JP2017137595A - 繊維ウェブ及びその形成方法、並びに、積層シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】EVOH溶液を用いる溶媒型静電紡糸法と同様の手法で、当該溶媒型静電紡糸法により紡糸する場合よりも溶媒成分の混入が抑えられたナノファイバーを紡糸して、このナノファイバーが集積されてなる繊維ウェブ、及びその形成方法を提供する。
【解決手段】静電紡糸法により樹脂エマルションからナノファイバーを紡糸、集積して繊維ウェブを形成し、樹脂エマルションの分散質が少なくともEVOHを含有している繊維ウェブの形成方法である。樹脂エマルションで、分散質が含有するEVOHは、分散媒が含有する溶媒成分と溶け合っていない。形成された繊維ウェブでは、ナノファイバーがEVOHにより構成され、さらに、分散媒(溶媒成分)の混入が抑えられている。また、本形成法は、EVOH溶液を用いる溶媒型静電紡糸法と同様の手法で、容易に実施可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ナノファイバーが集積されてなる繊維ウェブ及びその形成方法、並びに、当該繊維ウェブを備えた積層シート及びその製造方法に関する。
ナノファイバーは、その直径が1nm以上かつ1,000nm以下であり、その繊維長が直径の100倍以上ある繊維状物質である。ナノファイバーの紡糸法としては、静電紡糸法(電界紡糸法、又はエレクトロスピニング法ともいわれる。)が知られている。静電紡糸法は、例えば、図1に示す静電紡糸装置1を用いて行われる。
静電紡糸装置1は、樹脂が溶媒に溶解されてなる樹脂溶液21が収容されるシリンジ3を備えている。シリンジ3内には、プランジャ11が挿通されている。プランジャ11の先端部には、ピストン13が取り付けられている。シリンジ3の底部には、キャピラリー5が設けられている。キャピラリー5の先端には開口部15が設けられており、この開口部15に対向するように板状の捕集部7が配設されている。また、静電紡糸装置1は、高圧電源9を備えている。高圧電源9のプラス電極にはキャピラリー5が、マイナス電極には捕集部7が、それぞれ接続されている。高圧電源9は、グランド17にも接続されている。
ピストン13がシリンジ3の底部側へ押し込まれると、シリンジ3内の樹脂溶液21は、キャピラリー5内に流入して、さらに押し込まれることでキャピラリー5の先端に設けられた開口部15から流出する。開口部15から流出した樹脂溶液21が、エレクトロスピニングされることで、ナノファイバー25が紡糸される。具体的には、開口部15から流出した樹脂溶液21は、プラスの高電圧を印加されており、その液面に誘起された電荷の反発により当該液面が円錐状に変形する。さらに、開口部15から流出した樹脂溶液21は、電荷の反発力がその液体の表面張力を超えると、円錐状の液面の頂点から捕集部7へ向けて飛び出し、連続的な流体ジェット23aを形成する。流体ジェット23aは、延伸され、含有している溶媒が蒸発し、不安定な鞭打ち運動を伴いつつ捕集部7に吸い寄せられ、捕集部7に積もるときにはナノファイバー25となっている。この紡糸されたナノファイバー25を捕集部7上に集積させることで、繊維ウェブを形成することができる。
ところで、静電紡糸法は、一般的に、上記したように樹脂溶液に電荷を与えてエレクトロスピニングする場合(以下「溶媒型静電紡糸法」という。)と、樹脂溶液に代わり溶融樹脂に電荷を与えてエレクトロスピニングする場合(以下「溶融型静電紡糸法」という。)がある。溶媒型静電紡糸法として、例えば、特許文献1では、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下「EVOH」という。)溶液からナノファイバーを紡糸する方法が開示されている。このEVOH溶液の溶媒としては、ジメチルスルホキシド(以下「DMSO」という。)や低級アルコールと水との混合物が用いられている。
また、溶融型静電紡糸法として、例えば、特許文献2では、EVOHを含む少なくとも2種類の溶融樹脂からナノファイバーを紡糸する方法が開示されている。
国際公開第2012/133631号 特開2011−183254号公報
しかし、EVOH溶液を用いる溶媒型静電紡糸法では、紡糸直後のナノファイバーに、水等の一般的に親水性の溶媒として用いられ得る成分(以下「溶媒成分」という。)が多く混入しているケースがある。この場合、混入した溶媒成分が蒸発した後、ナノファイバーの内部に多数の空洞が生じ得る。このようなナノファイバーが集積されてなる繊維ウェブは、その使用の状況によっては破断しやすい。
一方、溶融EVOHを用いる溶融型静電紡糸法では、溶媒を使用しないことで、溶媒成分がナノファイバーに混入するおそれを考慮しなくとも済む。一般的に、この場合に用いる静電紡糸装置は、樹脂を加熱して溶融させるためのレーザ照射装置や、その加熱温度を一定範囲内に制御する機構等を備えている。このような静電紡糸装置は、複雑で、大掛かりで、高価である。
あるいは、レーザ照射装置等を備えない静電紡糸装置1を用いて静電紡糸法を行うのであっても、樹脂溶液21の代わりに、あらかじめ加熱して溶融させたEVOHからナノファイバーを紡糸することは、不可能ではない。しかし、この場合、EVOHが燃焼しない程度にEVOHを加熱して溶融させ、溶融EVOHをシリンジ3内に手早く収容し、シリンジ3内でEVOHが凝固する前に急いで静電紡糸法を行う操作が求められる。この場合の手法は、作業者にとって、EVOHの温度管理を行いつつ、急いで静電紡糸法を行う必要があるため、煩雑である。作業者が熟練していなければ、シリンジ3内でEVOHが凝固してしまうケースがあり、繊維ウェブを効率よく量産し続けることは難しい。
そこで、本発明は、上記した問題に鑑み、EVOH溶液を用いる溶媒型静電紡糸法と同様の手法で、当該溶媒型静電紡糸法により紡糸する場合よりも溶媒成分の混入が抑えられたナノファイバーを紡糸して、このナノファイバーが集積されてなる繊維ウェブ、及びその形成方法を提供することを第1の課題とする。
また、本発明は、上記繊維ウェブを備えた積層シート、及びその製造方法を提供することを第2の課題とする。
本発明者は、上記した第1の課題を解決しようと鋭意検討し、溶媒成分が紡糸直後のナノファイバーに混入する原因は、EVOH溶液においてEVOHが溶媒成分と溶け合っていることにあると考えた。溶媒成分の代表例である水について考慮すると、図2(a)に示すように、EVOH溶液21中の個々のEVOH分子31は、水素結合等により周囲に水分子33を多数引き付けている。さらに、EVOH溶液21から形成された図2(b)に示す流体ジェット23a中では、多数のEVOH分子31が絡み合って、フィブリル37aが形成される。ここでのフィブリル37aは、その直径と繊維長がナノメートルオーダーである繊維状の構造体である。このフィブリル37aが形成されるときに、EVOH分子31に引き付けられている水分子33の多くが、EVOH分子31とEVOH分子31の隙間39に閉じ込められることが想定される。さらに、隙間39に閉じ込められた水分子35は、ガスバリア性を示すEVOH分子31に囲まれているため、空気中に揮散しにくいと考えられる。その後、フィブリル37aが多数集合してナノファイバーが紡糸されることで、水がナノファイバーの内部に封入されてしまうと推定される。
そこで、本発明者は、EVOHが溶媒成分と溶け合っていなければ、流体ジェット中で溶媒成分がEVOH分子とEVOH分子の隙間に閉じ込められにくく空気中に揮散しやすいため、紡糸直後のナノファイバーの内部に封入されにくいであろうと考えた。この考えに基づき試験的に、分散質がEVOHを含有する樹脂エマルションを用いて静電紡糸法を行った。その結果、分散質がEVOHを含有する樹脂エマルションから、安定してナノファイバーを紡糸できることを発見した。このため、本発明者は、分散媒(溶媒成分)の混入が抑えられた、少なくともEVOHにより構成されている繊維ウェブ及びその形成方法を提供できることを見出した。
すなわち、前述した第1の課題を解決するため、本発明に係る繊維ウェブの形成方法は、静電紡糸法により、樹脂エマルションからナノファイバーを紡糸して、紡糸された前記ナノファイバーを集積して繊維ウェブを形成する工程を含み、前記樹脂エマルションは、分散質と分散媒を有し、前記分散質は、少なくとも、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を含有していることを特徴とする。
本繊維ウェブの形成方法では、前記分散質は、さらに、ポリウレタン、エチレン−ブタジエン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選ばれた1種の接着性樹脂を含有していることを特徴とし得る。
本繊維ウェブの形成方法は、前記樹脂エマルションにおける、前記EVOHの含有量が5重量%以上かつ16重量%以下であり、前記接着性樹脂の含有量が0.1重量%以上かつ35重量%以下であることを特徴とし得る。
