JP2017146590A - エレクトロクロミック素子、およびその駆動方法、光学フィルタ、レンズユニット及び撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第一の電極1と、第二の電極2と、第三の電極3と、を有し、第一の電極1と第二の電極2との少なくともいずれかが透明電極であり、第一の電極1と第二の電極2との間に、電解質4と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の酸化還元物質と、を有し、第三の電極3が、電解質4を介して第一の電極1又は第二の電極2のいずれかと電気的に接続可能であり、第三の電極3が、不可逆的に酸化される被酸化性物質を有し、前記被酸化性物質が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の第一の酸化体によっては酸化されず、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の不可逆的な酸化反応における還元体よりも酸化されやすい。
【選択図】図2
Description
光学フィルタ、レンズユニット及び撮像装置に関する。
このようなEC素子において、時間の経過に伴う光学特性の変化抑制は、最も大きな課題の一つである。特許文献1には、EC材料が電解質に溶解した相補型のEC素子において、非EC性の材料であって、アノード性のEC材料よりも酸化されやすい材料及びカソード性のEC材料よりも還元されやすい材料を用いることが開示されている。尚、これらの材料を以降「レドックスバッファー」と呼ぶことにする。
特許文献1のEC素子においては、着色体であるアノード性のEC材料の酸化体よりもレドックスバッファーの酸化体が安定であり、カソード性EC材料の還元体よりもレドックスバッファーの還元体が安定である。そのため、消色動作時に、電荷のインバランスが発生した場合においても、レドックスバッファーの電荷量でカバーできる範囲においては、EC材料の着色体が残存するよりも、それぞれ対応するレドックスバッファーの酸化体又は還元体が生成する。そして、このレドックスバッファーは、非EC性であるために、これらの酸化体又は還元体が生成しても、その酸化還元反応は光の透過率に影響を及ぼさない。言い換えれば、このレドックスバッファーは、非変動色の電荷のバランス領域を付与する役割を果たすため、特許文献1のEC素子は、電荷のインバランスが生じたとしても消色不良に直結しないようになっている。
また特許文献1の様に、レドックスバッファーを用いても、表示電極間における電荷のインバランスそのものが解消されるわけではない。即ち、EC材料の着色体を減少させる(=代わりに着消色しないレドックスバッファーの酸化/還元体が生成する)だけで、表示電極間における電荷のバランスに影響を与えるわけではない。相補型のEC素子で電荷のインバランスが発生すると、アノード性のEC材料/カソード性のEC材料の着色体の比は変化することになる。
具体的には、電荷インバランスによって残存している材料の反対極性の材料の着色の比が、電荷インバランスによって残存している材料の着色の比より小さくなることが起こる。例として挙げると、カソード性のEC材料の着色体が残存している電荷インバランスの状態からEC素子を着色した場合では、電荷インバランスが発生していない状態と比較して、アノード材料に起因する着色の比が、カソード材料に起因する着色の比より小さくなる。その結果、設計時に想定していた吸収スペクトルから、実際の吸収スペクトルが変化することになり、EC素子の吸収色の変色として現れるために好ましくない。特許文献1では、電荷インバランスにより消色動作時に、残存するアノード材料の酸化体、またはカソード材料の還元体の電荷をレドックスバッファーが引き受けることにより、アノード、カソードのうちの一方の極性の着色が残存することを抑制する。しかし表示電極間における電荷のインバランス自体を修正しているわけではないため、このアノード性EC材料/カソード性EC材料の着色体の比のシフトは修正されない。別の表現を用いると、表示電極間における電荷インバランスを生じても消色動作時に色が見えることを抑制するだけで、着色動作時には電荷インバランスによりアノード材料、カソード材料の比が、当初とは変化した着色状態が出現してしまうことになる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされるものであり、その目的は、発生し得る電荷のインバランスを補正することができ、消色時の消色不良(色残り)が抑制され、かつ着色動作時のスペクトルの再現性に優れたエレクトロクロミック素子を提供することにある。
本発明のエレクトロクロミック素子の第二の態様は、第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれかが透明電極であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、アノード性の酸化還元物質と、を有するエレクトロクロミック素子であって、前記第三の電極が、前記電解質を介して前記第一の電極又は前記第二の電極のいずれかと電気的に接続可能であり、前記第三の電極が、不可逆的に還元される被還元性物質を有し、前記被還元性物質が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の第一の還元体によっては還元されず、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の不可逆的な還元反応における酸化体よりも還元されやすいことを特徴とする。
本発明のエレクトロクロミック素子の第三の態様は、第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれかが透明電極であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、を有するエレクトロクロミック素子であって、前記第三の電極が、前記電解質を介して前記第一の電極又は前記第二の電極のいずれかと電気的に接続可能であり、前記第三の電極が、不可逆的に酸化される被酸化性物質と、不可逆的に還元される被還元性物質と、を有し、前記被酸化性物質が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の第一の酸化体によっては酸化されず、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の不可逆的な酸化反応における還元体よりも酸化されやすく、前記被還元性物質が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の第一の還元体によっては還元されず、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の不可逆的な還元反応における酸化体よりも還元されやすいことを特徴とする。
