以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る丁合装置10の外観を表す斜視図である。丁合装置10は、筐体12の左右に10段ずつの棚が設けられ、左側の棚には給紙トレイ14A〜14Jが設置され、右側の棚には給紙トレイ14K〜14Uが設置されている。左側の最下段の給紙トレイ14Aの下方には、折り用給紙トレイ14Xが設置されている。給紙トレイ14A〜14Xは、筐体12への取付位置や取付方向が異なるが、同一構造を有する。以下の説明においてこれらを特に区別しない場合には「給紙トレイ14」と総称する。
筐体12の前面側にはメイン操作パネル16が設けられている。メイン操作パネル16はタッチパネル式の液晶ディスプレイを有し、ユーザが丁合処理のための所定の操作入力を行うことができる。一方、各棚の給紙機構18に対応するようにサブ操作パネル20が設けられている。サブ操作パネル20には、ユーザが給紙処理のための所定の操作入力を行うための複数の操作ボタンが設けられている。その詳細については後述する。
図2は、丁合装置10の内部構造を正面側からみた模式図である。丁合装置10は、サブ搬送機構22およびメイン搬送機構24をさらに備える。サブ搬送機構22は各棚の給紙機構18に対応して設けられる。給紙機構18は、給紙トレイ14に積載された用紙束の最上位の用紙を一枚ずつサブ搬送機構22の搬送路に送り出す。
サブ搬送機構22は、給紙機構18から送り出された用紙をメイン搬送機構24に送り込む。メイン搬送機構24は、筐体12内に上下方向に延在するように設けられる。メイン搬送機構24は、各サブ搬送機構22から送り込まれた用紙を、単独で、または重ね合わせながら下方へ搬送する。
給紙トレイ14および給紙機構18は、筐体12に取り外し可能に装着されている。具体的には、給紙トレイ14は、ユーザによって図示しないロック機構が解除されると、筐体12との係合が解除され、筐体12から取り外すことができるよう構成されている。このような係合方法は公知であるため説明は省略する。
丁合装置10は、用紙搬送プレート26、用紙載置プレート28、ストッパ30、折りナイフ32、および一対のローラ34をさらに有する。折り用給紙トレイ14Xには、メイン搬送機構24により搬送される用紙束を内側に挟むように二つ折りされる用紙が積載される。折り用給紙トレイ14Xにも給紙機構18が設けられている。給紙機構18は、折り用給紙トレイ14Xに積載された用紙束の最上位の用紙を一枚ずつ用紙搬送プレート26に送り出す。
用紙搬送プレート26は、用紙搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という)の端部がメイン搬送機構24の下端よりわずかに左に位置するよう配置される。用紙載置プレート28は、2枚のプレートが間隔を開けて重ね合わさるように設けられている。用紙載置プレート28は、用紙搬送方向上流側(以下、単に「上流側」という)の端部が、メイン搬送機構24の下端よりわずかに右に位置するよう配置される。ストッパ30は、用紙載置プレート28内に導かれた用紙の先端が当接するように配置される。ストッパ30は、モータなどのアクチュエータを作動させることにより、用紙載置プレート28に沿って上流側および下流側に移動可能に構成されている。
丁合装置10には、制御部50が設けられている。制御部50は、各種の演算を実行するCPU、各種の制御プログラムを格納するROM、およびデータ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有し、丁合装置10の内部に設けられたアクチュエータの作動などを制御する。ユーザは、メイン操作パネル16又はサブ操作パネル20にて各種の設定入力を行うことが可能となっている。制御部50は、こうしてユーザに入力された情報を取得し、取得した情報に応じて丁合装置10の作動を制御する。
丁合装置10は、さらにベルト搬送機構36、排出ローラ38、およびスタッカトレイ40を有する。折り用給紙トレイ14Xに積載された用紙に用紙束を挟むようにして丁合する場合、まず折り用給紙トレイ14Xから用紙載置プレート28に向けて用紙が搬送される。メイン搬送機構24によって下方に搬送されながら形成された用紙束は、用紙載置プレート28に搬送された用紙に先端が突き当たる。制御部50は、このタイミングで折りナイフ32を回動させて、その先端を用紙載置プレート28に載置された用紙に突き当て、一対のローラ34に向けて押し付ける。こうして用紙束は、用紙載置プレート28に配置されていた用紙とともにローラ34によって挟持され、用紙載置プレート28に配置されていた用紙が用紙束を挟むように折りたたまれ、ベルト搬送機構36に搬送される。
ベルト搬送機構36は、さらに下流に用紙束を搬送する。排出ローラ38は、搬送された用紙束をスタッカトレイ40に排出する。スタッカトレイ40は、筐体12に対して着脱可能に取り付けられており、作成された用紙束が積載され蓄積される。なお、上述のように折紙に用紙束を挟まない場合には、折り用給紙トレイ14Xから用紙は供給されず、メイン搬送機構24によって下方に搬送されながら形成された用紙束は、そのまま一対のローラ34によって挟持されてベルト搬送機構36に搬送される。
制御部50は、ユーザがメイン操作パネル16を介して指定した部数(以下、「丁合設定部数」ともいう)にしたがって用紙の丁合処理を実行する。また、制御部50は、丁合処理に先立って給紙機構18によるサバキ圧を適正に調整するための初期調整処理を実行し、丁合処理中においてはサバキ圧を適宜再調整する追加調整処理を実行する。このサバキ圧を調整するための具体的構成および処理の詳細については後述する。
次に、サバキ圧調整機構を含む給紙機構18の構成および動作について説明する。
図3〜図6は、給紙機構およびその周辺の構成を示す図である。図3は正面図であり、図4は背面図である。図5は平面図であり、図6は右側面図である。ただし、各図においては説明の便宜上、一部の構造の図示を適宜省略している。
給紙トレイ14は「給紙板」として機能し、ユーザによりセットされる用紙が積載される。給紙トレイ14が斜めに傾斜するように設置されるため、給紙トレイ14上の用紙は、上位の用紙ほど前方(給紙方向下流側)にずれて位置するよう斜めに捌いた状態で積載される。なお、図3においては便宜上、用紙がセットされる前の状態が示されている。
給紙トレイ14の前方にガイド板41および給紙機構18が設けられている。ガイド板41は、サブ搬送機構22が設けられる横搬送路を構成し、給紙機構18によって送り出される用紙を下方から支持し、メイン搬送機構24に向けてガイドする。ガイド板41は、その両サイドに設けられた一対のフレーム(図示せず)によって支持されている。
給紙機構18は、給紙ローラ42、補助給紙ローラ44、サバキ板46等を含む。給紙ローラ42および補助給紙ローラ44は、各々の軸がブラケット48により支持されている。給紙ローラ42は、図示しないモータ(後述の給紙モータ77)により回転駆動される駆動ローラであり、用紙束の最上面に圧接して回転し、最上位の用紙を送り出す。補助給紙ローラ44は、給紙ローラ42とタイミングベルト52を介して接続される従動ローラであり、用紙束の最上面に当接して回転する。ブラケット48が給紙ローラ42と同軸状の支点軸42Aに回動可能に支持されている。支点軸42Aは給紙方向と直交する幅方向に延在して、その両端が上述した一対のフレームに回転自在に支持されている(図5,6では図示省略)。従って支点軸42Aは位置固定であり、積載する用紙束の枚数に応じて支点軸42Aを中心にブラケット48の角度が変化する。ブラケット48の給紙方向上流側上端はバネ404の下端が接続されている。バネ404の上端は、上述した一対のフレームに支持された図示しない部材に接続されている。
ブラケット48の給紙方向下流側端部上方に、用紙残量検知機構400が設けられている。用紙残量検知機構400は、ブラケット48の給紙方向下流側端部に設けられた被検知面401と、変位センサ402とから成る。変位センサ402の回動可能な検知子402aが被検知面401と接触している。用紙束の残量が変化するとブラケット48の角度が変化し、被検知面401が変位する。被検知面401が変位すると検知子402aを回動させる。この構成により、被検知面401の高さを変位センサ402で検知する。被検知面401の位置が上方にあるほど用紙残量が多いことになる。用紙残量が多いほど補助給紙ローラ44の高さが高くなり、被検知面401の高さも高くなるため、変位センサ402及び被検知面401が用紙残量検知機構として機能する。
サバキ板46は、「サバキ部材」として機能し、用紙束の最上位から2枚目以降の用紙が同時に送り出されたときは1枚ずつに分離するサバキ機構を構成する。サバキ板46は、給紙ローラ42の下方に対向配置される。サバキ板46は、例えばウレタンゴムにて形成された板状の部材である。サバキ板46の下方には、サバキ板46と給紙ローラ42との間に生じる圧力をサバキ圧として調整するサバキ圧調整機構54が設けられている。サバキ圧調整機構54は、上述した一対のフレームに固定された収容部材55に収容されている。
このような構成により、給紙ローラ42の回転駆動力が補助給紙ローラ44に伝達する際の抵抗によりブラケット48は図3における時計回りに回動する方向のトルクがかかり、このトルクと、補助給紙ローラ44及びブラケット48の自重との和から、バネ404の引張力を差し引いた力により、補助給紙ローラ44は最上位の用紙に対し圧接するので、その状態で補助給紙ローラ44が回転することにより、最上位の用紙を送り込む。補助給紙ローラ44によって最上位の用紙が給紙ローラ42とサバキ板46との間に送り込まれると、給紙ローラ42がその用紙をさらに下流側に送り出す。この用紙は、給紙ローラ42とサバキ板46との間に適度な圧力にて挟持されつつ送り出される。このとき、給紙ローラ42と用紙との摩擦力とサバキ板46と用紙との摩擦力との差異により、次位以下の用紙の送り出しが防止される。それにより、最上位の1枚の用紙のみが給紙ローラ42とサバキ板46との間を抜けて送り出されるようになる。
