JP2015040366A - ナノファイバー使用エアフィルタろ材 - Google Patents

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一博 奥山
Kazuhiro Okuyama
一博 奥山
志摩 亨
Toru Shima
亨 志摩
恒夫 萩原
Tsuneo Hagiwara
恒夫 萩原
武行 川口
Takeyuki Kawaguchi
武行 川口
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Abstract

【課題】電界紡糸で積層したナノファイバーは帯電するため製品の取出しや巻き解き時に剥離・断裂等の損傷が発生し易く、取扱いが煩雑になる欠点がある。
【解決手段】ナノファイバーを生成する電界紡糸装置において、コレクタの背面から集積ナノファイバー層を経由して紡糸装置内の空気を吸引する方式でナノファイバー膜を作製する際に、電界紡糸法に依らずに接着剤を紡糸空間に散布することによりナノファイバー層を固定化する方法を提供することである。
【選択図】図1

Description

本発明は、ナノファイバーを使用したエアフィルタろ材に関するものである。
病院,薬品工場,食品工場,電子部品工場,オフィルビル,住宅等への導入外気の清浄化及び内部循環空気の清浄度維持はエアフィルタによるろ過が一般的であるが、ろ過に要するファン,ブロア動力は夏冬の厳しい電力消費の一原因となっている。エアフィルタの圧力損失低減はこの電力逼迫状態の解決に著しい効果がある。
エアフィルタの性能は風速一定下での圧力損失と粉塵捕集率で表すことが多いが、粉塵捕集率が同じであれば圧力損失が小さいフィルタの方が性能が高いと言える。フィルタ性能をFigure of Merit(FOM)とかQ値と称する数値で表わす場合もある。
フィルタ素材の平均繊維径を下げて行くとフィルタ性能が向上することが知られており、微小径の繊維加工技術がフィルタ性能を上昇させてきた歴史がある。電界紡糸技術は既存繊維では得られなかった極微小径の繊維を得ることができ、平均自由行程をナノファイバー繊維半径で除したクヌーセン数(Kn)を大幅に引上げるためスリップフロー効果が顕著になるので圧損上昇が抑制されフィルタ性能を大きく向上させることが出来る。また、繊維径により最も捕集し難い粉塵粒子径が変化することも分かっており、極微小径繊維が上記の病院,工場等で求められるナノ粒子の捕集に高い効果を発揮することも明らかになって来ている。
一方、繊維径が1μm未満のナノファイバー(ナノ繊維)を製造する方法として、電界紡糸が広く知られている。電界紡糸法による基本的なナノファイバーの製造方法は、先ずファイバーを構成する高分子(ポリマー)を溶媒に溶解し、この溶液を紡糸溶液としてシリンジに充填する。そして、シリンジに装着されているニードル型電極と、ナノファイバーを堆積させるコレクタ電極との間に数kV〜数十kVの直流高電圧を印加して、ニードル型電極とコレクタ電極との間に強い電界を発生させる。この環境下で、ニードル型電極から紡糸溶液をコレクタ電極に向けて押し出すと、高分子溶液はニードル先端にテーラーコーンを形成した後、電界紡糸空間へ噴出し爆発を繰返しながら溶媒を蒸発しつつ、高分子は延伸されながら凝固し、ナノオーダーの極細繊維(ナノファイバー)となってコレクタ電極上に堆積する。この紡糸条件を変えることにより、nmからμmスケールの極細ファイバーが形成される。
紡糸溶液は高分子単体溶液に限られず、異なる高分子の混合溶液、また高分子、無機物などの混合溶液を用いることができるため、ナノハイブリッド・ファイバーやナノコンポジット・ナノファイバーが製造可能である。
ナノファイバーには、「高比表面積」、「分子配列効果」、「ナノサイズ効果」といった特徴があり、ナノ構造による特異な機能が発現される。
しかし、これらの特徴を有する反面、電界紡糸ナノファイバーは強く帯電するため基材と強く接着しているように見えるが、基材とナノファイバー間及びナノファイバー相互間の結合力は帯電と言う大気中での電荷の中和とともに低下し、かつ周囲の電荷に影響を受ける不安定・不確実なものである。
ナノファイバー同士の場合は帯電力の他に分子間力や物理的交絡もあるもののやはり強力・確実な結合力とは言えない。
