JP2015166338A - 有機化合物及びこれを用いたエレクトロクロミック素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】EC素子で用いられる極性溶媒に対して高い溶解性を有し、かつ消色時の高い透明性及び酸化還元反応の繰り返しに対する高い安定性をも有する有機化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式[1]で示されることを特徴とする、有機化合物。
Figure 2015166338

【選択図】なし

Description

本発明は、エレクトロクロミック性の有機化合物及びこれを用いたエレクトロクロミック素子に関する。
電気化学的な酸化還元反応により、物質の光学吸収の性質(呈色状態や光透過度)が変化するエレクトロクロミック(以下「EC」と省略する場合がある)材料としては種々の材料が報告されている。無機EC材料としては、WO3等の金属酸化物を用いるものが知られているが、成膜方法が蒸着法等に限られ大面積のデバイスを作製する際に課題があった。
ところで、有機EC材料としては、ポリチオフェンやポリアニリン等の導電性高分子や、ビオロゲン、オリゴチオフェン等の有機低分子化合物等が知られている。ここで有機低分子系のEC化合物としては、還元により着色するカソード性化合物であるビオロゲン誘導体や、酸化により着色するアノード性化合物であるオリゴチオフェン誘導体等が挙げられる。
これら有機低分子系のEC化合物は、導電性高分子に比べてπ共役長が短く紫外領域に吸収を有するため、中性状態において可視光を透過する。そして、酸化状態(アノード性化合物の状態)又は還元状態(カソード性化合物の状態)において可視光を吸収する。これは、酸化状態又は還元状態となっている化合物の共役長が、中性状態となっている化合物の共役長よりも長いため、光を吸収する波長領域が可視光の領域となるためである。
つまり、有機低分子系のEC化合物は、中性状態において消色し、酸化状態又は還元状態において着色する、という特徴がある。
特許文献1には、還元状態で着色するビオロゲン誘導体が開示され、特許文献2及び非特許文献1には、酸化状態で着色するオリゴチオフェン誘導体が開示されている。
ところで、有機低分子系のEC化合物を用いたEC素子は、消色時に高い透明性を有する。これら低分子の有機EC化合物を用いたEC素子としては、EC化合物を炭酸プロピレン等の溶媒に溶解させ一対の電極で挟持したサンドイッチ型素子が知られている。
特開平9−120088号公報 特開2013−133329号公報
CHAIN−LENGTH DEPENDENCE OF ELECTROCHEMICAL AND ELECTRONIC−PROPERTIES OF NEUTRAL AND OXIDIZED SOLUBLE ALPHA,ALPHA−COUPLED THIOPHENE OLIGOMERS GUAY,J;KASAI,P;DIAZ,A et al.Chemistry of Materials.1992年、4巻、5号、1097−1105 Journal of the American Chemical Society,111,3659(1989)
有機低分子系のEC化合物を用いた溶液型EC素子において、着色時に光学濃度を高くする(低透過率にする)ためには、当該有機低分子系のEC化合物を高濃度で溶媒に溶解させることが好ましい。
しかし、非特許文献1に開示されるオリゴチオフェン誘導体は溶媒に対する溶解性が低く、また酸化還元反応を繰り返した場合の化合物の安定性が低い。また特許文献2で開示されているチオフェン誘導体は、酸化還元繰り返し耐久性は高いもののEC素子で用いられる極性溶媒に対する溶解性はあまり高いものとはいえなかった。
一方、特許文献1に記載のビオロゲン誘導体(カソード性化合物)は、その分子構造に起因してEC素子で用いられる極性溶媒に対する溶解性は高いが、酸化還元反応を繰り返した場合の化合物の安定性が低いことが問題となっていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、EC素子で用いられる極性溶媒に対して高い溶解性を有し、かつ消色時の高い透明性及び酸化還元反応の繰り返しに対する高い安定性をも有する有機化合物を提供することにある。
本発明の有機化合物は、下記一般式[1]で示されることを特徴とする。
Figure 2015166338
(式[1]において、A1乃至A4は、それぞれ水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基及びアリール基から選択される置換基を表す。ただし、A1乃至A4の少なくとも1つは、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基である。尚、A1乃至A4のいずれかがアリール基である場合、当該アリール基は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基をさらに有していてもよい。
1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上20以下のアルキルエステル基、アリール基、置換基を有していても良いアミノ基又はシアノ基を表す。尚、R1がアリール基である場合、当該アリール基は炭素原子数1以上4以下のアルキル基をさらに有していてもよい。
Xは、1乃至10の整数である。)
本発明によれば、EC素子で用いられる極性溶媒に対して高い溶解性を有し、かつ消色時の高い透明性及び酸化還元反応の繰り返しに対する高い安定性をも有する有機化合物を提供することができる。
化合物2の立体構造を示す図である。 本発明のエレクトロクロミック素子における実施形態の例を示す断面模式図である。 本発明のエレクトロクロミック素子を備える撮像装置における第一の実施形態を示す断面概略図である。 本発明のエレクトロクロミック素子を備える撮像装置における第二の実施形態を示す断面概略図である。 (a)は、本発明のエレクトロクロミック素子を備える窓の例を示す斜視図であり、(b)は、(a)中のXX’断面を示す断面図である。 例示化合物A−1の中性状態における紫外可視吸収スペクトルを示す図である。 実施例3で作製したEC素子(エレクトロクロミック素子)の着色状態及び消色状態における透過率スペクトルを示す図である。
[有機化合物]
まず本発明に係る有機化合物について説明する。本発明の有機化合物は、エレクトロクロミック特性を有する有機化合物であり、具体的には、下記一般式[1]で示される化合物である。
Figure 2015166338
式[1]において、A1乃至A4は、それぞれ水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、アリール基及び複素環基から選択される置換基を表す。ただし、A1乃至A4の少なくとも1つは、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基である。また本発明において、好ましくは、A3が、A1と同じ置換基であり、A4が、A2と同じ置換基である。
1乃至A4で表されるアルキル基は、直鎖状のものであってもよいし分岐状のものであってもよく、また環状のものでもよい。A1乃至A4で表されるアルキル基として、好ましくは、炭素原子数1以上6以下のアルキル基である。
1乃至A4で表されるアルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、ビシクロオクチル基、アダマンチル基等が挙げられる。尚、アルキル基に含まれる水素原子の少なくとも一部がフッ素原子に置換され、例えば、トリフルオロメチル基等となっていてもよい。
