JP2017143798A - ナスの退色防止組成物及び該組成物を使用したナスの退色防止調理方法 - Google Patents

ナスの退色防止組成物及び該組成物を使用したナスの退色防止調理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、呈味性が比較的小さく、かつ、加熱などの調理時におけるナスの退色を防止することができるナスの退色防止組成物を提供すること、及びナスの退色防止組成物を用いることによって、加熱調理時のナスの退色を低減して優れた外観を備えたナス料理を得るためのナスの退色防止調理方法を提供することにある。【解決手段】上記目的は、構成脂肪酸として飽和脂肪酸及び一価不飽和脂肪酸の含有量が合計で70質量%以上であり、又は多価不飽和脂肪酸の含有量が30質量%未満である油脂を含有するナスの退色防止組成物、及び該組成物を1〜10質量%含む沸騰水溶液にナスを接触させる工程を含む、ナスの退色防止調理方法により解決される。【選択図】図1

Description

本発明は、加熱調理時のナスの退色を防止するためのナスの退色防止組成物及び該組成物を使用したナスの退色防止調理方法に関する。
ナスの果皮には、ナスニンを含むアントシアニン系色素が含まれている、これらによってナスの果皮は濃淡のある紫色を示す。アントシアニン系色素は水に溶けやすく、さらに熱、光、pHなどの影響を受けて変質又は分解しやすい。
ナスの果皮に含まれる色素の性質に起因して、ナスを水の中で沸騰させるなどの加熱調理に供した場合は、ナスの果皮が著しく変色又は色落ち(退色)する。退色した果皮を有するナス加工物は、外観が損なわれ、商品価値が著しく低下し、消費者の購買意欲を減退させる。このような加熱調理時のナスの果皮の退色を防止するものとして、特許文献1にはぶどう濃縮果汁、ブルーベリー濃縮果汁、カシス濃縮果汁などのポリフェノール含有物を含有してなるナスの加熱調理時の退色防止材が記載されている。
一方、ナスを含む野菜を加熱調理する際には、食用油脂がよく用いられる。食用油脂としては、数多くの動物性油脂及び植物性油脂が知られており、これらは、原材料ごとに、脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸(構成脂肪酸)の違いなどによって、融点などの物性が相違する。
近年では、天然物由来の油脂の他に、特定の脂肪酸トリグリセリドの構成となるように加工された加工油脂が食用油脂として用いられている。例えば、特許文献2には中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む油脂含有食品が記載されている。
特許第5088776号公報 特開2015−80459号公報
特許文献1に記載のナスの加熱調理時の退色防止材が含有するポリフェノール含有物は、ぶどう濃縮果汁、ブルーベリー濃縮果汁、カシス濃縮果汁などの呈味成分であることから、完成した料理の風味に悪影響を及ぼすという問題がある。
ナスの色の変化を抑える方法として油調することが知られているが、調理に手間がかかること、ナスの表面に皺が生じること、形が崩れやすいことなどの欠点がある。また、ナスの退色を効果的に防止する油脂はこれまでに特定されていない。特許文献2には、中鎖脂肪酸トリグリセリドが食品の加熱殺菌臭を減じることができるという記載がある。しかし、中鎖脂肪酸トリグリセリドが加熱調理時のナスの果皮の退色を防止することができるという記載は、引用文献2にはない。
そこで、本発明が解決しようとする第1の課題は、呈味性が比較的小さく、かつ、加熱などの調理時におけるナスの退色を防止することができるナスの退色防止組成物を提供することにある。また、本発明が解決しようとする第2の課題は、ナスの退色防止組成物を用いることによって、加熱調理時のナスの退色を低減して優れた外観を備えたナス料理を得るためのナスの退色防止調理方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ねた結果、生ナスを沸騰水に加えて加熱するに際して、沸騰水中に特定の油脂を共存させることにより、ナスの果皮の退色を低減することができることを見出した。本発明者らは、このような知見に基づいて、特定の油脂を含有するナスの退色防止組成物及び該ナスの退色防止組成物を利用したナスの退色防止調理方法を創作することに成功した。本発明はこのような知見や成功例に基づいて完成するに至った発明である。
したがって、本発明によれば、構成脂肪酸として飽和脂肪酸及び一価不飽和脂肪酸の含有量が合計で70質量%以上であり、又は多価不飽和脂肪酸の含有量が30質量%未満である油脂を含有する、ナスの退色防止組成物が提供される。