そのため製品取出しや巻き解き中のブロッキング現象によるに剥離・断裂等の損傷を発生し易く、形態が安定せず、取扱いが煩雑となる欠点を有する。そのため、ナノファイバーと基材の接着及びナノファイバー層内のナノファイバー同士の接着が求められる。また、基材にナノファイバーを積層した後にナノファイバー層を養生する目的でカバーシートを設ける場合は、基材とナノファイバー間の接着と同様のことが求められる。
ナノファイバーの接着に関する先行技術としては、メルトブロー不織布や静電紡糸不織布などに超音波接着やシンター接着や湿気硬化型ウレタンの散布により接着する技術や、軟化点と所定溶融粘度に達する温度とを一定範囲内に規制したホットメルト接着剤をホットスプレイ装置を用いて散布し接着する技術や、ナノファイバーを電界紡糸中に接着剤溶液をも電界紡糸する方法や、予め基材上に接着剤を電界紡糸やコーティング等により添着させておき、ナノファイバー積層後加圧・加熱することにより接着する技術などがある。
ナノファイバー不織布と基材シートの接着に関する先行技術は多いが、HEPAフィルタ等の高い捕集効率が要求されるフィルタは厚いナノファイバー層が必要となり、ナノファイバー層数は多くなるので基材上の接着剤だけでナノファイバー膜の厚さ全体を固定化することは出来ない。また、ナノファイバー表面を保護する目的で接着剤を散布して薄目付の不織布等でナノファイバー表面を覆うこともあるが、上記の基材の接着剤の効果と併せてもナノファイバー層の中間帯は接着剤による固定は出来なかった。
従って、厚いナノファイバー層全体の固定化に際してはナノファイバー層の中間帯の固定化が残された課題であり、そのためには電界紡糸中に接着剤を添加することになるが、電界紡糸中のナノファイバーに接着剤粒子を散布する発明は多くない。その先行技術では、一つの電界紡糸環境下にナノファイバー用と接着剤用の2種類のポリマー溶液を電界紡糸することを特徴とするので設備の複雑化に加え、2種類のポリマー溶液を各々の最適条件で紡糸または散布するという厳しい運転を強いられる欠点を有している。
予め基材に接着剤を添着させておく場合や芯鞘型熱接着性不織布を基材に用いる場合、基材繊維に根付きながらナノファイバー層に深く浸透して両者を結合できる接着剤が望まれるが、現実にはナノファイバー層が厚くなると接着剤側の数層が固定されるだけで、それ以上の層は固定されないため不安定・不確実な帯電等による結合力と言う上述の欠点を解決できない。
Incorporation of Electrospun Nanofibers into Functional Structure Presented at INTC 2003 by INDA and TAPPI 特開平7−185238 特許第4880934 特許第5150137 特開2012−196647
本発明は電界紡糸法でナノファイバーを作製する場合、基材とナノファイバー間及びナノファイバー相互間には強力・確実な結合力がなく、製品取出しや巻き解き中のブロッキング現象によるに剥離・断裂等の損傷が発生し易く、製品形態の安定維持が困難で、取扱いが煩雑となる欠点を有しているので、これらの課題を解決しようとするものである。
特に、HEPAフィルタ等の高い捕集効率が要求されるフィルタは厚いナノファイバー層が必要となり、ナノファイバー層数は多くなるので基材上の接着剤だけでナノファイバー膜の厚さ全体を固定化することは出来なかった。
また、ナノファイバー表面を保護する目的で接着剤を散布して薄目付の不織布等でナノファイバー表面を覆うこともあるが、上記の基材の接着剤の効果と併せてもナノファイバー層の中間帯は接着剤による固定は出来なかった。
本発明の第1の解決手段は、電界紡糸ナノファイバー層と基材の固定化だけでなく、ナノファイバー層内のナノファイバー同士の接着のために電界紡糸空間に接着剤を散布することを目指すものである。
接着剤の散布粒子をフィルタ用ナノファイバー繊維に混入させるために電界紡糸法によらず1流体ノズルや2流体ノズル等の流体の助勢による吐出・散布方法を用いるとともに、コレクタへの気流を維持するために紡糸空間内の排気を利用するものである。
つまり、電界紡糸中はポリマーを溶解していた溶媒が大量に蒸発するので、紡糸空間雰囲気の溶媒ガス濃度が高くなり、健康上及び防火上からガスを吸引除去して安全な濃度以下に管理すると同時に、吸引空気中の溶媒を回収ないしは吸収除去した後に大気へ放散することが必要であるので、この排気流を利用して散布接着剤粒子をナノファイバー繊維に混入させるのである。
