JP2017149812A - インクジェット捺染用オーバーコート液、インクジェット捺染用インクセット、およびコーティング方法 - Google Patents

インクジェット捺染用オーバーコート液、インクジェット捺染用インクセット、およびコーティング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】吐出信頼性を損なうことなく、顔料インクの堅牢性が向上するインクジェット捺染用オーバーコート液、インクジェット捺染用インクセット、およびコーティング方法を提供すること。【解決手段】本発明のインクジェット捺染用オーバーコート液は、水分散性樹脂と、分子構造中に複数の水酸基を有する水溶性有機溶剤と、架橋性成分と、水とを含む。この構成によれば、目詰まりなどの吐出信頼性を低下させることなく顔料インクの堅牢性を向上させることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット捺染用オーバーコート液、インクジェット捺染用インクセット、およびコーティング方法に関する。
スクリーン捺染法、ローラー捺染法などの伝統的捺染方法は、トレースや製版などの煩雑な作業を要するため、低コスト化が難しく、少量多品種生産には不向きであった。このような欠点を解消すべく、布帛に対してインクジェット法により印捺を行う方法(インクジェット捺染)が提案され、実用化されている。
捺染用インクの色材としては、染料と顔料がある。染料を用いたインク(染料インク)は発色が良く、染料が繊維の官能基と反応し化学結合を形成することで染着するために堅牢性が高いといった利点がある。
これに対し、顔料を用いたインク(顔料インク)は、耐光性が高く、複数の繊維種に対応できる、後処理が不要である、といった利点があり、染料インクに比べ、その簡便さが好まれている。
顔料インクでは、染料インクと異なり、繊維の官能基と色材とを反応させることはできない。そのため、色材を定着させて堅牢性を向上させる場合、バインダー成分が必要となる。一般的に、バインダー成分として、定着樹脂を添加する。インクジェット捺染においては、インクの粘度を抑えて吐出の信頼性を確保するために、定着樹脂の添加量には制約がある。
従来、顔料インクと併用するための、捺染用オーバーコート剤が知られていた。例えば、特許文献1には、それぞれ特定の皮膜伸度をもつ水分散性樹脂を含有した顔料インクとオーバーコート剤との組み合わせが提案されている。
特開2010−150453号公報
しかしながら、特許文献1に記載のオーバーコート剤においては、吐出信頼性を損なわずに、顔料インクの摩擦堅牢性や洗濯堅牢性などの堅牢性を向上させることが難しいという課題があった。詳しくは、上記堅牢性を向上させようとすると、オーバーコート剤中の樹脂濃度を高くする必要があった。そのため、インクジェットヘッドのノズル内において、樹脂成分が膜化や固化しやすくなり、目詰まりや吐出不安定などの吐出信頼性の不具合を誘発する恐れがあった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係るインクジェット捺染用オーバーコート液は、水分散性樹脂と、分子構造中に複数の水酸基を有する水溶性有機溶剤と、架橋性成分と、水とを含むことを特徴とする。
本適用例によれば、水溶性有機溶剤の水酸基が、水分子と強固な水素結合を形成することで、水の蒸発を抑制する。そのため、水分散性樹脂の濃度を上げても、ノズル内が保湿されて目詰まりや吐出不安定などが発生しにくくなり、上記堅牢性も確保できる。また、架橋性成分によって水分散性樹脂の分子間が架橋され、三次元の網目構造が形成される。この三次元の網目構造によって、従来より強固な皮膜が得られる。これによって、水分散性樹脂の濃度を従来より少量とすることが可能となり、目詰まりや吐出不安定などの発生をさらに低減することができる。従って、高い吐出信頼性と堅牢性とを有するインクジェット捺染用オーバーコート液を提供することができる。
[適用例2]上記適用例に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液においては、水分散性樹脂の含有量は、オーバーコート液全量に対し5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
これによれば、ノズル内などにおける気液界面での膜化(目詰まり)を抑制したうえで、顔料インクなどが塗布された印捺部に、強固な皮膜を形成することが可能となる。これにより、吐出信頼性と堅牢性とを確保することができる。
[適用例3]上記適用例に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液においては、架橋性成分は、ブロックイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物の少なくとも1種を含み、架橋性成分の添加量は、オーバーコート液全量に対し0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