本発明のエレクトロクロミック素子の第四の態様は、第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれかが透明電極であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の酸化還元物質と、を有するエレクトロクロミック素子であって、前記第三の電極が、前記電解質を介して前記第一の電極又は前記第二の電極のいずれかと電気的に接続可能であり、前記第三の電極が、不可逆的に酸化される被酸化性物質を有し、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物における可逆的な第一の酸化反応の酸化電位Aと、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物における不可逆的な酸化反応の酸化電位Bとの間に、前記被酸化性物質の酸化電位Cがあることを特徴とする。
本発明のエレクトロクロミック素子の第五の態様は、第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれかが透明電極であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、アノード性の酸化還元物質と、を有するエレクトロクロミック素子であって、前記第三の電極が、前記電解質を介して前記第一の電極又は前記第二の電極のいずれかと電気的に接続可能であり、前記第三の電極が、不可逆的に還元される被還元性物質を有し、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物における可逆的な第一の還元反応の還元電位Dと、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物における不可逆的な還元反応の還元電位Eとの間に、前記被還元性物質の還元電位Fがあることを特徴とする。
本発明のエレクトロクロミック素子の第六の態様は、第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれかが透明電極であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、を有するエレクトロクロミック素子であって、前記第三の電極が、前記電解質を介して前記第一の電極又は前記第二の電極のいずれかと電気的に接続可能であり、前記第三の電極が、不可逆的に酸化される被酸化性物質と、不可逆的に還元される被還元性物質と、を有し、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物における可逆的な第一の酸化反応の酸化電位Aと、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物における不可逆的な酸化反応の酸化電位Bとの間に、前記被酸化性物質の酸化電位Cがあり、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物における可逆的な第一の還元反応の還元電位Dと、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物における不可逆的な還元反応の還元電位Eとの間に、前記被還元性物質の還元電位Fがあることを特徴とする。
(i)アノード性の有機エレクトロクロミック化合物とカソード性の酸化還元物質
(ii)カソード性の有機エレクトロクロミック化合物とアノード性の酸化還元物質
(iii)アノード性の有機エレクトロクロミック化合物とカソード性の有機エレクトロクロミック化合物
本発明において、酸化還元物質とは、所定の電位範囲において、繰り返し酸化還元反応を起こすことが可能な化合物である。酸化還元物質には、無機化合物も有機化合物も含まれるが、本発明においては特に制限なく両者を使用することができる。中でも用いられるEC材料の使用環境との適合性から、有機化合物の酸化還元物質が好ましく用いられる。
本発明において、有機エレクトロクロミック(EC)材料とは、酸化還元物質の一種であり、酸化還元反応により、素子の対象とする光波長領域において光吸収特性が変化する物質である。ところで上述した有機エレクトロクロミック化合物は、有機エレクトロクロミック材料と同意である。尚、エレクトロクロミック材料には、有機化合物も無機化合物も含まれるが、以下の説明において、有機エレクトロクロミック材料を「EC材料」と呼ぶこととする。また、ここでいう光吸収特性とは、代表的には、光吸収状態と光透過状態とであり、EC材料は、光吸収状態と光透過状態とが切り替わる材料である。
酸化還元物質及びEC材料に対して用いられる用語である酸化体、還元体について以下に説明する。以下の説明において、酸化還元物質やEC材料の酸化体とは、対応する還元反応が可逆的に進行する場合において、電極における一電子以上の還元反応によって還元体へと還元されるものをいう。一方、酸化還元物質やEC材料の還元体とは、対応する酸化反応が可逆的に進行する場合において、電極における一電子以上の酸化反応によって、酸化体へと酸化されるものをいう。
本発明において、電解質には、電解質そのものに限らず、電解質を溶媒に溶解させて調製した電解液の概念も含まれる。尚、本発明において、電解質には、塩化合物を溶媒に溶解させて得た溶液、イオン性液体、ゲル電解質、ポリマー電解質等も含まれる。また電解質の具体例については、後述する。
