≪硬化性樹脂組成物≫
硬化性樹脂組成物は、(A)硬化触媒成分、(B)アルカリ可溶性樹脂、及び(C)熱硬化性樹脂を含む。
(A)硬化触媒成分は、下記式(1):
(式(1)中、R
1はそれぞれ独立に水素原子もしくは1価の有機基を表し、R
2は置換基を有してもよい芳香族基を表し、R
3はそれぞれ独立にハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を表し、nは0〜3の整数を表す。前記R
1は他方のR
1又はR
2と結合して環状構造を形成してもよい。)
で表される化合物と、硬化促進剤とを含む。
以下、硬化性樹脂組成物に含まれる、必須又は任意の成分や、硬化性樹脂組成物の調製方法等について説明する。
<(A)硬化触媒成分>
硬化性樹脂組成物は、(A)硬化触媒成分を含む。(A)硬化触媒成分は、以下に記す式(1)で表される(A1)イミダゾール化合物と、(A2)硬化促進剤とを含む。
(A1)イミダゾール化合物を、(A2)硬化促進剤と併用することで、両者の相互作用により、硬化性樹脂組成物の室温に近い温度での硬化が遅延される一方で、加熱された場合には良好に硬化を行うことができる。
室温に近い温度での硬化の遅延の効果は、(A1)イミダゾール化合物と、(A2)硬化促進剤とが、個別に硬化性樹脂組成物に配合されるよりも、(A1)イミダゾール化合物と、(A2)硬化促進剤とが混合された状態で、硬化性樹脂組成物に配合される方が顕著である。
(A1)イミダゾール化合物と、(A2)硬化促進剤との間での相互作用を、より生じさせやすいためと思われる。
(A)硬化触媒成分として、(A1)イミダゾール化合物と(A2)硬化促進剤とを含む混合物を用いる場合、当該混合物は、粘度調整の目的等で、後述する有機溶剤を含んでいてもよい。
当該混合物における有機溶剤の含有量は、0.1〜99質量%が好ましく、1〜95質量%がより好ましく、10〜80質量%が特に好ましい。
当該混合物の調製方法は特に限定されない。当該混合物が有機溶剤を含まない場合、典型的には、(A1)イミダゾール化合物の粉体と、(A2)硬化促進剤の粉体と、必要に応じて他の任意成分の粉体とを均一に混合して、(A)硬化触媒成分として使用される混合物が調製される。
混合物の調製に使用できる粉体混合装置としては、プラネタリーミキサ、リボンブレンダ、レーディゲミキサ、ヘンシェルミキサ、ロッキングミキサ、及びナウタミキサ(登録商標)等の周知の粉体混合装置を用いることができる。
(A)硬化触媒成分として使用される混合物が有機溶剤を含む場合、例えば、有機溶剤に、有機溶剤以外の成分を加えた後、これらの成分を均一に混合することで混合物を調製できる。有機溶剤を含む混合物を調製する場合、混合物に含まれる成分が熱分解しない範囲の温度に加温してもよいし、あらかじめ低い固形分濃度(例えば1〜30質量%)で混合物を調製した後に、溶媒を蒸発させること等によって濃縮してもよい。
[(A1)イミダゾール化合物]
(A1)イミダゾール化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
(式(1)中、R
1はそれぞれ独立に水素原子もしくは1価の有機基を表し、R
2は置換基を有してもよい芳香族基を表し、R
3はそれぞれ独立にハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を表し、nは0〜3の整数を表す。前記R
1は他方のR
1又はR
2と結合して環状構造を形成してもよい。)
式(1)中、R1は、水素原子又は1価の有機基である。1価の有機基としては、特に限定されず、例えば、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよい芳香族基等であってもよい。R1がアルキル基である場合、当該アルキル基は鎖中にエステル結合等を有してもよい。
アルキル基としては、例えば後述の式(1a)におけるR4等と同様であってよい。アルキル基の炭素原子数は1〜40が好ましく、1〜30がより好ましく、1〜20が特に好ましく、1〜10が最も好ましい。
当該アルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば後述の式(1a)におけるR5であるアルキレン基が有していてもよい置換基と同様であってよい。
置換基を有してもよい芳香族基としては、後述の式(1a)におけるR2と同様であり、アリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R1としての置換基を有してもよい芳香族基は、R2と同一であっても異なっていてもよい。
式(1)中、一方のR1は水素原子であることが好ましく、一方のR1が水素原子であり他方のR1が置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよい芳香族基であることがより好ましい。
式(1)中、R1は他方のR1又はR2と結合して環状構造を形成していてもよい。例えば、少なくとも1つのR1が置換基を有してもよいアルキル基である場合、R1は他方のR1又はR2と結合して環状構造を形成していてもよい。
イミダゾール化合物(A)は、下記式(1a)で表される化合物であってもよい。
(式(1a)中、R
4は水素原子又はアルキル基であり、R
2は置換基を有してもよい芳香族基であり、R
5は置換基を有してもよいアルキレン基であり、R
3は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基であり、nは0〜3の整数である。R
5はR
2と結合して環状構造を形成してもよい。)
式(1a)中、R4は水素原子又はアルキル基である。R4がアルキル基である場合、当該アルキル基は、直鎖アルキル基であっても、分岐鎖アルキル基であってもよい。当該アルキル基の炭素原子数は特に限定されないが、1〜20が好ましく、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
R4として好適なアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチル−n−ヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基が挙げられる。
式(1a)中、R2は、置換基を有してもよい芳香族基である。置換基を有してもよい芳香族基は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基でもよく、置換基を有してもよい芳香族複素環基でもよい。
芳香族炭化水素基の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。芳香族炭化水素基は、単環式の芳香族基であってもよく、2以上の芳香族炭化水素基が縮合して形成されたものであってもよく、2以上の芳香族炭化水素基が単結合により結合して形成されたものであってもよい。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アンスリル基、フェナンスレニル基が好ましい。
芳香族複素環基の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。芳香族複素環基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。芳香族複素環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、及びベンゾイミダゾリル基が好ましい。
フェニル基、多環芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、及び有機基が挙げられる。フェニル基、多環芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基が複数の置換基を有する場合、当該複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
芳香族基が有する置換基が有機基である場合、当該有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、及びアラルキル基等が挙げられる。この有機基は、当該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、及びこれらの構造の組み合わせのいずれでもよい。この有機基は、通常は1価であるが、環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
芳香族基が隣接する炭素原子上に置換基を有する場合、隣接する炭素原子上に結合する2つの置換基はそれが結合して環状構造を形成してもよい。環状構造としては、脂肪族炭化水素環や、ヘテロ原子を含む脂肪族環が挙げられる。
芳香族基が有する置換基が有機基である場合に、当該有機基に含まれる結合は本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、有機基は、酸素原子、窒素原子、珪素原子等のヘテロ原子を含む結合を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含む結合の具体例としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。
有機基が有してもよいヘテロ原子を含む結合としては、式(1)又は式(1a)で表されるイミダゾール化合物の耐熱性の観点から、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、アミノ結合(−NR−:Rは水素原子又は1価の有機基を示す)ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は1価の有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
有機基が炭化水素基以外の置換基である場合、炭化水素基以外の置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。炭化水素基以外の置換基の具体例としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアルミ基、モノアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アルケニルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
フェニル基、多環芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基が有する置換基としては、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアリール基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数1〜12のアリールオキシ基、炭素原子数1〜12のアリールアミノ基、及びハロゲン原子が好ましい。
R2としては、式(1)又は式(1a)で表されるイミダゾール化合物を安価且つ容易に合成でき、イミダゾール化合物の水や有機溶媒に対する溶解性が良好であることから、それぞれ置換基を有してもよいフェニル基、フリル基、チエニル基が好ましい。
式(1a)中、R5は、置換基を有してもよいアルキレン基である。アルキレン基が有していてもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。アルキレン基が有していてもよい置換基の具体例としては、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基、及びハロゲン原子等が挙げられる。アルキレン基は、直鎖アルキレン基であっても、分岐鎖アルキレン基であってもよく、直鎖アルキレン基が好ましい。アルキレン基の炭素原子数は特に限定されず、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5が特に好ましい。なお、アルキレン基の炭素原子数には、アルキレン基に結合する置換基の炭素原子を含まない。
アルキレン基に結合する置換基としてのアルコキシ基は、直鎖アルコキシ基であっても、分岐鎖アルコキシ基であってもよい。置換基としてのアルコキシ基の炭素原子数は特に限定されず、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
アルキレン基に結合する置換基としてのアミノ基は、モノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基であってもよい。モノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基に含まれるアルキル基は、直鎖アルキル基であっても分岐鎖アルキル基であってもよい。モノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基に含まれるアルキル基の炭素原子数は特に限定されず、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
R5として好適なアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、n−プロパン−1,3−ジイル基、n−プロパン−2,2−ジイル基、n−ブタン−1,4−ジイル基、n−ペンタン−1,5−ジイル基、n−ヘキサン−1,6−ジイル基、n−ヘプタン−1,7−ジイル基、n−オクタン−1,8−ジイル基、n−ノナン−1,9−ジイル基、n−デカン−1,10−ジイル基、n−ウンデカン−1,11−ジイル基、n−ドデカン−1,12−ジイル基、n−トリデカン−1,13−ジイル基、n−テトラデカン−1,14−ジイル基、n−ペンタデカン−1,15−ジイル基、n−ヘキサデカン−1,16−ジイル基、n−ヘプタデカン−1,17−ジイル基、n−オクタデカン−1,18−ジイル基、n−ノナデカン−1,19−ジイル基、及びn−イコサン−1,20−ジイル基が挙げられる。
R3は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基であり、nは0〜3の整数である。nが2〜3の整数である場合、複数のR3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
R3が有機基である場合、当該有機基は、R2について、芳香族基が置換基として有していてもよい有機基と同様である。
R3が有機基である場合、有機基としては、アルキル基、芳香族炭化水素基、及び芳香族複素環基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、及びイソプロピル基がより好ましい。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アンスリル基、及びフェナンスレニル基が好ましく、フェニル基、及びナフチル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。芳香族複素環基としては、ピリジル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、及びベンゾイミダゾリル基が好ましく、フリル基、及びチエニル基がより好ましい。
R3がアルキル基である場合、アルキル基のイミダゾール環上での結合位置は、2位、4位、5位のいずれも好ましく、2位がより好ましい。R3が芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基である場合、これらの基のイミダゾール上での結合位置は、2位が好ましい。
上記式(1)で表されるイミダゾール化合物の中では、安価且つ容易に合成可能である点から、下記式(1−1a)で表される化合物が好ましい。
(式(1−1a)中、R
1、R
3及びnは、式(1)と同じであり、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基である。ただし、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10のうち少なくとも1つは水素原子以外の基である。R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10のうち少なくとも2つが結合して環状構造を形成してもよい。R
1はR
8と結合して環状構造を形成してもよい。)
R6、R7、R8、R9、及びR10は、後述の式(1−1)と同じである。式(1−1a)中、R1はR8と結合して環状構造を形成していてもよく、例えば、R1が置換基を有してもよいアルキル基である場合、R1はR8と結合して環状構造を形成していてもよい。
上記式(1a)又は式(1−1a)で表されるイミダゾール化合物の中では、安価且つ容易に合成可能であり、水や有機溶媒に対する溶解性に優れる点から、下記式(1−1)で表される化合物が好ましく、式(1−1)で表され、R3がメチレン基である化合物がより好ましい。
(式(1−1)中、R
3、R
4、R
5、及びnは、式(1a)と同様であり、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基である。ただし、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10のうち少なくとも1つは水素原子以外の基である。R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10のうち少なくとも2つが結合して環状構造を形成してもよい。R
5はR
8と結合して環状構造を形成してもよい。)
