以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、図1を参照して、一実施形態に係る電子機器を含む車両監視システムについて説明する。この電子機器は、車両1から着脱可能な車両監視装置10として実現され得る。この電子機器は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレットコンピュータ、PDAといった携帯端末、パーソナルコンピュータ、または各種電子機器に内蔵される組み込みシステムとして実現されてもよい。また、車両1は、例えば、自動車、電気自動車、自動二輪車、等である。
車両監視システムは、例えば、車両1に取り付けられた車両監視装置10、保険会社や警備会社等によって管理される監視サーバ2、車両1の所有者や運転者(以下、ユーザとも称する)が使用する携帯端末3、道路上に設置されている路側装置6、等によって構成される。
車両監視装置10は、車両1を監視するためのテレマティクス装置である。車両監視装置10は、車両1の走行(移動)に関する走行データを収集する。車両監視装置10は、例えば、車両1の位置、傾き(姿勢)、速度、衝撃等のデータを一定時間毎に生成する。
また、車両監視装置10は、高速道路(有料道路)を走行する際に自動的に通行料金が収受される自動料金収受システム(Electronic Toll Collection system:ETC)や、運転支援サービスが受けられる路車協調システム(ETC2.0)のためのETCユニット120を備える。このETCユニット120は、例えば、ETCのための5.8GHz帯の狭帯域通信(Dedicated Short−Range Communication:DSRC)を実行する機能を有する。
路側装置6は、ETC又はETC2.0のサーバ7と連携して、ETCユニット120を含む車両監視装置10が取り付けられた車両1に対して、その位置に応じたサービスを提供する。路側装置6は、高速道路(有料道路)の入口及び出口の料金所、道路交通に関する情報をやり取りするための高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems:ITS)スポット、等に設置される。路側装置6も、DSRCによる無線通信を実行する機能を有している。
ETCユニット120と路側装置6とは、走行している車両1が路側装置6に近付いたことに応じて、双方向で通信する。例えば、路側装置6が高速道路の料金所である場合には、ETCユニット120と路側装置6との間で、車両、ETC用ICカード、入口の料金所(ゲート名及び道路名)、出口の料金所(ゲート名及び道路名)、通行料金、等に関する情報が送受信される。路側装置6は、通行料金を算出し、その算出された通行料金とETC用ICカードに記録されたクレジットカード番号とをETCサーバ7に送信する。ETCサーバ7は、路側装置6から受信した情報に基づいて、利用明細のデータを作成し、クレジットカード会社のサーバに送信する。これにより、クレジットカード会社から、高速道路を通行した利用者に料金が請求される。また、例えば、路側装置6がITSスポットである場合には、ETCユニット120と路側装置6との間で、渋滞や事故の発生に関する情報が送受信される。
車両監視装置10は、ETCユニット120が路側装置6と通信した場合に、その路側装置6が設置されている位置に関するデータ(例えば、料金所である路側装置6のゲート名と道路名)を、ETCユニット120を介して受信することができる。車両監視装置10は、車両1の位置、傾き(姿勢)、速度、衝撃等のデータと、受信された路側装置6が設置されている位置に関するデータとを含む走行データを監視サーバ2に送信するクライアント装置として動作する。車両監視装置10は、例えば、3G/LTE通信網4を用いて、又は路側装置6を介してETC通信網5を用いて、走行データを監視サーバ2に送信する。この走行データは、例えば、車両1やその運転者の走行の傾向を認識し、認識された走行の傾向に基づいて、車両1(運転者)の運転の安全さや危険度を診断するために用いられる。
監視サーバ2はサーバコンピュータである。監視サーバ2は、ある車両1に取り付けられた車両監視装置10によって送信された走行データを用いて、その車両1(又はその車両1の運転者)による走行の傾向を認識することができる。さらに、監視サーバ2は、多数の車両にそれぞれ取り付けられた車両監視装置10によって送信された大量の走行データを用いて、道路上の位置や時間帯に基づく車両の交通量や速度、事故の発生頻度や規模、等の、多数の車両による走行の傾向を認識することができる。監視サーバ2は、例えば、ある車両1(又はその車両1の運転者)による走行の傾向と、その車両1が走行した道路上のある位置での多数の車両の走行の傾向とに基づいて、その車両1の運転の安全さや危険度を診断することができる。そして、監視サーバ2が保険会社によって管理されているサーバである場合には、このような診断結果に基づいて、車両1(又はその車両1の運転者)に適用される保険料を決定することや、車両1(運転者)に適した保険商品を決定することもできる。
また、車両監視装置10は、車両1で発生した異常を検知することもできる。車両監視装置10は、異常を検知した場合、3G/LTE通信網4又はETC通信網5を介して監視サーバ2や携帯端末3にその異常を通知する。この携帯端末3は、携帯電話機、スマートフォン、タブレットコンピュータ、PDA、等の無線通信機能を有する電子機器である。さらに、車両監視装置10は、駐車されていた車両1が移動されていることを検知した場合、車両1の位置を追跡し、3G/LTE通信網4又はETC通信網5を介してその位置を監視サーバ2や携帯端末3に随時通知する。
監視サーバ2の管理者は、通知に応じて、所有者に対する状況の確認、車両1の現在位置への駆けつけ、関係機関への通報等を行う。また、車両1の所有者は、携帯端末3への通知に応じて、車両1の状況の確認や警備会社への連絡等を行う。これにより、車両1の異常に迅速に対処することができる。
また、車両1の位置を追跡している間に、車両1が料金所のようなゲートを備える路側装置6を通過しようとする場合には、車両監視装置10は、ETCユニット120を介して、車両1が盗難されている可能性があることを示すデータを路側装置6に送信する。路側装置6は、このデータを受信したことに応じて、例えば、ゲートのバーが上がらないように制御する。これにより、盗難された車両1の発見を容易にすることができる。
車両1の所有者は、携帯端末3を用いて、車両監視装置10を遠隔から操作することもできる。携帯端末3では、例えば、車両監視装置10の遠隔操作のためのアプリケーションプログラムが実行され、車両監視装置10のオン/オフや各種の設定のための画面が表示される。所有者は、表示された画面上のボタン等を操作することにより、3G/LTE通信網4を介して車両監視装置10を操作する。
図2を参照して、車両監視装置10のシステム構成を説明する。車両監視装置10は、SOC(System On a Chip)101、RAM102、フラッシュメモリ103、RTC(Real Time Clock)104、マイコン(マイクロコンピュータ)105、電源切替回路106、電源回路107、内蔵バッテリ(予備バッテリ)108、加速度センサ109、ジャイロセンサ110、GPSモジュール111、リモートコントローラ(RC)モジュール113、3G/LTEモジュール115、SIM(Subscriber Identity Module)117、リセットボタン118、ETCユニット120、等を備える。また、SOC101には、LEDユニット21、スピーカ(ホーン)ユニット22、GPSユニット23、イグニッション24、メインバッテリ25、等が接続されている。
SOC101は、車両監視装置10内のコンポーネントの動作や、車両監視装置10に接続されたコンポーネントの動作を制御するCPU101Aを備える。SOC101は、例えば、フラッシュメモリ103からRAM102にロードされる各種ソフトウェアを実行する。これらソフトウェアには、車両1を監視するための車両監視プログラムが含まれている。この車両監視プログラムは、車両1の走行データを取得する機能、車両1の異常を検出する機能、異常を通報する機能、警告を発する機能、等を有する。なお、フラッシュメモリ103とRAM102とはSOC101内に設けられてもよい。
RTC104は、計時のためのクロック信号の生成と日時情報を保持する。SOC101は、例えば、起動時にRTC104から日時を取得する。RTC104は、メインバッテリ25や内蔵バッテリ108から電力が供給されない場合には、内蔵される電池(図示せず)から供給される電力で動作してもよい。
電源切替回路106は、車両1内の各部と車両監視装置10内の各部とに電力を供給するメインバッテリ25に接続されている。電源切替回路106は、メインバッテリ25から電力が供給されない場合に車両監視装置10に電力を供給する内蔵バッテリ108にも接続されている。電源切替回路106は、車両監視装置10内の各部に、車両1のメインバッテリ25と車両監視装置10内の内蔵バッテリ108のいずれか一方から電力が供給されるように制御する。電源切替回路106は、例えば、車両監視装置10内の各部にメインバッテリ25から電力が供給されるように制御し、メインバッテリ25から電力が供給されなくなったこと(例えば、メインバッテリ25の破壊、断線、取り外し、等による使用不能)に応じて、車両監視装置10内の各部に内蔵バッテリ108から電力が供給されるように制御する。
電源回路107は、メインバッテリ25又は内蔵バッテリ108から車両監視装置10に供給される電力の電圧及び電流を制御する。SOC101は、マイコン105を介して電源回路107と通信し、メインバッテリ25又は内蔵バッテリ108から供給される電力の電圧及び電流の値を取得することができる。また、SOC101は、メインバッテリ25が使用可能であるか否かを示す情報(メインバッテリ25からの電力供給の有無を示す情報)を、マイコン105を介して電源回路107から取得することができる。
RCモジュール113は、アンテナ114を介して、リモートコントローラ26によって出力された信号を受信する。ユーザは、複数のボタンが設けられたリモートコントローラ26を用いて、車両監視装置10のオン/オフ操作やモード切替操作等を行う。RCモジュール113は、リモートコントローラ26からユーザ操作に対応する信号を受信し、その信号に基づく情報(リモコン情報)をSOC101に出力する。
GPSモジュール111は、一定時間毎(例えば、1秒毎)に、複数のGPS衛星の各々から送信されたGPS信号をアンテナ112を介して受信し、それらGPS信号を用いて車両1の現在位置を算出する。GPSモジュール111は、算出された車両1の現在位置(例えば、緯度・経度)をSOC101に出力する。GPSモジュール111は、例えば、車両監視装置10の外部のGPSモジュール23Aが使用できない場合(例えば、GPSモジュール23Aの破壊、断線、取り外し、等により使用できない場合)に用いられる。
