JP7220778B2 - インクジェット捺染用オーバーコート液、インクジェット捺染用インクセット及びインクジェット捺染方法 - Google Patents
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Description
<1>アニオン性ポリウレタンの粒子、ワックスの粒子、水溶性有機溶剤及び水を含有し、アニオン性ポリウレタンの粒子の含有量がオーバーコート液の全量に対して4質量%~20質量%であり、ワックスの粒子の含有量がオーバーコート液の全量に対して0.1質量%~3質量%であり、かつ、水溶性有機溶剤の含有量が、質量%を単位として下記式(1)を満たすインクジェット捺染用オーバーコート液。
0.7×A+0.8×B+C<20 ・・・(1)
A:オーバーコート液の全量に対する、沸点が200℃以下である水溶性有機溶剤の含有量
B:オーバーコート液の全量に対する、沸点が200℃より高く、250℃以下である水溶性有機溶剤の含有量
C:オーバーコート液の全量に対する、沸点が250℃より高い水溶性有機溶剤の含有量
<2>アニオン性ポリウレタンは、カルボキシ基を有する<1>に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
<3>アニオン性ポリウレタンは、カーボネート構造を有する<1>又は<2>に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
<4>ワックスは、ポリエチレンワックスである<1>~<3>のいずれか1つに記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
<5>水溶性有機溶剤は、グリコール類である<1>~<4>のいずれか1つに記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
<6>ワックスの粒子の含有量に対するアニオン性ポリウレタンの粒子の含有量の比率は、質量基準で2~50である<1>~<5>のいずれか1つに記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
<7>架橋剤をさらに含有する<1>~<6>のいずれか1つに記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
<8>架橋剤がブロックイソシアネートである<7>に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
<9>増粘剤として、重量平均分子量が4000以上であるポリエチレングリコール、又は、重量平均分子量が4000以上であるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとからなるブロックポリマーをさらに含有する<1>~<8>のいずれか1つに記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
<10>増粘剤の含有量は、オーバーコート液の全量に対して0.01質量%~2質量%である<9>に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
<11><1>~<10>のいずれか1つに記載のインクジェット捺染用オーバーコート液と、着色インクと、を備えるインクジェット捺染用インクセット。
<12>布帛上に着色インクをインクジェット記録方式で吐出する第1工程と、着色インクが吐出された布帛上に、<1>~<10>のいずれか1つに記載のインクジェット捺染用オーバーコート液をインクジェット記録方式で吐出する第2工程と、を有するインクジェット捺染方法。
<13>第2工程では、インクジェット捺染用オーバーコート液を、液タンクとインクジェットヘッドとの間でインクジェット捺染用オーバーコート液を循環させる液循環機構を有するインクジェット記録装置を用いて吐出する<12>に記載のインクジェット捺染方法。
<14>第2工程では、インクジェット捺染用オーバーコート液を、シングルパス方式で吐出する<12>又は<13>に記載のインクジェット捺染方法。
本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
また、本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
さらに、本明細書において、「工程」という語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
また、本明細書において、単に「摩擦堅牢度」と記載する場合には、乾摩擦堅牢度と湿摩擦堅牢度の両方を示すものとする。
本開示のインクジェット捺染用オーバーコート液(以下、単に「オーバーコート液」という)は、アニオン性ポリウレタンの粒子、ワックスの粒子、水溶性有機溶剤及び水を含有し、アニオン性ポリウレタンの粒子の含有量がオーバーコート液の全量に対して4質量%~20質量%であり、ワックスの粒子の含有量がオーバーコート液の全量に対して0.1質量%~3質量%であり、かつ、水溶性有機溶剤の含有量が、質量%を単位として下記式(1)を満たす。
0.7×A+0.8×B+C<20 ・・・(1)
A:オーバーコート液の全量に対する、沸点が200℃以下である水溶性有機溶剤の含有量
B:オーバーコート液の全量に対する、沸点が200℃より高く、250℃以下である水溶性有機溶剤の含有量