本発明の別の側面によれば、好ましくは、構成脂肪酸として飽和脂肪酸の含有量が30質量%以上である油脂を含有する、ナスの退色防止組成物が提供される。
本発明の別の側面によれば、本発明のナスの退色防止組成物を1〜10質量%含む沸騰水溶液にナスを接触させる工程を含む、ナスの退色防止調理方法が提供される。
本発明において、好ましくは、前記油脂は、構成脂肪酸が中鎖脂肪酸である。
本発明において、好ましくは、前記飽和脂肪酸は、炭素数が6〜16の飽和脂肪酸、より好ましくは炭素数が6〜10の飽和脂肪酸である。
本発明において、好ましくは、前記油脂は、さらに構成脂肪酸としてステアリン酸の含有量が15質量%以下である。
本発明のナスの退色防止組成物及びナスの退色防止調理方法によれば、加熱などの調理後のナスの退色を防止することができることから、ナスを含む料理について、ナスの外観悪化による商品価値の低下を回避することができ、消費者の購買意欲を維持又は向上することができる。
図1は、実施例の例2における各油脂を用いて加熱処理したナスを撮影した写真図である。使用した油脂は、左から、水のみ、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT) 1g、MCT 2g及びMCT 5gである。 図2は、実施例の例2における各油脂を用いて加熱処理したナスを撮影した写真図である。使用した油脂は、左から、水のみ、MCT 5g及び菜種油 5gである。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のナスの退色防止組成物(以下、本発明の組成物とよぶ。)は、油脂を少なくとも含有する。
本明細書において、ナスは、通常ナス、茄子、ナスビなどとして知られているナス科の植物の果実を意味する。本発明の組成物が対象とするナスは、果皮の色が紫色、赤紫色及び黒紫色のナスの果実であればよく、その形態、品種、産地などは特に限定されない。本発明の組成物が奏する退色防止作用は、ナスの果皮の色が変色又は色落ちするなどの退色を防止する作用である。
一般的に、油脂は、主として脂肪酸トリグリセリドから構成され、種類によっては脂肪酸ジグリセリド及び脂肪酸モノグリセリドを含むものがある。油脂において、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸ジグリセリド及び脂肪酸モノグリセリドを構成する脂肪酸を構成脂肪酸とよぶ。油脂の種類によって構成脂肪酸が相違し、該構成脂肪酸の相違は各油脂の物性に強く影響する。
構成脂肪酸(炭素数:二重結合の数、融点)としては、カプロン酸(6:0、3.2℃)、カプリル酸(8:0、16.5℃)、カプリン酸(10:0、31.6℃)、ラウリン酸(12:0、44.8℃)、ミリスチン酸(14:0、54.4℃)、パルミチン酸(16:0、62.9℃)、ステアリン酸(18:0、70.1℃)、パルミトレイン酸(16:1)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)などがある。
構成脂肪酸は、分子構造の種類などの様々な観点によって分類される。例えば、分子内の二重結合の数によって、分子内二重結合がないカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などは「飽和脂肪酸」とよばれ、分子内二重結合が1個あるパルミトレイン酸、オレイン酸などは「一価不飽和脂肪酸」とよばれ、分子内二重結合が2個以上であるリノール酸、リノレン酸などは「多価不飽和脂肪酸」とよばれる。
他の例では、炭素数の数によって、炭素数が6〜10であるカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸などは「中鎖脂肪酸」とよばれ、炭素数が10よりも多いものは「長鎖脂肪酸」とよばれる。
本発明における油脂は、由来や原材料について特に限定されず、さらに由来や原材料の種類によって単一油脂であっても混合油脂であってもよいが、構成脂肪酸として、構成脂肪酸全体に対して、飽和脂肪酸及び一価不飽和脂肪酸の含有量が合計で70質量%以上である。構成脂肪酸として、飽和脂肪酸及び一価不飽和脂肪酸の含有量が合計で70質量%未満である油脂は、加熱調理時において、ナスの退色防止作用を示さない、又はナスの退色防止作用が非常に小さい傾向にある。
本発明における油脂は、構成脂肪酸全体に対して、多価不飽和脂肪酸の含有量は30質量%未満であってもよい。構成脂肪酸として、多価不飽和脂肪酸の含有量が30質量%以上である油脂は、加熱調理時において、ナスの退色防止作用を示さない、又はナスの退色防止作用が非常に小さい傾向にある。
