JP2005133684A - 密閉型圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】密閉型圧縮機のピストンに関し、特に低速運転の振動を低減する。
【解決手段】密閉容器102内に商用電源周波数未満の回転数を含む複数の回転数で運転する電動要素206と、電動要素206によって駆動する圧縮要素208とを収容し、圧縮要素208はシリンダー142内を往復動するピストン250を備え、ピストン250は少なくとも一部が樹脂によって形成されることにより、ピストン250を軽量化し、ピストン250の往復動に伴う加振力を低減し、特に低速運転における振動を低減することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は電気冷蔵庫やその他の冷凍サイクル装置等に使用されるインバーター制御方式の密閉型圧縮機に関するものである。
近年、冷蔵庫やその他の冷凍サイクル装置等において、低振動化の必要性が高まっている。
特に、インバーター制御により運転回転数を可変速する方式の往復動式の密閉型圧縮機においては、低速回転により消費電力を低減することができる反面、低速運転時の振動が大きくなることが課題となっている。
従来の密閉型圧縮機としては、R600aを主体とする冷媒を用い、かつ振動が小さくするための改善をしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
以下、図7から図8を参照しながら、上記従来の密閉型圧縮機について説明する。
図7は従来の密閉型圧縮機の側面図である。
図7において、密閉容器102内には、下方に配置された電動要素106と、上方に配置された圧縮要素108を一体化した電動圧縮要素110が、サスペンションスプリング112を介して支持されて収容される。また、この密閉型圧縮機は温暖化係数の低い炭化水素系冷媒であるR600aを圧縮する。
電動要素106は、永久磁石を内蔵するロータ120と、ステータ122で構成されている。
次に圧縮要素108の詳細を以下に説明する。
クランクシャフト130は、ロータ120を圧入固定した主軸132および主軸132に対し偏心して形成された偏心軸134を有するとともに、バランスウェイト部136を主軸132と偏心軸134の間に有している。
シリンダーブロック140は、略円筒形のシリンダー142を有するとともに主軸132を軸支する軸受部144を有し、電動要素106の上方に形成されている。
ピストン150は、鉄などの金属で形成され、シリンダー142に往復動自在に挿入される。また、ピストン150は偏心軸134との間を連結手段152によって連結されている。
バランスウェイト160は、鉄板を積層して形成され、ロータ120の上面に固定される。バルブプレート162は、シリンダー142の端面142aに、高圧室を形成するシリンダヘッド164、PBTなどの樹脂で成型される吸入マフラー166と共に取り付けられている。
サスペンションスプリング112は、図7の断面を中心に4箇所に設けてあり、密閉容器102に固定されたスナブバー170および電動要素106のステータ122に固定されたスナブバー172の間に嵌装されている。
密閉容器102には、ハーメチックターミナル174や吸入管176、吐出管178が溶接等により固定されている。吸入管176と吐出管178は冷却システムの低圧側と高圧側(図示せず)にそれぞれ接続されている。
インバーター装置180は、ハーメチックターミナル174を介して、ステータ122と接続される。インバーター装置180をコントロールする制御回路182は、商用電源184に接続されている。
なお、一般に密閉型圧縮機の消費電力は運転周波数が低いほど小さくなるが、同時に冷凍能力も低下する。また一方で、周囲温度などの条件によって必要な冷凍能力は変化するため、適切な運転周波数も変化する。このため、インバーター装置は商用電源の周波数に対しその半分程度から商用電源の周波数を超える程度までの間で複数の出力周波数が予め設定され、例えば周囲温度などに基づいて必要な冷凍能力に応じた適切な出力周波数を選択する。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
商用電源184から供給される電力は制御回路182、インバーター装置180を介して電動要素106に供給され、ロータ120を所定の回転数で回転させる。ロータ120はクランクシャフト130を回転させ、偏心軸134の偏心運動が連結手段152を介してピストン150に伝えられることで、ピストン150はシリンダー142内を往復運動する。
冷媒ガスは、冷却システム(図示せず)から吸入管176を通して密閉容器102内に導かれた後、吸入マフラー166から吸入され、シリンダー142内で連続して圧縮され、吐出管178より冷却システムへ再び吐き出される。
またこの際、ピストン150がシリンダー142内で往復運動することで不平衡な振動エネルギーが発生するが、この振動エネルギーをバランスウェイト部136およびバランスウェイト160によって打ち消している。