C:オーバーコート液の全量に対する、沸点が250℃より高い水溶性有機溶剤の含有量
本開示のオーバーコート液は、アニオン性ポリウレタンの粒子を含有する。アニオン性ポリウレタンとは、アニオン性基を有するポリウレタンのことである。アニオン性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基及びホスホン酸基が挙げられ、中でもカルボキシ基が好ましい。本開示において、アニオン性ポリウレタンは、自己乳化型であることが好ましい。「自己乳化型」とは、乳化剤を使用しなくても、ポリマー自身が有する官能基(本開示では、アニオン性基)によって、水性媒体中で分散状態となり得るものを意味する。
また、一般に、ポリウレタンは、原料として用いるポリオールの種類によって、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン等に分類される。ポリエーテル系ポリウレタンは、分子内にエーテル構造を有するポリウレタンであり、ポリエーテルポリオールを原料として用いることにより製造することができる。また、ポリエステル系ポリウレタンは、分子内にエステル構造を有するポリウレタンであり、ポリエステルポリオールを原料として用いることにより製造することができる。また、ポリカーボネート系ポリウレタンは、分子内にカーボネート構造を有するポリウレタンであり、ポリカーボネートポリオールを原料として用いることにより製造することができる。
本開示のオーバーコート液は、ワックスの粒子を含有する。本明細書において、ワックスとは、融点が170℃以下であるポリマーを意味する。融点は、示差走査熱量計(DSC:Differential scanning calorimetry)、例えば、示差走査熱量計(製品名「EXSTAR6220」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いた測定における吸熱ピークトップの温度を意味する。
本開示のオーバーコート液は、水溶性有機溶剤(以下、単に「有機溶剤」という)を含有する。「水溶性」とは、目的の有機溶剤を25℃の水100g中に溶解させた場合に、溶解量が100g以上であることを意味する。
0.7×A+0.8×B+C<20 ・・・(1)
A:オーバーコート液の全量に対する、沸点が200℃以下である有機溶剤の含有量(質量%)
B:オーバーコート液の全量に対する、沸点が200℃より高く、250℃以下である有機溶剤の含有量(質量%)
C:オーバーコート液の全量に対する、沸点が250℃より高い有機溶剤の含有量(質量%)
なお、沸点とは、1気圧(101325Pa)下における沸点を意味する。
本開示のオーバーコート液は、有機溶剤の含有量が式(1)を満たすため、摩擦堅牢度が高い。
本開示のオーバーコート液は、水を含有する。水の含有量は、オーバーコート液の全量に対して30質量%~80質量%であることが好ましく、より好ましくは40質量%~60質量%である。
本開示のオーバーコート液は、さらに架橋剤を含有してもよい。架橋剤によって、アニオン性ポリウレタン同士が架橋構造を形成し、オーバーコート液からなる膜がより強固となるため、摩擦堅牢度が向上する。架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本開示のオーバーコート液は、さらに増粘剤を含有してもよい。増粘剤を適量含有させると、オーバーコート液の粘度が適度に上昇し、吐出性が向上する。
本開示のオーバーコート液は、必要に応じ、本開示の効果を損なわない範囲で、さらに添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、界面活性剤、pH調整剤及び防腐剤が挙げられる。
上記オーバーコート液は、着色インクと組み合わせてインクセットとすることができる。本開示のインクジェット捺染用インクセットは、上記オーバーコート液と着色インクとを備える。着色インクとは、着色剤を含むインクを意味する。着色剤としては、染料及び顔料が挙げられ、耐熱性、耐光性、耐水性等の耐久性の観点からは、顔料であることが好ましい。
本開示のインクジェット捺染方法は、布帛上に着色インクをインクジェット記録方式で吐出する第1工程と、着色インクが吐出された布帛上に、オーバーコート液をインクジェット記録方式で吐出する第2工程と、を有する。着色インク及びオーバーコート液は、上記のものを用いることができる。第2工程は、第1工程の0.1秒~120秒後に行われることが好ましい。
本開示のインクジェット捺染方法における第2工程は、着色インクが吐出された布帛上に、オーバーコート液をインクジェット記録方式で吐出する工程である。
本開示のインクジェット捺染方法における第1工程は、布帛上に着色インクをインクジェット記録方式で吐出する工程である。
