JP5567716B2 - 積層構造体及びそれに用いる感光性ドライフィルム - Google Patents

積層構造体及びそれに用いる感光性ドライフィルム Download PDF

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Description

本発明は、プリント配線基板等の積層構造体、及びそのソルダーレジストや層間樹脂絶縁層等として用いられる感光性ドライフィルムに関する。
近年、エレクトロニクス機器の軽薄短小化に伴うプリント配線板の高密度化に対応して、ソルダーレジストにも作業性や高性能化が要求されている。また、最近では、電子機器の小型化、軽量化、高性能化に伴い、半導体パッケージの小型化、多ピン化が実用化され、量産化が進んでいる。このような高密度化に対応して、QFP(クワッド・フラットパック・パッケージ)、SOP(スモール・アウトライン・パッケージ)等と呼ばれるICパッケージに代わって、BGA(ボール・グリッド・アレイ)、CSP(チップ・スケール・パッケージ)等と呼ばれるICパッケージが登場した。このようなパッケージ基板や車載用のプリント配線板に用いられるソルダーレジストとしては、従来、種々の感光性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ソルダーレジストを施したパッケージでは、ICチップを封止する際や、IC駆動時に、基板及びソルダーレジストに熱がかかり、基板とソルダーレジストの膨張係数の違いからクラックや剥れが発生し易い。そこで、従来から、プレッシャークッカーテスト(以下、PCTと略記する)や冷熱サイクル時に生じるソルダーレジストのクラックの発生や剥がれを抑制するために、ソルダーレジストと、ソルダーレジストの下地となる基板との線熱膨張係数をできるだけ合致させるように、ソルダーレジストを形成する感光性樹脂組成物に無機フィラーを含有させることが広く行われている。しかしながら、線熱膨張係数をできるだけ低くするために、感光性樹脂組成物に多量の無機フィラーを含有させた場合、形成されたソルダーレジストと下地との界面に無機フィラー粒子が存在するようになり、下地との密着性が悪くなるという問題があった。
また、無機フィラーは、一般に隠蔽性が強く、あるいは材料によっては紫外線吸収能があることから、感光性樹脂組成物が多量の無機フィラーを含有している場合、感光性樹脂への実質的な紫外線照射量が少なくなり、硬化不良を生じ易いという問題がある。このような問題を解決するために、感光性樹脂層を2層構造とし、基板上に無機フィラーを含有する第1感光性樹脂層を形成し、その上に無機フィラーを含有しない第2感光性樹脂層を積層することが提案されている(特許文献2参照)。このような2層構造とすることにより、従来行われているような無機フィラーを含有する感光性樹脂層のみをパターニングする場合と比較して、少ない照射量でパターニング可能とし、即ち、第2感光性樹脂層は無機フィラーによる紫外線の遮断や吸収がないため、同じ照射量でも正味の紫外線照射量は多くなり、全体として見掛け上感度を向上させようとするものである。
特開昭61−243869号公報(特許請求の範囲) 特開平10−207046号公報(特許請求の範囲、段落[0012]〜[0015])
しかしながら、前記したように基板上に無機フィラーを含有する第1感光性樹脂層を形成し、その上に無機フィラーを含有しない第2感光性樹脂層を積層した2層構造とした場合、線熱膨張係数をできるだけ低くするためには、第1感光性樹脂層に多量の無機フィラーを含有させる必要がある。この場合、前記したように、形成された感光性樹脂層と基板との界面に無機フィラー粒子が存在することにより、基板との密着性が悪くなり、剥れが発生し易くなるという問題がある。また、感光性ドライフィルムとしたときに、ハンドリングクラックを生じ易く、さらに基板にラミネートした時の初期密着性を確保することが困難であるという問題もある。
従って、本発明の目的は、前記したような従来技術の問題点を解消し、感光性樹脂層全体として線熱膨張係数をできるだけ低く維持できると共に、解像性の低下もなく、感光性樹脂層と基板との密着性に優れた積層構造体を提供することにある。
より具体的な本発明の目的は、PCT時や冷熱サイクル時に剥がれを生じることもなく、感光性樹脂層の硬化皮膜はプリント配線板のソルダーレジストや多層配線板の層間絶縁材料等に要求される耐熱性、解像性、無電解めっき耐性、電気特性等の諸特性や、ICパッケージに要求される弾性や強靭性等の特性に優れる高信頼性のプリント配線基板等の積層構造体を提供することにある。
本発明の他の目的は、ハンドリングクラックの発生がないと共に、基板へのラミネート時に良好な初期密着性を確保でき、プリント配線板の高密度化、面実装化に対応可能で、上記諸特性に優れた信頼性の高い感光性ドライフィルムを提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明によれば、少なくとも基板と、該基板上に形成された無機フィラーを含有する感光性樹脂層又は硬化皮膜層とを有する積層構造体において、上記感光性樹脂層又は硬化皮膜層中の無機フィラーの含有割合が、上記基板と接する側が低く、上記基板から遠い表面側が高くなっており、前記感光性樹脂層の硬化物又は硬化皮膜層の線熱膨張係数が15〜35×10−6/Kであることを特徴とする積層構造体が提供される。尚、上記感光性樹脂層は、活性エネルギー線の照射前のパターン形成可能な感光性樹脂層を含み、上記硬化皮膜層は、活性エネルギー線の照射により光硬化させて得られる硬化皮膜、特に銅上にて光硬化させて得られる硬化皮膜や、パターン状に光硬化させて得られる硬化皮膜、露光、現像によりパターン化された硬化皮膜、好ましくは露光、現像後にさらに熱硬化させて得られる硬化皮膜を含む。
好適な態様においては、前記感光性樹脂層又は硬化皮膜層中の無機フィラーの含有割合が、前記基板と接する側から前記基板から遠い表面側に向かって連続的に傾斜して又は段階的に漸次高くなっている。別の好適な態様においては、前記感光性樹脂層又は硬化皮膜層が、無機フィラーの含有割合が異なる少なくとも2層からなり、前記基板と接する側の感光性樹脂層又は硬化皮膜層中の無機フィラーの含有割合よりも、前記基板から遠い表面側の感光性樹脂層又は硬化皮膜層中の無機フィラーの含有割合が高くなっている。この場合、前記基板と接する側の感光性樹脂層又は硬化皮膜層中の無機フィラーの含有割合は不揮発成分全体量の38容量%未満であり、前記基板から遠い表面側の感光性樹脂層又は硬化皮膜層中の無機フィラーの含有割合は不揮発成分全体量の38〜60容量%であることが好ましい。
さらに好適な態様においては、前記無機フィラーの含有割合が不揮発成分全体量の38〜60容量%である前記基板から遠い表面側の感光性樹脂層の硬化物又は硬化皮膜層の線熱膨張係数が15〜35×10−6/K(以下、ppmと略記する)である。
さらに別の好適な態様においては、前記感光性樹脂層又は硬化皮膜層中に含まれる無機フィラーの組成(無機フィラーの種類、組合せ又はそれらの配合割合)が、前記基板と接する側と前記基板から遠い表面側で異なる。この場合、前記基板と接する側の感光性樹脂層又は硬化皮膜層中に含まれる無機フィラーはSi及び/又はBaを含むものであることが好ましく、また、基板から遠い表面側の感光性樹脂層中に含まれる無機フィラーはMg及び/又はAlを含むものであることが好ましい。
本発明の積層構造体は、あらゆる用途に使用される積層構造体であってよいが、特に好適には、前記基板が、予め導体回路層が形成された配線基板であり、前記積層構造体が、前記硬化皮膜層からなるソルダーレジスト又は層間樹脂絶縁層を有するプリント配線基板である。
さらに本発明によれば、被着物(基板)に張り合わせるための無機フィラーを含有するパターン形成可能な感光性樹脂層を有する感光性ドライフィルムにおいて、上記感光性樹脂層中の無機フィラーの含有割合が、被着物(基板)に張り合わせる側が低く、上記被着物(基板)から遠い側が高くなっており、前記感光性樹脂層の硬化物の線熱膨張係数が15〜35×10−6/Kであることを特徴とする感光性ドライフィルムが提供される。
この感光性ドライフィルムにおいても、前記した積層構造体の感光性樹脂層についての好適な態様がそのまま適用できる。
本発明の積層構造体は、前記感光性樹脂層又は硬化皮膜層中の無機フィラーの含有割合が、前記基板と接する側が低く、前記基板から遠い表面側が高くなっており、無機フィラーと下地の基板が接することが殆どないため、密着性が向上する。特に、前記基板と接する側の感光性樹脂層又は硬化皮膜層中に含まれる無機フィラーがSi及び/又はBaを含むものである場合、基板に対する密着性が非常に向上する。また、基板と接する側の無機フィラーの含有割合が低い部分が、基板から遠い表面側の無機フィラーの含有割合が高い部分で覆われた状態であるため、耐湿熱性が向上する。さらに、基板から遠い表面側の無機フィラーの含有割合が高いため、線熱膨張係数を低くできると共に、例えば基板が配線基板の場合には、基板と接する側の無機フィラーの含有割合が低い部分が基板上に形成された銅回路を包み込むような状態であるため、その部分全体としての見掛け上の線熱膨張係数は低くなり、結果として、感光性樹脂層全体として見掛け上の線熱膨張係数を低く維持できる。特に、基板から遠い表面側の感光性樹脂層中に含まれる無機フィラーは、鱗片状、板状、破砕形状で線熱膨張係数低減効果の高いMg及び/又はAlを含むものであることが好ましい。また、硬化不良の問題は、一般に基板と接する側の深部で生じる場合が多く、即ち、深部硬化性の問題として把握されるが、基板と接する側の無機フィラーの含有割合が低いため、深部硬化性の問題を生じ難くなる。また、解像性の問題は、無機フィラーの選択によっても解消できる。特に、屈折率が1.45〜1.65の範囲内にある無機フィラーを選択することにより、高解像性が得られる。これは、感光性樹脂組成物の樹脂と無機フィラーの屈折率が合致することにより、ハレーションを防ぐことができ、高解像性を得ることが可能となるためと考えられる。このような構成により、感光性樹脂層全体として線熱膨張係数をできるだけ低く維持できると共に、感光性樹脂層と基板との密着性に優れ、高感度を有し、PCT時や冷熱サイクル時に剥がれを生じることもなく、感光性樹脂層の硬化皮膜はプリント配線板のソルダーレジストや多層配線板の層間絶縁材料等に要求される耐熱性、解像性、無電解めっき耐性、電気特性等の諸特性や、ICパッケージに要求される弾性や強靭性等の特性に優れる高信頼性のプリント配線基板等の積層構造体を提供することができる。
また、前記のような優れた効果は、前記したような無機フィラーの含有割合プロファイルを有する限り、感光性ドライフィルムにおいてもそのまま発揮でき、ハンドリングクラックの発生がないと共に、基板へのラミネート時に良好な初期密着性を確保でき、プリント配線板の高密度化、面実装化に対応可能で、上記諸特性に優れた信頼性の高い感光性ドライフィルムを提供することができる。
本発明の積層構造体の一実施態様を模式的に示す概略部分断面図である。 本発明の積層構造体の別の実施態様を模式的に示す概略部分断面図である。 本発明の積層構造体のさらに別の実施態様を模式的に示す概略部分断面図である。
本発明者らは、前述した課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、少なくとも基板と、該基板上に形成された無機フィラーを含有する感光性樹脂層又は硬化皮膜層とを有する積層構造体において、上記感光性樹脂層又は硬化皮膜層中の無機フィラーの含有割合が、上記基板と接する側が低く、上記基板から遠い表面側が高くなっている構造とすることにより、前記したような作用・効果により、感光性樹脂層全体として線熱膨張係数をできるだけ低く維持できると共に、感光性樹脂層と基板との密着性に優れ、高感度を有し、PCT時や冷熱サイクル時に剥がれを生じることもなく、感光性樹脂層の硬化皮膜はプリント配線板のソルダーレジストや多層配線板の層間絶縁材料等に要求される耐熱性、解像性、無電解めっき耐性、電気特性等の諸特性や、ICパッケージに要求される弾性や強靭性等の特性に優れる高信頼性のプリント配線基板等の積層構造体を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
ここで、本発明の積層構造体を模式的に示す図面を参照しながら説明する。