本発明において、第三の電極が有し得る物質である被酸化性物質とは、所定の電位範囲において、不可逆的な酸化反応を起こす化合物である。また第三の電極が有し得る物質である被還元性物質とは、所定の電位範囲において、不可逆的な還元反応を起こす化合物である。本発明において、第三の電極が被酸化性物質又は被還元性物質を有するとは、これら物質の少なくともいずれかが直接又は間接的に第三の電極に固定化されていることを意味する。ここで、これら物質が第三の電極に直接固定化されている場合、当該物質は、他の物質を介さずに物理的又は化学的な要因により第三の電極に固定化されている状態になっている。一方、当該物質が間接的に第三の電極に固定化されている場合、当該物質は、例えば、膜状の物質を介して第三の電極に物理的又は化学的に固定化されている状態になっている。いずれの場合においても、当該物質は、第三の電極との間で電荷の授受が可能な状態であることが好ましい。本発明において、第三の電極は、電解質中に含まれるEC材料との間での電荷の授受を行うことができ、また外部回路に対して電荷の授受を行える電極である。
以下、図面を参照しながら、電荷のバランス/インバランスの概念について説明する。図1は、電荷のバランス/インバランスの概念を説明する図である。尚、図1は、相補型EC素子が対象となっている。図1には、アノードである第一の電極1と、カソードである第二の電極2と、が示されている。また図1において、Aは、アノード性のEC材料の還元体(消色状態)であり、A+は、アノード性のEC材料の酸化体(着色状態)である。さらに図1において、Cは、カソード性のEC材料の酸化体(消色状態)であり、C-は、カソード性のEC材料の還元体(着色状態)である。
A→A++e- (α)
C+e-→C- (β)
図2は、本発明のEC素子における実施形態の例を示す断面模式図である。図2のEC素子10は、第一の電極1と、第三の電極3と、を有する基板(第一の基板6)と、第二の電極2と、第三の電極3と、を有する基板(第二の基板7)と、を有している。図2のEC素子10において、第一の電極1と第二の電極2との間には、電解質4が配置されており、この電解質4は、第一の電極1、第二の電極2及び第三の電極3に接している。尚、電解質4は、シール材5によって外部と隔離されて保持されていることが好ましい。また本発明のEC素子には、第一の電極1と第二の電極2との間にアノード性の酸化還元物質及びカソード性の酸化還元物質を有している。第一の電極1と第二の電極2との間に含まれるアノード性の酸化還元物質及びカソード性の酸化還元物質は、それぞれ電解質に溶解されていてもよいし、第一の電極1又は第二の電極2に固定化されていてもよい。また、第一の電極1と第二の電極2との間に含まれるアノード性の酸化還元物質及びカソード性の酸化還元物質の少なくともいずれかがEC材料である。
EC素子10を構成する基板(6、7)としては、ガラス、高分子化合物等の透明な基板が挙げられる。
本発明においては、第一の電極1及び第二の電極2のうち、少なくともいずれかが透明電極である。ここで、「透明」とは、該当する電極が光を透過することを意味し、光の透過率が、50%以上100%以下であることが好ましい。第一の電極1、第二の電極2のうち少なくともいずれかが透明電極であることによって、EC素子10の外部より効率的に光を取り込み、EC材料の分子と相互作用させて、当該EC材料の分子の光学的特性を出射光に反映させることができるからである。また、ここでいう「光」とは、一定の波長領域に含まれる光をいうが、この「波長領域」は、EC素子10の使用態様によって定められる。例えば、EC素子10を可視光領域の撮像装置のフィルタとして使用するのであれば、可視光領域の光が対象となり、赤外線領域の撮像装置のフィルタとして使用するのであれば、赤外線領域の光が対象となる。
本発明のEC素子は、第一の電極1及び第二の電極2に加えて、第三の電極3を有している。上記「6.電荷のバランス/インバランス」にて説明したように、アノード性の酸化還元物質及び/又はカソード性の酸化還元物質を同時に使用し、これら酸化還元物質のうちのいずれかがEC材料である相補型のEC素子では、電荷のインバランス状態が発生したときに、それがアノード性、カソード性いずれの電荷インバランスであっても消色不良として感知される可能性がある。このような場合に、第一の電極1と第二の電極2との間に印加する電圧を、着色時と反対方向の極性の電圧としてこの消色不良(消え残り)を抑制しようとしても、反対極性のEC材料が着色する又は反対極性の酸化還元物質が反応するだけで有効な抑制策とはならない。ここでいう「反対極性のEC材料」とは、消え残りの対象がアノード性のEC材料であればカソード性のEC材料であり、消え残りの対象がカソード性のEC材料であればアノード性のEC材料である。また「反対極性の酸化還元物質」とは、消え残りの対象がアノード性のEC材料であればカソード性の酸化還元物質であり、消え残りの対象がカソード性のEC材料であればアノード性の酸化還元物質である。
以下に説明する方法は、アノード性のEC材料の第一の酸化体又はカソード性のEC材料の第一の還元体を、対応する被酸化性物質又は被還元性物質と直接接触させる方法である。具体的には、アノード性のEC材料の第一の酸化体又はカソード性のEC材料の第一の還元体を溶解させた電解質の中に、対応する被酸化性物質又は被還元性物質を投入する。このとき、電解質中にアノード性のEC材料が含まれる場合は被酸化性物質を、電解質中にカソード性のEC材料が含まれる場合は被還元性物質を投入する。被酸化性物質(又は被還元性物質)を投入した結果、着色体、即ち、アノード性のEC材料の第一の酸化体(又はカソード性のEC材料の第一の還元体)の着色状態が保持されれば、上記の(3−1)又は(3−2)の事項が確認できる。
以下に説明する方法は、アノード性のEC材料の第一の酸化体(又はカソード性のEC材料の第一の還元体)を含む電解質を、対応する被酸化性物質(又は被還元性物質)を有する第三の電極と接触させる方法である。具体的には、アノード性のEC材料の第一の酸化体(又はカソード性のEC材料の第一の還元体)を溶解させた電解質を、対応する被酸化性物質(又は被還元性物質)を有する第三の電極に接触させる。この結果、着色体、即ち、アノード性のEC材料の酸化体(又はカソード性のEC材料の還元体)の着色状態が保持されれば、上記の(3−1)又は(3−2)の事項が確認できる。
以下に説明する方法は、EC材料や被酸化性物質(又は被還元性物質)の電極反応電位によって比較する方法である。ここで酸化還元電位は、電気化学的な測定によって決定することができる。例えば、EC材料及び被酸化性物質(又は被還元性物質)のそれぞれのサイクリックボルタンモグラム測定を行うことで評価できる。