本開示のインクジェット捺染方法で用いられるインクジェット記録装置は、布帛を搬送する搬送手段と、搬送された布帛に画像記録する画像記録手段と、画像記録された布帛にオーバーコート液を付与するオーバーコート液付与手段と、布帛を巻き取る巻取手段を有していることが好ましく、さらに布帛を乾燥させる乾燥手段を有していることが好ましい。搬送手段、画像記録手段、オーバーコート液付与手段及び巻取手段を有するインクジェット記録装置を用いることにより、長尺状の布帛を連続的に捺染することができる。インクジェット記録装置には、画像記録手段及びオーバーコート液付与手段として、例えば、インクジェットヘッドが設けられる。搬送手段として、例えば、搬送方向におけるインクジェットヘッドの上流側と下流側それぞれに、送りローラと、送りローラと対をなす押さえローラが設けられる。布帛は、送りローラと押さえローラとの間に挟まれ、送りローラを回転させると搬送される。画像記録され、オーバーコート液が付与された布帛は、画像記録面側が、搬送方向におけるインクジェットヘッドの下流側に設けられている押さえローラと最初に接触する。このとき、画像記録面が着色インク及びオーバーコート液で濡れた状態にあると、着色インク及びオーバーコート液からなる膜の一部が剥がれ、押さえローラに色移りする場合がある。押さえローラが汚染された状態で、布帛を搬送し続けると、後から搬送されてきた布帛に色移りする可能性がある。本開示では、オーバーコート液に含まれる水溶性有機溶剤の含有量が式(1)を満たすため、乾燥性に優れている。このため、押さえローラを汚染することなく、長尺状の布帛を連続して長時間捺染することができる。
[黒色インクの調製]
下記の含有量になるように各成分を混合した。プラスチック製のディスポーザブルシリンジに混合物を詰め、孔径が5μmのPVDF(ポリフッ化ビニリデン)製のフィルター(Millex-SV、直径25mm、ミリポア社製)で濾過し、顔料濃度が4質量%である黒色インクを調製した。
・ブラック顔料分散液(製品名「Projet(登録商標)Black APD1000」、FUJIFILM Imaging Colorants社製、顔料濃度14質量%) ・・・4質量%
・グリセリン ・・・15質量%
・トリエチレングリコール ・・・10質量%
・界面活性剤(製品名「オルフィンE1010」、日信化学社製)
・・・ 1質量%
・スチレンブタジエン共重合体の水分散液(製品名「 Rovene4170」、Mallard Creek Polymers社製、平均粒子径:0.14μm) ・・・6質量%
・水 ・・・インクの全量を100質量%とした場合の残分(質量%)
下記の含有量になるように各成分を混合し、オーバーコート液を調製した。
・カーボネート構造を有するカルボキシ基含有アニオン性ポリウレタンの水分散液(製品名「スーパーフレックス460」、第一工業製薬社製、平均粒子径:0.04μm) ・・・7.5質量%
・ポリエチレンワックスの水分散液(製品名「ハイテックE-6314」、東邦化学工業社製、平均粒子径:0.1μm) ・・・1質量%
・有機溶剤C:トリエチレングリコール(沸点:287℃)
・・・15質量%
・架橋剤(ブロックイソシアネート):ブロック型ヘキサメチレンジイソシアネートの水分散液(製品名「メイカネートCX」、明成化学工業社製、平均粒子径:0.15μm) ・・・2質量%
・界面活性剤(製品名「オルフィンE1010」、日信化学社製)
・・・1質量%
・水・・・オーバーコート液の全量を100質量%とした場合の残分(質量%)
インクジェット記録装置として、インクジェットヘッド(製品名「StarFire SG-1024SA」、Fujifilm Dimatix社製)及びインク循環ポンプを搭載した装置を準備した。記録媒体として長尺状の綿100%の布(製品名「コットンD5005」、赤堀産業社製)をステージ上に固定した。インクジェットヘッドに連結する2つのインクタンクにオーバーコート液及び黒色インクを個別に充填した。インクジェットヘッドを、ステージの移動方向と直交する方向に対してノズルが並ぶようライン状に配置した。黒色インク及びオーバーコート液の吐出条件は、打滴量を40pLとし、吐出周波数を10kHzとし、解像度を400dpi×400dpiとした。オーバーコート液及び黒色インクがそれぞれ、インクタンクとインクジェットヘッドの間で循環するよう、インク循環ポンプを作動させた。まず、記録媒体の全面に黒色インクを吐出し、ベタ画像を記録した。続けて、記録媒体の全面にオーバーコート液を吐出した。その後、画像記録面を、ヒートプレスを用いて160℃で120秒間乾燥させ、画像記録された記録媒体をロール状に巻き取り、画像記録サンプルを得た。なお、画像記録された記録媒体を、送りローラと押さえローラとの対ローラ間に搬送し巻き取るようにしたが、押さえローラへの色移りは確認されなかった。
実施例1のオーバーコート液における水溶性有機溶剤の種類及び含有量を下記のように変更し、さらに増粘剤を追加したこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
・有機溶剤A:プロピレングリコール(沸点:188℃)・・・5質量%
・有機溶剤C:トリエチレングリコール(沸点:287℃)
・・・10質量%
・増粘剤:ポリエチレングリコール(製品名「ポリエチレングリコール20000」、富士フイルム和光純薬社製、重量平均分子量:20000) ・・・1質量%
実施例1のオーバーコート液における水溶性有機溶剤を下記のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
・有機溶剤C:テトラエチレングリコール(沸点:314℃)
実施例2のオーバーコート液における水溶性有機溶剤の種類及び含有量を下記のように変更したこと以外は、実施例2と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
・有機溶剤A:プロピレングリコール(沸点:188℃)・・・5質量%
・有機溶剤B:ジプロピレングリコール(沸点:231℃)
・・・5質量%
・有機溶剤C:トリエチレングリコール(沸点:287℃)
・・・5質量%
実施例2のオーバーコート液における水溶性有機溶剤の種類及び含有量を下記のように変更したこと以外は、実施例2と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
・有機溶剤A:プロピレングリコール(沸点:188℃)
・・・25質量%
実施例2と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。実施例1の画像記録で用いたインクジェット記録装置を、インク循環ポンプを停止させた状態で使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
実施例1のオーバーコート液におけるワックスの粒子の含有量を1質量%から0.2質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
実施例3のオーバーコート液におけるワックスの粒子の含有量を1質量%から2.5質量%に変更したこと以外は、実施例3と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
実施例1のオーバーコート液におけるアニオン性ポリウレタンの粒子の含有量を7.5質量%から4.5質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
実施例1のオーバーコート液におけるアニオン性ポリウレタンの粒子の含有量を7.5質量%から18質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
実施例1のオーバーコート液におけるワックスの水分散液を下記のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
・カルナバワックスの水分散液(製品名「セロゾール524」、中京油脂社製、平均粒子径:0.05μm)
実施例1のオーバーコート液における架橋剤を含有させなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
実施例1のオーバーコート液におけるアニオン性ポリウレタンの水分散液を下記のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
・エステル構造を有するカルボキシ基含有アニオン性ポリウレタンの水分散液(製品名「スーパーフレックス740」、第一工業製薬社製、平均粒子径:0.20μm)
実施例1のオーバーコート液におけるアニオン性ポリウレタンの水分散液を下記のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
・エーテル構造を有するカルボキシ基含有アニオン性ポリウレタンの水分散液(製品名「スーパーフレックス870」、第一工業製薬社製、平均粒子径:0.03μm)
実施例2のオーバーコート液における水溶性有機溶剤の種類及び含有量を下記のように変更したこと以外は、実施例2と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
・有機溶剤A:プロピレングリコール(沸点:188℃)・・・5質量%
・有機溶剤B:2-ピロリドン(沸点:245℃) ・・・5質量%
・有機溶剤C:トリエチレングリコール(沸点:287℃) ・・・5質量%
実施例2のオーバーコート液における水溶性有機溶剤の種類及び含有量を下記のように変更したこと以外は、実施例2と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
・有機溶剤A:プロピレングリコール(沸点:188℃)・・・5質量%
・有機溶剤B:ジプロピレングリコール(沸点:231℃)・・・7質量%
・有機溶剤C:トリエチレングリコール(沸点:287℃)・・・10質量%
実施例2のオーバーコート液における水溶性有機溶剤の種類及び含有量を下記のように変更したこと以外は、実施例2と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
・有機溶剤A:エチレングリコール(沸点:198℃)・・・25質量%
実施例2のオーバーコート液における水溶性有機溶剤の種類及び含有量を下記のように変更したこと以外は、実施例2と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
・有機溶剤A:プロピレングリコール(沸点:188℃) ・・・5質量%
・有機溶剤B:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGmBE)(沸点:230℃) ・・・7質量%
・有機溶剤C:トリエチレングリコール(沸点:287℃)
・・・10質量%
実施例1における架橋剤を下記のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
・架橋剤(多官能エポキシ樹脂):トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(製品名「デコナールEX-321」、ナガセケムテックス社製)
実施例1のオーバーコート液に、さらに増粘剤を追加したこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
・増粘剤:ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとからなるブロックポリマー(製品名「ニューポールPE-75」、三洋化成工業社製、重量平均分子量:4100、ポリオキシエチレン鎖:ポリオキシプロピレン鎖=48:35) ・・・2質量%