これによれば、水分散性樹脂が有する水酸基やカルボキシ基などの官能基と、ブロックイソシアネート化合物もしくはカルボジイミド化合物とが架橋反応する。そのため、水分散性樹脂の分子間に三次元の網目構造が形成され、強固な皮膜が得られる。従って、摩擦堅牢性を向上させることができる。
[適用例4]上記適用例に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液においては、架橋性成分における架橋反応開始温度が、90℃以上160℃以下であることが好ましい。
本適用例によれば、90℃以上で反応するようにすることで、インクジェット捺染用オーバーコート液に含まれる水分が蒸発して、水分散性樹脂を定着させることができる。また160℃以下で反応することで水分散性樹脂が硬くなることを抑制することができる。
[適用例5]上記適用例に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液においては、水溶性有機溶剤として、グリセリン、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−ヘキサンジオールの少なくとも1種を含有することが好ましい。
これによれば、上記水溶性有機溶剤を用いることで、インクジェット捺染用オーバーコート液の粘度を低く抑えて保湿機能をもたせることができる。そのため、インクジェット捺染用オーバーコート液に高い保湿機能を付与することができるので、従来よりも目詰まり発生のリスクを低減することが可能となる。
[適用例6]上記適用例に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液においては、水溶性有機溶剤の含有量は、オーバーコート液全量に対し1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
これによれば、保湿機能を確保して水分の蒸発が抑制でき、粘度を低く抑えることで、従来よりも高い吐出信頼性と堅牢性とを得ることができる。
[適用例7]本適用例に記載のインクジェット捺染用インクセットは、少なくとも1種の顔料インクと、上記のインクジェット捺染用オーバーコート液とを備えていることが好ましい。
これによれば、布帛に顔料インクを印捺した上に、インクジェット捺染用オーバーコート液を塗布することで、顔料インクの顔料の周囲に水分散性樹脂の皮膜が形成される。そのため、印捺部が摩擦されても、布帛上に定着した顔料が落ちにくくなる。よって、堅牢性、特に摩擦堅牢性の高い布帛を得ることができる。
[適用例8]本適用例に記載のコーティング方法においては、上記のインクジェット捺染用オーバーコート液と少なくとも1種の顔料インクとを塗布した布帛を加熱する加熱工程を有し、加熱工程における加熱条件が、90℃以上160℃以下であり、加熱時間が2分間以上5分間以下であることが好ましい。
これによれば、インクジェット捺染用オーバーコート液と顔料インクとが塗布された布帛の中心部まで加熱できる。そのため、水分や水溶性有機溶剤の蒸発と水分散性樹脂の定着と架橋反応とが十分に進行し、強固な皮膜が形成される。よって、摩擦堅牢性が向上する。
[適用例9]上記適用例に記載のコーティング方法は、塗布工程において、インクジェット捺染用のオーバーコート液を、スプレー法または、インクジェット法によって塗布することが好ましい。
これによれば、インクジェット捺染用オーバーコート液を微小な液滴にして塗布することで、繊細な塗布量の制御が可能となる。そのため、皮膜の厚さを調節することが容易になり、風合いを損ねることなく十分な堅牢性を確保することができる。
本実施形態に係るインクジェット捺染装置の構成を示す概略側面図。
インクジェット捺染用オーバーコート液は、布帛などの印捺部に塗布して、該印捺部を保護することで摩擦堅牢性や洗濯堅牢性などの堅牢性を向上させるために用いられる。本実施形態に係るインクジェット捺染用オーバーコート液(以降、単にコート液ともいう)は、水分散性樹脂と、分子構造中に複数の水酸基を有する水溶性有機溶剤と、架橋性成分と、水とを含んでいる。以下、本実施形態に係るコート液に含有される各成分について説明する。
<水分散性樹脂>
水分散性樹脂は、水に安定に分散させるために必要な親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、強制的に外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよい。自己乳化型の樹脂が有する親水成分としては、主には水酸基であるが、その他に、アニオン性であれば、カルボキシ基やスルホン酸基、カチオン性であれば、4級アンモニウムカチオン、ノニオン性であれば、オキシエチレンなどがある。また、強制的に水分散させるための外部乳化剤としては通常の界面活性剤が用いられる。
水分散性樹脂としては、水中で粒子状の形態で存在する樹脂粒子であってもよく、水中で樹脂エマルジョンを形成するものであってもよい。
水分散性樹脂の種類は、後述する架橋性成分と反応可能な官能基を有するものであることが好ましい。このような官能基の好適な例として、カルボキシ基が挙げられる。水分散性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル−ウレタン樹脂、アクリル樹脂及びスチレン−アクリル樹脂のうち少なくともいずれかが好ましく、ウレタン樹脂であることがより好ましい。なお、上記の樹脂のうち、共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体のうちいずれの形態であってもよい。