以下に説明する方法は、EC材料や被酸化性物質(又は被還元性物質)の電極反応の開始電位によって比較する方法である。ここでいう開始電位は、電気化学的な測定によって決定することができる。例として、第三の電極を用いたEC材料のサイクリックボルタンモグラム測定や、EC材料及び被酸化性物質(又は被還元性物質)のそれぞれのサイクリックボルタンモグラム測定が挙げられる。
(A)第一の電極1又は第二の電極2を形成する導電膜を有する導電性基板の一部をエッチング等により加工して、当該導電膜を第一の電極1又は第二の電極2と電気的に独立した領域を含む複数の領域に分割する工程。
(B)上記電気的に独立した領域に設けられる導電膜に、多孔質電極である第三の電極3を形成する工程。
(C)第三の電極3に被酸化性物質又は被還元性物質を固定化する工程。
図2のEC素子10を構成する基板(6、7)は、第一の電極1の電極面と第二の電極2の電極面とを対向させた状態でシール材5によって接合されていることが好ましい。シール材5としては、そのシール後の特性が電解質4に対して安定で侵されることがなく、電気化学的に安定でEC素子の動作時に電気化学反応を起こすことがなく、気体及び液体を透過しにくく、EC材料の酸化還元反応を阻害しない材料であることが好ましい。例えば、ガラスフリット等の無機材料、エポキシ系、アクリル系樹脂等の有機材料、金属等を用いることができる。そのシール後の特性が電解質4に対して不安定な場合には、溶出したシール材5の成分で電極が汚染される等の懸念がある。また、シール材5の成分が電気化学的に不安定である場合には、電極反応により電荷インバランスを生じる原因となる可能性がある。また、気体および液体(特に酸素と水分)を透過しやすい場合には、それらの電極反応により電荷インバランスを生じる原因となる可能性があるので注意が必要である。尚、シール材5は、スペーサー材料を含有させる等により、第一の電極1と第二の電極2との間の距離を保持する機能を有していてもよい。シール材が第一の電極1と第二の電極2との間の距離を規定する機能を有していない場合は、別途スペーサーを配置して両電極間の距離を保持してもよい。スペーサーの素材としては、シリカビーズ、ガラスファイバー等の無機材料や、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジビニルベンゼン、フッ素ゴム、エポキシ樹脂等の有機材料を用いることができる。尚、このスペーサーにより、EC素子10を構成する第一の電極1と第二の電極2との間の距離を規定、保持することが可能である。
本発明のEC素子10は、第一の電極1と第二の電極2との間に、電解質と、アノード性のEC材料及び/又はカソード性のEC材料と、を有する。尚、本発明のEC素子に含まれるEC材料(アノード性EC材料、カソード性EC材料)は、電解質に溶解されていてもよいし、第一の電極1又は第二の電極2に固定化されていてもよい。
アノード性の有機EC材料、カソード性の有機EC材料が電解質に溶解している場合には、以下の二点で、電極に固定化する場合と比較して有利である。
(A)固定化する電極の表面積という制限要因がないために、電解質中に存在させることのできるEC材料の量が多い点。
(B)固定化を行う場合には、固定するEC材料、固定化担体となる電極の双方に構造的な工夫、製造上の工程が必要になることが多いが、これらがない点。
また、アノード性の有機EC材料、カソード性の有機EC材料が電極に固定されている場合には、以下の点で溶解している場合と比較して有利である。
(C)EC材料が電極に拘束されているために、EC材料が電極に到達するまでの物質輸送による応答速度の低下がない点。
本発明のEC素子に使用されるEC材料は、有機化合物である。この有機化合物には低分子有機化合物及び高分子有機化合物が含まれるが、いずれの材料も、外部から電気的な刺激を与えることによって着色するタイプの材料である。このタイプの高分子有機化合物としては、ピリジニウム塩を含む高分子化合物が挙げられるが、その具体例としては、ビオロゲン系の高分子化合物が挙げられる。本発明において、EC材料として、好ましくは、分子量が2000以下の低分子有機化合物であり、電極における酸化反応又は還元反応により、消色体から着色体に変化する化合物である。本発明のEC素子においては、アノード性のEC材料又はカソード性のEC材料のいずれかは必ず用いられる。
本発明のEC素子は、第三の電極を用いてEC素子の電荷のバランスの調整を行う。ところで、本発明のEC素子の駆動方法には、検知されたEC素子の電荷バランス状態に基づき、第一の電極又は第二の電極の少なくとも一方と第三の電極との間に印加する電圧を制御する電圧制御ステップが含まれる。
(a)スイッチ25,26をオン状態、スイッチ27をオフ状態にして、第一の電極1と第三の電極3との間に電圧を印加する。
(b)スイッチ26,27をオン状態、スイッチ25をオフ状態にして、第二の電極2と第三の電極3との間に電圧を印加する。
(c)スイッチ25,26,27を全てオン状態にして、第一の電極1と第二の電極2と第三の電極3との間に電圧を印加する。
本発明のEC素子は、表示電極(第一の電極、第二の電極)の他にもう一種類の電極、即ち、第三の電極を有している。そしてこの第三の電極が、不可逆的に酸化又は還元する物質(被酸化性物質又は被還元性物質)を有することにより、EC素子の電荷のインバランスによる消色不良を解消することができる。代表的な例としては、EC素子の透過率を最大化させる動作をした際にも残存するEC材料の着色体を消色体に変換することで、EC素子の透過率を向上させることができる。
本発明のEC素子は、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材等の構成部材として用いることができる。
本発明の光学フィルタは、本発明のEC素子と、このEC素子に電気接続される能動素子とを有している。EC素子に電気接続される能動素子として、具体的には、EC素子の透過率を制御するためのトランジスタ等が挙げられる。トランジスタとして、例えば、TFTやMIM素子が挙げられる。ここでTFTは、薄膜トランジスタとも呼ばれ、その構成材料としては、半導体や酸化物半導体が用いられる。
