JP2017141609A - 配筋用スペーサ - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄筋載置時にスペーサ形態を保持した状態で鉄筋を安定して支持するとともに、コンクリート打設時にコンクリートの充分な打ち込み量と所定の均一なかぶり厚さCを確保してコンクリートの優れた施工強度と耐久性を発揮する配筋用スペーサを提供すること。【解決手段】鉄筋を敷設する施工平坦面CSに沿って屈曲形成した鉄筋載置部110とこの鉄筋載置部110から施工平坦面CSに向けて垂設した複数の鉄筋支持脚部120とを備え、鉄筋載置部110が、施工平坦面CSに沿った帯板状に形成され、鉄筋支持脚部120が、施工平坦面CSに向けて先細状に形成され、施工平坦面CS上に粗骨材を含むコンクリートを打設する際に用いる配筋用スペーサ100。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄筋を支持する配筋用スペーサに関するものであって、特に、スラブ施工時に使用される鉄筋格子などの鉄筋を下型枠から離間した高さに支持する配筋用スペーサに関するものである。
従来、スラブ施工時に使用される配筋用スペーサとして、直線状またはV字状の軸部に対して、逆U字状の脚部が複数取り付けられたものが知られている(特許文献1および特許文献2参照)。
また、鉄筋格子の交差部に嵌合させて用いる筒形の配筋用スペーサも知られている(特許文献3参照)。
特開2000−160769号公報(特に、図3を参照) 特許第5756930号公報(特に、請求項1、図1参照) 意匠登録第1260407号
しかしながら、上述したような従来の配筋用スペーサでは、軸部が直線状である場合には、鉄筋載置時に転倒しやすく、軸部をV字状に形成したものであっても、外側に張り出している逆U字状の脚部が鉄筋の荷重で変形し、または、配筋用スペーサによって点接触で支持されている鉄筋の被支持部位に応力集中が生じて鉄筋が変形し、所定のかぶり厚さを確保できない虞れがあるという問題があった。
さらに、このような脚部の形状、配置によっては、コンクリートの特に粗骨材が脚部周辺に充填されず、コンクリートの耐久性が損なわれる虞れがあるという問題があった。
また、筒形の配筋用スペーサは、ベースプレート上に筒形の本体が立ち上がる構成であるため、ベースプレートの設置位置や筒の内部には粗骨材が充填されず、または空洞が生じて、打込み欠陥や強度低下が発生する虞れがあるという問題があった。
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、鉄筋載置時にスペーサ形態を保持した状態で鉄筋を安定して支持するとともに、コンクリート打設時にコンクリートの充分な打ち込み量と所定の均一なかぶり厚さを確保してコンクリートの優れた施工強度と耐久性を発揮する配筋用スペーサを提供することである。
本請求項1に係る発明は、鉄筋を敷設する施工平坦面に沿って屈曲形成した鉄筋載置部と該鉄筋載置部から施工平坦面に向けて垂設した複数の鉄筋支持脚部とを備えて、前記施工平坦面上に粗骨材を含むコンクリートを打設する際に用いる配筋用スペーサであって、前記鉄筋載置部が、前記施工平坦面に沿った帯板状に形成され、前記鉄筋支持脚部が、前記施工平坦面に向けて先細状に形成されていることによって、前述した課題を解決するものである。
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載された配筋用スペーサの構成に加えて、前記鉄筋載置部が、該鉄筋載置部の側縁部位から施工平坦面に向けてそれぞれ垂設した左右一対の側縁リブと該左右一対の側縁リブの相互間に並行して施工平坦面に向けて垂設した中央リブとを備え、前記鉄筋支持脚部が、当該側縁リブから延設した左右で対をなす側縁脚部と前記中央リブから延設した中央脚部とで構成されていることによって、前述した課題を解決するものである。