さらに、電界紡糸空間に放出されるナノファイバーは基本的には電界の力でコレクタに誘引されてコレクタ上の基材に積層するが、一部のナノファイバーは周囲の壁面などの他所に引寄せられて着床するためコレクタ面の収集率が低下する。電界紡糸装置が一般産業界に敷衍しない最大の理由に生産性の悪さを挙げられる中では、コレクタを通気可能な構造にして吸引空気を集積ナノファイバー経由で吸引することで、上記の収集率低下を防ぐことが出来る。従って、通気可能なコレクタ上の基材にナノファイバーを積層させ、それらを介して紡糸空間エアーを吸引・排気することにより、電界力を免れて壁面などの他所へ移行中のナノファイバーも排気気流に運ばれてコレクタ上のナノファイバー面に誘導され、ナノファイバー収集率の向上につながる。
本発明の第2の解決手段は、ナノファイバーを接着する能力を有しながら積層されたナノファイバーの溶損・再溶解を阻み、徒に圧力損失を増加させないためには適正な粒子径の接着剤を散布する制御が必要であることを示すものである。
本発明では、接着剤粒子としては、溶媒を単独に散布する場合は粒子ではなく液滴であり、スプレイ糊や接着剤粒子の懸濁液を散布する場合は粒子であるが、本文では説明を簡略化するため両者とも粒子として記述している。
基材やナノファイバー上に着床した接着剤粒子径が小さ過ぎる場合は接着能力が低いので散布した効果が薄く、逆に大き過ぎる場合は、液滴散布ではナノファイバー膜に貫通穴を明けたり、または通気性の無いフィルムを形成するので圧力損失を増加させフィルタ性能を低下させることになる。また、粒子散布の場合では、過大粒子は液滴散布のフィルムと同じ弊害をもたらす。
さらに、第2の解決手段は、先述の通り電界紡糸の生産性は高くないので、ナノファイバーの生産効率を最大に維持しつつ、接着剤散布によるフィルタ性能の低下を最低限にとどめながら適正な接着力を得るためには、ナノファイバー生成量と接着剤粒子量の配分調整には噴霧量の調整が必要なことも示している。
本発明の第3の解決手段は、常温下で時間経過とともに固化することで被接着物を拘束・結合する接着剤が一般的であるが、それに限定せず時間経過しても固化しないか殆ど固化しないで粘着力によって被接着物を拘束・結合する型式の接着剤も含めている。
粘着力に逆らって一定方向に外力が長時間働くと拘束・結合は破られるが、外力の作用が短時間で終了したり周期的に+−を繰返す場合は粘着力による緩い接着でも目的を果たせる上に、弾性的な結合が極細繊維を保護する観点からは望ましいからである。
本発明の第4の解決手段は、接着剤の散布方法を1流体ノズル方式,2流体ノズル方式,霧吹き方式,接着剤と揮発性物質を圧力容器内に封入したスプレイ糊方式等の電界紡糸法に依らぬ方式を用いることを示すものである。電界紡糸は生産性が悪いだけでなく微粒子の均一散布法としても安定性に欠ける上に、一つの電界紡糸環境下に2種類の溶液を各々の最適条件で電界紡糸するので設備の複雑化に繋がる欠点を有しているので、これを回避したものである。
本発明の第5の解決手段は、ナノファイバー繊維用電界紡糸溶液を溶媒で希釈した低濃度溶液を散布接着剤として用いることが一般的であるが、同様液の溶媒だけを散布することも、または同ポリマーの低分子量ポリマーを溶媒で溶かした溶液を用いることを示している。
本発明の第6の解決手段は、散布接着剤として接着剤粒子の懸濁液を用いることを特徴とするもので、ナノファイバー層に定着した粒子の接着力強化のために後工程で加圧・加熱する場合も含まれている。
本発明の第7の解決手段は、溶剤に溶けた接着剤をLPG等の低沸点ガスと共にボンベに封入し、接着剤をガス圧力で噴出させるスプレイ糊を用いることを特徴とするものである。
本発明の第8の解決手段は、コレクタ面に配置する基材とナノファイバーとの接着を確保するための手段で、予め接着剤が種々の方法で添着された不織布基材を用いる。ナノファイバー層が厚くなくても仕様を満たせるフィルタであれば、この接着だけでもナノファイバー層の固定化が出来る場合がある。
本発明の第9の解決手段は、積層ナノファイバーの最表面を養生する場合に関するもので、養生用カバーシートに予め接着剤を種々の方法で添着しておき、基材へのナノファイバー積層が完了した後に、カバーシートの接着剤添着面を積層ナノファイバーに当接して接着し、養生することを特徴とするものである。