水分散性樹脂のTg(ガラス転移点)は、10℃以下が好ましく、0℃以下であるとより好ましい。また、最低造膜温度は、50℃以下が好ましく、0℃以下であるとより好ましい。これにより、水分散性樹脂が皮膜を形成する際の成膜性が向上する。
水分散性樹脂の破断点伸度は、400%〜1000%が好ましく、600%〜800%がさらに好ましい。また、水分散性樹脂の弾性率は、20MPa〜100MPaが好ましい。破断点伸度または弾性率が上記範囲内であることにより、布帛が曲がったり、伸縮したりしたときに、皮膜の破断やひび割れを防ぐことができ、印捺物の洗濯堅牢性及び耐擦性がより優れたものとなる傾向にある。
上記水分散性樹脂としては、市販品を用いることができる。具体的な商品名は、特に限定されないが、例えば、ウレタン樹脂としては、サンキュアー2710(商品名、日本ルーブリゾール社(The Lubrizol Corporation)製)、パーマリンUA−150(商品名、三洋化成工業社(Sanyo Chemical Industries, Ltd.)製)、スーパーフレックス460、470、610、700(以上商品名、第一工業製薬社(Dai-ichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd.)製)、NeoRezR−9660、R−9637、R−940(以上商品名、、楠本化成社(Kusumoto Chemicals,Ltd.)製)、アデカボンタイターHUX−380、290K(以上商品名、アデカ(Adeka)社製)、タケラック(登録商標)W−605、W−635、WS−6021(以上商品名、、三井化学社(Mitsui Chemicals, Inc.)製)などが挙げられる。
ウレタン樹脂以外の具体的な商品名としては、モビニール966A(商品名、日本合成化学社(Nippon Synthetic Chemical Industry Co., Ltd.)製、アクリル樹脂エマルジョン)、マイクロジェルE−1002、マイクロジェルE−5002(以上商品名、日本ペイント社(Nippon Paint Co., Ltd)製)、ボンコート4001、ボンコート5454(以上商品名、DIC社製)、SAE1014(商品名、日本ゼオン社(Zeon Corporation)製)、サイビノールSK−200(商品名、サイデン化学社(SAIDEN CHEMICAL INDUSTRY CO.,LTD.)製)、ジョンクリル7100、ジョンクリル390、ジョンクリル711、ジョンクリル511、(以上商品名、BASF社製)、NKバインダー R−5HN(商品名、新中村化学社製、アクリル樹脂エマルジョン、固形分44%)などが挙げられる。
水分散性樹脂の含有量は、インクジェット捺染用オーバーコート液全量に対し、その効果を適切に発揮させるために、5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましい。水分散性樹脂を、20質量%以下の範囲で含有することにより、気液界面での皮膜ができ難くなり、目詰まりなどによる吐出信頼性の低下を招き難くなる。水分散性樹脂の含有量が5質量%以上であると、堅牢性が向上する。
<架橋性成分>
架橋性成分は架橋反応開始温度以上の温度で加熱することで、水分散性樹脂が有する官能基と反応し強固な皮膜を形成することができる。
架橋反応開始温度とは、本実施形態のオーバーコート液を布帛に塗布し熱処理した際に、乾燥摩擦堅牢度が向上し始める温度を指し、本実施形態のオーバーコート液から架橋性成分を除いたオーバーコート液との対比により測定することができる。
詳細には、例えば以下に示す方法により測定を行うことができる。まず、布帛(綿100%の平織り布)に、塗布量が50g/m2となるように、インクジェットプリンター(セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製のPX−G930)を用いたインクジェット法により、本実施形態の、インクジェット捺染用オーバーコート液を塗布(塗布条件;記録解像度1440dpi×1440dpi、印捺サイズA4サイズ、ベタパターン画像)し印捺サンプルを得る。その後、印捺サンプル別に、70℃から5℃刻みで200℃まで熱処理したものを用意する。なおいずれの印捺サンプルも熱処理時間は60秒間とする。架橋性成分を含有せず代わりに水分量を増やした対比用組成で、同様に印捺サンプルを得て同様に熱処理を行ったものと、乾燥摩擦堅牢度(ISO 105−X12に規定される乾燥試験により得る)について対比を行い、本実施形態のオーバーコート液から得られる印捺サンプルの方が乾燥摩擦堅牢度が上回る最低温度を測定することにより確認することができる。なお、架橋開始温度が70℃より低いと予測されるものは70℃より低い温度から熱処理を行ってもよく、架橋開始温度が200℃より高いと予測されるものは200℃より高い温度まで熱処理を行ってもよい。
