JP2017148868A - ハンダペースト用水溶性フラックス及びハンダペースト - Google Patents

ハンダペースト用水溶性フラックス及びハンダペースト Download PDF

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Abstract

【課題】優れた印刷性及び溶融性を維持しつつ、リフロー後の洗浄を水のみで行うことができるハンダペースト用水溶性フラックス及び該フラックスを用いて調製されたハンダペーストを提供する。【解決手段】ハンダペースト用水溶性フラックスは、常温で固体の界面活性剤である有機酸ポリグリセロールエステルと、チキソ剤と、溶剤とを含み、チキソ剤がベンジリデンソルビトール又はベンジリデンソルビトール誘導体であって、水溶性フラックス100質量%中、常温で液体の界面活性剤を0.1〜20.0質量%更に含む。有機酸ポリグリセロールエステルのHLB値は10〜19であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、ハンダペーストの調製に用いられる水溶性フラックス及び該フラックスを用いて調製されたハンダペーストに関する。更に詳しくは、印刷性及び溶融性に優れるとともに、リフロー後、水のみで洗浄可能なペーストを調製できるハンダペースト用水溶性フラックス及び該フラックスを含むハンダペーストに関するものである。
ハンダペーストは、携帯電話やパソコン等の情報電子機器や車載等の製造に際し、電子部品の実装、その他部品の接合等に広く使用されている。ハンダペーストに求められる特性は、製造する機器の用途、使用環境等に応じて様々である。例えば、携帯電話等の情報電子機器では携帯性を重視させた薄型化、軽量化が要求されることから、実装部品の小型化とともに、実装に用いられるハンダペーストについても、接合部品のファインピッチ(狭ピッチ)化や高密度実装に適した特性等が求められる。一方、車載用途等では、実装部品が比較的高温下に晒されることから、実装後のハンダが高温雰囲気で再溶融し、接合強度が低下するのを防止する必要がある。そのため、使用されるハンダペーストには、リフロー(溶融)後のハンダに対して高い耐熱性等を付与する特性が求められる。
このような電子部品の実装等に用いられるハンダペーストは、ハンダ粉末とフラックスを混合することによってペースト状に調製される。フラックスには、一般に樹脂成分や溶剤成分の他、活性剤やその他の成分が含まれ、樹脂成分には、電気絶縁性や耐湿性、溶融時のハンダ付性能等に優れたロジンが一般的に広く使用されている。ハンダペーストを用いた実装では、通常、リフロー後のハンダ表面に付着する活性成分等を除去するために洗浄を行うが、ロジンを主成分として含むフラックスを用いて調製されたハンダペーストの場合、この洗浄を水だけで行うことはできず、有機溶剤による洗浄が必要となる。しかし、有機溶剤を用いて洗浄を行うと、有機溶剤が大気中に揮発することで火災を引き起こしたり、大気や排水を汚染する原因となることから、実装中の安全衛生面や環境面等で問題があった。
このような問題を解消するため、回路基板に電子部品をハンダ付するのに用いられるフラックスであって、樹脂成分と溶剤成分を少なくとも含有し、樹脂成分として、該フラックスの残さ膜を水により洗浄できる水洗浄性樹脂を含有する回路基板ハンダ付用フラックスが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このフラックスでは、樹脂成分としてロジンの代わりに非イオン性の樹脂が用いられており、非イオン性の樹脂には、ポリグリセリンエステル化合物、及びポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとをそれぞれ交互に少なくとも1つ繰り返すブロックポリマーであってその分子の少なくとも一方の末端にアセチル基を有するアセチル化EO・POブロックポリマーの少なくとも1種が使用される。これにより、リフロー後の残さ膜を水で洗浄でき、その洗浄をした後のその回路基板の回路パターンの導電体間の絶縁性を損なわず、電子部品をハンダ付した回路基板の長期信頼性を高めることができるとされている。
特開2004−158728号公報(請求項1〜3、段落[0037]等)
しかしながら、上記従来の特許文献1に示されるフラックスは、主として、電子部品の回路基板等への実装を、いわゆるSMT(Surface mount technology、表面実装技術)により行うハンダペースト向けに利用されている。そのため、このフラックスを用いたハンダペーストでバンプ形成や狭ピッチ印刷等を行うと、バンプや印刷パターンが印刷後にダレて、隣り合うバンプ同士が繋がってしまう、いわゆるブリッジ等の不具合が生じることがある。このため、上記特許文献1に示されるフラックスは、SMT用途での使用や環境面等では非常に優れるものの、例えばFC(Flip-Chip)ボンディング技術のようにバンプ形成や狭ピッチ印刷等が必要な実装技術で用いられるハンダペースト向けには十分に適しているとはいえない。そこで、バンプ形成や狭ピッチ印刷に適した印刷性或いは溶融性を悪化させることなく、リフロー後、水のみで洗浄可能なペーストを調製できるハンダペースト用フラックスの開発が求められていた。
本発明の目的は、印刷性及び溶融性に優れるとともに、リフロー後、水のみで洗浄可能なペーストを調製できるハンダペースト用水溶性フラックス及び該フラックスを用いて調製されたハンダペーストを提供することにある。