本繊維ウェブの形成方法は、前記樹脂エマルションにおける、前記接着性樹脂の前記EVOHに対する重量比(接着性樹脂/EVOH)が0.5以上かつ2.0以下であることを特徴とし得る。
また、前述した第2の課題を解決するため、本発明に係る積層シートの製造方法は、通気性シートを準備する工程と、前記繊維ウェブの形成方法により、繊維ウェブを形成する工程と、形成された前記繊維ウェブの少なくとも片面に、前記通気性シートを積層する工程と、を含むことを特徴とする。
さらに、本発明に係る繊維ウェブは、ナノファイバーが集積されてなる繊維ウェブであって、前記ナノファイバーは、少なくとも、EVOHと、ポリウレタン、エチレン−ブタジエン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選ばれた1種の接着性樹脂と、により構成されていることを特徴とする。
本繊維ウェブは、前記ナノファイバーにおける、前記接着性樹脂のEVOHに対する重量比(接着性樹脂/EVOH)が0.5以上かつ2.0以下であることを特徴とし得る。
本繊維ウェブでは、前記ナノファイバーの少なくとも一部は、その繊維長方向に伸長した、前記EVOHにより構成されている芯部と、前記芯部の表面に断続的に存する、前記接着性樹脂により構成されている接着部と、を有することを特徴とし得る。
また、本発明に係る積層シートは、前記繊維ウェブと、前記繊維ウェブの少なくとも片面に積層された通気性シートと、を備えることを特徴とする。
本積層シートでは、前記通気性シートは、複数本の熱可塑性樹脂繊維が略一方向に延伸されて配列された繊維層を有する不織布であることを特徴とし得る。
本積層シートは、マスク又はエアフィルタの濾材として用いられることを特徴とし得る。
上記の構成を含む本発明に係る繊維ウェブの形成方法では、分散質がEVOHを含有する樹脂エマルションを用いて静電紡糸法を行う。分散質が含有するEVOHは、分散媒が含有する溶媒成分と溶け合っていない。これにより形成された繊維ウェブでは、ナノファイバーが少なくともEVOHにより構成されており、さらに、溶媒成分の混入が抑えられている。
また、本形成法は、分散質がEVOHを含有する樹脂エマルションを用いるため、EVOH溶液を用いる溶媒型静電紡糸法と同様の手法で、例えば、図1に示す静電紡糸装置1を用いて、容易に実施可能である。
静電紡糸法を行なう際に用いる静電紡糸装置の一例を示す模式図。 (a)はEVOH溶液中でEVOHが水と溶け合っていることを説明する模式図であり、(b)はEVOH溶液から形成された流体ジェット中でフィブリルが形成されることを説明する模式図である。なお、(a)(b)では、溶媒成分の分子としてEVOH分子に引き付けられている水分子が描かれているが、それ以外の溶媒成分の分子は省略されている。 (a)は分散媒がEVOHを含有する樹脂エマルション中でEVOHが水と溶け合うことなく分散していることを説明する模式図であり、(b)は当該樹脂エマルションから形成された流体ジェット中でフィブリルが形成されることを説明する模式図である。なお、(a)(b)では、EVOH分子に引き付けられている水分子以外の溶媒成分の分子は省略されている。 (a)は実施例6に係る積層シートの一部を示す模式図であり、(b)は実施例5に係る積層シートの一部を示す模式図である。
[繊維ウェブの形成方法の実施態様1]
実施態様1に係る繊維ウェブの形成方法は、静電紡糸法により樹脂エマルションからナノファイバーを紡糸して、紡糸されたナノファイバーを集積して繊維ウェブを形成する工程を含む。また、樹脂エマルションは、分散質と分散媒を有する。この分散質は、少なくとも、EVOHを含有している。
実施態様1における静電紡糸法は、例えば、前述した図1に示す静電紡糸装置1を用いる繊維ウェブの形成法において、樹脂溶液21の代わりに樹脂エマルションを用いれば、同様の手法で行うことができる。つまり、実施態様1における静電紡糸法では、プラス極(樹脂エマルションを供給する側の電極)とマイナス極(ナノファイバーを捕集する側の電極)との間に電圧をかけ、樹脂エマルションに電荷を与えてエレクトロスピニングすることにより伸長させてナノファイバーを紡糸する。さらに、静電紡糸法により樹脂エマルションから紡糸されたナノファイバーを集積して、繊維ウェブを形成する。例えば、前述した図1に示す静電紡糸装置1を用いる繊維ウェブの形成法において、紡糸直後のナノファイバーを捕集部7上に降り積もらせて、捕集部7上で繊維ウェブを形成する。
実施態様1で用いられる静電紡糸装置は、特に限定されない。実施態様1における静電紡糸法は、装置構成が複雑でない静電紡糸装置1で実施可能であるため、他の静電紡糸装置、例えば、レーザ照射装置を備える静電紡糸装置でも実施可能である。このため、実施態様1における静電紡糸法では、必要に応じて、適宜、種々の静電紡糸装置を選択して用いることができる。また、静電紡糸法で樹脂エマルションに加える電圧は、静電紡糸装置1を用いる場合には5〜30kV程度であるが、他の静電紡糸装置を用いるのであれば5〜60kV程度の範囲内で必要に応じて適宜調整する。
実施態様1における樹脂エマルションは、その分散媒(連続相)が溶媒成分であり、その分散質(分散相)が少なくともEVOHを含有する樹脂微粒子である水性分散液である。ここで、分散質が含有する樹脂は、実施態様1を実施することでナノファイバーの構成成分となる樹脂である。また、溶媒成分は、有機溶媒に起因する諸問題を避ける観点から、水と低級アルコールとの混合物であり、DMSOを含有しないことが好ましい。なお、有機溶媒に起因する諸問題とは、爆発、装置設備の腐食、環境汚染、作業者の健康維持に及ぼす悪影響、及びこれらの問題に対処するための設備費用を要することである。
実施態様1における分散質である樹脂の微粒子の粒径は、例えば、10nm以上かつ1,000nm以下であり、好ましくは50nm以上かつ800nm以下である。樹脂微粒子の粒径が小さい方が、繊維径の小さいナノファイバーを紡糸可能であるため好ましい。しかし、樹脂微粒子の粒径が10nmよりも小さすぎる場合には、個々の樹脂微粒子を構成しているEVOH分子の数が少ないため、流体ジェット中で樹脂微粒子が延伸されたときにEVOH分子同士の絡み合いが起こりにくくフィブリルが形成されにくいため、概ね同じ繊維径のナノファイバーを安定して紡糸し続けることが難しい。
EVOHは、エチレンと、ポリビニルアルコール(以下「PVA」という。)と、をコモノマーとする樹脂であり、耐湿性とガスバリア性を両立して示す。EVOHは、その構成成分であるエチレンが29mol%以上かつ47mol%以下を占めるものであると、ガスバリア性と耐湿性が両立されやすいため好ましい。なお、EVOHの市販品としては、例えば、エバール(株式会社クラレの登録商標)や、ソアノール(日本合成化学工業株式会社の登録商標)が挙げられる。
実施態様1における分散媒が含有する低級アルコールは、炭素数4以下のアルコールである。低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール等からなる群より選ばれた1種以上の化合物が挙げられる。また、低級アルコールは、作業者の健康維持に及ぼす悪影響を抑える観点からは、エタノール、1−プロパノール、及び2−プロパノールからなる群より選ばれた1種以上の化合物であることが好ましい。低級アルコールは、環境汚染とさらに健康維持に及ぼす悪影響を抑える観点からはエタノールがさらに好ましく、費用を抑える観点からは1−プロパノールがさらに好ましい。
実施態様1で、分散質がEVOHを含有する樹脂エマルションを準備する方法は、特に限定されない。分散質がEVOHを含有する樹脂エマルションについて、調製しても良いし、市販品を購入しても良い。ここでの市販品としては、例えば、エバーソルブ#10(日本シーマ株式会社製)が挙げられる。市販品を用いる場合、実施態様1を簡易迅速に実施可能である観点から好ましい。
以上の構成を含む実施態様1によれば、紡糸直後のナノファイバーや形成直後の繊維ウェブで、水や低級アルコール等の溶媒成分の混入が抑えられている。このことは、形成された直後の繊維ウェブを静電紡糸装置から離して置いたときに、繊維ウェブからアルコール臭をほとんど感じとることができないことから確認される。また、繊維ウェブを切断して多数のナノファイバーの断面を電子顕微鏡で観察したときに、断面に空洞を見つけにくいこと、つまり、ナノファイバーの内部に水や低級アルコールが封入されていた痕跡を見つけにくいことから確認される。
ナノファイバーや繊維ウェブで分散媒(溶媒成分)の混入が抑えられているメカニズムは、不明であるが、次のように推定される。樹脂エマルションにおいて、EVOHを含有する樹脂微粒子(分散質)は、溶媒成分(分散媒)と溶け合うことなく分散している。つまり、図3(a)に示すように、樹脂エマルション27中でのEVOH分子31は、多数集合して球状の樹脂微粒子41を形成している。この樹脂微粒子41の内部では、水分子33は全く含まれていないか、又は、ほとんど含まれていない。このため、EVOH分子31に引き付けられている水分子33は、樹脂微粒子41と分散媒との界面付近に存するものにほとんど限られている。また、球状の樹脂微粒子41は、図3(b)に示すように、流体ジェット23b中で延伸されて、略紐状の樹脂微粒子(43a,43b)となる。
