JP2017140758A - フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スジ状の欠陥、および異物の発生を軽減することができるフィルムの製造方法の提供。
【解決手段】二軸押出機によって熱可塑性樹脂組成物を押し出す工程(押出工程)を有するフィルムの製造方法であって、前記押出工程において、スクリュー4の最外径6をD(mm)、原料供給量をQ(kg/h)、スクリュー4の基準回転数をNs(rpm)としたときに、Q/Nsが0.0057×Q−1.08×10−2×D〜0.0057×Q−5.33×10−3×Dであり、かつ、スクリュー4の回転数をNs±3%以内の範囲で変動させる、フィルムの製造方法。前記熱可塑性樹脂組成物の固有粘度が0.55〜0.70(dl/g)であり、前記熱可塑性樹脂組成物全体を100質量として、50〜100質量%のポリエステル樹脂を含むことが好ましい、フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、スジ状の欠陥、および異物の発生を軽減することができるフィルムの製造方法に関するものである。
フィルムの製造方法としては、熱可塑性樹脂組成物である原料を押出機によって溶融し、口金からその溶融された熱可塑性樹脂組成物(溶融ポリマともいう)をシート状に吐出し、回転冷却体によりキャストおよび冷却固化させてシート化し、所望の厚さと幅に延伸してフィルムを得る方法が一般的である。このような方法でフィルムを製造する際には、溶融ポリマが流動する口金壁面の傷、溶融ポリマが吐出される口金のリップ部分の付着物等に起因して、フィルムの流れ方向と平行なスジ状の欠陥が生じることがある。
その対策として、口金壁面の傷については、製膜の準備段階で口金のメンテナンスを行うことや、傷の少ない口金を用いることが挙げられるが、口金のメンテナンスや取替えを頻繁に行うのは生産効率やコスト面で好ましくない。口金のリップ部分の付着物については、熱可塑性樹脂組成物を高温で溶融し、溶融ポリマの粘度を低下させて流動性を向上させることで、リップ部分への付着防止させることが挙げられる。しかしながら、熱可塑性樹脂組成物を高温で溶融するとポリマ劣化による異物が発生することが問題となる。そのため、押出条件等を調節することで、スジ状の欠陥、および異物の発生を軽減することが試みられている。
例えば、特許文献1には、ポリエステル原料樹脂を押出す際の吐出量を調節する方法が、特許文献2、3には、二軸押出機を用いてフィルムを製造する際の押出量とスクリュー回転数を調節する方法が記載されている。
特開2012−56090号公報 特開2012−166547号公報 特開2014−151510号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、スクリュー1回転に対する吐出量の適正範囲が実際の吐出量に依存しておらず、剪断不足による溶融ポリマの粘度が低下し、スジ状の欠陥を発生させる可能性や剪断過多による溶融ポリマの劣化による異物発生を招く可能性がある。特許文献2に記載の方法は、適正な押出量とスクリュー回転数の範囲が、押出量によって変化することが考慮されておらず、さらにスクリュー径が同じであれば適正範囲が全ての吐出量で同じとなるため、同じスクリュー径の押出機で吐出量を下げた際に剪断不足により溶融ポリマの粘度が低下し、スジ状の欠陥を発生させる可能性がある。特許文献3に記載の方法は、スクリュー回転数による剪断作用が考慮されておらず、供給量が一定の場合にスクリュー回転数の範囲が広いため剪断不足により溶融ポリマの粘度が低下し、スジ状の欠陥を発生させる可能性や、剪断過多による溶融ポリマの劣化による異物発生を招く可能性がある。
そこで本発明は、係る従来技術の欠点を解消し、スジ状の欠陥、および異物の発生を軽減することができるフィルムの製造方法を提供することをその課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、以下である。
(1)二軸押出機によって熱可塑性樹脂組成物を押し出す工程(押出工程)を有するフィルムの製造方法であって、前記押出工程において、スクリューの最外径をD(mm)、原料供給量をQ(kg/h)、スクリューの基準回転数をNs(rpm)としたときに、Q/Nsが0.0057×Q−1.08×10−2×D以上0.0057×Q−5.33×10−3×D以下であり、かつ、スクリューの回転数をNs±3%以内の範囲で変動させることを特徴とする、フィルムの製造方法。