収容部材55におけるサバキ板46のやや下流側には、タイミングセンサ56が設けられている。タイミングセンサ56は反射型の光センサであり、サバキ圧の低下により次位以下の用紙が給紙機構18の下流側近傍に滞留した場合にこれを検知するためのものである。
図7及び図8は用紙残量とブラケット48の位置との関係を示す図である。図7は用紙束を多量に積載した場合の図である。図7に示すように、用紙束は、上位の用紙ほど給紙方向の先端が下流側に位置するように斜めにずらして積載される。最上位の用紙が送り込まれるたびに、摩擦力により次位以降の用紙も前進し、次位の用紙の先端が給紙ローラ42とサバキ板46との圧接部分あるいはその給紙方向上流側近傍まで到達し、次回の送り出しに備えることになる。
図7及び図8に示すように、ブラケット48は用紙残量が減少するほど、支点軸42Aを中心に給紙方向上流側が下降する方向に回動する。この回動により、変位センサ402の検知子402aが回動し、その回動量を検知できるようになっている。
図3乃至図6に戻る。給紙機構18の下流側に隣接するように重送検知機構60が設けられている。重送検知機構60は、基準ローラ62および変位ローラ64を有する。変位ローラ64は、「測定ローラ」として機能し、基準ローラ62に対して上方から当接する。基準ローラ62の軸は、その両端が上述した一対のフレームに固定されている。一方、変位ローラ64の軸は、レバー部材65の一端側に固定されている。レバー部材65の他端側がフレームに設けられた図示しない支点軸に回動可能に支持されているため、変位ローラ64は、基準ローラ62に対して相対変位可能となっている。レバー部材65の一端部には検知面67が設けられており、フレームにはその検知面67の変位を検出する変位センサ69が設けられている。
基準ローラ62の下方には転動ローラ66が設けられている。重送検知機構60の下流側には、サブ搬送機構22を構成する一対の搬送ローラが設けられている。すなわち、搬送上ローラ68および搬送下ローラ70が上下に設けられている。搬送上ローラ68と搬送下ローラ70とは互いに当接可能であり、転動ローラ66は搬送下ローラ70および基準ローラ62のそれぞれに当接する。搬送上ローラ68および搬送下ローラ70は、図示しないモータ(後述する搬送モータ)により駆動される。搬送下ローラ70の駆動力は、転動ローラ66を介して基準ローラ62に伝達される。
このような構成により、用紙が基準ローラ62と変位ローラ64との間を通過すると、その用紙の厚み分だけ変位ローラ64の軸位置が上昇する。変位センサ69は、このときの検知面67の上昇量を検出する。なお、レバー部材65が図示しない引きばねにより付勢されているため、用紙が通過していない間はその引きばねの付勢力により、変位ローラ64が基準ローラ62に圧接している。この変位センサ69の検出情報に基づき、用紙の重送が発生したか否かを判定することができる。
図3および図4に示すように、サバキ圧調整機構54は、サバキ板46を支持するサバキベース72と、サバキベース72の下方に設けられた傾斜部材74と、傾斜部材74を給紙ローラ42の回転軸に平行な方向に変位させるリンク機構76と、リンク機構76を駆動するアクチュエータとしての調整モータ78とを含む。本実施形態では、調整モータ78としてDCブラシレスモータを採用するが、変形例においてはステッピングモータ等他のモータであってもよい。サバキベース72は、給紙ローラ42の径方向に平行に延在する本体を有し、その本体の一端部が回動軸80に回動可能に支持されている。回動軸80は、給紙ローラ42の回転軸と平行に設けられ、収容部材55に固定されている。サバキベース72の他端側半部の上面にサバキ板46が嵌着されている。
サバキベース72の下面には、球82がその下半部を露出させる態様で埋め込まれて固定されている。そして、球82の下方に傾斜部材74が設けられている。傾斜部材74は、回動軸80と平行な方向に傾斜する傾斜面84を有し(図6参照)、その傾斜面84に沿って球82を滑動させることができる。球82とサバキベース72との位置関係は変化しないため、球82が傾斜面84を滑動することにより、サバキベース72が回動軸80を中心に回動する。それにより、サバキ板46の高さ位置を変化させることができる。すなわち、サバキベース72、球82および傾斜部材74が、サバキ板46の高さ位置を変化させる「昇降機構」を構成し、また、サバキ板46による給紙ローラ42に対する押圧力を作用させる「加圧機構」を構成する。また、リンク機構76と傾斜部材74との連結構造が、リンク機構76の変位に応じてリンク機構76とその加圧機構とを作動連携させる「連携機構」を構成する。
また、図4に示すように、搬送下ローラ70と横並びにジャムセンサ58が設けられている。ジャムセンサ58は反射型の光センサであり、給紙処理において紙詰まりが発生した場合にこれを検出するものであるが、サバキ圧の不足を判定する際にタイミングセンサ56とともに用いられる「用紙センサ」としても機能する。
図5および図6に示すように、収容部材55の一方(正面側)の側部にはハウジング86が設けられ、調整モータ78が収容されている。収容部材55の他方(背面側)の側部にはハウジング88が設けられ、サブ操作パネル20の入出力を制御する制御基板(図示せず)が収容されている。
サブ操作パネル20には、対応する棚の番号等を表示させる表示装置162のほか、対応する棚を使用するときに押下される使用ボタン164、対応する棚を使用しないときに押下される不使用ボタン166、後述するサバキ圧の初期調整処理を実行する際に押下される初期調整ボタン168、紙詰まり等のときに給紙モータを逆転させる逆転ボタン170、テスト給紙を行うときに押下されるテスト給紙ボタン172、用紙情報としての折り形を設定するときに押下されるボタン174〜178等が設けられる。ボタン174は折りなしを設定する際に押下され、ボタン176は2つ折りを設定する際に押下され、ボタン178は4つ折りを設定する際に押下される。
次に、サバキ圧調整機構54の構成および動作の詳細について説明する。
図9〜図12は、サバキ圧調整機構54の構成および動作を示す説明図である。各図の(a)は図5の部分拡大図に対応し、(b)は図6の部分拡大図に対応する。図13は、サバキ板46の動作を示す説明図である。
図9(a)および(b)に示すように、リンク機構76は、第1リンク90、第2リンク92および第3リンク94を「伝達部材」として長手方向に順次連結して構成される。本実施形態では、第2リンク92および第3リンク94が「第1リンク部材」を構成し、第1リンク90が「第2リンク部材」を構成する。第1リンク90は長尺状をなし、その一端が傾斜部材74の一端部に固定されている。第1リンク90の中間部には長手方向に延びる長孔96が設けられ、収容部材55の底部に立設された支柱98が挿通されている。これにより、第1リンク90は、支柱98にガイドされつつ長手方向に変位することができる。第1リンク90の他端近傍には支柱104が立設されている。
第1リンク90の他端からその幅方向片側に支持部100が突出し、その先端にリミットセンサS1が取り付けられている。そして、リミットセンサS1に対して一列に並ぶように、ホームセンサS2、上限センサS3が配置されている。ホームセンサS2および上限センサS3は、収容部材55の底部に取り付けられている。上限センサS3は、ホームセンサS2に対してリミットセンサS1とは反対側に位置する。
リミットセンサS1は、サバキ圧調整機構54の作動によってサバキ圧が所定のリミット値に達したことを検知するセンサである。ホームセンサS2は、サバキ圧の調整が可能な状態にあるか否かを検知するセンサである。上限センサS3は、サバキ板46が予め定める上限位置に到達したことを検知するセンサである。これらのセンサS1〜S3は、いずれも透過型の光センサであり、発光素子と受光素子とを対向配置させて構成される。
第2リンク92は長尺状をなし、その一端部に長手方向に延びる長孔106が設けられ、支柱104が挿通されている。これにより、第2リンク92は、支柱104にガイドされつつ長手方向に変位することができる。第2リンク92の他端には、第3リンク94の一端が回動自在に連結されている。第3リンク94の他端は、減速機120を介して調整モータ78と接続されている。減速機120は、収容部材55に回転可能に支持されたギヤ122と、調整モータ78の回転軸に取り付けられた出力ギヤ124とを含む。第3リンク94の他端は、ギヤ122の周縁部に回動自在に連結されている。第2リンク92の他端部と支柱104との間には、引きばね105が設けられている。
このような構成により、調整モータ78を正転させると(図9(b)において反時計回りに回転させると)、リンク機構76が図の左方に駆動される。その結果、傾斜部材74が左方に変位して球82が傾斜面84に沿って上昇する。その結果、図13(a)にも示すように、サバキベース72が一方向に回動してサバキ板46が上昇し、サバキ圧を大きくすることができる。逆に、調整モータ78を逆転させると(図9(b)において時計回りに回転させると)、リンク機構76が図の右方に駆動される。その結果、傾斜部材74が右方に変位して球82が傾斜面84に沿って下降する。その結果、図13(b)にも示すように、サバキベース72が他方向に回動してサバキ板46が下降する。その結果、給紙ローラ42とサバキ板46との間に用紙が介在していれば、サバキ圧を小さくすることができる。このような調整モータ78の駆動によりサバキ圧を調整することができる。
第2リンク92には、その一端側と他端側に幅方向片側に突出する一対の突出部108,110が設けられている。突出部108の先端には検出部112が立設され、突出部110の先端には検出部114が立設されている。検出部112は、第2リンク92の第1リンク90に対する相対変位に応じてリミットセンサS1に対して進退する。リミットセンサS1は、サバキ圧の増加により第2リンク92が引きばね105の力に抗して第1リンク90に対して変位し、検出部112が光軸から外れたときに、サバキ圧が予め定めるリミット値に達したことを検知する。すなわち、リミットセンサS1、第1リンク90、第2リンク92および引きばね105によりリミット検知機構が構成される。このリミット値は、サバキ圧を調整する際の基準圧力となる。