まず、図1は、本発明の積層構造体の基本概念を模式的に示す概略部分断面図であり、前記したように、基板1上に形成された無機フィラー3を含有する感光性樹脂層(又は硬化皮膜層)2中の無機フィラーの含有割合は、上記基板1と接する側が低く、上記基板1から遠い表面側が高くなっている構造となっている。尚、符号4は、基板として予め銅等の導体回路層が形成された配線基板を用いた場合の導体回路層を示している。
図2は、本発明の積層構造体の別の実施態様を模式的に示しており、2層構造となっている。即ち、基板1上に形成された無機フィラー3を含有する感光性樹脂層(又は硬化皮膜層)2は、基板と接する第1感光性樹脂層(又は第1硬化皮膜層)L1と、その上に形成された第2感光性樹脂層(又は第2硬化皮膜層)L2とからなり、第2感光性樹脂層(又は第2硬化皮膜層)L2中の無機フィラー3の含有割合は高く、第1感光性樹脂層(又は第1硬化皮膜層)L1中の無機フィラー3の含有割合は低いか、含有していない。尚、符号4は導体回路層を示している。
上記のような2層構造は、搬送されている基板上に、第1感光性樹脂層用の組成物と第2感光性樹脂層用の組成物をそれぞれ吐出する近接して配設された2つの塗工ヘッド出口から一度に塗布・乾燥する同時塗工方法、各組成物をそれぞれ個別の塗工ヘッドからまず第1感光性樹脂層用の組成物を塗布・乾燥した後、第2感光性樹脂層用の組成物を塗布・乾燥する2回塗工方法、個別の2つの塗工ヘッドを搬送方向に沿って前後して配置し、一度の塗工工程で第1感光性樹脂層用の組成物と第2感光性樹脂層用の組成物を順次塗布・乾燥する塗工方法、各キャリアフィルムに個別の塗工ヘッドから第1感光性樹脂層用の組成物と第2感光性樹脂層用の組成物をそれぞれ塗布・乾燥した後、それらを張り合わせる方法などで作製することができる。この際、第1感光性樹脂層用の組成物は、無機フィラー3の含有割合が低いか、含有していないため、流動性がよく、作業性に優れると共に、基板との密着性も良くなる。尚、前記感光性ドライフィルムの作製にも、上記のような塗工方法を採用できる。
図3は、本発明の積層構造体のさらに別の実施態様を模式的に示しており、3層構造となっている。即ち、基板1上に形成された無機フィラー3を含有する感光性樹脂層(又は硬化皮膜層)2は、基板と接する第1感光性樹脂層(又は第1硬化皮膜層)L1と、その上に形成された第2感光性樹脂層(又は第2硬化皮膜層)L2と、さらにその上に形成された第3感光性樹脂層(又は第3硬化皮膜層)L3とからなり、第3感光性樹脂層(又は第3硬化皮膜層)L3中の無機フィラー3の含有割合は高く、第2感光性樹脂層(又は第2硬化皮膜層)L2中の無機フィラー3の含有割合は第3感光性樹脂層(又は第3硬化皮膜層)L3中の無機フィラー3の含有割合よりも低く、さらに、第1感光性樹脂層(又は第1硬化皮膜層)L1中の無機フィラー3の含有割合は第2感光性樹脂層(又は第2硬化皮膜層)L2中の無機フィラー3の含有割合よりも低いか、含有していない。尚、符号4は導体回路層を示している。
上記のように多層構造とすることにより、感光性樹脂層又は硬化皮膜層中の無機フィラーの含有割合が、前記基板と接する側から前記基板から遠い表面側に向かって段階的に漸次高くすることができる。また、各層間の界面近くの無機フィラーは塗布・乾燥工程で含有割合の低い層に移行し易いので、無機フィラーの含有割合が異なる多数の感光性樹脂層又は硬化皮膜層を薄くして、含有割合が低い層から高い層に順次積層することにより、感光性樹脂層又は硬化皮膜層中の無機フィラーの含有割合が、前記基板と接する側から前記基板から遠い表面側に向かって連続的に傾斜して高くなっている構造とすることもできる。
前記無機フィラーとしては、例えばシリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、雲母粉、ハイドロタルサイト、シリチン、シリコロイドなどの公知慣用の無機充填剤が使用できる。これらのフィラーは、単独で又は2種類以上を併用することができる。さらに、フィラーの屈折率について詳細な検討を行った結果、1.45〜1.65の範囲内の場合においては、PCT耐性やHAST耐性(高度加速寿命試験に対する耐性)が優れているだけでなく、良好な解像性が得られることも判明した。高解像が得られる理由としては、PCT耐性やHAST耐性を向上させるために用いられている芳香環を有する樹脂の屈折率とフィラーの屈折率が近いことが考えられる。特にBaを含むフィラーとしては硫酸バリウム(屈折率:1.64)、Mgを含むフィラーとしてはタルク(屈折率:1.54−59)、炭酸マグネシウム(屈折率:1.57−1.60)、Alを含むフィラーとしてはクレー(屈折率:1.55−1.57)、酸化アルミニウム(屈折率:1.65)、水酸化アルミニウム(屈折率:1.57)、ベーマイト(屈折率:1.62−1.65)、雲母粉(屈折率:1.59)、Mg及びAlを含むフィラーとしてはハイドロタルサイト(屈折率:1.50)、球状のシリカと板状のカオリナイトが互いにゆるく結合した構造を有するシリチン、シリコロイドと呼ばれる、天然の結合物(屈折率1.55)が好ましい。
また、基板と接する側の感光性樹脂層又は硬化皮膜層(L1)中に含まれる無機フィラーがSi及び/又はBaを含むものである場合、基板に対する密着性が非常に向上するので好ましい。特に、球状シリカ若しくはシリチン(シリコロイド)が好ましい。
球状シリカは、硬化皮膜のクラックの起点となる面を持たないため、少量でもクラック耐性を向上させる効果がある。球状シリカは、平均粒径が0.25μm、0.5μm、1μm、1.5μm、2μm、3μm、5μm等の市販の真球状シリカをそのまま使用することができる。市販品としては、(株)アドマテック製SOシリーズがある。また、この真球状シリカを配合した組成物に対して直接シランカップリング剤等を配合してもよいが、予め、溶剤、シランカップリング剤と真球状シリカをビーズミル等で表面処理して、シランカップリング剤がシリカ表面に均一に処理されるよう分散させ、さらに5μm以上の粒子をフィルタリング等でろ過選別したものを使用した方が、クラック耐性の観点から好ましい。上記のカップリング処理は球状のシリカの他、シリチン、シリコロイドにも有効であり好ましい。
一方、基板から遠い表面側の感光性樹脂層又は硬化皮膜層(2層の場合のL2又は3層の場合のL3)中に含まれる無機フィラーは、Mg及び/又はAlを含むもの、特に屈折率が1.52〜1.59の範囲内にあるものが好ましい。これらのフィラーは、感光性樹脂層に対して、さらに屈折率が近いものであり、38〜60容量%も多量に加えても解像性が良好である。また、このようなフィラーは、粒の形が不定形、鱗片状、もしくは板状であるため、線熱膨張係数を低減する効果が高い。従って、感光性樹脂層全体としての見掛けの線熱膨張係数を低く維持するのに寄与できる。即ち、Mg及び/又はAlを含む無機フィラーを含有する感光性樹脂層の硬化物自体又は硬化皮膜層自体の線熱膨張係数を、15〜35×10ppmの範囲内に抑制することができる。
全感光性樹脂層又は硬化皮膜層中のフィラーの総量は、不揮発成分全体量の10〜55容量%の範囲が適当である。フィラーの含有量が10容量%より少ない場合、光硬化性樹脂組成物の硬化物において耐湿熱性の低下が見られ、PCT耐性が悪くなるので好ましくない。一方、55容量%を超えた場合、組成物の粘度が高くなり、塗布、成形性が低下し、さらに密着性も低下するためPCT耐性やHAST耐性が悪化するので好ましくない。
尚、多層構造の場合、前記基板と接する側の感光性樹脂層又は硬化皮膜層(L1)中の無機フィラーの含有割合は、その層の不揮発成分全体量の38容量%未満が好ましく、前記基板から遠い表面側の感光性樹脂層又は硬化皮膜層(2層の場合のL2又は3層の場合のL3)中の無機フィラーの含有割合は、その層の不揮発成分全体量の38〜60容量%であることが好ましい。
本発明の積層構造体や感光性ドライフィルムは、前記したような無機フィラーの含有割合プロファイルを有することを特徴としているが、感光性樹脂層又は硬化皮膜層を形成するための感光性樹脂組成物としては、従来公知の各種光硬化性樹脂組成物又は光硬化性熱硬化性樹脂組成物を用いることができ、特定の硬化性樹脂組成物に限定されるものではない。しかしながら、環境負荷低減の観点からアルカリ現像可能な光硬化性樹脂組成物や光硬化性熱硬化性樹脂組成物が好ましい。この場合、カルボキシル基含有樹脂を用いることでアルカリ現像性を付与することが可能となる。
カルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種カルボキシル基含有樹脂を使用できる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面からより好ましい。そして、その不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタアクリル酸又はそれらの誘導体由来のものが好ましい。尚、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、後述する分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物、即ち光重合性モノマーを併用する必要がある。
カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)を好適に使用できる。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物及びポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物及びジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(4)前記(2)又は(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(5)前記(2)又は(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(6)後述するような2官能又はそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(7)後述するような2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(8)後述するような2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
(9)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(11)上記(1)〜(10)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
前記のようなカルボキシル基含有樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
また、前記カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲が適当であり、より好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲である。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g未満であるとアルカリ現像が困難となり、一方、200mgKOH/gを超えると現像液による露光部の溶解が進むために、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常なレジストパターンの描画が困難となるので好ましくない。
また、前記カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000未満であると、タックフリー性能が劣ることがあり、露光後の塗膜の耐湿性が悪く、現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣ることがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく悪くなることがあり、貯蔵安定性が劣ることがある。
