JP2017144613A - 透光板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐摩耗性に優れる透光板及び該透光板を製造する方法を提供する。【解決手段】 樹脂基体と、上記樹脂基体上に設けられたプライマー層と、上記プライマー層の上に設けられたハードコート層と、上記ハードコート層の上に設けられたセラミック層と、からなる透光板であって、上記透光板は、上記セラミック層に対するXPS解析を実施した場合に、Cの結合状態解析において282〜283eVの範囲にC/S値のピークを、Siの結合状態解析において99.5〜100.5eVの範囲にC/S値のピークを、それぞれ有する透光板。【選択図】 図1

Description

本発明は、透光板及びその製造方法に関する。
近年、環境への配慮や燃費向上のために、自動車の軽量化が進められている。そして、そのような軽量化対策の一つとして、自動車に使用されるガラスの樹脂化が検討されている。自動車用の樹脂ガラス(有機ガラス)の材料には、ポリカーボネートや、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオレフィン、ABS等の透明な平板を形成可能な樹脂材料が使用可能である。そしてその中でも、耐衝撃性や、耐熱性、透明性等に優れたポリカーボネートが好適に使用される。しかしながら、樹脂ガラスは、その形成材料たる樹脂の種類に拘わらず、無機ガラスよりも表面の硬度が低い。そのため、耐摩耗性や耐擦傷性が不充分であり、しかも耐候性にも劣るといった欠点を有している。
このような課題を解決するために、特許文献1には、透明な樹脂基板の少なくとも一方の面上に、ハードコート層が積層形成されてなる自動車用樹脂ガラスであって、上記ハードコート層が、真空蒸着重合によって形成された有機高分子薄膜を含んで構成され、上記ハードコート層が、上記有機高分子薄膜と、該有機高分子薄膜の上記樹脂基板側とは反対側に、真空成膜プロセスによって積層形成された無機薄膜とを含む複層構造を有している自動車用樹脂ガラスが提案されている。
特開2011−116182号公報
特許文献1に記載の自動車用樹脂ガラスでは、無機薄膜をハードコート層としているが、耐摩耗性をより向上させる改善の余地があった。
本発明は、上記のような問題点を踏まえてなされたものであり、耐摩耗性に優れる透光板を提供すること、及び、該透光板を製造する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の透光板は、
樹脂基体と、
上記樹脂基体上に設けられたプライマー層と、
上記プライマー層の上に設けられたハードコート層と、
上記ハードコート層の上に設けられたセラミック層と、
からなる透光板であって、
上記透光板は、上記セラミック層に対するXPS解析を実施した場合に、
Cの結合状態解析において282〜283eVの範囲にC/S値のピークを、
Siの結合状態解析において99.5〜100.5eVの範囲にC/S値のピークを、
それぞれ有することを特徴とする。
本発明の透光板は、樹脂基体、プライマー層及びハードコート層を有し、ハードコート層の上にセラミック層が形成されている。セラミック層は、樹脂材料と比較して圧倒的に硬いので、透光板に耐摩耗性を付与することができる。また、本発明においては、上記セラミック層に対するXPS(X線光電子分光)解析を実施した場合に、Cの結合状態解析において282〜283eVの範囲にC/S値のピークを、Siの結合状態解析において99.5〜100.5eVの範囲にC/S値のピークを、それぞれ有する。すなわち、セラミック層は、その組成がSiCに近い膜であり硬度が高く耐傷性も向上する。また、セラミック層の組成がSiCに近いため、透光性を有しつつ薄い茶色となり、UVカットに効果を示す。
また、本発明においては、セラミック層を形成する際に、例えば酸素を多く含有するハードコート層表面付近をプラズマによって活性化すると、ハードコート層中の酸素とスパッタによって供給されるSi、C、Oとの結びつきが確実なものとなりハードコート層とセラミック層の密着性が良好となり、かつ、形成される膜(セラミック層)はSiCに近い非晶質体となる。
また、セラミック層を構成するセラミック材料は、エネルギーバンドギャップの作用により一般に短波長側の光を吸収しやすく紫外線を吸収することができる。このため、例えばセラミック層の厚さを適宜調整することにより、セラミック層によって紫外線を効果的に吸収することができる。このため、透光板を構成する樹脂材料に紫外線が届かず、紫外線による樹脂基体の劣化を防止することができる。さらには、適宜セラミック層の種類等を調整することで紫外線に限定されず、赤外線に対しても光を減衰させることができる。
本発明の透光板においては、上記セラミック層の表面及び内部に遊離炭素の存在が確認されることが好ましい。
