以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
(第1の実施の形態)
実施の形態に係る丁合装置の概要を説明する。
実施の形態に係る丁合装置は、丁合処理に先立ってサバキ圧を調整する初期調整処理を実行し、初期調整されたサバキ圧で丁合処理を開始し、丁合処理中にサバキ圧を微調整する追加調整処理を実行する。丁合装置10は、サバキ圧が初期調整されたときのサバキ部材の高さ、または、サバキ圧が追加調整されたときのサバキ部材の高さ位置を「調整位置」として記憶する。紙詰まりが生じて用紙を取り除くために給紙ローラとサバキ部材とを離間させた場合、丁合装置は、所定の入力を受け付けると、サバキ部材をこの調整位置に戻す。これにより、紙詰まりが解消して丁合処理を再開する際に改めて初期調整処理を行ってサバキ圧を調整する場合と比べてサバキ圧の調整に要する時間を短縮できる。
上述の初期調整処理では、サバキ圧が所定のリミット値に達するまでサバキ部材を給紙ローラに圧接させ、そこから所定の「戻し量」だけサバキ部材を下げた位置に移動させる。従来の丁合装置では、積載部に積載された用紙に関する情報である用紙情報(例えば用紙の折り形)に基づき戻し量を決定していた。これに対し、本実施の形態に係る丁合装置では、用紙情報と、サバキ部材に関する情報であるサバキ情報(例えばサバキ部材の種類)とに基づき「戻し量」を決定する。この場合、用紙情報だけに基づき戻し量を決定する場合と比べ、サバキ圧をより的確な値に調整できる。以下、具体的に説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る丁合装置10を示す斜視図である。丁合装置10は、筐体12の左右に10段ずつの棚が設けられ、左側の棚には給紙トレイ14A〜14Jが設置され、右側の棚には給紙トレイ14K〜14Uが設置されている。左側の最下段の給紙トレイ14Aの下方には、折り用給紙トレイ14Xが設置されている。給紙トレイ14A〜14Xは、筐体12への取付位置や取付方向が異なるが、同一構造を有する。以下の説明においてこれらを特に区別しない場合には「給紙トレイ14」と総称する。
筐体12の前面側にはメイン操作パネル16が設けられている。メイン操作パネル16はタッチパネル式の液晶ディスプレイを有し、ユーザが丁合処理のための所定の操作入力を行うことができる。一方、各棚の給紙機構18に対応するようにサブ操作パネル20が設けられている。サブ操作パネル20には、ユーザが給紙処理のための所定の操作入力を行うための複数の操作ボタンが設けられている。その詳細については後述する。
図2は、丁合装置10の内部構造を正面側からみた模式図である。丁合装置10は、サブ搬送機構22およびメイン搬送機構24をさらに備える。サブ搬送機構22は各棚の給紙機構18に対応して設けられる。給紙機構18は、給紙トレイ14に積載された用紙束の最上位の用紙を一枚ずつサブ搬送機構22の搬送路に送り出す。
サブ搬送機構22は、給紙機構18から送り出された用紙をメイン搬送機構24に送り込む。メイン搬送機構24は、筐体12内に上下方向に延在するように設けられる。メイン搬送機構24は、各サブ搬送機構22から送り込まれた用紙を、単独で、または重ね合わせながら下方へ搬送する。
給紙トレイ14および給紙機構18は、筐体12に取り外し可能に装着されている。具体的には、給紙トレイ14は、ユーザによって図示しないロック機構が解除されると、筐体12との係合が解除され、筐体12から取り外すことができるよう構成されている。このような係合方法は公知であるため説明は省略する。
丁合装置10は、用紙搬送プレート26、用紙載置プレート28、ストッパ30、折りナイフ32、および一対のローラ34をさらに有する。折り用給紙トレイ14Xには、メイン搬送機構24により搬送される用紙束を内側に挟むように二つ折りされる用紙が積載される。折り用給紙トレイ14Xにも給紙機構18が設けられている。給紙機構18は、折り用給紙トレイ14Xに積載された用紙束の最上位の用紙を一枚ずつ用紙搬送プレート26に送り出す。
用紙搬送プレート26は、用紙搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という)の端部がメイン搬送機構24の下端よりわずかに左に位置するよう配置される。用紙載置プレート28は、2枚のプレートが間隔を空けて重ね合わさるように設けられている。用紙載置プレート28は、用紙搬送方向上流側(以下、単に「上流側」という)の端部が、メイン搬送機構24の下端よりわずかに右に位置するよう配置される。ストッパ30は、用紙載置プレート28内に導かれた用紙の先端が当接するように配置される。ストッパ30は、モータなどのアクチュエータを作動させることにより、用紙載置プレート28に沿って上流側および下流側に移動可能に構成されている。
丁合装置10には、制御部50が設けられている。制御部50は、各種の演算を実行するCPU、各種の制御プログラムを格納するROM、およびデータ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有し、丁合装置10の内部に設けられたアクチュエータの作動などを制御する。ユーザは、メイン操作パネル16又はサブ操作パネル20にて各種の設定入力を行うことが可能となっている。制御部50は、こうしてユーザに入力された情報を取得し、取得した情報に応じて丁合装置10の作動を制御する。
丁合装置10は、さらにベルト搬送機構36、排出ローラ38、およびスタッカトレイ40を有する。折り用給紙トレイ14Xに積載された用紙に用紙束を挟むようにして丁合する場合、まず折り用給紙トレイ14Xから用紙載置プレート28に向けて用紙が搬送される。メイン搬送機構24によって下方に搬送されながら形成された用紙束は、用紙載置プレート28に搬送された用紙に先端が突き当たる。制御部50は、このタイミングで折りナイフ32を回動させて、その先端を用紙載置プレート28に載置された用紙に突き当て、一対のローラ34に向けて押し付ける。こうして用紙束は、用紙載置プレート28に配置されていた用紙とともにローラ34によって挟持され、用紙載置プレート28に配置されていた用紙が用紙束を挟むように折りたたまれ、ベルト搬送機構36に搬送される。
ベルト搬送機構36は、さらに下流に用紙束を搬送する。排出ローラ38は、搬送された用紙束をスタッカトレイ40に排出する。スタッカトレイ40は、筐体12に対して着脱可能に取り付けられており、作成された用紙束が積載され蓄積される。なお、上述のように折紙に用紙束を挟まない場合には、折り用給紙トレイ14Xから用紙は供給されず、メイン搬送機構24によって下方に搬送されながら形成された用紙束は、そのまま一対のローラ34によって挟持されてベルト搬送機構36に搬送される。
制御部50は、ユーザがメイン操作パネル16を介して指定した部数(以下、「丁合設定部数」ともいう)にしたがって用紙の丁合処理を実行する。また、制御部50は、丁合処理に先立って給紙機構18によるサバキ圧を適正に調整するための「初期調整処理」を実行し、丁合処理中においてはサバキ圧を適宜再調整する「追加調整処理」を実行する。また、制御部50は、紙詰まり処理等を行った後にサバキ圧を元に戻す「戻し処理」を実行する。初期調整処理、追加調整処理、戻し処理の詳細については後述する。
図3〜8は、給紙機構とその周辺を示す図である。図3は正面図であり、図4は背景図であり、図5、6は上面図であり、図7は図6のA−A線断面図であり、図8は斜視図である。図6は、図5からサバキ部材収容枠206を取り外した状態を示している。なお、各図においては説明の便宜上、一部の構造の図示を適宜省略している。
給紙トレイ14には、ユーザによりセットされる用紙が積載される。すなわち、給紙トレイ14は、「積載部」として機能する。給紙トレイ14が斜めに傾斜するように設置されるため、給紙トレイ14上の用紙は、上位の用紙ほど前方(給紙方向下流側)にずれて位置するよう斜めに捌いた状態で積載される。なお、図3〜8においては便宜上、用紙がセットされる前の状態が示されている。
給紙トレイ14の前方にガイド板41および給紙機構18が設けられている。ガイド板41は、サブ搬送機構22が設けられる横搬送路を構成し、給紙機構18によって送り出される用紙を下方から支持し、メイン搬送機構24に向けてガイドする。ガイド板41は、その両サイドに設けられた一対のフレーム49によって支持されている。
給紙機構18は、給紙ローラ42、補助給紙ローラ44、第1サバキ部材45、第2サバキ部材46、第3サバキ部材47等を含む。給紙ローラ42および補助給紙ローラ44は、各々の軸がブラケット48により支持されている。給紙ローラ42は、給紙モータ77(図12で後述)により回転駆動される駆動ローラであり、用紙束の最上面に圧接して回転し、最上位の用紙を送り出す。補助給紙ローラ44は、給紙ローラ42とタイミングベルト52を介して接続される従動ローラであり、用紙束の最上面に当接して回転する。ブラケット48が給紙ローラ42と同軸状の支点軸42Aに回動可能に支持されている。支点軸42Aは給紙方向と直交する方向(以下、「幅方向」という)に延在して、その両端が一対のフレーム49に回転自在に支持されている。従って支点軸42Aは位置固定であり、積載する用紙束の枚数に応じて支点軸42Aを中心にブラケット48の角度が変化する。ブラケット48の給紙方向上流側上端はバネ404の下端が接続されている。バネ404の上端は、一対のフレーム49に支持された図示しない部材に接続されている。
ブラケット48の給紙方向下流側端部上方に、用紙残量検知機構400が設けられている。用紙残量検知機構400は、ブラケット48の給紙方向下流側端部に設けられた被検知面401と、変位センサ402とから成る。変位センサ402の回動可能な検知子402aが被検知面401と接触している。用紙束の残量が変化するとブラケット48の角度が変化し、被検知面401が変位する。被検知面401が変位すると検知子402aを回動させる。この構成により、被検知面401の高さを変位センサ402で検知する。被検知面401の位置が上方にあるほど用紙残量が多いことになる。用紙残量が多いほど補助給紙ローラ44の高さが高くなり、被検知面401の高さも高くなるため、変位センサ402及び被検知面401が用紙残量検知機構として機能する。
給紙ローラ42より下方には、サバキ部材切替機構200が設けられている。サバキ部材切替機構200は、一対のフレーム49に固定された収容部材55に収容されている。サバキ部材切替機構200は、第1スライド台202と、第2スライド台204と、サバキ部材収容枠206と、第4リンク208と、切替レバー210と、第1位置検出センサ211aと、第2位置検出センサ211bと、を含む。
第1スライド台202および第2スライド台204は、幅方向に延在し、幅方向に間隔を空けて配置される。第1スライド台202および第2スライド台204は、収容部材55の底部に固定されている。サバキ部材収容枠206は、第1スライド台202および第2スライド台204の上を幅方向にスライド可能に設けられている。サバキ部材収容枠206は、幅方向の両側と給紙方向の一方側が囲われた第1収容部212、第2収容部214、第3収容部216の3つの収容部(収容スペース)を有する。第1収容部212、第2収容部214、第3収容部216にはそれぞれ、第1サバキ部材45、第2サバキ部材46、第3サバキ部材47が収容されている。
サバキ部材収容枠206の一端部には、第4リンク208の一端部が回動自在に連結され、第4リンク208の他端部には切替レバー210の一端部が回動自在に連結されている。切替レバー210は、収容部材55の底部に立設されたレバー支点218により中間部が回動自在に支持され、他端部は収容部材55から外側に突出している。
