以下、本発明の実施形態に係る管理システム及び管理方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施形態の管理システム及び管理方法は、トンネル内のみならず、トンネルに通じる作業路においても適用される。作業路には、構築されるトンネルに通じる立坑、立坑の上部に構築された発進基地、構築されるトンネルに並列して延在する作業路及び構築されるトンネルの壁面から分岐して延在する作業路等が含まれる。
図1に示すように、本実施形態の管理システム10は、例えば、シールド工法により、地表面11の下に掘削した立坑12から、横坑であるトンネル13を構築する場合に適用される。トンネル13は、シールドマシン14により掘削される。立坑12の上部の地表面11には、発進基地15が構築されている。地表面には、トンネル13の構築の作業を管理するための管理棟16が構築されている。
構築されるトンネル13及びトンネル13に通じる立坑12及び発進基地15等の作業路には、電波を発信する複数の無線アクセスポイント100が設置されている。無線アクセスポイント100は、例えば、トンネル13が延在する方向に沿って等間隔に設置されている。無線アクセスポイント100は、例えば、30m〜70m間隔、より好ましくは40m〜60m間隔で設置されている。無線アクセスポイント100は、発進基地15及び管理棟16にも設置されている。無線アクセスポイント100は、後述するトンネル13及び作業路の中の移動通信端末と、管理棟16に設置された管理コンピュータとを相互に無線LAN(Local Area Network)により接続するためのモバイルWi-Fi(Wireless Fidelity)ルーターである。
管理棟16には、管理棟16内の無線アクセスポイント100に接続される管理コンピュータ200が設置されている。管理コンピュータ200は、管理システム10の動作を制御するための電子計算機である。管理コンピュータ200の構成及び動作については後述する。
構築されるトンネル13、構築されるトンネルに並列して延在する作業路及び構築されるトンネルの壁面から分岐して延在する作業路等では、車両30が走行する。車両30は、例えば、バッテリーロコ、バッテリーロコにより牽引される貨車、トロッコ及び台車等である。車両30には、トンネル13及び作業路の中の無線アクセスポイント100を介して、管理棟16の管理コンピュータ200と相互に情報を送受信可能な第1の移動通信端末である移動通信端末300が搭載されている。移動通信端末300の構成及び動作については後述する。
構築されるトンネル13、立坑12及び発進基地15等の作業路、構築されるトンネルに並列して延在する作業路及び構築されるトンネルの壁面から分岐して延在する作業路等には、複数の作業員40が配置されている。作業員40のそれぞれは、トンネル13及び作業路の中の無線アクセスポイント100を介して、管理棟16の管理コンピュータ200と相互に情報を送受信可能な第2の移動通信端末である移動通信端末400を所持する。移動通信端末400の構成及び動作については後述する。
以下、管理コンピュータ200の構成について詳述する。管理コンピュータ200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、液晶ディスプレイ等を有するパーソナルコンピュータ等の電子計算機である。図2に示すように、管理コンピュータ200は、通信部201、近接情報報知部202、作業員位置報知部203、制限速度超過報知部204、徐行指示部205、到達時間報知部206、無線アクセスポイント管理部207、緊急報知部208、作業状況分析部209、健康管理部210及び表示制御部211を有する。管理コンピュータ200は、ROM又はハードディスクに記憶されているアプリケーションプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、上記の通信部201等の各部の制御を実行する。
通信部201は、無線アクセスポイント100を介して、車両30に搭載された移動通信端末300及び作業員40に所持された移動通信端末400と相互に情報を送受信する。
近接情報報知部202は、無線アクセスポイント100を介して車両30に搭載された移動通信端末300から受信した情報(第1の位置情報)に含まれる車両30の位置(第1の位置)と、無線アクセスポイント100を介して作業員40に所持された移動通信端末400から受信した情報(第2の位置情報)に含まれる作業員の位置(第2の位置)との距離が予め定められた距離閾値以下であるときに、無線アクセスポイント100を介して、移動通信端末300及び移動通信端末400の少なくともいずれかに、車両30と作業員40との近接に関する近接情報を送信する。