一方、検出部114は、第2リンク92の変位に応じてホームセンサS2又は上限センサS3に対して進退する。ホームセンサS2は、検出部114が光軸を遮蔽しているときに、サバキ板46が最も下方の位置にある状態であることを検知する。上限センサS3は、検出部114が光軸を遮蔽したときにサバキ圧が過大であることを検知する。
次に、本実施形態におけるサバキ圧調整方法について説明する。
サバキ圧の調整工程においてはまず、サバキ圧調整機構54をサバキ圧を減少させる減圧側に駆動する。すなわち、図9に矢印にて示すように、調整モータ78を逆転させる。これにより図示のように、リンク機構76が傾斜部材74を図中右方へ変位させる。その結果、球82が当接する傾斜面84の高さが低くなるため、サバキ板46が下降する。これによりホームセンサS2が図示のように検知状態となると、調整モータ78の駆動を停止させる。なお、当初からホームセンサS2が検知状態であれば、このような調整モータ78の逆転駆動は行わない。
続いて、サバキ圧調整機構54をサバキ圧を増大させる増圧側に駆動する。すなわち、図10に示すように、調整モータ78を正転させる。これにより図示のように、リンク機構76が傾斜部材74を図中左方へ変位させる。その結果、球82が当接する傾斜面84の高さが高くなるため、サバキ板46が上昇する。サバキ板46が上昇すると、給紙ローラ42に当接し、なお上昇することにより互いの接触圧すなわちサバキ圧が増大する。このサバキ圧が所定のリミット値に達すると、傾斜部材74の変位が規制される。
この状態からサバキ圧調整機構54をさらに増圧側に駆動する。すなわち、調整モータ78をさらに正転させる。それにより、図11に示すように引きばね105が伸び、第1リンク90を停止させたまま第2リンク92を図中左方に変位させる。それにより、リミットセンサS1が図示のように非検知状態となると、調整モータ78の駆動を停止させる。この引きばね105が伸び始めるときのサバキ圧をリミット値とし、サバキ圧調整の基準とする。そして、この状態からサバキ圧調整機構54を所定量だけ減圧側に駆動する。すなわち、調整モータ78を所定回転量だけ逆転させ、図12に示すように、傾斜部材74の位置を所定の戻し量Kだけ図中右方に戻す。
このように、サバキ圧がリミット値以下の状態では、第2リンク92を加圧側へ移動させると、第1リンク90を第2リンク92と一体に同方向に移動させることができ、それによりサバキ板46を上昇させることができる。一方、サバキ圧がリミット値に達すると、第2リンク92をさらに加圧側へ移動させても第1リンク90の移動は規制される。
なお、上記戻し量Kを得るための調整モータ78の回転量については、用紙の厚さに関するデータに基づいて定められる。すなわち、戻し量Kは、用紙情報に応じた分量として決定される。例えば、用紙が厚くなるほど戻し量Kが大きくなるように回転量が設定される。この用紙の厚さと回転量との関係は、予め試験等を行うことにより最適値が求められてデータベース化される。制御部50は、そのデータベース化されたテーブルを保持し、サバキ調整工程においてそれらを参照する。また、厚さ情報が用紙の折り形により指定される場合には、例えば折りなし、2つ折り、4つ折り等の折り形に対する最適な回転量を予め求めて記憶しておき、ユーザが入力した折り形に対応した回転量を決定する。
図14は、丁合装置10の制御部50を中心とする電気的構成を示す概略図である。制御部50には、メイン操作パネル16に設けられたメイン入力装置150や、サブ操作パネル20に設けられたサブ入力装置160からの信号が入力される。メイン入力装置150には、丁合処理を開始させるためのスタートスイッチ152、丁合処理を停止させるためのストップスイッチ154等、種々のスイッチが含まれる。一方、サブ入力装置160には、図6に示した各ボタンに対応する種々のスイッチが含まれる。また、制御部50には、既に説明したリミットセンサS1、ホームセンサS2、上限センサS3、タイミングセンサ56、ジャムセンサ58、変位センサ69、変位センサ402や、スタッカトレイ40への用紙の排出を検出する排紙センサ180等からの検出信号が入力される。
制御部50は、それらのスイッチ・センサ入力に基づいて給紙制御、搬送制御、折り制御等のための所定の演算処理を実行し、給紙モータ77、調整モータ78、メインモータ182等に制御指令信号を出力する。メインモータ182は、サブ搬送機構22やメイン搬送機構24を構成する各搬送ローラ等に共用のモータである。また、制御部50は、丁合処理の設定画面、エラー報知等をメイン表示装置190に表示させる。メイン表示装置190は、メイン操作パネル16に液晶ディスプレイとして設けられる。
次に、本実施形態において実行される具体的処理の流れについて説明する。
図15は、丁合装置10による丁合処理を示すフローチャートである。丁合装置10に電源が投入されると、制御部50は、まずサバキ圧を調整するための初期調整処理を実行し(S10)、続いて丁合処理を実行する(S12)。後者の丁合処理には、サバキ圧を微調整するための追加調整処理が含まれる。
図16は、図15におけるS10の初期調整処理を詳細に示すフローチャートである。初期調整処理において、ユーザによる折り形態情報が入力されると(S20のY)、制御部50は、その折り形態情報を記憶する(S22)。すなわち、ユーザがメイン操作パネル16やサブ操作パネル20を介して各棚の折り形(折りなし、2つ折り、4つ折り等)を入力すると、これを折り形態情報として記憶する。
初期調整ボタン168の押下により初期調整スイッチがオンにされると(S24のY)、ホームセンサS2の出力に基づいてサバキ圧の調整可能状態であるか否かを判定する。すなわち、ホームセンサS2が検知状態にあれば(つまり検出部114がホームセンサS2の光軸を遮蔽していれば)、調整可能状態であると判定される。このとき、調整可能状態でなければ(S26のN)、調整モータ78を逆転させ、サバキ板46を下降させる(S28)。それにより調整可能状態になると(S30のY)、調整モータ78を停止させる(S32)。一方、既に調整可能状態であれば(S26のY)、S28からS32の処理をスキップする。
続いて、調整モータ78を正転させ、サバキ板46を上昇させる(S34)。それによりサバキ圧がリミット値に到達したか否かを判定する。すなわち、リミットセンサS1が非検知状態になれば(つまり検出部112がリミットセンサS1の光軸から外れれば)、リミット値に到達したと判定される。このとき、リミット値に到達すれば(S36のY)、調整モータ78を停止させる(S38)。
そして、制御部50は、上記折り形態情報に基づいて適正な戻し量Kに対応する調整モータ78の回転量(ステップ数)を算出し(S40)、その回転量にしたがって調整モータ78を逆転させ、サバキ板46を下降させる(S42)。その戻し量Kに対応する駆動が完了すると(S44のY)、調整モータ78を停止させる。以上のような初期調整処理により、サバキ圧が適正に調整される。
図17は、図15におけるS12の丁合処理(特に追加調整処理)を詳細に示すフローチャートである。丁合処理において、ユーザにより丁合設定部数Nが入力されると(S50のY)、制御部50は、これを丁合残数N(丁合すべき残数)として記憶する(S52)。追加調整処理は、タイミングセンサ56の検知結果を参照して行う第1の追加調整処理と、重送又は空送りエラーの発生に応じて行う第2の追加調整処理と、用紙補充の際に行う第3の追加調整処理と、用紙の残量に応じて行う第4の追加調整処理を含む。
メイン操作パネル16を介して給紙スタートスイッチが入力されると(S54のY)、丁合装置10の各搬送機構を作動させるためのメインモータ182を駆動する(S55)。そして、その時点において、変位センサ402で検知されているブラケット48の被検知面401の高さ位置情報D(以下単に「位置情報D」という)をゼロクリアする(S56)。以後、その位置よりも高い位置はプラス数値、低い位置はマイナス数値として、変位センサ402が位置情報Dを出力する。次に、演算値としての調整判定部数N3をゼロクリアし(S57)、さらにベース部数N1および調整判定部数N2をゼロクリアする(S58)。ここで、「ベース部数N1」は、第1の追加調整処理の実行有無を判定する際の判定周期となる丁合処理部数である。すなわち、その判定周期となる処理部数(本実施形態では6)ごとに判定をリセットする。「調整判定部数N2」は、その判定周期においてサバキ圧の不足を判定するための指標となる丁合処理部数である。すなわち、その判定周期の丁合処理を繰り返す過程において、調整判定部数N2が基準値(本実施形態では3)に達すると、第1の追加調整処理が実行される。「調整判定部数N3」は、重送又は空送りエラーが発生したときに、サバキ圧の過不足を判定するための指標となる丁合処理部数である。すなわち、調整判定部数N3が基準値(本実施形態では500)を超えていなければ、第2の追加調整処理が実行される。
給紙ストップスイッチの入力がなく(S60のN)、また丁合残数Nがゼロになっていなければ(S62のN)、給紙モータ77を駆動して1回の給紙を開始する(S64)。これによりジャムセンサ58によって用紙が検知されると(S66のY)、そのタイミングで給紙モータ77を一時停止させる(S68)。なお、紙詰まりが発生していない限り、このとき検知された用紙は、そのまま下流側へ搬送される。本実施形態では、給紙ローラ42とその回転軸との間にワンウェイクラッチが設けられているため、給紙モータ77が停止しても給紙ローラ42は外力の負荷により回転継続可能であり、搬送上ローラ68と搬送下ローラ70とによる搬送力が作用する限り、用紙の搬送が規制されないからである。