(2)前記熱可塑性樹脂組成物の固有粘度が、0.55〜0.70(dl/g)であることを特徴とする、(1)に記載のフィルムの製造方法。
(3)前記熱可塑性樹脂組成物が、前記熱可塑性樹脂組成物全体を100質量%としたときに、ポリエステル樹脂を50質量%より多く100質量%以下含むことを特徴とする、(1)又は(2)に記載のフィルムの製造方法。
(4)前記ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする、(3)に記載のフィルムの製造方法。
本発明の製造方法によれば、スジ状の欠陥、および異物の発生を軽減することができるフィルムの製造方法を提供することができる。
本発明のフィルムの製造方法において用いることができる二軸押出機の一例を表す模式図である。 図1の二軸押出機の吐出部を、スクリューの回転軸の延長線上から観察したときの模式図である。
本発明のフィルムの製造方法は、二軸押出機によって熱可塑性樹脂組成物を押し出す工程(押出工程)を有するフィルムの製造方法であって、前記押出工程において、スクリューの最外径をD(mm)、原料供給量をQ(kg/h)、スクリューの基準回転数をNs(rpm)としたときに、Q/Nsが0.0057×Q−1.08×10−2×D以上0.0057×Q−5.33×10−3×D以下であり、かつ、スクリューの回転数をNs±3%以内の範囲で変動させることを特徴とする。
本発明のフィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂組成物の脱気性能と分散性の観点から、二軸押出機によって熱可塑性樹脂組成物を押し出す工程(押出工程)を有することが重要である。ここで、二軸押出機とは、シリンダー内で2本のスクリューが回転することにより熱可塑性樹脂を押し出す押出機をいう。また、熱可塑性樹脂とは、加熱により軟化して可塑性を持ち、冷却すると固化する特徴を有する樹脂をいい、熱可塑性樹脂組成物とは、組成物の全成分を100質量%としたときに、熱可塑性樹脂の含有量が50%質量以上である組成物をいう。なお、本発明の効果を損なわない限り、熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂は一種類であっても複数種類であってもよく、複数種類である場合は全ての熱可塑性樹脂を合計して含有量を算出するものとする。
本発明のフィルムの製造方法は、スジ状の欠陥、および異物の発生を軽減する観点から、押出工程において、スクリューの最外径をD(mm)、原料供給量をQ(kg/h)、スクリューの基準回転数をNs(rpm)としたときに、Q/Nsが0.0057×Q−1.08×10−2×D以上0.0057×Q−5.33×10−3×D以下であることが重要である。
図1は、本発明のフィルムの製造方法において用いることができる二軸押出機の一例を表す模式図である。原料供給フィーダ1に供給された原料は、原料供給口2よりシリンダー3に送られる。シリンダー3に送られた原料は、シリンダー3とその内部で回転するスクリュー4により溶融混練されて、吐出部5より押し出される。
本発明のフィルムの製造方法において、スクリューの最外径D(mm)とは、回転軸の延長線上から回転しているスクリューを観察したときに得られる円の直径をいう(図1の6に相当)。原料供給量Q(kg/h)とは、二軸押出機を1時間運転する間に原料供給フィーダからシリンダーに送られる原料の量をいう。スクリューの基準回転数Ns(rpm)とは、二軸押出機の運転を開始してから、最初にスクリューの回転数が定常状態に達したときの、1分間当たりのスクリューの回転数をいい、具体的には以下の手順によって決定することができる。
最初にスクリューの回転数が定常状態に達するとは、二軸押出機の運転を開始してから、1分間当たりのスクリューの回転数の変動が、最初に15分間連続して0.5%未満となることをいう。ここで、スクリューの最外径D(mm)とスクリューの基準回転数Ns(rpm)は、2本のスクリューで互いに等しい。なお、以下、スクリューの最外径Dを最外径D、スクリューの基準回転数Nsを基準回転数Ns又はNsということがある。
以下、スクリューの基準回転数Ns(rpm)を定める手順を説明する。