作業員位置報知部203は、無線アクセスポイント100を介して作業員40に所持された移動通信端末400から受信した作業員40の位置に関する情報を、無線アクセスポイント100を介して車両30に搭載された移動通信端末300に送信する。
制限速度超過報知部204は、無線アクセスポイント100を介して車両30に搭載された移動通信端末300から受信した情報(第1の移動速度情報)に含まれる車両30の移動速度(第1の移動速度)が予め定められた制限速度を超過しているときに、無線アクセスポイント100を介して、作業員40に所持された移動通信端末400に、車両30の制限速度超過に関する制限速度超過情報を送信する。
徐行指示部205は、無線アクセスポイント100を介して車両30に搭載された移動通信端末300から受信した情報に含まれる車両30の位置及び移動速度と、無線アクセスポイント100を介して作業員40に所持された移動通信端末400から受信した情報に含まれる作業員40の位置とに基づいて、車両30が作業員40の位置に到達するまでの到達時間を算出する。徐行指示部205は、当該到達時間が予め定められた時間閾値以下であるときに、無線アクセスポイント100を介して、移動通信端末300に、車両30への徐行指示を含む徐行指示情報を送信する。
到達時間報知部206は、無線アクセスポイント100を介して車両30に搭載された移動通信端末300から受信した情報に含まれる車両30の位置及び移動速度と、無線アクセスポイント100を介して作業員40に所持された移動通信端末400から受信した情報に含まれる作業員40の位置とに基づいて、車両30が作業員40の位置に到達するまでの到達時間を算出する。到達時間報知部206は、無線アクセスポイント100を介して、移動通信端末300及び移動通信端末400の少なくともいずれかに、到達時間に関する到達時間情報を送信する。
無線アクセスポイント管理部207は、無線アクセスポイント100を介して車両30に搭載された移動通信端末300から受信した車両30の位置に関する情報とトンネル13及び作業路の中の無線アクセスポイント100から送信される電波の電波強度(第1の電波強度)に関する情報(電波強度情報)とに基づいて、複数の無線アクセスポイント100の内で故障が発生した無線アクセスポイント100を推定する。
緊急報知部208は、トンネル13及び作業路の中で緊急事態が発生した場合に、無線アクセスポイント100を介して作業員40に所持された移動通信端末400から受信した情報に含まれる作業員の位置に基づいて、当該緊急事態が生じた位置付近に配置された作業員40に所持された移動通信端末400に当該緊急事態に関する緊急事態情報を送信する。
作業状況分析部209は、無線アクセスポイント100を介して車両30に搭載された移動通信端末300から受信した情報に含まれる車両30の位置及び移動速度に基づいて、トンネル13及び作業路の中での車両30の往復回数や通行待ち時間等を算出し、車両30の移動効率、稼働率等の作業状況を分析する。また、作業状況分析部209は、無線アクセスポイント100を介して作業員40に所持された移動通信端末400から受信した情報に含まれる作業員40の位置と、無線アクセスポイント100を介して作業員40に所持された移動通信端末400から受信した情報(第2の移動速度情報)に含まれる作業員40の移動速度(第2の移動速度)とに基づいて、トンネル13及び作業路の中での作業員40のそれぞれの作業効率等の作業状況を分析してもよい。
健康管理部210は、無線アクセスポイント100を介して作業員40に所持された移動通信端末400から受信した情報に含まれる作業員40の位置及び移動速度に基づいて、作業員40のそれぞれの作業時間及び移動距離を算出する。健康管理部210は、当該作業時間及び当該移動距離に基づいて、作業員40のそれぞれの健康状態を管理する。健康管理部210は、無線アクセスポイント100を介して作業員40に所持された移動通信端末400から受信した情報に含まれる作業員40の歩数等に基づいて、作業員40のそれぞれの健康状態を管理してもよい。
表示制御部211は、上述した近接情報報知部202、作業員位置報知部203、制限速度超過報知部204、徐行指示部205、到達時間報知部206、無線アクセスポイント管理部207、緊急報知部208、作業状況分析部209及び健康管理部210により処理された情報をディスプレイ等に表示させる。ディスプレイ等に表示された車両30及び作業員40の位置及び移動速度に関する情報や、近接情報や、制限速度超過情報等は、管理棟16の中の管理責任者によるトンネル工事作業の管理のために使用される。
