JP2017149170A - 自動車の制動装置 - Google Patents

自動車の制動装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2017149170A
JP2017149170A JP2016030712A JP2016030712A JP2017149170A JP 2017149170 A JP2017149170 A JP 2017149170A JP 2016030712 A JP2016030712 A JP 2016030712A JP 2016030712 A JP2016030712 A JP 2016030712A JP 2017149170 A JP2017149170 A JP 2017149170A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
braking
brake pedal
emergency
characteristic
braking characteristic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016030712A
Other languages
English (en)
Inventor
公平 松元
Kohei Matsumoto
公平 松元
啓太 立石
Keita Tateishi
啓太 立石
史学 後藤
Fumisato Goto
史学 後藤
広泰 大西
Hiroyasu Onishi
広泰 大西
孝江 大塚
Takae Otsuka
孝江 大塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2016030712A priority Critical patent/JP2017149170A/ja
Publication of JP2017149170A publication Critical patent/JP2017149170A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Braking Elements And Transmission Devices (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)

Abstract

【課題】補助ブレーキペダルによる制動特性を、主ブレーキペダルによる制動特性に対して、非緊急のサポート時は生徒に不快感を与える急制動を防止するよう緩やかにしつつ、緊急時は素早く強力にするという背反的な特性の操作を、教官の意図によって素早く容易に行えるようにすること。【解決手段】主ブレーキペダル2の操作とは独立して制動力を作用可能に接続された補助ブレーキペダル3の操作量に関する情報を取得する操作量情報取得手段5,6と、該操作量情報5,6に基づいて緊急状態または非緊急状態を判定する判定手段7と、判定結果に応じて、補助ブレーキペダル3の制動特性を緊急状態の緊急制動特性および該緊急制動特性よりも制動初期領域の制動力が低い非緊急状態の非緊急制動特性のうち、いずれかに変更する制動特性変更手段7,8,15と、が設けられた。【選択図】図1

Description

この発明は、運転席側の主ブレーキペダルと助手席側の補助ブレーキペダルとを備えた自動車の制動装置に関する。
従来の補助ブレーキペダルを備えた自動車の制動装置としては、主ブレーキペダル側と補助ブレーキペダル側とをワイヤやリンク等で連結して、補助ブレーキペダル側の踏力を主ブレーキペダル側に伝達可能に構成したものが知られている。
この種の自動車の制動装置は、例えば、運転者によるブレーキ操作が遅れたり、制動力が不足する場合に、補助ブレーキペダルを踏み込むことで主ブレーキペダルを作動させ、運転者のブレーキ操作を補助するものであった。
しかし、補助ブレーキペダルの踏み込みに応じて主ブレーキペダルの踏力に対する反力が変動するため、補助ブレーキによって主ブレーキペダルの操作を補助しているときと、していないときとで運転者による主ブレーキペダルの操作感にずれが生じ、運転者が違和感を持つおそれがあった。
ところで、自動車の制動装置には、主ブレーキペダルに接続されたマスタシリンダと各車輪のホイールシリンダとの間にハイドロ/ユニット(H/U)を介在させ、該ハイドロ/ユニットに備えた制動力調整装置(ハイドロユニットコントローラ)によって、主ブレーキペダルの操作に拘わらず、主ブレーキペダルとは独立して車輪に対して制動力を制御できるようにしたものが知られている。
このような制動力調整装置により、近年では例えば、車両に設けられた各種センサから入力される信号に基づいて、回生協調ブレーキ制御システム、ブレーキ時の車輪ロックを防ぐABS(Antilock Brake System)、加速時などの車輪空転を防ぐTCS(Traction
Control System)、車が横滑りなどの不安定な状態になることを防ぐESC(Electric
Stability Control System)といったシステムが達成されている。
そこで、下記特許文献1に例示されるように、補助ブレーキペダルを、上述したリンクやワイヤ等を用いて主ブレーキペダルと連結せずに、ハイドロ/ユニット(H/U)側に主ブレーキペダルを介さずに接続することが考えられる。
特許文献1の車両用ブレーキシステムは、運転者側ブレーキペダル(主ブレーキペダル)の操作を介さずに助手席側ブレーキペダル(補助ブレーキペダル)の操作によって直接、制動力を作用させることができるものである。
さらに特許文献1の車両用ブレーキシステムは、主ブレーキペダル側に対する補助ブレーキペダル側の踏力に基づく制動力の影響度をあらわす最終アシスト係数を自動又は手動で変更し、非緊急時の補助ブレーキ操作によるサポート時に運転者に違和感や不満を与える急制動(所謂かっくんブレーキ)を防止することができるものである。
しかしながら補助ブレーキペダルは、運転者側による主ブレーキ操作の様子を見てから踏み込まれることが多いことから助手席側の乗員は、補助ブレーキぺダルを踏み込むタイミングが遅れがちとなる。しかも緊急時等においては、補助ブレーキペダル操作に基づく制動力を、助手席側の乗員の意図により素早く強力に作用させることが望ましいが、特許文献1の車両用ブレーキシステムの場合、助手席側の乗員の意図によって補助ブレーキペダルによる制動サポートを素早く行うという思想については見受けられず、さらなる検討の余地があった。
特開2009−298242号公報
そこでこの発明は、補助ブレーキペダルによる制動特性を、主ブレーキペダルによる制動特性に対して、非緊急のサポート時は生徒(教習生)に不快感を与える急制動(所謂かっくんブレーキ)を防止するよう緩やかにしつつ、緊急時は素早く強力にするという背反的な特性の操作を、教官の意図によって素早く容易に行えるようにすることを目的とする。
この発明の自動車の制動装置は、運転席側に設けられた主ブレーキペダルと、該主ブレーキペダルの操作により制動力を調節する制動力調整装置と、助手席側に設けられ、前記主ブレーキペダルの操作とは独立して該制動力調整装置に制御可能に接続された補助ブレーキペダルとを備えた自動車の制動装置において、前記補助ブレーキペダルの操作量に関する情報を取得する操作量情報取得手段と、該操作量情報に基づいて緊急状態または非緊急状態を判定する判定手段と、判定結果に応じて、前記補助ブレーキペダルの制動特性を前記緊急状態の緊急制動特性および該緊急制動特性よりも制動初期領域の制動力が低い前記非緊急状態の非緊急制動特性のうち、いずれかに変更する制動特性変更手段と、が設けられたものである。
上記構成によれば、運転者にとって不快な補助ブレーキペダルによる急制動を抑制しつつ補助ブレーキによって素早く緊急制動することができる。
なお、前記判定手段は、操作量情報取得手段により取得した補助ブレーキペダルの操作量に関する操作量情報のみに基づいて判定するに限らず、例えば、運転者の緊張度(発汗具合、瞳孔の開き具合)など他の情報を基に判定することを排除しない。
この発明の態様として、前記操作量は、補助ブレーキペダルの踏込速度であり、前記非緊急状態は、前記補助ブレーキペダルの踏込速度が所定値未満の状態とすることができる。
上記構成によれば、前記補助ブレーキペダルのみで素早く制動特性を調整することができる。
またこの発明の態様として、前記操作量は、補助ブレーキペダルのストローク又は踏力であり、前記非緊急状態は、前記補助ブレーキペダルのストローク又は踏力が所定値未満の状態とすることができる。
上記構成によれば、前記補助ブレーキペダルのみで素早く制動特性を調整することができる。しかも、非緊急状態においては、補助ブレーキペダルによる急性動を抑制したブレーキ操作を行うことができる。
またこの発明の態様として、前記緊急制動特性から前記非緊急制動特性への移行特性が、該非緊急制動特性から該緊急制動特性への移行特性より緩やかな特性とすることができる。
上記構成によれば、補助制動特性が、非緊急制動特性から緊急制動特性へ移行時に又は緊急制動特性に達した後に補助ブレーキペダルの踏み戻し操作時に補助ブレーキペダルの踏力に対して作用する制動力が一気に低くなることを防ぐことができ、助手席側の乗員が違和感(所謂すっぽぬけ感)を抱くことを解消できる。
この発明によれば、補助ブレーキペダルによる制動特性を、主ブレーキペダルによる制動特性に対して、非緊急のサポート時は生徒に不快感を与える急制動(所謂かっくんブレーキ)を防止するよう緩やかにしつつ、緊急時は素早く強力にするという背反的な特性の操作を、教官の意図によって素早く容易に行うことができる。
本発明の実施形態の制動装置の概略構成図 第1実施形態におけるペダル踏力とブレーキ液圧との関係を示すマップ図 補助ブレーキの作動シーンを分類するテーブルの一例を示す図 第1実施形態の制動装置の判定テーブルの一例を示す図 第1実施形態の制動装置の実施例を示すフローチャート 第2実施形態におけるペダル踏力とブレーキ液圧との関係を示すマップ図 第2実施形態の制動装置の実施例を示すフローチャート 第3実施形態の制動装置の判定テーブルの一例を示す図 第3実施形態におけるペダル踏力とブレーキ液圧との関係を示すマップ図 第3実施形態の制動装置の実施例を示すフローチャート 図10中のステップ3の判定処理を示すフローチャート 第3実施形態の制動装置の他の実施例を示すフローチャート
この発明の実施の形態による制動装置1を、運転教習用の四輪自動車(教習車)に搭載した一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
(第1実施形態)
図1ないし図5は、この発明の第1実施形態に関し、図1は第1実施形態の制動装置の概略構成図、図2は第1実施形態におけるペダル踏力とブレーキ液圧との関係を示すマップ図、図3は補助ブレーキの作動シーンを分類するテーブルの一例を示す図、図4は第1実施形態の制動装置の判定テーブルの一例を示す図であり、図4(a)は補助ブレーキペダルの踏込速度(ストローク速度)に応じた制動特性を判定する判定テーブル、図4(b)は補助ブレーキペダルの踏力に応じた制動特性を判定する判定テーブル、図5は第1実施形態の制動装置の実施例を示すフローチャートを示す。