1乃至A4で表されるアルキル基として、好ましくは、メチル基、エチル基、ノルマルブチル基又はヘキシル基であり、より好ましくは、メチル基又はエチル基である。
1乃至A4で表されるアルコキシ基は、直鎖状のものであってもよいし分岐状のものであってもよく、また環状のものでもよい。A1乃至A4で表されるアルコキシ基として、好ましくは、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基である。
1乃至A4で表されるアルコキシ基として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
1乃至A4で表されるアルコキシ基として、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基又はイソプロポキシ基であり、より好ましくは、メトキシ基又はイソプロポキシ基である。
1乃至A4で表されるアリール基として、例えば、フェニル基、ビフェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、フルオランテニル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、ペリレニル基等が挙げられる。好ましくは、フェニル基である。
尚、A1乃至A4のいずれかがアリール基である場合、当該アリール基は、炭素原子数1以上8以下(好ましくは、炭素原子数1以上4以下)のアルキル基、炭素原子数1以上8以下(好ましくは、炭素原子数1以上4以下)のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基、置換アミノ基又は置換シリル基、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、ジメチルアミノ基、トリイソプロピルシリル基等をさらに有していてもよい。
1乃至A4で表される複素環基として、ピリジル基、インドリル基等が挙げられる。好ましくは、ピリジル基である。
本発明において、好ましくは、A1乃至A4の少なくとも一つが炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基である。
式[1]において、R1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上20以下のアルキルエステル基、アリール基、置換基を有していてもよいアミノ基又はシアノ基を表す。
1で表されるハロゲン原子として、フッ素原子等が挙げられる。
1で表されるアルキル基として、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、ビシクロオクチル基、アダマンチル基等が挙げられる。
1で表されるアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
1で表されるアルキルエステル基として、メトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基等が挙げられる。
1で表されるアリール基として、フェニル基、ビフェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、フルオランテニル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、ペリレニル基等が挙げられる。尚、R1がアリール基である場合、当該アリール基は炭素原子数1以上4以下のアルキル基をさらに有していてもよい。
1で表される置換基を有していてもよいアミノ基として、ジメチルアミノ基等が挙げられる。
式[1]において、Xは、チオフェン環の3位及び4位に置換している置換基が有するエチレンオキシドの繰り返し単位を表す数であり、具体的には、1乃至10の整数である。好ましくは、1以上5以下の整数である。
[有機化合物の合成方法]
本発明の有機化合物は、例えば、下記に示されるスキーム1又は2を用いて合成することができる。尚、下記スキーム中に示されるYは、ハロゲン原子を表す。
Figure 2015166338
ここで、スキーム1は、エチレンオキシド鎖を有するチオフェンのハロゲン体と、2つのオルト位にそれぞれ所定の置換基を有するフェニルボロン酸もしくはフェニルボロン酸エステルとのカップリング反応に関するスキームである。一方、スキーム2は、エチレンオキシド鎖を有するチオフェンのジボロン酸もしくはジボロン酸エステル化合物と、オルト位に所定の置換基を有するハロゲン化ベンゼンとのカップリング反応に関するスキームである。
[有機化合物の特性]
次に、本発明の有機化合物の特性、特に、化合物の構造に基づいた特性について説明する。図1は、下記に示す化合物2の立体構造を示す図である。尚、この化合物2は、後述するように、本発明に係る有機化合物の1つ(例示化合物A−1)である。
Figure 2015166338
尚、図1に示した立体構造は、電子状態計算ソフトウェアであるGaussian03*Revision D.01を用いて基底状態の構造最適化計算を行なったものである。その際、量子化学計算法として、密度汎関数法(Density Functional Theory)を採用し、汎関数にはB3LYPを用いた。基底関数はGaussian 03, Revision D.01では6−31G*を用いた。
*Gaussian 03,Revision D.01,
M.J.Frisch,G.W.Trucks,H.B.Schlegel,G.E.Scuseria,M.A.Robb,J.R.Cheeseman,J.A.Montgomery,Jr.,T.Vreven,K.N.Kudin,J.C.Burant,J.M.Millam,S.S.Iyengar,J.Tomasi,V.Barone,B.Mennucci,M.Cossi,G.Scalmani,N.Rega,G.A.Petersson,H.Nakatsuji,M.Hada,M.Ehara,K.Toyota,R.Fukuda,J.Hasegawa,M.Ishida,T.Nakajima,Y.Honda,O.Kitao,H.Nakai,M.Klene,X.Li,J.E.Knox,H.P.Hratchian,J.B.Cross,V.Bakken,C.Adamo,J.Jaramillo,R.Gomperts,R.E.Stratmann,O.Yazyev,A.J.Austin,R.Cammi,C.Pomelli,J.W.Ochterski,P.Y.Ayala,K.Morokuma,G.A.Voth,P.Salvador,J.J.Dannenberg,V.G.Zakrzewski,S.Dapprich,A.D.Daniels,M.C.Strain,O.Farkas,D.K.Malick,A.D.Rabuck,K.Raghavachari,J.B.Foresman,J.V.Ortiz,Q.Cui,A.G.Baboul,S.Clifford,J.Cioslowski,B.B.Stefanov,G.Liu,A.Liashenko,P.Piskorz,I.Komaromi,R.L.Martin,D.J.Fox,T.Keith,M.A.Al−Laham,C.Y.Peng,A.Nanayakkara,M.Challacombe,P.M.W.Gill,B.Johnson,W.Chen,M.W.Wong,C.Gonzalez,and J.A.Pople,Gaussian,Inc.,Wallingford CT,2004.