流体ジェット23b中で、一の樹脂微粒子43aを構成しているEVOH分子31が、他の樹脂微粒子43bを構成しているEVOH分子31と絡み合うことを次々と繰り返してフィブリル37bが形成され、このフィブリル37bが多数集合してナノファイバーが紡糸されると考えられる。ここで、樹脂微粒子(43a,43b)を構成しているEVOH分子31も、引き付けている水分子33は、樹脂微粒子(43a,43b)と分散媒との界面付近に存するものにほとんど限られている。このため、フィブリル23bを構成しているEVOH分子31とEVOH分子31の隙間39に閉じ込められる水分子35の数が、少なく抑えられると考えられる。
上記したメカニズムにより、図3に示す分散質がEVOHを含有する樹脂エマルション27を用いて静電紡糸法を行う場合には、図2に示すEVOH溶液21を用いて溶媒型静電紡糸法を行う場合よりも、紡糸直後のナノファイバーの内部に水(分散媒、溶媒成分)が封入されにくいものと推定される。また、水以外の溶媒成分(分散媒)、例えば低級アルコールやDMSOも、水と同様、上記したメカニズムにより紡糸直後のナノファイバーに封入されにくいと考えられる。なお、低級アルコールやDMSOは、水と比べて沸点が低いため、流体ジェット中でフィブリルが形成される前に直ちに気化して空気中に揮散しやすく、水よりも紡糸直後のナノファイバーの内部に封入されにくいと考えられる。
実施態様1によれば、少なくともEVOHにより構成されているナノファイバーが集積されてなる繊維ウェブを形成可能である。この繊維ウェブは、そのナノファイバーの内部に、分散媒(溶媒成分)の混入に起因する空洞が少ない。このため、ナノファイバーの内部に空洞が多い繊維ウェブと比べて、破断しにくい。また、EVOHが耐湿性を示すため、PVA等の水溶性樹脂により構成されるナノファイバーとは異なり、吸湿によりナノファイバーや繊維ウェブの形状が崩れることは避けられる。
なお、従来、薄手のマスクやエアフィルタでは、空気中からPM2.5等の微粒子状物質を除去することは難しく、除去するためには、マスクやエアフィルタの濾材を分厚くする必要があった。これに対して、実施態様1により形成された繊維ウェブで、ナノファイバーの平均繊維径は10nm以上かつ1,000nm以下であり、ナノファイバーの繊維長は平均繊維径の100倍以上ある。また、このナノファイバーの平均繊維径は、好ましくは50nm以上かつ800nm以下である。なお、平均繊維径は、走査型電子顕微鏡(以下「SEM」という。)により繊維ウェブの写真を撮影し、この写真中の任意の50箇所で測定したナノファイバーの直径の平均値である。このナノファイバーが集積されてなる繊維ウェブは、その単位重量あたりの全表面積(比表面積)が大きく、軽量で厚みが薄いため、薄手のマスク又はエアフィルタの濾材の材料として用いることができる。ここでのエアフィルタとしては、例えば、空気清浄機用のエアフィルタ、室内空調機用のエアフィルタ、車内空調機用のエアフィルタ等が挙げられ、特に限定されない。
繊維ウェブの厚み、目付、細孔径、及び圧力損失は、静電紡糸法を行う際にナノファイバーの集積量を調節することで、適宜調整可能である。ナノファイバーは極細であるため、その集積量を増やして細孔径を小さくしても、繊維ウェブや後述する積層シートの厚みは変わっていないように感じる。なお、細孔径は、JIS Z 8831−2、及びJIS Z 8831−3に準拠した方法により得られる測定値である。また、圧力損失は、JIS B 9908の形式2に準拠した試験により得られる測定値である。
マスク又はエアフィルタの濾材あるいは当該濾材の材料として用いるにあたり、実施態様1により形成された繊維ウェブは、その細孔径が10nm以上かつ1,000nm以下であることが好ましい。同じ理由で、繊維ウェブは、その圧力損失が10Pa以上かつ500Pa以下であることが好ましい。これらの場合、空気中のPM2.5粒子やPM1.0粒子等の微粒子状物質を効率良く除去することができる。
繊維ウェブをマスクの濾材あるいは当該濾材の材料として用いる場合、マスクの使用者が息苦しくなりマスクを外してしまうことを避ける観点から、実施態様1により形成された繊維ウェブの圧力損失は、さらに好ましくは10Pa以上かつ100Pa以下である。なお、圧力損失が小さいほどマスクの使用者は息苦しさを感じにくくなるが、繊維ウェブによる微小粒子状物質の捕捉率が低下してしまう。一方、繊維ウェブをエアフィルタの濾材あるいは当該濾材の材料として用いる場合には、繊維ウェブの圧力損失が大きくても息苦しさの問題は生じない。
実施態様1により形成された繊維ウェブは、その目付や圧力損失が小さくてもPM2.5粒子の捕捉率が高い観点から、PM2.5粒子を捕捉するためのマスク又はエアフィルタの材料として用いられることが好ましい。また、実施態様1により形成された繊維ウェブは、さらにより好ましくは、その圧力損失が10Pa以上かつ100Pa以下であり、PM2.5粒子を捕捉するためのマスクの濾材または当該濾材の材料として用いられる。
実施態様1により形成された繊維ウェブは、そのナノファイバーの集積量を多くすることで厚みを分厚くして剛性を高めた場合には、濾材の材料ではなく、そのままマスク又はエアフィルタの濾材として用いても良い。
以上、実施態様1に係る繊維ウェブの形成方法と、実施態様1により形成された繊維ウェブについて説明したが、本発明は、さらに異なる態様で実施可能である。以上で説明した内容は、以下で説明する実施態様と繊維ウェブで共通するため、同じ説明を省略する。以下、実施態様1や実施態様1により形成された繊維ウェブと比べて、異なる点を説明する。
[繊維ウェブの形成方法の実施態様2]
実施態様2に係る形成法は、樹脂エマルションの分散質がEVOHを含有し、この樹脂エマルションにおける、EVOHの含有量が5重量%以上かつ25重量%以下である。実施態様2によれば、ナノファイバーや繊維ウェブを大量に効率よく形成可能である。なお、樹脂エマルションにおけるEVOHの含有量が5重量%よりも少なすぎると、紡糸されたナノファイバーの繊維長が短くなってしまうため、繊維ウェブが嵩高になり、繊維ウェブからナノファイバーが脱落しやすくなってしまう場合がある。また、樹脂エマルションにおけるEVOHの含有量が25重量%よりも多すぎると、樹脂エマルションは、その粘度が大きく流動しにくいため、静電紡糸装置のノズル孔(例えば、図1に示す静電紡糸装置1における開口部15)が詰まりやすくなり、大量に効率良く紡糸することが難しくなってしまう場合がある。
実施態様2は、好ましくは、樹脂エマルションの分散質がEVOHを含有し、この樹脂エマルションにおける、EVOHの含有量が5重量%以上かつ25重量%以下、低級アルコールの含有量が20重量%以上かつ40重量%以下、及び水の含有量が40重量%以上かつ60重量%以下である。この場合の樹脂エマルションは、所定量の低級アルコールを含有しているため、殺菌されており、カビが生じにくく、冷蔵庫等で長期保存可能である。このため、先に樹脂エマルションを調製しておき、後日に静電紡糸法を行うことが可能であり、作業者にとっては作業しやすい。また、この場合、樹脂エマルションは、水を多く含有することで低級アルコールの含有量が多すぎないため、流体ジェットから蒸発した有機溶媒に起因する諸問題が生じにくい。同じ理由により、形成直後の繊維ウェブから空気中に有機溶媒が放出されて蒸発することも、抑えられる。このため、形成直後の繊維ウェブを減圧蒸留しなくても、そのまま繊維ウェブを大量に倉庫内で保管しても、倉庫で前述した諸問題が生じることは避けられる。
[繊維ウェブの形成方法の実施態様3]
実施態様3に係る形成法は、樹脂エマルションの分散質が、EVOHとポリウレタンを含有する。ポリウレタンは、常温(5℃以上かつ35℃以下)で接着性を示す接着性樹脂の一種であり、分子内にイソシアネート基を有する化合物と、分子内に水酸基を有する化合物との縮合により合成される。ポリウレタンは、EVOHと比べると親水性を示すものの、水に溶解しにくい。樹脂エマルションにおいてポリウレタンは、樹脂微粒子として分散している。つまり、ポリウレタンは、EVOHと同様、分散質の構成成分であり、分散媒(溶媒成分)と溶け合っていない。
ポリウレタンは、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの縮合により合成される。ポリウレタンを構成するポリオールとしては、例えば、ポリアクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等からなる群より選ばれた1種以上の化合物が挙げられる。
