JP2017137772A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】リッチ寄せ制御が実行されたにも拘わらず酸素センサの出力値がリーンになる場合に、酸素センサの出力値を速やかに目標値に近づけてエミッション性能を向上させる。【解決手段】エンジンECUは、複数の燃焼室間における空燃比のインバランス率IRを取得すると共に、インバランス率IRに応じて目標空燃比をリッチ側に補正するリッチ寄せ制御を実行し、リッチ寄せ制御が実行され、かつ酸素センサの出力値がリーンである場合、サブフィードバック補正量ΔAFを設定すると共に、インバランス率IRに応じてサブフィードバック補正量ΔAFを変化させる(ステップS100〜S160)。【選択図】図2

Description

本開示は、排ガス浄化装置の上流側で複数の燃焼室からの排ガスの酸素濃度を検出する空燃比センサと、排ガス浄化装置の下流側で当該排ガス浄化装置からの排ガス中の酸素濃度に応じた信号を出力する酸素センサとを有する内燃機関の制御装置に関する。
従来、フロント空燃比センサおよびリヤO2センサを含む多気筒内燃機関の制御装置として、フロント空燃比センサにより検出される空燃比の単位時間当たりの変化量に基づいて気筒間空燃比の推定インバランス率を算出すると共に、推定インバランス率に基づいて空燃比のリッチ寄せ量を求め、目標空燃比を理論空燃比に対してリッチ寄せ量だけリッチ側に補正するリッチ寄せ制御を実行するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この制御装置は、空燃比リッチ寄せ制御により目標空燃比をリッチ側に補正しているにも拘わらず、リッチ寄せ制御前の触媒雰囲気や空燃比フィードバック制御による制御量(補正量)に起因してリヤO2センサの出力値がリーンになる場合、NOxの排出を抑制すべく、当該リヤO2センサの出力値が理論空燃比に対応した目標値になるようにするサブフィードバック制御や、サブフィードバック学習(サブフィードバック学習値の算出)を実行する。この際、この制御装置は、サブフィードバック制御におけるゲインや、サブフィードバック学習における補正量の取込速度をリヤO2センサの出力値に応じて増減させる。
特開2013−160060号公報
しかしながら、リヤO2センサの出力値は、内燃機関の運転状態(車両の加減速や燃料カット等)の影響を受けやすい。このため、上述のようにリッチ寄せ制御が実行されたにも拘わらずリヤO2センサの出力値がリーンになる場合に、サブフィードバック制御におけるゲインや、サブフィードバック学習における補正量の取込速度をリヤO2センサの出力値に応じて増減させても、リヤO2センサの出力値を速やかに目標値に近づけると共にサブフィードバック学習を速やかに収束させることが困難であった。
そこで、本開示の発明は、リッチ寄せ制御が実行されたにも拘わらず酸素センサの出力値がリーンになる場合に、酸素センサの出力値を速やかに目標値に近づけてエミッション性能を向上させることを主目的とする。
本開示の内燃機関の制御装置は、複数の燃焼室から排出される排ガスを浄化するための触媒を含む排ガス浄化装置と、前記排ガス浄化装置の上流側で前記複数の燃焼室からの排ガスの空燃比を検出する空燃比センサと、前記排ガス浄化装置の下流側で該排ガス浄化装置からの排ガス中の酸素濃度に応じた信号を出力する酸素センサとを有する内燃機関の制御装置において、前記空燃比センサの検出値に基づいて、前記複数の燃焼室からの排ガスの空燃比が目標空燃比になるようにする主フィードバック制御を実行する主フィードバック制御手段と、前記酸素センサの出力値が目標値になるように、前記主フィードバック制御にて補正量として用いられるサブフィードバック補正量を設定するサブフィードバック制御手段と、前記複数の燃焼室間における空燃比のインバランス率を取得するインバランス率取得手段とを備え、前記主フィードバック制御手段は、前記インバランス率に応じて前記目標空燃比をリッチ側に補正するリッチ寄せ制御を実行し、前記サブフィードバック制御手段は、前記リッチ寄せ制御が実行されており、かつ前記酸素センサの出力値がリーンである場合、前記サブフィードバック補正量を設定すると共に、前記インバランス率に応じて前記サブフィードバック補正量を変化させることを特徴とする。