特開2003−3958号公報
しかしながら、上記従来の構成のような単気筒の圧縮機では、往復運動による振動をバランスウェイトで完全に打ち消すことは不可能である。この理由を以下に説明する。
ピストン150の往復運動の反作用として発生する慣性力の方向は一定で、正負に変化するのみであるのに対し、バランスウェイト部136、バランスウエイト160に作用する遠心力の方向は、バランスウェイト部136、バランスウエイト160の回転に伴い常に回転している。従って、上死点および下死点では、遠心力はピストン150の慣性力と反対向きに作用し、電動圧縮要素への加振力を小さくするように作用する。ところが上死点と下死点以外の位置では、慣性力と遠心力のベクトルの方向は異なるため、慣性力と遠心力を足し合わせてもいずれかの方向に不釣合いを生じる。
このように振動の発生が避けられない上に、冷媒R600aを用いた密閉型圧縮機においては、冷媒物性の違いにより冷媒R134aを用いた圧縮機に比べ同等の冷凍能力を実現するために概ね2倍の気筒容積が必要となるため、偏心軸134の偏心量やピストン150の外径が、冷媒R134aを用いた密閉型圧縮機に比べて拡大されている。この結果、ピストン150の質量の増加やピストン150の振幅が増加することで、往復運動によって発生する振動エネルギーも大きくなる。
しかも、近年の冷蔵庫が断熱性能の向上に伴い、密閉型圧縮機の低回転化による省エネ効果がますます大きくなってきているにもかかわらず、20r/sec未満といった低速運転を行うと、一般的な冷蔵庫用の密閉型圧縮機では、密閉型圧縮機の振動が急激に増加してしまい、密閉型圧縮機の低回転化による省エネ効果を得る上での大きな課題になっていた。以下、その内容について説明する。
図8に、運転周波数に対する密閉型圧縮機の振動特性を示している。図8は横軸に運転周波数を、縦軸に密閉容器のピストン150の往復方向の振幅を示しており、この結果からは運転周波数が低くなるほど、振幅が増加し、27Hz周辺では40マイクロメートル以下の振幅であるにもかかわらず、15Hz以下では急激に振幅が大きくなり100マイクロメートルを上回っていることが分かる。以下、その理由について詳述する。
密閉容器102内に固定されたサスペンションスプリング112およびこれによって支持される電動圧縮要素110の振動系は、サスペンションスプリング112のバネ定数と電動圧縮要素110の質量の関係から固有振動数を持つ。バネ定数が小さいほど振動を伝えにくくなるが、サスペンションスプリング112に要求される剛性との関係等である程度の剛性が必要となり、通常、固有振動数は本背景技術同様、概ね10Hz前後であることが多い。
すなわち、図8において15Hz以下で急激に振幅が大きくなっているのは、電動圧縮要素110の運転周波数が電動圧縮要素110とサスペンションスプリング112からなる振動系の固有振動数に近づいてくるために、電動圧縮要素110の振動がサスペンションスプリング112を介して密閉容器102に伝わりやすくなってくるためである。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、低速運転における振動を低減した密閉型圧縮機を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の密閉型圧縮機は、シリンダーを形成するシリンダーブロックと、シリンダー内を往復動するピストンとを備え、ピストンは少なくとも一部が樹脂を用いて形成されたものであり、ピストンを軽量化することで往復振動による加振力を軽減するという作用を有する。
本発明の密閉型圧縮機は、低速運転における振動を低減した密閉型圧縮機を提供することができる。
本発明の請求項1に記載の発明は、密閉容器内に商用電源周波数未満の回転数を含む複数の回転数で運転する電動要素と、前記電動要素によって駆動する圧縮要素とを収容し、前記圧縮要素は主軸および偏心軸を備えたクランクシャフトと、前記クランクシャフトを回転自在に軸支するとともにシリンダーを形成するシリンダーブロックと、前記シリンダー内を往復動するピストンと、前記偏心軸と前記ピストンを連結する連結手段を備え、前記ピストンは少なくとも一部が樹脂によって形成したもので、比重の小さい樹脂を用いることでピストンが軽量化され、ピストンの往復動による加振力が小さくなるため、振動を低減することができ、特に低速運転における振動を低減することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に、さらに20r/sec未満の回転数を含むもので、回転数を低くすることで摺動損失が小さくなるため、請求項1に記載の発明の効果に加えて、入力を低減して高い効率を得ることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明に、さらに最低回転数に対する最高回転数の比が3以上としたもので、負荷の大きい条件では高速運転するため、請求項1および2の発明の効果に加えて、高速運転により高い冷凍能力を実現し、高い冷凍能力が必要な高負荷時にも必要な冷凍能力が得ることができ、冷却サイクルの負荷変動に対応することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明に、さらに圧縮する冷媒をR600aとしたもので、冷媒特性の違いによりR134a冷媒に比べピストンの外径や振幅が大きくなっても、比重の小さい樹脂を用いることでピストンが軽量化され、ピストンの往復動による加振力が小さくなるため、請求項1から3の発明の効果に加えて、ピストンの外径や振幅が大きく気筒容積が大きくなっても、振動を低減することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明に、さらにピストンリングを用いたものであり、ピストンとシリンダーの材料の線膨張係数の差のために、運転に伴う温度変化でピストンとシリンダーの半径方向の隙間に変化が生じても、ピストンリングがピストンとシリンダーの間の気密を保持するため、請求項1から4に記載の発明の効果に加えて、シリンダー内で圧縮した冷媒ガスがピストン背面へ漏洩することを防止でき、高い効率を得ることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明のピストンリングを樹脂製としたものであり、ピストンリングとピストンを樹脂同士の組み合わせとすることで、ピストンリングとピストンの硬さの差が、金属製のピストンリングの場合と比べて小さくなるため、請求項5に記載の発明の効果に加えて、ピストンリングとの接触によりピストンが一方的に摩耗することを防止し、高い信頼性を得ることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明のピストンリングを、PTFEを含む樹脂製としたものであり、PTFEはシリンダーの材料である鉄やアルミとの摺動において摩擦係数が小さくなるため、請求項6に記載の発明の効果に加えて、ピストンリングとシリンダーの間の摺動損失を低減し、高い効率を得ることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の発明のピストンリングをPEEKあるいはPPSを含む樹脂製としたものであり、PEEKやPPSは耐摩耗性が高い上に、射出成型が可能であるため、請求項6に記載の発明の効果に加えて、耐摩耗性が向上して信頼性を高めることができるとともに、容易に生産することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の発明のピストンは樹脂を発泡成形したものであり、気泡の部分は中が空洞であるのでピストンの重量が軽くなるとともに、発泡成形時のガス圧力により射出成型時のヒケやソリが少なくなるため、請求項1から8に記載の発明の効果に加えて、さらに軽量化して振動低減効果が向上するとともに、高い寸法精度を得ることができる。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明に、さらに発泡成形によって得られる気泡径を50マイクロメートル以下としたものであり、気泡径が小さくなることで局所的に極端に強度が低下することがなくなるので、発泡倍率を高くできるとともに、薄肉部でも気泡が発生するため、強度を確保しながらさらにピストンの軽量化が可能になり、請求項9に記載の発明の効果に加えて、低速運転における振動をさらに低減することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。また、従来と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による密閉型圧縮機の側面図、図2は同実施の形態によるピストンとピストンリングの分解斜視図、図3はピストンリングの周辺を示す要部断面図、図4は同実施の形態によるピストンの断面の拡大図である。また、図5は密閉型圧縮機の振幅の特性図である。
図1から図4において、密閉容器102内には、下方に配置された電動要素206と上方に配置された圧縮要素208を一体化した電動圧縮要素210が、サスペンションスプリング112を介して支持されて収容される。
クランクシャフト230は、ロータ120を圧入固定した主軸232、および主軸232に対し偏心して形成された偏心軸234を有している。また、偏心軸234の上端には、バランスウェイト238が取り付けられている。
ピストン250は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などの耐油、耐冷媒で耐熱温度の高い合成樹脂で形成される。また、超臨界発泡成形(概要は後述)により成形されており、ピストン250のほぼ全体にわたり気泡径1〜50マイクロメートルの微細な気泡が内在している。ここで、超臨界発泡成形プロセスにより形成される気泡251は109〜1015cells/cm3程度の高密度で形成されるため、発泡を行わない場合と比較し20%程度以上軽量化を図ることが可能である。なお、気泡251はピストン250内部に形成され、図示していないがピストン250の表面は気泡251が存在しないスキン層で覆われている。