本発明における油脂は、構成脂肪酸として飽和脂肪酸の含有量が30質量%以上である油脂であってもよい。構成脂肪酸として、飽和脂肪酸の含有量が30質量%未満である油脂は、飽和脂肪酸の含有量が30質量%以上である油脂と比べて、加熱調理時において、ナスの退色防止作用が小さい傾向にある。
本発明における油脂は、上記した態様を取り得るところ、好ましい態様は構成脂肪酸として飽和脂肪酸及び一価不飽和脂肪酸の含有量が合計で70質量%以上であり、かつ、多価不飽和脂肪酸の含有量が30質量%未満である油脂である。本発明における油脂のより好ましい態様は、構成脂肪酸として飽和脂肪酸及び一価不飽和脂肪酸の含有量が合計で70質量%以上であり、及び/又は多価不飽和脂肪酸の含有量が30質量%未満であり、かつ、構成脂肪酸として飽和脂肪酸の含有量が30質量%以上である油脂である。
本発明における油脂は、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸及び/又は多価不飽和脂肪酸の含有量が上記した割合になるものであれば、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸及び多価不飽和脂肪酸に分類される脂肪酸の種類及び割合については特に限定されない。ただし、後述する実施例に記載があるとおり、構成脂肪酸が中鎖脂肪酸である油脂は、良好なナスの退色防止作用を有することから好ましい。同様に、含有する飽和脂肪酸が、炭素数が6〜16の飽和脂肪酸、特に炭素数が6〜10の飽和脂肪酸である油脂やステアリン酸の含有量が15質量%以下である油脂は、良好なナスの退色防止作用を奏する傾向にあることから好ましい。
本発明における油脂の入手方法は特に限定されず、例えば、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸及び/又は多価不飽和脂肪酸を上記した範囲で含有する動物性油脂及び植物性油脂、並びに油脂原料を油脂加工技術に供して得られる飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸及び/又は多価不飽和脂肪酸を上記した範囲で含有する加工油脂が挙げられる。
動物性油脂は特に限定されず、例えば、食用に適した動物性油脂であり、具体的には豚脂、牛脂、羊脂、乳脂、イワシ油やマグロ油などの魚油などが挙げられ、これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用し得る。植物性油脂は特に限定されず、例えば、食用に適した植物性油脂であり、具体的にはパーム油、オリーブ油、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ種子油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、ゴマ油、パーム核油、ヤシ油などが挙げられ、これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用し得る。
加工油脂は、動物性油脂や植物性油脂などの油脂原料を、通常知られているとおりの油脂加工技術に適用して得られる加工油脂であれば特に限定されず、例えば、動植物性油脂を硬化、分別、エステル交換などの油脂加工技術に供して得られる加工油脂であり、これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用し得る。本発明における油脂を構成する脂肪酸トリグリセリドは、例えば、中鎖及び長鎖の飽和脂肪酸並びに一価不飽和脂肪酸とグリセリンとを通常知られる方法により脱水縮合させることにより製造したものであってもよい。加工油脂としては、例えば、後述する実施例に記載がある中鎖脂肪酸トリグリセリドからなるMCTが挙げられるが、これに限定されない。
本発明における油脂に含まれる脂肪酸トリグリセリドや構成脂肪酸の種類及び含有量の確認は、通常知られているとおりの油脂や脂肪酸の分析方法によって実施すればよく、特に限定されないが、例えば、「改訂増補油脂化学の知識第3版」(幸書房、1992年8月20日発行)や特許文献2に記載のR.J.VANDER WALの総説(Jarnal of American Oil Chemists' Society 40, 242−247 (1963))などの記載を参照して実施できる。
