JP2017150343A - 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置 - Google Patents

密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置 Download PDF

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稲垣 耕
Ko Inagaki
耕 稲垣
賢治 金城
Kenji Kaneshiro
賢治 金城
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【課題】信頼性と効率を向上した密閉型圧縮機とそれを用いた冷凍装置の提供。【解決手段】圧縮要素のシャフトに設けた主軸部120は、直径が等しい上摺動部140および下摺動部142と、上摺動部140と下摺動部142の間に配置され、上摺動部140および下摺動部142より小さい直径を有する中抜き部144a、144b、144cとからなり、前記中抜き部144a、144b、144cには突起部160a、160bを設けた構成としてある。これにより、主軸部120の加工精度を安定させることができ、信頼性を向上することができるとともに、摺動面積を小さくすることで、摺動損失を低減し、効率を向上することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、密閉型圧縮機およびそれを用いた冷蔵庫等の冷凍装置に関するものである。
近年、地球環境保護に対する要求から家庭用冷蔵庫等は、ますます省エネ化への動きが加速されている。
このような中にあって、従来、この種の冷蔵庫等に用いられている密閉型圧縮機には、シャフトの主軸部外周面に、給油のための巻き数が1巻き以上のスパイラル溝を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら、前記従来技術の密閉型圧縮機について説明する。
図7は、特許文献1に記載された従来の密閉型圧縮機の縦断面図である。
図7において、密閉容器2の底部には潤滑油4が貯留されており、圧縮機本体6は、サスペンションスプリング8によって密閉容器2に対し弾性的に支持されている。
圧縮機本体6は、固定子14および回転子16とから構成された電動要素10と、この電動要素10の上方に配設された圧縮要素12から構成されている。
圧縮要素12のシャフト18は、主軸部20と、主軸部20の上側に延出する偏心軸部22とを備えており、主軸部20はシリンダブロック24に形成された主軸受26に回転自在に軸支されるとともに、回転子16が嵌装されている。主軸部20は、主軸受26と微小な隙間を介して対向する上摺動部40と下摺動部42を備えている。
上摺動部40と下摺動部42の間には、主軸受26の間で発生する粘性摩擦を低減するため、上摺動部40および下摺動部42より直径が小さい中抜き部44を備えている。
また、主軸部20の下端20aは密閉容器2の底部の潤滑油4内に浸漬し、シャフト18は、主軸部20の下端20aから、主軸部20の表面に設けたらせん状の給油溝32などを経由して、偏心軸部22へ至る給油機構30を備えている。
また、シリンダブロック24は円筒状の穴部であるシリンダ34を備えており、ピストン36がシリンダ34に往復自在に挿入されるとともに、コンロッド38は偏心軸部22とピストン36とを連結している。
以上のように構成された従来の密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
電動要素10に通電されると、回転子16の回転に伴ってシャフト18も回転する。偏心軸部22が旋回運動することで、コンロッド38により連結されたピストン36が往復運動し、シリンダ34内で冷媒ガスを圧縮する。冷媒ガスを圧縮する際の荷重は、コンロッド38を介して偏心軸部22へ作用し、主軸部20の上摺動部40および下摺動部42の外周面と、主軸受26の内周面で形成されるすべり軸受で荷重を支持している。