加速度センサ109は、一定時間毎(例えば、0.1秒毎)に、車両1の傾きと車両1に対する衝撃(振動)とを計測する。加速度センサ109は、計測された車両1の傾きを示す値と車両1に対する衝撃を示す値とを、SOC101とマイコン105とに出力する。なお、車両1の傾きは、加速度センサ109とジャイロセンサ110とを用いて計測されてもよい。
3G/LTEモジュール115は、SIM117に記録された情報を用いて、アンテナ116を介して、3G又はLTEのような移動体通信網(以下、3G/LTE通信網とも称する)4による無線通信を実行する。3G/LTEモジュール115は、3G/LTE通信網4を介して、SOC101から受け取った情報を監視サーバ2やユーザの携帯端末3に送信する。また、3G/LTEモジュール115は、3G/LTE通信網4を介して、監視サーバ2やユーザの携帯端末3から送信された情報を受信し、SOC101に出力する。
リセットボタン118は、車両監視装置10の保守のための操作ボタンである。SOC101は、例えば、リセットボタン118の操作に応じて、車両監視装置10をリセット(再起動)する。なお、このリセットボタン118は、車両監視装置10のリセットに限らず、車両監視装置10の保守のための他の操作(例えば、設定変更、ソフトウェアのアップデート、等)に用いられてもよい。
ETCユニット120は、SOC101と連携して、自動料金収受システム(ETC)や路車協調システム(ETC2.0)の車載器として動作する。ETCユニット120は、例えば、カードインタフェース部121、DSRCモジュール123及びそのアンテナ123A、等を備える。カードインタフェース部121は、クレジットカード番号、課金情報、等が保存されるETC用ICカードが接続(挿入)されるカードスロットを備える。SOC101は、カードインタフェース部121を介して、ETC用ICカードに対するデータの読み出しと書き込みとを行う。
SOC101は、車両1が、道路上に設置されているETC(又はETC2.0)のための路側装置6と通信可能な範囲内を移動する場合に、その路側装置6との間で、DSRCモジュール123及びそのアンテナ123Aを介して、無線通信を実行する。路側装置6は、例えば、ETCの料金所のゲートやETC2.0のスポット(ITSスポット)である。
より具体的には、SOC101(CPU101A)は、フラッシュメモリ103等から車両1の情報を読み出し、またカードインタフェース部121を介してETC用ICカードからクレジットカード番号や課金に関する情報を読み出す。DSRCモジュール123及びアンテナ123Aは、これら読み出された情報を、無線通信可能な範囲内にある路側装置6に送信する。
DSRCモジュール123及びアンテナ123Aは、この路側装置6から、当該路側装置6が設置されている位置に関するデータ(例えば、ゲート名及び道路名)を受信する。また、DSRCモジュール123及びアンテナ123Aは、路側装置6が高速道路の出口の料金所である場合には、既に通過した高速道路の入口からその出口の料金所までの通行料金を示すデータも受信する。さらに、路側装置6がITSスポットである場合には、DSRCモジュール123及びアンテナ123Aは、渋滞や事故の発生のような道路交通に関するデータを受信することもできる。DSRCモジュール123は、路側装置6から受信されたデータをSOC101に出力する。なお、DSRCモジュール123及びアンテナ123Aは、カードインタフェース部121にETC用ICカードが接続されていない場合にも、路側装置6から、設置されている位置に関するデータや、渋滞や事故の発生のような道路交通に関するデータを受信できるように構成され得る。
また、LEDユニット21は、少なくとも一つのLED21A,21B,21Cを備える。SOC101は、これらLED21A,21B,21Cが、車両1の盗難抑止のための警告表示(車両監視装置10のモードに対応する表示)、車両監視装置10に対するユーザ操作に応答する表示、等の用途に応じて、所定のパターン(頻度、光量、等)で発光するように制御する。LEDユニット21に複数のLED21A,21B,21Cが設けられる場合には、用途に応じて、いずれかのLED21A,21B,21Cを点灯(点滅)させてもよいし、いくつかのLED21A,21B,21Cを組み合わせて点灯(点滅)させてもよい。
スピーカユニット22は、少なくとも一つのスピーカ22Aを備える。SOC101は、スピーカ22Aで、車両1の盗難抑止のための警告音(トーン)や警告の音声(すなわち、車両監視装置10のモードに対応する音(トーン)や音声)、車両監視装置10に対するユーザ操作に応答する音(トーン)や音声、等が、所定のパターン(期間、音量、等)で出力されるように制御する。
GPSユニット23は、GPSモジュール23Aとアンテナ23Bとを備える。GPSモジュール23Aは、一定時間毎(例えば、1秒毎)に、複数のGPS衛星の各々から送信されたGPS信号をアンテナ23Bを介して受信し、それらGPS信号を用いて車両1の現在位置を算出する。GPSモジュール23Aは、算出された車両1の現在位置をSOC101とマイコン105とに出力する。
なお、LEDユニット21とスピーカユニット22とGPSユニット23とは、1つのユニットに統合されていてもよい。
イグニッション24は、車両1のキーやスタートボタンを用いた操作に応じて、車両1への通電の開始/停止、エンジンの始動/停止、等を行うために設けられる車両1のコンポーネントである。イグニッション24は、例えば、キーホールに差し込まれたキーの位置(例えば、ロック、オフ、オン、スタート、等)、又は車両1のスタートボタンを用いた操作に応じて、車両1への通電の開始/停止、エンジンの始動/停止、等が行われるように動作する。
また、イグニッション24には、車両1の電子キー24Aと無線(例えば、赤外線)で通信する機能を有するものもある。この通信機能により、イグニッション24は電子キー24Aと車両1との間の距離を検出する。イグニッション24は、例えば、電子キー24Aが車両1から通信可能な距離内にあるか否かを検出することができる。
SOC101は、イグニッション24から、例えば、イグニッション24のオン/オフ、キーホールに差し込まれたキーの位置(キーポジション)、電子キー24Aが車両1から通信可能な距離内にあるか否か、等を取得する。
さらに、SOC101は、上述した車両監視プログラムを実行することによって、車両1を監視する。SOC101は、例えば、GPSモジュール23A(又はGPSモジュール111)、加速度センサ109、ジャイロセンサ110、及びETCユニット120(DSRCモジュール123)による出力を用いて、車両1の走行に関する走行データを監視サーバ2に送信することができる。
SOC101は、例えば、車両1の位置と速度とを示す第1データと、路側装置6が設置されている位置に関する第2データとを含む走行データを生成する。第1データに含まれる速度は、例えば、GPSモジュール23A又はGPSモジュール111によって連続的に得られた位置及び時間から算出される。なお、この速度には、車両1に設けられる車速センサによって出力される車速信号(車速パルス)に基づく値が用いられてもよい。また、第1データには、車両1の傾き、衝撃、等を示すデータがさらに含まれていてもよい。
そして、SOC101は、移動体通信網(3G/LTE通信網)4、又は自動料金収受システムの通信網(ETC通信網)5を介して、この走行データを監視サーバ2に送信する。SOC101は、例えば、3G/LTE通信網4が利用可能である場合には、3G/LTEモジュール115を用いて、走行データを監視サーバ2に送信し、3G/LTE通信網4が利用不能であって、ETC通信網5が利用可能である場合には、DSRCモジュール123を用いて、走行データを監視サーバ2に送信する。なお、SOC101は、3G/LTE通信網4が利用可能であるかどうかに関わらず、ETC通信網5が利用可能である場合には、DSRCモジュール123を用いて、走行データを監視サーバ2に送信するようにしてもよい。SOC101は、監視サーバ2や携帯端末3との間の様々なデータの送受信を、上述したような、3G/LTE通信網4(3G/LTEモジュール115)と、ETC通信網5(DSRCモジュール123)のいずれかを選択して行う構成を有する。ETC2.0では、高速道路や有料道路だけでなく一般道路にも路側装置6が設置されるので、3G/LTE通信網4(3G/LTEモジュール115)と、ETC通信網5(DSRCモジュール123)のいずれかを選択して行う構成によって、通信接続のカバー率を向上させることができる。
また、SOC101は、GPSモジュール23A(又はGPSモジュール111)、加速度センサ109、ジャイロセンサ110、及び電源回路107による出力を用いて車両1の異常を検出し、また、RCモジュール113、リセットボタン118及びイグニッション24による出力を用いて、ユーザ操作を検出する。SOC101は、車両監視装置10を、車両1の異常、ユーザ操作、タイムアウト等に応じたモードに設定することにより、車両1が置かれている状況に応じた監視を行う。なお、マイコン105は、SOC101の機能の一部を有し、SOC101がスリープ状態である場合にSOC101の代わりに動作することもできる。
図3は、上述したような車両1の監視を実現するためのSOC101の機能構成の例を示す。SOC101は、例えば、走行データの送信とモード遷移との機能を有する車両監視プログラムを実行する。車両監視プログラムは、モード切替部501、イグニッション情報受信部502、リモコン情報受信部503、位置情報受信部504、傾き情報受信部505、衝撃情報受信部506、バッテリ情報受信部507、配線情報受信部508、ボタン情報受信部509、音声制御部510、発光制御部511、送信制御部512、ETC情報受信部513、道路決定部514、等を備える。
位置情報受信部504は、GPSモジュール23Aによって一定時間毎(例えば、1秒毎)に出力される車両1の現在位置を示す情報を受信する。車両1の現在位置は、例えば、緯度及び経度で示される。なお、位置情報受信部504は、GPSモジュール23Aが使用できない場合には、車両監視装置10内のGPSモジュール111によって一定時間毎(例えば、1秒毎)に出力される車両1の現在位置を示す情報を受信する。
傾き情報受信部505は、加速度センサ109によって一定時間毎(例えば、0.1秒毎)に出力される車両1の傾きを示す情報を受信する。衝撃情報受信部506は、加速度センサ109によって一定時間毎(例えば、0.1秒毎)に出力される車両1に対する衝撃を示す情報を受信する。また、ETC情報受信部513は、車両1が路側装置6と無線通信可能な範囲内に近付いた場合に、その路側装置6が設置されている位置に関するデータ(例えば、ゲート名及び道路名)を受信する。