二軸押出機の運転を開始し、1分間当たりのスクリューの回転数(以下、1分回転数ということがある。)を1分間隔で測定する。二軸押出機の運転開始から15分経過した後、直近の15分間(運転開始後1分の時点から15分の時点まで)における1分回転数の平均値を算出する。続いて、直近の15分間の各時点における1分回転数のうち、最大値と最小値を抽出し、平均値に対する比率を算出する。以後、最大値の平均値に対する割合が100.5%未満、かつ最小値の平均値に対する割合が99.5%より大きくなるまで、1分毎に同様の手順を繰り返す。最大値の平均値に対する割合が100.5%未満、かつ最小値の平均値に対する割合が99.5%より大きくなったときの平均値を基準回転数Nsとして定める。
通常、原料供給量Qが増加すると、溶融ポリマの温度が低下して粘度が上昇する。溶融ポリマの粘度が過度に上昇すると、口金のリップ部に溶融ポリマが付着することによりスジ状の欠陥が生じやすくなる。一方、最外径Dや基準回転数Nsの値が大きくなると、溶融ポリマの温度が上昇して粘度が低下する。そのため、スジ状の欠陥の発生は軽減されるが、過度な温度上昇があると溶融ポリマの劣化による異物が発生しやすくなる。
そのため、スジ状の欠陥と異物の発生をともに軽減するためには、溶融ポリマの温度や粘度を過度に上昇させないように、原料供給量Q、最外径D、及び基準回転数Nsを制御することが要求される。そして、Q/Nsの値が0.0057×Q−1.08×10−2×D以上0.0057×Q−5.33×10−3×D以下となるように原料供給量Q、最外径D、及び基準回転数Nsを制御することにより、スジ状の欠陥と異物の発生をともに軽減することができる。
Q/Nsが式0.0057×Q−5.33×10−3×Dで計算される値を超えると、剪断不足で溶融ポリマの温度が低下するため、溶融ポリマの粘度が上昇して口金リップ部へ付着しやすくなる。その後、付着した溶融ポリマは口金のリップ部で固まり、これが吐出される溶融ポリマと接触し続けることとなるため、フィルムとしたときに長手方向にスジ状の欠陥が発生することがある。一方、Q/Nsが0.0057×Q−1.08×10−2×Dで計算される値を下回ると、剪断過多で溶融ポリマの温度が過度に上昇し、ポリマが劣化してフィルムに異物が発生することがある。ここで、長手方向とは、フィルムの搬送面に平行であり、フィルム製造時にフィルムが進行する方向をいう。
なお、本発明のフィルムの製造方法において、最外径Dは、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、吐出量のばらつき度合いの観点から、20mm以上450mm以下であることが好ましく、40mm以上130mm以下であることがより好ましい。
本発明のフィルムの製造方法は、溶融ポリマ押出量の変動やベントアップの発生を軽減する観点から、スクリューの回転数をNs±3%以内の範囲で変動させることが重要である。スクリューの回転数をNs±3%以内の範囲で変動させるとは、フィルム製造工程中に、スクリューの回転数を常にNs±3%以内の範囲に保つことをいう。なお、ここでいうスクリューの回転数は、1分間隔で測定して得られる、1分間当たりのスクリューの回転数とする。
通常、原料供給フィーダから送られる原料の量は、一分単位等の短い時間単位で、常に一定に制御することが好ましい。しかしながら、原料の粒が大きい場合や原料の粒の大きさが不均一である場合等においては、原料供給フィーダから送られる原料の量を一時間単位で一定に制御することはできても、一分単位等の短い時間単位で一定に制御することは困難である。また、原料の粒が細かい場合、原料の粒の大きさが均一な場合、及び原料が溶融物である場合等においても、原料供給フィーダを長時間継続して運転すれば内部に原料が詰まることもあるため、原料供給フィーダから送られる原料の量を、一分単位等の短い時間単位で一定に制御することは困難である。すなわち、一時間単位で原料供給量を一定に制御していても、一分単位等の短い時間単位では原料の供給量にばらつきが生じている。
原料供給フィーダから送られる原料の量にばらつきのある状況下では、原料の供給量が多いタイミングでは吐出部より押し出される溶融ポリマにかかる圧力(以下、単に圧力ということがある。)が上昇し、反対に原料の供給量が少ないタイミングでは圧力が低下する。そして、圧力が上昇すれば溶融ポリマ押出量が増加し、反対に圧力が低下すれば溶融ポリマ押出量が減少する。さらに、圧力が上昇した状態が長時間持続すると、吐出部付近に溶融ポリマが滞留してベントアップが生じる危険性がある。すなわち、圧力の変動を軽減することにより、前述のメカニズムによる溶融ポリマ押出量の変動やベントアップの発生を軽減することができる。