そして、予め定める判定基準期間が経過し(S70のY)、重送も空送りも発生しておらず、(S500のN)、位置情報Dも増加せず(S600のN)、D=Dxでもなければ(S700のN)、丁合残数Nを1デクリメントするとともに、調整判定部数N3を1インクリメントする(S72)。S500,S600,S700における各々Yの場合及びDxについては後述する。本実施形態では、「判定基準期間」として給紙モータ77の回転開始から1回の給紙が確実に完了する所定時間として設定している。このとき、タイミングセンサ56により依然として用紙が検知されていれば(S74のY)、調整判定部数N2を1インクリメントする(S76)。当該1回の給紙処理においてサバキ圧が不足していたために次位以下の用紙がずれて検出されたと判定するものである。このとき、調整判定部数N2が3に到達していなければ(S78のN)、ベース部数N1を1インクリメントする(S76)。このとき、ベース部数N1が6に到達していなければ(S82のN)、S60の処理に戻り、ベース部数N1が6に到達していれば(S82のY)、S58の処理に戻る。
一方、調整判定部数N2が3に到達していれば(S78のY)、サバキ圧の追加調整を実行する(第1の追加調整処理)。すなわち、調整モータ78を正転させ、サバキ板46を所定高さ上昇させる(S84)。このときの調整モータ78の回転量については、予め試験等に基づいて適正な値が設定される。そして、S58の処理に戻る。給紙ストップスイッチが入力された場合(S60のY)、あるいは丁合残数Nがゼロとなった場合には(S62のY)、メインモータ182を停止して本処理を終了する(S90)。
S500で重送又は空送りが発生した場合(S500のY)は、メインモータが停止する(S502)。重送が発生したか否かは、重送検知機構60の変位センサ69の検出情報に基づき判定する。空送りが発生したか否かは、ジャムセンサ58の検出情報に基づき判定する。すなわち、給紙モータ77の回転開始から1回の給紙が確実に完了する所定時間である判定基準期間が経過してもなお、ジャムセンサ58が用紙の到来を検知しない場合に、空送りと判断する。なお「判定基準期間」よりも短い所定の期間を定め、その所定の期間を経過してもなおジャムセンサ58が用紙の到来を検知しない場合に空送りと判断してもよい。
次に調整判定部数N3が500以下であれば(S504のY)、サバキ圧の追加調整を実行する(第2の追加調整処理)。発生したエラーが重送であれば(S506のY)、調整モータ78を正転させ、サバキ板46を所定高さ上昇させる(S508)。発生したエラーが空送りであれば(S506のN)、調整モータ78を逆転させ、サバキ板46を所定高さ下降させる(S510)。このときの調整モータ78の回転量についても、予め試験等に基づいて適正な値が設定される。
次にN3が100以上であれば(S512のY)、その時点で変位センサ402で検知されている被検知面401の位置情報Dと、今回の第2の追加調整処理の内容すなわち、調整モータ78の回転方向と回転量とを関連付けて、制御部50に記憶する(S514)(追加調整処理の内容と関連付けて記憶されている位置情報Dを、以後調整位置情報Dxという)。次に調整判定部数N3をゼロクリアし(S516)、再度給紙スタート入力がなされると(S518のY)、メインモータが駆動し(S520)、S58に戻って処理が継続される。S504において、調整判定部数N3が500を超えていれば(S504のN)、サバキ圧の追加調整処理はスキップし、S516に進む。S512において、調整判定部数N3が100以上でなければ、第2の追加調整処理の調整内容の記憶はスキップし、S516に進む。その理由は後述する。
すなわち調整判定部数N3は、重送又は空送りエラーが発生しない限りは、1回給紙が行われるごとにS72において1ずつインクリメントされる。重送又は空送りエラーが発生した場合はS516においてゼロクリアされる。従って、S504においてN3が500を超えていた場合は、前回の重送又は空送りが発生してから、少なくとも500回はエラーが発生していないことから、比較的安定した給紙が行われていると判断して、第2の追加調整処理を見送る。なお第2の追加調整処理を見送るか否かを本実施形態ではN3が500を超えているか否かで判断しているが、この数値は予め試験等に基づいて適正な値に定められるものであり、500に限られないことは言うまでもない。
次にS600で位置情報Dが増加した場合(S600のY)について説明する。本実施形態の給紙装置は、用紙が残り少なくなった時、積載されている用紙束の給紙方向上流側の端を持ち上げて、その下に新たな用紙束を追加する「用紙補充」を給紙動作中に行うことが可能である。用紙補充を行うと、ブラケット48の給紙方向上流側が持ち上がるので、被検知面401が上昇し、位置情報Dも増加する。すなわちS600において位置情報Dが増加した場合は、この用紙補充が行われたことになる。すると次に、D≧Dxであるか判断し(S602)、D≧Dxであった場合は(S602のY)、その調整位置情報Dxと関連付けて制御部500に記憶されている調整内容とは逆方向の調整を行う(第3の追加調整処理)。逆方向の調整とは、サバキ圧の加圧減圧の方向が逆で、調整量が同一ということである。
重送又は空送りエラーの発生に応じてサバキ圧を調整したとき、S514において、その調整内容が、調整した時点における調整位置情報Dxと関連付けて制御部500に記憶される。S602においてD≧Dxであった場合は、今回の用紙補充によって、この記憶されている調整位置情報Dxよりも被検知面401の高さが高くなったということになるから、過去のエラー発生によるサバキ圧調整が行われたときの用紙残量よりも、用紙補充後の用紙残量が多くなったということである。この場合、過去のエラー発生によって行われた調整前のサバキ圧の方が適切である可能性があるため、調整位置情報Dxと関連付けて記憶されている調整とは逆方向の調整を行う。
例えば過去に調整位置情報Dxにおいて重送が発生し、これに応じて調整モータ78を回転量Zだけ正転させた場合、S514においては、調整位置情報Dxに関連付けて、「回転量Zだけ正転」という調整内容が記憶されている。その後に用紙補充が行われて、位置情報DがDxを超えた場合、すなわち重送が発生したときの用紙残量を超えた場合、調整位置情報Dxに関連付けて記憶されている「回転量Zだけ正転」の逆方向の調整すなわち「回転量Zだけ逆転」をS604において行う。
次にS700でD=Dxであった場合(S700のY)について説明する。D=Dxであった場合(S700のY)は、調整位置情報Dxに関連付けて記憶されている調整内容と同一の調整を行う(S702)(第4の追加調整処理)。
D=Dxとはすなわち、過去に重送又は空送りエラーの発生に応じてサバキ圧を調整したとき、S514においてその調整内容が記憶された時と、被検知面401の高さが同一であり、すなわち用紙束の残量が同一ということになる。その場合、過去にその調整位置情報Dxにおいてなされた調整と同一の調整を行う。例えば過去に調整位置情報Dxにおいて重送が発生し、これに応じて調整モータ78を回転量Zだけ正転させた場合は、今回も同一の調整すなわち「回転量Zだけ正転」を行う。
この第2乃至第4の追加調整処理によれば、用紙を繰り返し送り出す動作において、ある用紙残量において重送又は空送りが発生した時、サバキ圧の追加調整(第2の追加調整処理)が行われるとともに、その後に用紙補充が行われて第2の追加調整時よりも残量が増加した場合には、第2の追加調整前のサバキ圧に戻す(第3の追加調整処理)とともに、さらに送り出しを継続して再度第2の追加調整時の残量となったときには、前回の第2の追加調整時の調整内容と同一の調整(第4の追加調整処理)が行われる。したがって、過去の調整実績を参照しながら、用紙束の残量に応じた適切なサバキ圧が自動的に得られるという効果がある。
なおS512においてN3≧100である場合(S512のY)はS514をスキップする。S512においてN3が100以上でないということは、前回の重送又は空送りが発生してから、100回以内に再度発生したことになる。S514で記憶した調整内容に基づき、用紙補充後に同一の残量となったときの調整が行われるから、S514で記憶する調整内容は、用紙残量による適正サバキ圧の変化に応じて行われた調整であることが望ましい。しかし、重送又は空送りが頻繁に発生した場合は、サバキ圧が適正値から大きく離れていることが考えられ、従って、用紙残量による適正サバキ圧の変化とは無関係で発生した可能性が高い。また、重送又は空送りが頻繁に発生している状況で第2の追加調整処理が行われても、その調整後のサバキ圧がなお適正とはならない可能性が高く、そのような場合は複数回の追加調整処理を経て、適切なサバキ圧に近づくことになる。適正なサバキ圧に近づくほど、重送や空送りが発生しにくくなり、その頻度が疎になる。したがって、重送や空送りの発生頻度が所定よりも密である場合には追加調整処理の調整内容を記憶せず、発生頻度が所定よりも疎になった段階の調整内容を記憶することにより、その後の用紙補充後のサバキ圧調整を、より適正行うことができる。また、この数値100も予め試験等に基づいて適正な値に定められるものであり、100に限られないことは言うまでもない。
なお、調整位置情報Dxと調整内容の関連付けは、複数記憶することができる。重送又は空送りエラーが複数回発生し、各々第2の追加調整処理が行われた場合は、N3が所定数以上(本実施形態では100)であれば、その第2の追加調整処理の各々について、調整位置情報Dxと調整内容とが関連付けて記憶され、その後の第3の追加調整処理、第4の追加調整処理についても、記憶されている調整位置情報Dxと調整内容の各々について行われる。
以上に説明したように、本実施形態によれば、重送又は空送りエラーが生じた際にサバキ圧が自動的に調整されるとともに、その調整履歴をその時点での用紙残量と関連付けて記憶させ、それ以後、同じ残量となった場合に過去の調整履歴を参照し、同様の調整を行うので、用紙束の残量が変化しても、その残量に応じた適正なサバキ圧調整をすることができる。
[第2実施形態]