本発明の組成物における油脂の含有量は特に限定されないが、例えば、ナスとの接触機会を増やしてナスの退色防止作用を発揮することや調味液中に油脂を含有させることを想定すると、組成物全体に対して、1〜100質量%であり、好ましくは3〜100質量%であり、より好ましくは5〜100質量%である。
本発明の組成物は、油脂に加えて、その他の添加剤を含有することができる。その他の添加剤は特に限定されないが、例えば、調味料成分であり、具体的には水、アルコール、醤油、味噌、甘味成分(砂糖、みりん、液糖、水飴など)、酸味成分(食酢、ゆず、レモンといった香酸柑橘など)、酒類成分、果肉(りんご果肉、もも果肉など)、果汁(りんご果汁など)、香辛料(唐辛子やこしょうなど)、野菜成分(大根、ニンジン、玉ネギなど)、種実類(ごまなど)、増粘剤(澱粉、加工でん粉、増粘多糖類など)、酵母エキス、化学調味料(グルタミン酸ソーダ、イノシン酸ソーダなど)、フレーバーなどが挙げられる。本発明の組成物は、その他の添加剤として、本発明の課題を解決し得る限り、ごま油などの油脂をさらに含有するものであってもよい。本発明の組成物は、その他の添加剤の1種又は2種以上を含有し得る。
本発明の組成物を製造する方法は特に限定されず、通常知られているとおりの油脂含有組成物を製造する方法を適用することができ、例えば、それぞれ加熱殺菌した油脂とその他の添加剤とを混ぜる工程などを含む製造方法が挙げられる。
本発明の組成物は容器詰組成物とすることができる。容器は特に限定されないが、例えば、ビン、缶、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのプラスチック性の容器やラミネートフィルムの袋などを挙げることができる。
本発明の組成物の使用量は特に限定されないが、例えば、使用するナスの果皮の退色を防止するために、ナスの量に対して、1〜50質量%であり、好ましくは3〜30質量%であり、より好ましくは5〜20質量%であり;水の量に対して、0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
本発明の組成物を利用したナスの調理方法は特に限定されないが、例えば、本発明の組成物を水に加えて加熱沸騰させた沸騰水溶液に乱切りナスを加えて調理する方法や乱切りしたナスと本発明の組成物とを接触させた後に、これらを沸騰水に加えてさらに加熱して煮るなどの調理方法などが挙げられる。
本発明の組成物の具体的態様として、例えば、構成脂肪酸として飽和脂肪酸及び一価不飽和脂肪酸の含有量が合計で70質量%以上であり、多価不飽和脂肪酸の含有量が30質量%未満であり、かつ、構成脂肪酸として飽和脂肪酸の含有量が30質量%以上である油脂として、中鎖脂肪酸トリグリセリド、豚脂及びパーム油からなる群から選ばれる油脂を80〜100質量%で含有するナスの退色防止組成物が挙げられるが、これに限定されない。
本発明の別の態様である、本発明のナスの退色防止調理方法(以下、本発明の調理方法とよぶ。)は、本発明の組成物を1〜10質量%含む沸騰水溶液にナスを接触させる工程を少なくとも含む。
本発明の調理方法の具体的一態様としては、例えば、1〜10質量%になるように本発明の組成物を水に加えて沸騰させた沸騰水溶液に、乱切りにした生ナスを投入し、1〜10分程度煮沸して加熱調理する方法が挙げられる。加熱調理後のナスは、速やかに冷却することがナスの果皮の退色を防止する観点から好ましい。
ナスの果皮の退色の程度は、後述する実施例に記載のPCCSトーン別色相環を用いて評価することができる。本発明の組成物が奏する退色防止作用は、加熱調理前後のナスの果皮の色がほとんど変わらない、又はその変化が微小である程度の作用であれば特に限定されず、例えば、加熱調理前の果皮の色がPCCSトーン別色相環によりdk20、dk22又はdp20と評価される乱切りしたナス断片について、加熱調理後の果皮の色をPCCSトーン別色相環により評価することにより、ナス断片全体に対して、dk20、dk22又はdp20と評価されるナス断片の割合が一定の割合、例えば、40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上になる程度の作用である。
本発明の組成物や調理方法を利用することにより、加熱調理加工中又は加熱調理加工後のナスの退色が抑制された、ナスの煮びたし、ナスの天ぷらなどのナス加工食品を得ることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
[例1.油脂の種類によるナスの退色防止評価]