そして、圧力の変動を軽減する手段の一つとしてスクリューの回転数を調節する方法がある。具体的には、スクリューの回転数を増加させることにより圧力を上昇させることができ、スクリューの回転数を減少させることにより圧力を低下させることができる。
溶融ポリマ押出量の変動やベントアップの発生を抑えつつスジ状の欠陥や異物を減らす観点から、フィルム製造工程中に、スクリューの回転数を、常にNs±3%以内の範囲としつつ、少なくとも1回以上Nsの0.5%以上3%以下及び/又は−3%以上−0.5%以下に変動させることが好ましい。このような態様とすることにより、原料の粒が大きい場合や原料の粒の大きさが不均一である場合等、原料供給フィーダから送られる原料の量のばらつきが大きくなりやすい条件下においても圧力の変動を軽減することができ、溶融ポリマ押出量の変動やベントアップの発生を抑えることができる。また、口金に溶融ポリマが付着することによるスジ状の欠陥や、温度上昇による溶融ポリマの劣化に起因した異物の発生を軽減することもできる。
一方、スクリューの回転数の変動がNs±3%以内の範囲でない場合、すなわち、スクリューの回転数が、Nsの−3%未満となる及び/又はNsの3%を超えるような変動をする場合は、剪断不足又は過多により溶融ポリマの温度が急変することや、吐出変動によるフィルムの厚み不良が問題となる。
圧力変動が大きな場合は、スクリューの回転数をNsの−3%未満及び/又はNsの3%を超えて変動させれば圧力自体はすぐに所望の程度に制御することができる。しかしながら、スクリューの回転数をスクリューの回転数をNsの−3%未満に変動させると、溶融ポリマの温度低下に伴いその粘度が上昇するため、口金に溶融ポリマが付着しやすくなり、スジ状の欠陥が増加することがある。逆に、スクリューの回転数をNsの3%を超えて変動させると、溶融ポリマの温度上昇に伴いその粘度が低下し、製膜安定性が損なわれることがあるだけでなく、温度上昇による溶融ポリマの劣化に起因した異物が増加することもある。そのため、圧力変動が大きな場合であっても、スクリューの回転数をNs±3%以内の範囲に保って、徐々に圧力を制御することが重要である。
このように、スクリューの回転数をNs±3%以内の範囲で変動させることにより、溶融ポリマ押出量の変動、ベントアップの発生、溶融ポリマ温度変化によるスジ状の欠陥や異物の発生等を軽減しつつ安定に製膜することができる。
本発明のフィルムの製造方法は、製膜安定性を維持しつつ、スジ状の欠陥の発生を軽減する観点から、熱可塑性樹脂組成物の固有粘度が、0.55〜0.70(dl/g)であることが好ましく、0.60〜0.65であることがより好ましい。熱可塑性樹脂組成物の固有粘度を0.55以上とすることにより、フィルムの機械特性を損なうことなく製膜ができる。また、熱可塑性樹脂組成物の固有粘度を0.70以下とすることにより、口金への溶融ポリマの付着が軽減され、スジ状の欠陥の発生を抑えることができる。
本発明のフィルムの製造方法における熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り熱可塑性樹脂の種類や配合比については特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6やナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチルサクシネート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、及びポリ乳酸樹脂などを任意の配合比で含むことができる。
本発明のフィルムの製造方法においては、得られるフィルムの強度、耐熱性、及び透明性の観点から、熱可塑性樹脂組成物が、熱可塑性樹脂組成物全体を100質量%としたときに、ポリエステル樹脂を50%より多く100質量%以下含むことが好ましい。このような熱可塑性樹脂組成物から得られるフィルムには、強度、耐熱性、及び透明性に優れ、光学用途のようなスジ状の欠陥や異物の発生に対する要求水準の高い用途にも使用できるものがある。そのため、このような熱可塑性樹脂組成物から得られるフィルムの製造において本発明のフィルムの製造方法を用いることにより、スジ状の欠陥や異物の発生を軽減するという効果を、最大限に得ることができる。