この制御装置により制御される内燃機関では、インバランス率に応じて目標空燃比をリッチ側に補正するリッチ寄せ制御が主フィードバック制御手段により実行されており、かつ酸素センサの出力値がリーンである場合、サブフィードバック補正手段によりサブフィードバック補正量が設定される。そして、サブフィードバック補正手段は、インバランス率に応じてサブフィードバック補正量を変化させる。これにより、サブフィードバック補正量のゲインを酸素センサの出力値に応じて増減させるような場合に比べて、サブフィードバック補正量をより適正に設定することができる。この結果、リッチ寄せ制御が実行されたにも拘わらず酸素センサの出力値がリーンになる場合に、酸素センサの出力値を速やかに目標値に近づけ、エミッション性能を向上させることが可能となる。
また、サブフィードバック制御手段は、リッチ寄せ制御が実行されており、かつ酸素センサの出力値がリーンである場合、インバランス率が大きいほどサブフィードバック補正量を大きくするものであってもよい。更に、上記制御装置は、サブフィードバック補正量の少なくとも一部を取り込んで主フィードバック制御にて補正量として用いられるサブフィードバック学習値を算出するサブフィードバック学習手段を更に備えてもよく、当該サブフィードバック学習手段は、インバランス率に応じてサブフィードバック補正量の少なくとも一部を取り込む際の取込速度を変化させるものであってもよい。
本開示の制御装置により制御される内燃機関を例示する概略構成図である。 本開示の制御装置により実行されるサブフィードバック補正量設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 ゲイン設定マップの一例を示す説明図である。
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示の制御装置により制御される内燃機関としてのエンジン1を例示する概略構成図である。同図に示すエンジン1は、エンジン電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)10により制御され、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料と空気との混合気を複数(本実施形態では、例えば4つ)の燃焼室2内で爆発燃焼させ、混合気の爆発燃焼に伴う図示しないピストンの往復運動をクランクシャフト(図示省略)の回転運動へと変換することにより動力を出力するものである。本実施形態のエンジン1は、当該エンジン1に加えて、2つのモータジェネレータ(同期発電電動機)MG1,MG2を走行用動力の発生源として含むハイブリッド車両に搭載される。
エンジン1が搭載されるハイブリッド車両は、図示しないシングルピニオン式の遊星歯車を有する。当該遊星歯車のサンギヤには、モータジェネレータMG1の回転軸が連結され、リングギヤには、ドライブシャフトおよびモータジェネレータMG2の回転軸が連結され、プラネタリキャリヤには、エンジン1のクランクシャフトが連結される。また、当該ハイブリッド車両は、図1に示すように、車両全体を統括的に制御するハイブリッド電子制御装置(以下、「HVECU」という)20や、モータジェネレータMG1またはMG2を駆動するインバータ31,32、当該インバータ31,32を介してモータジェネレータMG1,MG2と電力をやり取り可能なバッテリ40、HVECU20と各種信号をやり取りしてインバータ31,32を制御するモータ電子制御装置(以下、「MGECU」という)50を含む。かかるハイブリッド車両は、運転者の出力要求やバッテリ40の状態に基づいてエンジン1を間欠的に停止または始動(再始動)させることができるように構成されている。
HVECU20は、図示しないCPU等を含むマイクロコンピュータであり、ハイブリッド車両の走行に際して、アクセル開度と車速とに基づいて走行に要求される要求トルクTr*を設定する。更に、HVECU20は、当該要求トルクTr*等に基づいて、エンジン1に対する要求パワーPe*、モータジェネレータMG1,MG2へのトルク指令Tm1*,Tm2*を設定し、要求パワーPe*をエンジンECU10に送信すると共に、トルク指令Tm1*,Tm2*をMGECU50に送信する。また、HVECU20は、運転者の出力要求を示す要求トルクTr*や要求パワーPe*、バッテリ40の状態等に基づいてエンジンECU10に対するエンジン停止指令やエンジン始動指令を設定する。MGECU50は、図示しないCPU等を含むマイクロコンピュータであり、HVECU20からのトルク指令に基づいてインバータ31,32をスイッチング制御する。