本実施形態では、サバキ圧調整処理において戻し量Kを特定するための用紙情報として、重送検知機構60にて検出された用紙の厚さ情報を用いる。すなわち、初期調整処理においてテスト給紙を行い、図3に示した変位センサ69の検出値に基づいて用紙の厚さを算出する。そして、その厚さ情報に対応した戻し量Kを算出し、サバキ板46の高さを適正に調整する。制御部50は、変位センサ69により検出される用紙の厚さと、調整モータ78の回転量との関係を対応づけたテーブルを保持し、サバキ調整工程においてそれらを参照する。
図18は、第2実施形態に係る初期調整処理を詳細に示すフローチャートである。なお、この初期調整処理は、図16に示した第1実施形態の初期調整処理と共通する部分が多いため、共通の処理部分については同一の符号を付してその説明を省略又は簡略化する。なお、本実施形態の初期調整処理に際しては、ユーザが各棚ごとにその給紙トレイ14に積載予定の用紙を1枚だけセットし、初期調整ボタン168を押下する。
これにより初期調整スイッチが入力されると(S220のY)、メインモータ182を駆動し(S222)、給紙モータ77を駆動する(S224)。それにより、変位センサ69による検出がなされると(S226)、給紙モータ77を停止させる(S228)。そして、その用紙が排紙センサ180により検知されると(S230のY)、メインモータ182を停止し(S232)、変位センサ69が検出した変位を用紙の厚さ情報として記憶する。
この厚さ情報が、S240の処理において用いられる。すなわち、制御部50は、S234にて記憶した厚さ情報に基づいてテーブルを参照し、適正な戻し量Kに対応する調整モータ78の回転量を算出し、サバキ板46の高さを調整する。なお、S26以降の処理については、S240を除いて図16に示した第1実施形態と同様であるため、その説明については省略する。
本実施形態によれば、重送検知機構60にて実際に検出された用紙の厚さ情報が用いられるため、第1実施形態よりも初期調整処理の精度が向上する。また、別途外部から厚さ情報を入力する必要がなくなり、ユーザの作業性が向上する。
[第3実施形態]
本実施形態は、サバキ圧調整機構の調整機構を手動でも作動可能とした点で第1実施形態とは異なる。以下、第1実施形態との相異点を中心に説明する。図19は、サバキ圧を調整するための手動操作部近傍を表す拡大図、図20は図19における上方からその内部構成を示す図である。図19及び図20に示した部分以外は第1実施形態と同一である。
本実施形態では、図6に示した調整モータ78に加えて「操作部材」としての調整ツマミ378が設けられる。調整ツマミ378の軸375の先端には出力ギヤ376が設けられ、第1実施形態と同様にギヤ122に連結されている。この出力ギヤ376とギヤ122が、調整ツマミ378の操作をサバキ圧調整機構54の動作に変換する「変換機構」として機能する。軸375にはさらにギヤ370が設けられ、調整モータ78の出力軸に直結したギヤ372と噛み合っている。調整モータ78とギヤ372との間には双方向クラッチ374が介装されている。双方向クラッチ374は、調整モータ78側の軸から入力された回転力は、ギヤ372側の軸に伝えるが、ギヤ372側の軸から入力された回転力は、調整モータ78側の軸に伝達されないように構成されている。その機構は公知であるから、詳細な説明は省略する。ユーザは、調整ツマミ378を図の時計回り又は反時計回りに操作することによりサバキ圧を調整することができるとともに、その回転力は調整モータ78には伝達されない。従って停止状態の調整モータ78の負荷に関わらず調整ツマミ378を操作することができる。ハウジング86における調整ツマミ378の周囲にはメモリが付され、図の半時計回りに回転させるとサバキ圧を大きくでき、時計回りに回転させるとサバキ圧を小さくできるようになっている。
本実施形態においても、サバキ圧がリミット値以下の状態では、第2リンク92を加圧側へ移動させると、第1リンク90を第2リンク92と一体に同方向に移動させることができ、それによりサバキ板46を上昇させることができる。一方、サバキ圧がリミット値に達すると、第2リンク92を引きばね105の付勢力に抗してさらに加圧側へ移動させても第1リンク90の移動は規制される。すなわち、このように第1リンク90と第2リンク92とを相対変位させる機構が「リミッタ機構」として機能する。
調整ツマミ378の上方には、推奨されるサバキ圧の調整量を表示させる表示部380と、サバキ圧の調整が必要な場合に点灯される要調整ランプ382が設けられている。さらに、ユーザの手動による調整をロック又はロック解除するためのロック機構384が設けられている。制御部50は、サバキ圧を適正に調整できるようユーザを促すための処理を実行する。
図21は、第3実施形態に係る初期調整処理を詳細に示すフローチャートである。丁合装置10に電源が投入されると、制御部50は、まずサバキ圧を調整するための初期調整処理を実行し、その後、丁合処理を実行する。本実施形態においては、初期調整処理を調整ツマミ378を使用して手動で行うとともに、丁合処理中のサバキ圧を微調整するための追加調整処理を、調整モータ78により自動で行う。
初期調整処理において、ユーザによる折り形態情報が入力されると(S320のY)、制御部50は、その折り形態情報を記憶する(S322)。そして、各棚ごとにその折り形態情報に基づく戻し量Kを算出し(S324)、その戻し量Kに対応した調整ツマミ378の操作量を表示部380に表示させておく(S326)。
このとき、ユーザは、サバキ圧を大きくする方向に調整ツマミ378を操作する。それによりリミットがかかったところで手を離す。なお、この「リミット」については、図9に示した引きばね105が伸びることにより、同方向への操作に抵抗がかかったことをユーザが感知することをもって判断される。このようにしてユーザが調整ツマミ378から手を離すと、引きばね105の付勢力によって調整ツマミ378がリミット位置に落ち着く。ユーザは、そのリミット位置から上記表示部380に表示された操作量だけ調整ツマミ378を反対方向に戻すことにより、サバキ板46が適正な高さに調整される。
続いて、テスト給紙ボタン172(図6参照)が押下されると(S328のY)、メインモータ182を駆動する(S330)。そして、要調整ランプ382を消灯し(S332)、給紙モータ77を駆動して1回の給紙を開始する(S334)。これによりジャムセンサ58によって用紙が検知されると(S336のY)、そのタイミングで給紙モータ77を一時停止させる(S338)。なお、紙詰まりが発生していない限り、このとき検知された用紙は、そのまま下流側へ搬送される。本実施形態においても、給紙ローラ42とその回転軸との間にワンウェイクラッチが設けられているためである。
そして、予め定める判定基準期間が経過したときに(S340のY)、タイミングセンサ56により用紙が検知されていれば(S342のY)、要調整ランプ382を点灯させる(S344)。当該1回の給紙処理においてサバキ圧が不足していたために次位以下の用紙がずれて検出されたと判定し、サバキ圧の再調整を促すものである。タイミングセンサ56により用紙が検知されていなければ(S342のN)、要調整ランプ382を消灯させる(S346)。なお、「判定基準期間」としては、給紙モータ77の回転開始から1回の給紙が確実に完了する所定時間が設定される。
このようにして要調整ランプ382が点灯した場合、ユーザは、調整ツマミ378をサバキ圧が大きくなる方向に所定量操作することができる。すなわち、要調整ランプ382の点灯は、サバキ圧を増加させるようユーザを促す誘導表示となる。その後、再度テスト給紙を実行することにより要調整ランプ382が消灯すれば、サバキ圧が適正に調整されたと認識することができる。
このテスト給紙処理は、ユーザがテスト給紙ボタン172を押し続ける間にのみ行われる。すなわち、テスト給紙ボタン172の押下が解除されなければ(S348のN)、S334に戻り、次のテスト給紙が実行される。テスト給紙ボタン172の押下が解除されると(S348のY)、メインモータ182を停止させる(S350)。S328においてテスト給紙ボタン172が押下されなければ(S328のN)、S330からS350の処理をスキップする。なお、本実施形態によれば、テスト給紙ボタン172を押したまま、要調整ランプ382が消灯するまで給紙を繰り返しながら、調整ツマミ378を回してサバキ圧を調整することもできる。
なお、本実施形態においては、メイン入力装置150(図14参照)のスタートスイッチ152が「第1給紙スイッチ」に対応し、テスト給紙ボタン172が「第2給紙スイッチ」に対応する。なお、第1給紙スイッチは、丁合スタートスイッチとなるため、全段の棚の給紙が一斉に連続動作する。また、第2給紙スイッチ(テスト給紙スイッチ)は、給紙部(給紙機構18)ごとに設けられ、対応する給紙部の給紙だけが連続動作する。
本実施形態によれば、初期調整処理においてはサバキ圧の調整を手動で行うことが可能である。したがって、手動による初期調整に慣れたユーザにも使いやすい装置が得られる。また、要調整ランプ382、表示部380により、より手動調整が行いやすいものとなる。
手動により初期調整処理の後、スタートスイッチ152を操作することにより丁合処理が開始され、自動での追加調整処理が行われる。この追加調整処理は第1実施形態と同一であるが、調整モータ78はギヤ370、372を介して調整ギヤ122を駆動するため、第1実施形態に対して回転方向が逆向きになる。この追加調整処理により、さらに適切なサバキ圧に調整される。
なお、初期調整処理を手動とするか、自動とするか、予めユーザが選択できるようにしてもよい。自動を選択した場合は、駆動モータ78の回転方向が逆向きである点以外は、第1実施形態と同一の初期調整処理が行われる。
また、追加調整処理についても手動とするか、自動とするか、予めユーザが選択できるようにしても良い。このとき手動を選択した場合に、予め定める判定基準期間が経過したときに、タイミングセンサ56により用紙が検知されていれば、要調整ランプ382を点灯させるようにしてもよい。そうすれば、サバキ圧が不足気味の場合にユーザに調整を促すことができる。
[第4実施形態]