R6、R7、R8、R9、及びR10が有機基である場合、当該有機基は、式(1a)におけるR2が置換基として有する有機基と同様である。R6、R7、R8、及びR9は、イミダゾール化合物の溶媒に対する溶解性の点から水素原子であるのが好ましい。
中でも、R6、R7、R8、R9、及びR10のうち少なくとも1つは、下記置換基であることが好ましく、R10が下記置換基であるのが特に好ましい。R10が下記置換基である場合、R6、R7、R8、及びR9は水素原子であるのが好ましい。
−O−R11
(R11は水素原子又は有機基である。)
R11が有機基である場合、当該有機基は、式(1a)におけるR2が置換基として有する有機基と同様である。R11としては、アルキル基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
上記式(1−1)で表される化合物の中では、下記式(1−1−1)で表される化合物が好ましい。
(式(1−1−1)において、R
3、R
4、及びnは、式(1a)と同様であり、R
12、R
13、R
14、R
15、及びR
16は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基である。ただし、R
12、R
13、R
14、R
15、及びR
16のうち少なくとも1つは水素原子以外の基である。)
式(1−1−1)で表される化合物の中でも、R12、R13、R14、R15、及びR16のうち少なくとも1つが、前述の−O−R11で表される基であることが好ましく、R16が−O−R11で表される基であるのが特に好ましい。R16が−O−R11で表される基である場合、R12、R13、R14、及びR15は水素原子であるのが好ましい。
上記式(1)で表されるイミダゾール化合物の合成方法は特に限定されない。例えば、R2CR1(Hal)R1(R1及びR2は、式(1)と同じであり、Halはハロゲン原子である。)で表されるハロゲン化物と、後述の式(II)で表されるイミダゾール化合物とを、常法に従って反応させてイミダゾリル化を行うことによって、上記式(1)で表されるイミダゾール化合物を合成することができる。
上記式(1a)で表されるイミダゾール化合物の合成方法は特に限定されない。例えば、下記式(I)で表されるハロゲン含有カルボン酸誘導体と、下記式(II)で表されるイミダゾール化合物とを、常法に従って反応させてイミダゾリル化を行うことによって、上記式(1a)で表されるイミダゾール化合物を合成することができる。
(式(I)及び式(II)中、R
2、R
3、R
4、R
5及びnは、式(1a)と同様である。式(I)において、Halはハロゲン原子である。)
また、イミダゾール化合物が、式(1a)で表され、且つR5がメチレン基である化合物である場合、すなわち、イミダゾール化合物が下記式(1−2)で表される化合物である場合、以下に説明するMichael付加反応による方法によっても、イミダゾール化合物を合成することができる。
(式(1−2)中、R
2、R
3、R
4及びnは、式(1a)と同様である。)
具体的には、例えば、下記式(III)で表される3−置換アクリル酸誘導体と、上記式(II)で表されるイミダゾール化合物とを溶媒中で混合してMichael付加反応を生じさせることによって、上記式(1−2)で表されるイミダゾール化合物が得られる。
(式(III)中、R
2、及びR
4は、式(1a)と同様である。)
また、下記式(IV)で表される、イミダゾリル基を含む3−置換アクリル酸誘導体を、水を含む溶媒中に加えることによって、下記式(1−3)で表されるイミダゾール化合物が得られる。
(式(IV)及び式(1−3)中、R
2、R
4及びnは、式(1)と同様である。)
この場合、上記式(IV)で表される3−置換アクリル酸誘導体の加水分解により、上記式(II)で表されるイミダゾール化合物と、下記式(V)で表される3−置換アクリル酸とが生成する。そして、下記式(V)で表される3−置換アクリル酸と、上記式(II)で表されるイミダゾール化合物との間でMichael付加反応が生じ、上記式(1−3)で表されるイミダゾール化合物が生成する。
式(1)又は式(1a)で表されるイミダゾール化合物の好適な具体例としては、以下のものが挙げられる。
硬化性樹脂組成物における(A1)イミダゾール化合物の含有量は特に限定されない。(A1)イミダゾール化合物の含有量は、(C)熱硬化性樹脂100質量部に対して、0.01〜50質量部が好ましく、0.03〜40質量部がより好ましく、0.05〜10質量部が特に好ましい。
[(A2)硬化促進剤]
硬化触媒成分は、前述の通り、(A1)イミダゾール化合物に加えて、エポキシ化合物やオキセタン化合物の硬化促進剤、エポキシ基やオキセタニル基とカルボキシ基やフェノール基との反応の硬化促進剤を含む。
(A2)硬化促進剤の好適な具体例としては、例えば、
メラミン、及びメラミン樹脂;
イミダゾール、ベンゾイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、及び1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;
ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、及び4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物;
グアニジン、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、及びジシアンジアミド等のグアニジン化合物;
ビグアニジン、メチルビグアニジン、ジメチルビグアニジン、テトラメチルビグアニジン、ヘキサメチルビグアニジン、及びヘプタメチルビグアニジン等のビグアニジン化合物;
o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等の芳香族ジアミン類;
N,N−ジメチル−N’−(3−クロロ−4−メチルフェニル)尿素、N,N−ジメチル−N’−(4−クロロフェニル)尿素、N,N−ジメチル−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N,N−ジメチル−N’−フェニル尿素、2,4−ビス(N’,N’−ジメチルウレイド)トルエン、1,4−ビス(N’,N’−ジメチルウレイド)ベンゼン、ジメチルプロピレン尿素、及び1,3−ヒドロキシメチル尿素等の尿素化合物;
アルキル化ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、及びメトキシメチルエトキシメチルベンゾグアナミン樹脂等のグアナミン誘導体;
ベンゾオキサゾール、及びベンゾチアゾールベンゾトリアゾール等の複素環化合物;
トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、及びトリ−2,4キシリルフォスフィン等の3級ホスフィン;
テトラホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラパラメチルフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩等の4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
これらの中では、グアニジン化合物、及び芳香族ジアミン類が好ましい。
これらの(A2)硬化促進剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上混合して使用しても構わない。
(A2)硬化促進剤の配合量は、(A1)イミダゾール化合物1モルに対して、0.01〜100モルが好ましく、0.1〜50モルがより好ましく、0.2〜10モルが特に好ましく、0.3〜5モルがさらに好ましく、0.5〜2モルが最も好ましい。
<(B)アルカリ可溶性樹脂>
(B)アルカリ可溶性樹脂としては、従来から、アルカリ現像液による現像を含むプロセスにおいて使用される種々の組成物に配合されているアルカリ可溶性樹脂を、特に制限なく使用することができる。
(B)アルカリ可溶性樹脂としては、通常、アルカリ可溶性基を有する。かかるアルカリ可溶性基としては、例えば、カルボキシ基、スルフェノール性水酸基、スルホン酸基等が挙げられる。これらの基中では、他の成分への酸性基としての悪影響が少なく、且つ、良好なアルカリ可溶性を有することからカルボキシ基が好ましい。つまり、カルボキシ基を有する樹脂がアルカリ可溶性樹脂として好ましい。
カルボキシ基を有するかかる(B)アルカリ可溶性樹脂としては、分子中にカルボキシ基を有する従来公知の各種カルボキシ基含有樹脂を特に制限なく使用できる。
分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシ基含有感光性樹脂が、光硬化性や解像性の面から、特に好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタアクリル酸又はそれらの誘導体由来であることが好ましい。
カルボキシ基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
(1)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に、不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシ基含有感光性樹脂。
(2)後述するような2官能又はそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシ基含有感光性樹脂。
(3)後述するような2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシ基含有感光性樹脂。
(4)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシ基含有感光性樹脂。
(5)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシ基含有ジアルコール化合物及びジオール化合物との重付加反応によるカルボキシ基含有感光性ウレタン樹脂。
(6)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシ基含有非感光性樹脂。
(7)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシ基含有ジアルコール化合物及びポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシ基及びアルコール性ヒドロキシ基を有する化合物等のジオール化合物との重付加反応によるカルボキシ基含有非感光性ウレタン樹脂。
(8)後述するような2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシ基含有樹脂。
(9)上記(5)又は(7)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシ基含有感光性ウレタン樹脂。
(10)上記(5)又は(7)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物等、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシ基含有感光性ウレタン樹脂。
(11)上記(1)〜(10)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシ基含有感光性樹脂。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
上記のような(B)アルカリ可溶性樹脂は、バックボーン・ポリマー(ポリマー主鎖)の側鎖に多数のアルカリ可溶性基を有する。このため、かかる(B)アルカリ可溶性樹脂を含む硬化性樹脂組成物は、希アルカリ水溶液による現像が可能である。
(B)アルカリ可溶性樹脂の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲が好ましく、45〜120mgKOH/gの範囲がより好ましい。
(B)アルカリ可溶性樹脂の酸価が40mgKOH/g未満であるとアルカリ現像が困難な場合がある。
一方、酸化が200mgKOH/gを超えると現像液による露光部の溶解が進むために、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまう場合がある。このため、正常なレジストパターンを描画しにくい。
(B)アルカリ可溶性樹脂の質量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000であり、5,000〜100,000が好ましい。質量平均分子量が2,000未満であると、タックフリー性能が劣ることがあったり、露光後の塗膜の耐湿性が不十分であって離、現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣る場合がある。
質量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく悪化したり、貯蔵安定性が劣る場合がある。
(B)アルカリ可溶性樹脂の配合量は、特に限定されないが、典型的には、組成物全体の質量に対して20〜60質量%であり、30〜60質量%が好ましい。
(B)アルカリ可溶性樹脂の配合量が過少である場合、被膜強度が低下する場合がある。(B)アルカリ可溶性樹脂の配合量が過多である場合、組成物の粘性が高くなり、塗布性等が過度の悪化する場合があるので好ましくない。
(B)アルカリ可溶性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、複数種を混合しても用いてもよい。特に前記カルボキシ基含有樹脂の中で芳香環を有している樹脂が、屈折率が高く、解像性に優れるので好ましく、さらにノボラック構造を有しているものが解像性だけでなく、PCT(飽和蒸気加圧試験)やクラック耐性に優れているので好ましい。中でも、上記のカルボキシ基含有感光性樹脂(1)、(2)は、PCT耐性等の諸特性を満足しながら、解像性にも優れるソルダーレジストを得ることができるため好ましい。
<(C)熱硬化性樹脂>
硬化性樹脂組成物には、(C)熱硬化性樹脂を含む。(C)熱硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、耐熱性に優れる硬化物が形成される。
(C)熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂等の公知の熱硬化性樹脂を使用することができる。
特に、分子中に複数の環状エーテル基及び環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)の少なくとも1種を有する熱硬化性樹脂が好ましい。
上記の分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分樹脂は、分子中に3、4、又は5員環の環状(チオ)エーテル基のいずれか一方、又は2種類の基を複数有する化合物であり、例えば、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子内に複数のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子内に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等を挙げることができる。なかでも多官能エポキシ化合物であるエポキシ樹脂が好ましい。