本発明のレンズユニットは、複数のレンズを有する撮像光学系と、本発明のEC素子を有する光学フィルタとを有している。レンズユニットを構成する光学フィルタは、複数あるレンズとレンズとの間に設けてもよいし、レンズの外側に設けてもよい。本発明のレンズユニットは、光学フィルタにより、撮像光学系を通過する光又は通過した光の光量を調整することができる。
本発明の撮像装置は、光学フィルタと、この光学フィルタを通過した光を受光する撮像素子とを有する。撮像装置を構成する撮像素子は、光学フィルタを透過した光を受光する素子であり受光素子とも呼ばれる素子である。
本発明の窓材は、一対の透明基板と、これら透明基板の間に設けられるEC素子と、このEC素子の透過率を制御するための能動素子とを有している。この能動素子は、EC素子に接続されているが、EC素子への接続形態については、直接に接続された形態でもよいし、間接に接続された形態でもよい。本発明の窓材は、透明基板を透過する光の光量をEC素子により調整することができる。またこの窓材に、窓枠等の部材を加えることで窓として使用することができる。本発明の窓材は、航空機、自動車、住宅等の窓に用いることができる。またEC素子を有する窓材は、電子カーテンを有する窓材と呼ぶこともできる。
Cinnsealach等の文献(Solar Energy Materials and Solar Cells,57巻,p107−125(1999年)に基づいて、カソード性のEC材料である化合物1を合成した。
(EC素子の作製)
図8に示されるEC素子30aを、以下の工程により作製した。
まずフッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜が成膜されている透明導電性ガラス(TEC15、日本板硝子製)を二枚用意した。
次に、ダイヤモンド工具を用いて、透明導電性ガラスが有するFTO膜の一部を除去して、FTO膜を三つに分割した。具体的には、第一の電極31又は第二の電極32となる中央の領域に設けられるFTO膜41と、第一の電極31又は第二の電極32とは電気的に独立している第三の電極33の形成領域となる両端の領域に設けられるFTO膜33aとに分割した。
アンチモンドープ酸化スズナノ粒子(石原産業社製)12gと、濃硝酸2mLと、水200mLと、を混合し、80℃で8時間攪拌後、真空乾燥1日行うことで、酸化スズナノ粒子のケーキを得た。次に、このケーキ4gに、水20mLと、ポリエチレングリコール1.2gと、ヒドロキシプロピルセルロース0.4gと、を加えた後、15日間撹拌を行うことでスラリーを調製した。次に、このスラリーを、第三の電極33の形成領域にあるFTO膜33aの上に塗布形成した後、500℃、30分の条件で焼成することで、アンチモンドープ酸化スズナノ粒子膜(以下、「ナノ粒子膜」ということがある。)を得た。このとき、形成したナノ粒子膜の比表面積は450cm2/cm2であった。
第三の電極33を形成した二枚の透明導電性ガラスに、シール材35として、100μmのスペーサービーズを混合したUV硬化性の接着剤(TB3035B、スリーボンド社製)を、注入口39以外の外周に塗布した。その後、第一の電極31と第二の電極32とが対向するように、また第三の電極33同士が対向するように、電極取出部位38が露出するように、二枚の透明導電性ガラスを重ね合わせた。次に、第三の電極33にUV光が当たらないようにマスクをした状態でUV光を照射することで、接着剤を硬化させた。これにより、基板36と基板37とを接着させた。
下記材料を混合して電解質溶液を調製した。
・アノード性有機EC化合物:5,10−ジメチル−5,10−ジヒドロフェナジン(以下、DMDHPと記載することがある)
・カソード性有機EC化合物:エチルビオロゲンヘキサフルオロリン酸塩(以下、EVと記載することがある)
・0.1Mテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェートの炭酸プロピレン(PC)溶液
本実施例で使用した有機EC化合物及び被酸化性物質について、酸化のされやすさを評価した。以下に、その具体的な方法を説明する。
二種類のLED、及びフォトダイオードを使用して、本実施例にて作製したEC素子に電荷バランス状態検知手段を設置した。具体的には、まず発光波長460nmのLED及び同595nmのLEDを、基板36の第一の電極31を設けている面とは反対側の面に設置した。尚、上記二種類のLEDを設置する際は、各LEDが、それぞれ図8(b)中の領域36a、即ち、第一の電極31の設置領域に対応する領域に含まれるようにした。また波長460nmはアノード性の有機EC化合物の吸収波長であり、波長595nmはカソード性の有機EC化合物の吸収波長である。次に、フォトダイオードを、基板37の第二の電極32を設けている面とは反対側の面に設置した。尚、フォトダイオードを設置する際は、各LEDが、それぞれ図8(b)中の領域37a、即ち、第二の電極32の設置領域に対応する領域に含まれるようにした。また設置したフォトダイオードにより、波長460nm及び595nmにおける吸光度比を検出した。
EC素子30aを構成する第一の電極31と第二の電極32との間に電圧0.8Vを印加して着色状態にしてから、この状態を一週間維持した後、第一の電極31と第二の電極32とを短絡することで、消色させた。この時、波長460nmにおける初期消色状態からの吸光度の変化量は、+0.10であった。一方、波長595nmにおける初期消色状態からの吸光度の変化量は、±0.00であった。この結果から、波長455nmに吸収ピークを有するアノード性有機EC化合物の着色体が残存していることが確認され、その結果EC素子に消色不良が発生していることが確認された。
上記耐久駆動を行ったEC素子について、第一の電極31と第二の電極32との間を短絡させた状態で、第一の電極31と第三の電極33との間に電圧を印加した。尚、印加時間は10msであり、以下のシーケンスに従ってEC素子を動作させた。
(i)第三の電極33を正極、第一の電極31を負極として電圧1.8Vを印加する。ここで、電圧印加前と印加後5秒後との吸光度を比較する。
(ii)波長460nmの吸光度において、初期消色状態からの変化量が0.005以下でなければ再度電圧を印加し、0.005以下であれば電圧の印加を終了する。
(iii)波長595nmの吸光度において、初期消色状態からの変化量が0.005以上となった時点で電圧の印加を終了させる。