このようなカルボキシル基含有樹脂の配合量は、全組成物中に、20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%の範囲が適当である。カルボキシル基含有樹脂の配合量が上記範囲より少ない場合、皮膜強度が低下したりするので好ましくない。一方、上記範囲より多い場合、組成物の粘性が高くなったり、塗布性等が低下するので好ましくない。
これらカルボキシル基含有樹脂は、前記列挙したものに限らず使用することができ、1種類でも複数種混合しても使用することができる。特に前記カルボキシル基含有樹脂の中で芳香環を有している樹脂が屈折率が高く、解像性に優れるので好ましく、さらにノボラック構造を有しているものが解像性だけでなく、PCTやクラック耐性に優れているので好ましい。また、前記カルボキシル基含有樹脂(9)、(10)のごときフェノール化合物を出発使用するカルボキシル基含有樹脂も同様にPCTが向上するため好ましい。特に基板から遠い表面側の感光性樹脂層又は硬化皮膜層(L2又はL3)において、フィラー成分の増加により、フィラーと樹脂の界面で吸水が起こり易くなるのに対して、ノボラック構造を有しているものや、前記(9)、(10)のごときカルボキシル基含有樹脂は、フィラー成分が増加してもPCT耐性は非常に優れたのであった。これは、前者はノボラックの構造により疎水性が向上しており、後者は、類似の構造を形成できる前記(6)、(7)のごときカルボキシル基含有樹脂がエポキシアクリレート構造で水酸基を有しているのに対して、前記(9)、(10)のごときカルボキシル基含有樹脂は水酸基がなく、著しく疎水性が向上しているためと考えられる。さらに特に好ましいノボラック構造は、疎水性が高いクレゾールノボラック及びビフェニルノボラック構造である。
感光性樹脂層又は硬化皮膜層を形成するための感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群から選択される1種以上の光重合開始剤を好適に使用することができる。
オキシムエステル系光重合開始剤としては、市販品として、チバ・ジャパン社製のCGI−325、イルガキュアー OXE01、イルガキュアー OXE02、アデカ社製N−1919、NCI−831などが挙げられる。また、分子内に2個のオキシムエステル基を有する光重合開始剤も好適に用いることができ、具体的には、下記一般式で表されるカルバゾール構造を有するオキシムエステル化合物が挙げられる。
Figure 0005567716
(式中、Xは、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)を表し、Y、Zはそれぞれ、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、アンスリル基、ピリジル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基を表し、Arは、結合か、炭素数1〜10のアルキレン、ビニレン、フェニレン、ビフェニレン、ピリジレン、ナフチレン、チオフェン、アントリレン、チエニレン、フリレン、2,5−ピロール−ジイル、4,4’−スチルベン−ジイル、4,2’−スチレン−ジイルで表し、nは0か1の整数である。)
特に、前記一般式中、X、Yが、それぞれメチル基又はエチル基であり、Zはメチル又はフェニルであり、nは0であり、Arは、結合か、フェニレン、ナフチレン、チオフェン又はチエニレンであることが好ましい。
このようなオキシムエステル系光重合開始剤の配合量は、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部とすることが好ましい。0.01質量部未満であると、銅上での光硬化性が不足し、塗膜が剥離するとともに、耐薬品性などの塗膜特性が低下する。一方、5質量部を超えると、ソルダーレジスト塗膜表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは、0.5〜3質量部である。
α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的には2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、チバ・ジャパン社製のイルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379などが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、具体的には2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。市販品としては、BASF社製のルシリンTPO、チバ・ジャパン社製のイルガキュアー819などが挙げられる。
これらα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の配合量は、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01〜15質量部であることが好ましい。0.01質量部未満であると、同様に銅上での光硬化性が不足し、塗膜が剥離するとともに、耐薬品性などの塗膜特性が低下する。一方、15質量部を超えると、アウトガスの低減効果が得られず、さらにソルダーレジスト塗膜表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは0.5〜10質量部である。
ここで、用いる光重合開始剤としては上記オキシムエステル系開始剤が添加量も少なく、アウトガスが抑えられるため、PCT耐性やクラック耐性に効果があり好ましい。また、オキシムエステル系開始剤に加えてアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を併用すると、解像性の良好な形状が得られるため特に好ましい。
さらに、感光性樹脂組成物に好適に用いることができる光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、及びキサントン化合物などを挙げることができる。
ベンゾイン化合物としては、具体的には、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
アセトフェノン化合物としては、具体的には、例えばアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。
アントラキノン化合物としては、具体的には、例えば2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなどが挙げられる。
チオキサントン化合物としては、具体的には、例えば2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
ケタール化合物としては、具体的には、例えばアセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、具体的には、例えばベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
3級アミン化合物としては、具体的には、例えばエタノールアミン化合物、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物、例えば、市販品では、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(日本曹達(株)製ニッソキュアーMABP)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学(株)製EAB)などのジアルキルアミノベンゾフェノン、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(7−(ジエチルアミノ)−4−メチルクマリン)などのジアルキルアミノ基含有クマリン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬(株)製カヤキュアーEPA)、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure DMB)、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure BEA)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル(日本化薬(株)製カヤキュアーDMBI)、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(Van Dyk社製Esolol 507)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学(株)製EAB)などが挙げられる。
これらのうち、チオキサントン化合物及び3級アミン化合物が好ましい。特に、チオキサントン化合物が含まれることが、深部硬化性の面から好ましい。中でも、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン化合物を含むことが好ましい。
このようなチオキサントン化合物の配合量としては、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましい。チオキサントン化合物の配合量が20質量部を超えると、厚膜硬化性が低下するとともに、製品のコストアップに繋がる。より好ましくは10質量部以下である。
また、3級アミン化合物としては、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が好ましく、中でも、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、最大吸収波長が350〜450nmにあるジアルキルアミノ基含有クマリン化合物及びケトクマリン類が特に好ましい。
ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物としては、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンが、毒性も低く好ましい。ジアルキルアミノ基含有クマリン化合物は、最大吸収波長が350〜410nmと紫外線領域にあるため、着色が少なく、無色透明な感光性組成物はもとより、着色顔料を用い、着色顔料自体の色を反映した着色ソルダーレジスト膜を提供することが可能となる。特に、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オンが、波長400〜410nmのレーザー光に対して優れた増感効果を示すことから好ましい。
このような3級アミン化合物の配合量としては、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましい。3級アミン化合物の配合量が0.1質量部未満であると、十分な増感効果を得ることができない傾向にある。一方、20質量部を超えると、3級アミン化合物による乾燥ソルダーレジスト塗膜の表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。より好ましくは0.1〜10質量部である。
これらの光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤は、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
このような光重合開始剤、光開始助剤、及び増感剤の総量は、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して35質量部以下であることが好ましい。35質量部を超えると、これらの光吸収により深部硬化性が低下する傾向にある。
なお、これら光重合開始剤、光開始助剤、及び増感剤は、特定の波長を吸収するため、場合によっては感度が低くなり、紫外線吸収剤として働くことがある。しかしながら、これらは組成物の感度を向上させることだけの目的に用いられるものではない。必要に応じて特定の波長の光を吸収させて、表面の光反応性を高め、レジストのライン形状及び開口を垂直、テーパー状、逆テーパー状に変化させるとともに、ライン幅や開口径の加工精度を向上させることができる。