本発明の第1の観点は、常温で固体の界面活性剤である有機酸ポリグリセロールエステルと、チキソ剤と、溶剤とを含むハンダペースト用水溶性フラックスにおいて、チキソ剤がベンジリデンソルビトール又はベンジリデンソルビトール誘導体であって、前記水溶性フラックス100質量%中、常温で液体の界面活性剤を0.1〜20.0質量%含むことを特徴とする。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に有機酸ポリグリセロールエステルのHLB値が10〜19であることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に有機酸ポリグリセロールエステルがラウリン酸ポリグリセロールエステル、ステアリン酸ポリグリセロールエステル、イソステアリン酸ポリグリセロールエステル、セスキステアリン酸ポリグリセロールエステル、ジイソステアリン酸ポリグリセロールエステル、ミリスチン酸ポリグリセロールエステル、パルミチン酸ポリグリセロールエステル、オレイン酸ポリグリセロールエステル及びベヘニン酸ポリグリセロールエステル、カプリル酸ポリグリセロールエステルからなる群より選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする。
本発明の第4の観点は、第1ないし第3の観点に基づく発明であって、更に溶剤のSP値が10〜20であることを特徴とする。
本発明の第5の観点は、第1ないし第4の観点のハンダペースト用水溶性フラックスとハンダ粉末とを含むハンダペーストである。
本発明の第1の観点のハンダペースト用水溶性フラックスは、常温で固体の界面活性剤である有機酸ポリグリセロールエステルと、チキソ剤と、溶剤とを含み、チキソ剤がベンジリデンソルビトール又はベンジリデンソルビトール誘導体である。これにより、優れた印刷性及び溶融性は維持しつつも、リフロー後、有機溶剤等を使用せずに、水(温水も含む、以下同様)のみで洗浄可能な、実装中の安全衛生面及び環境面等に優れたハンダペーストを調製できる。またハンダペースト用水溶性フラックス100質量%中、常温で固体の界面活性剤である有機酸ポリグリセロールエステルに加えて常温で液体の界面活性剤を0.1〜20.0質量%含むことにより、ハンダペーストにしたときにペーストの流動性を適度に高めることができ、これにより印刷性をより一層向上させることができる。
本発明の第2の観点のハンダペースト用水溶性フラックスは、有機酸ポリグリセロールエステルのHLB値が10〜19である。これにより、リフロー後の水による洗浄性をより高めることができる。
本発明の第3の観点のハンダペースト用水溶性フラックスは、有機酸ポリグリセロールエステルがラウリン酸ポリグリセロールエステル、ステアリン酸ポリグリセロールエステル、イソステアリン酸ポリグリセロールエステル、セスキステアリン酸ポリグリセロールエステル、ジイソステアリン酸ポリグリセロールエステル、ミリスチン酸ポリグリセロールエステル、パルミチン酸ポリグリセロールエステル、オレイン酸ポリグリセロールエステル及びベヘニン酸ポリグリセロールエステル、カプリル酸ポリグリセロールエステルからなる群より選ばれた1種又は2種以上である。これにより、バンプ等を形成するときの印刷性、或いはリフロー後の水による洗浄性をより高めることができる。
本発明の第4の観点のハンダペースト用水溶性フラックスは、溶剤のSP値が10〜20である。これにより、調製後のフラックス或いはこれを用いて調製されたパンダペーストを取り扱う際、或いは保管するに際して、粘度の経時安定性をより向上させることができる。
本発明の第5の観点のハンダペーストは、本発明のハンダペースト用水溶性フラックスを含むため、優れた印刷性及び溶融性を維持しつつも、リフロー後の洗浄を水のみで行うことができ、実装中の安全衛生面や環境面等で優れる。
次に本発明を実施するための形態を説明する。
本発明のハンダペースト用水溶性フラックスは、常温で固体の界面活性剤である有機酸ポリグリセロールエステルと、チキソ剤と、溶剤とを含むハンダペースト用水溶性フラックスの改良であり、その特徴ある構成は、チキソ剤がベンジリデンソルビトール又はベンジリデンソルビトール誘導体であって、水溶性フラックス100質量%中、常温で液体の界面活性剤(以下、単に「界面活性剤」という。)を0.1〜20.0質量%含むことにある。
本発明のハンダペースト用水溶性フラックスにおいて、有機酸ポリグリセロールエステルは、フラックスの主成分として一般的に使用されているガムロジン、水添ロジン、重合ロジン、エステルロジン等のロジンの代替として含まれる。即ち、このフラックスは、ロジンや他の樹脂成分を含まない。また、有機酸ポリグリセロールエステルは一般的なハンダペーストに用いられていたロジン(樹脂成分)の代替として含まれるため、クリームハンダのフラックスに、粘度調整剤等の副成分として極少量添加されるものではない。