(I)アノード性の有機EC化合物と、カソード性の有機EC化合物と、を有するEC素子において、下記条件(Ia)及び(Ib)を満たす被酸化性物質を有する第三の電極を用いて電荷リバランスを行うことで、消色不良を低減することができること。
(Ia)アノード性の有機EC化合物の第一の酸化体によっては酸化されず、該アノード性の有機EC化合物の不可逆的な酸化反応における還元体よりも酸化されやすいこと。
(Ib)アノード性の有機EC化合物の可逆的な第一の酸化反応の酸化電位と、該有機EC化合物の不可逆的な酸化反応の酸化電位と、の間に、被酸化性物質の不可逆的な酸化反応の酸化電位があること。
(II)第三の電極33が、第一の電極31又は第二の電極32を透過する光の光路外に配置されていることで、光の透過率を高めることができること。
(III)二つの第三の電極33を、第一の電極31、第二の電極32の周囲にそれぞれ配置させることで均一な消色が可能であること。
(EC素子の作製)
図9に示されるEC素子30bを、以下の工程により作製した。
実施例1で使用したフッ素ドープ酸化スズ(FTO)膜が成膜されている透明導電性ガラス(TEC15、日本板硝子製)を二枚用意した。
実施例1(2)と同様の方法により、用意した透明導電性ガラスを加工して電極付基板を作製した。
第二の電極32を設ける電極付基板(基板37)において、酸化チタンナノペースト(Nanoxide−HT、ソーラロニクス製)を、第二の電極32を設ける領域に沿ってFTO膜32aの上に塗布した。この後、500℃30分の条件で酸化チタンナノペーストを焼成して第二の電極32を形成した。尚、焼成によって得られたナノ粒子膜(第二の電極32)の比表面積は、300cm2/cm2であった。次に、形成した第二の電極32に、カソード性のEC材料である化合物1の5mM水溶液に一晩浸漬し、水洗、乾燥することで、カソード性のEC材料が固定された第二の電極32を形成した。
実施例1(4)と同様の方法により、基板36と基板37とを接着させた。具体的には、100μmのスペーサービーズを混合したUV硬化性の接着剤(TB3035B、スリーボンド社製)を、注入口39以外の外周に塗布し、第一の電極31と第二の電極32とが対向するように基板36と基板37とを接着させた。
まず、0.1Mリチウムヘキサフルオロフォスフェートの炭酸プロピレン(PC)溶液にアノード性のEC材料であるDMDHPを溶解させることで電解質溶液を調製した。このとき電解質溶液に含まれるEC材料の濃度を20mMとした。次に、この電解質溶液を注入口39から注入した後、実施例1(4)にて使用したUV硬化性接着剤で封止40をすることで、EC素子30bを得た。また得られたEC素子30bには、実施例1と同様に、電荷バランス状態の検知手段を設置した。
得られたEC素子において、第一の電極31と第二の電極32との間に0.7Vの電圧を印加して着色状態とし、この状態を一週間維持させた後、第一の電極31と第二の電極32との間を短絡させることで、消色させた。この時、波長460nmにおける初期消色状態からの吸光度の変化量は、+0.15であった。一方、波長595nmにおける初期消色状態からの吸光度の変化量は、±0.00であった。この結果から、波長455nmに吸収ピークを有するアノード性有機EC化合物の着色体が残存していることが確認され、その結果EC素子に消色不良が発生していることが確認された。
上記耐久駆動を行ったEC素子について、第一の電極31と第三の電極32との間に電圧を印加した。尚、印加時間は10msであり、下記(i)乃至(iii)のシーケンスに従ってEC素子を動作させた。
(i)第三の電極33を正極、第一の電極31を負極として電圧1.7Vを印加する。ここで、電圧印加前の吸光度と印加後5秒後の吸光度とを比較する。
(ii)波長460nmの吸光度において、初期消色状態からの変化量が0.005以下でなければ再度電圧を印加し、0.005以下であれば電圧の印加を終了する。
(iii)波長595nmの吸光度において、初期消色状態からの変化量が0.005以上となった時点で電圧の印加を終了させる。
(I)アノード性の有機EC化合物と、カソード性の有機EC化合物と、を有するEC素子において、下記(Ia)及び(Ib)の条件を満たす被酸化性物質を有する第三の電極を用いて電荷リバランスを行うことで、消色不良を低減することができること。
(Ia)アノード性の有機EC化合物の第一の酸化体によっては酸化されず、該アノード性の有機EC化合物の不可逆的な酸化反応における還元体よりも酸化されやすいこと。
(Ib)アノード性の有機EC化合物の可逆的な第一の酸化反応の酸化電位と、該アノード性の有機EC化合物の不可逆的な酸化反応の酸化電位との間に、非酸化性物質の不可逆的な酸化反応の酸化電位があること。
(II)第三の電極33を、第一の電極31又は第二の電極32を透過する光の光路外に
配置させることで、光の透過率を高めることができること。
(III)有機EC化合物の一つが、電極(第二の電極32)に固定化されている場合でも、被酸化性物質を有する第三の電極33を用いて電荷のリバランスを行うことで、消色不良を低減することができること。
(IV)二つの第三の電極33を、それぞれ第一の電極31(又は第二の電極32)の周囲に配置させることで均一な消色が可能であること。
(EC素子の作製)
図8に示されるEC素子30aを、以下の工程により作製した。
実施例1(1)、(2)と同様の方法により、電極付基板を作製した。
実施例1(3)と同様の工程を用いて作成したナノ粒子膜に、1mMのビス(2−(3,4−ジメチル−5−(4−カルボン酸フェニル)チオフェン)(以降,BDMCPTと略すことがある)のエタノール溶液を塗布し、終夜静置した後、当該ナノ粒子膜をエタノールにより洗浄、乾燥させた。これにより、当該ナノ粒子膜にBDMCPTが固定化された第三の電極33を作製した。
実施例1(4)、(5)と同様の方法により、EC素子30aを得た。
本実施例で使用した有機EC化合物及び被酸化性物質について、酸化のされやすさを評価した。以下に、その具体的な方法を説明する。
実施例1と同様の方法により、電荷バランス状態検知手段を設置した。
実施例1と同様の方法により、EC素子の耐久駆動を行った。その結果、波長460nmにおける初期消色状態からの吸光度の変化量は、+0.12であった。一方、波長595nmにおける初期消色状態からの吸光度の変化量は、±0.00であった。この結果から、波長455nmに吸収ピークを有するアノード性有機EC化合物の着色体が残存していることが確認され、その結果EC素子に消色不良が発生していることが確認された。