架橋性成分として、ブロックイソシアネート化合物もしくはカルボジイミド化合物の少なくともいずれか1種を用いることが好ましい。これらは、水分散性樹脂の官能基と反応性を有しているため、架橋反応による網目構造の形成が容易である。例えば、ブロックイソシアネート化合物は、架橋反応開始温度以上の温度で加熱すると、水分散性樹脂が有する水酸基と反応してウレタン結合を形成する。これは、ブロックイソシアネートのイソシアネート基を不活性化していたブロック剤が、所定の温度に加熱されることで解離し、イソシアネート基が活性化して、架橋反応が進行するためである。また、カルボジイミド化合物は、架橋反応開始温度以上の温度で加熱することで、水分散性樹脂が有するカルボキシ基と、カルボジイミド基とが反応してアミド結合を形成する。
架橋性成分の種類は具体的には、ブロックイソシアネート化合物として、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、H6XDI(水添キシリレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)またはH12MDI(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)のTMP(トリメチロールプロパン)アダクト体またはイソシアヌレート体をブロックしたブロックイソシアネート系化合物であることが好ましく、例えば、SU−268A(明星化学工業株式会社製)やMF−B60B(旭化成社製)などが挙げられる。カルボジイミド化合物は分子中に複数のカルボジイミド基を有する、ポリプロピルカルボジイミド化合物であることが好ましい。例えば、カルボジライトV−02(日清紡社製)が挙げられる。
架橋性成分として、ブロックイソシアネート化合物もしくはカルボジイミド化合物を用いる場合には、水分散性樹脂としてウレタン樹脂を用いると、より架橋反応が良好に進行するため好ましい。
架橋剤の種類は上記2種類に限らず、ポリアリルアミンやオキサゾリンなどを用いてもよい。また、場合によっては、架橋を促すために触媒を添加してもよい。触媒としては例えば有機過酸化物や、アゾ化合物などが挙げられる。
架橋性成分の添加量としては、水分散性樹脂の添加量に合わせて調整することが可能であり、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.1質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは、5質量%以上8質量%以下である。10質量%以下であると布帛繊維の風合いが良好となり、5質量%以上であると堅牢性が良好となる。
<水溶性有機溶剤>
本実施形態の水溶性有機溶剤は、分子構造中に複数の水酸基を有している。複数の水酸基を有する水溶性有機溶剤としては、具体的には、グリセリン、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−へキサントリオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2−ブテン−1、4−ジオール、2−エチル−1、3−ヘキサンジオール、2−メチル−2、4ーペンタンジオール、ジプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどが挙げられる。これらを1種単独または複数種を組み合わせて用いることができる。特に、粘度調整、吐出特性、保湿機能の観点から、グリセリン、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−ヘキサンジオールの少なくとも1種を用いることがより好ましい。
インクジェット捺染用オーバーコート液への水溶性有機溶剤の添加量としては、コート液の粘度、目詰まりなどの吐出信頼性と、堅牢性の観点から決定されることが好ましく、1質量%以上20質量%以下の範囲であることが好ましく、5質量%以上18質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上18質量%以下であることがさらに好ましい。
<水>
インクジェット捺染用オーバーコート液に含まれる水としては、イオン交換水や蒸留水などの純水、超純水などが好ましい。水の含有量は、コート液中に、55質量%〜90質量%とすることが好ましい。
<その他の成分>
インクジェット捺染用オーバーコート液には、上記の成分に加え、任意に、表面張力調整剤(界面活性剤)、消泡剤、定着剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤などを適宜含有させることができる。
表面張力調整剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、または高分子系、シリコーン系、フッ素系の界面活性剤を使用できる。
<インクジェット捺染用オーバーコート液>
次に、本実施形態のインクジェット捺染用オーバーコート液の物性について説明する。