切替レバー210の他端部を右方に動かすと、切替レバー210の一端部は左方に移動する。これにより、サバキ部材収容枠206は、第4リンク208を介して左方に引っ張られ、第1スライド台202および第2スライド台204の上を左方にスライド移動する。切替レバー210の他端部を左方に動かすと、切替レバーの一端部は右方に移動する。これにより、サバキ部材収容枠206は、第4リンク208を介して右方に引っ張られ、第1スライド台202および第2スライド台204の上を右方にスライド移動する。このように切替レバー210を左右に操作してサバキ部材収容枠206を幅方向スライドさせることにより、給紙ローラ42の下方に対向配置されるサバキ部材(以下、「対向サバキ部材」)を切り替えることができる。なお、図5では、第1サバキ部材45が対向サバキ部材である状態を示している。
切替レバー210の下方には、幅方向に並ぶように第1位置検出センサ211a、第2位置検出センサ211bが設けられている。第1位置検出センサ211a、第2位置検出センサ211bは、いずれも透過型の光センサであり、第1収容部212が給紙ローラ42と対向しているとき(すなわち第1サバキ部材45が対向サバキ部材であるとき)に第1位置検出センサ211aが切替レバー210を検知し、第2収容部214が給紙ローラ42と対向しているとき(すなわち第2サバキ部材46が対向サバキ部材であるとき)は第1位置検出センサ211aおよび第2位置検出センサ211bのいずれも切替レバー210を検知せず、第3収容部216が給紙ローラ42と対向しているとき(すなわち第3サバキ部材47が対向サバキ部材であるとき)に第2位置検出センサ211bが切替レバー210を検知するように配置されている。すなわち、切替レバー210、第1位置検出センサ211aおよび第2位置検出センサ211bは、対向サバキ部材を収容している収容部であって給紙ローラ42と対向している収容部(以下、「対向収容部」ともいう)を特定するための「対向収容部特定機構」を構成する。
第1サバキ部材45、第2サバキ部材46、第3サバキ部材47にはそれぞれ、例えばウレタンゴムにて形成された板状のサバキ板が貼り付けられている。本実施の形態では、第1サバキ部材45は、一般用のサバキ部材であり、1枚ものから2つ、4つ、8つ折りの用紙まで幅広く使用できる。第2サバキ部材46は、薄紙用のサバキ部材であり、1枚もので用紙同士が密着して分離しにくいものに使用される。具体的には、第2サバキ部材46のサバキ板には段差が設けられる。この場合、段差の頂点と給紙ローラとを圧接させ、段差の頂点に沿ったラインで発生する強い圧接力により用紙を分離できる。
第3サバキ部材47は、冊子用のサバキ部材であり、中綴じ冊子やタブロイド版等に使用される。具体的には、第3サバキ部材47のサバキ板には、第1サバキ部材45や第2サバキ部材46のサバキ板に比べて摩擦力が低いものが使用される。冊子のように比較的厚いものでは、サバキ部材の摩擦力に加えて、給紙ローラ42と第3サバキ部材47との隙間を、2枚以上の用紙(2冊以上の冊子)が通過するのが難しい隙間に調整することによっても2枚目(2冊子目)以降の前進を抑止する効果を発揮するので、サバキ部材の摩擦力をそれほど大きくする必要はなく、加えて摩擦力が小さい方がスムーズに隙間を通過させることができるためである。
サバキ部材収容枠206の各収容部の底部は開口している。したがって、第1サバキ部材45、第2サバキ部材46、第3サバキ部材47は、第1スライド台202、第2スライド台204、またはサバキベース72(後述)により支持される。対向サバキ部材は特に、サバキベース72に支持される。サバキベース72に支持されるサバキ部材が対向サバキ部材であるともいえる。なお、図5では、第1サバキ部材45がサバキベース72に支持され、第2サバキ部材46および第3サバキ部材47が第2スライド台204に支持された状態を示している。
給紙ローラ42の回転駆動力が補助給紙ローラ44に伝達する際の抵抗によりブラケット48には図3における時計回りに回動する方向のトルクがかかり、このトルクと、補助給紙ローラ44及びブラケット48の自重との和から、バネ404の引張力を差し引いた力により、補助給紙ローラ44は最上位の用紙に対し圧接するので、その状態で補助給紙ローラ44が回転することにより、最上位の用紙を送り込む。補助給紙ローラ44によって最上位の用紙が給紙ローラ42と対向サバキ部材との間に送り込まれると、給紙ローラ42がその用紙をさらに下流側に送り出す。この用紙は、給紙ローラ42と対向サバキ部材との間に適度な圧力にて挟持されつつ送り出される。このとき、給紙ローラ42と用紙との摩擦力と対向サバキ部材と用紙との摩擦力との差異により、最上位から2枚目以下の用紙の送り出しが抑止される。それにより、最上位の1枚の用紙のみが給紙ローラ42と対向サバキ部材との間を抜けて送り出される。
収容部材55内における対向サバキ部材より下流側には、タイミングセンサ56が設けられている(図5、6参照)。タイミングセンサ56は反射型の光センサであり、サバキ圧の低下により最上位から2枚目以下の用紙が給紙機構18の下流側近傍に滞留した場合に検知するためのものである。
収容部材55内における対向サバキ部材より上流側には、用紙有無検知センサ57が設けられている(図5、6参照)。用紙有無検知センサ57は反射型光学センサであり、給紙トレイ14に用紙が積載されているか否かを検知する。
搬送下ローラ70と横並びにジャムセンサ58が設けられている(図4参照)。ジャムセンサ58は反射型の光センサであり、給紙処理において紙詰まりが発生した場合にこれを検出する。また、ジャムセンサ58は、サバキ圧の不足を判定する際にタイミングセンサ56とともに用いられる「用紙センサ」としても機能する。
給紙機構18の下流側に隣接するように重送検知機構60が設けられている(図5、6参照)。重送検知機構60は、基準ローラ62および変位ローラ64を有する。変位ローラ64は、「測定ローラ」として機能し、基準ローラ62に対して上方から当接する。基準ローラ62の軸は、その両端が一対のフレーム49に固定されている。一方、変位ローラ64の軸は、レバー部材65の一端側に固定されている。レバー部材65の他端側がフレーム49に設けられた図示しない支点軸に回動可能に支持されているため、変位ローラ64は、基準ローラ62に対して相対変位可能となっている。レバー部材65の一端部には検知面67が設けられており、フレーム49にはその検知面67の変位を検出する変位センサ69が設けられている。
基準ローラ62の下方には転動ローラ66が設けられている。重送検知機構60の下流側には、サブ搬送機構22を構成する一対の搬送ローラが設けられている。すなわち、搬送上ローラ68および搬送下ローラ70が上下に設けられている。搬送上ローラ68と搬送下ローラ70とは互いに当接可能であり、転動ローラ66は搬送下ローラ70および基準ローラ62のそれぞれに当接する。搬送上ローラ68および搬送下ローラ70は、図示しないモータ(後述する搬送モータ)により駆動される。搬送下ローラ70の駆動力は、転動ローラ66を介して基準ローラ62に伝達される。
用紙が基準ローラ62と変位ローラ64との間を通過すると、その用紙の厚み分だけ変位ローラ64の軸位置が上昇する。変位センサ69は、このときの検知面67の上昇量を検出する。なお、レバー部材65が図示しない引きばねにより付勢されているため、用紙が通過していない間はその引きばねの付勢力により、変位ローラ64が基準ローラ62に圧接している。この変位センサ69の検出情報に基づき、用紙の重送が発生したか否かを判定することができる。
対向サバキ部材の下方には、対向サバキ部材と給紙ローラ42との間に生じるサバキ圧を調整するサバキ圧調整機構54が設けられている。サバキ圧調整機構54は、対向サバキ部材を支持するサバキベース72と、サバキベース72の下方に設けられた傾斜部材74と、傾斜部材74を給紙ローラ42の回転軸に平行な方向に変位させるリンク機構76と、リンク機構76を駆動するアクチュエータとしての調整モータ78とを含む。
サバキベース72は、給紙方向に延在する本体を有し、その本体の一端部が回動軸80に回動可能に支持されている。回動軸80は、給紙ローラ42の回転軸と平行に設けられ、収容部材55に固定されている。サバキベース72の他端側半部の上面に対向サバキ部材が載置されている。
サバキベース72の下面には、球82がその下半部を露出させる態様で埋め込まれて固定されている。球82の下方には、傾斜部材74が設けられている。傾斜部材74は、回動軸80と平行な方向に傾斜する傾斜面84を有し(図7参照)、その傾斜面84に沿って球82を滑動させることができる。球82とサバキベース72との位置関係は変化しないため、球82が傾斜面84を滑動することにより、サバキベース72が回動軸80を中心に回動する。それにより、対向サバキ部材の高さ位置を変化させることができる。すなわち、サバキベース72、球82および傾斜部材74が、対向サバキ部材の高さ位置を変化させる「昇降機構」を構成し、また、対向サバキ部材による給紙ローラ42に対する押圧力を作用させる「加圧機構」を構成する。また、リンク機構76と傾斜部材74との連結構造が、リンク機構76の変位に応じてリンク機構76とその加圧機構とを作動連携させる「連携機構」を構成する。
リンク機構76は、第1リンク90、第2リンク92および第3リンク94を長手方向に順次連結して構成される。リンク機構76は、調整モータ78の駆動力を上述の加圧機構に伝達するための「伝達部材」として機能する。本実施の形態では、第2リンク92および第3リンク94が「第1リンク部材」を構成し、第1リンク90が「第2リンク部材」を構成する。第1リンク90は長尺状をなし、その一端が傾斜部材74の一端部に固定されている。第1リンク90の中間部には長手方向に延びる長孔96が設けられ、収容部材55の底部に立設された支柱98が挿通されている。これにより、第1リンク90は、支柱98にガイドされつつ長手方向に変位することができる。第1リンク90の他端側には支柱104が立設されている。
第2リンク92は長尺状をなし、その一端部に長手方向に延びる長孔106が設けられ、支柱104が挿通されている。これにより、第2リンク92は、支柱104にガイドされつつ長手方向に変位することができる。第2リンク92の他端には、第3リンク94の一端が回動自在に連結されている。第3リンク94の他端は、減速機120(後述)を介して調整モータ78と接続されている。第3リンク94の他端は、ギヤ122の周縁部に回動自在に連結されている。第2リンク92の他端部と支柱104との間には、引きばね105が設けられている。
調整モータ78を正転させると、リンク機構76が図5中の左方に駆動される。その結果、傾斜部材74が左方に変位して球82が傾斜面84に沿って上昇する。その結果、サバキベース72が一方向に回動して対向サバキ部材が上昇し、サバキ圧を大きくすることができる。逆に、調整モータ78を逆転させると、リンク機構76が図5中の右方に駆動される。その結果、傾斜部材74が右方に変位して球82が傾斜面84に沿って下降する。その結果、サバキベース72が他方向に回動して対向サバキ部材が下降する。その結果、サバキ圧を小さくすることができる。このような調整モータ78の駆動によりサバキ圧を調整することができる。
