JP2017137418A - 接着剤付きポリイミドフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、フラットケーブルの製造等に有用なフラットケーブル用基材を提供することにある。【解決手段】200℃で60分加熱後の熱収縮率が0.2%以下のポリイミドフィルムと接着剤層を有し、接着剤層のTMA針入りモード測定の180℃に於ける針入り侵入量が接着剤層の厚さの40%以上である接着剤付きポリイミドフィルムを、フラットケーブル用基材として使用する。【選択図】なし

Description

本発明は、導体を接着剤層と絶縁体層を有する基材2枚の間に挟持して製造されるフラットケーブルの製造等に有用な接着剤付きポリイミドフィルム、及びこの接着剤付きポリイミドフィルムで構成されたフラットケーブルに関する。
フラットケーブルは、携帯電話やタブレット、パーソナルコンピュータのハードディスクなど、広く電気機器に使用されている。フラットケーブルは、配線状に形成した銅箔などの導体を、絶縁体層と接着剤層を有する基材(又は、単に「フラットケーブル用基材」ということがある。)間に並べ、基材の接着剤層で挟みこむことによって製造される。
フラットケーブルの絶縁体層には、一般に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が使用されている。よって、従来のフラットケーブルは、耐熱性が十分ではなく、熱によるフラットケーブルの寸法変化率が大きいという問題があった。
優れた耐熱性を有するフラットケーブルとしては、特許文献1には、絶縁層としてポリイミドフィルムを用い、接着剤層として特定範囲のガラス転移温度と硬化温度を有するエポキシを用いて接着剤付きポリイミドフィルムを形成し、さらに、接着剤付きポリイミドフィルムの縦弾性係数と伸びを特定範囲とし、接着剤層と導体間の180°ピール強度を特定の範囲としたフラットケーブルが記載されている。尚、特許文献1には、フラットケーブル用基材の絶縁層として使用するポリイミドフィルムについて具体的な記載はなく、ポリイミドフィルムの物性や組成について記載されていない。また、特許文献1に記載されているのは、加熱条件下でのフラットケーブルの耐屈曲性であり、熱によるフラットケーブルの寸法変化率については特許文献1には記載されていない。
また、特許文献2には、絶縁体層として、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とを反応させて得られるポリイミドを主成分とし、線膨張係数が10ppm/℃以下であるポリイミドフィルムを用い、接着剤層として、5%重量減少温度が400℃以上のポリイミドまたはポリアミドイミドから選ばれた一種以上の接着剤を用いた、高耐熱フラットケーブルが記載されている。また、特許文献2には、このようなフラットケーブルが、150℃以上の温度でも長期にわたって使用できることが記載されている。尚、特許文献2において耐熱性の評価項目として測定しているのは、400℃、1時間熱処理後のポリイミドフィルムと接着剤層間の剥離強度、外観(変色及び膨れの有無)であり、熱によるフラットケーブルの寸法安定性の具体的な評価については、特許文献2では実施されていない。
また、特許文献3には、残留有機溶剤を含むホットメルト接着剤を、合成樹脂製基材フィルム上にコートしてなり、導体の両側を挟み込んでホットメルト接着剤同士を接着してフラットケーブルを構成するための接着フィルムにおいて、昇温速度5℃毎分、加重0.49N、プローブ径0.5mmの条件で針進入法TMAにより測定したホットメルト接着剤の針進入率50%となる温度が、有機溶剤を含まないホットメルト接着剤より0.1〜5℃低下している接着フィルムは、フラットケーブル製造時のラミネート速度と耐ブロッキング性が良好であることが記載されている。尚、特許文献3では、合成樹脂製基材フィルムとしてポリイミドフィルムを用いた例について具体的に開示されておらず、ポリイミドフィルムの物性や組成についての具体的な記載もない。また、特許文献3には、フラットケーブルの耐熱性及び熱による寸法安定性についても記載されていない。
特許第4292729号明細書 特開2009−93817号公報 特開2012−21079号公報
本発明の目的は、フラットケーブルの製造等に有用なフラットケーブル用基材を提供することにある。
本発明の他の目的は、耐熱性に優れたフラットケーブル用基材を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、耐熱性(さらには、熱による寸法安定性)に優れたフラットケーブルを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の物性を有するポリイミドフィルムに接着剤層を積層した接着剤付きポリイミドフィルムを、フラットケーブル用基材として使用することを試みた。
具体的には、熱収縮率が小さいポリイミドフィルム(具体的には、200℃で60分加熱後の熱収縮率が0.2%以下であるポリイミドフィルム)に、フラットケーブルの製造において一般的に使用される接着剤(例えば、ポリエステル系接着剤)の接着剤層を積層した接着剤付きポリイミドフィルムを、フラットケーブル用基材として使用することを試みた。
しかしながら、このような接着剤付きポリイミドフィルムは、耐熱性が十分ではなく、フラットケーブル用基材として使用した場合に熱によるフラットケーブルの寸法変化が大きいものであった。
本発明者らは、ポリイミドフィルムと接着剤層に関し、さらに鋭意研究を重ねた結果、特許文献3の思想(フラットケーブル製造時のラミネート速度や耐ブロッキング性の改善)とは全く異なる思想で、接着剤層のTMA針入りモード測定に於ける針入り侵入量に着目した。