ポリエステル樹脂とは、主鎖の繰り返し単位中にエステル結合を有する高分子化合物の総称である。そして、ポリエステル樹脂は、通常ジカルボン酸あるいはそのエステル誘導体(以下、総称してジカルボン酸成分ということがある。)とグリコールあるいはその誘導体(以下、総称してジオール成分ということがある。)を重縮合反応させることで得ることができる。
本発明のフィルムの製造方法におけるポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない限り、共重合成分であるジカルボン酸成分とジオール成分が共に一種類であるもの(ホモポリエステル樹脂)であっても、共重合成分であるジカルボン酸成分とジオール成分の少なくとも一方が複数種類であるもの(共重合ポリエステル樹脂)であってもよい。
ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及びこれらのエステル誘導体などが挙げられる。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
本発明のフィルムの製造方法におけるポリエステル樹脂は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、先に列記したポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチルサクシネート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどを好適に用いることができる。中でも、安価であり、かつ多岐にわたる用途に用いることができる観点から、ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレートであることがより好ましい。
ここで、ポリエチレンテレフタレートとは、ポリエステル樹脂であって、ジオール成分の合計100モル%においてエチレングリコール成分を70モル%以上100モル%以下含み、ジカルボン酸成分の合計100モル%においてテレフタル酸成分を70モル%以上100モル%以下含むものをいう。
また、本発明のフィルムの製造方法における熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤などを含むこともできる。
次に、本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を、例を挙げて以下に説明する。
まず、熱可塑性樹脂を含むペレットを二軸押出機の原料投入部に供給し、熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱して溶融ポリマを得る。次いで、ギヤポンプ等で押出量を調節して溶融ポリマを押出し、フィルター等を介して異物やゲル化物などを取り除き、ダイにて目的の形状に成形して吐出させる。なお、二軸押出機は、1台であっても複数台であってもよく、複数台の二軸押出機を用いる場合は、フィルターを通過した溶融ポリマをダイではなく積層装置に送り込む。積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができ、また、これらを任意に組み合わせることもできる。
ダイや積層装置から吐出された溶融ポリマのシートを、キャスティングドラム等の冷却体上で冷却固化し、キャスティングフィルムを得る。この際、溶融ポリマのシートを急冷固化させるため、溶融ポリマを冷却体に密着させることが好ましい。溶融ポリマを冷却体に密着させる方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて静電気力により溶融ポリマを冷却体に密着させる方法、スリット状、スポット状、又は面状のノズルでエアーを吹き付けて溶融ポリマを冷却体に密着させる方法、及びニップロールにて溶融ポリマを冷却体に密着させる方法等を好ましく用いることができる。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、延伸方向に分子配向を持たせるため、必要に応じて一軸又は二軸延伸することが好ましい。一軸延伸とは、一方向(例えば、長手方向)にのみ延伸することをいい、二軸延伸とは、直交する二方向(例えば、長手方向および幅方向)に延伸することをいう。ここで、幅方向とはフィルムの搬送面に平行であり、長手方向と直交する方向をいう。