第1リンク90には、その中間部に給紙方向上流側に突出する傾斜部材91が設けられている。傾斜部材91は、対向サバキ部材に近づくほど第1リンク90から離れるように傾斜する傾斜面97を有する。この傾斜面97と、給紙方向において対向するようにリミットセンサ220が配置されている。リミットセンサ220は、変位センサであり、収容部材55の底部に取り付けられている。リミットセンサ220の駆動バー221は傾斜面97に当接している。対向サバキ部材が上下動すると、すなわち第1リンク90が左右に移動すると、傾斜部材91も左右に移動する。このとき、傾斜部材91の傾斜面97がリミットセンサ220の駆動バー221をその軸方向に移動させる。リミットセンサ220は、この駆動バー221の変位を検知することにより、対向サバキ部材の高さ位置を取得する。
第2リンク92には、その一端側に給紙方向下流側に突出する突出部110が設けられている。突出部110の先端には検出部(不図示)が立設されている。突出部110の近傍には、幅方向に並ぶようにホームセンサ222、上限センサ224が配置されている。ホームセンサ222および上限センサ224は、収容部材55の底部に取り付けられている。突出部110に立設された検出部は、第2リンク92の変位に応じてホームセンサ222または上限センサ224に対して進退する。ホームセンサ222は、検出部が光軸を遮蔽しているときに、サバキ圧の調整が可能な状態にある(すなわち対向サバキ部材が最も下方の位置にある)ことを検知する。上限センサ224は、検出部が光軸を遮蔽したときにサバキ圧が過大である(すなわち対向サバキ部材が予め定める上限位置に到達した)ことを検知する。
収容部材55の一方(正面側)の側部にはハウジング86が設けられ、調整モータ78、減速機120等、が収容されている。図9は、ハウジング86に設けられた、サバキ圧を手動で調整するための調整ツマミ378の近傍を示す拡大図である。図10は、ハウジング86内の構成を示す上面図である。
調整モータ78は、本実施の形態では、DCブラシレスモータである。なお、調整モータ78は、ステッピングモータ、その他のモータであってもよい。減速機120は、収容部材55に回転可能に支持されたギヤ122と、調整モータ78の回転軸に取り付けられた出力ギヤ124と、を含む。ギヤ122の周縁部には、調整モータ78の第3リンク94が回動自在に連結されている。減速機120は、調整モータ78の回転を第3リンク94に伝達する。
調整ツマミ378は、ユーザが手動で操作する操作部材である。調整ツマミ378の軸375の先端には出力ギヤ376が設けられ、ギヤ122に連結されている。この出力ギヤ376とギヤ122が、調整ツマミ378の操作をサバキ圧調整機構54の動作に変換する「変換機構」として機能する。軸375にはさらにギヤ370が設けられ、調整モータ78の出力軸に直結したギヤ372と噛み合っている。調整モータ78とギヤ372との間には双方向クラッチ374が介装されている。双方向クラッチ374は、調整モータ78側の軸から入力された回転力は、ギヤ372側の軸に伝えるが、ギヤ372側の軸から入力された回転力は、調整モータ78側の軸に伝達されないように構成されている。そのため、サバキ圧を手動で調整するべく調整ツマミ378を図9の時計回り又は反時計回りに操作したときに、その回転力は調整モータ78には伝達されない。したがって、停止状態の調整モータ78の負荷にかかわらず調整ツマミ378を操作できる。なお、このような構成は公知であるため、詳細な説明は省略する。ハウジング86における調整ツマミ378の周囲にはメモリが付され、図9の反時計回りに回転させるとサバキ圧を大きくでき、時計回りに回転させるとサバキ圧を小さくできるようになっている。紙詰まりが発生した場合は、図9の反時計回りに調整ツマミ378を回転させてサバキ圧が生じない高さ位置に対向サバキ部材を下げることにより、詰まった用紙を取り除くことができる。
調整ツマミ378の上方には、推奨されるサバキ圧の調整量を表示させる表示部380と、サバキ圧の調整が必要な場合に点灯される要調整ランプ382が設けられている。さらに、ユーザの手動による調整をロック又はロック解除するためのロック機構384が設けられている。制御部50は、サバキ圧を適正に調整できるようユーザを促すための処理を実行する。図3〜8に戻る。
収容部材55の他方(背面側)の側部にはハウジング88が設けられ、サブ操作パネル20の入出力を制御する制御基板(図示せず)が収容されている。図11は、サブ操作パネル20を示す拡大図である。サブ操作パネル20には、対応する棚の番号等を表示させる表示装置162のほか、対応する棚を使用するか否か設定するときに押下される使用設定ボタン164、168、初期調整処理を実行するときに押下される初期調整ボタン166、給紙タイミングを調整するときに押下されるタイミングボタン170,172、給紙モータを正転させる正転ボタン174、給紙モータを逆転させる逆転ボタン176、テスト給紙を行うときに押下されるテスト給紙ボタン178等が設けられる。図3〜8に戻る。
次に、サバキ圧の調整方法について説明する。
まず、サバキ圧調整機構54をサバキ圧を減少させる減圧側に駆動する。すなわち、調整モータ78を逆転させてリンク機構76を図5中の右方に駆動し、傾斜部材74を同方向へ変位させる。その結果、球82が当接する傾斜面84の高さが低くなるため、対向サバキ部材が下降する。これによりホームセンサ222が検知状態となると、調整モータ78の駆動を停止させる。なお、当初からホームセンサ222が検知状態であれば、このような調整モータ78の逆転駆動は行わない。
続いて、サバキ圧調整機構54をサバキ圧を増大させる増圧側に駆動する。すなわち、調整モータ78を正転させてリンク機構を図5中の左方に駆動し、傾斜部材74を同方向へ変位させる。その結果、球82が当接する傾斜面84の高さが高くなるため、対向サバキ部材が上昇する。対向サバキ部材が上昇すると、給紙ローラ42に当接し、なお上昇することにより互いの接触圧すなわちサバキ圧が増大する。このサバキ圧が所定のリミット値に達すると、傾斜部材74の変位が規制される。
この状態からサバキ圧調整機構54をさらに増圧側に駆動する。すなわち、調整モータ78をさらに正転させる。それにより、引きばね105が伸び、第1リンク90および傾斜部材74を停止させたまま第2リンク92を図5中の左方に変位させる。そして、リミットセンサ220により対向サバキ部材の上昇が止まったことが検知されたら、調整モータ78の駆動を停止させる。この引きばね105が伸び始めるとき、言い換えると、調整モータ78が駆動しているにもかかわらず対向サバキ部材の上昇が止まったときのサバキ圧をリミット値とし、サバキ圧を調整するときの基準とする。そして、この状態からサバキ圧調整機構54を所定量だけ減圧側に駆動する。すなわち、調整モータ78を所定回転量だけ逆転させ、傾斜部材74の位置を所定の戻し量だけ図5中の右方に戻す。
このように、サバキ圧がリミット値以下の状態では、第2リンク92を加圧側へ移動させると、第1リンク90を第2リンク92と一体に同方向に移動させることができ、それにより対向サバキ部材を上昇させることができる。一方、サバキ圧がリミット値に達すると、第2リンク92をさらに加圧側へ移動させても第1リンク90の移動は規制される。
なお、戻し量(すなわち調整モータ78の回転量)は、用紙の折り形と、対向サバキ部材の種類とに応じた分量として決定される。具体的には、例えば、対向サバキ部材の種類ごとに、折りなし、2つ折り、4つ折り等の折り形に対する最適な回転量が設定される。この対向サバキ部材の種類と、用紙の折り形と、回転量との関係は、予め試験等を行うことにより最適値が求められる。制御部50は、求められた情報を、回転量特定情報として保持し、サバキ圧を調整するときにこれを参照する。
図12は、丁合装置10の制御部50を中心とする電気的構成を示す概略図である。制御部50については機能ブロックが示されている。制御部50は、取得部192と、サバキ位置制御部194と、記憶部196と、を含む。
制御部50には、メイン操作パネル16に設けられたメイン入力装置150や、サブ操作パネル20に設けられたサブ入力装置160からの信号が入力される。メイン入力装置150には、丁合処理を開始させるためのスタートスイッチ152、丁合処理を停止させるためのストップスイッチ154等、種々のスイッチが含まれる。一方、サブ入力装置160には、図11に示した各ボタンに対応する種々のスイッチが含まれる。また、制御部50には、既に説明したリミットセンサ220、ホームセンサ222、上限センサ224、タイミングセンサ56、用紙有無検知センサ57、ジャムセンサ58、変位センサ69や、スタッカトレイ40への用紙の排出を検出する排紙センサ180等からの検出信号が入力される。
制御部50は、それらのスイッチ・センサ入力に基づいて給紙制御、搬送制御、折り制御等のための所定の演算処理を実行し、給紙モータ77、調整モータ78、メインモータ182等に制御指令信号を出力する。メインモータ182は、サブ搬送機構22やメイン搬送機構24を構成する各搬送ローラ等に共用のモータである。また、制御部50は、丁合処理の設定画面、エラー報知等をメイン表示装置190に表示させる。メイン表示装置190は、メイン操作パネル16に液晶ディスプレイとして設けられる。
制御部50の取得部192は、メイン操作パネル16やサブ操作パネル20を介した入力や、スイッチ・センサ入力を取得する。サバキ位置制御部194は、アクチュエータとしての調整モータ78を制御することにより、後述のように対向サバキ部材の高さ位置を調整する。記憶部196は、各種のデータを記憶する。
例えば、記憶部196は、サバキ部材収容枠206の各収容部と、そこに収容されているサバキ部材の種類とを関連付けた「関連付け情報」を記憶する。以下に関連付け情報の一例を示す。
収容部 :サバキ部材の種類
第1収容部:一般用(第1サバキ部材45)
第2収容部:薄紙用(第2サバキ部材46)
第3収容部:冊子用(第3サバキ部材47)
なお、ユーザがこの関連付け情報の通りにサバキ部材を収容部に収容するよう丁合装置10の説明書や、メイン操作パネル16に表示される画面により促してもよい。また、サバキ部材収容枠206またはその近傍に注意書きとしてその旨を記載したシールを貼り付けておいてもよい。あるいはまた、この関連づけの情報の通りにしかサバキ部材を収容部に収容できないような形状にサバキ部材および収容部が形成されてもよい。つまり、第1収容部212には一般用のサバキ部材(第1サバキ部材45)しか嵌まらず、第2収容部214には薄紙用のサバキ部材(第2サバキ部材46)しか嵌まらず、第3収容部216には冊子用のサバキ部材(第3サバキ部材47)しか嵌まらないよう各収容部および各サバキ部材が形成されてもよい
また例えば、記憶部196は、上述した回転量特定情報を保持する。また例えば、記憶部196は、初期調整処理または追加調整処理によりサバキ圧が調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置を記憶する。
次に、丁合装置10により実行される初期調整処理、丁合処理および戻し処理について説明する。
図13は、丁合装置10による初期調整処理を示すフローチャートである。初期調整処理は、丁合処理に先立ってサバキ圧を適正に調整するために実行される。
ユーザによる折り形態情報が入力されると(S20のY)、制御部50は、その折り形態情報を記憶する(S22)。すなわち、ユーザがメイン操作パネル16やサブ操作パネル20を介して各棚の折り形(折りなし、2つ折り、4つ折り等)を入力すると、取得部192がこれを取得し、折り形態情報として記憶部196に記憶する。