さらに、本発明者らは、200℃で60分加熱後の熱収縮率が0.2%以下であるポリイミドフィルムに、TMA針入りモード測定の180℃に於ける針入り侵入量が特定の範囲となる接着剤層(さらには、TMA針入りモード測定の180℃に於ける針入り侵入量が、接着剤層の厚さの40%以上の接着剤層)を積層した接着剤付きポリイミドフィルムをフラットケーブル用基材として用いると、耐熱性及び熱による寸法安定性に優れたフラットケーブルを形成できることを見出した。
また、フラットケーブル用基材で導体を挟み、加熱してフラットケーブルを形成する際に、特にフラットケーブル用基材の接着剤層に熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂など)を用いると、フラットケーブルの導体間に空隙が発生しやすいが、本発明者らは、接着剤層をTMA針入りモード測定の180℃に於ける針入り侵入量が上記特定の範囲となるように規定することにより、フラットケーブルの導体間に空隙が発生しにくいことを見出した。
本発明は、以下の接着剤付きポリイミドフィルム等に関する。
[1]200℃で60分加熱後の熱収縮率が0.2%以下のポリイミドフィルムと接着剤層を有し、接着剤層のTMA針入りモード測定の180℃に於ける針入り侵入量が接着剤層の厚さの40%以上である接着剤付きポリイミドフィルム。
[2]接着剤層が、TMA針入りモード測定における接着剤層の厚さに対する針入り侵入量において、100℃に於ける針入り侵入量が5%以下であり、かつ140℃に於ける針入り侵入量が20%以上である前記[1]に記載の接着剤付きポリイミドフィルム。
[3]ポリイミドフィルムの表面粗さのRmaxが0.6μm以上であり、Rzが0.3μm以上である前記[1]又は[2]に記載の接着剤付きポリイミドフィルム。
[4]ポリイミドフィルムが、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1以上の芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物及び/又は3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の芳香族酸無水物成分とを原料に含む、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の接着剤付きポリイミドフィルム。
[5]接着剤層が、エポキシ樹脂を含む接着成分と、他の樹脂を含む添加剤とを含む、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の接着剤付きポリイミドフィルム。
[6]フラットケーブルの製造に用いるための前記[1]〜[5]のいずれかに記載の接着剤付きポリイミドフィルム。
[7]導体を、一対の前記[1]〜[6]のいずれかに記載の接着剤付きポリイミドフィルムで挟持したフラットケーブル。
[8]さらに、厚さが50〜500μmのポリイミドフィルム、もしくはポリイミドフィルムを複数枚積層させた補強板を有する前記[7]に記載のフラットケーブル。
本発明の接着剤付きポリイミドフィルムは、フラットケーブルの製造等に有用なフラットケーブル用基材として有用である。
また、本発明の接着剤付きポリイミドフィルムは、耐熱性に優れたフラットケーブル用基材として使用することができ、PETフィルムでは使用できない高温(例えば、180℃以上など)においても使用することができる。
また、本発明の接着剤付きポリイミドフィルムは、耐熱性に優れたフラットケーブル用基材として使用することができ、耐熱性(さらには、熱による寸法安定性)に優れたフラットケーブルを提供することができる。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の接着剤付きポリイミドフィルムは、特定の熱収縮率を有するポリイミドフィルムと接着剤層を有している。接着剤付きポリイミドフィルムは、通常、ポリイミドフィルムの片面に接着剤層を有する。尚、接着剤付きポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルム面側に、さらに他の層が積層されていてもよい。
[ポリイミドフィルム]
ポリイミドフィルムを得るに際しては、まず、芳香族ジアミン成分及び芳香族酸無水物成分を有機溶媒中で重合させることにより、ポリアミック酸溶液(以下、ポリアミド酸溶液ともいう)を得る。
ポリアミック酸溶液は、芳香族ジアミン成分と芳香族酸無水物成分を主成分とする化学物質を有機溶媒中で重合させることによって得ることができる。
芳香族ジアミン成分としては、例えば、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンジジン、パラキシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメトキシベンジジン、1,4−ビス(3−メチル−5−アミノフェニル)ベンゼン及びこれらのアミド形成性誘導体が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族ジアミン成分としては、接着剤付きポリイミドフィルムが耐熱性に優れ、フラットケーブルを形成した際に耐熱性や熱による寸法安定性が優れるなどの観点から、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1以上が好ましく、パラフェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの組み合わせがより好ましい。
ポリアミック酸溶液の形成に使用される原料としては、本発明の効果を妨げない範囲で前記芳香族ジアミン成分以外の他のジアミン成分を含んでもよい。