本請求項3に係る発明は、請求項2に記載された配筋用スペーサの構成に加えて、前記側縁脚部と中央脚部とが、前記粗骨材を包接する仮想球体が前記側縁脚部と中央脚部との間隙を通過するように配置されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載された配筋用スペーサの構成に加えて、前記鉄筋載置部が、該鉄筋載置部の上下に貫通した複数の抜気孔を有していることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
本発明の配筋用スペーサは、鉄筋を敷設する施工平坦面に沿って屈曲形成した鉄筋載置部とこの鉄筋載置部から施工平坦面に向けて垂設した複数の鉄筋支持脚部とを備えていることにより、施工平坦面上に粗骨材を含むコンクリートを打設することができるばかりでなく、以下のような特有の効果を奏することができる。
本請求項1に係る発明の配筋用スペーサによれば、鉄筋載置部が施工平坦面に沿った帯板状に形成されていることにより、帯板状に形成された鉄筋載置部の平坦な板面が、鉄筋を少なくとも線接触状態で支持して鉄筋の被支持部位に発生する応力を分散させ、配筋後の鉄筋に上から力が加わった場合に生じがちな鉄筋の変形を抑制するとともに、スペーサ形態を保持した状態で鉄筋を安定して支持するため、コンクリート打設時にコンクリートの均一なかぶり厚さを確保してコンクリートの優れた施工強度と耐久性を発揮することができる。
また、鉄筋支持脚部が、下型枠などの施工平坦面に向けて先細状に形成されていることにより、粗骨材を含むコンクリートが鉄筋支持脚部の相互間に水平方向から容易に流入し、コンクリートの粗骨材が鉄筋支持脚部の相互間に確実に充填されるため、コンクリート打設時にコンクリートの充分な打ち込み量を確保して空洞による打込み欠陥のないコンクリートの優れた施工強度と耐久性をより一段と発揮することができる。
本請求項2に係る発明の配筋用スペーサによれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、鉄筋載置部が、この鉄筋載置部の側縁部位から施工平坦面に向けてそれぞれ垂設した左右一対の側縁リブとこれら左右一対の側縁リブの相互間に並行して施工平坦面に向けて垂設した中央リブとを備え、鉄筋支持脚部が、側縁リブから延設した左右で対をなす側縁脚部と中央リブから延設した中央脚部とで構成されていることにより、鉄筋載置部で受けた鉄筋の荷重が、施工平坦面に向けて垂設した側縁支持脚部と中央脚部に垂直にかかるため、鉄筋支持脚部が容易に変形せず、所定のかぶり厚さを一層確実に確保することができる。
本請求項3に係る発明の配筋用スペーサによれば、請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、側縁脚部と中央脚部とが、粗骨材を包接する仮想球体が側縁脚部と中央脚部との間隙を通過するように配置されていることにより、コンクリート中の粗骨材がどのような形状であってもスペーサ下の脚部間にまでいっそう確実に充填されるため、コンクリート打設時にコンクリートの充分な打ち込み量を確保して空洞や強度低下の少ないコンクリートの優れた施工強度と耐久性をより一段と発揮することができる。
本請求項4に係る発明の配筋用スペーサによれば、請求項1乃至請求項3に係る発明が奏する効果に加えて、鉄筋載置部が、この鉄筋載置部の上下に貫通した複数の抜気孔を有していることにより、スペーサ下に水平方向からコンクリートが流入した際に帯板状の鉄筋載置部の直下に取り残された空気が抜気孔から上方に脱気して、コンクリートが確実に実密に充填されるため、空洞による打込み欠陥や強度低下がいっそう少ない、所要の耐久性を有するスラブを施工することができる。
本発明の一実施例である配筋用スペーサを示す斜め上方から視た斜視図。 本発明の実施例である配筋用スペーサを示す斜め下方から視た斜視図。 本発明の配筋用スペーサにおける鉄筋載置部の屈曲状態を示す平面図。 粗骨材を包接する仮想球体と鉄筋支持脚部との相互関係を示す説明図。 本発明の実施例である配筋用スペーサの使用態様図。