図1において、αは、チオフェン環であり、βは、末端部位となるイソプロポキシ基及びメトキシ基を有するフェニル基であり、γは、チオフェン環の3,4位に置換されたエチレンオキシド鎖である。尚、以下の説明において、上述したチオフェン環、フェニル基及びエチレンオキシド鎖を、それぞれユニットα、ユニットβ、ユニットγと呼ぶことがある。
ここでエレクトロクロミック特性を示すチオフェン環(ユニットα)は、エチレンオキシド鎖(ユニットγ)及び末端部位(A1乃至A4)を有するフェニル基(ユニットβ)によって、他分子との分子間接触が困難になっている。
従って、A1乃至A4に嵩高い置換基を設けた場合、ユニットβにより、主としてラジカルカチオンが生成するチオフェン部位(ユニットα)は包摂された分子形状となるため、他分子との接触が抑制される効果(ケージ効果)を奏する。
本発明に係る有機化合物において、エレクトロクロミック特性を示すチオフェン環(ユニットα)は、導電性高分子と比較してπ共役系が短い。ここでπ共役系が短いということは吸収光のエネルギーが高い、即ち、吸収光の波長が短いことを意味する。
そのため、本発明に係る有機化合物は、中性状態では、可視光領域よりもエネルギーが高い紫外領域に光吸収を持つ一方で、可視光領域に吸収を持たないので、高い透明性を示す。
一方、本発明に係る有機化合物は、酸化状態においては可視光領域に光吸収を有し着色状態となる。これに対して導電性高分子の場合は中性状態で可視光領域に光吸収を有するため、酸化状態においても、電気化学反応が不十分な部分には可視光領域に吸収帯を有する、いわゆる“消え残り”が見られる。
それに対して、本発明に係る有機化合物は、電気化学反応が不十分あった場合でも可視光領域に吸収帯を有さないため、高い透明性を維持できる。
ところで、本発明の有機化合物のようにチオフェン環を1つ有する化合物は、導電性高分子と比較してπ共役系が短く、ラジカルカチオン状態における安定性は十分ではない。
そこで、本発明に係る有機化合物は、図1に示されるように、チオフェン環(ユニットα)に、ユニットβ及びユニットγを備える構成にした。ユニットβ及びユニットγを備えることによって、他分子との分子間接触が困難となり、ラジカルカチオンを生成するチオフェン環が保護される効果をもたらす。
ラジカルカチオンの不安定性は、ラジカルの高い反応性によるラジカル同士の再結合や、ラジカルによる他分子の水素引き抜き等に起因する。つまり、ラジカルと他分子との接触によりラジカルが反応することに起因する。そのため、図1に示されるユニットβやユニットγによってもたらされる立体障害の機能は、ラジカルカチオンの安定性を高めるという効果をもたらす。
また上記ユニットα、ユニットβ及びユニットγを備える構成では、化合物が酸化された時に存在するラジカルカチオンをチオフェン環部位(ユニットα)に局在化させることができる。このため、立体障害性置換基(ユニットβ及びユニットγ)の遮蔽構造により、当該チオフェン環部位(ユニットα)は分子外部からの攻撃を受けにくくなるため、化合物におけるラジカルカチオン状態の安定性を大幅に改善できると考えられる。
従って、ユニットβが有する置換基(A1乃至A4)としては、立体障害基となるアルキル基、アルコキシ基又はアリール基が好ましい。
また、コア部位(ユニットα)の電子密度を上げることでコア部位に生成したラジカルカチオンを安定化させることができるので、ユニットβが有する置換基(A1乃至A4)としては、電子供与性の置換基がより望ましい。電子供与性が高く、かつ立体障害性が大きい置換基として、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、エチルヘキシルオキシ基及びベンジルオキシ基が特に望ましい。
一方、本発明の有機化合物は、エレクトロクロミック媒体である電解質溶液等の極性溶媒への溶解性を高める必要がある。ここで極性溶媒への溶解性を高めるには、ユニットβが有する置換基(A1乃至A4)がアルコキシ基等の極性置換基であることが望ましい。このため、立体障害基としても機能するアルコキシ基、具体的には、メトキシ基以上の嵩高いアルコキシ基が特に好ましい。
また、ユニットγを構成するエチレンオキシド鎖の繰り返し単位数を表すXは、その数が大きいほどエチレンオキシド鎖が長くなり、極性溶媒に対して高い親和性を示す。そのため、極性溶媒に対する溶解性を高めることができ、高濃度に溶解させることができる。しかしながら、エチレンオキシド鎖が長すぎると、このエチレンオキシド鎖がエレクトロクロミック特性を示すチオフェン環を完全に包摂することになるため、チオフェン環と電極との接触、即ち、エレクトロクロミック反応に必要な電極反応が阻害されることがある。そのため溶解性と電極反応とを両立するためには、Xで示されるエチレンオキシドの繰り返し単位数を1乃至10と設定し、好ましくは、1乃至5に設定する。
以下に、本発明に係る有機化合物の具体例を示す。ただし、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
Figure 2015166338
Figure 2015166338
Figure 2015166338
Figure 2015166338
Figure 2015166338
Figure 2015166338
列挙されている例示化合物のうち、A群に属する化合物は、下記(ia)乃至(ic)に示される特徴を有する。
(ia)A3はA1と同一であって、A4はA2と同一である。
(ib)A1、A2がそれぞれメトキシ基又はイソプロポキシ基である。
(ic)xが1乃至10のいずれかである。
またA群に属する化合物において、A1乃至A4のいずれかに示される立体障害性基は、アルキル基、アルコキシ基及びアリール基である。
B群に属する示す化合物は、下記(iia)乃至(iid)に示される特徴を有する。
(iia)A3はA1と同一であって、A4はA2と同一である。
(iib)A1、A2がそれぞれ水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基である。
(iic)R1が、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上20以下のアルキルエステル基、アリール基、置換基を有していてもよいアミノ基又はシアノ基である。
(iid)xが3である。
また列挙されている例示化合物は、いずれも光吸収部位であるチオフェン環を構成する3位及び4位の炭素原子に、有機溶媒に対して親和性の高いエチレンオキシド鎖を有する置換基が導入されている。このため、列挙されている例示化合物は、有機溶媒(特に、極性溶媒)に対する溶解性が高い。また列挙されている例示化合物には、チオフェン環に結合しているベンゼン環のオルト位に、アルコキシ基、アルキル基、アリール基等の置換基が置換されている。これら置換基は、エチレンオキシド鎖と共に酸化着色時にラジカルカチオンを形成するチオフェン環を立体的に保護する役割を果たす。
よって、本発明の有機化合物は、有機溶媒に対して高い溶解性を有すると共に、酸化還元繰り返しに対する耐久性が高い化合物である。
[EC素子]
本発明の有機化合物(エレクトロクロミック化合物、EC性有機化合物)は、エレクトロクロミック素子(EC素子)を構成するエレクトロクロミック層(EC層)の構成材料として用いることができる。
以下、図面を参照しながら本実施形態に係るEC素子について説明する。図2は、本発明のエレクトロクロミック素子における実施形態の例を示す断面模式図である。
図2のEC素子1は、一対の透明電極11と、この一対の透明電極11の間に配置されているEC層12と、を有する。