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
本発明はナノファイバーを電界紡糸中に接着剤粒子を適切な量だけ散布することによりナノファイバー層中のナノファイバー同士を適宜結合し、基材シートに垂直なZ軸方向、つまり膜厚を広げる力に耐えられる構造にすることが出来る。
これにより、ナノファイバーフィルタろ材は、基材とナノファイバー及びカバーシートで養生する場合はナノファイバー表層とカバーシートを接着剤粒子で結合出来るので、ナノファイバー積層後の製品取出しや巻き解き中、及びその後のフィルタ加工工程でのブロッキング現象によるに剥離・断裂等の損傷に耐え、ナノファイバーを含む形態を安定的に維持できるので完成時のフィルタ性能予測精度も向上してくる。
また、電界紡糸中はポリマーを溶解していた溶媒が大量に蒸発するので、紡糸空間雰囲気の溶媒ガス濃度が高くなり、健康上及び防火上からガスを吸引除去して安全な濃度以下に管理すると同時に、吸引空気中の溶媒を回収ないしは吸収除去した後に大気へ放散することが必要であるが、この排気流を利用しスプレイノズルから吐出・散布された接着剤粒子をコレクタへ誘導することが出来る。
さらに、電界紡糸空間に放出されるナノファイバーは基本的には電界の力でコレクタに誘引されてコレクタ上の基材に積層するが、一部のナノファイバーは周囲の壁面などの他所に引寄せられて着床するためコレクタ面の収集率が低下するので、コレクタを通気可能な構造にして吸引空気を集積ナノファイバー経由で吸引することで、上記の収集率低下を防ぐことが出来る。従って、通気可能なコレクタ上の基材にナノファイバーを積層させ、それらを介して紡糸空間エアーを吸引・排気することにより、電界力を免れて壁面などの他所へ移行中のナノファイバーも気流に運ばれてコレクタ上のナノファイバー面に誘導され、ナノファイバー収集率の向上につながる。
本発明品を製造するための装置を模式的に表したものである。 1は電界紡糸空間を囲む筐体で円滑な気流拡大を目指したテーパが付けられている。2は接着剤を散布する2流体ノズル、3は電界紡糸溶液用のノズルを装着したシリンジ、4は通気可能な構造のコレクタ電極、5は高圧電源、6は4の背面から1の中の空気を排気するための絞り管、7は排気ダクト、8は2で散布された接着剤、9は電界紡糸により3から噴出したナノファイバーを示している。1の中の溶媒ガス濃度が高い空気が7を通って排気されると溶媒ガスを含まない新しい空気が1の右端の2,3の周囲から矢印の如く流入して来る。また、10はナノファイバーを積層する原反ロール、11はナノファイバーが積層済みロールを示している。 本発明品のフィルタろ材の代表的な構成を断面図で示した図である。21は基材、22はナノファイバー層、23は養生用のカバーシート、24は原反ロールの表面に添着している接着剤、25はカバーシート表面の接着剤、26はナノファイバー層内の接着剤粒子を示す。 低濃度電界紡糸溶液を散布して得られたナノファイバー膜表面のSEM写真 スプレイ糊を散布して貼り合せたナノファイバー面を剥がして観察したSEM写真を示している。 電界紡糸中にスプレイ糊を適宜散布しながら作製したサンプルの断面をFESEM観察した写真を示している。 第図5の部分拡大写真を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明ではフィルタろ材としての性能を確保するナノファイバー層は電界紡糸法で作製するが、基材とナノファイバー及びナノファイバー同士の結合に用いられる接着材は1流体ノズルや2流体ノズル等電界紡糸に依らない散布方法に依る。その理由は、電界紡糸法は高電圧を荷電するので設備上、安全上の配慮が必要であることの他、紡糸繊維が温度・湿度の天候に影響されることや装置寸法から来る電界条件の変化による収集状況の変化を受けることがあり、安定した品質を長時間維持することが容易でない場合があるからである。
電界紡糸法に依らないため、接着剤の散布粒子は噴霧気流に乗って飛行するだけで電界力でコレクタに誘導されるナノファイバーよりは推力が劣ってくる。しかし、フィルタ用ナノファイバーの電界紡糸中はポリマーを溶解していた溶媒が大量に蒸発するので、紡糸空間雰囲気の溶媒ガス濃度が高くなり、健康上及び防火上からガスを吸引除去して安全な濃度以下に管理すると同時に、吸引空気中の溶媒を回収ないしは吸収除去した後に大気へ放散することが必要であるので、この排気流を利用する。
