識別信号を、発信機30との接触状態または非接触状態で受信する(近距離一方向無線通信を行う)とともに、管理センタ40の管理サーバ50との間で遠距離双方向無線通信を行う。
ユーザの携帯端末90は、ユーザによって携帯されるとともに無線通信機能を有するデバイス、例えば、携帯電話機、スマートフォン、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、PDAなどである。
ここで、複数のレンタル・スペース20に設置される複数台の発信機30を代表する1台の発信機30につき、ハードウエア構成(図4参照)およびソフトウエア構成(図5参照)を説明する。
まず、概念的に説明するに、発信機30は、各レンタル・スペース20に少なくとも1台ずつ設置され、対応するレンタル・スペース20に固有のレンタル・スペースIDを識別し得る識別信号を局地的に発信する非接触式または接触式の通信デバイスである。
発信機30は、対応するレンタル・スペース20に、通常、随時移動可能であるように設置されるが、移動不能に固定的に設置することも可能である。また、発信機30は、少なくとも送信機能を有すれば足りるが、必要に応じ、受信機能をも併有するように構成してもよい。
次に、作動方式を説明するに、発信機30は、固有の識別信号を外部からのトリガ信号を要することなく能動的に、局地的に、かつ、供給電力が不足しない限り永続的に発信する。
発信機30は、一般に、識別信号としてのビーコン信号を発信するビーコン装置、無線標識などの名称でも知られている装置である。この発信機30は、一例においては、原信号を変調することにより、対応するレンタル・スペースIDを表す識別信号を生成し、その生成された識別信号を、IR信号、Bluetooth(登録商標)信号、NFC(近距離無線通信)信号などとして局地的に発信する。
次に、機能ブロック図である図4を参照してハードウエア構成を説明するに、発信機30は、プロセッサ100およびそのプロセッサ100によって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリ102を有するコンピュータ104を主体として構成されている。
この発信機30は、さらに、電源としての交換可能な使い捨て電池106を有している。電池106に代えて、充電可能な電池を採用したり、外部電源としての商用電源を採用することが可能である。
この発信機30は、さらに、識別信号を生成して発信する発信部108を有している。その発信部108は、電池106によって作動させられるとともに、コントローラ110によって制御される。そのコントローラ110は、コンピュータ100によって制御される。
図23に示すように、この発信機30は、スイッチ32を備えている。そのスイッチ32は、図示しないが、電池106とコンピュータ104およびコントローラ110とに電気的に接続され、それら電池106とコンピュータ104およびコントローラ110との間の電気の流れを切り換える。このスイッチ32は、発信機30を起動させて識別信号を発信させるオン状態と、発信機30を停止させて識別信号の発信を停止させるオフ状態とに切り換わる。このスイッチ32は、例えば、リミット・スイッチである。
このスイッチ32は、往復直線運動または往復回転運動を行う可動部材34(例えば、可動ピン)を備えている。可動部材34が第1位置(図23(a)に示す格納位置)にあると、発信機30はオン状態となる。一方、可動部材34が第2位置(図23(b)に示す突出位置)にあると、発信機30はオフ状態となる。
可動部材34は、発信機30のハウジング36から少なくとも部分的に露出している。この可動部材34は、人間によって操作可能であるように、ハウジング36に装着してもよいが、本実施形態においては、可動部材34が、発信機30のハウジング36のうち、地面やフロア、壁などの固定物に設置される際に接触する部分38(例えば、下部)に装着される。
この態様においては、発信機30が固定物に設置されると、可動部材34が固定物に接触する。その結果、その固定物から作用する力がリターン・スプリング39の弾性力に勝り、可動部材34は、突出位置から格納位置に変位し(後退し)、それにより、発信機30がオン状態に移行する。
これに対し、発信機30が固定物から撤去されると、可動部材34が、固定物から作用する力が減少する。その結果、リターン・スプリング39の弾性力が固定物から作用する力に勝り、可動部材34は、格納位置から突出位置に変位し(前進し)、それにより、発信機30がオフ状態に移行する。
次に、図5を参照して発信機30のソフトウエア構成を説明するに、発信機30のプロセッサ100は、図5にフローチャートで概念的に表されているプログラムを反復的に実行する。
このプログラムの各回の実行時には、まず、ステップS1において、メモリ102からレンタル・スペースID(すなわち、今回の発信機30が実際に設置されているレンタル・スペース20に割り当てられた固有のレンタル・スペースID)が読み込まれ、次に、ステップS2において、電池106の残量が推定される。
続いて、ステップS3において、前記読み込まれたレンタル・スペースIDと、前記推定された電池残量とが反映されるように、原信号(例えば、搬送信号)を変調するための信号がコントローラ110に対して出力される。そのコントローラ110は、発信部108を制御し、その結果、発信部108は、今回発信すべき識別信号を生成する。その後、ステップS4において、その生成された識別信号が発信部108から発信される。続いて、ステップS1に戻る。
なお付言するに、発信機30において、レンタル・スペースIDと電池残量とが反映されるように識別信号を生成するアルゴリズムまたは手順は、図5に示すアルゴリズムまたは手順とは異なるものを採用することが可能である。
ここで、この発信機30に関連付けてユーザの携帯端末90の一機能を説明するに、その携帯端末90は、発信機30から識別信号を受信している状態で、その携帯端末90のコンピュータに予めインストールされているあるプログラム、すなわち、発信機処理のための専用アプリケーション(以下、「発信機用アプリケーション」という。)を起動させる(ログイン)と、前記受信した識別信号を復調し、それにより、前記レンタル・スペースIDを解読する。携帯端末90は、さらに、その解読されたレンタル・スペースIDを管理サーバ50に送信する。
さらに、携帯端末90は、発信機30から識別信号を受信している状態で、前記発信機用アプリケーションを起動させると、前記受信した識別信号に基づき、その識別信号を発信したときの発信機30の位置と、その識別信号を受信したときの携帯端末90の位置との間の距離を測定することも行う。
すなわち、携帯端末90は、発信機30から受信した識別信号に基づき、その発信機30が実際に設置されているレンタル・スペース20に固有のレンタル・スペースIDと、そのときの発信機30との距離との双方を獲得するようになっているのである。
携帯端末90のユーザは、自身の携帯端末90を持ったまま発信機30に接近し、その携帯端末90を発信機30のうちの発信部108に完全にまたはほぼ接触させると、携帯端末90は、発信機30から識別信号を接触式で受信することができる。
これに対し、携帯端末90のユーザが自身の携帯端末90を持ったまま特定の受信エリア内に進入すると、携帯端末90は、発信機30から識別信号を非接触式で受信することができる。
図6に概念的に平面図で示すように、発信機30には、2種類の受信エリアが割り当てられる。それらは、受信可能エリアと有効受信エリアである。それらエリアは、いずれも、発信機30を発信源とする円で概して定義され、受信可能エリアは、最大受信半径を有するのに対し、有効受信エリアは、有効受信半径を有する。
しかし、具体的には、受信可能エリアは、発信機30の電力供給が正常である場合に、その発信機30からの識別信号が到達可能なエリア、すなわち、そのエリア内に存在する限り、携帯端末90がその識別信号を受信可能なエリアを意味する。
これに対し、有効受信エリアは、受信可能エリアの最大受信半径より小さい有効受信半径を有している。最大受信半径は、任意に設定することが不可能であるのに対し、有効受信半径は、任意に設定することが可能である。