他のジアミン成分としては、例えば、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、3,4'−ジアミノジフェニルプロパン、3,3'−ジアミノジフェニルプロパン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルサルファイド、3,4'−ジアミノジフェニルサルファイド、3,3'−ジアミノジフェニルサルファイド、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、2,6−ジアミノピリジン、ビス−(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、3,3'−ジクロロベンジジン、ビス−(4−アミノフェニル)エチルホスフィノキサイド、ビス−(4−アミノフェニル)フェニルホスフィノキサイド、ビス−(4−アミノフェニル)−N−フェニルアミン、ビス−(4−アミノフェニル)−N−メチルアミン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,4'−ジメチル−3',4−ジアミノビフェニル−3,3'−ジメトキシベンチジン、2,4−ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、p−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、p−ビス−(1,1−ジメチル−5−アミノペンチル)ベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ジアミノアダマンタン、3,3'−ジアミノ−1,1'−ジアミノアダマンタン、3,3'−ジアミノメチル−1,1'−ジアダマンタン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4'−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサエチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾール、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、N−(3−アミノフェニル)−4−アミノベンズアミド、4−アミノフェニル−3−アミノベンゾエート等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族酸無水物成分の具体例としては、例えば、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸及びこれらのアミド形成性誘導体等の芳香族テトラカルボン酸の酸無水物成分が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
芳香族酸無水物成分としては、接着剤付きポリイミドフィルムが耐熱性に優れ、フラットケーブルを形成した際に耐熱性や熱による寸法安定性が優れるなどの観点から、ピロメリット酸二無水物及び/又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
本発明において、ポリアミック酸溶液の形成に使用される原料としては、本発明の効果を妨げない範囲で、前記芳香族酸無水物成分以外の他の酸無水物成分を含んでもよい。
他の酸無水物成分としては、例えば、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−デカヒドロナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,5,6−ヘキサヒドロナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロ−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロ−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロ−1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,8,9,10−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3',4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において、芳香族ジアミン成分及び酸無水物成分の組み合わせとしては、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1以上の芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物及び/又は3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の芳香族酸無水物成分の組み合わせが特に好ましい。
芳香族ジアミン成分がパラフェニレンジアミンと4,4'−ジアミノジフェニルエーテルを含む場合、パラフェニレンジアミンと4,4'−ジアミノジフェニルエーテルのモル比は、50/50〜0/100であることが好ましく、40/60〜0/100であることがより好ましい。
芳香族酸無水物成分がピロメリット酸二無水物と3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む場合、ピロメリット酸二無水物と3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のモル比は、100/0〜50/50であることが好ましく、100/0〜60/40であることがより好ましい。
また、ポリアミック酸溶液の形成に使用される有機溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶媒、フェノール、o−,m−,或いはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコール等のフェノール系溶媒、ヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、さらには、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素と組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸溶液の重合方法は公知のいずれの方法で行ってもよく、例えば、