前記多官能エポキシ化合物の例としては、ADEKA製のアデカサイザーO−130P、アデカサイザーO−180A、アデカサイザーD−32、アデカサイザーD−55等のエポキシ化植物油;三菱化学(株)製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、ダイセル化学工業(株)製のEHPE3150、DIC(株)製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成(株)製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学工業(株)製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成工業(株)製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(いずれも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;YDC−1312、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、YSLV−80XYビスフェノール型エポキシ樹脂、YSLV−120TEチオエーテル型エポキシ樹脂(いずれも東都化成(株)製);三菱化学(株)製のjERYL903、DIC(株)製のエピクロン152、エピクロン165、東都化成(株)製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、住友化学工業(株)製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成工業(株)製のA.E.R.711、A.E.R.714等(いずれも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のjER152、jER154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC(株)製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、東都化成(株)製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、日本化薬(株)製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、住友化学工業(株)製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成工業(株)製のA.E.R.ECN−235、ECN−299等(いずれも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;日本化薬(株)製NC−3000、NC−3100等のビフェノールノボラック型エポキシ樹脂;DIC(株)製のエピクロン830、三菱化学(株)製jER807、東都化成(株)製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成(株)製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のjER604、東都化成(株)製のエポトートYH−434、住友化学工業(株)製のスミ−エポキシELM−120等(いずれも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業(株)製のセロキサイド2021、CY179等(いずれも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(いずれも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(いずれも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬(株)製EBPS−200、ADEKA(株)製EPX−30、DIC(株)製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱化学(株)製のjERYL−931等(いずれも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業(株)製のTEPIC等(いずれも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂(株)製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成(株)製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鐵化学(株)製ESN−190、ESN−360、DIC(株)製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC(株)製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂(株)製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えばダイセル化学工業製PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成(株)製のYR−102、YR−450等)等を挙げることができるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂又はそれらの混合物が好ましい。
多官能オキセタン化合物の例としては、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、及び(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、並びにこれらのオリゴマー又は共重合体等の多官能オキセタン類が挙げられる。
その他、オキセタンアルコールと、水酸基を有する樹脂とのエーテル化合物も多官能オキセタン化合物として好適に使用される。水酸基を有する樹脂としては、ノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、及びシルセスキオキサン等が挙げられる。
さらに、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も好適に使用される。
分子中に複数の環状チオエーテル基を有する化合物としては、例えば、三菱化学(株)製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂YL7000等が挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂等も用いることができる。
(C)熱硬化性樹脂(特に分子中に複数の環状エーテル基を有する熱硬化性樹脂)の配合量は、(B)アルカリ可溶性樹脂が有するカルボキシ基等のアルカリ可溶性基1当量に対して、0.6〜2.5当量が好ましい。かかる範囲内の量の(C)熱硬化性樹脂を用いると、硬化物中のアルカリ可溶性基や、硬化性の反応基の残存量が過度に多くないため、耐アルカリ性、耐熱性、電気絶縁性、及び強度に優れる硬化物を得やすい。より好ましくは、0.8〜2.0当量である。
さらに、(C)熱硬化性樹脂として使用され得る他の材料としては、メラミン誘導体、及びベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂が挙げられる。例えば、メチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物、及びメチロール尿素化合物等である。
さらに、アルコキシメチル化メラミン化合物、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物、及びアルコキシメチル化尿素化合物は、それぞれのメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物、及びメチロール尿素化合物のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。
このアルコキシメチル基の種類については特に限定されず、例えばメトキシメチル基エトキシメチル基、プロポキシメチル基、及びブトキシメチル基等であってよい。人体や環境に優しい点から、ホルマリン濃度が0.2%以下のメラミン誘導体が特に好ましい。
これらの市販品としては、例えば、サイメル300、サイメル301、サイメル303、サイメル370、サイメル325、サイメル327、サイメル701、サイメル266、サイメル267、サイメル238、サイメル1141、サイメル272、サイメル202、サイメル1156、サイメル1158、サイメル1123、サイメル1170、サイメル1174、及びサイメルUFR65(いずれも三井サイアナミッド(株)製)や、ニカラックMx−750、ニカラックMx−032、ニカラックMx−270、ニカラックMx−280、ニカラックMx−290、ニカラックMx−706、ニカラックMx−708、ニカラックMx−40、ニカラックMx−31、ニカラックMs−11、ニカラックMw−30、ニカラックMw−30HM、ニカラックMw−390、ニカラックMw−100LM、ニカラックMw−750LM、(いずれも三和ケミカル(株)製)等を挙げることができる。このような熱硬化成分は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化性樹脂組成物には、1分子内に複数のイソシアネート基を有する化合物、及び、1分子内に複数のブロック化イソシアネート基を有する化合物を加えることができる。
このような1分子内に複数のイソシアネート基又はブロック化イソシアネート基を有する化合物としては、ポリイソシアネート化合物、又はブロックイソシアネート化合物等を挙げることができる。
なお、ブロック化イソシアネート基とは、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて一時的に不活性化された基であり、所定温度に加熱されたときにそのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成する。上記ポリイソシアネート化合物、又はブロックイソシアネート化合物を加えることにより硬化性、及び得られる硬化物の強靭性を向上する。
このようなポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、又は脂環式ポリイソシアネートが用いられる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、及び2,4−トリレンダイマー等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、及びイソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、ビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。また、上述のイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体、及びイソシアヌレート体等を挙げることができる。
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。ブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、例えば、上述のポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノール、及びエチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;ε−カプロラクタム、δ−パレロラクタム、γ−ブチロラクタム、及びβ−プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチル、及びアセチルアセトン等の活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチル、及び乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、及びシクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、及びエチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、及びベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミド、及びマレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアミン系ブロック剤;イミダゾール、及び2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミン、及びプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物は市販のものを用いることができる。市販されるブロックイソシアネート化合物としては、例えば、スミジュールBL−3175、BL−4165、BL−1100、BL−1265、デスモジュールTPLS−2957、TPLS−2062、TPLS−2078、TPLS−2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265(いずれも住友バイエルウレタン(株)製)、コロネート2512、コロネート2513、コロネート2520(いずれも日本ポリウレタン工業(株)製)、B−830、B−815、B−846、B−870、B−874、B−882(いずれも三井武田ケミカル(株)製)、TPA−B80E、17B−60PX、E402−B80T(いずれも旭化成ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。
なお、スミジュールBL−3175、BL−4265はブロック剤としてメチルエチルオキシムを用いて得られるものである。
このような1分子内に複数のイソシアネート基、又はブロック化イソシアネート基を有する化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような1分子内に複数のイソシアネート基、又はブロック化イソシアネート基を有する化合物の配合量は、組成物全体の質量に対して、0.1〜50質量%が好ましい。
配合量が0.1質量%未満の場合、十分な塗膜の強靭性を得にくい。配合量が50質量%超である場合、保存安定性が低下しやるい。より好ましい配合量は、1〜30質量%である。
<(D)光重合開始剤>
硬化性樹脂組成物は、(D)光重合開始剤を含んでいてもよい。硬化性樹脂組成物が、(D)光重合開始剤とともに、後述する(E)反応性希釈剤を含むことにより、硬化性樹脂組成物に光硬化性が付与される。
(D)光重合開始剤の種類は特に限定されず、従来から、種々の感光性組成物に配合されている光重合開始剤から適宜選択することができる。
(D)光重合開始剤の好適な具体例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾル−3−イル],1−(o−アセチルオキシム)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4−ベンゾイル−4’−メチルジメチルスルフィド、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ−2−エチルヘキシル安息香酸、4−ジメチルアミノ−2−イソアミル安息香酸、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2−クロロチオキサンテン、2,4−ジエチルチオキサンテン、2−メチルチオキサンテン、2−イソプロピルチオキサンテン、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2−メルカプトベンゾイミダール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(すなわち、ミヒラーズケトン)、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(すなわち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス−(9−アクリジニル)ヘプタン、1,5−ビス−(9−アクリジニル)ペンタン、1,3−ビス−(9−アクリジニル)プロパン、p−メトキシトリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン等が挙げられる。
これらの中でも、オキシムエステル系の光重合開始剤を用いることが、感度の面で特に好ましい。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
オキシムエスエル系の光重合開始剤の好適な例としては、以下の式(d1)で表されるオキシムエステル化合物が挙げられる。下記式(d1)で表される構造のオキシムエステル化合物を用いることにより、硬化性樹脂組成物の露光光に対する感度に優れたものとすることができる。
(R
d1は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、
n1は0〜4の整数であり、
n2は0、又は1であり、
R
d2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基であり、
R
d3は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基である。)
式(d1)中、Rd1は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rd1が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。n1が2〜4の整数である場合、Rd1は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素数には、置換基がさらに有する置換基の炭素数を含まない。
Rd1がアルキル基である場合、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。また、Rd1がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rd1がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rd1がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rd1がアルコキシ基である場合、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。また、Rd1がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rd1がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rd1がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
Rd1がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、炭素数3〜10が好ましく、炭素数3〜6がより好ましい。Rd1がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rd1がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
Rd1が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、炭素数2〜20が好ましく、炭素数2〜7がより好ましい。Rd1が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rd1が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