油脂としては、MCT(日清オイリオグループ株式会社;「日清MCTオイル」)、豚脂(ベル食品株式会社;「(純製ラード)」)、牛脂((スターゼンミートプロセッサ株式会社;「(国産牛脂)」)、パーム油(日清オイリオグループ株式会社;「(精製ヤシ油(S))」)、大豆油(日清オイリオグループ株式会社;「(大豆白絞油(S))」)、菜種油(味の素社;「(さらさらキャノーラ油)」)及びオリーブオイル(GABAN社;「(OLIO EXTRA VERGINE DI OLIVA)」)を用いた。
生ナスを乱切りにして20〜24等分し、一片が約3〜4cmのナス断片を得た。ナス断片の果皮の色を、PCCSトーン別色相環によって測定した。ナス断片の果皮の色は、紫色の濃淡の程度によって、dk20、dk22又はdp20であった。
フライパン上で、水 125gに各油脂 5gを加えた油脂含有水を加熱し、沸騰させた。沸騰した油脂含有水に、ナス断片 約20個(100g)を加えた。フライパンを返すことによりナス断片に油脂含有水が満遍なく付着するようにして、4分間煮た。煮た後に水を切ったナス断片の果皮の色をPCCSトーン別色相環にて測定した。
加熱後のナス断片について、果皮の色が、加熱前の果皮の色(dk20、dk22又はdp20)と比べて、下記に記載した割合を基準にしてナスの退色について評価した。結果を表1に示す。なお、表1において、脂肪酸の組成は、「五訂増補日本食品標準成分表(本表)」の「14 油脂類」に記載の値に基づく。
◎:皮の色がdk20、dk22又はdp20であるナス断片の割合が80%以上
○:皮の色がdk20、dk22又はdp20であるナス断片の割合が60%以上80%未満
△:皮の色がdk20、dk22又はdp20であるナス断片の割合が40%以上60%未満
×:皮の色がdk20、dk22又はdp20であるナス断片の割合が40%未満
表1に示すとおり、MCT、豚脂及びパーム油については、ほとんどのナスで色落ちが認められなかった。また、牛脂、菜種油及びオリーブ油についても大半のナスで色落ちが認められなかったが、一部にはくすんだような色になったナスが見られた。また、大豆油については、大半のナスに色落ちが見られた。なお、油脂を用いずに水のみで加熱処理したナスについても、大半のナスに色落ちが見られた(表1に記載なし)。
これらの結果から、MCT、豚脂、パーム油、牛脂、菜種油及びオリーブ油については、ナスの退色防止作用があることが認められた。特に、MCT、豚脂及びパーム油については優れたナスの退色防止作用があることが確認できた。
[例2.油脂の含量によるナスの退色防止評価]
油脂として、1g、2g、3g及び5gのMCT、5gの菜種油並びに3gのMCT及び3gの菜種油からなる混合油を用いた以外は、例1と同様にしてナスの退色防止評価を実施した。結果を表2に示す。また、1g、2g及び5gのMCTを用いて加熱処理したナス、5gの菜種油を用いて加熱処理したナス、並びに油脂を用いずに水のみで加熱処理したナスの外観写真を図1及び図2に示す。油脂含量は、油脂と水との合計量を全体量として求めた。
表2及び図1〜2に示すとおり、0.8質量%以上になるようなMCTを用いた場合、ナスの退色防止作用が認められた。また、このような油脂含量のMCTを用いた場合は、ナスの退色防止作用が小さい油脂と併用した場合でも、ナスの退色防止作用が認められた。なお、油脂を用いずに水のみで加熱処理したナスについては、大半のナスに色落ちが見られた(表2に記載なし)。
これらの結果から、ナスの退色防止作用が認められる油脂は、全体に対して0.8質量%以上である場合に、ナスの退色防止作用を示すことが確認できた。
本発明のナスの退色防止組成物及びナスの退色防止調理方法は、ナス料理の際に、又はナスの前加工において使用することに適しており、結果として外観的に見栄えの良いナス料理を提供することができる。本発明のナスの退色防止組成物及びナスの退色防止調理方法の利用は、栄養価の高いナスの料理を大衆一般に受け入れせしめるものであることから、広く人々の健康と福祉に資することが可能であるものである。


Claims (3)

  1. 構成脂肪酸として飽和脂肪酸及び一価不飽和脂肪酸の含有量が合計で70質量%以上であり、又は多価不飽和脂肪酸の含有量が30質量%未満である油脂を含有する、ナスの退色防止組成物。
  2. 前記油脂は、構成脂肪酸が中鎖脂肪酸である、請求項1に記載のナスの退色防止組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の組成物を1〜10質量%含む沸騰水溶液にナスを接触させる工程を含む、ナスの退色防止調理方法。
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