本発明は、鉄筋を敷設する施工平坦面に沿って屈曲形成した鉄筋載置部とこの鉄筋載置部から施工平坦面に向けて垂設した複数の鉄筋支持脚部とを備えて、施工平坦面上に粗骨材を含むコンクリートを打設する際に用いる配筋用スペーサであって、鉄筋載置部が、施工平坦面に沿った帯板状に形成され、鉄筋支持脚部が、施工平坦面に向けて先細状に形成され、スペーサ形態を保持した状態で鉄筋を安定して支持するとともに、コンクリート打設時にコンクリートの充分な打ち込み量と所定の均一なかぶり厚さを確保してコンクリートの優れた施工強度と耐久性を発揮するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
すなわち、本発明の配筋用スペーサで採用する鉄筋載置部の具体的な形状については、下型枠の施工平坦面に沿った帯板状に形成されていれば、平面視でV字状、U字状、S字状、N字状、コの字状などを含む任意の形状に屈曲形成されていて良い。
特に、鉄筋載置部が平面視でV字状に屈曲形成されている場合は、鉄筋支持脚部をV字状の鉄筋載置部の両端とこれらの中間の3ヶ所に、所謂、3点支持状態で立設することができるため、配筋用スペーサの安定性が高く転倒しにくくなり、好適である。
また、V字状に屈曲している鉄筋載置部の屈曲角αは、20度以上90度以下であることが好ましい。
屈曲角αが20度未満の場合には、転倒を防止する効果が発揮しにくくなり、90度より大きい場合には、載置部の最大長さLが十分に確保しにくくなるためである。
屈曲角αは、30度以上75度以下であればより望ましく、55度以上65度以下であることが最も好ましい。
鉄筋載置部の最大長さLは、使用する鉄筋格子の網目寸法Sよりも大きく設定すれば、縦横に配筋用スペーサを複数配置する通常の使用方法において、一つの配筋用スペーサが複数の鉄筋を支持し脱落が起きないため所要のかぶり厚さを確保することができ、好ましい。
鉄筋載置部の最大長さLを使用する鉄筋格子の対角線に対応する長さ、すなわち、網目寸法Sの約1.41倍の長さよりも大きくすれば、配筋用スペーサを配列したときの向きが通常から水平面内で45度程度回転しても、一つの配筋用スペーサが必ず複数の鉄筋を支持し脱落が起きないため所要のかぶり厚さを確保することができ、より好ましい。
鉄筋載置部の最大長さLを、使用する鉄筋格子の網目寸法Sの2倍の長さよりも大きく設定すれば、配筋用スペーサの配置パターンに自由度が生まれ、配筋用スペーサの使用個数が減るため、より一層好ましい。
また、鉄筋載置部の側縁部位から施工平坦面に向けてそれぞれ垂設した左右一対の側縁リブとこれらの左右一対の側縁リブの相互間に並行して施工平坦面に向けて垂設した中央リブとを備えていれば、これ以外に、鉄筋載置部を補強するための任意のリブを備えていても構わない。
特に、鉄筋載置部を樹脂により形成する場合には、リブにより鉄筋載置部の強度が増すので、より好ましい。
さらに、鉄筋載置部が、鉄筋載置部の上下に貫通した複数の抜気孔を有していれば、スペーサ下に水平方向からコンクリートが流入した際に帯板状の鉄筋載置部の直下に取り残された空気が抜気孔から上方に抜けて、コンクリートが確実に実密に充填されるため、空洞による打込み欠陥や強度低下がいっそう少なくなり、所要の耐久性を有するスラブを施工することができるので、好ましい。
抜気孔の形状は、円、正方形、長方形、スリット型、六角形など任意であるが、抜気孔が鉄筋載置部の全面にわたって分布していれば、鉄筋載置部の直下に取り残された空気がどの部位にあっても抜気孔から上方に抜け、コンクリートがより確実に実密に充填されるため、空洞による打込み欠陥や強度低下がよりいっそう少なくなり、所要の耐久性を有するスラブを施工することができるので、より好ましい。
一方、本発明で採用する鉄筋支持脚部の具体的な構造については、施工平坦面に向けて先細状に形成されていれば、如何なるものであっても構わない。
例えば、鉄筋支持脚部は、逆三角形板状、逆円錐状、逆三角錐状、逆四角錐状のいずれに形成されていても構わないが、特に、鉄筋載置部の屈曲部位に垂設する側縁脚部を、他の部位に垂設する側縁脚部よりも細く形成すれば、コンクリート中の粗骨材が屈曲部位に垂設する脚部間にまで確実に充填されるため、空洞による打込み欠陥や強度低下を防止して、所要の耐久性を有するスラブ施工を達成することができるので、より好ましい。