図1に示すように、エンジン1は、各燃焼室2の吸入ポートに接続された吸気管(吸気マニホールド)3や、吸入空気を清浄するエアクリーナ4、電子制御式のスロットルバルブ5、各燃焼室2に燃料を供給するための複数の燃料噴射弁6、燃焼室2ごとに設置された複数の点火プラグ7、各燃焼室2の排気ポートに接続された排気管(排気マニホールド)8、排気管8に接続された上流側排ガス浄化装置9a、上流側排ガス浄化装置9aに接続された下流側排ガス浄化装置9b等を含む。燃料噴射弁6は、図示するように、対応する燃焼室2内(筒内)に燃料を直接噴射するものであるが、対応する燃焼室2の吸気ポートに燃焼を噴射するものであってもよい。上流側および下流側排ガス浄化装置9a,9bは、図示しない排気バルブや排気管8を介して各燃焼室2側から流入する排ガス、あるいは上流側排ガス浄化装置9aから流入する排ガス中のCO(一酸化炭素)やHC、NOxといった有害成分を浄化するNOx吸蔵型の三元触媒90をそれぞれ有している。
かかるエンジン1では、エアクリーナ4にて清浄された空気がスロットルバルブ5や吸気管3、図示しない吸気バルブを介して各燃焼室2内に吸入され、吸入空気に対しては、各燃焼室2内で燃料噴射弁6から燃料が噴射される。空気と燃料との混合気は、各燃焼室2で点火プラグ7からの電気火花によって爆発燃焼させられる。エンジン1からの排ガスは、図示しない排気バルブや排気管8を介して上流側排ガス浄化装置9aへと送出され、当該上流側排ガス浄化装置9a、更には下流側排ガス浄化装置9bにて浄化された後、外部へと排出される。
エンジンECU10は、図示しないCPUや、各種制御プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポート、通信ポート(何れも図示省略)等を含むマイクロコンピュータである。エンジンECU10は、図示しない入力ポートを介して、エンジン1の状態等を検出する各種センサからの信号を入力する。例えば、エンジンECU10は、図示しないクランクポジションセンサにより検出されるクランクシャフトの回転位置(クランクポジション)や、図示しないスロットルバルブポジションセンサにより検出されるスロットルバルブ5の弁体位置(スロットルポジション)、エアフローメータ11により検出されるエンジン1の吸入空気量Ga、吸気圧センサ12により検出される吸気管3内の圧力(吸気管圧)、空燃比センサ15により検出される空燃比AF、酸素センサ16からの電圧信号、水温センサ19により検出されるエンジン1の冷却水温度Tw等を入力する。
空燃比センサ15は、例えば固体電解質層と一対の電極とを有する限界電流式の空燃比センサであり、上流側排ガス浄化装置9aの上流側すなわち各燃焼室2と上流側排ガス浄化装置9aとの間で、各燃焼室2から排出される排ガスの空燃比AFを検出する。酸素センサ16は、上流側排ガス浄化装置9aの下流側すなわち上流側排ガス浄化装置9aと下流側排ガス浄化装置9bとの間に配置され、上流側排ガス浄化装置9aから流出した排ガス中の酸素濃度に応じた電圧信号を出力する。
また、エンジンECU10は、HVECU20に接続されており、当該HVECU20と各種信号をやり取りする。更に、エンジンECU10は、クランクポジションセンサからのクランクポジションに基づいてエンジン1(クランクシャフト)の回転数Neを算出すると共に、エアフローメータ11からの吸入空気量Gaに基づいて、エンジン1が始動されてからの積算吸入空気量Qiや、最大吸入空気量に対する吸入空気量GAの割合である負荷率KLを算出する。また、エンジンECU10は、空燃比センサ15の検出信号に基づいて、当該空燃比センサ15の出力波形をモニタすると共に当該出力波形の傾きαを取得し、予め定められた図示しないインバランス率設定マップから傾きαに対応したインバランス率IRを所定時間おきに取得(推定)する。こうして取得されるインバランス率IRは、複数の燃焼室2間における空燃比のばらつきの度合いを示すもの(正の値)である。かかるインバランス率IRが大きいほど、何れか1つの燃焼室2における空燃比のリッチ側へのずれ量が大きくなっており、H2の発生に起因して空燃比センサ15により検出される空燃比AFがリッチ側にずれていくことになる。
ハイブリッド車両の走行に際して、エンジンECU10は、HVECU20からの要求パワーPe*に基づいてエンジン1の目標トルクTe*を設定すると共に当該目標トルクTe*に基づいて目標吸入吸気量Ga*を設定し、当該目標吸入吸気量Ga*に基づいてスロットルバルブ5を制御する。また、エンジンECU10は、ベース値としての理論空燃比(ストイキオメトリ=14.6)と各種補正量との和を目標空燃比AFtagに設定し、当該目標空燃比AFtagと、空燃比センサ15により検出された空燃比AFと、目標吸入空気量Ga*とに基づいて、当該空燃比AFが目標空燃比AFtagになるように目標燃料噴射量を設定する主フィードバック制御を実行する。そして、エンジンECU10は、目標燃料噴射量に基づいて燃料噴射弁6を制御すると共に点火プラグ7を制御する。すなわち、エンジンECU10は、目標空燃比AFtagと空燃比センサ15により検出される空燃比AFとの偏差に基づいて各燃料噴射弁6をフィードバック制御する。