制動装置1には、図1に示すように、車両のブレーキ操作時に運転者(主に生徒)によって踏込み操作される主ブレーキペダル2と、車両のブレーキ操作時に助手席側の乗員(主に教官)によって踏込み操作される補助ブレーキペダル3と、これらブレーキペダル操作量としての踏力を検出する踏力検出センサ5(5a,5b)と、ブレーキペダル操作量としての踏込量(ストローク)を検出するストローク検出センサ6(6a,6b)と、ECU7(Electronic Control Unit)と、ブレーキアクチュエータ8と、液圧制御装置15と、不図示の各種車輪に対応して設けられたブレーキ手段16FL,16RR,16FR,16RLと、上記踏力検出センサ5およびストローク検出センサ6以外の各種センサとしてアクセルペダル4の開度を検出するアクセル開度センサ17、車速センサ21、シフトレバーポジション検出センサ22(シフトレバーP検出センサ)およびイグニッションスイッチON/OFF検出センサ23(IGセンサ)等を備えている。
主ブレーキペダル2は、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルの運転席側の足元の位置に設けられ、補助ブレーキペダル3は、ダッシュパネルの助手席側の足元の位置に設けられている。
踏力検出センサ5およびストローク検出センサ6は、主ブレーキペダル2と補助ブレーキペダル3との夫々の側に設けられ、対応するブレーキペダル2又は3の操作量として踏力および踏込量(ストローク)を検出するとともに必要に応じて踏込み操作の有無を検出する構成としている。
主ブレーキペダル2側の踏力検出センサ5aおよびストローク検出センサ6aと補助ブレーキペダル3側の踏力検出センサ5aおよびストローク検出センサ6aとは、同様の構成であるため、特に示す場合を除いて主ブレーキペダル2側の踏力検出センサ5aおよびストローク検出センサ6aに基づいて説明する。
この踏力検出センサ5には主ブレーキペダル2の踏み込に応じて撓み変形するスプリング5sが内蔵されており、スプリング5sの撓み量に基づいてペダル操作量として、例えばペダル踏力や踏込量(ストローク)を検出できるようになっており、検出したペダル操作量に関する信号がECU7へ送信される。すなわち、主ブレーキペダル2側に設けた踏力検出センサ5aと補助ブレーキペダル3側に設けた踏力検出センサ5bとは、独立してペダル操作量に基づく電気信号をECU7に対して出力可能に構成している。
さらに、主ブレーキペダル2の踏み込みが成されると、スプリング5sからの付勢力によってペダル操作量に応じた反力とストロークが主ブレーキペダル2に加えられるようになっている。
ストローク検出センサ6は、主ブレーキペダル2の回転時(搖動時)の抵抗に基づいて踏込角度(回転角度)を検出するポテンショメータや、パルスに基づいて踏込角度を検出するエンコーダなどの角度検出センサで構成している。
また、アクセル開度センサ17についても、ストローク検出センサ6と同様に角度検出センサで構成し、アクセル開度を検出可能としている。
車速センサ21は、本実施例においては車輪の回転数を検出可能に車輪ごとに備えた回転数センサ21a(車輪速センサ)であり、該回転数センサ21aにより検出した車輪ごとの回転数の平均値出に基づいて車両の走行速度情報を取得している。
ECU7は、入出力部などが搭載されたHBコントローラであり、図示しないが、電子回路基板にCPU(Central Processing Unit)、該CPUの指令により実行される各種プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備え、CPUがROMに記憶された制御プログラムを読み出してRAMに展開し、各種処理を実行する。
ECU7は、上述した踏力検出センサ5、ストローク検出センサ6、車速センサ21およびアクセル開度センサ17以外にもシフトレバーポジション検出センサ22およびイグニッションスイッチON/OFF検出センサ23にも電気的に接続され、ペダル踏力、踏込量、車速およびアクセル開度以外にもシフトレバーポジション、イグニッションスイッチのON/OFF状態などの情報を取得するように構成している。
なお、これら検出信号は、制動装置1に備えたECU7に直接入力する構成に限らず、図示しないエンジンECU等の他のECUを介して制動装置1に備えたECU7(ブレーキECU7)に入力する構成としてもよい。また、本実施例においてはECU7は、車速センサ21で検出した車速に基づいて(車速を微分することにより)車両の加速度情報を取得可能に構成している。但し、車両の加速度情報はこのような取得方法に限らず、車両に加速度センサを備え、該加速度センサの検出信号に基づいて取得してもよい。
上述により、ECU7は、上述した各種センサからの取得情報に基づいて、液圧制御装置15に備えた図示省略する各バルブの開閉制御やブレーキアクチュエータ8に備えたポンプ用モータ12の制御を行う。
さらにECU7は、主ブレーキペダル2の踏力(踏込み力)に対して車両に作用させるべき制動力に対応するブレーキ液圧(油圧)を図2に例示するマップから導出する。またECU7は、主ブレーキペダル2の踏込みとは独立して補助ブレーキペダル3の踏力(踏込み力)に対して車両に作用させるべき制動力に対応するブレーキ液圧を図2に例示するマップから導出する。そしてECU7は、主ブレーキペダル2と補助ブレーキペダル3とに基づく制動力を足し合わせた制動力が作用するように、各ブレーキ手段16FL,16RR,16FR,16RLのブレーキ液圧の増圧や保持、減圧を行なうブレーキ液圧制御を実行する。これにより主ブレーキペダル2と補助ブレーキペダル3とはそれぞれの踏込量に応じた制動力が独立して発生するように構成している。
図2は第1実施形態のマップの一例であり、このマップでは、ブレーキペダル踏力とブレーキ液圧との関係を示す第1実施形態の制動特性が定められている。
図2中の補助ブレーキペダル3の踏力Tが0以上Ta未満の範囲を、速度調整領域とし、補助ブレーキペダル3の踏力TがTa以上Tb未満の範囲を、補助ブレーキ領域とし、補助ブレーキペダル3の踏力TがTb以上の範囲を、緊急/危険回避領域としている。さらに図2中の補助ブレーキペダル3の踏力Tが0以上Tb未満の範囲(速度調整領域と補助ブレーキ領域に相当する領域)を初期制動領域としている。
図2中の符号Yは、主ブレーキペダル2の制動特性(以下、「主制動特性」とする。)を示し、符号X11は、補助ブレーキペダル3の制動特性(以下、「補助制動特性」とする。)の中でも非緊急制動特性を示し、符号X12は、補助ブレーキペダル3の制動特性の中でも緊急制動特性を示し、符号X13は、補助制動特性の中でも非緊急制動特性X11から緊急制動特性X12へ移行するための緊急移行制動特性を示し、符号X14は、補助制動特性の中でも緊急制動特性X12から非緊急制動特性X11へ移行するための非緊急移行制動特性を示している。
本実施例においては図2のマップに示すとおり、主制動特性Yと補助ブレーキペダル3の緊急制動特性X12とは同じ波形としている。すなわち、主制動特性Yと緊急制動特性X12とは、速度調整領域および補助ブレーキ領域だけでなく、緊急/危険回避領域においても踏力に対してブレーキ液圧が一定の割合で増加する線形特性を示す。
補助ブレーキペダル3の非緊急制動特性X11は、主制動特性Yよりもペダル踏込みを開始してから液圧が発生するまでのカットイン(遊び)領域が長く(T1<T2)、また、主制動特性Yの場合には、主ブレーキペダル2の踏込開始時の踏力に対するブレーキ液圧の立ち上がり(ジャンプアップ)がP1であるのに対して非緊急制動特性X11の場合には、補助ブレーキペダル3の踏込開始時のジャンプアップはなく緩やかに立ち上がる。
本実施例において、この非緊急制動特性X11は、図2に示すように、踏力TがT2以上T3未満の範囲の特性であり、踏力TがT3に達するまでは主制動特性Yと略同じ勾配で徐々に立ち上がる線形特性を示し、補助ブレーキ領域における踏力TがT3以上Tb未満においては、踏力が増加するに従って例えば、指数関数特性や2次関数特性を示すように徐々にブレーキ液圧の増加率が大きくなる特性を示す。そして、踏力TがT3に達するとブレーキ液圧Pは、緊急制動特性X12のブレーキ液圧P2となる。
補助ブレーキペダル3に関して、ECU7は、各種センサからの取得情報および図4(a)、(b)に示す判定テーブル25,26に基づいて該当するブレーキシーンに対応する補助制動特性を判定(特定)し、図2に示すマップ中の補助制動特性に基づいて補助ブレーキペダル3側の踏力に応じた油圧(制動力)を発生させる。
詳しくは、上記ブレーキシーンは、図3に示すように、ブレーキを作動させるべき状況であるにも関わらず、生徒が主ブレーキペダル2を踏込むタイミングであることに気付いてない場合や踏込みタイミングが遅れるなどにより踏込み量が十分でない場合において(図3中の右欄参照)、シチュエーション例(図3中の中欄参照)に応じた教官による補助ブレーキペダル3の踏込み具合の違いに着目して分類したものであり、本実施例では図3に示すように4つのシーンに大別している。
上記判定テーブル25,26は、ECU7に備えた記憶手段としてのROMに格納され、図4(a)に示すように、補助ブレーキペダル3の踏込速度Xと図3中の各種シーンとを対応付けた判定テーブル25と、図4(b)に示すように、補助ブレーキペダル3の踏力Tと図3中の各種シーンとを対応付けた判定テーブル26とを有している。さらに、図4(a)、(b)に示す各判定テーブル25,26では、各種シーンごとに適した補助制動特性となるように各種シーンごとに所定の補助制動特性が対応付けられている。
本実施例では、図4(a)の判定テーブル25および図4(b)の判定テーブル26に示すように、「緊急/危険回避ブレーキシーン」(「緊急ブレーキシーン」および「危険回避ブレーキシーン」)が緊急制動特性X12に設定されているのに対して、「補助ブレーキシーン」と「速度調整シーン」とが同じ非緊急制動特性X11に設定されている。
これにより、ECU7は、後述する判定処理(図5中のステップ3,7,10)を実行することにより、各種センサの取得情報および判定テーブル25,26に基づいて該当するシーンを判定(特定)し、そのシーンに対応するマップ中の補助制動特性に従って踏力に基づくブレーキ液圧を発生させる。
また、図1に示すように、上述したブレーキアクチュエータ8は、ポンプ11とモータ12とリザーバタンク13等を備え、ECU7および液圧制御装置15に接続されている。
モータ12は、ポンプ11駆動用のモータであり、ECU7に接続され、ECU7から出力された制御信号に基づいて回転駆動する。モータ12には、図示省略するが、必要に応じてボールネジやギアなどの駆動伝達機構を介してモータ12の駆動を増幅させてポンプ11内に備えたピストンを駆動する。
ポンプ11は、ブレーキ液加圧用のポンプであり、リザーバタンク13から供給される作動液としてのブレーキ液によりモータ12の回転駆動力に応じた液圧を発生させ、液圧制御装置15に送る。