送信制御部512は、このような位置情報受信部504、傾き情報受信部505、衝撃情報受信部506、及びETC情報受信部513によって受信される情報を用いて、車両1の走行(移動)に関する走行データを監視サーバ2に送信する。送信制御部512は、例えば、車両1の位置及び速度を含む第1データと、路側装置6が設置されている位置に関する第2データとを監視サーバ2に送信する。
図4は走行データの一構成例を示す。走行データは、複数の日時に対応する複数のレコードを含む。各レコードは、例えば、日時フィールド、位置フィールド、傾きフィールド、速度フィールド、ゲート名フィールド、道路名フィールド、等を含む。
ある日時に対応するレコードにおいて、日時フィールドは、データ(位置、傾き、等)が検出(生成)された日時(年月日時分秒)を示す。位置フィールドは、その日時の車両1の位置(すなわち、緯度及び経度)を示す。この位置は、例えば、その日時にGPSモジュール23A又はGPSモジュール111によって得られた位置である。傾きフィールドは、その日時の車両1の傾きを示す。この傾きは、例えば、その日時に加速度センサ109及び/又はジャイロセンサ110によって得られた傾きである。なお、このレコード内に、加速度センサ109による検出値を格納するフィールドと、ジャイロセンサ110による検出値を格納するフィールドとが設けられてもよい。速度フィールドは、その日時の車両1の速度を示す。この速度は、例えば、GPSモジュール23A又はGPSモジュール111によって連続的に得られた位置及び時間から算出される。
ゲート名フィールドは、その日時に通信した路側装置6である料金所のゲートやITSスポットの名称を示す。道路名フィールドは、この路側装置6が設置されている道路の名称を示す。ゲート名フィールドと道路名フィールドとには、路側装置6と通信した日時(すなわち、路側装置6が設置されている地点を通過した日時)にだけ値が設定され、そうでない場合には、値が設定されないようにしてもよい。
送信制御部512は、走行データをレコード毎に逐次、監視サーバ2に送信してもよいし、走行データの複数のレコードをまとめて監視サーバ2に送信してもよい。
また、モード切替部501は、車両監視装置10が設定されているモードに応じて、車両1の異常、ユーザによる操作、タイムアウト等のトリガーを検出し、そのトリガーに応じて車両監視装置10のモードを切り替える。
図5を参照して、車両監視装置10に設定されるモードが遷移する例を説明する。図5に示す遷移には、各種のセンサによる検出結果に応じた遷移T105〜T111,T117,T118と、ユーザ操作に応じた遷移T101〜T104,T113,T114,T116と、ソフトウェア制御による遷移T112とが含まれている。車両監視装置10は、盗難監視オフモード31と盗難監視オンモード32と警告モード33と追跡モード34のいずれかのモードに設定される。
盗難監視オフモード31は、車両1の盗難が監視されないモードであり、例えば、ユーザが車両1を運転している場合に設定される。盗難監視オンモード32は、車両1の盗難が監視されるモードであり、例えば、車両1が駐車され、ユーザが車両1から離れている場合に設定される。警告モード33は、音声出力や発光による警告が発せられるモードであり、例えば、車両1の異常が検出された場合に設定される。また、追跡モード34は、盗難された車両1の位置が追跡されるモードであり、例えば、車両1が移動している場合(すなわち、盗難された場合)に設定される。
まず、盗難監視オフモード31と盗難監視オンモード32との間の遷移について説明する。盗難監視オフモード31に設定された車両監視装置10は、盗難の監視が指示された場合、車両1が駐車された場合、ユーザが車両1から離れた場合、等に、盗難監視オンモード32に遷移する。また、盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、盗難の監視の解除が指示された場合、車両1が駆動された場合、ユーザが車両1に近づいた場合、等に、盗難監視オフモード31に遷移する。
盗難の監視の指示及びその解除は、例えば、リモートコントローラ26を用いたオン/オフ操作によって行われる。したがって、盗難監視オフモード31に設定された車両監視装置10は、リモートコントローラ26を用いたオン操作に応じて、盗難監視オンモード32に設定される(T101)。また、盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、リモートコントローラ26を用いたオフ操作に応じて、盗難監視オフモード31に設定される(T102)。
車両1が駐車されているか、それとも駆動されているかは、例えば、イグニッション24のキーホールに差し込まれたキーの位置(キーポジション)によって判定される。盗難監視オフモード31に設定された車両監視装置10は、キーポジションがオンの位置からオフの位置に移動されたことに応じて、盗難監視オンモード32に設定される(T103)。また、盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、キーポジションがオフの位置からオンの位置に移動されたことに応じて、盗難監視オフモード31に設定される(T104)。
また、ユーザと車両1との間の距離として、例えば、イグニッション24によって検出される電子キー24Aまでの距離が用いられる。盗難監視オフモード31に設定された車両監視装置10は、電子キー24Aまでの距離が大きくなったことに応じて(例えば、電子キー24Aと通信不能になったことに応じて)、盗難監視オンモード32に設定される(T105)。また、盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、電子キー24Aまでの距離が小さくなったことに応じて(例えば、電子キー24Aと通信可能になったことに応じて)、盗難監視オフモード31に設定される(T106)。
次に、盗難監視オンモード32と警告モード33との間の遷移について説明する。盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、車両1の異常が検知された場合に警告モード33に遷移する。また、警告モード33に設定された車両監視装置10は、異常が検知されない期間に基づくタイムアウトやリモートコントローラ26を用いたモード切替操作に応じて、盗難監視オンモード32に遷移する。
より具体的には、盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、車両1の傾き(例えば、第1しきい値以上の傾き)が検知されたことに応じて、警告モード33に設定される(T107)。盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、車両1に対する衝撃(例えば、第2しきい値以上の衝撃)が検知されたことに応じて、警告モード33に設定される(T108)。盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、車両1の移動(例えば、第3しきい値以上の移動)が検知されたことに応じて、警告モード33に設定される(T109)。盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、メインバッテリ25が使用できなくなったこと(例えば、バッテリ25の破壊、断線、取り外し、等による使用不能)に応じて、警告モード33に設定される(T110)。また、盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、車両監視装置10に接続される各種のコンポーネントとの配線が切断されたことに応じて、警告モード33に設定される(T111)。
そして、警告モード33に設定された車両監視装置10は、車両1の移動が検知されない期間が所定期間(例えば、10秒間)以上継続したこと(タイムアウト)に応じて、盗難監視オンモード32に設定される(T112)。また、警告モード33に設定された車両監視装置10は、リモートコントローラ26を用いたモード切替操作に応じて、盗難監視オンモード32に設定される(T113)。
なお、警告モード33に設定された車両監視装置10は、リモートコントローラ26を用いたオフ操作又はイグニッション24のオンに応じて、盗難監視オフモード31に設定される(T114)。
次いで、警告モード33から追跡モード34への遷移について説明する。警告モード33に設定された車両監視装置10は、車両1の移動(例えば、第4しきい値以上の移動)に応じて、追跡モード34に設定される(T115)。なお、追跡モード34に設定された車両監視装置10は、リモートコントローラ26を用いたオフ操作、イグニッション24のオン、又はリセットボタン118が押し下げられたことに応じて、盗難監視オフモード31に設定される(T116)。
さらに、盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、メインバッテリ25が使用できなくなったこと(例えば、バッテリ25の破壊、断線、取り外し、等による使用不能)、又は車両監視装置10に接続される各種のコンポーネントとの配線が切断されたこと(例えば、スピーカ22Aが使用できないこと)に応じて、追跡モード34に設定されてもよい(T117,T118)。
なお、上述した走行データの監視サーバ2への送信は、車両監視装置10が設定されているモードに関わらず行われてもよいし、車両1が走行(移動)し得る、盗難監視オフモード31及び追跡モード34で行われるようにしてもよい。
モード切替部501は、図5に示したようなモード切替を実行するために、位置情報受信部504、傾き情報受信部505、衝撃情報受信部506、バッテリ情報受信部507、及び配線情報受信部508によって受信される情報を用いて、車両1の異常を検出する。モード切替部501は、車両監視装置10が盗難監視オンモード32(第1モード)に設定されている間に、車両1の第1の異常が検出されたことに応じて、車両監視装置10を警告モード33(第2モード)に設定する。この第1の異常は、例えば、車両1の第1しきい値以上の傾きが検出されたこと、車両1に対する第2しきい値以上の衝撃が検出されたこと、車両1の第3しきい値以上の移動が検出されたこと、車両1のメインバッテリ25が使用できないこと、又は車両監視装置10の配線が切断されたことである。また、モード切替部501は、車両監視装置10が警告モード33に設定されている間に、車両1の第2の異常を検出した場合、車両監視装置10を追跡モード34(第3モード)に設定する。この第2の異常は、車両1の第4しきい値以上の移動が検出されたことを含む。なお、この第4しきい値は、第3しきい値よりも大きい。そして、モード切替部501は、音声制御部510、発光制御部511及び送信制御部512に、切り替えられたモードに応じた処理を要求する。
音声制御部510及び発光制御部511は、車両監視装置10が警告モード33に設定されている間、音声出力と発光の少なくとも一方による警告を発する。そして、音声制御部510及び発光制御部511は、車両監視装置10が追跡モード34に設定される場合(すなわち、車両1の第2の異常が検出された場合)にその警告を停止してもよい。