特開2013−224605号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の圧縮機構成では、粘性摩擦を低減するため、中抜き部44の幅を大きくすると、製造時に行う主軸部20の研磨時に、図8に示すように上摺動部40および下摺動部42上に給油溝32などが形成されている部分では、砥石Aと接する摺動部の面積が極端に小さくなる。この結果、この部分では砥石Aによる研磨力が上摺動部40と下摺動部42とでアンバランスとなって主軸部20に微細な振動が生じ、加工状態が不安定になるため、加工精度が低下する。その結果、運転時に主軸部20の上摺動部40および/または下摺動部42で摩耗が発生するなどして信頼性が低下するという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、主軸部の精度向上により信頼性を向上するとともに、主軸部の摺動面積をさらに小さくして粘性摩擦を低減し効率を向上した密閉型圧縮機とそれを用いた冷凍装置を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の密閉型圧縮機は、主軸部が、直径の等しい上摺動部および下摺動部と、前記上摺動部と下摺動部の間に配置され、前記上摺動部および下摺動部より小さい直径を有する中抜き部とからなり、かつ前記中抜き部に突起部を設けた構成としてある。
これにより、主軸部の粘性摩擦を低減するため中抜き部の幅を大きくしていても主軸部研磨時の砥石は上摺動部および下摺動部とともに突起部にも接するので、主軸部の加工精度を安定させることができ、この加工精度を安定させることで、主軸部の加工精度が向上し、信頼性を向上することができるとともに、主軸部の摺動面積を低減して摺動損失をさらに低減し効率を向上することができる。
本発明の密閉型圧縮機は、加工を安定させることで主軸部の加工精度が向上し、信頼性を向上することができるとともに、主軸部の摺動面積を低減して摺動損失をさらに低減することで、効率を向上することができる。また、この密閉型圧縮機を用いた冷蔵庫等の冷凍装置は、密閉型圧縮機の信頼性向上により冷凍装置の信頼性を向上することができるとともに、密閉型圧縮機の効率向上によって冷凍装置の消費電力を低減することができる。
本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態における主軸部の拡大図 同実施の形態における主軸部の拡大図 本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態における主軸部の拡大図 本発明の実施の形態3における冷凍装置としての冷蔵庫の概略断面図 従来の密閉型圧縮機の縦断面図 密閉型圧縮機のシャフト研磨加工を説明する概略図
第1の発明の密閉型圧縮機は、密閉容器内に潤滑油を貯溜するとともに、固定子と回転子を備えた電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素とを収容し、前記圧縮要素は、前記回転子が固定された主軸部と偏心軸部と給油機構とを備えたシャフトと、前
記シャフトの前記主軸部を軸支する主軸受とシリンダとを備えたシリンダブロックと、前記シリンダの内部に往復動可能に挿設されたピストンと、前記ピストンと前記偏心軸部とを連結するコンロッドとを備え、前記主軸部は、直径が等しい上摺動部および下摺動部と、前記上摺動部と前記下摺動部の間に配置され、前記上摺動部および前記下摺動部より小さい直径を有する中抜き部とからなり、かつ、前記中抜き部には突起部を設けた構成としてある。
これにより、主軸部の粘性摩擦を低減するため中抜き部の幅を大きくしていても主軸部研磨時の砥石は上摺動部および下摺動部とともに突起部にも接するので、主軸部の加工精度を安定させることができ、この加工を安定させることで主軸部の加工精度が向上し、信頼性を向上することができるとともに、主軸部の摺動面積を低減して摺動損失をさらに低減し効率を向上することができる。
第2の発明は、特に第1の発明の密閉型圧縮機の突起部が、上摺動部および下摺動部のの研磨後に上摺動部および下摺動部の外周面より小径となるように加工した構成としてある。
これにより、突起部で生じる粘性摩擦を小さくすることができるので、摺動損失をさらに低減し効率を向上することができる。
第3の発明は、特に第1の発明の密閉型圧縮機の突起部が、上摺動部および下摺動部と等しい直径を有するものである。
これにより、主軸部の外周面を研磨後に、突起部の直径が小さくなるような加工を行わなくてもよいため、加工工数が減少し、製造時のコストを低減することができる。
第4の発明は、特に第1から第3のいずれかの発明の密閉型圧縮機において、主軸部の表面には、下摺動部から上摺動部に至るらせん状の給油溝を有し、少なくとも前記上摺動部または前記下摺動部のいずれか一方の前記給油溝を通る接線上部分に、突起部が形成されている構成としたものである。
これにより、上摺動部や下摺動部の給油溝が位置して摺動部面積が小さくなる部分は突起部が存在して、主軸部研磨時の砥石は必ずこの突起部に接するようになるので、加工を安定させ、精度を向上し、信頼性を向上する効果が顕著になる。