インクジェット捺染用オーバーコート液の表面張力は、顔料インクで印捺された布帛への浸透速度を制御するために調節する。上記コート液の表面張力は、25mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。上記コート液の表面張力が25mN/m未満であると、上記コート液の浸透速度が速くなり、布帛表面で樹脂の皮膜が形成されにくくなったり、顔料インクがにじむおそれがある。また、表面張力が60mN/mを超えた場合には、インクジェットヘッドでの、吐出安定性が低下するおそれがある。
インクジェット捺染用オーバーコート液の粘度は、適宜調節することができるが、たとえばコート液を安定して吐出するために、1mPa・s以上30mPa・s以下にすることが好ましい。この粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおけるインク粘度である。
インクジェット捺染用オーバーコート液は加熱により架橋反応が進行するものであることが好ましい。インクジェット捺染用オーバーコート液は90℃以上160℃以下で加熱することが好ましく、90℃以上160℃以下であることがより好ましく、90℃以上130℃以下であることがさらに好ましい。また、加熱時間は2分間以上5分間以下であることが好ましく、2分間以上4分間以下であることがより好ましい。
<インクジェット捺染用インクセット>
本実施形態のインクジェット捺染用オーバーコート液は、少なくとも1種の顔料インクと組み合わせて、インクジェット捺染用インクセットとして用いることが好ましい。顔料インクとセットで用いることで、顔料インクが塗布された布帛における印捺部の摩擦堅牢性を向上させることができる。
顔料インクは、顔料、水分散性樹脂、水溶性有機溶剤、界面活性剤、添加剤が含まれる。
顔料としては、黒色インク用として、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.(Colour Index Generic Name)ピグメントブラック7)類が特に好ましいが、銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料を用いることもできる。
また、カラーインク用の顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、93、94、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、153、155、180、185、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、202、206、209、219、C.I.ピグメントバイオレット19、23、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが使用できる。このように、色剤としては種々の顔料を用いることができる。
顔料の含有量(固形分量)は、使用する顔料の種類によっても異なるが、必要な発色を確保するなどの観点から、インク中に1質量%〜30質量%含まれていることが好ましく、2質量%〜15質量%であることがより好ましい。
水分散性樹脂、水溶性有機溶剤、および界面活性剤としては、上記インクジェット捺染用オーバーコート液に配合されるものと同様のものを使用することができる。
顔料インクの表面張力は、25mN/m以上40mN/m以下であることが好ましく、顔料インクの粘度は、1mPa・s以上30mPa・s以下であることが好ましい。
布帛に印捺された上記顔料インクは、含有される水分散性樹脂によってある程度の摩擦堅牢性を得ることができる。さらに、上記インクジェット捺染用オーバーコート液によって印捺部がコーティングされ、顔料の表面に強固な皮膜が形成されることで、摩擦堅牢性を一層向上させることができる。
<インクジェット捺染装置>
次に、本発明に係るインクジェット捺染用インクセットのコーティングに用いるインクジェット捺染装置について説明する。コーティングの対象として、布帛、人工皮革、天然皮革などが挙げられる。布帛は、主に綿が対象となるが、それ以外に、絹、羊毛、麻、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなどの任意の天然・合成繊維からなる布帛を用いることができる。
本実施形態に係るインクジェット捺染装置について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るインクジェット捺染装置の構成を示す概略側面図である。
図1に示した、インクジェット捺染装置10は、顔料インク用インクジェットヘッド3、オーバーコート液用インクジェットヘッド4、送りローラー1などを備えている。
送りローラー1は、コーティング対象としての布帛2を、ロール(図示せず)から引き出して搬送する機能を有している。布帛2が搬送される下流側には、捺染およびコーティングが施された布帛2を、巻取るための巻き取りローラー6が設けられている。送りローラー1と巻き取りローラー6との間には、布帛2と対向して顔料インク用インクジェットヘッド3と、オーバーコート液用インクジェットヘッド4とが設けられている。布帛2の搬送方向の上流側に、顔料インク用インクジェットヘッド3が配置され、下流側にオーバーコート液用インクジェットヘッド4が配置されている。