つまり、通気可能なコレクタ上の基材にナノファイバーを積層させ、それらを介して紡糸空間エアーを吸引・排気することによりコレクタへの気流を維持する排気流を利用するのである
電界紡糸空間に散布された接着剤粒子は噴霧気流と排気気流に乗ってコレクタ上の基材やナノファイバー層へ飛んで行き着床し、基材とナノファイバー、及びナノファイバー同士の接着に入る。接着剤粒子の懸濁液やスプレイ糊等の場合は、気流がナノファイバー層を押す力だけでは十分な接着効果が得られないので、このような時は、基材シートがコレクタ上を離れた後に十分な接着強度を得るために加圧・加熱工程を設ける場合もある。
ナノファイバー用電界紡糸溶液を溶媒で希釈した低濃度溶液、または同溶液の溶媒、または同ポリマーの低分子量ポリマーを溶媒で溶かした溶液を接着剤として散布する場合は、溶媒がナノファイバーを溶解させるので特別に加圧・加熱を施す必要は無い。
溶媒を単独に散布する場合は粒子ではなく液滴であるが、本文では説明を簡略化するため粒子の中に含めて記述している。散布された接着剤粒子は飛行中に蒸発して小径化することがあるので、接着剤の物性や散布方法により濃度や圧力等の条件を選択する必要があるが、基材やナノファイバー層に着床する粒子径は0.1〜300μmが望ましい。更には、1〜100μmが好ましい結果に繋がる。1μmより小さいと十分な接着効果が期待できず、100μmより大きくなると液滴散布では着床部のナノファイバーを過剰に溶損してナノファイバー層に貫通穴を明け、ピンホールを生じる確率を高めたり、通気性の無いフィルムを形成するので圧力損失を増加させフィルタ性能を低下させることになる。また、粒子散布では、過大粒子は液滴散布のフィルムと同じ弊害をもたらす。
また、スプレイ糊のような貫通穴を生じない接着粒子でも300μmを超えると閉塞面積が増えるため圧力損失の増加と言う弊害を生むことになる。
電界紡糸法の生産性は高くないので接着剤の散布も微量で良いので、スプレイノズルの型番は小さいものを選定し加圧力を下げてスプレイすることになるが、それでもなお過剰な場合は接着剤の散布を間歇的に行うことになる。
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、また前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の変更が可能である。
つぎに、本発明にかかる実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
<低濃度電界紡糸溶液の散布>
第1図に代表される電界紡糸装置でポリエーテルスルホンの30%DMAc溶液を紡糸した後、同溶液をDMAcで希釈した15%溶液を2流体ノズルで散布した。その時のSEM写真を第3図に示すが、左上の長径が約100μmの穴は貫通しており穴の周囲が溶解してフィルム化したピンホールとなっているが、他の50μm以下の複数の黒点は貫通することなくナノファイバー膜を結合している様子が分かる。
<スプレイ糊の散布>
第4図は第1図に代表される電界紡糸装置でポリエーテルスルホンの25%DMAc溶液を電界紡糸中に住友3M製スプレイのり77を散布してサーマルボンド製PET基材上にナノファイバー層を積層したろ材を作製し、そのろ材から切出した2枚のサンプルをナノファイバー面を合わせて重ね合わせ、軽く加圧した後に分離して、その一方のナノファイバー層を剥離した後の面をSEM観察したものである。繊維径が10〜50μmの基材繊維に支えられてナノファイバーと絡み合った直径10〜50μmのスプレイ糊粒子が所々に基材繊維上に定着している様子が分かる。
第5図は電界紡糸中にスプレイのり77を適宜散布しながら作製したサンプル断面をFESEMで観察した写真であり、第6図は第5図の部分拡大写真である。真球に近い形のスプレイ糊粒子がナノファイバー層中にあって、周囲のナノファイバーを連結している様子が分かる。電界紡糸法で接着剤を散布した場合は、溶液濃度が高いと繊維主体の層となり、低いと紡錘状のビーズの多い極細繊維との混合層となり、更に低いと球状微粒子が堆積するものの溶媒蒸発後は梅干状の異形粒子となるので、電界紡糸法かスプレイ糊散布法かの判別は可能である。