また、二軸延伸を行う場合は、逐次に二方向に延伸(逐次二軸延伸)しても良いし、同時に二方向に延伸(同時二軸延伸)してもよい。また、長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。
一軸延伸又は逐次二軸延伸においては、通常、ロールの周速差により長手方向の延伸を行う。長手方向の延伸は1段階で行っても、複数本のロール対を使用して多段階に行ってもよい。長手方向の延伸の倍率は、本発明の効果を損なわない限り、熱可塑性樹脂の種類やフィルムの用途に応じて任意に選択することができるが、2〜15倍が好ましい。例えば、熱可塑性樹脂組成物全体を100質量%としたときに、ポリエチレンテレフタレートを50%より多く100質量%以下含む場合には、2〜7倍が特に好ましい。
また、延伸時のフィルム温度は、本発明の効果を損なわない限り、熱可塑性樹脂の種類やフィルムの用途に応じて任意に選択することができるが、フィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上ガラス転移温度+100℃以下であることが好ましい。延伸時のフィルム温度は、放射温度計にて測定することができ、放射温度計としては、例えば、キーエンス社製放射温度計(IT2−80)を用いることができる。
なお、フィルムを構成する熱可塑性樹脂が、ガラス転移温度の異なる複数の熱可塑性樹脂である場合、ガラス転移温度の最も高い熱可塑性樹脂のガラス転移温度を、フィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度とする。後述の幅方向の延伸においても同様である。
このようにして得られた一軸配向フィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
逐次二軸延伸においては、一軸配向フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに搬送して、幅方向に延伸する。幅方向の延伸の倍率は、本発明の効果を損なわない限り、熱可塑性樹脂の種類やフィルムの用途に応じて任意に選択することができるが、2〜15倍が好ましい。例えば、熱可塑性樹脂組成物全体を100質量%としたときに、ポリエチレンテレフタレートを50%より多く100質量%以下含む場合には、2〜7倍が特に好ましい。
また、延伸温度は、本発明の効果を損なわない限り、熱可塑性樹脂の種類やフィルムの用途に応じて任意に選択することができるが、フィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上ガラス転移温度+120℃以下であることが好ましい。ここで延伸温度とは、テンター中の延伸を行うゾーンにおける空気の温度をいう。
こうして得られた二軸配向フィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上、フィルムを構成する熱可塑性樹脂の融点以下の温度で熱処理を行うのが好ましい。その後、フィルムを均一に徐冷し、室温まで冷やして巻き取る。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。なお、フィルムを構成する熱可塑性樹脂が、融点の異なる複数の熱可塑性樹脂である場合、融点の最も高い熱可塑性樹脂の融点を、フィルムを構成する熱可塑性樹脂の融点とする。
本発明のフィルムの製造方法で得られる熱可塑性樹脂フィルムは、スジ状の欠陥や異物が少ないフィルムであり、加工用途や光学用途に好適に用いることができる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定および評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示す方法及び条件で行った。
(スジ状の欠陥個数)
先ず、任意に選択したフィルムの幅方向1mの範囲に透過光を当てて目視観察し、選択範囲内において長手方向と平行に形成された全てのスジ状の欠陥を特定した。特定したスジ状の欠陥が含まれるように、50mm(長手方向)×300mm(幅方向)のフィルムサンプルを採取した。採取したフィルムサンプルのスジ状の欠陥の幅、及び高さ又は深さをマイクロ厚さ計(アンリツ社製、FILM THICKNESS TESTER KG601A)を用いて測定し、測定した結果をチャートで描かせた。チャートより、スジ状の欠陥部の高さまたは深さが0.2μm以上1.5μm以下であり、かつ幅が0.1mm以上20.0mm以下であるものをカウントした。同様の測定を、一つのサンプルに対し測定箇所を変えて2回行い、値が大きい方をスジ状の欠陥個数とした。