ブレーキ手段16FL,16RR,16FR,16RLは、車両の4個の車輪(図示省略)、例えば左右の前輪と左右の後輪とに設けられ、各ブレーキ手段16FL,16RR,16FR,16RLは、それぞれ車輪と一体回転するディスクロータ16aと該ディスクロータ16aの回転を制動するキャリパ16bとで構成されている。これにより、車輪(各前輪、各後輪)毎に制動力が付与される。
液圧制御装置15は、ECU7からの信号に基づいて開閉制御される図示しない各種バルブを備え、ブレーキアクチュエータ8からの液圧をブレーキ側配管部12A,12B,12C,12Dを介して左右の前輪用および後輪用に備えた各ブレーキ手段16FL,16RR,16FR,16RLのキャリパ16bに分配、供給する。これにより、キャリパ16bのそれぞれに発生させるブレーキ液圧の増圧、保持、減圧を車輪毎に独立して制御できるように構成されている。
次に、上述した制動装置1を搭載した教習車を用いて運転教習を行う実施例を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
運転者(生徒)の操作によるイグニッションスイッチON等車両システムの起動により(ステップ1:Yes)、ECU7は各種センサ値を読み込む処理を実行する(ステップ2)。例えば、ECU7は、踏力検出センサ5bが検出した補助ブレーキペダル3の踏力Tに関する情報を取得したり、ストローク検出センサ6が検出した補助ブレーキペダル3のストローク(ペダル踏込量)に関する信号に基づいて補助ブレーキペダル3の踏込速度Xを演算するなどして補助ブレーキペダル3の操作量に関する情報の取得を開始する(ステップ2)。
続くステップ3の判定処理においてECU7は、取得した補助ブレーキペダル3の操作量に関する情報および図4(a)に示す判定テーブル25に基づいて複数(本実施例では図3に示すように4つ)のブレーキシーンの中から該当するブレーキシーンを判定(特定)する。
具体的には、生徒が例えば、アクセルペダル4を踏み込んで車両を走行させている間、或いは車両を発進させようとしてアクアクセルペダル4を踏み込もうとした際に、教官による補助ブレーキペダル3の踏込速度XがXb未満の場合には、ECU7は、図4(a)の判定テーブル25を基に「Yes」と判定(「補助ブレーキシーン」、又は「速度調整シーン」に特定)する(ステップ31:Yes)。
さらに、教官による補助ブレーキペダル3の踏込踏力TがTb未満の場合には、ECU7は、図4(b)の判定テーブル26を基に「Yes」と判定(「補助ブレーキシーン」、又は「速度調整シーン」に特定)する(ステップ32:Yes)。
このようにステップ31及びステップ32で「Yes」(「補助ブレーキシーン」、又は「速度調整シーン」)と判定された場合には、補助制動特性は非緊急制動特性X11の設定となり、図2のマップ中の非緊急制動特性X11に従って補助ブレーキペダル3の踏力に応じたブレーキ液圧が作動する。
一方、ステップ31で補助ブレーキペダル3の踏込速度XがXb以上の場合には、「No」と判定(すなわち図4(a)の判定テーブル25に基づいて「緊急/危険回避ブレーキシーン」に特定)し、補助制動特性は、ステップ6の緊急移行制動特性X13(図2参照)を経て緊急制動特性X12の設定となり(ステップ7)、図2のマップ中の緊急制動特性X12に従って補助ブレーキペダル3の踏力に応じたブレーキ液圧が作動する。
ここで、ステップ6の緊急移行制動特性X13は、図2に示すように、ステップ31で「No」と判定された時点で非緊急制動特性X11から分岐して緊急制動特性X12に達するまで急峻に移行(上昇)する線形特性を示す。
ステップ7の緊急制動特性X12は、上述したように、主ブレーキペダル2の制動特性と同じ特性を示す。
やがてECU7は、補助ブレーキペダル3の踏込速度XがXb未満になると、ステップ81で「Yes」判定(すなわち図4(a)の判定テーブル25に基づいて「補助ブレーキシーン」又は「速度調整シーン」に特定)するとともに、踏力TがTb未満になるとステップ82で「Yes」判定(すなわち図4(b)の判定テーブル26に基づいて「補助ブレーキシーン」又は「速度調整シーン」に特定)する。これにより補助制動特性は、ステップ9の非緊急移行制動特性X14を経て非緊急制動特性X11の設定となり(ステップ4)、図2のマップ中の非緊急制動特性X11に従って補助ブレーキペダル3の踏力に応じたブレーキ液圧が作動する。
ここで、ステップ9の非緊急移行制動特性X14は、図2に示すように、ステップ81およびステップ82で「Yes」と判定された時点で緊急制動特性X12から分岐して非緊急制動特性X11に達するまで緊急移行制動特性X13の勾配よりも緩やかな勾配で移行(下降)する線形特性を示す。
なお、ステップ9において補助制動特性が非緊急移行制動特性X14に従って緊急制動特性X12から非緊急制動特性X11へ移行している最中に、教官が補助ブレーキペダル3を再度踏み込んだ場合には、図示しないが、その再度の補助ブレーキペダル3の踏込速度XがXb未満であるとともに踏込み踏力TがTb未満である場合には、上述した非緊急制動特性X11に従ってブレーキ液圧が作動するように設定することができる。ただし、ステップ9において再度の補助ブレーキペダル3の踏み込み速度XがXb以上、又は踏込み踏力TがTb以上である場合には、上述した急峻な勾配の緊急移行制動特性X13に従ってブレーキ液圧が作動するように設定してもよい。
また、ECU7は、ステップ32又はステップ82において補助ブレーキペダル3の踏込踏力TがTb以上の場合には、夫々のステップにおいて「No」と判定(すなわち図4(b)の判定テーブル26に基づいて「緊急/危険回避ブレーキシーン」に特定)する。これにより、補助制動特性は、緊急/危険回避領域における緊急制動特性X12の設定となり(ステップ10)、図2のマップ中における緊急/危険回避領域における緊急制動特性X12に従って補助ブレーキペダル3の踏力に応じたブレーキ液圧が作動する。
やがてECU7は、補助ブレーキの踏込踏力TがTb未満になるとステップ11で「Yes」と判定(すなわち図4(b)の判定テーブル26に基づいて「補助ブレーキシーン」又は「速度調整シーン」と特定)する。これにより補助制動特性は非緊急制動特性X11の設定となり(ステップ4)、図2のマップ中の非緊急制動特性X11に従って補助ブレーキペダル3の踏力に応じたブレーキ液圧が作動する。
本実施例は、上述した一連の処理が継続し(ステップ5:No)、最終的にイグニッションスイッチがOFFになると(ステップ5:Yes)終了する。
上述した自動車の制動装置1は、運転席側に設けられた主ブレーキペダル2と、該主ブレーキペダル2の操作により制動力を調節する制動力調整装置としてのECU7と、助手席側に設けられ、主ブレーキペダル2の操作とは独立して該ECU7に制御可能に接続された補助ブレーキペダル3とを備えた自動車の制動装置において(図1参照)、補助ブレーキペダル3の操作量(ペダルストローク(踏込量)、踏力、踏込速度)に関する情報を取得する操作量情報取得手段としての踏力検出センサ5、ストローク検出センサ6と、該操作量情報に基づいて緊急状態(図4(a)、(b)中の「緊急/危険回避ブレーキシーン」)または非緊急状態(図4(a)、(b)中の「補助ブレーキシーン」又は「速度調整シーン」)を判定する判定手段としてのECU7(すなわち、図5中のステップ31,32,81,82,11を実行するECU7、換言すると図4(a)の判定テーブル25および図4(b)の判定テーブル26を記憶したECU7)と、判定結果に応じて、補助ブレーキペダル3の制動特性を緊急状態の緊急制動特性X12(図2参照)、および該緊急制動特性X12よりも制動初期領域(図2中の速度調整領域および補助ブレーキ領域参照)の制動力が低い非緊急状態の非緊急制動特性X11(図2参照)のうち、いずれかに変更する制動特性変更手段としてのECU7(図2のマップを記憶するとともに図5中のステップ4,6,7,9,10を実行するECU7)、ブレーキアクチュエータ8および液圧制御装置15と、が設けられたものである(図1〜図5参照)。
上記構成によれば、運転者にとって不快な補助ブレーキペダル3による急制動を抑制しつつ緊急時には補助ブレーキペダル3によって素早く緊急制動することができる。
詳述すると、補助ブレーキペダル3の操作量として踏込速度Xや踏力T(又は踏込みストローク)に関する情報を取得し、判定手段としてのECU7は、これら取得情報に基づいて緊急状態または非緊急状態であるかを判定する。判定結果が緊急状態(緊急/危険回避ブレーキシーン)である場合(図3、図4(a)、(b)参照)、すなわち図5中のステップ31,32,81,82、又は11で「No」判定の場合には、制動特性変更装置としてのECU7等は、図2に示すように、補助制動特性を非緊急制動特性X11から緊急制動特性X12へ変更する。
これにより、緊急時には、補助ブレーキペダル3は非緊急制動特性X11よりも例えば、制動力が大きく、カットイン領域を短くした緊急制動特性X12に基づく強力な制動力を作用させることが可能となる。すなわち、教官等助手席側の乗員の意図に沿った大きな制動力を素早く作用させて緊急時の制動に対応することができる。
一方、判定結果が非緊急状態(補助ブレーキシーン又は速度調整シーン)である場合(図3、図4(a)、(b)参照)、すなわち図5中のステップ3(31および32),8(81および82)、又は11において「Yes」判定である場合には、ECU7等は、図2に示すように、補助ブレーキペダル3の制動特性を緊急制動特性X12から非緊急制動特性X11へ変更する。
これにより、例えば、緊急時ではない非緊急状態の走行中において運転者である生徒をサポートするために、助手席側の乗員である教官が補助ブレーキペダル3を操作した場合においても、急制動(所謂かっくんブレーキ)につながるような大きな制動力が作用することを防ぐことができる。
従って、非緊急状態において補助ブレーキペダル3による急制動によって生徒に不快感を与えることなく、補助ブレーキペダル3の制動操作によって生徒による主ブレーキペダル2の制動操作をサポートすることができる。
さらに、本実施形態の自動車の制動装置1は、従来の自動車の制動装置のように、主ブレーキペダル2側と補助ブレーキペダル3側とをワイヤ(電線)やリンク等で連結して、補助ブレーキペダル3側の踏力を主ブレーキペダル2側に伝達するバイ・ワイヤ(By Wire)式の構成とは異なり、例えば、補助ブレーキペダル3を主ブレーキペダル2とは独立して車輪に対して制動力を作用できるようにしたため、上述したワイヤやリンク等を省略でき、運転席の足回りのスペースを確保することができるとともに、部品点数を減らすことができる。
加えて、自動車の制動装置1として備えるセンシング量を少なくすることができ、既存のものを活用できる。
詳述すると、前記特許文献1(特開2009−298242号公報)には、上述したように、補助ブレーキペダル操作による急制動を防止できるように、主ブレーキペダル側に対する補助ブレーキペダル側の踏力に基づく制動力の影響度を示す最終アシスト係数を自動又は手動で調整可能に構成した車両用ブレーキシステムが開示されている。