鉄筋支持脚部を逆三角形板状に形成した場合には、さらに補強リブを備えていても良く、例えば、対向する側縁脚部同士が補強リブで連結されていても良い。
この場合、補強リブの下部にU字状等の切り欠き部が設けられていれば、コンクリートがその切り欠き部を通過して補強リブの反対側に流入し、コンクリートが、スペーサ下の脚部間にいっそう確実に充填されるため、より好ましい。
また、中央脚部が、逆三角形状の補強リブを備え、底面視で十字の断面を有していても良い。
さらに、鉄筋支持脚部を樹脂により形成する場合には、補強リブにより、鉄筋支持脚部の強度が増すので、特に好ましい。
鉄筋支持脚部が、側縁リブから延設した左右で対をなす側縁脚部と中央リブから延設した中央脚部とで構成されていれば、載置部で受けた鉄筋の荷重が施工平坦面に向けて垂設した側縁支持脚部と中央脚部に垂直にかかるため、鉄筋支持脚部が容易に変形せず所定のかぶり厚さを一層確実に確保することができ、より好ましい。
また、側縁脚部と中央脚部とが、粗骨材を包接する仮想球体が側縁脚部と中央脚部との間隙を通過するように配置されていれば、コンクリート中の粗骨材がどのような形状であってもスペーサ下の脚部間に確実に充填されるため、空洞による打込み欠陥や強度低下が少ない、所要の耐久性を有するスラブを施工することができ、好ましい。
さらに、隣接する側縁脚部相互の間隙を、粗骨材を包接する仮想球体が横に2つ並んで通過できるように側縁脚部が配置されていれば、粗骨材がスペーサ下の脚部間にまでいっそう効率的に充填されるため、より好ましく、さらに、側縁脚部と中央脚部とが鉄筋載置部の長手方向に沿って交互に配置されていれば、側縁脚部間を通って鉄筋載置部の下に流入した粗骨材が中央脚部にぶつかってその流入方向を変え、スペーサ下の脚部間にまでいっそう効率的かつ確実に充填されるため、いっそう好ましい。
本発明の配筋用スペーサは、コンクリート製、鋼性または樹脂製の何れとしても良い。
特に樹脂製とする場合には、製造コストが低廉となり、軽量になるので運搬やスペーサの配設作業が容易になり、錆が発生しないので保管の手間が低減するため好ましい。
本発明の配筋用スペーサによるかぶり厚さは、30mm、50mm、70mm、100mmに設定することができるが、これに限らない。
本発明の配筋用スペーサが支持する鉄筋としては、溶接金網または鉄筋格子、すなわち、予め複数の鉄筋または鉄線を縦横に格子状に配置してスポット溶接またはワイヤによる締結等により一体としたいわゆるユニット鉄筋やワイヤーメッシュが好ましいが、施工現場で複数の鉄筋を格子状等に直組みしたものであっても構わない。
溶接金網または鉄筋格子を支持する場合には、その網目寸法Sが50mm、75mm、100mm、150mm、200mm、250mmまたは300mmであるものを用いることができるが、これに限らない。
本発明の配筋用スペーサを使用してスラブまたは基礎の施工をする際には、配筋用スペーサを概ね一定スパンで複数配置する。
このスパンは、上記網目寸法Sの整数倍とすることが望ましく、通常は、3倍乃至5倍程度であるが、このスパンの間で鉄筋が下向きに撓むことにより最小かぶり厚さが設計かぶり厚さよりも小さくならない限り、任意の間隔で配設することができる。
本発明の配筋用スペーサを使用してスラブまたは基礎の施工をする際には、粗骨材を含むコンクリートとしてレディミクストコンクリートを用いることが好ましいが、工事現場練りコンクリートであっても構わない。
コンクリートに含まれる粗骨材の最大寸法は、20mm、25mmまたは40mmとすることができるが、これに限らない。
なお、粗骨材を包接する仮想球体FQとは、粗骨材を内部に包含できる仮想的な球体であり、ここでは、粗骨材の最大寸法を直径とする仮想的な球体を指す。例えば、用いる粗骨材の最大寸法が20mmの場合には、粗骨材を包接する仮想球体FQの直径も20mmである。
本発明における施工平坦面は、主としてスラブ施工用の下型枠の上面であるが、基礎施工のために平坦に調整された防水シートの上面であっても構わない。