上記耐久駆動を行ったEC素子について、第一の電極31と第三の電極33との間に電圧を印加した。尚、印加時間は10msであり、下記(i)乃至(iii)のシーケンスに従ってEC素子を動作させた。
(i)電圧制御ステップとして第三の電極33を正極、第一の電極31を負極として電圧1.7Vを印加する。ここで、電圧印加前の吸光度と印加後5秒後の吸光度とを比較する。
(ii)波長460nmの吸光度において、初期消色状態からの変化量が0.005以下でなければ再度電圧を印加し、0.005以下であれば電圧の印加を終了する。
(iii)波長595nmの吸光度において、初期消色状態からの変化量が0.005以上となった時点で電圧の印加を終了させる。
(I)アノード性の有機EC化合物と、カソード性の有機EC化合物と、を有するEC素子において、下記条件(Ia)及び(Ib)を満たす被酸化性物質を有する第三の電極を用いて電荷リバランスを行うことで、消色不良を低減することができること。
(Ia)アノード性の有機EC化合物の第一の酸化体によっては酸化されず、該アノード性の有機EC化合物の不可逆的な酸化反応における還元体よりも酸化されやすいこと。
(Ib)アノード性の有機EC化合物の可逆的な第一の酸化反応の酸化電位と、該有機EC化合物の不可逆的な酸化反応の酸化電位と、の間に、被酸化性物質の不可逆的な酸化反応の酸化電位があること。
(II)第三の電極が、第一の電極又は第二の電極を透過する光の光路外に配置されていることで、光の透過率を高めることができること。
(III)二つの第三の電極を、第一の電極、第二の電極の周囲にそれぞれ配置させることで均一な消色が可能であること。
(IV)検知されたエレクトロクロミック素子の電荷バランス状態に基づき、第一の電極と第三の電極との間の電圧を制御するステップを有する駆動方法を用いることで、消色不良を低減することができること。
(V)電圧制御ステップに基づいた電位差の制御後、さらに検知されたエレクトロクロミック素子の電荷バランス状態に基づき、追加の電圧制御の実施を判断する駆動方法を用いることで、消色不良を低減することができること。
Claims (20)
- 第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれかが透明電極であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の酸化還元物質と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第三の電極が、前記電解質を介して前記第一の電極又は前記第二の電極のいずれかと電気的に接続可能であり、
前記第三の電極が、不可逆的に酸化される被酸化性物質を有し、
前記被酸化性物質が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の第一の酸化体によっては酸化されず、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の不可逆的な酸化反応における還元体よりも酸化されやすいことを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 - 第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれかが透明電極であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、アノード性の酸化還元物質と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第三の電極が、前記電解質を介して前記第一の電極又は前記第二の電極のいずれかと電気的に接続可能であり、
前記第三の電極が、不可逆的に還元される被還元性物質を有し、
前記被還元性物質が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の第一の還元体によっては還元されず、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の不可逆的な還元反応における酸化体よりも還元されやすいことを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 - 第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれかが透明電極であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第三の電極が、前記電解質を介して前記第一の電極又は前記第二の電極のいずれかと電気的に接続可能であり、
前記第三の電極が、不可逆的に酸化される被酸化性物質と、不可逆的に還元される被還元性物質と、を有し、
前記被酸化性物質が、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の第一の酸化体によっては酸化されず、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物の不可逆的な酸化反応における還元体よりも酸化されやすく、
前記被還元性物質が、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の第一の還元体によっては還元されず、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物の不可逆的な還元反応における酸化体よりも還元されやすいことを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 - 第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれかが透明電極であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の酸化還元物質と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第三の電極が、前記電解質を介して前記第一の電極又は前記第二の電極のいずれかと電気的に接続可能であり、