Rd1がアルコキシカルボニル基である場合、炭素数2〜20が好ましく、炭素数2〜7がより好ましい。Rd1がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
Rd1がフェニルアルキル基である場合、炭素数7〜20が好ましく、炭素数7〜10がより好ましい。またRd1がナフチルアルキル基である場合、炭素数11〜20が好ましく、炭素数11〜14がより好ましい。Rd1がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rd1がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rd1が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rd1は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
Rd1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。Rd1がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
Rd1が1、又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rd1と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
Rd1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rd1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。Rd1に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Rd1の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であること等から、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、炭素数1〜6のアルキルがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
Rd1がフェニル基に結合する位置は、Rd1が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がよりに好ましい。また、n1は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0、又は1が特に好ましい。
Rd2は、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基である。また、Rd2が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基上の窒素原子は、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。
Rd2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基、又はカルバゾリル基が、炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
Rd2がカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
フェニル基、又はカルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1、又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、Rd1と同様である。
Rd2において、フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。フェニル基、又はカルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Rd2の中では、感光性樹脂組成物が感度に優れる点から、下記式(d2)、又は(d3)で表される基が好ましく、下記式(d2)で表される基がより好ましく、下記式(d2)で表される基であって、AがSである基が特に好ましい。
(R
d4は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、n3は、0〜4の整数である。)
(R
d5及びR
d6は、それぞれ、1価の有機基である。)
感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成する場合、パターン形成時のポストベークの工程での加熱によって、パターンに着色が生じやすい。しかし、感光性樹脂組成物において、(D)光重合開始剤として、Rd2が上記式(d2)で表される基であって、AがSである基である、式(d1)で表されるオキシムエステル化合物を用いる場合、加熱によるパターンの着色を抑制できる。
式(d2)におけるRd4が有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。式(d2)においてRd4が有機基である場合の好適な例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。
Rd4の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
また、式(d2)において、n3は、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0、又は1であるのが特に好ましい。n3が1である場合、Rd4の結合する位置は、Rd4が結合するフェニル基が酸素原子又は硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
式(d3)におけるRd5は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。Rd5の好適な例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
Rd5の中では、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
式(d3)におけるRd6は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rd6として好適な基の具体例としては、炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rd6として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基がより好ましく、2−メチルフェニル基が特に好ましい。
Rd4、Rd5、又はRd6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rd4、Rd5、又はRd6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。Rd4、Rd5、又はRd6に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
式(d1)におけるRd3は、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基である。Rd3としては、メチル基、又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
式(d1)で表されるオキシムエステル化合物は、pが0である場合、例えば、下記スキーム1に従って合成することができる。具体的には、下記式(d1−1)で表される芳香族化合物を、下記式(d1−2)で表されるハロカルボニル化合物を用いて、フリーデルクラフツ反応によりアシル化して、下記式(d1−3)で表されるケトン化合物を得、得られたケトン化合物(d1−3)を、ヒドロキシルアミンによりオキシム化して下記式(d1−4)で表されるオキシム化合物を得、次いで式(d1−4)のオキシム化合物と、下記式(d1−5)で表される酸無水物((Rd3CO)2O)、又は下記式(d1−6)で表される酸ハライド(Rd3COHal、Halはハロゲン。)とを反応させて、下記式(d1−7)で表されるオキシムエステル化合物を得ることができる。なお、下記式(d1−2)において、Halはハロゲンであり、下記式(d1−1)、(d1−2)、(d1−3)、(d1−4)、及び(d1−7)において、Rd1、Rd2、Rd3、及びn1は、式(d1)と同様である。
式(d1)で表されるオキシムエステル化合物は、n2が1である場合、例えば、下記スキーム2に従って合成することができる。具体的には、下記式(d2−1)で表されるケトン化合物に、塩酸の存在下に下記式(d2−2)で表される亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素数1〜6のアルキル基。)を反応させて、下記式(d2−3)で表されるケトオキシム化合物を得、次いで、下記式(d2−3)で表されるケトオキシム化合物と、下記式(d2−4)で表される酸無水物((Rd3CO)2O)、又は下記式(d2−5)で表される酸ハライド(Rd3COHal、Halはハロゲン。)とを反応させて、下記式(d2−6)で表されるオキシムエステル化合物を得ることができる。なお、下記式(d2−1)、(d2−3)、(d2−4)、(d2−5)、及び(d2−6)において、Rd1、Rd2、Rd3、及びn1は、式(d1)と同様である。
また、式(d1)で表されるオキシムエステル化合物は、n2が1であり、Rd1がメチル基であって、Rd1が結合するベンゼン環に結合するメチル基に対して、Rd1がパラ位に結合する場合、例えば、下記式(d2−7)で表される化合物を、スキーム1と同様の方法で、オキシム化、及びアシル化することによって合成することもできる。なお、下記式(d2−7)において、Rd2は、式(d1)と同様である。
式(d1)で表されるオキシムエステル化合物の中でも特に好適な化合物としては、下記のPI−1〜PI−42が挙げられる。
また、下記式(d4)で表される化合物も、(D)光重合開始剤として好ましい。
(R
d7は水素原子、ニトロ基又は1価の有機基であり、R
d8及びR
d9は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、R
d8とR
d9とは相互に結合して環を形成してもよく、R
d10は1価の有機基であり、R
d11は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、n4は0〜4の整数であり、n5は0又は1である。)
式(d4)中、Rd7は、水素原子、ニトロ基又は1価の有機基である。Rd7は、式(d4)中のフルオレン環上で、−(CO)n5−で表される基に結合する6員芳香環とは、異なる6員芳香環に結合する。式(d4)中、Rd7のフルオレン環に対する結合位置は特に限定されない。式(d4)で表される化合物が1以上のRd7を有する場合、式(d4)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のRd7のうちの1つがフルオレン環中の2位に結合するのが好ましい。Rd7が複数である場合、複数のRd7は同一であっても異なっていてもよい。
Rd7が有機基である場合、Rd7は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から適宜選択される。Rd7が有機基である場合の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。
Rd7がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、Rd7がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rd7がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rd7がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rd7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、Rd7がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rd7がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチルオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rd7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
Rd7がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。Rd7がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rd7がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
Rd7が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2〜21が好ましく、2〜7がより好ましい。Rd7が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rd7が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
Rd7がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。Rd7がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
Rd7がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。また、Rd7がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。Rd7がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。Rd7がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。Rd7が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rd7は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
Rd7がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。Rd7がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
Rd7がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、Rd7がヘテロシクリル基である場合と同様である。
Rd7が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、炭素原子数2〜21の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rd7と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
Rd7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rd7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。Rd7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
以上説明した基の中でも、Rd7としては、ニトロ基、又はRd12−CO−で表される基であると、感度が向上する傾向があり好ましい。Rd12は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。Rd12として好適な基の例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。Rd12として、これらの基の中では、2−メチルフェニル基、チオフェン−2−イル基、及びα−ナフチル基が特に好ましい。
また、Rd7が水素原子であると、透明性が良好となる傾向があり好ましい。なお、Rd7が水素原子であり且つRd10が後述の式(d4b)で表される基であると透明性はより良好となる傾向がある。
式(d4)中、Rd8及びRd9は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。Rd8とRd9とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、Rd8及びRd9として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。Rd8及びRd9が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
Rd8及びRd9が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。Rd8及びRd9が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rd8及びRd9がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