主フィードバック制御にて用いられる補正量には、酸素センサ16の出力値が理論空燃比に対応した目標値(目標電圧)になるように設定されるサブフィードバック補正量ΔAFや、サブフィードバック補正量ΔAFに基づいて算出されるサブフィードバック学習値が含まれる。主フィードバック制御において、サブフィードバック補正量ΔAFは、実際の空燃比が空燃比センサ15により検出された空燃比AFよりも当該サブフィードバック補正量ΔAF分だけリッチであるとして、空燃比センサ15の検出値のずれを補正するのに用いられる。同様に、サブフィードバック学習値も空燃比センサ15の検出値を補正するのに用いられる。
また、本実施形態において、エンジンECU10は、インバランス率IRに応じて目標空燃比AFtagをリッチ側に補正するリッチ寄せ制御を実行する。すなわち、エンジンECU10は、図示しないリッチ寄せ量設定マップからインバランス率IRに対応したリッチ寄せ量(正の値)を取得し、取得したリッチ寄せ量を目標空燃比AFtagから減算することにより当該目標空燃比AFtagを補正する。リッチ寄せ量設定マップは、インバランス率IRが比較的小さい場合にリッチ寄せ量を値0とすると共に、インバランス率IRが大きくなるにつれてリッチ寄せ量を大きくし、リッチ寄せ量が所定値に達すると、インバランス率IRの増加に拘わらず、リッチ寄せ量を当該所定値にするように定められる。
次に、上述のサブフィードバック補正量のΔAFの設定手順について説明する。図2は、エンジン1が運転される際にエンジンECU10により所定時間(例えば、数mSec)おきに実行されるサブフィードバック補正量設定ルーチンの一例を示すフローチャートである(以下「サブフィードバック」を「サブFB」と示す)。
図2のサブFB補正量設定ルーチンの開始に際して、エンジンECU10の図示しないCPUは、上記インバランス率IR、リッチ寄せ制御におけるリッチ寄せ量、冷却水温度Tw、酸素センサ16からの電圧値、各種フラグの値といったサブFB補正量ΔAFの設定に必要な各種データを入力する(ステップS100)。次いで、エンジンECU10は、ステップS100にて入力したリッチ寄せ量が予め定められた閾値THb(例えば値0に近い正の値)以上であるか否かを判定する(ステップS110)。リッチ寄せ量が閾値THb以上であると判定した場合(ステップS110:YES)、エンジンECU10は、リッチ寄せ制御が実行されているとみなし、更にステップS100にて入力したフラグの値や冷却水温度Tw等に基づいて、サブFB補正量ΔAFの設定が許容されているか否かを判定する(ステップS120)。本実施形態では、例えば、上流側および下流側排ガス浄化装置9a,9b(三元触媒90)の暖機が完了しており、かつ冷却水温度Twが所定温度以上である場合、ステップS120において肯定判断がなされる。
サブFB補正量ΔAFの設定が許容されていると判定した場合(ステップS120:YES)、エンジンECU10は、酸素センサ16の出力値がリーンであるか否かを判定する(ステップS130)。更に、酸素センサ16の出力値がリーンであると判定した場合(ステップS130:YES)、ECU10は、エンジン1の間欠停止等に伴う前回の燃料カットの実行から所定時間が経過しているか否かを判定する(ステップS140)。前回の燃料カットの実行から所定時間が経過していると判定した場合(ステップS140:YES)、エンジンECU10は、ステップS100にて入力したインバランス率IRに基づいてサブFB補正量ΔAFを設定するための比例項ゲインKpを設定する(ステップS150)。本実施形態では、インバランス率IRと比例項ゲインKpとの関係を規定する図3に示すようなゲイン設定マップが予め用意されてエンジンECU10のROMに格納されている。ゲイン設定マップは、インバランス率IRが大きくなるにつれて比例項ゲインKpを大きくするように作成される。そして、ステップS150において、エンジンECU10は、ゲイン設定マップからインバランス率IRに対応した値を導出して比例項ゲインKpに設定する。