有機酸ポリグリセロールエステルは、グリセリンを脱水縮合して得られるポリグリセリンと有機酸とをエステル化反応させることにより得られる。具体的には、ラウリン酸ポリグリセロールエステル、ステアリン酸ポリグリセロールエステル、イソステアリン酸ポリグリセロールエステル、セスキステアリン酸ポリグリセロールエステル、ジイソステアリン酸ポリグリセロールエステル、ミリスチン酸ポリグリセロールエステル、パルミチン酸ポリグリセロールエステル、オレイン酸ポリグリセロールエステル又はベヘニン酸ポリグリセロールエステル、カプリル酸ポリグリセロールエステル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用してもよい。この他、有機酸ポリグリセロールエステルには、天然物油脂から得られたヤシ油脂肪酸等も使用することができる。
また、本発明で使用する有機酸ポリグリセロールエステルは、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値が10〜19であることが好ましい。HLB値とは、水溶性を示す指標であり、有機酸の種類やポリグリセリンの重合の数等により変動し、数値が大きい程、水溶性が高いことを示す。有機酸ポリグリセロールエステルのHLB値が下限値未満では、フラックス又はペーストに十分な水溶性が付与されず、リフロー後の洗浄を水のみで行った際に残渣が生じる場合がある。一方、上限値を超えると、有機酸ポリグリセロールエステルの水への親和性が高くなりすぎて、これを十分に溶解させる適切な有機溶剤が無くなり、フラックスの作製が困難になる。或いは溶解できる有機溶剤であっても、非常に極性が高い有機溶剤になるため、フラックスの溶剤としては適さない。このうち、HLB値は11〜18の範囲であることがより好ましく、11〜16.5の範囲であることが特に好ましい。
チキソ剤には、ベンジリデンソルビトール又はベンジリデンソルビトール誘導体を使用する。ハンダペーストに用いられる一般的なチキソ剤には、硬化ひまし油、脂肪酸アマイド、天然油脂、合成油脂、12−ヒドロキシステアリン酸等、数多く存在するが、本発明では、上記ベンジリデンソルビトール又はその誘導体に限定する。これは、本発明者が鋭意研究した結果、バンプ形成や狭ピッチ印刷等が必要な実装方法で使用されるハンダペーストにおいて、樹脂成分に有機酸ポリグリセロールエステルを使用したときに、チキソ剤をこれらに限定すると、良好な印刷性や印刷後の形状保持性等が得られたという理由に基づいている。ベンジリデンソルビトール又はその誘導体としては、1,3:2,4−ビス−O−(ベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(4−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−O−(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール等が挙げられる。
溶剤としては、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、α−テルピネオール等の沸点が180℃以上である有機溶剤が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用してもよい。
また、ロジンの代わりに有機酸ポリグリセロールエステルを使用する際に、有機酸ポリグリセロールエステルの溶解性が低い溶剤を用いると、フラックス作製後に、一旦溶解した有機酸ポリグリセロールエステルが溶剤から徐々に析出し、フラックスの粘度が経時的に増加しやすくなる傾向がみられる。更に、ペーストを調製する際、有機酸ポリグリセロールエステルの溶解性が低い溶剤を用いたフラックスを使用すると、ハンダ粉末との混練時に、徐々に析出する有機酸ポリグリセロールエステルが溶剤に再溶解する。そして、再溶解した有機酸ポリグリセロールエステルが溶剤から再び析出することによって、ペースト粘度が経時的に増加するという不具合が生じる場合がある。そのため、本発明において、使用する溶剤には、フラックスの粘度やペースト粘度の経時的安定性の面から、水溶性の高い有機酸ポリグリセロールエステルに対して優れた溶解性を示すもの、即ちSP値が所望の範囲を満たすものを使用するのが望ましい。SP値とは、溶剤の溶解性を表す指標としてHildebrandにより提唱され、正則溶液論で定義された溶解度パラメーター(Solubility Parameter;SP)である。なお、本明細書に示すSP値は、Fedorsの式に基づいて算出するSP値(単位:(cal/cm31/2)である。具体的には、SP値が10〜20の範囲を満たす溶剤を使用するのが好ましい。使用する溶剤のSP値が下限値未満では、有機酸ポリグリセロールエステルが十分に溶解されず、フラックスの粘度やペースト粘度の経時安定性が悪くなり、経時的な増粘が著しくなる場合がある。一方、上限値を超えると、フラックス中の一成分として含まれる活性剤の反応性が高くなり、ペースト中に含まれるハンダ粉末と反応を起こすことによって、ペーストの経時的な増粘が著しくなったり、ペーストの溶融性が低下する場合がある。このうち、使用する溶剤のSP値は10〜17の範囲であることが特に好ましい。