図2のEC素子1において、各透明電極11は、それぞれ基板10の一方の面の上に設けられており、またEC素子1を構成する2枚の基板10は、一対の透明電極11同士が互いに対向するように配置されている。また各透明電極11は、スペーサー13によって、電極間距離が一定となるように配置されている。
図2のEC素子1において、EC層12は、電解質と本発明に係る有機化合物(EC性有機化合物)とを含む層である。このEC層12の具体的構成として、例えば、下記(A)乃至(C)の構成が挙げられる。好ましくは、(C)の構成である。
(A)EC性有機化合物及び電解質を混合してなる層
(B)EC性有機化合物からなる層と電解質からなる層とで構成される積層体
(C)EC性有機化合物と電解質とを含む溶液からなる層
(D)EC性有機化合物と電解質と、EC層12のマトリックスとからなる層
次に、本発明のEC素子の構成部材について説明する。
次に、EC素子1を構成する透明基板10としては、例えば、無色あるいは有色ガラス、強化ガラス等が用いられる他、無色あるいは有色の透明性樹脂が用いられる。尚、本実施形態において透明とは、可視光の透過率が90%以上の透過率であることを示す。
透明基板10として用いられる透明性樹脂として、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリノルボルネン、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
EC素子1を構成する透明電極11を形成するために用いられる電極材料として、例えば、酸化インジウムスズ合金(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム亜鉛、酸化銀、酸化バナジウム、酸化モリブデン、金、銀、白金、銅、インジウム、クロム等の金属や金属酸化物、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等のシリコン系材料、カーボンブラック、グラファイト、グラッシーカーボン等の炭素材料等を挙げることができる。
また、ドーピング処理等で導電率を向上させた導電性ポリマー、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸の錯体等も好適に用いられる。
EC素子1を構成するEC層12に含まれる電解質は、イオン解離性の塩であり、かつ溶媒に対して良好な溶解性を示すものであれば限定されない。尚、電解質が固体である場合は、本発明の有機化合物との相溶性が高いものが好ましい。また電解質の中でも電子供与性を有する電解質が好ましい。ここでEC層12に含まれる電解質は、支持電解質と呼ぶこともできる。
EC層12に含まれる電解質としては、例えば、各種のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩や4級アンモニウム塩や環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。
具体的には、LiClO4、LiSCN、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiPF6、LiI、NaI、NaSCN、NaClO4、NaBF4、NaAsF6、KSCN、KCl等のLi、Na、Kのアルカリ金属塩等や、(CH34NBF4、(C254NBF4、(n−C494NBF4、(n−C494NPF6、(C254NBr、(C254NClO4、(n−C494NClO4等の4級アンモニウム塩及び環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。
EC層12の構成が上記(C)である場合、EC層12は、液体である。またEC層12には、本発明の有機化合物(EC性有機化合物)及び電解質を溶かす溶媒が含まれていてもよい。この溶媒としては、本発明の有機化合物や電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、特に極性を有する溶媒が好ましい。
具体的には、水、及びメタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピオンニトリル、3−メトキシプロピオンニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジオキソラン等の有機極性溶媒が挙げられる。
EC層12の構成が上記(D)である場合、EC層12に含まれるマトリックスとしては、ポリマーやゲル化剤が挙げられる。EC層12にゲル化剤を含有させることでEC層12は粘稠性が高い部材又はゲル状の部材になる。
本発明において、上記マトリックスとなるポリマーは、特に限定されるものではなく、例えば、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ナフィオン(登録商標)等が挙げられる。
EC素子1を構成するスペーサー13は、一対の電極11を所定の距離に保って保持するための部材であると共に、EC層12を形成するための空間を与える部材である。具体的には、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム、エポキシ樹脂等の樹脂材料を用いて形成することができる。
EC素子1を構成するEC層の構成が上記(C)である場合、一対の透明電極11とスペーサー13とによって、液体注入口(不図示)を形成した上で、この液体注入口からEC層12を構成する溶液状の組成物を封入した後に、封止部材により注入口を覆い、さらに接着剤等で密閉することで素子が作製することができる。
EC層12を構成する組成物を封止するための封止部材は、接着剤とEC性有機化合物とが接触しないように隔離する役割も担っている。封止部材の形状としては、特に限定されないが、楔形等の先細り形状が好ましい。
本発明において、EC素子の形成方法は、特に限定されるものではない。例えば、透明電極11を備える2枚の基板10を、スペーサー13等を用いて、一対の透明電極11の間に所定の間隙が生じるように設置した後、真空注入法、大気注入法、メニスカス法等によって、予め調製した液体状のEC層12の組成物を注入する方法を用いることができる。
本発明のEC素子は、本発明の有機化合物(EC性有機化合物)の他に、他のEC化合物をEC層12に含ませてもよい。EC層12に含まれ得る本発明の有機化合物以外のEC化合物は、一種類でもよいし複数種種類でもよい。またEC層12に含ませるEC化合物は、酸化状態で着色する化合物であってもよいし、還元状態で着色する化合物であってもよいし、その双方であってもよい。特に、その中でも還元状態で着色する化合物が好ましい。
本発明の有機化合物以外のEC化合物の吸収波長領域は、消色時に400nm以下であるが好ましい。消色時に高い透明性を有する素子を提供することができるためである。一方、着色時の吸収波長領域は400nm以上800nm以下の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは、450nm以上700nm以下である。
本発明の有機化合物以外のEC化合物をEC層12に含ませる際には、可視光領域の光を各波長で均一に吸収するEC素子となるように、化合物を適宜選択するのが好ましい。
ここで本発明の有機化合物以外のEC化合物として、例えば、下記に列挙される化合物が挙げられる。
酸化状態で着色するEC化合物としては、オリゴチオフェン類、5,10−ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジン、5,10−ジヒドロ−5,10−ジエチルフェナジン等のフェナジン系化合物、フェロセン、テトラ−t−ブチルフェロセン、チタノセン等のメタロセン系化合物、N,N’,N,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系化合物、1−フェニル−2−ピラゾリン等のピラリゾン系化合物等が挙げられる。