初期調整ボタン166が長押しされることにより初期調整スイッチがオンにされると(S24のY)、サバキ位置制御部194は第1位置検出センサ211a、第2位置検出センサ211bの出力に基づいて対向サバキ部材の種類を特定する(S25)。具体的には、取得部192が第1位置検出センサ211aまたは第2位置検出センサ211bからの出力(すなわち対向収容部に関する出力)を取得し、サバキ位置制御部194が記憶部196に記憶されている関連付け情報を参照して対向収容部に収容されている対向サバキ部材の種類を特定する。例えば図5の例では、第1位置検出センサ211aが切替レバー210を検出するため、取得部192は第1位置検出センサ211aからの出力(すなわち第1収容部212が対向収容部であることを示す出力)を取得し、サバキ位置制御部194は関連付け情報を参照して第1収容部212に収容されている第1サバキ部材45(すなわち対向サバキ部材)の種類を「一般用」サバキ部材と特定する。
続いて、サバキ位置制御部194はホームセンサ222の出力に基づいてサバキ圧が調整可能状態であるか否かを判定する(S26)。具体的には、サバキ位置制御部194は、ホームセンサ222が検知状態にあれば(つまり突出部110の先端に立設する検出部がホームセンサ222の光軸を遮蔽していれば)、サバキ圧が調整可能状態であると判定する。調整可能状態でなければ(S26のN)、サバキ位置制御部194は調整モータ78を逆転させ、対向サバキ部材を下降させる(S28)。これにより調整可能状態になると(S30のY)、サバキ位置制御部194は、調整モータ78を停止させる(S32)。一方、既に調整可能状態であれば(S26のY)、S28からS32の処理をスキップする。
続いて、サバキ位置制御部194は、調整モータ78を正転させて対向サバキ部材を上昇させ(S34)、サバキ圧がリミット値に到達したか否かを判定する(S36)。
具体的には、サバキ位置制御部194は、調整モータ78が駆動しているにもかかわらずリミットセンサ220により検知されるサバキ部材の上昇が止まったとき、サバキ圧がリミット値に到達したと判定する。サバキ位置制御部194は、サバキ圧がリミット値に到達したと判定した場合(S36のY)、調整モータ78を停止させる(S38)。
サバキ位置制御部194は、記憶部196に記憶した折り形態情報と対向サバキ部材の種類とに基づいて、適正な戻し量に対応する調整モータ78の回転量(ステップ数)を特定する(S40)。具体的には、折り形態情報と対向サバキ部材の種類をキーとして回転量特定情報を参照して、適正な戻し量に対応する調整モータ78の回転量を特定する。サバキ位置制御部194は、その回転量にしたがって調整モータ78を逆転させ、対向サバキ部材を下降させる(S42)。サバキ位置制御部194は、戻し量に対応する駆動が完了すると(S44のY)、調整モータ78を停止させる(S46)。以上のような初期調整処理により、サバキ圧が適正に調整される。記憶部196は、この初期調整処理によりサバキ圧が調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置を調整位置Hとして記憶する(S48)。
図14は、丁合装置10による丁合処理を示すフローチャートである。丁合処理にはサバキ圧を微調整するための追加調整処理が含まれる。追加調整処理は、タイミングセンサ56の検知結果を参照して行う第1の追加調整処理と、重送又は空送りエラーの発生に応じて行う第2の追加調整処理と、用紙補充の際に行う第3の追加調整処理と、用紙の残量に応じて行う第4の追加調整処理を含む。
ユーザにより丁合設定部数Nが入力されると(S50のY)、取得部192がこれを取得し、丁合残数N(丁合すべき残数)として記憶部196に記憶する(S52)。
メイン操作パネル16を介して給紙スタートスイッチが入力されると(S54のY)、制御部50は、丁合装置10の各搬送機構を作動させるためのメインモータ182を駆動する(S55)。そして、その時点において、変位センサ402で検知されているブラケット48の被検知面401の高さ位置情報D(以下単に「位置情報D」という)をゼロクリアする(S56)。以後、その位置よりも高い位置はプラス数値、低い位置はマイナス数値として、変位センサ402が位置情報Dを出力する。次に、演算値としての調整判定部数N3をゼロクリアし(S57)、さらにベース部数N1および調整判定部数N2をゼロクリアする(S58)。ここで、「ベース部数N1」は、第1の追加調整処理の実行有無を判定する際の判定周期となる丁合処理部数である。すなわち、その判定周期となる処理部数(本実施の形態では6)ごとに判定をリセットする。「調整判定部数N2」は、その判定周期においてサバキ圧の不足を判定するための指標となる丁合処理部数である。すなわち、その判定周期の丁合処理を繰り返す過程において、調整判定部数N2が基準値(本実の施形態では3)に達すると、第1の追加調整処理が実行される。「調整判定部数N3」は、重送又は空送りエラーが発生したときに、サバキ圧の過不足を判定するための指標となる丁合処理部数である。すなわち、調整判定部数N3が基準値(本実施の形態では500)を超えていなければ、第2の追加調整処理が実行される。
給紙ストップスイッチの入力がなく(S60のN)、また丁合残数Nがゼロになっていなければ(S62のN)、制御部50は給紙モータ77を駆動して1回の給紙を開始する(S64)。これによりジャムセンサ58によって用紙が検知されると(S66のY)、そのタイミングで給紙モータ77を一時停止させる(S68)。なお、紙詰まりが発生していない限り、このとき検知された用紙は、そのまま下流側へ搬送される。本実施の形態では、給紙ローラ42とその回転軸との間にワンウェイクラッチが設けられているため、給紙モータ77が停止しても給紙ローラ42は外力の負荷により回転継続可能であり、搬送上ローラ68と搬送下ローラ70とによる搬送力が作用する限り、用紙の搬送が規制されないからである。
サバキ位置制御部194は、予め定める判定基準期間が経過し(S70のY)、紙詰まりが発生しておらず(S400のN)、重送も空送りも発生しておらず(S500のN)、位置情報Dも増加せず(S600のN)、D=Dxでもなければ(S700のN)、丁合残数Nを1デクリメントするとともに、調整判定部数N3を1インクリメントする(S72)。S400のY,S500のY,S600のY,S700のYの場合及びDxについては後述する。本実施の形態では、「判定基準期間」として給紙モータ77の回転開始から1回の給紙が確実に完了する所定時間として設定している。このとき、タイミングセンサ56により依然として用紙が検知されていれば(S74のY)、サバキ位置制御部194は、調整判定部数N2を1インクリメントする(S76)。当該1回の給紙処理においてサバキ圧が不足していたために次位以下の用紙がずれて検出されたと判定するものである。このとき、調整判定部数N2が3に到達していなければ(S78のN)、サバキ位置制御部194は、ベース部数N1を1インクリメントする(S76)。このとき、ベース部数N1が6に到達していなければ(S82のN)、S60の処理に戻り、ベース部数N1が6に到達していれば(S82のY)、S58の処理に戻る。
一方、調整判定部数N2が3に到達していれば(S78のY)、サバキ位置制御部194は、サバキ圧の追加調整を実行する(第1の追加調整処理)。すなわち、サバキ位置制御部194は、調整モータ78を正転させ、対向サバキ部材を所定高さ上昇させる(S84)。このときの調整モータ78の回転量については、予め試験等に基づいて適正な値が設定される。記憶部196は、この第1の追加調整処理によりサバキ圧が調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置を調整位置Hとして上書きして記憶する(S86)。そして、S58の処理に戻る。給紙ストップスイッチが入力された場合(S60のY)、あるいは丁合残数Nがゼロとなった場合には(S62のY)、制御部50は、メインモータ182を停止して本処理を終了する(S90)。
S400で紙詰まりが発生した場合は(S400のY)、メインモータが停止する(S90)。紙詰まりが発生したか否かは、ジャムセンサ58の検出情報に基づき判定する。すなわち、給紙モータ77の回転開始から1回の給紙が確実に完了する所定時間である判定基準期間が経過してもなお、ジャムセンサ58により用紙が検知されている場合に、紙詰まりと判断する。なお、「判定基準期間」よりも長い所定の期間を定め、その所定の期間を経過してもなおジャムセンサ58により用紙が検知されている場合に、紙詰まりと判断してもよい。
S500で重送又は空送りが発生した場合(S500のY)は、メインモータが停止する(S502)。重送が発生したか否かは、重送検知機構60の変位センサ69の検出情報に基づき判定する。空送りが発生したか否かは、ジャムセンサ58の検出情報に基づき判定する。すなわち、給紙モータ77の回転開始から1回の給紙が確実に完了する所定時間である判定基準期間が経過してもなお、ジャムセンサ58が用紙の到来を検知しない場合に、空送りと判断する。なお「判定基準期間」よりも短い所定の期間を定め、その所定の期間を経過してもなおジャムセンサ58が用紙の到来を検知しない場合に空送りと判断してもよい。
次に調整判定部数N3が500以下であれば(S504のY)、サバキ位置制御部194は、サバキ圧の追加調整を実行する(第2の追加調整処理)。発生したエラーが重送であれば(S506のY)、調整モータ78を正転させ、対向サバキ部材を所定高さ上昇させる(S508)。発生したエラーが空送りであれば(S506のN)、調整モータ78を逆転させ、対向サバキ部材を所定高さ下降させる(S510)。このときの調整モータ78の回転量についても、予め試験等に基づいて適正な値が設定される。記憶部196は、第2の追加調整処理によりサバキ圧が調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置を調整位置Hとして上書きして記憶する(S511)。
次にN3が100以上であれば(S512のY)、その時点で変位センサ402で検知されている被検知面401の位置情報Dと、今回の第2の追加調整処理の内容すなわち、調整モータ78の回転方向と回転量とを関連付けて、記憶部196に記憶する(S514)(追加調整処理の内容と関連付けて記憶されている位置情報Dを、以後位置情報Dxという)。次に調整判定部数N3をゼロクリアし(S516)、再度給紙スタート入力がなされると(S518のY)、メインモータが駆動し(S520)、S58に戻って処理が継続される。S504において、調整判定部数N3が500を超えていれば(S504のN)、サバキ圧の追加調整処理はスキップし、S516に進む。S512において、調整判定部数N3が100以上でなければ、第2の追加調整処理の調整内容の記憶はスキップし、S516に進む。その理由は後述する。
すなわち調整判定部数N3は、重送又は空送りエラーが発生しない限りは、1回給紙が行われるごとにS72において1ずつインクリメントされる。重送又は空送りエラーが発生した場合はS516においてゼロクリアされる。従って、S504においてN3が500を超えていた場合は、前回の重送又は空送りが発生してから、少なくとも500回はエラーが発生していないことから、比較的安定した給紙が行われていると判断して、第2の追加調整処理を見送る。なお第2の追加調整処理を見送るか否かを本実施の形態ではN3が500を超えているか否かで判断しているが、この数値は予め試験等に基づいて適正な値に定められるものであり、500に限られないことは言うまでもない。