さらに本発明に用いる感光性樹脂組成物には、官能基を有するエラストマーを添加することができる。官能基を有するエラストマーを加えることで、コーティング性が向上することが確認され、さらに、塗膜の強度も向上する効果が見られた。官能基を有するエラストマーとしては、例えば商品名を挙げるとR−45HT、Poly bd HTP−9(以上、出光興産(株)製)、エポリード PB3600(ダイセル化学工業(株)製)、デナレックス R−45EPT(ナガセケムテックス(株)製)、Ricon 130、Ricon 131、Ricon 134、Ricon 142、Ricon 150、Ricon 152、Ricon 153、Ricon 154、Ricon 156、Ricon 157、Ricon 100、Ricon 181、Ricon 184、Ricon 130MA8、Ricon 130MA13、Ricon 130MA20、Ricon 131MA5、Ricon 131MA10、Ricon 131MA17、Ricon 131MA20、Ricon 184MA6、Ricon 156MA17(以上、サートマー社製)などがある。ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステルウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステルアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマーを用いることができる。また、種々の骨格を有するエポキシ樹脂の一部又は全部のエポキシ基を両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリロニトリルゴムで変性した樹脂なども使用できる。さらには、エポキシ含有ポリブタジエン系エラストマー、アクリル含有ポリブタジエン系エラストマー、水酸基含有ポリブタジエン系エラストマー、水酸基含有イソプレン系エラストマーなども使用することができる。これらエラストマーの配合量は、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは3〜124質量部の範囲が適当である。また、これらのエラストマーは、単独で又は2種類以上を併用することができる。
本発明で用いる感光性樹脂組成物には、メルカプト化合物を添加することが好ましい。特に、基板に接する側の感光性樹脂層(L1)形成のための感光性樹脂組成物にメルカプト化合物を加えることにより、PCT耐性とHAST耐性が向上することが認められた。これは、密着性が向上したためと考えられる。
メルカプト化合物としては、例えばメルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、メルカプトプロパンジオール、メルカプトブタンジオール、ヒドロキシベンゼンチオール及びその誘導体である、1−ブタンチオール、ブチル−3−メルカプトプロピオネート、メチル−3−メルカプトプロピオネート、2,2−(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、エタンチオール、4−メチルベンゼンチオール、ドデシルメルカプタン、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、1−オクタンチオール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、チオグリセロール、4,4−チオビスベンゼンチオール等が挙げられる。
これらの市販品としては、例えばBMPA、MPM、EHMP、NOMP、MBMP、STMP、TMMP、PEMP、DPMP、及びTEMPIC(以上、堺化学工業(株)製)、カレンズMT−PE1、カレンズMT−BD1、及びカレンズ−NR1(以上、昭和電工(株)製)等を挙げることができる。
さらに、複素環を有するメルカプト化合物として、例えば、メルカプト−4−ブチロラクトン(別名:2−メルカプト−4−ブタノリド)、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−メトキシ−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−エトキシ−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−メチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−(2−メトキシ)エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−(2−エトキシ)エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−5−バレロラクトン、2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−メチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−(2−メトキシ)エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−(2−エトキシ)エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルチオ−チアジアゾール、2−メルカプト−6−ヘキサノラクタム、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン(三協化成(株)製:商品名ジスネットF)、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン(三協化成(株)製:商品名ジスネットDB)、及び2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン(三協化成(株)製:商品名ジスネットAF)等が挙げられる。
これらの中でも、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール(川口化学工業(株)製:商品名アクセルM)、3−メルカプト−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾールが好ましい。
このようなメルカプト化合物の配合量は、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上、10.0質量部以下が適当であり、さらに好ましくは0.05質量部以上、5部質量部以下である。0.01質量部未満では、メルカプト化合物添加の効果としての密着性の向上が確認されず、一方、10.0質量部を超えると、光硬化性樹脂組成物の現像不良、乾燥管理幅の低下などを引き起こすおそれがあるので好ましくない。これらのメルカプト化合物は、単独又は2種以上を併用することができる。
本発明で用いる感光性樹脂組成物には、熱硬化成分を加えることができる。熱硬化成分を加えることにより耐熱性が向上することが確認された。本発明に用いられる熱硬化成分としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、ビスマレイミド、カルボジイミド樹脂等の公知の熱硬化性樹脂が使用できる。特に好ましいのは、分子中に複数の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略す)を有する熱硬化成分である。
このような分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分は、分子中に3、4又は5員環の環状(チオ)エーテル基のいずれか一方又は2種類の基を複数有する化合物であり、例えば、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子内に複数のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子内に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂等が挙げられる。
前記多官能エポキシ化合物としては、旭電化製のアデカサイザーO−130P、アデカサイザーO−180A、アデカサイザーD−32、アデカサイザーD−55等のエポキシ化植物油;ジャパンエポキシレジン社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、ダイセル化学工業社製のEHPE3150、DIC社製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、チバ・ジャパン社製のアラルダイド6071、アラルダイド6084、アラルダイドGY250、アラルダイドGY260、住友化学工業社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成工業社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;YDC−1312、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、YSLV−80XYビスフェノール型エポキシ樹脂、YSLV−120TEチオエーテル型エポキシ樹脂(いずれも東都化成社製);ジャパンエポキシレジン社製のjERYL903、DIC社製のエピクロン152、エピクロン165、東都化成社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、チバ・ジャパン社製のアラルダイド8011、住友化学工業社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成工業社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のjER152、jER154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、東都化成社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、チバ・ジャパン社製のアラルダイドECN1235、アラルダイドECN1273、アラルダイドECN1299、アラルダイドXPY307、日本化薬社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、住友化学工業社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成工業社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299等(何れも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;日本化薬社製NC−3000、NC−3100等のビフェノールノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のエピクロン830、ジャパンエポキシレジン社製jER807、東都化成社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004、チバ・ジャパン社製のアラルダイドXPY306等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のjER604、東都化成社製のエポトートYH−434、チバ・ジャパン社製のアラルダイドMY720、住友化学工業社製のスミ−エポキシELM−120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;チバ・ジャパン社製のアラルダイドCY−350(商品名)等のヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、チバ・ジャパン社製のアラルダイドCY175、CY179等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬社製EBPS−200、旭電化工業社製EPX−30、DIC社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のjERYL−931、チバ・ジャパン社製のアラルダイド163等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;チバ・ジャパン社製のアラルダイドPT810、日産化学工業社製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鐵化学社製ESN−190、ESN−360、DIC社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えばダイセル化学工業製PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂又はそれらの混合物が好ましい。