送信制御部512は、車両監視装置10が警告モード33に設定された場合、車両監視装置10が警告モード33に設定されたことと第1の異常が検出されたことの少なくとも一方を別の電子機器(例えば、監視サーバ2や携帯端末3)に通知する。なお、第1の異常が検出されたことを示す通知は、その異常の内容(傾き、衝撃、移動、バッテリの使用不能、断線、等)を含み得る。送信制御部512は、車両監視装置10が追跡モード34に設定されている間、位置情報受信部504により受信される位置情報を用いて、車両1の現在位置を別の電子機器(例えば、監視サーバ2や携帯端末3)に送信する。
また、送信制御部512は、車両監視装置10が追跡モード34に設定されている間に、車両1が路側装置6に近付いたことによって、路側装置6との無線通信が可能になった場合、この路側装置6に、車両1が盗難されていること(盗難されている可能性があること)を示すデータを送信する。この路側装置6が、ETCの料金所やITSスポット(例えば、商業施設、高速道路のパーキングエリア、等)のゲートを備える路側装置である場合には、路側装置6は、車両1が盗難されている可能性があることを示すデータを受信したことに応じて、例えば、ゲートを上げないように制御することができるので、盗難された車両1の発見を容易にすることができる。
また、モード切替部501は、イグニッション情報受信部502、リモコン情報受信部503及びボタン情報受信部509によって受信される情報を用いて、ユーザ操作を検出する。
イグニッション情報受信部502は、例えば、イグニッション24からの割り込み処理によって、イグニッション24から、イグニッション24のキーホールに差し込まれたキーのキーポジションがオン位置又はオフ位置に変更されたことを示す情報、電子キー24Aとの距離を示す情報、及びイグニッション24のオンを示す情報を受信する。電子キー24Aとの距離を示す情報は、例えば、イグニッション24と電子キー24Aとが無線通信可能な範囲内にあるか否かを示す。モード切替部501は、イグニッション情報受信部502によって受信されるこのような情報を用いて車両監視装置10のモードを切り替える。
より具体的には、車両監視装置10が盗難監視オフモード31に設定されている間に、イグニッション情報受信部502によってキーポジションがオフ位置に変更されたことを示す情報が受信された場合、ユーザが車両1から離れる可能性があると推定されるので、モード切替部501は車両監視装置10を盗難監視オンモード32に切り替える。一方、車両監視装置10が盗難監視オンモード32に設定されている間に、イグニッション情報受信部502によってキーポジションがオン位置に変更されたことを示す情報が受信された場合、ユーザが車両1に乗車していると推定されるので、モード切替部501は車両監視装置10を盗難監視オフモード31に切り替える。
車両監視装置10が盗難監視オフモード31に設定されている間に、イグニッション情報受信部502によって電子キー24Aとの距離が大きいことを示す情報(例えば、電子キー24Aと通信不能であることを示す情報)が受信された場合、ユーザが車両1から離れたと推定されるので、モード切替部501は車両監視装置10を盗難監視オンモード32に切り替える。一方、車両監視装置10が盗難監視オンモード32に設定されている間に、イグニッション情報受信部502によって電子キー24Aとの距離が小さいことを示す情報(例えば、電子キー24Aと通信可能であることを示す情報)が受信された場合、ユーザが車両1の近くにいると推定されるので、モード切替部501は車両監視装置10を盗難監視オフモード31に切り替える。
また、車両監視装置10が警告モード33又は追跡モード34に設定されている間に、イグニッション情報受信部502によってイグニッション24のオンを示す情報が受信された場合、ユーザが車両1に乗車していると推定されるので、モード切替部501は車両監視装置10を盗難監視オフモード31に切り替える。
リモコン情報受信部503は、RCモジュール113によってSOC101に出力されるリモコン情報を受信する。リモコン情報受信部503は、例えば、リモートコントローラ26を用いた車両監視装置10のオン/オフ操作を示す情報、モード切替操作(例えば、警告モード33から盗難監視オンモード32への切替操作)を示す情報、等を受信する。
モード切替部501は、リモコン情報受信部503によって受信される情報を用いて車両監視装置10のモードを切り替える。
より具体的には、車両監視装置10が盗難監視オフモード31に設定されている間に、リモコン情報受信部503によってリモートコントローラ26を用いたオン操作を示す情報が受信された場合、ユーザが監視の開始を指示しているので、モード切替部501は車両監視装置10を盗難監視オンモード32に切り替える。一方、車両監視装置10が盗難監視オンモード32、警告モード33又は追跡モード34に設定されている間に、リモコン情報受信部503によってリモートコントローラ26を用いたオフ操作を示す情報が受信された場合、ユーザが監視、警告又は追跡の終了を指示しているので、モード切替部501は車両監視装置10を盗難監視オフモード31に切り替える。
また、車両監視装置10が警告モード33に設定されている間に、リモコン情報受信部503によって、警告モード33から盗難監視オンモード32への切替操作を示す情報が受信された場合、ユーザがモードの切り替えを指示しているので、モード切替部501は車両監視装置10を盗難監視オンモード32に切り替える。
位置情報受信部504は、上述したように、GPSモジュール23A又はGPSモジュール111によって一定時間毎(例えば、1秒毎)に出力される車両1の現在位置を示す情報を受信する。
モード切替部501は、車両監視装置10が盗難監視オンモード32に設定されている場合、監視が開始された時点の車両1の位置(すなわち、盗難監視オンモード32に切り替えられた直後に位置情報受信部504によって受信された車両1の位置)と、最新の車両1の位置(すなわち、位置情報受信部504によって最後に受信された車両1の位置)との差(変化量)を算出する。モード切替部501は、算出された差が第3しきい値(例えば、1メートル)以上である場合、車両1が移動していると判定する。モード切替部501は、この車両1が移動しているという判定に応じて、車両監視装置10を盗難監視オンモード32から警告モード33に切り替える。
また、モード切替部501は、車両監視装置10が警告モード33に設定されている場合、監視が開始された時点の車両1の位置と最新の車両1の位置との差を算出する。モード切替部501は、算出された差が第4しきい値(例えば、5メートル)以上である場合、車両1がさらに移動していると判定する。なお、第4しきい値は第3しきい値よりも大きい。車両監視装置10が盗難監視オンモード32から警告モード33に切り替えられた後に車両1がさらに移動している場合、車両1が盗難されていることが推定される。そのため、モード切替部501は、この車両1がさらに移動しているという判定に応じて、車両監視装置10を警告モード33から追跡モード34に切り替える。
なお、モード切替部501は、車両監視装置10が警告モード33に設定されてから、所定時間(例えば、10秒間)以上、車両1が移動していない場合、検出された異常(第1の異常)による危険性が下がったと推定されるので、警告モード33からのタイムアウトを決定する。モード切替部501は、このタイムアウトの決定に応じて、車両監視装置10を盗難監視オンモード32に切り替える。
傾き情報受信部505は、上述したように、加速度センサ109によって一定時間毎(例えば、0.1秒毎)に出力される車両1の傾きを示す情報を受信する。
モード切替部501は、車両監視装置10が盗難監視オンモード32に設定されている場合、監視が開始された時点の車両1の傾き(すなわち、盗難監視オンモード32に切り替えられた直後に傾き情報受信部505によって受信された車両1の傾き)と、最新の車両1の傾き(すなわち、傾き情報受信部505によって最後に受信された車両1の傾き)との差(変化量)を算出する。モード切替部501は、算出された差が第1しきい値(例えば、10度)以上である場合、車両1が傾いていると判定する。モード切替部501は、この車両1が傾いているという判定に応じて、車両監視装置10を盗難監視オンモード32から警告モード33に切り替える。
衝撃情報受信部506は、上述したように、加速度センサ109によって一定時間毎(例えば、0.1秒毎)に出力される車両1に対する衝撃を示す情報を受信する。
モード切替部501は、車両監視装置10が盗難監視オンモード32に設定されている場合、受信された車両1に対する衝撃が第2しきい値以上である場合、車両1に対する衝撃があったと判定する。モード切替部501は、この車両1に対する衝撃があったという判定に応じて、車両監視装置10を盗難監視オンモード32から警告モード33に切り替える。
バッテリ情報受信部507は、電源回路107からメインバッテリ25の情報と内蔵バッテリ108の情報とを受信する。バッテリ情報受信部507は、例えば、電源回路107から、メインバッテリ25が使用できなくなったこと(例えば、メインバッテリ25からの電力供給が断たれたこと)を示す情報を受信する。
車両監視装置10が盗難監視オンモード32に設定されている間に、バッテリ情報受信部507によって、メインバッテリ25が使用できなくなったことを示す情報が受信された場合(すなわち、メインバッテリ25が使用できないという異常が検出された場合)、メインバッテリ25の破壊、断線、取り外し等が推定されるので、モード切替部501は車両監視装置10を警告モード33に切り替える。
なお、メインバッテリ25が使用できなくなった場合、車両監視装置10への電力供給はメインバッテリ25から内蔵バッテリ108に切り替えられる。通常、内蔵バッテリ108の充電容量はメインバッテリ25の充電容量よりも小さい。また、音声出力や発光による警告が行われる警告モード33では、そのような警告を行わない追跡モード34よりも消費電力が大きい。そのため、メインバッテリ25が使用できなくなった場合、モード切替部501は、車両監視装置10を警告モード33ではなく追跡モード34に切り替えてもよい。盗難監視オンモード32から追跡モード34に直接切り替えられることによって、警告のために大量の電力が消費されることを回避し、内蔵バッテリ108から供給される電力を有効に利用して長時間の追跡を行うことができる。
配線情報受信部508は、車両監視装置10内の各部の配線や、車両監視装置10に接続される種々のユニットの配線が切断されたことを示す情報を受信する。配線情報受信部508は、例えば、SOC101とLED21A,21B,21Cとを接続する配線、SOC101とスピーカ22Aとを接続する配線、SOC101とGPSモジュール23Aとを接続する配線、SOC101とイグニッション24とを接続する配線、等が切断されたことを示す情報を受信する。