ところで、超臨界発泡成形の概要を以下に説明する。
樹脂原料と超臨状態の発泡剤が金型に射出されて成形されるものであり、金型への注入時に起こる急激な体積変化や温度変化により超臨界状態の発泡剤がガス化することにより気泡が形成される。そして、樹脂原料や発泡剤の射出量や射出温度および金型の温度などを調節して、成形時の温度と圧力をコントロールすることにより、発泡樹脂の気泡密度や気泡径を任意に調整することができる。さらに、成形時に、気泡の成形圧力により樹脂内部から金型に向かって圧力がかかるため、金型近傍の樹脂材料は金型に押し付けられ、気泡が形成されないスキン層ができることとなる。
また、ピストンリング254,256は、それぞれ円周上の1箇所に斜めの切れ目254a,256aがある環状の形状をなし、PTFE(フッ素樹脂)を主成分とする樹脂で形成される。ピストン250はシリンダー142に対向する外周面に環状溝250a,250bを有し、ピストンリング254,256は、それぞれ環状溝250a,250b内に配置されている。
電動要素206はインバーター装置(図示せず)により最低回転数が15r/secで、最高回転数を75r/secとし、運転周波数比を5倍とした広範囲な運転を行う。
また、この密閉型圧縮機は温暖化係数の低い炭化水素系冷媒の代表的な冷媒であるR600aを圧縮する。R600aはR134aに比べ密度が低いため、R134aと同等の冷凍能力をR600aで得るためには、ガスの状態で約2倍の体積の冷媒を循環させる必要がある。従って、気筒容積を大きくするために、偏心軸234の偏心量やピストン250の外径は大きくなっている。
以上のように構成された密閉型圧縮機において以下その動作を説明する。
電動要素206によりクランクシャフト230が回転し、偏心軸234の偏心運動が連結手段152により、ピストン250の往復運動に変換される。このピストン250の往復運動に伴って、冷媒ガスが冷却システム(図示せず)から吸入管176を通して密閉容器102内に導かれ、吸入マフラー166を介してシリンダー142内に吸入され、シリンダー142内で連続して圧縮され、吐出管178より冷却システムへ再び吐き出される。
この際、背景技術でも説明したように、ピストン250の往復運動の反作用として、不平衡な振動エネルギーが発生し、この振動エネルギーをバランスウェイト238によって打ち消しているものの完全に打ち消すことは不可能であり、不釣合いが依然として残る。
この不釣合い分が加振力として電動圧縮要素210に加わり、電動圧縮要素210、密閉容器102の振動を引き起こす。この加振力の大きさは、この不釣合い分のピストン250の質量と加速度の積に等しい。
ところが、本実施の形態のピストン250はPBT、PPS、PEEKなど比重が1.3〜2程度の樹脂で形成されており、鉄に比べ比重が概ね1/4程度であり、ピストン250の軽量化が可能である。さらに、ピストン250を発泡成形することにより、ピストン250が20%程度軽量化することが可能となる。しかも、超臨界発泡成形プロセスにより形成される気泡251は、気泡径が1〜50マイクロメートルと小さいので、比較的肉厚が薄い部分でも気泡が発生し、効果的に軽量化が可能である。
この結果、ピストン250の強度を考慮して肉厚を大きくしても、鉄を用いた場合に比べてピストン250の質量を約30%に軽量化することができ、往復運動による加振力も約30%に低下する。
図5は、運転周波数を変化させたときの振動特性の実測値を示している。図5において、横軸は運転周波数、縦軸は密閉容器のピストン往復方向の振幅を示している。また、破線で示す従来の密閉型圧縮機は鉄製のピストンを用いており、実線で示す本発明による密閉型圧縮機のピストンは樹脂を用いており、ともにR600a用の同一諸元、即ち同一のピストンの外径、偏心軸234の偏心量で比較している。
図5の結果から、本発明による密閉式圧縮機の振動は従来に比べ概ね半減し、運転周波数15Hzでも約50マイクロメートルと実用上問題ない程度まで低減されていることを実験で確認している。
なお、既に説明したように冷媒にR600aを用いた場合、R134aに比べて、ピストン250の外径や偏心軸234の偏心量が大きくなるので、ピストン250の質量や加速度が大きくなり、ピストン250の往復運動の反作用として作用する加振力も大きくなり、振動が大きくなりやすい。
しかしながら、ピストン250の軽量化による振動低減の効果はR600a冷媒を用いた場合に顕著であり、20r/sec未満といった非常に低い周波数においても、ピストン250の軽量化により加振力を小さくすることで、振動を小さくすることができる。
さらに、超臨界発泡成形においては、溶融した樹脂に浸透性の高い超臨界状態の窒素や炭酸ガスを注入するので、金型内での溶融樹脂の流動性が向上する。そして、流動性が向上することで成型時の圧力や温度を低くすることができ、成型品に発生する応力が小さくなるため、金型から取り出した後の変形(ソリ)を防止できる。さらに、気泡251の成形圧力により樹脂材料は金型に押し付けられて固まり、樹脂が金型から縮んで固まることを防止できるため、樹脂の表面に凹みができるヒケを防止でき寸法精度が向上し、歩留まりが良くなるので生産性が向上する。