(1)先に芳香族ジアミン成分全量を溶媒中に入れ、その後芳香族酸無水物成分を芳香族ジアミン成分全量と当量になるよう加えて重合する方法、
(2)先に芳香族酸無水物成分全量を溶媒中に入れ、その後芳香族ジアミン成分を芳香族酸無水物成分と当量になるよう加えて重合する方法、
(3)一方の芳香族ジアミン成分を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方の芳香族酸無水物成分が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方の芳香族ジアミン成分を添加し、続いてもう一方の芳香族酸無水物成分を全芳香族ジアミン成分と全芳香族酸無水物成分とがほぼ当量になるよう添加して重合する方法、
(4)一方の芳香族酸無水物成分を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方の芳香族ジアミン成分が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方の芳香族酸無水物成分を添加し、続いてもう一方の芳香族ジアミン成分を全芳香族ジアミン成分と全芳香族酸無水物成分とがほぼ当量になるよう添加して重合する方法、
(5)溶媒中で一方の芳香族ジアミン成分と芳香族酸無水物成分をどちらかが過剰になるよう反応させてポリアミック酸溶液(A)を調整し、別の溶媒中でもう一方の芳香族ジアミン成分と芳香族酸無水物成分をどちらかが過剰になるよう反応させポリアミック酸溶液(B)を調整する。こうして得られた各ポリアミック酸溶液(A)と(B)を混合し、重合を完結する方法。この時ポリアミック酸溶液(A)を調整するに際し芳香族ジアミン成分が過剰の場合、ポリアミック酸溶液(B)では芳香族酸無水物成分を過剰に、またポリアミック酸溶液(A)で芳香族酸無水物成分が過剰の場合、ポリアミック酸溶液(B)では芳香族ジアミン成分を過剰にし、ポリアミック酸溶液(A)と(B)を混ぜ合わせこれら反応に使用される全芳香族ジアミン成分と全芳香族酸無水物成分とがほぼ当量になるよう調整する方法、等が挙げられる。
なお、重合方法はこれらに限定されることはなく、その他公知の方法を用いてもよい。
本発明においてポリアミック酸を構成する芳香族酸無水物成分と芳香族ジアミン成分とは、それぞれのモル数が大略等しくなる割合で重合されるが、その一方が10モル%、好ましくは5モル%の範囲内で他方に対して過剰に配合されてもよい。
重合反応は、有機溶媒中で撹拌しながら行うことが好ましい。重合温度は、特に限定されないが、通常は、反応溶液の内温0〜80℃で行なわれる。重合時間は、特に限定されないが、10分〜30時間連続して行うことが好ましい。重合反応は、必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもよい。両反応体の添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン成分の溶液中に芳香族酸無水物を添加することが好ましい。重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミック酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効な方法である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加することによって、重合反応の制御を行ってもよい。前記末端封止剤は、特に限定されず、公知のものを使用することができる。
こうして得られるポリアミック酸溶液は、固形分を通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%を含有する。また、その粘度は、ブルックフィールド粘度計による測定値であり、特に限定されないが、通常10〜2000Pa・s(100〜20000poise)であり、安定した送液のために、好ましくは100〜1000Pa・s(1000〜10000poise)である。尚、有機溶媒溶液中のポリアミック酸は部分的にイミド化されていてもよい。
前記ポリアミック酸溶液を加熱することにより、ポリイミドフィルムを製造することができる。
ポリイミドフィルムを製造する方法としては、例えば、ポリアミック酸溶液をフィルム状にキャストし熱的に脱環化脱溶媒させてポリイミドフィルムを得る方法、ポリアミック酸溶液に環化触媒及び脱水剤を混合し化学的に脱環化させてゲルフィルムを作製し、これを加熱脱溶媒することによりポリイミドフィルムを得る方法が挙げられるが、後者の方が好ましい。
化学的に脱環化させる方法においては、まず上記ポリアミック酸溶液を調製する。上記ポリアミック酸溶液は、環化触媒(イミド化触媒)、脱水剤及びゲル化遅延剤等を含有することができる。
環化触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン等の脂肪族第3級アミン、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン、イソキノリン、ピリジン、β−ピコリン等の複素環式第3級アミン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を併用できる。なかでも複素環式第3級アミンを少なくとも一種以上使用する態様が好ましい。
脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族カルボン酸無水物、無水安息香酸等の芳香族カルボン酸無水物等が挙げられるが、なかでも無水酢酸及び/又は無水安息香酸が好ましい。