顔料インク用インクジェットヘッド3およびオーバーコート液用インクジェットヘッド4は、布帛2と対向する面に複数のノズル(図示せず)を備えている。これらのノズルからは、それぞれ対応する顔料インクやコート液が吐出される。そのため、上記ヘッドは、顔料インクやコート液の収納容器(図示せず)と配管によって接続されている。
また、顔料インク用インクジェットヘッド3およびオーバーコート液用インクジェットヘッド4は、それぞれキャリッジ(図示せず)に搭載されている。これらのキャリッジは、布帛2の幅方向(布帛2の搬送方向と略直交する方向)において、往復運動が可能である。これにより、顔料インク用インクジェットヘッド3およびオーバーコート液用インクジェットヘッド4は、布帛2の搬送方向および幅方向において、布帛2に対して相対的に走査が可能となっている。
オーバーコート液用インクジェットヘッド4に対して、布帛2の搬送方向のさらに下流側には、加熱ヒーター5が設けられている。加熱ヒーター5は、対向する布帛2を所定の温度に加熱する機能を有している。また、インクジェット捺染装置10には、上述した送りローラー1、巻き取りローラー6、顔料インク用インクジェットヘッド3、オーバーコート液用インクジェットヘッド4、加熱ヒーター5などの作動を制御する制御部(図示せず)や電源部(図示せず)などが備えられている。
<コーティング方法>
次に、インクジェット捺染装置10を用いたコーティング方法について説明する。本実施形態のコーティング方法は、インクジェット捺染用インクセットを布帛に塗布する塗布工程と、塗布工程の後に、布帛を加熱する加熱工程とを有している。
[インクジェット捺染用インクセットの塗布工程]
送りローラー1によって送り出された布帛2は、顔料インク用インクジェットヘッド3によって顔料インクが印捺される。次いで、オーバーコート液用インクジェットヘッド4によって、布帛2上の少なくともインクが印刷された領域(印捺部)にインクジェット捺染用オーバーコート液が塗布される。インクジェット捺染用オーバーコート液は印刷された領域を含む布帛2の全面に塗布してもよい。
顔料インクが捺染されたのち、オーバーコート液を塗布するタイミングは、送りローラーの速度や顔料インク用インクジェットヘッド3とオーバーコート液用インクジェットヘッド4の距離によっても調整することができる。
上記塗布工程において使用するインクジェットヘッドは、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。制御部が発するデジタル信号に基づいてインクジェットヘッドが駆動され、顔料インクおよびコート液の液滴が吐出されて、吐出された液滴を布帛2上に付着させるようにする。
ここで、コート液の塗布には、スクリーン法やパディング法などを用いてもよい。布帛2に塗布するコート液の量(塗布量)を、精密に制御するため、上述したインクジェットヘッド法またはスプレー法を用いることがより好ましい。インクジェット捺染用オーバーコート液の塗布量は、布帛2の単位面積あたり、1g/m2〜200g/m2であることが好ましく、5g/m2〜100g/m2であることがより好ましい。塗布量をこの範囲とすることで、堅牢性の向上と風合い低下の抑制とを両立することができる。
[布帛の加熱工程]
上記塗布工程を経た布帛2は、さらに搬送されて加熱ヒーター5によって、印捺部が加熱乾燥される。その後、巻き取りローラー6によって巻き取られる。
布帛2の加熱工程における加熱によって、布帛2が中心部まで熱せられ、インクジェット捺染用オーバーコート液に含まれる水分散性樹脂が布帛繊維に融着すると共に、水分が蒸発し、架橋性成分と水分散性樹脂との架橋反応が完了する。具体的な加熱温度は、90℃以上160℃以下であることが好ましく、90℃以上160℃以下であることがより好ましく、90℃以上130℃以下であることがさらに好ましい。加熱温度が低いほど布帛へのダメージが少ない点でも好ましい。なお、加熱温度は布帛の表面温度である。また、加熱時間が2分間以上5分間以下であることが好ましく、2分間以上4分間以下であることがより好ましい。これらにより、水分や水溶性有機溶剤の蒸発と水分散性樹脂の定着と架橋反応とが十分に進行し、強固な皮膜が形成される。
コーティング後におこなう加熱処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、ドライヤー、ヒートプレス法、常圧スチーム法、高圧スチーム法、およびサーモフィックス法が挙げられる。また、加熱ヒーター5の熱源としては、特に限定されないが、例えば赤外線(ランプ)が挙げられる。
以上述べたように、本実施形態に係るインクジェット捺染用オーバーコート液およびそのコーティング方法によれば、水溶性有機溶剤が水分子と水素結合を形成することで、水分の蒸発を抑制できる。そのため、ノズル内が保湿されて目詰まりや吐出不安定などが発生しにくくなる。また、架橋性成分によって水分散性樹脂の分子間が架橋され三次元の網目構造が形成された皮膜を形成できる。これによって、皮膜が強固になり、吐出信頼性を損なうことなく、堅牢性を確保することが可能となる。
以下に、本実施形態のコート液、インクセット、コーティング方法について、堅牢性、印字信頼性などを評価した実施例と比較例とを示し、本実施形態の効果をより具体的に説明する。なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えることが可能である。