この最終アシスト係数を自動で設定する場合には車両走行中に車両前後両側に備えたレーザレーダ装置や、ヨーレイトセンサ、車輪速センサなど様々なセンサからの検出結果を基に設定される。しかしながら最終アシスト係数を設定するうえで教官の意図が最も反映される補助ブレーキペダル3の操作量情報を取得していため、助手席側の乗員(教官)が意図する適切な補助制動特性を得られないおそれがあるとともに、様々な車体外部の走行環境状態を正確に把握しようとするとその分、搭載すべきセンサの数や精度が求められることになり、コストが増大するおそれがあった。
また、この最終アシスト係数を手動で決定する場合には、車両走行前に乗員の操作により行われるものであるため、設定の手間を要するだけでなく、緊急時を含めた様々な走行シーンの中で教官の意図に沿った補助制動特性を得られているとは言い難かった。
これに対して本実施例の自動車の制動装置1は、教官の意図が最も反映される補助ブレーキペダル3の操作量を基に補助制動特性を変更することで、教官の意図に沿った補助制動特性を得ることができ、しかも、車差間距離や、ヨーレイト等の様々な車両走行状態や車両周辺状態を検出する必要がなく、本実施例においては補助ブレーキペダル3の操作量として踏込速度Xおよび踏力Tを検出するだけで足りるため、低コストで実現できる。
この発明の態様として、操作量は、補助ブレーキペダル3の踏込速度Xであり、非緊急状態は、補助ブレーキペダル3の踏込速度Xが所定値Xb未満の状態とすることができる(図4(a)参照)。
上記構成によれば、補助ブレーキペダル3の踏込速度Xが所定値Xb未満である場合には非緊急状態として補助ブレーキシーン又は速度調整シーンと判定(特定)し(図3、図4(a)、図5中のステップ31,81:Yes)、該非緊急状態においては、補助制動特性を緊急制動特性X12よりも緩やかな制動力にする非緊急制動特性X11とすることができる(図2、図5中のステップ4)。
一方、補助ブレーキペダル3の踏込速度Xが所定値Xb以上である場合には緊急状態として緊急/危険回避ブレーキシーンと判定(特定)し(図3、図4(a)、図5中のステップ31,81:No)、該緊急状態においては、教官が補助ブレーキペダル3を一気に踏み込むことで踏込速度が大幅に上昇するが、この補助ブレーキペダル3の踏込速度の上昇にダイレクトに対応して補助制動特性を、素早く十分な制動力を作用させることができる緊急制動特性X12とすることができる(図2、図5中のステップ7)。
このように、主ブレーキペダル2の操作とは独立して制動力を作用し得る補助ブレーキペダル3の踏込速度Xに基づいて非緊急状態又は緊急状態を判定する構成としたため、補助ブレーキペダル3のみで素早く教官の意図に沿った補助制動特性へと調整することができる。
またこの発明の態様として、操作量は、補助ブレーキペダル3の踏力Tであり、非緊急状態は、補助ブレーキペダル3の踏力Tが所定値Tb未満の状態とすることができる(図4(b)参照)。
上記構成によれば、補助ブレーキペダル3の踏力Tが所定値Tb未満である場合に非緊急状態として補助ブレーキシーン又は速度調整シーンと判定(特定)し(図3、図4(b)、図5中のステップ32,82,11:Yes)、補助制動特性を非緊急制動特性X11とする(図2、図5中のステップ4)。
一方、補助ブレーキペダル3の踏力Tが所定値Tb以上である場合には緊急状態として緊急/危険回避ブレーキシーンと判定(特定)し(図3、図4(b)、図5中のステップ32,82,11:No)、補助制動特性を緊急/危険回避領域における緊急制動特性X12とすることができる(図2、図5中のステップ10)。
このように、主ブレーキペダル2の操作とは独立して制動力を作用し得る補助ブレーキペダル3の踏力Tに基づいて非緊急状態又は緊急状態を判定する構成としたため、補助ブレーキペダル3のみで素早く教官の意図に沿った制動特性の調整をすることができる。
またこの発明の態様として、図2に示すように、緊急制動特性X12や緊急移行制動特性X13から非緊急制動特性X11への移行特性である非緊急移行制動特性X14が、該非緊急制動特性X11から該緊急制動特性X12への移行特性である緊急移行制動特性X13より緩やかな特性とすることができる。
上記構成によれば、補助制動特性が、非緊急制動特性X11から緊急制動特性X12へ移行後に、或いは緊急制動特性X12に達した後に、補助ブレーキペダル3の踏み戻し操作を行う際に、補助ブレーキペダル3の踏力に対して作用する制動力が一気に低くなることを防ぐことができる。すなわち、教官が補助ブレーキペダル3を実際に踏み込んだ状態から踏み戻す際に作用する制動力がそれまでに作用していた制動力に対して著しく低くなるために違和感(所謂すっぽぬけ感)を抱くことを解消できる。
なお、本実施例では、補助ブレーキペダル3の操作量として踏込速度Xや踏力Tに基づいて非緊急状態又は緊急状態を判定したが、これらに限らず補助ブレーキペダル3の踏込ストロークや踏込み加速度(踏込速度の変化量)を採用してもよい。
以下では、他の実施形態におけるブレーキ制御装置について説明する。
但し、以下で説明する構成のうち、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
(第2実施形態)
第2実施形態の制動装置に備えたECU7は、補助ブレーキペダル3の操作状態として例えば、補助ブレーキペダル3の操作速度X又は踏力Tに応じて、主ブレーキペダル2よりも同操作量で高い制動力を補助ブレーキペダル3に発生させる後述する緊急ブレーキ処理(図7中のステップ6,9)を実行するものである。
詳しくは、ECU7は、図4(a)の判定テーブル25に基づいて補助ブレーキペダル3の操作速度Xが所定値Xb以上であるとき、図6のマップに示すように、非緊急制動特性X21から緊急制動特性X22へ補助制動特性を変更する構成とするとともに、図4(b)の判定テーブル26に基づいて踏力Tが所定値Tb以上であるとき、図6のマップに示すように、非緊急制動特性X21から緊急/危険回避領域における緊急制動特性X23へ補助制動特性を変更する構成としたものである。
図6は、第2実施形態のマップの一例であり、このマップでは、ブレーキペダル踏力とブレーキ液圧との関係を示す第2実施形態の制動特性が定められている。
図6中の符号X21は、補助制動特性の中でも非緊急制動特性を示し、符号X22は補助制動特性の中でも操作速度Xが所定値Xb以上の場合の緊急制動特性を示し、符号X23は補助制動特性の中でも踏力Tが所定値Tb以上の場合の緊急/危険回避領域における緊急制動特性を示している。さらに、符号X22’は、補助制動特性の中でも緊急制動特性X22から非緊急制動特性X21へ移行するための非緊急移行制動特性を示し、符号X23’は、補助制動特性の中でも緊急制動特性X23から非緊急制動特性X21へ移行するための非緊急移行制動特性を示している。
非緊急制動特性X21は、補助ペダルペダル3の踏込みを開始してからブレーキ液圧が発生するまでのカットイン(遊び)を経て立ち上がり(ジャンプアップし)、その後、踏力に対してブレーキ液圧が一定の割合で増加する線形特性を示す。
すなわち、非緊急制動特性X21は、主ブレーキペダル2と同操作量で該主制動特性Y以下の制動力となる特性に設定できるが、本実施例においては、主制動特性Yと同じ制動特性に設定している。
操作速度Xが所定値Xb以上の場合の緊急制動特性X22と、踏力Tが所定値Tb以上(緊急/危険回避領域)の場合の緊急制動特性X23とは、いずれも主ブレーキペダル2と同操作量で主制動特性Yよりも高い制動力を発生させるように該主制動特性Yよりも勾配が急峻な線形特性としている。
第2実施形態の制動装置1を搭載した教習車を用いて運転教習を行う実施例を図7に示すフローチャートに基づいて説明する。但し、図7中のステップ1〜5までの処理は、上述した図5中のステップ1〜5と同じであるため、その説明は省略する。
ステップ31において補助ブレーキペダル3の踏込速度XがXb以上の場合には、ECU7は、「No」と判定(すなわち図4(a)の判定テーブル25に基づいて「緊急/危険回避ブレーキシーン」に特定)し、ステップ6の緊急ブレーキ処理において、補助制動特性を緊急制動特性X22に設定することで、図6のマップ中の緊急制動特性X22に従って補助ブレーキペダル3の踏力に応じたブレーキ液圧が作動する。
すなわち、第2実施形態の緊急制動特性X22は、ステップ31で「No」と判定された時点から図6に示すように、非緊急制動特性X21に対して分岐して該非緊急制動特性X21や主制動特性Yよりも急峻な勾配で立ち上がる特性を示す。
やがてECU7は、補助ブレーキペダル3の踏込速度XがXb未満になると、ステップ71で「Yes」判定(すなわち図4(a)の判定テーブル25に基づいて「補助ブレーキシーン」又は「速度調整シーン」に特定)するとともに、踏力TがTb未満になるとステップ72で「Yes」判定(すなわち図4(b)の判定テーブル26に基づいて「補助ブレーキシーン」又は「速度調整シーン」に特定)する。これにより補助制動特性は、ステップ8の非緊急移行制動特性X22’を経て非緊急制動特性X21設定となり(ステップ4)、図6のマップ中の非緊急制動特性X21に従って補助ブレーキペダル3の踏力に応じたブレーキ液圧が作動する。
ここで、ステップ8の非緊急移行制動特性X22’は、図6に示すように、ステップ71で「Yes」と判定された時点で緊急制動特性X22から分岐して非緊急制動特性X21に達するまで緊急制動特性X22の勾配よりも緩やかな勾配で移行(下降)する線形特性を示す。
なお、本実施例においてはステップ6において補助制動特性を緊急制動特性X22に設定後に、補助ブレーキペダル3の踏込踏力TがTb以上となった場合には(ステップ72:No)、たとえ補助ブレーキの踏込速度XがXb未満になっても(ステップ71:Yes)、補助制動特性を緊急制動特性X22に維持するように設定している。
また、ECU7は、ステップ32において補助ブレーキペダル3の踏込踏力TがTb以上の場合には、「No」と判定(すなわち図4(b)の判定テーブル26に基づいて「緊急/危険回避ブレーキシーン」に特定)する。これにより、緊急ブレーキ処理としてのステップ9が実行され、補助制動特性は、緊急/危険回避領域における緊急制動特性X23の設定となり、図6のマップ中に示すように、緊急/危険回避領域における緊急制動特性X23に従って補助ブレーキペダル3の踏力に応じたブレーキ液圧が作動する。
やがてECU7は、補助ブレーキペダル3の踏込踏力TがTb未満になるとステップ10で「Yes」と判定(すなわち図4(b)の判定テーブル26に基づいて「補助ブレーキシーン」又は「速度調整シーン」と特定)する。これにより補助制動特性はステップ11の非緊急移行制動特性X23’を経て非緊急制動特性X21設定となり(ステップ4)、図6のマップ中の非緊急制動特性X21に従って補助ブレーキペダル3の踏力に応じたブレーキ液圧が作動する。
ここで、ステップ11の非緊急移行制動特性X23’は、図6に示すように、ステップ10で「Yes」と判定された時点で緊急制動特性X23から分岐して非緊急制動特性X21に達するまで緊急制動特性X23の勾配よりも緩やかな勾配で移行(下降)する線形特性を示す。