また、ピストン250に用いられる樹脂の線膨張係数は3〜15×10-5/K程度であるのに対して、シリンダー142に用いられる金属の線膨張係数は、アルミで2.3×10-5/K、鉄で1.2×10-5/K程度であり、ピストン250の線膨張係数の方がシリンダー142の線膨張係数より一般に大きくなる。即ち、温度が高くなるほどピストン250の方がシリンダー142よりも膨張量が大きく、ピストン250とシリンダー142の半径方向の隙間は小さくなる。
そのため、最も高温になる運転条件でも、ピストン250とシリンダー142の半径方向の隙間を確保すると、冷時において、ピストンが金属製の場合よりも大きな半径方向の隙間を設けておく必要がある。
ピストン250とシリンダー142の半径方向の隙間が大きい場合、シリンダー142内から圧縮した冷媒ガスがピストン250背面の密閉容器102内空間に漏れて性能が低下するが、ピストンリング254,256を用いることで、シリンダー142とピストン250の間の漏れを防止し、性能の低下を防止することができる。
以下、ピストンリングの動作・作用について、詳細に説明する。
ピストン250の外径はシリンダー142に対して小さめであるのに対して、ピストンリング254,256の外径はシリンダー142の内径とほぼ同じか、シリンダー142の内径に対して押し付け力が働くようにシリンダー142の内径よりやや大きいものが選択される。そして、シリンダー142内では冷媒ガスを圧縮しているため、シリンダー142内の圧力はピストン250の背面側よりも高いので、ピストンリング254,256には図3の白矢印で示すように冷媒ガスの圧力による押し付け力が作用し、シリンダー142壁面とピストン250の環状溝250a,250bの壁面に押し付けられる。
さらに、ピストンリング254,256には斜めの切れ目254a,256bがあり、外径寸法が可変であるため、ピストンリング254,256自体の熱膨張の影響を受けずにシリンダー142に密着することができる。しかも、ピストンリング254,256には圧力による押し付け力が作用し、切れ目254a,256bも密着するので、切れ目からの漏れも防止できる。
従って、ピストンリング254,256により、シリンダー142とピストン250の半径方向の隙間は常に小さく保たれるため、シリンダー142内から密閉容器102内空間への冷媒ガスの漏れを少なくすることができ、性能の低下を防止できる。
さらに、シリンダー142の材料である鉄やアルミとの摩擦係数が、金属や他の樹脂に比べて約0.1程度と低いPTFEをピストンリング254,256の材料に用いることで、ピストンリング254,256とシリンダー142の間の摩擦係数が小さくなるので、ピストンリング254,256とシリンダー142間の摺動損失を小さくすることができ、効率が向上する。また、ピストンリング254,256は200℃以上の耐熱性を有するため、冷媒ガスの圧縮や摺動の熱にも耐えることができ、信頼性を確保することができる。
さらに、ピストンリング254,256には、ガス圧縮による圧力やシリンダー142との摩擦力が作用するが、圧力も摩擦力も一行程中で変動するため、ピストンリング254,256とピストン250が接触と離脱を繰り返したり、局所的に接触荷重が大きくなったりして摩耗が起こりやすい状態になる可能性があるが、PTFEのピストンリングを用いているので、金属製のピストンリングと樹脂製のピストン250が接触する場合に比べて硬さの差が小さいので、樹脂で形成されるピストン250の環状溝250a,250bの部分が一方的に摩耗することを防止することができる。
また、運転周波数の可変幅を15〜75r/secと大きくとり、密閉型圧縮機の冷凍能力範囲を大とすることで、冷蔵庫等への適用時に使用負荷に適した冷凍能力を設定できるので省電力化が図れる。即ち、断熱性能の向上した近年の冷蔵庫筐体においては、安定運転時は少ない冷凍能力で筐体を冷却可能であるので、最低回転数の15r/secを用いることで、軸受部などの摺動速度が低くなり摺動損失を極端に小さくできるので、消費電力を低減することができるとともに、電源投入時や扉開閉、除霜後などのように一時的に発生する高い冷凍能力が必要な条件においては最高周波数の75r/secを用いることで負荷を乗り越えることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、ピストンの軽量化により振動を低減でき、特に低速運転においても圧縮機の振動を低減することができる。
なお、本実施の形態では、ピストンリングを2個用いたが、ピストンリングを1個あるいは3個以上用いても良い。
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2による密閉型圧縮機の側面図である。
なお、実施の形態1と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図6において、密閉容器102内には、下方に配置された電動要素306と上方に配置された圧縮要素308を一体化した電動圧縮要素310が、サスペンションスプリング112を介して支持されて収容される。