本発明で使用する界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤又は両性界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体などのエーテル型ノニオン系界面活性剤;ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミンなどの(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン、トリエタノールなどのアルコールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、N, N',N'−トリス(2−ヒドロキシエチル)−N−アルキル−1,3−ジアミノアルカン、N, N',N'−ポリオキシエチレン−N−アルキル−1,3−ジアミノアルカン、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルアミンなどのアルキルアミンエーテル型ノニオン系界面活性剤;脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどのエステル型ノニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアルカノールアミドなどのエーテルエステル型ノニオン系界面活性剤;N−アシルアミノ酸エステル、N−アシルグルタミン酸エステル、ピログルタミン酸エステルなどのアミノ酸誘導体型ノニオン系界面活性剤が例示される。その他フェノールエトキシレート、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤がノニオン系界面活性剤として挙げられる。
またカチオン系界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩などのアルキルアミン塩などの界面活性剤が例示される。
またアニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、芳香族リン酸エステルなどの脂肪族リン酸エステル、ジオクチルスルホコハク酸エステルNa塩、アルコールサルフェートNa塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などの界面活性剤が例示される。
更に両性界面活性剤としては、ラウリルベタインなどのアルキルベタイン、脂肪酸アミドアルキル酢酸ベタイン、脂肪酸アミノ酢酸ベタイン、アルキルアミンオキサイドなどの界面活性剤が例示される。
また、フラックスには、上述の有機酸ポリグリセロールエステル、チキソ剤、溶剤、界面活性剤以外に、活性剤や酸化防止剤等を含ませることができる。活性剤には、アミン、有機酸、ハロゲン化水素酸アミン塩、有機酸アンモニウム塩、有機酸アミン塩、ハロゲン化アンモニウム、有機ハロゲン化合物等を使用することができる。
アミンとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3,4−ジヒドロキシベンジルアミン、メチルジエタノールアミン、ジフェニルグアニジン、アミノプロパノール、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンラウレルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン、メトキシプロピルアミン、ジメチルヘキシルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、2−ブロモエチルアミン、1,3−ジ−o−トリグアニジン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、エチルヘキシルアミン、エトキシプロピルアミン、エチルヘキシルオキシプロピルアミン、ピリジン、4−ブロモピリジン、ピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、ピペコリン、アニリン、ジメチルアミン、エチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、モルホリン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、エチルナフチルアミン、3−アミノ−1−プロペン、シクロヘキシルアミン、ジシロヘキシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、シクロヘキシルジエチレンアミン、シクロヘキシルメチルエチルアミン、シクロヘキシルジ−n−プロピルアミン、シクロヘキシルジイソプロピルアミン、シクロヘキシルジ−n−ブチルアミン、シクロヘキシルジイソブチルアミン、シクロヘキシルジペンチルアミン、シクロヘキシルジヘキシルアミン又はジシクロヘキシルメチルアミン等が挙げられる。
また、有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサヘキサエン酸、リグノセリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、サリチル酸、没食子酸、安息香酸、フタル酸、ケイ(桂)皮酸、メリト酸、シュウ酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、アコニット酸、グルタル酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
また、ハロゲン化水素酸アミン塩としては、上記アミンの塩化水素酸塩又は臭化水素酸塩が挙げられ、有機酸アンモニウム塩としては、アンモニアと上記有機酸との塩が挙げられ、有機酸アミン塩としては、上記アミンと上記有機酸との塩が挙げられる。