ポリアミック酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法としては、例えば、環化触媒及び脱水剤を含有せしめたポリアミック酸溶液をスリット付き口金等から支持体上に流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させて自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体より剥離して熱処理を行うことにより、ポリイミドフィルムを得る方法が挙げられる。
上記ポリアミック酸溶液は、加熱された支持体上に流延され、支持体上で閉環反応をし、自己支持性を有するゲルフィルムとなって支持体から剥離される。
上記支持体とは、金属製の回転ドラムやエンドレスベルトであり、その温度は液体又は気体の熱媒、及び/又は電気ヒーター等の輻射熱により制御される。
上記ゲルフィルムは、支持体からの受熱及び/又は熱風や電気ヒーター等の熱源からの受熱により、通常30〜200℃、好ましくは40〜150℃に加熱されて閉環反応し、遊離した有機溶媒等の揮発分を乾燥させることにより自己支持性を有するようになり、支持体から剥離される。
上記支持体から剥離されたゲルフィルムは、通常、回転ロールにより走行速度を規制しながら走行方向に延伸される。延伸は、通常は140℃以下の温度で1.01〜1.90倍、好ましくは1.05〜1.60倍、さらに好ましくは1.10〜1.50倍の倍率で実施される。走行方向に延伸されたゲルフィルムは、テンター装置に導入され、テンタークリップに幅方向両端部を把持されて、テンタークリップと共に走行しながら、幅方法へ延伸される。
上記の延伸されたゲルフィルムは、通常、風、赤外ヒーター等で15秒から30分加熱される。次いで、熱風及び/又は電気ヒーター等により、通常、250〜500℃の温度で15秒〜30分熱処理を行う。
また、ポリイミドフィルムの厚みは、走行速度によって調整することができる。ポリイミドフィルムの厚みは、目的とする積層フィルムの厚みや使用するポリイミドフィルムの枚数等に合わせて適宜選択すれば良い。
このようにして得られたポリイミドフィルムに対して、さらにアニール処理を行うことが、熱収縮率を小さくできる(具体的には、200℃で60分加熱後の熱収縮率を0.2%以下とできる。)などの観点から、好ましい。アニール処理の方法は、特に限定されず、常法に従ってよい。アニール処理の温度としては、特に限定されないが、200〜500℃が好ましく、200〜370℃がより好ましく、210〜350℃が特に好ましい。具体的には、前記温度範囲に加熱された炉の中を、低張力下にてフィルムを走行させ、アニール処理を行うことが好ましい。炉の中でフィルムが滞留する時間が処理時間となるが、走行速度を変えることでコントロールすることになり、5秒〜5分の処理時間であることが好ましい。また走行時のフィルム張力は10〜50N/mが好ましく、さらには20〜30N/mが好ましい。
ポリイミドフィルムは、フィラー(例えば、無機粒子、有機フィラーなど)を含んでいてもよく、無機粒子を含むことが好ましい。
ポリイミドフィルム中のフィラーの含有量は、特に限定されないが、フィルム樹脂1重量当たり、例えば0.03〜1重量%、好ましくは0.05〜0.8重量%程度であってよい。
ポリイミドフィルムにフィラーを含有させる方法は、特に限定されないが、上記したポリアミック酸溶液にフィラーを添加してもよい。フィラーは、予め重合したポリアミック酸溶液に添加してもよいし、フィラーの存在下でポリアミック酸溶液を重合してもよい。
ポリイミドフィルムは、200℃で60分加熱後の熱収縮率が、通常0.2%以下(例えば、0.01〜0.15%)、好ましくは0.15%以下(例えば、0.01〜0.1%)、好ましくは0.1%以下(例えば、0.01〜0.07%)である。ポリイミドフィルムの200℃で60分加熱後の熱収縮率は、25℃、60%RHに調整された部屋に2時間以上放置した後のフィルム寸法(L1)を、CNC画像処理装置システムNEXIV VM−250(ニコン製)を用いて測定し、続いて200℃で60分間加熱した後再び25℃、60%RHに調整された部屋に1日間放置した後のフィルム寸法(L2)を、前記CNC画像処理装置システムを用いて測定し、下記式により算出することができる。
熱収縮率(%)=−{(L2−L1)/L1}×100
ポリイミドフィルムの平均線膨張係数は、特に限定されないが、例えば0〜100ppm/℃、好ましくは0〜50ppm/℃、より好ましくは3〜35ppm/℃である。前記熱膨張係数は、島津製作所製TMA−50を使用し、測定温度範囲:50〜200℃、昇温速度:10℃/分の条件で測定することができる。
ポリイミドフィルムの表面粗さRmaxは、接着剤層および接着剤層と反対面に貼り合わせる補強板との接着性が向上するなどの観点から、好ましくは、0.6μm以上(例えば、0.6〜2μm)程度であってよい。また、ポリイミドフィルムの表面粗さRzは、接着剤層との接着性が向上するなどの観点から、好ましくは、0.3μm以上(例えば、0.3〜1.2μm)程度であってよい。ポリイミドフィルムの表面粗さの測定は、JIS B 0601(2001)に従ってよい。
このような表面粗さを有するポリイミドフィルムを得る方法は、特に限定されないが、例えば、公知の表面処理(例えば、ウェットブラスト処理、サンドマット処理、樹脂マット処理、プラズマ処理等など)によって得ることができる。尚、表面処理は、ポリイミドフィルムの片面でも両面でもよい。
[接着剤層]
接着剤としては、TMA針入りモード測定の180℃に於ける針入り侵入量が接着剤層の厚さの40%以上である接着剤層を形成できるものが好ましい。
接着剤層は、接着成分を含んでいればよい。