車両監視装置10が盗難監視オンモード32に設定されている間に、配線情報受信部508によって、配線が切断されたことを示す情報が受信された場合、モード切替部501は車両監視装置10を警告モード33に切り替える。なお、SOC101とスピーカ22Aとを接続する配線が切断されたことを示す情報が受信された場合には、警告のための音声をスピーカ22Aから出力することができないので、モード切替部501は車両監視装置10を警告モード33ではなく追跡モード34に切り替えてもよい。同様に、SOC101とLED21A,21B,21Cとを接続する配線が切断されたことを示す情報が受信された場合には、警告のためにLED21A,21B,21Cを発光することができないので、モード切替部501は車両監視装置10を警告モード33ではなく追跡モード34に切り替えてもよい。
なお、配線情報受信部508は、車両監視装置10に接続される種々のユニットとの配線を介した通信や電源回路107との通信によって、それらユニットの使用の可否を示す情報を受信してもよい。配線情報受信部508は、例えば、LED21A,21B,21C、スピーカ22A、GPSモジュール23A、等の使用の可否を示す情報を受信する。
車両監視装置10が盗難監視オンモード32に設定されている間に、配線情報受信部508によって、LED21A,21B,21C、スピーカ22A、又はGPSモジュール23Aが使用できないという情報が受信された場合(すなわち、LED21A,21B,21C、スピーカ22A、又はGPSモジュール23Aが使用できないという異常が検出された場合)、モード切替部501は、LED21A,21B,21C、スピーカ22A、又はGPSモジュール23Aが使用できないという異常が検出されたと判定し、この判定に応じて、車両監視装置10を警告モード33に切り替える。なお、スピーカ22Aが使用できないという情報が受信された場合(すなわち、スピーカ22Aが使用できないという異常が検出された場合)、警告のための音声をスピーカ22Aから出力することができないので、モード切替部501は車両監視装置10を警告モード33ではなく追跡モード34に切り替えてもよい。同様に、LED21A,21B,21Cが使用できないという情報が受信された場合には、警告のためにLED21A,21B,21Cを発光することができないので、モード切替部501は車両監視装置10を警告モード33ではなく追跡モード34に切り替えてもよい
ボタン情報受信部509は、リセットボタン118が押し下げられたことを示す情報を受信する。モード切替部501は、車両監視装置10が追跡モード34に設定されている間に、ボタン情報受信部509によってリセットボタン118が押し下げられたことを示す情報が受信された場合、ユーザが車両監視装置10のリセットを指示しているので、車両監視装置10を盗難監視オフモード31に切り替える。
上述したように、モード切替部501は、車両監視装置10のモードの切り替えに応じた処理を音声制御部510、発光制御部511及び送信制御部512に要求する。モード切替部501による要求に応じて、音声制御部510はスピーカ22Aからの音声出力を制御し、発光制御部511はLED21A,21B,21Cの発光を制御し、送信制御部512は3G/LTEモジュール115やDSRCモジュール123等による無線通信を用いて監視サーバ2やユーザの携帯端末3への通知を制御する。音声制御部510は、各モードに関連付けられた鳴動パターンでスピーカ22Aから音声を出力する。この鳴動パターンは、音声が出力される期間、再生される音声データ、音量、再生回数、等で規定される。発光制御部511は、各モードに関連付けられた発光パターンでLED21A,21B,21Cを発光する。この発光パターンは、例えば、点滅の周期(頻度)、点灯時間、消灯時間、光量、等で規定される。
より具体的には、発光制御部511は、車両監視装置10が盗難監視オンモード32に設定された場合、第1周期でLED21A,21B,21Cを点滅させる。この点滅により、車両監視装置10が盗難監視オンモード32に設定されていることをユーザが確認できると共に、監視中であることが外部に提示されるので車両の盗難を抑止することができる。なお、送信制御部512は、車両監視装置10が盗難監視オンモード32に設定されたことを監視サーバ2やユーザの携帯端末3に通知してもよい。
また、音声制御部510及び発光制御部511は、モード切替部501によって、車両1の第1の異常が検出され、車両監視装置10が警告モード33に設定された場合、警告を発する。車両監視装置10が警告モード33に設定された場合、例えば、音声制御部510は、第1期間、スピーカ22Aから音声を出力し、発光制御部511は、第2周期でLED21A,21B,21Cを点滅させる。この第2周期は、盗難監視オンモード32でLED21A,21B,21Cが点滅する第1周期よりも短い。つまり、発光制御部511は、警告モード33では、盗難監視オンモード32よりも高い頻度でLED21A,21B,21Cを点滅させることによって、強い警告を発する。このような警告により、車両を盗難しようとする人物を威嚇することができる。また、送信制御部512は、車両監視装置10が警告モード33に設定された場合、監視サーバ2やユーザの携帯端末3に、車両監視装置10が警告モード33に設定されたことと第1の異常が検出されたことの少なくとも一方を通知する。
車両監視装置10が警告モード33に設定されている間に、モード切替部501によって、車両1の第2の異常が検出され、車両監視装置10が追跡モード34に設定される場合、音声制御部510及び発光制御部511は警告を停止する。車両監視装置10が追跡モード34に設定される場合、音声制御部510はスピーカ22Aからの音声出力を停止し、発光制御部511はLED21A,21B,21Cの点滅を停止する。送信制御部512は、車両監視装置10が追跡モード34に設定されたことを監視サーバ2やユーザの携帯端末3に通知してもよい。また、送信制御部512は、車両監視装置10が追跡モード34に設定されている間、位置情報受信部504によってGPSモジュール23A(又はGPSモジュール111)から受信された車両1の現在の位置(緯度及び経度)を取得し、一定時間毎に、監視サーバ2やユーザの携帯端末3に取得された車両1の現在の位置を通知する。このように、追跡モード34では、警告(音声出力及びLEDの点滅)に要する電力が不要になるので、メインバッテリ25又は内蔵バッテリ108から供給される電力を用いて車両1の現在位置を長時間通知し続けることができる。
音声制御部510は、車両監視装置10が警告モード33から、盗難監視オフモード31又は盗難監視オンモード32に遷移する場合、スピーカ22Aからの音声出力を停止する。発光制御部511は、車両監視装置10が警告モード33から盗難監視オフモード31に遷移する場合、LED21A,21B,21Cの点滅を停止する。発光制御部511は、車両監視装置10が盗難監視オンモード32から盗難監視オフモード31に遷移する場合、LED21A,21B,21Cの点滅を停止する。また、発光制御部511は、車両監視装置10が警告モード33から盗難監視オンモード32に遷移した場合、LED21A,21B,21Cの第2周期での点滅を第1周期での点滅に変更する。
また、道路決定部514は、車両1が移動(走行)している道路が高速道路(有料道路)と一般道路のいずれであるかを決定することもできる。より具体的には、まず、道路決定部514は、予め用意された道路の地図データと、位置情報受信部504によって受信される車両1の位置と、ETC情報受信部513によって得られる、路側装置6が設置されている位置に関するデータ(ゲート名及び道路名)とを用いて、車両1が走行(移動)している道路を決定する。地図データには、例えば、道路名、道路の位置(例えば、道路を離散的に表す多数の地点の緯度及び経度)、道路上に設置される路側装置6の位置(緯度及び経度)、路側装置6に付与された名称(例えば、料金所のゲート名、ITSスポット名)、等を示すデータが含まれている。
道路決定部514は、地図データを用いて、車両1の位置に対応する道路を決定することにより、車両1が走行している道路を特定する。なお、道路決定部514は、車両1の位置の近傍(例えば、数メートル内)に、隣接する一般道路と高速道路(有料道路)や、高架構造によって重なった一般道路と高速道路(有料道路)のような複数の道路がある場合には、直前の走行データを用いて特定された道路が一般道路と高速道路のいずれであるかと、走行データに示されるゲート名及び道路名(すなわち、路側装置6の位置に関するデータ)とをさらに用いて車両1が走行した道路を特定する。
道路決定部514は、地図データを用いて、車両1の位置、ゲート名及び道路名に対応する路側装置6を特定する。そして、例えば、直前の走行データを用いて特定された道路が一般道路であって、且つその特定された路側装置6が、高速道路の出入口に設置されている路側装置である場合、その路側装置6の地点から車両1が高速道路に入ったと推定されるので、道路決定部514は、車両1が走行している道路が高速道路であると判断する。なお、道路決定部514は、ETC情報受信部513によって次の路側装置6の情報(ゲート名及び道路名)が受信されるまで、車両1がその高速道路を走行していると判断することができる。
また、例えば、直前の走行データを用いて特定された道路が高速道路であって、且つその特定された路側装置6が、高速道路の出入口に設置されている路側装置6である場合、その路側装置6の地点から車両1が高速道路を出たと推定されるので、道路決定部514は、車両1が走行している道路が一般道路であると判断する。なお、道路決定部514は、ETC情報受信部513によって次の路側装置6の情報が受信されるまで、車両1がその一般道路を走行していると判断することができる。
つまり、道路決定部514は、走行データを用いて特定された道路が一般道路であると判断された後、路側装置6の位置に関するデータに基づいて、1つ目の路側装置6のデータが得られてから、2つ目の路側装置6のデータが得られるまでの間に走行した道路の種別を、高速道路であると判断する。同様に、道路決定部514は、走行データを用いて特定された道路が高速道路であると判断された後、路側装置6の位置に関するデータに基づいて、1つ目の路側装置6のデータが得られてから、2つ目の路側装置6のデータが得られるまでの間に走行した道路の種別を、一般道路であると判断する。
このような道路の種別の識別によって、車両1の位置だけでは走行した道路の特定が困難である場合(例えば、隣接する一般道路と高速道路(有料道路)がある場合、高架構造によって重なった一般道路と高速道路(有料道路)がある場合、等)にも、車両1が通過した路側装置6の情報をさらに用いて、走行している道路を特定することができる。