すなわち、最大受信半径は、ハードウエアによって決まる受信限度を意味するのに対し、有効受信半径は、ソフトウエアによって決まる受信限度を意味するということが可能なのである。
前述のように、携帯端末90は、それが受信した識別信号を発信したときの発信機30との距離を測定する。その距離測定値は、有効受信半径を超えることもあれば、超えないこともある。そして、その距離測定値が受信有効半径を超えないときは、携帯端末90が有効受信エリア内に存在するときであるのに対し、その距離測定値が受信有効半径を超えるときは、携帯端末90が受信可能エリア内には存在するが有効受信エリア内には存在しないときである。
携帯端末90は、前記発信機処理用アプリケーションを起動させることにより、前記距離測定値が有効受信半径の設定値以下であるか否かを判定し、その設定値以下であると判定すると、携帯端末90が現在、有効受信エリア内に位置するから、携帯端末90は、「発信機30からの識別信号を有効に受信した(以下、単に「識別信号を受信した」ともいう。)」と判定する。
これに対し、携帯端末90は、前記距離測定値が前記設定値より大きいと判定すると、携帯端末90が現在、有効受信エリア外に位置するから、携帯端末90は、「発信機30からの識別信号を有効に受信していない(以下、単に「識別信号を受信していない」ともいう。)」と判定する。
すなわち、本実施形態においては、携帯端末90が有効受信エリア外に位置する場合には、実際には、携帯端末90が識別信号を受信しているにもかかわらず、みかけ上、携帯端末90は識別信号を受信していないこととしてソフトウエア上で取り扱われることになるのである。
本実施形態においては、受信可能エリアも有効受信エリアも複数の発信機30の間で互いにオーバラップしないように、複数の発信機30の個別性能および相対的位置関係ならびに前記有効受信半径の設定値が設定されている。
図7には、同じレンタル・スペース20に位置する発信機30とユーザの携帯端末90との間における近距離一方向無線通信の内容が時系列的にかつ概念的に表されている。発信機30は、同じ識別信号をユーザの携帯端末90に発信し続ける。
なお念のために識別信号の不変性について付言するに、識別信号はレンタル・スペースIDのみならず電池残量をも反映した信号であることから、識別信号は、レンタル・スペースIDが不変であっても、時間と共に変動することが想定される。
しかし、電池残量が急に変化することはないから、ユーザの携帯端末90に関連付けて想定される短い時間スパン内においては、電池残量は不変であるとみなすことが可能である。一方、レンタル・スペースIDが変化することは想定されていない。
よって、識別信号は、短い時間スパン内においては、同じ情報を繰返し伝達しているから、その実体的な意味において、識別信号は、そもそも不変であるものとして取り扱うことが可能である。
ところで、識別信号は、連続波である場合には、物理的に、複数個の信号として観察されないのに対し、断続波である場合には、複数個の信号として観察される。しかし、連続波であっても、識別信号が周期的である以上、複数個の周期信号が時系列的に並んだものとして把握することは可能である。よって、説明の便宜上、図7に概念的に表すように、連続波であるか断続波であるかを問わず、識別信号は、複数の個別信号が時系列的に並んだものとして把握することが可能である。
なお付言するに、図7には、さらに、ユーザの携帯端末90と、遠隔地にある管理サーバ50との間における遠距離双方向無線通信の内容も概念的に表されているが、これについては、後に詳述する。
次に、機能ブロック図である図8を参照してユーザの携帯端末90のハードウエア構成を説明するに、ユーザの携帯端末90は、プロセッサ130およびそのプロセッサ130によって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリ132を有するコンピュータ134を主体として構成されている。
この携帯端末90は、さらに、情報を表示する表示部(例えば、液晶ディスプレイ)136と、発信機30および管理サーバ50からの信号を受信する受信部138と、信号を生成してその信号を管理サーバ50に送信する送信部140とを有する。
次に、図9を参照してユーザの携帯端末90のソフトウエア構成を説明するに、携帯端末90のプロセッサ130は、複数のプログラムを実行する。それらプログラムの一つが、前述の発信機用アプリケーションであり、そのアプリケーションが図9にフローチャートで概念的に表されている。
携帯端末90のプロセッサ130は、その発信機用アプリケーション(以下、単に「プログラム」ともいう。)を反復的に実行する。各回のプログラムの実行時には、まず、ステップS101において、ユーザの操作に応答し、このプログラムが起動する。
次に、ステップS102において、携帯電話90が発信機30から識別信号を有効に受信したか否かが判定される。
携帯端末90が現在、前記受信可能エリア外に位置する場合には、携帯端末90は発信機30から識別信号を全く受信できないため、ステップS102の判定がNOとなる。
その後、ステップS115において、操作エラーが存在することをユーザに告知するか、または操作方法を修正して再試行することをユーザに催促するためのメッセージが表示部136の画面上に表示される。このとき、携帯端末90と管理サーバ50との通信が終了する(ログアウト)。上記のメッセージの一例は、「発信機からの信号を正常に受信できません。お客様の携帯端末を発信機に十分に近づけるかまたは接触させた後、再度、アプリを起動させてください」旨のメッセージである。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。
これに対し、携帯端末90が現在、前記受信可能エリア内に位置する場合には、携帯端末90は発信機30から識別信号を受信できる。この場合、ステップS102においては、その受信した識別信号に基づき、今回の発信機30との距離が測定される。このステップS102においては、さらに、その距離測定値が前記設定値より小さいか否か、すなわち、携帯端末90が現在、前記有効受信エリア内に位置するか否かが判定される。前記距離測定値が前記設定値以上である場合には、ステップS102の判定がNOとなり、ステップS115に移行する。
これに対し、携帯端末90が現在、前記有効受信エリア内に位置する場合には、前記距離測定値が前記設定値より小さいため、ステップS102の判定がYESとなる。これにより、図7に示すように、発信機30との関係において1回目の受信確認(これは、前記「第1受信イベント」の一例である)が完了する。その後、今回のセッション、すなわち、ユーザが今回のレンタル・サービスを利用するための管理サーバ50との1回分の双方向通信が開始する。
本実施形態においては、管理サーバ50が、実際には、ユーザの携帯端末90が発信機30から識別信号を有効に受信した事実を直接的に確認するようには設計されていない。しかし、発信機30から識別信号を有効に受信しない限り携帯端末90は管理サーバ50へのアクセス要求を行わないというプロトコルないしは事実を前提に、管理サーバ50は、携帯端末90からアクセス要求があったという事実のみから、携帯端末90が発信機30から識別信号を有効に受信した事実を推定する。
よって、管理サーバ50は、事実上、ユーザの携帯端末90が発信機30から識別信号を有効に受信した事実を確認するための動作を行っているのに等しい。
今回のセッションが開始すると、まず、ステップS103において、ユーザの会員IDが管理サーバ50に送信される。次に、ステップS104において、ユーザのパスワードが管理サーバ50に送信される。
続いて、ステップS105において、ユーザからの今回のリクエスト、すなわち、あるレンタル・スペース20の利用開始を希望する利用開始リクエストと、そのレンタル・スペース20の利用終了を希望する利用終了リクエストとのうちのユーザが希望するものが管理サーバ50に送信される。
その後、ステップS106において、ユーザが今回のレンタル・スペース20を利用する用途(例えば、駐車)が管理サーバ50に送信される。なお、このステップS106は省略可能である。
続いて、ステップS107において、前記受信した識別信号が復調され、それにより、その識別信号によって表されるレンタル・スペースIDが解読される。これにより、今回のレンタル・スペース20を一義的に特定するレンタル・スペースIDが識別される。このレンタル・スペースIDはメモリ132に保存される。