Rd8及びRd9が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、シアノ基、ハロゲン原子、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、Rd7がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、Rd7がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。Rd7がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1〜20であり、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
Rd8及びRd9が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。Rd8及びRd9が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、Rd8及びRd9が鎖状アルキル基である場合と同様である。
Rd8及びRd9が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素−炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
Rd8及びRd9が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
Rd8及びRd9がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
Rd8とRd9とは相互に結合して環を形成してもよい。Rd8とRd9とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。Rd8とRd9とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環〜6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
Rd8とRd9とが結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
以上説明したRd8及びRd9の中でも好適な基の例としては、式−A1−A2で表される基が挙げられる。式中、A1は直鎖アルキレン基であり、A2は、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である挙げられる。
A1の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。A2がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。A2がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。A2がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A2が環状有機基である場合、環状有機基の例は、Rd8及びRd9が置換基として有する環状有機基と同様である。A2がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、Rd8及びRd9が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
Rd8及びRd9の好適な具体例としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、及びn−オクチル基等のアルキル基;2−メトキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、5−メトキシ−n−ペンチル基、6−メトキシ−n−ヘキシル基、7−メトキシ−n−ヘプチル基、8−メトキシ−n−オクチル基、2−エトキシエチル基、3−エトキシ−n−プロピル基、4−エトキシ−n−ブチル基、5−エトキシ−n−ペンチル基、6−エトキシ−n−ヘキシル基、7−エトキシ−n−ヘプチル基、及び8−エトキシ−n−オクチル基等のアルコキシアルキル基;2−シアノエチル基、3−シアノ−n−プロピル基、4−シアノ−n−ブチル基、5−シアノ−n−ペンチル基、6−シアノ−n−ヘキシル基、7−シアノ−n−ヘプチル基、及び8−シアノ−n−オクチル基等のシアノアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニル−n−プロピル基、4−フェニル−n−ブチル基、5−フェニル−n−ペンチル基、6−フェニル−n−ヘキシル基、7−フェニル−n−ヘプチル基、及び8−フェニル−n−オクチル基等のフェニルアルキル基;2−シクロヘキシルエチル基、3−シクロヘキシル−n−プロピル基、4−シクロヘキシル−n−ブチル基、5−シクロヘキシル−n−ペンチル基、6−シクロヘキシル−n−ヘキシル基、7−シクロヘキシル−n−ヘプチル基、8−シクロヘキシル−n−オクチル基、2−シクロペンチルエチル基、3−シクロペンチル−n−プロピル基、4−シクロペンチル−n−ブチル基、5−シクロペンチル−n−ペンチル基、6−シクロペンチル−n−ヘキシル基、7−シクロペンチル−n−ヘプチル基、及び8−シクロペンチル−n−オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2−メトキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、4−メトキシカルボニル−n−ブチル基、5−メトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−メトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−メトキシカルボニル−n−ヘプチル基、8−メトキシカルボニル−n−オクチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、4−エトキシカルボニル−n−ブチル基、5−エトキシカルボニル−n−ペンチル基、6−エトキシカルボニル−n−ヘキシル基、7−エトキシカルボニル−n−ヘプチル基、及び8−エトキシカルボニル−n−オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2−クロロエチル基、3−クロロ−n−プロピル基、4−クロロ−n−ブチル基、5−クロロ−n−ペンチル基、6−クロロ−n−ヘキシル基、7−クロロ−n−ヘプチル基、8−クロロ−n−オクチル基、2−ブロモエチル基、3−ブロモ−n−プロピル基、4−ブロモ−n−ブチル基、5−ブロモ−n−ペンチル基、6−ブロモ−n−ヘキシル基、7−ブロモ−n−ヘプチル基、8−ブロモ−n−オクチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
Rd8及びRd9として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−フェニルエチル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−n−ペンチル基である。
Rd10の好適な有機基の例としては、Rd7と同様に、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基等が挙げられる。これらの基の具体例は、Rd7について説明したものと同様である。また、Rd10としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、Rd7に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
有機基の中でも、Rd10としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2−メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5〜10が好ましく、5〜8がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1〜8が好ましく、1〜4がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2−(4−クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
また、Rd10としては、−A3−CO−O−A4で表される基も好ましい。A3は、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。A4は、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
A3がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A3がアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。
A4の好適な例としては、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、及び炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。A4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、及びβ−ナフチルメチル基等が挙げられる。
−A3−CO−O−A4で表される基の好適な具体例としては、2−メトキシカルボニルエチル基、2−エトキシカルボニルエチル基、2−n−プロピルオキシカルボニルエチル基、2−n−ブチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ペンチルオキシカルボニルエチル基、2−n−ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2−ベンジルオキシカルボニルエチル基、2−フェノキシカルボニルエチル基、3−メトキシカルボニル−n−プロピル基、3−エトキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ブチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ペンチルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−n−ヘキシルオキシカルボニル−n−プロピル基、3−ベンジルオキシカルボニル−n−プロピル基、及び3−フェノキシカルボニル−n−プロピル基等が挙げられる。
以上、R
d10について説明したが、R
d10としては、下記式(d4a)又は(d4b)で表される基が好ましい。
(式(d4a)及び(d4b)中、R
d13及びR
d14はそれぞれ有機基であり、n6は0〜4の整数であり、R
d13及びR
8がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、R
d13とR
d14とが互いに結合して環を形成してもよく、n7は1〜8の整数であり、n8は1〜5の整数であり、n9は0〜(n8+3)の整数であり、R
d15は有機基である。)
式(d4a)中のRd13及びRd14についての有機基の例は、Rd7と同様である。Rd13としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。Rd13がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、Rd13はメチル基であるのが最も好ましい。Rd13とRd14とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(d4a)で表される基であって、Rd13とRd14とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン−1−イル基や、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−5−イル基等が挙げられる。上記式(d4a)中、n6は0〜4の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
上記式(d4b)中、Rd15は有機基である。有機基としては、Rd7について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。Rd15としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
上記式(d4b)中、n8は1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(d4b)中、n9は0〜(n8+3)であり、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(d4b)中、n7は1〜8の整数であり、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
式(d4)中、Rd11は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1〜11のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。Rd11がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、Rd7がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が好ましく例示される。
式(d4)中、Rd11としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
式(d4)で表される化合物は単独で用いても2種以上用いてもよく、2種以上使用する場合、以下の(i)〜(iii)が好ましい。
(i)Rd7が水素原子である化合物とRd7がニトロ基である化合物との組み合わせ
(ii)Rd10が式(d4a)である化合物とRd10が式(d4b)である化合物との組み合わせ
(iii)Rd10が式(d4a)又は式(d4b)である化合物とRd10が炭素原子数1〜4のアルキル基である化合物
中でも、感度及び硬化物の透過率等の特性向上の点で、上記(i)の組み合わせが好ましく、上記(i)と、(ii)又は(iii)とを満たす組み合わせがより好ましい。
上記(i)〜(iii)の組み合わせによる各化合物の配合比(質量比)は、目的の感度等の特性に合わせて適宜調整すればよく、例えば、1:99〜99:1が好ましく、10:90〜90:10がより好ましく、30:70〜70;30がさらに好ましい。
式(d4)で表される化合物の製造方法は特に限定されない。式(d4)で表される化合物は、好ましくは、下式(d5)で表される化合物に含まれるオキシム基(=N−OH)を、=N−O−COR
d11で表されるオキシムエステル基に変換する工程を含む方法により製造される。R
d11は、式(d4)中のR
d11と同様である。
(R
d7、R
d8、R
d9、R
d10、n4、及びn5は、式(d4)と同様である。)
このため、上記式(d5)で表される化合物は、式(d4)で表される化合物の合成用中間体として有用である。
オキシム基(=N−OH)を、=N−O−CORd11で表されるオキシムエステル基に変換する方法は特に限定されない。典型的には、オキシム基中の水酸基に、−CORd11で表されるアシル基を与えるアシル化剤を反応させる方法が挙げられる。アシル化剤としては、(Rd11CO)2Oで表される酸無水物や、Rd11COHal(Halはハロゲン原子)で表される酸ハライドが挙げられる。
一般式(d4)で表される化合物は、n5が0である場合、例えば、下記スキーム3に従って合成することができる。スキーム3では、下記式(d3−1)で表されるフルオレン誘導体を原料として用いる。Rd7がニトロ基又は1価の有機基である場合、式(d3−1)で表されるフルオレン誘導体は、9位をRd8及びRd9で置換されたフルオレン誘導体に、周知の方法によって、置換基Rd7を導入して得ることができる。9位をRd8及びRd9で置換されたフルオレン誘導体は、例えば、Rd8及びRd9がアルキル基である場合、特開平06−234668号公報に記載されるように、アルカリ金属水酸化物の存在下に、非プロトン性極性有機溶媒中で、フルオレンとアルキル化剤とを反応させて得ることができる。また、フルオレンの有機溶媒溶液中に、ハロゲン化アルキルのようなアルキル化剤と、アルカリ金属水酸化物の水溶液と、ヨウ化テトラブチルアンモニウムやカリウムtert−ブトキシドのような相間移動触媒とを添加してアルキル化反応を行うことで、9,9−アルキル置換フルオレンを得ることができる。
式(d3−1)で表されるフルオレン誘導体に、フリーデルクラフツアシル化反応により、−CO−Rd10で表されるアシル基を導入し、式(d3−3)で表されるフルオレン誘導体が得られる。を、−CO−Rd10で表されるアシル基を導入するためのアシル化剤は、ハロカルボニル化合物であってもよく、酸無水物であってもよい。アシル化剤としては、式(d3−2)で表されるハロカルボニル化合物が好ましい。式(d3−2)中、Halはハロゲン原子である。フルオレン環上にアシル基が導入される位置は、フリーデルクラフツ反応の条件を適宜変更したり、アシル化される位置の他の位置に保護及び脱保護を施したりする方法で、選択することができる。