さらに、音声制御部510は、車両監視装置10が警告モード33又は追跡モード34に設定されている間に、車両1が一般道路と高速道路(有料道路)のいずれを移動しているかに応じて、警告のための音声出力を制御するようにしてもよい。音声制御部510は、例えば、車両監視装置10が警告モード33に設定されている間に、車両1が移動している道路が一般道路であると決定された場合、警告のための音声をスピーカ22Aから出力し、車両1が移動している道路が高速道路であると決定された場合、警告のための音声をスピーカ22Aから出力しない。また、音声制御部510は、例えば、車両監視装置10が追跡モード34に設定されている間に、車両1が移動している道路が一般道路であると決定された場合、警告のための音声をスピーカ22Aから出力し、車両1が移動している道路が高速道路であると決定された場合、警告のための音声をスピーカ22Aから出力しない。
同様にして、発光制御部511は、車両監視装置10が警告モード33又は追跡モード34に設定されている間に、車両1が一般道路と高速道路(有料道路)のいずれを移動しているかに応じて、警告のための発光を制御するようにしてもよい。発光制御部511は、例えば、車両監視装置10が警告モード33に設定されている間に、車両1が移動している道路が一般道路であると決定された場合、警告のためにLED21A,21B,21Cを発光し、車両1が移動している道路が高速道路であると決定された場合、LED21A,21B,21Cを発光しない。また、発光制御部511は、例えば、車両監視装置10が追跡モード34に設定されている間に、車両1が移動している道路が一般道路であると決定された場合、警告のためにLED21A,21B,21Cを発光し、車両1が移動している道路が高速道路であると決定された場合、LED21A,21B,21Cを発光しない。
これは、一般道路のような街中の道路では、その道路を通行している人物等に、警告のための音声や発光によって車両1の盗難を知らせることができる可能性が高く、一方、高速道路では、人物が通行していることはなく、警告のための音声や発光によって車両1の盗難を知らせることができる可能性が低いためである。したがって、音声制御部510は、高速道路に限らず、有料道路や自動車専用道路、人通りの少ない道路のような、警告のための音声や発光によって車両1の盗難を知らせることができる可能性が低い道路では、音声出力や発光を停止するようにしてもよい。なお、音声制御部510は、高速道路であっても、サービスエリアやパーキングエリアのような、警告のための音声や発光によって車両1の盗難を知らせることができる可能性が高い場所では、音声出力や発光を行うようにしてもよい。
ところで、車両1は、季節によって長い期間使用されないことがある。例えば、自動二輪車は真夏や真冬には全く使用されない場合がある。そのような場合、車両1に設けられたメインバッテリ25は自然放電により電力が枯渇してしまい、車両1の監視が維持できなくなる可能性がある。そのため、送信制御部512は、車両監視装置10が盗難監視オンモード32に設定されている間に、メインバッテリ25の残量が第5しきい値未満になった場合、ユーザの携帯端末3にバッテリの充電を促す通知を送信する。これにより、メインバッテリ25の電力が枯渇する前に、ユーザに対処を促すことができるので、ユーザは、例えば、車両1を駆動して、メインバッテリ25を充電することができる。
また、図6は、車両監視装置10に設定されるモードが遷移する別の例を示す。この例では、車両監視装置10は、図5の例で示した盗難監視オフモード31、盗難監視オンモード32、警告モード33、及び追跡モード34に加えて、さらに警報モード35にも遷移し得る。
警報モード35は、警告モード33と同様に、音声出力や発光による警報が発せられるモードであるが、この例では、警告モード33よりも危険度が高い場合に遷移するモードとして規定されている。車両監視装置10は、例えば、人や動物の単なる接触や近傍での他の車両の動きのような危険度が低い異常が推測される場合に警告モード33に遷移し、盗難のための動作のような危険度が高い異常がさらに推測される場合に警報モード35に遷移する。警報モード35では、警告モード33の場合よりも長い時間、スピーカ22Aから音声が出力され、警告モード33の場合よりも高い頻度でLED21A,21B,21Cが点滅する。このような警告モード33と警報モード35とを設けることにより、危険度に応じたパターンの音声出力や発光を行うことができる。そのため、例えば、危険度が低い場合には、短い音声出力や低い頻度の発光により消費電力を抑制することができる一方、危険度が高い場合には、長い音声出力や高い頻度の発光により緊急性を効果的に伝達することができ、電力を危険度に応じて適切に利用することができる。なお、車両監視装置10には、危険度に応じたさらに多くの段階のモードを設けることもできる。
図6に示す盗難監視オフモード31と盗難監視オンモード32との間の遷移T201〜T206については、図5を参照して上述した遷移T101〜T106と同様である。
盗難監視オンモード32と警告モード33との間の遷移については以下の通りである。盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、危険度が低い異常に応じて警告モード33に遷移する。より具体的には、盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、車両1の単発の傾きが検知されたこと(例えば、加速度センサ109によって第1しきい値以上の傾きを示す値が一度検出されたこと)に応じて、警告モード33に設定される(T207)。盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、車両1に対する単発の衝撃が検知されたこと(例えば、加速度センサ109によって第2しきい値以上の衝撃を示す値が一度検出されたこと)に応じて、警告モード33に設定される(T208)。警告モード33から盗難監視オンモード32への遷移T209及びT210は、図5に示した遷移T112及びT113とそれぞれ同様である。
また、警告モード33から盗難監視オフモード31への遷移T211は、図5に示した遷移T114と同様である。
次いで、盗難監視オンモード32と警報モード35との間の遷移について説明する。盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、危険度が高い異常に応じて警報モード35に遷移する。盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、車両1の移動(例えば、第3しきい値以上の移動)が検知されたことに応じて、警報モード35に設定される(T214)。盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、メインバッテリ25が使用できなくなったこと(例えば、バッテリ25の破壊、断線、取り外し、等による使用不能)に応じて、警報モード35に設定される(T215)。盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、車両監視装置10に接続される各種のコンポーネントとの配線が切断されたことに応じて、警報モード35に設定される(T216)。警報モード35に設定された車両監視装置10は、車両1の移動が検知されない期間が所定期間(例えば、30秒間)以上継続したこと(タイムアウト)に応じて、盗難監視オンモード32に設定される(T217)。また、警報モード35に設定された車両監視装置10は、リモートコントローラ26を用いたモード切替操作に応じて、盗難監視オンモード32に設定される(T218)。
次いで、警告モード33から警報モード35への遷移について説明する。警告モード33に設定された車両監視装置10は、危険度が低い異常であっても、その異常が継続する場合、警報モード35に遷移する。より具体的には、盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、継続した車両1の傾きが検知されたこと(例えば、加速度センサ109によって第1しきい値以上の傾きを示す値が所定回数以上継続して検出されたこと)に応じて、警報モード35に設定される(T212)。盗難監視オンモード32に設定された車両監視装置10は、継続した車両1に対する衝撃が検知されたこと(例えば、加速度センサ109によって第2しきい値以上の衝撃を示す値が所定回数以上継続して検出されたこと)に応じて、警報モード35に設定される(T213)。
警報モード35に設定された車両監視装置10は、リモートコントローラ26を用いたオフ操作又はイグニッション24のオンに応じて、盗難監視オフモード31に設定される(T219)。
また、警報モード35に設定された車両監視装置10は、車両1の移動(例えば、第4しきい値以上の移動)に応じて、追跡モード34に設定される(T220)。なお、追跡モード34に設定された車両監視装置10は、リモートコントローラ26を用いたオフ操作、イグニッション24のオン、又はリセットボタン118が押し下げられたことに応じて、盗難監視オフモード31に設定される(T221)。
さらに、警報モード35に設定された車両監視装置10は、メインバッテリ25が使用できなくなったこと、又は車両監視装置10に接続される各種のコンポーネントとの配線が切断されたことに応じて、追跡モード34に設定されてもよい(T222,T223)。
モード切替部501は、図3を参照して説明した動作と同様にして、位置情報受信部504、傾き情報受信部505、衝撃情報受信部506、バッテリ情報受信部507、及び配線情報受信部508によって受信される情報を用いて、図6に示したようなモード切替を実行する。そして、モード切替部501は、音声制御部510、発光制御部511及び送信制御部512に、切り替えられたモードに応じた処理を要求する。
また、監視サーバ2は、上述したように、多数の車両1にそれぞれ取り付けられた車両監視装置10から送信された走行データを受信する。この走行データ(第1データ及び第2データ)は、例えば、車両1又は車両1の運転者による運転の安全さや危険度を診断するために用いられる。
監視サーバ2は、例えば、受信された走行データを解析することにより、ある車両1(又はその車両1の運転者)による走行の傾向を認識することや、道路上の位置や時間帯に基づく車両の交通量や速度、事故の発生頻度や規模、等の、多数の車両による走行の傾向を認識することができる。監視サーバ2は、ある車両1による走行の傾向に基づいて、運転を評価することにより、例えば、運転の危険度や安全度のような値(パラメータ)を算出することができる。監視サーバ2は、算出された値に基づいて、例えば、車両1又は車両1の運転者に適用される保険料を決定することができる。
図7は、監視サーバ2のシステム構成を示す。監視サーバ2は、CPU61、システムコントローラ62、RAM63、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)64、BIOS−ROM65、不揮発性メモリ66、通信デバイス67、エンベデッドコントローラ(EC)68等を備える。