このステップS107においては、さらに、前記受信した識別信号の復調により、その識別信号によって表される電池残量も解読される。この電池残量推定値もメモリ132に保存される。
その後、ステップS108において、ステップS102の実行時において発信機30から受信した識別信号と同じレンタル・スペースIDを表す識別信号(すなわち、実質的に同じ識別信号)をユーザの携帯端末90が有効に受信したか否かが判定される。その有効受信の有無を判定するためのアルゴリズムは、ステップS102について前述したものと同じである。
今回は、ユーザの携帯端末90が、今回のセッション中、同じレンタル・スペース20の同じ有効受信エリア内に継続的に存在していると仮定すると、ユーザの携帯端末90は、前回受信した識別信号と同じレンタル・スペースIDを表す識別信号を受信するから、ステップS108の判定がYESとなる。これにより、図7に示すように、発信機30との関係において2回目の受信確認(これは、前記「第2受信イベント」の一例である)が完了する。
その後、ステップS109において、前記識別されたレンタル・スペースIDが管理サーバ50に送信される。このステップS109は、ステップS108の判定がYESとなると、他の実質的な処理を行うことなく実行されるため、前記2回目の受信確認の後、速やかに、ステップS109が実行され、それにより、2回目に受信された識別信号であって1回目に受信されたものと同じものから変換されたレンタル・スペースIDが携帯端末90から管理サーバ50に送信される。
その結果、管理サーバ50は、事実上、携帯端末90が発信機30から2回目の識別信号を有効に受信すると、その後、意図的に延長された待ち時間なしで、すなわち、実質的にリアルタイムで、その識別信号を、それから変換されたレンタル・スペースIDという形態で、受信することになる。それら識別信号とレンタル・スペースIDとは、情報としては、実質的に互いに同一である。
したがって、管理サーバ50は、後述のように、そのレンタル・スペースIDを受信した直後に現在時刻を計測すれば、その現在時刻を、今回のレンタル・スペース20の実際の利用開始時刻または利用終了時刻(ユーザがレンタル・スペース20の利用開始をリクエストする場合には利用開始時刻、ユーザがレンタル・スペース20の利用終了をリクエストする場合には利用終了時刻)を反映する時刻として精度よく認識できることになる。
さらに、本実施形態においては、ユーザの携帯端末90が発信機30から受信した識別信号が、携帯端末90が管理サーバ50に送信するレンタル・スペースIDに変換される過程において、ユーザの意図的な介入、すなわち、ユーザによるデータ入力やデータ編集が存在しないため、ユーザは、レンタル・スペースIDを改ざんすることが不可能となる。その結果、携帯端末90を経由して発信機30から管理サーバ50に送信されるレンタル・スペース位置関連情報のセキュリティが向上する。
これに対し、今回は、ユーザの携帯端末90が、今回のセッション中、あるレンタル・スペース20の有効受信エリアから、別のレンタル・スペース20の有効受信エリアに移動したと仮定すると、携帯端末90は、前回受信した識別信号とは異なる識別信号を受信するから、ステップS108の判定がNOとなる。
この場合には、その後、図示しないが、ユーザの携帯端末90の表示部136の画面上に警告メッセージが表示される。その警告メッセージは、例えば、「レンタル・サービスの申込みが完了しないうちにユーザが今回のレンタル・スペース20から退出し、この行為により、このレンタル・サービスを利用する資格が喪失した」旨のメッセージが表示される。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。このとき、携帯端末90と管理サーバ50との通信が終了する(ログアウト)。
ところで、発信機30が発信する識別番号は、その発信機30に固有であり、また、その発信機30が設置されている1つのレンタル・スペース20に固有でもある。さらに、1つのレンタル・スペース20に設置された発信機30の受信可能エリアは、別のレンタル・スペース20に設置された別の発信機30の受信可能エリアとオーバラップしない。よって、携帯端末90が同時に複数の発信機30から複数の識別信号を受信してしまうことはない。
そうすると、「携帯端末が同じレンタル・スペースIDを表す識別信号を同じセッション中に再度受信した」という事実は、「携帯端末90をもっているユーザが、その識別信号によって特定される1つのレンタル・スペース20内に、ある時間スパンの間、継続的に滞在していた」という事実を高い確度で推論できる。しかし、携帯端末90が発信機30から識別信号を1回受信しただけで、その識別信号に対応するレンタル・スペースIDを管理サーバ50に送信してしまう場合には、同じ推論を低い確度でしか遂行できない。
ここに、「ある時間スパン」とは、具体的には、例えば、前記1回目の受信確認が行われた時刻から、前記2回目の受信確認が行われた時刻までの時間的隔たりを意味するが、その時間的隔たりは、例えば、1秒を下限値として有したり、5秒を上限値として有することが可能である。例えば、その時間的隔たりが1秒に設定された例においては、ユーザは、少なくとも1秒間、同じレンタル・スペース20に、かつ、発信機30の有効受信エリア内に滞在することが、レンタル・サービスを受けるための条件となる。
ステップS109において今回のレンタル・スペースIDが管理サーバ50に送信されると、ステップS110において、管理サーバ50からの返信が待たれる。後述のように、その返信されたデータには、今回のレンタル・スペース20の利用開始のための処理が開始された(駐車が開始された)か否かを表すデータ、利用終了のための処理が完了した(駐車が終了した)か否かを表すデータ、利用終了後の精算を表す支払明細などを表すデータが含まれる。
管理サーバ50からそのような返信があれば、ステップS111において、その返信されたデータが、今回のレンタル・スペース20の利用開始のための処理が開始されたことを表す利用開始データであったか否かが判定される。利用開始データであった場合には、ステップS111の判定がYESとなる。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。これにより、ユーザは、今回のレンタル・スペース20に自身の車両を駐車し始めることが可能となる。
その結果、今回のセッション、すなわち、今回のレンタル・スペース20への利用開始のための管理サーバ50との1回分の双方向通信が終了する(ログアウト)。
これに対し、管理サーバ50から今回返信されたデータが利用開始データではなかった場合には、ステップS111の判定がNOとなり、ステップS113において、その返信されたデータが、利用終了のための処理が完了した利用終了データであったか否かが判定される。利用終了データであった場合には、ステップS113の判定がYESとなる。
今回は、管理サーバ50から前記支払明細が返信されているため、ステップS114において、その返信された支払明細が携帯端末90の表示部136の画面上に表示される。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。これにより、ユーザは、今回のレンタル・サービスの対価として支払ったレンタル料金の金額を知ることが可能となる。
その結果、今回のセッション、すなわち、今回のレンタル・スペース20からの利用終了のための管理サーバ50との1回分の双方向通信が終了する(ログアウト)。
次に、機能ブロック図である図10を参照して管理サーバ50のハードウエア構成を説明するに、管理サーバ50は、プロセッサ160およびそのプロセッサ160によって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリ162を有するコンピュータ164を主体として構成されている。
この管理サーバ50は、さらに、情報を表示する表示部(例えば、液晶ディスプレイ)166と、携帯端末90からの信号を受信する受信部168と、信号を生成してその信号をユーザの携帯端末90に送信する送信部170と、時計172とを有する。この管理サーバ50は、発信機30からの受信を直接的には行わず、事実上、ユーザの携帯端末90を介して行うことになる。