以下に、本発明の一実施例である配筋用スペーサについて、図1乃至図5に基づいて説明する。
ここで、図1は、本実施例の配筋用スペーサを示す斜め上方から視た斜視図であり、図2は、本実施例の配筋用スペーサを示す斜め下方から視た斜視図であり、図3は、本実施例の配筋用スペーサにおける鉄筋載置部の屈曲の状態を示す平面図であり、図4は、粗骨材を包接する仮想球体と鉄筋支持脚部との相互関係を示す説明図であり、図5は、本実施例である配筋用スペーサの使用態様図である。
本発明の一実施例である配筋用スペーサ100は、図5に示すように、施工平坦面CSとしての下型枠UFの上面に複数の配筋用スペーサ100をほぼ等間隔に配置し、さらに鉄筋載置部110上に多数の鉄筋からなる鉄筋格子を載置することにより、スラブ施工するために粗骨材CAを含むコンクリートを打設する際に、かぶり厚さCを確保して鉄筋としての鉄筋格子BMを敷設することに用いるものである。
具体的に、本実施例の配筋用スペーサ100は、樹脂製であって、図1乃至図3に示すように、V字状に屈曲形成された鉄筋載置部110と鉄筋載置部110から図4に示すような下型枠UFに向けて垂設した複数の鉄筋支持脚部120とを備えている。
鉄筋載置部110は、下型枠UFの上面に沿った帯板状であって、屈曲角αが約60度に形成されて鉄筋格子BMの載置による転倒を防止するようになっており、鉄筋載置部110の最大長さLが約330mmに形成され鉄筋格子BMの網目寸法Sの2倍より大きくなっているので、必ず、複数の鉄筋を直接支持し脱落が発生しない。
また、図1乃至図2に示すように、鉄筋載置部110の側縁部位から下型枠UFに向けてそれぞれ垂設した左右一対の側縁リブ111と左右一対の側縁リブ111の相互間に並行して下型枠UFに向けて垂設した中央リブ112とを備えている。
これにより、鉄筋載置部110への曲げ力に対する強度を増している。
さらに、鉄筋載置部110は、ほぼ全面にわたって、鉄筋載置部110の上下に貫通した複数の長方形状の抜気孔113を有し、配筋用スペーサ100の下に水平方向からコンクリートが流入した際に帯板状の鉄筋載置部110の直下に取り残された空気が、抜気孔113から上方に抜ける。
なお、抜気孔113の形状は、鉄筋載置部110の屈曲部位では屈曲角αに対応した台形状となっている。
一方、鉄筋支持脚部120は、側縁リブ111から延設した左右一対となる側縁脚部121と中央リブ112から延設した中央脚部122とで構成されている。
これにより、図4に示すように、鉄筋載置部110で受けた鉄筋格子BMの荷重を、下型枠UFに向けて垂設した側縁脚部121と中央脚部122で垂直に支持している。
なお、図中には、符号120を示していない。
本実施例では、図2に明示したように、鉄筋載置部110の両端部位および屈曲部位を含む部位に合計5対の側縁脚部121を設けるとともに4本の中央脚部122を設けている。
また、鉄筋支持脚部120を構成する側縁脚部121および中央脚部122は、それぞれ下型枠UFに向けて先細状に形成されて逆三角形板状となっており、特に、鉄筋載置部110の屈曲部位に垂設する側縁脚部121が、他の部位に垂設する側縁脚部121よりも細く形成されている。
これにより、コンクリート中の粗骨材CAが屈曲部位に垂設する脚部間にまでいっそう確実に充填される。
さらに、側縁脚部121は、側縁脚部補強リブ121aを備えており、対向する側縁脚部121同士が側縁脚部補強リブ121aで連結されている。
そして、側縁脚部補強リブ121aの下部にU字状等の切り欠き部が設けられている。
これにより、コンクリートが、この切り欠き部を通過して側縁脚部補強リブ121aの反対側に流入し、コンクリートが配筋用スペーサ100下の鉄筋支持脚部120の相互間に確実に充填される。
鉄筋載置部110は、側縁脚部補強リブ121aと並行で側縁リブ111および中央リブ112に直交する複数のリブをさらに下型枠UFに向けて垂設しており、鉄筋載置部110の短手方向の曲げに対する強度を増している。
また、中央脚部122が、その両側に逆三角形板状の中央脚部補強リブ122aを備え、底面視で十字の断面を有しており、鉄筋支持脚部120の強度を増している。