セラミック層の表面及び内部に遊離炭素が存在すると、セラミック層表面が滑らかとなるため好ましい。遊離炭素の存在は、セラミック層に対するXPS解析を行うことにより確認することができる。具体的には、セラミック層に対するXPS解析を実施した場合に、Cの結合状態解析において283eVのピークはSi−C結合を示し、セラミック層に遊離炭素が存在すると、該ピークがブロードとなる波形が観察される。従って、Cの結合状態解析における283eVのピークの波形から遊離炭素の存在が確認出来る。なお、セラミック層の表面とは、ハードコート層側と反対側のセラミック層の表面である。
本発明の透光板においては、上記セラミック層はスパッタリングによって、450W〜550Wのエネルギー条件下、5%〜20%の酸素雰囲気下で成膜されたものであることが好ましい。
セラミック層がこのような方法により形成されたものであると、上述した本発明の効果をより充分に発揮することができる。
上記セラミック層は、SiCをターゲットとして用いて成膜されたものであることが好ましい。
SiCは、セラミック材料としては特に硬い部類の素材であるので、本発明におけるセラミック層の成分として好適に利用することができ、透光板の耐摩耗性をより向上させることができる。
上記セラミック層は、Si、O及びCからなる非晶質体であることが好ましい。
非晶質体であると、セラミック層が透明であるうえ、セラミック層の厚さが薄い場合でも紫外線を吸収する作用を発現できる。
上記ハードコート層は、酸素(O)を含むことが好ましい。
ハードコート層が酸素を含む場合に、上記のスパッタリングによってセラミック層を形成すると、ハードコート層中(特に、ハードコート層表面付近)の酸素がプラズマによって活性化され、該酸素とスパッタによって供給されるSi、C、Oとの結びつきが確実なものとなりハードコート層とセラミック層の密着性が良好となる。このためセラミック層がハードコート層から剥離等しにくく、セラミック層により付与される耐摩耗性をより充分に発揮することができる。
上記プライマー層は、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂及びエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂からなることが好ましい。
上記の樹脂は樹脂基体及びハードコート層との接着性に優れるため、透光板を構成する樹脂基体及びハードコート層を、プライマー層を介して強固に接着することができる。
上記ハードコート層はシリコーン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂からなることが好ましい。これらの樹脂は、酸素を含むため、ハードコート層の材料として好ましい。
ハードコート層がシリコーン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂からなると、ハードコート層とセラミック層との密着性が向上する。このためセラミック層がハードコート層から剥離等しにくくなり、セラミック層により付与される硬度及び、耐摩耗性をより充分に発揮することができる。特に、上記のスパッタリングによってセラミック層を形成すると、ハードコート層中に含まれる酸素がプラズマによって活性化され、ハードコート中の酸素とスパッタによって供給されるSi、C、Oとの結びつきが確実なものとなりハードコート層とセラミック層の密着性が良好となる。
上記樹脂基体は、ポリカーボネート又はポリメチルメタクリレートからなることが好ましい。
これらの樹脂は、高い透光性を有している上に、複屈折がなく、充分な強度を有しているので、本発明の透光板の樹脂基体の材料として好適に利用することができる。
上記セラミック層の厚さは5〜300nmであることが好ましい。
セラミック層の厚さが上記範囲であると、硬度及び耐摩耗性が充分に付与される。また、紫外線を充分に吸収することができるため樹脂基体に紫外線の影響が及ぶことを効果的に防ぐことができる。
本発明の透光板の製造方法は、
樹脂基体上に、プライマー層を形成する工程、
上記プライマー層の上にハードコート層を形成する工程、及び、
上記ハードコート層の上にセラミック層を形成する工程を含み、
上記セラミック層を形成する工程は、スパッタリングによって、450W〜550Wのエネルギー条件下、5%〜20%の酸素雰囲気下で成膜することを含むことを特徴とする。
セラミック層を形成する際に、スパッタリングによって上記の条件で成膜すると、得られる透光板は、上記セラミック層に対するXPS解析を実施した場合に、Cの結合状態解析において282〜283eVの範囲にC/S値のピークを、Siの結合状態解析において99.5〜100.5eVの範囲にC/S値のピークを、それぞれ有することになる。このセラミック層はSiCに非常に近い非晶質となり、SiCのもつ特性のゆえ硬度及び耐摩耗性に優れ、かつ、SiC由来の薄い茶色に着色された透光板を製造することができる。
本発明の製造方法によれば、上述した本発明の透光板を製造することができる。
上記セラミック層を形成する工程においては、SiCをターゲットとして用いることが好ましい。スパッタリングによって、ターゲットにSiCを用いて上記の条件で成膜することにより、硬度及び、耐摩耗性に優れ、樹脂基体が紫外線によって劣化しにくい透光板を製造することができる。