ポリアクリルポリオールとしては、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリ−2−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ−2−ヒドロキシブチルメタクリレート等からなる群より選ばれた1種以上の化合物が挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ−2−メチルテトラメチレングリコール等からなる群より選ばれた1種以上の化合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、ポリブタンジオールアジペート、ポリ−3−メチルペンタンジオールアジペート、ポリ−1,6−ヘキサンジオールアジペート、ポリネオペンチルグリコールアジペート等からなる群より選ばれた1種以上の化合物が挙げられる。ポリカーボネートポリオールとしては、ポリ−3−メチルペンタンジオールカーボネート、ポリノナンジオールカーボネート等からなる群より選ばれた1種以上の化合物が挙げられる。ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ポリ−β−メチルバレロラクトン等が挙げられる。
ポリウレタンを構成するポリイソシアネートとしては、ジイソシアネートが挙げられる。ジイソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等からなる群より選ばれた1種以上の化合物が挙げられる。
また、ポリウレタンは、その構成成分に鎖伸張剤が組み込まれたものであっても良い。鎖延伸張としては、例えば、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、ノナンジオール、オクタンジオール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等からなる群より選ばれた1種以上の化合物が挙げられる。なお、ナノファイバーや繊維ウェブの劣化を避ける観点からは、ポリウレタンは、耐水性や耐加水分解性を示す材質のものであることが好ましい。
実施態様3において、分散質がEVOH及びポリウレタンを含有する樹脂エマルションを調製する方法は、特に限定されない。簡易迅速に調製する観点からは、分散質がポリウレタンを含有する樹脂エマルションの市販品と、前述した分散質がEVOHを含有する樹脂エマルションの市販品と、を混合する方法により、分散質がEVOH及びポリウレタンを含有する樹脂エマルションを調製することが好ましい。
分散質がポリウレタンを含有する樹脂エマルションの市販品としては、例えば、スーパーフレックス(第一工業製薬株式会社の登録商標)シリーズ、スーパーフレックスEシリーズ、スーパーフレックスRシリーズ、エラストロン(同社の登録商標)シリーズ、エラストロンBNシリーズ(全て、同社製)等が挙げられる。これら市販品の内で、スーパーフレックスシリーズは、自己乳化型であるため樹脂エマルションが安定しており、また、ポリウレタンの分子量が大きいためナノファイバーを紡糸しやすい観点から、好ましい。
実施態様3によれば、EVOH溶液を用いる溶媒型静電紡糸法と同様の手法で、例えば、図1に示す静電紡糸装置1を用いて、EVOH及びポリウレタンにより構成されているナノファイバーが集積されてなる繊維ウェブを、安定して容易に形成可能である。また、実施態様1,2と同様、紡糸直後のナノファイバー及び形成直後の繊維ウェブでは、分散媒(溶媒成分)の混入が抑えられている。
実施態様3により形成された繊維ウェブで、ナノファイバーの断面の構造は、特に限定されない。例えば、EVOHとポリウレタンとがナノファイバーの長手方向に並列に並び相互に接合したバイラテラル構造を有しても良い。あるいは、EVOHにより構成されている島と、ポリウレタンにより構成されている海と、による海島構造を有しても良い。EVOHにより構成されている芯と、ポリウレタンにより構成されている鞘と、による芯鞘構造を有しても良い。EVOHとポリウレタンとのポリマーアロイにより構成されているため、EVOHにより構成されている部分と、ポリウレタンにより構成されている部分と、を区別できない構造を有しても良い。また、このナノファイバーの断面の外形としては、円形状、多角形状等が挙げられる。ナノファイバーの内部に、空洞はほとんど見当たらない。
なお、従来、静電紡糸法により海島構造あるいは芯鞘構造を有するナノファイバーを紡糸するには、2種類の樹脂溶液をそれぞれ別のノズル孔から吐出して複合させて紡糸していた。または、あらかじめ海島構造あるいは芯鞘構造を有する樹脂繊維を準備しておき、この樹脂繊維をレーザ照射等で加熱して溶融させ、溶融物を孔から吐出させてエレクトロスピニングしてナノファイバーを紡糸していた。これらの従来法では、装置構成が複雑で、大掛かりで、高価な装置が必要であった。
これに対して、実施態様3によれば、図1に示す静電紡糸装置1のように装置構成が複雑でない静電紡糸装置を用いて実施するのであっても、形成された繊維ウェブにおいて、EVOHはナノファイバーの内部に位置しやすく、ポリウレタンはナノファイバーの表面部分に位置しやすい。このような位置関係が形成されるメカニズムは不明であるが、次のように推定される。ポリウレタンは、EVOHよりも親水性を示す。このため、樹脂エマルションの分散相(分散質)において、ポリウレタンは、EVOHの樹脂微粒子の表面の少なくとも一部を覆うことで、EVOHの樹脂微粒子と連続相(分散媒)との界面の面積を減少させていると考えられる。さらに、流体ジェット中で、EVOHの樹脂微粒子とポリウレタンの樹脂微粒子とを併せた分散相(分散質)が延伸されてナノファイバーが紡糸されるため、ナノファイバーにおいて前述した位置関係が生じやすいものと推定される。
ポリウレタンは、一般的に接着剤として用いられており、常温で可撓性と接着性を示す。実施態様3により形成された繊維ウェブは、ポリウレタンが示す接着性によりナノファイバー同士が絡まった状態で自己接着しており、さらに、ポリウレタンが可撓性を示すため、実施態様1,2により形成された繊維ウェブよりも破損しにくい。
また、従来、EVOHにより構成されているナノファイバーを集積してなる繊維ウェブは、そのままでは基材から剥離しやすい問題があった。剥離を抑えるためには、例えば、カレンダー加工により繊維ウェブを基材に熱圧着する等の熱処理を施す必要があった。これに対して、実施態様3により形成された繊維ウェブは、ポリウレタンが常温で接着性を示すため、繊維ウェブが基材に付着する。実施態様3により形成された繊維ウェブは、例え熱処理を施されていなくとも、基材から剥離しにくい。さらに、実施態様3により形成された繊維ウェブは、親水性の基材に限らず、例えば、アルミニウム箔や、ポリエチレンテレフタレート等の親水性を示さない基材にも付着することができる。
ポリウレタンは常温で接着性を示すため、実施態様3により形成された繊維ウェブを通過する空気中や呼気中に浮遊している塵埃、花粉等は、ポリウレタンに吸着して効率よく除去される。このため、実施態様3により形成された繊維ウェブは、実施態様1,2により形成された繊維ウェブよりも、マスク又はエアフィルタの濾材あるいは当該濾材の材料としてさらに適している。また、前述した実施態様1と同じ理由により、実施形態3により形成された繊維ウェブは、好ましくはPM2.5粒子を捕捉するためのマスク又はエアフィルタの濾材あるいは当該濾材の材料として用いられ、さらに好ましくは圧力損失が10Pa以上かつ100Pa以下でありPM2.5粒子を捕捉するためのマスクの濾材またはその材料として用いられる。なお、実施態様3により形成された繊維ウェブは、その細孔径が2.5μm以下となるまでナノファイバーが集積されて形成されたものであっても、厚みが薄いままである。実施態様3により形成された繊維ウェブを濾材又はその材料とすることで、薄手で軽量なマスクやエアフィルタを製造可能である。
[繊維ウェブの形成方法の実施態様4]
実施態様4に係る形成法は、樹脂エマルションの分散質がEVOHとポリウレタンを含有し、この樹脂エマルションにおける、EVOHの含有量が5重量%以上かつ16重量%以下であり、ポリウレタンの含有量が0.1重量%以上かつ35重量%以下である。
実施態様4では、樹脂エマルションにおけるEVOHの含有量が16重量%より多い場合よりも、静電紡糸装置のノズル孔が詰まりにくいため、さらに効率良く容易に繊維ウェブを形成することができる。また、実施態様4により形成された繊維ウェブは、そのナノファイバーにおける、ポリウレタンのEVOHに対する重量比(ポリウレタン/EVOH)が、極端に小さくなりすぎない。このため、ポリウレタンの含有量が極端に少ない場合と比べて、実施態様4により形成された繊維ウェブは、ポリウレタンが示す接着性と可撓性により、破損しにくく、基材に付着して剥離しにくい。
実施態様4は、さらに好ましくは、樹脂エマルションの分散質がEVOHとポリウレタンを含有し、この樹脂エマルションにおける、EVOHの含有量が8重量%以上かつ15重量%以下、ポリウレタンの含有量が5重量%以上かつ15重量%以下、低級アルコールの含有量が20重量%以上かつ40重量%以下、水の含有量が40重量%以上かつ60重量%以下である。このような組成であると、水の含有量が多いため、有機溶媒に起因する諸問題が生じにくい。また、この場合に形成された繊維ウェブは、ナノファイバーの少なくとも一部が、ナノファイバーの繊維長方向(長手方向)に伸長している芯部と、芯部の表面に断続的に存する接着部と、を有する構造になりやすい。ここでの芯部はEVOHにより構成されており、接着部はポリウレタンにより構成されている。なお、この場合のナノファイバーの断面をSEMで観察したときに、芯部の内部には、ポリウレタン(接着部)はほとんど見当たらない。また、接着部が芯部の表面から隆起している場合があるため、SEMで観察したときのナノファイバーの外観は、芯部の表面にまばらに隆起した部分(接着部)があるように見える。