なお、ステップ8,11において補助制動特性が非緊急移行制動特性X22’,X23’に従って緊急制動特性X22,X23から非緊急制動特性X21へ移行している最中に、教官が補助ブレーキペダル3を再度踏み込んだ場合には、図示しないが、その再度の補助ブレーキペダル3の踏込速度XがXb未満であるとともに踏込み踏力TがTb未満である場合には、踏力に対してブレーキ液圧が上述した非緊急制動特性X21に従って上昇させることができる。ただし、ステップ8,11において再度の補助ブレーキペダル3の踏み込み速度XがXb以上、又は踏込み踏力TがTb以上である場合には、踏力に対してブレーキ液圧が上述した急峻な勾配の緊急制動特性X22,X23に従ってブレーキ液圧が上昇するよう設定してもよい。
本実施例は、上述した一連の処理が継続し(ステップ5:No)、最終的にイグニッションスイッチがOFFになると(ステップ5:Yes)終了する。
上述した自動車の制動装置1によれば、運転席側に設けられた主ブレーキペダル2と、該主ブレーキペダル2の操作により制動力を調節する制動力調整装置としてのECU7と、助手席側に設けられ、主ブレーキペダル2の操作とは独立して該ECU7に制御可能に接続された補助ブレーキペダル3とを備え(図1参照)、補助ブレーキペダル3の操作状態に応じて、主ブレーキペダル2よりも同操作量で高い制動力を補助ブレーキペダル3に発生させる緊急補助ブレーキ手段としてのECU7(すなわち、図7中のステップ6,9を実行するECU7、換言すると図6のマップを記憶したECU7)を備えたものである。
上記構成によれば、補助ブレーキペダル3の操作状態(踏込速度、踏力)によっては(図7中のステップ31,32,71,72,10:Noの場合)、補助制動特性を、主ブレーキペダル2と同操作量で主制動特性Yよりも高い制動力を発生する緊急制動特性X22,X23に設定できるため(図6のマップ、図7中のステップ6,9)、緊急時には迅速に緊急制動することができる。
逆に、補助ブレーキペダル3の操作状態(踏込速度、踏力)によっては(図7中のステップ31,32,71,72,10:Yesの場合)、補助制動特性を、主ブレーキペダル2と同操作量で主制動特性Yに対して同等以下の制動力に抑制する非緊急制動特性X21に設定できるため(図6のマップ、図7中のステップ4)、非緊急時には運転者にとって不快な急制動を抑制することができる。
しかも、補助制動特性を緊急制動特性X22,X23又は非緊急制動特性X21に設定するか否かの判定は、補助ブレーキペダル3の操作状態に関する情報、すなわち踏込速度や踏力のみによって行うことができる。
従って、簡素な構成で、非緊急時には運転者にとって不快な急制動を抑制しつつ緊急時には迅速に緊急制動することを達成できる。
この発明の態様として、補助ブレーキペダル3に備えたストローク検出手段としてのストローク検出センサ6bからペダルストローク情報を検出し、緊急補助ブレーキ手段としてのECU7(すなわち、図7中のステップ6を実行するECU7、換言すると図6のマップを記憶したECU7)は、このペダルストローク情報を基に補助ブレーキペダル3の操作状態としての踏込速度情報を取得し、さらに補助ブレーキペダル3の踏込速度Xが所定値Xb以上のとき(図7中のステップ31:No)、主ブレーキペダル2と同操作量で主制動特性Yと同じ特性を示す非緊急制動特性X21から主ブレーキペダル2と同操作量で主制動特性Yよりも高い制動力を発生させる緊急制動特性X22へ補助制動特性を変更することができる(図6のマップ、図7中のステップ6)。
上記構成によれば、このように補助ブレーキペダル3の踏込速度Xが所定値Xb以上の場合に(図7中のステップ31:No)、補助制動特性を非緊急制動特性X21から緊急制動特性X22へ変更するため(図6のマップ、図7中のステップ6)、補助ブレーキペダル3の操作のみで素早く制動特性を調整することができる。
またこの発明の態様として、補助ブレーキペダル3の操作状態は、該補助ブレーキペダル3の踏力Tであり、緊急補助ブレーキ手段としてのECU7(すなわち、図7中のステップ9を実行するECU7、換言すると図6のマップを記憶したECU7)は、補助ブレーキペダル3の踏力Tが所定値Tb以上のとき(図7中のステップ32:No)、主ブレーキペダル2と同操作量で主制動特性Yと同じ特性を示す非緊急制動特性X21から主ブレーキペダル2と同操作量で主制動特性Yよりも高い制動力を発生させる緊急制動特性X23へ補助制動特性を変更する構成としたものである(図6のマップ、図7中のステップ9)。
上記構成によれば、このように補助ブレーキペダル3の踏力Tが所定値Tb以上の場合に(図7中のステップ32:No)、補助制動特性を非緊急制動特性X21から緊急制動特性X23へ変更するため(図6のマップ、図7中のステップ9)、補助ブレーキペダル3の操作のみで素早く制動特性を調整することができる。
またこの発明の態様として、図6中の符号X22’,X23’に示す制動特性のように、主ブレーキペダル2と同操作量で主制動特性Yよりも高い制動力を発生させる緊急制動特性X22,X23から主ブレーキペダル2と同操作量で主制動特性Yと同じ特性を示す非緊急制動特性X21へ移行する非緊急移行制動特性X22’,X23’、すなわち非緊急制動特性X21への戻り特性X22’,X23’が、緊急制動特性X22,X23より緩やかな特性とすることができる(図6のマップ、図7中のステップ8,11)。
上記構成によれば、補助制動特性が、非緊急制動特性X21から緊急制動特性X22,X23へ移行後に補助ブレーキペダル3の踏み戻し操作を行う際に、補助ブレーキペダル3の踏力に対して作用する制動力が一気に低くなることを防ぐことができる。すなわち、教官が補助ブレーキペダル3を実際に踏み込んだ状態から踏み戻す際に作用する制動力がそれまでに作用していた制動力に対して著しく低くなるために違和感(所謂すっぽぬけ感)を抱くことを解消できる。
なお、本実施例では、補助ブレーキペダル3の操作量として踏込速度Xや踏力Tに基づいて非緊急状態又は緊急状態を判定したが、これらに限らず、補助ブレーキペダル3の例えば、踏込ストロークや踏込み加速度(踏込速度の変化量)を採用してもよい。
(第3実施形態)
第3実施形態の制動装置1は、補助ブレーキペダル3の操作量に基づいて緊急状態であるか否かを判定することに加えて、運転者が車両を減速させる車両減速意図を有しているか否か、換言すると、運転者が走行継続意図を有している状態(車両が走行状態)又は車両減速意図を有している状態(車両が停車に向かう状態)を、車両状態および運転者の操作状態に基づいて図8に示す判定テーブル27を用いて判定する判定処理と、判定結果に応じて補助制動特性を変更する処理を実行するECU7を備えたものである。
ここで本実施例における車両状態とは、例えば、車速、車両加速度、さらには車両が停止しているか否か、車両の進行方向のうち少なくとも1つを示す。
本実施例における運転者の操作状態とは、シフトレバーポジション、アクセル開度、主ブレーキペダル2の踏込み操作量(ストローク(踏込量)、踏力)のうち少なくとも1つを示す。
また、判定テーブル27は、ECU7に備えた記憶手段としてのROMに記憶され、図8の判定テーブルの概念図に示すように、補助ブレーキペダル3の踏込速度Xが所定値Xb以上の場合を「緊急性有り」とし、補助ブレーキペダル3の踏込速度Xが所定値Xb未満の場合であって、図8中の条件a1〜a4のいずれかを満たす場合を、「車両減速意図有り」とし、さらに上述以外の場合を「車両減速意図無し」としたものである。
そして、ECU7は、図8の判定テーブル27に基づいて「緊急性有り」と判定したとき、図9(a)のマップに示すように、減速意図無し制動特性X31或いは減速意図有り制動特性X36から緊急制動特性X32へ補助制動特性を変更する構成としたものであり、「車両減速意図有り」と判定したとき、図9(a)のマップに示すように、減速意図無し制動特性X31から減速意図有り制動特性X36へ補助制動特性を変更する構成としたものであり、「車両減速意図無し」と判定したとき、図9(a)のマップに示すように、減速意図有り制動特性X36から減速意図無し制動特性X31へ補助制動特性を変更する構成としたものである。
図9(a)は、第3実施形態のマップの一例であり、このマップでは、ブレーキペダル踏力とブレーキ液圧との関係を示す第3実施形態の制動特性が定められている。
図9(a)中の符号X31は補助制動特性の中でも減速意図無し制動特性を示し、符号X32は補助制動特性の中でも緊急制動特性を示し、符号X36は補助制動特性の中でも減速意図有り制動特性を示している。さらに符号X33は、補助制動特性の中でも減速意図無し制動特性X31から緊急制動特性X32へ移行するための緊急移行制動特性を示し、符号X34は、補助制動特性の中でも緊急制動特性X32から減速意図無し制動特性X31へ移行するための非緊急移行制動特性を示し、符号X38は、補助制動特性の中でも減速意図有り制動特性X36から減速意図無し制動特性X31へ移行するための減速意図無し移行制動特性を示している。
本実施例においては図9(a)のマップに示すとおり、補助ブレーキペダル3の緊急制動特性X32は、主制動特性Yと同じ波形に設定しており、速度調整領域および補助ブレーキ領域だけでなく、緊急/危険回避領域においても踏力に対してブレーキ液圧が一定の割合で増加する線形特性を示す。
減速意図無し制動特性X31は、図9(a)に示すように、主ブレーキペダル2と同操作量で該主制動特性Yよりも小さな制動力に抑制した特性を示す。詳しくは、減速意図無し制動特性X31は、主制動特性Yよりもペダル踏込みを開始してから液圧が発生するまでのカットイン(遊び)領域が長く(T1<T2)、また、主制動特性Yの場合には、主ブレーキペダル2の踏込開始時の踏力に対するブレーキ液圧の立ち上がり(ジャンプアップ)がP1であるのに減速意図無し制動特性X31の場合には、補助ブレーキペダル3の踏込開始時のジャンプアップがなく緩やかに立ち上がる。
さらに、減速意図無し制動特性X31は、カットイン領域を経て補助ブレーキ領域における踏力TがT2以上Tb未満の範囲の特性であり、踏力TがT3(>Ta)に達するまでは補助ブレーキペダル3の主ブレーキ特性Yのジャンプアップ後の線形特性と略同じ勾配で徐々に立ち上がる線形特性を示し、補助ブレーキ領域における踏力TがT3以上Tb未満においては、踏力が増加するに従って例えば、指数関数や2次関数を示すように徐々にブレーキ液圧の増加率が大きくなる特性を示す。そして、踏力TがT3に達するとブレーキ液圧Pは、主制動特性Y、緊急制動特性X12のブレーキ液圧P2となる。
減速意図有り制動特性X36は、補助ブレーキペダル3の同操作量で減速意図無し制動特性X31よりも高い制動力を発生させるように減速意図無し制動特性X31よりも勾配が急峻な線形特性としている。
上述した制動装置1を搭載した教習車を用いて運転教習を行う実施例を図10および図11に示すフローチャートに基づいて説明する。ただし、補助制動特性の初期設定は、減速意図無し制動特性X31に設定しているものとする。