還元状態で着色するEC化合物としては、N,N’−ジヘプチルビピリジニウムジパークロレート、N,N’−ジヘプチルビピリジニウムジテトラフフオロボレート、N,N’−ジヘプチルビピリジニウムジヘキサフルオロホスフェート、N,N’−ジエチルビピリジニウムジパークロレート、N,N’−ジエチルビピリジニウムジテトラフルオロボレート、N,N’−ジエチルビピリジニウムジヘキサフルオロホスフェート、N,N’−ジベンジルビピリジニウムジパークロレート、N,N’−ジベンジルビピリジニウムジテトラフルオロボレート、N,N’−ジベンジルビピリジニウムジヘキサフルオロホスフェート、N,N’−ジフェニルビピリジニウムジパークロレート、N,N’−ジフェニルビピリジニウムジテトラフロロボレート、N,N’−ジフェニルビピリジニウムジヘキサフロロホスフェート等のビオロゲン系化合物、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン等のアントラキノン系化合物、フェロセニウムテトラフルオロボレート、フェロセニウムヘキサフルオロホスフェート等のフェロセニウム塩系化合物、スチリル化系化合物等が挙げられる。
本発明のEC素子は、消色時に高い透明性を有するとともに、本発明に係る有機化合物が有機溶媒に対して高い溶解性を有することから着色時に高い光学濃度を与え、透過率を低くすることが可能である。このため、カメラ等の撮像素子への入射光量を大きく減光する際に好適に用いることができる。
本発明のEC素子は、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材の構成部材として用いることができる。
本発明の光学フィルタは、本発明のEC素子と、このEC素子に電気接続される能動素子とを有している。能動素子は、EC素子に直接接続されていてもよいし、他の素子を介して接続されていてもよい。EC素子に電気接続される能動素子として、具体的には、EC素子の透過率を制御するためのスイッチング素子が挙げられる。スイッチング素子として、例えば、TFTやMIM素子が挙げられる。TFTは、薄膜トランジスタとも呼ばれ、その構成材料としては、半導体や酸化物半導体が用いられる。具体的には、アモルファスシリコン、低温ポリシリコン、InGaZnOを構成材料とする半導体等が挙げられる。
本発明のレンズユニットは、複数のレンズと、EC素子を有する光学フィルタとを有している。レンズユニットを構成する光学フィルタは、複数あるレンズとレンズとの間に設けてもよいし、レンズの外側に設けてもよい。光学フィルタは、レンズの光軸上に設けられるのが好ましい。
本発明の撮像装置は、光学フィルタと、この光学フィルタを通過した光を受光する受光素子とを有する。
撮像装置とは、具体的には、カメラ、ビデオカメラ、カメラ付き携帯電話等が挙げられる。撮像装置は、受光素子を有する本体と、レンズを有するレンズユニットとが分離できる形態であってもよい。
ここで撮像装置が、本体と、レンズユニットとで分離できる場合は、撮像時に撮像装置とは別体の光学フィルタを用いる形態も本発明に含まれる。尚、係る場合、光学フィルタの配置位置としては、レンズユニットの外側、レンズユニットと受光素子との間、複数あるレンズの間(レンズユニットが複数のレンズを有する場合)等が挙げられる。
本発明の窓材は、一対の透明基板と、これら透明基板の間に設けられるEC素子と、このEC素子の透過率を制御するための能動素子とを有している。この能動素子は、EC素子に接続されているが、EC素子への接続形態については、直接に接続された形態でもよいし、間接に接続された形態でもよい。本発明の窓材は、航空機、自動車、住宅等の窓に用いることができる。またEC素子を有する窓材は、電子カーテンを有する窓材と呼ぶこともできる。
以下、図面を参照しながら、本発明のEC素子を備える各種装置について説明する。図3は、本発明のエレクトロクロミック(EC)素子を備える撮像装置における第一の実施形態を示す断面概略図である。また図4は、本発明のエレクトロクロミック(EC)素子を備える撮像装置における第二の実施形態を示す断面概略図である。
図3の撮像装置2は、レンズユニット20と、撮像ユニット21とからなる装置である。尚、レンズユニット20と撮像ユニット21とは、マウント部材(不図示)を介して着脱可能に接続されている。
図3の撮像装置2において、レンズユニット20には、複数のレンズ、具体的には、影像に近い側(撮像ユニット21から遠い側)から、第1のレンズ23、第2のレンズ24、第3のレンズ25及び第4のレンズ26が設けられている。ただし、レンズユニット20が有するレンズは、図3中の符号23乃至26に示される4つのレンズに限定されるものではない。尚、これらレンズ(23乃至26)は、それぞれが単一のレンズから構成されていてもよいし、図3に示されるように複数のレンズから構成されていてもよい。
図3の撮像装置2において、レンズユニット20に含まれる各レンズは、例えば、以下に説明する役割を果たす。即ち、第2のレンズ24及び第3のレンズ25は、レンズ間の間隔を変化させることで変倍を行う機能を果たし、第4のレンズ26は、移動させることでフォーカスを行う機能を果たす。
図3の撮像装置2において、レンズユニット20には、例えば、第2のレンズ24と第3のレンズ25との間に開口絞り27が設けられている。
また第3のレンズ25と第4のレンズ26との間には、光学フィルタ22が設けられている。尚、光学フィルタ22の配置態様としては、図3に示される態様に限定されるものではない。例えば、下記(1)乃至(3)に示される態様のいずれかであってもよい。
(1)第1のレンズ23と第2のレンズ24との間
(2)ガラスブロック28と受光素子29との間(図4)
(3)第4のレンズ26とガラスブロック28との間
図3の撮像装置2において、光学フィルタ22には、本発明のEC素子と、このEC素子に接続されている能動素子と、を有している。
ここで光学フィルタ22に備えるEC素子が消色状態になると、光学フィルタ22は高透明性を発揮できるので、光学フィルタ22へ入射する入射光はそのほとんどが透過するため、光学フィルタ22そのものの透過光量は充分なものとなる。一方、EC素子が着色状態になると、光学フィルタ22にて入射光を確実に遮光したり変調したりすることができる。また既に述べたように、光学フィルタ22に備えるEC素子は、酸化還元繰り返し特性に優れるため寿命が長い素子である。
図3の撮像装置2において、撮像ユニット21に含まれるガラスブロック28は、ローパスフィルタやフェースプレートや色フィルタ等のガラスブロックである。
図3の撮像装置2において、撮像ユニット21に含まれる受光素子29は、レンズユニット20を通過した光を受光するセンサ部であって、CCDやCMOS等の撮像素子が使用できる。また、フォトダイオードのような光センサであってもよく、光の強度あるいは波長の情報を取得し出力するものを適宜利用することが可能である。
図5(a)は、本発明のエレクトロクロミック素子を備える窓の例を示す斜視図であり、図5(b)は、図5(a)中のXX’断面を示す断面図である。
図5に示される窓3は、窓枠30と、窓枠30に固定された窓部材とから構成される。尚、図5に示される窓3において、窓部材は、その縁部が窓枠30に固定されている。
図5の窓3において、窓部材は、一対の窓板31と、この窓板31の間に設けられ、第一基板32aと、第一電極33aと、EC層34と、第二電極33bと、第二基板32bと、がこの順で設けられているEC素子とからなる部材である。尚、このEC素子は、第一電極33aと第二電極33bとの間隔の保持、及び両電極(33a、33b)間でのEC層34の固定を目的として、第一電極33aと第二電極33bとの間にスペーサー35が設けられている。