また、有機ハロゲン化合物としては、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルコール、ハロゲン化エステル、ハロゲン化カルボン酸、ハロゲン化ケトン、ハロゲン化アミド、ハロゲン化エーテル等が挙げられる。ハロゲン化アルキルの具体例としては、1−ブロモ−3−メチル−1−ブテン、1,4−ジブロモブテン、1−ブロモ−1−プロペン、2,3−ジブロモプロペン、1,1−ジブロモテトラクロロエタン、1,2−ジブロモ−1−フェニルエタン、1,2−ジブロモスチレン、1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカン、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモプロピル)−3,5−ジブロモフェルニ]プロパン、α,β−ジブロモエチルベンゼン等が挙げられる。ハロゲン化アルコールの具体例としては、1−ブロモ−2−プロパノール、3−ブロモ−1−プロパノール、3−ブロモ−1,2−プロパンジオール、1,3−ジブロモ−2−プロパノール、1,4−ジブロモ−2,3−ブタンジオール、2,3−ジブロモ−1−プロパノール、1−ブロモ−2−ブタノール、1,4−ジブロモ−2−ブタノール、2,3−ジブロモ−2−プロパノール、1,4−ジブロモ−2−ブタンジオール、2,3−ジブロモ−2−ブテン−1,4−ジオール、9,10,12,13,15,16−へキサブロモステアリルアルコール、9,10,12,13−テトラブロモステアリルアルコール等が挙げられる。ハロゲン化エステルの具体例としては、ブロモ酢酸エチル、α−ブロモカプリル酸エチル、α−ブロモプロピオン酸エチル、β−ブロモプロピオン酸エチル、α−ブロモ−酢酸エチル、9,10,12,13,15,16−へキサブロモステアリン酸メチルエステル、同エチルエステル、9,10,12,13−テトラブロモステアリン酸、同メチルエステル、同エチルエステル等が挙げられる。またハロゲン化カルボン酸の具体例としては、2,3−ジブロモコハク酸、2−ブロモコハク酸、2,2−ジブロモアジピン酸、9,10,12,13,15,16−ヘキサブロモステアリン酸、ビス(2,3−ジブロモプロピル)スクシネート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)o−フタレート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)p−フタレート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)p−フタルアミド、トリス(2,3−ジブロモプロピル)トリメリテート、4−ブロモメチルベンジルステアレート、2,4−ビスブロモメチルベンジルステアレート、テトラ(2,3−ジブロモプロピル)ピロメリテート等が挙げられる。ハロゲン化ケトンの具体例としては、2,4−ジブロモアセトフェノン等が挙げられる。ハロゲン化アミドの具体例としては、ビス(2,3−ジブロモプロピル)o−フタルアミド、トリス(2,3−ジブロモプロピル)トリメリトアミド、テトラ(2,3−ジブロモプロピル)ピロメリトアミド、ビス(2,3−ジブロモプロピル)タータミド、N,N‘−ビス(2,3−ジブロモプロピル)スクシアミド、N,N,N’,N’−テトラ(2,3−ジブロモプロピル)スクシアミド等が挙げられる。更にハロゲン化エーテルの具体例としては、トリメチロールプロパンビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテル、4−パルミトイルオキシベンジルブロマイド、4−ミリストイルオキシベンジルブロマイド、4−ラウロイルオキシベンジルブロマイド、4−ウンデカノイルオキシベンジルブロマイド等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤又はアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
水溶性フラックス100質量%中に占める有機酸ポリグリセロールエステルの割合は10質量%以上50質量%未満とするのが好ましく、15〜45質量%とするのが特に好ましい。また、溶剤の割合は30〜60質量%、チキソ剤の割合は1〜10質量%、活性剤の割合は0.1〜10質量%、酸化防止剤の割合は1〜10質量%とするのが好ましい。更に、水溶性フラックス100質量%中に占める界面活性剤の割合は、上述したように、0.1〜20.0質量%であり、1.0〜10.0質量%とするのが好ましい。
有機酸ポリグリセロールエステルの割合が下限値未満では、ペーストの流動性、基板へのタッキング性等が低下するため、印刷後のバンプに形状不良等の不具合が生じる場合がある。一方、上限値を越えると、フラックスの粘度が高くなり過ぎ、これに応じてペースト粘度も高くなることで、印刷後のバンプに形状不良が生じたり、ペーストがマスク開口部から吐出されずにバンプが形成されない、いわゆるミッシング等の不具合が生じる場合がある。また、溶剤の割合が下限値未満では、フラックスの粘度が高くなり、これに応じてペースト粘度が高くなりすぎることで、上述のバンプの形状不良やミッシング等の不具合が生じる場合がある。一方、上限値を越えると、フラックスの粘度が低くなり、これに応じてペーストの粘度が低くなり過ぎることで、ペースト中のハンダ粉末が沈降分離する等の不具合が生じる場合がある。