多官能オキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマー又は共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、又はシルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。
分子中に複数の環状チオエーテル基を有する化合物としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂 YL7000等が挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
このような分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分の配合量は、前記カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基1当量に対して、0.6〜2.5当量が好ましい。配合量が0.6未満である場合、ソルダーレジスト膜にカルボキシル基が残り、耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性等が低下する。一方、2.5当量を超える場合、低分子量の環状(チオ)エーテル基が乾燥塗膜に残存することにより、塗膜の強度等が低下する。より好ましくは、0.8〜2.0当量である。
さらに、他の熱硬化成分としては、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体等のアミノ樹脂が挙げられる。例えばメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物及びメチロール尿素化合物等がある。さらに、アルコキシメチル化メラミン化合物、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物及びアルコキシメチル化尿素化合物は、それぞれのメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物及びメチロール尿素化合物のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等とすることができる。特に人体や環境に優しいホルマリン濃度が0.2%以下のメラミン誘導体が好ましい。
これらの市販品としては、例えば、サイメル300、同301、同303、同370、同325、同327、同701、同266、同267、同238、同1141、同272、同202、同1156、同1158、同1123、同1170、同1174、同UFR65、同300(いずれも三井サイアナミッド社製)、ニカラックMx−750、同Mx−032、同Mx−270、同Mx−280、同Mx−290、同Mx−706、同Mx−708、同Mx−40、同Mx−31、同Ms−11、同Mw−30、同Mw−30HM、同Mw−390、同Mw−100LM、同Mw−750LM、(いずれも三和ケミカル社製)等を挙げることができる。このような熱硬化成分は単独又は2種以上を併用することができる。
本発明で用いる感光性樹脂組成物には、1分子内に複数のイソシアネート基又はブロック化イソシアネート基を有する化合物を加えることができる。このような1分子内に複数のイソシアネート基又はブロック化イソシアネート基を有する化合物としては、ポリイソシアネート化合物、又はブロックイソシアネート化合物等が挙げられる。なお、ブロック化イソシアネート基とは、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて一時的に不活性化された基であり、所定温度に加熱されたときにそのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成する。上記ポリイソシアネート化合物、又はブロックイソシアネート化合物を加えることにより硬化性及び得られる硬化物の強靭性を向上することが確認された。
このようなポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが用いられる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート及び2,4−トリレンダイマー等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートの具体例としてはビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。並びに先に挙げられたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体及びイソシアヌレート体等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。ブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、例えば、上述のポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノール及びエチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;ε−カプロラクタム、δ−パレロラクタム、γ−ブチロラクタム及びβ−プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチル及びアセチルアセトン等の活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチル及び乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミド及びマレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアミン系ブロック剤;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミン及びプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物は市販のものであってもよく、例えば、スミジュールBL−3175、BL−4165、BL−1100、BL−1265、デスモジュールTPLS−2957、TPLS−2062、TPLS−2078、TPLS−2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265(いずれも住友バイエルウレタン社製)、コロネート2512、コロネート2513、コロネート2520(いずれも日本ポリウレタン工業社製)、B−830、B−815、B−846、B−870、B−874、B−882(いずれも三井武田ケミカル社製)、TPA−B80E、17B−60PX、E402−B80T(いずれも旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。なお、スミジュールBL−3175、BL−4265はブロック剤としてメチルエチルオキシムを用いて得られるものである。このような1分子内に複数のイソシアネート基、又はブロック化イソシアネート基を有する化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような1分子内に複数のイソシアネート基又はブロック化イソシアネート基を有する化合物の配合量は、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、1〜100質量部が好ましい。配合量が、1質量部未満の場合、十分な塗膜の強靭性が得られない。一方、100質量部を超えた場合、保存安定性が低下する。より好ましくは、2〜70質量部である。
分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分を使用する場合、熱硬化触媒を含有することが好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT(登録商標)3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩)等が挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基及び/又はオキセタニル基とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を熱硬化触媒と併用する。
これら熱硬化触媒の配合量は、通常の量的割合で充分であり、例えば前記カルボキシル基含有樹脂又は分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15.0質量部である。
さらに、本発明で用いる感光性樹脂組成物には、着色剤を配合することができる。着色剤としては、赤、青、緑、黄などの慣用公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものを挙げることができる。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。
赤色着色剤:
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがあり、具体的には以下のものが挙げられる。
モノアゾ系:Pigment Red 1,2,3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,269。
ジスアゾ系:Pigment Red 37,38,41。
モノアゾレーキ系:Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,68。
ベンズイミダゾロン系:Pigment Red 171、Pigment Red 175、Pigment Red 176、PigmentRed 185、Pigment Red 208。
ぺリレン系:Solvent Red 135、Solvent Red 179、Pigment Red 123、Pigment Red 149、Pigment Red 166、Pigment Red 178、Pigment Red 179、Pigment Red 190、Pigment Red 194、Pigment Red 224。
ジケトピロロピロール系:Pigment Red 254、Pigment Red 255、Pigment Red 264、PigmentRed 270、Pigment Red 272。
縮合アゾ系:Pigment Red 220、Pigment Red 144、Pigment Red 166、Pigment Red 214、Pigment Red 220、Pigment Red 221、Pigment Red 242。
アンスラキノン系:Pigment Red 168、Pigment Red 177、Pigment Red 216、Solvent Red 149、Solvent Red 150、SolventRed 52、Solvent Red 207。
キナクリドン系:Pigment Red 122、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 207、Pigment Red 209。
青色着色剤:
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなものを挙げることができる:Pigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4、Pigment Blue 15:6、Pigment Blue 16、Pigment Blue 60。
染料系としては、Solvent Blue 35、Solvent Blue 63、Solvent Blue 68、Solvent Blue 70、Solvent Blue 83、Solvent Blue 87、Solvent Blue 94、Solvent Blue 97、Solvent Blue 122、Solvent Blue 136、Solvent Blue 67、Solvent Blue 70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
緑色着色剤:
緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系があり、具体的にはPigment Green 7、Pigment Green 36、Solvent Green 3、Solvent Green 5、Solvent Green 20、Solvent Green 28等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
黄色着色剤:
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等があり、具体的には以下のものが挙げられる。
アントラキノン系:Solvent Yellow 163、Pigment Yellow 24、Pigment Yellow 108、Pigment Yellow 193、Pigment Yellow 147、Pigment Yellow 199、Pigment Yellow 202。
イソインドリノン系:Pigment Yellow 110、Pigment Yellow 109、Pigment Yellow 139、Pigment Yellow 179、Pigment Yellow 185。
縮合アゾ系:Pigment Yellow 93、Pigment Yellow 94、Pigment Yellow 95、Pigment Yellow 128、Pigment Yellow 155、Pigment Yellow 166、Pigment Yellow 180。
ベンズイミダゾロン系:Pigment Yellow 120、Pigment Yellow 151、Pigment Yellow 154、Pigment Yellow 156、Pigment Yellow 175、Pigment Yellow 181。
モノアゾ系:Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183。
ジスアゾ系:Pigment Yellow 12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198。
その他、色調を調整する目的で紫、オレンジ、茶色、黒などの着色剤を加えてもよい。
具体的に例示すれば、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet 13、36、C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等がある。
前記したような着色剤は適宜配合できるが、前記カルボキシル基含有樹脂又は熱硬化性成分100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは0.1〜5質量部である。
本発明で用いる感光性樹脂組成物には、分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物を配合することができる。分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物は、活性エネルギー線の照射により光硬化して、本発明の感光性樹脂組成物をアルカリ水溶液に不溶化し、又は不溶化を助けるものである。このような化合物としては、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートが使用でき、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε−カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;上記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類及びメラミンアクリレート、及び/又は上記アクリレートに対応する各メタクリレート類などが挙げられる。
さらに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物等が挙げられる。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
このような分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に1分子内に4個から6個のエチレン性不飽和基を有する化合物が光反応性と解像性の観点から好ましく、さらに1分子内に2個のエチレン性不飽和基を有する化合物を用いると、硬化物の線熱膨張係数が低下し、PCT時における剥がれの発生が低減されることが見出されたことから好ましい。
このような分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物の配合量は、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、5〜100質量部が好ましい。配合量が、5質量部未満の場合、光硬化性が低下し、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像により、パターン形成が困難となる。一方、100質量部を超えた場合、希アルカリ水溶液に対する溶解性が低下して、塗膜が脆くなる。より好ましくは、1〜70質量部である。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、前記カルボキシル基含有樹脂の合成や組成物の調製のため、又は基板やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のため、有機溶剤を使用することができる。
このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などが挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などである。このような有機溶剤は、単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
本発明に用いる感光性樹脂組成物には、酸化を防ぐために(1)発生したラジカルを無効化するようなラジカル補足剤又は/及び(2)発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルが発生しないようにする過酸化物分解剤等の酸化防止剤を添加することができる。
ラジカル補足剤として働く酸化防止剤としては、例えば、ヒドロキノン、4−t−ブチルカテコール、2−t−ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン等のフェノール系、メタキノン、ベンゾキノン等のキノン系化合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、フェノチアジン等のアミン系化合物等が挙げられる。
ラジカル補足剤は市販のものであってもよく、例えば、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−330、アデカスタブAO−20、アデカスタブLA−77、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−68、アデカスタブLA−87(いずれも旭電化社製)、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 1076、IRGANOX 1135、TINUVIN 111FDL、TINUVIN 123、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、TINUVIN 5100(いずれもチバ・ジャパン社製)等が挙げられる。
過酸化物分解剤として働く酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルフォスファイト等のリン系化合物、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート等の硫黄系化合物等が挙げられる。
過酸化物分解剤は市販のものであってもよく、例えば、アデカスタブTPP(旭電化社製)、マークAO−412S(アデカ・アーガス化学社製)、スミライザーTPS(住友化学社製)等が挙げられる。このような酸化防止剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いる感光性樹脂組成物には、酸化防止剤の他に、紫外線吸収剤を使用することができる。
このような紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、シンナメート誘導体、アントラニレート誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体等が挙げられる。
ベンゾフェノン誘導体としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン及び2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾエート誘導体としては、例えば、2−エチルヘキシルサリチレート、フェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート及びヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール誘導体としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)エンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
トリアジン誘導体としては、例えば、ヒドロキシフェニルトリアジン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、市販のものであってもよく、例えば、TINUVI PS、TINUVIN 99−2、TINUVIN 109、TINUVIN 384−2、TINUVIN 900、TINUVIN 928、TINUVIN 1130、TINUVIN 400、TINUVIN 405、TINUVIN 460、TINUVIN 479(いずれもチバ・ジャパン社製)等が挙げられる。このような紫外線吸収剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、酸化防止剤と併用することで、本発明の感光性樹脂組成物より得られる成形物の安定化を図ることができる。
本発明に用いる感光性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、公知の熱重合禁止剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の公知の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤及び/又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、酸化防止剤、防錆剤等のような公知の添加剤類を配合することができる。