図5の窓3において、窓板31としては、窓を構成する窓板として通常用いられる材料、具体的には、ガラス、アクリル樹脂等の光透過性が高い樹脂等からなる板状の部材が挙げられる。
ところで、図5の窓3に備えるEC素子が消色状態になると、このEC素子は高透明性を発揮できるので、窓3へ入射する入射光はそのほとんどが透過する。一方、EC素子が着色状態になると、このEC素子によって窓3へ入射する入射光を遮ったり色味等を変調させたりすることができる。また既に述べたように、光学フィルタ22に備えるEC素子は、酸化還元繰り返し特性に優れるため寿命が長い素子である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]例示化合物A−1の合成
Figure 2015166338
(1)化合物XX−2の合成
50mlの反応容器に、以下に示す試薬、溶媒を投入し、溶媒中に水素化ナトリウムを分散させた。
脱水テトラヒドロフラン:3ml
水素化ナトリウム:163mg(60%、4.09mmol)
次に、反応溶液に、2−メトキシエタノール(311mg、4.09mmol)と脱水テトラヒドロフラン溶液(3ml)とを混合して調製した溶液を加えた後、窒素気流下で30分撹拌し、発生した水素を除去した。
次に、反応溶液に、2,5−ジブロモ−3,4−ビス(ブロモメチル)チオフェン(化合物XX−1、700mg、1.636mmol)と脱水テトラヒドロフラン溶液(4ml)とを混合して調製した溶液を滴下した。尚、化合物XX−1は3,4−ジメチルチオフェンを出発原料として、非特許文献2に記載の合成法に倣って合成した化合物である。その後、反応溶液をさらに室温で5時間撹拌させ、反応を行った。
次に、反応溶液に水を加えて反応を停止させた後、反応溶液について酢酸エチルを用いた溶媒抽出操作を行うことで有機層を得た。次に、有機層を乾燥、減圧濃縮することで粗生成物を得た。次に、得られた粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)により分離精製することにより、化合物XX−2を、無色油状物質として510mg(収率74.5%)得た。
(2)A−1の合成
50mlの反応容器に、以下に示す試薬、溶媒を投入した。
化合物XX−2:480mg(1.15mmol)
2−イソプロポキシ−6−メトキシフェニルボロン酸:723mg(3.44mmol)
トルエン:5ml
1,4−ジオキサン:5ml
次に、反応容器内に窒素を導入しながら反応溶液を撹拌することで、反応溶液中に溶存する酸素を除去した。次に、反応溶液に、以下に示す試薬を添加した。
Pd(OAc)2:10.3mg(0.046mmol)
2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):47.3mg(0.115mmol)
りん酸三カリウム:1.32g(5.75mmol)
次に、反応溶液を100℃に加熱した後、この温度(100℃)で7時間撹拌した。
次に、反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮することで粗生成物を得た。次に、この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/クロロホルム=8/1)により分離精製することにより、例示化合物A−1を無色の固体として540mg(収率79.7%)得た。
核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定により、得られた化合物の構造確認を行った。その結果、ピーク積分値の比が目的化合物の構造と良く一致したので、得られた化合物は例示化合物A−1であることを確認した。NMRスペクトルの測定結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):7.24(t,2H),6.61(d,2H),6.58(d,2H),4.52−4.35(m,6H),3.74(s,4H),3.71(s,2H),3.45−3.31(m,8H),3.27(s,6H),1.18(d,6H),1.15(d,6H).
得られた例示化合物A−1をクロロホルムに溶解し、この溶液について紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製V−560)を用いて測定した。その結果、図6に示される吸収スペクトルが得られた。図6より、例示化合物A−1において、吸収ピークが最大強度となるλmaxは、紫外領域である282.0nmであることがわかった。また図6より、例示化合物A−1は可視光領域全体にわたって吸収を持たないので、透明な材料であることがわかった。
[実施例2]例示化合物A−3の合成
Figure 2015166338
(1)XX−3の合成
200mlの反応容器に、以下に示す試薬、溶媒を投入し、溶媒中に水素化ナトリウムを分散させた。
脱水テトラヒドロフラン:14ml
水素化ナトリウム:300mg(60%、7.41mmol)
トリエチレングリコールモノメチルエーテル(1.22g、6.85mmol)を加えた後、反応溶液を窒素気流下で1時間撹拌し、発生した水素を除去した。
次に、反応溶液に、2,5−ジブロモ−3,4−ビス(ブロモメチル)チオフェン(化合物XX−1、1.44g、3.37mmol)と脱水テトラヒドロフラン溶液(4ml)とを混合して調製した溶液を滴下した後、さらに室温で3時間撹拌を行った。
次に、反応溶液に水を加えて反応を停止させた後、反応溶液について酢酸エチルを用いた溶媒抽出操作を行うことで有機層を得た。次に、有機層を乾燥、減圧濃縮することで粗生成物を得た。次に、得られた粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/メタノール=20/1)により分離精製することにより、化合物XX−3を淡黄色油状の物質として1.68g(収率83%)得た。
(2)A−3の合成
50ml反応容器に、以下に示す試薬、溶媒を投入した。
化合物XX−3:600mg(1.01mmol)
2−イソプロポキシ−6−メトキシフェニルボロン酸:636mg(3.03mmol)トルエン:5ml
1,4−ジオキサン:5ml
次に、反応容器内に窒素を導入しながら反応溶液を撹拌することで、反応溶液中に溶存する酸素を除去した。次に、反応溶液に、以下に示す試薬を添加した。
Pd(OAc)2:9.0mg(0.04mmol)
2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos):41mg(0.1mmol)
りん酸三カリウム:1.15g(5.0mmol)
次に、反応溶液を100℃に加熱した後、この温度(100℃)で7時間撹拌した。
次に、反応溶液を室温まで冷却後、減圧濃縮することで粗生成物を得た。次に、この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/アセトン=3/2)により分離精製することにより、例示化合物A−3を、淡黄色固体として370mg(収率47.9%)得た。
得られた化合物についてNMRスペクトルの測定を行った。結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3)δ(ppm):7.24(t,2H),6.60(d,2H),6.57(d,2H),4.54−4.31(m,6H),3.74(s,4H),3.71(s,2H),3.61−3.39(m,24H),3.35(s,6H),1.17(d,6H),1.14(d,6H).