運転者(生徒)の操作によるイグニッションスイッチON等車両システムの起動により(図10中のステップ1:Yes)、ECU7は各種センサ値を読み込む処理を実行する(図10中のステップ2)。例えばステップ2では、ECU7は、補助ブレーキペダル3に備えたストローク検出センサ6bから検出したストローク(ペダル踏込量)に基づいて補助ブレーキペダル3の踏込速度を演算するとともに、車速センサ21により検出した車速に基づいて車両加速度を演算する処理を行う。
次に、ステップ3の判定処理では、ECU7は、緊急性の有無に加えて運転者が車両を減速させる車両減速意図を有しているか否かを各種センサから取得した車両状態情報と運転者の操作状態に関する情報に基づいて判定する。
このステップ3の判定処理の詳細を図11に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップ31においてECU7は、補助ブレーキペダル3の操作量としての踏込速度Xが所定値Xb以上であるか否かを判定する。具体的には補助ブレーキペダル3の踏込速度Xが所定値Xb以上である場合(ステップ31:Yes)には、ECU7は図8に示す判定テーブル27に基づいて「緊急性有り」と判定する(ステップ39)。
一方、補助ブレーキペダル3の踏込速度Xが所定値Xb未満である場合(ステップ31:No)には、ECU7は図8に示す判定テーブル27に基づいて「緊急性無し」と判定してステップ32の判定処理へ進む。
ステップ32においてECU7は、主ブレーキペダル2の操作量としての踏込ストロークが0以下であるか否かを判定する。主ブレーキペダル2の踏込ストロークが0より大きい場合(ステップ32:Yes)、明らかな減速意図が認められるとして図8に示す判定テーブル27に基づいて「減速意図有り」判定を行う(ステップ37、図8中の条件a1参照)。
一方、ステップ32において主ブレーキペダル2の踏込ストロークが0以下である場合(ステップ32:No)、すなわち、運転者が主ブレーキペダル2を全く踏んでいない場合や遊びの範囲でしか踏み込んでいない場合、ECU7はステップ33の判定処理へ進む。
ステップ33において、ECU7は、車速や車両加速度およびシフトポジションに関する情報を基に、シフトポジションが示す方向とは異なる方向に車両が進行しているか否かを判定する。車両が、シフトポジションが示す方向とは異なる方向に進行している場合(ステップ33:Yes)、例えば、登り坂の途中で停車している状況でシフトレバーをニュートラルポジションにしているにも関わらず、車両がバックし始めた場合には、ステップ32と同様に明らかな減速意図が認められるとして(すなわち、運転者の意図する方向と異なる方向に車両が動き出したとして)図8に示す判定テーブル27に基づいて「減速意図有り」判定を行う(ステップ37、図8中の条件a2参照)。
一方、ステップ33において、車両がシフトポジションが示す方向とは異なる方向に進行していない場合には(ステップ33:No)、ECU7はステップ34の判定処理へ進む。
ステップ34において、ECU7は、アクセル開度量および車両加速度(車速の変化量)に関する情報を基に、アクセル開度量が減少、且つ車両が減速しているか否かという条件を満たすか否かを判定する。具体的にはステップ34において、アクセル開度量が一定又は増加、又は車速が一定又は増加した場合(ステップ34:No)、運転者に車両減速意図が無いと認められるため、ECU7は図8に示す判定テーブル27に基づいて「減速意図無し」判定を行う(ステップ38、図8中の条件a3参照)。
一方、アクセル開度量が減少、且つ車両が減速している場合(ステップ34:Yes)、運転者が車両減速意図を有していると推測されるため、ECU7はステップ35の判定処理へ進む。
ステップ35において、ECU7は、アクセル開度量および車速に関する情報を基に、アクセル開度が0以下(アクセルペダル4を全く踏んでいない場合や遊びの範囲でしか踏み込んでいない場合)、且つ車両が減速しているか否かを判定する。ステップ35において、アクセル開度が0より大、又は車速が一定又は増加した場合(ステップ35:No)、運転者に車両減速意図が無いと認められるため、ECU7は図8に示す判定テーブル27に基づいて「減速意図無し」判定を行う(ステップ38、図8中の条件a4参照)。
一方、アクセル開度が0以下、且つ車両が減速した場合(ステップ35:Yes)、運転者が車両減速意図を有していると推測されるため、ECU7はステップ36の判定処理へ進む。
ステップ36において、ECU7は、車速に関する情報を基に、車速が所定値(例えば50km/h以上の範囲の所定の値)より大きいか否かを判定する。ステップ36において、車速が所定値より大きい場合(ステップ36:No)、ECU7は図8に示す判定テーブル27に基づいて「減速意図無し」判定を行う(ステップ38、図8中の条件a3,a4参照)。
一方、車速が所定値以下である場合(ステップ36:Yes)、ECU7は「車両減速意図有り」であると判定し(ステップ37、図8中の条件a3,a4参照)、図10中のステップ3の判定処理を終了する。
上述した図11中のステップ34〜36の判定処理では、単に車両が減速しているか否かを基準に運転者の車両減速意図の有無を判定するのではなく、アクセル開度量、アクセル開度が0以下であるか否かに加えて車速が所定値以下であるか否かも併せて複合的に判定することで、例えば、エンジンブレーキをかけながら(主ブレーキペダル2を踏み込まずに)坂道を下っている状況において誤って「減速意図有り」(ステップ38)と判定してしまうことを排除し、判定精度を高めることができる。
また、運転者のアクセルペダル4の操作によりアクセル開度量を減少させたり、アクセル開度を0以下にすることで車両を減速させた場合であっても(ステップ34:Yes、ステップ35:Yes)、高速道路を略80km/hで走行する場合など、ある程度の車速を維持しながら走行する際には、アクセル開度量を略一定に保つなどして速度調整しながら走行する場合が多い。このようにある程度車速が出ている走行状態において補助制動特性を強くすれば補助ブレーキペダル3の操作によって運転者が意図しない急制動(所謂かっくんブレーキ)になるおそれが高くなる。
これに対して本実施例では図11中のステップ36の判定処理において、車速が所定値より大きい場合に(ステップ36:No)、ECU7は、判定テーブル27に基づいて「減速意図無し」(ステップ38)と判定するため、補助制動特性を後述するように制動力を弱めた図10中の後述するステップ41の減速意図無し設定に基づく制動特性(図9(a)中の減速意図無し制動特性X31参照)とすることで運転者の快適な走行を確保することができる。
続く図10中のステップ4において、ステップ3の判定処理で「緊急性有り」(図11中のステップ39)と判定された場合(ステップ4:No.1)、補助制動特性は、図9(a)に示すように、初期設定である減速意図無し制動特性X31からステップ5の緊急移行設定に基づく制動特性X33(緊急移行制動特性X33)を経て緊急設定に基づく制動特性X32(緊急制動特性X32)となり(ステップ6)、図9(a)のマップ中の緊急制動特性X32に従って補助ブレーキペダル3の踏力に応じたブレーキ液圧が作動する。
ここで、上記ステップ5の緊急移行制動特性X33は、減速意図無し制動特性X31から緊急制動特性X32へ移行する際の補助制動特性であり、ステップ4で「No.1」と判定された時点から図9(a)のマップに示すように、減速意図無し制動特性X31に対して分岐して緊急制動特性X32に移行するまで急峻に上昇する補助制動特性であり、本実施例では線形な特性としている。
続くステップ7において上述したステップ3と同じ判定処理を行い、ECU7は、「緊急性有り」と判定される間は(ステップ8:Yes)、補助制動特性をステップ6で設定した緊急制動特性X32に維持する。
一方、ステップ7の判定処理において、「緊急性無し」と判定された場合(ステップ8:No)、補助制動特性は、図9(a)のマップ中の非緊急移行制動特性X34を経て(ステップ9)、同図のマップ中の減速意図無し制動特性X31に設定される(ステップ41)。
ここで、上述したステップ9の非緊急移行制動特性X34は、緊急制動特性X32から減速意図無し制動特性X31へ移行するための補助制動特性であり、ステップ8で「No」と判定された時点で図9(a)のマップに示すように、緊急制動特性X32から分岐して、減速意図無し制動特性X31に移行するまで緊急移行制動特性X33よりも緩やかな勾配で下降する線形特性を示す。
また、上述したステップ4において、ステップ3の判定処理で「減速意図有り」(図11中のステップ37)と判定された場合(ステップ4:No.2)、補助制動特性は、減速意図有り制動特性X36の設定となり(ステップ21)、図9(a)のマップ中の減速意図有り制動特性X36に従って補助ブレーキペダル3の踏力に応じたブレーキ液圧が作動する。
ここで、ステップ21の減速意図有り制動特性X36は、ステップ4で「減速意図無し」と判定された時点で図9(a)のマップ中に示すように、減速意図無し制動特性X31から分岐して該減速意図無し制動特性X31の接線勾配よりも急峻な勾配で立ち上がる特性を示し、減速意図無し制動特性X31の場合よりも補助ブレーキペダル3の同じ踏込量で大きな制動力を発生する。
続くステップ22において上述したステップ3と同じ判定処理を行い、ECU7は、「減速意図有り」と判定された場合(ステップ23:Yes)、その判定結果が維持され(ステップ23:Yes)、且つ車両が停車してイグニッションスイッチがOFFにされるまでの間(ステップ24:No)、補助制動特性をステップ21で設定した減速意図有り制動特性X36に維持する。
やがて車両が停車してイグニッションスイッチがOFFにされると(ステップ24:Yes)本実施例を終了する。
一方、ステップ22の判定処理において、「減速意図無し」と判定された場合(ステップ23:No)、補助制動特性は、図9(a)のマップ中の減速意図無し移行制動特性X38を経て(ステップ25)、同図のマップ中の減速意図無し制動特性X31に設定される(ステップ41)。
ここで、ステップ25の減速意図無し移行制動特性X38は、ステップ23で「No」と判定された時点で図9(a)のマップ中に示すように、減速意図有り制動特性X36から分岐して減速意図無し制動特性X31に達するまで減速意図有り制動特性X36の勾配よりも緩やかな勾配で移行(下降)する線形特性を示す。
また、上述したステップ4において、ステップ3の判定処理で「減速意図無し」(図11中のステップ38)と判定された場合(ステップ4:No.3)、補助制動特性は、図9(a)のマップ中の減速意図無し制動特性X31に設定される(ステップ41)。
その後、ECU7は、上述したステップ3の判定処理以降の処理を継続し、最終的に上述したように、車両が停車してイグニッションスイッチがOFFにされると(ステップ24:Yes)本実施例のブレーキ制御を終了する。
なお、図10中のステップ25において、減速意図無し移行制動特性X38に従って減速意図有り制動特性X36から減速意図無し制動特性X31へ移行している最中においても図10のフローチャート中に図示していないが、これら車両状態および運転者の操作状態に基づいてステップ3と同様の判定処理を行い、適宜補助制動特性を変更してもよい。