第5の発明は、特に第1から第3のいずれかの発明の密閉型圧縮機において、突起部は複数設けたものである。
これにより、上摺動部および下摺動部の給油溝が位置する接線上部分に、確実に突起部を配置することができるので、加工を安定させ、精度を向上し、信頼性を向上する効果が顕著となる。
第6の発明は、特に第1から第5のいずれかの発明の密閉型圧縮機において、電動要素は、商用電源周波数より小さい回転数を含む複数の回転数で駆動する構成としたものである。
これにより、負荷の低い時に圧縮機を低回転で運転することができるので、消費電力を低減することができる。
第7の発明は、第6の発明の密閉型圧縮機において、主軸部の下端から下摺動部の表面
に設けた下連通孔へ遠心力により潤滑油を搬送する遠心ポンプを設けた構成としてある。
これにより、主軸部の直径を大きくして、得られる遠心力を大きくすることができるので、低回転で運転する際も確実に潤滑油を搬送することができ、信頼性を向上することができるとともに、主軸部の直径が大きくなっても、中抜き部を拡大することで、摺動損失を低減できる。
第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明の密閉型圧縮機を用いた冷凍装置である。
これにより、効率および信頼性が高い密閉型圧縮機の搭載により、冷凍装置の消費電力を低減することができるとともに、信頼性も向上することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における密閉型圧縮機の縦断面図、図2は同実施の形態における主軸部の拡大図である。
図1および図2において、密閉容器102内底部に潤滑油104を貯留するとともに、圧縮機本体106がサスペンションスプリング108により密閉容器102内で内部懸架されている。また、密閉容器102には、温暖化係数の低い冷媒ガスであるR600a(イソブタン)が充填されている。また、潤滑油104は、密閉型圧縮機の高効率化により消費電力を低減するため、粘度グレードがVG8以下、望ましくは、VG5程度の粘度の低いものを使用している。
圧縮機本体106は、電動要素110と、これによって駆動される圧縮要素112とからなり、密閉容器102には電動要素110に電源を供給するための電源端子113が取り付けられている。
まず、電動要素110について説明する。
電動要素110は、鋼板を積層した鉄心の複数の磁極歯に絶縁材を介して巻線(図示せず)を直接巻回した固定子114と、固定子114の内径側に配置された永久磁石(図示せず)を内蔵した回転子116とを備えた突極集中巻方式のDCブラシレスモータである。固定子114の巻線は電源端子113を経由して密閉型圧縮機外のインバータ回路(図示せず)と導線により接続され、電動要素110は商用電源周波数より小さい回転数を含む複数の回転数で駆動される。
次に、圧縮要素112について説明する。
圧縮要素112は電動要素110の上方に配設されている。
圧縮要素112を構成するシャフト118は、垂直方向に配置され、主軸部120と、主軸部120上端から延出し、主軸部120と平行な偏心軸部122と、を備えている。また、主軸部120には回転子116が焼嵌めなどの方法で固定されている。
シリンダブロック124は、円筒形の内面を有する主軸受126を備え、主軸受126に主軸部120が回転自在な状態で挿入されることでシャフト118が支持されている。そして、圧縮要素112は、偏心軸部122に作用した荷重を偏心軸部122の下側に配
置された主軸部120と主軸受126で支持する片持ち軸受の構成になっている。
また、シリンダブロック124は円筒状の穴部であるシリンダ134を備えており、ピストン136がシリンダ134に往復自在に挿入されている。コンロッド138は、偏心軸部122とピストン136とを連結している。
シリンダ134の端面にはバルブプレート146が取り付けられ、シリンダ134およびピストン136とともに圧縮室148を形成する。さらに、バルブプレート146を覆って蓋をするようにシリンダヘッド150が固定されている。吸入マフラ152は、PBTなどの樹脂で成型され、内部に消音空間を形成し、シリンダヘッド150に取り付けられている。
次に主軸部120および給油機構130について説明する。
主軸部120は、主軸受126と10μm程度の微小な隙間を介して対向する上摺動部140および下摺動部142と、前記上摺動部140と下摺動部142の間に配置され、上摺動部140および下摺動部142より直径が小さい中抜き部144a、144b、144cを備えている。中抜き部144a、144b、144cの直径は、主軸受126の内径より200μm以上小さいことが望ましい。