前記第三の電極が、不可逆的に酸化される被酸化性物質を有し、
前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物における可逆的な第一の酸化反応の酸化電位Aと、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物における不可逆的な酸化反応の酸化電位Bとの間に、前記被酸化性物質の酸化電位Cがあることを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 - 第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれかが透明電極であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、アノード性の酸化還元物質と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第三の電極が、前記電解質を介して前記第一の電極又は前記第二の電極のいずれかと電気的に接続可能であり、
前記第三の電極が、不可逆的に還元される被還元性物質を有し、
前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物における可逆的な第一の還元反応の還元電位Dと、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物における不可逆的な還元反応の還元電位Eとの間に、前記被還元性物質の還元電位Fがあることを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 - 第一の電極と、第二の電極と、第三の電極と、を有し、前記第一の電極と前記第二の電極との少なくともいずれかが透明電極であり、前記第一の電極と前記第二の電極との間に、電解質と、アノード性の有機エレクトロクロミック化合物と、カソード性の有機エレクトロクロミック化合物と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記第三の電極が、前記電解質を介して前記第一の電極又は前記第二の電極のいずれかと電気的に接続可能であり、
前記第三の電極が、不可逆的に酸化される被酸化性物質と、不可逆的に還元される被還元性物質と、を有し、
前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物における可逆的な第一の酸化反応の酸化電位Aと、前記アノード性の有機エレクトロクロミック化合物における不可逆的な酸化反応の酸化電位Bとの間に、前記被酸化性物質の酸化電位Cがあり、
前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物における可逆的な第一の還元反応の還元電位Dと、前記カソード性の有機エレクトロクロミック化合物における不可逆的な還元反応の還元電位Eとの間に、前記被還元性物質の還元電位Fがあることを特徴とする、エレクトロクロミック素子。 - 前記第三の電極が、前記第一の電極又は前記第二の電極のいずれかを透過する光の光路外に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記第一の電極と前記第二の電極との間に含まれる有機エレクトロクロミック化合物のうち少なくとも一つが、前記第一の電極又は前記第二の電極に固定化されていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記第三の電極が、前記第一の電極又は前記第二の電極の周囲の少なくとも一部に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記第三の電極を二つ以上有することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記第一の電極又は前記第二の電極と、前記第三の電極と、の間の電位差を制御する手段をさらに有することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- エレクトロクロミック素子の電荷バランス状態を検知する手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
- 前記電荷バランス状態を検知する手段が、前記有機エレクトロクロミック化合物の光吸収を利用して電荷バランス状態を検知する手段であることを特徴とする、請求項12に記載のエレクトロクロミック素子。
- 請求項1乃至13のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法であって、検知されたエレクトロクロミック素子の電荷バランス状態に基づき、前記第一の電極と前記第二の電極の少なくとも一方と、前記第三の電極との間の電圧を制御するステップを有することを特徴とするエレクトロクロミック素子の駆動方法。
- 前記電圧を制御するステップに基づいた電圧の制御後、さらに検知されたエレクトロクロミック素子の電荷バランス状態に基づき、追加の電圧制御の実施を判断することを特徴とする請求項14に記載のエレクトロクロミック素子の駆動方法。
- 請求項1乃至13のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子と、
前記エレクトロクロミック素子に接続される能動素子と、を有することを特徴とする、光学フィルタ。 - 複数のレンズを有する撮像光学系と、
請求項16に記載の光学フィルタと、を有することを特徴とする、レンズユニット。 - 複数のレンズを有する撮像光学系と、
請求項16に記載の光学フィルタと、
前記光学フィルタを透過した光を受光する撮像素子と、を有することを特徴とする、撮像装置。 - 前記撮像光学系が着脱可能であることを特徴とする、請求項18に記載の撮像装置。
- 一対の透明基板と、
前記一対の透明基板の間に配置される、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子と、
前記エレクトロクロミック素子に接続される能動素子と、を有することを特徴とする、窓材。
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