また、チキソ剤の割合が下限値未満では、ハンダペーストとしての形状保持性が低下し、隣り合うバンプ同士が繋がってしまう、いわゆるブリッジ等の不具合が生じる場合がある。一方、上限値を越えると、フラックスの粘度が高くなり、これに応じてペースト粘度が高くなりすぎることで、上述のバンプの形状不良やミッシング等の不具合が生じる場合がある。また、活性剤の割合が下限値未満では、ハンダ粉末が溶融せず、十分な接合強度が得られない場合があり、一方、上限値を越えると、保管中に活性剤がハンダ粉末と反応しやすくなるため、ハンダペーストの保存安定性が低下する場合がある。また、酸化防止剤の割合が下限値未満では、ハンダ粉末とフラックス成分が反応しやすくなるため、ハンダペーストの保存安定性が低下する場合がある。一方、上限値を越えると、ハンダ粉末の溶融性が低下する場合がある。
更に、界面活性剤の割合が下限値の0.1質量%未満では、基板上に多数のハンダバンプを形成したときに、ハンダペーストにしたときにペーストが流動しにくくなり、バンプが形成されないミッシングバンプが発生する。また界面活性剤の割合が上限値の20.0質量%を超えると、ハンダペーストにしたときにペーストが流動し易くなり、隣り合うバンプ同士が繋がってしまう、いわゆるブリッジが発生する。
このようにして得られたフラックスを用いてハンダペーストを調製するには、フラックスとハンダ粉末を所望の割合で混合する。使用するハンダ粉末については、特に限定されず、一般的な錫を主成分とするハンダ粉末等を使用することができる。例えば、Sn−Pb系ハンダ(組成 Sn:Pb=63:37質量%等)、Sn−Pb−Ag系ハンダ(組成Sn:Pb:Ag=62:36:2質量%等)、Sn−Pb−Bi系ハンダ(組成Sn:Pb:Bi=57:40:3質量%等)、Sn−Pb−Sb系ハンダ(組成Sn:Pb:Sb=8:86:6質量%等)、Sn−Ag系ハンダ(組成Sn:Ag=97.7:2.3質量%等)、Sn−Cu系ハンダ(組成Sn:Cu=98.3:0.7質量%等)、Sn−Ag−Cu系ハンダ(組成Sn:Ag:Cu=96.5:3:0.5質量%等)、Au−Sn系の高温ハンダ(組成Au:Sn=75〜85:25〜15質量%、及び組成Au:Sn=5〜15:95〜85質量%、特に組成Au:Sn=78〜80:22〜20質量%、及び組成Au:Sn=10:90質量%等)、Au−Si系の高温ハンダ(組成Au:Si=81.4:18.6質量%等)、Au−Ge系の高温ハンダ(組成Au:Ge=92.6:7.4質量%等)、Sn−Pb系の高温ハンダ(組成 Sn:Pb=5:95質量%等)、その他、Zn−Sn系ハンダ(組成Zn:Sn=9:91質量%等)、In−Sn系ハンダ(組成In:Sn=52:48質量%等)、Bi−Sn系ハンダ(組成Bi:Sn=58:42質量%等)、Sb−Sn系ハンダ(組成Sb:Sn=5:95質量%等)、Al−Zn系ハンダ(組成Al:Zn=5:95質量%等)等が挙げられる。また、ハンダ粉末の平均粒径については、一般的なハンダペーストに用いられる範囲内のものであれば特に限定されないが、例えば0.1μm〜1mmの範囲のものを好適に使用できる。なお、狭ピッチ印刷等を考慮すると、ハンダ粉末の平均粒径は0.1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、更に微細なバンプ形成等を考慮すると、1μm〜20μmの範囲内であることがより好ましい。本明細書において、平均粒径とは、レーザ回折散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所社製、型式名:Partica LA-950)を用いて測定された体積基準の平均粒径D50をいう。
ハンダペーストを調製する際のフラックスの混合量は、調製後のペースト100質量%中に占める該フラックスの割合が3〜60質量%となる量に調整するのが好ましい。下限値未満では、フラックスの量が少ないため、ペースト化が困難になる、或いはハンダ粉末が溶融しない等の不具合が生じる場合がある。一方、上限値を越えると、ペースト中に含まれるハンダ粉末の量が少なくなり、溶融後に必要なハンダ量が得られない場合がある。
このように調製されたハンダペーストでは、本発明のハンダペースト用水溶性フラックスを使用しているため、バンプ形成や狭ピッチ印刷に適した良好な印刷性或いは溶融性を維持しつつも、リフロー後の洗浄を水だけで行うことができ、実装中の安全衛生面や環境面等で優れる。そのため、このハンダペーストは、特に、FCボンディング技術等の実装技術において好適に用いることができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1〜54、比較例2〜25>