CPU61は、監視サーバ2内の様々なコンポーネントの動作を制御するプロセッサである。CPU61は、ストレージデバイスである不揮発性メモリ66からRAM63にロードされる様々なプログラムを実行する。これらプログラムには、オペレーティングシステム(OS)631、及び様々なアプリケーションプログラムが含まれている。アプリケーションプログラムには、解析プログラム632が含まれている。この解析プログラム632は、車両監視装置10から走行データを受信する機能と、走行データを解析する機能とを実行することができる。
また、CPU61は、BIOS−ROM65に格納された基本入出力システム(BIOS)も実行する。BIOSは、ハードウェア制御のためのプログラムである。
システムコントローラ62は、CPU61のローカルバスと各種コンポーネントとの間を接続するデバイスである。システムコントローラ62には、RAM63をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、システムコントローラ62は、PCI EXPRESS規格のシリアルバスなどを介してGPU64との通信を実行する機能も有している。GPU64は、監視サーバ2のディスプレイモニタとして使用されるLCD69を制御する表示プロセッサである。このGPU64によって生成される表示信号はLCD69に送られる。LCD69は、表示信号に基づいて画面イメージを表示する。
通信デバイス67は、有線又は無線による通信を実行するように構成されたデバイスである。通信デバイス67は、信号を送信する送信部と、信号を受信する受信部とを含む。EC108は、電力管理のためのエンベデッドコントローラを含むワンチップマイクロコンピュータである。EC108は、ユーザによるパワーボタンの操作に応じて監視サーバ2を電源オン又は電源オフする機能を有している。
また、図8は、解析プログラム632の機能構成を示す。解析プログラム632は、上述した走行データを受信する機能と走行データを解析する機能とを実現するための機能実行モジュールとして、例えば、受信制御部71、道路決定部72、安全度算出部73、等を備える。
受信制御部71は、車両監視装置10によって送信された走行データを受信し、受信された走行データを記憶媒体81に格納する。記憶媒体81内の走行データ812は、例えば、車両1や運転者毎に格納される。この走行データ812は、例えば、図4に示した構成と同様の構成を有し、車両1の識別情報を示す「車両ID」フィールドや運転者の識別情報を示す「運転者ID」フィールドがさらに設けられてもよい。
道路決定部72は、予め用意された道路の地図データ811と、ある車両1の走行データ812とを用いて、その車両1が移動(走行)した道路を決定する。地図データ811には、例えば、道路名、道路の位置(例えば、道路を離散的に表す多数の地点の緯度及び経度)、道路上に設置される路側装置6の位置(緯度及び経度)、路側装置6に付与された名称(例えば、料金所のゲート名、ITSスポット名)、等を示すデータが含まれている。
道路決定部72は、地図データ811を用いて、走行データ812に示される位置に対応する道路を決定することにより、車両1が走行した道路を特定する。なお、道路決定部72は、走行データ812に示される位置の近傍(例えば、数メートル内)に、隣接する一般道路と高速道路(有料道路)や、高架構造によって重なった一般道路と高速道路(有料道路)のような、道路種別が異なる複数の道路がある場合には、直前までの走行データを用いて特定されていた道路の種別(例えば、一般道路と高速道路のいずれであるか)と、走行データ812に示されるゲート名及び道路名(すなわち、路側装置6の位置に関するデータ)とをさらに用いて車両1が走行した道路を特定する。
道路決定部72は、地図データ811を用いて、走行データ812に示される位置、ゲート名及び道路名に対応する路側装置6を特定する。そして、例えば、直前までの走行データ812を用いて特定されていた道路が一般道路であって、且つその特定された路側装置6が、高速道路の出入口に設置されている路側装置である場合、道路決定部72は、以降の走行データ812に示される位置を、次の路側装置6のデータ(ゲート名及び道路名)が得られるまで、高速道路上の位置を示すものと判断する。すなわち、道路決定部72は、その路側装置6の地点から、車両1が高速道路を走行したと判断する。
また、例えば、直前までの走行データ812を用いて特定されていた道路が高速道路であって、且つその特定された路側装置6が、高速道路の出入口に設置されている路側装置6である場合、道路決定部72は、以降の走行データ812に示される位置を、次の路側装置6のデータ(ゲート名及び道路名)が得られるまで、一般道路上の位置を示すものと判断する。すなわち、道路決定部72は、その路側装置6の地点から、車両1が一般道路を走行したと判断する。
つまり、道路決定部72は、走行データ812を用いて特定された道路が一般道路であると判断された後、路側装置6の位置に関する走行データ812に基づいて、1つ目の路側装置6のデータが得られてから、2つ目の路側装置6のデータが得られるまでの間に走行した道路の種別を、高速道路であると判断する。同様に、道路決定部72は、走行データ812を用いて特定された道路が高速道路であると判断された後、路側装置6の位置に関する走行データ812に基づいて、1つ目の路側装置6のデータが得られてから、2つ目の路側装置6のデータが得られるまでの間に走行した道路の種別を、一般道路であると判断する。
このような道路の種別の識別によって、車両1の位置だけでは走行した道路の特定が困難である場合(例えば、隣接する一般道路と高速道路(有料道路)がある場合、高架構造によって重なった一般道路と高速道路(有料道路)がある場合、等)にも、車両1が通過した路側装置6の情報をさらに用いて、走行した道路を特定することができる。
安全度算出部73は、走行された道路の種別(例えば、高速道路と一般道路のいずれであるか)を考慮して、ある車両1(又はその車両1の運転者)による走行の傾向や、多数の車両の走行の傾向を解析することができる。安全度算出部73は、例えば、その車両1(運転者)によって走行された道路、走行速度、走行時間帯、等を統計的に解析することによって、走行の傾向を認識する。そして、安全度算出部73は、認識された走行の傾向に基づいて、車両1(又はその車両1の運転者)の運転の安全さ(又は危険さ)を示す値を算出する。
例えば、安全度算出部73は、車両1が走行した道路に関する安全さ(又は危険さ)を示す値を算出する。この走行した道路に関する安全さを示す値には、例えば、高速道路を走行した割合が低いほど大きな値が算出される。また、走行した道路に関する安全さを示す値は、山道であること、カーブの多い道路であること、曲がり角や交差点のある道路であること、事故の発生頻度が高い道路であることやその事故の規模、交通量が多い道路であること、速度超過の車両が多い道路であること、歩行者が多い道路であること、歩道がない道路であること、等の道路の特徴をさらに考慮して算出されてもよい。このような道路に関する安全さを示す値は、多数の車両から得られた大量の走行データ812を解析することによって算出されてもよい。
また、安全度算出部73は、例えば、走行データ812に示される速度と、走行した道路が高速道路と一般道路のいずれであるかに応じて推定される法定速度とに基づいて、車両1(運転者)の走行速度に関する安全さ(又は危険さ)を示す値を算出する。この走行速度に関する安全さを示す値には、例えば、法定速度に基づいて許容される範囲内の速度では第1の値が算出され、その範囲を超える速度では、第1の値よりも小さい第2の値が算出される。走行速度に関する安全さを示す値は、例えば、走行時の車両の傾き(姿勢)をさらに考慮して算出されてもよい。
さらに、安全度算出部73は、例えば、走行データ812に示される日時に基づいて、車両1(運転者)が走行した時間帯に関する安全さ(又は危険度)を示す値を算出する。この走行した時間帯に関する安全さを示す値には、例えば、昼間の時間帯の日時では、第3の値が算出され、夜間の時間帯の日時では、第3の値よりも小さい第4の値が算出される。
安全度算出部73は、このような解析を、多数の車両1から得られた大量の走行データ812に対して行うことができる。安全度算出部73は、多数の車両1(運転者)のそれぞれによる走行の安全さ(又は危険さ)を示す値を算出し、算出された安全さを示す値を統計的に解析することによって、安全さを示す値(安全性)に基づく複数のモデル(カテゴリ)を決定し、ある車両1の運転がいずれのモデルに分類されるかを決定することもできる。
なお、解析プログラム632が、例えば、保険会社によって管理される監視サーバ2によって実行される場合、この解析プログラム632に、保険料決定部74がさらに設けられてもよい。
この保険料決定部74は、ある車両1の運転の安全さを示す値や、ある車両1が分類されたモデルに応じて、その車両1に適用される保険料や、その車両1に適した保険商品を決定する。保険料決定部74は、例えば、ある車両1の運転の安全さを示す値がしきい値以上である場合、その車両1(運転者)に低い保険料が適用されることを決定し、その安全さを示す値がしきい値未満である場合、その車両1(運転者)に高い保険料が適用されることを決定する。また、保険料決定部74は、例えば、ある車両1の運転が安全性の高いモデルに分類される場合、その車両1(運転者)に低い保険料が適用されることを決定し、ある車両1の運転が安全性の低いモデルに分類される場合、その車両1(運転者)に高い保険料が適用されることを決定する。
なお、安全度算出部73は、車両1が自動四輪車であるか自動二輪車であるかといった車両の種類別に走行データを解析することにより、車両の種類に応じて、ある車両1の運転の安全さを示す値(又は危険度)を算出してもよい。保険料決定部74は、算出された運転の安全さを示す値を利用して、車両1(運転者)の保険料を決定することができる。
このように、本実施形態の車両監視装置10は、車両1の走行している環境に基づいた運転の安全さを判別することができる。車両監視装置10は、運転の安全さを判別するための走行データ(第1データ及び第2データ)を収集し、この走行データを用いて、車両1が走行している道路の種別(例えば、一般道路と高速道路(有料道路)のいずれを移動しているか)を判別することができる。車両監視装置10は、車両1が走行している道路の種別を利用して、例えば、警告の効果が高い、一般道路を移動している場合に音声出力や発光を行い、また警告の効果が低い、高速道路を移動している場合には音声出力や発光を行わない。これにより、バッテリ25,108から供給される電力を有効に利用することができる。
また、監視サーバ2が、車両監視装置10から、収集された走行データを受信し、この走行データを用いて、車両1が走行した道路の種別(例えば、一般道路と高速道路(有料道路)のいずれを移動しているか)を判別することもできる。これにより、監視サーバ2は、例えば、車両1が走行した道路の種別を利用して、車両1による運転の傾向を認識し、その認識された傾向に基づいて運転の安全さや危険度を判別することができる。さらに、監視サーバ2が、保険会社によって管理されているサーバである場合には、その判別結果に基づいて、車両1又は車両1の運転者に適用される保険料を決定することができる。