オーバーコート液を調製せず、実施例1と同様の方法で黒色インクのみを調製した。実施例1と同様の方法で黒色インクを吐出して画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
実施例2のオーバーコート液におけるアニオン性ポリウレタンの水分散液を下記のものに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
・スチレンブタジエン共重合体の水分散液(製品名「Rovene4170」、Mallard Creek Polymers社製)
比較例2のオーバーコート液におけるスチレンブタジエン共重合体の粒子の含有量を7.5質量%から15質量%に変更したこと以外は、比較例2と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
実施例2のオーバーコート液におけるアニオン性ポリウレタンの水分散液を下記のものに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
・カーボネート構造を有するカチオン性ポリウレタンの水分散液(製品名「スーパーフレックス650」、第一工業製薬社製)
実施例1のオーバーコート液におけるトリエチレングリコールの含有量を15質量%から25質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1の画像記録で用いたインクジェット記録装置を、インク循環ポンプを停止させた状態で使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
比較例5と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
実施例1のオーバーコート液におけるアニオン性ポリウレタンの粒子の含有量を7.5質量%から23質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
実施例1のオーバーコート液におけるワックスの粒子を含有させなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
実施例1のオーバーコート液におけるワックスの粒子の含有量を1質量%から3.5質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
実施例1のオーバーコート液におけるアニオン性ポリウレタンの粒子の含有量を7.5質量%から3質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
実施例1のオーバーコート液におけるワックスの粒子の含有量を1質量%から0.05質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でオーバーコート液を調製し、実施例1と同様の方法で黒色インクを調製した。また、実施例1と同様の方法で画像記録を行い、画像記録サンプルを得た。
各画像記録サンプルについて、ISO 105-X12:2001に規定されている乾燥試験の方法を用いて、乾摩擦堅牢度を判定した。評価基準は以下のとおりである。AA、A及びBの評価は、実用上問題ないレベルである。
AA:Grade4、Grade4-5又はGrade5
A:Grade3-4
B:Grade2-3又はGrade3
C:Grade2
D:Grade1又はGrade1-2
各画像記録サンプルについて、ISO 105-X12:2001に規定されている湿潤試験の方法を用いて、湿摩擦堅牢度を判定した。評価基準は以下のとおりである。AA、A及びBの評価は、実用上問題ないレベルである。
AA: Grade3、Grade3-4、Grade4、Grade4-5又はGrade5
A:Grade2-3
B:Grade2
C:Grade1-2
D:Grade1
各画像記録サンプルの風合いについて、官能評価を行った。具体的に、画像記録サンプルと画像記録を行っていない布を手で触り、画像記録を行っていない布と比較した画像記録サンプルの触り心地に基づいて風合いを評価した。評価基準は以下のとおりである。A及びBの評価は、実用上問題ないレベルである。
A:触り心地に差が感じられない。
B:画像記録を行っていない布と比較して画像記録サンプルの方がやや硬い。
C:画像記録を行っていない布と比較して画像記録サンプルの方が硬い。
D:画像記録を行っていない布と比較して画像記録サンプルの方が明らかに硬い。
各画像記録サンプルについて、濃度計(製品名「X-Rite eXactアドバンス」、X-Rite社製)を用いて、光源をD50に設定し、濃度測定を5回測定し、Kの値の平均値を算出した。平均した得られた平均値をOD(Optical Density)値として、画像濃度を評価した。評価基準は以下のとおりである。A及びBの評価は、実用上問題ないレベルである。
A:OD値が1.25以上である。
B:OD値が1.20以上1.25未満である。
C:OD値が1.15以上1.20未満である。
D:OD値が1.15未満である。
調製直後のオーバーコート液と、加速試験後のオーバーコート液の粘度を比較することにより、保存安定性を評価した。具体的な方法は以下のとおりである。