以下、移動通信端末300の構成について詳述する。移動通信端末300は、例えば、スマートフォン等の携帯電話機や、タブレット型の携帯通信端末である。移動通信端末300は、CPU、タッチパネル又はキーボード等の操作機器、RAM、ROM、タッチパネル又は液晶ディスプレイ等の表示機器、無線アクセスポイント100との無線通信を行う通信機器、フラッシュメモリ、マイクロフォン、スピーカ、バッテリ等の電源機器及び外部と接続する外部端子等から構成されている。移動通信端末300は、例えば、車両30の操縦席に設置されたクレードル(cradle)等に接続されつつ、車両30に搭載される。
図3に示すように、移動通信端末300は、電波強度検出部303、位置算出部304、移動速度算出部305、通信部306、表示制御部307及び外部接続部308を有する。移動通信端末300は、ROMに記憶されているアプリケーションプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、上記の電波強度検出部303等の各部の制御を実行する。
第1の電波強度検出部である電波強度検出部303は、トンネル13及び作業路の中で近隣の無線アクセスポイント100から送信される電波の電波強度(第1の電波強度)を検出する。電波強度検出部303は、例えば、近隣の無線アクセスポイント100から送信されるSSID(ネットワーク名)、MACアドレス及び無線アクセスポイント100から送信される電波の当該無線アクセスポイント100の位置での電波強度等の情報を含むビーコン信号を受信することにより、当該無線アクセスポイント100を特定し、当該無線アクセスポイント100から送信される電波の移動通信端末300の位置での電波強度を検出する。
第1の位置算出部である位置算出部304は、電波強度検出部303により検出された電波強度に基づいて、移動通信端末300の位置(第1の位置)を算出する。位置算出部304は、電波強度検出部303により受信されたビーコン信号に含まれるSSID、MACアドレス及び無線アクセスポイント100から送信される電波の当該無線アクセスポイント100の位置での電波強度等の情報から、当該無線アクセスポイントの位置を特定する。位置算出部304は、当該無線アクセスポイントの位置と、無線アクセスポイント100から送信される電波の当該無線アクセスポイント100の位置での電波強度と、当該無線アクセスポイント100から送信される電波の移動通信端末300の位置での電波強度とに基づいて、移動通信端末300の位置を算出する。
第1の移動速度算出部である移動速度算出部305は、電波強度検出部303により検出された電波強度に基づいて、移動通信端末300の移動速度(第1の移動速度)を算出する。移動速度算出部305は、位置算出部304により算出された移動通信端末300の位置を時間で微分演算することにより、移動通信端末300の移動速度を算出する。
第1の通信部である通信部306は、近隣の無線アクセスポイント100を介して、位置算出部304により算出された移動通信端末300の位置に関する情報(第1の位置情報)と、移動速度算出部305により算出された移動通信端末300の移動速度に関する情報(第1の移動速度情報)とを管理棟16の管理コンピュータ200に送信する。また、通信部306は、近隣の無線アクセスポイント100を介して、電波強度検出部303により検出された電波強度に関する電波強度情報を管理コンピュータ200に送信する。
表示制御部307は、移動通信端末300の位置に関する情報、移動通信端末300の移動速度に関する情報、管理コンピュータ200から送信された近接情報、徐行指示情報、作業員40の位置に関する情報及び到達時間情報等を移動通信端末300のタッチパネル等に表示させる。
外部接続部308は、車両30の操縦席に設置されたクレードル等を介して、電力を供給される。また外部接続部308は、車両30の操縦席に設置されたクレードル等を介して、車両30の操縦席に設置されたディスプレイ等の機器と互いに情報を送受信してもよい。
なお、本実施形態の車両30に搭載される移動通信端末300では、車両30の走行の振動による外乱を避けるために、移動通信端末300の加速度及び方位の検出や、当該加速度及び当該方位に基づく移動通信端末300の位置及び移動速度の算出は原則として行われない。しかし、移動通信端末300は、実行されるアプリケーションプログラムにより、加速度及び方位に基づく移動通信端末300の位置及び移動速度の算出が行われないようにすればよく、加速度センサやジャイロセンサを有していてもよい。また、車両30は速度センサを有していてもよく、移動通信端末300は、外部接続部308を介して車両30の速度センサにより検出された車両30の移動速度を受信し、無線アクセスポイント100を介して管理コンピュータ200に送信してもよい。