さらに、側縁脚部121と中央脚部122とが、粗骨材を包接する仮想球体FQが側縁脚部121と中央脚部122との間隙を通過するように配置されている。
これにより、コンクリート中の粗骨材CAがどのような形状であっても、鉄筋支持脚部120の相互間に確実に充填される。
さらに、隣接する側縁脚部121の間隙を、粗骨材を包接する仮想球体FQが横に2つ並んで通過できるように、側縁脚部121が配置されている。
そして、粗骨材CAが、鉄筋支持脚部120の相互間に効率的に充填され、さらに、側縁脚部121と中央脚部122とが、鉄筋載置部110の長手方向に沿って交互に配置されている。
その結果、側縁脚部121間を通って鉄筋載置部110の下に流入した粗骨材CAが中央脚部122にぶつかってその流入方向を変え、鉄筋支持脚部120の相互間に効率的かつ確実に充填される。
以下、さらに図5を参照して、本実施例の配筋用スペーサ100を使用して、スラブ施工する際の手順を説明する。
本実施例の配筋用スペーサ100を使用してスラブ施工するには、まず、施工範囲の施工平坦面CSとしての下型枠UFの上面に、本実施例の配筋用スペーサ100を概ね一定スパンで複数配置する。
スパンは、縦方向および横方向のいずれも鉄筋格子BMの網目寸法Sの約3倍としている。
ここで、縦方向とは、鉄筋格子BMを構成する鉄筋のうち、下側にあって、本実施例の配筋用スペーサ100に直接触れる鉄筋の長手方向を指し、横方向とは、鉄筋格子BMを構成する多数の鉄筋のうち、上側にある鉄筋の長手方向を指す。
本実施例の配筋用スペーサ100が鉄筋を支持する位置で確保するかぶり厚さCは、約30mmである。
次に、網目寸法Sが150mmの鉄筋格子BMを配筋用スペーサ100の鉄筋載置部110上に載置し、下型枠UFの上面と鉄筋格子BMとが水平になるよう配設する。
帯板状に形成された鉄筋載置部110が、鉄筋を面で支えて鉄筋の被支持部位に発生する応力を分散させるので、棒状の載置部で鉄筋格子BMを支持する場合に比べて鉄筋格子BMの変形が小さい。
また、鉄筋載置部110が、側縁リブ111と中央リブ112とを備えている。
これにより、鉄筋載置部110の曲げに対する強度が大きく、鉄筋格子BMの荷重による鉄筋載置部110の変形量が小さくなっている。
さらに、鉄筋支持脚部120が、側縁リブ111から延設した左右で対をなす側縁脚部121と中央リブ112から延設した中央脚部122とで構成されている。
これにより、鉄筋載置部110で受けた鉄筋の荷重が施工平坦面CSに向けて垂設した側縁脚部121と中央脚部122に垂直にかかるため、鉄筋支持脚部120が変形せず所定のかぶり厚さCを確実に確保している。
次に、下型枠UFの上にレディミクストコンクリートを打設する。
コンクリートに含まれる粗骨材CAの最大寸法は、20mmである。
鉄筋支持脚部120は、下型枠UFに向けて先細状に形成されて逆三角形板状となっており、特に、鉄筋載置部110の屈曲部位に垂設する側縁脚部121が、他の部位に垂設する側縁脚部121よりも細く形成されている。
これにより、屈曲部位を含む鉄筋支持脚部120の相互間に粗骨材CAを含むコンクリートが確実に充填され、また、側縁脚部補強リブ121aの下部には,U字状等の切り欠き部が設けられ、コンクリートが、この切り欠き部を通過して流入するので、側縁脚部121と側縁脚部121との間隙、側縁脚部121と中央脚部122との間隙などの鉄筋支持脚部120の相互間にコンクリートが確実に充填される。
また、側縁脚部121と中央脚部122とが、粗骨材を包接する仮想球体FQが側縁脚部121と中央脚部122との間隙を通過するように配置されている。
その結果、コンクリート中の粗骨材CAが、どのような形状であっても、鉄筋支持脚部120の相互間に確実に充填され、さらに、隣接する側縁脚部121の間隙を、粗骨材を包接する仮想球体FQが2つ並んで通過できるように、側縁脚部121が配置されている。
したがって、粗骨材CAが鉄筋支持脚部120の相互間に効率的に充填される。