接着成分としては、例えば、熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド樹脂など)、熱硬化性樹脂(例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂など)などが挙げられ、熱硬化性樹脂が好ましい。
接着剤層は、接着性を損なわない範囲で、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、難燃剤、酸化防止剤、架橋剤、接着成分の範疇に含まれない樹脂{以下、単に「他の樹脂」ともいう。例えば、エラストマー(例えば、スチレン系エラストマーなど)}などが挙げられる。特に、TMA針入りモード測定の180℃に於ける針入り侵入量が接着剤層の厚さの40%以上である接着剤層を形成できる観点から、添加剤を含んでいることが好ましい。
また、接着剤層は、溶剤(例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、ジメチルケトンなどのケトン系溶剤など)を含んでいてもよい。
接着剤層において、添加剤は、接着成分1重量部に対して、例えば、1.5〜200重量部(例えば、2〜170重量部)、好ましくは2〜150重量部(例えば、3〜140重量部)、より好ましくは3〜120重量部(例えば、5〜100重量部)程度であってよい。
[接着剤付きポリイミドフィルム]
接着剤付きポリイミドフィルムにおいて、ポリイミドフィルムの厚みは、例えば1〜150μm(例えば、3〜125μm)、好ましくは5〜120μm(例えば、7〜100μm)、より好ましくは10〜80μm(例えば、15〜50μm)程度であってもよい。
接着剤付きポリイミドフィルムにおいて、接着剤層の厚みは、特に規定はないが、導体の埋め込み性を考慮し、導体の厚みの1/2以上であることが好ましい。この場合、導体の埋め込みが十分となり、導体間に空隙が発生しにくい等の観点から好ましい。導体間に空隙があるとフラットケーブルの伝送特性等に影響が出るため好ましくない。
接着剤付きポリイミドフィルムの接着剤層は、TMA針入りモード測定の180℃に於ける針入り侵入量が、接着剤層の厚さの、好ましくは40%以上(例えば、45〜90%)、より好ましくは50%以上(例えば、53〜85%)、さらに好ましくは55%以上(例えば、55〜80%)程度であってよい。TMA針入りモード測定の180℃に於ける針入り侵入量が上記範囲となる接着剤層の形成方法は、特に限定されず、適宜調整することができる。180℃に於ける針入り侵入量が40%以上の場合、接着剤層が柔らかいため、接着剤付きポリイミドフィルムを導体と貼り合わせて加熱した際に、導体間まで接着剤が溶融し、導体間の気泡の発生を防止しやすいなどの観点から好ましい。
また、接着剤付きポリイミドフィルムの接着剤層は、TMA針入りモード測定の100℃に於ける針入り侵入量が5%以下(例えば、1〜4%)であることが好ましい。
また、接着剤付きポリイミドフィルムの接着剤層は、TMA針入りモード測定の140℃に於ける針入り侵入量が20%以上(例えば、20〜40%)であることが好ましい。100℃に於ける針入り侵入量が5%以下であれば、接着剤の浸み出しを抑制することができ、フラットケーブルの接続部分の導体が接着剤で被覆されて導体とコネクタとの接続不良が発生するのを防止できるなどの観点から好ましい。また、140℃に於ける針入り侵入量が20%以上の場合、接着剤層が十分に柔らかいため、接着剤付きポリイミドフィルムを導体と貼り合わせて加熱した際に、導体間まで接着剤が溶融し、導体間の気泡の発生を防止しやすいなどの観点から好ましい。
TMA針入りモード測定の180℃に於ける針入り侵入量は、TMA測定装置を用い、針入りモードの測定を昇温速度10℃/分で200℃まで行い、180℃まで圧子の侵入深さ(針入量、単位:μm)を読み取り、接着剤層の厚みに対する180℃まで圧子の侵入深さの比率によって、求めることができる。TMA測定装置としては、島津製作所製熱分析機(TMA−60)を用いてよい。
また、TMA針入りモード測定の100℃に於ける針入り侵入量、並びにTMA針入りモード測定の140℃に於ける針入り侵入量は、上記したTMA針入りモード測定の180℃に於ける針入り侵入量の測定と同様にして針入りモードの測定を昇温速度10℃/分で200℃まで行い、100℃まで圧子の侵入深さと、140℃まで圧子の侵入深さをそれぞれ読み取ることによって、求めることができる。
接着剤付きポリイミドフィルムは、例えば、ポリイミドフィルムの片面又は両面に接着剤を塗布し、乾燥させることによって得ることができる。塗布及び乾燥方法は、特に限定されない。
[フラットケーブル]
本発明の接着剤付きポリイミドフィルムは、フラットケーブルの製造に使用することができる。
フラットケーブルの製造方法は、特に限定されず、導体を、2枚の(一対の)接着剤付きポリイミドフィルムで挟みこむ(挟持する)方法であればよい。フラットケーブルは、通常、接着剤付きポリイミドフィルムの接着剤層同士で、導体が挟みこまれている。フラットケーブルは、例えば、複数の導体を同一平面内で配列した導体列を、接着剤付きポリイミドフィルムの接着剤層同士で挟みこむことによって、製造することができる。尚、接着剤付きポリイミドフィルム間に導体を挟みこむ際に、加熱、加圧などを行ってもよい。
導体としては、特に限定されないが、例えば、導電性金属の扁平箔や丸線、長方形の断面を持つ平角導体、有機導電体などが挙げられる。導電性金属としては、特に限定されないが、銅、銀、錫、インジウム、アルミニウム、モリブデン、これらの合金などを使用してよい。また、導体の幅や厚さは、特に限定されない。
フラットケーブルは、さらに補強板を有していてもよい。
補強板としては、例えば、ポリイミドフィルム単体、もしくはポリイミドフィルムを複数枚(例えば、2〜3枚)積層したもの等である。ポリイミドフィルムを複数枚積層する方法に指定はないが、ポリイミドフィルムのみを積層する方法やポリイミドフィルムの間に他の層(例えば、接着剤層など)を介して積層する方法等がある。この場合のポリイミドフィルムの構成、物性は、特に限定されない。