また、中抜き部144a、144b、144cには、2箇所の突起部160a、160bが設けられている。
主軸部120下部の内部には、円筒状の穴で形成された遠心ポンプ154が備えられている。主軸部120の下端120aは、密閉容器102内底部に貯留された潤滑油104に浸漬しており、遠心ポンプ154の下端は潤滑油104に連通している。また、遠心ポンプ154の上部と下摺動部142表面は、下連通孔156により連通している。さらに、上摺動部140には、シャフト118内部を通り、偏心軸部122へ連通する上連通孔158(図2参照)が設けられている。
主軸部120の外表面には、図2に示すように下連通孔156から上連通孔158に至る、らせん状の給油溝132が設けられている。主軸部120の下端の遠心ポンプ154から、下連通孔156、給油溝132、上連通孔158を経由して偏心軸部122へ至る、一連の給油機構130を形成している。
上摺動部140および下摺動部142に給油溝132などが配置され、摺動部の面積が少なくなる接線上部分に、突起部160a、160bによる摺動部が配置されるように形成されている。
図2を用いて具体的に説明すると、上連通孔158または/および給油溝132が位置する接線B上(主軸部研磨時に砥石が接することになる線上)は上連通孔158または/および給油溝132が存在する分だけ摺動部の面積が少なくなるので、当該部分に突起部160aが位置(図面上では丸で囲んだ領域160cが位置)する様に構成してある。また、下摺動部142も同様に、主軸部120の研磨時に砥石が接する下摺動部142の接線B上であって下連通孔156および給油溝132が位置する部分では、突起部160bが位置(図面上では丸で囲んだ領域160dが位置)する様に構成してある。
従って、上摺動部140、下摺動部142の外周面を研磨する際には、主軸部120の全周にわたり、上摺動部140、下摺動部142、突起部160a、160bのいずれかの外周面が存在することになる。
さらに、突起部160a、160bは、製造の際、主軸部120の上摺動部140と下摺動部142の外周面を研磨後に、直径が小さくなるように加工されている。突起部160a、160bの直径は、主軸受126の内径より100μm以上小さいことが望ましい。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
電源端子113より電動要素110に通電されると、固定子114に発生する磁界により回転子116はシャフト118とともに回転する。
シャフト118の回転により、密閉容器102底部の潤滑油104は、遠心ポンプ154より、下連通孔156、給油溝132を経由し、下摺動部142および上摺動部140を潤滑し、さらに、上連通孔158を経由して偏心軸部122へ供給され、他の摺動部の潤滑を行う。
また、主軸部120の回転に伴い、偏心軸部122は偏心回転し、コンロッド138により変換され、ピストン136をシリンダ134内で往復運動させる。そして、圧縮室148が容積変化することで、密閉容器102内の冷媒ガスを圧縮室148内に吸入し、圧縮する動作を行う。
圧縮動作を行う際の、圧縮室148の冷媒ガスによる圧縮荷重は、ピストン136やコンロッド138を介して、シャフト118の偏心軸部122へ作用する。
上摺動部140と下摺動部142は、主軸受126と微小な隙間を介して対向し、この隙間には潤滑油が介在することですべり軸受を構成しているので、偏心軸部122に作用した圧縮荷重を主軸部120で支持することができる。
また、シャフト118が回転する際に、上摺動部140と下摺動部142には粘性摩擦が作用するが、密閉型圧縮機の高効率化の観点からは、上摺動部140と下摺動部142の面積は、必要な荷重を支持できる範囲でなるべく小さいことが望ましい。
ここで、上摺動部140と下摺動部142の面積を小さくするということは、シャフト118製造時に主軸部120に砥石が接する面積が少なくなって砥石から加わる研磨力がアンバランスとなり主軸部120が振動して加工精度が低下しやすくなるのであるが、この実施の形態では上摺動部140と下摺動部142との間の中抜き部144a、144b、144cに設けた突起部160a、160bが砥石に接する。したがって、この主軸部120は上連通孔158や下連通孔156および給油溝132が位置して砥石と接する面積が少なくなる部分でも上摺動部140と突起部160aの領域160c、下摺動部142と突起部160bの領域160dが砥石と接して加工状態が安定する。すなわち、主軸部120の外周面の研磨を行う際、上摺動部140と下摺動部142に加え、突起部160a、160bも砥石と接するので、全周にわたって砥石と接する面が存在する形となり、加工状態が安定する。そして、部品の精度が向上する。