得られた化合物(例示化合物A−3)を、クロロホルムに溶解して得られる溶液について実施例1と同様に吸収スペクトルを測定した結果、吸収ピークが最大強度となるλmaxは、紫外領域である282.0nmであった。つまり、例示化合物A−3は可視光領域全体にわたって吸収を持たないので、透明な材料である。
以上、実施例1及び2にて説明した合成手法は、化合物を構成するフェニル基が有する置換基(A1乃至A4、R1)やチオフェン環の3,4位に置換されているエチレンオキシド鎖の繰り返し単位数(X)を適宜変更しても採用できる手法である。このため、実施例1及び2にて説明した合成手法により、本発明に係る所望のEC性有機化合物を合成することができる。
[炭酸プロピレンへの溶解度の測定]
実施例1で得られた例示化合物A−1、実施例2で得られた例示化合物A−3及び下記に示されるRef−1について、それぞれ炭酸プロピレンへの溶解度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2015166338
尚、炭酸プロピレンは電解質溶液に用いられる溶媒であり、EC素子を構成するエレクトロクロミック層に含まれる電解質溶媒の一種である。またRef−1は、チオフェン環の3,4位にはエチレンオキシド鎖の無いメチル基が置換し、チオフェン環に結合するフェニル基のオルト位の置換基(一般式[1]中のA1及びA2に相当する置換基)が水素原子(無置換)の化合物である。
Figure 2015166338
表1より、例示化合物A−1及びA−3は、炭酸プロピレンに対して高い溶解度を示した。一方、Ref−1は、炭酸プロピレンに対する溶解度が低く、濃度6mMの溶液を調製しようとしたときに溶液に濁りが見られた。これらの結果より、エチレンオキシド鎖を置換基として有する例示化合物A−1及びA−3は、電解質溶媒の一種である炭酸プロピレンに溶解しやすい化合物であることがわかった。
[酸化還元サイクルの耐久安定性]
本発明に係る有機EC化合物の酸化還元サイクルに対する耐久安定性を評価した。具体的には、例示化合物A−1、例示化合物A−3及びRef−1を評価対象として、酸化還元繰り返し耐久評価を行った。
酸化還元繰り返し耐久性の測定は、作用電極、対向電極及び参照電極を備えた測定装置を用い、所定の溶媒に各化合物を溶解してなる溶液を対象試料として行った。ここで、測定装置に備える電極及び使用した溶媒を以下に示す。
作用電極:グラッシーカーボン
対向電極:白金
参照電極:銀
支持電解質(溶媒):テトラブチルアンモニウム過塩素酸塩のジクロロエタン溶液(0.1mol/L)
溶液濃度:1.0×10-4mol/L
上記溶液について、定電位酸化と定電位還元とからなる矩形波電位プログラムを10000回繰り返した。ここで定電位酸化とは、対象化合物の酸化電位以上の電位を10秒間上記溶液に印加するプロセスであり、定電位還元とは、参照電極(Ag/Ag+)を基準として0Vの電位を10秒間上記溶液に印加するプロセスである。
10000回の酸化還元サイクル前及び後のサイクリックボルタンメトリ(CV)測定における酸化ピーク電流量の変化を基に、酸化還元繰り返し耐久性の評価を行った。具体的には、酸化ピーク電流量の変化率が20%未満であった場合は○と評価し、20%以上であった場合は×と評価した。結果を表2に示す。
Figure 2015166338
表2より、本発明の有機化合物の比較対象となる化合物(Ref−1)は、酸化還元サイクルを繰り返し実施した結果、酸化還元サイクルの耐久安定性が本発明の有機化合物(例示化合物A−1、A−3)とは劣っていることがわかった。具体的には、酸化還元サイクルを約2400回行った段階で酸化ピーク電流量が20%減少し劣化した。これに対して、本発明の有機化合物(例示化合物A−1、A−3)は、酸化還元サイクルを10000回行った後も酸化電流量の変化は20%未満であり、安定した酸化還元サイクルを示した。従って、酸化還元サイクルの耐久安定性という観点で、比較対象となる化合物(Ref−1)に比べ、本発明に係る有機化合物は優れているといえる。
これは、末端部位の嵩高い置換基やチオフェン3,4位に置換したエチレンオキシド鎖が、酸化時に不安定なラジカルを生成するコア部位を立体的に保護しているためである。同時に末端部位のフェニル基に電子供与性のアルコキシ基が置換されていることにより、酸化時に電子不足となるコア部位(ラジカルカチオン)の副反応や劣化反応を抑制し、結果として耐久安定性が高められているためである。
[エレクトロクロミック特性の評価]
実施例にて合成した化合物をクロロホルムに溶解することで調製した溶液について、紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製V−560)を用いて、中性状態(消色状態)における吸収スペクトルを測定した。
次に、酸化(着色)時の吸収スペクトルの測定を行った。具体的には、作用電極、対向電極、参照電極及び液槽を備えた測定セルを用いて吸収スペクトルの測定を行った。ここで、測定セルに備えられる電極、並びに液槽に投入された溶液に含まれる溶質及び溶媒を以下に示す。
・作用電極:白金
・対向電極:白金
・参照電極:銀
・溶質:評価対象化合物(例示化合物A−1、A−3)
・溶媒(支持電解質):テトラブチルアンモニウム過塩素酸塩の炭酸プロピレン溶液(0.1mol/L)
(尚、液槽に投入された溶液の濃度は、5.0×10-4mol/Lである。)
上記測定セルを用いて、化合物の酸化電位以上の電位を印加することで定電位酸化を行うことにより、その吸収スペクトル・透過率スペクトルの変化を測定した。ここで着色状態(酸化状態)の吸収ピーク波長及び消色状態(中性状態)の吸収ピーク波長を、下記表3に示す。
Figure 2015166338
表3より、実施例にて合成された化合物は、いずれも中性における吸収ピーク波長(λmax)が紫外領域であり、可視光領域全体にわたって吸収を持たないので、透明な材料であることが示された。また表3より、実施例にて合成された化合物は、酸化されると、可視域長波長の帯域に吸収を示すため、酸化時において目視で黄色に着色していることが確認された。尚、この酸化着色状態は、還元により再度無色透明に戻ったことから、実施例にて合成された化合物は、酸化還元に伴うエレクトロクロミック特性を有することが確認された。
[実施例3]例示化合物A−1を用いたエレクトロクロミック素子の作製
以下に説明する方法で、EC素子を作製し、その性能を評価した。
(1)EC媒体の調製
実施例1で合成した化合物A−1と、還元状態で着色するEC化合物である下記化合物C−1(ビオロゲン化合物)と、炭酸プロピレンと、を混合し、化合物A−1及び化合物C−1のモル濃度がそれぞれ75.0mMである炭酸プロピレン溶液を調製した。これにより、EC媒体を得た。