以下、移動通信端末400の構成について詳述する。移動通信端末400は、上述した移動通信端末300と同様に、例えば、スマートフォン等の携帯電話機や、タブレット型の携帯通信端末である。移動通信端末400は、上述した移動通信端末300のCPU等の構成に加えて、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、気圧センサ、音波センサ及び歩数センサ等を有する。移動通信端末400は、例えば、トンネル13及び作業路の中に配置される作業員40の各員に一つずつ貸与される。
図4に示すように、移動通信端末400は、加速度検出部401、方位検出部402、電波強度検出部403、位置算出部404、移動速度算出部405、通信部406及び表示制御部407を有している。移動通信端末400も、移動通信端末300と同様に、ROMに記憶されているアプリケーションプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することで、上記の加速度検出部401等の各部の制御を実行する。
加速度検出部401は、移動通信端末400に内蔵された加速度センサ等の検出信号によって、移動通信端末400の加速度を検出する。方位検出部402は、移動通信端末400に内蔵されたジャイロセンサ、地磁気センサ等の検出信号によって、移動通信端末400の方位を検出する。第2の電波強度検出部である電波強度検出部403は、上記移動通信端末300の電波強度検出部303と同様にして、トンネル13及び作業路の中で近隣の無線アクセスポイント100から送信される電波の電波強度(第2の電波強度)を検出する。
第2の位置算出部である位置算出部404は、加速度検出部401により検出された加速度と、方位検出部402により検出された方位と、電波強度検出部403により検出された電波強度とに基づいて、移動通信端末400の位置(第2の位置)を算出する。位置算出部404は、例えば、加速度検出部401により検出された加速度と、方位検出部402により検出された方位とに基づいて、自律的に移動通信端末400の位置を算出する。また、位置算出部404は、上記移動通信端末400の位置算出部304と同様にして、電波強度検出部403により検出された電波強度に基づいて移動通信端末400の位置を算出する。位置算出部404は、加速度及び方位に基づいて自律的に算出された移動通信端末400の位置を、電波強度に基づいて算出された移動通信端末400の位置により補正することにより、移動通信端末400の位置を高精度で算出することができる。
第2の移動速度算出部である移動速度算出部405は、加速度検出部401により検出された加速度と、方位検出部402により検出された方位とに基づいて、移動通信端末400の移動速度(第2の移動速度)を算出する。移動速度算出部405は、加速度検出部401により検出された加速度を時間で積分演算することにより、移動通信端末400の移動速度を算出する。なお、移動速度算出部405は、電波強度検出部403により検出された電波強度に基づいて算出された移動通信端末400の位置を時間で微分演算することにより得られた移動通信端末400の移動速度により、加速度検出部401により検出された加速度を時間で積分演算することにより得られた移動通信端末400の移動速度を補正してもよい。
第2の通信部である通信部406は、近隣の無線アクセスポイント100を介して、位置算出部404により算出された移動通信端末400の位置に関する情報(第2の位置情報)と、移動速度算出部405により算出された移動通信端末400の移動速度に関する情報(第2の移動速度情報)とを管理棟16の管理コンピュータ200に送信する。
表示制御部407は、管理コンピュータ200から送信された近接情報、制限速度超過情報、到達時間情報及び緊急事態情報等を移動通信端末400のタッチパネル等に表示させる。
以下、本実施形態の管理システム10の主な用途について説明する。本実施形態では、トンネル13及びその他の作業路を走行する車両30には、上述した移動通信端末300が搭載される。また、発進基地15を出発して立坑12、トンネル13及びその他の作業路に配置される作業員40の各員は、上述した移動通信端末400を所持させられる。移動通信端末300及び移動通信端末400のそれぞれには、上述した処理を実行するためのアプリケーションプログラムが予めインストールされている。