続いて、エンジンECU10は、次式(1)に示すフィードバック制御(PID制御)の関係式に従い、酸素センサ16の出力値を理論空燃比に対応した目標値にするためのサブFB補正量ΔAFを設定する(ステップS160)。ただし、式(1)において、“Voxs”は、酸素センサ16の出力値であり、“Voxsref”は、理論空燃比に対応した目標値であり、“Kp”は、上述の比例項ゲインであり、“Ki”は、積分項ゲインであり、“Kd”は、微分項ゲインである。こうして設定されるサブFB補正量は、主フィードバック制御の実行に際して、空燃比センサ15の検出値を補正するのに用いられる。
ΔAF = Kp・(Voxs-Voxsref) + Ki・∫(Voxs-Voxsref)dt + Kd・d/dt(Voxs-Voxsref)]…(1)
サブFB補正量ΔAFを設定した後、エンジンECU10は、ステップS100にて入力したフラグの値や冷却水温度Tw等に基づいて、サブFB学習の実行、すなわちサブフィードバック学習値の算出が許容されているか否かを判定する(ステップS170)。本実施形態では、例えば、上流側および下流側排ガス浄化装置9a,9b(三元触媒90)の暖機が完了しており、冷却水温度Twが所定温度以上であり、かつ前回の学習完了から予め定められている学習間隔時間が経過している場合、ステップS170において肯定判断がなされる。
サブFB学習の実行が許容されていると判定した場合(ステップS170:YES)、エンジンECU10は、ステップS100にて入力したインバランス率IRに基づいてサブFB補正量ΔAFにおける積分項(定常成分)の取込速度Vf(取込割合および取込間隔)を設定する(ステップS180)。本実施形態では、インバランス率IRと取込速度Vf(取込割合および取込間隔)との関係を規定する図示しない取込速度設定マップが予め用意されてエンジンECU10のROMに格納されている。取込速度設定マップは、インバランス率IRが大きくなるにつれて取込速度Vfを速くするように作成される。そして、ステップS180において、エンジンECU10は、ゲイン設定マップからインバランス率IRに対応した値を導出して取込速度Vfに設定する。次いで、ECU10は、サブFB補正量ΔAFにおける積分項とステップS180にて設定した取込速度Vfとに基づいてサブフィードバック学習値を算出して図示しないRAMに格納し(ステップS190)、本ルーチンを一旦終了させる。なお、ステップS110,S120,S130およびS140にて否定判断がなされた場合には、インバランス率IRに応じたゲイン(比例項ゲインKp)の設定を伴わない通常のサブフィードバック処理(ステップS200)が実行される。
上述のようなサブFB補正量設定ルーチンが実行される結果、エンジンECU10により制御されるエンジン1では、インバランス率IRに応じて目標空燃比AFtagをリッチ側に補正するリッチ寄せ制御が実行されており、かつ酸素センサ16の出力値がリーンである場合、サブフィードバック補正量ΔAFが設定される(ステップS100〜S160)。そして、サブフィードバック補正量ΔAFの設定に際しては、インバランス率に応じて比例項ゲインKpが変化させられる(ステップS150)。すなわち、ステップS150では、インバランス率IRが大きいほど比例項ゲインKpが大きく定められる。これにより、サブフィードバック補正量ΔAFは、インバランス率IRに応じて変化すると共に、インバランス率IRが大きいほど大きくなり、インバランス率IRが所定値以上である場合には、当該インバランス率IRが所定値未満である場合よりも大きくなる。従って、サブフィードバック補正量のゲインを酸素センサの出力値に応じて増減させる場合に比べて、サブフィードバック補正量ΔAFをより適正に設定することができる。この結果、リッチ寄せ制御が実行されたにも拘わらず酸素センサ16の出力値がリーンになる場合に、酸素センサ16の出力値を速やかに目標値に近づけてNOxの排出を抑制し、エミッション性能を向上させることが可能となる。
また、上記実施形態では、サブフィードバック補正量ΔAFの少なくとも一部(積分項)を取り込んで、主フィードバック制御にて補正量として用いられるサブフィードバック学習値が算出される。更に、かかるサブフィードバック学習に際しては、インバランス率IRに応じてサブフィードバック補正量ΔAFの少なくとも一部を取り込む際の取込速度Vfが変化させられ、インバランス率IRが大きいほど取込速度Vfが高く定められる。これにより、取込速度Vfを酸素センサの出力値に応じて増減させる場合に比べて、サブフィードバック学習値の収束を早めることが可能となる。