本発明の方法においては、上記ハードコート層が酸素(O)を含み、上記ハードコート層中の酸素をプラズマによって活性化させて、上記ハードコート層直上に上記セラミック層を形成することが好ましい。
ハードコート層が酸素を含むと、上記のスパッタリングによってセラミック層を形成する際に、ハードコート層中の酸素をプラズマによって活性化させることができる。ハードコート層中(特に、ハードコート層表面付近)の酸素が活性化されると、該酸素とスパッタによって供給されるSi、C、Oとの結びつきが確実なものとなりハードコート層とセラミック層の密着性が良好となる。このためセラミック層がハードコート層から剥離等しにくく、セラミック層により付与される耐摩耗性をより充分に発揮することができる透光板を得ることができる。
図1は、本発明の透光板の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、実施例1で作製した透光板のXPS解析の結果を示すグラフである。
以下、本発明の透光板及び透光板の製造方法について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
はじめに、本発明の透光板について説明する。
本発明の透光板は、樹脂基体と、上記樹脂基体上に設けられたプライマー層と、上記プライマー層の上に設けられたハードコート層と、上記ハードコート層の上に設けられたセラミック層と、からなる。本発明の透光板は、樹脂基体上に、プライマー層、ハードコート層及びセラミック層をこの順に有するが、プライマー層、ハードコート層及びセラミック層は、樹脂基体の片面に設けられていてもよく、樹脂基体の両面に設けられていてもよい。
樹脂基体は、樹脂材料からなる基体である。樹脂材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、PET樹脂、ポリスチレン、透明塩化ビニル樹脂等が挙げられる。中でも、樹脂基体は、ポリカーボネート又はポリメチルメタクリレートからなることが好ましい。樹脂基体がポリカーボネート又はポリメチルメタクリレートからなるものであると、これらの樹脂は強度が高いため、本発明の透光板の強度がより向上する。またこれらの樹脂は、高い透光性を有している上に、複屈折がない点でも本発明の透光板の樹脂基体として好ましい。
樹脂基体とプライマー層との密着性を向上させるため、所望によりサンドブラスト処理や化学薬品等による粗化処理が樹脂基体の表面に施されていてもよい。
上記粗化処理により形成される樹脂基体の表面の表面粗さRzJISは、0.3〜20μmが望ましい。上記した粗化面の表面粗さRzJISは、JIS B 0601(2001)で定義される十点平均粗さである。
上記樹脂基体の粗化面の表面粗さRzJISが0.3μm未満であると、樹脂基体の表面積が小さくなるため、樹脂基体とプライマー層との密着性が充分に得られにくくなる場合がある。一方、樹脂基体の粗化面の表面粗さRzJISが20μmを超えると、樹脂基体の表面にプライマー層が形成されにくくなる場合がある。これは、樹脂基体の粗化面の表面粗さRzJISが大きすぎると、樹脂基体の表面に形成された凹凸の谷の部分にプライマー層が形成されにくく、この部分に空隙が形成されるためであると考えられる。
なお、樹脂基体の粗化面の表面粗さRzJISは、レーザー顕微鏡(キーエンス社製VK−X200violet仕様)を用いて表面の輪郭曲線を測定した後、JIS B 0601(2001)に準拠して、走査距離は30μmとして測定することができる。
樹脂基体の形状は、特に限定されるものではなく、平板、半円筒、円筒状の他、その断面の外縁の形状は、楕円形、多角形等の任意の形状であってもよい。樹脂基体は、例えば、リアウンドウ等の自動車用の窓、ランプカバー又はランプレンズの形状であることが好ましい。
また、樹脂基体の厚さは、透光板を使用する用途に応じて適切な厚さとすることができる。
板状の透光板の樹脂基体として適切なmmオーダーの厚さでもよいし、フィルム状の透光板の樹脂基体として適切なμmオーダーの厚さでもよい。なお、樹脂基体の厚さは不均一であってもよい。例えば透光板を自動車用の窓に使用する場合には、樹脂基体の厚さは3〜6mmが好ましく、3〜5mmがより好ましい。
本発明の透光板では、樹脂基体上にプライマー層が設けられている。
プライマー層は、透光板を構成する樹脂基体及びハードコート層に対して接着性が良好な材料からなることが好ましく、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂及びエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂からなることが好ましい。これらの樹脂は樹脂基体及びハードコート層との接着性に優れるため、透光板を構成する樹脂基体及びハードコート層を、プライマー層を介して強固に接着することができる。中でも、プライマー層は、アクリル系樹脂及びシリコーン系からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂からなることがより好ましい。