有機酸ポリグリセロールエステルと、チキソ剤と、溶剤と、活性剤と、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤と、界面活性剤をそれぞれ用意した。これらを、以下の表2〜表7に示す割合で配合し、混合、撹拌することによりフラックスを得た。なお、表2〜表7中、分類A〜Fで示される有機酸ポリグリセロールエステル及び分類A〜Dで示される溶剤、分類A、Bで示されるチキソ剤、分類A、Bで示される活性剤は、以下の表1に示す。表5〜表7中、分類A〜Eで示される界面活性剤は、エーテル型ノニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルエーテル(分類A)、同じくエーテル型ノニオン系界面活性剤であるビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン(分類B)、カチオン系界面活性剤であるラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(分類C)、アニオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(分類D)、両性界面活性剤であるラウリルベタイン(分類E)であり、表1にも示す。表1中、有機酸ポリグリセロールエステルの名称の末尾に記載された数字はポリグリセロールの重合数を示す。なお、比較例2、比較例11〜14、比較例21、比較例23及び比較例24では界面活性剤を配合しなかった。
<比較例1>
有機酸ポリグリセロールエステル類の代わりにロジン(重合ロジン)を使用し、ロジン、チキソ剤、溶剤、活性剤及び酸化防止剤を、以下の表4及び表7に示す割合で配合したこと以外は、実施例1と同様にしてフラックスを得た。この比較例1で得られたフラックスはポリグリセロールエステル類を含まない。
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<比較試験及び評価>
実施例1〜54及び比較例1〜25で得られたフラックスを用いて、以下の(i)〜(iii)の評価を行った。これらの結果を表8〜表10に示す。表8〜表10には、用いたハンダ粉末の種類も示した。
(i) バンプ印刷性(基板):二種類のハンダ粉末を用意し、二種類のハンダペーストを調製した。先ず、平均粒径が8μmのSn−Ag−Cu系ハンダ粉末(組成:Sn96.5質量%、Ag3.0質量%、Cu0.5質量%)を用意し、このハンダ粉末89.0質量部と、実施例1〜49、52、比較例1〜22でそれぞれ得られたフラックス11.0質量部とを室温にて攪拌、混合することにより、ハンダペーストを調製した。表8〜表10においてこのハンダ粉末を「SAC305」と記載した。次に、平均粒径が8μmのAu−Sn系ハンダ粉末(組成:Au78.0質量%、Sn22.0質量%)を用意し、このハンダ粉末94.0質量部と、実施例50、51、53、54、比較例23〜25でそれぞれ得られたフラックス6.0質量部とを室温にて攪拌、混合することにより、ハンダペーストを調製した。表9及び表10においてこのハンダ粉末を「Au22Sn」と記載した。なお、ハンダ粉末の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、型式名:Partica LA-950)を用いて測定した体積基準の平均粒径D50である。複数の開口部が設けられたNiメッキ製のメタルマスク版(外形寸法:縦300mm×横3000mm×厚さ20μm、開口径φ:75μm、開口部ピッチ:100μm)を備える小型半自動スクリーン印刷機を用い、上述のハンダペーストを基板(寸法:縦60mm×横60mm×厚さ0.8mm)上に印刷することにより、基板上にハンダバンプを形成した。なお、上記基板は、基板の一方の面に設けられた厚さが約50μmの銅箔と、この銅箔上に設けられ、銅箔まで貫通する複数の開口部が形成されたレジスト膜(膜厚15μm、開口径φ65μm、開口部ピッチ100μm)を備える。上記基板上に形成されたハンダバンプ20,000個中、バンプが形成されないミッシングバンプの数と、隣り合うバンプ同士が繋がったブリッジの数を計測した。ミッシングバンプの数及びブリッジの数がそれぞれ5以下のものを合格とした。
(ii) バンプ溶融性(基板):上述のバンプ印刷性試験でハンダバンプを形成した基板を、リフロー炉(マルコム社製、型式名:SRS-1C)を用いて、次の条件で溶融させた。実施例1〜49、比較例1〜22のSn−Ag−Cu系ハンダ粉末を用いたハンダペーストにより形成されたハンダバンプについては、基板を窒素雰囲気中、室温から150℃まで1.5℃/sの昇温速度で昇温し、150℃で2分間予備乾燥した後、150℃から230℃の温度まで1.5℃/sの昇温速度で昇温し、230℃の温度で5秒間加熱することにより、基板上のハンダバンプを溶融させた。また実施例50、51、53、54、比較例23〜25のAu−Sn系ハンダ粉末を用いたハンダペーストにより形成されたハンダバンプについては、室温から220℃まで1.5℃/sの昇温速度で昇温し、220℃で2分間予備乾燥した後、220℃から300℃の温度まで1.5℃/sの昇温速度で昇温し、300℃の温度で5秒間加熱することにより、基板上のハンダバンプを溶融させた。リフロー後の外観を目視にて観察し、バンプ周辺に未凝集のハンダが確認されなかった場合を「良好」、未凝集のハンダが確認された場合を「不良」と評価した。
(iii) フラックス洗浄性(基板):100mlのガラス製ビーカーに入れた50mlのイオン交換水を、ホットプレートを用いて60℃になるまで加熱した。この60℃のイオン交換水が入ったビーカーに、上述の溶融性試験を行った後の基板を投入し、更に超音波洗浄器内にビーカーごと投入して5分間超音波をかけた。その後、基板をビーカーから取り出し、エアブローにて水を除去した後に、乾燥器を用いて、50℃の温度で5分間乾燥させた。リフロー及び洗浄後のバンプ部分を、走査型電子顕微鏡(SEM;日本電子社製 型式名:JSM-6510LV)の反射電子像にて観察し、有機成分の残渣の有無を確認した。このときの有機成分の残渣の有無又はその程度から、残渣がほぼ皆無の場合を「優良」、バンプ表面積100%に対して5%未満の残渣が確認された場合を「良好」、バンプ表面積100%に対して5%以上の残渣が確認された場合を「不良」とし、3段階にて評価した。