また、突起部160a、160bは上摺動部140側および下摺動部142側にと複数箇所に設けたので、主軸部研磨の際に全周にわたって砥石と接する面を配置することが容易になり、より確実に加工状態を安定させることができる。
そして、部品の精度が向上することにより、油膜の破断が起こりにくくなり、主軸部での摩耗の発生が防止できるので、信頼性が向上する。
このように、信頼性が向上した主軸部においては、上摺動部140と下摺動部142のそれぞれの幅をさらに小さく、中抜き部144a、144b、144cの幅を大きく選択することが可能となるので、摺動損失を小さくすることができる。
さらに、突起部160a、160bは、主軸部120の上摺動部140と下摺動部142の外周面を研磨後に、直径が小さくなるように加工されているので、製品として使用する際には、突起部160a、160bと主軸受126の間の隙間は大きくなり、粘性摩擦の発生を抑制できるので、密閉型圧縮機の効率をさらに向上することができる。
次に、電動要素110が商用電源周波数より小さい回転数を含む複数の回転数で駆動されることで、負荷の低い時に圧縮機を低回転で運転することができるので、消費電力を低減することができる。
特に、シャフト118下端に遠心ポンプ154を設けた密閉型圧縮機にて、商用電源周波数以下の低回転、特に20r/sを下回る極めて低い回転数で運転する際に、遠心ポンプ154の揚程を確保するためには、回転半径を大きくして遠心力を得る必要があり、主軸部120の外径は18mm程度必要となる。
本発明によれば、十分な遠心力が得られる程度に主軸部120の直径を大きくしても、上摺動部140および下摺動部142の幅を小さくすることで、摺動損失を低減できる。従って、複数の回転数で運転される密閉型圧縮機において、効率向上の効果が顕著である。
なお、本実施の形態では、中抜き部に上摺動部140側および下摺動部142側の上下二箇所の突起部160a、160bを設けたが、上記突起部160a、160bはいずれか一方だけであっても、加工状態を改善する効果を得ることができ、信頼性を向上し、摺動損失を低減することができる。すなわち、図3に示すように、突起部160eは一つにして、上摺動部140および下摺動部142の砥石が接する接線上Bであって給油溝132が位置し砥石との接触面積が少なくなる部分160f、160gに前記突起部160eが位置するように設けてもよく、同様の効果を得ることができる。また、さらに、突起部は3箇所以上設けてもよい。
(実施の形態2)
図4は、本発明の第2の実施の形態における密閉型圧縮機の縦断面図である。図5は、同実施の形態における主軸部の拡大図である。
主軸部120は、上摺動部140と下摺動部142の間に配置され、上摺動部140および下摺動部142より直径が小さい中抜き部144dを備えている。
また、中抜き部144dには、2箇所の突起部160h、160iが設けられている。
実施の形態1の突起部160a、160bは、それぞれ上下端が水平である環状の形状としたが、本実施の形態の突起部160h、160iは、らせん状の形状をなし、同じくらせん状の給油溝132に沿って配置されている。
すなわち、上摺動部140に上連通孔158および給油溝132が位置する部分では摺動部の面積が少なくなるので、当該部分に突起部160hおよび160iが位置(図面上では丸で囲んだ領域160Jが位置)する様に構成してある。また、同様に、下摺動部142に下連通孔156および給油溝132が位置する部分では摺動部の面積が少なくなる
ので、当該部分に突起部160hおよび160iが位置(図面上では丸で囲んだ領域160Kが位置)する様に構成してある。
また、実施の形態1の突起部160a、160bは、製造の際、主軸部120の上摺動部140と下摺動部142の外周面を研磨後に、直径が小さくなるように加工されていたが、本実施の形態では、主軸部120の上摺動部140と下摺動部142とともに突起部160h、160iの外周面が研磨され、直径が等しい状態となっている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