上記したようにナノファイバーが芯部と接着部とを有する構造であると、当該ナノファイバーの表面に、接着部と、芯部の表面が露出している部分と、が現れている。接着部は、ナノファイバー同士を自己接着させ、繊維ウェブを基材に付着させて基材から剥離しにくくし、塵埃や花粉等を吸着する。また、芯部の表面が露出している部分が適度に現れていると、接着部が多すぎないため、繊維ウェブの目詰まりを避けることができ、繊維ウェブの圧力損失が高くなりすぎない。このため、ナノファイバーが芯部と接着部とを有する構造であると、ナノファイバーが芯鞘構造や海島構造である場合よりも、繊維ウェブがマスク又はエアフィルタの濾材あるいは当該濾材の材料として更に適している。
[繊維ウェブの形成方法の実施態様5]
実施態様5に係る形成法は、樹脂エマルションの分散質がEVOHとポリウレタンを含有し、この樹脂エマルションにおける、ポリウレタンのEVOHに対する重量比(ポリウレタン/EVOH)が0.5以上かつ2.0以下である。実施態様5により、実施態様1〜4と同様に容易に繊維ウェブを形成することができる。また、形成された繊維ウェブにおいて、ナノファイバーが前述した芯部と接着部とを有する構造になりやすい。
実施態様5は、好ましくは、樹脂エマルションの分散質がEVOHとポリウレタンを含有し、この樹脂エマルションにおける、EVOHに対するポリウレタンの重量比(ポリウレタン/EVOH)が0.5以上かつ2.0以下であり、EVOHの含有量が8重量%以上かつ15重量%以下、ポリウレタンの含有量が5重量%以上かつ15重量%以下、低級アルコールの含有量が20重量%以上かつ40重量%以下、水の含有量が40重量%以上かつ60重量%以下である。このような組成であると、水の含有量が多いため、有機溶媒に起因する諸問題が生じにくい。また、この場合に形成された繊維ウェブは、前述した芯部と接着部とを有する構造になりやすく、かつ、芯部の量に対する接着部の量が適度であるため繊維ウェブの目詰まりを抑えられることから、実施態様4により得られる繊維ウェブよりも、マスク又はエアフィルタの濾材あるいは当該濾材の材料として更に適している。
[繊維ウェブの形成方法の実施態様6]
実施態様6に係る形成法は、樹脂エマルションの分散質がEVOHとエチレン−ブタジエン共重合体を含有する。エチレン−ブタジエン共重合体は、常温で接着性を示す接着性樹脂の一種であり、エチレンとブタジエンとをコモノマーとする共重合体である。また、エチレン−ブタジエン共重合体は、水に溶解しにくい。樹脂エマルションにおいてエチレン−ブタジエン共重合体は、樹脂微粒子として分散している。つまり、エチレン−ブタジエン共重合体は、EVOHと同様、樹脂エマルションの分散質を構成しており、分散媒(溶媒成分)と溶け合っていない。
実施態様6において、分散質がEVOH及びエチレン−ブタジエン共重合体を含有する樹脂エマルションを調製する方法は、特に限定されない。簡易迅速に調製する観点からは、分散質がエチレン−ブタジエン共重合体を含有する樹脂エマルションの市販品と、前述した分散質がEVOHを含有する樹脂エマルションの市販品とを混合する方法により、分散質がEVOH及びエチレン−ブタジエン共重合体を含有する樹脂エマルションを調製することが好ましい。分散質がエチレン−ブタジエン共重合体を含有する樹脂エマルションの市販品としては、例えば、CB−1200(ユニチカ株式会社製)が挙げられる
実施態様6によれば、EVOH溶液を用いる溶媒型静電紡糸法と同様の手法で、例えば、図1に示す静電紡糸装置1のように装置構成が複雑でない静電紡糸装置により、EVOH及びエチレン−ブタジエン共重合体により構成されているナノファイバーが集積されてなる繊維ウェブを、安定して容易に形成可能である。また、実施態様1,2と同様、紡糸直後のナノファイバー及び形成直後の繊維ウェブでは、分散媒(溶媒成分)の混入が抑えられている。
実施態様6により形成された繊維ウェブにおいて、ナノファイバーの断面の構造は、特に限定されない。例えば、EVOHとエチレン−ブタジエン共重合体とによるバイラテラル構造を有しても良い。あるいは、EVOHにより構成されている島と、エチレン−ブタジエン共重合体により構成されている海と、による海島構造を有しても良い。EVOHにより構成されている芯と、エチレン−ブタジエン共重合体により構成されている鞘と、による芯鞘構造を有しても良い。EVOHとエチレン−ブタジエン共重合体とのポリマーアロイにより構成されている構造を有しても良い。また、このナノファイバーの断面の外形としては、円形状、多角形状等が挙げられる。ナノファイバーの内部に、空洞はほとんど見当たらない。
エチレン−ブタジエン共重合体は、一般的に接着剤として用いられており、常温で可撓性と強い接着性を示す。このため、実施態様6により形成された繊維ウェブは、エチレン−ブタジエン共重合体が示す接着性によりナノファイバー同士が絡まった状態で自己接着しており、また、エチレン−ブタジエン共重合体が可撓性を示すため、実施態様1,2により形成された繊維ウェブよりも破損しにくい。
実施態様6により形成された繊維ウェブは、実施態様3により形成された繊維ウェブと同様の理由で、基材に付着して基材から剥離しにくい。親水性の基材に限らず、例えば、アルミニウム箔や、ポリエチレンテレフタレート等の親水性を示さない基材にも付着することができる。また、実施態様6により形成された繊維ウェブは、実施態様3により形成された繊維ウェブと同様の理由で、マスク又はエアフィルタの濾材あるいは当該濾材の材料として適している。なお、ここでのマスク又はエアフィルタが、PM2.5粒子を捕捉するために用いられることが好ましい。
[繊維ウェブの形成方法の実施態様7]
実施態様7に係る形成法は、樹脂エマルションの分散質がEVOHとエチレン−ブタジエン共重合体を含有し、この樹脂エマルションにおいて、EVOHの含有量が5重量%以上かつ16重量%以下であり、エチレン−ブタジエン共重合体の含有量が0.1重量%以上かつ35重量%以下である。この場合、EVOHの含有量が多すぎる場合よりも効率良く繊維ウェブを形成可能である。また、実施態様7により形成された繊維ウェブは、そのナノファイバーにおける、エチレン−ブタジエン共重合体のEVOHに対する重量比(エチレン−ブタジエン共重合体/EVOH)が、極端に小さくなりすぎない。このため、エチレン−ブタジエン共重合体の含有量が極端に少ない場合と比べて、実施態様7により形成された繊維ウェブは、破損しにくく、基材に付着して剥離しにくい。
実施態様7は、さらに好ましくは、樹脂エマルションの分散質がEVOHとエチレン−ブタジエン共重合体を含有し、この樹脂エマルションにおける、EVOHの含有量が8重量%以上かつ15重量%以下、エチレン−ブタジエン共重合体の含有量が5重量%以上かつ15重量%以下、低級アルコールの含有量が20重量%以上かつ40重量%以下、水の含有量が40重量%以上かつ60重量%以下である。このような組成であると、有機溶媒に起因する諸問題が生じにくい。また、この場合に形成された繊維ウェブは、前述した芯部と接着部とを有する構造と同様の構造、つまり、芯部はEVOHにより構成されており、接着部はエチレン−ブタジエン共重合体により構成されている構造になりやすい。この場合に形成された繊維ウェブは、ナノファイバーが芯鞘構造や海島構造である場合と比べて、マスク又はエアフィルタの濾材あるいは当該濾材の材料として更に適している。
実施態様7は、さらにより好ましくは、樹脂エマルションの分散質がEVOHとエチレン−ブタジエン共重合体を含有し、この樹脂エマルションにおける、エチレン−ブタジエン共重合体のEVOHに対する重量比(エチレン−ブタジエン共重合体/EVOH)が0.5以上かつ2.0以下であり、EVOHの含有量が8重量%以上かつ15重量%以下、エチレン−ブタジエン共重合体の含有量が5重量%以上かつ15重量%以下、低級アルコールの含有量が20重量%以上かつ40重量%以下、水の含有量が40重量%以上かつ60重量%以下、である。このような組成であると、有機溶媒に起因する諸問題が生じにくい。また、この場合に形成された繊維ウェブは、前述した芯部と接着部とを有する構造になりやすく、かつ、芯部の量に対する接着部の量が適度であるため繊維ウェブの目詰まり抑えられることから、実施態様6により形成された繊維ウェブよりも、マスク又はエアフィルタの濾材あるいは当該濾材の材料として更に適している。
[繊維ウェブの形成方法の実施態様8]