次に、機能ブロック図である図11を参照して管理サーバ50のコンピュータ164のソフトウエア構成を概念的に説明する。
図11に示すように、管理サーバ50は、今回のレンタル・スペース20の利用開始を処理するための利用開始処理部200と、今回のレンタル・スペース20の利用終了を処理するための利用終了処理部202とを有する。
この管理サーバ50は、さらに、リスト作成部204とリスト表示部206とを有する。リスト作成部204は、図15に示す利用状況管理リストを作成する。これに対し、リスト表示部206は、管理サーバ50のオペレータからの表示リクエストに応答し、前記作成された利用状況管理リストをメモリ162から読み出して管理サーバ50の表示部166の画面上に表示する。
管理サーバ50は、さらに、利用終了催促部208を有する。この利用終了催促部208は、前記利用状況管理リストに基づき、複数人のユーザから、今回のレンタル・スペース20の利用終了が完了していない未終了ユーザを反復的に抽出し、その抽出された未終了ユーザの携帯端末90に、今回のレンタル・スペース20の利用が終了していない旨のメッセージを送信する。
管理サーバ50は、さらに、今回のレンタル・スペース20を利用したユーザが支払うべきレンタル料金を計算するレンタル料金計算部210と、そのレンタル料金をユーザが支払うことを可能にする決済処理部212とを有する。
具体的には、レンタル料金計算部210は、前記利用開始時刻から前記利用終了時刻までの経過時間の長さをユーザのレンタル時間の長さとして計算する。レンタル料金の額は、そのレンタル時間の長さに応じて増額するように設定されており、その関係が料金テーブル(図示しない)としてメモリ162に予め記憶されている。
このレンタル料金計算部210は、さらに、前記計算されたレンタル時間の長さに基づき、前記料金テーブルを参照することにより、今回のレンタル料金の額を計算する。
また、決済処理部212は、今回のユーザに対して銀行決済、クレジット決済、プリペイド方式の決済などを行うことにより、今回のレンタル料金をユーザから徴収する。
次に、図12および図13を参照して管理サーバ50のソフトウエア構成を更に詳しく説明するに、管理サーバ50のプロセッサ160は、メモリ162に記憶されている複数のプログラムのうち、図12および図13にフローチャートで概念的に表されているメイン・プログラム(利用開始および利用終了を行うためのプログラム)を反復的に実行する。
このメイン・プログラムの各回の実行は図12に示すステップS201において開始され、そのステップS201においては、ユーザから、携帯端末90を介して、管理センタ40に対して出される今回のリクエストの種別が利用開始リクエストと利用終了リクエストとのいずれであるかを特定するための情報と、レンタル・スペースIDと、電池残量推定値とを、今回のユーザについて予め割り当てられた会員IDおよびパスワードと共に受信する。それらデータは、その後のアクセスに備えて、互いに関連付けてメモリ162に保存される。
このシステム10によって提供されるレンタル・サービスを享受するために、ユーザは、会員として事前に登録することを要求されており、その際、事後的な個人認証に必要なパスワードも併せて登録することを要求されている。
このステップS201においては、さらに、ユーザの携帯端末90との通信が開始されてから設定時間が経過しないうちにユーザの携帯端末90からレンタル・スペースIDを受信した否かが判定され、前記設定時間内にレンタル・スペースIDを受信しなかった場合には、その判定がNOとなり、管理サーバ50は、ユーザの携帯端末90との今回の通信を遮断する。
管理サーバ50が前記設定時間内にユーザの携帯端末90からレンタル・スペースIDを受信できなかったのは、ユーザの携帯端末90において、前述の1回目の受信確認が成立したために図9のステップS102の判定がYESとなり、管理サーバ50との通信が開始されたが、ユーザの携帯端末90において、前述の2回目の受信確認が成立しなかったために同図のステップS108の判定がNOとなり、ステップS109がスキップされたからである。
よって、前記設定時間内にユーザの携帯端末90からレンタル・スペースIDを受信した場合に限り、ステップS202に移行する。
なお、前記設定時間内にユーザの携帯端末90からレンタル・スペースIDを受信したか否かの判定は、ステップS201においてではなく、そのステップS201より後であって、ステップS204より前に実行してもよい。例えば、ステップS202とS203との間において実行しても、ステップS203とS204との間において実行してもよい。
また、本実施形態においては、ユーザの携帯端末90が、同じレンタル・スペースIDを表す識別信号を発信機30から複数回受信したときに、そのレンタル・スペースIDが、ユーザの携帯端末90から管理サーバ50に送信され、それをトリガーとして、管理サーバ50は本格的な処理を開始する。よって、管理サーバ50は、ユーザの携帯端末90から、同じレンタル・スペースIDを複数回受信することはない。
これに代えて、ユーザの携帯端末90が発信機30から識別信号を受信するごとに、各識別信号によって表される各レンタル・スペースIDを管理サーバ50に送信し、その管理サーバ50が、ユーザの携帯端末90から、同じレンタル・スペースIDを複数回受信したときに、管理サーバ50が本格的な処理を開始する態様で、本発明を実施することも可能である。
次に、ステップS202において、前記受信した会員IDおよびパスワードと、前記登録されている情報との照合結果から、今回のユーザについての個人認証が成功したか否かが判定される。その個人認証が成功すると、ステップS203において、ユーザからの今回のリクエストが利用開始リクエストであるか否かが判定される。
今回のリクエストが利用終了リクエストである場合には、判定がNOとなり、続いて、図13に示すステップ群に移行するが、今回のリクエストが利用開始リクエストである場合には、判定がYESとなり、ステップS204に移行する。
このステップS204においては、時計172を用いて現在時刻が計測され、その現在時刻と同じ時刻としてユーザの利用開始時刻(今回のレンタル・スペース20の用途が駐車である場合には、駐車開始時刻を意味する)がメモリ162に記録される。
このステップS204は、ステップS201において管理サーバ50がユーザの携帯端末90からレンタル・スペースIDを受信した時刻(これは、ユーザの利用開始過程において、携帯端末90が発信機30から2回目の識別信号を有効に受信した時刻にほぼ一致する時刻である)の後、速やかに(1分とか、必要以上に長い時間が経過しないうちに)実行される。よって、利用開始時刻が、ユーザの利用開始過程において、携帯端末90が発信機30から2回目の識別信号を有効に受信した時刻にほぼ一致する時刻として認識されることになる。
すなわち、このステップS204においては、管理サーバ50がユーザの携帯端末90からレンタル・スペースIDを受信した時刻、すなわち、ユーザの利用開始過程において、携帯端末90が発信機30から2回目の識別信号を有効に受信した時刻にほぼ一致する時刻に基づき、ユーザの利用開始時刻が認識されるのである。
続いて、ステップS207において、ユーザが今回のレンタル・スペース20の利用を開始することが許可される。その前提として、ユーザが、前記利用開始時刻に、前記レンタル・スペースIDを有するレンタル・スペース20に実際に居ると認識される。
その後、ステップS208において、後の使用に備えて、今回の利用開始時刻とレンタル・スペースIDとが、今回の会員IDに関連付けてメモリ162に保存される。
具体的には、このステップS208においては、図15に示す利用状況管理リストが作成される。さらに具体的には、このステップS208においては、あるユーザについての利用開始というイベントの発生を契機とし、1回のレンタル・サービスごとに、レンタル・スペース(レンタル・スペース20およびレンタル・スペース20)と、利用開始時刻と、利用終了時刻と、ユーザを識別する情報(会員ID)とが互いに関連付けられ、さらには任意選択的に電池残量推定値にも関連付けられて成るデータブロック(例えば、紐づけされたデータ列)が作成される。複数のレンタル・サービスに対応する複数のデータブロックは、リスト化され、それにより、利用状況管理リストが作成される。