ピストンリング354,356は、円周上の1箇所に例えば斜めの切れ目がある環状の形状をなし、PEEKを主成分とする樹脂で形成され、それぞれピストン250の外周面に設けた環状溝250a,250b内に配置されている。
以上のように構成された密閉型圧縮機において以下その動作を説明する。
ピストンリング354,356には、シリンダー142内の圧縮圧力とピストン250背面の圧力差により大きな荷重が作用し、ピストン250の環状溝250a,250bに押し付けられている。
ピストンリング354,356を、PTFEに比べて許容面圧が5倍程度高く、耐摩耗性の高いPEEKとすることで、局所的に高い荷重が加わるピストンリングに用いた場合でも、長期信頼性を確保することができる。
また、PEEKは200℃以上の耐熱性を有し、冷媒ガスの圧縮や摺動による熱にも耐えるとともに、耐衝撃性、耐疲労性に優れているため、ピストンリングとして用いた場合、高い信頼性が得られる。
さらに、PTFEは溶融粘度が高く、一般の射出成型で製造することができず、焼結成型という特殊な成型方法を用いる必要があるという難点があるが、PEEKは溶融粘度が低く射出成型が可能であり、複雑な形状でも成型できるため、PEEKを射出成型で製造することにより生産性を良好にすることができる。
さらに、グラファイトやPTFEなどの固体状の潤滑剤を配合したPEEKを用いることで、さらに摩擦係数が低くできるため、摺動面の摩耗を低減でき高い信頼性を得ることができるとともに、ピストンリング354,356とシリンダー142間の摺動損失を低減し高い効率を得ることができる。
以上のように、本発明にかかる密閉型圧縮機は、低速運転時の振動を低減することが可能となるので、冷凍ショーケース、除湿機エアーコンディショナーや自動販売機などに用いられる密閉型圧縮機等の用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の側面図 同実施の形態のピストンおよびピストンリングの分解斜視図 同実施の形態のピストンリングの要部断面図 同実施の形態のピストンの断面の拡大図 同実施の密閉型圧縮機の振幅の特性図 本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の側面図 従来の密閉型圧縮機の側面図 従来の密閉型圧縮機の振幅の特性図
符号の説明
102 密閉容器
140 シリンダーブロック
142 シリンダー
152 連結手段
206,306 電動要素
208,308 圧縮要素
230 クランクシャフト
232 主軸
234 偏心軸
250 ピストン
251 気泡
254,256,354,356 ピストンリング

Claims (10)

  1. 密閉容器内に商用電源周波数未満の回転数を含む複数の回転数で運転する電動要素と、前記電動要素によって駆動する圧縮要素とを収容し、前記圧縮要素は主軸および偏心軸を備えたクランクシャフトと、前記クランクシャフトを回転自在に軸支するとともにシリンダーを形成するシリンダーブロックと、前記シリンダー内を往復動するピストンと、前記偏心軸と前記ピストンを連結する連結手段を備え、前記ピストンは少なくとも一部が樹脂によって形成される密閉型圧縮機。
  2. 20r/sec未満の回転数を含む請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  3. 最低回転数に対する最高回転数の比が3以上である請求項1または2に記載の密閉型圧縮機。
  4. 圧縮する冷媒がR600aである請求項1から3のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
  5. ピストンリングを用いた請求項1から4のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
  6. ピストンリングは樹脂製である請求項5に記載の密閉型圧縮機。
  7. ピストンリングはPTFEを含む樹脂製である請求項6に記載の密閉型圧縮機。
  8. ピストンリングはPEEKあるいはPPSを含む樹脂製である請求項6に記載の密閉型圧縮機。
  9. ピストンは樹脂を発泡成形した請求項1から8のいずれか1項に記載の密閉型圧縮機。
  10. 発泡成形によって得られる気泡径を50マイクロメートル以下とした請求項9に記載の密閉型圧縮機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008038690A (ja) * 2006-08-03 2008-02-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd 冷媒圧縮機
JP2019019701A (ja) * 2017-07-13 2019-02-07 日立アプライアンス株式会社 圧縮機

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