次にS600で位置情報Dが増加した場合(S600のY)について説明する。本実施の形態の給紙装置は、用紙が残り少なくなった時、積載されている用紙束の給紙方向上流側の端を持ち上げて、その下に新たな用紙束を追加する「用紙補充」を給紙動作中に行うことが可能である。用紙補充を行うと、ブラケット48の給紙方向上流側が持ち上がるので、被検知面401が上昇し、位置情報Dも増加する。すなわちS600において位置情報Dが増加した場合は、この用紙補充が行われたことになる。すると次に、D≧Dxであるか判断し(S602)、D≧Dxであった場合は(S602のY)、その位置情報Dxと関連付けて記憶部196に記憶されている調整内容とは逆方向の調整を行う(第3の追加調整処理)。逆方向の調整とは、サバキ圧の加圧減圧の方向が逆で、調整量が同一ということである。
重送又は空送りエラーの発生に応じてサバキ圧を調整したとき、S514において、その調整内容が、調整した時点における位置情報Dxと関連付けて記憶部196に記憶される。S602においてD≧Dxであった場合は、今回の用紙補充によって、記憶部196に記憶されている位置情報Dxよりも被検知面401の高さが高くなったということになるから、過去のエラー発生によるサバキ圧調整が行われたときの用紙残量よりも、用紙補充後の用紙残量が多くなったということである。この場合、過去のエラー発生によって行われた調整前のサバキ圧の方が適切である可能性があるため、位置情報Dxと関連付けて記憶部196に記憶されている調整とは逆方向の調整を行う。
例えば過去に位置情報Dxにおいて重送が発生し、これに応じて調整モータ78を回転量Zだけ正転させた場合、S514においては、位置情報Dxに関連付けて、「回転量Zだけ正転」という調整内容が記憶されている。その後に用紙補充が行われて、位置情報DがDxを超えた場合、すなわち重送が発生したときの用紙残量を超えた場合、位置情報Dxに関連付けて記憶されている「回転量Zだけ正転」の逆方向の調整すなわち「回転量Zだけ逆転」をS604において行う。
記憶部196は、この第3の追加調整処理によりサバキ圧が調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置を調整位置Hとして上書きして記憶する(S606)。
次にS700でD=Dxであった場合(S700のY)について説明する。D=Dxであった場合(S700のY)は、位置情報Dxに関連付けて記憶されている調整内容と同一の調整を行う(S702)(第4の追加調整処理)。
D=Dxとはすなわち、過去に重送又は空送りエラーの発生に応じてサバキ圧を調整したとき、S514においてその調整内容が記憶された時と、被検知面401の高さが同一であり、すなわち用紙束の残量が同一ということになる。その場合、過去にその位置情報Dxにおいてなされた調整と同一の調整を行う。例えば過去に位置情報Dxにおいて重送が発生し、これに応じて調整モータ78を回転量Zだけ正転させた場合は、今回も同一の調整すなわち「回転量Zだけ正転」を行う。
記憶部196は、この第4の追加調整処理によりサバキ圧が調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置を調整位置Hとして上書きして記憶する(S704)。
この第2乃至第4の追加調整処理によれば、用紙を繰り返し送り出す動作において、ある用紙残量において重送又は空送りが発生した時、サバキ圧の追加調整(第2の追加調整処理)が行われるとともに、その後に用紙補充が行われて第2の追加調整時よりも残量が増加した場合には、第2の追加調整前のサバキ圧に戻す(第3の追加調整処理)とともに、さらに送り出しを継続して再度第2の追加調整時の残量となったときには、前回の第2の追加調整時の調整内容と同一の調整(第4の追加調整処理)が行われる。したがって、過去の調整実績を参照しながら、用紙束の残量に応じた適切なサバキ圧が自動的に得られるという効果がある。
なおS512においてN3≧100である場合(S512のY)はS514をスキップする。S512においてN3が100以上でないということは、前回の重送又は空送りが発生してから、100回以内に再度発生したことになる。S514で記憶した調整内容に基づき、用紙補充後に同一の残量となったときの調整が行われるから、S514で記憶する調整内容は、用紙残量による適正サバキ圧の変化に応じて行われた調整であることが望ましい。しかし、重送又は空送りが頻繁に発生した場合は、サバキ圧が適正値から大きく離れていることが考えられ、従って、用紙残量による適正サバキ圧の変化とは無関係で発生した可能性が高い。また、重送又は空送りが頻繁に発生している状況で第2の追加調整処理が行われても、その調整後のサバキ圧がなお適正とはならない可能性が高く、そのような場合は複数回の追加調整処理を経て、適切なサバキ圧に近づくことになる。適正なサバキ圧に近づくほど、重送や空送りが発生しにくくなり、その頻度が疎になる。したがって、重送や空送りの発生頻度が所定よりも密である場合には追加調整処理の調整内容を記憶せず、発生頻度が所定よりも疎になった段階の調整内容を記憶することにより、その後の用紙補充後のサバキ圧調整を、より適正行うことができる。また、この数値100も予め試験等に基づいて適正な値に定められるものであり、100に限られないことは言うまでもない。
なお、位置情報Dxと調整内容の関連付けは、複数記憶することができる。重送又は空送りエラーが複数回発生し、各々第2の追加調整処理が行われた場合は、N3が所定数以上(本実施の形態では100)であれば、その第2の追加調整処理の各々について、位置情報Dxと調整内容とが関連付けて記憶され、その後の第3の追加調整処理、第4の追加調整処理についても、記憶されている位置情報Dxと調整内容の各々について行われる。
図15は、丁合装置10による戻し処理を示すフローチャートである。戻し処理は、紙詰まり処理のために調整ツマミ378を操作して給紙ローラ42と対向サバキ部材とを離間させた場合に、丁合処理の再開に先立って実行される。
タイミングボタン170と正転ボタン174が同時に押下されることにより戻しスイッチがオンにされると(S100のY)、サバキ位置制御部194はタイミングセンサ56の出力に基づいて戻し処理が実行可能状態であるか否かを判定する(S102)。具体的には、サバキ位置制御部194は、タイミングセンサ56が検知状態にあれば、対向サバキ部材と給紙ローラ42との間に用紙があるため、戻し処理が実行可能状態でないと判定する。一方、タイミングセンサ56が非検知状態にあれば、対向サバキ部材と給紙ローラ42との間に用紙がなく、戻し処理が実行可能状態であると判定する。
実行可能状態でなければ(S102のN)、戻し処理が実行されることなく処理が終了する。実行可能状態の場合(S102のY)、対向サバキ部材が調整位置Hになければ(S104のN)、サバキ位置制御部194は、調整モータ78を正転させ、記憶部196に記憶された調整位置Hに対向サバキ部材を移動させる(S106)。対向サバキ部材が既に調整位置Hにあれば(S104のY)、S106の処理をスキップして終了する。戻し処理の終了後は、丁合処理を実行できる。
以上説明した本実施の形態によれば、用紙の折り形(すなわち用紙情報)に加えて、対向サバキ部材の種類を考慮して初期調整における戻し量が決定される。したがって、用紙情報だけを考慮して戻し量が決定される場合に比べ、サバキ圧をより的確な値に調整できる。
また、本実施の形態によれば、ボタン操作により開始される戻し処理により、記憶部196に記憶されている「調整位置H」の高さに対向サバキ部材の位置が戻される。具体的には、丁合処理を開始してから重送や空送りのエラーが発生していなければ、あるいは、丁合処理の開始当初からエラーの発生頻度が少なければ(例えば、重送または空送りのエラーが発生する頻度が給紙500回以上ので1回未満の場合)、記憶部196には初期調整処理によりサバキ圧が調整されたときのサバキ部材の高さが調整位置Hとして記憶されている。したがって、この場合、サバキ部材は初期調整されたときの高さ位置に戻される。一方、丁合処理中に重送や空送りのエラーが所定の頻度で発生していれば、記憶部196には追加調整処理によりサバキ圧が調整されたときのサバキ部材の高さが調整位置Hとして記憶されている。したがって、この場合、サバキ部材は追加調整されたときの高さ位置に戻される。いずれにせよ、本実施の形態によれば、記憶部196に記憶されている「調整位置H」の高さに対向サバキ部材が戻されるため、丁合処理を再開する際に改めてサバキ圧を調整する場合と比べてサバキ圧の調整に要する時間が短縮される。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、初期調整処理における戻し量を特定するための用紙情報として折り形態情報を用いた。第2の実施の形態では、戻し量を特定するための用紙情報として重送検知機構60にて検出された用紙の厚さ情報を用いる。すなわち、初期調整処理において用紙を1枚だけ積載してその用紙を送り、図3に示した変位センサ69の検出値に基づいて用紙の厚さを算出し、その厚さ情報と対向サバキ部材の種類とに対応した戻し量を算出(特定)する。また、制御部50の記憶部196は、用紙の厚さと対向サバキ部材の種類と調整モータ78の回転量との関係を対応づけた回転量特定情報を保持する。初期調整処理では、変位センサ69の検出値に基づいて算出された用紙の厚さと、対向収容部特定機構および関連付け情報に基づいて特定された対向サバキ部材の種類と、に基づいて回転量特定情報を参照し、適正な戻し量に対応する調整モータ78の回転量を算出し、対向サバキ板の高さを調整する。
図16は、第2の実施の形態に係る初期調整処理を詳細に示すフローチャートである。なお、この初期調整処理は、図13に示した第1の実施の形態の初期調整処理と共通する部分が多いため、共通の処理部分については同一の符号を付してその説明を省略又は簡略化する。なお、本実施の形態の初期調整処理に際しては、ユーザが各棚ごとにその給紙トレイ14に積載予定の用紙を1枚だけセットし、初期調整ボタン166を長押しする。
初期調整ボタン166が長押しされることにより初期調整スイッチが入力されると(S220のY)、メインモータ182を駆動する(S222)。続いて、調整モータ78を逆転させ、ホームセンサ222が検知状態となるまでサバキ部材を下降させる(S223)。サバキ部材が下降したら、給紙モータ77を駆動する(S224)。それにより、変位センサ69による検出がなされると(S226)、給紙モータ77を停止させる(S228)。そして、その用紙が排紙センサ180により検知されると(S230のY)、メインモータ182を停止し(S232)、変位センサ69が検出した変位を取得部192が取得し、用紙の厚さ情報として記憶部196に記憶する(S234)。
この厚さ情報が、S240の処理において用いられる。すなわち、制御部50は、S234にて記憶した厚さ情報とS25にて特定した対向サバキ部材の種類とに基づいてテーブルを参照し、適正な戻し量に対応する調整モータ78の回転量を算出し、対向サバキ板の高さを調整する。なお、S25以降の処理については、S240を除いて図13に示した第1の実施の形態と同様であるため、その説明については省略する。
本実施の形態によれば、初期調整処理のときの1枚の給紙において重送検知機構60にて実際に検出された用紙の厚さ情報が用いられるため、第1の実施の形態よりも初期調整処理の精度が向上する。また、別途外部から厚さ情報を入力する必要がなくなり、ユーザの作業性が向上する。加えて、戻し処理では、初期調整され、さらに追加調整された調整位置Hに対向サバキ部材の位置が戻される。つまり、丁合処理を再開する際に再度用紙を1枚だけ積載してその用紙を送って初期調整する必要がない。したがって、ユーザの負担が軽減する。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、初期調整処理は調整ツマミ378を操作して手動で行い、サバキ圧を微調整するための丁合中処理中の追加調整処理は調整モータ78により自動で行う。