車両30に搭載された移動通信端末300の電波強度検出部303により無線アクセスポイント100から送信される電波の電波強度を検出する工程と、位置算出部304により電波強度に基づいて移動通信端末300の位置を算出する工程と、移動速度算出部305により電波強度に基づいて移動通信端末300の移動速度を算出する工程と、通信部306により無線アクセスポイント100を介して移動通信端末300の位置に関する位置情報及び移動通信端末300の移動速度に関する移動速度情報を管理コンピュータ200に送信する工程とが実行される。
また、作業員40により所持された移動通信端末400の加速度検出部401により移動通信端末400の加速度を検出する工程と、方位検出部402により移動通信端末400の方位を検出する工程と、電波強度検出部403により無線アクセスポイント100から送信される電波の電波強度を検出する工程と、位置算出部404により加速度と方位と電波強度とに基づいて移動通信端末400の位置を算出する工程と、移動速度算出部405により加速度と方位とに基づいて移動通信端末400の移動速度を算出する工程と、通信部406により無線アクセスポイント100を介して移動通信端末400の位置に関する位置情報及び移動通信端末400の移動速度に関する移動速度情報を管理コンピュータ200に送信する工程とが実行される。
管理コンピュータ200は、車両30に搭載された移動通信端末300から送信された移動通信端末300の位置に関する位置情報及び移動通信端末300の移動速度に関する移動速度情報と、作業員40により所持された移動通信端末400から送信された移動通信端末400の位置に関する位置情報及び移動通信端末400の移動速度に関する移動速度情報とに基づいて、以下のような処理を実行する。
図5(A)に示すように、管理コンピュータ200の近接情報報知部202は、無線アクセスポイント100を介して移動通信端末300の通信部306から受信した情報に含まれる位置P1と、無線アクセスポイント100を介して移動通信端末400の通信部406から受信した情報に含まれる位置P2との距離が予め定められた距離閾値dth以下であるときに、無線アクセスポイント100を介して、移動通信端末300の通信部306及び移動通信端末400の通信部406の少なくともいずれかに、車両30と作業員40との近接に関する近接情報Iapを送信する。
この動作では、車両30と作業員40との距離が近いときに、車両30に搭載された移動通信端末300及び作業員40が所持する移動通信端末400の少なくともいずれかに、車両30と作業員40との近接に関する近接情報が送信されるため、トンネル13内での車両30と作業員40との連携を向上させることができる。
また、図5(B)に示すように、管理コンピュータ200の作業員位置報知部203は、無線アクセスポイント100を介して移動通信端末400の通信部406から受信した作業員40の位置P2に関する位置情報Ip2を、無線アクセスポイント100を介して移動通信端末300の通信部306に送信する。
この動作では、車両30に搭載された移動通信端末300に作業員40の位置P2に関する位置情報Ip2が送信されるため、作業員40の位置P2に車両30を呼び寄せる等の用途に利用でき、トンネル13内での車両30と作業員40との連携を向上させることができる。
また、図5(C)に示すように、管理コンピュータ200の制限速度超過報知部204は、無線アクセスポイント100を介して移動通信端末300の通信部306から受信した情報に含まれる移動速度V1が予め定められた制限速度を超過しているときに、無線アクセスポイント100を介して、移動通信端末400の通信部406に、車両30の制限速度超過に関する制限速度超過情報Iovを送信する。
この動作では、作業員40に所持された移動通信端末400に車両30の制限速度超過に関する制限速度超過情報Iovが送信されるため、作業員40に車両30の状況を把握させ、トンネル13内での車両30と作業員40との連携を向上させることができる。
また、図5(D)に示すように、管理コンピュータ200の徐行指示部205は、無線アクセスポイント100を介して移動通信端末300の通信部306から受信した情報に含まれる位置P1及び移動速度V1と、無線アクセスポイント100を介して移動通信端末400の通信部406から受信した情報に含まれる位置P2とに基づいて、車両30が作業員40の位置P2に到達するまでの到達時間を算出する。また、徐行指示部205は、算出された到達時間が予め定められた時間閾値以下であるときに、無線アクセスポイント100を介して、移動通信端末300の通信部306に、車両30への徐行指示を含む徐行指示情報Islを送信する。