シャフト118の製造の際には、主軸部120の外周面の研磨を行うが、前記実施の形態1と同様、上摺動部140と下摺動部142に加え、突起部160h、160iも砥石と接するので、全周にわたって砥石と接する面が存在する形となり、加工状態が安定する。その結果、部品の精度が向上し、密閉型圧縮機の性能が向上するとともに、信頼性が向上する。
特に、らせん状の給油溝132に沿って突起部160h、160iを形成しているので、突起部160h、160iが給油溝132と交差することが無くなり、全周にわたって突起部160h、160iを配置することができ、加工状態を安定させる効果をより確実に得ることができる。
また、主軸部120の上摺動部140と下摺動部142の外周面を研磨後に、突起部160h、160iの直径が小さくなるような加工を行わないため、製造時のコストを低減することができる。
なお、本実施の形態では、突起部160h、160iをらせん状の形状としたが、少なくとも上摺動部140と下摺動部142の砥石と接する面積が少なくなる部分のいずれか一方に対応して突起部が位置する様に設けてあれば、その他の形状であっても同様の効果を得ることができる。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3における冷凍装置としての冷蔵庫の概略断面図を示す。
図6において、断熱箱体262はABSなどの樹脂体を真空成型した内箱264とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱266とで構成された空間に発泡充填する断熱体268を注入してなる断熱壁を備えている。断熱体268は、例えば硬質ウレタンフォームやフェノールフォームやスチレンフォームなどが用いられる。発泡材としてはハイドロカーボン系のシクロペンタンを用いると、温暖化防止の観点でさらによい。
断熱箱体262は、複数の断熱区画に区分されており、上部を回転扉式、下部を引出し式とする構成をとってある。上から冷蔵室270、並べて設けた引出し式の切替室272および製氷室274と、引出し式の野菜室276と引出し式の冷凍室278となっている。各断熱区画にはそれぞれ断熱扉がガスケットを介して設けられている。上から冷蔵室回転扉280、切替室引出し扉282、製氷室引出し扉284、野菜室引出し扉286、冷凍室引出し扉288である。
また、断熱箱体262の外箱266は、天面後方を窪ませた凹み部290を備えている。
冷凍サイクルは、凹み部290に弾性支持して配設した密閉型圧縮機292と、断熱箱
体262側面などに設けた凝縮器(図示せず)と、減圧器であるキャピラリ294と、水分除去を行うドライヤ(図示せず)と、野菜室276と冷凍室278の背面で冷却ファン296を近傍に配置して設けた蒸発器298と、吸入配管300とを環状に接続して構成されている。
ここで、上記密閉型圧縮機292は、実施の形態1で説明した圧縮機を用いている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、各断熱区画の温度設定と冷却方式について説明する。冷蔵室270は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1℃〜5℃で設定されている。
切替室272は、ユーザーの設定により温度設定を変更可能であり、冷凍室温度帯から冷蔵、野菜室温度帯まで所定の温度設定にすることができる。また、製氷室274は独立の氷保存室であり、自動製氷装置(図示せず)を備えて、氷を自動的に作製、貯留するものである。氷を保存するために冷凍温度帯であるが、氷の保存が目的であるために冷凍温度帯よりも比較的高い−18℃〜−10℃の冷凍温度で設定されることも可能である。
野菜室276は、冷蔵室270と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが多い。凍らない程度で低温にするほど、葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。
冷凍室278は、冷凍保存のために通常−22℃〜−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、例えば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。
各室は異なる温度設定を効率的に維持するために断熱壁によって区分されているが、低コストでかつ断熱性能を向上させる方法として断熱体268で一体に発泡充填することが可能である。発泡スチロールのような断熱部材を用いるのに比べて約2倍の断熱性能とすることができ、仕切りの薄型化による収納容積の拡大などができる。