本実施形態は、第1実施形態における用紙残量検知機構400に代えて、ニアエンド検知機構410を備え、重送又は空送りエラーが生じた際にサバキ圧が自動的に調整されるとともに、その調整が行われたのがニアエンド検知後である場合は、その時点でのニアエンド検知後の給紙回数と調整内容とを関連付けて記憶させ、用紙補充後に再度ニアエンドが検知され、その後の給紙回数が、記憶されている給紙回数と同じになった時に、同様の調整を行うものである。
図22及び図23は、第4実施形態に係る給紙装置を示す図である。図22は用紙残量が多い場合、図23は少ない場合である。第1実施形態と同一の部材には同一の番号を付して、詳細な説明は省略する。
本実施形態に係る給紙装置は、ブラケット48の給紙方向下流側上方に、ニアエンド検知機構410を備える。ニアエンド検知機構410は、ニアエンドセンサ411と、被検知板412とを備える。ニアエンドセンサ411は反射型光学センサである。被検知板412はブラケット48の給紙方向下流側寄りに固定され、ニアエンドセンサ411の下方に向かって伸びる板状の部材である。
図22に示すように、用紙残量が多い場合は、被検知板412がニアエンドセンサ411の下方にあるので、ニアエンドセンサ411が被検知板412を検知してON状態になっている。用紙残量が少なくなると、図23に示すように、ブラケット48の回動により被検知板412が図示右方に変位し、ニアエンドセンサ411の下方から外れるので、ニアエンドセンサ411はOFF状態となる。したがって、用紙残量が減少し、所定残量となった時点でニアエンドセンサ411がON状態からOFF状態に切り替わることになる。このニアエンドセンサ411がON状態とOFF状態のいずれであるか、制御部50に入力されるようになっている。
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、初期調整処理と追加調整処理が行われる。初期調整処理は第1実施形態の初期調整処理(図16)と同一である。
図24は、第4実施形態における丁合処理(特に追加調整処理)を詳細に示すフローチャートである。第1実施形態と同一の処理については同一の番号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態における追加調整処理は、タイミングセンサ56の検知結果を参照して行う第1の追加調整処理と、重送又は空送りエラーの発生に応じて行う第2の追加調整処理と、用紙のニアエンド検知に応じて行う第5、第6の追加調整処理を含む。
メイン操作パネル16を介して給紙スタートスイッチが入力されると(S54のY)、丁合装置10の各搬送機構を作動させるためのメインモータ182を駆動する(S55)。そして、演算値としての調整判定部数N3、ニアエンド部数N4をゼロクリアし(S57、S557)、ニアエンドフラグF1をゼロに設定する(S558)。さらにベース部数N1および調整判定部数N2をゼロクリアする(S58)。調整判定部数N1,N2,N3は第1の実施形態と同じである。「ニアエンド部数N4」はニアエンド検知後に丁合処理された部数であり、ニアエンド検知後のサバキ圧の過不足を判定するために使う。
判定基準期間が経過したあと(S70のY)、ニアエンドセンサ411がON状態からOFF状態に変化したか否かを判断する(S570)。ON状態からOFF状態に変化した場合(S570のY)、ニアエンドフラグF1を1とする(S572)。ニアエンドセンサ411が変化していなければ(ON状態のまま、あるいはOFF状態のままであれば)、S572はスキップする。次にニアエンドフラグF1が1ならば(S574のY)、N4を1だけインクリメントする(S576)。
S500で重送又は空送りが発生した場合(S500のY)は、メインモータを停止させ(S502)、調整判定部数N3が500以下であれば(S504のY)、第2の追加調整処理を行う。この第2の追加調整処理は第1実施形態と同一である。
次にニアエンドフラグF1=1であれば(S530のY)、その時点でのニアエンド部数N4と、今回の第2の追加調整処理の内容すなわち、調整モータ78の回転方向と回転量とを関連付けて、制御部50に記憶する(S532)(追加調整処理の内容と関連付けて記憶されているニアエンド部数N4を、以後「調整ニアエンド部数N4x」という)。その後、S516以降は第1実施形態と同じである。
重送又は空送りの発生が無い場合(S500のN)、次にニアエンドセンサが検知OFF状態からON状態へ変化したか否かを判断する(S620)。変化した場合(S620のY)は、過去の重送又は空送りに応じて行われた第2の追加調整処理の際に記憶済みの調整ニアエンド部数N4xに対応する調整内容とは逆方向の調整を行う(S622)(第5の追加調整処理)。さらにニアエンド部数N4をゼロクリアし(S624)、ニアエンドフラグF1もゼロとする(S626)。その後N4=N4xであれば(S720のY)、そのN4xと関連付けて記憶されている調整内容と同一の調整を行う(S722)(第6の追加調整処理)。
S570におけるニアエンドセンサの検知ON状態からOFF状態への変化は、すなわち用紙残量が減少して所定量に達したということである。用紙残量がこの所定量以下の間はニアエンドフラグF1を1としておく。ニアエンド部数N4は、ニアエンドフラグF1が1である間は、1回給紙が行われるごとにS576において1ずつインクリメントされる。すなわちN4は、用紙残量が減少して所定量に達して以後に行われた給紙回数に等しい。
重送又は空送りが発生し、第2の追加調整処理が行われた場合、その追加調整処理を行ったときのニアエンド部数N4を調整ニアエンド部数N4xとして、調整内容とともに制御部50に記憶する。すなわち、用紙残量が減少して所定量に達して以後、何回給紙が行われたときにどのような調整を行ったか、という履歴を記憶するということである。
一方で、S620におけるニアエンドセンサの検知OFF状態からON状態への変化は、用紙補充によって残量が増加したということである。残量が増加したら、過去に残量が少ない状態で行った第2の追加調整処理の調整内容とは逆方向の調整を行い、すなわち調整前の状態に戻す。その後再度残量が所定量以下となり、その後の給紙回数が、以前に第2の追加調整処理が行われた時点と同一の給紙回数となったときに、その第2の追加調整処理と同内容の追加調整処理を行う、ということである。
本実施形態によれば、ブラケット48の位置を常時検知することなく、用紙残量が少なくなったある時点のみを検知するだけで、その検知後に発生した追加調整処理内容と調整時点を記憶することにより、用紙補充後に再度その残量に達した時に、自動的に同一の調整を行うことができる。したがって、第1実施形態よりも安価に、用紙残量が少なくなった時の適切なサバキ圧の変化に対応した調整を行うことができる。
なお、調整ニアエンド部数N4xも第1実施形態における調整位置情報Dxと同様に複数記憶することができる。重送又は空送りエラーが複数回発生し、各々第2の追加調整処理が行われた場合は、その第2の追加調整処理の各々について、調整ニアエンド部数N4xが調整内容とが関連付けて記憶され、その後の第5の追加調整処理、第6の追加調整処理についても、記憶されている調整ニアエンド部数N4xの各々について行われる。
また、本実施形態においても、第3実施形態と同様に、調整ツマミ378を設けて、初期調整処理を手動で行うことが可能であるように構成してもよい。
[第5実施形態]
本実施形態は、第1実施形態の構成に加えて、サバキ位置検知機構600を設け、追加調整処理がなされたときの用紙残量とサバキ位置情報とを関連付けて記憶し、用紙補充後、記憶されている用紙残量とサバキ位置情報に基づいて、サバキ圧自動調整を行うものである。
この第5の実施形態に係るサバキ圧調整機構554の構成および動作の詳細について説明する。第1の実施形態と同一の構成部品については同一の番号を使用し、その詳細な説明は省略する。図25は第5の実施形態に係るサバキ圧調整機構554の構成を示す図である。図25は第1の実施形態における図10に対応する。
図25に示すように、サバキ圧調整機構554は、第1の実施形態に係るサバキ圧調整機構54の第1リンク90に代えて、第1リンク590を有する。第1リンク590は図25(a)における下方に突出した部分である突出部590aを有し、この突出部590aに、サバキ位置検知機構600が構成されている。サバキ位置検知機構600は、突出部590a上に固定された傾斜部材601と、傾斜部材601の上方に設けられた変位センサ602で構成される。傾斜部材601の上面は図示左下がり方向に傾斜する傾斜面となっており、変位センサ602の検知子がこの傾斜面上に当接している。第1リンク590が図示左右方向に移動すると、変位センサ602の検知子が回動し、検知子が接触している箇所の傾斜面の高さを検知するようになっている。
傾斜部材601の傾斜の方向は傾斜部材74と同一である。すなわち第1リンク590が図示左方に移動して傾斜部材74がサバキ板46を上方に移動させると、傾斜部材601が変位センサ602の検知子を上方に回動させる。第1リンク590が図示右方に移動してサバキ板46が下降すると、変位センサ602の検知子も下方に回動する。そして図25に示すように、球82が傾斜部材74の傾斜面84の最も低い位置にあるとき、変位センサ602の検知子も傾斜部材601の傾斜面の最も低い位置にある。この変位センサ602で検知する傾斜部材601の傾斜面の位置情報を、サバキ圧46の高さ位置を示すサバキ位置情報Eとして、制御部50が取得する。上記以外の構成は、第1実施形態と同一である。
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、初期調整処理が行われる。本実施形態における初期調整処理では、調整モータ78の駆動は、変位センサ602で検知したサバキ位置情報Eを参照しながら行う。図26はその初期調整処理を示すフローチャートである。第1実施形態と同一の処理には同一の番号を付与して詳細な説明は省略する。調整モータ78を正転させてリミット値に到達し(S36のY)、調整モータ78が停止するまでは図16に示す第1実施形態の初期調整処理と同一である。本実施形態ではリミット値に到達したときのサバキ位置情報Eを変位センサ602から取得し、リミット位置情報E1として記憶する(S638)。そして、折り形態情報に基づいて適正な戻し量E2を算出する(S640)。本実施形態では、戻し量E2は、折り形態情報に対して適切なサバキ板46の下降量に相当するサバキ位置情報Eの変化量であり、第1実施形態における戻し量Kと同様に、用紙の厚さに関するデータに基づいて定められ、予め試験等を行うことにより最適値が求められてデータベース化されている。