熱重合禁止剤は、重合性化合物の熱的な重合又は経時的な重合を防止するために用いることができる。熱重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキル又はアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、及びフェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレート等が挙げられる。
本発明に用いる感光性樹脂組成物には、層間の密着性、又は形成される樹脂絶縁層と基板との密着性を向上させるために、密着促進剤を用いることができる。特に下地と接する第1感光性樹脂層(L1)に密着促進剤を添加することで、PCT時における剥がれを抑制することが可能となることが見出された。このような密着促進剤例としては、例えば、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、3−モルホリノメチル−1−フェニル−トリアゾール−2−チオン、5−アミノ−3−モルホリノメチル−チアゾール−2−チオン、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アミノ基含有ベンゾトリアゾール、シランカップリング剤等がある。
また、本発明に用いる感光性樹脂組成物には、難燃剤を配合することができる。難燃剤には慣用公知のホスフィン酸塩、燐酸エステル誘導体、フォスファゼン化合物等のリン化合物が使用できる。これら難燃剤はいずれの層に添加しても問題ないが、いずれか一層でもかまわない。好ましいリン元素濃度はすべての層のうち3%を超えない範囲が好ましい。
本発明の積層構造体は、前記したような方法により、基板に感光性樹脂組成物を直性塗布・乾燥して感光性樹脂層を形成してもよく、あるいは、キャリアフィルムに感光性樹脂組成物をブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等の適宜の方法により均一に塗布し、乾燥して、前記した無機フィラーの含有割合プロファイルを有する感光性樹脂層を形成し、好ましくはその上にカバーフィルムを積層した感光性ドライフィルムを予め作製し、いずれか一方のフィルム(カバーフィルム又はキャリアフィルム)を剥がした後、これを無機フィラーの含有割合が低い表面側が接するように基板上に重ね、ラミネーター等を用いて基板に張り合わせることにより、感光性樹脂層を形成してもよい。尚、例えば図2に示すような2層構造の感光性ドライフィルムの場合、キャリアフィルムには、無機フィラーを含有しないか含有割合が低い第1感光性樹脂層(L1)及び無機フィラーの含有割合が高い第2感光性樹脂層(L2)の順で形成してもよく、第2感光性樹脂層(L2)及び第1感光性樹脂層(L1)の順で形成してもよく、基板上に張り合わせる際に、無機フィラーを含有しないか含有割合が低い第1感光性樹脂層(L1)側のフィルムを剥がして、基板上に張り合わせればよい。また、残存した一方のフィルム(キャリアフィルム又はカバーフィルム)は、後述する露光の前又は後に剥離すればよい。これらのことは、2層以上の多層構造の場合についても同様である。
感光性樹脂層の全膜厚は、100μm以下が好ましく、例えば図2に示すような2層構造の場合、無機フィラーの含有割合が低いか又は含有しない第1感光性樹脂層(L1)は1〜50μm、無機フィラーの含有割合が高い第2感光性樹脂層(L2)は1〜50μmの厚さとすることが好ましい。全感光性樹脂層の厚みは5〜50μmが好ましく、第1感光性層(L1)と第2感光性樹脂層(L2)の比率は1:9〜9:1の範囲が好ましい。また、ラミネートする基材の回路の厚みと第1感光性樹脂層(L1)の厚みを合わせるか、もしくは数μm厚くすると、すべての回路を密着性、流動性良好な第1感光性樹脂層(L1)が覆うため、耐PCT性や平坦性が良好になるため好ましい。尚、2層以上の多層構造の場合、各層の膜厚は同一でも異なっていてもよいが、各層の膜厚が同一の場合、無機フィラーの含有割合プロファイルを設計し易いので好ましい。
キャリアフィルムとしては、例えば2〜150μmの厚みのポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムなどの熱可塑性フィルムが用いられる。
カバーフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を使用することができるが、ソルダーレジスト層との接着力が、キャリアフィルムよりも小さいものが良い。
前記基板としては、予め回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス−ポリイミド、ガラス布/不繊布−エポキシ樹脂、ガラス布/紙−エポキシ樹脂、合成繊維−エポキシ樹脂、フッ素樹脂・ポリエチレン・PPO・シアネートエステル等の複合材を用いた全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を用いることができる。
次に、基板上に形成された前記したような無機フィラーの含有割合プロファイルを有する感光性樹脂層を、接触式(又は非接触方式)により、パターンを形成したフォトマスクを通して、選択的に活性エネルギー線により露光もしくはレーザーダイレクト露光機により直接パターン露光する。感光性樹脂層は、露光部(活性エネルギー線により照射された部分)が硬化する。
活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、直接描画装置(例えばコンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)、メタルハライドランプを搭載した露光機、(超)高圧水銀ランプを搭載した露光機、水銀ショートアークランプを搭載した露光機、もしくは(超)高圧水銀ランプ等の紫外線ランプを使用した直接描画装置を用いることができる。
活性エネルギー線としては、最大波長が350〜410nmの範囲にあるレーザー光を用いることが好ましい。最大波長をこの範囲とすることにより、光重合開始剤から効率よくラジカルを生成することができる。この範囲のレーザー光を用いていればガスレーザー、固体レーザーのいずれでもよい。また、その露光量は膜厚等によって異なるが、一般には5〜500mJ/cm、好ましくは10〜300mJ/cmの範囲内とすることができる。
直接描画装置としては、例えば、日本オルボテック社製、ペンタックス社製等のものを使用することができ、最大波長が350〜410nmのレーザー光を発振する装置であればいずれの装置を用いてもよい。
そして、このようにして感光性樹脂層を露光することにより、露光部(活性エネルギー線により照射された部分)を硬化させた後、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3〜3wt%炭酸ソーダ水溶液)により現像して、硬化皮膜層(パターン)が形成される。
このとき、現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができる。また、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液を用いることができる。
さらに、感光性樹脂層が熱硬化成分を含有する場合、例えば約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基と、例えば分子中に複数の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基を有する熱硬化成分が反応し、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性等の諸特性に優れた硬化皮膜層(パターン)を形成することができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではないことはもとよりである。尚、以下において「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
合成例1
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置及び撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(商品名「ショーノールCRG951」、昭和高分子(株)製、OH当量:119.4)119.4部、水酸化カリウム1.19部及びトルエン119.4部を仕込み、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキシド63.8部を徐々に滴下し、125〜132℃、0〜4.8kg/cmで16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56部を添加混合して水酸化カリウムを中和し、不揮発分62.1%、水酸基価が182.2g/eq.であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りアルキレンオキシドが平均1.08モル付加しているものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のアルキレンオキシド反応溶液293.0部、アクリル酸43.2部、メタンスルホン酸11.53部、メチルハイドロキノン0.18部及びトルエン252.9部を、撹拌機、温度計及び空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6部の水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35部で中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1部で置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5部及びトリフェニルホスフィン1.22部を、撹拌器、温度計及び空気吹き込み管を備えた反応器に仕込み、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8部を徐々に加え、95〜101℃で6時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして、不揮発分65%、固形物の酸価87.7mgKOH/gのカルボキシル基含有感光性樹脂の溶液(以下、A−1と略称する)を得た。
合成例2
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エピクロンN−695、DIC(株)製、エポキシ当量220)330gを、ガス導入管、撹拌装置、冷却管及び温度計を備えたフラスコに入れ、カルビトールアセテート340gを加え、加熱溶解し、ハイドロキノン0.46gと、トリフェニルホスフィン1.38gを加えた。この混合物を95〜105℃に加熱し、アクリル酸108gを徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を、80〜90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物68gを加え、8時間反応させ、冷却させた。このようにして、固形物の酸価50mgKOH/g、不揮発分60%のカルボキシル基含有感光性樹脂の溶液(以下、A−4と略称する)を得た。
光硬化性熱硬化性樹脂組成物例1〜14
上記合成例の樹脂溶液を用い、下記表1に示す種々の成分と共に表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、ソルダーレジスト用光硬化性熱硬化性樹脂組成物を調製した。
Figure 0005567716
前記表1中の各添数字の意味は以下のとおりである。
*1: ZFR−1401H(不揮発分65.0%、固形分酸価100mgKOH/g、日本化薬(株)製)
*2: ZCR−1601H(不揮発分65.0%、固形分酸価100mgKOH/g、日本化薬(株)製)
*3: エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]1,1−(O−アセチルオキシム)(チバ・ジャパン社製)
*4: アデカアークルズ NCI−831(株式会社ADEKA社製)
*5: ルシリンTPO(BASF社製)
*6: 日本タルク(株)製K−1(屈折率:1.57)
*7: 堺化学工業(株)製B−33(屈折率:1.64)