補強板の厚みは、例えば、50〜500μm(例えば、75〜300μmなど)程度であってよい。
また、補強板は、フラットケーブルの片面に積層されていてもよいし、両面に積層されていてもよい。
本発明のフラットケーブルは、熱による寸法安定性に優れ、180℃で10分加熱後の熱収縮率(寸法変化率)が、例えば0.2%以下(例えば、0.01〜0.15%)、好ましくは0.15%以下(例えば、0.01〜0.13%)である。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
[ポリアミック酸合成例A]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)をモル比で1:1の割合で用意し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)中20重量%溶液にして重合し、4000poiseのポリアミック酸溶液を得た。
[ポリアミック酸合成例B]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)を、モル比で60/40/80/20の割合で用意し、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)中20重量%溶液にして重合し、4000poiseのポリアミック酸溶液を得た。
[ポリイミドフィルムの熱収縮率]
ポリイミドフィルムの200℃で60分加熱後の熱収縮率は、25℃、60%RHに調整された部屋に2時間以上放置した後のフィルム寸法(L1)を、CNC画像処理装置システムNEXIV VM−250(ニコン製)を用いて測定し、続いて200℃で60分間加熱した後再び25℃、60%RHに調整された部屋に1日間放置した後のフィルム寸法(L2)を、前記CNC画像処理装置システムを用いて測定し、下記式により算出した。
熱収縮率(%)=−{(L2−L1)/L1}×100
[ポリイミドフィルムの表面粗さ]
ポリイミドフィルムの表面粗さの測定は、JIS B 0601(2001)に従って行った。接触式表面粗さ測定器を使用して以下の条件で表面粗Rmax、Rzを測定した。
カットオフ値:0.25mm、測定長さ:2mm、触針先端半半径:2μm
[針入り侵入量測定]
接着剤付きポリイミドフィルムを10mmx10mmの大きさに裁断し、島津製作所製熱分析機(TMA−60)を用い、針入りモードの測定を昇温速度10℃/分で200℃まで50gfの一定荷重をかけて行い、100℃、140℃、180℃まで圧子の侵入深さ(針入量、単位:μm)を読み取った。使用した圧子は先端直径0.5mmの円柱状のもので、接着剤表面を圧子侵入面とした。
[埋め込み性]
フラットケーブル導体間の気泡の有無を目視にて確認し、気泡が発生している箇所の長さを測定した。フラットケーブルの長さに対する、気泡発生箇所の長さの割合を算出し、気泡発生率とした。
[フラットケーブルの熱収縮率(寸法変化率)]
作製したフラットケーブルを180℃で10分間加熱し、加熱前の導体間寸法(L3)と加熱後の導体間寸法(L4)を、CNC画像処理装置システムNEXIV VM−250(ニコン製)を使って測定し、下記式にしたがって算出した。
熱収縮率(%)=−{(L4−L3)/L3}×100
[ポリイミドフィルムAの製膜]
無機粒子全粒子の粒子径が0.01μm以上6.0μm以下に収まっており、平均粒子径0.87μm、粒子径0.5〜2.5μmの粒子が全粒子中81.5体積%のリン酸水素カルシウムのN,N−ジメチルアセトアミドスラリーを合成例Aで得たポリアミック酸溶液に樹脂重量当たり0.15重量%添加し、十分に攪拌、分散させた。このポリアミック酸溶液に無水酢酸(分子量102.09)とβ−ピコリンからなる転化剤をポリアミック酸に対し、それぞれ2.0モル当量の割合での混合、攪拌した。得られた混合物を、口金より、回転する65℃のステンレス製ドラム上にキャストし、自己支持性を有するゲルフィルムを得た。このゲルフィルムをドラムから引き剥がし、その両端を把持し、加熱炉にて250℃×30秒、400℃×30秒、次いで550℃×30秒処理した。得られたフィルムを、300℃×1分、加熱炉でアニール処理を行い、厚さ25μm、Rmax0.8μm、Rz0.5μmのポリイミドフィルムを得た。
[ポリイミドフィルムBの製膜]
ポリイミドフィルムAの片面をサンドマット処理し、厚さ25μm、サンドマット処理面のRmax1.4μm、Rz1.0μmのポリイミドフィルムBを得た。サンドマット処理は、サンド粒子径分布のサンド径80〜200μmの粒子をフィルム表面に打ち付けて行った。
実施例1
[接着剤]
EPICLON HP−7200(DIC株式会社製、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂)10重量部、タフテックM1913(旭化成ケミカルズ株式会社、マレイン酸変性スチレンエチレンブロック共重合体)100重量部、キュアゾールC11−Z(四国化成株式会社製)0.3重量部及びトルエン420重量部を混合し、接着剤を作成した。
[接着剤付きポリイミドフィルム]
上記で得られたポリイミドフィルムAの片面に、上記接着剤を塗布し、90℃で3分乾燥させて接着剤付きポリイミドフィルムを得た。接着剤付きポリイミドフィルムにおいて、接着剤層の厚みは25μmであった。
[フラットケーブルサンプルの作製]
幅0.30mm、厚さ0.035mmの導体14本を0.50mmの導体間ピッチで、接着剤付きポリイミドフィルムの接着剤層側に配置し、さらにその上からもう1枚の接着剤付きポリイミドフィルムの接着剤層側を重ねる構造とし、熱ロールで180℃、0.5MPaで加圧することによりフラットケーブルを作製した。
実施例2