実施態様8に係る形成方法は、樹脂エマルションの分散質がEVOH、ポリウレタン、及びエチレン−ブタジエン共重合体を含有する。実施態様8によれば、EVOH溶液を用いる溶媒型静電紡糸法と同様の手法で、図1に示す静電紡糸装置1のように装置構成が複雑でない静電紡糸装置により、マスク又はエアフィルタの濾材あるいは当該濾材の材料として適する繊維ウェブを、安定して形成可能である。また、実施態様1,2と同様、紡糸直後のナノファイバー及び形成直後の繊維ウェブでは、分散媒(溶媒成分)の混入が抑えられている。なお、以下、本明細書で、ポリウレタン、エチレン−ブタジエン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選ばれたいずれか1種を「接着性樹脂」という。
実施態様8は、好ましくは、樹脂エマルションの分散質がEVOH、ポリウレタン、及びエチレン−ブタジエン共重合体を含有し、この樹脂エマルションにおける、EVOHの含有量が5重量%以上かつ16重量%以下であり、接着性樹脂(ポリウレタンとエチレン−ブタジエン共重合体との合計)の含有量が0.1重量%以上かつ35重量%以下である。この場合、EVOHの含有量が多すぎる場合よりも、効率良く繊維ウェブを形成可能である。また、この場合に形成された繊維ウェブは、そのナノファイバーにおける、接着性樹脂(ポリウレタンとエチレン−ブタジエン共重合体との合計)のEVOHに対する重量比(接着性樹脂/EVOH)が、極端に小さくなりすぎない。この場合に形成された繊維ウェブは、混合物の含有量が極端に少ない繊維ウェブと比べて、破損しにくく、基材に付着して剥離しにくい。
実施態様8は、さらに好ましくは、樹脂エマルションの分散質がEVOH、ポリウレタン、及びエチレン−ブタジエン共重合体を含有し、この樹脂エマルションにおける、EVOHの含有量が8重量%以上かつ15重量%以下、接着性樹脂(ポリウレタンとエチレン−ブタジエン共重合体との合計)の含有量が5重量%以上かつ15重量%以下、低級アルコールの含有量が20重量%以上かつ40重量%以下、水の含有量が40重量%以上かつ60重量%以下である。この場合、有機溶媒に起因する諸問題が生じにくい。また、この場合に形成された繊維ウェブは、前述した芯部と接着部とを有する構造と同様の構造、つまり、芯部はEVOHにより構成されており、接着部は前述した混合物により構成されている構造になりやすい。この場合に形成された繊維ウェブは、ナノファイバーが芯鞘構造や海島構造である場合と比べて、マスク又はエアフィルタの濾材あるいは当該濾材の材料として更に適している。
実施態様8は、さらにより好ましくは、樹脂エマルションの分散質がEVOH、ポリウレタン、及びエチレン−ブタジエン共重合体を含有し、この樹脂エマルションにおける、接着性樹脂(ポリウレタンとエチレン−ブタジエン共重合体との合計)のEVOHに対する重量比(接着性樹脂/EVOH)が0.5以上かつ2.0以下であり、EVOHの含有量が8重量%以上かつ15重量%以下、接着性樹脂(ポリウレタンとエチレン−ブタジエン共重合体との合計)の含有量が5重量%以上かつ15重量%以下、低級アルコールの含有量が20重量%以上かつ40重量%以下、水の含有量が40重量%以上かつ60重量%以下である。この場合、有機溶媒に起因する諸問題が生じにくい。また、この場合に形成された繊維ウェブは、前述した芯部と接着部とを有する構造になりやすく、かつ、芯部の量に対する接着部の量が適度であるため、マスク又はエアフィルタの濾材あるいは当該濾材の材料として適している。
[繊維ウェブの形成方法のその他の実施態様]
実施態様1〜8における静電紡糸法でナノファイバーを集積する際には、金属箔、又は台紙上にナノファイバーを集積させて繊維ウェブを形成しても良い。金属箔としては、アルミニウム箔が例示される。例えば、静電紡糸装置1を用いる場合、あらかじめ捕集部7上に金属箔、又は台紙を置いてから静電紡糸法を行う。繊維ウェブを金属箔、又は台紙から剥がすまでは、金属箔、又は台紙ごと繊維ウェブを持ち運んだり、保管したりすることが容易である。
実施態様1〜8における樹脂エマルションは、発明の効果を妨げない程度の量であれば、必要に応じて、さらに、添加剤や助剤を含有しても良い。添加剤や助剤を含有させるためには、樹脂エマルションを調製する際に、あるいは準備した樹脂エマルションの市販品に、添加剤や助剤を混合する。添加剤としては、滑剤、可塑剤、結晶化速度遅延剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色防止剤、難燃剤、光安定剤等からなる群より選ばれた1種以上の剤が挙げられる。助剤としては、顔料、防カビ剤、抗菌剤等からなる群より選ばれた1種以上の剤が挙げられる。
実施態様1〜8のいずれかにより紡糸されたナノファイバーや形成された繊維ウェブは、発明の効果を妨げない程度の量であれば、必要に応じて前述した添加剤や助剤を含有しても良い。
実施態様1〜8のいずれかにより得られた繊維ウェブは、PM2.5粒子やPM1.0粒子等の微小粒子状物質を除去する観点からは、その細孔径が600〜1,000nmであることが好ましい。また、PM0.1粒子等の超微小粒子や細菌を除去する観点からは、その細孔径が300nm以上、かつ、600nm未満であることが好ましい。インフルエンザウイルスを除去する観点からは、その細孔径が38nm以上、かつ、300nm未満であることが好ましい。ノロウイルスを除去する観点からは、その細孔径が10〜38nmであることが好ましい。なお、除去すべき粒子に対して必要以上に細孔径が大きすぎると、粒子を除去しにくい。必要以上に細孔径が小さすぎると、目詰まりしやすくなり、また、マスクの使用者が息苦しくなってしまう。
実施態様1〜8のいずれかにより得られた繊維ウェブを形成しているナノファイバーは、その単繊維の繊維長が20cm以上であることが好ましい。この場合の繊維ウェブは、嵩高になりにくいため、濾材又は濾材の材料として用いると薄手のマスク又はエアフィルタを製造可能である。また、この場合、ナノファイバーが繊維ウェブから脱落しにくいため、脱落による繊維ウェブの劣化を避けることができる。
[積層シート及びその製造方法]
本発明に係る積層シートの製造方法は、通気性シートを準備する工程と、静電紡糸法により、樹脂エマルションからナノファイバーを紡糸して、紡糸されたナノファイバーを集積して繊維ウェブを形成する工程と、形成された繊維ウェブの少なくとも片面に通気性シートを積層する工程を含む。なお、静電紡糸法により、樹脂エマルションからナノファイバーを紡糸して、紡糸されたナノファイバーを集積して繊維ウェブを形成する工程と、この工程により得られる繊維ウェブについては、繊維ウェブの形成方法の実施態様1〜8及びその他の実施態様として前述した通りである。
通気性シートは、通気性を有し、繊維ウェブを支えて破損しないように保護する部材であり、繊維ウェブの少なくとも片面に積層される。通気性シートとしては、例えば、不織布、織布等の通気性を有する布や、目の細かいメッシュ等が挙げられるが、特に限定されず、必要に応じて適宜選択される。通気性シートの材質は、親水性を示すもの、疎水性を示すもの、あるいは金属であっても良い。なお、実施態様3〜8により形成された繊維ウェブに通気性シートを積層する場合には、繊維ウェブが接着性を示すため、通気性シートの材質に関わらず繊維ウェブが通気性シートから剥離しにくい。
また、繊維ウェブの両面に通気性シートを積層することが好ましい。この場合、繊維ウェブの一の面と他の面に、それぞれ別体の通気性シートを積層しても良い。あるいは、通通気性シートの一端部に繊維ウェブの一の面を積層してから、この通気性シートを折り曲げて繊維ウェブを挟み込むことで、繊維ウェブの他の面に通気性シートの他端部を積層しても良い。使用時に繊維ウェブが破損しにくい積層シートを製造可能である。
前述したように金属箔上、又は台紙上で繊維ウェブを形成した場合には、繊維ウェブを金属箔、又は台紙から剥がして通気性シートに貼り付けることで、本製造法を実施可能である。なお、この場合、金属箔、又は台紙ごと繊維ウェブを持ち運んだり保管したりできるため、繊維ウェブの形成と、この繊維ウェブに通気性シートを積層する工程とを、別の場所、あるいは別の日に行うことが可能である観点から好ましい。
本製造法は、作業工程の簡略化の観点からは、静電紡糸法により、樹脂エマルションからナノファイバーを紡糸して、紡糸されたナノファイバーを集積して繊維ウェブを形成し、形成された繊維ウェブの片面に通気性シートを積層することを、一度にまとめて行うことが好ましい。このためには、静電紡糸法を行う際に、紡糸された直後のナノファイバーを通気性シート上に集積させて繊維ウェブを形成する。例えば、図1に示す装置1を用いて繊維ウェブを形成する場合には、捕集部7上に通気性シートを置いてから静電紡糸法を行う。また、静電紡糸法により帯電しているため、形成直後の繊維ウェブは通気性シートに付着しやすく、さらに、そのナノファイバー同士が自己接着しやすい。この場合に製造される積層シートは、金属箔または台紙から繊維ウェブを剥がして通気性シートに貼り付ける場合と比べて、通気性シートから繊維ウェブがさらに剥離しにくく、繊維ウェブがさらに破損しにくいため、マスク又はエアフィルタの濾材としてさらに適している。