図17は、第3の実施の形態に係る初期調整処理を詳細に示すフローチャートである。ユーザによる折り形態情報が入力されると(S320のY)、制御部50の記憶部196は、その折り形態情報を記憶する(S322)。続いて、第1位置検出センサ211a、第2位置検出センサ211bの出力に基づいて対向サバキ部材の種類を特定する(S25)。そして、各棚ごとにその折り形態情報と対向サバキ部材の種類とに基づく戻し量を算出し(S324)、その戻し量に対応した調整ツマミ378の操作量を表示部380に表示させておく(S326)。
このとき、ユーザは、サバキ圧を大きくする方向に調整ツマミ378を操作する。それによりリミットがかかったところで手を離す。なお、この「リミット」については、図5に示した引きばね105が伸びることにより、同方向への操作に抵抗がかかったことをユーザが感知することをもって判断される。このようにしてユーザが調整ツマミ378から手を離すと、引きばね105の付勢力によって調整ツマミ378がリミット位置に落ち着く。ユーザは、そのリミット位置から上記表示部380に表示された操作量だけ調整ツマミ378を反対方向に戻すことにより、対向サバキ部材が適正な高さに調整される。
続いて、テスト給紙ボタン178(図11参照)が押下されると(S328のY)、メインモータ182を駆動する(S330)。そして、要調整ランプ382を消灯し(S332)、給紙モータ77を駆動して1回の給紙を開始する(S334)。これによりジャムセンサ58によって用紙が検知されると(S336のY)、そのタイミングで給紙モータ77を一時停止させる(S338)。なお、紙詰まりが発生していない限り、このとき検知された用紙は、そのまま下流側へ搬送される。本実施の形態においても、給紙ローラ42とその回転軸との間にワンウェイクラッチが設けられているためである。
そして、予め定める判定基準期間が経過したときに(S340のY)、タイミングセンサ56により用紙が検知されていれば(S342のY)、要調整ランプ382を点灯させる(S344)。当該1回の給紙処理においてサバキ圧が不足していたために次位以下の用紙がずれて検出されたと判定し、サバキ圧の再調整を促すものである。タイミングセンサ56により用紙が検知されていなければ(S342のN)、要調整ランプ382を消灯させる(S346)。なお、「判定基準期間」としては、給紙モータ77の回転開始から1回の給紙が確実に完了する所定時間が設定される。
このようにして要調整ランプ382が点灯した場合、ユーザは、調整ツマミ378をサバキ圧が大きくなる方向に所定量操作することができる。すなわち、要調整ランプ382の点灯は、サバキ圧を増加させるようユーザを促す誘導表示となる。その後、再度テスト給紙を実行することにより要調整ランプ382が消灯すれば、サバキ圧が適正に調整されたと認識することができる。
このテスト給紙処理は、ユーザがテスト給紙ボタン178を押し続ける間にのみ行われる。すなわち、テスト給紙ボタン178の押下が解除されなければ(S348のN)、S334に戻り、次のテスト給紙が実行される。テスト給紙ボタン178の押下が解除されると(S348のY)、メインモータ182を停止させる(S350)。記憶部196は、このときの対向サバキ部材の高さ位置を調整位置Hとして記憶する(S352)。S328においてテスト給紙ボタン178が押下されなければ(S328のN)、S330からS350の処理をスキップする。なお、本実施の形態によれば、テスト給紙ボタン178を押したまま、要調整ランプ382が消灯するまで給紙を繰り返しながら、調整ツマミ378を回してサバキ圧を調整することもできる。
なお、本実施の形態においては、メイン入力装置150(図12参照)のスタートスイッチ152が「第1給紙スイッチ」に対応し、テスト給紙ボタン178が「第2給紙スイッチ」に対応する。なお、第1給紙スイッチは、丁合スタートスイッチとなるため、全段の棚の給紙が一斉に連続動作する。また、第2給紙スイッチ(テスト給紙スイッチ)は、給紙部(給紙機構18)ごとに設けられ、対応する給紙部の給紙だけが連続動作する。
本実施の形態によれば、初期調整処理においてはサバキ圧の調整を手動で行うことが可能である。したがって、手動による初期調整に慣れたユーザにも使いやすい装置が得られる。また、要調整ランプ382、表示部380により、より手動調整が行いやすいものとなる。
手動による初期調整処理の後、スタートスイッチ152を操作することにより丁合処理が開始され、自動での追加調整処理が行われる。この追加調整処理は第1の実施の形態と同一である。なお、初期調整処理を手動とするか、自動とするか、予めユーザが選択できるようにしてもよい。
また、追加調整処理についても手動とするか、自動とするか、予めユーザが選択できるようにしても良い。手動を選択した場合に、予め定める判定基準期間が経過したときに、タイミングセンサ56により用紙が検知されていれば、要調整ランプ382を点灯させるようにしてもよい。そうすれば、サバキ圧が不足気味の場合にユーザに調整を促すことができる。
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態は、第1の実施の形態における用紙残量検知機構400に代えて、ニアエンド検知機構410を備え、重送又は空送りエラーが生じた際にサバキ圧が自動的に調整されるとともに、その調整が行われたのがニアエンド検知後である場合は、その時点でのニアエンド検知後の給紙回数と調整内容とを関連付けて記憶させ、用紙補充後に再度ニアエンドが検知され、その後の給紙回数が、記憶されている給紙回数と同じになった時に、同様の調整を行うものである。
図18及び図19は、第4の実施の形態に係る給紙装置を示す図である。図18は用紙残量が多い場合、図19は少ない場合を示す。第1の実施の形態と同一の部材には同一の番号を付して、詳細な説明は省略する。
本実施の形態に係る給紙装置は、ブラケット48の給紙方向下流側上方に、ニアエンド検知機構410を備える。ニアエンド検知機構410は、ニアエンドセンサ411と、被検知板412とを備える。ニアエンドセンサ411は反射型光学センサである。被検知板412はブラケット48の給紙方向下流側寄りに固定され、ニアエンドセンサ411の下方に向かって伸びる板状の部材である。
図18に示すように、用紙残量が多い場合は、被検知板412がニアエンドセンサ411の下方にあるので、ニアエンドセンサ411が被検知板412を検知してON状態になっている。用紙残量が少なくなると、図19に示すように、ブラケット48の回動により被検知板412が図示右方に変位し、ニアエンドセンサ411の下方から外れるので、ニアエンドセンサ411はOFF状態となる。したがって、用紙残量が減少し、所定残量となった時点でニアエンドセンサ411がON状態からOFF状態に切り替わることになる。このニアエンドセンサ411がON状態とOFF状態のいずれであるか、制御部50に入力されるようになっている。
本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、初期調整処理と追加調整処理が行われる。初期調整処理は第1の実施の形態の初期調整処理(図13)と同一である。
図20は、第4の実施の形態における丁合処理を示すフローチャートである。丁合処理には、第1の実施の形態と同様に、サバキ圧を微調整するための追加調整処理が含まれる。第1の実施の形態と同一の処理については同一の番号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施の形態における追加調整処理は、タイミングセンサ56の検知結果を参照して行う第1の追加調整処理と、重送又は空送りエラーの発生に応じて行う第2の追加調整処理と、用紙のニアエンド検知に応じて行う第5、第6の追加調整処理を含む。
メイン操作パネル16を介して給紙スタートスイッチが入力されると(S54のY)、丁合装置10の各搬送機構を作動させるためのメインモータ182を駆動する(S55)。そして、演算値としての調整判定部数N3、ニアエンド部数N4をゼロクリアし(S57、S557)、ニアエンドフラグF1をゼロに設定する(S558)。さらにベース部数N1および調整判定部数N2をゼロクリアする(S58)。ベース部数N1および調整判定部数N2,N3は第1の実施の形態と同じである。「ニアエンド部数N4」はニアエンド検知後に丁合処理された部数であり、ニアエンド検知後のサバキ圧の過不足を判定するために使う。
判定基準期間が経過したあと(S70のY)、ニアエンドセンサ411がON状態からOFF状態に変化したか否かを判断する(S570)。ON状態からOFF状態に変化した場合(S570のY)、ニアエンドフラグF1を1とする(S572)。ニアエンドセンサ411が変化していなければ(ON状態のまま、あるいはOFF状態のままであれば)、S572はスキップする。次にニアエンドフラグF1が1ならば(S574のY)、N4を1だけインクリメントする(S576)。
S500で重送又は空送りが発生した場合(S500のY)は、メインモータを停止させ(S502)、調整判定部数N3が500以下であれば(S504のY)、第2の追加調整処理を行う。この第2の追加調整処理は第1の実施の形態と同一である。記憶部196は、第2の追加調整処理によりサバキ圧が調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置を調整位置Hとして上書きして記憶する(S511)。
次にニアエンドフラグF1=1であれば(S530のY)、その時点でのニアエンド部数N4と、今回の第2の追加調整処理の内容すなわち、調整モータ78の回転方向と回転量とを関連付けて、制御部50に記憶する(S532)(追加調整処理の内容と関連付けて記憶されているニアエンド部数N4を、以後「調整ニアエンド部数N4x」という)。その後、S516以降は第1の実施の形態と同じである。
重送又は空送りの発生が無い場合(S500のN)、次にニアエンドセンサが検知OFF状態からON状態へ変化したか否かを判断する(S620)。変化した場合(S620のY)は、過去の重送又は空送りに応じて行われた第2の追加調整処理の際に記憶済みの調整ニアエンド部数N4xに対応する調整内容とは逆方向の調整を行う(S622)(第5の追加調整処理)。記憶部196は、この第5の追加調整処理によりサバキ圧が調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置を調整位置Hとして上書きして記憶する(S623)。さらにニアエンド部数N4をゼロクリアし(S624)、ニアエンドフラグF1もゼロとする(S626)。その後N4=N4xであれば(S720のY)、そのN4xと関連付けて記憶されている調整内容と同一の調整を行う(S722)(第6の追加調整処理)。記憶部196は、この第6の追加調整処理によりサバキ圧が調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置を調整位置Hとして上書きして記憶する(S623)。
S570におけるニアエンドセンサの検知ON状態からOFF状態への変化は、すなわち用紙残量が減少して所定量に達したということである。用紙残量がこの所定量以下の間はニアエンドフラグF1を1としておく。ニアエンド部数N4は、ニアエンドフラグF1が1である間は、1回給紙が行われるごとにS576において1ずつインクリメントされる。すなわちN4は、用紙残量が減少して所定量に達して以後に行われた給紙回数に等しい。