スプレイ糊粒子による接着は時間経過によって完全に固化する型式の接着ではなく、接着と剥離を繰返しても粘着性は長く維持されるので、第6図のように糊粒子がナノファイバーを拘束・結合していても粒子形状も、その結合も弾性的に変形可能であるので完全固化接着の場合ならばナノファイバーが分断するような外力が作用しても弾性的な変形の場合は全体でエネルギーを吸収するので分断を免れることが出来る。
基材とナノファイバー、及びナノファイバー層内のナノファイバー同士、及びナノファイバーとカバーシートの接着によって製品取出しや巻き解き中のブロッキング現象によるに剥離・断裂等の損傷に耐え、安定して形態を維持でき、容易に取扱い出来ることになると、ナノファイバーろ材の加工性が従来の不織布ろ材と同じ程度にまで向上するので簡便に,迅速に,歩留良く,したがって経済的にろ材の提供ができる。
ナノファイバーフィルタろ材は既存品と同じ捕集効率を大幅に低い圧力損失で達成できるので省エネ効果は非常に大きい。本発明のフィルタろ材を用いたフィルタを装着した空調機は低圧損のため大きな節電効果を享受できるので、社会的影響は大きいものがある。また、発電用ガスタービン吸気フィルタに用いると吸気抵抗が大幅に低下することにより発電効率が数%向上することが予測されるし、初期圧力損失の大幅低下は最終圧力損失を既存品と同レベルにするならば大幅な長寿命化に繋がる。この様に本発明は身近な環境浄化用の小装置から社会全体を支える公共設備に至る広範な省エネに関わる要素であり、今後ますます需要が高まりことが予測される産業上極めて利用価値の高いものである。
1 電界紡糸装置用筐体
2 接着剤散布用2流体ノズル
3 電界紡糸溶液用シリンジ
4 コレクタ電極
5 高圧電源
6 絞り管
7 排気ダクト
8 散布接着剤
9 ナノファイバー
10 原反ロール(基材)
11 ナノファイバー積層済みロール
21 基材
22 ナノファイバー層
23 カバーシート
24 接着剤(基材側)
25 接着剤(カバーシート側)
26 接着剤(ナノファイバー層内)

Claims (9)

  1. 電界紡糸法によるナノファイバー作製において、ナノファイバーを集積させる基材が張られたコレクタの背面から集積ナノファイバー及び基材を経由して紡糸装置内の空気を吸引する方式の電界紡糸装置を使用し、かつナノファイバー紡糸空間に接着剤を散布することによりナノファイバーと基材を固定したことを特徴とするエアフィルタろ材。
  2. 電界紡糸空間に粒子径0.1〜300μmの接着剤粒子を間歇的もしくは連続的に散布することを特徴とする請求項1のエアフィルタろ材。
  3. 接着剤粒子は常温下で時間経過とともに固化が進行する種類に限定せず、時間経過による固化が生じないか、もしくは固化が極めて遅い種類も含むことを特徴とするエアフィルタろ材。
  4. 接着剤の散布方法は1流体ノズル方式,2流体ノズル方式,霧吹き方式,接着剤と揮発性物質を圧力容器内に封入したスプレイ糊方式,ホットメルトスプレイ方式等の電界紡糸法に依らぬ何れかの方式、もしくは複数の方式を併用することを特徴とする請求項1、2、及び3のエアフィルタろ材。
  5. 散布接着剤としてナノファイバー用電界紡糸溶液を溶媒で希釈した低濃度溶液、または同溶液の溶媒、または同ポリマーの低分子量ポリマーを溶媒で溶かした溶液を用いることを特徴とする請求項1、2、3及び4のエアフィルタろ材。
  6. 散布接着剤として接着剤粒子の懸濁液を用いることを特徴とする請求項1、2、3及び4のエアフィルタろ材。
  7. 散布接着剤としてボンベに封入された接着剤をLPG等の圧力で噴射するスプレイ糊を用いることを特徴とする請求項1、2、3及び4のエアフィルタろ材。
  8. 芯鞘型熱接着性不織布を含む予め接着剤が添着された繊維構造基材がコレクタ面を覆うことを特徴とする請求項1、2、3及び4のエアフィルタろ材。
  9. 積層ナノファイバーの最表面を養生するカバーシートに、芯鞘型熱接着性不織布を含む予め接着剤が添着された繊維構造シート(不織布が一般的であるがこれに限定せず)を用い、基材へのナノファイバー積層が完了した後に、接着剤添着面を積層ナノファイバーに当接して接着することを特徴とする請求項1、2、3及び4のエアフィルタろ材。
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