次に、冷凍サイクルの動作について説明する。
庫内の設定された温度に応じて温度センサ(図示せず)および制御基板からの信号により冷却運転が開始および停止される。冷却運転の指示により密閉型圧縮機292が所定の圧縮動作を行い、吐出された高温高圧の冷媒ガスは、凝縮器(図示せず)にて放熱して凝縮液化し、キャピラリ294で減圧されて低温低圧の液冷媒となり蒸発器298に至る。
冷却ファン296の動作により、庫内の空気と熱交換されて蒸発器298内の冷媒ガスは蒸発気化され、熱交換された低温の冷気をダンパ(図示せず)などで分配することで各室の冷却が行われる。
以上のような動作を行う冷蔵庫の密閉型圧縮機292は、実施の形態1または実施の形態2で説明したように構成されており、具体的には、主軸部は、直径が等しい上摺動部と下摺動部と、上摺動部と下摺動部の間に配置され、上摺動部および下摺動部より小さい直径を有する中抜き部と、中抜き部に突起部を設けたものである。
これにより、主軸部の精度を向上させることができるので、摩耗の発生等を防止し、密閉型圧縮機292の信頼性を向上することができ、冷蔵庫の信頼性も向上することができる。
さらに、信頼性を向上することで、主軸部の中抜き部を拡大することができるので、摺動損失を低減させ、密閉型圧縮機292の効率を向上することができ、冷蔵庫の消費電力を低減することができる。
以上のように本発明は、密閉型圧縮機の効率と信頼性を向上し、冷凍装置の消費電力低減と信頼性向上を図ることができ、家庭用電気冷凍冷蔵庫に限らず、エアーコンディショナー、自動販売機、業務用冷凍冷蔵庫やその他の冷凍装置等に広く適用できる。
102 密閉容器
104 潤滑油
110 電動要素
112 圧縮要素
114 固定子
116 回転子
118 シャフト
120 主軸部
122 偏心軸部
124 シリンダブロック
126 主軸受
130 給油機構
132 給油溝
134 シリンダ
136 ピストン
137 ピストンピン
138 コンロッド
140 上摺動部
142 下摺動部
144a、144b、144c、144d 中抜き部
154 遠心ポンプ
156 下連通孔
160a、160b、160e、160h、160i 突起部
292 密閉型圧縮機

Claims (8)

  1. 密閉容器内に潤滑油を貯溜するとともに、固定子と回転子を備えた電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素とを収容し、前記圧縮要素は、前記回転子が固定された主軸部と偏心軸部とを備えたシャフトと、前記シャフトの前記主軸部を軸支する主軸受とシリンダとを備えたシリンダブロックと、前記シリンダの内部に往復動可能に挿設されたピストンと、ピストンと前記偏心軸部とを連結するコンロッドとを備え、
    前記主軸部は、直径が等しい上摺動部および下摺動部と、前記上摺動部と前記下摺動部の間に配置され、前記上摺動部および前記下摺動部より小さい直径を有する中抜き部とからなり、かつ、前記中抜き部には突起部を設けた密閉型圧縮機。
  2. 突起部は、上摺動部および下摺動部の研磨後に上摺動部および下摺動部の外周面より小径となるように加工された請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  3. 突起部は、上摺動部および下摺動部と等しい直径を有する請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  4. 主軸部の表面に、下摺動部から上摺動部に至るらせん状の給油溝を有し、少なくとも前記上摺動部または前記下摺動部のいずれか一方の前記給油溝を通る接線上部分に、突起部が形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  5. 突起部は複数設けた請求項1から4のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  6. 電動要素は商用電源周波数より小さい回転数を含む複数の回転数で駆動される請求項1から5のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  7. 主軸部の下端から下摺動部の表面に設けた下連通孔へ遠心力により潤滑油を搬送する遠心ポンプを設けた請求項6に記載の密閉型圧縮機。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機を用いた冷凍装置。
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