ポリイミドフィルムAの代わりにポリイミドフィルムBを使用し、ポリイミドフィルムBのサンドマット処理面に接着剤を塗布した以外は実施例1と同様にして、フラットケーブルを作製した。
実施例3
接着剤において、EPICLON HP−7200の代わりにjER828(三菱化学株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)を使用し、タフテックM1913の代わりにTD773(DIC株式会社製、ノボラック型フェノール樹脂)を使用し、接着剤層の厚みが20μmとなるようにした以外は実施例1と同様にして、フラットケーブルを作製した。
実施例4
接着剤において、EPICLON HP−7200の代わりにYDCN−700−3(新日鉄住金化学株式会社製、クレゾールノボラックエポキシ樹脂)を使用し、タフテックM1913の代わりにニポール1072J(日本ゼオン社製、カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム)を使用し、ポリイミドフィルムの厚みを12.5μmとなるように調整した以外は実施例1と同様にして、フラットケーブルを作製した。
実施例5
ポリイミドフィルムAの代わりにポリイミドフィルムBのサンドマット処理していない面に接着剤を塗布した以外は実施例1と同様にして、フラットケーブルを作成した。
実施例6
ポリイミドフィルムAの代わりにポリイミドフィルムBのサンドマット処理していない面に接着剤を塗布した以外は実施例3と同様にして、フラットケーブルを作成した。
実施例7
ポリイミドフィルムAの代わりにポリイミドフィルムBのサンドマット処理していない面に接着剤を塗布した以外は実施例4と同様にして、フラットケーブルを作成した。
比較例1
ポリイミドフィルムのアニール処理を実施しなかった以外は実施例1と同様にして、フラットケーブルを作製した。
比較例2
ポリイミドフィルムの片面に接着剤を塗布して乾燥する際の乾燥条件を、130℃10分とした以外は実施例1と同様にしてフラットケーブルを作製した。
各実施例及び比較例で得られたポリイミドフィルム及びフラットケーブルの物性を、表1に示す。
Figure 2017137418
実施例1〜7の接着剤付きポリイミドフィルムをフラットケーブル用基材として用いると、180℃におけるフラットケーブルの熱収縮率(寸法変化率)が0.1%以下と小さく、また、導体間の気泡の発生が少ないものであった。
一方、比較例1の接着剤付きポリイミドフィルムは、使用したポリイミドフィルムの200℃で60分加熱後の熱収縮率が0.2%より大きかったため、フラットケーブル用基材として用いると、180℃におけるフラットケーブルの熱収縮率(寸法変化率)が0.52%と大きくなってしまった。
また、比較例2の接着剤付きポリイミドフィルムは、接着剤付きポリイミドフィルムの接着剤層のTMA針入りモード測定の180℃に於ける針入り侵入量が28%と小さかったため、接着剤付きポリイミドフィルムを導体と貼り合わせる際に加熱しても、導体間まで接着剤が溶融せず、導体間の気泡の発生が多くなってしまった。
以上の結果から、本発明の接着剤付きポリイミドフィルムは、使用するポリイミドフィルムの200℃で60分加熱後の熱収縮率が0.2%以下であり、接着剤付きポリイミドフィルムの接着剤層のTMA針入りモード測定の180℃に於ける針入り侵入量が40%以上であることにより、フラットケーブルの製造に使用すると、得られるフラットケーブルの熱収縮率(寸法変化率)が小さくなり、また、フラットケーブルにおける導体間の気泡の発生を少なくできることが確認された。
本発明の接着剤付きポリイミドフィルムは、フラットケーブルの製造において、好適に使用できる。

Claims (8)

  1. 200℃で60分加熱後の熱収縮率が0.2%以下のポリイミドフィルムと接着剤層を有し、接着剤層のTMA針入りモード測定の180℃に於ける針入り侵入量が接着剤層の厚さの40%以上である接着剤付きポリイミドフィルム。
  2. 接着剤層が、TMA針入りモード測定における接着剤層の厚さに対する針入り侵入量において、100℃に於ける針入り侵入量が5%以下であり、かつ140℃に於ける針入り侵入量が20%以上である請求項1に記載の接着剤付きポリイミドフィルム。
  3. ポリイミドフィルムの表面粗さのRmaxが0.6μm以上であり、Rzが0.3μm以上である請求項1又は2に記載の接着剤付きポリイミドフィルム。
  4. ポリイミドフィルムが、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル及び3,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1以上の芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物及び/又は3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の芳香族酸無水物成分とを原料に含む、請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤付きポリイミドフィルム。
  5. 接着剤層が、エポキシ樹脂を含む接着成分と、他の樹脂を含む添加剤とを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の接着剤付きポリイミドフィルム。
  6. フラットケーブルの製造に用いるための請求項1〜5のいずれかに記載の接着剤付きポリイミドフィルム。
  7. 導体を、一対の請求項1〜6のいずれかに記載の接着剤付きポリイミドフィルムで挟持したフラットケーブル。
  8. さらに、厚さが50〜500μmのポリイミドフィルム、もしくはポリイミドフィルムを複数枚積層させた補強板を有する請求項7に記載のフラットケーブル。
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