次いで、得られる式(d3−3)で表されるフルオレン誘導体中の−CO−Rd10で表される基を、−C(=N−OH)−Rd10で表される基に変換し、式(d3−4)で表されるオキシム化合物を得る。−CO−Rd10で表される基を、−C(=N−OH)−Rd10で表される基に変換する方法は特に限定されないが、ヒドロキシルアミンによるオキシム化が好ましい。式(d3−4)のオキシム化合物と、下式(d3−5)で表される酸無水物((Rd11CO)2O)、又は下記式(d3−6)で表される酸ハライド(Rd11COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、下記式(d3−7)で表される化合物を得ることができる。
なお、式(d3−1)、(d3−2)、(d3−3)、(d3−4)、(d3−5)、(d3−6)、及び(d3−7)において、Rd7、Rd8、Rd9、Rd10、及びRd11は、式(d4)と同様である。
また、スキーム3において、式(d3−2)、式(d3−3)、及び式(d3−4)それぞれに含まれるRd10は、同一であっても異なってもいてもよい。つまり、式(d3−2)、式(d3−3)、及び式(d3−4)中のRd10は、スキーム3として示される合成過程において、化学修飾を受けてもよい。化学修飾の例としては、エステル化、エーテル化、アシル化、アミド化、ハロゲン化、アミノ基中の水素原子の有機基による置換等が挙げられる。Rd10が受けてもよい化学修飾はこれらに限定されない。
式(d4)で表される化合物は、n5が1である場合、例えば、下記スキーム4に従って合成することができる。スキーム4では、下記式(d4−1)で表されるフルオレン誘導体を原料として用いる。式(d4−1)で表されるフルオレン誘導体は、スキーム3と同様の方法によって、式(d3−1)で表される化合物に、フリーデルクラフツ反応によって−CO−CH2−Rd10で表されるアシル基を導入して得られる。アシル化剤としては、式(d3−8):Hal−CO−CH2−Rd10で表されるカルボン酸ハライドが好ましい。次いで、式(d4−1)で表される化合物中の、Rd10とカルボニル基との間に存在するメチレン基をオキシム化して、下式(d4−3)で表されるケトオキシム化合物を得る。メチレン基をオキシム化する方法は特に限定されないが、塩酸の存在下に下記一般式(d4−2)で表される亜硝酸エステル(RONO、Rは炭素数1〜6のアルキル基。)を反応させる方法が好ましい。次いで、下記式(d4−3)で表されるケトオキシム化合物と、下記式(d4−4)で表される酸無水物((Rd11CO)2O)、又は下記式(d4−5)で表される酸ハライド(Rd11COHal、Halはハロゲン原子。)とを反応させて、下記式(d4−6)で表される化合物を得ることができる。なお、下記式(d4−1)、(d4−3)、(d4−4)、(d4−5)、及び(d4−6)において、Rd7、Rd8、Rd9、Rd10、及びRd11は、式(d4)と同様である。
n5が1である場合、式(d4)で表される化合物を含有する感光性樹脂組成物を用いて形成されるパターン中での異物の発生をより低減できる傾向がある。
また、スキーム4において、式(d3−8)、式(d4−1)、及び式(d4−3)それぞれに含まれるRd10は、同一であっても異なってもいてもよい。つまり、式(d3−8)、式(d4−1)、及び式(d4−3)中のRd10は、スキーム4として示される合成過程において、化学修飾を受けてもよい。化学修飾の例としては、エステル化、エーテル化、アシル化、アミド化、ハロゲン化、アミノ基中の水素原子の有機基による置換等が挙げられる。Rd10が受けてもよい化学修飾はこれらに限定されない。
式(d4)で表される化合物の好適な具体例としては、以下のPI−43〜PI−82が挙げられる。
硬化性樹脂組成物における(C)光重合開始剤の配合量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。(C)光重合開始剤の配合量は、硬化性樹脂組成物の質量全体に対して0.1〜25質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましい。
硬化性樹脂組成物が(C)光重合開始剤を含む場合、硬化性樹脂組成物には、(C)光重合開始剤とともに、光開始助剤や増感剤が配合されるのが好ましい。
硬化性樹脂組成物に好適に用いることができる光開始助剤、及び増感剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、及びキサントン化合物等を挙げることができる。
ベンゾイン化合物としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、及びベンゾインイソプロピルエーテル等を挙げることができる。
アセトフェノン化合物としては、例えばアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、及び1,1−ジクロロアセトフェノン等を挙げることができる。
アントラキノン化合物としては、例えば2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、及び1−クロロアントラキノン等を挙げることができる。
チオキサントン化合物としては、例えば2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、及び2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
ケタール化合物としては、例えばアセトフェノンジメチルケタール、及びベンジルジメチルケタール等を挙げることができる。
ベンゾフェノン化合物としては、例えばベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、及び4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィド等を挙げることができる。
3級アミン化合物としては、例えばエタノールアミン化合物、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物、例えば、市販品では、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(日本曹達(株)製ニッソキュアーMABP)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学(株)製EAB)等のジアルキルアミノベンゾフェノン、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(7−(ジエチルアミノ)−4−メチルクマリン)等のジアルキルアミノ基含有クマリン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬(株)製カヤキュアーEPA)、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure DMB)、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure BEA)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル(日本化薬(株)製カヤキュアーDMBI)、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(Van Dyk社製Esolol 507)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学(株)製EAB)等を挙げることができる。
これらのうち、チオキサントン化合物及び3級アミン化合物が好ましい。特に、チオキサントン化合物が含まれることが、深部硬化性の面から好ましい。中でも、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物を含むことが好ましい。
このようなチオキサントン化合物の配合量としては、硬化性樹脂組成物全体質量に対して20質量%以下が好ましい。チオキサントン化合物の配合量が20質量%を超えると、厚膜硬化性が低下するとともに、製品のコストアップに繋がる。より好ましくは10質量%以下である。
3級アミン化合物としては、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が好ましく、中でも、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、最大吸収波長が350〜450nmの範囲内にあるジアルキルアミノ基含有クマリン化合物、及びケトクマリン類が特に好ましい。
ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物としては、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンが、毒性も低く好ましい。ジアルキルアミノ基含有クマリン化合物は、最大吸収波長が350〜410nmと紫外線領域にあるため、着色が少なく、無色透明な感光性組成物はもとより、着色顔料を用い、着色顔料自体の色を反映した着色ソルダーレジストを提供することが可能となる。特に、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オンが、波長400〜410nmのレーザー光に対して優れた増感効果を示すことから好ましい。
このような3級アミン化合物の配合量としては、硬化性樹脂組成物全体の質量に対して0.01〜20質量%が好ましい。3級アミン化合物の配合量が0.01質量%未満であると、十分な増感効果を得ることができない傾向にある。一方、20質量%を超えると3級アミン化合物による乾燥ソルダーレジストの表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは0.5〜10質量%である。
これらの光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤は、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
以上説明した(C)光重合開始剤、光開始助剤、及び増感剤の総量は、硬化性樹脂組成物全体の質量に対して、30質量%以下が好ましい。30質量%を超えると、これらの光吸収により深部硬化性が低下する傾向にある。
<(E)反応性希釈剤>
硬化性樹脂組成物は、(E)反応性希釈剤を含有することが好ましい。(E)反応性希釈剤としては、分子中にエチレン性不飽和基を有する化合物が好ましい。
分子中にエチレン性不飽和基を有する化合物は、活性エネルギー線の照射により光硬化して、硬化性樹脂組成物のアルカリ水溶液への溶解性を低下させる。
(E)反応性希釈剤としては、周知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレートを使用できる。
具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコール等のグリコールのジ(メタ)アクリレート類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びN,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加体、プロピレンオキサイド付加体、もしくはε−カプロラクトン付加体等の多価(メタ)アクリレート類;フェノキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加体もしくはプロピレンオキサイド付加体等の多価(メタ)アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、及びトリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルの多価(メタ)アクリレート類;上記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオール等のポリオールを直接(メタ)アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類、及びメラミンアクリレート、及び上記アクリレートに対応する各メタクリレート類の少なくともいずれか1種等が挙げられる。
さらに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂や、さらにそのエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタン(メタ)アクリレート化合物等を挙げることができる。
このようなエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
上記のような分子中にエチレン性不飽和基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に1分子内に4個から6個のエチレン性不飽和基を有する化合物が光反応性と解像性の観点から好ましく、さらに1分子内に2個のエチレン性不飽和基を有する化合物を用いると、硬化物の線熱膨張係数が低下し、PCT時における剥がれの発生が低減されることから好ましい。
(E)反応性希釈剤の配合量は、硬化性樹脂組成物全体の質量に対しての2〜50質量%が好ましい。配合量が、2質量%未満の場合、光硬化性が低下し、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像により、パターン形成が困難となる。一方、50質量%を超えた場合、アルカリ水溶液に対する溶解性が低下して、塗膜が脆くなる。より好ましくは、3〜40質量%である。
<(F)フィラー>
硬化性樹脂組成物は、従来から種々の目的で使用されている(F)フィラーを含んでいてもよい。(F)フィラーは有機フィラーであっても、無機フィラーであってもよく、無機フィラーが好ましい。無機フィラーは、硬化性樹脂組成物の硬化物の硬化収縮を抑制するため、密着性、硬度等の硬化物の特性を向上させやすい。
無機フィラーとしては、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、ノイブルグ珪土、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、及び窒化アルミニウム等が挙げられる。
(F)フィラーの平均粒子径は、特に限定されないが5μm以下が好ましい。硬化性樹脂組成物中の(F)フィラーの配合割合は、硬化性樹脂組成物の全質量に対して、75質量%以下が好ましく、0.1〜60質量%がより好ましい。
かかる量の(F)フィラーを用いる場合、硬化性樹脂組成物の良好な塗布性と、硬化物の良好な靱性とを両立させやすい。
<(G)シアネート樹脂>
硬化性樹脂組成物は(G)シアネート樹脂を含んでいてもよい。(G)シアネート樹脂は、硬化性樹脂組成物の硬化物に、高耐熱性、低誘電正接、及び低熱膨張率等を付与することができる。
(G)シアネート樹脂は、特に限定されず、シアネート基(−O−C≡N)を有するシアン酸エステルモノマーや多官能シアン酸エステルモノマーを予備反応させたプレポリマーを用いることができる。具体的には、例えば、ノボラック型(フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型等)シアネート樹脂、ジシクロペンタジエン型シアネート樹脂、ビスフェノール型(ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型等)シアネート樹脂、及びこれらが一部トリアジン化したプレポリマー等が挙げられる。
また、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパン等の多官能シアン酸エステル類のモノマー又はプレポリマーとビスマレイミド等の多官能マレイミド類のモノマー又はプレポリマ−とを95:5〜5:95の質量比で予備反応あるいは予備混合させたもの(例えば、三菱瓦斯化学(株)製BTレジン)を用いることもできる。
これらのシアネート樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(G)シアネート樹脂の具体例としては、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)ヘキサフロロプロパン、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニル)メタン、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアネートフェニル)エタン等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ジシクロペンタジエン構造含有フェノール樹脂等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー等を挙げることができる。
(G)シアネート樹脂の市販品の例としては、フェノールノボラック型多官能シアネート樹脂としてはロンザジャパン社製PT30(シアネート当量124)が挙げられ、ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマーとしてはロンザジャパン社製BA230(シアネート当量232)が挙げられ、ジシクロペンタジエン構造含有シアネート樹脂としてはロンザジャパン社製DT−4000、DT−7000等が挙げられる。
上記シアネート樹脂の配合量は、組成物全体の、1〜50質量%が好ましい。配合量が50質量%を超えた場合、現像性が低下する。より好ましくは、2〜30質量%である。
<(H)着色剤>