本製造法で、実施態様1又は2により形成された繊維ウェブを用いる場合には、繊維ウェブに通気性シートを積層する工程の後に、積層シートに熱処理を施すことが好ましい。また、熱処理により、ナノファイバーを熱収縮させたり、部分的に融着させたりして、細孔径が小さくなった積層シートを得ることができる。さらに、熱処理により、ナノファイバー同士が融着し、さらに、繊維ウェブが通気性シートに融着した積層シートを得ることができる。このため、熱処理を施された積層シートは、熱処理を施されていない場合と比べて、繊維ウェブが通気性シートから剥離しにくく、破損しにくい。熱処理された積層シートは、マスク又はエアフィルタの濾材として適したものになりやすい。
なお、熱処理は、大気中、酸素中、窒素中、又は希ガス中で行う。希ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンが挙げられる。また、熱処理の温度は50〜180℃、処理時間は1秒〜1時間の範囲で、積層シートが目的の細孔径を示すように適宜調整する。熱処理の一例として、繊維ウェブと、この繊維ウェブの両面に積層された通気性シートと、を備える積層シートを、カレンダー加工に1〜数秒かけて、繊維ウェブを通気性シートに熱圧着させる操作が挙げられる。
本製造法で、実施態様3〜8のいずれかにより形成された繊維ウェブを用いる場合には、積層シートに熱処理を施さなくても良い。実施態様3〜8のいずれかにより形成された繊維ウェブは、ポリウレタン、エチレン−ブタジエン共重合体により常温で接着性を示すため、熱処理を施さなくとも、繊維ウェブが通気性シートから剥離しにくく、繊維ウェブが破損しにくい。なお、実施態様3〜8のいずれかにより形成された繊維ウェブを備える積層シートでも、熱処理を施すことで積層シートの細孔径や圧力損失を調整可能であるため、調整する必要があれば熱処理を行なうことが好ましい。
本製造法により製造された積層シートは、その繊維ウェブが実施態様1〜8で前述した効果を発揮し、かつ、通気性シートが繊維ウェブを保護するため、マスク又はエアフィルタの濾材として適している。本積層シートは、PM2.5粒子の捕捉率が高いため、好ましくはPM2.5粒子を捕捉するためのマスク又はエアフィルタの濾材として用いられ、さらに好ましくはPM2.5粒子を捕捉するためのマスクの濾材として用いられる。従来の濾材を用いるよりも、マスクやエアフィルタの重量を軽くし、その厚みを薄くして、使いやすいマスクやエアフィルタを製造可能である。また、積層シートは、製造時に、ナノファイバーの集積量を調整したり、後述する熱処理によりナノファイバーの繊維同士を部分的に融着させたりすることで、細孔径が10nm以上かつ1,000nm以下となり、圧力損失が10Pa以上かつ500Pa以下となるように、規格に応じて細孔径の大きさを適宜調整可能である。
通気性シートは、好ましくは、略一方向に延伸されて配列された複数本の熱可塑性樹脂繊維により形成された繊維層が設けられた不織布である。この繊維層を形成している熱可塑性樹脂繊維は、例えば、延伸された平均繊維径10μm程度のポリエステル繊維である。この繊維層が設けられた不織布は、熱可塑性樹脂繊維の重なりが少なく、厚みが薄い。さらに、熱可塑性樹脂繊維が延伸された方向に対して、強い引っ張り強さを示す。この繊維層が設けられた不織布を備える場合の本積層シートは、全体の厚みが薄く、熱可塑性樹脂繊維が延伸された方向に引っ張られても繊維ウェブが破損しにくい。なお、この繊維層が設けられた不織布は、単一の繊維層からなる単層構造であっても良い。
通気性シートが、略一方向に延伸されて配列された複数本の熱可塑性樹脂繊維により形成された繊維層が設けられた不織布である場合の本積層シートは、繊維ウェブの目付が小さい場合であっても、効率よく微粒子状物質を捕捉することができる。この場合の積層シートは、略一方向に延伸されていない繊維により構成されている通気性シートを備える積層シートよりも、マスク又はエアフィルタとしての用途にさらに適している。
通気性シートは、さらに好ましくは、略一方向に延伸されて配列された複数本の熱可塑性樹脂繊維により形成された繊維層が複数設けられた、多層構造を有する不織布である。この多層構造を有する不織布では、一の繊維層における熱可塑性樹脂繊維の配列軸と、他の繊維層における熱可塑性樹脂繊維の配列軸と、が交差している。このような不織布は、多層構造であるにも関わらず、熱可塑性樹脂繊維の重なりが少なく、厚みが薄い。さらに、複数の方向に対して強い引っ張り強さを示すため、寸法安定性に優れる。この多層構造を有する不織布は、その目付が5〜60(g/m)程度、その厚みが50〜170μm程度となるように、製造時に適宜調整することができる。この多層構造を有する不織布としては、例えば、ミライフ(新日本石油株式会社の登録商標)シリーズとして市販されている各種の不織布(JX ANCI株式会社製)が挙げられる。この多層構造を有する不織布を備える場合の本積層シートは、全体の厚みが薄く、複数方向に引っ張られても繊維ウェブが破損しにくい。ヒトの握力程度の力で引っ張られても裂けないため、積層シートがマスクの濾材として用いられても壊れにくい。
通気性シートは、さらにより好ましくは、経緯直交不織布である。経緯直交不織布とは、前述の多層構造を有し、かつ、一の繊維層における前述の配列軸と、他の繊維層における前述の配列軸と、が直交するように積層されている不織布である。経緯直交不織布としては、例えば、ミライフのシリーズとして市販されている不織布が挙げられる。経緯直交不織布は、配列軸が交差しているが直交していない場合の不織布よりも、全方向に対する引っ張り強さや、寸法安定性が、更に増している。経緯直交不織布を備える場合の本積層シートは、さらに繊維ウェブが破損しにくく、マスクの濾材としてさらに壊れにくい。
[原材料、静電紡糸装置]
分散質がEVOHを含有する樹脂エマルションの市販品として、エバーソルブ#10(日本シーマ株式会社製)を準備した。この樹脂エマルションの組成は、EVOH約10重量%、n−プロパノール約40重量%、水が約50重量%である。
分散質がポリウレタンを含有する樹脂エマルションの市販品として、スーパーフレックスシリーズの一種であるスーパーフレックス460(第一工業製薬株式会社製)を準備した。この樹脂エマルションの組成は、固形分(ポリウレタン)約30重量%、水が約70重量%である。また、このポリウレタンとしては、ポリカーボネートポリオールが用いられている。
分散質がエチレン−ブタジエン共重合体を含有する樹脂エマルションの市販品として、CB−1200(ユニチカ株式会社製)を準備した。この樹脂エマルションの組成は、固形分(エチレン−ブタジエン共重合体)約20重量%、2−プロパノール約20重量%、水が約60重量%である。
市販のPVAの粉体として、クラレポバール(株式会社クラレの登録商標)シリーズのPVA−117(同社製)を準備した。
通気性シートとして、2種類の市販の不織布を準備した。不織布Aは、ポリプロピレン繊維の不織布(型番:6640−1C、シンワ株式会社製)であり、目付40g/mである。不織布Bは、ミライフ(新日本石油株式会社の登録商標)の一種として市販されている不織布(型番:TY0505FE、JX ANCI株式会社製)であり、目付10g/mである。なお、不織布Bは、多層構造を有する不織布であり、この多層構造は、ポリエステル繊維が略一方向に延伸されて配列された繊維層が積層されて成り、一の繊維層の配列軸と他の繊維層の配列軸とが交差している。
静電紡糸装置として、NEU ナノファイバーエレクトロスピニングユニット(カトーテック株式会社製)を準備した。この静電紡糸装置は、図1に示す静電紡糸装置1と同様の構成である。また、この静電紡糸装置は、平均繊維径が50nm以上かつ800nm以下であり繊維長が平均繊維径の100倍以上あるナノファイバーや、このナノファイバーが集積されてなる繊維ウェブを形成可能である。
[実施例1]
分散質がEVOHを含有する樹脂エマルション2重量部と、分散質がポリウレタンを含有する樹脂エマルション1重量部と、を混合して、分散質がEVOH及びポリウレタンを含有する樹脂エマルションを調製した。調製した樹脂エマルションの組成は、EVOH6.8重量%、ポリウレタン12.5重量%、低級アルコール(n−プロパノール)30.0重量%、水50.7重量%であった。調製した樹脂エマルションにおいて、接着性樹脂(ポリウレタン)のEVOHに対する重量比(接着性樹脂/EVOH)は、1.8であった。
次いで、準備した静電紡糸装置を用いて、静電紡糸法により、調製した樹脂エマルションに10kVの電圧を加えてナノファイバーを紡糸し、紡糸直後のナノファイバーを不織布A(通気性シート)上に集積することで、繊維ウェブを形成しつつその片面に通気性シートを積層して、実施例1に係る積層シートを試作した。なお、実施例1に係るナノファイバーを試作する際、繊維ウェブの目付が0.2g/mとなるようにした。
実施例1,後述する実施例2〜7,及び比較例1に関し、調製した樹脂エマルションの組成を表1に示す。
Figure 2017137595
[実施例2]
繊維ウェブの目付が0.5g/mとなるようにし、通気性シートとして不織布Aを用いた。その他については、実施例1と同じ条件で実施例2に係る積層シートを試作した。
[実施例3]