*8: 昭和電工(株)製ハイジライトH−42M(屈折率:1.57)
*9: 堺化学工業(株)製MGZ−3(屈折率:1.58)
*10: Nabaltec社製ACTILOX400SM(屈折率:1.62)
*11: (株)アドマテックス製SO−E2(屈折率:1.45)
*12: HOFFMANN MINERAL社製(屈折率:1.55)
(球状のシリカと板状のカオリナイトから構成される化合物であるシリチンのアミノシランカップリング材処理品)
*13: 協和化学工業(株)製DHT−4A(屈折率:1.50)
*14: エポキシ化ポリブタジエン(分子量:3000、エポキシ当量:200、ダイセル化学工業(株)製)
*15: 2−メルカプトベンゾチアゾール(川口化学工業(株)製)
*16: 2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン(三協化成(株)製)
*17: 1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン(昭和電工(株)製)
*18: ビキシレノール型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製)
*19: ビスフェノール型エポキシ樹脂(東都化成(株)製)
*20: 酸化防止剤(チバ・ジャパン社製)
*21: ブロックイソシアネート(旭化成ケミカルズ(株)製)
*22: C.I.Pigment Blue 15:3
*23: C.I.Pigment Yellow 147
*24: ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)
*25: トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業(株)製)
線熱膨張係数:
3mm×10mmのサイズの硬化皮膜を、セイコーインスツールメンツ社製TMA6100にて10gの荷重を加えながら一定の昇温速度で0℃−260℃の温度範囲で引張り試験を行った。温度に対する硬化皮膜の伸び量から線熱膨張係数を算出した。
感光性ドライフィルムの作製:
実施例1〜13
上記光硬化性熱硬化性樹脂組成物例1〜14を用いて、下記表2に示す組合せで、基板に接する第1感光性樹脂層(L1)を膜厚10μm、該第1感光性樹脂層(L1)に接する第2感光性樹脂層(L2)を膜厚10μmで形成し、パターン形成可能な2層構造の感光性樹脂層を有する感光性ドライフィルムを作製した。尚、感光性ドライフィルムは、キャリアフィルムとして38μmの厚みのポリエステルフィルム上に上記L2層用の組成物をアプリケーターを用いて80℃で20分乾燥した後に膜厚が10μmになるように塗布し、さらに、L2層の上にL1層用の組成物をアプリケーターを用いて80℃で20分乾燥した後に膜厚が10μmになるように塗布した後、室温まで放冷して作製した。
Figure 0005567716
比較例1〜3
上記光硬化性熱硬化性樹脂組成物例4、8を用いて、下記表3に示す組合せで前記各実施例と同様にして、基板に接する第1感光性樹脂層(L1)を膜厚10μm、該第1感光性樹脂層(L1)に接する第2感光性樹脂層(L2)を膜厚10μmで形成し、パターン形成可能な2層構造の感光性樹脂層を有する感光性ドライフィルムを作製した。但し、比較例2、3の場合、上記光硬化性熱硬化性樹脂組成物例4又は8を用いて、被着体に接する第1感光性樹脂層(L1)のみを膜厚20μmで形成した。
Figure 0005567716
特性試験:
銅厚15μmの回路が形成している片面プリント配線基板を用意し、メック(株)製CZ8100を使用して前処理を行った。これら基板に前記各実施例及び比較例の感光性ドライフィルムを用いて、L1層が基板に接するように、真空ラミネーターを用いて張り合わせることにより、基板上にL1層とL2層がこの順に積層された2層構造の樹脂絶縁層を形成した。この基板に、高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて最適露光量でソルダーレジストパターンを露光した後、キャリアフィルムを剥離し、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液によりスプレー圧0.2MPaの条件で90秒間現像を行い、レジストパターンを得た。この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cmの条件で紫外線照射した後、160℃で60分加熱して硬化した。得られたプリント基板(評価基板)に対して以下のように特性を評価した。
<はんだ耐熱性>
ロジン系フラックスを塗布した評価基板を、予め260℃に設定したはんだ槽に浸漬し、変性アルコールでフラックスを洗浄した後、目視によるレジスト層の膨れ・剥がれについて評価した。判定基準は以下のとおりである。
◎:10秒間浸漬を6回以上繰り返しても剥がれが認められない。
○:10秒間浸漬を3回以上繰り返しても剥がれが認められない。
△:10秒間浸漬を3回以上繰り返すと少し剥がれる。
×:10秒間浸漬を3回以内にレジスト層に膨れ、剥がれがある。
<無電解金めっき耐性>
市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件でめっきを行い、テープピーリングにより、レジスト層の剥がれの有無やめっきのしみ込みの有無を評価した後、テープピーリングによりレジスト層の剥がれの有無を評価した。判定基準は以下のとおりである。
◎:染み込み、剥がれが見られない。
○:めっき後に少し染み込みが確認されるが、テープピール後は剥がれない。
△:めっき後にほんの僅かしみ込みが見られ、テープピール後に剥がれも見られる。
×:めっき後に剥がれがある。
<PCT耐性>
上記無電解金めっきした評価基板を121℃、2気圧、湿度100%の高圧高温高湿槽に300時間入れ、硬化皮膜の状態変化を以下の評価基準で評価した。
◎:顕著な膨れ、変色なし。
○:顕著な剥がれなし。一部剥がれ若しくは変色有り。
×:顕著な膨れ、変色あり。
<クラック耐性>
上記無電解金めっきした評価基板を−65℃で30分間、150℃で30分間を1サイクルとして熱履歴を加え、2000サイクル経過後、硬化皮膜の状態を光学顕微鏡で観察した。
◎:クラック発生なし。
△:クラック発生あり。
×:クラック発生著しい。
<解像性>
解像性評価用ネガマスクとしてビア開口径80μmを有するネガパターンを用い、ソルダーレジスト開口部のボトム径を1000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察及び測長を行い、以下の評価基準で評価した。
◎:ボトム径が70〜80μm。
○:ボトム径が50μm以上、70μm未満。
×:ボトム径が50μm未満。
<ピール強度>
上記評価基板作成条件において、回路形成された基板に変えて、18μmの銅箔を同様にCZ8100で処理し、その面に、前記各実施例及び比較例の感光性ドライフィルムを用いてL1層とL2層をそれぞれラミネートして、同様に評価基板を用意した。完成した絶縁層に2液性エポキシ系接着剤(アラルダイト)を絶縁層側に塗布し、裏返して1.6mmtの銅を全面エッチングしたFR−4基板に張り合わせて硬化させた。硬化後、絶縁層に接着している銅箔を1cm幅で切り出し、90度の角度で剥離して試験を行い、ピールゲージでピール強度を求めた。
◎:6N以上。
△:3N以上、6N未満。
×:3N未満。
上記各試験の結果を表4にまとめて示す。
Figure 0005567716
比較例4
組成物7の配合においてタルクをすべて球状シリカに変え、さらに比較例2と同様に単層のフィルムを作製したものは、無電解金めっき耐性△、PCT耐性×、に加えて解像性も×であった。
前記表4に示されるように、基板に接する第1感光性樹脂層(L1)を無機フィラー含有量が38容量%未満の光硬化性熱硬化性樹脂組成物例1〜5で作製し、該第1感光性樹脂層(L1)に接する第2感光性樹脂層(L2)を無機フィラー含有量が38〜60容量%の光硬化性熱硬化性樹脂組成物例6〜14で作製した各実施例の場合、はんだ耐熱性、無電解金めっき耐性、PCT耐性、クラック耐性、解像性のいずれについても問題なかったが、これとは逆に、基板に接する第1感光性樹脂層(L1)を無機フィラー含有量が38〜60容量%の光硬化性熱硬化性樹脂組成物例8で作製し、該第1感光性樹脂層(L1)に接する第2感光性樹脂層(L2)を無機フィラー含有量が38容量%未満の光硬化性熱硬化性樹脂組成物例4で作製した比較例1の場合、基板との密着性が悪く、PCT耐性に劣っていた。一方、無機フィラー含有量が38〜60容量%の光硬化性熱硬化性樹脂組成物例8を用いて基板に接する第1感光性樹脂層(L1)のみを作製した比較例2の場合、PCT耐性に劣っており、また無電解金めっき耐性にも劣っていた。また、無機フィラー含有量が38容量%未満の光硬化性熱硬化性樹脂組成物例4を用いて基板に接する第1感光性樹脂層(L1)のみを作製した比較例3の場合、PCT耐性や無電解金めっき耐性には問題がなかったが、少し劣っていることが確認された。また線熱膨張係数が高く、クラック耐性の点で問題があった。
さらに、無機フィラー含有量が38容量%以上の光硬化性樹脂組成物である組成物7の配合においてタルクをすべて球状シリカに変え、さらに比較例2と同様に単層のフィルム作製したものは、無電解金めっき耐性、PCT耐性が劣り、加えて解像性も×であった。
1 基板
2 感光性樹脂層(又は硬化皮膜層)
3 無機フィラー
4 導体回路層
L1 第1感光性樹脂層(又は第1硬化皮膜層)
L2 第2感光性樹脂層(又は第2硬化皮膜層)
L3 第3感光性樹脂層(又は第3硬化皮膜層)

Claims (7)

  1. 少なくとも基板と、該基板上に形成された無機フィラーを含有する感光性樹脂層又は硬化皮膜層とを有する積層構造体において、上記感光性樹脂層又は硬化皮膜層中の無機フィラーの含有割合が、上記基板と接する側が低く、上記基板から遠い表面側が高くなっており、
    前記感光性樹脂層又は硬化皮膜層が、無機フィラーの含有割合が異なる少なくとも2層からなり、前記基板から遠い表面側の感光性樹脂層の硬化物又は硬化皮膜層の線熱膨張係数が15〜35×10−6/Kであり、
    さらに、前記基板から遠い表面側の感光性樹脂層又は硬化皮膜層中に含まれる無機フィラーが、Mg及び/又はAlを含むことを特徴とする積層構造体。
  2. 前記感光性樹脂層又は硬化皮膜層中の無機フィラーの含有割合が、前記基板と接する側から前記基板から遠い表面側に向かって連続的に傾斜して又は段階的に漸次高くなっていることを特徴とする請求項1に記載の積層構造体。
  3. 前記感光性樹脂層又は硬化皮膜層中に含まれる無機フィラーの組成が、前記基板と接する側と前記基板から遠い表面側で異なることを特徴とする請求項1または2記載の積層構造体。
  4. 前記基板が、予め導体回路層が形成された配線基板であり、前記積層構造体が、前記硬化皮膜層からなるソルダーレジスト又は層間樹脂絶縁層を有するプリント配線基板であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の積層構造体。
  5. 被着物に張り合わせるための無機フィラーを含有するパターン形成可能な感光性樹脂層を有する感光性ドライフィルムにおいて、上記感光性樹脂層中の無機フィラーの含有割合が、被着物に張り合わせる側が低く、上記被着物から遠い側が高くなっており、
    前記感光性樹脂層が、無機フィラーの含有割合が異なる少なくとも2層からなり、前記被着物から遠い側の感光性樹脂層の硬化物の線熱膨張係数が15〜35×10−6/Kであり、
    さらに、前記被着物から遠い側の感光性樹脂層中に含まれる無機フィラーが、Mg及び/又はAlを含むことを特徴とする感光性ドライフィルム。
  6. 前記感光性樹脂層中の無機フィラーの含有割合が、前記被着物に張り合わせる側から前記被着物から遠い側に向かって連続的に傾斜して又は段階的に漸次高くなっていることを特徴とする請求項に記載の感光性ドライフィルム。
  7. 前記感光性樹脂層中に含まれる無機フィラーの組成が、前記被着物に張り合わせる側と前記被着物から遠い側で異なることを特徴とする請求項5または6記載の感光性ドライフィルム。
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