この動作では、車両30が作業員40の位置P2に到達するまでの時間が短い場合には、車両30に搭載された移動通信端末300に車両30への徐行指示を含む徐行指示情報Islが送信されるため、トンネル13内での車両30の運行管理をより適切に行ない、トンネル13内での車両30と作業員40との連携を向上させることができる。
なお、図6(C)に示すように、管理コンピュータ200の徐行指示部205は、無線アクセスポイント100を介して移動通信端末300の通信部306から受信した情報に含まれる位置P1及び移動速度V1と、任意の指定位置P0とに基づいて、車両30が指定位置P0に到達するまでの到達時間を算出し、当該到達時間が予め定められた時間閾値以下であるときに、無線アクセスポイント100を介して、移動通信端末300の通信部306に、車両30への徐行指示を含む徐行指示情報Islを送信するようにしてもよい。
また、図5(E)に示すように、管理コンピュータ200の到達時間報知部206は、無線アクセスポイント100を介して移動通信端末300の通信部306から受信した情報に含まれる位置P1及び移動速度V1と、無線アクセスポイント100を介して移動通信端末400の通信部406から受信した情報に含まれる位置P2とに基づいて、車両30が作業員40の位置P2に到達するまでの到達時間を算出する。到達時間報知部206は、無線アクセスポイント100を介して、移動通信端末300の通信部306及び移動通信端末400の通信部406の少なくともいずれかに、到達時間に関する到達時間情報Iarを送信する。
この動作では、車両30に搭載された移動通信端末300及び作業員40が所持する移動通信端末400の少なくともいずれかに、車両30が作業員40の位置P2に到達するまでの到達時間に関する到達時間情報Iarが送信されるため、トンネル13内での車両30と作業員40との連携を向上させることができる。
なお、図6(B)に示すように、管理コンピュータ200の到達時間報知部206は、無線アクセスポイント100を介して移動通信端末300の通信部306から受信した情報に含まれる移動通信端末300の位置P1及び移動速度V1と、任意の目的位置Pgとに基づいて、車両30が目的位置Pgに到達するまでの到達時間を算出し、無線アクセスポイント100を介して、移動通信端末300の通信部306に、当該到達時間に関する到達時間情報Iarを送信してもよい。
あるいは、図6(A)に示すように、管理コンピュータ200の到達時間報知部206は、無線アクセスポイント100を介して移動通信端末400の通信部406から受信した情報に含まれる移動通信端末400の位置P2及び移動速度V2と、任意の目的位置Pgとに基づいて、作業員40が目的位置Pgに到達するまでの到達時間を算出し、無線アクセスポイント100を介して、移動通信端末400の通信部406に、当該到達時間に関する到達時間情報Iarを送信してもよい。
また、図5(F)に示すように、移動通信端末300の通信部306は、無線アクセスポイント100を介して、電波強度検出部303により検出された電波強度に関する電波強度情報を管理コンピュータ200に送信する。管理コンピュータ200の無線アクセスポイント管理部207は、無線アクセスポイント100を介して通信部306から受信した車両30の位置P1に関する位置情報と電波強度情報とに基づいて、複数の無線アクセスポイント100の内で故障が発生した無線アクセスポイント100を推定する。
無線アクセスポイント管理部207は、例えば、車両30の位置P1における電波強度が正常値よりも判定閾値を超えて下回っている場合に、位置P1の近傍の無線アクセスポイント100が故障していると判定することができる。また、電波強度検出部303により検出された電波強度が、車両30の位置P1を算出することが不可能なほど低い場合は、無線アクセスポイント管理部207は、車両30の位置を算出不可能になる前に車両30の位置を算出することができた位置P1における移動速度V1に基づいて、車両30の現在位置を予測し、予測された当該現在位置の近傍の無線アクセスポイント100が故障していると判定することができる。
この動作では、管理コンピュータ200により、無線アクセスポイント100を介して車両30に搭載された移動通信端末300から受信した車両30の位置に関する情報と無線アクセスポイント100から送信される電波の電波強度に関する情報とに基づいて、複数の無線アクセスポイント100の内で故障が発生した無線アクセスポイント100が推定されるため、簡単な手法でトンネル13内の管理システム10の保守及び点検が可能となる。