<インクジェット捺染用オーバーコート液の調製>
表1および表2に示した配合(成分濃度で表示)となるように各成分を混合し、実施例および比較例のインクジェット捺染用オーバーコート液を調製した。実施例1〜実施例7および比較例1〜比較例6において使用した主な材料は、以下の通りである。なお、表1および表2において、表中の各成分に対応する数値の単位は、質量%である。定着樹脂は固形分換算の濃度を表す。
(1.定着樹脂)
タケラックWS−6021(商品名、三井化学社(Mitsui Chemicals、 Inc.)製、アニオン性のウレタン樹脂エマルション、引張り強度50MPa、伸び率750%、固形分30%)
(2.水溶性有機溶剤)
グリセリン(阪本薬品工業社(Sakamoto Yakuhin Kogyo Co., Ltd.)製)
トリエチレングリコール(関東化学社製)
ジエチレングリコール(関東化学社製)
プロピレングリコール(関東化学社製)
1,2−ヘキサンジオール(関東化学社製)
(3.架橋性成分)
MF−K60B(旭化成社製、ブロックイソシアネート系架橋剤)
カルボジライト V−02(日清紡社製、カルボジイミド系架橋剤)
Figure 2017149812
Figure 2017149812
ここで、実施例1のコート液は、水分散性樹脂としてタケラックW−6021を10質量%、水溶性有機溶剤としてグリセリンを1.5質量%、1,2−ヘキサンジオールを0.2質量%添加し、架橋性成分としてMF−K60Bを6.0質量%添加したものである。実施例2のコート液は、実施例1に対して水分散性樹脂の量を低減したものである。実施例3は、実施例2に対して水溶性有機溶剤を増加させたものである。実施例4は、実施例3に対して乾燥温度を下げたものである。実施例5は、実施例4に対して架橋性成分としてカルボジライトV−02を用いたものである。実施例6は、実施例4に対して乾燥温度を下げたものである。実施例7は、実施例6に対して水分散性樹脂の量を増加し、架橋性成分の量を低減したものである。実施例8は、実施例4に対して、タケラックWS−6021の量を低減し、MF−K60Bの量を増加させたものである。実施例9は、実施例6に対して、タケラックWS−6021およびMF−K60Bの量を増加させ、加熱温度(乾燥温度)を上げたものである。
また、比較例1のコート液は、水に水分散性樹脂を10質量%添加したものであり、水溶性有機溶剤や架橋性成分を含有していないものである。比較例2のコート液は、比較例1に対して水分散性樹脂を増加させたものである。比較例3のコート液は、比較例2のコート液に対して水溶性有機溶剤を添加したものである。比較例4のコート液は、比較例3のコート液に対して水溶性有機溶剤を低減し、乾燥温度を下げたものである。
<顔料(黒)インクの調製>
表3に示した配合(顔料濃度もしくは成分濃度で表示)となるように各成分を混合し、5μmのメンブレンフィルターで粗粒子を除去して、顔料インクを調製した。使用した主な材料としては、BONJET BLACK CW−2(商品名、オリヱント化学工業社製、顔料分散体、顔料濃度15%)、タケラックWS−6021(商品名、三井化学社(Mitsui Chemicals、 Inc.)製商品名、定着樹脂)、グリセリン(阪本薬品工業社(Sakamoto Yakuhin Kogyo Co., Ltd.)製、保湿剤)およびBYK−348(商品名、ビックケミー・ジャパン社(BYK Japan KK)製、ノニオン系界面活性剤)を用いた。なお、表中の数値の単位は、質量%である。
Figure 2017149812
<布帛のコーティング>
インクジェット捺染用オーバーコート液と顔料インクとを使用して、次のようにコーティング(印捺)を行った。
布帛としては、綿100%の平織り布を用いた。布帛に、インクジェットプリンター(セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製のPX−G930)を用いたインクジェット法により、上記顔料インクを印捺した。上記顔料インクの塗付条件(記録条件)として、記録解像度を1440dpi(dot per inch)×1440dpiとし、印捺サイズはA4サイズとし、ベタパターン画像を印捺した。
次に、顔料インクが印捺された布帛に対して塗布量が50g/m2となるように、インクジェットプリンター(セイコーエプソン社(Seiko Epson Corporation)製のPX−G930)を用いたインクジェット法により、各実施例および各比較例の、インクジェット捺染用オーバーコート液を塗布した。上記インクジェット捺染用オーバーコート液の塗付条件(記録条件)として、記録解像度を1440dpi×1440dpiとし、印捺サイズはA4サイズとし、ベタパターン画像を印捺した。その後、表1および表2に記載の加熱条件(温度および時間)で熱処理を行った。上記熱処理には、ベルトコンベア式乾燥機を用いた。
得られた布帛の堅牢性評価とインクジェット捺染用オーバーコート液の目詰まり評価とを、次のように行った。
<洗濯堅牢度>
洗濯堅牢度試験は、ISO 105−C06法に準拠して評価した。結果を表4および表5に示す。