さらにまた、側縁脚部121と中央脚部122とが鉄筋載置部110の長手方向に沿って交互に配置されている。
これにより、側縁脚部121間を通って鉄筋載置部110の下に流入した粗骨材CAが中央脚部122にぶつかってその流入方向を変え、側縁脚部121と側縁脚部121との間隙、側縁脚部121と中央脚部122との間隙などの鉄筋支持脚部120の相互間に効率的かつ確実に充填される。
なお、本実施例における、粗骨材を包接する仮想球体FQの直径は、20mmである。
以上に説明したように、本実施例の配筋用スペーサ100によれば、鉄筋載置部110が、施工平坦面CSに沿った帯板状に形成されていることにより、配筋後の鉄筋格子BMに上から力が加わった場合に生じがちな鉄筋格子BMの変形を抑制するとともに、スペーサ形態を保持した状態で鉄筋格子BMを安定して支持して、コンクリート打設時にコンクリートの均一なかぶり厚さCを確保するともに、鉄筋支持脚部120が、施工平坦面CSに向けて先細状に形成されていることにより、粗骨材CAを含むコンクリートが鉄筋支持脚部120の相互間に水平方向から容易に流入し、コンクリートの粗骨材CAが鉄筋支持脚部120の相互間に確実に充填されるため、コンクリート打設時にコンクリートの充分な打ち込み量を確保して空洞による打込み欠陥のないコンクリートの優れた施工強度と耐久性を発揮することができる。
しかも、側縁脚部121と中央脚部122とが、粗骨材CAを包接する仮想球体FQが側縁脚部121と中央脚部122との間隙を通過するように配置されていることにより、コンクリート中の粗骨材CAがどのような形状であっても、側縁脚部121と側縁脚部121との間隙、側縁脚部121と中央脚部122との間隙などの鉄筋支持脚部120の相互間に確実に充填されるため、コンクリート打設時にコンクリートの充分な打ち込み量を確保して空洞や強度低下の少ないコンクリートの優れた施工強度と耐久性をより一段と発揮することができるなど、その効果は甚大である。
100 ・・・配筋用スペーサ
110 ・・・鉄筋載置部
111 ・・・側縁リブ
112 ・・・中央リブ
113 ・・・抜気孔
120 ・・・鉄筋支持脚部
121 ・・・側縁脚部
121a・・・側縁脚部補強リブ
122 ・・・中央脚部
122a・・・中央脚部補強リブ
BM ・・・鉄筋格子
CA ・・・粗骨材
UF ・・・下型枠
FQ ・・・粗骨材を包接する仮想球体
CS ・・・施工平坦面
C ・・・かぶり厚さ
L ・・・鉄筋載置部110の最大長さ
S ・・・網目寸法
α ・・・鉄筋載置部110の屈曲角

Claims (4)

  1. 鉄筋を敷設する施工平坦面に沿って屈曲形成した鉄筋載置部と該鉄筋載置部から施工平坦面に向けて垂設した複数の鉄筋支持脚部とを備えて、前記施工平坦面上に粗骨材を含むコンクリートを打設する際に用いる配筋用スペーサであって、
    前記鉄筋載置部が、前記施工平坦面に沿った帯板状に形成され、
    前記鉄筋支持脚部が、前記施工平坦面に向けて先細状に形成されていることを特徴とする配筋用スペーサ。
  2. 前記鉄筋載置部が、該鉄筋載置部の側縁部位から施工平坦面に向けてそれぞれ垂設した左右一対の側縁リブと該左右一対の側縁リブの相互間に並行して施工平坦面に向けて垂設した中央リブとを備え、
    前記鉄筋支持脚部が、当該側縁リブから延設した左右で対をなす側縁脚部と前記中央リブから延設した中央脚部とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の配筋用スペーサ。
  3. 前記側縁脚部と中央脚部とが、前記粗骨材を包接する仮想球体が前記側縁脚部と中央脚部との間隙を通過するように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の配筋用スペーサ。
  4. 前記鉄筋載置部が、該鉄筋載置部の上下に貫通した複数の抜気孔を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の配筋用スペーサ。
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