プライマー層の厚さは特に限定されないが、例えば、1〜10μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。プライマー層の厚さが1μm未満であると、プライマー層を介して樹脂基体及びハードコート層を強固に接着できない場合がある。プライマー層の厚さを10μmを超えて厚くすると、材料の組み合わせによっては、積層体(透光板)のトータルの硬度や耐摩耗性、耐傷性において所望の値を得られないことがある。プライマー層の厚さは均一であることが好ましい。
ハードコート層を形成する材料としては、例えばシリコーン系樹脂、アクリル系樹脂が挙げられる。これらは1種又は2種以上使用することができる。ハードコート層がこのような材料からなるものであると、ハードコート層とセラミック層との密着性がより向上する。このためセラミック層がハードコート層からより剥離等しにくく、セラミック層により付与される硬度及び耐摩耗性等をより充分に発揮することができる。
本発明におけるハードコート層は、酸素(O)を含有することが好ましく、ハードコート層に対して12〜40重量%酸素を含有することが好ましい。上記のアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂は酸素を含有し、ハードコート層の材料として好適である。
ハードコート層の厚さは特に限定されないが、例えば、2〜9.5μmが好ましく、2.5〜5μmがより好ましい。ハードコート層の厚さが2μm未満であると、耐摩耗性がなくなることがある。ハードコート層の厚さを9.5μmを超えて厚くすると摩耗性の低下と乾燥時の気泡混入により品質が低下することがある。ハードコート層の厚さは均一であることが好ましい。
本発明の透光板では、ハードコート層の上にセラミック層が設けられている。
本発明の透光板においては、上記セラミック層の表面及び内部に遊離炭素の存在が確認されることが好ましい。
セラミック層は、Si、O及びCからなる非晶質体であることが好ましい。特に、Si、及びCからなる非晶質体であると、セラミック層の硬度が高くなるためより好ましい。また、Si、及びCからなる非晶質体であると、セラミック層の厚さが薄い場合でも紫外線を吸収する作用を発現できる。
セラミック層は、本発明の効果を損なわない限り、Si、O及びC以外の成分を含んでもよい。
上記セラミック層の厚さは5〜300nmであることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましい。
セラミック層の厚さが上記範囲であると、硬度及び耐摩耗性が充分に付与される。また、紫外線を充分に吸収することができるため樹脂基体に紫外線の影響が及ぶことを効果的に防ぐことができる。
セラミック層の厚さを300nmを超えて厚くしても特性に大きな変化はなく、そのような厚さのセラミック層を形成することが難しく、時間もかかるため、透光板の価格が高くなりすぎる。
プライマー層、ハードコート層、セラミック層等の各層の厚さは、例えば、レーザー顕微鏡を用いて測定することができる。
例えばセラミック層の厚さは、樹脂基体の表面にプライマー層、ハードコート層及びセラミック層が形成された部分と、樹脂基体の表面にプライマー層及びハードコート層が形成され、セラミック層が形成されていない部分がある試料とを準備し、樹脂基体の表面にプライマー層、ハードコート層及びセラミック層が形成された部分と、該セラミック層が形成されていない部分の境界の段差をまたぐようにレーザー顕微鏡を走査して、その段差の高さをセラミック層の厚さとして測定することができる。
プライマー層及びハードコート層についても同様に、樹脂基体の表面にプライマー層、ハードコート層等が形成された部分と、樹脂基体表面にプライマー層、ハードコート層等が形成されていない部分がある試料とを用いて、上記と同様に厚さを測定することができる。
上記測定用試料は、形成したプライマー層、ハードコート層、セラミック層の一部を除去することによって作製してもよい。
本発明の透光板は、上記セラミック層に対するXPS解析を実施した場合に、Cの結合状態解析において282〜283eVの範囲にC/S値のピークを、Siの結合状態解析において99.5〜100.5eVの範囲にC/S値のピークを、それぞれ有する。
本発明の透光板では、上記セラミック層は、XPS解析において、C/Sピークを99.5〜100.5eVの範囲に持つため、きわめてSiCに近い非晶質体が構成されていることになり、セラミック層が樹脂材料と比較して圧倒的に硬く、透光板に硬度及び耐摩耗性を付与することができる。
本発明の透光板は、上記セラミック層に対するXPS解析を実施した場合に、Cの結合状態解析において282〜283eVの範囲にC/S値のピークを、Siの結合状態解析において99.5〜100.5eVの範囲にC/S値のピークを、それぞれ有するものであるが、好ましくは、Cの結合状態解析においては283eVにより近い位置にC/Sピークを、Siの結合状態解析においては100.5eVにより近い位置にC/Sのピークを有することが望ましい。CとSiのC/Sのピークがこの位置にあることで、SiOのもつハードコート層との密着性の特徴とセラミック層の透光性、SiCのもつ膜としての硬度が発現する傾向となり、SiOとSiCの中間的な特性を利用することが可能となる。