図16に例示するように、メモリ162には予め、複数のレンタル・スペースIDと、複数のレンタル・スペース20との間の対応関係が記録されている。よって、各時点において、今回のレンタル・スペースIDが特定されれば、対応する1つのレンタル・スペース20の場所が特定されることになる。
図15に示す利用状況管理リストの一例においては、複数のデータブロックが時系列的に配列され、例えば図15に示す例においては、利用開始時刻が新しい順に複数のデータブロックが配列される。
図15に示す例においては、上から1番目のデータブロックが、会員「田中」が駐車を目的としてレンタル・スペースAの利用を1月20日の10:00に開始したが未だ終了していないことを表す。
上から2番目のデータブロックは、会員「鈴木」が駐車を目的としてレンタル・スペースBの利用を1月20日の9:00に開始したが未だ終了していないことを表す。
上から3番目のデータブロックは、会員「加藤」が駐車を目的としてレンタル・スペースCの利用を1月20日の8:00に開始し、1月20日の17:00に終了し、レンタル料金も支払われたことを表す。
上から4番目のデータブロックは、会員「小林」が駐車を目的としてレンタル・スペースDの利用を1月19日の8:00に開始し、1月19日の12:00に終了し、レンタル料金も支払われたことを表す。
すなわち、管理サーバ50のうち、このステップS208を実行する部分が、リスト作成部204を構成しているのである。
続いて、ステップS211において、図14に示すリスト表示プログラム(後に詳述する)が実行されることにより、必要に応じ、前記利用状況管理リストが管理サーバ50の表示部166の画面上に表示され、これにより、管理サーバ50のオペレータに対して前記利用状況管理リストが可視化される。
その後、ステップS212において、図17に示す利用終了催促プログラム(後に詳述する)が実行される。以上で、このメイン・プログラムのうち、今回のレンタル・スペース20の利用開始を行う部分の実行が終了する。
これに対し、ユーザから出された今回のリクエストが利用終了リクエストである場合には、図12のステップS203の判定がNOとなり、図13に示すステップS213に移行する。このステップS213においては、時計172を用いて現在時刻が計測され、その現在時刻と同じ時刻としてユーザの利用終了時刻(今回のレンタル・スペース20の用途が駐車である場合には、駐車終了時刻を意味する)がメモリ162に記録される。
このステップS213は、ステップS201において管理サーバ50がユーザの携帯端末90からレンタル・スペースIDを受信した時刻(これは、ユーザの利用終了過程において、携帯端末90が発信機30から2回目の識別信号を有効に受信した時刻にほぼ一致する時刻である)の後、速やかに(1分とか、必要以上に長い時間が経過しないうちに)実行される。よって、利用終了時刻が、ユーザの利用終了過程において、携帯端末90が発信機30から2回目の識別信号を有効に受信した時刻にほぼ一致する時刻として認識されることになる。
すなわち、このステップS213においては、管理サーバ50がユーザの携帯端末90からレンタル・スペースIDを受信した時刻、すなわち、ユーザの利用終了過程において、携帯端末90が発信機30から2回目の識別信号を有効に受信した時刻にほぼ一致する時刻に基づき、ユーザの利用終了時刻が認識されるのである。
続いて、ステップS215において、今回のレンタル・スペースID、すなわち、利用終了処理対象のレンタル・スペースIDが、同じユーザの利用開始時のレンタル・スペースIDと一致するか否かが判定される。不一致である場合には、ステップS215の判定がNOとなり、ステップS227において、ユーザから今回受信したデータに何らかの異常があるか、または、ユーザが間違ったレンタル・スペース20に滞在している可能性があるとして、ユーザへのデータの再入力、すなわち、管理サーバ50との通信の再試行が要求される。以上で、このメイン・プログラムの実行が終了する。
これに対し、今回のレンタル・スペースIDが、同じユーザの利用開始時のレンタル・スペースIDと一致する場合には、ステップS215の判定がYESとなり、続いて、ステップS217において、ユーザが今回のレンタル・スペース20から利用終了することが許可される。その前提として、ユーザが、前記測定された利用終了時刻に、前記復元されたレンタル・スペースIDを有するレンタル・スペース20に実際に居ると認識される。その後、ステップS218において、今回のユーザの今回のレンタル・スペース20についての利用開始時刻がメモリ162から読み出される。
続いて、ステップS219において、前記利用開始時刻から前記利用終了時刻までの経過時間の長さが今回のユーザのレンタル時間の長さとして計算される。その後、ステップS221において、前記計算されたレンタル時間の長さに基づき、前記料金テーブルを参照することにより、今回のレンタル料金の額が計算される。その後、ステップS222において、その計算されたレンタル料金につき、今回のユーザに対して決済が行われ、それにより、今回のレンタル料金がユーザから徴収される。
続いて、ステップS223において、利用終了が完了したことを表すメッセージと、今回のレンタル料金についての支払明細とがユーザの携帯端末90に向けて送信される。
その後、ステップS224において、利用終了時刻の今回のデータが反映されるように、前記利用状況管理リストが更新される。続いて、ステップS225において、図14に示すリスト表示プログラム(後に詳述する)が実行されることにより、必要に応じ、最新の利用状況管理リストが管理サーバ50の表示部166の画面上に表示され、これにより、管理サーバ50のオペレータに対して前記利用状況管理リストが可視化される。
その後、ステップS226において、図17に示す利用終了催促プログラム(後に詳述する)が実行される。以上で、このメイン・プログラムのうち、今回のレンタル・スペース20の利用終了を行う部分の実行が終了する。
本実施形態においては、ユーザの携帯端末90がレンタル・スペース20ごとに固有の局地的識別信号を発信機30から受信し、その識別信号をレンタル・スペースIDに変換して、そのレンタル・スペースIDをユーザの携帯端末90が管理サーバ50に送信するが、これは、事実上、レンタル・スペース20ごとに固有の局地的識別信号をユーザの携帯端末90を経由して管理サーバ50が受信することと等価である。
このように、発信機30からの識別信号がユーザの携帯端末90を経由して管理サーバ50に送信されるおかげで、ユーザが、特定されたいずれかの時刻に、かつ、特定されたいずれかのレンタル・スペース20に居ることを管理サーバ50が認識することが可能となる。
ところで、本実施形態においては、ユーザの携帯端末90が同じレンタル・スペースIDを表す識別信号を複数回有効に受信し、ユーザが滞在しているレンタル・スペース20の同一性を確認した後に、ユーザの携帯端末90が1回のみ、その識別信号に対応するレンタル・スペースIDを管理サーバ50に送信する。
これに対し、ユーザの携帯端末50が識別信号を受信するごとに、その識別信号をレンタル・スペースIDに変換して管理サーバ50に送信し、その管理サーバ50が、同じレンタル・スペースIDを複数回受信し、ユーザが滞在しているレンタル・スペース20の同一性(ユーザが、同じレンタル・スペース20に居続けていること)を確認した後に、今回のレンタル・スペース20の利用開始または利用終了を処理する態様で本発明を実施することが可能である。
しかし、この態様では、管理サーバ50が複数人のユーザとの間でレンタル・サービスに関する複数のセッション(各セッションは、一連のインタラクティブな操作)を一括して処理することが通常であることを考慮すると、管理サーバ50の処理負担が増加する傾向がある。
これに対し、本実施形態においては、ユーザの携帯端末90が、ユーザが滞在しているレンタル・スペース20の同一性を確認するというイベントを管理サーバ50にではなくユーザの携帯端末90に行わせるため、管理サーバ50の負担軽減が容易となる。