重送又は空送りが発生し、第2の追加調整処理が行われた場合、その追加調整処理を行ったときのニアエンド部数N4を調整ニアエンド部数N4xとして、調整内容とともに制御部50に記憶する。すなわち、用紙残量が減少して所定量に達して以後、何回給紙が行われたときにどのような調整を行ったか、という履歴を記憶するということである。
一方で、S620におけるニアエンドセンサの検知OFF状態からON状態への変化は、用紙補充によって残量が増加したということである。残量が増加したら、過去に残量が少ない状態で行った第2の追加調整処理の調整内容とは逆方向の調整を行い、すなわち調整前の状態に戻す。その後再度残量が所定量以下となり、その後の給紙回数が、以前に第2の追加調整処理が行われた時点と同一の給紙回数となったときに、その第2の追加調整処理と同内容の追加調整処理を行う、ということである。
本実施の形態によれば、ブラケット48の位置を常時検知することなく、用紙残量が少なくなったある時点のみを検知するだけで、その検知後に発生した追加調整処理内容と調整時点を記憶することにより、用紙補充後に再度その残量に達した時に、自動的に同一の調整を行うことができる。したがって、第1の実施の形態よりも安価に、用紙残量が少なくなった時の適切なサバキ圧の変化に対応した調整を行うことができる。
なお、調整ニアエンド部数N4xも第1の実施の形態における位置情報Dxと同様に複数記憶することができる。重送又は空送りエラーが複数回発生し、各々第2の追加調整処理が行われた場合は、その第2の追加調整処理の各々について、調整ニアエンド部数N4xが調整内容とが関連付けて記憶され、その後の第5の追加調整処理、第6の追加調整処理についても、記憶されている調整ニアエンド部数N4xの各々について行われる。
また、本実施の形態においても、第3の実施の形態と同様に、調整ツマミ378を設けて、初期調整処理を手動で行うことが可能であるように構成してもよい。
本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施の形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
(変形例1)
第1、第3の実施の形態では、ユーザが入力する用紙情報として折り形態(折り形)を設定する構成を示したが、変形例においては、用紙の厚さ(数値)を入力する構成としてもよい。例えば、ユーザが用紙の厚さをマイクロメータにて測定し、その測定値を入力するようにしてもよい。あるいは、制御部50に対して測定値を出力可能なマイクロメータを使用してもよい。あるいは、数値ではなく、「厚紙、普通紙、薄紙」などの紙厚情報を入力するようにしてもよい。
また、サバキ圧に影響を与える要素として紙質を入力するようにしてもよい。例えば「コート紙、アート紙、マット紙、上質紙、中質紙」などの紙質情報を入力することができる。このほかにも、ユーザは、用紙サイズであるサイズ情報や連量などの密度情報を入力することもできる。ただし、制御部50は、このような用紙情報と戻し量(調整モータ78の回転量など)との対応関係を設定したテーブルを保持し、入力された用紙情報に基づいてサバキ圧の調整処理を適正に行えるようにしておくものとする。また、上記実施の形態では、サブ操作パネル20を介して用紙情報を入力する例を示したが、メイン操作パネル16を介してそれらを入力してもよい。
(変形例2)
実施の形態では、図14のS70や図17のS340において、「判定基準期間」を給紙モータ77の回転開始から1回の給紙が確実に完了する所定時間として設定する例を示した。変形例においては、例えば給紙モータ77の回転開始から用紙の後端がジャムセンサ58により検出されるまでを「判定基準期間」としてもよい。
(変形例3)
第3の実施の形態ではリミット検知機構を設けない構成を示したが、第1、第2の実施の形態と同様にリミットセンサ220によるリミット値の検知を行う構成としてもよい。その場合、ユーザが調整ツマミ378を加圧側に操作する過程でサバキ圧がリミット値に到達すると、その時点で戻し量に対応した操作量を表示部380に表示させてもよい。
(変形例4)
実施の形態では述べなかったが、丁合処理中に空送り等が発生した場合、サバキ圧を減圧側に変化させるよう調整処理を実行してもよい。また、丁合処理中に重送や連鎖が発生した場合、サバキ圧を加圧側に変化させるよう調整処理を実行してもよい。
(変形例5)
第2の実施の形態では、レバー部材65の回動量をエンコーダを用いて測定する変位センサ69の検出値に基づいて用紙の厚さに関する情報を得る例を示した。変形例においては、超音波センサにより用紙の厚さに関する情報を得るようにしてもよい。すなわち、横搬送路を挟んで上下に各々超音波を発信する発信センサ、受信する受信センサを設けてもよい。例えば、超音波センサを通過した用紙が折りなしの場合よりも2つ折りの場合のほうが超音波の振幅が小さくなることを利用し、用紙の折り形を得るようにしてもよい。あるいは、光学式センサにより用紙の厚さに関する情報を得るようにしてもよい。すなわち、横搬送路を挟んで上下に各々発光センサと受光センサを配置し、用紙が通過した時の光の透過量に基づいて用紙の折り形や厚さ情報を得るようにしてもよい。
(変形例6)
実施の形態では、記憶部196には、追加調整処理により調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置を調整位置Hとして記憶する場合について説明したが、これに限られない。
例えば、記憶部196には、追加調整処理が実行されるまでは初期調整処理により調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置を調整位置Hとして記憶し、追加調整処理が実行されたら、追加調整処理により調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置を調整位置Hとして記憶してもよい。この場合、追加調整処理が実行される前に紙詰まりが生じた場合、戻し処理では初期調整処理で記憶部196に記憶された調整位置Hにサバキ部材を戻してもよい。
また例えば、記憶部196には、初期調整処理により調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置だけを調整位置Hとして記憶し、戻し処理ではその調整位置Hにサバキ部材を戻してもよい。
また例えば、記憶部196には、追加調整処理により調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置に加えて初期調整処理により調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置を記憶してもよい。この場合、戻し処理では、初期調整処理により調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置にサバキ部材を戻しても、追加調整処理により調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置にサバキ部材を戻してもよい。あるいは、戻し処理では、どちらの高さ位置に戻すかをユーザが選択できるようにし、選択された高さ位置に対向サバキ部材を戻してもよい。
(変形例7)
実施の形態では、サバキ位置制御部194は、タイミングセンサ56が検知状態にあれば、すなわち給紙ローラ42と対向サバキ部材との間に用紙があれば、戻しスイッチがオンにされても戻し処理が実行しない場合ついて、逆にいうと、給紙トレイ14に用紙が積載されていてもタイミングセンサ56が非検知状態にあれば戻し処理を実行する場合について説明したが、これに限られない。サバキ位置制御部194は、用紙有無検知センサ57が検知状態にあれば、戻しスイッチがオンにされても戻し処理を実行しないようにしてもよい。また、タイミングセンサ56、用紙有無検知センサ57の他に、給紙ローラ42と対向サバキ部材とが接触する位置にセンサを設け、このセンサが検知状態であれば、戻しスイッチがオンにされても戻し処理を実行しないようにしてもよい。
(変形例8)
実施の形態では、調整ツマミ378を手動で操作してサバキ圧が生じない高さ位置に対向サバキ部材を下げることにより、詰まった用紙を取り除くことができることについて説明したが、これに限られず、調整モータ78により自動でサバキ圧が生じない高さ位置に対向サバキ部材が下げられるように構成されてもよい。
例えば、タイミングボタン172と逆転ボタン176が同時に押下されることにより紙詰まり処理スイッチがオンにされると、サバキ位置制御部194は、サバキ圧が生じない所定の高さ位置(例えば給紙ローラ42と対向サバキ部材が離間する所定の高さ位置)に対向サバキ部材が移動するよう調整モータ78を制御してもよい。この場合、サバキ位置制御部194は、紙詰まりが検知された場合にだけ、紙詰まり処理スイッチがオンにされると、サバキ圧が生じない所定の高さ位置に対向サバキ移動が移動するよう調整モータ78を制御してもよい。すなわち、サバキ位置制御部194は、紙詰まりが検知されていない場合に紙詰まり処理スイッチがオンにされても、対向サバキ部材を移動させることなく処理を終了する。
また、紙詰まり処理スイッチと戻しスイッチとをオンにするボタンを、同じボタン操作(例えばタイミングボタン170と正転ボタン174とを同時に長押し)で兼ねてもよい。すなわち、紙詰まりが発生してから、タイミングボタン170と正転ボタン174とが同時に長押しされるまでの間に、リミットセンサ220が対向サバキ部材の下降を検知していなければ、紙詰まり処理スイッチがオンされ、その後再度タイミングボタン170と正転ボタン174とが同時に長押しされれば、戻しスイッチがオンされる。紙詰まりが発生してから、タイミングボタン170と正転ボタン174とが同時に長押しされるまでの間に、リミットセンサ220が対向サバキ部材の下降を検知していれば、すでに手動で対向サバキ部材が下降されて、紙詰まり処理が行われたと判断し、紙詰まり処理スイッチをオンすることなく、戻しスイッチをオンするようにしてもよい。
また例えば、紙詰まりが検知されてメインモータが停止すると、サバキ位置制御部194は、ユーザからの入力を待たずに自動で、サバキ圧が生じない所定の高さ位置に対向サバキ部材が移動するよう調整モータ78を制御してもよい。
(変形例9)
実施の形態では、追加調整処理により調整されたときの対向サバキ部材の高さ位置を調整位置Hとして記憶部196に記憶し、戻し処理ではその調整位置Hにサバキ部材を戻す場合について説明したが、これに限られない。紙詰まりが発生したということは、その調整位置Hが適正でないことも考えられる。すなわちサバキ圧が高すぎることが考えられる。したがって、サバキ位置制御部194は、例えば調整位置Hよりも所定の距離だけ下げた位置に対向サバキ部材を移動させるよう調整モータ78を制御してもよい。上述の変形例のように初期調整処理により調整された高さ位置に対向サバキ部材を戻す場合も同様である。
(変形例10)
実施の形態では特に言及しなかったが、戻し処理が行われずに給紙スタートスイッチが入力された場合、警告を表示するようにしてもよい。具体的には、例えば、調整モータ78が駆動していないのにリミットセンサ220が対向サバキ部材の移動を検出し、その後に戻し処理が行われることなく給紙スタートスイッチが入力された場合にメイン操作パネル16に警告を表示してもよい。また例えば、対向サバキ部材が調整位置Hにない状態でスタートスイッチが入力された場合にメイン操作パネル16に警告を表示してもよい。
警告としては、例えば「サバキの位置が手動で変更されました。元に戻してスタートしてください」等のメッセージを表示してもよい。
(変形例11)