XPS解析は、以下の条件で行う。より具体的には、XPS解析においては、X線電子分光装置を用い、セラミック層の珪素(Si)および炭素(C)に関連する結合のピーク位置、及び、セラミック層の深さ方向の構成比を確認する。なお、分析装置の条件等は下記のとおりである。
分析装置:アルバック・ファイ社製 QuanteraII
X線源:Al−Kα
X線源の印加電圧、電流:15kV、1.5A
イオン銃のガス種:Ar
Arイオンスパッタ条件:500V、7mA、1.0min
測定エネルギー範囲:wide 0〜1100 V
narrow C(C1s):278〜298eV、Si(Si2p):94〜114eV
本発明におけるセラミック層はスパッタリングによって、450W〜550Wのエネルギー条件下、5%〜20%の酸素雰囲気下で成膜されたものであることが好ましい。このような方法で形成されたセラミック層は、上記セラミック層に対するXPS解析を実施した場合に、Cの結合状態解析において282〜283eVの範囲にC/S値のピークを、Siの結合状態解析において99.5〜100.5eVの範囲にC/S値のピークを、それぞれ有する透光板となる。
また、セラミック層は、SiCをターゲットとして用いて成膜されたものであることが好ましい。SiCをターゲットとして使用してスパッタリングによって上記条件で形成されたセラミック層は、硬度が特に高いため、透光板の耐摩耗性をより向上させることができる。また、SiCは紫外線を吸収しやすい性質も有するため、紫外線による樹脂基体の劣化もより効果的に防止することができる。
図1は、本発明の透光板の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本発明の透光板10は、樹脂基体11と、樹脂基体11上に設けられたプライマー層12と、プライマー層12の上に設けられたハードコート層13と、ハードコート層13の上に設けられたセラミック層14と、からなる。
樹脂基体11、プライマー層12、ハードコート層13及びセラミック層14の好ましい態様等は、上述したとおりである。
図2は、本発明の透光板の一例について、セラミック層のXPS解析の結果をCの結合、Siの結合に着目して示したものである(図2の(a):Cの結合状態解析(C1s)の結果を示すグラフ;図2の(b):Siの結合状態解析(Si2p)の結果を示すグラフ)。
次に、本発明の透光板の製造方法について説明する。本発明の透光板の製造方法は、上述した本発明の透光板を製造する方法として好適である。
本発明の透光板の製造方法は、
樹脂基体上に、プライマー層を形成する工程、
上記プライマー層の上にハードコート層を形成する工程、及び、
上記ハードコート層の上にセラミック層を形成する工程を含み、
上記セラミック層を形成する工程は、スパッタリングによって、450W〜550Wのエネルギー条件下、5%〜20%の酸素雰囲気下で成膜することを含むことを特徴とする。
(1)樹脂基体の準備
はじめに、樹脂基体を準備する。
樹脂基体としては本発明の透光板の説明で説明した樹脂基体を使用することができ、使用する用途に応じて任意の形状に切削加工、押出成形等により成形した樹脂基体を準備する。
また、樹脂基体の表面の不純物を除去するために洗浄処理を行うことが好ましい。
上記洗浄処理としては特に限定されず、従来公知の洗浄処理を用いることができ、具体的には、例えば、水やアルコール溶媒中で超音波洗浄を行う方法等を用いることができる。
また、スパッタリング装置内に樹脂基体を設置し、プラズマを発生させることによって樹脂基体の表面をプラズマ洗浄してもよい。
また、上記洗浄処理後には、必要に応じて、樹脂基体の表面の粗さを調整したりするために、樹脂基体の表面に粗化処理を施してもよい。具体的には、例えば、サンドブラスト処理、エッチング処理等の粗化処理を施してもよい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
この粗化処理後に、さらに洗浄処理を行ってもよい。
樹脂基体表面の好ましい表面粗さ等については、既に説明したので、ここでは、その説明を省略する。
(2)プライマー層の形成
次に、樹脂基体上に、プライマー層を形成する。
プライマー層を形成する方法は特に限定されず、上述したプライマー層を構成する樹脂を用いて、公知の方法(例えば、ディップ法)により樹脂基体表面にプライマー層を形成する。
(3)ハードコート層の形成
続いて、プライマー層の上にハードコート層を形成する。ハードコート層は、酸素(O)を含むことが好ましい。ハードコート層を形成する方法は特に限定されず、上述したハードコート層を構成する材料を用いてプライマー層表面にハードコート層を形成すればよい。
プライマー層及びハードコート層を硬化させる方法は特に限定されず、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化、常温硬化等の各方法を使用でき、材料に応じて適宜選択すればよい。また、プライマー層及びハードコート層は、プライマー層を硬化させた後、ハードコート層を形成してもよく、プライマー層及びハードコート層を同時に硬化させてもよい。