Figure 2017148868
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表8から表10から明らかなように、実施例1〜54と比較例1〜25とを比較すると、フラックスの成分にロジンを用いた比較例1では、バンプ印刷性の評価では「良好」であったものの、水だけでは十分な洗浄ができず、フラックス洗浄性の評価が「不良」の結果となった。また、硬化ひまし油を使用した比較例15〜20、22,25では、樹脂成分として有機酸ポリグリセロールエステルを使用したことにより、フラックス洗浄性の評価では、いずれにおいても「良好」又は「優良」の結果が得られ、またバンプ印刷性のうちミッシングバンプ数は合格基準を満たしたものの、ブリッジ数が合格基準を満たさなかった。
またフラックスの成分に有機酸ポリグリセロールエステルと特定のチキソ剤を含む一方、界面活性剤を含有させなかった比較例2、11〜14、21、23,24及び界面活性剤をそれぞれ0.05質量%含んだ比較例3、5では、バンプ溶融性とフラックス洗浄性について、それぞれ合格基準を満たしたものの、ハンダペーストにしたときにペーストが流動しにくく、ブリッジは発生しない一方、ミッシングバンプ数が8〜57であって合格基準に達しなかった。
またフラックスの成分に有機酸ポリグリセロールエステルと特定のチキソ剤を含む一方、界面活性剤をそれぞれ25.0質量%含んだ比較例4、6〜10では、バンプ溶融性とフラックス洗浄性について、それぞれ合格基準を満たしたものの、ハンダペーストにしたときにペーストが流動し易くなり、バンプ間のブリッジ数が合格基準に達しなかった。
これに対し、樹脂成分として有機酸ポリグリセロールエステルを使用し、特定のチキソ剤を使用し、界面活性剤を特定の量だけ含んだ実施例1〜54では、バンプ溶融性とフラックス洗浄性に高い評価が得られた。ノニオン系界面活性剤の含有量が0.1質量%の実施例1ではミッシングバンプ数が「2」、アニオン系界面活性剤の含有量が0.2質量%の実施例9、22ではミッシングバンプ数が「4」、「3」、ノニオン系とカチオン系を合わせた界面活性剤の含有量が0.2質量%の実施例11、24ではミッシングバンプ数が「2」、「1」、である一方、それ以外の実施例2〜8、10、12〜21、23、25〜54では、ミッシングバンプ数が「0」であり、すべての実施例1〜54がミッシングバンプ数に関して合格していた。
またノニオン系界面活性剤の含有量が20.0質量%の実施例3ではブリッジ数が「4」、別の種類のノニオン系界面活性剤の含有量が20.0質量%の実施例7、20ではブリッジ数が「2」、両性界面活性剤の含有量が15.0質量%の実施例10、23ではブリッジ数が「4」、「2」、ノニオン系とアニオン系を合わせた界面活性剤の含有量が15.0質量%の実施例12、25ではブリッジ数が「2」、カチオン系とアニオン系を合わせた界面活性剤の含有量が20.0質量%の実施例14、27ではブリッジ数が「4」である一方、それ以外の実施例1、2、4〜6、8、9、11、13、15〜19、21、22、24、26、28〜54では、ブリッジ数が「0」であり、すべての実施例1〜54がブリッジ数に関して合格していた。
本発明のハンダペースト用水溶性フラックスは、電子部品の実装(特に、FCボンディング技術のようなバンプ形成や狭ピッチ印刷等が必要な実装技術)、その他部品の接合等に広く利用することができる。

Claims (5)

  1. 常温で固体の界面活性剤である有機酸ポリグリセロールエステルと、チキソ剤と、溶剤とを含むハンダペースト用水溶性フラックスにおいて、
    前記チキソ剤がベンジリデンソルビトール又はベンジリデンソルビトール誘導体であって、前記水溶性フラックス100質量%中、常温で液体の界面活性剤を0.1〜20.0質量%含むことを特徴とするハンダペースト用水溶性フラックス。
  2. 前記有機酸ポリグリセロールエステルのHLB値が10〜19であることを特徴とする請求項1記載のハンダペースト用水溶性フラックス。
  3. 前記有機酸ポリグリセロールエステルがラウリン酸ポリグリセロールエステル、ステアリン酸ポリグリセロールエステル、イソステアリン酸ポリグリセロールエステル、セスキステアリン酸ポリグリセロールエステル、ジイソステアリン酸ポリグリセロールエステル、ミリスチン酸ポリグリセロールエステル、パルミチン酸ポリグリセロールエステル、オレイン酸ポリグリセロールエステル及びベヘニン酸ポリグリセロールエステル、カプリル酸ポリグリセロールエステルからなる群より選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のハンダペースト用水溶性フラックス。
  4. 前記溶剤のSP値が10〜20であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のハンダペースト用水溶性フラックス。
  5. 請求項1〜4記載のハンダペースト用水溶性フラックスとハンダ粉末とを含むハンダペースト。
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