さらに、本実施形態においては、図7に示すように、管理サーバ50が、ユーザの携帯端末90が発信機30から識別信号を受信したという第1受信イベントに応答して、ユーザの携帯端末90との実質的な通信(1回分のセッション)を開始し、その通信開始後、ユーザの携帯端末90が発信機30から同じレンタル・スペースIDを表す識別信号を再度受信したという第2受信イベントに応答して、ユーザの携帯端末90から、前記識別信号に対応するレンタル・スペースIDを受信する。
本実施形態によれば、ユーザの携帯端末90の処理と管理サーバ50の処理とを互いに並行して行うことが可能となり、よって、それら処理が直列に行われる場合より迅速に、ユーザは、今回のレンタル・スペース20の利用開始処理および利用終了処理を行うことが可能となる。
ここで、図14を参照して前記リスト表示プログラムを詳細に説明する。
このリスト表示プログラムは繰返し実行され、各回の実行時においては、まず、ステップS301において、管理サーバ50のオペレータからリスト表示リクエストが出されるのが待たれる。
そのリスト表示リクエストが出されると、ステップS301の判定がYESとなり、ステップS302において、前記利用状況管理リストがメモリ162から読み出される。続いて、ステップS303において、その読み出された利用状況管理リストが管理サーバ50の表示部172の画面上に表示される。以上で、このリスト表示プログラムの今回の実行が終了する。
ここで、図17を参照して前記利用終了催促プログラムを詳細に説明する。
この利用終了催促プログラムは繰返し実行され、各回の実行時においては、まず、ステップS401において、前記利用状況管理リストに、利用開始というイベント単位で記録されている複数のデータブロックから、今回注目すべきデータブロックが選択される。
続いて、ステップS402において、その選択されたデータブロックにおいて、利用終了時刻の欄を参照することにより、そのデータブロックに対応する今回のユーザが車両を利用終了した時刻が記録されていないか否か、すなわち、今回のレンタル・サービスにつき、今回のユーザが未終了のままであるか否かが判定される。
今回のユーザが未終了のままである場合には、ステップS402の判定がYESとなり、ステップS403において、管理サーバ50から今回のユーザの携帯端末90に、利用終了を催促するためのメッセージが送信される。その後、ステップS401に戻り、別のデータブロックが実行対象として選択される。
これに対し、今回のユーザが既に今回のレンタル・サービスの利用を終了していた場合には、ステップS402の判定がNOとなり、ステップS403がスキップされてステップS401に戻る。
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、管理サーバ50のうち、ステップS201−S204,S207,S208およびS210を実行する部分が、利用開始処理部200を構成し、ステップS201−S203,S213,S215,S217−S223およびS227を実行する部分が、利用終了処理部202を構成し、また、ステップS208およびS224を実行する部分が、リスト作成部204を構成し、また、ステップS211およびS225を実行する部分が、リスト表示部206を構成し、また、ステップS212およびS226を実行する部分が、利用終了催促部208を構成しているのである。
さらに、本実施形態においては、管理サーバ50のうち、ステップS201を実行する部分が、前記リアルタイム受信部および前記リアルタイム受信工程のそれぞれの一例を構成し、また、ステップS203,S204,S208およびS213を実行する部分が、前記情報認識部および前記情報認識工程のそれぞれの一例を構成しているのである。
図11に示すように、管理サーバ50のコンピュータ164は、発信機診断部230を有する。管理サーバ50は、発信機診断部230を構成するために、発信機診断プログラムを実行する。
図18には、その発信機診断プログラムがフローチャートで概念的に表されている。
このプログラムは、管理サーバ50において、その管理サーバ50が管理している各レンタル・スペース20ごとに繰返し実行される。このプログラムの各回の実行時には、まず、ステップS701において、今回の実行対象であるレンタル・スペース20に対応する発信機30の電流残量推定値がメモリ162から読み込まれる。
次に、ステップS702において、その電池残量推定値が基準値より大きいか否か、すなわち、今回の発信機30の電流残量が不足していないために動作が保証されるか否かが判定される。
今回は、電池残量推定値が前記基準値より大きいと仮定すれば、ステップS702の判定がYESとなり、ステップS703において、今回の発信機30が動作保証発信機であると診断される。
これに対し、今回は、電池残量推定値が前記基準値以下であると仮定すれば、ステップS702の判定がNOとなり、ステップS704において、今回の発信機30が動作不保証発信機であると診断される。
その後、ステップS705において、今回の発信機30が動作不保証発信機である旨のメッセージが、発信機30全体または電池106を別のものに交換する作業の担当者の携帯端末(図示しない)に送信され、それにより、その担当者に、該当するレンタル・スペース20を訪問し、その場において、発信機30全体または電池106を別のものに交換する作業が催告される。
図11に示すように、管理サーバ50のコンピュータ164は、さらに、利用条件設定部220と、利用条件配信部222とを有する。
利用条件設定部220は、いずれかのレンタル・スペース20のオーナのリクエストを、そのオーナの携帯端末92を介して受信することにより、対応するレンタル・スペース20をユーザが利用するための利用条件を設定する。利用条件配信部222は、その設定された利用条件を、対応するレンタル・スペース20の潜在的な複数人のユーザの携帯端末90に配信する。
したがって、オーナは、自身のレンタル・スペース20の利用条件をオンラインで簡単にかつタイムリーに設定したり、追加したり、変更したり、削除することができ、便利である。
図19には、それら利用条件設定部220と利用条件配信部222とが作動することにより、オーナの携帯端末92と管理サーバ50と複数人のユーザの携帯端末90との間において行われるインタラクティブな無線通信の内容が時系列的に表されている。
この図には、利用条件設定および利用条件配信のための第1セッションと、各レンタル・スペース20の利用について各ユーザからの予約を受け付けるための第2セッションとが示されている。
第1セッションにおいては、オーナは携帯端末92を介して管理サーバ50に各種情報を送信する。その各種情報としては、例えば、オーナID、自身のレンタル・スペース20についてレンタル・サービスを開始したい旨のサービス開始リクエスト、自身のレンタル・スペースID、自身のレンタル・スペース20をレンタルする場合のその用途(例えば、駐車)、自身のレンタル・スペース20をレンタルする場合の利用時間帯(例えば、午前10時から午後4時までとい時間帯)、ユーザからの予約を受け付けるか否かに関する情報などがあるが、それらに限定されず、また、各データの管理サーバ50への送信順序も、図示されているものに限定されない。
なお、本実施形態においては、いずれかのレンタル・スペース20の利用のためのサービスとして、ユーザが予約なしでいずれかのレンタル・スペース20にいきなり赴いてそこで利用開始をリクエストする現場申込み方式と、ユーザが予約していずれかのレンタル・スペース20に赴いてその利用を開始する予約方式とがある。各レンタル・スペース20の利用についてのユーザの予約の可否は、そのレンタル・スペース20のオーナが事前に決定することができ、ユーザは、オーナの事前の決定事項に拘束される。
これに対し、管理サーバ50は、オーナから上述の必要事項を受信すると、その受信した必要事項から、レンタル・スペース20の利用条件、すなわち、用途と、利用時間帯と、予約の可否とをオーナの携帯端末92に内容確認のために返信し、オーナに対して承認を要求する。これに対し、オーナが確認の意思を管理サーバ50に返信すると、今度は、管理サーバ50が、今回のオーナから提示された利用条件を公表するために、その利用条件の内容を今回のレンタル・サービスのための会員全員の携帯端末90に対して配信する。