また、図6(D)に示すように、管理コンピュータ200の緊急報知部208は、トンネル13及び作業路の中で緊急事態が発生した場合に、無線アクセスポイント100を介して作業員40に所持された移動通信端末400から受信した情報に含まれる作業員の位置P2に基づいて、当該緊急事態が生じた位置付近に配置された作業員40に所持された移動通信端末400に当該緊急事態に関する緊急事態情報Iemを送信する。この動作では、緊急事態が生じた位置付近に配置された作業員40に当該緊急事態に関する緊急事態情報Iemが報知されるため、当該緊急事態に関係が少ない他の作業員40を混乱させることなく、緊急事態情報Iemを必要な作業員40に報知することができる。
あるいは、管理コンピュータ200の作業状況分析部209は、無線アクセスポイント100を介して車両30に搭載された移動通信端末300から受信した情報に含まれる車両30の位置及び移動速度や、無線アクセスポイント100を介して作業員40に所持された移動通信端末400から受信した情報に含まれる作業員40の位置及び移動速度に基づいて、車両30及び作業員40の作業状況を分析する。また、管理コンピュータ200の健康管理部210は、無線アクセスポイント100を介して作業員40に所持された移動通信端末400から受信した情報に含まれる作業員40の位置、移動速度及び歩数等に基づいて、作業員40のそれぞれの健康状態を管理する。本実施形態の管理システムでは、車両30及び作業員40の位置及び移動速度等を高い精度で検出することが可能であるため、作業状況の分析や、健康管理を効率良く行うことができる。
本実施形態の移動通信端末300、移動通信端末400及び管理システム10では、車両30に搭載された移動通信端末300の電波強度検出部303により無線アクセスポイント100から送信される電波の電波強度が検出され、位置算出部304により電波強度に基づいて移動通信端末300の位置P1が検出される。このため、ICタグを用いた方法に比べて、無線アクセスポイント100の間隔による検出精度の依存度が低く、車両30の位置の検出精度を向上させることができる。また、作業員40に所持された移動通信端末400の加速度検出部401により加速度が検出され、方位検出部402により方位が検出され、電波強度検出部403により無線アクセスポイント100から送信される電波の電波強度が検出され、位置算出部404により加速度、方位及び電波強度に基づいて移動通信端末400の位置P2が検出される。このため、作業員40の位置の検出精度を車両30の位置の検出精度よりもさらに向上させることができる。
また、本実施形態では、移動通信端末300の移動速度算出部305により、電波強度検出部303により検出された電波強度に基づいて、の移動通信端末300の移動速度V1が算出され、移動速度V1に関する情報が管理コンピュータ200に送信されるため、トンネル13内での車両30の運行管理をより適切に行うことができる。
特に本実施形態の車両30に搭載される移動通信端末300では、移動通信端末300の加速度及び方位の検出や、当該加速度及び当該方位に基づく移動通信端末300の位置P1及び移動速度V1の算出は原則として行われないため、車両30の走行の振動による外乱を避けることができる。
また、本実施形態では、移動通信端末400の移動速度算出部405により、加速度検出部401により検出された加速度と方位検出部402により検出された方位とに基づいて、移動通信端末400の移動速度V2が算出され、移動速度V2に関する情報が管理コンピュータ200に送信されるため、トンネル13内での作業員40の管理をより適切に行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。例えば、上記実施形態では、シールド工法でトンネルを構築する場合について中心に説明したが、本発明は山岳工法でトンネルを構築する場合にも同様に適用することができる。
例えば、トンネル13又は車両30の状態により車両30の走行の振動による外乱を考慮しなくともよい状況においては、移動通信端末300は、移動通信端末400と同様に、移動通信端末300の加速度及び方位の検出や、当該加速度及び当該方位に基づく移動通信端末300の位置P1及び移動速度V1の算出を行ってもよい。この場合、移動通信端末400が車両30に搭載されてもよい。さらに、状況に応じて、加速度及び方位の検出や、当該加速度及び当該方位に基づく位置P1及び移動速度V1の算出が行われない移動通信端末300が作業員40により所持されてもよい。つまり、移動通信端末300及び移動通信端末400のそれぞれは、車両30及び作業員40のいずれのためにも適用することができる。