繊維ウェブの目付が1.0g/mとなるようにし、通気性シートとして不織布Aを用いた。その他については、実施例1と同じ条件で実施例3に係る積層シートを試作した。
[実施例4]
繊維ウェブの目付が0.5g/mとなるようにし、通気性シートとして不織布Bを用いた。その他については、実施例1と同じ条件で実施例4に係る積層シートを試作した。
[実施例5]
繊維ウェブの目付が1.5g/mとなるようにし、通気性シートとして不織布Bを用いた。その他については、実施例1と同じ条件で実施例5に係る積層シートを試作した。
[実施例6]
繊維ウェブの目付が1.5g/mとなるようにし、通気性シートとして不織布Aを用いた。その他については、実施例1と同じ条件で実施例6に係る積層シートを試作した。
[実施例7]
分散質がEVOHを含有する樹脂エマルション2重量部と、分散質がエチレン−ブタジエン共重合体を含有する樹脂エマルション1重量部と、を混合して、分散質がEVOH及びエチレン−ブタジエン共重合体を含有する樹脂エマルションを調製した。調製した樹脂エマルションの組成は、EVOH6.8重量%、エチレン−ブタジエン共重合体10.0重量%、低級アルコール(n−プロパノール)30.0重量%、水53.2重量%であった。調製した樹脂エマルションにおいて、接着性樹脂(エチレン−ブタジエン共重合体)のEVOHに対する重量比(接着性樹脂/EVOH)は、1.5であった。さらに、繊維ウェブの目付が0.5g/mとなるようにし、通気性シートとして不織布Aを用いた。その他については、実施例1と同じ条件で実施例7に係る積層シートを試作した。
[比較例1]
準備したPVAの粉体を水に溶解させて、PVA溶液を調製した。このPVA溶液の組成は、PVA10重量%、水90重量%であった。さらに、このPVA溶液2重量部と、分散質がエチレン−ブタジエン共重合体を含有する樹脂エマルション1重量部と、を混合して、静電紡糸用の樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液の組成は、PVA6.8重量%、エチレン−ブタジエン共重合体6.8重量%、水86.4重量%であった。
次いで、準備した静電紡糸装置を用いて、静電紡糸法により、調製した樹脂溶液に10kVの電圧を加えてナノファイバーを紡糸し、紡糸直後のナノファイバーを不織布A(通気性シート)上に集積することで、繊維ウェブを形成しつつその片面に通気性シートを積層して、比較例1に係る積層シートを試作した。なお、比較例1に係るナノファイバーを試作する際、繊維ウェブの目付が0.5g/mとなるようにした。
[試験方法]
フィルター性能評価試験機(型番:DFT−4、東京ダイレック株式会社製)を用いて、JIS B 9908:2011の形式2に準拠した試験方法により、実施例1〜7,及び比較例1に係る積層シートのそれぞれについて、JIS Z 8901に規定する試験用粉体1の11種に対する初期濾過性能を評価した。
[試験結果]
実施例1〜7,及び比較例1,2に係る積層シートのそれぞれの初期濾過性能として、圧力損失、PM0.3粒子の捕捉率、及びPM2.5粒子の捕捉率の測定値を、表2に示す。
Figure 2017137595
表2に示すように、実施例2,7に係る積層シートは、比較例1に係る積層シートと比べて、PM2.5粒子の捕捉率に優れていた。実施例2,7では、樹脂エマルションから繊維ウェブを形成したため、そのナノファイバーの表面に、ポリウレタン又はエチレン−ブタジエン共重合体により構成されている接着部が現れやすく、この接着部によりPM2.5粒子の捕捉率が高められたと考えられる。一方、比較例1では、樹脂溶液から繊維ウェブを形成したため、そのナノファイバーの内部に封入されてしまうエチレン−ブタジエン共重合体が多くあり、PM2.5粒子の捕捉率が抑えられてしまったと考えられる。
通気性シートに関して、不織布Bの目付は不織布Aの目付より小さいにも関わらず、不織布Bを用いた実施例5は、不織布Aを用いた実施例6と比べて、PM0.3粒子の捕捉率とPM2.5粒子の捕捉率との両方に優れていた。
上記の実施例5と実施例6の実験結果の違いに関して、そのメカニズムは不明であるが、次のように推定される。図4(a)に示す実施例6に係る積層シート61では、不織布Aを構成している繊維63が不規則に絡み合っているため、不織布Aの布面には不規則な凹凸が生じている。この不織布A上に集積されたナノファイバー25は、その並びが不規則となる。このため、不織布A上に集積された繊維ウェブには、ナノファイバー25が密に集積された箇所65と、ナノファイバー25がほとんど集積されていないため径が大きい細孔67が生じている箇所があるものと想定される。つまり、実施例6に係る積層シート61では、径が大きい細孔67が多いことにより、PM2.5粒子の捕捉率やPM0.3粒子の捕捉率が抑えられてしまったと考えられる。
これに対して、図4(b)に示す実施例5に係る積層シート51では、不織布Bを構成している熱可塑性樹脂繊維53が略一方向に延伸されて配列されているため、不織布Bの布面は平坦である。この不織布B上に集積されたナノファイバー25は、その並びが整っている。このため、不織布B上に集積された繊維ウェブでは、ナノファイバー25の集積量の部位ごとの偏りが少ないものと想定される。つまり、実施例5に係る積層シート51では、実施例6に係る積層シート61と比べて、径が大きい細孔が少ないためPM2.5粒子の捕捉率やPM0.3粒子の捕捉率が高くなったと考えられる。
1 静電紡糸装置
21 樹脂溶液
27 分散質がEVOHを含有する樹脂エマルション

Claims (11)

  1. 静電紡糸法により、樹脂エマルションからナノファイバーを紡糸して、紡糸された前記ナノファイバーを集積して繊維ウェブを形成する工程を含み、
    前記樹脂エマルションは、分散質と分散媒を有し、
    前記分散質は、少なくとも、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を含有していることを特徴とする繊維ウェブの形成方法。
  2. 前記分散質は、さらに、ポリウレタン、エチレン−ブタジエン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選ばれた1種の接着性樹脂を含有していることを特徴とする請求項1に記載の繊維ウェブの形成方法。
  3. 前記樹脂エマルションにおける、前記EVOHの含有量が5重量%以上かつ16重量%以下であり、前記接着性樹脂の含有量が0.1重量%以上かつ35重量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の繊維ウェブの形成方法。
  4. 前記樹脂エマルションにおける、前記接着性樹脂の前記EVOHに対する重量比(接着性樹脂/EVOH)が0.5以上かつ2.0以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の繊維ウェブの形成方法。
  5. 通気性シートを準備する工程と、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された繊維ウェブの形成方法により、繊維ウェブを形成する工程と、
    形成された前記繊維ウェブの少なくとも片面に、前記通気性シートを積層する工程と、
    を含むことを特徴とする積層シートの製造方法。
  6. ナノファイバーが集積されてなる繊維ウェブであって、
    前記ナノファイバーは、少なくとも、
    EVOHと、
    ポリウレタン、エチレン−ブタジエン共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選ばれた1種の接着性樹脂と、
    により構成されていることを特徴とする繊維ウェブ。
  7. 前記ナノファイバーにおける、前記接着性樹脂のEVOHに対する重量比(接着性樹脂/EVOH)が0.5以上かつ2.0以下であることを特徴とする請求項6に記載の繊維ウェブ。
  8. 前記ナノファイバーの少なくとも一部は、
    その繊維長方向に伸長した、前記EVOHにより構成されている芯部と、
    前記芯部の表面に断続的に存する、前記接着性樹脂により構成されている接着部と、
    を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の繊維ウェブ。
    繊維ウェブ。
  9. 請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の繊維ウェブと、
    前記繊維ウェブの少なくとも片面に積層された通気性シートと、
    を備えることを特徴とする積層シート。
  10. 前記通気性シートは、複数本の熱可塑性樹脂繊維が略一方向に延伸されて配列された繊維層を有する不織布であることを特徴とする請求項9に記載の積層シート。
  11. マスク又はエアフィルタの濾材として用いられることを特徴とする請求項9又は10に記載の積層シート。
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