以上で、一人のオーナについての利用条件の設定のためのセッションが終了する。
その公表された利用条件に対し、同意するユーザは、希望するレンタル・スペース20の場所に赴くことなく、任意の場所で、携帯端末90を介して管理サーバ50にアクセスし、そのレンタル・スペース20の利用について予約の申込みを行う。今度は、管理サーバ50が、その予約の受付けの承認をオーナに要求するためにオーナの携帯端末92にアクセスする。
オーナが、今回予約の受付けを承認すると、その旨のメッセージを管理サーバ50に返信し、管理サーバ50は、その予約が受け付けられた事実を、その予約を希望しているユーザの携帯端末90に返信する。
これにより、一人のユーザから予約の受け付けるためのセッションが終了する。
図20には、個人資産を活用するためのレンタル・サービスにつき、前述の予約方式と現場申込み方式との比較結果が示されている。
まず、オーナの立場からすると、予約方式については、オーナがレンタル・スペース20の利用時間帯をひとたび設定すると、その設定内容が公表され、その設定内容が維持されることを潜在的なユーザが期待する。その期待を裏切らないようにするため、オーナは、設定した利用時間帯が変更することは許されない。
よって、予約方式については、オーナにとっては、レンタル・スペース20の利用条件を変更できる自由度が低く、オーナは、自ら設定した利用条件に拘束される。
これに対し、現場申込み方式については、いずれかのユーザがレンタル・スペース20の利用を開始するまでは、オーナが利用時間帯を変更することが許可される。ただし、利用が開始されると、その時点で設定されていた利用時間帯が少なくとも今回のレンタル中は有効であることをユーザが期待するため、そのユーザの利用が終了するまでは、オーナは利用時間帯を変更できない。
よって、現場申込み方式については、オーナにとっては、レンタル・スペース20の利用条件を変更できる自由度が予約方式の場合より高い。
次に、ユーザの立場からすると、予約方式については、同じレンタル・スペース20について先約が存在する可能性は存在しない。先約があると、管理サーバ50は、その先約を重複する予約の受付けを拒否するからである。
これに対し、現場申込み方式については、先約が存在する可能性が存在する。ユーザが、先約の有無を確認することなく、希望するレンタル・スペース20に赴くからである。
よって、予約方式については、ユーザが現場に行ってもレンタル・サービスを受けられないというリスクが存在しないのに対し、現場申込み方式については、そのリスクが存在する。
また、予約方式については、上述のように、オーナが自ら設定した利用条件に拘束されるため、ユーザに対し、現場申込み方式より高額なレンタル料金が課される可能性がある。
図21には、前述の利用条件設定プログラムが示されている。この利用条件設定プログラムも管理サーバ50において繰返し実行され、各回の実行時には、まず、ステップS801において、オーナの携帯端末92からオーナIDを受信する。
次に、ステップS802において、オーナの携帯端末92からサービス開始リクエスト、すなわち、オーナの所有するレンタル・スペース20を任意のユーザにレンタルするサービスを開始することを希望する旨のリクエストを受信したか否かが判定される。
今回は、そのサービス開始リクエストを受信したと仮定すると、ステップS802の判定がYESとなり、ステップS803において、オーナの携帯端末92から、レンタル・サービスの対象であるレンタル・スペース20のレンタル・スペースIDを受信する。続いて、ステップS804において、オーナの携帯端末92から、そのレンタル・スペース20の用途を受信する。
その後、ステップS805において、オーナの携帯端末92から、そのレンタル・スペース20の利用時間帯を受信する。続いて、ステップS806において、オーナの携帯端末92から、そのレンタル・スペース20についてのレンタルの予約を受け付けるか否か、すなわち、前述の予約方式と現場申込み方式とのうちオーナが採用するものを受信する。
その後、ステップS807において、オーナから受信したすべての利用条件の内容をオーナの携帯端末92に提示し、それにより、その内容の承認をオーナに要求する。続いて、ステップS808において、オーナから承認があったか否かが判定される。承認がなければ、ステップS808の判定がNOとなり、ステップS803に戻り、新たな利用条件がオーナの携帯端末92から受信される。
これに対し、オーナの承認があった場合には、ステップS808の判定がYESとなり、ステップS809において、今回のレンタル・スペース20についてのレンタル・サービスが開始される。続いて、ステップS810において、今回のレンタル・スペース20についてレンタル・サービスが、前述のようにして設定された利用条件のもとに、開始されることが、潜在的な複数人のユーザ、すなわち、会員全員の携帯端末90に対して配信される。
以上、今回のオーナからサービス開始リクエストを受信した場合を説明したが、受信しなかった場合には、ステップS802の判定がNOとなり、ステップS811において、今回のオーナからサービス終了リクエスト、すなわち、オーナの所有するレンタル・スペース20について開始されたレンタル・サービスを少なくとも一時的に終了すること(同じオーナがひとたび設定した利用条件を変更することを含む)を希望する旨のリクエストを受信したか否かが判定される。
今回は、そのサービス終了リクエストも受信しなかったと仮定すると、ステップS811の判定がNOとなり、ステップS811において、オーナに対して再入力が要求される。
これに対し、今回は、そのサービス終了リクエストも受信したと仮定すると、ステップS811の判定がYESとなり、ステップS814において、今回のレンタル・スペース20についてのレンタル・サービスが終了するか利用条件が変更される。その後、ステップS810に移行する。
[第2の実施形態]
次に、図22を参照することにより、本発明の例示的な第2の実施形態に従うレンタル・スペース管理システム10を説明する。ただし、本実施形態は、前述の第1の実施形態と共通する要素が多いため、異なる要素についてのみ詳細に説明し、共通する要素については、同じ名称または同じ符号を使用して引用することにより、重複した説明を省略する。
前述のように、第1の実施形態においては、発信機30と、ユーザの携帯端末90と、管理サーバ50との間の信号のやりとりに際し、図7に時系列的に示すように、ユーザの携帯端末90の処理と管理サーバ50の処理とを部分的に互いに並行して行われる。
これに対し、本実施形態においては、図22に時系列的に示すように、ユーザの携帯端末90の処理と管理サーバ50の処理とが直列的に行われる。
具体的には、管理サーバ50が、ユーザの携帯端末90が発信機30から識別信号を受信したという第1受信イベントが発生してから、携帯端末90が発信機30から同じレンタル・スペースIDを表す識別信号を再度受信したという第2受信イベントが発生するまでの間は、携帯端末90と実質的な通信を行わず、その第2受信イベントの発生後にはじめて、その第2受信イベントに応答して、携帯端末90との実質的な通信(1回分のセッション)を開始し、その後、携帯端末90から、前記識別信号に対応するレンタル・スペースIDを受信する。
この実施形態によれば、管理サーバ50は、1回のセッションが開始された後、ユーザの携帯端末90の作動状態によって時期的に影響されるイベントの出現を待つことなく、必要な処理を実施できる。よって、管理サーバ50は、携帯端末90の都合で、処理を中断される心配がなくなり、高い効率で処理を完了することが容易となる。
[いくつかの実施形態によるいくつかの効果]
以上、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、それら実施形態によれば、例えば次のようないくつかの効果が得られる。
1.レンタル・スペース20に設置されるレンタル・サービス用設備の低コスト化が容易となる。
既に種々のデバイス・メーカから、外部に送出または発信したい情報を指定すると、その情報を識別信号に変換、変調または暗号化し、その識別信号を局地的に発信する非接触式または接触式の発信機が市販されている。