硬化性樹脂組成物は、(H)着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、赤、青、緑、黄、黒、白等の色相の周知の着色剤を用いることができる。(H)着色剤は、顔料、染料、色素のいずれでもよく、耐光性、耐候性等の点から顔料が好ましい。
具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものが挙げられる。
(赤色着色剤)
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等があり、具体的には以下のものが挙げることができる。
モノアゾ系:C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,及び269。
ジスアゾ系:C.I.ピグメントレッド37,38,及び41。
モノアゾレーキ系:C.I.ピグメントレッド48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,及び68。
ベンズイミダゾロン系:C.I.ピグメントレッド171、175、176、及び208。
ペリレン系:C.I.ソルベントレッド135、及び179、並びにC.I.ピグメントレッド123、149、166、178、179、190、194、224。
ジケトピロロピロール系:C.I.ピグメントレッド254、255、264、270、及び272。
縮合アゾ系:C.I.ピグメントレッド220、144、166、214、220、221、及び242。
アンスラキノン系:C.I.ピグメントレッド168、177、及び216、並びにC.I.ソルベントレッド149、150、52、及び207。
キナクリドン系:C.I.ピグメントレッド122、202、206、207、及び209。
(青色着色剤)
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系がある。
顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなものを挙げることができる:C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、及び60。
染料系としては、C.I.ソルベントブルー35、63、68、70、83、87、94、97、122、136、67、70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
(緑色着色剤)
緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系があり、具体的にはC.I.ピグメントグリーン7、及び36、並びにC.I.ソルベントグリーン3、5、20、及び28等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
(黄色着色剤)
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等があり、具体的には以下のものが挙げられる。
アントラキノン系:C.I.ソルベントイエロー163、並びにC.I.ピグメントイエロー24、108、193、147、199、及び202。
イソインドリノン系:C.I.ピグメントイエロー110、109、139、179、及び185。
縮合アゾ系:C.I.ピグメントイエロー93、94、95、128、155、166、及び180。
ベンズイミダゾロン系:C.I.ピグメントイエロー120、151、154、156、175、及び181。
モノアゾ系:C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、9、10、61、62、62:1、65、73、74、75、97、100、104、105、111、116、167、168、169、182、及び183。
ジスアゾ系:C.I.ピグメントイエロー12、13、14、16、17、55、63、81、83、87、126、127、152、170、172、174、176、188、及び198。
(その他の色相の着色剤)
その他、色調を調整する目的で紫、オレンジ、茶色、黒等の着色剤を加えてもよい。
具体的に例示すれば、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、32、36、38、及び42;C.I.ソルベントバイオレット13、及び36;C.I.ピグメントオレンジ1、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、61、63、64、71、及び73;C.I.ピグメントブラウン23、及び25;C.I.ピグメントブラック1、及び7等を挙げることができる。
上記の着色剤は適宜配合できるが、組成物全体の10質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.05〜5質量%である。
<(I)その他の成分>
硬化性樹脂組成物は、上記説明した成分以外のその他の成分(任意成分)として、有機溶剤、エラストマー、メルカプト化合物、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、密着促進剤、重合禁止剤、増粘剤(微粉シリカ、有機ベントナイト、及びモンモリロナイト等)消泡剤(シリコーン系、フッ素系、及び高分子系等)、及びレベリング剤の少なくとも1種を含んでいてもよい。
また、硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤(イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等)、防錆剤、難燃剤(ホスフィン酸塩、燐酸エステル誘導体、フォスファゼン化合物等のリン化合物等)、ブロック共重合体といった公知の添加剤を、少なくとも1種含んでいてもよい。
以下、(I)その他の成分のうち、有機溶剤、エラストマー、メルカプト化合物について説明する。
[有機溶剤]
硬化性樹脂組成物において、上記のカルボキシ基含有樹脂の合成や組成物の調製のため、又は基材やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のため、有機溶剤を使用することができる。
このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤等を挙げることができる。より詳細には、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート等のエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等を挙げることができる。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合物として用いてもよい。
[エラストマー]
硬化性樹脂組成物には、官能基を有するエラストマーを添加することができる。官能基を有するエラストマーを加えることにより、コーティング性が向上し、塗膜の強度も向上することが期待できる。官能基を有するエラストマーの商品名の例として、R−45HT、Poly bd HTP−9(以上、出光興産(株)製)、エポリード PB3600(ダイセル化学工業(株)製)、デナレックス R−45EPT(ナガセケムテックス(株)製)、Ricon 130、Ricon 131、Ricon 134、Ricon 142、Ricon 150、Ricon 152、Ricon 153、Ricon 154、Ricon 156、Ricon 157、Ricon 100、Ricon 181、Ricon 184、Ricon 130MA8、Ricon 130MA13、Ricon 130MA20、Ricon 131MA5、Ricon 131MA10、Ricon 131MA17、Ricon 131MA20、Ricon 184MA6、Ricon 156MA17(以上、サートマー(株)製)等を挙げることができる。
ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステルウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステルアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマーを用いることができる。
また、種々の骨格を有するエポキシ樹脂の一部又は全部のエポキシ基を両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリロニトリルゴムで変性した樹脂等も使用できる。さらには、エポキシ含有ポリブタジエン系エラストマー、アクリル含有ポリブタジエン系エラストマー、水酸基含有ポリブタジエン系エラストマー、水酸基含有イソプレン系エラストマー等も使用することができる。
これらエラストマーの配合量は、組成物全体の質量に対して1〜50質量%好ましくは3〜30質量%の範囲が適当である。また、これらのエラストマーは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
[メルカプト化合物]
硬化性樹脂組成物には、必要に応じてメルカプト化合物を添加してもよい。特に、基材に接する側の樹脂絶縁層形成のための硬化性樹脂組成物にメルカプト化合物を加えることにより、PCT耐性とHAST耐性が向上することが期待できる。これは、密着性が向上するためと考えられる。
メルカプト化合物としては、例えばメルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、メルカプトプロパンジオール、メルカプトブタンジオール、ヒドロキシベンゼンチオール、及びその誘導体である、1−ブタンチオール、ブチル−3−メルカプトプロピオネート、メチル−3−メルカプトプロピオネート、2,2−(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、エタンチオール、4−メチルベンゼンチオール、ドデシルメルカプタン、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、1−オクタンチオール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、チオグリセロール、4,4−チオビスベンゼンチオール等が挙げることができる。
これらの市販品としては、例えばBMPA、MPM、EHMP、NOMP、MBMP、STMP、TMMP、PEMP、DPMP、及びTEMPIC(以上、堺化学工業(株)製)、カレンズMT−PE1、カレンズMT−BD1、及びカレンズ−NR1(以上、昭和電工(株)製)等を挙げることができる。
さらに、複素環を有するメルカプト化合物として、例えば、メルカプト−4−ブチロラクトン(別名:2−メルカプト−4−ブタノリド)、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−メトキシ−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−エトキシ−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−メチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−(2−メトキシ)エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−(2−エトキシ)エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−5−バレロラクトン、2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−メチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−(2−メトキシ)エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−(2−エトキシ)エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルチオ−チアジアゾール、2−メルカプト−6−ヘキサノラクタム、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン(三協化成(株)製:商品名ジスネットF)、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン(三協化成(株)製:商品名ジスネットDB)、及び2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン(三協化成(株)製:商品名ジスネットAF)等が挙げることができる。
これらの中でも、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール(川口化学工業(株)製:商品名アクセルM)、3−メルカプト−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾールが好ましい。
このようなメルカプト化合物の配合量は、組成物全体の0.01質量%以上10.0質量%以下が適当であり、さらに0.05質量%以上5部質量%以下が好ましい。0.01質量%未満では、メルカプト化合物添加の効果としての密着性の向上が確認されず、一方、10.0質量%を超えると、感光性樹脂組成物の現像不良、乾燥管理幅の低下等を引き起こすおそれがあるので好ましくない。これらのメルカプト化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
≪ドライフィルム≫
ドライフィルムは、前述の硬化性樹脂組成物を塗布・乾燥して形成される硬化性樹脂層を有する。ドライフィルムは、硬化性樹脂層を、基材に接するようにラミネートして使用される。
ドライフィルムは、キャリアフィルムに硬化性樹脂組成物をブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等の適宜の方法により均一に塗布し、乾燥して、前記した硬化性樹脂層を形成し、好ましくはその上にカバーフィルムを積層することにより、製造することができる。カバーフィルムとキャリアフィルムは同一のフィルム材料であっても、異なるフィルムを用いてもよい。
ドライフィルムにおいてキャリアフィルム、カバーフィルムのフィルム材料は、ドライフィルムに用いられるものとして公知のものをいずれも使用することができる。
キャリアフィルムとしては、例えば2〜150μmの厚さのポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム等の熱可塑性フィルムが用いられる。
カバーフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を使用することができる。カバーフィルムとしては、硬化性樹脂層との接着力が、キャリアフィルムよりも小さいフィルムが好ましい。
キャリアフィルム上の硬化性樹脂層の膜厚は、100μm以下が好ましく、5〜50μmの範囲がより好ましい。
≪プリント配線板≫
プリント配線板は、前述のドライフィルムを構成する硬化性樹脂層を用いて作製されることが好ましい。例えば、硬化性樹脂層を含むドライフィルムをラミネートし、例えば約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、樹脂絶縁層を形成することが好ましい。
プリント配線板は、ブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等の適宜の方法により、基材に硬化性樹脂組成物を直接塗布・乾燥して樹脂絶縁層を形成してもよい。
プリント配線板が備える樹脂絶縁層は、CO2レーザーやUV−YAGレーザー等の半導体レーザーを照射することによりパターニングが可能である。また、CO2レーザーやUV−YAGレーザー、又はドリルにより、穴を開けることができる。樹脂絶縁層が複数からなる場合、穴は樹脂絶縁層の任意の層と導通が可能な貫通穴(スルーホール)でも内層の回路と樹脂絶縁層表面の導通を目的とする部分穴(コンフォーマルビア)のどちらもあけることができる。
穴あけ加工後、穴の内壁や底部に存在する残渣(スミヤ)を除去することと、導体層(その後に形成する金属めっき層)とのアンカー効果を発現させるために表面に微細な凹凸状の粗化面を形成することを目的として、市販のデスミヤ液(粗化剤)又は過マンガン酸塩、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤を含有する液で処理を行う。
次に、デスミヤ液で残渣を除去した穴や、微細な凹凸状に粗化した皮膜表面にサブトラクティブ法やセミアディティブ法により、回路を形成する。いずれの方法においても、無電解めっき、又は電解めっき後、あるいは両方のめっきを施した後に、金属のストレス除去、強度向上の目的で約80℃〜180℃で10分〜60分程度の熱処理(アニール処理)を施してもよい。
ここで用いる金属めっきとしては、銅、錫、はんだ、ニッケル等特に制限は無く、複数組み合わせて使用することもできる。また、ここで用いるめっきの代わりに金属のスパッタリング等で代用することも可能である。
また、樹脂絶縁層を、感光性の硬化性樹脂層を用いて形成するか、硬化性樹脂組成物を塗布・乾燥した乾燥塗膜により形成してもよい。この場合、基材(基板)上に形成された硬化性樹脂層や乾燥塗膜に対して、フォトマスクを介して露光するか、レーザーダイレクト露光機により直接パターン露光することで、位置選択的な露光が行われる。
硬化性樹脂層や乾燥塗膜は、露光部(活性エネルギー線により照射された部分)が硬化する。
活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、直接描画装置(例えばコンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)、メタルハライドランプを搭載した露光機、(超)高圧水銀ランプを搭載した露光機、LEDを搭載した露光機、水銀ショートアークランプを搭載した露光装置を用いることができる。