第3実施形態の制動装置1における図10のフローチャートを用いて説明した上述した実施例では、減速意図有り制動特性X36は、ステップ3の判定処理で減速意図有り(図11中のステップ37)と判定された時点で(ステップ4:No.2)、図9(a)のマップ中に示すように、減速意図無し制動特性X31から分岐して減速意図無し制動特性X31の接線勾配よりも急峻な勾配で立ち上がる特性としたが(ステップ21)、減速意図無し制動特性X31よりも補助ブレーキペダル3の同じ踏込量で大きな制動力が発生できる特性であれば、上述した特性に限定しない。
具体的には、図9(b)のマップ中に示すように、減速意図有り制動特性X46は、減速意図無し制動特性X41から分岐(派生)する波形ではなく、該減速意図無し制動特性X41とは独立した特性とすることができる。
さらに、図9(b)のマップ中に示すように、補助制動特性を減速意図無し制動特性X41から減速意図有り制動特性X46へ変更する際には、減速意図有り移行制動特性X48に従って移行することができる。この減速意図有り移行制動特性X48は、減速意図有り制動特性X46へ向かうように減速意図無し制動特性X41の接線勾配よりも急峻に該減速意図無し制動特性X41から立ち上がる移行特性である。
一方、図9(b)のマップ中に示すように、減速意図有り制動特性X46から減速意図無し制動特性X41へ補助制動特性を変更する際には、減速意図無し移行制動特性X49に従って移行することができる。この減速意図無し移行制動特性X49は、減速意図無し制動特性X41へ向かうように減速意図有り移行制動特性X48よりも緩やかに減速意図有り制動特性X46から降下する移行特性である。
図9(b)に示すマップが記憶されたECU7を備えた第3実施形態の制動装置1の他の実施例を図12のフローチャートを参照しながら説明する。
但し、図10のフローチャートと同じ処理については同一の符号を付してその説明を省略する。
ステップ4において、ステップ3の判定処理で「減速意図有り」(図11中のステップ37)と判定された場合であって(ステップ4:No.2)、現状の補助制動特性が減速意図有り制動特性X46の場合(ステップ21:Yes)、そのまま図9(b)のマップ中の減速意図有り制動特性X46の設定が維持される(ステップ23)。
一方、上述したステップ4において、ステップ3の判定処理で「減速意図有り」(図11中のステップ37)と判定された場合であって(ステップ4:No.2)、現状の補助制動特性が減速意図有り制動特性X46でなければ(ステップ21:No)、ステップ22の処理、すなわち図9(b)のマップ中の減速意図有り移行制動特性X48を経て同図のマップ中の減速意図有り制動特性X46の設定がなされる(ステップ23)。
その後のステップ24の判定処理の結果、「減速意図有り」(図11中のステップ37)と判定された場合(ステップ25:Yes)以降から本実施例が終了するまでの処理は、上述した図10のステップ23以降の処理と同じ処理が実行され、本実施例が終了する。
一方、ステップ24の判定処理の結果、「減速意図無し」(図11中のステップ38)と判定された場合(ステップ25:No)、又は、上述したステップ4において、ステップ3の判定処理で「減速意図無し」(図11中のステップ38)と判定され(ステップ4:No.3)且つ、現状の補助制動特性が減速意図有り制動特性X46である場合には(ステップ41:Yes)、ステップ42の処理、すなわち図9(b)のマップ中の減速意図無し移行制動特性X49を経て同図のマップ中の減速意図無し制動特性X41の設定がなされる(ステップ43)。
またステップ4において、ステップ3の判定処理で「減速意図無し」(図11中のステップ38)と判定された場合であって(ステップ4:No.3)、現状の補助制動特性が減速意図無し制動特性X41の場合(ステップ41:No)、そのまま図9(b)のマップ中の減速意図無し制動特性X41の設定が維持される(ステップ43)。
その後、ECU7は、上述したステップ3の判定処理以降の処理を継続し、最終的に上述したように、車両が停車してイグニッションスイッチがOFFにされると(ステップ26:Yes)本実施例のブレーキ制御を終了する。
上述した自動車の制動装置1によれば、運転席側に設けられた主ブレーキペダル2と、該主ブレーキペダル2の操作により制動力を調節する制動力調整装置としてのECU7と、助手席側に設けられ、主ブレーキペダル2の操作とは独立して該ECU7に制御可能に接続された補助ブレーキペダル3とを備え(図1参照)、運転者が車両を現状の走行速度に対して減速させる車両減速意図を有しているか否かを車両状態(車速、車両の加減速および車両の進行方向)と運転者の操作状態(シフトレバーポジション、アクセル開度、主ブレーキペダル2の踏込み操作量(ストローク、踏力))に基づいて判定する判定手段としてのECU7(すなわち、図11の判定処理(ステップ32〜36)を実行するECU7、換言すると図8の判定テーブル27を記憶したECU7)が設けられ、判定結果に応じて補助制動特性を変更する補助制動特性変更手段としてのECU7(図9(a)、(b)のマップを記憶するとともに図10中のステップ21,41、図12中のステップ23,43を実行するECU7)、ブレーキアクチュエータ8および液圧制御装置15を備えたものである(図1、図8〜図12参照)。
上記構成によれば、運転者の意図に補助ブレーキペダル3の制動特性を連動させることで、補助ブレーキペダル3の操作による運転者に与える不快感の軽減と、補助ブレーキペダル3の操作性の向上とを両立することができる。
従って、補助ブレーキペダル3の操作によって運転者に不快な急制動(所謂かっくんブレーキ)の防止と、これと相反する、坂道でのずり動きなどを防止できる素早い補助制動とを両立させることができる。
さらに自動車の制動装置1として備えるセンシング量を少なくすることができ、必要な情報量も既存のセンサから取得することができる。具体的には、車差間距離や、ヨーレイト等様々な車両走行状態や車両周辺の状態を検出する必要がなく、基本的に運転者のアクセル開度量、主ブレーキペダル2の操作量、必要に応じて補助ブレーキペダル3の操作量のみを検出するだけで足りるため、低コストで実現できる。
この発明の態様として、判定手段としてのECU7は、図8の判定テーブル27に基づいて主ブレーキペダル2の操作量(ストローク又は踏力)が0より大きい状態(条件a1)、シフトレバーポジションが示す方向とは異なる方向に車両が進行する状態(条件a2)、又は車両が所定速度以下の下で減速しながら走行しつつアクセル開度量が減少或いはアクセル開度が0以下の状態(条件a3、又はa4の要件参照)である場合に車両減速意図が有りと判定し(図11中のステップ37参照)、補助制動特性変更手段としてのECU7等は、「車両減速意図有り」と判定したとき(図10及び図12中のステップ4:No.2、図10中のステップ23:Yes、図12中のステップ25:Yes参照)、「車両減速意図無し」(図11中のステップ38参照)と判定したとき(図10および図12中のステップ4:No.3、図10中のステップ23:No、図12中のステップ25:No参照)よりも補助制動特性を制動力が強化される方向に変更する構成としたものである(図9(a)中の減速意図有り制動特性X36、図10中のステップ21、図9(b)中の減速意図有り制動特性X46、図12中のステップ22参照)。
上記構成によれば、運転者の減速意図の有無と補助制動特性の相関を高めることができ、補助ブレーキペダル3の操作性がさらに向上し、補助ブレーキペダル3による素早い補助制動を実現できる。
またこの発明の態様として、判定手段としてのECU7は、図8の判定テーブル27に基づいて上述した条件a1〜a4のいずれをも満たさない場合、具体的には、アクセル開度が0より大きい状態、車速が所定値以上の状態、又は、車両が一定或いは加速している状態である場合に車両減速意図が無しと判定し(図11中のステップ38参照)、補助制動特性変更手段としてのECU7等は、「車両減速意図無し」と判定したとき(図10及び図12中のステップ4:No.3、図10中のステップ23:No、図12中のステップ25:No参照)、「車両減速意図有り」(図11中のステップ37参照)と判定したとき(図10及び図12中のステップ4:No.2、図10中のステップ23:Yes、図12中のステップ25:Yes参照)よりも補助制動特性を制動力を緩和する方向に変更する構成とすることができる(図9(a)中の減速意図無し制動特性X31、図10中のステップ25,41、図9(b)中の減速意図無し制動特性X41、図12中のステップ42,43参照)。
上記構成によれば、運転者の減速意図の有無と補助制動特性の相関を高めることができ、補助ブレーキペダル3の操作性がさらに向上し、補助ブレーキペダル3による素早い補助制動を実現できる。
ここで車両減速意図有りの状態とは、車両が停車に向かう状態であり、運転者が積極的に車両の減速意図を有している状態に加え、運転者が積極的に車両の減速意図を有していなくて運転者の不注意等により、運転者の停車意志に反して或いは意に反する方向と異なる方向に車両が動き始めたときも含む。
また、車両減速意図無しの状態とは、運転者が現状の走行速度を維持又は加速しながら走行する走行継続意図を有している状態である。なお、現状の走行速度を維持とは、完全に等速を維持して走行する場合に限らず、所定の範囲内で車速が変動しながら走行する場合も含む。
またこの発明の態様として、補助制動特性変更手段としてのECU7(図11中のステップ31,39、図10及び図12のステップ5,6を実行するECU7)は、図8の判定テーブル27に基づいて補助ブレーキペダル3の踏込速度Xが所定値Xb以上であるとき、補助制動特性を、補助ブレーキペダル3の踏込速度Xが所定値Xb未満のときよりも制動力を強化する方向に変更する構成とすることができる(図9(a)、(b)中の緊急制動特性X32、緊急移行制動特性X33、図10及び図12中のステップ5,6参照)。
上記構成によれば、補助ブレーキペダル3の操作のみで制動力が強化する方向に補助制動特性が変更されるため、緊急時に迅速に対応することができる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、この発明の制動力調整装置は、本実施例のECU7に対応し、以下同様に、
補助ブレーキペダルの操作量は、踏力Tおよび踏込速度Xに対応し、
操作量情報取得手段は、踏力検出センサ5(5a,5b)、ストローク検出センサ6(6a,6b)および補助ブレーキペダル3の踏込速度Xを演算するECU7に対応し、
判定手段は、図5中のステップ31,32,81,82,11を実行するECU7、又は図4(a)、(b)の判定テーブル25,26を記憶したECU7に対応し、
制動初期領域は、速度調整領域および補助ブレーキ領域に対応し、
制動特性変更手段は、図2のマップを記憶するとともに図5中のステップ4,6,7,9,10を実行するECU7、ブレーキアクチュエータ8および液圧制御装置15に対応し、
非緊急制動特性から緊急制動特性への移行特性は、図2中の緊急移行制動特性X13に対応し、