実施の形態では特に言及しなかったが、追加調整処理がなされたときの用紙残量と対向サバキ部材の高さ位置である調整位置Hとを関連付けて記憶部196に記憶してもよい。そして、用紙が補充されたり用紙が送り出されたりして用紙残量が増減したとき、サバキ位置制御部194は、記憶部196に記憶されている用紙残量と調整位置Hとの関係に基づいて、そのときどきの用紙残量に応じた調整位置Hに対向サバキ部材を移動させてもよい。
(変形例12)
実施の形態では、サバキ部材収容枠206の各収容部に収容されるべきサバキ部材の種類が決められている場合について説明したが、これに限られない。各収容部に収容されるべきサバキ部材の種類をユーザが設定できてもよい。
図21は、制御部50がメイン操作パネル16に表示させる設定画面500を示す。設定画面500は、装置模式図502と、設定欄504と、を含む。装置模式図502は、対向サバキ部材表示欄506を含む。対向サバキ部材表示欄506には、各給紙装置の対向サバキ部材が表示される。なお、対向サバキ部材表示欄506には、サバキ圧を自動で調節する機能を有している給紙装置のみが表示される。
設定欄504は、給紙装置表示欄508と、種類設定部510と、セットボタン512と、を含む。給紙装置表示欄508は、選択中の給紙装置が表示される。種類設定部510の1〜3の数字は、それぞれ第1収容部212、第2収容部214、第3収容部216に対応する。数字の下の四角い表示は、サバキ部材の種類を色により表示する。この表示をタッチするたびにサバキ部材の種類(すなわち表示される色)が切り替わる。ユーザは、この表示をタッチして、各収容部に実際に収容したサバキ部材の種類と一致するように設定すればよい。もちろん、これから各収容部に収容するべきサバキ部材の種類を設定してもよい。セットボタン512を押下すると、種類設定部510の設定が確定される。具体的には、取得部192が設定欄504に入力された情報を取得する。そして、記憶部196は、種類設定部510で設定された各収容部とサバキ部材の種類とを、給紙装置表示欄508に表示された給紙装置の「関連付け情報」として記憶する。
(変形例13)
給紙ローラ42とサバキ部材とは、互いに圧接された状態で使用されるため、摩耗が生じることがある。本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、摩耗量が大きくなると、戻し量の最適値が変化することを認識した。本発明者らが行った実験によると、摩耗量が大きくなると、摩耗量が小さいときとくらべて、戻し量の最適値が小さくなることが確認された。そこで、本変形例では、給紙ローラ42およびサバキ部材の摩耗量に応じて戻り量を補正する。
サバキ位置制御部194は、ホームセンサ222が検知状態となるホーム位置に対向サバキ部材を移動させ、続いてサバキ圧がリミット値に達するまでサバキ圧調整機構54を増圧側に駆動する。取得部192は、このときの対向サバキ部材の変位量をリミットセンサ220から取得する。サバキ位置制御部194は、この変位量から、記憶部196に記憶された基準変位量であって給紙ローラ42と対向サバキ部材が新品のときに同じようにして取得した基準変位量を差し引くことにより、摩耗量を算出する。
サバキ位置制御部194は、対向サバキ部材の種類と用紙情報(用紙の折り形等)と回転量との関係を示す「回転量特定情報」に基づいて特定された戻し量(調整モータ78の回転量)に、摩耗量に応じた「補正値」を加えて補正し、補正された戻し量(調整モータ78の回転量)にしたがって調整モータ78を逆転させ、リミット値に達した位置から対向サバキ部材を下降させる。なお、摩耗量と補正値との関係は、予め試験等を行うことにより最適値が求められる。
本変形例によれば、給紙ローラ42やサバキ部材が摩耗しても、サバキ圧を的確な値に調整できる。
(変形例14)
実施の形態では、サバキ部材収容枠206の各収容部には、関連付け情報の通りにサバキ部材が既に収容されているまたはこれから収容されることを前提として、対向収容部となっている収容部を特定し、その収容部に収容されているサバキ部材(すなわち対向サバキ部材)の種類を特定する場合について説明した。しかしながら、これに限られず、給紙装置は、各収容部に収容されているサバキ部材の種類を直接的に特定するように構成されてもよい。
図22は、変形例に係る丁合装置のサバキ部材とその周辺を示す図である。本変形例では、サバキ部材収容枠206の第1収容部212はセンサ225a、225bを含み、第2収容部214はセンサ226a、226bを含み、第3収容部216はセンサ227a、227bを含む。つまり、各収容部はそれぞれ2つのセンサを含む。
本変形例では、第1サバキ部材45(一般用サバキ部材)はいずれの収容部に収容されても2つのセンサを塞ぐ形状を有し、第2サバキ部材46(薄紙用サバキ部材)はいずれの収容部に収容されても1つのセンサだけを塞ぐ形状を有し、第3サバキ部材47(冊子用サバキ部材)はいずれの収容部に収容されても1つもセンサを塞がない形状を有する。
取得部192は、各センサからの出力を取得する。サバキ位置制御部194は、取得部192が取得した各センサからの出力に基づいて、各収容部に収容されているサバキ部材を特定する。具体的には、サバキ位置制御部194は、各収容部に配置されている2つのセンサがサバキ部材を検出した場合、その収容部には第1サバキ部材45が収容されていると判断し、各収容部に配置されている2つのセンサのうちの1つだけがサバキ部材を検出した場合、その収容部には第2サバキ部材46が収容されていると判断し、各収容部に配置されている2つのセンサのいずれもがサバキ部材を検出しない場合、その収容部には第3サバキ部材47が収容されていると判断する。
例えば、図22の例では、第1収容部212では、2つのセンサ225a、225bがサバキ部材を検出するため、第1収容部212には第1サバキ部材45が収容されていると判断される。また、第2収容部214では、2つのセンサ226a、226bのうちの1つのセンサ226aのみがサバキ部材を検出するため、第2収容部214には第2サバキ部材46が収容されていると判断される。また、第3収容部216では、2つのセンサ227a、227bがいずれもサバキ部材を検出しないため、第3収容部216には第3サバキ部材47が収容されていると判断される。
本変形例によれば、各収容部に収容されているサバキ部材を確実に特定できる。
(変形例15)
本変形例においても、変形例13と同様に、各収容部に収容されているサバキ部材の種類を直接的に特定する。本変形例では、サバキ部材収容枠206の各収容部はそれぞれ、バーコードやQRコード(登録商標)、RFIDタグなどのIC情報を読み取り可能な複数のリーダーを含む。サバキ部材には、リーダーによって読み取り可能なIC情報であってサバキ部材の種類を示すIC情報が付される。本実施の形態では、第1サバキ部材45には一般用サバキ部材であることを示すIC情報が、第2サバキ部材46には薄紙用サバキ部材であることを示すIC情報が、第3サバキ部材47には冊子用サバキ部材であることを示すIC情報がそれぞれ付与される。取得部192は、各収容部のリーダーから、その収容部に収容されているサバキ部材の種類を取得する。
本変形例によれば、各収容部に収容されているサバキ部材を確実に特定できる。
(変形例16)
実施の形態では、サバキ部材収容枠206が3つの収容部を有する場合について説明したが、これに限られず、サバキ部材収容枠206は、2つ、または4つ以上の収容部を有していてもよい。
(変形例17)
実施の形態では、サバキ部材収容枠206が3つすなわち複数の収容部を有する場合について説明したが、これに限られず、サバキ部材収容枠206は1つの収容部だけを有していてもよい。この場合、収容部に収容されるサバキ部材を交換することにより、対向サバキ部材の種類を切り替える。またこの場合に、1つの収容部に変形例14と同様のリーダーを設け、サバキ部材に設けたサバキ部材の種類を示すIC情報をリーダーが取得してもよい。
(変形例18)
変形例11では、サバキ部材収容枠206の各収容部に収容されるべきサバキ部材の種類をユーザが設定できる場合について説明したが、これに限られず、丁合装置の各給紙装置に収容されるべきサバキ部材の種類をユーザが設定できるようにしてもよい。例えば、各給紙装置を変形例16のような1つの収容部だけを有する給紙装置とし、各給紙装置の1つの収容部に収容したサバキ部材の種類をユーザが入力できるようにする。具体的には、図21において設定欄504を表示することなく、装置模式図502のすべての給紙装置に対して対向サバキ部材表示欄506を表示し、各々の対向サバキ部材表示欄をタッチするたびにサバキ部材の種類(すなわち表示される色)が切り替わる。ユーザは、この表示をタッチして、各給紙装置に実際に収容したサバキ部材の種類と一致するように設定すればよい。もちろん、これから各給紙装置に収容するべきサバキ部材の種類を設定してもよい。こうして入力された情報を取得部192が取得し、記憶部196は各給紙装置とサバキ部材の種類との対応関係を記憶し、サバキ位置制御部194は、各給紙部において各々対応するサバキ部材の種類に応じた調整を行う。
また、実施の形態で説明した3つの収容部を有するサバキ部材収容枠206を有する給紙装置と、1つの収容部のみを有する給紙装置とを混在して丁合装置を構成し、3つの収容部を有する給紙装置については、各々の収容部に対してサバキ部材の種類を設定でき、1つの収容部を有する給紙装置については、その1つの収容部に収容したサバキ部材の種類のみが設定できるようにしてもよい。
(変形例19)
実施の形態では、サバキ部材の種類に応じて、サバキ圧を的確な値に調整する場合について説明したが、これに限られず、給紙ローラの種類に応じて、サバキ圧を的確な値に調整してもよい。この場合、例えば、材質(シリコンゴム、ウレタンゴム等)や硬度、外周面に形成する溝形状(軸方向に溝を形成したもの、周方向に溝を形成したもの、溝を斜めに形成したもの、あるいはこれらの組合せ等)、幅等の異なる複数の給紙ローラを交換可能にするとともに、その種類をセンサで検知できるように構成する。取得部192は、センサで検知された給紙ローラの種類を取得する。サバキ位置制御部194は、各々の給紙ローラの種類に応じて、用紙情報に対応して予め実験等で定められた調整値に、サバキ圧を調整する。さらに、複数種類の給紙ローラと複数種類のサバキ板の組合せに応じて、サバキ圧を的確な値に調整するように構成してもよい。
(変形例20)
実施の形態では、サバキ部材収容枠206の各収容部は幅方向に並べて設けられ、これを幅方向にスライド移動して、各収容枠に収容されたサバキ部材のうちの1つを対向サバキ部材とする場合について説明したが、これに限られず、例えば図23(a)に示すように、円盤上にサバキ部材を環状に複数設け、この円盤を回転させ、そのうちの1つのサバキ部材を対向サバキ部材とするように構成してもよい。図23(a)では、円盤300上にサバキ部材302とサバキ部材304が設けられ、そのうちサバキ部材302が対向サバキ部材となっている場合を示している。円盤300を180°回転させると、サバキ部材304が対向サバキ部材となる。センサ306が円盤300の突出部300aを検知していれば、サバキ部材302が対向サバキ部材であると判断し、検知していなければ、サバキ部材304が対向サバキ部材であると判断する。円盤300上に設けられるサバキ部材は2個に限られず、3個以上であってもよいことはもちろんである。また、多角柱の各側面に各々サバキ部材を配置し、この多角柱を回転させることにより、そのうちの1つを対向サバキ部材としてもよい。図23(b)では、六角柱310の各側面に、それぞれサバキ部材312、サバキ部材314、サバキ部材316、サバキ部材318、サバキ部材320、サバキ部材322、が配置されている場合を示している。