以上説明したように、エンジンECU10により制御されるエンジン1は、複数の燃焼室2から排出される排ガスを浄化するための三元触媒90を含む上流側排ガス浄化装置9aと、上流側排ガス浄化装置9aの上流側で複数の燃焼室2からの排ガスの空燃比AFを検出する空燃比センサ15と、上流側排ガス浄化装置9aの下流側で当該上流側排ガス浄化装置9aからの排ガス中の酸素濃度に応じた信号を出力する酸素センサ16とを有する。また、エンジンECU10は、空燃比センサ15の検出値に基づいて、複数の燃焼室2からの排ガスの空燃比AFが目標空燃比AFtagになるようにする主フィードバック制御を実行する主フィードバック制御手段、酸素センサ16の出力値が目標値になるように、主フィードバック制御にて補正量として用いられるサブフィードバック補正量ΔAFを設定するサブフィードバック制御手段、および複数の燃焼室2間における空燃比のインバランス率IRを取得するインバランス率取得手段として機能する。そして、エンジンECU10は、インバランス率IRに応じて目標空燃比AFtagをリッチ側に補正するリッチ寄せ制御を実行し、リッチ寄せ制御が実行され、かつ酸素センサ16の出力値がリーンである場合、サブフィードバック補正量ΔAFを設定すると共に、インバランス率IRに応じてサブフィードバック補正量ΔAFを変化させる(ステップS100〜S160)。この結果、リッチ寄せ制御が実行されたにも拘わらず酸素センサ16の出力値がリーンになる場合に、酸素センサ16の出力値を速やかに目標値に近づけ、エミッション性能を向上させることが可能となる。
なお、上記実施形態では、サブフィードバック補正量ΔAFのゲインのうち、比例項ゲインKpのみをインバランス率IRに応じて変化させているが、これに限られるものではない。すなわち、比例項ゲインKpに加えて、更に積分項ゲインKiや微分項ゲインKdをインバランス率IRに応じて変化させてもよく、比例項ゲインKp、積分項ゲインKiおよび微分項ゲインKdの少なくとも何れかをインバランス率IRに応じて変化させてもよい。また、エンジンECU10により制御されるエンジン1が搭載されるハイブリッド車両は、動力分配用の遊星歯車を有する2モータ式のハイブリッド車両に限られるものではなく、1モータ式のハイブリッド車両であってもよく、プラグイン式のハイブリッド車両であってもよい。また、上記エンジンECU10は、走行用の動力発生源としてエンジン1のみを有する車両に適用されてもよい。
そして、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
本開示の発明は、内燃機関や車両の製造産業等において利用可能である。
1 エンジン(内燃機関)、2 燃焼室、3 吸気管、4 エアクリーナ、5 スロットルバルブ、6 燃料噴射弁、7 点火プラグ、8 排気管、9a 上流側排ガス浄化装置、9b 下流側排ガス浄化装置、10 エンジン電子制御装置(エンジンECU)、11 エアフローメータ、12 吸気圧センサ、15 空燃比センサ、16 酸素センサ、19 水温センサ、20 ハイブリッド電子制御装置(HVECU)、31,32 インバータ、40 バッテリ、50 モータ電子制御装置(MGECU)、90 三元触媒、MG1,MG2 モータジェネレータ。

Claims (1)

  1. 複数の燃焼室から排出される排ガスを浄化するための触媒を含む排ガス浄化装置と、前記排ガス浄化装置の上流側で前記複数の燃焼室からの排ガスの空燃比を検出する空燃比センサと、前記排ガス浄化装置の下流側で該排ガス浄化装置からの排ガス中の酸素濃度に応じた信号を出力する酸素センサとを有する内燃機関の制御装置において、
    前記空燃比センサの検出値に基づいて、前記複数の燃焼室からの排ガスの空燃比が目標空燃比になるようにする主フィードバック制御を実行する主フィードバック制御手段と、
    前記酸素センサの出力値が目標値になるように、前記主フィードバック制御にて補正量として用いられるサブフィードバック補正量を設定するサブフィードバック制御手段と、
    前記複数の燃焼室間における空燃比のインバランス率を取得するインバランス率取得手段とを備え、
    前記主フィードバック制御手段は、前記インバランス率に応じて前記目標空燃比をリッチ側に補正するリッチ寄せ制御を実行し、
    前記サブフィードバック制御手段は、前記リッチ寄せ制御が実行されており、かつ前記酸素センサの出力値がリーンである場合、前記サブフィードバック補正量を設定すると共に、前記インバランス率に応じて前記サブフィードバック補正量を変化させることを特徴とする内燃機関の制御装置。
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