緊急制動特性から非緊急制動特性への移行特性は、図2中の非緊急移行制動特性X14に対応するも、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、図11の判定処理のステップ31では、補助ブレーキペダル3の操作量を踏込速度Xとして判定処理を行ったが、この操作量に限らず、補助ブレーキペダル3の踏込速度X、踏力Tおよび踏込ストロークのうち少なくとも1つの操作量を採用してもよく、また、図11中の判定処理のステップ32では、主ブレーキペダル2の操作量を踏込ストロークとして判定処理を行ったが、この操作量に限らず、主ブレーキペダル2の踏込ストロークおよび踏力のうち少なくとも1つの操作量を採用してもよい。
図11の判定処理のステップ34では、アクセル開度量が減少したことを判定条件の要件としていたが(図8中の条件a3参照)、これに限らず、アクセル開度が所定の範囲を超えて減少した場合のみアクセル開度量が減少したものとみなしてもよく、同様に、ステップ34、35においては、車両が所定範囲を超えて減速した場合のみ車速が減少したものとみなしてもよい。
上述した主制動特性Y、補助制動特性X11,X12,X13,X14,X21,X22,X22’,X23,X23’,X31,X32,X33,X34,X36,X38,X41,X46,X48,X49は、図2、図6、図9(a)、(b)に示す波形に限らず、2次関数、指数関数など増加率が変動する非線形、線形、或いはこれらを組み合わせた波形としてもよい。
本実施例の制動装置1に備えたアクセル開度センサ17は、例えば、回転時(搖動時)の抵抗に基づいてアクセル開度(踏込角度)を検出するポテンショメータや、パルスに基づいてアクセル開度を検出するエンコーダなどで構成することができるが、アクセルペダル4の回転角度を検出する構成に限らず、アクセルペダル4の位置や変位量を検出する構成としてもよい。
主ブレーキペダル2や補助ブレーキペダル3に備えたストローク検出センサ6(6a,6b)についてもアクセル開度センサ17と同様に、ポテンショメータやエンコーダなどで構成するに限らず、これらペダル2,3の位置や変位量を検出する構成であってもよい。
また、本実施例の制動装置1は、図1に示すように、主ブレーキペダル2および補助ブレーキペダル3とブレーキアクチュエータ8とがECU7を介して電気的に接続され、ブレーキアクチュエータ8がブレーキ手段16FL,16RR,16FR,16RLを作動させる所謂バイ・ワイヤ式のブレーキシステムを採用したが、これに限らず、図示しないが、リザーバタンクから供給されるブレーキ液により液圧を発生させるマスタシリンダや、主ブレーキペダル2や補助ブレーキペダル3の踏力を増力してマスタシリンダに伝える倍力装置等を備え、リザーバタンクから供給されるブレーキ液により発生するブレーキ液圧を伝達してブレーキを作動させる旧来の油圧式のブレーキシステムを採用してもよい。
また、ブレーキ液圧は、制動力と比例関係など所定の関係性があるため、本実施例では、このブレーキ液圧を制御することにより、間接的に制動力を制御したが、これに限らず、制御量としてブレーキ液圧を用いずに制動力を直接制御してもよい。
以上説明したように、本発明は、運転席側に設けられた主ブレーキペダルと、該主ブレーキペダルの操作により制動力を調節する制動力調整装置と、助手席側に設けられ、前記主ブレーキペダルの操作とは独立して該制動力調整装置に制御可能に接続された補助ブレーキペダルとを備えた自動車の制動装置について有用である。
1…制動装置
2…主ブレーキペダル
7…ECU
3…補助ブレーキペダル
5(5a,5b)…踏力検出センサ
6(6a,6b)…ストローク検出センサ
8…ブレーキアクチュエータ
15…液圧制御装置
X11…非緊急制動特性
X12…緊急制動特性
X13…緊急移行制動特性
X14…非緊急移行制動特性
T…補助ブレーキペダルの踏力
X…補助ブレーキペダルの踏込速度
Xb…所定値(補助ブレーキペダルの所定の踏込速度)
Tb…所定値(補助ブレーキペダルの所定の踏力)

Claims (4)

  1. 運転席側に設けられた主ブレーキペダルと、該主ブレーキペダルの操作により制動力を調節する制動力調整装置と、助手席側に設けられ、前記主ブレーキペダルの操作とは独立して該制動力調整装置に制御可能に接続された補助ブレーキペダルとを備えた自動車の制動装置において、
    前記補助ブレーキペダルの操作量に関する情報を取得する操作量情報取得手段と、該操作量情報に基づいて緊急状態または非緊急状態を判定する判定手段と、判定結果に応じて、前記補助ブレーキペダルの制動特性を前記緊急状態の緊急制動特性および該緊急制動特性よりも制動初期領域の制動力が低い前記非緊急状態の非緊急制動特性のうち、いずれかに変更する制動特性変更手段と、が設けられた
    自動車の制動装置。
  2. 前記操作量は、補助ブレーキペダルの踏込速度であり、前記非緊急状態は、前記補助ブレーキペダルの踏込速度が所定値未満の状態である
    請求項1に記載の自動車の制動装置。
  3. 前記操作量は、補助ブレーキペダルのストローク又は踏力であり、前記非緊急状態は、前記補助ブレーキペダルのストローク又は踏力が所定値未満の状態である
    請求項1、又は2に記載の自動車の制動装置。
  4. 前記緊急制動特性から前記非緊急制動特性への移行特性が、該非緊急制動特性から該緊急制動特性への移行特性より緩やかな特性である
    請求項2に記載の自動車の制動装置。
JP2016030712A 2016-02-22 2016-02-22 自動車の制動装置 Pending JP2017149170A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016030712A JP2017149170A (ja) 2016-02-22 2016-02-22 自動車の制動装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016030712A JP2017149170A (ja) 2016-02-22 2016-02-22 自動車の制動装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017149170A true JP2017149170A (ja) 2017-08-31

Family

ID=59740330

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016030712A Pending JP2017149170A (ja) 2016-02-22 2016-02-22 自動車の制動装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017149170A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6241279U (ja) * 1985-08-30 1987-03-12
JPH1035474A (ja) * 1996-07-22 1998-02-10 Aisin Seiki Co Ltd 自動車用制動装置
JPH1143040A (ja) * 1997-07-28 1999-02-16 Nissan Motor Co Ltd ブレーキアシスト装置
JP2007331754A (ja) * 2007-08-20 2007-12-27 Hitachi Ltd ブレーキ装置
JP2009298242A (ja) * 2008-06-11 2009-12-24 Toyota Motor Corp 車両用ブレーキシステム

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6241279U (ja) * 1985-08-30 1987-03-12
JPH1035474A (ja) * 1996-07-22 1998-02-10 Aisin Seiki Co Ltd 自動車用制動装置
JPH1143040A (ja) * 1997-07-28 1999-02-16 Nissan Motor Co Ltd ブレーキアシスト装置
JP2007331754A (ja) * 2007-08-20 2007-12-27 Hitachi Ltd ブレーキ装置
JP2009298242A (ja) * 2008-06-11 2009-12-24 Toyota Motor Corp 車両用ブレーキシステム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9902377B2 (en) Method for controlling braking force of brake according to velocity
US7395144B2 (en) Brake assisting control system using a distance index
JP5740905B2 (ja) 車両用制動力制御装置
EP3789254A1 (en) Method, device and system for automatic braking of vehicle
CN108688630B (zh) 用于通过制动踏板将触觉上的信息输出给机动车的驾驶员的方法和装置
JP3848815B2 (ja) 自動車の走行制御装置及び自動車
JP7139875B2 (ja) 車両の制御装置
US8180545B2 (en) Methods and systems for calibrating braking systems and controlling braking in vehicles
JP2017226267A (ja) 電動駐車ブレーキ装置
JP6406279B2 (ja) 自動車の制動装置
KR20150067848A (ko) 차간거리를 고려하는 급제동 제어 장치 및 방법
JP2009298242A (ja) 車両用ブレーキシステム
JP6406278B2 (ja) 自動車の制動装置
JP2014024409A (ja) 車両用ブレーキ制御装置
JP2008110619A (ja) 車両用制動制御装置
JP2017149170A (ja) 自動車の制動装置
JP4573683B2 (ja) 車両のブレーキペダル装置
US11628814B2 (en) Controller and control method for controlling behavior of motorcycle
JP6300385B2 (ja) 車両挙動制御装置
JP7287504B2 (ja) 駆動力制御方法及び駆動力制御装置
JP7375924B2 (ja) 車両制御方法及び車両制御装置
JP7491706B2 (ja) ブレーキ装置
JP2006076376A (ja) ブレーキ装置
JP2004175356A (ja) 自動車の走行制御装置及び自動車
JP6579158B2 (ja) 車両制動制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180322

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180821