振動式粘度計(製品名「DV-II+VISCOMETER」、BROOKFIELD社製)を用いて、32℃、相対湿度50%の環境下で、調製直後のオーバーコート液の粘度を測定した。粘度測定において、コーン直径が35mmのコーンプレートを用い、トルクが20%~90%の範囲にあり、かつ、回転数が0.5rpm~100rpmの範囲にあるデータの平均値を測定値とした。次に、オーバーコート液の一部をガラス製サンプル瓶に入れ、密閉した状態で60℃の環境下で2週間放置するという加速試験を行った。加速試験後のオーバーコート液について、調製直後のオーバーコート液と同様の方法で粘度を測定した。また、このとき、加速試験後のオーバーコート液の状態を目視で観察し、析出物の有無を確認した。調製直後のオーバーコート液の粘度を「粘度1」とし、加速試験後のオーバーコート液の粘度を「粘度2」とし、粘度の変動率{(粘度2/粘度1)×100-100}を算出した。粘度の変動率、及び加速試験後のオーバーコート液における析出物の有無に基づいて、保存安定性を評価した。評価基準は以下のとおりである。A及びBの評価は、実用上問題ないレベルである。
A:粘度の変動率が±15%未満であり、かつ、析出物が確認されなかった。
B:粘度の変動率が±15%以上±30%未満であり、かつ、析出物が確認されなかった。
C:粘度の変動率が±15%未満であり、かつ、析出物が確認された。
D:粘度の変動率が±15%以上であり、かつ、析出物が確認された。
Claims (14)
- アニオン性ポリウレタンの粒子、ワックスの粒子、水溶性有機溶剤及び水を含有し、
前記アニオン性ポリウレタンの粒子の含有量がオーバーコート液の全量に対して4質量%~20質量%であり、
前記ワックスの粒子の含有量がオーバーコート液の全量に対して0.1質量%~3質量%であり、
前記水溶性有機溶剤の含有量が、質量%を単位として下記式(1)を満たし、
前記ワックスの粒子の含有量に対する前記アニオン性ポリウレタンの粒子の含有量の比率が、質量基準で5~30である、インクジェット捺染用オーバーコート液。
0.7×A+0.8×B+C<20 ・・・(1)
A:オーバーコート液の全量に対する、沸点が200℃以下である水溶性有機溶剤の含有量
B:オーバーコート液の全量に対する、沸点が200℃より高く、250℃以下である水溶性有機溶剤の含有量
C:オーバーコート液の全量に対する、沸点が250℃より高い水溶性有機溶剤の含有量 - 前記アニオン性ポリウレタンは、カルボキシ基を有する請求項1に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
- 前記アニオン性ポリウレタンは、カーボネート構造を有する請求項1又は請求項2に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
- 前記ワックスは、ポリエチレンワックスである請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
- 前記水溶性有機溶剤は、グリコール化合物である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
- 前記ワックスの粒子の含有量に対する前記アニオン性ポリウレタンの粒子の含有量の比率は、質量基準で2~50である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
- 架橋剤をさらに含有する請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
- 前記架橋剤がブロックイソシアネートである請求項7に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
- 増粘剤として、重量平均分子量が4000以上であるポリエチレングリコール、又は、重量平均分子量が4000以上であるポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとからなるブロックポリマーをさらに含有する請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
- 前記増粘剤の含有量は、オーバーコート液の全量に対して0.01質量%~2質量%である請求項9に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液。
- 請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液と、着色インクと、を備えるインクジェット捺染用インクセット。
- 布帛上に着色インクをインクジェット記録方式で吐出する第1工程と、
前記着色インクが吐出された布帛上に、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用オーバーコート液をインクジェット記録方式で吐出する第2工程と、
を有するインクジェット捺染方法。 - 前記第2工程では、前記インクジェット捺染用オーバーコート液を、液タンクとインクジェットヘッドとの間で前記インクジェット捺染用オーバーコート液を循環させる液循環機構を有するインクジェット記録装置を用いて吐出する請求項12に記載のインクジェット捺染方法。
- 前記第2工程では、前記インクジェット捺染用オーバーコート液を、シングルパス方式で吐出する請求項12又は請求項13に記載のインクジェット捺染方法。
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