(異物個数)
製膜速度60m/分のフィルム製造ライン中に設置した欠点検出器により、フィルム製造中に、フィルムの幅方向2m当たりに存在する異物の個数を3日間測定し、1日分に換算してフィルムの異物個数とした。なお、ここで異物とは、フィルム製造工程で発生する異物であって、最大長径(外周上の任意の2点を、その間の長さが最大になるように選んだ時の長さ)が5mm以上となるものをいう。
(実施例1)
ガラス転移温度(Tg)が78℃、融点(Tm)が255℃、固有粘度が0.65dl/gであるポリエチレンテレフタレート(PET)のペレットを、最外径Dが105mmの二軸押出機に供給した。原料供給量Qを800kg/h、基準回転数Nsを210rpm、スクリューの回転数の変動をNs±3%以内として、二軸押出機で樹脂ペレットを溶融混練し、得られた溶融物を、短管を通して口金からシート状に吐出させた。吐出させた溶融物を、表面温度25℃のキャスティングドラムに静電印加にて密着させて急冷固化し、キャスティングフィルムとした。その後、キャスティングフィルムを85〜98℃に加熱したロール群に導き長手方向に3.3倍に延伸し、一軸配向フィルムを得た。続いて一軸配向フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内に導き、130℃に加熱された雰囲気中で幅方向に3.5倍に延伸した。さらに、テンター内で230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取り、厚み75μmの二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムのスジ状の欠陥個数ならびに異物個数の測定結果を表1に示す。
(実施例2、3、比較例1〜8)
原料供給量Q、スクリューの最外径D、基準回転数Nsを表1に記載のとおりとした以外は実施例1と同様に製膜して、フィルムを得た。得られたフィルムのスジ状の欠陥個数ならびに異物個数の測定結果を表1に示す。但し、比較例3については製膜不可のため、スジ状の欠陥個数及び異物個数の測定は行わなかった。
回転数の変動(%)は、基準回転数からの変化率を示す。また、回転数の変動(%)が「±3%以内」とは、製造工程中に少なくとも1回、0.5%以上3%以下又は−3%以上−0.5%以下の変動をさせたことを意味し、「±10%以内」とは、製造工程中に少なくとも1回、3%を超え10%以下又は−10%以上−3%未満の変動をさせたことを意味する。
本発明により、スジ状の欠陥、および異物の発生を軽減することができるフィルムの製造方法を提供することができる。
1 原料供給フィーダ
2 原料供給口
3 シリンダー
4 スクリュー
5 吐出部
6 スクリューの最外径(D)

Claims (4)

  1. 二軸押出機によって熱可塑性樹脂組成物を押し出す工程(押出工程)を有するフィルムの製造方法であって、
    前記押出工程において、
    スクリューの最外径をD(mm)、原料供給量をQ(kg/h)、スクリューの基準回転数をNs(rpm)としたときに、Q/Nsが0.0057×Q−1.08×10−2×D以上0.0057×Q−5.33×10−3×D以下であり、
    かつ、スクリューの回転数をNs±3%以内の範囲で変動させることを特徴とする、フィルムの製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂組成物の固有粘度が、0.55〜0.70(dl/g)であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルムの製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂組成物が、前記熱可塑性樹脂組成物全体を100質量%としたときに、ポリエステル樹脂を50質量%より多く100質量%以下含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルムの製造方法。
  4. 前記ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする、請求項3に記載のフィルムの製造方法。
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