◎:4−5級〜5級
○:3−4級〜4級
△:2−3級〜3級
×:2級以下
<摩擦堅牢度>
摩擦堅牢度試験は、乾摩擦はISO 105−X12に規定される乾燥試験、湿摩擦はISO 105−X12に規定される湿潤試験に準拠して評価した。結果を表4および表5に示す。
◎:4−5級〜5級
○:3−4級〜4級
△:2−3級〜3級
×:2級以下
<風合い>
各印捺された布帛の風合いは官能評価によりおこなった。具体的には、任意の5名の判定員に「布帛本来の手触性と遜色がない」と「捺染物がごわごわし、布帛本来の手触性が損なわれている」のいずれかで回答してもらい、下記基準により評価した。結果を表4および表5に示す。
◎:「布帛本来の手触性と遜色がない」と回答した判定員が4名以上
○:「布帛本来の手触性と遜色がない」と回答した判定員が3名
△:「布帛本来の手触性と遜色がない」と回答した判定員が1名以上3名未満
×:明らかに固くなっていて全員が「捺染物がごわごわし、布帛本来の手触性が損なわれている」と回答した。
<目詰まり>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製のPX−G930)を用いて評価をおこなった。調製した各実施例および各比較例のインクジェット捺染用オーバーコート液をヘッドに充填し、全てのノズルよりインクジェット捺染用オーバーコート液が正常に吐出していることを確認した。その後、インクジェットヘッドがプリンターに備えたノズルの乾燥を抑制するために備えられた、キャップがはずれた状態で、気温40℃湿度20%の下、1週間放置した。放置後に、再び全てのノズルよりインクジェット捺染用オーバーコート液が吐出するまでに要したクリーニングの回数を調べた。
評価基準は以下のとおりである。結果を表3に示す。
◎:すべてのノズルから正常に吐出された。もしくは、1回のクリーニングで回復した。
○:2〜5回のクリーニングで回復した。
△:6〜10回のクリーニングで回復した。
×:11回以上のクリーニングで回復した、もしくは回復しなかった。
Figure 2017149812
Figure 2017149812
以上の結果より、実施例1から実施例7のインクジェット捺染用オーバーコート液は、比較例1から比較例6のインクジェット捺染用オーバーコート液と比較して、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性、風合い、および目詰まりがともに優れていることが示された。
1…送りロール、2…布帛、3…顔料インク用インクジェットヘッド、4…オーバーコート液用インクジェットヘッド、5…加熱ヒーター、6…巻き取りローラー、10…インクジェット捺染装置。

Claims (9)

  1. 水分散性樹脂と、分子構造中に複数の水酸基を有する水溶性有機溶剤と、架橋性成分と、水とを含むインクジェット捺染用オーバーコート液。
  2. 前記水分散性樹脂の含有量は、オーバーコート液全量に対し5質量%以上20質量%以下である請求項1に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
  3. 前記架橋性成分は、ブロックイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物の少なくとも1種を含み、
    前記架橋性成分の添加量は、オーバーコート液全量に対し0.1質量%以上10質量%以下である請求項1または請求項2に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
  4. 前記架橋性成分における架橋反応開始温度が、90℃以上160℃以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
  5. 前記水溶性有機溶剤として、グリセリン、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−ヘキサンジオールの少なくとも1種を含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
  6. 前記水溶性有機溶剤の含有量は、オーバーコート液全量に対し1質量%以上20質量%以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
  7. 少なくとも1種の顔料インクと、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液と、を備えたインクジェット捺染用インクセット。
  8. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液と少なくとも1種の顔料インクとを塗布した布帛を加熱する加熱工程を有し、
    前記加熱工程における加熱条件が、90℃以上160℃以下であり、加熱時間が2分間以上5分間以下であるコーティング方法。
  9. 前記塗布において、インクジェット捺染用のオーバーコート液を、スプレー法または、インクジェット法によって塗布する、請求項8に記載のコーティング方法。
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