次に目標位置情報E3を定める(S642)。目標位置情報E3は、今回の初期調整処理における調整後のサバキ板46の高さ位置に応じたサバキ位置情報Eであり、リミット位置E1から戻し量E2だけ戻した位置として算出される。その後調整モータ78を逆転させ、サバキ板46を下降させる(S42)。そして変位センサ602で検知される位置情報Eが目標位置上方E3と一致すると(S644のY)、調整モータ78を停止させる。以上のような初期調整処理により、サバキ圧が適正に調整される。
図27は、本実施形態に係る丁合処理(特に追加調整処理)を詳細に示すフローチャートである。第1実施形態と同一の処理については同一の番号を付与して詳細な説明は省略する。図17に示す第1実施形態においては、第2の追加調整処理が発生したとき、調整判定部数N3が100以上であれば(S512のY)、S514においてその時の位置情報Dを調整位置情報Dxとして、その直前に行われた第2の追加調整処理の調整内容すなわち、調整モータ78の回転量及び回転方向として記憶する。この第1実施形態のS514に代えて、本実施形態においては、その時の位置情報Dを調整位置情報Dxとして記憶するとともに、そのDxと関連付けて、その直前に行われた第2の追加調整処理の調整前のサバキ位置情報EをEx1とし、調整後のサバキ位置情報EをEx2として、調整内容として記憶する(S6514)。
その後位置情報が増加(S600)して(用紙の補充が行われて)、位置情報DがDxを超えた時(S602のY)は、E=Ex1となるように調整を行う(S6604)。位置情報Dが記憶されている調整位置情報Dxを超えたということは、用紙の補充によって、過去に第2の追加調整処理が行われたときの用紙残量を超えたことになるので、その調整位置情報Dxに関連付けられている調整前のサバキ位置情報Ex1に相当する位置に、サバキ板46を移動させるように、調整モータ78を駆動して調整を行う。すなわちサバキ板46を調整位置情報Dxに関連した第2の追加調整処理を行う前の位置に戻すということである(第7の追加調整処理)。
そしてS700でD=Dxであった場合(S700のY)、E=Ex2となるように調整を行う(S6702)。すなわち調整位置情報Dxに関連付けて記憶されている調整後の位置情報Ex2に相当する位置に、サバキ板46を移動させるように、調整モータ78を駆動して調整を行う。過去に調整位置情報Dxに相当する残量において行われた第2の追加調整処理と同一の調整を行うということである(第8の追加調整処理)。
本実施形態によれば、用紙を繰り返し送り出す動作において、ある用紙残量において重送又は空送りが発生した時、サバキ圧の追加調整(第2の追加調整処理)が行われるとともに、その後に用紙補充が行われて第2の追加調整時よりも残量が増加した場合には、第2の追加調整前の位置にサバキ板46を戻す(第7の追加調整処理)とともに、さらに送り出しを継続して再度第2の追加調整時の残量となったときには、前回の第2の追加調整時の調整後の位置にサバキ板46を移動させる(第8の追加調整処理)。したがって第1の実施形態と同様に、過去の調整実績を参照しながら、用紙束の残量に応じた適切なサバキ圧が自動的に得られる。また、本実施形態ではサバキ板46の位置を監視しながら調整を行う。駆動モータ78からサバキ板46の上下動への駆動伝達機構における歯車のバックラッシュ等のメカ構成により、駆動モータ78の回転によるサバキ板46の移動量に差異が生じても、本実施形態ではサバキ板46の位置を監視していることから、前記した差異には影響されず、サバキ圧調整が可能となっている。
なお、調整位置情報Dxと調整前後のサバキ位置情報Ex1,Ex2との関連付けは、複数記憶することができる。重送又は空送りエラーが複数回発生し、各々第2の追加調整処理が行われた場合は、N3が所定数未満(本実施形態では100)であれば、その第2の追加調整処理の各々について、調整位置情報Dxと調整前後のサバキ位置情報Ex1,Ex2とが関連付けて記憶される。用紙補充が行われた場合には、その用紙補充により位置情報Dが複数の調整位置情報Dxを超えた場合、そのうち最も高い位置に相当する調整位置情報Dxに関連付けられた調整前のサバキ位置情報Ex1の位置にサバキ板46を移動させるように、調整モータ78を駆動させる。その後給紙が継続され、位置情報Dが各々の調整位置情報Dxと一致するたびに、そのDxと関連付けられた調整後のサバキ位置情報Ex2の位置にサバキ板46を移動させるように、調整モータ78を駆動させる。
以上に説明したように、本実施形態によれば、サバキ板46の位置を検出、監視することによって、残量に応じたサバキ圧調整を、より適切に行うことができる。
なお本実施形態において、調整位置情報Dxと関連付けて調整後のサバキ位置情報Ex2のみを調整内容として記憶するとともに、S54において給紙スタート入力したときのサバキ位置情報Eを初期サバキ位置情報Ex3として記憶させ、用紙の補充により位置情報Dが調整位置情報Dxを超えた場合(調整位置情報Dxが複数あるばあいは、すべての調整位置情報Dxを超えた場合)は、サバキ板46を初期サバキ位置情報Ex3に相当する位置に戻すように、調整モータ78を駆動させるようにしてもよい。このとき調整位置情報Dxが複数ある場合において、用紙の補充により位置情報Dが複数の調整位置情報Dxの一部のみを超えた場合は、用紙補充後の位置情報Dよりも高位置に相当する調整位置情報Dxのうち、用紙補充後の位置情報Dに最も近い調整位置情報Dxと関連付けられている調整後サバキ位置情報Ex2に相当する位置に、サバキ板46を移動させるように、調整モータ78を駆動させればよい。
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
(変形例1)
上記第1,第3乃至第5実施形態では、ユーザが入力する用紙情報として折り形態(折り形)を設定する構成を示したが、変形例においては、用紙の厚さ(数値)を入力する構成としてもよい。例えば、ユーザが用紙の厚さをマイクロメータにて測定し、その測定値を入力するようにしてもよい。あるいは、制御部50に対して測定値を出力可能なマイクロメータを使用してもよい。あるいは、数値ではなく、「厚紙、普通紙、薄紙」などの紙厚情報を入力するようにしてもよい。
また、サバキ圧に影響を与える要素として紙質を入力するようにしてもよい。例えば「コート紙、アート紙、マット紙、上質紙、中質紙」などの紙質情報を入力することができる。このほかにも、ユーザは、用紙サイズであるサイズ情報や連量などの密度情報を入力することもできる。ただし、制御部50は、このような用紙情報と戻し量K(調整モータ78の回転量など)(第5実施形態においては戻し量E2)との対応関係を設定したテーブルを保持し、入力された用紙情報に基づいてサバキ圧の調整処理を適正に行えるようにしておくものとする。また、上記実施形態では、サブ操作パネル20を介して用紙情報を入力する例を示したが、メイン操作パネル16を介してそれらを入力してもよい。
(変形例2)
上記実施形態では、図17のS70や図20のS340において、「判定基準期間」を給紙モータ77の回転開始から1回の給紙が確実に完了する所定時間として設定する例を示した。変形例においては、例えば給紙モータ77の回転開始から用紙の後端がジャムセンサ58により検出されるまでを「判定基準期間」としてもよい。
(変形例3)
上記第3実施形態において、リミット検知機構を設けない構成としてもよい。この場合、初期調整処理を調整モータ78を使用して自動で行うことはできなくなるので、初期調整処理は必ずユーザがツマミを介して行うことになる。ユーザが初期調整処理を行うときは、図9に示した引きばね105が伸びることにより、同方向への操作に抵抗がかかったことをユーザが感知することをもってリミットが判断され、ユーザが調整ツマミ378から手を離すと、引きばね105の付勢力によって調整ツマミ378がリミット位置に落ち着くため、リミット検知機構は不要となる。
(変形例4)
上記第1、第2、第4、第5実施形態では、第2の追加調整処理が行われたときに、調整位置情報Dx(第4実施形態においては調整ニアエンド部数N4x)と関連付けてその調整内容を記憶させ、その後の調整に反映させているが、第1の追加調整処理が行われたとき、あるいは第1、第2の追加調整処理が行われたときの双方とも、その際の調整位置情報Dx(あるいは調整ニアエンド部数N4x)と関連付けて調整内容記憶させ、その後用紙の補充が行われた後に、位置情報Dが調整位置情報Dxと、あるいはニアエンド部数N4が調整ニアエンド部数N4xと等しくなった時点で、関連付けて記憶されている調整内容にを参照した調整を行うようにしてもよい。また、用紙の補充が行われたときに調整を元に戻しても良い。
(変形例5)
上記第4実施形態では、第2の追加調整処理が行われたときに、その調整内容を調整ニアエンド部数N4xと関連付けて記憶させ、用紙補充時にその調整を元に戻し、その後再度ニアエンド部数N4がN4xと等しくなったときに、記憶されている調整内容で調整を行っているが、必ずしも「等しく」なくてもよく、近似した数値になったときに調整を行ってもよい。例えば、ニアエンド部数N4が、記憶されている調整ニアエンド部数N4xよりも所定数少ない数値(N4x−α)と等しくなった時に、その調整ニアエンド部数N4xと関連付けて記憶されている調整を行ってもよい。このようにすれば、以前に重送又は空送りが生じた残量となる以前に予め調整を行っておくことになるので、より確実に適切なサバキ圧に調整することができる。
(変形例6)