Figure 2015166338
(2)セルの作製
次に、透明導電膜(FTO)付きのガラス基板を2枚用意した。次に、当該ガラス基板のうち下部電極側となる基板のFTOが設けられている側の周辺部に、着消色領域を規定する開口部を残してSiO2を成膜することで絶縁層を形成した。次に、基板間隔を規定するPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製メリネックス(登録商標)S、50μm厚)を、上述した2枚のガラス基板で挟持した。尚、PETフィルムを挟持する際は、2枚のガラス基板が有する電極(FTO)が図2に示されるように互いに対向するようにした。次に、EC媒体注入用の開口部を残してエポキシ系接着剤により素子周辺部を封止することで、注入口付き空セルを作製した。
(3)EC媒体の充填
次に、前述の素子開口部より、(1)で得られたEC媒体を真空注入法により注入後、当該開口部を周辺部と同様にエポキシ系接着剤により封止した。以上により、EC素子を得た。
(4)EC素子の評価
図7は、実施例3で作製したEC素子(エレクトロクロミック素子)の着色状態及び消色状態における透過率スペクトルを示す図である。
作製直後のEC素子は、図7中の点線部に示されるように、可視光領域全域にわたり、80%前後の透過率を示し、高い透明性を有していた。次に、このEC素子に電圧(2.0V)を印加すると、図7中の実線部に示されるように、化合物A−1の酸化種に由来する吸収(λ≒415nm)及び還元着色型材料C−1の還元種に由来する吸収(λ≒605nm)を示し、素子は着色した。次に、印加する電圧を0Vにすると消色したため、可逆的に着消色を示すEC素子であることがわかった。
以上より、実施例1で合成した化合物A−1を用いたEC素子は、化合物A−1の酸化還元に伴い着色時と消色時との光学濃度差の大きなエレクトロクロミック特性を示すことが確認された。
以上説明したように、本発明の有機化合物は、消色時に可視光領域に光吸収を示さない高い透明性を有すると共に、有機溶媒に対して高い溶解性を有する。またEC素子のEC層に用いた場合には着色時に高い光学濃度を与え、素子の可視光の透過率を低くすることが可能となる。
本発明に係る有機化合物は、消色時に可視光領域に光吸収を持たない高い透明性と有機溶媒に対する高い溶解性とを有する一方で、酸化させた際に着色し低い透過率を与えることが可能である。このため、EC素子、及びEC素子を含むデバイス、具体的には、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置等に利用することができる。
1:EC素子、10:透明基板、11:透明電極、12:エレクトロクロミック層(EC層)、13:スペーサー

Claims (13)

  1. 下記一般式[1]で示されることを特徴とする、有機化合物。
    Figure 2015166338
    (式[1]において、A1乃至A4は、それぞれ水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基及びアリール基から選択される置換基を表す。ただし、A1乃至A4の少なくとも1つは、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基である。尚、A1乃至A4のいずれかがアリール基である場合、当該アリール基は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基をさらに有していてもよい。
    1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上20以下のアルキルエステル基、アリール基、置換基を有していても良いアミノ基又はシアノ基を表す。尚、R1がアリール基である場合、当該アリール基は炭素原子数1以上4以下のアルキル基をさらに有していてもよい。
    Xは、1乃至10の整数である。)
  2. 前記A3が、前記A1と同じ置換基であり、
    前記A4が、前記A2と同じ置換基であることを特徴とする、請求項1に記載の有機化合物。
  3. 前記A1乃至前記A4の少なくとも一つが炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機化合物。
  4. 前記アルコキシ基が、メトキシ基又はイソプロポキシ基であることを特徴とする、請求項3に記載の有機化合物。
  5. 前記Xが1以上5以下の整数であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機化合物。
  6. 一対の電極と、
    前記一対の電極の間に配置されるエレクトロクロミック層と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
    前記エレクトロクロミック層が、エレクトロクロミック化合物と電解質とを有し、
    前記エレクトロクロミック化合物が、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機化合物であることを特徴とする、エレクトロクロミック素子。
  7. 前記エレクトロクロミック層が、液体であることを特徴とする、請求項6に記載のエレクトロクロミック素子。
  8. 前記エレクトロクロミック層が、さらに前記有機化合物以外の材料である第2のエレクトロクロミック化合物を有することを特徴とする、請求項6又は7に記載のエレクトロクロミック素子。
  9. 前記第2のエレクトロクロミック化合物が、還元状態における可視光の透過率が低い化合物であることを特徴とする、請求項8に記載のエレクトロクロミック素子。
  10. 請求項6乃至9のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子と、前記エレクトロクロミック素子に接続されている能動素子と、を有することを特徴とする、光学フィルタ。
  11. 複数のレンズと、請求項10に記載の光学フィルタと、を有することを特徴とする、レンズユニット。
  12. 請求項10に記載の光学フィルタと、前記光学フィルタを通過した光を受光する受光素子と、を有することを特徴とする、撮像装置。
  13. 一対の透明基板と、
    前記一対の基板の間に配置される請求項6乃至9のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子と、
    前記エレクトロクロミック素子に接続されている能動素子と、を有することを特徴とする、窓材。
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