次いで、図7のフローチャートを参照して、車両監視装置10によって実行される走行データ送信処理の手順の例について説明する。
まず、車両監視装置10のCPU101A(SOC101)は、GPSモジュール23A又はGPSモジュール111から、車両1の現在の位置(緯度及び経度)を示す位置データを受け取る(ブロックB101)。この位置データには、例えば、日時と位置とを示すデータが含まれている。CPU101Aは、この位置データを用いて車両1の速度を算出する(ブロックB102)。CPU101Aは、例えば、受け取った位置データに示される日時及び位置と、一つ前に受け取った位置データに示される日時及び位置とを用いて、車両1の速度を算出する。また、CPU101Aは、加速度センサ109から車両1の現在の傾き(姿勢)を示す傾きデータを受け取る(ブロックB103)。なお、CPU101Aは、ジャイロセンサ110から車両1の現在の傾きを示す傾きデータを受け取ってもよい。
次いで、CPU101Aは、車両1が走行している道路に設置された路側装置6が検出されたか否かを判定する(ブロックB104)。CPU101Aは、例えば、ETCユニット120内のDSRCモジュール123が、走行中に通過する路側装置6と通信可能になった場合に、路側装置6が検出されたと判定する。路側装置6が検出された場合(ブロックB104のYES)、CPU101Aは、その路側装置6から、DSRCモジュール123を介して、当該路側装置6が設置されている位置に関するデータ(例えば、ゲート名及び道路名)を受信する(ブロックB105)。そして、CPU101Aは、車両監視装置10が追跡モードに設定されているか否かを判定する(ブロックB106)。車両監視装置10が追跡モードに設定されている場合(ブロックB106のYES)、CPU101Aは、DSRCモジュール123を介して、車両1が盗難されていること(盗難されている可能性があること)を示すデータを路側装置6に送信する(ブロックB107)。車両監視装置1が追跡モードに設定されていない場合(ブロックB106のNO)、ブロックB107の手順がスキップされる。また、路側装置6が検出されていない場合(ブロックB104のNO)、ブロックB105からブロックB107までの手順がスキップされる。
次いで、CPU101Aは、3G/LTE通信網4が利用可能であるか否か、すなわち、3G/LTEモジュール115を介した通信が可能であるか否かを判定する(ブロックB108)。3G/LTE通信網4が利用可能である場合(ブロックB108のYES)、CPU101Aは、3G/LTEモジュール115を介して、車両1の走行に関する走行データを監視サーバ2に送信する(ブロックB109)。この走行データは、例えば、車両1の位置及び速度を示す第1データと、路側装置6が設置されている位置に関する第2データとを含む。走行データは、車両1の傾きをさらに含んでいてもよい。また、走行データには、ブロックB105で、路側装置6が設置されている位置に関する第2データが受信された場合にだけ、この第2データが含まれていてもよい。
3G/LTE通信網4が利用可能でない場合(ブロックB108のNO)、CPU101Aは、ETC通信網5が利用可能であるか否か、すなわち、DSRCモジュール123を介した通信が可能であるか否かを判定する(ブロックB110)。ETC通信網5が利用可能である場合(ブロックB110のYES)、CPU101Aは、ETC通信網5を介して、走行データを監視サーバ2に送信する(ブロックB111)。CPU101Aが、DSRCモジュール123を介して、走行データを路側装置6に送信することにより、路側装置6からETC通信網5を介して、走行データが監視サーバ2に送信される。ETC通信網5が利用可能でない場合(ブロックB110)、すなわち、3G/LTE通信網4もETC通信網5も利用できない場合、ブロックB101に戻り、走行データの取得が継続され、また、監視サーバ2に送信できなかった走行データは、例えば、車両監視装置10内のバッファに蓄積される。CPU101Aは、このバッファに蓄積された走行データを、3G/LTE通信網4又はETC通信網5が利用可能になったタイミングで監視サーバ2に送信することができる。
また、図10のフローチャートは、監視サーバ2によって実行される走行データ受信処理の手順の例を示す。
監視サーバ2のCPU61は、通信デバイス67を介して、車両監視装置10から、車両1の位置及び速度を含む第1データと、路側装置6が設置されている位置を示す第2データとを含む走行データを受信する(ブロックB21)。そして、CPU61は、受信した第1データと第2データとを記憶媒体81(例えば、不揮発性メモリ66)に格納する(ブロックB22)。
監視サーバ2は、上述した手順を、例えば、多数の車両1に取り付けられた多数の車両監視装置10との間で並列に行うことができ、それにより、大量の走行データ812を監視サーバ2内に蓄積することができる。
図11のフローチャートは、監視サーバ2によって実行される走行データ解析処理の手順の例を示す。ここでは、ある車両1に取り付けられた車両監視装置10から、車両1の位置及び速度を含む第1データと、路側装置6が設置されている位置を示す第2データとを受信した場合を例示する。
監視サーバ2のCPU61は、第2データに基づいて、車両1が走行した道路の種別を判別する(ブロックB31)。CPU61は、第1データと、判別された道路の種別とに基づいて、車両1の走行の傾向(例えば、走行される道路、走行速度、走行時間帯、等)を認識する(ブロックB32)。そして、CPU61は、認識された走行の傾向に基づいて、車両1の運転の安全さ(又は危険さ)を示す値を算出する(ブロックB33)。
CPU61は、算出された運転の安全さを示す値を用いて、車両1(運転者)に適用される保険料を決定する(ブロックB34)。
また、図12のフローチャートを参照して、車両監視装置10によって実行される音声出力制御処理の手順の例について説明する。この音声出力制御処理は、例えば、車両監視装置10が警告モード、警報モード、又は追跡モードに設定されている場合に実行される。
まず、車両監視装置10のCPU101Aは、走行データを用いて、車両1が走行している道路を特定する(ブロックB41)。CPU101Aは、例えば、最新の走行データに示される位置(緯度及び経度)と、ゲート名及び道路名と、地図データとを用いて、車両1が走行している道路を特定する。そして、CPU101Aは、その特定された道路(すなわち、走行中の道路)が高速道路であるか否かを判定する(ブロックB42)。特定された道路が高速道路である場合(ブロックB42のYES)、CPU101Aは、警告(警報)のための音声出力を停止する(ブロックB43)。特定された道路が高速道路でない場合(ブロックB42のNO)、すなわち、一般道路である場合、CPU101Aは、警告のための音声をスピーカ22Aから出力する(ブロックB44)。
CPU101Aは、この音声出力制御処理の手順と同様にして、警告(警報)のためのLED21A,21B,21Cの発光を制御することもできる。
なお、図2ではETCユニット120が内蔵される車両監視装置10の例を示したが、図13に示すように、車両監視装置10に、ETCユニット28を備えるETC車載器27が外部接続されるようにしてもよい。このETC車載器27は、自動料金収受システム(ETC)や路車協調システム(ETC2.0)のための車載器として機能し、CPU281、RAM282、DSRCモジュール283及びアンテナ284、カードインタフェース部285、スピーカ286、電源回路287、等を含むETCユニット28と、GPSモジュール29及びアンテナ29Aとを備える。GPSモジュール29及びアンテナ29Aは、例えば、ETC2.0で、車両1の位置を検出するために用いられる。ETC車載器27は、車両監視装置10と連携して動作することにより、上述した車両監視装置10に内蔵されるETCユニット120と同様の動作を実行する。
なお、図2に示した、車両監視装置10に内蔵されるETCユニット120では、車両監視装置10に設けられるコンポーネント又は接続されるコンポーネント(例えば、CPU、メモリ、GPSモジュール、スピーカ、電源回路、等)を共用することにより、装置全体のサイズをコンパクトにし、コストダウンを図ることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、車両の走行している環境に基づいた運転の安全さを判別することができる。車両監視システムは、ネットワークを介して相互に接続される監視サーバ2と車両監視装置10とによって構成される。車両監視装置10は、当該車両監視装置10が搭載されている車両1の位置及び速度を含む第1データを生成し、車両1が、道路上に設置されている自動料金収受システム(ETC)のための路側装置6と通信可能な範囲内を移動する場合に、その路側装置6から、当該路側装置6が設置されている位置に関する第2データを受信する。車両監視装置10は、これら第1データと第2データとを監視サーバ2に送信する。監視サーバ2は、車両監視装置10から、第1データと第2データとを受信する。監視サーバ2は、第2データに基づいて車両1が走行した道路種別を判別し、走行した道路種別と第1データとに基づいて車両1の運転の安全さを判別する。
このように、車両監視システムでは、車両1の走行している環境に基づいた運転の安全さを判別することができる。監視サーバ2は、さらに、車両1の運転の安全さの判別結果を利用して、例えば、車両1や車両1の運転者に適用される保険料を決定することができる。
また、本実施形態に記載された様々な機能の各々は、回路(処理回路)によって実現されてもよい。処理回路の例には、中央処理装置(CPU)のような、プログラムされたプロセッサが含まれる。このプロセッサは、メモリに格納されたコンピュータプログラム(命令群)を実行することによって、記載された機能それぞれを実行する。このプロセッサは、電気回路を含むマイクロプロセッサであってもよい。処理回路の例には、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロコントローラ、コントローラ、他の電気回路部品も含まれる。本実施形態に記載されたCPU以外の他のコンポーネントの各々もまた処理回路によって実現されてもよい。
また、本実施形態の各種処理はコンピュータプログラムによって実現することができるので、このコンピュータプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこのコンピュータプログラムをコンピュータにインストールして実行するだけで、本実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。