活性エネルギー線としては、最大波長が350〜410nmの範囲にある光線が好ましい。最大波長がこの範囲であれば、光重合開始剤から効率よくラジカルを生成させやすい。露光量は膜厚等によって異なるが、典型的には5〜500mJ/cm2であり、10〜300mJ/cm2が好ましい。
直接描画装置としては、例えば、日本オルボテック(株)製、ペンタックス(株)製、オーク(株)製、大日本スクリーン(株)製等のものを使用することができ、最大波長が350〜410nmの活性エネルギー線を照射する装置であればいずれの装置を用いてもよい。
このようにして硬化性樹脂層や乾燥塗膜を露光することにより、露光部(活性エネルギー線により照射された部分)を硬化させた後、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、濃度0.3〜3質量%の炭酸ナトリウム水溶液)により現像して、硬化性樹脂層や乾燥塗膜にパターンが形成される。
現像方法は、特に限定されず、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等が挙げられる。現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液を用いることができる。
さらに、硬化性樹脂層を、例えば約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、(B)アルカリ可溶性樹脂中のカルボキシ基等のアルカリ可溶性基と、例えば分子中に複数の環状エーテル基等を有する(C)熱硬化樹脂とが反応し、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、絶縁信頼性等の諸特性に優れた樹脂絶縁層(パターン)を形成することができる。
プリント配線板中の樹脂絶縁層の全膜厚は、100μm以下が好ましく、5〜50μmがより好ましい。
基材としては、あらかじめ回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス−ポリイミド、ガラス布/不繊布−エポキシ樹脂、ガラス布/紙−エポキシ樹脂、合成繊維−エポキシ樹脂、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネートエステル等の複合材を用いた全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を用いることができる。
プリント配線板が有する樹脂絶縁層は、永久被膜として好適であり、中でもソルダーレジストや層間絶縁材料として好適である。
≪積層構造体≫
積層構造体は、基材(S)と、基材(S)上に形成された複数の樹脂絶縁層を有する。複数の樹脂絶縁層のうち、基材(S)に接する樹脂絶縁層が、前述の硬化性樹脂組成物を含む硬化性樹脂層の硬化物からなる樹脂絶縁層(L1)であればよい。
基材に接する層以外の樹脂絶縁層(L2)は、樹脂絶縁性(L1)と同一の硬化性樹脂組成物から形成されてもよく、異なる樹脂組成物から形成されてもよい。
樹脂絶縁層(L2)は、一般に、樹脂絶縁層(L1)とは組成の異なる硬化性樹脂組成物から形成される。樹脂絶縁層(L2)は、絶縁特性等の他の特性に優れた樹脂絶縁層であることが好ましい。特に絶縁特性に優れた樹脂絶縁層であることが好ましい。
そのためには、樹脂絶縁層(L2)は、P原子を含む硬化促進剤を含有する硬化性樹脂組成物を含む硬化性樹脂層の硬化物からなるのが好ましい。
樹脂絶縁層(L2)の形成に用いられる硬化性樹脂組成物の、P原子を含む硬化促進剤以外の成分は任意である。樹脂絶縁層(L2)の形成に用いられる硬化性樹脂組成物は、前述の硬化性組成物、すなわち樹脂絶縁層(L1)の形成に用いられる硬化性樹脂組成物に、P原子を含む硬化促進剤が加えられたものであってもよい。
P原子を含む硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−2,4−キシリルフォスフィン等の3級ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩等の4級ホスホニウム塩等が挙げられる。中でも4級ホスホニウム塩が好ましい。
これらの中でもテトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボレートが貯蔵安定性の観点から特に好ましい。これらのP原子を含む硬化触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上混合して使用してもよい。
上記P原子を含む硬化促進剤の配合量は、例えば組成物全体の0.01〜15質量%が好ましく、さらに0.1〜10質量%が好ましい。
積層構造体において、複数の樹脂絶縁層は、一般に、基材(S)に接して設けられた樹脂絶縁層(L1)と、最外層である表面層との2層を有する。この表面層が上記樹脂絶縁層(L2)である。樹脂絶縁層(L1)と、表面層の間に、さらに他の層が設けられてもよい。
他の層が設けられない場合でも、例えば、樹脂絶縁層(L1)と樹脂絶縁層(L2)との交互層としてもよい。例えば、樹脂絶縁層(L1)/樹脂絶縁層(L2)/樹脂絶縁層(L1)/樹脂絶縁層(L2)との層構成である。
好ましい態様では、樹脂絶縁層(L1)を形成するための硬化性樹脂組成物と、樹脂絶縁層(L2)を形成するための硬化性樹脂組成物とにおいて、(A)硬化触媒成分以外の成分は、共通であっても異なっていてもよい。
樹脂絶縁層間の密着性、コスト等の観点から、複数の樹脂絶縁層の形成に用いられる硬化性樹脂組成物では、(A)硬化触媒成分以外の成分が共通であるの好ましい。
積層構造体に含まれる複数の樹脂絶縁層は、ドライフィルムを構成する複数の硬化性樹脂層により作製されることが好ましい。
例えば、樹脂絶縁層(L2)形成用の硬化性樹脂層(L2’)、及び樹脂絶縁層(L1)形成用の硬化性樹脂層(L1’)を有するドライフィルムを基材(S)にラミネートし、例えば、約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、樹脂絶縁層(L1)及び樹脂絶縁層(L2)を有する積層構造体を形成することができる。
なお、積層構造体を形成する際には、ブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等の適宜の方法により、基材(S)に硬化性樹脂組成物を直接塗布・乾燥した後に、熱硬化させて、樹脂絶縁層を形成してもよい。その際、基材(S)に接する層が樹脂絶縁層(L1)となるように硬化性樹脂組成物を塗布する。
また、樹脂組成物を基材(S)上に塗布、乾燥、硬化することにより樹脂絶縁層(L1)を形成し、その樹脂絶縁層(L1)上に、硬化性樹脂層(L2’)のみ有するドライフィルムをラミネートして樹脂絶縁層(L2)を形成することにより積層構造体を製造してもよい。
硬化性樹脂層(L1’)のみ有するドライフィルムを基材にラミネートすることにより樹脂絶縁層(L1)を形成し、その樹脂絶縁層(L1)上に、硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥、熱硬化することにより樹脂絶縁層(L2)を形成してもよい。
樹脂絶縁層(L1)と樹脂絶縁層(L2)との間に、さらに他の層を設ける場合も、上記と同様に、ドライフィルムのラミネート、塗布・乾燥を適宜利用することができる。
積層構造体の複数の樹脂絶縁層も、前述の本発明のプリント配線板の樹脂絶縁層と同様にパターニングが可能である。
すなわち、積層構造体の複数の樹脂絶縁層は、CO2レーザーやUV−YAGレーザー等の半導体レーザーを照射することによりパターニングが可能である。また、CO2レーザーやUV−YAGレーザー、又はドリルにより、穴を開けることができる。穴は積層構造体の任意の層と導通が可能な貫通穴(スルーホール)でも内層の回路と積層構造体表面の導通を目的とする部分穴(コンフォーマルビア)のどちらもあけることができる。
穴あけ加工後、穴の内壁や底部に存在する残渣(スミヤ)を除去することと、導体層(その後に形成する金属めっき層)とのアンカー効果を発現させるために表面に微細な凹凸状の粗化面を形成することを目的として、市販のデスミヤ液(粗化剤)又は過マンガン酸塩、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤を含有する液で処理を行う。
次に、デスミヤ液で残渣を除去した穴や、微細な凹凸状に粗化した皮膜表面にサブトラクティブ法やセミアディティブ法により、回路を形成する。いずれの方法においても、無電解めっき、又は電解めっき後、あるいは両方のめっきを施した後に、金属のストレス除去、強度向上の目的で約80℃〜180℃で10分〜60分程度の熱処理(アニール処理)を施してもよい。
ここで用いる金属めっきとしては、特に制限はなく、銅、錫、はんだ、ニッケル等を用いてもよく、複数の金属を組み合わせて使用することも出来る。また、ここで用いるめっきの代わりに金属のスパッタリング等で代用することも可能である。
また、樹脂絶縁層を、感光性の硬化性樹脂層を用いて形成するか、硬化性樹脂組成物を塗布・乾燥した乾燥塗膜により形成してもよい。この場合、基材(基板)上に形成された硬化性樹脂層や乾燥塗膜に対して、フォトマスクを介して露光するか、レーザーダイレクト露光機により直接パターン露光することで、位置選択的な露光が行われる。
硬化性樹脂層や乾燥塗膜は、露光部(活性エネルギー線により照射された部分)が硬化する。
活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、直接描画装置(例えばコンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)、メタルハライドランプを搭載した露光機、(超)高圧水銀ランプを搭載した露光機、LEDを搭載した露光機、水銀ショートアークランプを搭載した露光装置を用いることができる。
活性エネルギー線としては、最大波長が350〜410nmの範囲にある光線が好ましい。最大波長がこの範囲であれば、光重合開始剤から効率よくラジカルを生成させやすい。露光量は膜厚等によって異なるが、典型的には5〜500mJ/cm2であり、10〜300mJ/cm2が好ましい。
直接描画装置としては、例えば、日本オルボテック(株)製、ペンタックス(株)製、オーク(株)製、大日本スクリーン(株)製等のものを使用することができ、最大波長が350〜410nmの活性エネルギー線を照射する装置であればいずれの装置を用いてもよい。
このようにして硬化性樹脂層や乾燥塗膜を露光することにより、露光部(活性エネルギー線により照射された部分)を硬化させた後、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、濃度0.3〜3質量%の炭酸ナトリウム水溶液)により現像して、硬化性樹脂層や乾燥塗膜にパターンが形成される。
現像方法は、特に限定されず、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等が挙げられる。現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液を用いることができる。
さらに、硬化性樹脂層を、例えば約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、(B)アルカリ可溶性樹脂中のカルボキシ基等のアルカリ可溶性基と、例えば分子中に複数の環状エーテル基等を有する(C)熱硬化樹脂とが反応し、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、絶縁信頼性等の諸特性に優れた樹脂絶縁層(パターン)を形成することができる。
積層構造体中の樹脂絶縁層の全膜厚は、100μm以下が好ましく、5〜50μmがより好ましい。例えば樹脂絶縁層が2層構造である積層構造体の場合、樹脂絶縁層(L1)の膜厚が1〜50μmであり、樹脂絶縁層(L2)の膜厚が1〜50μmであるのが好ましい。
樹脂絶縁層(L1)の膜厚と樹脂絶縁層(L2)の膜厚との比率は、1:9〜9:1が好ましい。
基材(S)としては、あらかじめ回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス−ポリイミド、ガラス布/不繊布−エポキシ樹脂、ガラス布/紙−エポキシ樹脂、合成繊維−エポキシ樹脂、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネートエステル等の複合材を用いた全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を用いることができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例では、以下の方法に従って製造した化合物1を(A1)イミダゾール化合物として用いた。
1.化合物1の合成例
まず、下記式の構造の桂皮酸誘導体30gをメタノール200gに溶解させた後、メタノール中に水酸化カリウム7gを添加した。次いで、メタノール溶液を40℃で撹拌した。メタノールを留去し、残渣を水200gに懸濁させた。得られた懸濁液にテトラヒドロフラン200gを混合、撹拌し、水相を分液した。氷冷下、塩酸4gを添加、撹拌した後に酢酸エチル100gを混合、撹拌した。混合液を静置した後、油相を分取した。油相から目的物を晶析させ、析出物を回収して、上記構造のイミダゾール化合物(化合物1)を得た。
化合物1の1H−NMRの測定結果は以下の通りである。
1H−NMR(DMSO):11.724(s,1H),7.838(s,1H),7.340(d,2H,J=4.3Hz),7.321(d,1H,J=7.2Hz),6.893(d,2H,J=4.3Hz),6.876(d,1H,J=6.1Hz),5.695(dd,1H,J=4.3Hz,3.2Hz),3.720(s,3H),3.250(m,2H)
実施例、比較例、及び参考例では、(A)硬化触媒成分として、以下のA−1〜A−6を用いた。
A−1:化合物1と、ジシアンジアミドとの等モル混合物
A−2:化合物1と、4,4’−ジアミノジフェニルメタンとの等モル混合物
A−3:化合物1と、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンとの等モル混合物
A−4:化合物1
A−5:2−エチル−4−メチルイミダゾール
A−6:1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール
実施例、比較例、及び参考例では、(B)アルカリ可溶性樹脂として、下式の単位からなる樹脂(酸価:87.7mgKOH/g)を用いた。
実施例、比較例、及び参考例では、(C)熱硬化性樹脂としてビキシレノール型エポキシ樹脂と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂との等質量混合物を用いた。
実施例、及び比較例では、(D)光重合開始剤としてO−アセチル−1−[6−(2−メチルベンゾイル)−9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンオキシムを用いた。
実施例、及び比較例では、(E)反応性希釈剤としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いた。
〔参考例1、実施例1〜7、及び比較例1〜4〕
下記表1に記載の量及び種類の各成分を均一に混合して、硬化性樹脂組成物を得た。
参考例1、実施例1〜3、比較例1、及び比較例2の硬化性樹脂組成物については、下記評価1に従って、保存安定性の評価を行った。
実施例4〜7、比較例3、及び比較例4の硬化性樹脂組成物については、下記評価2に従って、保存安定性の評価を行った。
これらの評価結果を表1に記す。
<評価1>
硬化性樹脂組成物を、スクリーン印刷法により、銅表面処理剤で前処理済みの膜厚30μmの銅膜を備える銅張り積層基板上に印刷した。それぞれ乾燥し、タックフリーの硬化性樹脂層を得た後、50℃の高温槽にて硬化性樹脂層を24時間保管した後に現像を行い、保管前の現像性と比較した。以下の基準で保存安定性の評価を行った。
○:保管前の現像時間に対する、保管後の現像時間の増加率が30%未満である。
△:保管前の現像時間に対する、保管後の現像時間の増加率が30%以上であったが現像残渣は発生しない。
×:保管前の現像時間に対する、保管後の現像時間の増加率が30%以上であり、現像残渣が発生した。
<評価2>
硬化性樹脂組成物を用いて、硬化性樹脂層を有するドライフィルムを作製した。ドライフィルムは、キャリアフィルムとして38μmの厚さのポリエステルフィルムを用いて、硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてキャリアフィルム上に塗布し、80℃で10分乾燥して作成した。
各ドライフィルムを、銅表面処理剤で前処理済みの膜厚30μmの銅膜を備える銅張り積層基板上にに、硬化性樹脂層が基板に接するように、真空ラミネーターを用いて張り合わせた。その後、30℃の高温槽にて硬化性樹脂層を24時間保管した後に現像を行い、保管前の現像性と比較した。以下の基準で保存安定性の評価を行った。
○:保管後の現像時間が保管前の現像時間に対して増加せず、且つ現像残渣が発生しない。
×:保管後の現像時間が保管前の現像時間に対して現像したか、現像残渣が発生した。
実施例と、比較例との比較により、所定の構造の(A1)イミダゾール化合物と、(A2)硬化促進剤とを含む(A)硬化触媒成分を含有する実施例の硬化性樹脂組成物は、イミダゾール化合物を単独で(A)硬化触媒成分として用いた比較例の硬化性樹脂組成物は、極めて保存安定性に優れることが分かる。