上記第4実施形態では、第2の追加調整処理が行われたときに、その調整内容を調整ニアエンド部数N4xと関連付けて記憶させ、用紙補充時にその調整を元に戻し、その後再度ニアエンド部数N4がN4xと等しくなったときに、記憶されている調整内容で調整を行っているが、この形態に限られず、ニアエンド部数N4を使用することなく、用紙残量が所定量以下となった後で(ニアエンドフラグF1が1の状態で)第2の追加調整処理が行われたとき、その調整内容のみを記憶し、その後用紙補充後に再度残量が所定量となった時点で(ニアエンドセンサ411がON状態からOFF状態に変化した時点で、記憶されている調整を行うようにしても良い。この変形例6においても変形例5と同様に、以前に重送又は空送りが生じた残量となる以前に予め調整を行っておくことができる。
(変形例7)
上記第1、第2、第3、第5実施形態では、第2の追加調整処理が行われたときに、その調整内容を調整位置情報Dxと関連付けて記憶させ、用紙補充時にその調整を元に戻し、その後再度位置情報Dが調整位置情報Dxと等しくなったときに、記憶されている調整内容に基づいて調整を行っているが、必ずしも「等しく」なくてもよく、近似した数値になったときに調整を行ってもよい。例えば、位置情報Dが、記憶されている調整位置情報Dxよりも所定数少ない値(Dx−α)と等しくなった時に、その調整位置情報Dxと関連付けて記憶されている調整内容に基づいてを行ってもよい。このようにすれば、以前に重送又は空送りが生じた残量となる以前に予め調整を行っておくことになるので、より確実に適切なサバキ圧に調整することができる。
(変形例8)
上記各実施形態(第3実施形態においては、初期調整処理を自動で行うことが選択可能な場合に、自動調整を選択したとき)では、初期調整処理において、調整可能状態であるか否かを、検出部114がホームセンサS2の光軸を遮蔽しているか否かで判断しているが、検出部112がリミットセンサS1の光軸を遮蔽しているか否かで判断しても良い。第1実施形態の場合を説明すると、図16におけるS26において、検出部112がリミットセンサS1の光軸を遮蔽していなければ(S26のN)、調整モータ78を逆転させ、サバキ板46を下降させる(S28)。その結果、検出部112がリミットセンサS1の光軸を遮蔽すれば(S30のY)、調整モータ78を停止する(S32)。その後調整モータ78を正転させ(S34)、サバキ圧がリミット値に達したか否かを判断する(S36)。S26において検出部112がリミットセンサS1の光軸を遮蔽していれば(S26のY)、S28、30、32をスキップする。
S36においてリミット値に到達したか否かは、リミットセンサS1が非検知状態になったか(検出部112がリミットセンサS1の光軸から外れたか)否かで判断するから、検出部112がリミットセンサS1により検出されていれば、その状態から調整モータ78によりサバキ板46を上昇駆動すれば、いずれかの時点でリミットセンサS1が非検知状態となり、リミット値に到達したか否かを判断することができる。この形態によっても、上記各実施形態と同様に、サバキ圧がリミット値に到達した後の戻し量により、初期調整処理を行うことができる。
(変形例9)
上記各実施形態では、ベース部数N1が6に達する前に、調整判定部数N2が3に達したときにサバキ圧を上昇させる第1の追加調整処理を行うこととし、ベース部数N1が6に達したときには再度ベース部数N1をゼロに戻しているが、この形態に限られない。例えば毎回、直近の6回分の給紙において、次紙がタイミングセンサ56をふさいだ回数を計数し、これが3回に達した時に、サバキ圧を上昇させるようにしてもよい。また、次紙のタイミングセンサ56遮蔽が所定回数連続した場合にサバキ圧を上昇させるようにしてもよい。要するに、次紙がタイミングセンサ56を遮蔽するという現象の発生頻度の疎密を判定し、密であると判定した場合にサバキ圧を上昇させるようにすればよい。
(変形例10)
上記各実施形態では、用紙補充の際に逆方向の調整を行い、その後、過去に追加調整処理が発生した残量に相当する段階になると、過去の追加調整処理を再度行うこととしているが、用紙補充のたびに毎回これを行う必要は必ずしもない。用紙残量が減少して第2の追加調整処理が発生した場合、そもそもその追加調整処理前の段階から、追加調整処理後のサバキ圧が適切であった可能性もあるからである。したがって、用紙積載後最初の用紙補充の際は、それ以前に追加調整処理が発生していても、逆方向の調整を行わず、過去に追加調整処理が発生した残量に相当する段階になっても追加調整処理は行わず、2度目以降の追い積みから開始するようにしてもよい。またこれを3度目、4度目以降等と変化させてもよいことはもちろんである。
(変形例11)
上記第5実施形態において、第3実施形態と同様に調整ツマミ378や双方向クラッチ374等により、初期調整処理を手動で行うことを可能としてもよい。調整モータ78の回転駆動力をサバキ板46の上下動作に変換する駆動伝達機構はギヤを含んでいるため、前回の駆動方向と逆方向の駆動を行う場合、ギヤのバックラッシュによるガタ分だけ、駆動の初期に空回りすることになる。初期調整処理、追加調整処理をすべて調整モータ78により自動で行った場合は、前回の回転方向を記憶しておくとともに、前回と回転方向が異なる場合には、バックラッシュによる空回り分を考慮して制御することが可能である。しかし、第3実施形態のように調整ツマミ378による手動調整機構(図20参照)を設けた場合、手動調整時の回転方向を把握することは困難である。したがって第5実施形態と同様にサバキ位置検知機構600によりサバキ位置情報Eを検出することにより、ギヤのバックラッシュその他の取付ガタ等に関係なく、適切な調整を行うことができるというメリットがある。
(変形例12)
上記第4実施形態においても、上記第5実施形態と同様に、サバキ位置検知機構600を設け、サバキ位置情報Eを検出してサバキ圧調整を行っても良い。すなわち図24におけるS532においては、今回の第2の追加調整処理の内容として、調整モータ78の回転方向と回転量を、調整ニアエンド部数N4xと関連付けて記憶しているが、これに代えて、今回の第2追加調整処理における調整前のサバキ位置情報Ex1及び調整後のサバキ位置情報Ex2を、調整ニアエンド部数N4xと関連付けて記憶する。
その後ニアエンドセンサが検知OFF状態からON状態へ変化した場合(図24におけるS620のY相当)(用紙補充が行われた場合)は、記憶済みの調整ニアエンド部数N4xに対応する調整前のサバキ位置情報Ex1に相当する位置にサバキ板46が位置するように、調整モータ78を駆動する。さらにその後N4=N4xとなったとき(図24におけるS720のY相当)、そのN4xと関連付けて記憶されている調整後のサバキ位置情報Ex2に相当する位置にサバキ板46が位置するように、調整モータ78を駆動する。
本変形例によれば、用紙残量検知機構400に代えてニアエンド検知機構410を設けた場合であっても、サバキ位置検知機構600によりサバキ板46の高さ位置を検出し、より適切な調整を行うことができる。
(変形例13)
上記第5実施形態における戻し量E2は、用紙の厚さに関するデータに基づいて定められ、予め試験等を行うことにより最適値が求められてデータベース化されており、これを参照して折り形態情報に基づいて適正な戻し量E2を算出しているが、第2の実施形態における戻し量Kと同様に、戻し量E2を特定するための用紙情報として、重送検知機構60にて検出された用紙の厚さ情報を用いてもよい。すなわち、初期調整処理においてテスト給紙を行い、図3に示した変位センサ69の検出値に基づいて用紙の厚さを算出する。そして、その厚さ情報に対応した戻し量E2を算出し、サバキ板46の高さを適正に調整する。制御部50は、変位センサ69により検出される用紙の厚さと、戻し量E2との関係を対応づけたテーブルを保持し、サバキ調整工程においてそれらを参照する。
(変形例14)
上記各実施形態では、重送又は空送りが生じた場合は、いったんメインモータ182を停止させ、その後の給紙スタート入力がなされると、再度メインモータ182を駆動させているが、メインモータ182は駆動させたまま給紙モータ77の動作を停止させ、給紙スタート入力がなされると、給紙モータ77の動作を再開するようにしてもよい。このようにすれば、給紙スタート入力されたとき、メインモータ182の起動を待たず、ただちに丁合処理を開始できる。
(変形例15)
上記各実施形態では、重送又は空送りが生じた場合は、いったんメインモータ182を停止させ、その後の給紙スタート入力がなされると、再度メインモータ182を駆動させているが、重送又は空送りが生じた場合であっても、メインモータ182、給紙モータ77ともに動作を止めることなく、丁合処理による用紙束の作成をそのまま継続しながら、必要に応じてサバキ圧の自動調整を行っても良い。この場合、重送や空送りの発生した用紙束が区別できるように、スタッカトレイ40においてオフセット積載したり、重送や空送りを含む用紙束を排出するリジェクトトレイをスタッカトレイ40に至る搬送路から分岐した分岐搬送路の先に設けるなどして、重送や空送りが生じた用紙束をユーザが特定可能とするのが良い。
(変形例16)
上記第2実施形態では、レバー部材65の回動量をエンコーダを用いて測定する変位センサ69の検出値に基づいて用紙の厚さに関する情報を得る例を示した。変形例においては、超音波センサにより用紙の厚さに関する情報を得るようにしてもよい。すなわち、横搬送路を挟んで上下に各々超音波を発信する発信センサ、受信する受信センサを設けてもよい。例えば、超音波センサを通過した用紙が折りなしの場合よりも2つ折りの場合のほうが超音波の振幅が小さくなることを利用し、用紙の折り形を得るようにしてもよい。あるいは、光学式センサにより用紙の厚さに関する情報を得るようにしてもよい。すなわち、横搬送路を挟んで上下に各々発光センサと受光センサを配置し、用紙が通過した時の光の透過量に基づいて用紙の折り形や厚さ情報を得るようにしてもよい。第4、第5実施形態の初期調整処理、及び第3実施形態において初期調整処理を自動で行うことを選択した場合についても同様である。