(4)セラミック層の形成
上記で得られた樹脂基体上にプライマー層及びハードコート層が形成された積層体のハードコート層表面にセラミック層を形成する。
セラミック層の形成は、スパッタリングによって、450W〜550Wのエネルギー条件下、5%〜20%の酸素雰囲気下で成膜することを含む。
本発明の製造方法においては、ハードコート層が酸素(O)を含む場合には、ハードコート層中の酸素をプラズマによって活性化させて、該ハードコート層直上に上記セラミック層を形成することが好ましい。本発明においては、上記の450W〜550Wのエネルギー条件下でスパッタリングを行うことによって、ハードコート層中の酸素を活性化することができる。
ハードコート層が酸素を含むと、セラミック層をスパッタリングによって形成する際に、ハードコート層中の酸素がプラズマによって活性化され、上記酸素とスパッタによって供給されるSi、C、Oとの結びつきが確実なものとなりハードコート層とセラミック層の密着性が良好となる。
スパッタリングは物理蒸着(PVD)の一種である。
スパッタリングによりセラミック層を形成する場合、樹脂材料からなる樹脂基体、プライマー層等の温度が高温にならず、樹脂材料の耐熱温度以下の温度でセラミック層を形成することができるので、本発明におけるセラミック層の形成方法として適している。
スパッタリングとしては、マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、2極スパッタ法、反応性スパッタ法、ECRスパッタ法、RF(交流、高周波)スパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法等が挙げられる。中でも、RFスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法等がより好ましく、RFマグネトロンスパッタ法がさらに好ましい。
RFスパッタであると、絶縁体であるセラミックターゲットについてもスパッタリングが可能であり、マグネトロンスパッタとすることによって成膜速度を速くすることができる。
RFマグネトロンスパッタ法によるスパッタリングを行う場合には、スパッタリング装置にセラミック層の材料となるターゲットを設置して、樹脂基体上にプライマー層及びハードコート層が形成された積層体をチャンバー内に載置し、チャンバー内を5%〜20%の酸素雰囲気としてチャンバー内の圧力を例えば0.3〜0.7Paに減圧する。
そして、高周波電圧を印加して450W〜550Wのエネルギー条件下でスパッタリングを所定時間行い、所定の厚さのセラミック層をハードコート層上に形成する。
ターゲットは、スパッタリングにおいてSi及びCを発生する材料であればよい。好ましい態様では、上記セラミック層を形成する工程においては、SiCをターゲットとして用いる。SiCをターゲットとして用いて形成されたセラミック層は、特に硬度が高く透光板に優れた耐摩耗性を付与することができる。
上記セラミック層を形成する工程においては、SiCのターゲットを用い、スパッタリングによって上記の条件で成膜することによって、Si、C及びOからなる非晶質体のセラミック層を形成することができる。また、本発明の製造方法によって、セラミック層に対するXPS解析を実施した場合に、Cの結合状態解析において282〜283eVの範囲にC/S値のピークを、Siの結合状態解析において99.5〜100.5eVの範囲にC/S値のピークを、それぞれ有する透光板を得ることができる。
本発明の方法においては、450W〜550Wのエネルギー条件下、5%〜20%の酸素雰囲気下でスパッタリングを行う。
スパッタリングの際のエネルギー条件(出力条件)が450W未満のときでは、形成されるセラミック層の硬度が下がることになり、550Wを超えるときには、セラミック層の表面反射が強くなる傾向となり、透過率が下がる。
スパッタリングの際のエネルギー条件は、好ましくは480W〜520Wである。
また、スパッタリングを5%未満の酸素雰囲気下で行って成膜すると、セラミック層の表面反射が強くなる傾向を示し、透過率が下がることとなる。スパッタリングを20%を超える酸素雰囲気下で行って成膜すると、セラミック層に含まれるOの濃度が多くなりすぎて、膜の硬度が下がる事となる。
スパッタリングにおいては、5%〜20%の酸素雰囲気下で成膜することが好ましい。
スパッタリングは、5〜200℃で行うことが好ましい。この温度はチャンバー内の設定温度であり、常温(25℃±15℃)であることも好ましい。なお、樹脂基体、プライマー層等がスパッタリングの熱で溶融しないよう適宜冷却して温度調整してもよい。
スパッタリングの時間は特に限定されないが、例えばエネルギー条件を500Wとする場合であれば、2〜4分間が好ましい。
本発明の透光板は、耐摩耗性が必要な用途に好適に使用することができる。また本発明の透光板は、耐紫外線性が必要な用途にも使用することができる。本発明の透光板は、特に自動車部品用途に好ましく用いることができる。
具体的には、リアウインドウガラス等の自動車用の窓、ランプカバー又はランプレンズであることが好ましく、中でも、自動車用の窓に特に好適に使用される。