この市販品を用いて本実施形態のうちの発信機30を実現することが可能である。すなわち、発信機30を実現するために、専用の発信機を設計して製造することは不可欠ではないのである。
よって、本実施形態によれば、各レンタル・スペース20に設置することが必要なレンタル・サービス用設備の低コスト化が容易となる。
2.ユーザが実際に、いずれのレンタル・スペース20に居るのかを認識する精度が向上する。
本実施形態によれば、レンタル・スペース20ごとに固有の局地的識別信号であって発信機30から発信されたものをユーザの携帯端末90を経由して管理サーバ50が、事実上、受信することによってレンタル・サービスが行われる。
ここに、発信機30から発信する識別信号は、一種の暗号化信号であるから、ユーザがみだりに改変することは不可能である。また、管理サーバ50は、ユーザが現在居るレンタル・スペース20の場所を、発信機30からの識別信号を用いて特定する。
さらに、ユーザの携帯端末90が発信機30から受信した識別信号が、携帯端末90が管理サーバ50に送信するレンタル・スペースIDに変換される過程において、ユーザの意図的な介入、すなわち、ユーザによるデータ入力やデータ編集が存在しない。よって、ユーザは、レンタル・スペースIDを改ざんすることが不可能となる。その結果、利用されるレンタル・スペースからから管理サーバ50に送信される情報のセキュリティが向上する。
よって、本実施形態によれば、ユーザが実際、いずれのレンタル・スペース20に居るのかを認識する精度が向上する。
3.ユーザが実際に、いずれの時刻に、あるレンタル・スペース20において利用開始または利用終了を行うのかを認識する精度が向上する。
本実施形態によれば、レンタル・スペースごとに固有の局地的識別信号が発信機30からユーザの携帯端末90を経由して管理サーバ50に、レンタル・スペースIDという形態で実質的にリアルタイムで送信される。管理サーバ50は、例えば、そのレンタル・スペースIDを受信した時刻を参照して、ユーザによる利用開始時刻や、ユーザによる利用終了時刻を認識する。よって、ユーザは、それら時刻を改ざんすることは不可能である。
したがって、本実施形態によれば、ユーザが、実際に、いずれの時刻に、あるレンタル・スペース20において利用開始または利用終了を行うのかを認識する精度が向上する。よって、このことによっても、利用されるレンタル・スペース20から管理サーバ50に送信される情報のセキュリティが向上する。
4.ユーザが、本当にレンタルという目的で、あるレンタル・スペース20に居たのか、偶然にあるレンタル・スペース20の近傍に居たに過ぎないのかという観点でユーザ行動を分別的に監視することが可能となる。
本実施形態によれば、ユーザの携帯端末90が同じレンタル・スペースIDを表す識別信号を複数回、互いに異なる時刻に有効に受信するというイベント、すなわち、同じレンタル・スペースIDを表す識別信号をある時間的スパンにわたって実質的に継続的に受信するのを待って、管理サーバ50が、レンタルのための処理を行う。
すなわち、本実施形態によれば、ある識別信号の瞬間的受信すなわちあるレンタル・スペース20へのユーザの瞬間的滞在を必要条件とするのではなく、同じレンタル・スペースIDを表す識別信号の継続的受信すなわち同じレンタル・スペース20へのユーザの継続的滞在を十分条件として、管理サーバ50が、ユーザが現在、本当に滞在しているレンタル・スペース20の位置すなわちレンタル・スペースIDを推定ないしは特定するのである。
その結果、本実施形態によれば、ユーザの携帯端末90の位置すなわちユーザの位置を瞬間的にではなく継続的に観察し、それにより、ユーザが本当に今回のレンタル・スペース20の利用開始または利用終了という目的であるレンタル・スペース20に居たのか、それとも、偶然にあるレンタル・スペース20の近傍に居たに過ぎないのかという観点で、ユーザの行動を区別して観察することが可能となる。
さらに、本実施形態によれば、ユーザが偶然にあるレンタル・スペース20の近傍に居たに過ぎない可能性が判明した場合に、管理サーバ50が、レンタルのための処理を開始しないか、開始しても中止し、最終的に、無駄な処理が行われないようにすることが可能である。
したがって、本実施形態によれば、ユーザの携帯端末90が識別信号を最初に有効に受信したという1回のイベントのみに応答して、管理サーバ50が、レンタルのための処理を行う場合より精度よく、無断なレンタルのための処理を回避することが可能となる。
例えば、ユーザの携帯端末90において、レンタル・サービスのためのアプリケーションが誤って起動してしまい、そのときに偶然にユーザがいずれかのレンタル・スペース20の近傍に居たために、そこに設置されている発信機30からの識別信号を受信してしまったとしても、次の瞬間にユーザがそのレンタル・スペース20から遠ざかっている限り、ユーザは、知らないうちに、管理サーバ50に対して誤ったレンタルの申込みをせずに済む。よって、誤ったレンタル料金が管理サーバ50によってユーザに請求されずに済む。
5.オーナは、発信機30を自身のレンタル・スペース20に設置するだけで簡単に、自身の有閑資産を利用したレンタル・サービスを開始でき、また、その発信機30をレンタル・スペース20から撤去するだけで簡単に、ひとたび開始されたレンタル・サービスを終了できる。
本実施形態によれば、オーナが、発信機30を自身のレンタル・スペース20に設置するだけで、スイッチ32がオンとなり、発信機30は識別信号の発信を開始する。よって、オーナは、簡単に、自身の有閑資産を利用したレンタル・サービスを開始できる。
オーナが、発信機30を自身のレンタル・スペース20から撤去するだけで、スイッチ32がオフとなり、発信機30は識別信号の発信を終了する。よって、オーナは、簡単に、ひとたび開始されたレンタル・サービスを終了できる。
6.発信機30の状態監視を、専用の設備をレンタル・スペース20に設置することなく、ユーザの携帯端末90を利用して行うことが可能となる。
前述のように、本実施形態においては、ユーザが、発信機30の診断に利用されることを知らずに、管理サーバ50に送信したデータ、すなわち、電池残量推定値を参照することにより、発信機30の動作が保証されるか否かが診断され、その結果がユーザ以外の者、すなわち、発信機30のメインテナンスなどを行う担当者の携帯端末に自動的に送信される。
要するに、ユーザは無意識のうちに発信機30のメンテナンス作業に関与することになるのである。
その結果、本実施形態によれば、各発信機30の動作状態を監視するために、専用の設備を各レンタル・スペース20に設置することが不要となる。よって、このことによっても、オーナがレンタル・サービスを開始するために自身のレンタル・スペース20に設置することが必要な設備の低コスト化が可能となる。
さらに、本実施形態によれば、担当者を、各発信機30の動作状態を監視するために、実際に電池106の交換が必要であるか否かを問わず、各発信機30が設置されている現場に派遣することが不要となり、担当者を、電池106の交換が必要であるときに限って該当する現場に派遣すればよくなるため、発信機30のメンテナンス費用(例えば、人件費)が削減される。
さらに、本実施形態によれば、担当者を、現場において電池106の交換が必要であるか否かを判断し、その必要があればその場で電池106を交換するという目的を達成するために、現場に派遣するメンテナンス体制を採用する場合より高い頻度で各発信機30の動作状態を監視することが可能となる。
なお付言するに、上述のいくつかの実施形態は、本発明を、不動産の一例である土地をレンタル対象とするレンタル・サービスに適用した場合のいくつかの具体例であるが、これに代えて、本発明は、例えば、不動産の別の例である部屋をレンタル対象とするレンタル・サービスに適用したり、動産(例えば、レンタル自動車、レンタル自転車など)をレンタル対象とするレンタル・サービスに適用することが可能である。
以上、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の概要]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。