自動車用の窓としては、前後左右の窓、ルーフ等が挙げられる。
ランプカバーとしてはヘッドランプカバー、スモールランプカバー、ウィンカーカバー、フォグランプカバー、テールランプカバー、ブレーキランプカバー、バックランプカバー、車内灯カバー等が挙げられる。
ランプレンズとしては、ヘッドランプレンズ、スモールランプレンズ、ウィンカーレンズ、フォグランプレンズ、テールランプレンズ、ブレーキランプレンズ、バックランプレンズ、車内灯レンズ等が挙げられ、ランプカバーと一体化したものであってもよい。
また、自動車部品用途以外の用途として、航空機、船舶、鉄道等の自動車以外の輸送用機器の窓、家屋、オフィスビル等の建築物の窓、航空機、船舶、鉄道、自転車、2輪車等の自動車以外の輸送用機器の各種ランプカバー、各種ランプレンズ、室内照明(LED照明、蛍光灯)、信号機、道路灯、歩道灯、防犯灯、公園灯等の各種照明のカバー等に使用することができる。
以下に、本発明の透光板、及び、透光板の製造方法の作用効果について列挙する。
(1)本発明の透光板は、樹脂基体、プライマー層及びハードコート層を有し、ハードコート層の表面にセラミック層が形成されている。また本発明の透光板は、上記セラミック層に対するXPS解析を実施した場合に、Cの結合状態解析において282〜283eVの範囲にC/S値のピークを、Siの結合状態解析において99.5〜100.5eVの範囲にC/S値のピークを、それぞれ有する。このセラミック層はSiCに非常に近い非晶質体で、樹脂材料と比較して圧倒的に硬いので、透光板に硬度及び耐摩耗性を付与することができる。さらに、セラミック層を構成するセラミック材料は、紫外線を吸収することができるため、例えばセラミック層の厚さを適宜調整することにより、セラミック層によって紫外線を効果的に吸収することができる。このため、透光板を構成する樹脂材料に紫外線が届かず、紫外線による樹脂基体の劣化を防止することができる。さらには、適宜セラミック層の種類等を調整することで紫外線に限定されず、赤外線に対しても光を減衰させることができる。
(2)本発明の樹脂基体の製造方法では、ハードコート層表面へのセラミック層の形成をスパッタリングによって450W〜550Wのエネルギー条件下、5%〜20%の酸素雰囲気下で成膜することにより行う。スパッタリングによりセラミック層を形成する場合、樹脂基体、プライマー層及びハードコート層の温度が高温にならず、樹脂材料の耐熱温度以下の温度でセラミック層を形成することができるので、樹脂材料へのセラミック層の形成方法として適している。また、スパッタリングにおいて上記条件で成膜することにより、上記セラミック層に対するXPS解析を実施した場合に、Cの結合状態解析において282〜283eVの範囲にC/S値のピークを、Siの結合状態解析において99.5〜100.5eVの範囲にC/S値のピークを、それぞれ有する透光板を得ることができる。
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
樹脂基体として、ポリカーボネート板(厚さ4mm)を準備した。
この樹脂基体表面に、ディップ法によりシリコーンからなるプライマー層を形成した。次いで、プライマー層の上にポリシロキサン系の前駆体を用い、熱処理によりシリコーン樹脂からなるハードコート層を形成した。プライマー層の厚さは4μmであり、ハードコート層の厚さは3μmであった。
上記で形成したハードコート層の表面に、ターゲットをSiCとして、スパッタリングによってセラミック層を形成した。スパッタリング装置としては、SRV−4300シリーズ(芝浦メカトロニクス(株)製)を使用した。スパッタの電源は、高周波電源を用いた。サンプル/ターゲット間距離は100mmであった。チャンバー内の圧力は0.63Pa、出力(電力)500W、10%の酸素雰囲気下、温度条件は室温(RT)とし、処理時間:3分20秒で狙い膜厚20nmのセラミック層を形成し、透光板を得た。
X線電子分光装置を用い、セラミック被膜(セラミック層)の珪素(Si)および炭素(C)に関連する結合のピーク位置、及びセラミック被膜の深さ方向の構成比を確認した。
なお、分析装置の条件等は下記のとおりである。
分析装置:アルバック・ファイ社製 QuanteraII
X線源:Al−Kα
X線源の印加電圧、電流:15kV、1.5A
イオン銃のガス種:Ar
Arイオンスパッタ条件:500V、7mA、1.0min
測定エネルギー範囲:wide 0〜1100V
narrow C(C1s):278〜298eV、Si(Si2p):94〜114eV実施例で作製した透光板を用いて、XPS解析によってCの結合状態、Siの結合状態を解析した結果を図2に示す。
図2は、実施例1で作製した透光板のXPS解析の結果を示すグラフである。図2の(a)は、Cの結合状態解析(C1s)の結果を示すグラフであり、図2の(b)は、Siの結合状態解析(Si2p)の結果を示すグラフである。図2に示すグラフから、実施例1の透光板は、上記セラミック層に対するXPS解析を実施した場合に、Cの結合状態解析において282〜283eVの範囲にC/S値のピークを、Siの結合状態解析において99.5〜100.5eVの範囲にC/S値のピークを、それぞれ有していた。
実施例1で作製した透光板の耐摩耗性を評価するため、ヘイズ値を測定した。具体的には、アルミナの砥粒を有する磨耗輪を、透光板のセラミック層表面で移動させ、移動の後に残される傷の痕跡による光の拡散透過で評価した。この評価方法においては、数値が小さいほど耐摩耗性に優れる。装置条件は下記のとおりである。なお測定はJIS K 7136:2000に準じて行った。
また、硬度はJIS Z 2244に準じて実施した。測定圧子を一定荷重で試料に押し付けて、その痕跡を評価するもので、値が小さいほど硬度は高い。
<ヘイズ値>
光計測器
ヘイズメータ:日本電色工業(株)製 NDH4000(A光源を使用)
光スポット径:7mm
<磨耗試験>
磨耗試験機 :taber社Model5135
サンプル回転数:1000回
回転速度 :72rpm
荷重 :500g
摩耗輪 :CS−10F
<硬度>
硬度試験機 :島津製作所製 HMV−G21
保持時間 :10秒
繰り返し回数 :5回
荷重 :25g
<全光線透過率>
透光板の全光線透過率を測定した。装置条件は下記のとおりである。
ヘイズメータ:日本電色工業製 NDH4000(A光源を使用)
光スポット径:7mm
上記で測定したヘイズ値及び全光線透過率を表1に示す。また、透光板の色を、目視により確認し、表1に示した。
Figure 2017144613
実施例1で作製された透光板は、上記セラミック層に対するXPS解析を実施した場合に、Cの結合状態解析において282〜283eVの範囲にC/S値のピークを、Siの結合状態解析において99.5〜100.5eVの範囲にC/S値のピークを、それぞれ有する膜(セラミック層)を有するものであり、このため硬度及び耐摩耗性に優れるものであった。また、実施例1の透光板の色は透明性を有した薄い茶であり、上記のセラミック層を有しているので、また、紫外線を吸収することができるものであった。
10 透光板
11 樹脂基体
12 プライマー層
13 ハードコート層
14 セラミック層

Claims (13)

  1. 樹脂基体と、
    前記樹脂基体上に設けられたプライマー層と、
    前記プライマー層の上に設けられたハードコート層と、
    前記ハードコート層の上に設けられたセラミック層と、
    からなる透光板であって、
    前記透光板は、前記セラミック層に対するXPS解析を実施した場合に、
    Cの結合状態解析において282〜283eVの範囲にC/S値のピークを、
    Siの結合状態解析において99.5〜100.5eVの範囲にC/S値のピークを、
    それぞれ有することを特徴とする透光板。
  2. 前記セラミック層の表面及び内部に遊離炭素の存在が確認される請求項1に記載の透光板。
  3. 前記セラミック層はスパッタリングによって、450W〜550Wのエネルギー条件下、5%〜20%の酸素雰囲気下で成膜されたものである請求項1又は2に記載の透光板。
  4. 前記セラミック層は、SiCをターゲットとして用いて成膜されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の透光板。
  5. 前記セラミック層は、Si、O及びCからなる非晶質体である請求項1〜4のいずれかに記載の透光板。
  6. 前記ハードコート層は、酸素(O)を含む請求項1〜5のいずれかに記載の透光板。
  7. 前記プライマー層は、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂及びエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂からなる請求項1〜6のいずれかに記載の透光板。
  8. 前記ハードコート層は、アクリル系樹脂及びシリコーン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂からなる請求項1〜7のいずれかに記載の透光板。
  9. 前記樹脂基体は、ポリカーボネート又はポリメチルメタクリレートからなる請求項1〜8のいずれかに記載の透光板。
  10. 前記セラミック層の厚さが5〜300nmである請求項1〜9のいずれかに記載の透光板。
  11. 樹脂基体上に、プライマー層を形成する工程、
    前記プライマー層の上にハードコート層を形成する工程、及び、
    前記ハードコート層の上にセラミック層を形成する工程を含み、
    前記セラミック層を形成する工程は、スパッタリングによって、450W〜550Wのエネルギー条件下、5%〜20%の酸素雰囲気下で成膜することを含むことを特徴とする透光板の製造方法。
  12. 前記セラミック層を形成する工程においては、SiCをターゲットとして用いる請求項11に記載の透光板の製造方法。
  13. 前記ハードコート層が酸素(O)を含み、前記ハードコート層中の酸素をプラズマによって活性化させて、前記ハードコート層直上に前記セラミック層を形成する請求項11又は12に記載の透光板の製造方法。
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